JP5110242B2 - ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体 - Google Patents
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Description
特許文献1には、芳香族テトラカルボン酸無水物と、置換基を有さない対象型の芳香族ジアミンと置換基を有する非対称型の芳香族第1級ジアミンとからなるポリイミド前駆体を金属薄膜に塗布し、加熱してポリイミド層としたフレキシブル配線基板の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、金属箔と、該金属箔の表面に塗布形成したポリイミド樹脂薄膜とを具備した回路基板で、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸を95モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸と、特定の側鎖を有するジアミンを90モル%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミドが開示されている。
また特許文献3には、特定の側鎖を有するジアミンを用いたポリイミドと金属箔との積層体が開示されている。
さらに特許文献4には、ポリイミドフィルムのガス透過性を改良するためにも種々の試みがなされている。例えば、嵩高いトリメチルシリル基が芳香環に結合したジアミンから得られるポリイミドを用いることにより、ガス透過性の向上したポリイミドフィルムが開示されている。
さらにこれらの新規なポリイミドを耐熱性ポリイミドの少なくとも片面に積層した積層ポリイミドと、この積層ポリイミドと金属箔とを積層した金属箔積層ポリイミドを提供することである。
本発明の第三は、本発明の第一のポリイミドからなる層の少なくとも片面、積層ポリイミドの本発明の第一のポリイミドに、直接あるいは耐熱性接着剤を介して基材が積層されてなる積層体である。
1)一般式(1)のジアミンが、式中のAは直接結合あるいは架橋基であり、R1〜R4は炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる置換基を表していること。
2)ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンを含むこと。
3)ポリイミドは、最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミドであること。
1)耐熱性ポリイミドが、
i)7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、15〜100モル%のp−フェニレンジアミンと0〜85モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルのジアミン成分とから、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
ii)或いはピロメリット酸二無水物の酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル及びp−フェニレンジアミンとの成分の割合(モル比)が90/10〜10/90のジアミン成分とが、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
iii)或いは7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物と、o−トリジン又はm−トリジンを含むジアミン成分とを重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、であること。
1)基材が、金属層であること、好ましくはアルミニウム、銅及びSUSから選ばれる層であること。
また本発明のポリイミドは、金属箔などの基材と、直接或いは接着剤層を介して積層することにより、接着強度の高い、ハンダ浴などの高温で、発泡も剥離もしない金属箔積層ポリイミドなどの積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、耐熱性に優れ、飽和吸水率及び線膨張係数の小さな、相対透湿速度の大きな本発明のポリイミドを使用しているため、例えば配線基板製造時などの高温処理工程で、接着界面での発泡や剥離が起こりにくい。特に本発明のポリイミドと、ポリイミドのコア層として相対吸湿速度の小さな耐熱性ポリイミドを用いて、金属箔などの基材/本発明のポリイミド/耐熱性ポリイミドの順に積層して、ハンダ浴などの高温で、発泡も剥離もしない金属箔積層ポリイミドなどの積層体を得ることができる。
本発明のポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、下記の一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%、好ましくは0.7〜30モル%、さらに好ましくは0.9〜20モル%、特に好ましくは1〜18モル%含むジアミンとを反応させることにより、耐熱性に優れ、飽和吸水率が小さく、線膨張係数が小さく、相対透湿速度の大きなポリイミドを得ることができ、このポリイミドと基材とを直接或いは接着剤を介して積層することにより、接着強度の高い積層体を得ることができ、このポリイミドと銅箔などの金属箔とを直接或いは接着剤を介して積層することにより、280℃ハンダ浴浸漬などの高温処理で、発泡又は剥離の抑制又はしない積層体を得ることができる。
一般式(1)中の架橋基Aとしては、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルホキシル基、スルホン基、1,1’−エチリデン基、1,2−エチリデン基、2,2’−イソプロピリデン基、2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、1,3−フェニレンジメチレン基、1,4−フェニレンジメチレン基、1,3−フェニレンジエチリデン基、1,4−フェニレンジエチリデン基、1,3−フェニレンジプロピリデン基、1,4−フェニレンジプロピリデン基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ基、ビフェニレンジオキシ基、メチレンジフェノキシ基、エチリデンジフェノキシ基、プロピリデンジフェノキシ基、ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ基、オキシジフェノキシ基、チオジフェノキシ基、スルホンジフェノキシ基などを挙げることができるが、架橋基を介することなく直接結合していても良い。
一般式(1)中のR1〜R4は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R1及びR2の少なくとも1つは水素原子ではなく、R3及びR4の少なくとも1つは水素原子ではない。
a)R1〜R4は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基の組合せ、
b)R1〜R3は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R4のみが水素原子の組合せ、
c)R1及びR3は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R2及びR4が水素原子の組合せ、
を挙げることができる。
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、
3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、などを挙げることができる。
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、などを挙げることができる。
特に本発明のポリイミドのジアミンは、一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%と、p−フェニレンジアミン60モル%以上とを含むジアミン、さらに一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%と、p−フェニレンジアミン99.5〜60モル%とを含むジアミンを用いることにより、耐熱性に優れ、飽和吸水率の小さな、線膨張係数の小さな、相対透湿速度の大きなポリイミド、さらに好ましくは引張弾性率の大きなポリイミドを得ることができる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを0.5〜40モル%、好ましくは0.7〜30モル%、さらに好ましくは0.9〜20モル%、特に好ましくは1〜18モル%と、残りのジアミン成分がp−フェニレンジアミンとからなる組合せ、などを挙げることができる。
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを、
1)好ましくは0.5〜6モル%、さらに好ましくは0.7〜6モル%、特に好ましくは1〜6モル%含有することにより、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、相対透湿速度が大きく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来、
2)好ましくは6〜40モル%、より好ましくは6〜30モル%、さらに好ましくは7〜20モル%、さらに好ましくは9〜17モル%、特に好ましくは9〜13モル%含有することにより、相対透湿速度が極めて大きく、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来る。
ポリイミド前駆体の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、実質的に等モル量を有機溶媒中に溶解させて反応させ、制御された温度条件下で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの重合反応が(ほぼ)完了するまで攪拌することによって製造することができる。これらのポリイミド前駆体溶液は通常1〜35wt%、好ましくは5〜30wt%、さらに7〜25wt%の濃度で得ることができ、この範囲の濃度では、適当な分子量と適当な溶液粘度を得ることができる。
ポリイミド前駆体を与えるジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを、それぞれ有機溶媒中で0〜100℃、好ましくは5〜50℃の温度で重合させてポリイミド前駆体の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)とし、必要ならポリイミド前駆体の溶液を複数混合して、ポリイミド前駆体溶液を塗膜化或いはフィルム化し、乾燥・イミド化・加熱乾燥(キュア)することによって、ポリイミドを製造することができる。この加熱乾燥の最高加熱処理温度は、350〜600℃、さらに400〜550℃、特に400〜500℃の範囲であることが好ましい。
1)有機溶媒中で、カルボン酸二無水物成分とジアミン成分とをそれぞれ等モル量反応させる方法、場合によっては酸過剰又はジアミン過剰にしてもよい、
2)有機溶媒中でカルボン酸二無水物成分と一般式(1)で示すジアミン成分とをそれぞれ略等モル量反応させポリイミド前駆体溶液Aを製造し、有機溶媒中でカルボン酸二無水物成分と一般式(1)で示すジアミン以外のジアミン成分とをそれぞれ略等モル量反応させポリイミド前駆体溶液Bを製造し、ポリイミド前駆体溶液Aとポリイミド前駆体溶液Bとを混合する方法、必要に応じて成さらに重合させてもよく、場合によってはどちらかを酸過剰にし、他方をジアミン過剰にしてもよい、
などを挙げることができる。
またポリイミド前駆体溶液は、イミド化促進の目的で、溶液中にイミド化剤を添加することができる。例えば、イミダゾ−ル、1−メチルイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリイミド前駆体に対して0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜2質量%の割合で使用することができる。これらにより比較的低温でイミド化を完了することができる。
1)飽和吸水率が3%以下であり、さらに1.3〜3%であること。
2)相対透湿速度が、25μm厚みで3以上、さらに4以上であること。
3)引張弾性率が、400kg/mm2以上、さらに400kg/mm2以上900kg/mm2未満、特に470kg/mm2以上900kg/mm2未満であること。
4)線膨張係数(25μm厚み)は、10〜40×10−6cm/cm/℃、さらに12〜30×10−6cm/cm/℃、特に12〜25×10−6cm/cm/℃であること。
本発明のポリイミドは、フィルムに適用する場合、フィルムの厚みは3〜200μm程度であり、コーティング剤として適用する場合、その厚みは0.1〜2μm程度である。
i)7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、15〜100モル%のp−フェニレンジアミンと0〜85モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルのジアミン成分とから、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
ii)或いはピロメリット酸二無水物の酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル及びp−フェニレンジアミンとの成分の割合(モル比)が90/10〜10/90のジアミン成分とが、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
iii)或いは7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物と、o−トリジン又はm−トリジンを含むジアミン成分とを重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、などが挙げられる。
本発明のポリイミドの少なくとも片面に、薄膜成膜法及び電気めっき法を用いて金属層膜を形成して、積層体を製造することができる。
また、金属箔などの基材上に本発明のポリイミドを与えるポリイミド前駆体溶液を流延、化学的或いは加熱乾燥してイミド化を完了させることによっても得ることができる。
積層ポリイミドフィルムの本発明のポリイミド層側に、薄膜成膜法及び電気めっき法を用いて金属層膜を形成して、積層体を製造することができる。
積層体は、他の基材、例えばセラミックス、ガラス基板、シリコンウエハ−や同種あるいは異種の金属あるいはポリイミドフィルムなどの成形体をさらに耐熱性接着剤によって接着してもよい。
1)飽和吸水率(%):ポリイミドフィルムを乾燥窒素雰囲気下で恒量になるまで乾燥させて乾燥時のフィルム重量を測定し、その後、23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後、吸水時のフィルム重量を測定し、飽和吸水率は、数式(1)に従い、算出した。
反応容器にN、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、撹拌及び窒素流通下、パラフェニレンジアミン(PPD)を添加し、50℃に保温し完全に溶解させた。この溶液にジアミン成分とジカルボン酸成分とが等モル量となる割合の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を発熱に注意しながら徐々に添加し、添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けて、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(黄色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第1液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約500ポイズ)を得た。この溶液を第2液と称する。
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)(MDX)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第3液と称する。
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2−メチルアニリン)(MDT)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(濃赤色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第4液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(DANS)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡黒褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1500ポイズ)を得た。この溶液を第5液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TB)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約800ポイズ)を得た。この溶液を第6液と称する。
第1液と第2〜第6液とを表1の比率で混合し、ガラス基板上に最終膜厚25μm程度となるように塗布し、135℃で3分加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンターに貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムを用いて、吸水率及び相対透湿速度を測定し、結果を表1に示す。
さらにこのポリイミドフィルムのガラス転移温度を測定した。これらのフィルムはいずれも450℃以下に明確なガラス転移点を示さなかった。
第1液と第3液とを表2の比率で混合し、ガラス基板上に最終膜厚25μm及び50μmとなるように塗布し、135℃で3分(最終膜厚25μm)又は5分(最終膜厚50μm)加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンタ−に貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの飽和吸水率、相対透湿速度、線膨張係数及び機械的特性(破断応力、引張弾性率、破断伸び)を測定し、結果を表2に示す。
第1液をガラス基板上に最終膜厚21μm程度となるように塗布し、135℃で3分加熱して固化フィルム(基板層:耐熱性ポリイミド)を形成し、第1液と第3液とを混合してモノマ−濃度5重量%に調製したポリイミド前駆体溶液(ジアミン成分は、MDX10モル%と、PPD90モル%)を、最終膜厚2μmになるように固化フィルムのA面に塗布し、135℃で1分加熱後、ガラス基板から剥離し、同様に固化フィルムのB面にも塗布し、さらに135℃で1分加熱した。次にピンテンタ−に貼り付けて、130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することにより、各層の厚みが2μm/21μm/2μmの3層のポリイミドフィルムを得た。
得られた3層ポリイミドフィルムの飽和吸水率及び相対透湿速度を測定し、結果を表3に示す。さらに得られた3層のポリイミドフィルムの基板層A面側又は基板層B面側に、デュポン株式会社製アクリル系接着剤(パイララックス)、圧延銅箔(日鉱マテリアル社製BHY−13H−T箔、Ra:0.18μm)を重ね合わせ、プレスにて、180℃、30Kgf/cm2で1分間加熱圧着し、さらに180℃で60分間熱処理して、耐熱性ポリイミド(基板層)のA面側/ポリイミド/接着剤/銅箔、又は耐熱性ポリイミド(基板層)のB面側/ポリイミド/接着剤/銅箔、の2種類の4層の積層板を得た。この積層板の90度ピ−ル強度を測定し、結果を表3に示す。
3層ポリイミドフィルムの各層の厚みが1μm/10μm/1μmとなるように塗布厚を調整した他は、実施例14と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
第1液に、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリイミド前駆体に対して2重量%添加した溶液を用いて基板層を形成した他は、実施例15と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
第1液に、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリイミド前駆体に対して2重量%添加した溶液を用いて、厚み12μmの基板層のみを形成した他は、実施例15と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例2,3、参考例1〜4、比較例1、実施例14〜16及び比較例5で得られた積層板について、次の評価法によって高温処理工程による接着界面での発泡や剥離の発生の有無について評価した。
評価法:片面を銅箔に接着した積層体を23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後280℃のハンダ浴に10秒間浸漬し、積層体の発泡及び剥離を目視で観察し、その結果を示す。
実施例2,3、参考例1〜3及び実施例14〜16は、発泡及び剥離が認められなかった。
参考例4は、わずかに発泡が認められた。
比較例1及び比較例5は、発泡と剥離が認められた。
本発明のポリイミドより得られる積層体は、高温処理しても発泡や剥離が起こりにくいことが判明した。
Claims (3)
- 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンとを混合して第1のポリイミド前駆体溶液を得る工程と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を混合して第2のポリイミド前駆体溶液を得る工程と、
前記第1のポリイミド前駆体溶液と、前記第2のポリイミド前駆体溶液とを混合し固化フィルムを形成する工程と、
前記固化フィルムを熱処理する工程と、
を含むポリイミドフィルムの製造方法。 - 耐熱性ポリイミドからなるポリイミドコア層を与える第1のポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延、乾燥して自己支持性フィルムを形成する工程と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を混合して第2のポリイミド前駆体溶液を準備する工程と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンとを混合して第3のポリイミド前駆体溶液を準備する工程と、
前記第2のポリイミド前駆体溶液と、前記第3のポリイミド前駆体溶液とを混合する工程と、
前記自己支持性フィルムの少なくとも片面に前記混合したポリイミド前駆体溶液を塗布又は吹き付ける工程と、
前記塗布又は吹き付けた自己支持性フィルムを加熱乾燥する工程と、
を含む積層ポリイミドフィルムの製造方法。 - 前記第1のポリイミド前駆体溶液は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンの混合物である請求項2記載の積層ポリイミドフィルムの製造方法。
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