JP5146466B2 - ペンタフルオロエタンの製造方法 - Google Patents

ペンタフルオロエタンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はペンタフルオロエタン(以下、HFC−125とも言う)の製造方法に関し、より詳細にはテトラクロロエチレン(またはパークロロエチレン、以下、PCEとも言う)からHFC−125を製造する方法に関する。
ペンタフルオロエタン(HFC−125)はオゾン層を破壊するCFC、HCFCなどに替わる重要な物質として、例えば冷媒、混合冷媒(R−410A、R−407C、R−404A)、発泡剤および噴射剤などに広く使用されている。
HFC−125の製造方法は多数知られているが、それらの中でも、出発物質にテトラクロロエチレン(PCE)を用いて触媒存在下にて気相一段でフッ素化してHFC−125を得る方法が商業的に有利な製造法として現実的である。
このようなフッ素化反応においては、触媒の劣化を抑制するために反応系に酸素を添加することが知られている(特許文献1〜4を参照のこと)。以下、従来の製造方法についてより詳細に説明する。
特許文献1には、クロムの酸化物、ハロゲン化物およびオキシハロゲン化物を包含する種々の触媒を用い得ること、そして酸化クロムの触媒活性を維持するために少量の酸素を供給することが好ましいと記載されており、酸素供給量は、反応器に供給する全有機物に対して約0.01〜30mol%が好ましく、より好ましくは約0.05〜20mol%、更に好ましくは約0.1〜10mol%であるとされている。
特許文献2には、フッ化アルミニウム担体上にニッケルおよびクロムの酸化物、ハロゲン化物および/またはオキシハロゲン化物を担持させた混合触媒を用いること、および触媒を汚し得る条件下では、低濃度の酸素を反応体と一緒に導入することが賢明であると記載されており、酸素供給量は、有機反応体に対して約0.02〜5mol%であり得るとされている。
特許文献3には、クロムの酸化物、ハロゲン化物およびオキシハロゲン化物を包含する種々の触媒を用い得ること、少量の酸素を反応種と共に導入することが賢明であると記載されており、酸素供給量は、反応器に導入するガス混合物に対して0.02〜1mol%であり得るとされている。特許文献3では、HF/PCEモル比は20以上とされているので、この酸素供給量は、PCEに対して0.42〜21mol%以上となる。
特許文献4では、従来用いられている酸化クロム系触媒では、酸素を添加すると副生成物が生じて、目的物質が選択的に得られず、しかも触媒活性を長時間維持するのは困難であるとして、非クロム系触媒を利用することが提案されている。特許文献4には、提案している非クロム系触媒に対して触媒活性維持のためにPCEに対して0.1〜10vol%の酸素を添加することが好ましいと記載され、PCEに対して2.5vol%、4vol%および5vol%の酸素を添加した実施例および比較例が記載されている。更に特許文献4によると、長時間でのPCEのフッ素化における実施例ではHFC−125はほとんど生成しておらず、主生成物はHCFC−122あるいはHCFC−123となっている。従って、特許文献4は実質的にPCE原料から気相一段でHFC−125を製造する方法ではない。
米国特許第5545778号明細書 特開平6−247884号公報 米国特許出願公開第2007/0129581号明細書 特開平5−97725号公報 国際公開第96/11176号パンフレット 特開平5−146680号公報 特開平11−171806号公報
クロム系触媒を用いた従来の製造方法では、反応系に酸素を添加すると、触媒の劣化を抑制できるものの、望ましくない副生成物が多く生成し、また触媒活性も低下するという難点があった。
より詳細には、酸素がフッ素化反応で生成した塩化水素と反応して水と塩素とを生じ(オキシクロリネーション:O+4HCl→2HO+2Cl)、この塩素による塩素化副生成物として、例えばCFC−115(CClFCF)、CFC−114a(CClFCF)およびCFC−113a(CClCF)が生じ得る。特にCFC−115は、目的物質であるHFC−125と沸点が近いため、CFC−115を除去するには抽出蒸留など通常の蒸留以外の方法で行わなければならないという不都合がある。また、酸素を添加すると、酸素による分解副生成物としてHFC−23(CHF)およびCOが生じ得る。
更に、酸素を添加すると、触媒の活性が低下するため、PCEの転化率が低下し、未反応のPCEが多量に残ることになり、この結果得られる反応混合物(ガス混合物)はPCEを含むため、凝縮するとHF相(上相)と有機物相(下相)に分液する。よって、連続操作において未反応の原料および目的物質を生じ得る中間体を原料として再利用するには、このように分液した2相を別個にリサイクルしなければならず、工程が複雑になる。具体的には、例えば特許文献1の実施例では、アモルファスCr触媒を用い、反応系に酸素をPCEに対して2mol%(実施例1、原料:PCE)または有機物に対して1mol%(実施例2〜4、原料:PCE(30wt%)およびHCFC−123(CClHCF)(70wt%)、よってPCEに対して約3.5mol%)の量で添加して、PCE転化率が約67〜82%となっており、反応混合物中にPCEが多量に残留する。上記のような分液を避けるためには、反応混合物からPCEを分離することが考えられるが(特許文献5を参照のこと)、プロセスの複雑化とコストアップを招くという難点がある。
本発明の目的は、PCEを触媒の存在下にてHFと気相で反応させてHFC−125を得るHFC−125の製造方法であって、高いPCE転化率を得ながらも、触媒の劣化を抑制しつつ、望ましくない副生成物の生成を低減でき、かつ触媒活性を長期に亘って高く維持できる方法を提供することにある。
本発明者らは、フッ素化反応に用いる触媒と酸素添加量について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明の1つの要旨によれば、テトラクロロエチレン(PCE)を触媒の存在下にてHFと気相で反応(以下、「フッ素化反応」とも言う)させてペンタフルオロエタン(HFC−125)を得るペンタフルオロエタンの製造方法において、触媒として酸化フッ化クロムを反応器に配置し、テトラクロロエチレンと共に酸素をテトラクロロエチレンに対して0.4〜1.8mol%の割合で反応器に供給することを特徴とする製造方法が提供される。
本発明においては、種々のフッ素化触媒のなかでも特に酸化フッ化クロムを用い、かつ、酸素供給量として極めて低い所定範囲(即ちPCEに対して0.4〜1.8mol%)を選択しており、本発明者らは、これによって、高いPCE転化率を得ながらも、触媒の劣化を抑制しつつ、望ましくない副生成物の生成を低減でき、かつ触媒活性を長期に亘って高く維持できるという格別の効果が得られることを見出した。PCEに対する酸素供給量が0.4mol%より低くなると、PCE転化率は反応時間の経過とともに低下し、触媒の劣化速度が大きくなる。また、PCEに対する酸素供給量が1.8mol%より高くなると、触媒活性が低下してPCE転化率が低下し、望ましくない副生成物の生成量も増加する。このようなフッ素化触媒と酸素供給量の組み合わせは従来知られておらず、かつ、このように低い範囲の酸素供給量を現実的に使用して顕著な効果を奏し得ることは従来にない本発明者ら独自の知見によるものである。本発明によれば、高いHFC−125選択率およびPCE転化率を長期に亘って維持することが可能となる。
本発明の製造方法において、テトラクロロエチレンおよびHFを、テトラクロロエチレンに対するHFのモル比を20以上として反応器に供給することが好ましい。
フッ素化反応は、例えば約310〜380℃の温度で実施することができる。これにより、PCEからHFC−125を生じる反応を気相一段にて効率的に進行させることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、任意の適切な反応条件(温度、圧力および接触時間を含む)が適用され得る。
本発明の1つの態様においては、反応器より得られる反応混合物からペンタフルオロエタンおよび塩化水素を含むフラクションを分離し、その残余全部を反応器に戻し得る。本発明によれば、極めて高いPCE転化率を達成できるので、反応混合物が分液せず、よって、反応混合物から、例えば蒸留操作などで、ペンタフルオロエタンおよび塩化水素を含むフラクションとそれ以外のリサイクルするフラクションとに簡便に分離することができる。
本発明によれば、種々のフッ素化触媒のなかでも特に酸化フッ化クロムを用い、かつ、酸素供給量として極めて低い所定範囲(即ちPCEに対して0.4〜1.8mol%)を選択することにより、高いPCE転化率を得ながらも、触媒の劣化を抑制しつつ、望ましくない副生成物の生成を低減でき、かつ触媒活性を長期に亘って高く維持できる。このような本発明によれば、高いHFC−125選択率およびPCE転化率を長期に亘って維持することが可能となる。
本発明の1つの実施形態におけるHFC−125の製造方法を説明するためのプロセス概略図である。 図1の改変例を説明するためのプロセス概略図である。
符号の説明
1、5、9、11、13、17、19 ライン
3 反応器
7 蒸留塔
15 凝縮器
本発明の1つの実施形態におけるHFC−125の製造方法を図面を参照しながら以下に詳述する。
まず、フッ素化反応の触媒として酸化フッ化クロム触媒を準備する。酸化フッ化クロムは、酸化クロムをHF(一般的に無水フッ化水素)によりフッ素化することにより得ることができる。例えば特許文献6に記載された方法によって調製することができる。この酸化フッ化クロム触媒は、好ましくはアモルファス(非晶質)状態であり、かつクロムの平均原子価数が+3.5〜+5.0である。アモルファス状態は、例えばX線回折測定において特定の結晶構造に帰属する回折ピークが存在しないことにより認めることができる。クロムの平均原子価数は、組成分析や磁化率測定により特定でき、より好ましくは+3.6〜4.8、更に好ましくは4.0〜4.5である。また、この酸化フッ化クロム触媒は、例えば約25〜130m/gの表面積(BET法による)を有し得る。このような触媒は、任意の適切な金属元素、例えばインジウム、ガリウム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素が添加されていてもよく、これに加えて、カドミウム、マグネシウムおよびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素が更に添加されていてもよい。このような触媒には、例えば特許文献7に記載されるような酸化フッ化クロム触媒が含まれる。
図1を参照して、この酸化フッ化クロム触媒を反応器3に配置する。一般的には触媒は反応器3に充填される。反応器3には任意の適切なものを使用してよい。例えば断熱反応器や、あるいは熱媒体を用いて除熱される多管型反応器などであり得る。また、反応器3は、少なくともその内表面がフッ化水素の腐食作用に抵抗性のある材料、例えばハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)およびモネル(MONEL)などで構成されていることが好ましい。
そして、酸化フッ化クロム触媒が配置された反応器3に、テトラクロロエチレン(PCE)、フッ化水素(HF)および酸素(O)をガス状態でライン1より供給する。HFは、通常、無水フッ化水素の形態で供給される。酸素は、酸素単独の形態、または酸素を含むガス(例えば空気)の形態のいずれで供給してもよい。尚、PCE、HFおよび酸素は、反応器3に別個に供給してもよい。
PCEおよびHFは、PCEに対するHFのモル比(HF/PCE)が好ましくは約20以上、より好ましくは約20〜30となるようにして供給される。
酸素の供給量は、PCEに対して0.4〜1.8mol%、好ましくは0.4〜1.5mol%とする。
この反応器3内において、PCE(CCl=CCl)が酸化フッ化クロム触媒の存在下にてHFと気相で反応し(フッ素化反応)、HCFC−122(CClHCClF)、HCFC−123(CClHCF)およびHCFC−124(CClFHCF)を経て、目的物質であるHFC−125(CFHCF)を生じる。
反応温度は、例えば約310〜380℃であり得、好ましくは約320〜360℃である。また、反応圧力は、例えば約0.1MPa〜2.0MPaであり得、好ましくは加圧下、例えば約0.3〜0.4MPaである。しかし、本実施形態はこれに限定されず、例えば常圧下にて実施してもよい。尚、反応温度および反応圧力はそれぞれ反応器3内の温度および圧力とする。
反応器3に供給した原料ガス(反応体)と触媒との接触時間は、例えば約6〜30秒であり得、好ましくは約8〜15秒である。尚、本明細書において「接触時間」は、反応器3内の触媒部分(触媒床)の空隙率を100%と仮定して、反応器に供給した原料ガスが標準状態(0℃、1atm(=0.1013MPa))において触媒部分(触媒床)を通過するのに要する時間とする。
上記反応器3よりライン5を通じて、フッ素化反応後の反応混合物(ガス混合物)が得られる。本実施形態においてフッ素化反応は気相一段にて連続的に実施される。
これにより得られた反応混合物は、目的物質であるHFC−125およびフッ素化反応の副生成物である塩化水素(HCl)を含んで成り、更に、未反応のHFならびに中間体であるHCFC−124およびHCFC−123などを含み得る。
上記フッ素化反応はPCE転化率が高く、好ましくは約95%以上とし得る。このため、本実施形態により得られた反応混合物中にはPCEは殆ど含まれない。
また、上記フッ素化反応は、反応条件にもよるものの、目的物質であるHFC−125選択率が高く、本プロセスはHFC−125の製造方法として好適である。
フッ素化反応の間にはHFC−125以外の生成物も生じ得る。HFC−125以外の生成物のうち、更にHFと反応することによりHFC−125を生じ得るものを「中間体」と言い、HFC−125を生じ得ないものを「望ましくない副生成物」と言うものとする。生じる可能性があり得る中間体としては、HCFC−124(CClFHCF)、HCFC−124a(CClFCFH)、HCFC−123(CClHCF)、HCFC−123a(CClFHCClF)、HCFC−122(CClHCClF)、CFC−1111(CClCClF)、およびCFC−1112a(CClCF)が挙げられる。また、生じる可能性があり得る望ましくない副生成物としては、HCFC−133a(CClHCF)、HFC−134a(CFHCF)、CFC−115(CClFCF)、CFC−114a(CClFCF)、CFC−113a(CClCF)、HFC−23(CHF)、およびCOが挙げられる。
本実施形態により得られる反応混合物中に含まれるHFC−125以外の生成物は、主に中間体、とりわけHCFC−124およびHCFC−123である。目的物質および中間体の選択率の合計は極めて高く、特にHFC−125、HCFC−124およびHCFC−123の選択率の合計は、好ましくは約95mol%以上とし得る。
他方、本実施形態にて得られる反応混合物中には、望ましくない副生成物はほとんど含まれていない。望ましくない副生成物の選択率の合計は、好ましくは約5mol%未満とし得る。
以上のようにして得られた反応混合物は、上述したようにPCEを殆ど含まないので、相分離(分液)せず、そのまま蒸留塔7に供給できる。
蒸留塔7にて反応混合物は適当な条件下にて蒸留操作に付され、塔頂よりライン9を通じて第1フラクションが分離され、これは低沸点成分であるHFC−125およびHClから実質的に成っている。得られたフラクションは、例えば水洗などによりHClを除去して、HFC−125を得ることができる(図示せず)。この第1フラクションは、HFC−125およびHClに加えて、存在し得る他の低沸点成分、例えば反応器3に供給した酸素ならびに副生成物であるHFC−134a、HFC−23、COおよびCFC−115も含み得る。しかしながら、供給する酸素量は従来の方法に比べて少なく、よって酸素量に依存する副生成物の生成量も少ないため、第1フラクションに含まれるこれら他の低沸点成分の総量は少量である。また、これら他の低沸点成分は、CFC−115を除いて、必要に応じて後工程にて容易に蒸留分離することができ、かつ分離しなければならないこれら低沸点成分と酸素の量は少ないため、蒸留に要するエネルギーコストおよびその際に生じるHFC−125のロスを低減することができる。尚、CFC−115は従来の方法に比べて少量しか生成しないが、所望であれば、抽出蒸留により除去してよい。
他方、蒸留塔7の塔底よりライン13を通じて第2フラクションが得られ、これは高沸点成分であるHFから実質的に成っている。また、蒸留塔7の中段よりライン11を通じて第3フラクションが得られ、これはHCFC−124、HCFC−123およびHFより実質的に成っている。第2フラクションおよび第3フラクションは、反応混合物からHFC−125およびHClを含んで成る第1フラクション(低沸点成分フラクション)を分離した残余に該当し、これら全部を反応器3に戻してよい(図中に点線にて示す)。これにより、未反応のHF、HCFC−124およびHCFC−123をフッ素化反応に再利用できる。このとき、第2フラクションおよび/または第3フラクションは、CFC−113a、CFC−114aおよびHCFC−133aも含み得、これらも共に反応器3へと戻されるが、リサイクルされるうちにCFC−113aおよびCFC−114aはやがてCFC−115へ、またHCFC−133aはやがてHFC−134aへとフッ素化されて、蒸留塔7の塔頂よりライン9を通じて第1フラクションとして分離でき、反応混合物中に濃縮されないことが本発明者らにより分かった。このため、反応混合物から第1フラクションを分離した残余全部、即ち第2フラクションおよび第3フラクションの全てを反応器3へ戻すことができる。
以上、本発明の1つの実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の改変が可能である。例えば、図2に示すように、反応器3と蒸留塔7との間に凝縮器15を設け、反応器3からライン5を通じて得られた反応混合物(ガス混合物)を凝縮器15にて凝縮させて、非凝縮性フラクションと凝縮性フラクションとに分離してよい。非凝縮性フラクションは低沸点成分であるHFC−125およびHClから実質的に成っており、反応混合物からライン17を通じて分離される。その残余である凝縮性フラクションはライン19より蒸留塔7に供給され、上述の蒸留操作に付される。これにより、蒸留操作に先立ってHFC−125およびHClをある程度除くことができ、蒸留塔7への負荷を低減することができる。
(実施例1)
酸化クロムにフッ素化処理を施して得られた酸化フッ化クロム触媒69.0g(フッ素含有量約15.0wt%)を、内径20mmおよび長さ1mの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応器を0.32MPaおよび350℃に維持し、HF(無水フッ化水素)を357cc/minで反応器に供給し、その供給開始から1時間後にPCE(実質的に純粋なテトラクロロエチレン)を17cc/minで、および酸素(O)を0.136cc/minで同時に反応器に供給した。よって、PCEに対するHFのモル比(HF/PCE)は21であり、PCEに対する酸素の供給量は0.8mol%であった。HFおよび酸素の供給開始時点を反応開始とした。接触時間は11.1秒であった。反応器から流出する反応混合物をオンライン型ガスクロマトグラフを使用して分析した。表1に反応開始から71時間後と1093時間後の分析結果を示す。
(実施例2)
触媒充填量を70.0gとし、反応管を約0.25MPaおよび350℃に維持し、HFの供給量を405cc/min、PCEの供給量を15cc/min、酸素の供給量を0.225cc/minとし、よって、PCEに対するHFのモル比が27であり、PCEに対する酸素の供給量が1.5mol%であったこと、および接触時間を10秒としたこと以外は、実施例1と同様とした。表1に反応開始から96時間後と2318時間後の分析結果を示す。
(実施例3)
触媒充填量を63.0gとし、反応管を0.1MPa(大気圧)および359℃に維持し、酸素の供給量を0.06cc/minとし、よって、PCEに対する酸素の供給量が0.4mol%であったこと、および接触時間を9秒としたこと以外は、実施例2と同様とした。表1に反応開始から70時間後と1460時間後の分析結果を示す。
(実施例4)
触媒充填量を77.0gとし、反応管を0.25MPaおよび329℃に維持し、酸素の供給量を0.09cc/minとし、よって、PCEに対する酸素の供給量が0.6mol%であったこと、および接触時間を11秒としたこと以外は、実施例2と同様とした。表1に反応開始から94時間後と779時間後の分析結果を示す。
(実施例5)
中間体のHCFC−123およびHCFC−124をリサイクルする場合を想定して実験を行った。本実施例ではPCEだけでなく、PCE、HCFC−123およびHCFC−124を有機物原料とし、PCE/HCFC−124/HCFC−123の比をおよそ62/28/10(mol%)として用いた。
触媒充填量を76.3gとし、反応管を約0.16MPaおよび350℃に維持し、HFの供給量を432cc/minとしたこと、PCEと同時にHCFC−124およびHCFC−123を供給して、PCEの供給量を16cc/min、HCFC−124の供給量を7.2cc/min、HCFC−123の供給量を2.6cc/minとしたこと、酸素の供給量を0.16cc/minとしたこと、よって、PCEに対するHFのモル比が27であり(尚、有機物原料全体に対するHFのモル比は約16.7である)、PCEに対する酸素の供給量が1.0mol%であったこと、および接触時間を10秒としたこと以外は、実施例1と同様とした。表1に反応開始から72時間後と1087時間後の分析結果を示す。
Figure 0005146466
表1を参照して、実施例1〜5によれば、極めて高いPCE転化率および目的物質・中間体選択率(特に高いHFC−125選択率)、ならびに低い望ましくない副生成物選択率が長期に亘って、例えば750時間、更には1000時間、また更には2000時間を超えて、維持されたことがわかった。このことは、HFC−125の製造方法として好ましいことを示唆している。
(比較例1)
触媒充填量を66.0gとし、反応管を約0.15MPaおよび350℃に維持し、HFの供給量を378cc/min、PCEの供給量を18cc/minとし、よって、PCEに対するHFのモル比が21であったこと、酸素は供給しなかったこと、および接触時間を10秒としたこと以外は、実施例1と同様とした。表2に反応開始から49時間後と611時間後の分析結果を示す。
(比較例2)
反応管を0.1MPaおよび346℃に維持し、PCEと同時に酸素を供給したこと、酸素の供給量を0.036cc/minとし、よって、PCEに対する酸素の供給量は0.2mol%であったこと以外は、比較例1と同様とした。接触時間は10秒とした。表2に反応開始から74時間後と691時間後の分析結果を示す。
(比較例3)
反応管を0.1MPaおよび355℃に維持し、PCEと同時に酸素を供給したこと、酸素の供給量を0.36cc/minとし、よって、PCEに対する酸素の供給量は2.0mol%であったこと以外は、比較例1と同様とした。接触時間は10秒とした。表2に反応開始から74時間後と701時間後の分析結果を示す。
(比較例4)
反応管を0.1MPaおよび359℃に維持し、PCEと同時に酸素を供給したこと、酸素の供給量を0.54cc/minとし、よって、PCEに対する酸素の供給量は3.0mol%であったこと以外は、比較例1と同様とした。接触時間は10秒とした。表2に反応開始から73時間後と673時間後の分析結果を示す。
Figure 0005146466
表2を参照して、酸素供給を行わなかった比較例1およびPCEに対する酸素供給量を0.2mol%とした比較例2では反応開始後700時間足らずでPCE転化率が80%台にまで低下した。よって、PCEに対する酸素供給量0〜0.2%では、反応時間が経過するに従いPCE転化率が大きく低下し、触媒活性を長期に亘って維持することができないことが理解される。
PCEに対する酸素供給量をそれぞれ2.0mol%および3.0mol%とした比較例3および4では、反応開始後700時間程でPCE転化率が92〜93%程度に低下した。また、比較例3および4では、副生成物の選択率が高かった。よって、PCEに対する酸素供給量2.0%以上としても、触媒劣化を抑制する効果は上がらず、かえって触媒活性を低下させる上、副生成物の生成量が増加するのみであることが理解される。
本発明によってペンタフルオロエタンを製造でき、これは、例えば冷媒、混合冷媒、発泡剤および噴射剤などに利用可能である。

Claims (3)

  1. テトラクロロエチレンを触媒の存在下にてHFと気相で反応させてペンタフルオロエタンを得るペンタフルオロエタンの製造方法において、触媒として酸化フッ化クロムを反応器に配置し、テトラクロロエチレンおよびHFを、テトラクロロエチレンに対するHFのモル比を20以上として反応器に供給し、テトラクロロエチレンおよびHFと共に酸素をテトラクロロエチレンに対して0.4〜1.8mol%の割合で反応器に供給することを特徴とする製造方法。
  2. 反応を310〜380℃の温度で実施する、請求項に記載の製造方法。
  3. 反応器より得られる反応混合物からペンタフルオロエタンおよび塩化水素を含むフラクションを分離し、その残余全部を反応器に戻す、請求項1または2に記載の製造方法。
JP2009546188A 2007-12-14 2008-11-12 ペンタフルオロエタンの製造方法 Active JP5146466B2 (ja)

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