JP5154305B2 - 水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物および該塗料用樹脂組成物から得られる塗膜 - Google Patents

水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物および該塗料用樹脂組成物から得られる塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、一液型でありながら充分な耐汚染性を発現する水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物および該塗料用樹脂組成物から得られる塗膜に関する。
近年、塗料の分野においても、公害対策あるいは省資源の観点より、有機溶剤を使用するものから、水溶性あるいは水分散樹脂への転換が試みられている。しかし、水性塗料は溶剤系塗料に比べ、塗膜性能が劣る傾向にあった。このような状況下、水性塗料においても溶剤系塗料と同等の塗膜物性が要求され、特に耐汚染性といった高度な性能付与が要求されている。
塗料への耐汚染性付与方法としては、塗料中にオルガノシリケートを配合する方法が知られている(特許文献1)。
この方法により、形成した塗膜の親水性が向上し、油性の汚染物質の付着防止に効果があり、また付着した汚染物質を降雨等の水滴で洗い流すことが可能である。しかしながら、上記方法を水性塗料に適用した場合、オルガノシリケートの水性塗料への混和性が悪く、表面光沢が低下するという問題があった。
これに対して、オルガノシリケートの水性塗料への混和性を改良する方法として、オルガノシリケートと乳化剤の混合物を添加する方法が開示されている(特許文献2)。
この方法により、水性塗料との混和性は改善され、表面光沢の極端な低下は解決された。しかしながら触媒成分を含有しないため、塗膜の親水性を得るためには相当の時間を要するため、目的とする低汚染性の発現にも時間がかかり、初期の汚染性が得られない問題があった。
一方で、触媒を配合した技術も開示されているが(特許文献3)、これは二液型での使用を前提としている。
本願は、一液型の水系塗料でありながら、塗装初期から優れた耐汚染性を有する塗膜が得られ、なお且つ、一液型として使用するに値する期間、その性能を維持することができることを特徴としたものである。
WO1994/06870号公報 特開平10−17850号公報 特開2007−84777号公報
本発明が解決しようとする課題は、得られる塗膜が、塗装初期から優れた耐汚染性を有し、なお且つ、その塗料が一液型として使用できる水性塗料を提供することである。
オルガノシリケート化合物またはその部分加水分解縮合物(以下オルガノシリケート化合物という)、シクロデキストリンに包接されたアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物を水性塗料に添加することにより、塗装初期から充分な耐汚染性を有し、しかも一液型として使用可能な塗料となることを見出した。
すなわち本願は、
(I).
(A)合成樹脂エマルジョン
(B)一般式(1)で示されるオルガノシリケート化合物またはその部分加水分解縮合物:
Si−(OR (1)
(式中、Rは同じかまたは異なり、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる1価の炭化水素基であり、少なくとも一つが炭素数1〜4のアルキル基である)
(C)アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物
を含有する水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物、
(II).
(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.1〜100重量部、(C)成分が0.05〜50重量部配合されてなることを特徴とする(I)に記載の塗料用樹脂組成物、
(III).
(C)成分中のアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物が、酸性リン酸化合物および/または有機カルボン酸化合物であることを特徴とする(I)または(II)に記載の塗料用樹脂組成物、
(IV).
(C)成分中のアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物が、酸性リン酸化合物の中和塩および/または有機カルボン酸の中和塩であることを特徴とする(I)または(II)に記載の塗料用樹脂組成物、
(V).
(B)成分のアルキル基の少なくとも1つが、炭素数2以上のアルキル基を含むことを特徴とする(I)〜(IV)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物、
(VI).
(B)成分が乳化物の状態で配合されてなることを特徴とする(I)〜(V)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物、
(VII).
(A)成分がアクリル樹脂エマルジョンであることを特徴とする(I)〜(VI)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物、
(VIII).
(A)成分がアルコキシシリル基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする(I)〜(VII)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物、
(IX).
(A)成分がポリオキシアルキレン基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする(I)〜(VIII)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物、
(X).
(I)〜(IX)のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物を塗布して得られる塗膜、
に関する。
本発明の耐汚染性付与組成物は、低コスト・簡易な操作で製造できる。また、本発明の水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物は、塗装初期から優れた耐汚染性が付与された塗膜を形成する。さらに、一液型として使用するに値する期間、その性能を維持することができる。
以下に本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
(合成樹脂エマルジョン(A))
本発明に使用可能な合成樹脂のエマルジョン(A)としては、公知の各種合成樹脂エマルジョンが挙げられ、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ふっ素樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、アルキド樹脂エマルジョン、メラミン樹脂エマルジョンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中でコスト、樹脂設計の自由度の高さなどからアクリル樹脂エマルジョンが有利である。
アクリル樹脂エマルジョンとしては、アクリル系単量体、及びアクリル系単量体と共重合可能な単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
使用可能な上記単量体、としては、特に限定はないが、具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボニルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成(株)製)、placcelFA−1、placcelFA−4、placcelFM−1、placcelFM−4(以上、ダイセル化学(株)製)、HE−10、HE−20、HP−10、HP−20(以上、(株)日本触媒製)、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーNKH−5050、ブレンマーGLM(以上日油(株)製)、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有ビニル系単量体;東亜合成(株)製のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、ビニルメチルエーテル、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを表すこととする。
更に、エマルジョンの安定性を向上させることが可能な親水性を有するビニル系単量体も使用可能である。使用可能な親水性基を有するビニル系単量体としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートアンモニウム、ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ポリオキアルキレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体の具体例としては、日油(株)製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、AP−400、AP−550、AP−800、700PEP−350B、10PEP−550B、55PET−400、30PET−800、55PET−800、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、PME−100、PME−200、PME−400、PME−1000、PME−4000、AME−400、50POEP−800B、50AOEP−800B、AEP、AET、APT、PLE、ALE、PSE、ASE、PKE、AKE、PNE、ANE、PNP、ANP、PNEP−600、共栄社化学(株)製ライトエステル130MA、041MA、MTG、ライトアクリレートEC−A、MTG−A、130A、DPM−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、EHDG−A、日本乳化剤(株)製MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、MPG130−MA、Antox MS−60、MPG−130MA、RMA−150M、RMA−300M、RMA−450M、RA−1020、RA−1120、RA−1820、新中村化学工業(株)製NK−ESTER M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、LA、三洋化成(株)製エレミノールRS−30などがあげられる。このような単量体を用いれば、耐水性や塗膜強度を向上させることができる。ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体は、全単量体100重量部中に0.5〜20重量部用いて共重合されることが望ましい。0.5重量部未満では耐水性付与効果が低く、20重量部を越えると消泡性が低下するため好ましくない。
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することも可能である。この場合、生成した粒子内部に架橋を有する構造となり、形成した塗膜の耐水性が向上する。
また、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのふっ素含有ビニル系単量体を使用することにより高度な撥水・撥油性を有するふっ素含有アクリル系樹脂エマルジョンも作製可能である。
また、上記単量体にカルボニル基含有ビニル系単量体を共重合し、ヒドラジンおよび/またはヒドラジド基を含有する化合物を配合した架橋型アクリル樹脂エマルションも作製可能である。このような架橋型アクリル樹脂エマルジョンから得られた塗膜の耐水性は、非常に良好である。
さらに、上記単量体と加水分解性シリル基を有する単量体を共重合することにより、加水分解性シリル基を含有するアクリル樹脂のエマルジョンが作製可能である。加水分解性シリル基を含有する単量体としては、取扱いの容易さ、価格の点および反応副生成物が生じにくい点から、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーが好ましい。
アルコシキシシリル基含有ビニル系モノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
水性塗料にした場合の貯蔵安定性の点からγ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシランが特に好ましい。
加水分解性シリル基含有単量体は、全単量体100重量部中に0.1〜50重量部用いて共重合されることが望ましい。0.1重量部未満では耐水性、耐久性が低下し、50重量部を越えるとエマルジョンが不安定となり、0.5〜20重量部がより好ましい。
上記のように得られたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、本発明のアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物(C)が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜となる。
本発明に使用できるアクリル樹脂エマルジョンは、通常の方法を採用することで得ることができるが、エマルジョンの粒子径および安定性を考慮すると乳化重合法が好ましい。
前記乳化重合法には特に限定がなく、たとえばバッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して採用することができるが、本発明においては、特に製造時のエマルジョンの安定性を確保する上で、モノマー滴下重合法および乳化モノマー滴下重合法が好ましい。
乳化重合に際しては、通常用いられるイオン性または非イオン性の界面活性剤を用いることができる。
イオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアリルエーテルサルフェート、オクチルフェノキシエトキシエチルスルホネート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイドなどのアンモニウム塩などが代表例として挙げられるが、これらの中では、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
また、非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;L−77、L−720、L−5410、L−7602、L−7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などのシリコーンを含む非イオン系の界面活性剤などが代表例として挙げられる。
本発明においては、界面活性剤として1分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いることが耐水性、耐候性の点で好ましい。また、特に分子内にポリオキシアルキレン基を有する反応性界面活性剤を用いた場合には、機械的安定性を向上させることができる。
かかる反応性界面活性剤の具体例としては、例えば、(株)ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、SR−10、SR−20、SR−1025、NE−10、NE−20、NE−30、NE−40、SE−10N)、日本乳化剤(株)製Antox−MS−60、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、第一工業製薬(株)製アクアロンKH−05、KH−10、RN−20、RN−30、RN−50、RN−2025、HS−10、HS−20、HS−1025、BC05、BC10、BC0515、BC1025、三洋化成工業(株)製エレミノールJS−2、エレミノールRS−30、花王(株)製ラテムルS−180、S−180A、PD−104、PD−420、PD−430などが挙げられる。
なかでも、環境への配慮から、非アルキルフェノール系のものが望ましい。
前記界面活性剤は、単独または2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、単量体全量100重量部に対して10重量部以下、好ましくは0.5〜8重量部である。
乳化重合に用いる水性媒体としては、水を必須成分として含有していればよく、他の有機溶剤を含有していても構わない。他の有機溶剤としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤およびケトン系溶剤などのうち水溶性の溶剤が挙げられるが、エマルジョンの安定性や環境の観点から有機溶剤は含有しない方が好ましい。
重合開始剤としては、特に限定はないが、重合をより安定に行なうために、重合開始剤としてレドックス系を用いることが望ましい。また、重合中の混合液の安定性を保持し、重合を安定に行なうためには、温度は70℃以下、好ましくは40〜65℃であり、pHは5〜9に調整することが好ましい。
前記レドックス系に用いる開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらに組み合わせる還元剤としては、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、Bruggolite FF−6(BruggamannChemicalUS製)、二酸化チオ尿素、L−アスコルビン酸などがあげられる。特に、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物とロンガリット、Bruggolite FF−6または二酸化チオ尿素との組み合わせが好ましい。
なお、還元剤は、環境への配慮からホルムアルデヒド発生のないBruggolite FF−6、二酸化チオ尿素が特に好ましい。
前記重合開始剤の使用量は、単量体全量100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。かかる重合開始剤の使用量が0.01重量部未満である場合には、重合が進行しにくくなることがあり、10重量部を超える場合には、生成する重合体の分子量が低下する傾向がある。
また、重合開始剤の触媒活性を安定的に付与するために、硫酸鉄などの2価の鉄イオンを含む化合物とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート化剤を用いてもよい。かかるキレート化剤の使用量は、単量体全量100重量部に対して0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.5重量部である。
重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤の添加も可能である。連鎖移動剤としては公知のもの、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン系化合物、クロロホルム、四塩化炭素等の有機ハロゲン化物、スルフィドベンゼン、イソプロピルベンゼン、塩化第二鉄等が挙げられる。
アクリル樹脂エマルジョン中の樹脂固形分濃度は、20〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜60重量%となるように調整する。かかる樹脂固形分濃度が70重量%を超える場合には、系の濃度が著しく上昇するため、重合反応に伴なう発熱を除去することが困難になったり、重合器からの取り出しに長時間を要するようになる傾向がある。また、樹脂固形分濃度が20重量%未満である場合には、重合操作の面では何ら問題は生じないものの、1回の重合操作によって生じる樹脂量が少なく、経済面で不利となる。
なお、本発明に用いられるアクリル樹脂エマルジョンは、平均粒子径が0.02〜1.0μm程度が好ましい。平均粒子径は、重合初期に仕込む乳化剤の量で調整することが可能である。
これらアクリル樹脂エマルションは、各社より市販されており、例えば、大日本インキ化学工業(株)製ボンコート、ウォーターゾール、(株)日本触媒製アクリセット、ユーダブル、昭和高分子(株)製ポリゾール、日本エヌエスシー(株)製ヨドゾール、カネビノール、旭化成工業(株)製ポリトロン、ポリデュレックス、中央理化工業(株)製リカボンド、日本アクリル(株)製プライマル、BASFディスパージョン(株)製アクロナール、クラリアントポリマー(株)製モビニール、(株)カネカ製カネカゼムラック、カネビラック等があげられる。
ウレタン樹脂エマルジョンとしては、ウレタン樹脂を水中に分散したものであり、ウレタン樹脂に親水基を付与し自己分散型にしたものと、疎水性のウレタン樹脂を乳化剤等で強制的に乳化したものがあり、何れも使用可能である。
これらは各社から市販されており、例えば、第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス90、107M、110、126、130、150、150HS、160、300、361、370、410、420、460、460S、500、600、E−2000、E−2500、E−4000、E−4500、E−4700、R−5000、エラストロンBN−08、BN−11、BN−50D、Avecia KK製NeoRez R−960、R−972、R−9637、R−9679、AX−311、R−966、R−967、R−9603、R−600、R−9320、R−9617、R−9621、NeoPac R−9000、R−9699、三井武田ケミカル(株)製タケラックW−615、W−6010、W−6020、W−6061、W−511、W−405、W−7004、W−605、W−512A6、W−635、W−635C、WS−7000、WS−5000、WS−5070X、WS−4000、XW−75−X35、(株)ADEKA製アデカボンタイターHUX−290H、HUX−290K、HUK−290N、HUX−395D、HUX−394、HUX−232、HUX−240、HUX−320、HUX−350、HUX−380、HUX−381、HUX−388、HUX−380A、HUX−386、HUX−401、HUX−750、HUX−670、HUX−680、HUX−575、HUX−580、などがあげられる。
ウレタン樹脂エマルジョンは単独系でも他の樹脂系エマルジョンとの混合系でも使用できる。特にアクリル樹脂エマルジョンとの混合系が塗料設計の容易さやコストの点で有用である。
ふっ素樹脂エマルジョンとしては、フルオロオレフィン重合体および/またはフルオロオレフィンと共重合可能な単量体との共重合体を水中に分散させたものが使用できる。
フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンなどがあげられる。
フルオロオレフィンと共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、ブチルビニルエステル、オクチルビニルエステル、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル(ジャパンエポキシレジン(株)製ベオバ10、ベオバ9、ベオバ11)などのビニルエステル類、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、エチルアリルエーテルなどのアリルエーテル類やブチルアリルエステルなどのアリル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類などがあげられる。
これらは、各社から市販されており、例えば、旭硝子(株)製ルミフロン、ダイキン工業(株)製ゼッフル、セントラル硝子(株)製セフラルコート、大日本インキ化学工業(株)製フルオネートなどがあげられる。
上記の合成樹脂エマルジョンのなかでは、アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物(C)が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜が得られるため、アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンが最もよい。
(オルガノシリケート化合物(B))
本発明で使用可能なオルガノシリケート化合物(B)としては、加水分解性ケイ素基を含有する化合物であり、下記一般式(1)として示される化合物又はその部分分解縮合物である。
Si−(OR (1)
(式中Rは同じか又は異なり炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基であり、少なくとも一つが炭素数1〜4のアルキル基である)
具体的化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が例示できる。
炭素数5以上のアルキル基のみで構成されている場合には、加水分解速度が極めて遅く、目的とする親水性すなわち耐汚染性が得られないことから、炭素数1〜4のアルキル基を有するものが好ましく、中でも、エチルシリケート45、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート(株)製)、シリケート45、シリケート40(以上、多摩化学工業(株)製)が好ましい。上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。
また、同一分子中に異なったアルコキシシリル基を含有するオルガノシリケートも使用可能である。例えば、メチルエチルシリケート、メチルプロピルシリケート、メチルブチルシリケート、エチルプロピルシリケート、プロピルブチルシリケートなどである。これら置換基の比率が0〜100%の間で任意に変更可能である。また、これらのシリケートの部分加水分解・縮合物も使用可能であると記述したが、縮合度は1〜20程度が好ましい。更に好ましい縮合度の範囲は、3〜15である。
上記オルガノシリケート化合物ではアルコキシシリル基の炭素数は1〜4の化合物を例示しているが、炭素数が少なくなるほど反応性が向上することは一般的に知られている。水性塗料へ添加した場合、炭素数が小さいオルガノシリケート、例えば、メチルシリケートを用いた場合、反応性が高く、貯蔵安定性を充分に確保できない傾向にある。このため、用いるオルガノシリケート化合物のアルキル基の少なくとも一つの炭素数が2以上であることが好ましい。
オルガノシリケート化合物(B)の使用量は、合成樹脂エマルジョン(A)100重量部に対し、0.1〜100重量部、好ましくは3〜20重量部となる量である。0.1重量部未満では得られる塗膜の耐汚染性が十分ではない傾向にあり、100重量部を越えると塗膜外観やクラックなどの問題が発生する傾向にある。
(オルガノシリケート化合物(B)の乳化物)
本発明に係るオルガノシリケート化合物(B)の乳化物は、オルガノシリケート化合物(B)を、界面活性剤を用いて水性媒体中に乳化して得る。この乳化剤としては、通常用いられるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤が例示できる。中でも、本発明においては、アルカリ金属塩であるアニオン系界面活性剤を必須の成分として用いるとより安定性が向上するため好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレンアリールエーテルサルフェート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレン鎖を有する硫酸エステル;ラウリルサルフェートなどの硫酸エステル;ラウリルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸などのスルホン酸;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸などのアルキルスルホコハク酸;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステルなどおよびそれらの塩があげられる。
アニオン系界面活性剤の中和カチオン種は、種々選択できるが、本発明においてはアルカリ金属、好ましくはナトリウムまたはカリウムイオンを用いた界面活性剤が用いられる。この中和カチオン種の選択により、オルガノシリケート化合物の乳化物の安定性を向上させることができる。
上記のアニオン系界面活性剤の中で、アルキルスルホコハク酸系界面活性剤を用いた場合、乳化安定性が向上し、組成物の貯蔵安定性および得られる塗膜の外観の双方を向上させることから好ましい。アルキルスルホコハク酸系界面活性剤の具体例としては、日本乳化剤(株)製ニューコール290、291、293、第一工業製薬(株)製ネオコールSW−C、YSK、P、花王(株)製ペレックスCS、OT−Pがあげられる。
また、アルキルスルホコハク酸系界面活性剤にポリオキシエチレン鎖を有する硫酸エステル系界面活性剤を併用した場合、乳化安定性がさらに向上し、好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのポリオキシエチレン鎖を有するもの;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの水酸基を有するもの;信越化学工業(株)製KF−351、KF−352、KF−353、KF−354、KF−355、KF−615、KF−618、KF−945、KF−907、X−22−6008、X−22−811、X−22−812、東レ・ダウコーニング社製SH3748、SH3749、SH3771、SH8400、SF8410、SF8700などの片末端および/または両末端および/または側鎖をポリアルキレンオキシドで変性したポリオルガノシロキサンであるシリコーン系界面活性剤;アセチレングリコール系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、アクリルアミド共重合体などの水溶性高分子系などがあげられる。
これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤の使用量は、オルガノシリケート化合物(B)100重量部に対して0.05〜100重量部、好ましくは、0.1〜80重量部である。0.05重量部未満では安定な乳化物が得られず、貯蔵安定性も低下する。100重量部を越えると得られる塗膜の外観や耐水性の低下などが低下する傾向にある。
オルガノシリケート化合物(B)の乳化物に用いる水性媒体としては、水を必須成分として含有していればよく、他の有機溶剤を含有していても構わない。他の有機溶剤としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤およびケトン系溶剤などのうち水溶性の溶剤が挙げられるが、乳化物の安定性や環境の観点から有機溶剤は含有しない方が好ましい。
オルガノシリケート化合物(B)の乳化物は、pHを6〜10に保つのが好ましい。この範囲外では、シリコン化合物の加水分解が起こりやすくなる。pH6以下では、加水分解が促進されるため、それに続く縮合反応も徐々に進行し、貯蔵安定性を保持できなくなる傾向がある。また、pH10を超えると乳化物が不安定になるだけでなく作業上の問題も生じる。
pHの調整、維持の方法あるいは順序については、特に限定しないが、乳化物作製時点から行うことが好ましい。pHの調整に用いる酸、塩基、pHの維持に用いる緩衝剤は、一般に使用されるものであれば、特に限定されないが、塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;アンモニア、有機アミン類など、緩衝剤としては、たとえば炭酸水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸塩またはカルボン酸塩があげられる。これらのpH調整剤、緩衝剤において、アルカリ金属を含むものが好ましく、炭酸水素ナトリウムの使用がより好ましい。
乳化液中のオルガノシリケート化合物の固形分濃度は、5〜60重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。固形分濃度が60重量%を超える場合には、乳化液の粘度が上昇、乳化安定性を損なう等の問題が生じる可能性があり、5重量%未満の場合には、得られる塗膜の膜厚が薄くなるなど、塗装作業性、塗膜性能低下の点で不利となる。
オルガノシリケート化合物の乳化物の作製は、上記の各成分と水性媒体を一般的な乳化方法により乳化することによる。乳化方法としては、オルガノシリケート化合物と界面活性剤を混合、これに水をゆっくりと添加し、油中水型乳化物から水中油型乳化物に相反転させる、いわゆる転相乳化法;各成分を混合後、また予備乳化後にディスパー、高圧ホモジナイザーなどで機械的に微分散する方法などがあげられる。
(アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物(C))
本発明では、アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物をシクロデキストリンとの包接化合物(C)にして使用する。シクロデキストリンは環状構造をしており、その環状構造の内部にはヒドロキシル基がなく小さな化合物を包接できるぐらいの空孔があることから、親油性の化合物を包接できることが知られている。また、シクロデキストリンに包接された化合物は、系が親水性の場合にはシクロデキストリンに包接されたままであるが、系が親油性になるとシクロデキストリンから徐包され遊離することが知られている。アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物はシクロデキストリンに包接されることによって、系が親水性である場合(貯蔵中、塗装前)は包接されたままで反応を促進させることはないが、系が親油性になった場合(塗装後)には徐包され反応を促進させるようになる。そのため、本発明の塗料組成物は、貯蔵中および塗装前には反応は進行しないが、塗装後には反応が進行しオルガノシリケート由来の優れた塗膜を与えることができる。
アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物(C)は、水溶液として得られる場合と結晶物として得られる場合があるが、本発明ではどちらの形状で使用しても構わない。
(C)成分はオルガノシリケート化合物(B)100重量部に対し、0.05〜50重量部配合することができ、好ましくは0.05〜30重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部である。配合量が0.05重量部未満では、耐汚染性付与の効果が低く、50重量部を超えると配合物の安定性が低下する。また、水性塗料に添加した場合にシクロデキストリンの存在量が多くなり、塗膜の耐水性や耐候性が低下する傾向にある。
シクロデキストリンには、環化したグルコースの数によりα型、β型、γ型、δ型、ε型があり、さらに、ヒドロキシプロピル基やメチル基、アセチル基などで置換されたものがあり市販されている。今回使用できるシクロデキストリンに制限はないが、入手のしやすさや価格から、α型、β型、γ型の各シクロデキストリンやヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリンが好ましい。また、α型、γ型のシクロデキストリンは水への溶解度が高く、包接化合物を合成し易いことから好ましい。
本発明で使用可能なアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物としては、酸性リン酸化合物、有機カルボン酸化合物、有機スルホン酸化合物、アミン化合物、テトラプロピルチタネートなどのチタン化合物、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)などのアルミニウム化合物、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物、テトラブトキシハフニウムなどの金属アルコキシド類、および上記の酸性リン酸化合物、有機カルボン酸化合物、有機スルホン酸化合物等の酸性化合物の中和塩が挙げられる。これらの中では、酸性リン酸化合物、有機カルボン酸化合物、酸性リン酸化合物の中和塩、有機カルボン酸化合物の中和塩が好ましい。一般に、上記アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物として知られる有機錫化合物などでは、包接後でも充分な機能性を付与したまま貯蔵安定性を確保することが難しい場合が多く好ましくない。
酸性リン化合物としては、リンを含有する酸性化合物であり、ポリオキシアルキレン構造を有さないものが挙げられる。このような酸性リン化合物としては、たとえば、一般式(2)で示されるリン酸、酸性リン酸エステル、ホスホン酸または酸性ホスホン酸エステル、酸性リン酸基含有重合体、これらの縮合物、これらの部分中和塩、完全中和塩などが挙げられる。



(RQ)P(QH)3−m−n (2)

(上記式中、R、Rは炭素数12以下のアルキル基、アルキレン基またはアラルキル基、Qは酸素または硫黄原子を示す。m、nは0〜2でありm+nが2以下である。RまたはRは、mまたはnが2の場合、同一のものであっても、異なるものであっても構わない。R、Rの炭素数の好ましい下限値は4、より好ましくは6、更に好ましくは8であり、好ましい上限値は12、より好ましくは10であり、最も好ましくは、炭素数8〜10である。)。
このような酸性リン酸化合物としては、たとえば、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸等の無機リン酸化合物;モノプロピルホスフェート、モノ−イソプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノ−(メタクリロキシエチル)ホスフェート、モノ−(アクリロキシエチル)ホスフェートジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジ−イソプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ−(2−エチルヘキシル)ジチオホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジ−(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジ−(アクリロキシエチル)ホスフェートなどの酸性リン酸エステル;フェニルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ(2−エチルヘキシル)エステルなどのホスホン酸または酸性ホスホン酸エステル;リン酸あるいは酸性リン酸エステルとビスフェノールA型エポキシ樹脂などの多価エポキシドの反応物、モノ−(メタクリロキシエチル)ホスフェートと他のビニル単量体の共重合体などの酸性リン酸基含有重合体などがあげられる。これらの中では、中鎖のアルキル基を有するホスフェートが好ましく、具体的にはジ−(2−エチルヘキシル)ホスフェートやモノ−(2−エチルヘキシル)ホスフェートが包接されやすく、経済的であるために好ましい。
一方、有機カルボン酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、デカン酸、ドデカン酸、安息香酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸およびこれらの無水物がある。これらの中では、中鎖のアルキル基を有するカルボン酸が好ましく、具体的には2−エチルヘキサン酸やネオデカン酸、デカン酸が加水分解・縮合を促進する能力が高く、包接されやすく、経済的であるため好ましい。
アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物の使用量は、シクロデキストリンとの包接化合物(C)を製造する際の当量比で表すことができる。シクロデキストリン1モル当量に対して、加水分解・縮合を促進する化合物を0.2モル当量以上、1.5モル当量以下仕込み、包接化合物(C)を製造するのが好ましい。0.2モル当量未満では、加水分解・縮合を促進する化合物の量が少なく、未包接のシクロデキストリンが多く残るため経済的ではない。また1.5モル当量を超えると、包接していない加水分解・縮合を促進する化合物が生成する虞があり、塗料用組成物の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
また、中和塩を形成する場合の塩基性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物または炭酸塩;アルミニウム、亜鉛、チタンなどの遷移金属塩;アンモニア;トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、トリプロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、ジエタノールアミン、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、N−メチルモルホリン、DBU等の有機アミン類などがあげられる。これらの中でもアンモニアが洗浄し易く経済的な点で好ましい。
中和塩を形成するための塩基性化合物の使用量は、シクロデキストリンとの包接化合物(C)を製造する際の当量比で表すことができる。アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物の仕込み量1モル当量に対して、1モル当量以下用いるのが好ましい。1モル当量を超えると遊離の塩基性化合物が存在することとなり、シリコン化合物(B)の反応を促進し、目的とする耐汚染性が得られなくなるため好ましくない。
アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物(C)の製造方法は特に限定されないが、例えば、シクロデキストリンを溶解させた水性溶液に、加水分解・縮合を促進する化合物を添加攪拌し、生成した沈殿を濾別洗浄して乾燥させる方法がある。また、沈殿が生成しない場合には、濾別洗浄せず、その水溶液をそのまま用いても良い。
上記の水性溶媒は特に限定されないが、水を含有していれば良く、その他の有機溶媒を含有していても構わない。その他の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類を挙げることができるが、含有しない方が好ましい。
シクロデキストリンの水性溶液の濃度は、α型、β型、γ型などの環構造やその置換基によって水への溶解度が大きく異なる為、その目的とする温度の溶解度以下で設定することが好ましい。溶解度以上では、包接に寄与しない不溶のシクロデキストリンが存在するため経済的でない。
シクロデキストリンの水性溶液を調製する際の温度や攪拌条件は特に限定されない。調製温度は、0℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がさらに好ましい。また、適切な溶媒および溶媒量を選択すれば室温で溶解させることができ、室温が最も好ましい。攪拌速度および時間は特に限定されず、50rpmから1000rpmの攪拌速度で攪拌するのが好ましい。攪拌時間はシクロデキストリンが完全に溶解するまで攪拌を行えばよく、3分以上60分間以下攪拌するのが好ましい。
シクロデキストリンを溶解させた水性溶液に、加水分解・縮合を促進する化合物を添加する方法としては特に限定されないが、加水分解・縮合を促進する化合物が液体の場合はそのまま滴下するのが好ましい。加水分解・縮合を促進する化合物が固体である場合には、そのまま添加しても構わないが、予め固体を良溶媒に溶解した後にシクロデキストリン水性溶液に添加するのが、包接化合物中の不純物の量を少なくできるため好ましい。
アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物として、酸性リン酸化合物の中和塩および/または有機カルボン酸の中和塩を用いる場合には、シクロデキストリン溶液に加水分解・縮合を促進する化合物を添加し、包接化合物を調製した後に、中和塩を形成するための塩基性化合物を添加攪拌するのが好ましい。加水分解・縮合を促進する化合物を添加する前に塩基性化合物を添加すると、加水分解・縮合を促進する化合物の包接が阻害され塗料用組成物の貯蔵安定性に影響を与えるため好ましくない。
アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物、もしくは、アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物および塩基性化合物を添加した後の攪拌条件は、特に限定されないが、0℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がさらに好ましく、室温が最も好ましい。また、攪拌速度および時間は特に限定されず、50rpmから1000rpmの攪拌速度で、3分以上60分間以下攪拌するのが好ましい。
生成した沈殿を濾別洗浄する方法は特に限定されず、公知の方法で行えばよい。例えば、濾紙や吸引漏斗を用いて濾過し沈殿を水で洗浄する方法や、遠心分離した後に上澄みを捨て、また新たに水を加え遠心分離し洗浄する方法等が挙げられる。
洗浄した沈殿を乾燥させる方法は特に限定されず、公知の乾燥方法で行えばよく、通常の乾燥機や減圧乾燥機を用いる方法が挙げられる。包接化合物(C)は加熱すると分解する虞があるため、室温で減圧乾燥するのが好ましい。
本発明の水性一液型塗料用樹脂組成物の配合形態については、主剤と硬化剤を分ける必要はなく、合成樹脂エマルジョン(A)とオルガノシリケート化合物(B)の乳化物、アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物(C)を混合した1液型の配合形態が可能である。本発明の水性一液型塗料用樹脂組成物の貯蔵安定性は良好で、(A)成分、(B)成分の乳化物、(C)成分を混合した状態で40℃1ヶ月間安定であり、塗膜の物性の低下は起こらない。
本発明に使用できる合成樹脂のエマルジョンに、必要に応じて、通常塗料に用いられる顔料(二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリンなどの白色顔料、カーボン、ベンガラ、シアニンブルーなどの有色系顔料)が使用できる。二酸化チタンは顔料のなかでも最も使用量が多く重要である。アルミナ、ジルコニアにより表面処理された二酸化チタンを用いることにより光沢、耐候性が向上する。また、造膜助剤、コロイダルシリカ、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、防藻剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの通常の塗料用成分として使用される添加剤を配合することもできる。
本発明の耐汚染性が付与された水性塗料は、例えば建築内外装用、アルミニウム、ステンレスなどの金属直塗用、スレート、コンクリート、瓦、モルタル、石膏ボード、石綿スレート、アスベストボード、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート、硅酸カルシウム板、タイル、レンガなどの窯業系直塗用、ガラス用、天然大理石、御影石等の石材用の塗料あるいは上面処理剤として用いられる。
また、直塗用だけでなく、水系あるいは溶剤系プライマー上、アクリルゴム上、複層仕上塗材のトップコート、可とう形改修用仕上塗材のトップコート、コンクリート等の無機系基材に水系あるいは溶剤系浸透性吸水防止材上の塗装にも用いられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(アクリル系樹脂エマルジョンの製造例1)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、初期仕込みとして脱イオン水41.7重量部、ネオコールP(第一工業製薬(株)製:有効成分75%)0.08重量部、5%炭酸水素ナトリウム水溶液0.25重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、7%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.5重量部、20%Bruggolite FF−6水溶液0.27重量部、0.10%硫酸第一鉄・7水和物と0.40%エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの混合水溶液0.35部を添加し、1段目として表1の(Em−1)コア部に示すモノマー混合物50重量部にとしてネオコールP 1.0重量部、アデカリアソープER−20((株)ADEKA製:有効成分75%)0.8重量部および脱イオン水20.0重量部を加え乳化したモノマー乳化液を260分かけて等速追加した。その間、7%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.55重量部および2.5%Bruggolite FF−6水溶液0.43重量部を3回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、1時間後重合を行った。
さらに、7%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.15重量部、2.5%Bruggolite FF−6水溶液0.55重量部および0.10%硫酸第一鉄・7水和物と0.40%エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの混合水溶液0.35部を添加し、2段目として表1(Em−1)のシェル部に示すモノマー混合物50重量部にネオコールP 1.0重量部、アデカリアソープER−20 0.2重量部および脱イオン水20.0重量部を加え乳化したモノマー乳化液を200分かけて等速追加した。その間、7%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.6重量部および2.5%Bruggolite FF−6水溶液0.85重量部を4回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、1.5時間後重合を行った。得られたエマルジョンに5%炭酸水素ナトリウム水溶液5.5部を添加後、脱イオン水で固形部50%に調整しアクリル系樹脂エマルジョン(Em−1)を得た。
(アクリル系樹脂エマルジョンの製造例2)
製造例1のコア部、シェル部の各モノマーを表1の(Em−2)に変更する以外は、製造例1と同様にして、初期仕込み界面活性剤、モノマー乳化用界面活性剤を有効成分が同じ重量となるように表1に示す界面活性剤に変更し、使用する脱イオン水量を調整して樹脂固形分が50重量%のアクリル系樹脂エマルジョン(Em−2)を得た。
メタクリレート100:ポリオキシエチレン鎖含有親水性ビニル系単量体(日本乳化剤(株)製)
ブレンマーPE200:ポリオキシエチレン鎖含有親水性ビニル系単量体(日油(株)製)
(塗料の作成)
合成した樹脂エマルジョンを用い、表2の顔料ペーストを用いて、表3に示す配合処方(重量部)で塗料を作製した(AS−1および2)
(オルガノシリケート乳化物の製造方法:製造例1〜3)
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗を備えた容器に、表4に示すオルガノシリケート化合物30重量部とネオコールSW−C(第一工業製薬(株)製:有効成分70%、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩)10重量部、ハイテノールXJ−630S(第一工業製薬(株)製:有効成分30%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)5重量部を混合し、攪拌しながら、脱イオン水を55重量部を滴下して、有効固形分濃度30%のオルガノシリケート化合物の乳化物(B−1)を得た。目視にて分離・沈降がないことを確認した。
同様にして、有効固形分濃度30%のオルガノシリケート化合物の乳化物(B−2および3)を得た。
シリケート40: エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率40%)(多摩化学工業(株)製)
シリケート45: エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率45%)(多摩化学工業(株)製)
ノイゲンGIS320:トリイソステアリン酸PEG−20グリセリン(有効成分100%)(第一工業製薬(株)製)
(シクロデキストリン包接化合物の製造方法:製造例1〜3)
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗を備えた容器に表5に示すように、シクロデキストリンを秤量し、純水を添加攪拌して溶解液を得た。さらに、アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物を滴下攪拌し沈殿生成物を得た。得られた沈殿生成物を濾別し、水洗により残存のシクロデキストリンを除去、さらに減圧乾燥し、目的の包接化合物(C−1および3)を各収量で得た。
また、濾別前の包接化合物(C−1)に対して、28%アンモニア水0.3gを添加攪拌した。充分な攪拌後には、乳白色の溶液が得られた。得られた乳白色の包接化合物含有水溶液を(C−2)とした。
A−208:ジ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート(堺化学(株)製)
(物性評価)
・塗膜作製
表6に示す各成分を順次配合し、1000rpmにて5分間攪拌し、一液型耐汚染性付与塗料用組成物を作成した。作成3時間後および密閉状態で40℃にて1ヶ月保存した後の一液塗料をそれぞれ6ミルのアプリケーターでガラス板に塗装し、7日間室温で養生した。その後、水に14日間浸漬、室温乾燥後に塗膜の水接触角を測定した。結果を表6に示す。
尚、比較例1の貯蔵後は、塗料の粘度上昇が大きく塗装するに至らなかった。
・塗膜の水接触角の測定
協和界面科学(株)製接触角測定機CA−S150を使用し、純水の接触角を測定した。値が低いほど表面親水性が高く、耐汚染性に優れることを示し、70°以下であれば実際の屋外暴露試験での耐汚染性の効果が顕著となる傾向がある。特に水浸漬後の値は、降雨後の状態を想定しており、この値が低いことは、表面親水性の耐久性、持続性が高く、長期にわたる耐汚染性の効果が顕著となる傾向がある。
実施例1〜5は、一液型水性塗料組成物を40℃、1ヶ月貯蔵した後の白エナメル塗膜で水浸漬後の水接触角が66°〜70°であり、実際の屋外曝露試験において、耐汚染性の効果が得られると考えられる表面親水性の値を、貯蔵後においても満足するものであった。
これに対して比較例1では、初期の接触角は63°と良好なものの、貯蔵中に塗料の粘度が上昇し充分な貯蔵安定性が得られなかった。
また比較例2では、初期の接触角が59°と良好で、貯蔵後も塗料の著しい増粘も見られなかったが、水接触角が85°と充分な親水性を発現するに至らなかった。
以上のように本発明の一液型水性塗料組成物は、良好な表面親水性およびその貯蔵安定性を有していることが確認され、耐汚染性に優れた塗膜を与える一液型水性塗料組成物として有用であることが確認された。

Claims (10)

  1. (A)合成樹脂エマルジョン
    (B)一般式(1)で示されるオルガノシリケート化合物またはその部分加水分解縮合物:
    Si−(OR (1)
    (式中、Rは同じかまたは異なり、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる1価の炭化水素基であり、少なくとも一つが炭素数1〜4のアルキル基である)
    (C)アルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物とシクロデキストリンとの包接化合物
    を含有する水性一液型耐汚染性付与塗料用樹脂組成物。
  2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.1〜100重量部、(C)成分が0.05〜50重量部配合されてなることを特徴とする請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  3. (C)成分中のアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物が、酸性リン酸化合物および/または有機カルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料用樹脂組成物。
  4. (C)成分中のアルコキシシリル基の加水分解・縮合を促進する化合物が、酸性リン酸化合物の中和塩および/または有機カルボン酸の中和塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料用樹脂組成物。
  5. (B)成分のアルキル基の少なくとも1つが、炭素数2以上のアルキル基を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  6. (B)成分が乳化物の状態で配合されてなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  7. (A)成分がアクリル樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  8. (A)成分が、アルコキシシリル基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  9. (A)成分がポリオキシアルキレン基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物を塗布して得られる塗膜。
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