JP5129448B2 - 有機化層状ケイ酸塩及びその製造方法、並びに樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかし、膨潤性層状ケイ酸塩を有機化処理する際に、もともとの膨潤性層状ケイ酸塩が水などの溶媒中に均一に分散していないと、有機陽イオンとの反応時に密度の高い凝集物が多数形成されるため、副生成物である塩類の洗浄による除去が効果的にできないという問題がある。また、乾燥した後、熱可塑性樹脂等のマトリックス中に配合した場合にも、形成された凝集物の分散サイズは小さくならず、均一な分散状態が達成できないため、機械物性やガスバリア性への効果が低下してしまうという問題がある。
しかし、この提案においても、有機化合物で表面処理されてない未処理の層状ケイ酸塩を水に懸濁すると、凍結乾燥しても完全に層間が剥離した分散状態を保持することができないという問題がある。
<1> 分散状態で、表面処理剤で表面処理された層状ケイ酸塩が3〜60枚積層された積層体からなり、該積層体の厚みが10〜120nmであり、かつ該積層体を構成する表面処理された層状ケイ酸塩同士の層間距離が、1.5〜4.0nmであることを特徴とする有機化層状ケイ酸塩である。
<2> 分散状態での積層体の平均粒径が、0.01〜30μmである前記<1>に記載の有機化層状ケイ酸塩である。
<3> 層状ケイ酸塩を溶媒に分散させた後、表面処理剤を溶液pHが5〜7になるまで投入して得られた有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄して得られる前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩である。
<4> 表面処理剤が、有機ホスホニウム化合物及び有機イミダゾリウム化合物のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩である。
<5> 層状ケイ酸塩を溶媒に分散させた後、表面処理剤を溶液pHが5〜7になるまで投入して得られた有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄することを特徴とする有機化層状ケイ酸塩の製造方法である。
<6> 有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄した後、乾燥する前記<5>に記載の有機化層状ケイ酸塩の製造方法である。
<7> 洗浄後の未乾燥の有機化層状ケイ酸塩分散物を、−30℃以下で凍結真空乾燥する前記<5>に記載の有機化層状ケイ酸塩の製造方法である。
<8> 熱可塑性樹脂と、前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩とを含有することを特徴とする樹脂組成物である。
<9> 熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、並びにアミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種である前記<8>に記載の樹脂組成物である。
本発明の有機化層状ケイ酸塩は、分散状態で、表面処理剤で表面処理された層状ケイ酸塩が所定枚積層された積層体からなり、該積層体は、一定の厚みと、該積層体を構成する表面処理された層状ケイ酸塩と表面処理された層状ケイ酸塩とが所定の隙間(層間距離)を有する。
本発明の有機化層状ケイ酸塩の製造方法は、層状ケイ酸塩を溶媒に分散させた後、表面処理剤を溶液pH5〜7になるまで投入して得られた有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄するものである。
本発明の有機化層状ケイ酸塩の製造方法を実施すると、本発明の前記有機化層状ケイ酸塩を製造することができる。
以下、本発明の有機化層状ケイ酸塩及び有機化層状ケイ酸塩の製造方法について詳細に説明する。
また、分散状態での前記積層体からなる有機化層状ケイ酸塩の平均粒径は、0.01〜30μmが好ましく、0.05〜20μmがより好ましく、0.1〜20μmが更に好ましい。
ここで、前記平均粒径は、例えば、有機化層状ケイ酸塩を含む樹脂組成物から得られたフィルムの断面をミクロトームにより切り出し、電子顕微鏡を用いて観察し、粒径を多数個測定し、その平均値から求めることができる。
前記有機化層状ケイ酸塩は、分散させた状態で、上記積層体の性状及び平均粒径を備えることによって、例えば、樹脂中に分散させた場合には、機械強度、寸法安定性、光透過性及びガスバリア性がバランスよく向上する。
前記溶媒としては、例えば、水、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記層状ケイ酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、天然又は合成のヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト等のスメクタイト属粘土鉱物;Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物;バーミキュライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶媒に対し溶解、膨潤及び分散しやすく、かつ表面処理剤により処理し易い膨潤性雲母、スメクタイト類が好適である。
前記層状ケイ酸塩としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、ラポナイトXLG(英国ラポート社製、合成ヘクトライト類似物)、ラポナイトRD(英国ラポート社製、合成ヘクトライト類似物)、サーマビス(独国ヘンケル社製、合成ヘクトライト類似物)、スメクトンSA−1(クニミネ工業株式会社製、サポナイト類似物)、ベンゲル(豊順洋行株式会社販売、天然モンモリロナイト)、クニピアF(クニミネ工業株式会社販売、天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国バンダービルト社製、天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業株式会社製、合成膨潤性雲母)、ソマシフ(コープケミカル株式会社製、合成膨潤性雲母)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル株式会社製、合成スメクタイト)、ルーセンタイトSWF(コープケミカル株式会社製、合成スメクタイト)などが挙げられる。
前記「膨潤性」とは、層状ケイ酸塩層間に、水、アルコール、エーテル等の溶媒が侵入して膨潤する性質を意味する。
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機オニウム化合物、有機ヒドロキシ化合物、有機シラン化合物、有機ハロゲン化合物、エポキシ基含有化合物、イミダゾリウム基含有化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機オニウム化合物が特に好ましい。
X−は対イオンを表し、ハロゲンイオン、酢酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
前記構造式(1)で表される有機ホスホニウム化合物としては、例えば、臭化ヘキサデシルトリフェニルホスホニウム、臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、〔10−(3,5−ビスメトキシカルボニルフェノキシ)デシル〕トリブチルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。
前記有機ハロゲン化合物としては、例えば、メチルクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、ヘキシルクロリド、オクチルクロリド、シクロヘキシルクロリド、ベンジルクロリド、又はこれらに対応するフルオリド、ブロミド、ヨージド等の炭素数1〜20のハロゲノ炭化水素基などが挙げられる。
前記有機シラン化合物としては、例えば、一般式:R6 nSiX4−n(ただし、R6は炭化水素基を表す。Xはハロゲン原子、OR7基(ただし、R7はアルキル基を表す)又はOH基、nは1〜3の整数である)で表される化合物が好適であり、例えば、トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロルシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、フェニルシラノール、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
前記溶媒は、前記層状ケイ酸塩及び表面処理剤を溶解乃至懸濁させることで、該表面処理剤により層状ケイ酸塩を有機化させて、分散液を得るのに使用される。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒中に配合する層状ケイ酸塩の量は、0.1〜8質量%が好ましい。前記層状ケイ酸塩の量が0.1質量%未満であると、層状ケイ酸塩の分散性が向上しにくくなったり、一度に生産できる量が少なく生産性が悪くなることがある。一方、前記層状ケイ酸塩の量が4質量%を超えると、溶媒中でゲル化が起こりやすくなり、分散性が低下することがある。
ここで、前記溶液粘度は、例えば、B級粘度計(芝浦システム株式会社製、ビスメトロンVS-A1)を使用して、22℃で測定することができる。
前記溶媒中に、層状ケイ酸塩及び表面処理剤を溶解乃至懸濁させる方法としては、特に制限はなく、通常使用される方法の中から目的に応じて適宜選択して行うことができ、例えば、マグネティックスターラー、ホモジナイザーなどの回転翼式攪拌機以外にビーズミルなどの高せん断粉砕機などを用いることが好ましい。
前記凍結真空乾燥は、洗浄後の未乾燥の有機化層状ケイ酸塩を−30℃以下で凍結真空乾燥するものである。具体的には、適当な溶媒中に層状ケイ酸塩と表面処理剤を溶解し、懸濁された分散液をろ過し、洗浄した溶液又はペースト状物を、−30℃以下で1時間以内に凍結することが好ましく、−50℃以下で1時間以内がより好ましい。−30℃を超えると、分散液の凍結課程において、分散していた有機化層状ケイ酸塩が配向し、凝集を起こしてしまう。−30℃以下であれば分散状態を保持することができる。
また、溶媒中での層状ケイ酸塩と表面処理剤を反応させ、溶解乃至懸濁する方法、及び得られた有機化層状ケイ酸塩のろ過及び洗浄方法については、公知の方法により実施され、特に限定されるものではない。
前記真空乾燥時の圧力は、溶媒をある程度除去することができ、かつ、真空状態にできる程度の圧力であれば特に制限はないが、3.3〜26.6Paが好ましい。
また、前記分散液は、溶媒を完全に除去する観点から、前記凍結乾燥後に、二次乾燥を行うことが好ましい。
前記二次乾燥を行う際の温度は20〜50℃が好ましく、圧力は9.9〜40Paが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、本発明の前記有機化層状ケイ酸塩とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィン、アクリル樹脂などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(以下、単に「PET」と称することもある)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート(以下、単に「PC」と称することもある)、ポリメタクリル酸メチル、アミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートが、優れた透明性を有している点から特に好ましい。
前記アミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンフタレート等に併用することができる。併用する場合には、樹脂分を100質量部とすると、含まれるアミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートの比率は、5〜25質量部であることが好ましい。前記比率が5質量部未満であると、分散性が不十分となることがあり、25質量部を超えると、機械的強度などが不足することがある。
前記溶融混練を行うために使用される混練機としては、特に制限はなく、通常使用される機械を、目的に応じて適宜選択して使用することができるが、例えば、一軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸混練機、回転円盤と固定円盤との間で混練を行う石臼型連続混練機(KCK)、バンバリーミキサー、ロールミル、などが挙げられる。
なお、前記溶融混練法により得られた樹脂組成物は、押出成形や射出成形をする際には、事前に真空乾燥又は熱風乾燥してもよい。
前記樹脂組成物に対しては、その光透過性と機械強度を損なわない範囲内で、通常使用されるその他の添加剤を併用してもよい。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、帯電防止剤、相溶化剤(アミド基及び/又はスルホン酸基を置換基にもつモノマーを共重合したポリエステル系共重合体等)、などが挙げられる。
−微粒子1の作製−
膨潤性層状ケイ酸塩としてソマシフME−100(コープケミカル株式会社製、合成マイカ)4gを使用し、水温22℃の水400ml中にホモジナイザー(NIHONSEIKIKAISHA Ltd.製、回転翼攪拌機)により11,000rpmで分散させて、攪拌を止め、B級粘度計を使用して22℃温浴中で溶液粘度を測定して、2.8mPa・sの一定になるまで攪拌を続けた。膨潤性層状ケイ酸塩水溶液の溶液粘度が一定になったところで、表面処理剤として予め水に攪拌溶解させておいた臭化ヘキサデシルトリフェニルホスホニウム(イオンとしてはヘキサデシルトリフェニルホスホニウムイオン)10質量%水溶液を0.2ml/minの滴加速度でpHが6程度になるまでに投入することにより有機化処理(イオン交換)を行い、有機化層状ケイ酸塩分散液を得た。
この有機化層状ケイ酸塩分散液をブフナーロートで吸引ろ過を行いながら、ろ液の電導度が200μS/cmになるまで水で洗浄を行った。
得られたペースト状の有機化層状ケイ酸塩を、凍結乾燥機(共和真空株式会社製、トリオマスターIIA−04)を用いて、液体窒素中で急速凍結して分散状態を固定した後、棚温を−30℃以下に冷却した凍結乾燥装置に投入して、6.6Paまで減圧し、ペースト状の有機化層状ケイ酸塩中の溶媒を90%除去した。このとき、昇華の崩壊温度を超えないようにサンプルを冷却しながら減圧乾燥を行った。その後、サンプル温度が30℃になるように調節しながら、13.3Paを保持して減圧乾燥を行い、一旦減圧を止めてサンプルより溶媒が昇華して減圧度が下がらなくなったところで減圧を終了した。以上により、微粒子1を作製した。
−微粒子2〜13の作製−
微粒子1における膨潤性層状ケイ酸塩と表面処理剤の種類及び、溶媒、膨潤性層状ケイ酸塩を溶媒に溶かした際安定に達したときの溶液粘度、pH、及び乾燥条件を、表1及び表2に示すように変更して、微粒子2〜13をそれぞれ作製した。
B級粘度計(芝浦システム株式会社製、ビスメトロンVS-A1)を使用し、測定粘度範囲に合わせて回転軸を変更し、22℃の温浴中で測定した。
pHメーター(株式会社カスタム製、PH5011A)を用いて反応装置内のpHを経時測定した。
凍結真空乾燥を実施したサンプルを5kgfの圧力で粉砕した後、電子顕微鏡により観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:100μmを超える凝集粒子なし
×:100μmを超える凝集粒子あり
*合成マイカとしては、ソマシフME100(コープケミカル株式会社製、合成膨潤性雲母)
*合成スメクタイトとしては、ルーセンタイトSWN(コープケミカル株式会社製、合成スメクタイト)
*溶媒1は、水:アセトン=7:1の混合溶媒である。
−樹脂組成物の調製−
微粒子1を5質量%、熱可塑性樹脂としてのM−PET(富士写真フイルム株式会社製、ポリエチレンテレフタレート(PET)、以下、単に「PET1」という)を83質量%と、スルホン酸基を置換基に持つモノマーを20質量%共重合させたポリエチレンテレフタレート(富士写真フイルム株式会社製、SSIA−PET)を10質量%の配合量で、二軸スクリュー押出機(東芝機械株式会社製、TEM−37)へ投入して、溶融混練法により溶融混練し、実施例1の樹脂組成物を得た。なお、混練はスクリュー回転数150rpm、温度275℃で行った。
得られた樹脂組成物を、二軸押出機(東洋精機株式会社製)を用いて、275℃でTダイを使用して押出成形して、厚み150μmのシートを作製した。
この厚み150μmのシートを延伸温度105℃で逐次3×3倍延伸(縦・横延伸速度1.5m/min)し、厚み17μmの2軸延伸フィルムを作製した。
−樹脂組成物の調製−
実施例10において、下記表3に示すように、熱可塑性樹脂の種類及びその配合量、有機化層状ケイ酸塩の種類及びその配合量を変えた以外は、実施例10と同様にして、各樹脂組成物を作製し、得られた樹脂組成物から各2軸延伸フィルムを作製した。
次に、実施例10〜18及び比較例5〜8の各樹脂組成物からなる各2軸延伸フィルムについて、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表3及び表4に示す。
<層厚み>
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムの断面をミクロトームにより厚み100nmの切片を切り出し、透過電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010:100kV)を用いて倍率20万倍で観察した。粒子100個の層厚みを実測し、その平均値を層厚み(nm)とした。
<層間距離>
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムを凍結粉砕して得られた粉体をX線回折広角測定法(装置:RINT TTRIII、株式会社リガク製)により(001)面に相当するピークの回折角度より層間距離(nm)を算出した。測定条件は、X線発生強度50kV−300mA、測定レンジ2θ=1〜35°、スキャン速度4°/minである。
<枚数>
上記方法で測定した層厚みを層間距離で除して枚数を算出した。
<分散粒径>
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムの断面をミクロトームにより正確に切り出し、電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4700:5kV)を用いて倍率1000倍又は3000倍で観察した。粒子100個の粒径(長径)を実測し、その平均値を分散粒径(μm)とした。
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムをテンシロン万能試験機(STROGRAPH VE50、東洋精機製作所製)にて引っ張り試験を行い、引張弾性率を求めた。同様にして、無機粒子等を配合しないPETのみのフィルムにおいても引張弾性率を求めた後、前記樹脂組成物のシートにおいて、PETのみのフィルムに比してどの程度引張弾性率が向上したかを百分率により算出し、その結果を下記の3段階により評価した。
〔評価基準〕
◎・・・PETのみに対して50%以上向上
○・・・PETのみに対して20%以上50%未満向上
×・・・PETのみに対して20%未満の向上
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムの水蒸気透過率を水蒸気透過計(L80−5000型、LYSSY社製)で測定し、下記基準で評価した。測定条件は40℃×24時間であった。
〔評価基準〕
○・・・PETのみのフィルムに対して50%以上低下した場合
×・・・PETのみのフィルムに対して50%未満しか低下しない場合
各樹脂組成物から得られた3×3倍延伸フィルムのヘイズを濁度計(COLOR AND COLOR DIFFERENCE METER MODEL 1001DP:日本電色工業(株)製)で同サンプルの設定位置を変更して(縦、横)3回ずつ測定し、その平均値を用いた。また、表面形状によるヘイズへの影響をキャンセルするため、セル中に、りん酸トリトリルを入れ、サンプルをこの中に浸漬させた状態で測定し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○・・・ヘイズが30%未満の場合
×・・・ヘイズが30%を超える場合
前記(1)〜(4)の評価結果から、下記の2段階により総合評価した。
〔評価基準〕
良・・・全てが○又は◎の場合
不良・・・それ以外の場合
*PC:ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、H−3000)
*PEN:ポリエチレン−2,6−ナフタレート(帝人化成株式会社製、TN8065)
また、本発明の有機化層状ケイ酸塩を含有する樹脂組成物は、機械的強度、寸法安定性、光透過性及びガスバリア性がバランスよく向上しているので、各種成形品、光学用フィルム、光学用シート、磁気材料用支持体、画像形成材料用支持体、などに好適に使用することができる。
Claims (9)
- 層状ケイ酸塩を溶媒400ml当たり4g〜7g使用して分散させた後、表面処理剤を溶液pHが5.7〜6.8になるまで投入して得られた有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄して得られた有機化層状ケイ酸塩であり、かつ分散状態で、表面処理剤で表面処理された層状ケイ酸塩が3〜60枚積層された積層体からなり、該積層体の厚みが10〜120nmであり、かつ該積層体を構成する表面処理された層状ケイ酸塩同士の層間距離が、1.5〜4.0nmであることを特徴とする有機化層状ケイ酸塩。
- 分散状態での積層体の平均粒径が、0.01〜30μmである請求項1に記載の有機化層状ケイ酸塩。
- 表面処理剤が、有機ホスホニウム化合物及び有機イミダゾリウム化合物のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩。
- 表面処理剤が、下記構造式(1)で表される有機ホスホニウム化合物である請求項1から3のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩。
- 層状ケイ酸塩を溶媒400ml当たり4g〜7gに分散させた後、表面処理剤を溶液pHが5.7〜6.8になるまで投入して得られた有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄することを特徴とする有機化層状ケイ酸塩の製造方法。
- 有機化層状ケイ酸塩分散液をろ過し、洗浄した後、乾燥する請求項5に記載の有機化層状ケイ酸塩の製造方法。
- 洗浄後の未乾燥の有機化層状ケイ酸塩分散物を、−30℃以下で凍結真空乾燥する請求項6に記載の有機化層状ケイ酸塩の製造方法。
- 熱可塑性樹脂と、請求項1から4のいずれかに記載の有機化層状ケイ酸塩とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、並びにアミド基及びスルホン酸基の少なくともいずれかの置換基を持つモノマーを共重合したポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種である請求項8に記載の樹脂組成物。
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