JP5162186B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで半導体装置210の製造方法を、図13、14を参照して説明する。
まず図13に示すように、活性層207の表面におけるn型不純物の注入範囲とp型不純物の注入範囲を選択しておいて、n型不純物とp型不純物をイオン注入する。この結果、n型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214が形成される。n型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214を形成するときに、半導体素子218aを形成するためのn型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214と、半導体素子218bを形成するためのn型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214と、半導体素子218cを形成するためのn型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214の各々を、別の範囲に形成する。
次に、図14に示すように、SOI基板209を熱処理し、活性層207内に注入した不純物を活性化させる。不純物が活性層207内で拡散し、活性層207内に占めるn型不純物の注入範囲212とp型不純物の注入範囲214の大きさが拡大する。次に、半導体素子218a、218b及び218cを分離するためにトレンチ215を形成する。その後、トレンチ215内に絶縁膜等を形成することによって、半導体装置210が完成する。
特許文献1の技術では、トレンチの側壁に向けて不純物を注入するために、上記の問題は生じない。しかしながら、半導体基板の表面において、マスク等を用いて各種不純物の注入範囲を管理することによって、所望の半導体構造を実現する通常の方法が使えない。信頼性が高くて既存の設備で実行できる普通の方法が使えない。
本発明では、マスク等を用いて不純物の注入範囲を管理することによって所望の半導体構造を実現する通常の方法を活用する。通常の方法を使用するとともに、複数個の半導体素子を備えている半導体装置から無駄なスペースを除去することによってその半導体装置のサイズを小さくする技術を提供する。
この場合、素子分離用トレンチに取り囲まれている範囲内に、n型半導体領域とp型半導体領域の双方が形成され、所望の半導体構造を実現することができる。従来とは異なり、不純物の注入範囲とトレンチの間に間隔を確保する必要がなく、半導体装置のサイズを小さくすることができる。
ここでいう「第1導電型半導体領域」とは、半導体装置が完成したときに半導体基板内で第1導電型を呈している範囲のことをいう。「第2導電型半導体領域」とは、半導体装置が完成したときに半導体基板内で第2導電型を呈している範囲のことをいう。また、「第1導電型不純物の注入範囲」とは、半導体基板に対して第1導電型不純物を注入する範囲のことをいう。「第2導電型不純物の注入範囲」とは、半導体基板に対して第2導電型不純物を注入する範囲のことをいう。
第1導電型半導体領域と、第1導電型不純物の注入範囲は必ずしも等しくない。第1導電型の半導体基板を用いる場合、第1導電型不純物を注入しなくても、第1導電型半導体領域が出現する。同様に、第2導電型の半導体基板を用いる場合、第2導電型不純物を注入しなくても、第2導電型半導体領域が出現する。第1導電型の半導体基板に第2導電型不純物を注入した場合には、「第2導電型半導体領域」と「第2導電型不純物の注入範囲」が等しくなる。第1導電型不純物の注入範囲内に第2導電型不純物を注入した場合も、第1導電型不純物の注入範囲と第1導電型半導体領域は相違することになる。不純物を注入してから熱処理すると不純物の注入範囲は拡大する。本明細書では、特に断らない限り、熱処理前の注入範囲も熱処理後の注入範囲も、ともに注入範囲という。
不純物注入工程では、半導体基板表面に第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域が隣接して出現する関係に不純物の注入範囲を管理しておいて、少なくとも、半導体基板の導電型と異なる導電型の不純物を半導体基板に注入する。半導体基板表面に第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域が隣接して出現する関係が得られるものであれば、半導体基板の導電型と異なる導電型の不純物に加えて、半導体基板の導電型と同一導電型の不純物を注入してもよい。
熱処理工程では、半導体基板を加熱して半導体基板に注入した不純物を活性化する。
トレンチ形成工程では、半導体基板表面に隣接して出現している第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域の双方を分断して一巡するととともに、半導体基板表面から半導体基板裏面に向けて不純物の注入範囲を貫通する深さにまで伸びているトレンチを形成する。トレンチは、半導体基板表面において一巡している必要があり、不純物が注入されていない範囲を通過していてもよい。
絶縁膜形成工程では、トレンチ内に絶縁膜を形成する。
本発明の製造方法では、不純物注入工程で不純物が注入された範囲を分断する素子分離用トレンチによって、異なる半導体素子を形成する不純物の注入範囲同士の間を絶縁分離している。本発明の製造方法によると、素子分離用トレンチと不純物の注入範囲の間に隙間を確保する必要がない。実際に、素子分離用トレンチと不純物注入工程で不純物が注入された範囲との間に、隙間がない半導体装置が製造される。半導体装置のサイズを小さくすることができる。
第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域の双方を分断して一巡するトレンチを形成するために、一巡するトレンチの内側の範囲に第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域の双方が確保される。半導体素子を形成するのに必要な半導体構造を実現することができる。そのトレンチが、不純物の注入範囲を貫通する深さにまで伸びていれば、隣接する半導体素子のための不純物の注入範囲同士が絶縁分離される。実質的に隣接する半導体素子同士を絶縁分離することができる。
この発明は、静電気保護回路を備えている半導体装置に適用するのに特に有用である。静電気保護回路は、半導体装置の全ての端子に設ける必要があり、1つの半導体装置内に多くの静電気保護回路が必要とされる。本発明の技術を利用すると、多くの半導体素子を有しているにも係わらず、コンパクトな半導体装置を製造することができる。
上記製造方法によると、複雑な半導体構造を利用する半導体素子を形成することができる。例えば、複数のバイポーラトランジスタ(npnトランジスタ又はpnpトランジスタ)を備えている半導体装置や、複数のユニポーラトランジスタ(FET等)を備えている半導体装置等を製造することができる。
第1導電型不純物の注入範囲内の局所的範囲に第2導電型不純物の注入範囲を形成する工程を繰返すと、npnトランジスタとpnpトランジスタの双方を備えている半導体装置や、第1導電型のチャネルを利用するFET等と第2導電型のチャネルを利用するFET等の双方を備えている半導体装置を製造することもできる。さらに、IGBT等のように、半導体素子が動作するときに半導体素子内に第1導電型のキャリアと第2導電型のキャリアの両方が導入されるタイプの半導体素子の複数個を備えている半導体装置も製造することもできる。
上記の製造方法では、活性層の表面から活性層を貫通して埋め込み絶縁層に達するトレンチを形成する。埋め込み絶縁層に達するトレンチによって、各々の半導体素子が、他の半導体素子から電気的に絶縁される。半導体基板の裏面(不純物を注入する表面とは反対側の面)を絶縁する工程を省略することができる。各々の半導体素子を他の半導体素子から電気的に絶縁する構造を容易に得ることができる。
各々の半導体素子がオンすると、活性層内において、第1導電型半導体領域から第2導電型半導体領域に向けて電流が流れる。又は、第2導電型半導体領域から第1導電型半導体領域に向けて電流が流れる。このとき、電流が活性層内の最短経路を流れようとする。そのため、電流が活性層内の表面側に集中して流れやすく、活性層内の表面側が発熱しやすくなる。活性層が過度に発熱してしまうと、半導体素子が破壊に至る虞がある。
(第1特徴)トレンチ形成工程では、第1導電型不純物の注入範囲の中間部分と第2導電型不純物の注入範囲の中間部分の双方を分断して一巡するとともに半導体基板表面から半導体基板裏面に向けて第1導電型不純物の注入範囲と第2導電型不純物の注入範囲の双方を貫通するトレンチを形成する。
(第2特徴)トレンチの側壁に絶縁膜を形成し、絶縁膜が形成されたトレンチ内にポリシリコンを充填することによって素子分離用トレンチを形成する。
(第3特徴)積層基板を用意する工程において、裏面に高濃度不純物を含有する底部範囲が形成された半導体層と、表面に絶縁層が形成された基板を用意し、高濃度不純物を含有する底部範囲と絶縁層が接する関係で半導体層と基板を貼り合わせる。
図1に、半導体装置10の断面図を示す。半導体装置10は、半導体基板9内に複数の半導体素子を備えている。図1は、半導体素子18a〜18eを例示している。半導体基板9は、基板2と埋め込み絶縁層4と活性層7が順に積層されているSOI基板(積層基板)9である。活性層7は、もともと低濃度のn型不純物を含んでいる。半導体素子18a〜18eは活性層7内に形成されている。活性層7の埋め込み絶縁層4に接する範囲に、高濃度のn型不純物(高濃度不純物の一例)を含有する底部範囲6が形成されている。なお、活性層7内の底部範囲6が形成されていない部分をn型半導体領域8と称することがある。
半導体素子18a〜18eの各々は、n型(第1導電型の一例)半導体領域13と、p型(第2導電型の一例)半導体領域14を備えており、ダイオードとして機能する。n型半導体領域13は、n型不純物の注入範囲12と、不純物が注入されていない範囲のn型半導体領域8(もともとn型不純物を含んでいる)で構成されている。p型半導体領域14は、p型不純物の注入範囲14に等しい。n型半導体領域13と、p型半導体領域14は、活性層7内に形成されている。
各々の半導体素子18a〜18eは、素子分離用トレンチ16で取り囲まれている。素子分離用トレンチ16は、活性層7を貫通して埋め込み絶縁層4に達している。素子分離用トレンチ16は絶縁性を有しており、各々の半導体素子18a〜18e同士の間を電気的に絶縁している。なお、図示を省略しているが、n型不純物の注入範囲12の表面にカソード電極が形成されており、p型不純物の注入範囲14の表面にアノード電極が形成されている。
上記したように、埋め込み絶縁層4に接する活性層7の底面に臨む範囲に、高濃度のn型不純物を含有する底部範囲6が形成されている。n型半導体領域13とp型半導体領域14の双方が底部範囲6に接している。
その結果、半導体素子18aのn型不純物の注入範囲12と半導体素子18bのn型不純物の注入範囲12が、素子分離用トレンチ16を介して対向している。半導体素子18bのp型不純物の注入範囲14と半導体素子18cのp型不純物の注入範囲14が、素子分離用トレンチ16を介して対向している。半導体素子18cのn型不純物の注入範囲12と半導体素子18dのn型半不純物の注入範囲12が、素子分離用トレンチ16を介して対向している。半導体素子18dのp型不純物の注入範囲14と半導体素子18eのp型不純物の注入範囲14が、素子分離用トレンチ16を介して対向している。
なお、n型不純物の注入範囲12は、図2の紙面上下方向に伸びている素子分離用トレンチ16を介してのみ対向している。図2の紙面左右方向に伸びている素子分離用トレンチ16は、不純物が注入されていない範囲8を通過している。そのため、n型不純物の注入範囲12と紙面左右方向に伸びている分離用トレンチ16の間には隙間が形成されている。n型不純物の注入範囲12は、紙面上下方向に伸びている素子分離用トレンチ16に加えて、紙面左右方向に伸びている素子分離用トレンチ16を介して対向していてもよい。p型不純物の注入範囲14も、紙面上下方向に伸びている素子分離用トレンチ16に加えて、紙面左右方向に伸びている素子分離用トレンチ16を介して対向していてもよい。後記する図9(B)に示すように、一つの不純物注入範囲内を素子分離用トレンチが格子状のパターンに沿って伸びていてもよい。
まず、図3に示すように、半導体基板(SOI基板)9を用意する。なお、半導体基板9は、絶縁層4を介して半導体層7と基板2を貼り合わせて用意することができる。まず、半導体基板9の製造方法を説明する。
半導体層7と基板2を貼り合わせるのに先立って、n−型の半導体層7の裏面(後に絶縁層4に接する面)にn型不純物を注入し、n+型の底部範囲6を形成する。半導体層7内に、n型不純物を低濃度に含んでいるn型半導体領域8とn型不純物を高濃度に含んでいるn+型の底部範囲6が形成される。さらに半導体層7とは別に、表面に絶縁層(例えば、酸化膜等)4が形成された基板2を用意する。その後、底部範囲6と絶縁層4が接する関係で半導体層7と基板2を貼り合わせる。基板2と埋め込み絶縁層4と活性層7が順に積層されているSOI基板9を得ることができる。
なお、活性層7にn型不純物とp型不純物を注入した結果、活性層7の表面にn型不純物の注入範囲12とp型不純物の注入範囲14のみが交互に出現していてもよい。すなわち、活性層7の表面に、n型不純物も注入されていなければp型不純物も注入されていない領域がなくなってしまってもよい。
ここで重要なことは、図1に示すように、n型半導体領域13とp型半導体領域14が隣接して出現する関係に不純物の注入範囲12,14を管理することである。例えば、活性層7の全面にp型不純物をイオン注入した後に、n型半導体領域13のみに局所的にn型不純物をイオン注入してもよい。また、活性層7の全面にn型不純物をイオン注入した後に、p型半導体領域14のみに局所的にp型不純物をイオン注入してもよい。先に局所的に不純物をイオン注入し、その後に活性層7の全面に反対導電型の不純物をイオン注入してもよい。後述するように、p型不純物を含む活性層7に対して、n型不純物のみを局所的にイオン注入してもよい。n型不純物を含む活性層7に対して、p型不純物のみを局所的にイオン注入してもよい。
次に、図2に示すように、活性層7の表面において、n型半導体領域13とp型半導体領域14の双方を分断して一巡するトレンチ15を形成する。このときに、図1に示すように、トレンチ15を、活性層7の表面から活性層7の裏面に向けて伸び、n型不純物の注入範囲12とp型不純物の注入範囲14の双方を貫通して埋め込み絶縁層4に達するまで形成する。なお、本実施例では、トレンチ15が、n型不純物の注入範囲12内の中間部分とp型不純物の注入範囲14の中間部分の双方を分断して形成されている。
次に、トレンチ15内に絶縁膜(図示省略)を形成し、その後、そのトレンチ15内にポリシリコンを充填することによって素子分離用トレンチ16を形成する。以上の工程によって、半導体装置10が完成する。
なお、本実施例では、SOI基板9の活性層7内に半導体素子18a〜18eを形成する方法について説明した。しかしながら、半導体素子18a〜18eが形成される半導体基板は、SOI基板以外の半導体基板でもよい。
上記したように、半導体装置10では、n型半導体領域12とp型半導体領域14の双方が、n+型の底部範囲6に接している。そのため、半導体装置10が動作するときに、各々の半導体素子18a〜18eの発熱を抑制することができる。その理由について図6を参照して説明する。
図6に、図1に示している半導体素子18a〜18eのうちの1つの半導体素子18を拡大して示している。上記したように、p型半導体領域14の表面にアノード電極が接続されており、n型半導体領域12の表面にカソード電極が接続されている。半導体素子18が動作すると、活性層7内において、p型半導体領域14からn型半導体領域12に向けて電流が流れる。このときに、p型半導体領域14とn型半導体領域12が底部範囲6に接していないと、電流が図6の破線Bの経路に集中して流れる。電流が最短距離を通過しようとするためである。活性層7の表面部分に電流が集中して流れるため、半導体素子18が発熱しやすくなってしまう。
それに対して半導体素子18では、p型半導体領域14が底部範囲6に接している。そのため、破線Bの経路だけでなく、p型半導体領域14から底部範囲6に向けて破線Cの経路にも電流が流れる。n型半導体領域12も底部範囲6に接している。そのため、電流は底部範囲6の破線Dの経路を流れた後、底部範囲6からn型半導体領域12に向けて破線Eの経路を流れる。電流が抵抗の小さい経路(不純物濃度が高い半導体領域)を通過しようとするためである。活性層7の表面部分だけでなく、活性層7の裏面側にも電流が流れる。電流が活性層7の表面部分に集中して流れることを抑制することができるため、半導体素子18が過剰に発熱することを抑制することができる。
図7に、半導体装置110の断面図を示している。半導体装置110は半導体装置10の変形例であり、半導体装置10と同じ構成については同じ参照番号又は下二桁に同じ参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
半導体素子118a、118c、118eでは、n型不純物の注入範囲12内に、p型不純物の局所的注入範囲114(以下、p型半導体領域114ともいう)が形成されている。半導体素子118a、118c、118eは、pnpトランジスタとして機能する。半導体素子118b、118dでは、p型不純物の注入範囲14内に、n型不純物の局所的注入範囲112(以下、n型半導体領域112ともいう)が形成されている。半導体装置118b、118dは、npnトランジスタとして機能する。すなわち、半導体装置110は、複数のnpnトランジスタと複数のpnpトランジスタを備えている。
なお本実施例では、半導体装置110内に、pnpトランジスタ118a、118c、118eと、npnトランジスタ118b、118dが交互に形成されている。複数のpnpトランジスタが連続して形成されていてもよいし、複数のnpnトランジスタが連続して形成されていてもよい。
活性層7の表面に、n型半導体領域12を超えて広がる範囲にn型不純物を注入する。より正確にいうと、n型半導体領域12とp型不純物の局所的注入範囲114が形成される範囲にn型不純物を注入する。その後、p型半導体領域114のみに局所的にp型不純物を注入する。なお、p型半導体領域114のみに局所的にp型不純物を注入し、その後、n型半導体領域12とp型半導体領域114が形成される範囲にn型不純物注入してもよい。局所的注入範囲114を形成するときに重要なことは、p型不純物を局所的注入範囲114に注入するときのp型不純物の注入密度が、n型不純物をn型半導体領域12に注入するときのn型不純物の注入密度よりも高いということである。
同様に、p型半導体領域14とn型不純物の局所的注入範囲112が形成される範囲にp型不純物注入する。その後、n型半導体領域112のみに局所的にn型不純物を注入する。n型半導体領域112のみに局所的にn型不純物を注入し、その後、p型半導体領域14とn型半導体領域112が形成される範囲にp型不純物を注入してもよい。
なお、局所的に不純物を注入するタイミングは、熱処理工程の前でもよいし、熱処理工程の後でもよい。すなわち、n型半導体領域12の不純物とp型半導体領域14の不純物を活性化させる前に、半導体領域12,14内に局所的に不純物を注入してもよい。また、n型半導体領域12の不純物とp型半導体領域14の不純物を活性化させた後に、半導体領域12,14内に局所的に不純物を注入してもよい。熱処理工程の後に局所的に不純物を注入する場合、トレンチ15を形成する前のタイミングでもよいし、トレンチ15を形成した後のタイミングでもよい。
熱処理工程の後、トレンチ15形成するのに先立って不純物を局所的に注入する場合について説明する。図5に示す工程の後に、n型半導体領域12内に局所的にp型不純物を注入する。また、p型半導体領域14内に局所的にn型不純物を注入する。次に、半導体基板9を再度熱処理し、局所的に注入したn型不純物とp型不純物を活性化させる。その後、トレンチ15を形成し、レンチ15内に絶縁膜等を形成して素子分離用トレンチ16を完成させる。以上の工程によって、半導体装置110が完成する。
トレンチ15を形成した後に不純物を局所的に注入する場合、図1に示す半導体装置10が完成した後に、n型半導体領域12内に局所的にp型不純物を注入する。また、p型半導体領域14内に局所的にn型不純物を注入する。その後、半導体基板9を再度熱処理することによって、半導体装置110が完成する。
図8に、半導体装置310の断面図を示している。半導体装置310は半導体装置10の変形例であり、半導体装置10と同じ構成については同じ参照番号又は下二桁に同じ参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
半導体素子318a〜318eの各々は、素子分離用トレンチ16に取り囲まれている活性層7内に形成されている。n型半導体領域12、12の間にp型半導体領域8が形成されている。より正確にいうと、活性層7内の不純物が注入されていない範囲がp型半導体領域8を形成している。活性層7の埋め込み絶縁層4に接する範囲に、高濃度のp型不純物を含有する底部範囲6が形成されている。半導体素子318a〜318eの各々は、npnトランジスタとして機能する。素子分離用トレンチ16は、n型半導体領域12を分断して伸びており、一巡している。
半導体装置310の製造方法について説明する。
p型不純物を含んでいる活性層7の裏面に、高濃度のn型不純物を含有する底部範囲6を形成する。その後、活性層7の表面に、n型不純物を不連続に注入する。すなわち、活性層7の表面に、n型不純物が注入されない範囲を確保しつつn型不純物を注入する。その後、半導体基板9を熱処理してn型不純物を活性化させる。熱処理をすることによって、n型不純物が活性層7内に拡散する。上記したように、n型半導体領域12以外の活性層7がp型半導体領域8になる。
次に、n型半導体領域12、12の双方を分断して一巡するトレンチ15を形成する。その後、そのトレンチ15内にポリシリコンを充填することによって素子分離用トレンチ16を形成する。以上の工程によって、半導体装置310が完成する。
図9(A)、(B)を参照して半導体装置410について説明する。図9(A)は半導体装置410の断面図を示しており、図9(B)は半導体装置410の平面図を示している。半導体装置410は半導体装置10の変形例であり、半導体装置10と同じ構成については同じ参照番号又は下二桁に同じ参照番号を付すことによって説明を省略することがある。図中の矢印は座標を示している。なお、ここでは図10(A)、(B)に示している従来の半導体装置510と比較しながら、半導体装置410の特長を説明する。なお、図10(A)は半導体装置510の断面図を示しており、図10(B)は半導体装置510の平面図を示している。
半導体装置410は、複数個の半導体素子418a〜418eを備えている。各々の半導体素子418a〜418dは、半導体基板9の表面にn型半導体領域412とp型半導体領域8が隣接して出現しており、ダイオードとして機能する。半導体装置410では、活性層7に対してn型不純物のみを注入している。素子分離用トレンチ16は、n型不純物の注入範囲412内をY方向に伸びており、不純物が注入されていない範囲のp型半導体領域8をX方向に伸びており、不純物が注入されていない範囲のp型半導体領域8をY方向に伸びており、一巡している。素子分離トレンチ16は、n型半導体領域412とp型半導体領域413の双方を分断して一巡している。半導体装置410では、一つの不純物注入範囲412内を素子分離用トレンチ16が格子状のパターンに沿って伸びている。
なお、図9(B)に示しているように、半導体装置410では、活性層7内に、n型不純物の注入範囲412がY方向にストライプ状に形成されている。そのため、n型半導体領域412とX軸方向に伸びる素子分離トレンチの間にも隙間が形成されない。各々の半導体素子418a〜418eのX方向の距離L5を、半導体素子518a〜518cのY方向の距離L6(図10(B)を参照)よりも小さくすることができる。
上記したように、半導体装置410の半導体素子418a〜418eのサイズは、半導体装置510の半導体素子518a〜518cのサイズよりも小さい。そのため、半導体基板内に同じ個数の半導体素子を形成する場合、半導体装置410のサイズを半導体装置510のサイズよりも小さくすることができる。
半導体装置110の変形例として、n型不純物の局所的注入範囲112とn型半導体領域8の間において、p型半導体領域14の表面に対向する位置にゲート電極を形成してもよい。電子をキャリアとするMOSトランジスタを形成することができる。さらに半導体装置110の変形例として、p型不純物の局所的注入範囲114とn型半導体領域8の間において、n型半導体領域12の表面に対向する位置にゲート電極を形成してもよい。正孔をキャリアとするMOSトランジスタを形成することができる。
なお、上記実施例では、第1導電型不純物がn型不純物であり、第2導電型不純物がp型不純物である半導体装置について説明した。第1導電型不純物がp型不純物であり、第2導電型不純物がn型不純物であっても、上記実施例で説明した内容と同様の効果が得られる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
6:底部範囲
7、207:活性層
9、209:SOI基板(積層基板)
10、110、210、310、410、510:半導体装置
12、212、412、512:n型不純物の注入範囲
14、214、512:p型不純物の注入範囲
15、215:トレンチ
16、216:素子分離用トレンチ
18、118、218、318、418、518:半導体素子
112:n型不純物の局所的注入範囲
114:p型不純物の局所的注入範囲
Claims (1)
- 基板と埋め込み絶縁層と活性層が順に積層されている積層基板を用いて、トレンチによって絶縁分離されている複数の半導体素子を備えている半導体装置を製造する方法であり、
底部範囲形成工程と不純物注入工程と熱処理工程とトレンチ形成工程と絶縁膜形成工程を備えており、
底部範囲形成工程では、埋め込み絶縁層に接する活性層の底面に臨む範囲に高濃度不純物を含有する底部範囲を形成し、
不純物注入工程では、活性層表面に第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域が隣接して出現する関係に不純物の注入範囲を管理して、活性層の所定範囲に少なくとも第1導電型不純物を注入し、
不純物注入工程ではさらに、
第1導電型不純物の注入範囲内の局所的範囲に、第2導電型不純物の注入密度が第1導電型不純物の注入密度よりも高くなるように第2導電型不純物を注入し、
熱処理工程では、積層基板を加熱して活性層に注入した不純物を活性化し、
トレンチ形成工程では、活性層表面に隣接して出現している第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域の双方を分断して一巡するととともに活性層表面から活性層を貫通して埋め込み絶縁層に達するトレンチを形成し、
絶縁膜形成工程では、トレンチ内に絶縁膜を形成し、
第1導電型半導体領域と第2導電型半導体領域が、高濃度不純物を含有する底部範囲に達していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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