図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、一例として、本発明の生体測定装置を、利用者の体重や脂肪率といった種々の生体情報を測定することができる、いわゆる体組成計に適用した場合の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る生体測定装置10の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る生体測定装置10の外観構成を示す斜視図、図2は、本実施形態に係る生体測定装置10の主たる機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、生体測定装置10は、略箱形に形成された装置本体11と、装置本体11の裏面側に設けられて装置本体11を支持する脚部(図1に示さず。図9の符号12の部材を参照。)とを備える。図1及び図2に示すように、装置本体11には、表示部21と、操作部22と、撮像部25と、電極部材32と、制御部40と、記憶部41と、演算部42と、計時部43と、電源部44と、体重測定部45と、電流供給部46と、電圧測定部47と、が設けられている。以下に、各部材の詳細な構成について説明する。
装置本体11は、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ガラス等を成形してなるカバー部材11a及び底板部材11bを組み合わせて略箱状に形成されている。なお、カバー部材11aは、後述で説明する変形例の場合には、透明部材で構成するのが好適である。
また、図1に示すように、装置本体11の上面、すなわち、本実施形態ではカバー部材11aの上面11a1には、薄板状の4つの電極部材32(生体情報取得手段)が保持されており、これらはカバー部材11aの上面11a1において互いに離間して配置されている。電極部材32を保持する構造は適宜採択可能であるが、例えば、電極部材32を嵌め込み可能な凹部(図に示さず)をカバー部材11aに形成し、電極部材32とカバー部材11aの上面11a1とが面一となるように嵌め込んで保持するのが好適である(図1参照)。電極部材32は、後述のように、電流供給部46又は電圧測定部47を介して制御部40に電気的に接続されている。なお、これらの電極部材32に加えて、利用者の両手でそれぞれ把持することのできるグリップ型の電極部材(手電極)を設けるようにしてもよい。なお、電極32は、後述で説明する変形例の場合には、透明部材で構成するのが好適である。
さらに、図1に示すように、装置本体11には、電極部材32のほかに、表示部21、及び、操作部22が設けられている。表示部21は、制御部40から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段であって、主として利用者の各種生体情報の表示や操作の案内表示、後述の体形の評価の表示などを行う。表示部21としては、一例として、フルドットLCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いたものを採用すればよいが、表示部21と操作部22とを、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルとして一体的に構成してもよい。本実施形態における表示部21の表示例については、図6乃至図9を参照して後述する。
また、操作部22は、利用者の身長等の生体情報の入力や、生体測定装置10の設定事項を入力するためのデータ入力手段である。ここで、操作部22によって入力される生体情報としては、身長、年齢、又は性別を含むものである。また、設定事項とは、利用者が生体測定装置10を使用する上での設定事項であり、例えば、利用者個人の名前、表示部21に表示される生体情報の文字や記号の大きさ、生体情報を表示させる表示順序などである。このように入力された利用者の生体情報や設定事項は、記憶部41(図2参照)に記憶させたり、表示部21に表示されるようになっている。操作部22は、本実施形態においては、一例として、表示部21の手前側に3つのボタン式として構成としたが、個数・形状・操作方法は特にこれに限られず、タッチセンサ式、ダイヤル式など適宜採択可能である。
撮像部25は、利用者の体形画像を取得する体形画像取得手段である。ここで、本発明において体形画像とは、利用者を上方向又は下方向から見た場合の利用者の体形を示す画像であり、少なくとも、利用者を上方向又は下方向から見た場合の身体の輪郭を判別可能な画像であればよく、体形画像の取得方法として、利用者の上方から取得するのか又は下方から取得するのかが限定されるものではない。また、本発明において、利用者の体形は、利用者の肥満の程度(肥満・痩身の別)、又は、利用者の姿勢のうち、少なくともいずれか1つ以上が含まれるものである。利用者の肥満の程度は、主として、利用者の身体が「肥満型」であるか、「痩せ型」であるか、その中間に位置する「標準型」であるか、という利用者の身体の肥満度の観点からの指標である。一方、利用者の姿勢は、主として、利用者の身体が、猫背である、上体が反っている、左右に傾いている、などのように、利用者の身体のバランスの観点からの指標である。
体形画像取得手段としての撮像部25は、本実施形態においては、一例として、装置本体11の四隅に1つずつ配置された計4つのカメラ(25a、25b、25c、25d)で構成する。この4つのカメラ25a、25b、25c、25dは、装置本体11の内部に設置され、図1に示すように、それぞれのレンズ部分のみが、装置本体11の上面(カバー部材11aの上面11a1)に露出している。なお、カバー部材11aを透明部材で構成する場合には、必ずしもレンズ部分が露出する必要はなく、レンズ部分が上方を向くようにして装置本体11内部に設置されていればよい。撮像部25をこのように構成したことにより、装置本体11のカバー部材11aの上面11a1に載った利用者を、下方向から見た場合の体形画像を取得することが可能となる。すなわち、装置本体11のカバー部材11aの上面11a1に載った利用者の体形画像を、上面11a1側から、4つのカメラ25a、25b、25c、25dで利用者を下方から撮影することにより、下方向から見た場合の利用者の体形画像を取得することが可能となる。
図1に示すように、カメラ25a、25b、25c、25dは、装置本体11の四隅に1つずつ配置されているため、カメラ25a、25b、25c、25dのそれぞれが真上に向かって撮影した計4つの画像を、制御部40によって適宜合成処理すれば、利用者の体形画像を取得することが可能となる。また、カメラ25a、25b、25c、25dは、利用者の下半身から上半身に向かって(又はこれと反対方向に)順次、同時に同じ分だけピントを少しずつずらしながら、それぞれ複数の撮影画像を取得することができるようになっている。これによって、各ピントごとに撮影画像を合成処理して取得した体形画像のうち、利用者の身体部分の輪郭が最も大きく明瞭に現れる体形画像、換言すれば、利用者の身体部分の面積が最も広く明瞭に現れる体形画像を選択することで、下方向から見た場合の利用者の体形画像として特定することが可能となる。カメラ25a、25b、25c、25dによって撮影された撮影画像は、制御部40に送られ、記憶部に保存される。なお、本実施形態における体形画像取得手段は、カメラ25a、25b、25c、25dを装置本体11の四隅に計4つ配置したものであるが、本発明は、必ずしもこのような構成に限られるものではなく、カメラの個数や配置方法は適宜変更可能であり、また、カメラ以外の撮像手段を用いてもよい。この点については、変形例として後述する。
計時部43は、所定時間の経過を計測したり、所定時間が経過しているか否かの判断を行い、例えば、前回の測定日や体形画像取得日等からの経過日数・月・年を計測することが可能である。なお、本実施形態では、計時部43は独立の構成要素としているが、計時回路として制御部40に一体化された構成とし、制御部40自身により所定時間を経過しているか否かの判断を行うようにしてもよい。
電源部44としては、生体測定装置10を作動させる電力を供給する電池又は外部電源を利用できるようになっている。
装置本体11の内部には、装置本体11に載った利用者による荷重(体重)を測定する体重測定部45(生体情報取得手段)が設けられている。より具体的には、体重測定部45は、例えば、荷重をかけると荷重に応じて変形する金属部材からなる起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージと、からなるロードセルを用いればよく、装置本体11は起歪体の一端に支持され、起歪体の他端が脚部(図1に示さず。図9の符号12の部材を参照。)に支持されるように構成する。これにより、利用者が装置本体11に載ったときの荷重により起歪体が撓むと、歪みゲージが伸縮して歪みゲージの伸縮に応じた出力値が変化し、その変化を荷重信号出力の変化として体重を測定する。すなわち、制御部40は、装置本体11に負荷がかかっていないときの体重測定部45からの出力値(いわゆるゼロ点)と、荷重がかかったときの出力値と、の差から体重を演算により求め、利用者の体重が測定されるようになっている。このようにして取得された利用者の体重は、記憶部41において記憶されるとともに、表示部21において表示されるようになっている。なお、制御部40は、体重値の精度を高めるため体重測定部45からの荷重信号の出力値が安定した後に、その荷重信号に基づき体重を演算するようにする。
図1に示すように、電極部材32は、4枚の電極部材32a、32b、32c、32dを備えている。利用者が表示部21、操作部22側を向くように載った場合に、利用者のつま先が接触する電極部材32a、32dを通電電極、かかとが接触する電極部材32b、32cを測定電極としている。通電電極32a、32dには電流供給部46が接続され、制御部40からの指示信号にしたがって所定の微弱な定電流が供給されるようになっている。一方、測定電極32b、32cには電圧測定部47が接続され、測定電極32b、32cにおける電位差(電圧)が測定される。このようにして、両足のつま先間に、両脚部(下半身)を介して電流を流し、この電流経路に発生する電位差(電圧)をかかと間で測定することができるようになっている。
記憶部41は、ROM(不揮発性メモリ)、RAM(揮発性メモリ)などによって構成される記憶手段であり、各種のデータ類を記憶する。このデータ類としては、例えば、制御部40や演算部42による処理において使用される各種データやプログラム、利用者の生体情報及び体形画像、並びに、これらを取得ないし評価した年月日、更には、利用者の体形を評価するための体形画像サンプルと利用者の姿勢との関係を表すデータなどを挙げることができる。上記のようなデータ類の読み込みや書き込みは、制御部40によって行われる。
ここで、体形画像サンプルについて、図3を参照して説明する。図3は、体形画像サンプルと利用者の姿勢との関係を例示する図である。ここで、体形画像サンプルとは、利用者の肥満の程度(肥満・痩身の別)や姿勢等の観点で、利用者の体形を評価するために用いる一般化された体形画像である。そのため、体形画像サンプルは、起立状態における人の上方向又は下方向から見た体形を、正常な姿勢や種々の異常な姿勢ごとに、その特徴を捉えてあらかじめ設定し、記憶部41に記憶させておく。例えば、正しい姿勢の人が起立している場合(図3(a)上段参照)は、その人を上方向又は下方向からみたときの体形の輪郭の形状的特長は、略流線形状となるので、図3(a)の中段に示すような体形画像サンプルを「正しい姿勢」として関連付けて記憶させておく。また、比較的高齢者に多くみられるような、骨盤が後方に移動した姿勢の人が起立している場合(図3(e)上段参照)は、その人を上方向又は下方向からみたときの体形の輪郭の形状的特長は、頭部分が前方に突出し、臀部および両腕部分が後方に突出する形状となるので、図3(e)の中段に示すような体形画像サンプルを「骨盤後方移動」として関連付けて記憶させておく。同様にして、図3(b)は右股関節が内転し左股関節が外転している場合、図3(c)は左股関節が内転し右股関節が外転している場合、図3(d)は骨盤が前方に移動している場合、図3(f)は骨盤が右旋回している場合、図3(g)は骨盤が左旋回している場合、図3(h)は左寛骨挙上位で左股関節が外転している場合、のようにして、各種の姿勢をとっているときの特徴を捉えたそれぞれの体形画像サンプルを設定しておく。図3の(a)乃至(h)に示す体形画像サンプルは一例に過ぎず、これら以外の体形画像サンプルを設定してもよい。
また、各種の体形画像サンプルの身体が占める面積等に応じて、身体の肥満若しくは痩身の程度(肥満・痩身の別)をあらかじめ設定しておいてもよい。例えば、図3(a)中段の「正しい姿勢」の体形画像サンプルと形状的には近似している場合であっても、腹部近傍等の皮下脂肪が多い人の場合には腹部が張り出すため、前記略流線形状の体形画像は前方向に向かって大きく膨らむ体形を呈することとなる(図8参照)。したがって、図3(a)中段の「正しい姿勢」の体形画像サンプルの身体が占める面積を「標準型」とした場合に、これよりも大きい面積である場合には「肥満型」、小さい面積である場合には「痩せ型」と判断できるように、各種の体形画像サンプルの身体が占める面積に対する面積比率等に応じて、肥満の程度を段階的に定めておくのが好適である。なお、上記のような面積に限られず、体形画像の身体部分の輪郭の縦方向及び/又は横方向のサイズを基準としてもよい。
図2に示すように、表示部21、操作部22、記憶部41、演算部42、計時部43、電源部44、体重測定部45、電流供給部46、電圧測定部47は、制御部40に接続され、制御部40によって動作が制御されるようになっている。制御部40及び演算部42は、それぞれ集積回路で構成されることが好ましい。さらに、制御部40及び演算部42は別個の集積回路で構成することもできるが、共通の集積回路を用いてもよい。また、制御部40は、操作部22、及び計時部43、体重測定部45、電圧測定部47から送られたデータを演算部42に送る。演算手段としての演算部42は、制御部40の制御のもと、データの処理を行い、その演算結果は記憶部41に記憶される。
制御部40は、各種処理を機能面から捉えた場合、少なくとも、入力情報処理部、生体情報処理部、体形情報処理部、および表示処理部を有しており、これらの各処理部間ではデータ類の入出力が適宜行われる。
制御部40の入力情報処理部は、制御部40に接続されている各種機器類から入力されるデータを、生体情報処理部、体形情報処理部、および表示処理部に分配する。表示処理部は、入力情報処理部、生体情報処理部、および体形情報処理部から送られてくる各種のデータ(例えば、利用者の生体情報、体形情報、測定年月日)の表示に関する制御を行い、表示データを表示部21に送る。
制御部40の生体情報処理部は、操作部22によって入力された利用者の身長、年齢又は性別等の生体情報、体重測定部45から送られる荷重による出力値、電源部44から電流供給部46を介して電極部材(通電電極32a、32d)に送る電流量、電圧測定部47から送られてくる電圧、などの処理をつかさどり、主として、演算部42とともに利用者の生体情報の取得を行う生体情報取得手段として機能する。制御部40の生体情報処理部は、電流供給部46に対して、通電電極32a、32dに与える電流量を指示する信号を出力し、これを受けた電流供給部33は、通電電極32a、32dへ定電流を出力する。この電流印加によって利用者の体内に生じた電圧は、測定電極32b、32c間で電圧測定部47により測定されて、その測定された電圧値は、制御部40の生体情報処理部へ送られる。さらに、利用者が装置本体11に載ったときの体重測定部45のロードセル(図に示さず)から得られた出力値が制御部40の生体情報処理部へ送られる。制御部40の生体情報処理部は、演算部42に対して、記憶部41に記憶されたプログラムにしたがい、電圧測定部47が測定した電圧値及び電流供給部46が印加した電流値から利用者の全身又は所定部位の生体インピーダンス、並びに、体重測定部45において測定された出力値から利用者の体重を、それぞれ求める指示を行う。
制御部40の生体情報処理部は、さらに演算部42に対して、生体情報としての生体インピーダンス及び体重、並びに、操作部22を用いた入力により取得された生体情報(例えば性別・年齢・身長)などをパラメータとし、脂肪率その他の生体情報を推定値として算出により求める指示を行う。このような算出によって求める生体情報としては、脂肪率の他、内臓脂肪レベル(内臓脂肪面積)、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、BMI(Body Mass Index)、肥満度、細胞内液量、細胞外液量など種々のものがあり、本発明に係る生体測定装置10の利用目的に応じて適宜採択すればよい。上記のようにして取得された生体情報は、記憶部41に保存される。
制御部40の体形情報処理部は、本実施形態では、撮像部25から送られてくる撮影画像に所要の処理を施して、利用者の体形画像を取得する体形画像取得手段として機能するとともに、利用者の体形を評価する体形評価手段としても機能する。
制御部40の体形情報処理部は、撮像部25のカメラ25a、25b、25c、25dからそれぞれ送られてくる4枚1組の撮影画像について、所要の画像処理(例えば画像補整処理)を施しつつ、一つに合成することによって、利用者を下方向から二次元で捉えた体形画像を取得する。また、この場合において、汎用の画像処理ソフトを用いるなどして、前記合成された利用者の体形画像の中から、利用者の身体の輪郭を抽出しておく。これによって、利用者の体形画像のうち利用者の身体が占める面積を算出することが可能となる。なお、前記輪郭の内側を黒色、外側を白色で彩色して加工したものを、利用者の体形画像として処理してもよい。このようにして取得した利用者の体形画像は、取得日時等とともに記憶部41に記憶させる。
また、制御部40の体形情報処理部は、上記のようにして取得した利用者の体形画像に基づいて、利用者の体形を評価する。より具体的には、取得された利用者の体形画像が、記憶部41においてあらかじめ記憶されているいずれの体形情報サンプルに近いものであるかを照合し、最も形状が近い体形情報サンプルを特定することにより、利用者の体形がいかなるものであるかを評価する。利用者の姿勢は、特定された体形情報サンプルに関連付けられている姿勢(例えば、「正しい姿勢」又は「骨盤後方移動」など)であると評価する。また、利用者の姿勢が何歳相当の姿勢であるかという姿勢年齢を評価するのも好適である。例えば、基本的には、上記において最も近いと判断された体形情報サンプルが、異常な姿勢に関するものである場合、その姿勢における形状的な特徴が顕著であればあるほど姿勢年齢を高く評価すればよく、正常な姿勢に関するものである場合、その姿勢における形状的特長が顕著であればあるほど姿勢年齢を低く評価すればよいが、その他、利用者の実年齢や過去の体形評価データからみた推移等を総合的に勘案して決定するようにしてもよい。さらに、利用者の体形画像のうち、利用者の身体が占める面積を算出し、上記において最も近いと判断された体形情報サンプルの面積と比較して、同程度であれば「標準型」、これよりも大きい面積である場合には「肥満型」、小さい面積である場合には「痩せ型」というように評価を行う。さらに、今回の測定で取得された体形画像と、記憶部41に記憶されている前回以前の同一利用者の体形評価に関する過去のデータとが比較され、利用者の体形の推移を評価するようにしてもよい。
本実施形態は、体組成計を兼ね備えているものであるため、利用者の年齢や身長、体重等の生体情報を同時に取得することができることから、制御部40の体形情報処理部は、これらの生体情報と体形画像とを組み合わせて、より具体的に体形を評価できるようにしてもよい。例えば、体形画像の身体が占める部分の横幅からウエストを推定値として導出するようにしてもよい。
次に、本実施形態の生体測定装置10を用いた測定例について、図4乃至図8を参照して説明する。図4は、本実施形態の生体測定装置10を用いた測定例の流れを示すフローチャート、図5乃至図8は、表示部21の表示例を示す図である。
まず、図示しない所定の測定開始スイッチ(スタートボタン)が利用者によって押され、生体測定装置10が起動すると、測定開始の指示が制御部40に送られる(図4のステップS10)。
測定開始の指示を受けた制御部40は、計測のための初期設定を行う(ステップS11)。具体的には、身長や性別などの生体情報の入力を利用者に促す案内表示が表示部21においてなされる。利用者は、表示部21の表示に従って自らの身長・年齢・性別などの生体情報を操作部22によって入力する。操作部22によって入力された生体情報は制御部40に送られる。
生体測定装置10の初期設定が完了すると、装置本体11に載ることを利用者に促す表示が表示部21になされる。表示部21の表示に従って利用者が装置本体11に載ると、体重および生体インピーダンスの測定が行われる(ステップS12)。具体的には、体重測定部45のロードセルで得られた出力値が安定したところで、制御部40は、この出力値に基づいて、演算部42に対して、所定の演算プログラムにしたがって利用者の体重を算出させる。また、同時に、制御部40は、電流供給部46に対して、通電電極32a、32dに対して電流を供給するように指示し、通電電極32a、32dから測定対象者の両脚部を介して測定電極32b、32cへ電流が流れるときに発生する電圧を、電圧測定部47に測定させ、この電流値及び電圧値に基づいて、演算部42に対して、生体インピーダンスを算出させる。
制御部40は、測定により取得された生体情報である体重及び生体インピーダンス、並びに、入力により取得された生体情報である性別・年齢・身長をパラメータとして、演算部42に、記憶部41にあらかじめ記憶された演算プログラム(回帰式)を用いて、利用者の他の生体情報(例えば、脂肪率、内臓脂肪レベル(内臓脂肪面積)、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、BMI、肥満度、細胞内液量、又は細胞外液量等)を算出により求める(ステップS13)。
また、装置本体11の上面に載った利用者の体形画像が取得される(ステップS14)。具体的には、利用者を撮像部25のカメラ25a、25b、25c、25dによって撮影され、撮影画像が制御部40に送られる。制御部40は、所要の画像処理を施しつつ、一つに合成して、利用者の体形画像を取得する。なお、撮像部20による利用者の体形像の撮影は、上述の体重測定および生体インピーダンスの測定と並行して行うようにしてもよい。
次に、制御部40は、ステップS14において取得された利用者の体形画像に基づいて、利用者の体形を評価する(ステップS15)。本実施形態では、利用者の姿勢の評価、利用者の身体の肥満若しくは痩身の程度(肥満・痩身の別)の評価が行われる。
制御部40において利用者の脂肪率等の生体情報の測定および体形の評価が完了すると、これらの測定結果および評価結果に基づく表示データが表示部21に送られ、一例として、図5乃至図8に示すような表示が表示部21においてなされる(ステップS16)。
図5に示すように、測定及び評価の年月日、体重、体脂肪率、姿勢判定、姿勢年齢、および体形画像が表示部16に表示される。図5は、「正しい姿勢」であると評価されており、二重丸の表示、及び、姿勢年齢「20歳」の表示がなされている。図6は、図5の場合とは異なる利用者の表示例であり、表示項目は図5と同様となっているが、図6の場合の利用者は、骨盤が後方にずれていると評価され、「骨盤後方」の表示、及び、体形年齢「60歳」の表示がなされている。なお、図5や図6において示している表示例は、上記のようなものに限定されず、その他の生体情報(内臓脂肪レベル(内臓脂肪面積)、体水分量、筋肉量等)を順次又は同時に表示するようにしてもよい。
また、体形の評価結果の別の表示例として、図7のように行うのも好適である。図7は、前後傾斜(縦軸)および左右傾斜(横軸)によって定められる座標上に姿勢判定の結果が経時的に表示される例を示し、「前」「後」「左」「右」の表示は姿勢の傾斜方向を意味する。上記のような体形の評価を継続的に行っている場合において、月単位や年単位などの所定の経過時間ごとに、利用者の体形がいずれの方向に歪んでいるのか、及び、その歪みがどのように推移しているかをプロットした座標を表示するようにする。なお、前記のようなプロットを行う方法は適宜採択できるが、例えば、所定の時間ごとに、その時点で取得された利用者の体形画像において、利用者の身体の重心位置を特定可能なプログラムを用いるなどして、その重心位置をプロットすればよい。このような表示を行うことにより、利用者にとっては、普段の生活では気がつきにくい自己の体形の歪みについての注意喚起となるので、以後の生活における改善に役立てることが可能となる。
体形の評価結果のさらに別の表示例として、図8のように行うのも好適である。図8は、利用者の体形画像のうちの身体が占める面積を縦軸に設定するとともに、経過時間としての年齢を横軸に設定した座標上に、利用者の体形画像を経時的に表示する例を示す。上記のような体形の評価を継続的に行っている場合において、一例として年単位などの所定の経過時間ごとに、利用者の体形画像のうちの身体が占める面積を算出するとともに、図8に示す座標上にプロットする。この場合に、プロット点を、その時点における利用者の体形画像を表示するようにすると、一見して体形画像及びその面積の推移を把握することができる。さらに、このような表示例を用いて、同時に利用者の腹部形状(腹部の張り出し程度、肥満の程度)の評価を行うようにしてもよい。
なお、上述の生体情報や体形画像の測定結果、体形の評価結果は、記憶部41に送られて記憶され、次回以降の計測の際に利用可能とされている。
以上説明したように、本実施形態の生体測定装置10によれば、利用者の体重や脂肪率等の生体情報とともに、利用者の体形に関する評価をも得ることができ、利用者は、図5乃至図8に示すような表示によって、自らの体形について一目で確認することができる。特に、本発明の生体測定装置10において、体形画像取得部が取得する利用者の体形画像は、利用者を上方向又は下方向から見た場合の利用者の体形画像であり、装置本体11の上面(上面11a1)に載った利用者の体形画像を前記上面側から取得するものであるので、従来の体形画像を取得する装置のような広い設置スペースを必要としないコンパクトな構造によって実現可能であり、また熟練者による操作も不要であるため、専門機関等に行くことなく、従来から存在する体重計や体組成計などで生体情報を測定するのと同様の感覚で、きわめて簡便に体形評価を表示部16に表示させることができるため、家庭内における日常的な使用に適している。
また、本実施形態では、利用者の身体の肥満若しくは痩身の程度、及び、前記利用者の身体の姿勢、の両面から利用者の体形が評価されるため、利用者は多面的に自己の体形を把握することができる。また、過去のデータとの比較が可能であり、さらに、体重や脂肪率等といった同時に取得される生体情報をも考慮した体形評価を取得することができるため、利用者自身による健康管理や、日々の体形変化のデータを必要とするリハビリ等の医療分野においても有効に活用可能である。
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、各種の変形を加えることも可能である。以下に、変形例を説明する。
[第1変形例]上記の実施形態においては、生体情報取得手段を備えた構成のものを説明したが、必ずしも生体情報取得手段を備えたものである必要はない。この場合、少なくとも、前記実施形態における、体形画像取得手段と、これによって取得した体形画像に基づいて利用者の体形を評価する体形評価手段と、を有するものであればよい。
[第2変形例]上記の実施形態においては、体形の評価結果を、装置本体11に備え付けの表示部21において表示するものを説明したが、表示部21とは別の表示手段を用いて体形の評価結果を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、本発明による生体測定装置の利用者が所有するパーソナルコンピュータのディスプレイ等を表示手段として用いればよい。より具体的には、上記の実施形態における装置本体11に、パーソナルコンピュータとデータの通信が可能な通信部27(図2参照)を設けることにより、制御部40において利用者の脂肪率等の生体情報の測定および体形の評価が完了後、これらの測定結果および評価結果に基づく表示データが、通信部27を介してパーソナルコンピュータのディスプレイに送られ、図5乃至図8と同様の表示が行われるようにする。なお、この場合は、パーソナルコンピュータのディスプレイ上に前述のような評価結果を表示するために必要な所定のプログラムがパーソナルコンピュータに予め格納されている。さらにまた、上記実施形態においては制御部40が体形評価手段として機能するものであるが、外部装置としてのパーソナルコンピュータを体形評価手段として機能させてもよい。この場合、パーソナルコンピュータを前記実施形態における体形評価手段として機能させるために必要な所定のプログラム、及び、パーソナルコンピュータのディスプレイ上に前述のような評価結果を表示するために必要な所定のプログラムを、パーソナルコンピュータに予め格納しておくことにより、本発明の生体測定装置において、利用者の脂肪率等の生体情報が測定され、体形画像が取得された後、これらのデータが通信部27を介してパーソナルコンピュータのディスプレイに送られ、パーソナルコンピュータにおいて体形の評価を行い、そのディスプレイにおいて図5乃至図8と同様の表示が行われるようにする。なお、通信部27としては、電波や赤外線等による通信が好適であるが、必ずしもこれに限らず、別個の記憶装置(例えばUSBメモリ)の接続部、ケーブル接続部等の手段を採択してもよい。
[第3変形例]上記の実施形態においては、体形画像取得手段として、撮像部25は4つのカメラ25a、25b、25c、25dで構成したものを説明したが、図9に示すように、1つのカメラ(撮像部225)で構成してもよい。図9は、本発明の実施形態の第3変形例に係る生体測定装置の内部構造の概略を示す断面図である。この図9は、図1で示す上記実施形態に係る生体測定装置10でいえば、図1におけるIX−IX線に沿った断面図に相当するものとして表しているが、第3変形例の説明の便宜上、内部構造としての体重測定装置45、電流供給部46、電圧測定部47等の図示は省略している。なお、上記実施形態に係る生体測定装置10と共通する機能乃至構成を有するものについては、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本発明の第3変形例に係る生体測定装置200は、撮像部225が、装置本体11の内部に設けられており、利用者に対して装置本体11の上面(カバー部材11aの上面11a1)側である、装置本体11内部から、装置本体11の上面に載った利用者の体形画像を取得する構成のものである。より具体的には、装置本体11の底板部材11bの内面に、例えば、1つの撮像部225としてのカメラを設け、そのレンズ部分をも含めて装置本体11の内部に収容される点で、前記実施形態と相違している。したがって、第3変形例においては、カバー部材11a(又は少なくともその上面11a1)及び電極部材32を透明部材で構成するのが好適である。このように、1つの撮像部225として構成することにより、前記実施形態のような4つのカメラ(25a、25b、25c、25d)で撮影した撮影画像の合成処理を省略することができる点で好適である。
なお、撮像部225は、利用者の下半身から上半身に向かって(又はこれと反対方向に)順次、同時に同じ分だけピントを少しずつずらしながら、複数の撮影画像を取得することができるようになっており、これによって、各ピントごとに取得した体形画像のうち、利用者の身体部分の輪郭が最も大きく明瞭に現れる体形画像、換言すれば、利用者の身体部分の面積が最も広く明瞭に現れる体形画像を選択することで、下方向から見た場合の利用者の体形画像として特定することが可能となる。また、上面11a1に載った利用者の足裏のみが撮影されることがないように、装置本体11の高さhを適宜設定すること等により、撮像部225から上面11a1までの適当な距離を調整し、少なくとも図9に破線で示した範囲の撮影が可能にしておくのが好適である。
なお、第3変形例における撮像部225の具体例として、上記ではカメラについて説明したが、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、サーモグラフィー装置を用いて、利用者を下方向から見たときの利用者の体温に応じた温度分布を測定し、それを色分布などで画像化したものを体形画像として用いるようにしてもよい。さらに、サーモグラフィー装置によって取得された体形画像について、汎用の画像処理ソフトを用いるなどして、利用者の身体の輪郭を抽出しておくのが好適である。
[第4変形例]上記の実施形態においては、体形画像取得手段として、撮像部25は4つのカメラ25a、25b、25c、25dで構成したものを説明したが、図10に示すように、光センサユニット(撮像部325)で構成してもよい。図10は、本発明の実施形態の第4変形例に係る生体測定装置の外観構成を示す斜視図である。なお、上記実施形態に係る生体測定装置10と共通する機能乃至構成を有するものについては、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図10に示すように、本発明の第4変形例に係る生体測定装置300は、撮像部325が、装置本体11の内部に設けられており、利用者に対して、装置本体11の上面(カバー部材11aの上面11a1)側である、装置本体11内部から、装置本体11の上面に載った利用者の体形画像を取得する構成のものである。より具体的には、撮像部325は、装置本体11のカバー部材11aの内面近傍を、例えば、装置本体11の縦幅W2方向に沿う矢印A方向にスライド移動(駆動)が可能な、光センサユニットとして設ける。光センサユニットとしての撮像部325は、装置本体11の横幅W1方向に長い略棒状に形成され、その長手方向に沿って光センサ325aが、第1光センサ325a1から第n光センサ325anまで配置されている。なお、光センサ325aの個数nについては、適宜設定することが可能である。また、生体測定装置300の装置本体11内は、光センサユニットとしての撮像部325が矢印A方向にスライド移動するに際し、生体測定装置300の内部構造としての体重測定装置45、電流供給部46、電圧測定部47等と撮像部325とが干渉しないように構成されている。なお、光センサユニットとしての撮像部325は、前記のような構成に限られず、装置本体11の横幅W1方向に沿う方向にスライド移動(駆動)が可能で、装置本体11の縦幅W2方向に長い略棒状に形成し、その長手方向に沿って光センサ325aが、第1光センサ325a1から第n光センサ325anまで配置するような構成としてもよい。
光センサ325aのそれぞれは、装置本体11の真上方向に向かって測定光(例えば赤外光)を出射する光源部と、利用者の身体(のいずれかの部位)で反射した前記測定光を受光する受光部とからなり、出射された測定光に対する受光された測定光の強さ(弱まり具合)や、出射から受光までに要した時間などに基づいて、演算部41において利用者の身体(のいずれかの部位)までの長さを算出できるようになっている。したがって、第4変形例においては、カバー部材11a(又は少なくともその上面11a1)及び電極部材32を透明部材で構成するのが好適である。図10に示すように、光センサユニットとしての撮像部325を、矢印A方向にスライド移動させるとともに、その変位ごとに順次、光センサ325aによる測定光の出射及び受光を繰り返し行い、上面11a1の面上における利用者の身体の部位の有無を検出する。そして、第1光センサ325a1から第n光センサ325anまでをX軸、矢印A方向の変位量をY軸にとった座標上に、前記検出が有ったポイント(又は無かったポイント)を総てプロットすることにより、利用者の体形画像を取得することが可能となる。また、そのプロットにより得られた利用者の体形画像について、汎用の画像処理ソフトを用いるなどして、利用者の身体の輪郭を抽出しておくのが好適である。
光センサ325aを上記のように構成する場合の他、例えば、光の明暗を検知する受光部のみからなる光センサとして構成してもよい。この場合は、利用者が装置本体11の上面(カバー部材11aの上面11a1)に載った場合に、前記上面に投影される利用者の影を、利用者の体形画像として取得することが可能となる。すなわち、家庭の既存設備としての天井備え付けの照明に対して、その真下に生体測定装置300を設置し、その上面に利用者が載ると、上面(カバー部材11aの上面11a1)に利用者の影が投影される。このときに、その影を、光センサユニット325が矢印A方向にスライド移動して、その変位ごとに順次、光センサ325aによる受光を行うことで、上面のうち、影によって暗くなっている部分は暗いものとして、影がかかっていない部分は明るいものとして、それぞれ検知する。そして、矢印A方向の変位量をX軸、第1光センサ325a1から第n光センサ325anまでをY軸にとった座標上に、前記明るいポイント(又は暗いポイント)を総てプロットすることにより、利用者の体形画像を取得することが可能となる。また、そのプロットにより得られた利用者の体形画像について、汎用の画像処理ソフトを用いるなどして、利用者の身体の輪郭を抽出しておくのが好適である。
図10に示すように、第4変形例の生体測定装置300においては、比較的体形が大きい利用者であっても、その体形画像の取得が可能なように、生体測定装置300の装置本体11の横幅W1及び縦幅W2を大きめに設定しておき、それに伴って、光センサユニット325の長手方向の長さ、及び、矢印A方向の移動距離を長めに設定しておくのが好適である。
[第5変形例]上記の第4変形例において、装置本体の上面に投影される利用者の影を体形画像として取得する構成のものを説明したが、装置本体の上面側からの照射光によって、家庭の既存設備としての天井に投影される利用者の影を体形画像として取得する構成のものとしてもよい。より具体的には、第5変形例の生体測定装置は、装置本体のカバー部材(又は少なくともその上面)及び電極部材を透明部材で構成するとともに、その装置本体内部のカバー部材内面側に発光部を設け、装置本体の側面等から伸びるアーム部の先端には、レンズ部分が上方向に向いたカメラ(撮像部)を設けてなる。家庭の既存設備としての天井の平らな部分に対して、その真下に第5変形例の生体測定装置を設置し、その上面に利用者が載ると上面(カバー部材11aの上面11a1)側の発光部から照射光が出射され、利用者の影が天井に投影される。その天井に投影された利用者の影をカメラによって撮影されて、利用者の体形画像として取得される。
[第6変形例]上記の実施形態においては、体形画像取得手段として、撮像部25は4つのカメラ25a、25b、25c、25dで構成したことにより、利用者の下方向から体形画像を取得するものを説明したが、身長計のように生体測定装置(10)の装置本体(11)が利用者の身長方向に沿って延在する場合には、利用者の体形画像を上方向から取得するデバイス(カメラ、レーザー装置、その他のセンサ類)を配設するようにしてもよい。