JP2004075455A - 有機変性層状珪酸塩及びその組成物 - Google Patents

有機変性層状珪酸塩及びその組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の有機化層状珪酸塩よりも優れた熱安定性を有する有機変性層状珪酸塩及びその組成物を提供すること。
【解決手段】分解開始温度が250℃以上である有機変性層状珪酸塩、層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム化合物を含有する有機変性層状珪酸塩、並びにこれらの有機変性層状珪酸塩と有機溶媒又は熱可塑性樹脂とからなる組成物。
【選択図】       なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた熱安定性を有する有機変性層状珪酸塩及びその組成物に関する。より詳しくは、本発明は、前記有機変性層状珪酸塩及びその組成物を含有させることにより性能を発揮し得る食品、医薬品等の包装材、建築、電気機器、自動車などの部材として利用される難燃性材料、並びに粘度調節剤、化粧品等における添加剤、コーティング剤、繊維などのポリマーコンポジットの材料分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベンナイトやモンモリロナイトのような層状珪酸塩の層間に存在する無機カチオンを有機カチオンに置換することにより得られる、いわゆる「有機粘土(有機化層状珪酸塩)」に関する研究は、第二次世界大戦直後から報告されている。例えば、1947年に提出された米国特許第2,531,369号明細書には、有機粘土を添加することによりポリマーの構造を強化できることが報告されている。また、米国特許第2,531,440号明細書には、有機粘土を有機溶媒中に分散することによりグリースを作成できることが報告されている。
【0003】
層状珪酸塩に含まれるイオン交換可能な親水性無機カチオンをイオン交換反応により有機カチオンへ置換すると、層状珪酸塩は親有機性(親油性)を帯びるようになる(以下、これを「親有機化」という。)。このため、この層状珪酸塩であれば、親油性の重合体中においても容易に分散できるようになる。
近年、上記手法により製造された有機化層状珪酸塩とポリマーとのコンポジット材料に関する数多くの研究が報告されている(特開2000−26655号公報、「Polymer−Clay Nanocomposite」(edited by T. J. Pinnavaia and G. W. Beall, John Wiley & Sons, Ltd社,2000年発行)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の有機化層状珪酸塩における親有機化剤として用いられる有機カチオン化合物は、そのほとんどがテトラアルキルアンモニウム塩である。このテトラアルキルアンモニウム化合物は200℃程度で熱分解することが知られている。このため、例えば融点が200℃以上であるポリ塩化ビニル、ナイロン6、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーと有機化層状珪酸塩とを溶融混練する場合には、加熱して200℃以上の温度でコンポジット化が行われるので、これらの重合体とテトラアルキルアンモニウム化合物とを溶融混練する場合、混練中にテトラアルキルアンモニウム化合物の熱分解が起こる。このような親有機化剤の熱分解は、層状珪酸塩の表面特性を変化させるだけではなく、コンポジット材料の着色等も引き起こす。したがって、有機化層状珪酸塩の熱分解は、コンポジットの製造工程において大きな問題となっていた。
【0005】
一方、テトラアルキルアンモニウム化合物以外の親有機化剤としては、アルキルトリフェニルホスホニウム化合物がこれまで報告されている(L. P. Meier, R. Nueesch, F. T. Madsen, J. Colloid Interface Sci., 238, 24 (2001)., J. Zhu, A. B. Borgan, F. J. Lammelas, C. A. Wilkie, Chem. Mater., 13, 3774 (2001)等)。しかし、かかるアルキルトリフェニルホスホニウム化合物を親有機化剤として使用した層状珪酸塩であってもコンポジットの熱安定性は依然として十分なものとはいえなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来の有機化層状珪酸塩よりも高い熱安定性を有する有機変性層状珪酸塩を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、前記有機変性層状珪酸塩を含む組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の有機カチオンの熱安定性について系統的に検討した結果、親有機化剤としてこれまで報告されていないテトラアルキルホスホニウム化合物が極めて高い熱安定性を有することを見出した。さらに、これらの化合物を含有する層状珪酸塩及びその組成物が、従来知られている親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩及びその組成物よりも優れた熱安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、分解開始温度が250℃以上であることを特徴とする有機変性層状珪酸塩、又は層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム化合物を含有することを特徴とする有機変性層状珪酸塩により達成される。
【0008】
本発明の有機変性層状珪酸塩は、分解開始温度が250℃以上であるため、これまでの親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩よりも分解開始温度が高く、例えば200℃以上の融点を有する重合体と混練する場合であっても優れた熱安定性が得られる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、次の態様を挙げることができる。
(1)前記テトラアルキルホスホニウム化合物が以下の一般式(I)で表される有機変性層状珪酸塩。
【化1】
Figure 2004075455
式中、R〜Rは、同一又は異なる炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基を表す。
(2)前記一般式(I)のR〜Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であり、Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基である(1)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(3)前記一般式(I)のR〜Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であり、Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基である(1)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(4)前記一般式(I)のR〜Rが同一の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の有機変性珪酸塩。
(5)前記一般式(I)のR〜Rがn−ブチル基、n−ヘキシル基及びn−オクチル基のいずれか一つである(4)に記載の有機変性層状珪酸塩。
【0010】
また、本発明の別の目的は、上記有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物、又は上記有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物によって達成される。
【0011】
本発明の有機変性層状珪酸塩は、有機溶媒中又は熱可塑性重合体中に良好に分散混合可能である。これにより本発明の組成物は、優れた熱安定性を有するコンポジット材料としての利用が可能である。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下に本発明の有機化層状珪酸塩及びその組成物についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0013】
本発明の有機変性層状珪酸塩は、分解開始温度が250℃以上である。親有機化剤として、例えばテトラアルキルアンモニウム塩を使用した場合における有機変性層状珪酸塩の分解開始温度は200℃程度である。これに対し、本発明の有機変性層状珪酸塩は、分解開始温度が200℃よりも高い250℃以上である。これにより本発明の有機変性層状珪酸塩は、200℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂と溶融混練した場合であっても熱分解することはなく、優れた熱安定性を得ることができる。
なお、本発明における分解開始温度とは、アルゴン雰囲気下における10℃/minの昇温過程において、親有機化剤の質量が有機変性層状系珪酸塩の全質量に対して1%減少する温度をいう。
また、本発明における親有機化剤は、有機変性層状珪酸塩の表面及び層間に存在すると考えられ、特に層間に存在することは親有機化された層状珪酸塩の層間隔の拡張をX線を用いて解析することにより容易に確認することができる。
【0014】
本発明の有機変性層状珪酸塩の分解開始温度は250℃以上であれば特に限定されるものではないが、使用する親有機化剤により分解開始温度が適宜決定される。好ましい分解開始温度としては、例えば親有機化剤としてテトラアルキルホスホニウム化合物を使用する場合には、250〜400℃の範囲であり、さらに好ましくは270〜300℃の範囲である。
【0015】
本発明の有機変性層状珪酸塩の別の態様では、層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム化合物を含有する。
本発明で使用されるテトラアルキルホスホニウム化合物は、ホスホニウム(P)基に4つのアルキル基が共有結合した有機カチオン化合物である。テトラアルキルホスホニウム化合物の種類は、少なくとも分解開始温度が250℃となるものであれば、特に限定されない。好ましくは、以下の一般式(I)で表されるテトラアルキルホスホニウム化合物である。
【0016】
【化2】
Figure 2004075455
ここで、一般式(I)中のR〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
上記一般式(I)のR〜Rにおける直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。
【0018】
上記一般式(I)中のR〜Rにおける分岐状アルキル基としては、例えば、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、neo−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基などを挙げることができる。さらに、上記R〜Rにおける環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、上記R〜Rは、一部に不飽和結合(二重結合や三重結合)、エステル基、アミド基、エーテル基、フェニレン基などを有していてもよい。
【0019】
上記R〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であれば、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは上記一般式(I)のR〜Rが炭素数3〜100の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがn−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−オクチル基である場合であって、Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。また、上記R〜Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがメチル基又はエチル基である場合であって、Rが炭素数3〜30の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくは炭素数10〜30の直鎖状アルキル基の場合である。さらに好ましくは、上記R〜Rが同一の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。
本発明で使用されるテトラアルキルホスホニウム化合物は、上記一般式(I)で示されるテトラアルキルホスホニウム化合物を単独で使用し、又は複数を組み合わせて使用することもできる。
【0020】
本発明で使用されるテトラアルキルホスホニウム化合物は、通常、トリアルキルホスフィンにハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。合成のし易さの観点からは炭素数1以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンに炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するハロゲン化アルキルを反応させることが好ましい。一方、トリメチルホスフィンやトリエチルホスフィンは毒性が高いため、人体への安全性の観点からは、炭素数3以上、好ましくは炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンを使用することが好ましい。
【0021】
本発明で使用されるテトラアルキルホスホニウム化合物の原料となるトリアルキルホスフィンは、市販の化合物を用いることができる。このような市販の化合物としては、例えば、トリn−ブチルホスフィン、トリn−ヘキシルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどを挙げることができる。
【0022】
本発明で使用される層状珪酸塩は、特に限定されるものではないが、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物が特に好ましい。これら粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
層状珪酸塩は、天然物であっても合成物であってもよい。また、これらの層状珪酸塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、層状珪酸塩が多層に重なっていると有機化した後に劈開することが困難になることから、親有機化されていない層状珪酸塩の厚さは、可能な限り1層における厚み(約1nm)であることが好ましい。また、平均長さは0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μm、アスペクト比は20〜500、好ましくは50〜200であるものを好適に用いることができる。
【0024】
上記層状珪酸塩は、その層間にイオン交換可能な無機カチオンを有する。イオン交換可能な無機カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオンのことである。これらのイオンは、カチオン性物質とのイオン交換性を有し、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)することができるものが好ましい。
【0025】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、10〜200meq/100gであることが好まし、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が10meq/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)されるカチオン性物質の量が少なくなるために、層間が十分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなることがある。
【0026】
上記条件を満たす層状珪酸塩として、具体的には、クニミネ工業のスメクトンSA、クニミネ工業のクニピアF、コープケミカル社のソマシフME−100、コープケミカル社のルーセンタイトSWN等を挙げることができる。
【0027】
上記層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム塩を含有させる方法は、特に限定されないが、合成操作が容易であるという観点からイオン交換反応で無機カチオンをテトラアルキルホスホニウム化合物に交換することにより含有させる方法が好ましい。
上記層状珪酸塩のイオン交換可能な無機カチオンをテトラアルキルホスホニウム化合物とイオン交換する方法は、特に限定されるものではなく、既知の方法を用いることができる。具体的には、水中におけるイオン交換、アルコール中におけるイオン交換、水/アルコール混合溶媒中におけるイオン交換等の方法を用いることができる。例えば、水中におけるイオン交換は、テトラアルキルホスホニウム化合物を水に加えて均一に溶解した水溶液に層状珪酸塩を加えてイオン交換を行う操作を示す。水中におけるイオン交換におけるテトラアルキルホスホニウム化合物と水との混合比は特に限定されるものではないが、1:1〜1:10000の範囲であることが好ましく、1:10〜1:1000の範囲であることがより好ましく、1:20〜1:200の範囲であることがさらに好ましい。イオン交換は、0〜100℃の温度範囲で行うことが好ましく、10〜80℃の温度範囲で行うことがより好ましく、15〜60℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。さらに、反応終了後に溶媒を濾過して取り除くことにより、イオン交換された層状珪酸塩を単離することができる。
【0028】
上記イオン交換の進行状態は、既知の方法を用いて確認することができる。例えば、濾液のICP発光分析法により交換された無機イオンを確認する方法、X線解析により層状珪酸塩の層間隔が拡張したことを確認する方法、熱天秤により昇温過程の重量減少から有機化合物の存在を確認する方法などの方法を用いることによって、層状珪酸塩中のイオン交換可能な無機イオンがテトラアルキルホスホニウム化合物と置換されたことを確認することができる。イオン交換は、層状珪酸塩のイオン交換可能な無機イオン当量に対し、0.05当量(5%)以上であることが好ましく、0.1当量(10%)以上であることがより好ましく、0.5当量(50%)以上であることがさらに好ましい。
【0029】
次に本発明の組成物について説明する。本発明の組成物は、有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物である。
本発明の組成物に含まれる有機溶媒は、本発明の有機変性層状珪酸塩との親和性があるものであれば特に限定されるものではない。そのような有機溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、メチルセロソルブのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、スクワランのような脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼンのようなハロゲン系炭化水素;酢酸エチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルのようなエステル類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などを挙げることができる。
【0030】
本発明の組成物における有機変性層状珪酸塩と有機溶媒の配合量は、特に限定されるものではないが、有機溶媒中における有機変性層状珪酸塩の割合が0.01〜30w/v%であることが好ましく、0.1〜10w/v%であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の組成物は、さらに有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物であることができる。本発明の組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、有機変性層状珪酸塩の分解開始温度と同等以下のものであれば特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。
【0032】
有機変性層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中へ分散する方法は、特に限定されないが、好ましくは次の2つの方法である。すなわち、第一の方法は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱可塑性樹脂と有機変性層状珪酸塩とを混練する方法である。第二の方法は、熱可塑性樹脂を有機溶媒中に均一溶解した後、この溶媒中に有機溶媒に分散した有機変性層状珪酸塩を加え、十分に混合・攪拌した後、有機溶媒を留去することで、熱可塑性樹脂中に有機変性層状珪酸塩を分散する方法である。
【0033】
本発明の有機変性層状珪酸塩及びその組成物は、様々な分野で利用することができる。例えば、本発明の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒からなる組成物は、有機溶媒のレオロジー特性を改良することが可能である。したがって、本発明の組成物は、化粧品、医薬品、染料、顔料、紫外線吸収剤等の分散媒として、好ましく用いることができる。また、本発明の組成物を塗布・乾燥することにより、薄膜状の形態として使用することもできる。
さらに、本発明の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物は、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性等に優れたコンポジット材料として利用可能である。
【0034】
【実施例】
以下に参考例、実施例、比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0035】
(参考例1)
本参考例は、カチオン部分の構造が異なる化合物の熱安定性を比較したものである。セチル基(n−C1633)を有し、カチオン部分の構造の異なる下記の化合物1(Aldrich)、化合物2(Aldrich)、化合物3(Aldrich)、化合物4(東京化成)、化合物5(東京化成)、化合物6(東京化成)について、アルゴン雰囲気下、10℃/minの速度で昇温した場合の分解開始温度をリガク株式会社製Thermo Plusシステムを用いて測定した。ここでの分解開始温度とは、この測定方法において親有機化剤の質量が有機変性層状珪酸塩の全質量に対して1%減少する温度をいう。得られた結果を表1に示す。
【0036】
【化3】
Figure 2004075455
【0037】
【表1】
Figure 2004075455
【0038】
表1より化合物1〜3(テトラアルキルホスホニウム化合物)の分解開始温度は、いずれも290℃であった。これに対し、化合物4及び5(テトラアルキルアンモニウム化合物)の分解開始温度は190℃であり、化合物6(アルキルトリフェニルホスホニウム化合物)の分解開始温度は240℃であった。
これよりテトラアルキルホスホニウム化合物は、テトラアルキルアンモニウ化合物よりも100℃、アルキルトリフェニルホスホニウム化合物よりも50℃それぞれ高い分解開始温度を有し、テトラアルキルホスホニウム化合物は、熱安定性に極めて優れた化合物であることが分かる。
【0039】
(実施例1)
テトラアルキルホスホニウム化合物で親有機化された層状珪酸塩が、テトラアルキルアンモニウム化合物で親有機化された層状珪酸塩よりも高い熱安定性を有すことが以下の実施例により示される。
【0040】
1.サンプルの調製
<サンプル1(参考例)>
膨潤性雲母であるソマシフME−100(コープケミカル社)をそのまま用いて調製した。
【0041】
<サンプル2(実施例)>
1.0gの化合物1に対し、48.0gの脱イオン水を加え、室温で攪拌することにより、均一に溶解した。この溶液に、ソマシフME−100を1.0g加え、室温で1晩静置した後、ろ過、洗浄し、白色粉末を得た。
【0042】
<サンプル3(比較例)>
1.0gの化合物4に対し、48.0gの脱イオン水を加え、室温で攪拌することにより、均一に溶解した。この溶液に、ソマシフME−100を1.0g加え、室温で1晩静置した後、ろ過、洗浄し、白色粉末を得た。
【0043】
2.層状珪酸塩の層間隔及び分解開始温度の測定
これらの層状珪酸塩について、リガク株式会社製RINT−2500を用いてCuKα線を線源としてθ−2θ法で2θ=1.2°〜30°の範囲のX線回折を室温で測定することにより、層間隔を決定した。さらに、サンプル2及びサンプル3については、アルゴン雰囲気下、10℃/minの速度で昇温した場合の分解開始温度を、リガク株式会社製Thermo Plusシステムを用いて測定した。ここでの分解開始温度とは、この測定方法において親有機化剤の質量が有機変性層状珪酸塩の全質量に対して1%減少する温度をいう。得られた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 2004075455
【0045】
表2よりテトラアルキルホスホニウム化合物と反応させた有機変性層状珪酸塩(サンプル2)は、テトラアルキルアンモニウム化合物と反応させた有機変性層状珪酸塩(サンプル3)と同様、イオン交換前の層状珪酸塩(サンプル1)と比較して、層間隔が0.8nm程度拡大していることが明らかである。このことから、テトラアルキルホスホニウム化合物は、テトラアルキルアンモニウム化合物と同様、層状珪酸塩を親有機化し得ることが分かる。
【0046】
また、これらの有機化層状珪酸塩の分解開始温度を比較した場合、テトラアルキルホスホニウム化合物により親有機化された有機変性層状珪酸塩(サンプル2)は、テトラアルキルアンモニウム化合物により親有機化された有機変性層状珪酸塩(サンプル3)と比較して100℃高い分解開始温度を有することが分かる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機変性層状珪酸塩は、分解開始温度が250℃以上であり、さらに層間にテトラアルキルホスホニウム化合物を含有するため、これまでの親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩と同等に親有機化でき、かつこれまでよりも優れた熱安定性を有する。また、本発明の組成物は、上記有機変性層状珪酸塩を含む組成物であるため、レオロジー特性を改良し、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性に優れたコンポジット材料として応用可能である。

Claims (4)

  1. 分解開始温度が250℃以上であることを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
  2. 層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム化合物を含有することを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
  3. 請求項1又は2に記載の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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