JP5140287B2 - クラフトパルプの漂白方法 - Google Patents

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本願発明は、オゾン漂白工程を含む多段ECF漂白クラフトパルプの製造方法において、漂白排水のCODと色度の負荷を低減することを目的とするクラフトパルプの漂白方法に関する。
漂白クラフトパルプの製造方法は、従来、蒸解・酸素脱リグニン後に、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水素などの酸化剤を組合わせて漂白していたが、環境問題がクローズアップされ、有機塩素化合物やクロロホルムの発生を防止する方法として、塩素や次亜塩素酸塩を用いない、いわゆるECF(Elemental Chlorine Free)漂白方法が採用されてきた。塩素の代替薬品としては、オゾン、二酸化塩素が用いられ、次亜塩素酸塩に代えて過酸化水素、二酸化塩素が用いられれることが多い。
オゾン化のECF漂白において、特開2002−69879号公報(特許文献1)では、オゾンと二酸化塩素による漂白工程の間で、パルプの洗浄を行わずに稀釈水を添加する方法を提案している。蒸解後のクラフトパルプは、酸素脱リグニン(Oと略す)の有無にかかわらずpH約3.0に調製してオゾン(Zと略す)との反応を行って、洗浄を行わず二酸化塩素(Dと略す)を添加しZD段を実施している。二酸化塩素との反応後のpHが3.5〜5.0の範囲になるように二酸化塩素を添加する前にアルカリを添加し、オゾン化後のパルプのpHを調製している。ZD段またはO−ZD段後に他の漂白段を組合わせることが可能で漂白シーケンスは次の例となり、いずれもアルカリ抽出段を必要とする。O−ZD−E−D、O−ZD−E/P−D、ZD−E−D、ZD−E/P−D。(E:アルカリ抽出;P:過酸化水素;−:洗浄段)。
また、特開2004−137653号公報(特許文献2)では蒸解・酸素脱リグニン後の未晒クラフトパルプをpH2.5以下で酸処理(Aと略す)後、高濃度オゾン段を行って次いでアルカリ抽出段、過酸化水素、二酸化塩素等を組合わせる方法を提案している。本先行例においてもアルカリ抽出段を必要とする。このECF漂白工程のシーケンスは、A−Z−E−D、A−Z−Eo−D、A−Z−E−D−P、A−Z−Eo−D−P、A−Z−E−D−D、A−Z−Eo−D−D、A−Z−E−P−Dなどが挙げられる。
先行特許で開示されている上記のような方法によれば、漂白の効率改善の効果は得られるが、特開2004−50124号公報に示されているように、漂白排水は低分子化したリグニン分解物やセルロースパルプ分解物を含有しているため、CODやBODが高く、また着色している。漂白排水の中では、アルカリ抽出段から排出される排水は他の漂白段の排水より多くのリグニン分解物を含有しているため、CODやBODが高く、排水の色度も特に高い、という問題がある。
一般に、製紙工場での排水の処理方法としては、単純沈降分離処理(微細繊維などの汚濁物質除去)、生物処理(曝気層での微生物によるBOD除去)、凝集沈降分離処理(微生物や浮遊懸濁物質を凝集薬品により凝集させて分離除去)、砂ろ過などを組合わせ、複数段による処理を行って、COD・BOD・SSなどの汚濁物質の低減を図っている。また、処理後の排水の一部は、製品への影響を及ぼさない範囲で、パルプの洗浄や古紙処理工程などで再利用し、用水量即ち排水量の抑制を図っている。ECF漂白排水の最近の処理方法において、排水の着色及びCOD負荷の低減の問題を解決する方法として、下記の方法が提案されている。
ECF漂白工程からのアルカリ抽出段排水単独(E段)、あるいは酸素を併用したアルカリ抽出段排水(Eo段)、あるいは酸素と過酸化水素を併用したアルカリ抽出段排水(Eop段)において、クラフトパルプ漂白工程のオゾン漂白段から排出されるオゾン排ガスで処理する。しかし、オゾン漂白段では添加オゾンの95%以上が漂白反応で消費されるため、アルカリ性排水を処理するオゾン量は、オゾン発生装置から取ることが必要となりコストアップを招く。
また、特開2005−219021号公報(特許文献3)には、ECF漂白工程の酸性排水、アルカリ性排水との混合排水に先に生石灰を添加し、次いで塩化第一鉄溶液を添加した後、pH8〜12に調製する処理方法が開示されているが、生石灰の添加により処理設備のスケール問題が発生し、あるいは生石灰による沈殿物質(排水処理工程のスラッジ)が増加し、あるいは系外(河川・海など)に排出される排水中のSS分が急増する恐れが充分にある。その上、消石灰、塩化第一鉄の薬品コストがかかるだけでなく、分離した固形分は通常の焼却処理において、これらの添加薬品は焼却灰となり、灰分の増加や、含有物質による灰の再利用化の妨げとなる、という問題がある。
更に、特許第3759277号(特許文献4)では、石炭ボイラから発生するフライアッシュを添加、混合、沈降分離させるパルプ漂白排水、あるいは特開2005−334873号公報(特許文献5)ではボイラまたは償却炉からの排出される灰をECF漂白工程による排水に添加した後、活性汚泥処理することなどが開示されている。しかし、これらの灰の処理方法は、バッチ方式で行うため経済性が悪い。また、灰中の金属物質の溶出を防止するために、処理する排水のpHを8以上に調整しなければならず、また最終的に灰を分離するために、脱水、燃焼処理量が増加し、また灰が繰り返し燃焼によって溶融化するなど、処理コスト、再利用の点で問題がある。
特開2002−069879号公報 特開2004−137653号公報 特開2005−219021号公報 特許第3759277号公報 特開2005−334873号公報
本願発明者は、製紙工場のクラフトパルプの漂白工程から発生している漂白排水中のCOD・色度の負荷を低減することを課題とし、上記の排水処理技術の問題点を注目して鋭意調査・研究の結果、本願発明を達成するに至った。
本願発明者の調査によると、クラフトパルプの漂白排水、特に酸性排水の分子量(<1000)に比べアルカリ性排水の分子量(1000〜5000)の方が分子量が高く、また、前者の単離されたリグニン(分子量<1000)より後者の単離されたリグニンの方が分子量(1000〜10000)が高いことを見出した。
これらのことから、漂白過程で溶出されたリグニン分解物質の中でも、アルカリ抽出排水のCOD・色度が排水負荷上昇の主な原因であることを知見した。
本願発明は、このような知見にもとづいて、クラフトパルプのオゾン多段ECF漂白工程において、高いCOD・色度を示すアルカリ性漂白排水を排出するアルカリ抽出段を省略し、漂白工程を簡素化するとともに、漂白排水のCOD・色度の負荷を低減するオゾン多段漂白方法を提供するものである。
また、本願発明者の調査では、従来の塩素漂白の反応メカニズムによると、塩素との置換反応、付加反応等を通じてクラフトパルプの残存リグニンは塩化される。この塩化クラフトリグニンは水溶性が悪く、次のアルカリ抽出段にて溶解・抽出される。従って、塩素漂白では、塩素漂白段の後にアルカリ抽出段を設けることが必要となる。一方、オゾン漂白の反応機構によればオゾンが、クラフトリグニンの芳香環を開環し、ムコン酸を生成する。このムコン有機酸は水に溶解されるためオゾンECF漂白ではアルカリ抽出段を省略しても漂白が可能であることを見出した。
クラフト蒸解工程において蒸解されたパルプは、洗浄を行い、アルカリ酸素脱リグニン工程を経て、洗浄・脱水の装置で洗浄・脱水した後、多段ECF漂白工程に移行する。この場合、未晒パルプ中のヘキセンウロン酸の含有量が高いと、洗浄機のスクリーン等の漂白設備で蓚酸カルシウム・炭酸カルシウム等のスケールが発生したり、漂白パルプの退色性が悪化したりするという問題があるため、多段ECF漂白を行う前に酸素脱リグニン後のパルプに硫酸溶液を添加して、酸処理槽で酸処理する。酸処理したパルプスラリーは、洗浄・脱水の装置にてパルプと排水を分離し、パルプはその後の多段漂白工程に流送する。
本願発明の実施例にかかるアルカリ抽出段を設けない多段ECF漂白工程においては、オゾン段と二酸化塩素段の組合せからなり、好適には、初段のオゾン段と後段の二酸化塩素段、過酸化水素段との組みあわせ、更には、酸処理段を設けることができる。
漂白クラフトパルプ生産過程では精選工程が重要で多段ECF漂白のオゾン段は未晒パルプ中のヘキセンウロン酸を分解して蓚酸を生成する。この蓚酸は水・パルプ中のカルシウムとの反応を行い、蓚酸カルシウムのスケールが発生して精選工程のスクリーン、配管等に付着し、パルプの減産の原因となる。一方、酸処理工程はヘキセンウロン酸を分解してフロン酸等を発生するため、蓚酸カルシウムのスケールトラブ−ルを解放するという役割である。
したがって、多段ECF漂白のオゾン段の前に酸処理工程を設けない場合、未晒パルプ中のヘキセンウロン酸が添加オゾンの一部を消費してパルプ中の残存リグニンのために作用するオゾン分が少なくなり、漂白効率が低下し、同一最終白色度を得るには後段の薬品添加量が増加し、コストアップになる。
本願発明者の調査結果によると未晒パルプ中の50mmol/kgパルプのヘキセンウ
ロン酸含有量は添加オゾン量の約20%を消費する。

オゾン漂白段でのパルプの分解を最小限にするには、パルプのpHを稀硫酸にて2−3に調整することは一般的な手段である。一方、酸処理工程での一般的なpHは2.5−3.5の範囲で使用されている。このため、オゾン段後に酸処理工程を設ける場合、オゾン段後のパルプスラリーのpHを確認・調整することが必要となる。
オゾン段のパルプのpH2−3は使用した硫酸によるもので、この硫酸はオゾンと反応すると以下の反応(1)が行なわれると推定される。
SO+O → HSO + 2O (反応1)
生成された亜硫曹酸は、次工程でアルカリ抽出段を行なう場合は次の反応2,3のとおり、苛性ソーダと反応して亜硫曹の臭気ガスが発生すると思われる。従って、オゾンの多段ECF漂白シーケンス中のアルカリ抽出(E)段を省略すると、この亜硫曹の臭気ガスの問題も解決可能となる。
2HSO+2NaOH→HSO +NaSO+2HO+1/2H (反応2)
HSO +HO → H + SO 2− (反応3)
本願発明の好適な多段オゾンECF漂白シーケンスでは、初段はオゾン(Z)段で、その後段は二段目、三段目そして/または四段目となる。たとえば、これらの漂白シーケンスは、Z−D、三段の漂白シーケンスにおいては、Z−D−D、Z−D−P、Z−P−D、四段の漂白シーケンスは、Z−D−D−D、Z−D−D−P、Z−D−P−D、Z−P−D−D等が挙げられる(D:二酸化塩素、P:過酸化水素)。なお、Z段と次の段(二段目)の間では、洗浄工程を設けることが必ずしも必要でない。
本願発明ではアルカリ抽出工程を省略するため、オゾン漂白工程とオゾン漂白工程後の漂白段の間には洗浄・脱水の工程を設けなくても漂白が可能であり、設備費を低減できるメリットもある。
本願発明では、上記の全てのアルカリ抽出段を含むオゾンの多段漂白においてアルカリ抽出段を省略してもアルカリ抽出段がある時の白色度、強度と同等のものを得られる。
従来、アルカリ抽出段はpH8.0以上、温度50℃以上、反応時間20分以上の条件下で行い、更に、アルカリ抽出段とその前段の間に洗浄工程を設けることが一般的な漂白技術である。しかし、オゾン多段漂白には、二段目のアルカリ抽出段と初段のZ段の間の洗浄段を省略して、且つ、アルカリ抽出段は短時間(例:15分間以内)、低pH(6.0以上)で行うことを見出した(本願発明者の先出願にかかる特開2005−76150号公報)ため、本願発明の省略するアルカリ抽出工程がこれらの条件を含むことになる。これらのアルカリ抽出段は、アルカリ単独、あるいは酸素を併用し、あるいは過酸化水素を併用し、または、酸素と過酸化水素を共に併用することが含まれる。
[実施例・参考例及び比較例]
以下に本願発明の実施例と参考例と比較例を説明するが、本願発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
COD測定
JIS K−0102の「100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)」測定方法に準拠して行った。また、COD低減率は、以下の式1で算出した。
低減率(%)= 100×[(処理前−処理後)/処理前]・・・・(式1)
色度の測定
次の論文文献を基に排水色度の測定を行った。色度の低減率は、COD低減率同様(式1)で算出した。
[論文文献]
著者名:李宣鎬、近藤隆一郎、坂井克己、西田智明、高原義昌
論文名:リグニン分解菌によるクラフトパルプ漂白廃液の処理(第1報)
リグニン分解菌,IZU-154株によるクラフトパルプ漂白廃液の脱色
資料名:木材学会誌第39巻第4号470〜478ページ 1993年発行
パルプ品質の測定方法
完成漂白パルプは、JIS P8221−2記載のPFIミルにより叩解を行い、JIS P8121記載のカナダ標準濾水度(フリーネス)にて叩解後のフリーネスを測定した。その後、JIS P8222とJIS P8223記載の方法を基に各叩解フリーネス水準での手抄シートを作り、紙質試験に供した。測定品質項目において、叩解パルプは裂断長と比引裂度、未叩解パルプは白色度と粘度であった。
裂断長 :JIS P8113記載方法を用いて裂断長を求めた。
比引裂度:JIS P8116記載方法を用いて比引裂度を求めた。
白色度 :JIS P8212記載方法を基に白色度を測定した。
粘度 :米国Tappi Standard T230 om−89記載方法に伴い パルプ粘度を求めた。
パルプのサンプル
酸素脱リグニン後の未晒広葉樹クラフトパルプ(LUKP)は実生産現場でサンプルを採取し、洗浄を行わず、試験を実施するまで5℃の冷蔵庫で保管した。(パルプ濃度:32.5%;カッパー価:10.76)
漂白パルプ及び漂白排水の作成
1.酸処理(A)段
300g(絶乾量)のLUKPは、11%濃度スラリーになるようにイオン交換水で稀釈した後、4N硫酸でpH3.0に調製し、再度、イオン交換水でパルプ濃度10%に調製した。90℃、3時間の条件下で酸処理を実施した。酸処理は、3バッチを行い、パルプを混合し、遠心分離機にてパルプ濃度約38%になるまで脱水した(洗浄なし)。(酸処理後のパルプのカッパー価:9.07)。その後、ZE−D−D(比較例)、Z−D−D―D、(実施例)、Z−D−D−P(参考例1)、Z−D−P−D(参考例2)の4ECF漂白シーケンスを実施した。(Z:オゾン段;D,D,D:二酸化塩素段;E:アルカリ抽出段;P:過酸化水素段)。漂白条件及び薬品添加率は、各々表1、表2に示す。
Figure 0005140287
Figure 0005140287
2.ZE段またはZ段
酸処理後のパルプ(840g、絶乾量)は、45℃のエバポレータと8.1%濃度のオゾンガスにて約2分間でオゾン化した。オゾン化は、一回毎60g(絶乾量)のパルプを使用した。オゾン化後の14バッチのパルプを混合した。なお、オゾン段には、住友精密工業製PSA Ozonizer SGA-01A-PSA4 のラボオゾン発生器からのオゾンガスを用いた。
2−1.実施例
オゾン化パルプ(600g、絶乾量)は、イオン交換水(6L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段を行った。
2−2.比較例
オゾン化パルプ(200g、絶乾量;洗浄なし)は直ぐにアルカリ抽出段を行った。その後、イオン交換水(2L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段を行った。
3.D
3−1.実施例及び参考例
洗浄したオゾン化パルプ(600g、絶乾量)は、D段を行った。その後、イオン交換水(6L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは3等分に分け、次のD段またはP段を行った。
実施例と参考例1のD段において、D段後のパルプ(190g、絶乾量)は表1の条件下でD段を行い,イオン交換水(2L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段またはP段に移した。
3−2.比較例
ZE段後のパルプ(190g、絶乾量)は、D段を実施したのちイオン交換水(2L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段を行った。
4.D
4−1.比較例(漂白シーケンス:A−ZE−D−D
ZE−D段後パルプ(180g、絶乾量)はD段を行った。次いでイオン交換水(2L)で洗浄し、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは強度及び光学の品質を測定した。(最終ISO白色度は85.5%)。
4−2.実施例及び参考例1(漂白シーケンス:A−Z−D−D−D
A−Z−D−D−P)
A−Z−D段後パルプ(各180g、絶乾量)はD段を行い、イオン交換水(2L)で洗浄した後、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段またはP段を行った。
5.P段
5−1.参考例1(漂白シーケンス:A−Z−D−D−P)
A−Z−D−D段後パルプ(170g、絶乾量)はP段を行い、イオン交換水(2L)で洗浄した後、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは強度品質を測定した。最終ISO白色度は85.6%であった。
5−2.参考例2(漂白シーケンス:A−Z−D−P−D
A−Z−D段後パルプ(180g、絶乾量)はP段を行い、イオン交換水(2L)で洗浄した後、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは次のD段を行った。
6.実施例のD
A−Z−D−D段後パルプ(170g、絶乾量)はD段を行い、イオン交換水(2L)で洗浄した後、ろ液はCODと色度を測定し、パルプは強度品質を測定した。最終ISO白色度は85.3%であった。
7.参考例2のD
A−Z−D−P段後パルプ(170g、絶乾量)はD段を行った。その後、イオン交換水(2L)で洗浄した。ろ液はCODと色度を測定し、パルプは強度品質を測定した。最終ISO白色度は86.2%であった。
[結果]
1.漂白パルプの光学特性(表3)
漂白パルプの光学特性を表3に示す。実施例及び参考例1,2は比較例に比べ最終ISO白色度が同等あるいは高い値で、アルカリ抽出工程を省略した場合でも漂白性に影響がない結果を見出した。更に、b値は低く、見栄えが向上したことを知見した。
Figure 0005140287
2.漂白パルプの強度特性(表4)
漂白パルプの粘度、フリーネス500mlでのPFIミル回転数、裂断長と比引裂度を表4に示す。パルプの粘度において、比較例と比較した場合、実施例が高いが参考例1と2は低下した。また、比較例に比べ実施例及び参考例1は裂断長、比引裂度共優れており、参考例2は裂断長は高いが比引裂度が劣った。これは、参考例2の脱リグニンの弱力の過酸化水素(P段)の高添加率が原因と推定される。
Figure 0005140287
3.漂白排水のCODと色度の負荷(表5)
全COD負荷において、比較例の9.63kg/Tに対して実施例は8.47kg/Tと12%低く、参考例1は10.52kg/Tとほぼ同等の結果で、参考例2は14.33kg/Tと48.8%悪化した。
一方、全色度の負荷は実施例と参考例1,2の漂白シーケンスの中にはアルカリ抽出工程が含まれないため、比較例より28.6%〜48.6%低下した結果が得られた。
漂白パルプの光学特性、強度特性と漂白排水のCODと色度の負荷を総合的に考慮すると、参考例1及び2においては、排水CODの負荷が増加したが、排水CODの負荷は排水処理設備にて負荷低減が可能であり、参考例2においては比引裂度の低下傾向がみられたが、実施例においては、本発明において課題としている色度負荷の低減を図り得ることが知見される。
Figure 0005140287
[効果]
本願発明によるアルカリ抽出工程を省略したオゾンの多段ECF漂白、特に中間の過酸化水素の漂白段を含まない漂白シーケンスにおいては、漂白パルプの漂白性、粘度、強度への影響がなく、かつ、漂白排水のCOD、色度の負荷を軽減でき、更に、オゾン漂白工程とその直ぐの後段の間の洗浄工程を設けなくても実施可能で環境への負荷の低減及び漂白排水の処理薬品費用、洗浄設備費用を節約できる等の効果がある。

Claims (1)

  1. ECF漂白法を用いた漂白クラフトパルプの製造方法であって、蒸解工程後においてパルプのアルカリ抽出工程を有さないで多段漂白を行い、初段はオゾン漂白段で、その後段に二酸化塩素漂白からなる漂白段のみを少なくとも二段有し、前記オゾン漂白段の前工程に酸処理工程を有し、前記二酸化塩素漂白からなる漂白段に供するパルプは洗浄したパルプであることを特徴とする漂白クラフトパルプの製造方法。
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