JP5120200B2 - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、主に電気冷凍冷蔵庫などの冷凍サイクルに使用される密閉型圧縮機に関するものである。
従来、スラストボールベアリングを用いた圧縮機としては、主軸受の上部管状延長部の周囲に転がり軸受を配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
図8は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図9は、従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図、図10は、従来の密閉型圧縮機の支持部材の斜視図を示したものである。
図8おいて、密閉容器2の底部には潤滑油4を貯留しており、圧縮機本体6はサスペンションスプリング8によって密閉容器2に対して弾性的に支持されている。
圧縮機本体6は、電動要素10と、電動要素10の上方に配設される圧縮要素12から構成されている。電動要素10は、固定子14および回転子16とから構成されている。
圧縮要素12のシャフト18は、主軸部20と偏心軸部22を備えており、主軸部20はシリンダブロック24の主軸受26に回転自在に軸支されるとともに、回転子16が固定されている。そして、荷重が作用する偏心軸部22に対して、偏心軸部22の下側のみに配置された主軸部20と主軸受26で支持する片持ち軸受の構成となっている。
また、シャフト18は主軸部20表面に設けた螺旋状の溝などからなる給油機構28を備えている。
ピストン30は、シリンダブロック24に形成された略円筒形の内面を有するシリンダ34に往復自在に挿入される。また、連結手段36は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン30に取付けられたピストンピン38と偏心軸部22に嵌挿されることで、偏心軸部22とピストン30とを連結している。
シリンダ34およびピストン30は、シリンダ34の開口端面に取り付けられるバルブプレート46とともに圧縮室48を形成する。さらに、バルブプレート46を覆って蓋をするようにシリンダヘッド50が固定されている。
吸入マフラ52は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド50に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリングについて説明する。
図9において、主軸受26は、軸心と直角な平面部であるスラスト面60と、スラスト面60よりさらに上方に延長され、主軸部20に対向する内面を有する管状延長部62とを有している。
そして、管状延長部62の外径側に、上レース64、ホルダー部68に保持されたボール66、下レース70、および支持部材72からなるスラストボールベアリング76が配置されている。
上レース64および下レース70は環状で金属製の平板であり、上下の面が平行である。また、ホルダー部68は環状の形状をなし、周方向に設けた複数の穴部にボール66を転動自在に収納している。
支持部材72は、図10に示すとおり、環状の金属板に下側突起72a,72bと、上側突起72c,72dを設けたものである。これらの突起は同じ半径の曲面で形成され、下側突起72a,72bの頂点を結ぶ線と、上側突起72c,72dの頂点を結ぶ線とが直角になるように配置されている。
そして、スラスト面60の上に、支持部材72、下レース70、ボール66、上レース64の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース64の上面にシャフト18のフランジ部74が着座している。そして、支持部材72は、下側突起72a,72bが線接触の状態でスラスト面60と接し、上側突起72c,72dが線接触の状態で下レース70と接している。
以上のように構成された圧縮機について、以下にその動作を説明する。
電動要素10に通電されると、固定子14に発生する回転磁界により、回転子16は主軸部20とともに回転する。主軸部20の回転により、偏心軸部22が偏心運動し、偏心軸部22の偏心運動が連結手段36を介してピストン30に伝えられ、ピストン30はシリンダ34内で往復動する。
密閉容器2外の冷凍サイクル(図示せず)より戻った冷媒は、吸入マフラ52を経由して圧縮室48内へ導入され、圧縮室48内でピストン30により圧縮され、圧縮された冷媒は密閉容器2から冷凍サイクル(図示せず)へ送出される。
また、シャフト18下端は潤滑油4に浸漬しており、シャフト18が回転することにより、潤滑油4は給油機構28により圧縮要素12各部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング76について説明する。
スラストボールベアリング76は、ボール66が上レース64と下レース70に点接触の状態で転がる転がり軸受であり、シャフト18や回転子16の自重などの垂直方向の荷重を支持しながら回転が可能である。転がり軸受は、一般的に用いられている滑り軸受の形式のスラストベアリングより摩擦が少なく、近年高効率化を目的に採用されることが増えてきている。
特表2005−500476号公報
しかしながら、上記従来の構成では、輸送時の振動など密閉型圧縮機全体に大きな外力が作用した場合、スラストボールベアリング76全体に大きな荷重が作用し、ボール66と上レース64および下レース70の接触部で陥没などの塑性変形が生じ、この変形が原因で効率や騒音、信頼性に悪影響を及ぼすという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、輸送時などの振動などの大きな外力が作用した場合でもボールベアリングの塑性変形を防止し、高効率で低騒音、かつ信頼性の高い圧縮機を実現することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、ボールの上下にそれぞれ配設された上レースと下レースとを備え、下レースまたは上レースとスラスト面との間に、重力方向の弾性力を備えた支持部材を配設したもので、大きな外力が作用した場合でも支持部材が変形することで、ボールと上レースおよび下レースの接触荷重が大きくなることを抑制し、スラストボールベアリングの塑性変形を防止するという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、大きな外力が作用した場合でも支持部材が変形することで、ボールと上レースおよび下レースの接触荷重が大きくなることを抑制し、ボールベアリングの塑性変形を防止して、スラストボールベアリングの摺動を良好な状態で維持できるので、高効率で、低騒音かつ信頼性の高い圧縮機を実現することができる。
本発明は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを有するシャフトと、圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結手段と、前記シリンダブロックに設けられ前記主軸部を軸支する主軸受と、前記主軸受のスラスト面に配設されたスラストボールベアリングとを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下にそれぞれ配設された上レースと下レースとを備え、前記下レースまたは前記上レースと前記スラスト面との間に、重力方向の弾性力を備えた支持部材を配設したもので、大きな外力が作用した場合でも支持部材が変形することで、ボールと上レースおよび下レースの接触荷重が大きくなることを抑制し、スラストボールベアリングの塑性変形を防止して、スラストボールベアリングの摺動を良好な状態に維持することで、効率向上と騒音低減、信頼性向上を達成することができる。
また、本発明は、支持部材の一部の弾性変形が大きくなると、他の一部の弾性変形が小さくなることで、スラスト面に対してスラストボールベアリングが傾斜することを可能としたものでありシャフトが主軸受に対して傾斜した場合でも、上レースと下レースの平行をより確実に維持することができ、一部のボールに作用する荷重が大きくなることによるスラストボールベアリングの損傷を防止するので、高い信頼性を得ることができる。
また、本発明は、シャフトの重力方向下方の移動を制限する移動制限手段を備え、前記シャフトに重力方向下方に大きな荷重が作用した際に前記移動制限手段が機能するもので、大きな外力が作用した場合でも、移動制限手段で荷重を支持して、ボールと上レースおよび下レースの接触荷重が極端に増大することを防止することができスラストボールベアリングの塑性変形を防止して、スラストボールベアリングの摺動を良好な状態に維持することで、効率向上と騒音低減、信頼性向上を達成することができる。
また、本発明は、耐荷重を超える荷重がスラストボールベアリングに作用する前に、移動制限手段が機能するもので、耐荷重を超える荷重がスラストボールベアリングに作用す
ることがないのでさらに確実にスラストボールベアリングの塑性変形を防止して、スラストボールベアリングの摺動を良好な状態に維持することで、効率向上と騒音低減、信頼性向上を達成することができる。
また、本発明は、支持部材は環状の波ワッシャであり、上レース側に突出し前記上レースと当接する複数の上凸部と、スラスト面側に突出し前記スラスト面と当接する複数の下凸部とを備え、前記上凸部と前記下凸部は円周方向に交互に配設するもので、波ワッシャ上下の面とスラスト面及び下レースが確実に接することで、上レースと下レースの平行を維持し、一部のボールに作用する荷重が大きくなることを防止することができさらに信頼性が向上するとともに、大きな外力が作用した場合でも波ワッシャが変形することで、ボールと上レースおよび下レースの接触荷重が大きくなることを抑制し、スラストボールベアリングの塑性変形を防止して、信頼性を向上し、さらに構造が簡単で小型化が容易になる。
また、本発明は、支持部材は、同一形状の波ワッシャを複数重ねて形成されるもので支持部材を小型化に構成することができるとともに、接触荷重の大きさに応じて最適に構成し、高い信頼性を得ることができる。
また、本発明は、支持部材は、弾性体を周方向に複数配置して形成するもので、複数の弾性体を用いることで変形による局所的な応力集中を避けた設計が容易になり、繰り返しの変形に対する耐久性を高めることができとともに、複数の弾性体の変形により、上レースと下レースの平行を維持し、一部のボールに作用する荷重が大きくなることを防止することができさらに高い信頼性を得ることができる。
また、本発明は、支持部材は、流体を充填し柔軟性を有する環状のチューブで形成するもので、擦れなどによる騒音の発生を防止することができるとともに、チューブの変形による局所的な応力集中を避けた設計が容易になり、繰り返しの変形に対する耐久性を高めることができとともに、チューブの変形により、上レースと下レースの平行を維持し、一部のボールに作用する荷重が大きくなることを防止することができさらに高い信頼性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図、図3は密閉型圧縮機の支持部材の外観図である。
図1および図2において、密閉容器102内底部に潤滑油104を貯留するとともに、圧縮機本体106がサスペンションスプリング108により密閉容器102内で内部懸架されている。また、密閉容器102には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体106は、電動要素110と、これによって駆動される圧縮要素112とからなり、密閉容器102には電動要素110に電源を供給するための電源端子113が取り付けられている。
まず、電動要素110について説明する。
電動要素110は、薄板を積層した鉄心に銅製の巻線が巻かれて形成される固定子114と、固定子114の内径側に配置される回転子116とを備え、固定子114の巻線が電源端子113を経由して圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に圧縮要素112について説明する。
圧縮要素112は電動要素110の上方に配設されている。
圧縮要素112を構成するシャフト118は、主軸部120と、主軸部120と平行な偏心軸部122を備えている。また、主軸部120には回転子116が固定されている。
シリンダブロック124は、円筒形の内面を有する主軸受126を備え、主軸受126に主軸部120が回転自在な状態で挿入され、支持されている。そして、圧縮要素112は、偏心軸部122に作用した荷重を偏心軸部122の下側に配置された主軸部120と主軸受126で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シャフト118は主軸部120表面に設けた螺旋状の溝などからなる給油機構128を備えている。
また、シリンダブロック124は円筒状の穴部であるシリンダ134を備えており、ピストン130がシリンダ134に往復自在に挿入されている。
また、連結手段136は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン130に取付けられたピストンピン138と偏心軸部122に嵌挿されることで、偏心軸部122とピストン130と連結している。
シリンダ134端面にはバルブプレート146が取り付けられ、シリンダ134およびピストン130とともに圧縮室148を形成する。さらに、バルブプレート146を覆って蓋をするようにシリンダヘッド150が固定されている。吸入マフラ152は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド150に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリング176の構成について説明する。
主軸受126は、軸心と直角な平面部であるスラスト面160と、スラスト面160よりさらに上方に延長され、主軸部120に対向する内面を有する管状延長部162とを有している。
そして、管状延長部162の上側に上レース164が配置され、管状延長部162の外径側かつ上レース164の下側に、ホルダー部168に保持されたボール166、下レース170、および支持部材172が配置され、スラストボールベアリング176が構成されている。
上レース164および下レース170は環状で金属製の平板であり、望ましくは熱処理を行ったバネ鋼などで形成され、上下の面が平行で、かつ表面は平滑に仕上げられている。
ホルダー部168は、ポリアミドなどの樹脂材料で形成され、環状の形状をなし、ボール166が転動自在に収納される複数の穴部を有している。
図3に示すように、支持部材172は、バネ用鋼の薄い平板を成型して成型される環状の波ワッシャであり、上側に突出する3箇所の上凸部172a,172b,172cと、下側に突出する3箇所の下凸部172d,172e,172fとを備え、前記上凸部と前記下凸部は円周方向に交互に配設され、上凸部172a,172b,172cと下凸部172d,172e,172fの間は、なめらかな曲線で接続されている。
そして、スラスト面160の上に、支持部材172、下レース170、ボール166、上レース164の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース164の上面にシャフト118のフランジ部174が着座している。
従って、支持部材172はスラスト面160と下凸部172d,172e,172fの3箇所で接し、下レース170と上凸部172a,172b,172cの3箇所で接するように構成される。
密閉型圧縮機に組み付けると、支持部材172には下レース170を介して、シャフト118や回転子116などの荷重が作用し、さらに運転時には電動要素110の軸方向の推力を受ける。支持部材172は重力方向にバネ性を有しており、この荷重により自然長に比べ、高さが低くなるが、この状態で、上レース164と管状延長部162の先端162aには隙間dができるように、各寸法と支持部材172のばね定数は選択されている。
そして、隙間dを介して対向する上レース164と管状延長部162の先端162aにより、移動制限手段178が形成される。
また、当初の組立状態から隙間dだけさらに支持部材172が変形した場合のバネ力を、スラストボールベアリング176の耐荷重より小さくなるよう隙間dは選択されている。
また、支持部材172に偏った荷重が作用すると、荷重の大きい側では下向きの変位が大きくなり、これ以外の部分では変位は少なくなるので、支持部材172の上に配置された下レース170は荷重の方向に応じて傾斜可能である。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子113より電動要素110に通電されると、固定子114に発生する磁界により回転子116はシャフト118とともに回転する。主軸部120の回転に伴う偏心軸部122の偏心回転は、連結手段136により変換され、ピストン130をシリンダ134内で往復運動させる。そして、圧縮室148が容積変化することで、密閉容器102内の冷媒を圧縮室148内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器102内の冷媒は、吸入マフラ152を介して圧縮室148内に間欠的に吸入され、圧縮室148内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は吐出配管などを経由して密閉容器102からの冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト118下端は潤滑油104に浸漬しており、シャフト118が回転することにより、潤滑油104は給油機構128により圧縮要素112各部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング176の動作、作用について説明する。
スラストボールベアリング176は、同じ大きさのボール166を、平らな上レース164と下レース170の間に複数配置して、それぞれを点接触の状態で転がるようにすることで、摩擦を非常に小さくするものであり、摺動損失の低減により圧縮機の効率が向上できる。
スラストボールベアリング176に作用する荷重は、シャフト118や回転子116の質量や、電動要素110の軸方向の推力であり、その大きさは一般的な冷蔵庫用の密閉型圧縮機では10〜20N程度と小さい。
一般にボールベアリングのボールとレースの接触荷重には適正値が存在する。これは、接触荷重が小さすぎるとボールとレースの間に十分な摩擦力が働かず、すべりが生じた結果、表面に損傷をあたえる。逆に、接触荷重が大きくなりすぎると、ボールとレースの接触点での応力が高くなり、接触部の疲労破壊や、極端に荷重が大きい場合には塑性変形を生じるなどの問題が発生するためである。
従って、ボールの接触荷重が適正になるように、荷重条件に応じてボールの径や個数などの諸元が選択される。このため、接触荷重が、設計で想定した荷重条件を大きく逸脱する場合には、寿命が著しく低下するなどの問題が発生する。
ボール166の接触荷重が設計を大きく逸脱する場合として、二通りの理由が考えられる。
第1には、上レース164と下レース170の平行が保たれない場合である。
すなわち、片持ち軸受の構成では、シャフト118は圧縮による荷重などにより、主軸部120と主軸受126の隙間の範囲でわずかに傾斜し得る構成であり、わずかな傾斜によっても、ボール166と上レース164および下レース170の接触が不均一となりうる。
しかしながら、支持部材172により、支持部材172に着座する下レース170は、スラスト面160に対して任意の方向に傾斜可能であり、上レース164と下レース170は平行な状態を維持できるため、各ボール166へ作用する荷重を均等にすることができ、一部のボール166に大きな荷重が作用したり、逆に荷重が小さくなったりすることによる寿命の低下を防止できる。
第2には、密閉型圧縮機に外力が加わる場合である。
これは、例えば輸送時などの振動により衝撃的な荷重がスラストボールベアリング176に作用した場合であるが、支持部材172は重力方向に変形する弾性を有しているので、支持部材172が変形することで、ボール166と上レース164および下レース170の接触部での荷重増加を緩和し、接触部が陥没するなどの塑性変形の発生を防止することができる。
さらに、シャフト118の下向きの変位が大きくなり、支持部材172の変形が大きくなると次第にボール166と上レース164および下レース170の接触部での荷重も増加するが、変位量が上レース164と管状延長部162の先端162aの隙間dと等しくなると、上レース164と管状延長部162の先端162aが接触することで形成される、移動制限手段178を備えるため、これ以上支持部材172は変形することはなく、ボール166と上レース164および下レース170の接触部での荷重もこれ以上増加することはない。
さらに、隙間dだけ変形したときの支持部材172のバネ力を、スラストボールベアリング176の耐荷重より小さくしているので、スラストボールベアリング176の破損防止をより確実にできる。
以上のように、支持部材172を用いることで、シャフト118の傾きによる荷重の偏りや、外力によるスラストボールベアリング176への荷重増大が生じても、ボール166と上レース164および下レース170の接触荷重を適正な範囲に維持し、接触部での摩耗や塑性変形のない、良好な摺動状態を維持し、信頼性の低下を防止できる。また、スラストボールベアリング176の摺動状態が良好に維持されることで、摩擦の増加が少なく性能向上効果を維持できる。
また、ボール166と上レース164および下レース170の接触部の表面の損傷や、接触荷重が不安定になることによる騒音振動の発生を防止し、低騒音を維持できる。
なお、本実施例では、上側に突出する3箇所の上凸部172a,172b,172cと、下側に突出する3箇所の下凸部172d,172e,172fとを備えた例で説明したが、上凸部と下凸部をそれぞれ4箇所以上備えても同様に実施可能である。
また、支持部材に1枚の平板で形成される波ワッシャを使用したが、必要な荷重の大きさによっては、複数枚の波ワッシャを重ねて形成される支持部材を用いることで、スラスト荷重が大きい場合に、相対的に剛性の大きい波ワッシャを複数使用することでも、比較的小さな支持部材で、上レース164と下レース170の平行を維持することができる。
また、本実施例ではスラスト面360の軸受としてスラストボールベアリング176を用いたが、これ以外のコロなどを用いた他の転がり軸受を用いても同様の効果が得ることができる。
また、本実施例では、圧縮要素112を電動要素110の上側に配置したが、圧縮要素を電動要素の下側としても良い。この場合、通常スラストボールベアリングは回転子と主軸受上端の間に配置される。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図である。図5は、同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図である。
図4および図5において、密閉容器202内底部に潤滑油204を貯留するとともに、圧縮機本体206がサスペンションスプリング208により密閉容器202内で内部懸架されている。また、密閉容器202には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体206は、電動要素210と、これによって駆動される圧縮要素212とからなり、密閉容器202には電動要素210に電源を供給するための電源端子213が取り付けられている。
まず、電動要素210について説明する。
電動要素210は、薄板を積層した鉄心に銅製の巻線が巻かれて形成される固定子214と、固定子214の内径側に配置される回転子216とを備え、固定子214の巻線が電源端子213を経由して圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に圧縮要素212について説明する。
圧縮要素212は電動要素210の上方に配設されている。
圧縮要素212を構成するシャフト218は、主軸部220と、主軸部220と平行な偏心軸部222を備えている。また、主軸部220には回転子216が固定されている。
シリンダブロック224は、円筒形の内面を有する主軸受226を備え、主軸受226に主軸部220が回転自在な状態で挿入され、支持されている。そして、圧縮要素212は、偏心軸部222に作用した荷重を偏心軸部222の下側に配置された主軸部220と主軸受226で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シャフト218は主軸部220表面に設けた螺旋状の溝などからなる給油機構228を備えている。
また、シリンダブロック224は円筒状の穴部であるシリンダ234を備えており、ピストン230がシリンダ234に往復自在に挿入されている。
また、連結手段236は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン230に取付けられたピストンピン238と偏心軸部222に嵌挿されることで、偏心軸部222とピストン230と連結している。
シリンダ234端面にはバルブプレート246が取り付けられ、シリンダ234およびピストン230とともに圧縮室248を形成する。さらに、バルブプレート246を覆って蓋をするようにシリンダヘッド250が固定されている。吸入マフラ252は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド250に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリング276の構成について説明する。
主軸受226は、軸心と直角な平面部であるスラスト面260と、スラスト面260よりさらに上方に延長され、主軸部に対向する内面を有する管状延長部262とを有している。
そして、管状延長部262の上側に上レース264が配置され、管状延長部262の外径側かつ上レース264の下側に、ホルダー部268に保持されたボール266、下レース270、および支持部材272が配置され、スラストボールベアリング276が構成されている。
上レース264および下レース270は環状で金属製の平板であり、望ましくは熱処理を行ったバネ鋼などで形成され、上下の面が平行で、かつ表面は平滑に仕上げられている。
ホルダー部268は、ポリアミドなどの樹脂材料で形成され、環状の形状をなし、ボール266が転動自在に収納される複数の穴部を有している。
支持部材272は、弾性体を周方向に複数配置したもので、具体的にはコイルバネを4個90度間隔で配置したものである。
そして、スラスト面260の上に、支持部材272、下レース270、ボール266、上レース264の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース264の上面にシャフト218のフランジ部274が着座している。
圧縮機に組み付けると、支持部材272には下レース270を介して、シャフト218や回転子216などの荷重が作用し、さらに運転時には電動要素210の軸方向の推力を受ける。支持部材272は重力方向にバネ性を有しており、この荷重が作用して、自然長に比べ高さが低い状態で、支持部材272を構成する各コイルバネはそれぞれスラスト面260と下レース270に接しており、この状態で、上レース264と管状延長部262の先端262aには隙間dができるように、各寸法と支持部材272のばね定数は選択されている。
そして、隙間dを介して対向する上レース264と管状延長部262の先端262aにより、移動制限手段278が形成される。
また、支持部材272に偏った荷重が作用すると、荷重の大きい側のコイルバネの変形が大きくなり、これと反対側のコイルバネの変形が少なくなり、自然長に近づくので、支持部材272の上に配置された下レース270は荷重の方向に応じて傾斜可能である。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子213より電動要素210に通電されると、固定子214に発生する磁界により回転子216はシャフト218とともに回転する。主軸部220の回転に伴う偏心軸部222の偏心回転は、連結手段236により変換され、ピストン230をシリンダ234内で往復運動させる。そして、圧縮室248が容積変化することで、密閉容器202内の冷媒を圧縮室248内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器202内の冷媒は、吸入マフラ252を介して圧縮室248内に間欠的に吸入され、圧縮室248内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は吐出配管などを経由して密閉容器202からの冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト218下端は潤滑油204に浸漬しており、シャフト218が回転することにより、潤滑油204は給油機構228により圧縮要素212各部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング276の動作、作用について説明する。
スラストボールベアリング276は、同じ大きさのボール266を、平らな上レース264と下レース270の間に複数配置して、それぞれを点接触の状態で転がるようにすることで、摩擦を非常に小さくするものであり、摺動損失の低減により密閉型圧縮機の効率が向上できる。
スラストボールベアリング276に作用する荷重は、シャフト218や回転子216の質量や、電動要素210の軸方向の推力であり、その大きさは一般的な冷蔵庫用の密閉型圧縮機では10〜20N程度と小さい。
一般にボールベアリングのボールとレースの接触荷重には適正値が存在する。これは、接触荷重が小さすぎるとボールとレースの間に十分な摩擦力が働かず、すべりが生じた結果、表面に損傷をあたえる。逆に、接触荷重が大きくなりすぎると、ボールとレースの接触点での応力が高くなり、接触部の疲労破壊や、極端に荷重が大きい場合には塑性変形を生じるなどの問題が発生するためである。
従って、ボールの接触荷重が適正になるように、荷重条件に応じてボールの径や個数などの諸元が選択される。このため、接触荷重が、設計で想定した荷重条件を大きく逸脱する場合には、寿命が著しく低下するなどの問題が発生する。
ボール266の接触荷重が設計を大きく逸脱する場合として、二通りの理由が考えられる。
第1には、上レース264と下レース270の平行が保たれない場合である。
片持ち軸受の構成では、シャフト218は圧縮による荷重などにより、主軸部220と主軸受226の隙間の範囲でわずかに傾斜し得る構成であり、わずかな傾斜によっても、ボール266と上レース264および下レース270の接触が不均一となりうる。
しかしながら、支持部材272により、支持部材272に着座する下レース270はスラスト面260に対して任意の方向に傾斜可能であり、上レース264と下レース270は平行な状態を維持できるため、各ボール266へ作用する荷重を均等にすることができ、一部のボール266に大きな荷重が作用したり、逆に荷重が小さくなったりすることによる寿命の低下を防止できる。
第2には、密閉型圧縮機に外力が加わる場合である。
これは、例えば輸送時などの振動により衝撃的な荷重がスラストボールベアリング276に作用した場合であるが、支持部材272は重力方向に変形する弾性を有しているので、支持部材272が変形することで、ボール266と上レース264および下レース270の接触部での荷重増加を緩和し、接触部が陥没するなどの塑性変形の発生を防止することができる。
さらに、シャフト218の下向きの変位が大きくなり、支持部材272の変形が大きくなると次第にボール266と上レース264および下レース270の接触部での荷重も増加するが、変位量が上レース264と管状延長部262の先端262aの隙間dと等しくなると、上レース264と管状延長部262の先端262aが接触することで形成される、移動制限手段278を備えるため、これ以上支持部材272は変形することはなく、ボール266と上レース264および下レース270の接触部での荷重もこれ以上増加することはない。
さらに、隙間dだけ変形したときの支持部材272のバネ力を、スラストボールベアリング276の耐荷重より小さくすることで、スラストボールベアリング276の破損防止をより確実にできる。
さらに、支持部材272を構成する弾性体として複数のコイルバネを用いることで、繰り返しの変形に対しても、発生する応力に比較的偏りが少なく、疲労破壊が起こりにくいので、耐久性を高めることが可能となる。
以上のように、支持部材272を用いることで、シャフト218の傾きによる荷重の偏りや、外力によるスラストボールベアリング276への荷重増大が生じても、ボール266と上レース264および下レース270の接触荷重を適正な範囲に維持し、接触部での摩耗や塑性変形のない、良好な摺動状態を維持し、信頼性の低下を防止できる。また、スラストボールベアリング276の摺動状態が良好に維持されることで、摩擦の増加が少なく性能向上効果を維持できる。
また、ボール266と上レース264および下レース270の接触部の表面の損傷や、接触荷重が不安定になることによる騒音振動の発生を防止し、低騒音を維持できる。
なお、本実施例では、支持部材272としてコイルバネを4個90度間隔で配置した例で説明したが、コイルバネを5個以上配置しても同様に実施可能であり、また、等間隔に配置せずに作用する荷重の偏りに応じて支持部材272を配置しても良い。
また、支持部材272としてコイルバネを採用した例で説明したが、スラストボールベアリング276に作用する荷重に対して弾性体とて弾性力を備える他の構造であっても同様に実施可能である。
また、圧縮要素212を電動要素210の上側に配置したが、圧縮要素を電動要素の下側としても良い。この場合、通常スラストボールベアリングは回転子と主軸受上端の間に配置される。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図である。図7は、同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図である。
図6および図7において、密閉容器302内底部に潤滑油304を貯留するとともに、圧縮機本体306がサスペンションスプリング308により密閉容器302内で内部懸架されている。また、密閉容器302には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体306は、電動要素310と、これによって駆動される圧縮要素312とからなり、密閉容器302には電動要素310に電源を供給するための電源端子313が取り付けられている。
まず、電動要素310について説明する。
電動要素310は、薄板を積層した鉄心に銅製の巻線が巻かれて形成される固定子314と、固定子314の内径側に配置される回転子316とを備え、固定子314の巻線が電源端子313を経由して圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に圧縮要素312について説明する。
圧縮要素312は電動要素310の上方に配設されている。
圧縮要素312を構成するシャフト318は、主軸部320と、主軸部320と平行な偏心軸部322を備えている。また、主軸部320には回転子316が固定されている。
シリンダブロック324は、円筒形の内面を有する主軸受326を備え、主軸受326に主軸部320が回転自在な状態で挿入され、支持されている。そして、圧縮要素312は、偏心軸部322に作用した荷重を偏心軸部322の下側に配置された主軸部320と主軸受326で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シャフト318は主軸部320表面に設けた螺旋状の溝などからなる給油機構328を備えている。
また、シリンダブロック324は円筒状の穴部であるシリンダ334を備えており、ピストン330がシリンダ334に往復自在に挿入されている。
また、連結手段336は、両端に設けた穴部がそれぞれピストン330に取付けられたピストンピン338と偏心軸部322に嵌挿されることで、偏心軸部322とピストン330と連結している。
シリンダ334端面にはバルブプレート346が取り付けられ、シリンダ334およびピストン330とともに圧縮室348を形成する。さらに、バルブプレート346を覆って蓋をするようにシリンダヘッド350が固定されている。吸入マフラ352は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド350に取り付けられている。
次に、スラストボールベアリング376の構成について説明する。
主軸受326は、軸心と直角な平面部であるスラスト面360と、スラスト面360よりさらに上方に延長され、主軸部320に対向する内面を有する管状延長部362とを有している。
そして、管状延長部362の上側に上レース364が配置され、管状延長部362の外径側かつ上レース364の下側に、ホルダー部368に保持されたボール366、下レース370、および支持部材372が配置され、スラストボールベアリング376が構成されている。
上レース364および下レース370は環状で金属製の平板であり、望ましくは熱処理を行ったバネ鋼などで形成され、上下の面が平行で、かつ表面は平滑に仕上げられている。
ホルダー部368は、ポリアミドなどの樹脂材料で形成され、環状の形状をなし、ボール366が転動自在に収納される複数の穴部を有している。
支持部材372は、柔軟性を有する環状のチューブに、液体を充填して形成したもので、具体的にはゴムなどの柔軟性がある素材で形成されたチューブにオイルを封入したものである。
そして、スラスト面360の上に、支持部材372、下レース370、ボール366、上レース364の順に互いに接した状態で積み重なり、上レース364の上面にシャフト318のフランジ部374が着座している。
密閉型圧縮機に組み付けると、支持部材372には下レース370を介して、シャフト318や回転子316などの荷重が作用し、さらに運転時には電動要素310の軸方向の推力を受ける。支持部材372は重力方向にバネ性を有しており、荷重が作用した状態で、上レース364と管状延長部362の先端362aには隙間dができるように、各寸法と支持部材372のばね性は選択されている。
そして、隙間dを介して対向する上レース364と管状延長部362の先端362aにより、移動制限手段378が形成される。
また、支持部材372に偏った荷重が作用すると、荷重の大きい側の変形が大きくなり、これと反対側の変形が少なくなることで、支持部材372の上に配置された下レース370は荷重の方向に応じて傾斜可能である。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子313より電動要素310に通電されると、固定子314に発生する磁界により回転子316はシャフト318とともに回転する。主軸部320の回転に伴う偏心軸部322の偏心回転は、連結手段336により変換され、ピストン330をシリンダ334内で往復運動させる。そして、圧縮室348が容積変化することで、密閉容器302内の冷媒を圧縮室348内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器302内の冷媒は、吸入マフラ352を介して圧縮室348内に間欠的に吸入され、圧縮室348内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は吐出配管などを経由して密閉容器302からの冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト318下端は潤滑油304に浸漬しており、シャフト318が回転することにより、潤滑油304は給油機構328により圧縮要素312各部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
次に、スラストボールベアリング376の動作、作用について説明する。
スラストボールベアリング376は、同じ大きさのボール366を、平らな上レース364と下レース370の間に複数配置して、それぞれを点接触の状態で転がるようにすることで、摩擦を非常に小さくするものであり、摺動損失の低減により密閉型圧縮機の効率が向上できる。
スラストボールベアリング376に作用する荷重は、シャフト318や回転子316の質量や、電動要素310の軸方向の推力であり、その大きさは一般的な冷蔵庫用の密閉型圧縮機では10〜20N程度と小さい。
一般にボールベアリングのボールとレースの接触荷重には適正値が存在する。これは、接触荷重が小さすぎるとボールとレースの間に十分な摩擦力が働かず、すべりが生じた結果、表面に損傷をあたえる。逆に、接触荷重が大きくなりすぎると、ボールとレースの接触点での応力が高くなり、接触部の疲労破壊や、極端に荷重が大きい場合には塑性変形を生じるなどの問題が発生するためである。
従って、ボールの接触荷重が適正になるように、荷重条件に応じてボールの径や個数などの諸元が選択される。このため、接触荷重が、設計で想定した荷重条件を大きく逸脱する場合には、寿命が著しく低下するなどの問題が発生する。
ボール166の接触荷重が設計を大きく逸脱する場合として、二通りの理由が考えられる。
第1には、上レース364と下レース370の平行が保たれない場合である。
片持ち軸受の構成では、シャフト318は圧縮による荷重などにより、主軸部320と主軸受326の隙間の範囲でわずかに傾斜し得る構成であり、わずかな傾斜によっても、ボール366と上レース364および下レース370の接触が不均一となりうる。
しかしながら、支持部材372により、支持部材372に着座する下レース370はスラスト面360に対して任意の方向に傾斜可能であり、上レース364と下レース370は平行な状態を維持できるため、各ボール366へ作用する荷重を均等にすることができ、一部のボール366に大きな荷重が作用したり、逆に荷重が小さくなったりすることによる寿命の低下を防止できる。
第2には、密閉型圧縮機に外力が加わる場合である。
これは、例えば輸送時などの振動により衝撃的な荷重がスラストボールベアリング376に作用した場合であるが、支持部材372は重力方向に変形する弾性を有しているので、支持部材372が変形することで、ボール366と上レース364および下レース370の接触部での荷重増加を緩和し、接触部が陥没するなどの塑性変形の発生を防止することができる。
さらに、シャフト318の下向きの変位が大きくなり、支持部材372の変形が大きくなると次第にボール366と上レース364および下レース370の接触部での荷重も増加するが、変位量が上レース364と管状延長部362の先端362aの隙間dと等しくなると、上レース364と管状延長部362の先端362aが接触することで形成される、移動制限手段178を備えるため、これ以上支持部材372は変形することはなく、ボール366と上レース364および下レース370の接触部での荷重もこれ以上増加することはない。
さらに、支持部材372は柔軟性を有する環状のチューブに、液体を充填して形成したもので減衰が大きいので、支持部材372の変形に伴う擦れ音などの騒音発生が起こりにくい。また、スラストボールベアリング376で発生した摺動音も減衰されやすいため、圧縮機の騒音を低くできる。
以上のように、支持部材372を用いることで、シャフト318の傾きによる荷重の偏りや、外力によるスラストボールベアリング376への荷重増大が生じても、ボール366と上レース364および下レース370の接触荷重を適正な範囲に維持し、接触部での摩耗や塑性変形のない、良好な摺動状態を維持し、信頼性の低下を防止できる。また、スラストボールベアリング376の摺動状態が良好に維持されることで、摩擦の増加が少なく性能向上効果を維持できる。
また、ボール366と上レース364および下レース370の接触部の表面の損傷や、接触荷重が不安定になることによる騒音振動の発生を防止し、低騒音を維持できる。
なお、本実施例では、圧縮要素312を電動要素310の上側に配置したが、圧縮要素を電動要素の下側としても良い。この場合、通常スラストボールベアリングは回転子と主軸受上端の間に配置される。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、スラストボールベアリングを用いて、性能と信頼性を向上できるので、家庭用電気冷凍冷蔵庫に限らず、エアーコンディショナー、自動販売機やその他の冷凍装置等に広く適用できる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 同実施の形態における密閉型圧縮機の支持部材の外観図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態における密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の密閉型圧縮機のスラストボールベアリングの要部拡大図 従来の密閉型圧縮機の支持部材の斜視図
符号の説明
102,202,302 密閉容器
104,204,304 潤滑油
110,210,310 電動要素
112,212,312 圧縮要素
114,214,314 固定子
116,216,316 回転子
118,218,318 シャフト
120,220,320 主軸部
122,222,322 偏心軸部
124,224,324 シリンダブロック
126,226,326 主軸受
130,230,330 ピストン
136,236,336 連結手段
148,248,348 圧縮室
160,260,360 スラスト面
164,264,364 上レース
166,266,366 ボール
168,268,368 ホルダー部
170,270,370 下レース
172,272,372 支持部材
172a,172b,172c 上凸部
172d,172e,172f 下凸部
176,276,376 スラストボールベアリング
178,278,378 移動制限手段

Claims (6)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを有するシャフトと、圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結手段と、前記シリンダブロックに設けられ前記主軸部を軸支する主軸受と、前記主軸受のスラスト面に配設されたスラストボールベアリングとを備え、前記スラストボールベアリングは、ホルダー部に保持された複数のボールと、前記ボールの上下にそれぞれ配設された上レースと下レースとを備え、前記下レースまたは前記上レースと前記スラスト面との間に、重力方向の弾性力を備えた支持部材を配設し、前記シャフトの重力方向下方の移動を制限する移動制限手段を備え、耐荷重を超える荷重が前記スラストボールベアリングに作用する前に、前記移動制限手段が機能することを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. 支持部材の一部の弾性変形が大きくなると、他の一部の弾性変形が小さくなることで、スラスト面に対してスラストボールベアリングが傾斜することを可能とした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 支持部材は環状の波ワッシャであり、下レース側に突出し前記下レースと当接する複数の上凸部と、スラスト面側に突出し前記スラスト面と当接する複数の下凸部とを備え、前記上凸部と前記下凸部は円周方向に交互に配設された請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 支持部材は、同一形状の波ワッシャを複数重ねて形成される請求項3に記載の密閉型圧縮機。
  5. 支持部材は、弾性体を周方向に複数配置して形成される請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  6. 支持部材は、流体を充填し柔軟性を有する環状のチューブで形成される請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
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