JP5149748B2 - 感光性樹脂凸版印刷版の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は感光性樹脂凸版印刷版の製造方法及びそれに好適に用いられる版面用処理液に関する。より詳細には、フレキソ印刷版用・レタープレス印刷版用・スタンプ版用レリーフ画像の作成、エンボス加工等の表面加工パターンの形成、型取り用パターンの形成、電子部品の導体・半導体・絶縁体パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料パターンの形成、さらには液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成、あるいは、パターンを形成しないインキ転写用ブランケットまたはアニロックスロールに接して使用されるインキ量調整用ロール等に適した、感光性樹脂凸版印刷版の製造方法及びそれに好適に用いられる版面用処理液に関する。
印刷方式には、一般的に、凸版印刷(フレキソ印刷やレタープレス等)・グラビア印刷(凹版)・オフセット印刷(平版)など様々な方式が挙げられるが、中でも凸版印刷は、印刷方式が簡便であり低コストで様々な被印刷体に印刷可能であり、また高速印刷も容易であることから、近年印刷方式の中での比重が高まっている。また、特にダンボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧版などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の凸版印刷方式の中でも高精細で汎用性が高く、近年注目されている。一般的な凸版印刷版は、例えば特許文献1〜3に記載されるように、露光、現像および後処理工程を経て製造され、感光性樹脂が用いられることが多い。
また、感光性樹脂凸版印刷版としては、通常の凸版印刷用だけでなく、エンボス加工等の表面加工デザインロールを用いたパターンの形成用、型取り用パターンの形成、電子部品の導体・半導体・絶縁体パターン形成用、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料パターンの形成、さらには液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成、あるいは、パターンを形成しないインキ転写用ブランケットまたはアニロックスロールに接して使用されるインキ量調整用ロールなど各種の用途に応用することが可能である。
例えば、フレキソ印刷版を用いた印刷方式は、凹凸のある印刷版の凸部の表面に、インキ供給ロール等でインキを供給し、次に、印刷版を被印刷体に接触させて、凸部表面のインキを被印刷体に転移させる方式である。このようなフレキソ印刷においては、しばしば、長時間印刷中に、インキが印刷版の凸部のショルダー部分に付着してきたり、凹部にインキが入り込んだりして(以下、「版面汚れ」と記す。)、その結果、本来の絵柄でない部分まで印刷されることがある。このような場合には、一旦、印刷を中止し、印刷版面をアルコール等の洗浄液を用いて、布等で不要なインキを拭き取る必要があり、経済的に不利になる。
また、特に近年凸版印刷時の高精細ならびに長時間印刷が求められてきており、長期の版面汚れ防止効果が要望されている。さらにコート紙などの紙印刷においては、長時間印刷で発生した紙粉が凸版印刷版表面に付着した場合にも、一旦、印刷を中止し、印刷版面をアルコール等の洗浄液を用いて、布等で不要なインキを拭き取る必要があり、経済的に不利になる。
印刷版の版面汚れ防止に関しては、種々の方法が提案されている。特許文献4には、版表面に有機フッ素化合物を、はけ塗りやスプレー方式で付着させる技術が記載されている。
特許文献5には、後露光後の版表面にシリコン系化合物やフッ素系化合物の水系エマルジョンと水性樹脂の混合物を塗布する方法が提案されている。
特許文献6には、版面汚れを長期間防止するために、後露光工程前に版面にシリコン系化合物および/またはフッ素系化合物を含有した溶液を付着させることを特徴とする感光性樹脂版の製造方法が提案されている。ここで、フッ素系化合物としてはポリフッ化エチレン化合物等の重合体やフッ素系モノマーが挙げられており、実施例では重合体が用いられている。
特許文献7には、凸版印刷用水現像感光性樹脂版の製版時の露光工程以降に、変性シリコーン化合物あるいはフッ素化合物を含有する液を接触させる方法が提案されており、フッ素化合物としては炭素水素化合物の水素基の一部もしくは全部をフッ素で置換した化合物が開示されており、実施例では「アサヒガードAG5850」(旭硝子製、商品名)が用いられている。
特許文献8には、レーザー彫刻版の製造方法として、数平均分子量が100以上10万以下の有機珪素化合物を含有する処理液中に浸漬する工程、あるいは処理液を塗布した後、波長200nm以上450nm以下の光で後露光する工程を含むレーザー彫刻印刷版の製造方法が提案されている。
特開平10−171111号公報 特開昭63−088555号公報 特開平05−134410号公報 特開昭51−40206号公報 特開2002−292985号公報 特開2005−84418号公報 国際公開第05/064413号パンフレット 特開2005−212144号公報
しかしながら、従来提案されている方法によっても、印刷やパターニングに悪影響を与えることなく、版面汚れを長期間防止し、紙粉の付着を防止することは困難であった。
例えば、特許文献4に記載の方法では、後露光後に塗布するために、版面汚れ防止の効果が小さく、持続効果も低い。特にロングラン又はリピート印刷においてこれらの効果は継続しがたく、効果を維持させる為には繰り返し塗布する必要があり、作業・コストがかかってしまう。
特許文献5に記載の方法では、浸透力の低い水系の溶液であることや後露光後に塗布するため、版面汚れ防止の効果は、必ずしも十分ではない。
特許文献6に記載の方法では、版面汚れ防止の持続性や紙粉防止性が必ずしも十分ではなく、挙げられているフッ素系化合物が重合体であり溶剤現像版において溶解する溶媒は樹脂版表面近傍に高く浸透するものを選択する必要があった。
特許文献7に記載の方法は、水現像感光性樹脂版を対象としており、具体的に開示されたフッ素化合物では、版面汚れ防止の持続性や紙粉防止性が必ずしも十分ではなかった。
特許文献8に記載の方法は現像工程を含まないレーザー彫刻製版であり、熱可塑性エラストマーではなく、20℃で液状の感光性樹脂を用いているため大気中での表面硬化性を問題としており、版面汚れ防止の持続性や紙粉防止性が必ずしも十分ではない。
本発明における技術的課題は、版面のインキ汚れを長期間防止し、かつ紙粉付着防止する感光性樹脂凸版印刷版の製造方法およびそれに適した処理液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、感光性樹脂凸版印刷版の製造方法において、特定の化合物を、特定の時期に凸版印刷版に付与することで上記従来技術の問題点を克服することを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.露光工程、現像工程および後処理工程を含む感光性樹脂凸版印刷版の製造方法であって、前記後処理工程が、熱処理、活性光源による後露光処理および電子線処理からなる群から選択される処理であり、
前記後処理工程前又は後処理工程中に、前記凸版印刷版の版面に、フッ素系界面活性剤(A)を付着させる工程を含む製造方法。
.前記現像工程における現像が溶剤現像である上記1.の製造方法。
.前記フッ素系界面活性剤(A)の、酢酸エチル0.1wt%溶液における表面張力が25mN/m以下である上記1.または2.の製造方法。
.前記フッ素系界面活性剤(A)の付着を、現像工程の後であって、後処理工程の前に行う上記1.〜3.いずれかの製造方法。
.前記フッ素系界面活性剤(A)を溶媒に溶解して付着する上記1.〜4.いずれかの製造方法。
.前記現像工程における現像が、前記フッ素系界面活性剤(A)を含有する現像液を用いて行う溶剤現像である上記1.〜5.いずれかの製造方法。
.前記フッ素系界面活性剤(A)が、ノニオン系フッ素系界面活性剤である上記1〜のいずれかの製造方法。
.前記溶媒が、水および/または水に可溶な溶媒である上記5.の製造方法。
9.前記感光性樹脂凸版印刷版が、少なくとも共役ジエンを主体とする第1の重合体ブロック、およびビニル芳香族炭化水素を主体とする第2の重合体ブロックを含むブロック共重合体を含有する上記1.〜8.のいずれかの製造方法。
10.前記感光性樹脂凸版印刷版がフレキソ印刷用感光性樹脂版である上記1.〜9.のいずれかの製造方法。
11.上記1.〜10.のいずれかの方法により製造される、感光性樹脂凸版印刷版。
12.感光性樹脂凸版印刷版の版面用処理液であって、フッ素系界面活性剤(A)を含有する処理液。
13.前記フッ素系界面活性剤(A)が、ノニオン系フッ素系界面活性剤である上記12.の処理液。
14.水および/または水に可溶な溶媒を含有する上記12.または13.の処理液。
15.前記フッ素系界面活性剤(A)の、酢酸エチル0.1wt%溶液における表面張力が24mN/m以下である上記12.〜14.のいずれかの処理液。
本発明の製造方法によれば、感光性樹脂凸版印刷版の版面のインキ汚れを長期間防止し、かつ紙粉付着防止可能な感光性樹脂凸版印刷版の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、感光性樹脂凸版印刷版の版面のインキ汚れを長期間防止し、かつ紙粉付着防止可能な感光性樹脂凸版印刷版の処理液を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の製造方法は、感光性樹脂凸版印刷版としてのフレキソ印刷用感光性樹脂凸版印刷版を例に説明するが、何らこれに限定されるものではなく、印刷やパターニングに使用される感光性樹脂凸版印刷版に適用可能である。中でも、インキの粘度が比較的低く、版面汚れが生じ易いフレキソ印刷版に用いられることが好ましい。
本実施形態における感光性樹脂凸版印刷版とは、感光性樹脂を露光、現像することによりレリーフ画像を形成する印刷版(例えば、フレキソ印刷用感光性樹脂凸版印刷版を含む。)を包含する。
本実施形態の製造方法は、露光工程、現像工程および後処理工程を含む感光性樹脂凸版印刷版の製造方法であって、前記後処理工程が、熱処理、活性光源による後露光処理および電子線処理からなる群から選択される処理であり、前記後処理工程以前又は後処理工程中に、前記凸版印刷版の版面に、フッ素系界面活性剤(A)を付着させる工程を含む。本実施の形態の製造方法は、撥インキ作用を示すフッ素系界面活性剤の付着後或いは付着と同時に後処理工程を採用することにより、版面に付着されたフッ素系界面活性剤を含有する版面用処理液が版面に強固に固着される。そのため、版面汚れの防止効果が長期間持続し、紙粉の付着を防止するという効果を奏する。
フッ素系界面活性剤(A)の付着工程は、後処理工程前又は後処理工程中に少なくとも一工程あれば足り、その時期は、現像工程前、現像工程中、現像工程後であって後処理工程前、後処理工程中のいずれでもよい。現像工程後であって後処理工程前に行う場合には現像直後でもよいし、現像し乾燥後でもよい。版面汚れ防止効果の長期間持続性、紙粉付着防止効果の点から、付着は現像工程後、後露光工程前に行うことが好ましい。感光性樹脂凸版印刷版の製造効率の観点から、フッ素系界面活性剤(A)の付着は、現像工程と同時に行うことが好ましい。付着工程は2以上設けてもよいし、後処理工程前又は後処理工程中に少なくとも一工程あれば、後処理工程後の付着を併用しても問題はない。
本実施形態の製造方法では、版面汚れ防止効果の長期間持続性、紙粉付着防止の点から、感光性樹脂凸版印刷版にフッ素系界面活性剤(A)を付着する。
フッ素系界面活性剤(A)とはフッ素系の化合物であって、疎水性基と親水性基とを有する化合物であり、具体例としては、例えば、疎水性基としてフルオロアルキルまたはパーフルオロアルキル鎖を有し、親水性基としてカルボン酸、リン酸、スルホン酸、アミン、アンモニウム塩、アミンオキサイド、ベタイン、スルホベタイン、ポリオキシエチレングリコール、多価アルコールを有する化合物等が挙げられる。このような化合物としては、例えば、フルオロアルキルカルボン酸(C〜C20)、パーフルオロアルキルカルボン酸((C〜C13)、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルや、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルモノグリセリルエーテルや、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミドなどのスルホン酸アミド基を有するものが挙げられる。前記フルオロアルキルまたはパーフルオロアルキル鎖は直鎖状でも分岐上でも構わない。例えば、ネオス社製フタージェント、DIC社製メガファック、3M社製Novec、AGCセイミケミカル社製Surflon(いずれも商品名)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤(A)は、アニオン系、両性系、カチオン系、ノニオン系に分類でき、特に版面汚れ防止持続性の観点からノニオン系のフッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤(A)は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フッ素系界面活性剤(A)は、版面汚れ防止持続性の点から、酢酸エチルの0.1質量(wt)%溶液における表面張力が25mN/m以下であることが好ましく、23mN/m以下であることがより好ましく、21mN/m以下であることがさらにより好ましい。表面張力測定は、協和界面科学社製CBVP−A3型を用いて、ウィルヘルミー法で25℃で測定した値である。
フッ素系界面活性剤(A)の付着は、溶媒に溶解して行ってもよいし、20℃で液体であればそのまま付着してもよい。
感光性樹脂凸版印刷版の版面への塗布性の点から、好ましくは溶媒に溶解して使用した方がよい。溶媒は、感光性樹脂凸版印刷版の版面に付着し、表面近傍に適度に浸透するものがよい。感光性樹脂凸版印刷版の版面に浸透する溶媒を選択した上で、後処理工程に処することで、一層、フッ素系界面活性剤(A)が樹脂表面(近傍)に強固に固着されるので好ましい。特に、水および/または水に可溶な溶媒を使用するのが、感光性樹脂凸版印刷版を過度に膨潤させず、適度に浸透するため好ましい。
水および/または水に可溶な溶媒としては、具体的には、水、エーテル、エステル、アルコール、ケトン、酸等の溶剤を用いることができる。溶媒にはアルコール類が含まれることが好ましく、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノールなどの脂肪族アルコール類が含まれることがより好ましい。特に、現像液に塩素系溶剤や炭化水素系溶剤が使用される溶剤現像型感光性樹脂版には、付着性の観点から60℃以上の沸点の化合物が含まれることが好ましく、80℃以上の沸点の化合物がより好ましく、140℃以上の沸点の化合物がさらにより好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塗布した際、印刷版表面の濡れ性調整のため、上記溶媒に界面活性剤を添加して用いることもできる。必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤あるいは防腐剤等の添加剤を加えてもよい。
フッ素系界面活性剤(A)を溶媒に溶解して使用する場合、版面用処理液の濡れ性の観点から、アルコールの含有量が20wt%以上95wt%以下となるように使用することが好ましく、より好ましくは、アルコールの含有量が30wt%以上80wt%以下、更に好ましくはアルコールの含有量が40wt%以上60wt%以下である。
フッ素系界面活性剤(A)は、後述のとおり、現像液に添加して付着することが好ましいが、現像液中に添加せず、溶液状態で版面に付着させる場合の濃度は、付着時間が現像液の場合より短いので、処理溶液中の濃度を高くした方がよく、0.05wt%〜50wt%が好ましい。
フッ素系界面活性剤(A)の付着方法は、現像液への添加、スプレーによる溶液塗布、はけ塗り、浸漬、布やスポンジで溶液を塗る方法、現像後リンス液への添加、感光性樹脂凸版印刷版の版面への滴下等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、2つ以上組み合わせて行ってもよい。これらのうち、特に感光性樹脂凸版印刷版製造工程の点から、現像液に添加する方法が好ましい。溶剤現像の場合にはフッ素系界面活性剤(A)を現像液に添加することによりフッ素系界面活性剤(A)の付着を行うことが好ましい。
感光性樹脂凸版印刷版の製造に用いられる露光工程、現像工程、後処理工程は、通常の感光性樹脂版の製造方法で使用される公知の条件で実施することができる。
例えば、露光工程に使用する露光光源としては、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光等が挙げられる。露光の際の強度は特に制限はないが、例えば3〜70mW/cmが挙げられる。このときの露光強度はオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いた数値である。
現像工程は公知の方法でよく、具体的には、
(i)版を現像液に浸漬させた状態でブラシを用いて未露光部を溶解、または掻き落とす現像方式、
(ii)スプレーなどで版面に現像液を振りかけながらブラシで未露光部を溶解、または掻き落とす現像方式、
(iii)40〜200℃で樹脂を加熱することにより不織布などの基材で吸収させる基材接触式現像方式、
(iv)ガスや流体により剪断力によって掻き落とす方式、
などが挙げられる。
感光性樹脂凸版印刷版の製造の際の現像方式は、前述の各方式を単独で行ってもよいし、2つ以上組み合わせて行ってもよい。現像液を用いる場合、現像液としては、例えば有機溶剤や界面活性剤を含む水系現像液等が挙げられ、版面汚れ持続性の観点から有機溶剤を含む現像液での溶剤現像が好ましい。
有機溶剤としては、例えばヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類;石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合した溶媒;テトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤に、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合した溶媒;等を使用することができ、好ましくは現像性の点から炭化水素類又は炭化水素類にアルコール類を混合した溶媒である。炭化水素類にアルコール類を混合した溶媒を含む現像液中にフッ素系界面活性剤(A)を添加する場合、版面汚れ持続性の点や紙粉汚れ防止の点から、現像液中の炭化水素類とアルコール類の比率は、炭化水素類80〜5質量部に対してアルコール類20〜95質量部であることが好ましく、より好ましくは、炭化水素類70〜20質量部に対してアルコール類30〜80質量部、更に好ましくは炭化水素類60〜40質量部に対してアルコール類40〜60質量部である。
界面活性剤を含む水系現像液としては、以下のものに限定されないが、例えばノニオン系、アニオン系、カチオン系あるいは両性の界面活性剤を一種類以上含有するもの等が挙げられ、好ましくは現像性の点からノニオン系界面活性剤を含む水系現像液である。
現像液中に、フッ素系界面活性剤(A)を添加する場合、フッ素系界面活性剤(A)の濃度は、版面汚れ持続性の点や紙粉汚れ防止の点から、好ましくは0.01wt%〜5wt%である。
現像工程が、不織布などの基材接触式現像工程である場合、感光性樹脂凸版印刷版の版面に付着や塗布する工程に代えて、不織布などの基材にフッ素系界面活性剤(A)を含有含有させても構わない。
本実施形態の製造方法における後処理方法は、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光などの活性光線源により処理する方法(以下、「後露光」と記す。)、熱処理法、電子線処理法が挙げられる。特に生産性・コストの点から後露光が好ましい。後露光方法としては、例えば感光性樹脂凸版印刷版の凹凸形状を持つ表面側を大気中で露光したり、水などの液体中で露光する方法等が挙げられ、版面汚れ持続性の点から、大気中で露光する方法が好ましい。露光の際の強度は特に制限はないが、例えば1〜50mW/cmが挙げられる。このときの露光強度はオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−25フィルターを用いた数値である。後露光においては、少なくとも波長300nm以下の活性光線を、現像後の感光性樹脂版の版面に露光処理することが好ましい。必要に応じて、300nm以上の活性光線を併用しても構わない。これらの波長の異なる活性光線を併用する場合は、同時に露光処理しても、別々に露光処理しても構わない。
熱処理法としては、例えば感光性樹脂版や凸版印刷版をヒーターや赤外線ヒーターで加熱したり、加熱オーブン中に入れる方法等が挙げられ、凹凸形状を持つ表面側の加熱温度としては、得られる感光性樹脂凸版印刷版の固体維持性の点から、40〜130℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。加熱する時間としては、特に限定されないが生産性の点から短い方が好ましい。
電子線処理方法としては、例えば感光性樹脂凸版印刷版の凹凸形状を持つ表面側を、10〜5MeVの高エネルギー電子線照射装置や5MeV〜300keVの中エネルギー電子線照射装置、300keV未満の低エネルギー電子線照射装置で処理する方法等が挙げられ、低コストの点から低エネルギー電子線照射装置での処理が好ましい。
また、後処理工程は2つ以上を採用することも可能である。そのような実施形態の場合、後処理工程のうちの少なくとも一つを版面用処理液の付着後或いは付着と同時に行えば足りる。例えば、後露光を行った後、版面用処液を付着させ、その後熱処理を行うことも可能である。さらに、後処理工程の2つ以上を同時に行うことも可能である。例えば、加熱ヒーター中で後露光処理を行うこと、多量の赤外線と紫外線を同時に発するランプで熱処理と後処理を同時に行うことも可能である。
本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版は、露光前の樹脂が、室温で流動性があったり、固体であっても構わない。通常、感光性樹脂凸版印刷版の厚みは0.5〜10mmの範囲で用いられる。本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版では、感光性樹脂版として公知の樹脂のものを使用することができる。例えば、前述の特許文献1、特許文献2、特許文献3等に提案されている樹脂がその典型例である。フレキソ印刷用感光性樹脂版の一般的な構成として、オリゴマーもしくはポリマー成分と重合性モノマー成分と光開始剤および安定剤から構成される。版の物性に最も影響の大きいオリゴマーもしくはポリマー成分に用いられる材料も多岐にわたり、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、ポリエステル樹脂系あるいはナイロン樹脂系から、極性基含有ポリマーと疎水性のポリマーを混合・分散した樹脂計系(バインダーポリマー)や、疎水性のポリマー、たとえば熱可塑性エラストマーを用いる場合まで様々である。これらのオリゴマーもしくはポリマー成分は単独で用いてもよいし2つ以上を併用してもよい。
本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版に用いられるオリゴマーもしくはポリマー成分として、好ましい形態は熱可塑性エラストマーである。成型加工性、製版時間の短縮化や印刷版の画像再現性の点から、より好ましくは、少なくとも1つの共役ジエンユニット(以下、単に「共役ジエン」という。)を主体とする第1の重合体ブロックと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素ユニット(以下、単に「ビニル芳香族炭化水素」という。)を主体とする第2の重合体ブロックを含む熱可塑性エラストマーブロック共重合体を含有する熱可塑性エラストマーである。ここで、熱可塑性エラストマーとは、高温で可塑化されて成型可能となり、常温ではゴム弾性体としての性質を示す高分子である。なお、上記の「主体とする」とは、重合体ブロック中に50重量%以上含まれていることを指す。
共役ジエンの具体例としては、以下のものに限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3―ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンの単量体が挙げられ、特に耐磨耗性の点から1,3−ブタジエンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。耐溶剤性をさらに向上するために、必要に応じて、共役ジエン中の二重結合を水素添加してもよい。
ビニル芳香族炭化水素の具体例としては、以下のものに限定されないが、スチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、p−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等の単量体が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。
共役ジエンを主体とする第1の重合体ブロックが、例えば、ビニル芳香族炭化水素−ブタジエンの共重合体である場合、共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布してもまた不均一(例えばテーパー状)に分布してもよい。均一に分布した部分および/または不均一に分布した部分は各ブロックに複数個共存してもよい。これらの重合体は、単独でも2種以上の併用でもよい。
熱可塑性エラストマーには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、共役ジエンブロックの完全水素添加物のスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体やスチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体等を併用してもよい。
熱可塑性エラストマーの分子量は、特に制限はないが、成型加工性と得られる感光性樹脂組成物の固体維持性のバランスに優れるものがよい。好ましい数平均分子量の範囲は、8万〜50万である。ここで、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品から換算されたものである。GPCの測定装置は、LC−10(島津製作所製、商品名)を用い、カラムにTSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本を使用し、オーブン温度40℃、溶媒にはテトラヒドロフラン(1.0ml/min)で測定を行う。
本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版に用いられる重合性モノマー成分として、以下のものに限定されないが、公知の各種のものを用いることができ、エチレン、プロピレン、ビニルトルエン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体;ハロオレフィン類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾール;N−置換マレイミド化合物等が挙げられる。
特に、種類の豊富さ、価格の観点から(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の、具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート;イソボロニル(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの重合性モノマー成分は、単独でも2種以上の併用でもよい。
本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版に用いられる光開始剤として、以下のものに限定されないが、公知の各種のものを用いることができ、好ましい形態は各種の有機カルボニル化合物や、特に芳香族カルボニル化合物等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ミヒラーケトン;ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、トリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6− トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9 −フェニルアクリジン;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等のアゾ化合物類が挙げられる。
これらの光開始剤は、単独でも2種以上の併用でもよい。また崩壊型光重合開始剤および水素引抜き型光開始剤を併用しても構わない。
また、本実施形態で用いる感光性樹脂凸版印刷版には、種々の補助添加成分、例えば可塑剤、極性基含有ポリマー、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤、シリコンオイルなどの表面処理剤、光ルミネセンスタグ(外部エネルギー源によって励起され、得られたエネルギーを光および/または放射線の形で放出する物質)などを添加することができる。
感光性樹脂凸版印刷原版の製造方法は特に制限はないが、例えば、原料を適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させることにより板状にする方法や、溶剤を用いず、ニーダ、ロールミルあるいはスクリュウ押出機で混練後、カレンダーロールやプレスなどにより支持体上で所望の厚さに成型する方法が挙げられる。支持体に成型された樹脂塑性物を、ロールラミネートにより密着させた後、別の支持体上で加熱プレスすると一層厚み精度の良い感光性樹脂凸版印刷原版を得ることができる。
本発明は、別の実施形態として、感光性樹脂凸版印刷版の版面用処理液であって、フッ素系界面活性剤(A)を含有する処理液を包含する。
前記フッ素系界面活性剤(A)及びその好ましい態様は上記のとおりである。
本実施の形態の処理液は、フッ素系界面活性剤(A)を感光性樹脂凸版印刷版に適度に浸透させるため、水および/または水に可溶な溶媒を含有することが好ましい。このような溶媒の好適な例は上記のとおりである。溶媒として現像工程で用いられる現像液を用いる場合には、処理液は現像液としての機能も兼ねる。
版面用処理液の濡れ性の観点から、処理液中のアルコールの含有量は20wt%以上95wt%以下であることが好ましく、より好ましくは、アルコールの含有量が30wt%以上80wt%以下、更に好ましくはアルコールの含有量が40wt%以上60wt%以下である。
版面用処理液中のフッ素系界面活性剤(A)の濃度は、版面への付着性の点から0.05wt%〜50wt%であることが好ましい。処理液が現像液としての機能を兼ねる場合、フッ素系界面活性剤(A)の濃度は0.01wt%〜5wt%であることが好ましい。
フッ素系界面活性剤(A)を含有する処理溶液には、上記フッ素系界面活性剤(A)の他、各種界面活性剤を添加して用いることもできる。必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤あるいは防腐剤等の添加剤を加えてもよい。
フッ素系界面活性剤(A)を含有する処理溶液は、ラジカル開始剤を含有することも可能である。なお、ラジカル開始剤は、溶液を付着させる感光性樹脂凸版印刷版に含まれていてもよい。ラジカル開始剤は後処理工程でラジカルを発生する開始剤であり、活性光線源でラジカルを発生する光開始剤や熱でラジカルを発生する熱開始剤が挙げられる。
光重合開始剤には公知の各種のものを用いることができるが、各種の有機カルボニル化合物、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。光開始剤の具体例としては、以下のものに限定されないが、ベンゾフェノン;4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;t−ブチルアントラキノン;2−エチルアントラキノン;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9−フェニルアクリジン;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、熱開始剤には公知の各種のものを用いることができるが、アゾ化合物や過酸化物などの化合物が好適である。生産性・コストの点から光開始剤を用いる方が好ましい。
以下、実施例および比較例により、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
溶剤現像型の未露光の感光性樹脂凸版印刷原版AFP−SH(旭化成ケミカルズ製、商品名、厚み1.14mm用、スチレンを主体とする重合体ブロックとブタジエンを主体とする重合体ブロックを含む数平均分子量10万の熱可塑性エラストマーを含有する)のカバーシートをはぎとり、感光性樹脂層の上にある保護膜層の上にネガフィルムを密着させ、AFP−1500露光機(旭化成ケミカルズ製、商品名)上で370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、まず支持体側から800mJ/cmの全面露光を行なった後、引き続きネガフィルムを通して5000mJ/cmの画像露光を行なった。このときの露光強度をオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いて、バック露光を行う側である下側ランプからの紫外線をガラス板上で測定した強度は4.0mW/cm、レリーフ露光側である上側ランプからの紫外線を測定した強度は7.8mW/cmであった。
ネガフィルムの画像は、100・133・150lpi各線数で1・2・3・5・10・30・50・60・70・80・90・95%・ベタ部の網点を含むものを使用した。
次に、ソルビット(マクダーミッド社製、商品名、炭化水素類60wt%・水可溶性の脂肪族アルコール40wt%の混合有機溶剤、沸点155〜205℃)にノニオン系のフッ素系界面活性剤であるSurflon S386(AGCセイミケミカル製、商品名)を0.5wt%添加した混合溶液を現像液として、クイックライン912現像機(旭化成ケミカルズ製、商品名)を用いて、液温30℃で現像を行った。
現像直後は、版が現像液に膨潤しているため、後露光の前に、60℃で1時間乾燥した後に、ALF−200UP後露光機(旭化成ケミカルズ製、商品名)を用いて、254nmに中心波長をもつ殺菌灯を用いて版表面全体に、2000mJ/cm、続いて紫外線蛍光灯を用いて1000mJ/cmの後露光を行って感光性樹脂凸版印刷版を得た。なお、ここで殺菌灯による後露光量は、MO−2型機のUV−25フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて測定された照度から算出したものである。
またSurflon S386の酢酸エチル0.1質量(wt)%の溶液を調製し、ウィルヘルミー法(使用装置:協和界面科学株式会社製CBVP−A3型)により、25℃の室温で表面張力(mN/m)を測定したところ、22.9mN/mであった。
(実施例2)
ソルビットにノニオン系のフッ素系界面活性剤Surflon SC101(AGCセイミケミカル製、商品名)を0.5wt%添加した混合溶液を現像液とした以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂凸版印刷版を得た。
またSurflon SC101の酢酸エチル0.1質量(wt)%の溶液を調製し、ウィルヘルミー法(使用装置:協和界面科学株式会社製CBVP−A3型)により、25℃の室温で表面張力(mN/m)を測定したところ、21.0mN/mであった。
(実施例3)
ソルビットにノニオン系のフッ素系界面活性剤Surflon S381(AGCセイミケミカル製、商品名)を0.5wt%添加した混合溶液を現像液とした以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂凸版印刷版を得た。
またSurflon S381の酢酸エチル0.1質量(wt)%の溶液を調製し、ウィルヘルミー法(使用装置:協和界面科学株式会社製CBVP−A3型)により、25℃の室温で表面張力(mN/m)を測定したところ、23.5mN/mであった。
(比較例1)
ソルビットに撥インキ成分であるフッ素系共重合体化合物を含む溶液アサヒガードAG−5850(旭硝子製、商品名)を4wt%添加した混合溶液を現像液とした以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂凸版印刷版を得た。
評価方法
(a)版面汚れの実印刷評価
得られた感光性樹脂凸版印刷版を用いて版面汚れの実印刷評価を行った。AI−3型フレキソ印刷機(伊予機械製、商品名)を用いて、インキとして溶剤系のFBキング(藍色、東洋インキ製)を使用し、被印刷体にはコロナ処理された厚さ30umのポリプロピレンフィルム(サントックス社製PA30、商品名)を用いた。アニロックスロールは800lpi(セル容積3.8cm/m)、クッションテープには3M 1020(3M製、商品名)を使用して、200m/分の速度で、5万部の印刷を実施した。評価する感光性樹脂凸版印刷版を製造した際の、ネガフィルムの画像は、100・133・150lpi各線数で1・2・3・5・10・30・50・60・70・80・90・95%・ベタ部の網点を含むものを使用した。刷了前に特に網点部に版面汚れが生じ、印刷をとめなければならない状態になった場合を“C”、刷了はできたがベタ濃度の低下や網点部の太りを生じた場合を“B”、刷了できベタ濃度の低下や網点部の太りも生じなかった場合を“A”とした。A、B、Cの順で好ましい。
(b)撥インキ性の評価(版面汚れのモデル評価)
撥インキ性を模擬的に評価するため、得られた感光性樹脂凸版印刷版のベタ部の接触角を、固液界面解析装置DropMaster500(協和界面科学製、商品名)の液滴法で測定した。温度23℃、相対湿度50%恒温恒湿室内に一日放置した後、解析ソフトウェアは“FAMAS ver1.8.1”を用い、プローブ溶液は精製水、エチレングリコール、ジヨウドメタン(関東化学社製)を用い、上記ソフトウェアに組み込まれているKitazaki−Hataの計算式から版面の表面張力(dyne/cm)を自動算出した。針はステンレス製22G(協和界面科学製)を用いて、吐出時間100ms、吐出電圧4000mV、各プローブ溶液が版に接触後15秒後の接触角を自動測定した値を使用した。
表面張力が低い方が撥インキ性が高く好ましい。
(c)撥インキ性の持続性評価(版面汚れ持続性のモデル評価)
撥インキ性の持続性効果を模擬的に評価するため、得られた感光性樹脂凸版印刷版のベタ部を、印刷用インク及びインククリーナーに用いられる代表的な溶剤、エチルアルコールを含ませた不織布(ベンコットM3、旭化成せんい製、商品名)で、版表面を40回強く擦り、その後温度23℃、相対湿度50%恒温恒湿室内に一日放置した後、(b)と同様の方法で評価した。
(d)紙粉付着防止性評価
印刷中の紙紛離脱性を評価するために、得られた感光性樹脂凸版印刷版を用いて、以下の印刷条件において印刷し、紙粉離脱性の評価を実施した。
AI−3型フレキソ印刷機(伊予機械製、商品名)を用いて、水性インキには、HW571AQP(東洋インキ製、商品名)を使用し、被印刷体には、コート紙パールコート(王子製紙製、商品名)を使用した。アニロックスロールは、600lpi(セル容積3.8cm/m)、クッションテープは、3M1020(3M製、商品名)を使用し、印刷速度は、100m/分で印刷を実施した。
印刷速度が100m/分に達した段階で、幅0.1〜2.0mm、長さ0.1〜2.0mmに裁断したコート紙パールコート0.5gを被印刷体上に散布し、強制的に版面に接触させ、3分後に印刷された印刷物上で紙紛の数を目視で計測した。
評価する感光性樹脂凸版印刷版を、製造した際の、ネガフィルムの画像はベタ部サイズが100×150mmのものを使用した。このベタ部範囲内に紙紛の数が50個以上計測されたものを×、20〜50個計測されたものを△、5〜20個計測されたものを○、5個以下計測されたものを◎とした。計測した紙紛は印刷不良であるので、×より△、△より○、○よりも◎の方が好ましい。
実施例1〜3並びに比較例1における各(a)〜(d)の評価結果を表1に示す。
Figure 0005149748
表1の結果から、露光工程、現像工程および後処理工程を含む感光性樹脂凸版印刷版の製造方法であって、前記後処理工程が、熱処理、活性光源による後露光処理および電子線処理からなる群から選択される処理であり、前記後処理工程以前又は後処理工程中に、前記凸版印刷版の版面に、フッ素系界面活性剤を付着する工程を含む製造方法によって、版面のインキを長期間防止し、紙粉の付着を防止することが確認された。
本実施形態を、特定の実施態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者によって明らかである。
本発明によれば、版面汚れを長期間防止し、紙粉付着を防止する感光性樹脂凸版印刷版の製造方法及びそれに好適な処理液を提供することができる。
本発明の製造方法及び処理液は、感光性樹脂凸版印刷版、例えばフレキソ印刷版用・レタープレス印刷版用・スタンプ版用レリーフ画像の作成、エンボス加工等の表面加工パターンの形成、型取り用パターンの形成、電子部品の導体・半導体・絶縁体パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料パターンの形成、さらには液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成、あるいは、パターンを形成しないインキ転写用ブランケットまたはアニロックスロールに接して使用されるインキ量調整用ロール等に適した、感光性樹脂凸版印刷版の分野において有用である。

Claims (15)

  1. 露光工程、現像工程および後処理工程を含む感光性樹脂凸版印刷版の製造方法であって、前記後処理工程が、熱処理、活性光源による後露光処理および電子線処理からなる群から選択される処理であり、
    前記後処理工程前又は後処理工程中に、前記凸版印刷版の版面に、フッ素系界面活性剤(A)を付着させる工程を含む製造方法。
  2. 前記現像工程における現像が溶剤現像である請求項に記載の製造方法。
  3. 前記フッ素系界面活性剤(A)の、酢酸エチル0.1wt%溶液における表面張力が25mN/m以下である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記フッ素系界面活性剤(A)の付着を、現像工程の後であって、後処理工程の前に行う請求項1〜3いずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記フッ素系界面活性剤(A)を溶媒に溶解して付着する請求項1〜いずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記現像工程における現像が、前記フッ素系界面活性剤(A)を含有する現像液を用いて行う溶剤現像である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記フッ素系界面活性剤(A)が、ノニオン系フッ素系界面活性剤である請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記溶媒が、水および/または水に可溶な溶媒である請求項に記載の製造方法。
  9. 前記感光性樹脂凸版印刷版が、少なくとも共役ジエンを主体とする第1の重合体ブロック、およびビニル芳香族炭化水素を主体とする第2の重合体ブロックを含むブロック共重合体を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記感光性樹脂凸版印刷版がフレキソ印刷用感光性樹脂版である請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により製造される、感光性樹脂凸版印刷版。
  12. 感光性樹脂凸版印刷版の版面用処理液であって、フッ素系界面活性剤(A)を含有する処理液。
  13. 前記フッ素系界面活性剤(A)が、ノニオン系フッ素系界面活性剤である請求項12に記載の処理液。
  14. 水および/または水に可溶な溶媒を含有する請求項12または13に記載の処理液。
  15. 前記フッ素系界面活性剤(A)の、酢酸エチル0.1wt%溶液における表面張力が24mN/m以下である請求項12〜14のいずれか一項に記載の処理液。
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