JP6038539B2 - 軽量性高消臭不織布構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、高消臭不織布構造体に関する。より詳細には、湿熱接着性を有する繊維が厚さ方向に沿って、ほぼ均一に繊維接着を保つことにより、ケミカルバインダーや特殊な薬剤を添加することなく、低密度、軽量、高い硬度かつ優れた消臭性能を有する不織布構造体に関する。特に、本発明の高消臭不織布構造体に難燃剤を含有させた難燃ボードは、建材ボードとして有用である。
消臭機能を有する不織布の一般的な用途として、自動車用フロワーカーペット、障子、壁紙、座布団、クッション、ベッドマット、各種ペット用具、ブラインド、不織布カーテン、各種カーペット、造花用材料、不織布テーブルクロス、各種シーツ(病院用、介護用ほか)、毛布、布団カバー、枕カバー、ベットカバー、寝具類、便座カバー、ワイピングクロス、衛星材料、各種フィルター、加湿機フィルター、 各種内装材(吸音材、吸音パネル、衝立、パーティション、)、建材用のボード、など他一般的不織布が用いられるところ全般に使用される。またそれらの内の特定の物は防災の意識から難燃性が要求される。
われわれの生活の中では、消臭機能により利便性、快適性、衛生面などの向上が期待される用途、用品が多数ある。繊維は、表面積が大きいため繊維自身が消臭機能を有する事によりフィルムやプラスチックの状態より消臭性能が高くなる事が期待され、また織編物や不織布、紙などの多くの繊維製品に展開可能であるメリットがある。
繊維に消臭機能を付与させる手法として、消臭薬剤の微粒子を繊維形成樹脂に練り込み紡糸したり、薬剤微粒子を接着の為にバインダー樹脂と共に前述の各種繊維製品に塗布や付着加工させたり、また熱可塑性繊維の場合には、繊維表面を熱して溶融状態に近い状態にして繊維表面のみに薬剤微粒子を付着させたり、あるは、熱した薬剤微粒子を繊維表面に吹き付ける事により付着させる方法等が知られている。たとえば、特許文献1では、繊維の一部に配するエチレンービニルアルコール中に消臭薬剤を含有させて繊維化する事により機能の付与を試みている。しかし、特許文献1の方法では、薬剤が繊維樹脂中に埋没してしまう量が多く繊維中の薬剤含有量に比し、消臭性能が低くなってしまう。また、エチレンービニルアルコール樹脂中への含有状態での紡糸時の樹脂のゲル化を回避する工夫はなされているもののやはり紡糸の制御が難しく、高い技術が必要となる。また、薬剤を樹脂バインダーによって、付着加工する場合は、良く知られている様に薬剤の脱落を回避する為に多量により加工するとバインダー中に薬剤が埋もれてしまい消臭機能が低くなってしまう。また多量の樹脂の加工により、加工後の布帛の風合いが硬くなってしまうと言う不具合が起こる。これらを回避する為に使用するバインダー量を少なくすると前述の様な不具合は解消される方向にはなるものの薬剤が脱落し易くなり、使用時や洗濯時などに脱落が起こり、消臭機能が長持ちしなくなってしまう。
上記した欠点を解消するために、バインダー樹脂を用いずに、薬剤粒子を加熱し高温の状態のまま繊維表面に接触させて、繊維表面の融着により粒子を担持させ固着させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2の方法だと確かに薬剤粒子がバインダーなどによって接着させる方法に比べ、薬剤が完全に露出し、繊維表面に多数固着する事になり固着させた薬剤が効率よく機能発現できる。しかし、固着状態が不均一になりやすく使用中に薬剤の脱落が起こりやすい。また、硬い薬剤粒子が多量に繊維表面に露出している為、その繊維から作成された布帛の表面風合いは、ざらつきが感じられ、また、他の物と触れ合ったり、擦れたりする場合には、他方の物を傷つける可能性がある。従って、使用可能な場面が限定される事になる。
また、消臭薬剤として、光触媒作用により消臭機能を発現するものが知られている(例えば、特許文献3〜4参照)が、これらは光の存在下で機能が発現され、使用場面が限定される。
特開平10−219520号公報 特開2009−174114号公報 特開平08−284011号公報 特開2004−169217号公報
本発明は、特殊な薬剤等を使用することなく、低密度、軽量でかつ高い曲げ応力を有しながらも、その最大曲げ応力を超えて力を加えられても容易に折れたり、破損することのない硬質の優れた消臭機能を有する不織布構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、ジカルボン酸成分のうち75モル%以上がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、共重合成分として下記式(I)で表される化合物(i)さらに(ii)としてシクロヘキンサジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、(iii)として脂肪酸及びそのエステル形成性誘導体からなるポリエステル(A)が表面に一部露出している繊維であって、他成分が湿熱接着性重合体(B)からなる複合繊維から成り、その繊維間が微融着された構造からなる不織布構造体であり、好ましくは前記複合繊維を20〜100質量%含み、0.05〜0.5g/cmの密度を有する不織布構造体であって、少なくとも一方向における曲げ応力が0.05MPa以上であるともに、曲げ応力と変位の相関関係において、曲げ応力ピークを示す変位の2倍の変位においても曲げ応力ピーク値の1/10以上の応力を維持することを特徴とする不織布構造体である。
Figure 0006038539
本発明により、低密度、軽量で高い硬度を有するとともに、加えられた応力に対して湾曲・変形することによりその応力を吸収し、たとえ強い衝撃を加えられても簡単に破損、破断することのない優れた消臭機能を有する不織布構造体を安価に提供することができる。
本発明の優れた消臭機能を有する不織布構造体は、構成繊維の配列と、繊維同士の接着状態を所定の範囲とすることで、通常の不織布では得られない「曲げ挙動」と「軽量性」とを両立し、さらに折れ難く、形態保持性および通気性をも同時に確保したものである。
このような優れた消臭機能を有する不織布構造体は、湿熱接着性繊維を原料繊維として用いたウェブに過熱蒸気を作用させることで、各々の繊維同士を該接着性樹脂の乾燥時における融点以下の温度にて繊維同士がいわば「スクラム」を組むように湿熱接着させることで得ることができ、目的とする曲げ挙動と軽量性、通気性を実現できるのである。
本発明の複合繊維において、A成分に用いられるポリエステル樹脂は、共重合成分として下記化学式(I)で表されるスルホイソフタル酸の金属塩(i)を共重合成分の一つとし、さらに該スルホイソフタル酸の金属塩(i)を含有する共重合ポリエステルである。
Figure 0006038539
上記式(I)で表されるスルホイソフタル酸の金属塩(i)としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、又は5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸アルカリ金属塩基を有するジカルボン酸成分;5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−エチルトリブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの5−テトラアルキルホスホニウムスルホイソフタル酸などを挙げることができる。
上記式(I)で表されるスルホイソフタル酸の金属塩(i)は1種類のみをポリエステル中に共重合させても、また2種以上を共重合させてもよい。
上記式(I)で表されるスルホイソフタル酸の金属塩(i)を共重合させることにより、従来のポリエステル繊維に比べて繊維内部構造に非晶部分を保有させることができ、後述するB成分と複合させた複合繊維は、優れた捲縮性と応力特性を兼備する。
上記式(I)で表されるスルホイソフタル酸の金属塩(i)の共重合量は1.0モル%〜3.5モル%であることが好ましい。(i)の共重合量が1.0モル%未満の場合、複合繊維とした時に本発明の目的とする消臭性能が得られない場合がある。一方、(i)の共重合量が3.5モル%を超えると、ポリエステルの増粘が著しくなって紡糸が困難になる。消臭性能および紡糸性等の点から、(A)の共重合量は1.2〜3.0モル%であるのが好ましく、1.5〜2.5モル%であるのがより好ましい。
また、本発明は、A成分において、上記(i)以外のジカルボン酸成分のうちシクロヘキサンジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体(ii)が2.0〜10.0モル%、好ましくは5.0〜10.0モル%、また脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体が2.0〜8.0モル%、好ましくは3.0〜6.0モル%共重合されていることが好ましい。(ii)の共重合量が2.0モル%未満の場合、不織布構造体とした時に本発明の目的とする硬度が得られない場合がある。一方、(ii)の共重合量が10.0モル%を超えると、延伸を伴わない高速紡糸手法で製糸を行った場合、樹脂のガラス転移温度が低いことと繊維内部における非晶部位の配向度が低いことによって、安定な繊維物性や高速捲取中に自発伸長の発生により安定な高速曳糸性を得ることができない。
本発明に用いられるシクロヘキサンジカルボン酸には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の3種類の位置異性体があるが、本発明の効果が得られる点からはどの位置異性体が共重合されていても構わないし、また複数の位置異性体が共重合されていても構わない。また、それぞれの位置異性体について、シス/トランスの異性体があるが、いずれの立体異性体を共重合しても、あるいはシス/トランス双方の位置異性体が共重合されていても構わない。シクロヘキサンジカルボン酸誘導体についても同様である。
脂肪酸ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体成分についてもシクロヘキンジカルボン酸成分と同様に、ポリエステル繊維の結晶構造に乱れが生じ、非晶部の配向が低下するため、後述するB成分と複合させた複合繊維は、優れた捲縮性と応力特性を兼備する。
ジカルボン酸成分中の脂肪酸成分の共重合量は2.0モル%〜8.0モル%であることが好ましい。共重合量が2.0モル%未満では、不織布構造体とした時に本発明の目的とする硬度が得られない場合がある。ジカルボン酸成分中の脂肪酸成分の共重合量が8.0モル%を超えた場合、延伸を伴わない高速紡糸手法で製糸を行った場合には繊維内部における非晶部位の配向度が低くなり、安定な繊維物性や、高速捲取中での顕著な自発伸長により安定な高速紡糸性を得ることができない。より好ましくは3.0モル%〜7.0モル%である。
本発明の脂肪族ジカルボン酸成分として好ましく用いられるものとしては、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸が例示できる。これらは単独又は2種類以上を併用することもできる。
更に、本発明のA成分を構成するポリエステル樹脂には、それぞれ、酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛などの艶消剤、リン酸、亜リン酸などの熱安定剤、あるいは光安定剤、酸化防止剤、酸化ケイ素などの表面処理剤などが添加剤として含まれていてもよい。酸化ケイ素を用いることで、得られる繊維は、減量加工後に繊維表面に微細な凹凸を付与することができ、後に織編物にした場合に濃色化が実現される。更に、熱安定剤を用いることで加熱溶融時やその後の熱処理における熱分解を抑制できる。また、光安定剤を用いることで繊維の使用時の耐光性を高めることができ、表面処理剤を用いることで染色性を高めることも可能である。
また、A成分を構成する樹脂の固有粘度は0.55〜0.70であるのが好ましい。
本発明の複合繊維のB成分に用いる湿熱接着性繊維を構成する樹脂としては、約95〜100℃の熱水で軟化して自己接着または他の繊維に接着する樹脂成分が好ましく、例えば、アクリルアミドを一成分とする共重合体、ポリ乳酸、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。また、過熱蒸気により容易に実現できる温度において、流動ないし容易に変形して接着機能を発現可能な、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、スチレン系エラストマー樹脂なども含まれる。このうち、特に好ましく用いることができるのはエチレン−ビニルアルコール系共重合体である。
ここで、湿熱接着性繊維あるいは湿熱接着性成分として好ましく用いられるエチレンービニルアルコール系共重合体として、ポリビニルアルコールにエチレン単位が10〜60モル%共重合されたものが用いられる。特にエチレン単位が30〜50モル%共重合されたものが、不織布の加工性を確保する上で好ましい。また、ビニルアルコール部分は95モル%以上のケン化度を有するものが好ましい。エチレン単位が多いことにより、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。重合度は必要に応じて選択できるが、通常は400〜1500程度である。
エチレン単位の含有量が10モル%未満の場合、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、低温の水で容易に膨潤・ゲル化してしまい、水に一度濡れると形態が変わってしまう場合がある。また、60モル%を超えると吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現しにくくなるため、実用性のある硬度を確保できなくなる場合がある。
本発明の複合繊維は、その複合形態においては、湿熱接着性樹脂が繊維表面において、その一部あるいは全部が長さ方向に連続して存在するものであれば特に限定はない。例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、多層貼合型、ランダム複合、放射状貼合型等を挙げることができる。あるいは他の繊維形成性重合体からなる繊維に湿熱接着性を有する樹脂をコートした繊維でもよい。
例えば、図1に示すような断面構造を有していても良い。
また、本発明の複合繊維は、この繊維を構成する湿熱接着性樹脂の質量比が90を超えると、他の樹脂が繊維の形態を保持できなくなり、複合繊維そのものの強度を充分に確保することが困難となる。また、逆に湿熱接着性樹脂の質量比が10未満であると、湿熱接着性樹脂の量が少ないためにこの樹脂層が繊維形態を保持できなくなり、長さ方向に連続した樹脂層を保持することが極めて困難になるばかりか、この比率では充分な繊維接着強度を確保することができなくなる。これは、湿熱接着性樹脂を繊維にコートする場合においても同様である。
本発明の複合繊維の製造方法は、本発明の規定を満足する複合繊維が得られる方法であれば特に制限されるものではない。複合紡糸装置を用いノズル導入口へポリエステル(A)とエチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)の複合流を導入するに際し、ポリエステル(A)からなる突起部の数に相当する数の細孔が円周上に設けられた分流板からポリエステル(A)を流し、次いで、それぞれの細孔から流れる共重合体ポリエステル(A)の流れ全体をエチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)で覆いながら、複合流をノズル導入口の中心に向けて導入しノズルより溶融吐出させることにより製造することができる。また、最終製品に求められる品質や良好な工程通過性を確保するために、最適な紡糸・延伸方法を選択することができる。より具体的には、スピンドロー方式や、紡糸原糸を採取した後に別工程で延伸を行う2−Step方式を採用することもできる。また延伸を行わず非延伸糸のまま引き取り速度が2000m/分以上の速度で捲取る方式においても、任意の糸加工工程を通過させた後に製品化することで、本発明の複合繊維を得ることができる。
次に、このような湿熱接着性かつ高い消臭性能を有する複合繊維をウェブ化し、繊維固定して目的の硬質の不織布構造体とするのであるが、ウェブ形成に関しては、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてウェブを形成してもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましく用いられる。
このような繊維ウェブを製造する際、必要に応じて他の繊維を混合してもよいが、この場合、本発明の複合繊維の混率は、20質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。湿熱接着性繊維の割合が多いほど、硬質な不織布に仕上げることが容易になる。この繊維が20質量%未満になると、充分な硬度を確保することができなくなるばかりか、不織布としての取扱性を保持することさえも困難になる。
該繊維ウェブから本発明の目的とする曲げ硬さと軽量性をバランスよく備えた硬質不織布を得るためには、不織布を構成する繊維の配列状態および接着状態を適度に調整する必要がある。すなわち、構成繊維が概ね不織布(シート)面に対して平行に配列し、さらにこれら繊維同士をできるだけそれらの交点において接着させることが重要である。特に、繊維同士が「スクラム」を組んだような構造を有し、かかる構造が厚さ方向に沿って均一に分布するような形態とすることが望ましい。これは、厚さ方向(シート面に対し垂直方向)に沿って配向している繊維が多く存在すると周辺に繊維配列の乱れが生じて不織布内に不要な空隙を生じ、不織布の硬度を低減させてしまうからである。従って、できるだけこの空隙を少なくすることが必要であり、このために繊維を可能な限りシート面に対して平行に配列させることが望ましい。
なお、ここでいう「概ねシート面に対し平行に配列している」とは、例えばニードルパンチ不織布のように、局部的に多数の繊維が厚さ方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、不織布における任意の断面を顕微鏡観察した際に、その厚さの30%以上に亙り連続して延びる繊維の存在割合が10%以下である状態をいう。
さらに、これら構成繊維は、各々その接点で接着しているのであるが、できるだけ少ない接点数で大きな曲げ応力を発現するためには、この接着点が不織布表面から中央、そして反対側の表面に至るまで、厚さ方向に沿って均一に分布していることが好ましい。接着点が表面あるいは中央に集中してしまうと、充分な曲げ応力を確保することが困難であるばかりでなく、接着点の少ない所の形態安定性が不足する可能性が高くなる場合がある。
従って、本発明の硬質不織布においては、該不織布断面を厚さ方向に沿って3等分した際に、3等分した各々の領域における繊維接着率がそれぞれ85%以下であり、かつ該繊維接着率の最大値と最小値の差が20%以下であることが好ましい。この繊維接着率は、より好ましくは5〜60%であり、さらに好ましくは10〜35%である。また接着率の最大値と最小値の差は、15%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10%以下である。なお、本発明にいう繊維接着率は後述する方法により測定する。
本発明の不織布構造体は、通常の不織布とは異なりボード状の形態を有しており、通常の不織布では得られないような曲げ挙動を示すことが大きな特徴の一つである。本発明では、この曲げ挙動をあらわすため、JIS K7017「繊維強化プラスチック−曲げ特性の求め方」に準じ、サンプルを徐々に曲げたときに生ずるサンプルの反発力を測定した場合における最大応力(ピーク応力)を曲げ応力としてあらわした。すなわち、この曲げ応力が大きいほど硬い構造体であるということができる。また、測定対象となる構造体が破壊するまでの曲げ量(変位)が大きいほどよく曲がる構造体であるといえる。本発明の不織布構造体は、少なくとも一方向における曲げ応力が0.05MPa以上であり、好ましくは0.1MPa〜30MPaであり、さらに好ましくは0.2MPa〜20MPaである。この曲げ応力が0.5MPaに満たない場合、ボード材として使用したときに自重で簡単に折れてしまうため、ボード材としての体をなさなくなってしまう。また、30MPaを超えると、硬くなりすぎてしまい、折り曲げていった際に曲げ応力のピークを過ぎてさらに曲げると折れて破損してしまうため、好ましくない。
この曲げ量(変位)とそれによる曲げ応力との相関を見ると、最初、曲げ量の増加とともに応力も増加する。本発明の不織布構造体において、測定サンプル固有の曲げ量に到達すると、その後は徐々に応力が低くなる。すなわち、上に凸の放物線状のカーブを描く相関を示す。本発明の不織布構造体は、曲げ応力のピークを超えて、さらに曲げようとした場合においても、急激な応力降下を生じることなく、いわゆる「粘り」を有することも特徴の一つである。かかる「粘り」をあらわす指標として、本発明者らは、曲げ応力のピーク時の変位を超えた状態において残っている曲げ応力を用いた。すなわち、本発明の不織布構造体は、曲げ応力のピークを示す変位の2倍の変位まで曲げた時の応力(以下、「2倍変位応力」と表現することがある)が、ピーク応力値の1/10以上を維持しており、好ましくは3/10以上、より好ましくは5/10以上維持していることが好ましい。
本発明の硬質の不織布構造体は、構成繊維間に生ずる空隙により優れた軽量性を確保できる。また、これらの空隙は、スポンジのような樹脂発泡体と異なり各々が独立したものではなく連続しているため、通気性をも有している。このような構造は、樹脂を含浸したり、不織布表面部分を密に接着させてフィルム状構造を形成させるというこれまでの一般的な不織布を硬質化する手法では、製造することが極めて困難なものである。
このような観点から本発明の不織布構造体は、0.05〜0.5g/cmの密度を有するものであり、好ましくは、0.08〜0.4g/cmであり、さらに好ましくは0.10〜0.35g/cmである。密度が0.05g/cm未満の場合には、軽量性を有するものの、充分な曲げ硬さを確保することが難しく、逆に0.5g/cmを超えると、硬さは充分確保できるものの、軽量性のある不織布とは言い難くなってしまう。
また、本発明の不織布構造体の目付は、50〜10000g/mの範囲にあることが好ましく、より好ましくは150〜8000g/mであり、さらに好ましくは300〜6000g/mである。目付が50g/m未満の場合は、硬さを確保することが難しく、また、目付が10000g/mを超えると、ウェブが厚すぎて、過熱蒸気が充分にウェブ内部へ入り込めず、厚さ方向に均一な構造とすることが困難になる場合がある。 一方、厚さは1〜100mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは3〜50mmであり、さらに好ましくは5〜30mmである。厚さが1mmより薄い場合には、やはり硬さの確保が難しくなり、厚さが100mmを超える場合には、これも質量が重くなるため取扱性が低下し好ましくない。
さらに、例えば、ボード材として使用する際、化粧フィルムを貼るようなケースの場合、本発明の不織布構造体の有する通気性によりフィルム内の空気が反対側に抜けることによるフィルム貼付後のフィルムの浮き、剥がれを回避できるというメリットがある。また、貼り付けたフィルムの粘着剤が表面の構成繊維に貼り付くとともに、繊維空隙に楔の如く入り込むことで強固な接着を実現できるというメリットもある。さらにはこのようなボードを用いることで、容器内外の空気交換が可能となり、呼吸をする生物や物質を運搬する容器等に応用できるなど、広範な用途において応用が可能になる。
この通気性については、フラジール形法による通気度で0.1cm/cm/秒以上であることが好ましく、さらに好ましくは1〜250cm/cm/秒であり、最も好ましくは5〜200cm/cm/秒である。通気度が0.1cm/cm/秒未満の場合は、空気が不織布を通過するために外部から圧力を加える必要が生じ、自然な空気の出入が行えないため好ましくない。一方、通気度が250cm/cm/秒を超えると、通気性が高くなるが、不織布内の繊維空隙が大きくなりすぎ、充分な曲げ応力を確保できなくなるケースが生ずるため好ましくない。
この他に、本発明の不織布構造体は、すでに述べたように繊維接着点を厚さ方向に均一に有することにより、良好な形態保持性も有している。すなわち、通常の不織布では、バインダー等により必要な曲げ硬さを確保できたとしても、基本的に繊維同士の接着が少ないため、例えば5mm角程度の小片にカットした場合、わずかな外力により不織布を構成する繊維が離脱し、最終的にはバラバラになってしまう。これに対し、本発明の硬質不織布は、繊維同士が緻密にかつ均一に接着しているため、小片にカットした場合でも繊維がバラバラにならず、充分に形態を保持できる。
本発明の消臭機能に優れた不織布構造体は、構成繊維そのものが消臭性を有し、樹脂バインダーなどが不使用の為に繊維表面が露出している。かつ不織布構造体は、繊維間の融着点で固定され、嵩高い構造体とする事が可能で構造体内部に容易に空気の出入りが可能である。その為、臭気が構造体内部に入りやすく、構造体を構成する繊維全体で消臭作用を発揮できる。消臭性能は、繊維表面積による影響が大きい為、繊度が細い方が良い。好ましい繊度は、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.1〜50dtex、さらに好ましくは0.5〜30dtex(特に1〜10dtex)程度である。繊度がこの範囲にあると本発明の目的をバランスよく満たす事ができる。繊度が細すぎると繊維の表面積効果は大きくなるが、構造が緻密になりすぎて内部の繊維の消臭機能が発揮し難くなる、また、繊度が大きすぎると繊維の表面積が少なくなり、消臭性が悪くなる。
また、繊維間の非常に多数の微融着により構成される為に耐変形性に優れ、柔軟性を有する。この為、構造体の形状が崩れ難い構造である為に圧縮などの力が加わっても、圧力が開放されると構造が復元されやすく、構造体内部の繊維表面が隣接する繊維同士の側面で重なりあってしまったりする事が無く、常に露出した有効な繊維表面が維持され、消臭機能が発揮される。
次に、本発明の不織布構造体の製造法について説明する。
すでに述べた方法により形成された繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで過熱蒸気(高圧スチーム)流に晒されることで、本発明の硬質不織布が得られる。ここで使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブをその形態を乱すことなく運搬できるものであれば特に限定はないが、エンドレスコンベアが好適に用いられる。もちろん一般的な単独のベルトコンベアであってもよいし、必要に応じてもう一台のベルトコンベアを用意し、両コンベアの間にウェブを挟むようにして運搬する方法でもよい。このようにすることでウェブを処理する際に、処理に用いる水、過熱蒸気あるいはコンベアの振動などの外力により運搬してきたウェブの形態が変形するのを抑えるのである。また、処理後の不織布の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能になる。
ウェブに蒸気を供給するための蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に装着され、コンベアネットを通してウェブに蒸気を供給する。反対側のコンベアには、サクションボックスを装着してもよい。この場合には、ウェブを通過した過剰の蒸気を吸引排出することができる。さらには、ウェブの表と裏を一度に蒸気処理してしまうために、蒸気噴射装置を設置してあったコンベアの下流側にサクションボックスを装着し、反対側のコンベア内に蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の蒸気噴射装置とサクションボックスがない場合、不織布の表と裏を蒸気処理したければ、一度処理した不織布の表裏を反転させて再度処理
装置内を通過させることで代用できる。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、ウェブの運搬や過熱蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されるものではない。ただし、過熱蒸気処理をした場合、その条件により不織布表面にベルトの表面形状が転写される場合が生ずるので、場合に応じて適宜選択する。特に、表面の平坦な不織布を得たい場合は、メッシュの細かいネットを使用すればよい。この場合、90メッシュ程度が上限である。これ以上のメッシュの細かなものは、通気性が低く、過熱蒸気が通過し難くなり好ましくない。また、ベルト材質は、蒸気処理に対する耐熱性等の観点より、金属、耐熱処理したポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、あるいはポリアリレートや全芳香族系ポリエステル等の耐熱性樹脂よりなるメッシュベルトが好ましく用いられる。
次に、このウェブはコンベアにより運搬され、ノズルから噴出される高速過熱蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた過熱蒸気により繊維同士の3次元的接着が行なわれる。
この過熱蒸気は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を(水流絡合処理や、ニードルパンチ処理の様に)大きく移動させることなく、ウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導はさほど速くなく、そのため過熱蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚さが損われるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブを潰すことなく、表面および厚さ方向における接着の程度が概ね均一になるように湿熱接着される。
このとき、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した蒸気がここで反射するので、蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
水蒸気を噴射するためのノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給されるウェブの幅方向に沿ってオリフィスが並ぶように配置すればよい。この時、オリフィス列は1列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよい。もちろん、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置しても構わない。
例えば、プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1.0mm程度のものが主に用いられる。この場合には、オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定ができる条件であれば特に制限はないが、通常、直径0.05〜2.0mmのものを使用するケースが多く、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.5mmである。一方、オリフィスのピッチについては、通常0.5〜3.0mmで使用するケースが多いが、好ましくは1.0〜2.5mm、より好ましくは1.0〜1.5mmである。
オリフィスの径が0.05mmより小さい場合には、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じるため好ましくない。逆に、2.0mmを超える場合には、充分な水蒸気噴射力を得ることが難しくなってしまうため好ましくない。一方、ピッチが0.5mm未満の場合は、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズルそのものの強度が低下してしまい好ましくない。一方で、ピッチが3mmを超えるような場合には、過熱蒸気がウェブに充分当らなくなるケースが出てくるため、充分なウェブ強度を確保しにくい場合がある。
また、繊維接着に使用する過熱蒸気についても、目的とする繊維固定が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、圧力0.1MPa〜2.0MPaの蒸気を用いることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5MPaであり、さらに好ましくは0.3〜1.0MPaである。例えば、蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合には、ウェブを形成する繊維が動いてしまい、地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなるという問題を生ずる可能性がある。
また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚さ方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの蒸気の均一噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
必要であれば、コンベアベルトに所定の凹凸柄や文字や絵等を付与しておき、これらを転写させることで得られる製品に意匠性を付与することも可能である。
また、他の資材と積層したり、成型加工により希望の形態とすることも可能である。
このようにして繊維ウェブの繊維を部分的に湿熱接着した後、不織布に水分が残留する場合があるので、必要に応じてウェブを乾燥しなければならない。乾燥に関しては、乾燥用加熱体に接触した不織布表面が、乾燥後にフィルム化せずに繊維形態を維持していることが必要であり、これが達成できるのであれば特に方法は問わない。従って、従来から不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大掛かりな乾燥設備を使用しても構わないが、残留している水分は微量であるケースが多く、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能なレベルである際には、遠赤外線照射、マイクロ波照射、あるいは電子線照射等の非接触法や熱風を吹きつける方法等が好ましい。
また、このような不織布構造体を、例えば自動車の内装材、航空機の内壁材、あるいは建築材として用いるような場合には、難燃性が必要とされる場合がある。このような場合には常法の通り、難燃剤を添加することで難燃性を確保できる。特に本発明の不織布構造体は、難燃剤としてホウ素系および/またはケイ素系難燃剤を用いると、優れた難燃性を示すので好ましい。
ホウ素系難燃剤としては、オルトホウ酸、メタホウ酸のようなホウ酸や、ホウ砂、あるいはこれらから得られるホウ酸ナトリウムおよびこれらを少なくとも一成分として含む難燃剤を挙げることができる。
一方、ケイ素系難燃剤としては、シリコーン、有機シリケートまたはシリカ等に代表されるポリオルガノシロキサン等を含有する難燃剤を挙げることができる。
中でも本発明においては、ホウ酸およびホウ砂を主成分とする難燃剤が好ましい。特に水100質量部に対して、ホウ酸を10〜35質量部およびホウ砂を15〜45質量部加えて、溶解させた水溶液からなる難燃剤を用いて加工することが好ましい。
難燃化の方法としては、通常のディップ−ニップ加工と同様にして、本発明の不織布構造体に難燃剤の水溶液やエマルジョンを含浸あるいは噴霧した後に乾燥させる方法、あるいは繊維紡糸時に二軸押出機等で難燃剤を混練した樹脂を押出して紡糸し、この糸を用いて不織布化するという製法を使用できる。
使用する難燃剤の添加量としては、目的の難燃効果を得られれば特に限定はないが、本発明の不織布構造体の場合、不織布質量に対し1〜15質量%程度がコストおよび性能の面から好ましい。
これらの難燃剤による加工により、本発明の不織布構造体に極めて優れた難燃性を付与可能なことはもとより、他の難燃剤の有する問題、例えば、ハロゲン系であれば燃焼時のハロゲンガスの発生に伴う酸性雨や、リン系の場合は加水分解によるリン化合物の流出に伴う湖沼の富栄養化等の問題を回避できるという効果も期待できる。また、難燃性を付与した本発明の不織布構造体は、難燃ボードとして利用可能である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。
(1)エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトインデックス(MI)
JIS K6760に準じ、190℃、21.2N荷重の条件下、メルトインデクサー
を用いて測定した。
(2)目付(g/m
JIS L1913に準じて測定した。
(3)厚さ(mm)、密度(g/cm
JIS L1913に準じて厚さを測定し、この値と(2)の方法で測定した目付とか
ら密度を算出した。
(4)通気度(cm/cm/秒)
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
(5)曲げ応力(MPa)
JIS K7017に記載の方法のうちA法(3点曲げ法)に準じて測定した。このと
き、測定サンプルは25mm幅×80mm長のものを用い、支点間距離50mm、試験速
度2mm/分にて測定を行った。本発明では、この測定結果チャートにおける最大応力(
ピーク応力)を曲げ応力とした。なお、曲げ応力測定は、MD方向およびCD方向につい
て行った。ここで、MD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ流れ方向(MD)が
平行となるよう測定サンプルを採取して測定した状態をいい、一方、CD方向とは、測定
サンプルの長辺に対しウェブ幅方向(CD)が平行となるよう測定サンプルを採取し、測
定した状態をいう。
(6)2倍変位応力(MPa)
(5)における曲げ応力の測定において、曲げピーク応力を示す変位を超え、さらにそ
の変位の2倍の変位まで曲げつづけたときの応力を2倍変位応力とした。
(7)繊維接着率(%)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布断面を100倍に拡大した写真を撮影し
た。撮影した不織布断面写真を厚さ方向に3等分し、3等分した各領域(表面、中央、反
対面)において、そこに見出せる繊維切断面の数に対する繊維同士が接着している切断面
の数の割合を求めた。
各領域に見出せる全繊維断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の占める
割合を百分率であらわした。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
ただし、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場
合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。
なお、3等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値と最小値の差
も併せて求めた。
(8)不織布小片の形態保持性
不織布試料を5mm角の立方体形状にカットし、50cmの水を入れてある三角フラ
スコ(100cm)に投入した。このフラスコを振とう器(ヤマト科学社製、「MK1
60型」)に装着し、振幅30mmの旋回方式にて60rpmの速度で30分間振とうさ
せた。振とう後、形態変化および形態保持状態を目視確認し、3段階評価を行った。
◎:ほぼ処理前の形状を維持している。
○:大きく欠落した部分は見られないが、形態の変形が見られる。
×:欠落部分の発生が見られる。
また、処理後の試料を100メッシュの金網で回収し、これを室温で一昼夜乾燥後、質
量を測定して質量保持率を測定した。
(9)消臭性能評価
a.初期性能
通常の白熱蛍光灯光照射下(500ルクス)、
15cmに静置したテドラ−バッグ(容積3リットル)に試料3gを入れて密封し、ついでシリンジを用いて所定の濃度の臭気成分を含む空気を、全ガス量3リットルとなるようにテドラ−バッグ内に注入した。該注入ガスはアンモニア40ppm、酢酸40ppmであった。ガスを注入して特定時間経過後にテドラ−バッグ内のガスをマイクロシリンジでサンプリングし、酢酸のガス濃度をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製GC−7A型)にて測定し、臭気成分の除去率を下記式により算出した。アンモニアはガス検知管(北川社製、アンモニア用型)を用い、直接テドラ−バッグ内のガス濃度を測定し、臭気成分の除去率を算出した。同様にして遮光下での測定も行った。
除去率(%)=[(C0 −C)/C0 ]×100
C0 :初期ガス濃度
C :1時間後のガス濃度
b.繰り返し消臭性能
通常の白熱蛍光灯光照射下(500ルクス)、15cmに静置したテドラ−バッグ(容積3リットル)に試料3gを入れて密封し、ついでシリンジを用いて所定の濃度の臭気成分を含む空気を、全ガス量3リットルとなるようにテドラ−バッグ内に注入した。該注入ガスは酢酸40ppmであった。ガスを注入して1時間後のガス濃度をガスクロマトグラフィにより測定するとともに、酢酸40ppmを含む空気をテドラ−バッグ内に注入した。ガス濃度の測定と酢酸の注入を1時間ごとに繰り返し行った。
[実施例1]
表1に示すように、ジカルボン酸成分のうち88.3モル%がテレフタル酸(TA)であり、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1.7モル%、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を5.0モル%、アジピン酸を5.0モル%、それぞれ含んだ全カルボン酸成分と、エチレングリコール、及び所定の添加剤とでエステル交換反応及び重縮合反応をさせて作った樹脂が繊維表面の一部に露出しており、他の成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%、複合比=50/50)である、図1 二 に示した断面構造である、湿熱接着性を有する複合ステープル繊維(3dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を準備した。
上記芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約100g/mのウェブを作製し、このウェブを7枚重ねて合計目付700g/mのカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、該ベルトコンベアの金網の上部には同じ金網が装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、ベルトコンベアに備えられた蒸気噴射装置へカードウェブを導入し、該装置から0.4MPaの過熱蒸気をカードウェブに対し垂直に噴出して蒸気処理を施し、本発明の不織布構造体を得た。該蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に、コンベアネットを介して過熱蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、もう一方のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向下流側には、ノズルとサクション装置の配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一つ設置されていた。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、該ノズルがコンベア幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられたものを使用した。加工速度は3m/分であり、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は7mmとした。
得られた不織布構造体は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。また、形態保持性試験を行っても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表2に示す。
[実施例2〜8]
ポリエステル樹脂が上記化学式(I)で表される化合物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びイソフタル酸(IPA)の共重合成分および共重合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして湿熱性接着性繊維を得た。更に、この繊維を実施例1と同様の手法で同様の方法で加工することにより不織布構造体を得た。得られた不織布構造体は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。また、形態保持性試験を行っても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例1で使用した湿熱接着性繊維を70質量%、レーヨン繊維(1.4dtex、44mm長)を30質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体もボード状の形態を有しており、実施例1の不織布構造体に比べ、若干柔らかいものの同様の曲げ挙動を示した。
また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、質量減少は1%程度であった。
[実施例10]
実施例1で使用した湿熱接着性繊維を50質量%、実施例9で使用したレーヨン繊維を50質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離を10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体はボード状の形態を有しており、実施例9の不織布構造体に比べ、さらに柔らかいものの同様の曲げ挙動を示した。
また形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、質量減少は4%程度であった。
[実施例11]
実施例1で使用した湿熱接着性繊維を30質量%、実施例9で使用したレーヨン繊維を70質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、実施例1の不織布構造体に比べ、柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ挙動は同様であった。
また形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落や形態変化が認められたが、質量減少は8%程度であった。
[実施例12]
複合繊維として繊維断面構造が、図1、チ に示す構造を有する繊維とし、実施例1の共重合ポリエステル樹脂と他の成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%)であり、これらの樹脂複合比=50/50 である複合ステープル繊維(3dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を用いたこと、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離を10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。この不織布構造体も実施例1の不織布構造体と概ね同様の曲げ挙動を示していた。結果を表2に示す。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[実施例13]
実施例1で得た目付約100g/mのウェブを9枚重ねにしたことノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離を10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、実施例1〜12で得られたものに比べ、非常に硬いボード状のものであったが、曲げ応力ピークを超えた曲げ量においても極端な応力低下はなかった。
[実施例14]
実施例1で得た目付約100g/mのウェブを20枚重ねにし、ノズルとサクション側ベルトコンベアとの間隔を12mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、実施例13で得られたものと同様の曲げ挙動を示し、さらに硬いボード状のものであった。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[実施例15]
実施例1で得た目付約100g/mのウェブを40枚重ねにし、ノズルとサクション側ベルトコンベアとの間隔を10mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、実施例7で得られたものと同様の曲げ挙動を示し、さらに硬いボード状のものであった。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[実施例16]
実施例1で得た目付約100g/mのウェブを4枚重ねにし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は3mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、実施例1で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。また、形態保持性の試験を行ったところ、若干形態変化が見られたものの質量減少は認められなかった。
[実施例17]
目付約150g/mのカードウェブを用いたところ、目付が低くウェブを運搬する一対のコンベアの間隔が広すぎて上側のノズルとウェブとの間隔が空いてしまい、蒸気の温度がウェブに到達する前に低下してしまうため、この間隔を2mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、実施例1で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。
さらに形態保持性の試験においては、若干形態変化が見られたものの質量減少は認められなかった。
[実施例18]
目付約50g/mのカードウェブを用い、ウェブを運搬する一対のコンベアの間隔を2mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表2に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、実施例1で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。
さらに形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[比較例1]
湿熱性接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%、芯鞘比=50/50)である芯鞘型複合ステープル繊維(3dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を準備した。
上記芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約100g/mのウェブを作製し、このウェブを7枚重ねて合計約目付700g/mのカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、該ベルトコンベアの金網の上部には同じ金網が装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、ベルトコンベアに備えられた蒸気噴射装置へカードウェブを導入し、該装置から0.4MPaの過熱蒸気をカードウェブに対し垂直に噴出して蒸気処理を施し、本発明の不織布構造体を得た。該蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に、コンベアネットを介して過熱蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、もう一方のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向下流側には、ノズルとサクション装置の配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一つ設置されていた。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、該ノズルがコンベア幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられたものを使用した。加工速度は3m/分であり、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は7mmとした。
得られた不織布構造体は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。また、形態保持性試験を行っても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表3に示す。
[比較例2]
比較例1で使用した湿熱接着性繊維を70質量%、レーヨン繊維(1.4dtex、44mm長)を30質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体もボード状の形態を有しており、実施例1の不織布構造体に比べ、若干柔らかいものの同様の曲げ挙動を示した。
また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、質量減少は1%程度であった。
[比較例3]
比較例1で使用した湿熱接着性繊維を50質量%、比較例2で使用したレーヨン繊維を50質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
比較例3で得られた不織布構造体もボード状の形態を有しており、比較例2の不織布構造体に比べ、さらに柔らかいものの同様の曲げ挙動を示した。
また形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、質量減少は4%程度であった。
[比較例4]
比較例1で使用した湿熱接着性繊維を30質量%、比較例2で使用したレーヨン繊維を70質量%混綿した目付約100g/mのウェブを用い7枚重ねとし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、実施例1の不織布構造体に比べ、柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ挙動は同様であった。
また形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落や形態変化が認められたが、質量減少は8%程度であった。
[比較例5]
湿熱性接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%、芯鞘比=50/50)である芯鞘型複合ステープル繊維(クラレ製、「ソフィスタ」、5dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を用いたこと、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとした以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。この不織布構造体も実施例1の不織布構造体と概ね同様の曲げ挙動を示していた。結果を表3に示す。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[比較例6]
比較例1で得た目付約100g/mのウェブを12枚重ねにし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとしたこと以外は、比較例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、非常に硬いボード状のものであったが、曲げ応力ピークを超えた曲げ量においても極端な応力低下はなかった。
[比較例7]
比較例1で得た目付約100g/mのウェブを20枚重ねにし、ノズルとサクション側ベルトコンベアとの間隔を10mmにしたこと以外は、比較例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、比較例6で得られたものと同様の曲げ挙動を示し、さらに硬いボード状のものであった。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[比較例8]
比較例1で得た目付約100g/mのウェブを40枚重ねにし、ノズルとサクション側ベルトコンベアとの間隔を10mmにしたこと以外は、比較例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、比較例7で得られたものと同様の曲げ挙動を示し、さらに硬いボード状のものであった。
また形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
[比較例9]
比較例1で得た目付約100g/mのウェブを4枚重ねにし、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は3mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、比較例1で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。また、形態保持性の試験を行ったところ、若干形態変化が見られたものの質量減少は認められなかった。
[比較例10]
比較例1で使用した繊維を用いて、目付約150g/mのカードウェブを用いたところ、目付が低くウェブを運搬する一対のコンベアの間隔が広すぎて上側のノズルとウェブとの間隔が空いてしまい、蒸気の温度がウェブに到達する前に低下してしまうため、この間隔を2mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして本発明の不織布構造体を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、実施例17で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。
さらに形態保持性の試験においては、若干形態変化が見られたものの質量減少は認められなかった。
[比較例11]
目付約50g/mのカードウェブを用い、ウェブを運搬する一対のコンベアの間隔を2mmとしたこと以外は、比較例1と同様にして本発明の硬質不織布を得た。結果を表3に示す。
得られた不織布構造体は、低目付であるため柔軟で容易に折り曲げることが可能なものとなっていたが、曲げ応力のピークを過ぎても急激な応力低下はなく、比較例1で得られたものと同様の曲げ挙動を示していた。
さらに形態保持性の試験においては、形態変化はなく、質量減少も認められなかった。
Figure 0006038539
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このようにして製造した本発明の不織布構造体は、一般的な不織布と同程度の低密度でありながら、極めて高い曲げ強度を有し、消臭機能を有すると共に、なおかつ通気性も有しており、このような性能を利用して、例えば、従来より木材やコンパネなどの各種ボード材が用いられていた用途、またはこれらのボード材に対して、通気性、断熱性、吸音性などの性能を同時に要求される用途に応用できる。
具体的には、例えば、建材用ボード、断熱材または、断熱用ボード、通気性ボード、、吸遮音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、各種内装材(吸音材、吸音パネル、衝立、パーティション、障子、壁紙、ブラインド、不織布カーテン、各種カーペット、造花用材料、不織布テーブルクロス、座布団、クッション、ベッドマット)、吸液体(マジックペンや蛍光ペンなどの芯、インクジェットプリンターカートリッジのインク保持材、芳香材などの香料蒸散用の芯材、加湿機フィルター、など)、工作用材料、クッション材、軽量コンテナや仕切り材、ワイピング材(ホワイトボード消し、食器洗いスポンジ、ペン型ワイパー)、家庭用雑貨(毛布、布団カバー、枕カバー、ベットカバー、寝具類、便座カバー)、また、自動車用フロワーカーペット、、各種ペット用具、、各種シーツ(病院用、介護用ほか)、衛生材料、各種フィルター(液体、エアーなど)他 各種用途に応用できる。
本発明の不織布構造体に用いる複合繊維の断面形状を示す模式図。

Claims (6)

  1. ジカルボン酸成分のうち75モル%以上がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、共重合成分として下記式(I)で表される化合物()さらに(ii)としてシクロヘキンサジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、(iii)として脂肪酸及びそのエステル形成性誘導体からなるポリエステル(A)が表面に一部露出している繊維であって、化合物(i)の共重合量が1.0モル%〜3.5モル%であり、前記(ii)の共重合量が2.0モル%〜10.0モル%であり、前記(iii)の共重合量が2.0モル%〜8.0モル%であって、他成分が湿熱接着性重合体(B)からなる複合繊維から成り、その繊維間が微融着された構造からなる不織布構造体。
    Figure 0006038539

    [上記式中、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基又はエステル形成性官能基を表し、Xは4級ホスホニウム塩又はアルカリ金属塩を表す。]
  2. 前記複合繊維を20〜100質量%含み、0.05〜0.5g/cmの密度を有する不織布構造体であって、少なくとも一方向における曲げ応力が0.05MPa以上であるともに、曲げ応力と変位の相関関係において、曲げ応力ピークを示す変位の2倍の変位においても曲げ応力ピーク値の1/10以上の応力を維持することを特徴とする請求項1記載の不織布構造体。
  3. 該不織布断面を厚さ方向に沿って3等分した際に、3等分した各々の領域における繊維接着率がそれぞれ85%以下であり、かつ該繊維接着率の最大値と最小値の差が20%以下である請求項1または2記載の不織布構造体。
  4. 該複合繊維において、湿熱接着性重合体(B)がエチレン単位の含有量10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体である請求項1〜3のいずか1項に記載の不織布構造体。
  5. 該複合繊維が、ジカルボン酸成分のうち75モル%以上がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、共重合成分として下記式(I)で表される化合物(i)さらに(ii)としてシクロヘキンサジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、(iii)として脂肪酸及びそのエステル形成性誘導体からなるポリエステル(A)とエチレン単位の含有量10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる湿熱接着性重合体(B)とからなり、各々の成分の質量比(A/B)が90/10〜10/90であり、なおかつ該エチレン−ビニルアルコール系共重合体が繊維表面の一部を長さ方向に連続して占めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布構造体。
  6. 該複合繊維が、芯鞘型複合繊維であり、芯成分がジカルボン酸成分のうち75モル%以上がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、共重合成分として下記式(I)で表される化合物(i)さらに(ii)としてシクロヘキンサジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、(iii)として脂肪酸及びそのエステル形成性誘導体からなるポリエステル(A)であり、鞘成分がエチレン単位の含有量10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)である請求項5に記載の不織布構造体。
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