JP5103856B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両に搭載され、電動モータを用いてドライバーの操舵動作を補助する電動パワーステアリング装置に関する。
車両用の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータと、電動モータの回転力を減速して操舵軸に伝達する減速機構とを備えており、ステアリングホイールの回転に応じた操舵軸の回転を電動モータの回転力により補助し、ドライバーのステアリング操作の労力軽減に役立っている。
上記減速機構は、電動モータの出力軸に連結されたウォーム(駆動歯車)と、このウォームに噛み合うウォームホイール(従動歯車)とを備え、ウォームホイールは、操舵軸に一体回転するように連結されている。
上記電動パワーステアリング装置を搭載した車両が不整地等を走行すると、路面から操舵軸を介して減速機構に振動が伝わる。このような振動は、ウォームホイールとウォームとが互いに叩き合う“ラトル音”の原因になっている。一般に、“ラトル音”の発生を防止するためにはバックラッシュを小さくすることが有効とされており、そのため、(1)ウォームとウォームホイールとの組み付け時の合わせ込みでバックラッシュを小さく管理する方法や、(2)ウォームとウォームホイールとをバネ等で付勢することによりバックラッシュを小さくする方法等が考えられている。
しかし、(1)の方法では、組み立ての際の工数が増大し、コストアップに繋がるという問題があり、(2)の方法では、ウォームとウォームホイールとの歯面が常に接触するためにフリクションが増加し、操舵フィーリングが悪化するという問題がある。したがって、いずれの方法も最適とは言い難い。
一方、下記特許文献1には、操舵軸とウォームホイールとの、軸方向、径方向、及び周方向(回転方向)の間に弾性部材(ゴム)を介在させる技術が開示されている。この技術は、電動モータからステアリングに伝達される振動等を弾性部材によって緩衝し、固体伝送音の遮断や、エンドストッパに対して生じる雑音の除去を可能としている。しかしながら、上記のようなラトル音を抑制するには、単にウォームホイールと操舵軸との間に弾性部材を介在させるだけでは不十分であり、弾性部材の特性や構造に配慮が必要である。また、特許文献1のように、ウォームホイールと操舵軸との軸方向及び径方向の間に弾性部材を介在させると、ウォームホイールがわずかに傾いたり軸方向に移動したりする可能性があり、操舵時の歯打ち音が生じやすくなる。
特表2004−513021号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、不整地等の走行により操舵力伝達機構の軸に加わる振動(外乱入力振動)を適切に減衰して減速機構の従動歯車に伝達し、ラトル音の発生を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明は、操舵補助用のモータの回転に連動して回転する駆動歯車と、この駆動歯車に噛合する従動歯車と、を備え、この従動歯車が、操舵部材とこの操舵部材により操舵される操向車輪との間の操舵力伝達機構を構成する軸に連結され、前記モータの回転による操舵補助力が、前記駆動歯車及び前記従動歯車を介して前記軸に伝達される電動パワーステアリング装置において、
前記従動歯車が、前記軸に対して所定の範囲で相対回転可能に、かつ軸方向及び径方向に相対移動不能に連結され、
前記従動歯車と前記軸との相対回転範囲に、前記軸から前記従動歯車へ伝わる回転方向の振動を減衰する減衰領域が設けられ、
前記減衰領域が、少なくとも、外乱入力による前記軸の回転方向の振動の振幅を含み、
前記従動歯車と前記軸との間に、両者の相対回転によって弾性変形する弾性部材が設けられ、
前記相対回転範囲における前記弾性部材のバネ定数が、前記減衰領域で小さく、前記減衰領域を超える範囲で大きくなるように変化しており、
前記弾性部材は、本体部と、この本体部に対して周方向に隣接して配置された腕部とを備え、前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で前記腕部が周方向に曲げ変形され、さらなる相対回転で前記腕部が前記本体部の周方向側部に当接して前記腕部及び前記本体部が周方向に圧縮変形されることを特徴としている。
これによれば、路面等からの外乱入力によって軸が回転方向に振動したとしても、その振動は、軸と従動歯車との相対回転範囲にある減衰領域において弾性部材のバネ定数が小さく設定されていることによって、好適に減衰される。したがって、従動歯車の振動を抑制し、駆動歯車との衝突に起因するラトル音の発生を防止すること ができる。また、減衰領域を超える範囲では相対回転範囲における弾性部材のバネ定数が大きくなっているので、従動歯車から軸へ適切に操舵補助力を伝達することができる。
また、前記従動歯車は、前記軸に対して軸方向及び径方向に相対移動不能に連結され、回転方向にのみ相対移動可能に連結されているので、従動歯車が軸に対して軸方向や径方向に移動することに伴う、操舵時の歯打ち音の発生を防止することができる。
た、本発明は、前記軸に対して連結部材が一体回転可能に固定され、
前記従動歯車には周方向に複数の取付孔が形成され、
前記取付孔には、前記連結部材に取り付けられた前記弾性部材が挿入され、
前記弾性部材の腕部は、前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で、前記取付孔の周方向端面により押圧されて曲げ変形され、前記本体部は、さらなる相対回転で前記腕部とともに圧縮されることが好ましい。
前記減衰領域における前記弾性部材のバネ定数をK(N・m/deg)とし、前記従動歯車のイナーシャをX(kg・m)としたとき、 0<K<64X の関係が満たされることが好ましい。これによって、外乱入力による軸の振動を適切に減衰して従動歯車に伝達することができる。
前記従動歯車と前記軸と間には、前記減衰領域における前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で前記弾性部材の腕部が変形しない隙間が含まれることが好ましい。弾性部材が変形しない隙間ではバネ定数が0となるため、外乱入力による軸の振動を適切に減衰することができる。
本発明によれば、不整地等の走行により操舵力伝達機構の軸に加わる振動(外乱入力振動)を適切に減衰して減速機構の従動歯車に伝え、ラトル音の発生を抑制することができる。
図1は、電動パワーステアリング装置10の模式図であり、当該装置10は、例えば自動車に搭載され、ステアリングホイール(操舵部材)11に加わるドライバーの操舵動作に応じて、タイヤ(操向車輪)12の向きを変えるための操舵軸13を備えている。この操舵軸13は、上端部にステアリングホイール11が取り付けられた第1の軸部14と、この第1の軸部14にトーションバー15を介して連結された第2の軸部16とを有し、ステアリングホイール11の回転が直接的に伝達されるようになっている。
第2の軸部16の下端には、自在継手17,18及び中間軸19を介してステアリングギヤ20が連結されている。ステアリングギヤ20は、ピニオン軸21及びラック軸22を備えたラックアンドピニオン式とされ、ピニオン軸21は、上端が自在継手18に連結され、下部にピニオン歯21aを備えている。ラック軸22は、ピニオン歯21aに噛み合うラック歯22aを備えている。
ラック軸22は、ラック軸用ハウジング23内に軸方向(左右方向)移動自在に支持されており、ラック軸22の軸方向両端には、タイロッド24及びナックルアーム25を介してタイヤ12が連結されている。ピニオン軸21は、ラック軸用ハウジング23に交差した状態で連なるピニオン軸用ハウジング26に軸心回り回転自在に支持されている。
上記構成において、操舵のためにステアリングホイール11を回転操作すると、操舵軸13、中間軸19等を介して連結されたピニオン軸21が回転し、この回転が、ピニオン歯21aとラック歯22aとの噛合部においてラック軸22の軸方向の移動に変換される。このラック軸22の移動は、タイロッド24を介して左右のナックルアーム25に伝わり、これらのナックルアーム25の押し引きにより左右のタイヤ12がステアリングホイール11の操作方向に操舵されるようになっている。
ここに、ステアリングホイール11とタイヤ12との間の各軸13,19,21,22や各部品17,18,24,25等は、ステアリングホイール11に付与された操舵力をタイヤ12に伝達する操舵力伝達機構を構成している。
操舵軸13の第2の軸部16には、減速機構30を介して電動モータ31が連結されている。減速機構30は、電動モータ31の出力軸に一体回転可能に連結されたウォーム(駆動歯車)32と、このウォーム32に噛み合うウォームホイール(従動歯車)33とを備え、ウォームホイール33は、第2の軸部16に一体回転可能に連結されている。したがって、電動モータ31の回転動力は、減速機構30により減速された状態で第2の軸部16に伝達される。
電動モータ31は、第1の軸部14と第2の軸部16との相対的な回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ(図示略)の検出結果や、車速、ステアリングホイール11の操舵角等に基づいて駆動され、ステアリングホイール11から入力された操舵トルクに応じた操舵補助力を発生するようになっている。ここに、電動モータ31及び減速機構30は、ステアリングホイール11からタイヤ12に至る操舵力伝達機構にモータ動力による操舵補助力を付与する操舵補助部を構成している。また、本実施形態のパワーステアリング装置10は、操舵軸13に対して操舵補助力を付与する操舵軸アシスト(コラムアシスト)式の操舵機構(C−EPS)とされている。
上記電動パワーステアリング装置10を備えた自動車が、凹凸の激しい路面を走行すると、ステアリングホイール11には振動(外乱入力振動)が伝達される。さらに、この振動が操舵軸13を介して減速機構30のウォームホイール33に伝わると、ウォームホイール33がウォーム32に回転方向に衝突し、“ラトル音”を発生する原因となる。
本実施形態では、このようなラトル音の発生を抑制するべく、操舵軸13から減速機構30のウォームホイール33に伝わる振動を減衰する構造を減速機構30に備えている。以下、減速機構30の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、減速機構30のウォームホイール33は、第2の軸部16(操舵軸13)に設けられた連結部材35を介して第2の軸部16(操舵軸13)に連結されている。図2は、ウォームホイール33及び連結部材35の詳細を示す分解斜視図であり、ウォームホイール33の外周面にはウォーム32(図1)に噛み合う歯33aが形成され、中心部には軸方向に貫通する貫通孔33bが形成されている。貫通孔33bの周りには、軸方向に貫通する複数(図例では6個)の取付孔33cが等角度間隔で形成されている。各取付孔33cは、貫通孔33b側の辺が短く、歯33a側の辺が長くなるような略台形状に形成されている。
連結部材35は、ウォームホイール33を挟持した状態で互いに連結される一対の挟持体36,37を備えている。一方の挟持体(第1挟持体)36は、円盤状の主部38と、主部38の中心部において、ウォームホイール33側に突出する円筒形の嵌合部39とを有している。嵌合部39の中心には、第2の軸部16(図1)を挿通するための貫通孔39aが形成されている。
第1挟持体36は、貫通孔39aに挿通した第2の軸部16に一体回転可能に固定されるようになっている。また、嵌合部39は、ウォームホイール33の貫通孔33bよりもわずかに小さい外径を有し、貫通孔33b内に挿入可能となっている。主部38のウォームホイール33側の側面には、ウォームホイール33側へ突出する円筒形の突部40が、嵌合部39周りに等角度間隔で複数(図例では6個)形成され、突部40の中心には、ボルト挿通孔40aが貫通して形成されている。この突部40は、ウォームホイール33の取付孔33cに挿入されるようになっている。
他方の挟持体(第2挟持体)37は円盤状に形成され、中心には、軸方向に貫通する貫通孔37aが形成されている。この貫通孔37aは、嵌合部39の外径よりも大径に形成されている。第2挟持体37には、第1挟持体36の突部40に対応する位置に複数の雌ねじ孔37bが貫通して形成されている。
第1挟持体36と第2挟持体37とは次のようにして連結される。すなわち、ウォームホイール33を間に挟んだ状態で、第1挟持体36と第2挟持体37とを互いに対向し、第1挟持体36の嵌合部39を、ウォームホイール33の貫通孔33bと、第2挟持体37の貫通孔37aとに挿通し、第1挟持体36の突部40を、ウォームホイール33の取付孔33cに挿通する。そして、第1挟持体36の外側面(反ウォームホイール33側の面)から突部40のボルト挿通孔40aにボルト41を挿入し、このボルト41を第2挟持体37の雌ねじ孔37bに螺合する。これによって、第1,第2挟持体36,37が連結され、その間にウォームホイール33が挟持される。
上記のように連結された第1,第2挟持体36,37と、ウォームホイール33とは、互いに周方向に相対移動(相対回転)可能となっている。第1挟持体36は、第2の軸部16(図1)に一体回転可能に固定されているので、ウォームホイール33は、第2の軸部16に対しても相対回転可能とされている。
ただし、ウォームホイール33の取付孔33c内には第1挟持体36の突部40が挿通されるので、ウォームホイール33の第1,第2挟持体36,37に対する相対回転量(相対回転角度)は、取付孔33cの周方向の幅(正確には、当該幅から突部40の外径を引いた幅)に制限される。そして、本実施形態では、取付孔33c内には、第1挟持体36の突部40に取り付けられた弾性部材50が挿入されており、したがって、第1,第2挟持体36,37とウォームホイール33との相対回転量は、弾性部材50の弾性変形可能な範囲に制限されている。
なお、第1,第2挟持体36,37を互いに連結すると、突部40の先端面が第2挟持体37に当接することによって、第1挟持体36の主部38と第2挟持体37との間隔が設定され、両者38,37の間に、ウォームホイール33が軸方向に関してガタつくことなく(少なくとも、周方向の相対移動を許容した状態で)保持されるようになっている。したがって、ウォームホイール33は、軸方向に関し、第2の軸部16に対して相対移動不能となっている。
また、嵌合部39の外径はウォームホイール33の貫通孔33bよりもわずかに小径に形成されているので、ウォームホイール33は、径方向にもガタつくことなく第1,第2挟持体36,37に保持されるようになっている。したがって、ウォームホイール33は、径方向に関しても、第2の軸部16に対して相対移動不能となっている。
図3は、取付孔33c内に挿入された弾性部材50を拡大して示す正面図である。弾性部材50は、路面から第2の軸部16に伝達される回転方向の振動(外乱入力振動)を減衰してウォームホイール33に伝えるものであり、本実施形態の弾性部材50はゴムにより構成されている。この弾性部材50は本体部51と2つの腕部52とを有し、本体部51は、取付孔33cの径方向の幅と略同じ幅を備え且つ取付孔33cの周方向の幅よりも小さな幅を有する略台形状に形成されている。本体部51の中央には、突部40を挿通するための孔51aが貫通して形成されている。
各腕部52は、本体部51の周方向両側における径方向外端部から径方向内方へ向けて、本体部51から徐々に離れながら(周方向へ斜めに広がりながら)突出している。図3のように弾性部材50が取付孔33cの周方向中心O1に配置されているとき(以下、この位置を中立位置という)、腕部52は、弾性変形することなく先端が取付孔33cの周方向の端面33dに当接している。
第1,第2挟持体36,37がウォームホイール33に相対して回転すると、弾性部材50は、取付孔33cの周方向端面33dに押圧されて弾性変形する。具体的には、回転の初期では、腕部52が矢印rで示す方向に曲がり、さらに回転すると、腕部52が本体部51に当接するとともに、腕部52及び本体部51が周方向に圧縮される。
図4は、弾性部材50を周方向の回転によって弾性変形させたときの回転角度(横軸)と、回転により生じるトルク(縦軸)との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、回転角0°は、弾性部材50が中立位置(図3の状態)にある状態であり、回転角0°から右方向への回転を正とし、左方向への回転を負としている。このグラフの傾斜K1,K2が弾性部材50のバネ定数にあたる。
図4によれば、中立位置(回転角0°)から矢印方向Aに回転角度を増していくと、回転の初期ではトルクの増量が小さくなり、回転角度が増すほど、トルクの増量が大きくなっている。言い換えると、回転角度が小さい領域ではバネ定数K1が小さく、回転角度が大きい領域ではバネ定数K2が大きくなるように、バネ定数K1,K2が徐々に変化している。
最大回転角度Pの位置から回転角0°の方向(負方向)Bへ回転を戻していくと、ヒステリシスにより正方向Aへの回転のときよりもトルクは減少し、回転角0°よりも更に負方向へ回転させたときも、正方向に回転させたときと正負反対ではあるが、略同様の特性が現れるようになっている。
第2の軸部16から伝達される外乱入力振動の振幅をグラフ上に表すとZのようになる。そして、本実施形態では、少なくとも振幅Zを含む範囲を、外乱入力振動を減衰するための減衰領域Gとしており、この減衰領域Gにおける弾性部材50のバネ定数K1は、次式(1)を満たすように設定されている。
0<K1<64X ・・・・(1)
バネ定数K1の単位は、(N・m/deg)である。Xは、ウォームホイール33のイナーシャであり、単位は(kg・m)である。この式(1)により、バネ定数K1は、ウォームホイール33のイナーシャXとの関係で決定される。
さらに、上記式(1)は、次のようにして求められる。
まず、ゴムからなる弾性部材50を用いて防振(振動絶縁)を行う場合の振動振幅伝達率τは、次式(2)で表される。
τ=√(1+γ)/√((1−η+γ) ・・・・(2)
ここで、γは弾性部材50の損失係数である。
また、ηは、次式(3)で表される。
η=ω/ν ・・・・(3)
ここで、ωは、第2の軸部16に伝達される外乱入力振動の周波数(加振周波数)である。νは、ウォームホイール33のイナーシャXと弾性部材50のバネ定数K1から求まる共振周波数であり、次式(4)で表される。
ν=√(K1/X) ・・・・(4)
上記(3)式において、加振周波数ωには、路面から操舵軸13に伝達される振動(外乱入力振動)の一般的な周波数として15Hzを代入し、上記式(2)において、γには、ゴム単体での上限値程度となる0.1を代入する。また、τとして、振動レベルで−3dB以下となる(15Hzの外乱入力周波数でウォームホイール33への入力が約半分になる)伝達率を代入する。そして、これら数値を代入してK1,Xの関係をまとめると、式(1)を導き出すことができる。
式(2)において、振動伝達率τを低くするには、ηの値を大きくすること、すなわち、式(3)から、外乱入力の周波数ωに対して共振周波数νを十分に小さくすることが有効となる。
また、回転角0°から減衰領域Gを超えて正負両方向へ回転角度が大きくなる領域では、バネ定数K2が、例えばK2≧64X となるように設定されている。減衰領域Gは、たとえば、回転角0°〜±1°の範囲に設定することができる。
以上の構成において、本実施形態では、ウォームホイール33と第1,第2挟持体36,37(第2の軸部16)との間の相対回転量が小さい減衰領域Gにおいて、弾性部材50のバネ定数を小さくしているので、第2の軸部16の回転方向の振動を弾性部材50により適切に減衰してウォームホイール33に伝達することができ、ウォームホイール33とウォーム32とが叩き合うことによって発生する“ラトル音”を抑制することができる。
また、ウォームホイール33と第2の軸部16との間の相対回転量が大きい領域(減衰領域Gを超える領域)では、バネ定数が大きく設定されているので、操舵時には弾性部材50自体が相対回転のストッパとして機能し、ウォームホイール33から第2の軸部16への操舵補助力の伝達に支障が生じることはない。
弾性部材50の構造として、周方向の両側に、相対回転の初期で曲げ変形される部分(腕部52)を設けているので、相対回転量が小さい領域でバネ定数K1を適切に小さくすることができ、ウォームホイール33に伝達される振動を好適に減衰し、ラトル音の発生を効果的に抑制することができる。
ウォームホイール33は、第2の軸部16に対して回転方向に相対移動可能であるが、軸方向及び径方向には相対移動不能となっているので、ウォームホイール33が軸方向や径方向に移動(傾斜を含む)することに起因する操舵時のウォーム32との歯打ち音の発生を防止することができる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る弾性部材50を拡大して示す正面図である。本実施形態では、弾性部材50の腕部52と取付孔33cの周方向の端面33dとの間に隙間tが形成されたものとなっている。したがって、第1,第2挟持体36,37がウォームホイール33に相対して周方向に回転したとき、その回転量が隙間tを超えるまで弾性部材50は弾性変形しない。
図6は、第2実施形態において、弾性部材50を周方向の回転によって弾性変形させたときの回転角度(横軸)と、回転により生じるトルク(縦軸)との関係を示すグラフである。本実施形態の場合、図5の弾性部材50が中立位置(回転角0°)から端面33dに当接するまでの間(範囲Yで示す)は、弾性部材50が弾性変形しないので、トルクの増量がなく略水平な直線となっている。したがって、この範囲Yはバネ定数が0になる領域となっている。
本実施形態のように、減衰領域Gに、バネ定数が0となる領域Yを含んでいる場合にも、第2の軸部16の振動を適切に減衰してウォームホイール33に伝達することができる。
本発明は上記各実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。たとえば、弾性部材50としては、ゴムに限らず金属製のバネを用いることができる。ただし、ゴムは、内部損失が大きく振動エネルギーを吸収する性質が高いため、より好適である。
また、第1挟持体36の嵌合部39と、ウォームホイール33の貫通孔33bとの間に、ベアリングやブッシュを介在させることもできる。
上記第2実施形態において、減衰領域Gのすべてを含むように図5の隙間tを設定し、弾性部材50を単に回転方向のストッパとして機能させることもできる。すなわち減衰領域におけるバネ定数を0とし、減衰領域を超える範囲のみに0以上のバネ定数を有する弾性部材50を設けることができる。
また、本発明は、C−EPSに限定されず、ピニオン軸アシスト式のP−EPSやラック軸アシスト式のR−EPSなど、操舵補助用のモーターと操舵力伝達機構との間に駆動歯車と従動歯車とからなる減速機構を備えた、あらゆるEPSに適用することが可能である。
また、減速機構としては、ウォーム歯車に限らず、はすば歯車、平歯車、かさ歯車等からなる、あらゆる歯車減速機構を適用することが可能である。
電動パワーステアリング装置の模式図である。 ウォームホイール及び連結部材の詳細を示す分解斜視図である。 弾性部材を拡大して示す正面図である。 弾性部材を周方向の回転によって弾性変形させたときの回転角度と、トルクとの関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態にかかる弾性部材を拡大して示す正面図である。 弾性部材を周方向の回転によって弾性変形させたときの回転角度と、トルクとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10 電動パワーステアリング装置
11 ステアリングホイール(操舵部材)
12 タイヤ(操向車輪)
13 操舵軸
31 電動モータ
32 ウォーム(駆動歯車)
33 ウォームホイール(従動歯車)
50 弾性部材

Claims (4)

  1. 操舵補助用のモータの回転に連動して回転する駆動歯車と、この駆動歯車に噛合する従動歯車と、を備え、この従動歯車が、操舵部材とこの操舵部材により操舵される操向車輪との間の操舵力伝達機構を構成する軸に連結され、前記モータの回転による操舵補助力が、前記駆動歯車及び前記従動歯車を介して前記軸に伝達される電動パワーステアリング装置において、
    前記従動歯車が、前記軸に対して所定の範囲で相対回転可能に、かつ軸方向及び径方向に相対移動不能に連結され、
    前記従動歯車と前記軸との相対回転範囲に、前記軸から前記従動歯車へ伝わる回転方向の振動を減衰する減衰領域が設けられ、
    前記減衰領域が、少なくとも、外乱入力による前記軸の回転方向の振動の振幅を含み、
    前記従動歯車と前記軸との間に、両者の相対回転によって弾性変形する弾性部材が設けられ、
    前記相対回転範囲における前記弾性部材のバネ定数が、前記減衰領域で小さく、前記減衰領域を超える範囲で大きくなるように変化しており、
    前記弾性部材は、本体部と、この本体部に対して周方向に隣接して配置された腕部とを備え、前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で前記腕部が周方向に曲げ変形され、さらなる相対回転で前記腕部が前記本体部の周方向側部に当接して前記腕部及び前記本体部が周方向に圧縮変形されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記軸に対して連結部材が一体回転可能に固定され、
    前記従動歯車には周方向に複数の取付孔が形成され、
    前記取付孔には、前記連結部材に取り付けられた前記弾性部材が挿入され、
    前記弾性部材の腕部は、前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で、前記取付孔の周方向端面により押圧されて曲げ変形され、前記本体部は、さらなる相対回転で前記腕部とともに圧縮される、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記従動歯車と前記軸と間には、前記減衰領域における前記従動歯車と前記軸との相対回転の初期で前記弾性部材の腕部が変形しない隙間が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記減衰領域における前記弾性部材のバネ定数をK(N・m/deg)とし、前記従動歯車のイナーシャをX(kg・m )としたとき、
    0<K<64X
    の関係が満たされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの電動パワーステアリング装置。
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