JP5492682B2 - パルプ漂白助剤及びこれを用いたパルプ漂白方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パルプ漂白助剤及びこれを用いたパルプ漂白方法に関する。
パルプとは、主として木材から作られる紙の原料となる植物繊維であり、その製法によって化学パルプと機械パルプに大別される。
化学パルプは、パルプ用材(原料)を化学的な反応で分解し、リグニン等を分離することにより製造されるパルプの総称である。中でも広葉樹を含め多くの樹種を原料とすることができ、漂白処理が施されることで、高い白色度となるクラフトパルプが最も広く用いられている。
クラフトパルプは、高い強度が特徴であるため、セメント袋や米袋等、強度を必要とする包装用紙として用いられてきた。近年、クラフトパルプは、漂白処理が施されることで高い白色度となることから、多段漂白処理が施された上質紙としての利用が一般的となっている。
未漂白パルプの漂白処理には、従来、漂白剤として塩素が使用されてきたが、塩素は、ダイオキシン等の有機塩素化合物(副生成物)を生成するため、環境に与える影響が問題となっていた。
近年では、塩素に代えて酸素、二酸化塩素、過酸化水素等を段階的に作用させる、いわゆるECF(Elemental Chlorine Free)漂白が主流となっている。
二酸化塩素は漂白力が高いため、現行のECF漂白において、二酸化塩素を用いた漂白処理が必須となっている。二酸化塩素を用いた漂白処理では、従来の塩素を用いた漂白処理と比較すると、有機塩素化合物の生成量が大幅に低減されるものの、依然として環境に与える影響が問題視されている。
このため、ECF漂白においては、二酸化塩素の使用量の低減が求められているが、ECF漂白において二酸化塩素と共に用いられる過酸化水素は、塩素や二酸化塩素と比べて漂白力が弱いため、その使用量を増加した程度では、二酸化塩素の使用量の削減には繋がらない。
従って、ECF漂白では、二酸化塩素量を低減するため、過酸化水素の漂白力を大きく向上させる手段が必要となっている。
機械パルプとは、物理的な力で木材の丸太やチップを機械的に磨砕して製造されるパルプの総称であり、リグニン、ヘミセルロース等の木材成分を含有したままパルプ化されるため、木材からのパルプ収率が80質量%以上となる。機械パルプは、低廉で不透明度・高速抄紙性に富んでいるため、新聞用紙、更紙等の下級紙や繊維板等に主に使用されているが、繊維が剛直なため紙の強度が低いという欠点がある。
そこで、高いパルプ収率を維持したまま紙の強度を向上させる方法として、木材チップを高温・高圧下におき、繊維と繊維の接着剤の役割をしているリグニンを柔らかくした状態で磨砕する方法が用いられる。この方法により製造されたパルプは、サーモメカニカルパルプ(TMP)と呼ばれ、他の方法で製造された機械パルプと比較して繊維の損傷が少なく、繊維が長いため、強度の高い紙を得ることができる。TMPは、現在、メカニカルパルプの主流となっており、新聞紙等の用途以外に軽量塗工紙や高光沢紙等、付加価値の高いものへと用途が拡大している。
TMPを始めとする機械パルプは、繊維中にリグニン等を多量に含んでいるため、機械パルプの白色度を向上させるのに多量の過酸化水素を必要とする上、日光、熱、酸素によって変質しやすい。このため、コストや品質の観点から、機械パルプの製造においても、ECF漂白と同様に、過酸化水素の漂白力を向上する手段が強く求められている。
こうした要求に対し、従来、パルプの製造工程において、漂白剤の漂白力を向上させるためのパルプ漂白助剤が提案されている。
例えば、特許文献1〜2には、銅と特定の配位子とを組み合わせた、パルプ漂白助剤が提案されている。特許文献1〜2の発明によれば、弱酸酸性〜弱アルカリ性(pH6〜10)の範囲で、パルプを良好に漂白できる。
また、特許文献3〜4には、銅やニッケル等と特定の配位子を組み合わせた、パルプ漂白助剤が提案されている。
また、特許文献5には、銅イオン及び銅イオンと錯体を形成できる配位子化合物から構成され、蒸解後の化学パルプの漂白処理に用いるパルプ漂白助剤が提案されている。
特開2008−202197号公報 特開2009−68143号公報 特開2007−126775号公報 特表2001−515136号公報 特開2004−183170号公報
しかしながら、上述した従来のパルプ漂白助剤では、未だ満足できる漂白処理の効果が得られていない。
加えて、通常、パルプの工業的製造におけるパルプ漂白は、過酸化水素によりパルプ中のリグニン等の非セルロース成分を分解・除去し、パルプの白色度を上げる効果(漂白効果)をより高めるため、pH11以上の条件下で行われる。これに対し、特許文献1〜2の発明は、弱酸性〜弱アルカリ性の領域で効果を発揮するものであり、実際の工業的製造に適応していない。また、特許文献3〜5の発明は、アルカリ蒸解によりリグニン等、非セルロース成分の大半が除去されたクラフトパルプに対して高い効果を示すものの、非セルロース成分を多量に含有した機械パルプに対する効果は満足できるものではない。さらに、特許文献5の発明は、化学パルプにパルプ漂白助剤を添加した後、アルカリ性媒体中で加圧酸素を添加し加熱処理するものであり、過酸化水素を漂白剤として用いることを想定していない。
本発明は、過酸化水素を用いたパルプの漂白処理において、pH11以上のアルカリ条件下でも、化学パルプ、機械パルプのいずれも良好に漂白できる漂白助剤及びパルプ漂白方法を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、銅化合物と特定の高分子化合物とを組み合わせ、かつ、パルプに対して、銅化合物と特定の高分子化合物とをそれぞれ特定量で添加することで、化学パルプ又は機械パルプのいずれも良好に漂白できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明のパルプ漂白助剤は、下記(a)成分及び下記(b)成分を含み、過酸化水素によるパルプの漂白処理に用いられるパルプ漂白助剤であって、パルプの漂白処理の際に、パルプの乾燥質量に対し前記(a)成分の質量が5〜1000質量ppm、パルプの乾燥質量に対し銅の質量が0.12〜30質量ppm、かつ[(a)成分]/[銅]で表される質量比が4〜800として用いられることを特徴とする。
(a)成分:下記一般式(I)で表される構成単位を有する高分子化合物であり、該高分子化合物は、同一の構成単位から構成されていてもよいし、2種以上の構成単位からなる共重合体であってもよい。
Figure 0005492682
(前記一般式(I)中、Aは、CH又はNであり、Xは、H又は下記一般式(II)で表される置換基であり、全てのXは、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよいが、少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基である。)
Figure 0005492682
(前記一般式(II)中、Yはカルボキシル基又は1級〜3級のアミノ基のいずれかであり、nは0〜2の整数である。Yが2級又は3級のアミノ基の場合、一般式(I)で表される構成単位同士を結合させる架橋種となっていてもよい。)
(b)成分:銅化合物。
前記一般式(I)中のAがNで、かつ一般式(II)で表されるYがカルボキシル基であることが好ましく、機械パルプ用であってもよい。
本発明のパルプ漂白方法は、下記(a)成分及び下記(b)成分を含むパルプ漂白助剤と、過酸化水素とを用いてパルプを漂白するパルプ漂白方法であって、前記(a)成分の質量がパルプの乾燥質量に対し5〜1000質量ppm、銅の質量がパルプの乾燥質量に対し0.12〜30質量ppm、かつ[(a)成分]/[銅]で表される質量比が4〜800となるように前記パルプ漂白助剤を添加することを特徴とする。
(a)成分:下記一般式(I)で表される構成単位を有する高分子化合物であり、該高分子化合物は、同一の構成単位から構成されていてもよいし、2種以上の構成単位からなる共重合体であってもよい。
Figure 0005492682
(前記一般式(I)中、Aは、CH又はNであり、Xは、H又は下記一般式(II)で表される置換基であり、全てのXは、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよいが、少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基である。)
Figure 0005492682
(前記一般式(II)中、Yはカルボキシル基又は1級〜3級のアミノ基のいずれかであり、nは0〜2の整数を表す。Yが2級又は3級のアミノ基の場合、一般式(I)で表される構成単位同士を結合させる架橋種となっていてもよい。)
(b)成分:銅化合物。
なお、本稿において、「パルプの乾燥質量」とは、過酸化水素による漂白前のパルプを105℃で4時間乾燥したパルプの質量である。
本発明によれば、過酸化水素を用いたパルプの漂白処理において、pH11以上のアルカリ条件下でも、化学パルプ、機械パルプのいずれも良好に漂白できる。
本発明のパルプ漂白方法を用いたクラフトパルプの製造プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
(パルプ漂白助剤)
本発明のパルプ漂白助剤は、(a)成分:高分子化合物及び(b)成分:銅化合物を含み、過酸化水素によるパルプの漂白処理に用いられるものである。
パルプ漂白助剤は、(a)成分と(b)成分とがそれぞれ独立した2剤型であってもよいし、(a)成分と(b)成分との混合物であってもよいし、(a)成分が配位子として(b)成分由来の銅に配位し錯形成した錯体であってもよいし、これらが混在したものであってもよい。
また、例えば、パルプ漂白助剤は、(a)成分を含み(b)成分を含まない第一の水溶液と、(b)成分を含み(a)成分を含まない第二の水溶液とを備える2液型であってもよい。
本発明のパルプ漂白助剤中、(a)成分及び(b)成分は、パルプの漂白処理の際に[(a)成分]/[銅]で表される質量比(以下、(a)/(銅)質量比)が4〜800、好ましくは20〜320、より好ましくは35〜80となるように配合される。(a)/(銅)質量比が4未満であると、単独で溶存する銅の量が増加し、過酸化水素自体の分解が促進され、過酸化水素の漂白効果の向上が図れない。(a)/(銅)質量比を800超とすると、(B)成分の配合効果がなくなり、パルプの白色度が向上しなくなる。
本稿において「銅」の質量は、(b)成分由来の銅のみならず、水中に存在する銅イオンを含む質量である。
<(a)成分:高分子化合物>
(a)成分は、下記一般式(I)で表される高分子化合物である。なお、(a)成分は、同一の構成単位から構成されていてもよいし、2種以上の構成単位からなる共重合体であってもよい。
Figure 0005492682
前記一般式(I)中、Aは、CH(メチン基)又はN(窒素)であり、中でもNが好ましい。前記一般式(I)中のAがNであると、(a)成分は銅との錯体の形成が容易となり、パルプ漂白助剤による過酸化水素の漂白効果をより高めることができる。
前記一般式(I)中、Xは、H(水素)又は下記一般式(II)で表される置換基であり、少なくとも1つのXが下記一般式(II)で表される置換基である。前記一般式(I)中、全てのXは、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。中でも、全てのXは、下記一般式(II)で表される置換基が好ましい。このような置換基を有することで、(a)成分は銅との錯体の形成が容易となり、パルプ漂白助剤による過酸化水素の漂白効果をより高めることができる。
Figure 0005492682
前記一般式(II)中、Yはカルボキシル基又は1級〜3級のアミノ基のいずれかであり、中でもカルボキシル基が好ましい。このような置換基を有することで、(a)成分は銅との錯体の形成が容易となり、パルプ漂白助剤による過酸化水素の漂白効果をより高めることができる。
なお、Yが2級又は3級のアミノ基の場合、Yは一般式(I)で表される構成単位同士を結合させる架橋種となっていてもよい。
nは0〜2の整数であり、(a)成分と銅との錯体の形成が容易となることから、1又は2が好ましい。
このような(a)成分の中でも、上記一般式(I)中のAがNであり、Xが上記一般式(II)で表される置換基であり、かつ一般式(II)中のYがカルボキシル基であるもの、例えば、アミノポリカルボン酸系高分子等が好ましい。このような構成であれば、(a)成分は銅との錯体の形成が容易となり、パルプ漂白助剤による過酸化水素の漂白効果をより高めることができる。
(a)成分の分子量は、重量平均分子量として2000以上のものであり、好ましくは2000〜200000、より好ましくは5000〜100000、さらに好ましくは10000〜50000である。重量平均分子量が2000未満であると、過酸化水素の分解を促進する場合があり、200000超であると、粘度の上昇に伴い取り扱いが困難となる。
ここで、(a)成分の重量平均分子量は、分子量5,800〜853,000のプルラン標準(P−82、昭和電工株式会社製)を標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPS)による測定値である。重量平均分子量の測定は、例えば、以下の手順で行うことができる。まず、試料の乾燥物を水溶液(酢酸ナトリウム濃度:10mM、アセトニトリル濃度:20vol%)に溶解し、0.5質量%試料溶液を調製する。TSK−GelG2500PWXLとTSK−GelGMPWXL(共に東ソー株式会社製)とを連結し、カラムオーブンに設置する。前記水溶液(酢酸ナトリウム濃度:10mM、アセトニトリル濃度:20vol%)を溶離液とし、カラムオーブンの設定温度:40℃、流速:0.5mL/min、検出:RIの条件で、重量平均分子量を測定できる。
(a)成分としては、例えば、(1)マレイン酸とアクリル酸との共重合体、(2)ポリエチレンイミノ基から構成される主鎖にカルボキシル基を含有する側鎖を導入したアミノポリカルボン酸系高分子、(3)ポリエチレンイミン等が挙げられる。このような(a)成分の市販品としては、例えば、前記(1)の共重合体であるアクアリック・TL(商品名、株式会社日本触媒製)、前記(2)のアミノポリカルボン酸高分子であるTrilonP(商品名、BASF社製)、前記(3)のポリエチレンイミンであるエポミン・シリーズ(株式会社日本触媒製)やLupasolシリーズ(BASF社製)等が挙げられる。
これらの(a)成分は、一種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
パルプ漂白助剤中の(a)成分の配合量は、後述する漂白処理における被漂白物であるパルプの量を勘案して決定できる。
<(b)成分:銅化合物>
(b)成分である銅化合物は、水中で銅イオンを解離するものであればよく、特に水溶性の高いものが好ましい。
(b)成分としては、例えば、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、ギ酸銅、過塩素酸銅、ヨウ素酸銅、リン酸銅、トリフルオロ酢酸銅等の2価の銅を含む水溶性塩が挙げられ、中でも、硫酸銅、塩化銅が特に好ましい。硫酸銅又は塩化銅は、水溶性が高く、(a)成分との錯体の形成が容易となり、パルプ漂白助剤による過酸化水素の漂白効果をより高めることができる。(b)成分は、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。これらの(b)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
パルプ漂白助剤中の(b)成分の配合量は、後述する漂白処理における被漂白物であるパルプの量を勘案して決定できる。
<その他の成分>
本発明のパルプ漂白助剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ、pH調整剤、緩衝剤等を配合できる。
(パルプ漂白方法)
本発明のパルプ漂白方法は、(a)成分及び(b)成分を含むパルプ漂白助剤を過酸化水素と併用して、被漂白物であるパルプを漂白するものである。漂白処理は、パルプを漂白する処理段階を意味し、例えば、パルプに残留するリグニンの除去、パルプの白色度の向上等を目的とした他の工程を含んでいてもよい。
本発明のパルプ漂白方法について、以下に図1を参照して説明する。図1は、本発明のパルプ漂白方法を用いたクラフトパルプの製造プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
図1に示すように、この製造プロセスは、蒸解工程(図中、符号10)と、第一の洗浄・脱水工程(図中、符号12)と、酸素漂白工程(図中、符号14)と、第二の洗浄・脱水工程(図中、符号16)と、過酸化水素漂白工程(図中、符号18)と、第三の洗浄・脱水工程(図中、符号20)とで概略構成されている。
本実施形態において、漂白処理は、酸素漂白工程14と、第二の洗浄・脱水工程16と、過酸化水素漂白工程18と、第三の洗浄・脱水工程20とで構成されている。
<蒸解工程>
蒸解工程10は、針葉樹、広葉樹等の木材原料を粉砕した木材チップをアルカリ剤と共に水に分散した蒸解用分散液とし、この蒸解用分散液を加熱して原料チップからリグニンを除去し、未漂白パルプを得る工程である。即ち、リグニンによって結束された結束繊維からリグニンを取り除き、結束繊維をほぐし、1本1本の繊維とするパルプ化を促進させるものである。
蒸解工程10における蒸解方法は、クラフト蒸解であり、従来公知の方法を用いることができる。クラフト蒸解法は、例えば、原料チップを蒸解釜内でアルカリ剤及び水と混合し、150〜170℃で1〜3時間加熱して行われる。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム等が挙げられる。
<第一の洗浄・脱水工程>
第一の洗浄・脱水工程12は、蒸解工程10で得られた未漂白パルプを洗浄した後、脱水する工程である。本工程では、蒸解工程で分離されたリグニン等の不純物が未漂白パルプから取り除かれる。
洗浄・脱水の方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、未漂白パルプを水中に分散し混合して洗浄し、次いで、プレスして脱水する方法等が挙げられる。
<酸素漂白工程>
酸素漂白工程14は、洗浄・脱水された未漂白パルプに対して酸素脱リグニン処理を施し、酸素漂白パルプを得る工程である。
酸素脱リグニン処理は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、未漂白パルプをアルカリ剤及び水と混合し、0.4〜0.7MPaに加圧された酸素を供給し、90〜120℃で加熱するものが挙げられる。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等を用いることができる。
<第二の洗浄・脱水工程>
第二の洗浄・脱水工程16は、酸素漂白工程で得られた酸素漂白パルプを水で洗浄した後、脱水する工程である。本工程では、酸素漂白工程14で分離されたリグニン等の不純物が未漂白パルプから取り除かれる。
洗浄・脱水の方法は、第一の洗浄・脱水工程12と同様である。
<過酸化水素漂白工程>
過酸化水素漂白工程18は、酸素漂白パルプを過酸化水素とパルプ漂白助剤とを用いて漂白し、漂白パルプを含む漂白パルプ分散液を得る工程である。過酸化水素漂白工程18は、例えば、酸素漂白パルプと共に、パルプ漂白助剤及び過酸化水素、必要に応じアルカリ剤又は酸を水に分散して酸素漂白パルプ分散液とし、酸素漂白パルプ分散液中で酸素漂白パルプを漂白するものが挙げられる。
過酸化水素漂白工程18における各成分の酸素漂白パルプ分散液への添加順序は、特に限定されないが、アルカリ剤又は酸と、パルプ漂白助剤と、過酸化水素との順とすることが好ましい。かかる添加順序とすることで、過酸化水素の分解を抑制できる。
各成分の酸素漂白パルプ分散液への添加方法は、例えば、水にアルカリ剤又は酸を添加して漂白用分散媒とし、この漂白用分散媒に酸素漂白パルプを投入した後、パルプ漂白助剤を添加し、次いで過酸化水素を添加するものが挙げられる。この際、パルプ漂白助剤の添加方法は、その剤形に応じて決定でき、例えば、パルプ漂白助剤が2剤型又は2液型であれば、(a)成分と(b)成分とをそれぞれ個別に添加してもよいし、(a)成分と(b)成分とを予め混合した後に添加してもよい。
酸素漂白パルプ分散液中の酸素漂白パルプ、即ち、被漂白物のパルプの濃度は、特に限定されないが、例えば、絶乾率で5〜20質量%が好ましく、7〜15質量%がより好ましい。なお、絶乾率は、絶乾率の試験方法(JIS P8203)により測定される値である(以降において同じ)。
酸素漂白パルプ分散液への過酸化水素の添加量は、酸素漂白パルプ、即ち被漂白物であるパルプの乾燥質量に対し、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。過酸化水素の使用量が1質量%未満であると、漂白効果が不十分となるおそれがあり、10質量%超であると、過酸化水素による漂白効果が高く、パルプ漂白助剤との併用による効果が見られないおそれがある。
酸素漂白パルプ分散液へのパルプ漂白助剤の添加量は、酸素漂白パルプの乾燥質量に対し(a)成分の質量が5〜1000質量ppmであり、好ましくは20〜800質量ppm、より好ましくは20〜500質量ppmである。5質量ppm未満であると、銅による過酸化水素の分解が生じ、漂白効果が不十分となる。1000質量ppm超であると、酸素漂白パルプ分散液の粘度上昇により、漂白効果が不十分となる。
加えて、酸素漂白パルプ分散液へのパルプ漂白助剤の添加量は、酸素漂白パルプの乾燥質量に対し銅の質量が0.12〜30質量ppmであり、好ましくは0.5〜20質量ppm、より好ましくは1.3〜13質量ppmである。0.12質量ppm未満であると、漂白効果が不十分となり、30質量ppm超であると、銅による過酸化水素の分解が促進され、漂白効果が不十分となる。
さらに、酸素漂白パルプ分散液中の(a)/(銅)質量比は、4〜800であり、好ましくは20〜320、より好ましくは1.3〜13である。(a)/(銅)質量比が4未満であると、単独で溶存する(b)成分の量が増加し、過酸化水素自体の分解が促進され、パルプの白色度の向上が図れない。(a)/(銅)質量比を800超とすると、(b)成分の配合効果がなくなり、パルプの白色度が向上しなくなる。
酸素漂白パルプ分散液のpHは、特に限定されないが、例えば、好ましくはpH7〜12、より好ましくはpH8〜12、さらに好ましくはpH11〜12とされる。pH7以上であれば、優れた漂白効果が得られ、pH12以下であれば、パルプの繊維を劣化させることを防止できる。さらに、pH11〜12であれば、漂白効果のさらなる向上が図れると共に、従来の過酸化水素漂白工程の条件をそのまま転用できる。pHの測定は、pHメータ(製品名:IQ200、IQ Scientific Instruments社製)とpH電極(製品名:PH15−SS、IQ Scientific Instruments社製)とを用いて、約25℃における酸素漂白パルプ分散液中にpH電極を差し込み、60秒間経過後の指示値を読み取ることにより行われる。
酸素漂白パルプ分散液のpHは、アルカリ剤又は酸を添加して調整できる。
アルカリ剤としては、酸素漂白工程14と同様のものが挙げられる。アルカリ剤の添加量は、酸素漂白パルプ分散液に求めるpHに応じて決定でき、例えば、酸素漂白パルプの乾燥質量に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%とされる。
酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
過酸化水素漂白工程18における温度条件は、特に限定されないが、例えば、40〜90℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。40℃以上であれば、本工程の反応時間の短縮が図れ、90℃以下であれば、酸素漂白パルプの褐変等による変色を防止できる。
過酸化水素漂白工程18における反応時間は、特に限定されないが、例えば、酸素漂白パルプ分散液を調製した後、30〜300分間が好ましく、120〜180分間がより好ましい。
<第三の洗浄・脱水工程>
第三の洗浄・脱水工程20は、過酸化水素漂白工程18で得られた漂白パルプ分散液を固液分離し、得られた固体を水で洗浄した後、脱水するものである。本工程では、漂白パルプ分散液中に含まれる着色成分、パルプ漂白助剤、過酸化水素等が取り除かれ、固体の漂白パルプが得られる。
上述の実施形態は、原料を木材とするクラフトパルプのパルプ漂白方法について説明したが、本発明は原料を木材とするものに限定されず、例えば、ケナフ、竹、麻、イネ、バカス等の非木材原料、又はこれらと木材原料との混合物であってもよい。
加えて、蒸解工程は、原料の種類に応じて決定でき、クラフト蒸解の他、例えば、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる。中でも、パルプの品質やエネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。
上述の実施形態は、酸素漂白工程14と過酸化水素漂白工程18との順で、未漂白パルプに漂白処理を施すものであるが、例えば、過酸化水素漂白工程18と酸素漂白工程14との順で、未漂白パルプに漂白処理を施してもよい。
さらに、過酸化水素漂白工程18の前段及び後段の双方又はいずれか一方に、過酸化水素以外の漂白剤を用いた漂白工程を設けてもよい。このように、複数の漂白剤を用いて多段階で漂白することにより、パルプから作られる紙の白色度をより高くできる。
過酸化水素以外の漂白剤としては、二酸化塩素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム等を用いることができる。
上述の実施形態では、クラフトパルプ、即ち化学パルプのパルプ漂白方法であるが、本発明のパルプ漂白方法は、機械パルプの製造にも適用できる。
以下、機械パルプの製造プロセスにおけるパルプ漂白方法について説明する。
機械パルプの製造プロセスは、磨砕工程と、分離工程と、過酸化水素漂白工程と、洗浄・脱水工程とで概略構成される。
<磨砕工程>
磨砕工程は、原料チップを磨砕してパルプ化する工程である。磨砕方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ポケットグラインダー、チェーングラインダー、リンググラインダー、加圧グラインダー等による原料チップの摩砕や、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等による原料チップの摩砕等が挙げられる。
磨砕工程には、必要に応じ、摩砕前に原料チップを100℃から125℃で数分間加熱処理したり、さらに加熱前に数分間、化学薬品へ浸漬処理する前処理操作を設けることができる。前処理操作に用いる化学薬品としては、亜硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
<分離工程>
分離工程は、磨砕されてパルプ化した原料から異物を取り除き、精選パルプを得る工程である。分離工程としては、例えば、種々の目開きのスクリーンを用い、分級する方法が挙げられる。
<過酸化水素漂白工程>
機械パルプの製造プロセスにおける過酸化水素漂白工程は、酸素漂白パルプに換えて、分離工程で得られた精選パルプを用いる以外、上述したクラフトパルプの製造プロセスにおける過酸化水素漂白工程と同様である。機械パルプの製造プロセスにおいても、過酸化水素漂白工程の前段及び後段の双方又はいずれか一方に、過酸化水素以外の漂白剤による漂白工程を設けてもよい。
<洗浄・脱水工程>
洗浄脱水工程は、過酸化水素漂白工程で得られた漂白パルプ分散液を固液分離し、得られた固体を水で洗浄・脱水して、漂白パルプを得る工程であり、上述したクラフトパルプの製造プロセスにおける第三の洗浄・脱水工程と同じである。
本発明のパルプ漂白助剤によれば、被漂白物の乾燥質量に対する(a)成分及び(b)成分の添加量が特定の範囲とされ、かつ(a)/(銅)質量比が特定の範囲とされることで、過酸化水素の漂白効果を高めることができる。漂白効果を高める作用は定かではないが、水中で(a)成分と(b)成分から遊離する等した銅とが金属錯体を形成し、この金属錯体が過酸化水素による酸化反応を促進するために適量であるためと考えられる。
本発明は、化学パルプの製造のみならず、機械パルプの製造にも適用でき、過酸化水素の漂白効果を高めることができる。
加えて、本発明は、pH11以上の条件下での過酸化水素漂白工程に適用できるため、従来のパルプ製造における過酸化水素漂白工程にパルプ漂白助剤を添加するという簡単な方法で、過酸化水素の漂白効果の向上が図れる。
加えて、本発明のパルプ漂白助剤は、従来提案されているパルプ漂白助剤に比べて、環境負荷が少なく、比較的単純な構造で工業生産性に優れ、かつ安価であることから、大規模なパルプ生産に適するものである。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(使用原料)
本実施例に用いた原料は、以下の通りである。
<(a)成分:高分子化合物>
・a−1:ポリエチレンイミノ基から構成される主鎖に、カルボキシル基を含有する側鎖を導入したアミノポリカルボン酸系高分子(商品名:Trilon P、重量平均分子量:約50000、BASF社製)
・a−2:マレイン酸とアクリル酸との共重合体(商品名:アクアリック・TL、重量平均分子量:約50000、株式会社日本触媒製)
・a−3:ポリエチレンイミン(商品名:Lupasol HF、重量平均分子量:約25000、BASF社製)
<(a’)成分:(a)成分の比較品であるキレート剤>
・a’−1:n−ジブチルアミン(特級試薬、和光純薬工業株式会社製)
・a’−2:アセトキシム(特級試薬、関東化学株式会社製)
・a’−3:ピリジン(特級試薬、関東化学株式会社製)
・a’−4:カテコール(特級試薬、関東化学株式会社製)
・a’−5:メルカプトコハク酸(特級試薬、和光純薬工業株式会社製)
・a’−6:2、2’−ジピリジルアミン(特級試薬、和光純薬工業株式会社製)
<(b)成分:銅化合物>
・CuSO・5HO:硫酸銅(II)5水和物(特級試薬、Mw=249.68、関東化学株式会社製)
・CuCl・2HO:塩化銅(II)2水和物(特級試薬、Mw=170.48、和光純薬工業株式会社製)
<(b’)成分:(b)成分の比較品である金属化合物>
・MnSO4・5H2O:硫酸マンガン(II)5水和物(特級試薬、Mw=241.07、関東化学株式会社製)
・FeSO4・7H2O:硫酸鉄(II)7水和物(特級試薬、Mw=278.01、関東化学株式会社製)
なお、表1〜7において、(b)成分についてはCu(Mw=63.54)の乾燥パルプに対する質量割合(質量ppm)、(b’)成分についてはMn(Mw=54.93)又はFe(Mw=55.84)の乾燥パルプに対する質量割合(質量ppm)を[]内に示した。
<過酸化水素>
・過酸化水素:30%過酸化水素水(試薬、関東化学株式会社製)
<その他>
・HSO:硫酸、濃度1N(特級試薬、関東化学株式会社製)
・NaOH:水酸化ナトリウム、濃度1N(特級試薬、関東化学株式会社製)
・NaSiO:3号ケイ酸ナトリウム溶液(試薬、昭和化学株式会社製)
(漂白効果の評価)
漂白効果の評価は、各例で得られた漂白パルプについて、下記の方法で白色度差をもとめて評価した。
<評価用紙の作製>
各例で得られた漂白パルプを水道水で洗浄した後、濾取した。濾取した漂白パルプを水道水400mLに分散させ、漂白パルプの絶乾質量1g当たり0.5mLの割合でEDTA溶液(EDTA−2Na濃度 5g/L)を加え、水酸化ナトリウム(1mol/L)又は硫酸(約0.5mol/L)溶液を用いてpH4.0〜5.5の試験パルプ分散液を調製した。
この試験パルプ分散液を200g/mになるように吸引濾過した後、プレス脱水、一晩乾燥して評価用紙を作製した。
<評価用紙の白色度の測定>
評価用紙の白色度の測定は、日本工業規格JIS P8211に準拠して行った。
評価用紙上の所定位置4箇所を設定し、SE−2000(製品名、日本電色工業株式会社製)を用いて、当該所定位置4箇所の白色度を測定し、その平均値(ISO白色度)を各例白色度とした。
別途、(a)成分、(b)成分及び(a’)成分を添加せずに漂白した漂白パルプについて、各例白色度と同様にして白色度を測定し、これを基準白色度とした。
<白色度差>
漂白効果の評価は、下記(1)式により算出した。
白色度差=[各例白色度]−[基準白色度] ・・・(1)
白色度差がプラスの値を示している場合、パルプ漂白助剤の添加により漂白効果が向上したことを示し、その数値が大きいほど高い効果が得られたことを意味する。一方、白色度差がマイナスの値を示している場合、パルプ漂白助剤の添加によって白色度が低下したことを意味する。
なお、白色度差が1.0ポイント以上あれば、目視であっても白さの相違が明確に分かるレベルである。また、0.5超であれば、漂白効果が有意に向上されたと評価できる。
(実施例1〜10、比較例1〜10)
被処理物には、針葉樹を常法によりアルカリ蒸解、酸素脱リグニン処理、及び二酸化塩素漂白処理したクラフトパルプで、白色度41.9の化学パルプである針葉樹クラフトパルプを用いた。
針葉樹クラフトパルプ1g(固形分)を円筒状の50mLガラス瓶に量り取った。
次いで、表1〜2に従い、水酸化ナトリウムを添加した後、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分又は(b’)成分とをそれぞれ個別に添加した。なお、表中の各成分の添加量は、針葉樹クラフトパルプの乾燥質量に対する各成分の質量割合である(以降において同じ)。
次いで、パルプ濃度が10質量%となるように、過酸化水素水溶液と水道水とを添加し、必要に応じて硫酸又は水酸化ナトリウムでpH11に調整して、化学パルプ分散液とした。なお、表中の過酸化水素量は、過酸化水素純分の値である。また、[(a’)成分]/[銅]の質量比、[(a)成分]/[(b’)成分由来の金属]の質量比を「(a)/(銅)質量比」として記載した(以降において同じ)。
そして、化学パルプ分散液を温度60℃の温浴中で120分間静置して、針葉樹クラフトパルプを漂白した。120分間静置後、化学パルプ分散液を濾過し、濾別された固形分を100倍量の質量の水道水で洗浄して漂白パルプとした。こうして得られた漂白パルプについて、白色度差を求め、その結果を表中に示す。
(実施例11〜29、比較例11〜28)
被処理物には、針葉樹のチップを120℃で2分間、加温処理した後、シングルディスクリファイナーにて2段階のリファイニング処理を施したサーモメカニカルパルプ(TMP)で、白色度38.0の機械パルプである針葉樹TMPを用いた。
針葉樹TMP1g(固形分)を、円筒状の50mLガラス瓶に量り取った。
次いで、表3〜7に従い、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウムを添加した後、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分又は(b’)成分とをそれぞれ個別に添加した。
次いで、パルプ濃度が7質量%となるように、過酸化水素水溶液と水道水とを添加し、必要に応じて硫酸又は水酸化ナトリウムでpH11に調整して、機械パルプ分散液とした。
そして、機械パルプ分散液を温度60℃の温浴中で180分間静置して、針葉樹TMPを漂白した。120分間静置後、機械パルプ分散液を濾過し、濾別された固形分を100倍量の質量の水道水で洗浄して漂白パルプとした。こうして得られた漂白パルプについて、白色度差を求め、その結果を表中に示す。
Figure 0005492682
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Figure 0005492682
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Figure 0005492682
Figure 0005492682
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜10は、白色度差が0.9以上であった。特に(a)成分をa−1(アミノポリカルボン酸系高分子)とした実施例1〜4は、他のa−2又はa−3を用いた実施例5〜10に比べて、相対的に白色度差が高くなっていた。
これに対し、表2に示すように、パルプ漂白助剤を(b)成分のみとした比較例1は、白色度差が−3.4でありパルプ漂白助剤を添加しないで漂白した漂白パルプよりも白色度が劣っていた。また、パルプ漂白助剤を(a)成分のみとした比較例2は、白色度差が0.5であったものの、実施例1〜10の白色度差より劣るものであった。加えて、(a)成分に換えて、(a’)成分を用いた比較例3〜8は、白色度差が−1.9〜−3.0であり、漂白効果の向上が見られないものであった。さらに、(b)成分に換えて、(b’)成分を用いた比較例9〜10は、白色度差が0.5以下であった。これらの結果から、本発明のパルプ漂白助剤を用いることで、pH11の条件下の漂白処理において過酸化水素の漂白効果を相乗的に高められることが判った。
表3に示すように、本発明を適用した実施例11〜14は、白色度差が1.5以上であった。
これに対し、表3に示すように、パルプ漂白助剤を(b)成分のみとした比較例11は、白色度差が−2.9でありパルプ漂白助剤を添加しないで漂白した漂白パルプよりも白色度が劣っていた。また、パルプ漂白助剤を(a)成分のみとした比較例12は、白色度差が0.5であったものの、実施例11〜14の白色度差より劣るものであった。加えて、(a)成分に換えて、(a’)成分を用いた比較例13〜18は、白色度差が−1.4〜−2.5であり、漂白効果の向上が見られないものであった。さらに(b)成分に換えて、(b’)成分を用いた比較例19〜20は、白色度差が0.5以下であった。これらの結果から、本発明のパルプ漂白助剤を用いることで、機械パルプに対しても、過酸化水素の漂白効果を相乗的に高められることが判った。
表5に示すように、機械パルプの乾燥質量に対する(a)成分の割合を5〜1000質量ppm、銅の割合を0.127〜25.4質量ppmとした実施例15〜22には、漂白効果の向上が見られた。
一方、機械パルプの乾燥質量に対する(a)成分の割合、又は機械パルプの乾燥質量に対する銅の割合が本発明の範囲外である比較例21〜26には、(a)成分及び(b)成分の添加による過酸化水素の漂白効果が見られなかった。
表6に示すように、(a)/(銅)質量比を3.9〜787とした実施例23〜29には、漂白効果の向上が見られた。特に、(a)/(銅)質量比を20〜315とした実施例24〜28は、白色度差が2.1〜2.8という高い値であった。
一方、(a)/(銅)質量比が本発明の範囲外である比較例27〜28(表7)には、(a)成分及び(b)成分の添加による過酸化水素の漂白効果が見られなかった。
10 蒸解工程
12 第一の洗浄・脱水工程
14 酸素漂白工程
16 第二の洗浄・脱水工程
18 過酸化水素漂白工程
20 第三の洗浄・脱水工程

Claims (4)

  1. 下記(a)成分及び下記(b)成分を含み、過酸化水素によるパルプの漂白処理に用いられるパルプ漂白助剤であって、
    パルプの漂白処理の際に、パルプの乾燥質量に対し前記(a)成分の質量が5〜1000質量ppm、パルプの乾燥質量に対し銅の質量が0.12〜30質量ppm、かつ[(a)成分]/[銅]で表される質量比が4〜800として、pH11〜12の条件下で用いられることを特徴とするパルプ漂白助剤。
    (a)成分:下記一般式(I)で表される構成単位を有する高分子化合物であり、該高分子化合物は、同一の構成単位から構成されていてもよいし、2種以上の構成単位からなる共重合体であってもよい。
    Figure 0005492682
    (前記一般式(I)中、Aは、CH又はNであり、Xは、H又は下記一般式(II)で表される置換基であり、全てのXは、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよいが、少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基である。)
    Figure 0005492682
    (前記一般式(II)中、Yはカルボキシル基又は1級〜3級のアミノ基のいずれかであり、nは0〜2の整数である。Yが2級又は3級のアミノ基の場合、一般式(I)で表される構成単位同士を結合させる架橋種となっていてもよい。)
    (b)成分:銅化合物。
  2. 前記一般式(I)中のAがNで、かつ一般式(II)で表されるYがカルボキシル基であることを特徴とする、請求項1に記載のパルプ漂白助剤。
  3. 機械パルプ用であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパルプ漂白助剤。
  4. 下記(a)成分及び下記(b)成分を含むパルプ漂白助剤と、過酸化水素とを用いてパルプを漂白するパルプ漂白方法であって、
    前記(a)成分の質量がパルプの乾燥質量に対し5〜1000質量ppm、銅の質量がパルプの乾燥質量に対し0.12〜30質量ppm、かつ[(a)成分]/[銅]で表される質量比が4〜800となるように前記パルプ漂白助剤を添加し、pH11〜12の条件下で処理することを特徴とするパルプ漂白方法。
    (a)成分:下記一般式(I)で表される構成単位を有する高分子化合物であり、該高分子化合物は、同一の構成単位から構成されていてもよいし、2種以上の構成単位からなる共重合体であってもよい。
    Figure 0005492682
    (前記一般式(I)中、Aは、CH又はNであり、Xは、H又は下記一般式(II)で表される置換基であり、全てのXは、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよいが、少なくとも1つが下記一般式(II)で表される置換基である。)
    Figure 0005492682
    (前記一般式(II)中、Yはカルボキシル基又は1級〜3級のアミノ基のいずれかであり、nは0〜2の整数である。Yが2級又は3級のアミノ基の場合、一般式(I)で表される構成単位同士を結合させる架橋種となっていてもよい。)
    (b)成分:銅化合物。
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