JP2005014301A - ゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法 - Google Patents

ゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム補強層にゴム部材を積層して構成されたグリーンタイヤのようなゴム構造体を金型内に入れ、金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形挙動を再現する際、有限要素法に比べて変形計算結果を良好に再現する。
【解決手段】金型の内表面の表面形状を再現する金型モデルに対して押圧されるゴム構造体の表面のゴム部材のモデルを以下のように設定する。ゴム部材を複数の要素点50によって表し、この複数の要素点50の各々を中心点としたときの所定の範囲(サポート)に含まれる複数の要素点の位置情報と、これらの要素点の前記中心点からの距離に応じて重み係数が定まる重み関数と、を用いて、サポート内の所定の変位、応力等の物理量の分布を表す内挿関数を定めることによって、ゴム部材を再現するゴムモデル52を定める。ゴムモデル52の下側には、複数の有限要素によって再現する補強層モデルを定める。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム補強層にゴム部材を積層して構成され、金型内に挿入されたゴム構造体を金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形挙動を再現するゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能の予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法に関し、具体的には、加硫前の未加硫タイヤを加硫用金型内で拡張して空気入りタイヤを作製する際に生じる未加硫タイヤの拡張変形挙動をシミュレーション計算する未加硫タイヤの変形シミュレーション方法、空気入りタイヤの性能の予測方法、空気入りタイヤの設計方法およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤの作製は、一般に、カーカス部材、1対のビードコア部材、1対のビードフィラー部材、1対のサイドトレッド部材およびトレッド/ベルト部を所定の形状となるように成形工程で貼り付けて生タイヤ(グリーンタイヤ)を成形する。そして、成形されたグリーンタイヤを加硫用金型(モールド)内に入れて、グリーンタイヤの内周面側から伸縮自在な袋状の加硫用ブラダ(図示されない)を膨張させて、グリーンタイヤを加硫用モールドの内表面の形状に沿わせるように拡張し、その後、加硫用モールドおよび加硫用ブラダを昇温して、拡張したグリーンタイヤを加硫する加硫工程を有する。
この加硫工程では、加硫用ブラダを用いてグリーンタイヤの内周面側から圧力を加えてグリーンタイヤを拡張させる。
このような工程を経て、所望の空気入りタイヤが作製される。
【0003】
ここで、上記空気入りタイヤの作製において、カーカス部材、ビードコア部材、ビードフィラー部材、サイドトレッド部材、トレッド部材やベルト部材等の各部材の設定された設計寸法が不適切な場合、あるいは、各部材の寸法がばらつく場合、上記膨張や拡張の過程で得られた形状がいびつになったり、各部材に余分な歪みがかかって部材が局部的に屈曲したり、拡張されたグリーンタイヤが加硫用モールドの内表面の形状に接触しないために、加硫工程で未加硫部分が発生する等の製造時の不具合が生じる。
【0004】
このため、加硫工程中の不具合を解析するために、グリーンタイヤを再現した有限要素モデルのグリーンタイヤモデルを、加硫用金型を再現した金型モデル内に配置し、グリーンタイヤモデルを拡張して、トレッドパターンのないタイヤの変形挙動を再現することのできるシミュレーション解析方法が提案されている(非特許文献1)。
【0005】
【非特許文献1】
”From tire to building to curing using FEM”, V.Shenfeld, G.Skiden and A.Bodner, Tire Technology International 2002 ,The Annual Review of Tire Materials and Tire Manufactuturing Technology ,pp.26−29
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、トレッドパターン付きタイヤを作製する際、グリーンタイヤを拡張して押圧する加硫用モールドの内表面には、タイヤのトレッドパターン形状に対応して凹凸形状が形成されているので、加硫工程中、この凹凸形状が、拡張するグリーンタイヤのトレッド部材を押圧しトレッド部材は大きく変形する。
このような加硫用モールドの内表面の凹凸形状によるトレッド部材の変形は、非特許文献1のような有限要素モデルを用いた解析では、図11に示すように、グリーンタイヤの一部分を想定したカーカス部材、ベルト部材およびトレッド部材からなる積層構造体を拡張すると、トレッドパターンに対応した加硫用モールドの内表面の凸部に押圧され、特に凸部の先端近傍では大きな変形を受ける。このため、有限要素モデルの幾何学形状も大きく変形し、変形後は有限要素の節点が互いに交差するようにねじれ、実際の変形挙動を正確に再現しない結果となっている。
【0007】
このように、有限要素モデルを用いた解析では、トレッドパターンの形状に対応して形成されている加硫用モールドの内表面の凹凸形状にグリーンタイヤが押圧されて加硫される際のグリーンタイヤの変形挙動を正確に再現することができないといった問題があった。
また、加硫時にタイヤに不具合が発生した場合、例えば、加硫時にタイヤのビード〜サイド部表面にバックリングが発生し、この結果、この部分が未加硫部分となる場合、過去の作業者の感と経験によってタイヤ製造時の不具合を解消するための改善策を施すしか方法がなかった。特に、不具合が頻発する場合、タイヤの各構成部材の不適切な設計寸法に原因があるのか、各構成部材の寸法のばらつきによって発生するのか、原因を特定するのが困難な場合も多い。
【0008】
また、カーカス部材やベルト部材を構成する、予め所定の傾斜角度で配置された複数の有機繊維の線材やスチール線材は、上記膨張や拡張によって角度変化を起こし、しかも張力が発生する。この線材の角度変化や張力の発生は、製造された空気入りタイヤの諸性能(タイヤ振動性能、操縦安定性能、耐久性能、磨耗性能)に大きな影響を与えることから、加硫直前の線材にかかる張力や線材の角度変化を所望の状態にすることは重要である。特に、加硫用モールド内でグリーンタイヤが拡張する際に線材に発生する張力や線材の受ける傾斜角度の角度変化が適切になるように設定することは重要である。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解消するために、ゴム補強層にゴム部材を積層して構成されたグリーンタイヤのようなゴム構造体を金型内に入れ、金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形を従来に比べて良好に再現することのできるゴム構造体の変形シミュレーション方法、これを用いたゴム構造体製品の性能の予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、ゴム補強層にゴム部材を積層して構成され、金型内の所定の位置に配置されたゴム構造体を前記金型の内表面に向かって拡張する際に生じる前記ゴム構造体の変形挙動を再現するゴム構造体の変形シミュレーション方法であって、前記金型の内表面の表面形状を再現する金型モデルを設定する金型モデル設定ステップと、前記ゴム部材を複数の要素点によって表し、この複数の要素点の各々を中心点としたときの所定の範囲に含まれる複数の要素点の位置情報と、これらの要素点の前記中心点からの距離に応じて重み係数が定まる重み関数と、を用いて、前記所定の範囲内の第1の物理量の分布を表す内挿関数を定めることによって、前記ゴム部材を再現するゴムモデルを定めるゴムモデル設定ステップと、前記補強層を、複数の有限要素によって再現する補強層モデルを定める補強層モデル設定ステップと、前記ゴム構造体を再現する構造体モデルを定めるために、前記ゴムモデルと前記補強層モデルとを結合する結合ステップと、
前記構造体モデルと前記金型モデルとを接触させるための条件を定める接触条件設定ステップと、前記構造体モデルに対して前記接触の条件を与えて前記金型モデルに向けて拡張する拡張処理の計算を行う拡張処理ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体の変形シミュレーション方法を提供する。
【0011】
ここで、前記金型モデルは、例えば、内表面が部分的に突出した凸部を有する金型を再現したモデルであり、前記拡張処理ステップにおいて、前記構造体モデルが拡張して前記金型モデルの前記凸部に対応した部分に押圧される際の前記構造体モデルの変形挙動を計算するものである。
【0012】
ここで、前記金型モデルの前記凸部に対応する部分の最大突出高さが例えば、前記ゴムモデルの厚さに対して30%〜90%の範囲になるように前記ゴムモデルを定める。
また、前記拡張処理ステップにおいて、所定の刻み時間幅の分ずつ解析時間の時間経過を増分させて前記拡張処理の計算を繰り返し行い、前記拡張処理の計算の度に移動する前記ゴムモデルの前記要素点に応じて前記内挿関数が変化する。
【0013】
なお、前記第1の物理量は、例えば変位、加速度および温度のうち少なくとも1つである。また、前記金型モデルは、変形を許容しない剛体要素モデルであるのが好ましい。
【0014】
さらに、前記拡張処理ステップにおいて、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側の表面に、一定の分布荷重を付与して、前記構造体モデルの拡張を行うのが好ましい。あるいは、前記拡張処理ステップにおいて、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側に、一定の膜圧を有して膨脹する膜モデルを作成し、前記一定の分布荷重が前記膜モデルを介して付与されるものも同様に好ましい。
【0015】
さらに、前記拡張処理ステップにおいて、前記構造体モデルの拡張処理の計算の他に、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側の表面および前記金型モデルに、所定の温度を付与して熱伝導解析を行うのが好ましい。この場合、前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルに熱伝導率を材料定数として与える。
【0016】
なお、前記補強層モデルの前記有限要素は、シェル要素あるいは膜要素を含むものであってもよい。
また、前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、線形弾性特性を有する材料定数が付与される、あるいは、弾性ポテンシャルから定まる超弾性特性を有する材料定数が付与される、あるいは、粘性特性あるいは塑性特性を有する材料定数が付与されるのが好ましい。また、前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、温度依存性を有する材料定数が付与されるのも好ましい。さらに、前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に熱膨張に関する材料特性が付与され、前記拡張処理ステップにおいて、拡張処理の計算および前記熱伝導解析の他に熱応力解析を行なうのも好ましい。
【0017】
前記金型の内表面は、所定の方向に規則的に繰り返された凹凸形状を有し、例えば、前記凹凸形状の繰り返し長さを1単位としたとき、前記金型モデルは、前記金型の1単位の長さのモデルであり、前記ゴム構造体モデルも、前記金型の1単位の長さに対応した長さのモデルである。
また、前記金型の内表面は回転体形状を成し、この回転体形状は回転体の周方向に沿って規則的に繰り返された凹凸形状を有し、前記金型の凹凸形状の繰り返し長さを前記金型の1単位としたとき、前記金型モデルは、例えば前記金型の前記1単位の長さに対応した長さのモデルであり、前記ゴム構造体モデルも、前記金型の1単位の長さに対応した長さのモデルである。あるいは、前記構造体モデルは、平面歪みの条件を満たす平面モデルである。あるいは、前記構造体モデルは、所定の直線に対して軸対称の条件を満たす平面モデルである。
【0018】
なお、前記結合ステップにおいて、前記ゴムモデルの要素点と前記補強層モデルの節点とを結合面にて共有させて結合させるもの、あるいは、前記ゴムモデルと前記補強層モデルとに接触条件を与えて結合させるものである。
前記金型は例えば加硫用金型であり、前記ゴム部材が未加硫ゴム部材である。前記ゴム構造体が、例えば未加硫タイヤである。
【0019】
また、本発明は、ゴム補強層にゴム部材を積層したゴム構造体の変形シミュレーションを利用してゴム構造体製品の性能を予測するゴム構造体製品の性能予測方法であって、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法における前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、さらに、前記拡張処理ステップで得られた前記構造体モデルの拡張処理結果を用いてゴム構造体製品を再現したゴム構造体製品モデルを作成し、このゴム構造体製品モデルを用いて製品性能の予測を行う性能予測ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体製品の性能予測方法を提供する。
【0020】
ここで、前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記拡張処理ステップにより変形した前記ゴムモデルの表面の幾何学情報に基づいて、前記ゴムモデルを複数の有限要素によって再設定するゴムモデル再設定ステップを有するのが好ましい。
さらに、前記ゴム構造体製品は所定の方向に前記ゴム構造体を規則的に繰り返し配置して構成されるものであり、かつ、前記ゴム構造体の繰り返し長さを1単位としたとき、前記ゴム構造体モデルがこの1単位の長さのモデルである場合、前記拡張処理ステップにより変形した前記ゴムモデルを有するゴム構造体モデルを前記ゴム構造体製品に対応させて規則的に配置することで、前記ゴム構造体製品を再現するゴム構造体製品モデルを設定するゴム構造体製品モデル設定ステップを有するのが好ましい。あるいは、前記ゴム構造体製品モデルが立体形状モデルであり、前記ゴム構造体モデルが平面形状モデルである場合、平面モデルである前記ゴム構造体モデルの輪郭形状を所定の方向に引き伸ばすことで、立体形状の前記ゴム構造体製品モデルを再現するゴム構造体製品モデル設定ステップを有するのも好ましい。
【0021】
前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法で得られた変形後の前記ゴム構造体モデルにおける第2の物理量を、前記ゴム構造体製品モデルの初期条件として付与するのが好ましい。あるいは、前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法で得られた第2の物理量に座標変換を施し、座標変換後の第2の物理量を前記ゴム構造体製品モデル設定ステップで再現された前記ゴム構造体製品モデル全体に初期条件として付与するのも同様に好ましい。ここで、前記第2の物理量は、例えば、変位、応力、歪みおよび変形勾配のうち、少なくとも一つである。このようなゴム構造体製品は、例えばタイヤである。
【0022】
また、本発明は、ゴム補強層にゴム部材を積層したゴム構造体の変形シミュレーションを利用してゴム構造体製品を設計するゴム構造体製品の設計方法であって、前記ゴム構造体を定めるパラメータおよび前記金型の内表面の形状を定めるパラメータの少なくとも1つを仮選定する仮選定ステップと、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法における前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、前記拡張処理ステップで得られた前記構造体モデルの拡張処理結果を用いてゴム構造体製品を再現したゴム構造体製品モデルを作成し、このゴム構造体製品モデルを用いて製品性能の予測を行う性能予測ステップと、前記製品性能の予測結果が所定の条件を満たすまで、前記仮選定ステップと、前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、前記性能予測ステップと、を繰り返し行い、前記条件を満たすときの仮選定された前記パラメータを設計パラメータとして決定するパラメータ決定ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体製品の設計方法を提供する。
ここで、前記ゴム構造体製品は、例えば空気入りタイヤである。
【0023】
さらに、本発明は、前記ゴム構造体製品の設計方法で決定された設計パラメータを用いて、前記ゴム構造体および前記金型を作製し、ゴム構造体製品を作製するゴム構造体製品の作製方法を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能の予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
【0025】
図1は、加硫用モールド12内の所定の位置に配置した、回転体形状のグリーンタイヤ14の内周面に袋状の加硫用ブラダ(以降、ブラダという)15を介して所定の圧力Pを均一にかけ、加硫用モールド12内でグリーンタイヤを拡張して加硫するときの、グリーンタイヤの断面形状の一例を示す図である。
ここで、グリーンタイヤ14には、未加硫状態のゴム部材に金属コードあるいは有機繊維コード等が積層された未加硫補強部材である、ベルト部材16、カーカス部材18およびビード部材20が所定の位置に配置されている。ベルト部材16の外周面側には、未加硫ゴム部材からなるアンダトレッド部材22およびトレッド部材24が積層されている。また、カーカス部材18の内周面側には、内圧充填される空気をタイヤ空洞領域に密封するための未加硫ゴム部材からなる密封性の高いライナ部材26が配置されている。一方、ビード部材20の周りにカーカス部材18が2層巻かれて折り返された構成となっている。
【0026】
一方、加硫用モールド12は、作製しようとするタイヤの断面形状を有するように断面形状が形成されており、加硫用モールド12のトレッド部材と接触する内表面の部分はタイヤのトレッドパターンに対応して凹凸形状となっている。図1では、トレッドパターンの溝の部分に対応して加硫用モールド12の表面に凸部14a〜14cが形成されている。
【0027】
グリーンタイヤ14の加硫中、グリーンタイヤ14は約200℃前後まで加熱されてゴム部材は軟化し、ブラダ15の膨脹によって拡張される。この拡張によってトレッド部材24は加硫用モールド12の内表面に形成された凸部14a〜14cに押圧されて変形する。さらにトレッド部材24の下層であるアンダトレッド部材22も変形する。また、カーカス部材18が折り返された図1中のビード〜サイドの領域Aの部分もグリーンタイヤ14の拡張によって大きく変形する。
本発明は、このように、グリーンタイヤ14のようなゴム構成部材を拡張して金型に押圧させるときのゴム構成部材の変形挙動を良好に再現するものである。
【0028】
本発明においては、グリーンタイヤ14全体をモデル化してグリーンタイヤ14の変形計算を行うことができるが、例えば、トレッド部材24の一部分の領域B(図1参照)に注目して、図2に示すような形態でモデルを定めてグリーンタイヤ12におけるトレッド部材24さらにはアンダトレッド部材22の拡張時の変形挙動を計算することもできる。すなわち、ライナ部材26と、その上にカーカス部材18およびベルト部材16を有する補強部材と、この補強部材の上にアンダトレッド部材22およびトレッド部材24とを、それぞれ積層したグリーンタイヤ12のゴム構造体30を、構造体の端を自由端(図2中上下方向にのみ自由に移動可能とする端)とし、図2に示すように下側から圧力(一定の分布荷重)Pを付与して金型32に向かってゴム構造体30を拡張する。図2において、「CL」はセンターラインを示し、ゴム構造体30は左右対称化されてモデルが設定される。
【0029】
グリーンタイヤ14は回転体形状であるため、図2に示す形態でモデル化を行う場合、グリーンタイヤ14のゴム構造体のモデルを、回転体形状(円管状)の3次元モデルとしてもよいし、グリーンタイヤ14の回転体形状の回転軸に対して軸対称の条件を満たす平面モデルとしてもよい。さらには、図2に示すような形状の2次元モデルを平面歪みの条件で変形計算を行うものであってもよい。
【0030】
図3は、図2に示すグリーンタイヤ14等のゴム構造体30が金型32に向かって拡張するとともに、凸部34に押圧されて生じる変形挙動の計算を行い、この変形後のゴム構造体30を用いてタイヤモデルを作成し、タイヤの性能予測を行う性能予測装置100のブロック図である。
【0031】
性能予測装置100は、金型モデル設定部102と、表面ゴム部モデル設定部104と、補強層モデル設定部106と、材料定数設定部108と、モデル結合部110と、拡張処理計算部112と、物理量取得部114と、性能予測部116と、これらの各部分の作用を監視・制御するCPU118と、上記各部分で得られるデータ等を記憶するメモリ120と、を有する。
【0032】
金型モデル設定部102は、図2に示す金型32を4面体ソリッド要素、6面体ソリッド要素等の有限要素を用いて図4に示すような金型モデル42を設定する部分である。金型モデル42は、加硫用モールド12の内表面の表面形状を再現するように、加硫用モールド12におけるトレッドゴム部材と接触するモールド内周面にトレッドパターンに対応して突出した凸部44を有する有限要素モデルである。
なお、金型モデル42は、加硫用モールドと同様に、図4に示すような断面形状を有する回転体形状を成したものである。金型モデル42は、後述するゴム構造体30のモデルとともに2次元のモデル(平面モデル)としてもよい。この場合、後述する拡張処理計算を行う際に軸対称モデルに展開して計算を行うようにしてもよい、また、2次元のモデルを平面歪の条件で拡張処理計算を行うようにしてもよい。
【0033】
表面ゴム部モデル設定部104は、トレッドゴム部材24を複数の要素点50(図4参照)によって表したメッシュフリー法によるゴムモデル52を設定する部分である。
すなわち図4に示すように、トレッドゴム部材24の形状に従って一定の間隔で複数の要素点50が一様に配列されている。この要素点50の各々を中心点として所定の範囲(サポート)に含まれる複数の要素点の位置情報と、これらの要素点の前記中心点からの距離に応じて重み係数が定まる重み関数と、を用いて、サポート内の所定の物理量(応力、歪、変位、加速度、温度)の分布を表す内挿関数が定められる。この内挿関数によってゴムモデル52の変形を計算することができる。
【0034】
具体的には、図5に示すように、要素点50が変形により変位した状態において、1つの要素点50a(図5中、黒丸)を中心として距離ρ内の範囲をサポートとし、この範囲において図5に示すようなスプライン関数、例えば4次のスプライン関数で重み関数w(x,y)が設定されている。
この重み関数w(x,y)を用いて、注目する要素点を中心としたサポート内の各要素点の位置座標(x,y)(iは1〜nの整数;nはサポート内の要素点の総数)から重み係数を求め、各要素点の位置座標と重み係数とから、物理量を表す内挿関数N(x,y)を下記式(1)によって設定する。さらに、下記式(2)に従ってサポート内の要素点における物理量の値φ(i=1〜nの整数)から物理量の近似関数φ(x,y)を定める。この設定方法は、サポート内において、物理量の値φに対する誤差が最小化するように近似関数φ(x,y)を定めるものであり、つまり、移動最小二乗法による近似手法によって求められるものである。詳細は、「計算力学ハンドブック 第1巻 有限要素法(構造編集)」(日本機械学会、1998年、第377〜379頁)に記載されている。
【0035】
【数1】
Figure 2005014301
【0036】
【数2】
Figure 2005014301
【0037】
この内挿関数を用いて変形するゴム構造体30の応力場における物理量の近似関数を表し、この物理量の近似関数を、ガラーキン法により定式化されている、有限要素法で用いられる応力場の支配方程式に代入することで、有限要素法における要素剛性行列に対応した剛性行列を作成することができる。このように、上記式(1)で作成される内挿関数は、サポート内の要素点の位置情報と重み関数w(x,y)で定まる重み係数によって定まるので、変形を受けて変位した要素点に応じて内挿関数が変化することを特徴とする。この点、モデルを設定した時点で、物理量を表す内挿関数が有限要素の形状に応じて一意的に定まる有限要素法とは異なる。
【0038】
上記実施例では、ガラーキン法を用いたメッシュフリー法であるが、本発明においては、複数の要素点の位置情報と、これらの要素点と注目する要素点からの距離に応じて重み係数が定まる重み関数と、を用いて、歪、応力等の物理量の分布を表す内挿関数を定めるメッシュフリー法であればどのようなものであってもよい。例えば、SPH(Smooth Particle Hydrodynamics)法、RKPM(Reproducing Kernel Particle Method)法等が挙げられる。
【0039】
なお、ゴムモデル52は、金型モデル42に対応して、図4に示すような断面形状を有する回転体形状を成した3次元モデル(立体形状モデル)である。なお、ゴムモデル52は、金型モデル42に対応させて2次元のモデルとしてもよい。この場合、後述する拡張処理計算を行う際に軸対称モデルに展開して計算を行うようにしてもよい、また、2次元のモデルを平面歪の条件で拡張処理計算を行うようにしてもよい。
【0040】
補強層モデル設定部106は、少なくとも補強部材であるカーカス部材18、ベルト部材16を有限要素モデルでモデル化する部分であって、設定に応じて、カーカス部材18の内周面側に設けられるライナ部材26、ベルト部材16の外周面側に設けられるアンダトレッド部材22をモデル化する。
図4では、ライナ部材26、カーカス部材18、ベルト部材16およびアンダトレッド部材22がそれぞれ、6面体ソリッド要素からなるライナモデル54、カーカスモデル56、ベルトモデル58およびアンダトレッドモデル60の有限要素モデルで構成された補強層モデル62が設定されている。
ここで、カーカス部材18およびベルト部材16はスチールや有機繊維からなる線材が一方向に埋設されているものであるが、これらの部材の材料定数を等価材料定数としてカーカスモデル56およびベルトモデル58に与えて、6面体ソリッド要素で再現したものである。カーカスモデル56およびベルトモデル58は、ソリッド要素の他に、シェル要素や膜要素で構成してもよい。
【0041】
なお、補強層モデル62は、ゴムモデル52に対応して、図4に示すような断面形状を有する回転体形状を成した3次元モデルである。補強層モデル62は、金型モデル42に対応させて2次元のモデルとしてもよい。この場合、後述する拡張処理計算を行う際に軸対称モデルに展開して計算を行うようにしてもよい。また、2次元のモデルを平面歪の条件で拡張処理計算を行うようにしてもよい。
【0042】
材料定数設定部108は、設定された金型モデル52、ゴムモデル52、補強層モデル62に与えられる材料定数を設定する部分である。
金型モデル42の材料定数のうち剛性に関する材料定数は、ゴムモデル52および補強層モデル62からなるゴム構造体モデルとの接触によって変形しないように極めて高く設定される。
ゴム部モデル52および補強層モデル62の材料定数は、線形弾性特性を有する材料定数が付与される。あるいは、弾性ポテンシャルから定まる超弾性特性を有する材料定数が付与される。あるいは、ゴムモデル52の変形速度に応じて抗力が生じて変形する粘性特性あるいは塑性特性を有する材料定数が付与されてもよい。また、これらの材料定数は加硫による昇温によってトレッド部材24の変形を再現するように温度依存性を有するものであってもよい。ゴム構造体の変形挙動の計算を行なうとともにゴム構造体に熱を与えて熱が伝導する様子を計算する(熱伝導解析をする)ために、各部材の熱伝導率を材料定数として与えてもよい。さらに、熱伝導の計算に加えてゴム構造体の熱応力、熱歪みの計算をする(熱応力解析をする)ために、各部材の熱膨張に関する材料特性、例えば線膨脹係数を材料定数として与えてもよい。
【0043】
このようにして設定された各モデルは、各要素点や有限要素の節点の座標位置、有限要素の形状の情報が、材料定数とともにファイルとしてまとめられ、メモリ120に記憶される。
【0044】
モデル結合部110は、ゴムモデル52と補強層モデル62を結合したゴム構造体モデル64を定める部分である。
例えば、結合は、ゴムモデル52の要素点の位置と補強層モデル62の有限要素の節点の位置とが境界面(結合面)で一致するように予め設定した場合、この一致する要素点と節点とを1つの点として表すことによって行う。あるいは、ゴムモデル52の境界面上の要素点と補強層モデル62の境界面上の有限要素の節点とが常に接触するような条件を定めることによって行う。
【0045】
拡張処理計算部112は、設定された金型モデル42、ゴム構造体モデル64、各モデルにおける材料定数を付与し、ゴム構造体モデル64が金型モデル42に接触するように、ゴム構造体モデル64の内周面側から付与する一定の当分布荷重に従って変形計算を行う。この変形計算では、所定の刻み時間毎に逐次計算を行って時間と共にゴム構造体モデル64を変形させる。変形計算については後述する。
なお、拡張処理計算部112は、上記変形計算とともに、補強層モデル62の内周面側の表面および金型モデル42に、加硫を再現した所定の温度を付与して熱伝導計算を行うのが好ましい。ゴムモデル52と補強層モデル62の材料定数の温度依存性と組み合わせることで、グリーンタイヤが加硫により200℃付近まで昇温してゴム部材が軟らかくなり大きく変形する状態を再現することができる。
さらに、その際、熱伝導の計算とともに、この熱による温度分布に基づいて各部材の熱膨脹によって生じる熱応力、熱歪みの計算(熱応力解析)を行なってもよい。特に、トラック・バス用タイヤや建設車両用大型タイヤでは、場合によっては、トレッドゴム部にあたるゴム部材の熱収縮による形状変化(寸法変化)が無視できなくなるためである。熱応力解析は公知の解析処理で行なう。
【0046】
物理量取得部114は、拡張処理によって変形したゴム構造体モデル64の物理量、例えば、ゴムモデル60の変位量(変形形状)、アンダトレッドモデル60の変位量(変形形状)、さらには、ベルトモデル58、カーカスモデル56の変位量(変形状態)や応力(張力)を算出して取得する部分である。
【0047】
性能予測部116は、物理量取得部114で取得された結果を、加硫直後のタイヤを再現したタイヤモデルを作成するために用い、作成したタイヤモデルを用いて、タイヤ性能を予測するシミュレーション演算を行って、性能を予測する部分である。
タイヤモデルは、例えば、加硫時の加硫用モールド12の凸部14a〜c等の押圧により流動するように変形したトレッドゴム部材24やアンダトレッド部材22、あるいは、加硫用モールド12の凸部14a〜cの押圧により波打つように変形したカーカス部材18あるいはベルト部材16を再現したタイヤモデルを作成するために用いられる。
【0048】
タイヤ性能を予測するシミュレーション演算は、例えば、タイヤモデルに、別途作成されたリムを再現したリムモデルを結合して、タイヤ・リムモデルを作成し、このタイヤ・リムモデルに所定の内圧充填処理および接地処理を施して、所定の荷重で接地面モデルに接地したタイヤ・リムモデルを再現する。この後、タイヤ・リムモデルを転動させて、所定の転動速度における歪、応力を算出し、あるいは、スリップ角度等を付与してタイヤ・リムモデルの回転軸に作用する軸力を算出し、あるいは、路面モデル上に別途作成された水膜モデル上にタイヤ・リムモデルを転動させて、タイヤ・リムモデルの軸力を算出する各種シミュレーション処理が行われる。こうして算出された性能を評価するための特性物理量(軸力、歪、応力、余裕率、振動数等)が求められ、性能予測を行う。
【0049】
例えば、性能予測のためのシミュレーション演算は、転がり抵抗を予測する特開平11−237332号公報の方法、旋回中のタイヤに発生するコーナリングフォースを予測する特開平11−153520号公報の方法、振動特性を予測する特開平11−201874号公報の方法、摩擦特性を予測する特開平11−201875号公報の方法、接地圧分布を予測する特開2000−321053号公報の方法、ハイドロプレーニングおよび騒音特性を予測する特開2001−9838号公報の方法が例示される。
例えば、スリップ角度を付与して転動させた場合、コーナリングフォースであるタイヤの回転軸の軸方向に作用する軸力を特性物理量とし、この値が大きい程操縦性能が良好であると予測する。性能予測部116は、このような特性物理量の値を予測結果として出力する。
【0050】
このように性能予測装置100は、加硫用モールド12内のグリーンタイヤ14を拡張するときの各部材の変形および応力をモデルを用いて算出し、この算出結果を、タイヤ性能を予測するタイヤモデルに組み込んで、タイヤ性能の予測を正確に行うことができる。
【0051】
このような性能予測装置100におけるタイヤ性能の予測方法を説明する。
図6は、タイヤ性能の予測方法の流れを示すフローチャートである。
まず、図4に示すような金型モデル42が6面体ソリッド要素からなる有限要素モデルが設定される(ステップS10)。
金型モデル42は、加硫用モールド12の内表面の表面形状の一部を再現するように、加硫用モールド12におけるトレッドゴム部材と接触するモールド内周面にトレッドパターンに対応して突出した凸部44を有する有限要素モデルである。金型モデル42は、図4に示すような断面形状を有する回転体形状を成している。あるいは、ゴム構造体30のモデルとともに4角形要素の2次元のモデルとしてもよい。この場合、後述する拡張処理計算を行う際に軸対称モデルに展開して計算を行うようにしてもよい、また、2次元のモデルを平面歪の条件で拡張処理計算を行うようにしてもよい。
【0052】
次に、ゴムモデル52が設定される(ステップS20)。
ゴムモデル52は、トレッドゴム部材24を複数の要素点50によって表したメッシュフリー法によるモデルである。図4に示すように、トレッドゴム部材24の形状に従って一定の間隔で要素点50が配列されている。この要素点50の各々を中心点として所定の範囲(サポート)に含まれる複数の要素点の位置情報を用いて、このサポート内の所定の物理量(応力、歪、変位)の分布を表す近似関数φ(x,y)が定められるモデルである。上記式(1)、(2)によって物理量の近似関数が設定される。
ゴムモデル52は、後述する変形計算において解析時間を細かく刻みながら繰り返し計算するモデルであるが、繰り返し計算を行う度にゴムモデル52の要素点は移動する。このため、ゴムモデル52の近似関数φは、後述する変形計算を繰り返すたびに設定されるものとなっている。
ここで、金型モデル42の凸部44の突出高さがゴムモデル(図4の例では、ゴムモデル52、または、これに加えてアンダトレッドモデル60)の厚さの30〜90%の範囲になるようにゴムモデルを設定する場合に、本発明のシミュレーション方法を好適に用いることができる。
【0053】
次に、補強層モデル62が設定される(ステップS30)。
補強層モデル62は、有限要素形状の定まった6面体ソリッド要素からなるライナモデル54、カーカスモデル56、ベルトモデル58およびアンダトレッドモデル60の各有限要素モデルで構成されたモデルである。カーカスモデル56ベルトモデル58は、スチールや有機繊維からなる線材を一方向に埋設したモデルではなく、これらの部材の材料定数を等価材料定数とし、一様の部材としてソリッド要素でモデル化したものである。カーカスモデル56およびベルトモデル58は、ソリッド要素の他に、シェル要素や膜要素で構成してもよい。
【0054】
補強層モデル62は、ゴムモデル52に対応して、図4に示すような断面形状を有する回転体形状である。また、2次元のモデルとしてもよい。この場合、後述する拡張処理計算を行う際に軸対称モデルに展開して計算を行うようにしてもよい。また、2次元のモデルを平面歪の条件で拡張処理計算を行うようにしてもよい。
【0055】
次に、ゴムモデル52と補強層モデル62の結合が行われ、ゴム構造体モデル64が作成される(ステップS40)。
ゴムモデル52と補強層モデル62の結合は、ゴムモデル52の要素点の位置と補強層モデル62の有限要素の節点の位置とが境界面(結合面)で一致するように予めモデルを設定しておき、この一致する要素点と節点とを1つの点として表すことによって行う。あるいは、ゴムモデル52の境界面上の要素点と補強層モデル62の境界面上の有限要素の節点とが常に接触するような条件を定めることによって行ってもよい。
【0056】
次に、材料定数の設定が行われる(ステップS50)。
設定された金型モデル52、ゴムモデル52、補強層モデル62に付与される材料定数が設定される。金型モデル42の材料定数のうち剛性に関する材料定数は、ゴムモデル52および補強層モデル62からなるゴム構造体モデルとの接触によって変形しないように極めて高く設定される。なお、本発明においては、金型モデル42は、変形を全く許容しない剛体要素モデルとして作成されてもよい。
【0057】
ゴム部モデル52および補強層モデル62の材料定数は、密度のほか、線形弾性特性を有する材料定数が付与される。あるいは、弾性ポテンシャルから定まる超弾性特性を有する材料定数が付与される(歪エネルギに相当する弾性ポテンシャルを歪成分で2回微分したときの微分係数を材料定数の値とする)。あるいは、ゴムモデル52の変形速度に応じて抗力が生じて変形する粘性特性あるいは塑性特性を有する材料定数が付与されてもよい。また、これらの材料定数は加硫による昇温によってトレッド部材24の変形を再現するように温度依存性を有するものであってもよい。さらに、ゴム構造体モデル64の変形計算と熱伝導計算とを同時に行いながら、各部材の温度依存性を考慮した変形計算を行なうために、各部材の熱伝導率を材料定数として与えてもよい。
こうして図4に示されるようなゴム構造体モデル64と金型モデル42とが設定される。
【0058】
次に、拡張処理の計算が行われる(ステップS60)。
図7は、拡張処理の計算の流れをより具体的に表したフローチャートである。
まず、所定の解析時間Tに対して刻み時間ΔTが、入力された条件に応じて設定され、解析時間T=ΔTとされる(ステップS62)。
拡張処理の計算は、解析時間Tを刻み時間ΔT毎に増分させ、増分の度に、以下に示す変形計算を逐次繰り返し行う計算である。
【0059】
まず、計算のための分布荷重および境界条件が設定される(ステップS64)。
分布荷重とは、ゴム構造体モデル64を金型モデル42の側に拡張するようにゴム構造体モデル64の内周面側に付与すべき一定の等分布荷重であり、時間の関数として表されたものであり、解析時間の時間の経過に伴って変化するように設定される。分布荷重は、例えば、図2に示すようにゴム構造体モデル64の内周面に直接荷重を付与する方法の他、図1中のブラダ15に相当する、一定の膜圧を有して膨脹する膜モデルを設定し、一定の等分布荷重がこの膜モデルを介して付与されるように構成してもよい。
境界条件とは、金型モデル42にゴム構造体モデル64を接触させるための条件であって、図2に示されるように、金型モデル42を固定するための境界条件、また、ゴム構造体モデル64の端(図4では、右側の端)が図4中の上下方向に自由に移動できるようにする境界条件を含むと共に、変形計算を逐次繰り返しおこなう際、直前に行われたゴム構造体モデル64の変形計算による変形状態の情報と、ゴム構造体モデル64と金型モデル42との間に生ずる接触面の情報を用いて設定される。拡張処理の計算は、刻み時間ΔTの増分の度に行われる複数回の計算によって行われるが、このときの各計算は、各計算毎に設定される境界条件に基づいて行われる。
なお、解析時間T=ΔTの場合、直前に計算が行われていないので、図4に示す金型モデル64と非接触のゴム構造体モデル64の初期形状の情報が用いられる。
【0060】
次に、ゴムモデル52の歪計算が行われ、歪が算出される(ステップS66)。
ゴムモデル52の歪計算は、ゴム構造体モデル64の拡張および金型モデル42との接触による変形状態の情報、例えば、ゴム補強層モデル62における変形の情報と、ゴムモデル52の1つ前の繰り返し計算時の変形の情報と、ゴム補強層モデル62からゴムモデル52へ付与される内力とを用いて設定される境界条件を用いて歪計算が行われる。
上述したように、ゴムモデル52はメッシュフリー法により設定されたモデルであるため、内挿関数N(x,y)および近似関数φ(x,y)が、歪計算の度に算出されて、歪計算が行われる。
次に、ゴムモデル52の応力、歪エネルギが算出される(ステップS68)。ゴムモデル52の応力、歪エネルギは算出された歪から算出される。
【0061】
一方、ゴムモデル52と同様に、補強層モデル62の歪計算が行われ、歪が算出される(ステップS70)。
補強層モデル62の歪計算は、ゴム構造体モデル64の拡張および金型モデル42との接触による変形状態の情報、例えば、ゴムモデル52における変形の情報と、繰り返し計算における直前の補強層モデル62の変形の情報とを用いて設定される境界条件、および、ゴムモデル52から補強層モデル62へ付与される内力、さらには、補強層モデル62に作用する分布荷重を用いて、有限要素法に従って行われる。
次に、補強層モデル62の応力、歪エネルギが算出される(ステップS72)。補強層モデル62の応力、歪エネルギは算出された歪から算出される。
【0062】
こうして、ゴムモデル52および補強層モデル62を別々に計算した計算結果から、ゴム構造体モデル64に作用する内力が算出される(ステップS74)。
内力は、例えば、ゴムモデル52の要素点50に作用する力であり、補強層モデル62の各有限要素に作用する力であり、また、ゴムモデル52および補強層モデル62における境界面に作用する力である。
次に、この算出された内力と付与される分布荷重の外力とを用いて、運動方程式を用いて各要素点50および各有限要素の加速度が算出される(ステップS76)。
次に、算出された加速度を用いて、各要素点50および各有限要素の速度および変位が算出され(ステップS78)、変形状態が求められる。
加速度から速度、変位の算出は、刻み時間ΔTを利用して行われる。
【0063】
なお、拡張処理によるゴム構造体モデル64の変形計算と同時に、補強層モデル62の内周面側の表面および金型モデル42に、加硫を再現した所定の温度を付与して熱伝導計算を行うのが好ましい。熱伝導計算は、公知の計算により行う。さらに、補強層モデル62の内周面側の表面および金型モデル42に付与する温度に時間依存性を持たせ、加硫を正確に再現するために、加硫開始とともに常温から例えば200℃付近まで徐々に温度を高くし、その後一定とした後、温度を低下させるのが好ましい。これにより、ゴム構造体モデル64の変形計算と熱伝導計算とを同時に行いながら、各部材の温度依存性を考慮した変形計算を行なうことができる。
【0064】
次に、解析時間Tが予め設定された時間T以下であるか、否かが判定される(ステップS80)。判定で、否定される場合、解析時間Tに刻み時間ΔTが加算され(ステップS82)、刻み時間ΔTを増分した解析時間における分布荷重、境界条件が設定され(ステップS64)、以下同様に、ステップS66〜ステップS78が繰り返し行われる。
ステップS80における判定で肯定されると、拡張処理の計算は終了する。
なお、刻み時間ΔTは必ずしも一定ではなく、解析時間Tによって変化させてもよい。
【0065】
こうして予め設定された時間Tの時間経過後のゴム構造体モデル64から、各要素点50および各有限要素の変位、変形勾配、および応力(カーカスモデル56、ベルトモデル58の張力を含む)、歪、接触圧力等の各種物理量が取得される(ステップS110)。
次に、取得された変位の情報から定められる、加硫時の変形形状(幾何学情報)を規定したトレッド部材、アンダトレッド部材等の各有限要素モデル、および、取得された応力を初期応力(初期張力)として付与されたカーカスモデル56、ベルトモデル58が作成されて図示されないタイヤモデルが作成される(ステップS120)。
すなわち、変形後のゴム構造体モデル64における変位や変形勾配や応力等の所定の物理量が、タイヤモデルの初期条件として付与されてタイヤモデルが作成される。
上記例では、ゴムモデル52の表面の幾何学情報である加硫時のゴムモデルの変形形状およびカーカスモデルやベルトモデルに作用する応力(張力)に基づいて、初期形状および初期張力としてタイヤモデルが作成されるが、本発明においては、いずれか一方に基づいて作成されてもよい。
【0066】
この場合、ゴム構造体製品であるタイヤがタイヤ周方向に規則的なパターン形状を備え、このパターン形状がタイヤ周方向に繰り返し配置され、しかも、この繰り返し長さを1単位としたとき、上記ゴム構造体モデルが上記パターン形状の1単位の長さのモデルである場合、上記拡張処理計算により変形したトレッド部材モデルを有するゴム構造体モデルを、タイヤのパターン形状に対応させて規則的に配置するとよい。
また、立体形状モデルであるタイヤモデルに対して、上記ゴム構造体モデルが2次元のモデル(平面モデル)である場合、平面モデルであるゴム構造体モデルの輪郭形状をタイヤ周方向に引き伸ばすことで、立体形状のタイヤモデルを再現してもよい。
また、タイヤモデルを作成する際、ゴム構造体モデルの変形後における、変位、変形勾配、および応力、歪、接触圧力等の物理量に座標変換を施し、座標変換後の物理量をタイヤモデル全体に初期条件として付与してもよい。
【0067】
次に作成されたタイヤモデルに別途作成されたリムモデルが結合され、さらに、内圧充填処理、転動処理が施され、タイヤ性能の予測のためのシミュレーション演算が行われる(ステップS130)。
性能予測のためのシミュレーション演算は、上述したように、転がり抵抗、旋回中のタイヤに発生するコーナリングフォース、振動特性、摩擦特性、接地圧分布、騒音特性、摩耗特性、耐久性等が予測されるように、シミュレーション演算が行われる。
【0068】
最後に、シミュレーション演算による演算結果から、評価しようとする特性物理量が求められ、この特性物理量にしたがってタイヤ性能が予測される(ステップS140)。
【0069】
このように本実施例では、加硫によるゴム部材の変形を考慮して、加硫前のグリーンタイヤの状態を出発点としてタイヤモデルを作成できるので、より実際のタイヤ性能を正確に予測することができる。特に、ゴム部材の変形挙動を再現し、かつ、補強層に作用する初期張力を算出してタイヤモデルに組み込むことができるので、タイヤ性能を従来に比べて正確に予測することができる。
【0070】
図8は、図4に示されるゴム構造体モデル64と金型モデル42とによって、上記ステップS10〜ステップS60を実行することで算出されるゴム構造体モデル64の変形状態を示している。
図8によれば、要素点50は金型モデル42の押圧によって横方向に変形していることがわかる。図11に示すゴム構造体の変形状態において、金型モデル42の凸部近傍でゴムモデル52’’の有限要素が崩れているのに対し、図8に示す要素点50は、金型モデル42の押圧によって横方向に押し出されるように変形しているのがわかる。これに対応して有限要素モデルであるアンダトレッドモデル60も変形している。一方、ベルトモデル58、カーカスモデル56は変形が極めて小さい。このように、要素点50を用いるゴムモデル52は、ゴム部材の変形を従来に比べて正確に再現することができる。
【0071】
図9は、図4に示されるゴム構造体とは異なる方法によってモデル化したものである。すなわち、アンダトレッド部材22をトレッド部材24と同様に、メッシュフリー法によりモデル化し、ゴムモデル52’,60’を作成したものである。ベルトモデル58’、カーカスモデル56’およびライナモデル54’は、図4に示すベルトモデル58、カーカスモデル56およびライナモデル54と同様の構成のものである。
このようなモデルにおいても、図10に示すような変形状態を示し、アンダトレッド部材22およびトレッド部材24に対応する各要素点は、図8と同様に金型モデルの押圧によって横方向に押し出されるように変形しているのがわかる。
【0072】
このように、ゴム構造体が金型に押圧された時の変形を従来に比べて正確に再現することができるので、金型モデルにゴム構造体モデルを押圧させて変形させることで得られるゴム構造体製品をゴム構造体の段階で正確に設計することができる。
具体的には、ゴム構造体を定める形状パラメータや材料定数等のパラメータおよび金型の内表面の形状を定めるパラメータの少なくとも1つを仮選定して、金型モデルおよびゴム構造体モデルを作成し、この作成したモデルを用いてゴム構造体モデルの変形を計算してゴム構造体製品の形状を予測し、この予測結果から、ゴム構造体の性能をシミュレーション演算により製品性能の予測を行うことができる。このため、製品性能の予測結果が所定の条件を満たすまで、上記パラメータを仮選定するステップと、金型モデルを設定するステップと、ゴムモデルを設定するステップと、補強層モデルを設定するステップと、ゴムモデルと補強層モデルを結合してゴム構造体モデルを設定する結合ステップと、金型モデルに対して拡張計算を行う拡張処理ステップと、製品性能を予測する予測ステップと、を繰り返し行い、前記所定の条件を満たすときの仮選定されたパラメータを設計パラメータとして決定することで、製品性能の最適化されるゴム構造体製品を設計し、この設計に基づいてゴム構造体製品を作製することができる。
【0073】
例えば、トレッドパターン付きタイヤを設計する際に、グリーンタイヤのトレッド部材やアンダトレッド部材の厚さや形状を規定し、また、トレッドパターン付きタイヤのタイヤ周方向に延びる溝のタイヤ幅方向の位置を規定することで、予測されたタイヤ性能が発現するようにトレッドパターン付きタイヤを正確に設計し製造することができる。
【0074】
本発明においては、金型の内表面が、例えば図2の紙面に垂直方向に規則的に繰り返されて凹凸形状を成した回転体の表面を成し、金型モデルが前記凹凸形状の繰り返し長さを1単位として、金型の1単位のモデルとして、3次元モデルを作成してもよいし、勿論ゴム構造体モデルとともに3次元の回転体形状としてもよい。また、回転体形状のモデルとし、前記凹凸形状の繰り返し長さの部分を1単位として回転体形状の周方向に複数の単位を配列した回転体形状の軸対称モデルとしてもよい。また、ゴム構造体モデルは、平面歪みの条件を満たす平面モデルとしてもよい。
【0075】
上記実施例では、加硫時、グリーンタイヤが拡張されることでトレッド部材がトレッドパターンの凸部によって押圧されて変形する場合を例として説明したが、本発明では、加硫用モールド内で拡張されるグリーンタイヤタイヤのビード〜サイド部表面の変形挙動を再現することもできる。このため、加硫時グリーンタイヤのビード〜サイド部表面にバックリングが発生し、未加硫部分が発生する場合の変形挙動が再現でき、未加硫部分の発生防止のために効率よく対処することができる。
【0076】
以上、本発明のゴム構造体の変形シミュレーション方法、ゴム構造体製品の性能の予測方法、ゴム構造体製品の設計方法およびゴム構造体製品の作製方法は、上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0077】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ゴム構造体を金型内に入れ、金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形を従来に比べて良好に再現することができる。
これにより、グリーンタイヤの製品前段階からタイヤ性能の予測を行うことができ、効率のよい製品設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴム構造体の変形シミュレーション方法が適用する、加硫用モールド内でグリーンタイヤを拡張して加硫する加硫工程を説明する図である。
【図2】本発明において変形挙動を再現しようとする際の金型とゴム構造体の一例を示す図である。
【図3】本発明のゴム構造体の変形シミュレーションを行い、ゴム構造体製品の製品性能の予測を行う性能予測装置のブロック図である。
【図4】本発明のゴム構造体の変形シミュレーションを行う際、設定されるゴム構造体モデルの一例を示す図である。
【図5】本発明のゴム構造体の変形シミュレーションを行う際、設定されるゴムモデルを説明する図である。
【図6】本発明のゴム構造体製品の性能の予測方法の一例であるタイヤ性能予測を行う工程を示すフローチャートである。
【図7】図6における拡張処理の計算の工程を詳細に示すフローチャートである。
【図8】本発明のゴム構造体の変形シミュレーションを行って得られる変形結果の一例を示す図である。
【図9】本発明のゴム構造体の変形シミュレーションを行う際、設定されるゴム構造体モデルの他の例を示す図である。
【図10】図9に示されるゴム構造体モデルの変形シミュレーションを行って得られる変形結果の一例を示す図である。
【図11】従来の方法によって得られるゴム構造体の変形結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
12 加硫用モールド
14a〜14c,34,44 凸部
15 ブラダ
16 ベルト部材
18 カーカス部材
20 ビード部材
22 アンダトレッド部材
24 トレッド部材
26 ライナ部材
30 ゴム構造体
32 金型
42 金型モデル
50 要素点
52 ゴムモデル
54 ライナモデル
56 カーカスモデル
58 ベルトモデル
60 アンダトレッドモデル
62 補強層モデル
64 ゴム構造体モデル

Claims (34)

  1. ゴム補強層にゴム部材を積層して構成され、金型内の所定の位置に配置されたゴム構造体を前記金型の内表面に向かって拡張する際に生じる前記ゴム構造体の変形挙動を再現するゴム構造体の変形シミュレーション方法であって、
    前記金型の内表面の表面形状を再現する金型モデルを設定する金型モデル設定ステップと、
    前記ゴム部材を複数の要素点によって表し、この複数の要素点の各々を中心点としたときの所定の範囲に含まれる複数の要素点の位置情報と、これらの要素点の前記中心点からの距離に応じて重み係数が定まる重み関数と、を用いて、前記所定の範囲内の第1の物理量の分布を表す内挿関数を定めることによって、前記ゴム部材を再現するゴムモデルを定めるゴムモデル設定ステップと、
    前記補強層を、複数の有限要素によって再現する補強層モデルを定める補強層モデル設定ステップと、
    前記ゴム構造体を再現する構造体モデルを定めるために、前記ゴムモデルと前記補強層モデルとを結合する結合ステップと、
    前記構造体モデルと前記金型モデルとを接触させるための条件を定める接触条件設定ステップと、
    前記構造体モデルに対して前記接触の条件を与えて前記金型モデルに向けて拡張する拡張処理の計算を行う拡張処理ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  2. 前記金型モデルは、内表面が部分的に突出した凸部を有する金型を再現したモデルであり、
    前記拡張処理ステップにおいて、前記構造体モデルが拡張して前記金型モデルの前記凸部に対応した部分に押圧される際の前記構造体モデルの変形挙動を計算する請求項1に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  3. 前記金型モデルの前記凸部に対応する部分の最大突出高さが前記ゴムモデルの厚さに対して30%〜90%の範囲になるように前記ゴムモデルを定める請求項2に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  4. 前記拡張処理ステップにおいて、所定の刻み時間幅の分ずつ解析時間の時間経過を増分させて前記拡張処理の計算を繰り返し行い、
    前記拡張処理の計算の度に移動する前記ゴムモデルの前記要素点に応じて前記内挿関数が変化する請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  5. 前記第1の物理量は、変位、加速度および温度のうち少なくとも1つである請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  6. 前記金型モデルは、変形を許容しない剛体要素モデルである請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  7. 前記拡張処理ステップにおいて、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側の表面に、一定の分布荷重を付与して、前記構造体モデルの拡張を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  8. 前記拡張処理ステップにおいて、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側に、一定の膜圧を有して膨脹する膜モデルを作成し、前記一定の分布荷重が前記膜モデルを介して付与される請求項7に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  9. 前記拡張処理ステップにおいて、前記構造体モデルの拡張処理の計算の他に、前記補強層モデルの、前記ゴムモデルが積層される側と反対の側の表面および前記金型モデルに、所定の温度を付与して熱伝導解析を行う請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  10. 前記補強層モデルの前記有限要素は、シェル要素あるいは膜要素を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  11. 前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、線形弾性特性を有する材料定数が付与される請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  12. 前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、弾性ポテンシャルから定まる超弾性特性を有する材料定数が付与される請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  13. 前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、粘性特性あるいは塑性特性を有する材料定数が付与される請求項11または12に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  14. 前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に、温度依存性を有する材料定数が付与される請求項1〜13のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  15. 前記構造体モデルの前記ゴムモデルおよび前記補強層モデルの少なくとも一方に熱膨張に関する材料特性が付与され、前記拡張処理ステップにおいて、拡張処理の計算および前記熱伝導解析の他に熱応力解析を行なう請求項9に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  16. 前記金型の内表面は、所定の方向に規則的に繰り返された凹凸形状を有し、
    前記凹凸形状の繰り返し長さを1単位としたとき、前記金型モデルは、前記金型の1単位の長さのモデルであり、前記ゴム構造体モデルも、前記金型の1単位の長さに対応した長さのモデルである請求項1〜15のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  17. 前記金型の内表面は回転体形状を成し、この回転体形状は回転体の周方向に沿って規則的に繰り返された凹凸形状を有し、
    前記金型の凹凸形状の繰り返し長さを前記金型の1単位としたとき、前記金型モデルは前記金型の前記1単位の長さに対応した長さのモデルであり、前記ゴム構造体モデルも、前記金型の1単位の長さに対応した長さのモデルである請求項1〜16のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  18. 前記構造体モデルは、平面歪みの条件を満たす平面モデルである請求項1〜15のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  19. 前記構造体モデルは、所定の直線に対して軸対称の条件を満たす平面モデルである請求項1〜15のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  20. 前記結合ステップにおいて、前記ゴムモデルの要素点と前記補強層モデルの節点とを結合面にて共有させて結合させる請求項1〜19のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  21. 前記結合ステップにおいて、前記ゴムモデルと前記補強層モデルとに接触条件を与えて結合させる請求項1〜19のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  22. 前記金型は加硫用金型であり、前記ゴム部材が未加硫ゴム部材である請求項1〜21のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  23. 前記ゴム構造体が、未加硫タイヤである請求項1〜22に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法。
  24. ゴム補強層にゴム部材を積層したゴム構造体の変形シミュレーションを利用してゴム構造体製品の性能を予測するゴム構造体製品の性能予測方法であって、
    請求項1〜23のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法における前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、
    さらに、前記拡張処理ステップで得られた前記構造体モデルの拡張処理結果を用いてゴム構造体製品を再現したゴム構造体製品モデルを作成し、このゴム構造体製品モデルを用いて製品性能の予測を行う性能予測ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体製品の性能予測方法。
  25. 前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記拡張処理ステップにより変形した前記ゴムモデルの表面の幾何学情報に基づいて、前記ゴムモデルを複数の有限要素によって再設定するゴムモデル再設定ステップを有する請求項23に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  26. 前記ゴム構造体製品は所定の方向に前記ゴム構造体を規則的に繰り返し配置して構成されるものであり、かつ、前記ゴム構造体の繰り返し長さを1単位としたとき、前記ゴム構造体モデルがこの1単位の長さのモデルである場合、前記拡張処理ステップにより変形した前記ゴムモデルを有するゴム構造体モデルを前記ゴム構造体製品に対応させて規則的に配置することで、前記ゴム構造体製品を再現するゴム構造体製品モデルを設定するゴム構造体製品モデル設定ステップを有する請求項24または25に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  27. 前記ゴム構造体製品モデルが立体形状モデルであり、前記ゴム構造体モデルが平面形状モデルである場合、平面モデルである前記ゴム構造体モデルの輪郭形状を所定の方向に引き伸ばすことで、立体形状の前記ゴム構造体製品モデルを再現するゴム構造体製品モデル設定ステップを有する請求項24または25に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  28. 前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法で得られた変形後の前記ゴム構造体モデルにおける第2の物理量を、前記ゴム構造体製品モデルの初期条件として付与する請求項24〜27のいずれか1項に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  29. 前記ゴム構造体製品モデルを作成する際に、前記ゴム構造体の変形シミュレーション方法で得られた第2の物理量に座標変換を施し、座標変換後の第2の物理量を前記ゴム構造体製品モデル設定ステップで再現された前記ゴム構造体製品モデル全体に初期条件として付与する請求項26または27に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  30. 前記第2の物理量は、変位、応力、歪みおよび変形勾配のうち、少なくとも一つである請求項28または29に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  31. 前記ゴム構造体製品は、タイヤである請求項24〜30のいずれか1項に記載のゴム構造体製品の性能予測方法。
  32. ゴム補強層にゴム部材を積層したゴム構造体の変形シミュレーションを利用してゴム構造体製品を設計するゴム構造体製品の設計方法であって、
    前記ゴム構造体を定めるパラメータおよび前記金型の内表面の形状を定めるパラメータの少なくとも1つを仮選定する仮選定ステップと、
    請求項1〜23のいずれか1項に記載のゴム構造体の変形シミュレーション方法における前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、
    前記拡張処理ステップで得られた前記構造体モデルの拡張処理結果を用いてゴム構造体製品を再現したゴム構造体製品モデルを作成し、このゴム構造体製品モデルを用いて製品性能の予測を行う性能予測ステップと、
    前記製品性能の予測結果が所定の条件を満たすまで、前記仮選定ステップと、前記金型モデル設定ステップと、前記ゴムモデル設定ステップと、前記補強層モデル設定ステップと、前記結合ステップと、前記拡張処理ステップと、前記性能予測ステップと、を繰り返し行い、前記条件を満たすときの仮選定された前記パラメータを設計パラメータとして決定するパラメータ決定ステップと、を有することを特徴とするゴム構造体製品の設計方法。
  33. 前記ゴム構造体製品は、空気入りタイヤである請求項32に記載のゴム構造体製品の設計方法。
  34. 請求項32または33に記載したゴム構造体製品の設計方法で決定された設計パラメータを用いて、前記ゴム構造体および前記金型を作製し、ゴム構造体製品を作製するゴム構造体製品の作製方法。
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