JP5110242B2 - ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体 - Google Patents

ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP5110242B2
JP5110242B2 JP2005342001A JP2005342001A JP5110242B2 JP 5110242 B2 JP5110242 B2 JP 5110242B2 JP 2005342001 A JP2005342001 A JP 2005342001A JP 2005342001 A JP2005342001 A JP 2005342001A JP 5110242 B2 JP5110242 B2 JP 5110242B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyimide
film
group
precursor solution
polyimide precursor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005342001A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006183040A (ja
Inventor
裕章 山口
村上  真人
政文 幸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2005342001A priority Critical patent/JP5110242B2/ja
Publication of JP2006183040A publication Critical patent/JP2006183040A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5110242B2 publication Critical patent/JP5110242B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

この発明は、新規なポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体に関するものであり、さらに詳しくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を必須成分とするテトラカルボン酸二無水物が出発テトラカルボン酸二無水物成分であり、特定の構造を有する芳香族ジアミンを必須成分とするジアミンが出発ジアミン成分である、透湿速度が高く、しかも接着性の向上したポリイミド、該ポリイミドからなるポリイミド層を少なくとも片面に有するポリイミドフィルム及び積層体に関するものである。
耐熱性のポリイミドを与える3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物系のポリイミドとしては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとをそれぞれ出発酸二無水物成分及び出発ジアミン成分とするポリイミドが一般的であり、低線膨張係数で高弾性率のポリイミドを与えることが知られている。また、このポリイミドからなるフィルムは、熱的性質及び電気的性質に優れているため、電子機器類の用途に広く使用されている。
側鎖にアルキル基、カルボキシル基又は水酸基を有するジアミンを用いたポリイミドが製造されている。
特許文献1には、芳香族テトラカルボン酸無水物と、置換基を有さない対象型の芳香族ジアミンと置換基を有する非対称型の芳香族第1級ジアミンとからなるポリイミド前駆体を金属薄膜に塗布し、加熱してポリイミド層としたフレキシブル配線基板の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、金属箔と、該金属箔の表面に塗布形成したポリイミド樹脂薄膜とを具備した回路基板で、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸を95モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸と、特定の側鎖を有するジアミンを90モル%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミドが開示されている。
また特許文献3には、特定の側鎖を有するジアミンを用いたポリイミドと金属箔との積層体が開示されている。
さらに特許文献4には、ポリイミドフィルムのガス透過性を改良するためにも種々の試みがなされている。例えば、嵩高いトリメチルシリル基が芳香環に結合したジアミンから得られるポリイミドを用いることにより、ガス透過性の向上したポリイミドフィルムが開示されている。
特開昭63−265629号公報 特開平2−147234号公報 特開2002−361792号公報 特開2004−224889号公報
本発明の目的は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を必須のテトラカルボン酸二無水物成分として含み、相対透湿速度が大きい新規なポリイミドを提供することである。
さらにこれらの新規なポリイミドを耐熱性ポリイミドの少なくとも片面に積層した積層ポリイミドと、この積層ポリイミドと金属箔とを積層した金属箔積層ポリイミドを提供することである。
本発明の第一は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、下記の一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%含むジアミンとを反応させて得られるポリイミドである。
Figure 0005110242
(式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではなく、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
本発明の第二は、本発明の第一のポリイミドを耐熱性ポリイミドの少なくとも片面に積層した積層ポリイミドである。
本発明の第三は、本発明の第一のポリイミドからなる層の少なくとも片面、積層ポリイミドの本発明の第一のポリイミドに、直接あるいは耐熱性接着剤を介して基材が積層されてなる積層体である。
本発明の第一の好ましい態様を示し、これらは複数組み合わせることが出来る。
1)一般式(1)のジアミンが、式中のAは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる置換基を表していること。
2)ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンを含むこと。
3)ポリイミドは、最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミドであること。
本発明の第二の好ましい態様を示し、これらは複数組み合わせることが出来る。
1)耐熱性ポリイミドが、
i)7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、15〜100モル%のp−フェニレンジアミンと0〜85モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルのジアミン成分とから、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
ii)或いはピロメリット酸二無水物の酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル及びp−フェニレンジアミンとの成分の割合(モル比)が90/10〜10/90のジアミン成分とが、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
iii)或いは7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物と、o−トリジン又はm−トリジンを含むジアミン成分とを重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、であること。
本発明の第三の好ましい態様を示し、これらは複数組み合わせることが出来る。
1)基材が、金属層であること、好ましくはアルミニウム、銅及びSUSから選ばれる層であること。
本発明のポリイミドは、耐熱性に優れ、飽和吸水率及び線膨張係数が小さく、相対透湿速度が大きなポリイミドが得られる。
また本発明のポリイミドは、金属箔などの基材と、直接或いは接着剤層を介して積層することにより、接着強度の高い、ハンダ浴などの高温で、発泡も剥離もしない金属箔積層ポリイミドなどの積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、耐熱性に優れ、飽和吸水率及び線膨張係数の小さな、相対透湿速度の大きな本発明のポリイミドを使用しているため、例えば配線基板製造時などの高温処理工程で、接着界面での発泡や剥離が起こりにくい。特に本発明のポリイミドと、ポリイミドのコア層として相対吸湿速度の小さな耐熱性ポリイミドを用いて、金属箔などの基材/本発明のポリイミド/耐熱性ポリイミドの順に積層して、ハンダ浴などの高温で、発泡も剥離もしない金属箔積層ポリイミドなどの積層体を得ることができる。
本発明のポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、下記の一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%含むジアミンとを反応させて得られるポリイミドであり、有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させてポリイミドを与えるポリイミド前駆体を製造し、その後化学イミド化又は熱イミド化して得られるもの、或いは有機溶媒中又は直接テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて直接イミド化して得られるものなどを用いることができる。
本発明のポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、下記の一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%、好ましくは0.7〜30モル%、さらに好ましくは0.9〜20モル%、特に好ましくは1〜18モル%含むジアミンとを反応させることにより、耐熱性に優れ、飽和吸水率が小さく、線膨張係数が小さく、相対透湿速度の大きなポリイミドを得ることができ、このポリイミドと基材とを直接或いは接着剤を介して積層することにより、接着強度の高い積層体を得ることができ、このポリイミドと銅箔などの金属箔とを直接或いは接着剤を介して積層することにより、280℃ハンダ浴浸漬などの高温処理で、発泡又は剥離の抑制又はしない積層体を得ることができる。
Figure 0005110242
(式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではなく、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含み、さらに本発明の特性を損なわない範囲で、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物などを含んでもよい。
一般式(1)のジアミンにおいて、
一般式(1)中の架橋基Aとしては、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルホキシル基、スルホン基、1,1’−エチリデン基、1,2−エチリデン基、2,2’−イソプロピリデン基、2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、1,3−フェニレンジメチレン基、1,4−フェニレンジメチレン基、1,3−フェニレンジエチリデン基、1,4−フェニレンジエチリデン基、1,3−フェニレンジプロピリデン基、1,4−フェニレンジプロピリデン基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ基、ビフェニレンジオキシ基、メチレンジフェノキシ基、エチリデンジフェノキシ基、プロピリデンジフェノキシ基、ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ基、オキシジフェノキシ基、チオジフェノキシ基、スルホンジフェノキシ基などを挙げることができるが、架橋基を介することなく直接結合していても良い。
一般式(1)のジアミンにおいて、
一般式(1)中のR〜Rは、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではなく、R及びRの少なくとも1つは水素原子ではない。
一般式(1)中のR〜Rの例としては、
a)R〜Rは、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基の組合せ、
b)R〜Rは、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、Rのみが水素原子の組合せ、
c)R及びRは、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R及びRが水素原子の組合せ、
を挙げることができる。
一般式(1)中のR〜Rの具体的な例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の炭化水素基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、カルボプロポキシ基、カルボブトキシ基等のカルボアルコキシ基等が挙げられる。R〜Rは全て同じでもよく、それぞれ独立に異なっていてもよい。
上記一般式(1)のa)で表される芳香族ジアミンの具体的な例としては、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、
3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、などを挙げることができる。
上記一般式(1)のc)で表される芳香族ジアミンの具体的な例としては、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、などを挙げることができる。
本発明のポリイミドのジアミンは、一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%と、一般式(1)で表されないジアミンであるp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−オキシジアニリン、3,3'−オキシジアニリン、3,4'−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4'−ジアミノジフェニルシラン、4,4'−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などを99.5〜60モル%とを含むものである。
特に本発明のポリイミドのジアミンは、一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%と、p−フェニレンジアミン60モル%以上とを含むジアミン、さらに一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜40モル%と、p−フェニレンジアミン99.5〜60モル%とを含むジアミンを用いることにより、耐熱性に優れ、飽和吸水率の小さな、線膨張係数の小さな、相対透湿速度の大きなポリイミド、さらに好ましくは引張弾性率の大きなポリイミドを得ることができる。
本発明のポリイミドでは、最も優れた組合わせの一例として、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを0.5〜40モル%、好ましくは0.7〜30モル%、さらに好ましくは0.9〜20モル%、特に好ましくは1〜18モル%と、残りのジアミン成分がp−フェニレンジアミンとからなる組合せ、などを挙げることができる。
本発明のポリイミドでは、ジアミン成分100モル%中に、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを、
1)好ましくは0.5〜6モル%、さらに好ましくは0.7〜6モル%、特に好ましくは1〜6モル%含有することにより、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、相対透湿速度が大きく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来、
2)好ましくは6〜40モル%、より好ましくは6〜30モル%、さらに好ましくは7〜20モル%、さらに好ましくは9〜17モル%、特に好ましくは9〜13モル%含有することにより、相対透湿速度が極めて大きく、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来る。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体より、化学的或いは熱的にイミド化して製造することができる。
ポリイミド前駆体の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、実質的に等モル量を有機溶媒中に溶解させて反応させ、制御された温度条件下で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの重合反応が(ほぼ)完了するまで攪拌することによって製造することができる。これらのポリイミド前駆体溶液は通常1〜35wt%、好ましくは5〜30wt%、さらに7〜25wt%の濃度で得ることができ、この範囲の濃度では、適当な分子量と適当な溶液粘度を得ることができる。
ポリイミド前駆体の重合方法としては公知の方法を用いることができる。
ポリイミド前駆体を与えるジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを、それぞれ有機溶媒中で0〜100℃、好ましくは5〜50℃の温度で重合させてポリイミド前駆体の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)とし、必要ならポリイミド前駆体の溶液を複数混合して、ポリイミド前駆体溶液を塗膜化或いはフィルム化し、乾燥・イミド化・加熱乾燥(キュア)することによって、ポリイミドを製造することができる。この加熱乾燥の最高加熱処理温度は、350〜600℃、さらに400〜550℃、特に400〜500℃の範囲であることが好ましい。
ポリイミド前駆体を製造する方法としては、公知の方法を用いることができ、その一例として、
1)有機溶媒中で、カルボン酸二無水物成分とジアミン成分とをそれぞれ等モル量反応させる方法、場合によっては酸過剰又はジアミン過剰にしてもよい、
2)有機溶媒中でカルボン酸二無水物成分と一般式(1)で示すジアミン成分とをそれぞれ略等モル量反応させポリイミド前駆体溶液Aを製造し、有機溶媒中でカルボン酸二無水物成分と一般式(1)で示すジアミン以外のジアミン成分とをそれぞれ略等モル量反応させポリイミド前駆体溶液Bを製造し、ポリイミド前駆体溶液Aとポリイミド前駆体溶液Bとを混合する方法、必要に応じて成さらに重合させてもよく、場合によってはどちらかを酸過剰にし、他方をジアミン過剰にしてもよい、
などを挙げることができる。
ポリイミド前駆体のアミン末端を封止する必要がある場合には、ジカルボン酸無水物、例えば無水フタル酸及びその置換体(例えば3−メチル又は4−メチルフタル酸無水物)、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその置換体、無水コハク酸及びその置換体など、例えば無水フタル酸の少量を添加してもよい。
またポリイミド前駆体溶液は、イミド化促進の目的で、溶液中にイミド化剤を添加することができる。例えば、イミダゾ−ル、1−メチルイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリイミド前駆体に対して0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜2質量%の割合で使用することができる。これらにより比較的低温でイミド化を完了することができる。
本発明のポリイミドにおいて、カルボン酸二無水物成分と特定のジアミン成分とがブロック的な構造を有してもよいし、ランダムな構造を有してもよい。
本発明のポリイミドをフィルム化する場合には、フィルムのゲル化を制限する目的でリン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマ−)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
ポリイミド前駆体を製造に使用する有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタムなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリイミドは、以下の特性を少なくとも1つ有するフィルムを製造することができる。
1)飽和吸水率が3%以下であり、さらに1.3〜3%であること。
2)相対透湿速度が、25μm厚みで3以上、さらに4以上であること。
3)引張弾性率が、400kg/mm以上、さらに400kg/mm以上900kg/mm未満、特に470kg/mm以上900kg/mm未満であること。
4)線膨張係数(25μm厚み)は、10〜40×10−6cm/cm/℃、さらに12〜30×10−6cm/cm/℃、特に12〜25×10−6cm/cm/℃であること。
本発明のポリイミドは、コ−ティング剤やフィルム(未キュアフィルムを、ピンテンターを使用して熱処理し、実質的に延伸をかける)のいずれにも適用可能である。
本発明のポリイミドは、フィルムに適用する場合、フィルムの厚みは3〜200μm程度であり、コーティング剤として適用する場合、その厚みは0.1〜2μm程度である。
また本発明のポリイミドは、耐熱性ポリイミドからなるコア層の表面層としての改質ポリイミド層として適用することも可能である。この場合、耐熱性ポリイミドからなるポリイミドコア層を与えるポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延、乾燥して自己支持性フィルムを形成し、その片面に、本発明のポリイミドを与えるポリイミド前駆体溶液を乾燥後の厚みが約0.1〜2μmとなるように塗布又は吹き付けて、乾燥し、さらに必要であれば他の面にポリイミド前駆体溶液を乾燥後の厚みが約0.1〜2μm程度となるように塗布又は吹き付けて、乾燥し、加熱して溶媒除去及びイミド化すること、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって、少なくとも片面が改質された積層ポリイミドフィルムを製造することができる。この積層ポリイミドフィルムとしては、厚みが5〜150μm程度、特に10〜125μm程度であることが好ましい。
積層ポリイミドフィルムの耐熱性ポリイミド層のポリイミドとしては、
i)7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、15〜100モル%のp−フェニレンジアミンと0〜85モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルのジアミン成分とから、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
ii)或いはピロメリット酸二無水物の酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル及びp−フェニレンジアミンとの成分の割合(モル比)が90/10〜10/90のジアミン成分とが、重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、
iii)或いは7.5〜100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0〜92.5モル%のピロメリット酸二無水物との芳香族テトラカルボン酸二無水物と、o−トリジン又はm−トリジンを含むジアミン成分とを重合及びイミド化することによって、さらに必要に応じて最高加熱処理温度350〜600℃で加熱乾燥(キュア)することによって得られるポリイミド、などが挙げられる。
本発明のポリイミドの少なくとも片面と基材とを、直接或いは接着剤を介して、加圧又は加圧加熱(ラミネ−ト法)して、積層することにより、少なくとも片面に基材を有する積層体を製造することができる。
本発明のポリイミドの少なくとも片面に、薄膜成膜法及び電気めっき法を用いて金属層膜を形成して、積層体を製造することができる。
また、金属箔などの基材上に本発明のポリイミドを与えるポリイミド前駆体溶液を流延、化学的或いは加熱乾燥してイミド化を完了させることによっても得ることができる。
本発明の積層ポリイミドフィルムの本発明のポリイミド層と基材とを、直接或いは接着剤を介して、加圧又は加圧加熱(ラミネ−ト法)して、積層することにより、少なくとも片面に基材を有する積層体を製造することができる。
積層ポリイミドフィルムの本発明のポリイミド層側に、薄膜成膜法及び電気めっき法を用いて金属層膜を形成して、積層体を製造することができる。
ラミネ−ト法において、本発明のポリイミドフィルムの片面あるいは両面に、耐熱性接着剤層を設け、さらに金属箔を重ね合わせ、加熱・加圧して積層体を得ることができる。 耐熱性接着剤としては、電子分野で使用されている耐熱性接着剤であれば特に制限はなく、例えばポリイミド系接着剤、エポキシ変性ポリイミド系接着剤、フェノ−ル樹脂変性エポキシ樹脂接着剤、エポキシ変性アクリル樹脂系接着剤、エポキシ変性ポリアミド系接着剤などが挙げられる。この耐熱性接着剤層はそれ自体電子分野で実施されている任意の方法が設けることができ、例えば前記のポリイミドフィルム、成形体に接着剤溶液を塗布・乾燥してもよく、別途に形成したフィルム状接着剤と張り合わせてもよい。
基材としては、単一金属又は合金、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、ステンレスの金属箔、金属メッキ層(好適には蒸着金属下地層−金属メッキ層あるいは化学金属メッキ層等の多くの公知技術が適用できる。)などを挙げることができ、好適には圧延銅箔、電解銅箔、銅メッキ層などがあげられる。金属箔の厚さは特に制限はないが、0.1μm〜10mm、さらに1〜50μm、特に5〜18μmが好ましい。
積層体は、他の基材、例えばセラミックス、ガラス基板、シリコンウエハ−や同種あるいは異種の金属あるいはポリイミドフィルムなどの成形体をさらに耐熱性接着剤によって接着してもよい。
この発明の好適例によれば、積層体は、280℃などのハンダ浴などの高温処理を行なっても、接着界面での発泡や剥離が起こりにくい。
積層体は、電子部品用基板、配線基板として好適に使用でき、例えば、プリント回路基板、電力用回路基板、フレキシブルヒ−タ−、抵抗器用基板として好適に使用することができる。またLSI等のベ−ス基材等の線膨張係数が小さい材料上に形成する絶縁膜、保護膜等の用途に有用である。
以下、この発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。
(フィルム特性の評価)
1)飽和吸水率(%):ポリイミドフィルムを乾燥窒素雰囲気下で恒量になるまで乾燥させて乾燥時のフィルム重量を測定し、その後、23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後、吸水時のフィルム重量を測定し、飽和吸水率は、数式(1)に従い、算出した。
Figure 0005110242
2)相対透湿速度:得られたポリイミドフィルムを乾燥窒素雰囲気下で恒量になるまで乾燥させて乾燥時のフィルム重量を測定し、その後、乾燥したポリイミドフィルムを温度27℃、湿度55%RHの雰囲気中下において1時間、重量変化を追跡し、初期の重量増加率(重量変化曲線の傾き)を透湿速度とし、比較例2における50μフィルムの透湿速度を1とした相対値を相対透湿速度とした。
3)線膨張係数:TMA−50を用い、5℃/分、100℃〜250℃の範囲で測定した。
4)機械的特性(破断応力、引張弾性率、破断伸び):膜厚25μmのポリイミドフィルムを用いてASTM・D882に従って測定した。測定条件は、TENSILONを用いて、引張り速度2mm/分、温度23℃、湿度55%の環境下で行なった。測定は5試料行い、測定結果は5試料の平均値とする。
5)接着強度:得られたポリイミドフィルムに、デュポン株式会社製アクリル系接着剤(パイララックス)、圧延銅箔(日鉱マテリアル社製BHY−13H−T箔、Ra:0.18μm)を重ね合わせ、プレスにて、180℃、30Kgf/cmで1分間圧着、さらに180℃で60分間熱処理して積層板を得た。この積層板の界面の90度ピ−ル強度をJIS・C6471−8.1に従って測定し、接着強度とした。
6)ガラス転移温度:動的粘弾性測定装置RSAIIIを用いて室温から500℃の範囲で動的粘弾性を測定した。
(原料ド−プの合成例1)
反応容器にN、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、撹拌及び窒素流通下、パラフェニレンジアミン(PPD)を添加し、50℃に保温し完全に溶解させた。この溶液にジアミン成分とジカルボン酸成分とが等モル量となる割合の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を発熱に注意しながら徐々に添加し、添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けて、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(黄色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第1液と称する。
(原料ド−プの合成例2)
PPDの代わりに3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約500ポイズ)を得た。この溶液を第2液と称する。
(原料ド−プの合成例3)
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)(MDX)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第3液と称する。
(原料ド−プの合成例4)
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2−メチルアニリン)(MDT)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(濃赤色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第4液と称する。
(原料ド−プの合成例5)
PPDの代わりに3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(DANS)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡黒褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1500ポイズ)を得た。この溶液を第5液と称する。
(原料ド−プの合成例6)
PPDの代わりに3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TB)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約800ポイズ)を得た。この溶液を第6液と称する。
フィルムを基板に流延して製造する場合、得られるフィルム面は基板側と空気側があり、フィルムの空気側の面をA面とし、基板側の面をB面として表す。
実施例2,3、参考例1〜4、比較例1)
第1液と第2〜第6液とを表1の比率で混合し、ガラス基板上に最終膜厚25μm程度となるように塗布し、135℃で3分加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンターに貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムを用いて、吸水率及び相対透湿速度を測定し、結果を表1に示す。
さらにこのポリイミドフィルムのガラス転移温度を測定した。これらのフィルムはいずれも450℃以下に明確なガラス転移点を示さなかった。
また、得られたポリイミドフィルムのA面側又はB面側に、デュポン株式会社製アクリル系接着剤(パイララックス)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ社製BHY−13H−T箔、Ra:0.18μm)を重ね合わせ、プレスにて、180℃、30Kgf/cmで1分間加熱圧着し、さらに180℃で60分間熱処理を行い、(ポリイミドフィルムA面/接着剤/銅箔)の3層と、(ポリイミドフィルムB面/接着剤/銅箔)の3層の2種類の積層板を得た。これらの積層板の90度ピ−ル強度を測定し、結果を表1に示す。
Figure 0005110242
(実施例7〜13、比較例2〜4)
第1液と第3液とを表2の比率で混合し、ガラス基板上に最終膜厚25μm及び50μmとなるように塗布し、135℃で3分(最終膜厚25μm)又は5分(最終膜厚50μm)加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンタ−に貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの飽和吸水率、相対透湿速度、線膨張係数及び機械的特性(破断応力、引張弾性率、破断伸び)を測定し、結果を表2に示す。
Figure 0005110242
(実施例14)
第1液をガラス基板上に最終膜厚21μm程度となるように塗布し、135℃で3分加熱して固化フィルム(基板層:耐熱性ポリイミド)を形成し、第1液と第3液とを混合してモノマ−濃度5重量%に調製したポリイミド前駆体溶液(ジアミン成分は、MDX10モル%と、PPD90モル%)を、最終膜厚2μmになるように固化フィルムのA面に塗布し、135℃で1分加熱後、ガラス基板から剥離し、同様に固化フィルムのB面にも塗布し、さらに135℃で1分加熱した。次にピンテンタ−に貼り付けて、130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することにより、各層の厚みが2μm/21μm/2μmの3層のポリイミドフィルムを得た。
得られた3層ポリイミドフィルムの飽和吸水率及び相対透湿速度を測定し、結果を表3に示す。さらに得られた3層のポリイミドフィルムの基板層A面側又は基板層B面側に、デュポン株式会社製アクリル系接着剤(パイララックス)、圧延銅箔(日鉱マテリアル社製BHY−13H−T箔、Ra:0.18μm)を重ね合わせ、プレスにて、180℃、30Kgf/cmで1分間加熱圧着し、さらに180℃で60分間熱処理して、耐熱性ポリイミド(基板層)のA面側/ポリイミド/接着剤/銅箔、又は耐熱性ポリイミド(基板層)のB面側/ポリイミド/接着剤/銅箔、の2種類の4層の積層板を得た。この積層板の90度ピ−ル強度を測定し、結果を表3に示す。
(実施例15)
3層ポリイミドフィルムの各層の厚みが1μm/10μm/1μmとなるように塗布厚を調整した他は、実施例14と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(実施例16)
第1液に、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリイミド前駆体に対して2重量%添加した溶液を用いて基板層を形成した他は、実施例15と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
第1液に、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリイミド前駆体に対して2重量%添加した溶液を用いて、厚み12μmの基板層のみを形成した他は、実施例15と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005110242
(高温処理の評価)
実施例2,3、参考例1〜4、比較例1、実施例14〜16及び比較例5で得られた積層板について、次の評価法によって高温処理工程による接着界面での発泡や剥離の発生の有無について評価した。
評価法:片面を銅箔に接着した積層体を23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後280℃のハンダ浴に10秒間浸漬し、積層体の発泡及び剥離を目視で観察し、その結果を示す。
実施例2,3、参考例1〜3及び実施例14〜16は、発泡及び剥離が認められなかった。
参考例4は、わずかに発泡が認められた。
比較例1及び比較例5は、発泡と剥離が認められた。
本発明のポリイミドより得られる積層体は、高温処理しても発泡や剥離が起こりにくいことが判明した。

Claims (3)

  1. 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンとを混合して第1のポリイミド前駆体溶液を得る工程と、
    3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を混合して第2のポリイミド前駆体溶液を得る工程と、
    前記第1のポリイミド前駆体溶液と、前記第2のポリイミド前駆体溶液とを混合し固化フィルムを形成する工程と、
    前記固化フィルムを熱処理する工程と、
    を含むポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 耐熱性ポリイミドからなるポリイミドコア層を与える第1のポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延、乾燥して自己支持性フィルムを形成する工程と、
    3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を混合して第2のポリイミド前駆体溶液を準備する工程と、
    3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンとを混合して第3のポリイミド前駆体溶液を準備する工程と、
    前記第2のポリイミド前駆体溶液と、前記第3のポリイミド前駆体溶液とを混合する工程と、
    前記自己支持性フィルムの少なくとも片面に前記混合したポリイミド前駆体溶液を塗布又は吹き付ける工程と、
    前記塗布又は吹き付けた自己支持性フィルムを加熱乾燥する工程と、
    を含む積層ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 前記第1のポリイミド前駆体溶液は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンを含むジアミンの混合物である請求項2記載の積層ポリイミドフィルムの製造方法。
JP2005342001A 2004-12-03 2005-11-28 ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体 Expired - Fee Related JP5110242B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005342001A JP5110242B2 (ja) 2004-12-03 2005-11-28 ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004350773 2004-12-03
JP2004350773 2004-12-03
JP2005342001A JP5110242B2 (ja) 2004-12-03 2005-11-28 ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006183040A JP2006183040A (ja) 2006-07-13
JP5110242B2 true JP5110242B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=36736381

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005342001A Expired - Fee Related JP5110242B2 (ja) 2004-12-03 2005-11-28 ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5110242B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7330801B2 (ja) 2013-05-10 2023-08-22 エム スクエアード レーザーズ リミテッド 光学部品のマウント方法および装置

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4780548B2 (ja) * 2004-12-21 2011-09-28 東レ・デュポン株式会社 ポリイミドフィルム、その製造方法およびフレキシブル回路基板
JP5417595B2 (ja) * 2006-10-10 2014-02-19 新日鉄住金化学株式会社 ポリイミド樹脂層の形成方法
JP5275604B2 (ja) * 2006-10-10 2013-08-28 新日鉄住金化学株式会社 ポリイミド樹脂層の製造方法
JP2008239930A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Du Pont Toray Co Ltd ポリアミック酸、それからなるポリイミドフィルムおよびその製造方法、並びにフレキシブル回路基板
EP2722173B1 (en) * 2011-06-14 2023-07-12 UBE Corporation Method for producing polyimide laminate, and polyimide laminate
JP6014847B2 (ja) * 2012-09-27 2016-10-26 株式会社ピーアイ技術研究所 太陽電池およびその製造方法
TWI535760B (zh) 2014-06-30 2016-06-01 可隆股份有限公司 高耐熱聚醯胺酸溶液及聚醯亞胺薄膜
JP7242157B2 (ja) * 2014-10-08 2023-03-20 Ube株式会社 ポリイミド前駆体組成物、およびそれを用いた絶縁被覆層の製造方法
JP7320254B2 (ja) * 2019-08-21 2023-08-03 河村産業株式会社 面状発熱体
KR20240081119A (ko) * 2022-11-30 2024-06-07 피아이첨단소재 주식회사 용매 가용성 폴리이미드

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5918221B2 (ja) * 1983-06-20 1984-04-26 宇部興産株式会社 ポリイミド被覆銅板の製造法
JPS61111359A (ja) * 1984-11-06 1986-05-29 Ube Ind Ltd ポリイミド膜
JPS61111181A (ja) * 1984-11-07 1986-05-29 Nitto Electric Ind Co Ltd ポリイミド−金属箔複合フイルムの製法
JPS63265629A (ja) * 1987-04-23 1988-11-02 Sumitomo Electric Ind Ltd フレキシブル配線基板の製造方法
JPS6416836A (en) * 1987-07-13 1989-01-20 Kanegafuchi Chemical Ind Novel polyimide copolymer and polyamic acid copolymer and production thereof
JP3079740B2 (ja) * 1992-02-20 2000-08-21 株式会社日立製作所 ポリイミド及びそれを用いた配線構造体
JPH08283411A (ja) * 1995-04-14 1996-10-29 Ube Ind Ltd 改質されたポリイミドフィルムおよび積層体
JPH0955568A (ja) * 1995-08-11 1997-02-25 Hitachi Ltd 薄膜配線シート、多層配線基板、およびそれらの製造方法
JP2865198B2 (ja) * 1996-07-19 1999-03-08 宇部興産株式会社 高分子膜を有するフレキシブル配線板
JP3707879B2 (ja) * 1996-10-21 2005-10-19 住友ベークライト株式会社 ポリイミド樹脂組成物およびフィルム接着剤とその製造方法
JPH10265760A (ja) * 1997-03-24 1998-10-06 Sumitomo Bakelite Co Ltd フィルム接着剤とその製造方法
JP4009918B2 (ja) * 1997-07-18 2007-11-21 東レ・デュポン株式会社 ポリイミドフィルム、その製造方法およびそれを基材とした金属積層板
JP3937278B2 (ja) * 1999-09-17 2007-06-27 東レ・デュポン株式会社 太陽電池基板用ポリイミドフィルムおよびそれを用いた太陽電池基板
JP4006999B2 (ja) * 2001-12-25 2007-11-14 宇部興産株式会社 ポリイミドフィルムおよび積層体
JP2004018751A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Ube Ind Ltd 親水性ポリイミド多孔質膜及びその製造方法
JP2005314630A (ja) * 2004-03-30 2005-11-10 Nippon Steel Chem Co Ltd 芳香族ポリアミド酸及びポリイミド

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7330801B2 (ja) 2013-05-10 2023-08-22 エム スクエアード レーザーズ リミテッド 光学部品のマウント方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006183040A (ja) 2006-07-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5110242B2 (ja) ポリイミド、ポリイミドフィルム及び積層体
JP4957059B2 (ja) ポリイミドフィルム積層体
US8043697B2 (en) Polyimide film-laminated body
US6251507B1 (en) Flexible aromatic polymide film/metal film composite sheet
JP4362917B2 (ja) 金属箔積層体およびその製法
KR100963376B1 (ko) 폴리이미드 제조방법 및 이에 의하여 제조된 폴리이미드
JP5251508B2 (ja) 耐熱性フィルム金属箔積層体、およびその製造方法
US8518550B2 (en) Polyimide, polyimide film and laminated body
TW200409569A (en) Copper-clad laminate
TWI405792B (zh) A polyimide film having a high adhesion property and a method for producing the same
JP2017165909A (ja) ポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板
KR100262417B1 (ko) 필름접착제 및 그의 제조 방법
KR20060042029A (ko) 연성 금속박 폴리이미드 적층판 및 그의 제조 방법
JP2010155360A (ja) 透明絶縁樹脂層を有する配線基板用積層体
JPH08230103A (ja) 金属箔積層ポリイミドフィルム
KR20240049536A (ko) 금속 피복 적층판, 접착 시트, 접착성 폴리이미드 수지 조성물 및 회로 기판
KR20070007296A (ko) 배선기판용 적층체
JP2007326962A (ja) ポリイミド樹脂、ポリイミドフィルム及びポリイミド積層体
KR20210084275A (ko) 금속 피복 적층판 및 회로 기판
JP2008303372A (ja) 非対称構造を有するポリイミド前駆体、ポリイミドおよびそれらの製造方法
JP4967494B2 (ja) 耐熱性ポリイミド金属積層板の製造方法
KR20210038331A (ko) 폴리이미드 필름, 금속 피복 적층판 및 회로 기판
JP2002322276A (ja) 新規な熱可塑性ポリイミド樹脂
JP4821411B2 (ja) 片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム、片面銅張り積層板
JP2009091441A (ja) ポリイミド前駆体及びポリイミド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120912

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120925

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees