JP5092952B2 - ヒンジ - Google Patents

ヒンジ Download PDF

Info

Publication number
JP5092952B2
JP5092952B2 JP2008181127A JP2008181127A JP5092952B2 JP 5092952 B2 JP5092952 B2 JP 5092952B2 JP 2008181127 A JP2008181127 A JP 2008181127A JP 2008181127 A JP2008181127 A JP 2008181127A JP 5092952 B2 JP5092952 B2 JP 5092952B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
convex
disk
concave
hinge
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008181127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010019357A (ja
Inventor
正孝 櫻田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2008181127A priority Critical patent/JP5092952B2/ja
Publication of JP2010019357A publication Critical patent/JP2010019357A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5092952B2 publication Critical patent/JP5092952B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pivots And Pivotal Connections (AREA)

Description

本発明は、ヒンジに関し、特に携帯電話、携帯端末等の小型機器類の開閉・折り畳み・回転機構部に好適に用いられるヒンジに関する。
携帯電話、携帯端末等の電子機器において、可動式のディスプレイ部分を有するものについては、ディスプレイ部分を開閉したり、回転させたりするために開閉ヒンジや回転ヒンジが用いられる場合が多い。これらの用途に使用されるヒンジの多くは、ディスプレイを所定の位置にクリックストップさせるための機構を必要とするが、近年、機器の高級化に伴い、クリックストップさせた時の手ごたえや音、またさらに停止位置から動かし始める時の感触など従来あまり問題にされていなかった品質特性について、レベルの高い要求がなされるようになってきた。
特許文献1に示された複数のトルク発生部を有する2軸ヒンジは、携帯電話やノート型パソコン用の2軸ヒンジ部品である。この2軸ヒンジ部品は、その名称に示されたように、開閉および回転時の摩擦トルクを発生するトルク発生部をそれぞれの軸に複数配置することにより、要求される回転摩擦トルクを複数のトルク発生部で分割して発生することにしたものであり、その結果1組当りの負荷が軽減され、トルク発生部の摩耗が起きにくくなるために特性の安定した長寿命の2軸ヒンジを実現したものである。
特許文献1に示された2軸ヒンジに用いられているトルク発生機構は、片面に摩擦トルクに変化を与える凹、凸、および平面を有し、他面が平面を有する2個の回転軸用回転カムと、片面に摩擦トルクに変化を与える凹、凸、および平面を有し、他面が平面を有する2個の回転軸用固定カムとを、1個のコイルばねの反発力によって押し付けることにより、摩擦トルクを発生するものである。
特許文献1には、この回転カムおよび固定カムに設けられた凹、凸、および平面の詳細な形状に関する記載が見当たらず、唯一、段落0016に「凹凸形状は何れのカムに設置しても良く、また凹凸形状が円周上に渡って延長されたものでも良い。凹み部は、穴もしくは溝でも良い。」と記載されているのみである。特許文献1に開示された発明の主眼は、各軸に複数のトルク発生機構を設けたことにあり、事実複数のトルク発生機構を設けた場合には、各トルク発生機構にかかる負荷が軽減されるので、トルク発生機構それ自身の構造は、重要性を持たないものと推定される。
しかしながら、トルク発生機構を複数設けることは、部品点数の増加をもたらし、コストアップにつながると共にヒンジ機構部分の小型化に制約を生じるものであり、満足できるものではない。
特許文献2に示された二軸ヒンジの回転機構は、特許文献1に示された2軸ヒンジと同様に携帯電話への適用を考慮した二軸ヒンジであり、耐久性や良好なフィーリングを実現することを目的としたものである旨、記載されている。
特許文献2に示された回転機構は、先端部が略球形の圧接部材を組み込んだ圧接部が2個以上構成された回転側部材と、圧接部と当接し、クリックを発生するために1つ以上の径方向に伸びた溝を形成した摺動部材を密着させ、圧接部材と摺動部材とを弾性的に圧接させることにより、回転時の摺動摩擦トルクとクリックトルクを発生させるものである。
特許文献2に示された二軸ヒンジは、携帯電話本体に回転軸部材が取付けられ、この回
転軸部材に挿通された回転側部材に開閉軸が取付けられている構造であり、従って回転軸部材および回転側部材の直径には大きな制約がない。従って、回転側部材に圧接部材を2個以上組み込むことも可能となるが、例えば図14、15に示された携帯電話機のように機器本体1に開閉ヒンジ3が取付けられていて、開閉ヒンジ3に回転ヒンジ4を取付けた構造を実現しようとした場合には、基本的には回転ヒンジ機構の直径を、回転軸が固定されているディスプレイ部2の厚さ以上に大きくすることは困難であるため、特許文献2に示された二軸ヒンジの構造を採用することはできない。
従来、クリックトルクや摺動トルクを付与した一般的なヒンジ機構として、表面に凹部と凸部を有する2枚の円盤を相対させて回転させ、凸部が凹部に嵌合した状態から、回転力によって脱出する時と、逆に摺動状態から嵌合する時にそれぞれクリック感を生ずるようになっているものが公知であるが、多数回におよぶ回転によって摺動面が摩耗し、脱出トルクが著しく大きくなったり、クリック感が小さくなったり、クリック位置が変化したり、またぐらぐらしたりする問題があった。
特開2002-155923号公報 特開2005-127449号公報
本発明の課題は、回転機構部分の直径が小さく、かつ少ない部品点数で高級なクリック感と高い耐久性を有するヒンジの新規な構造を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、相対的に回転可能であり、表面同士が対面しかつ押圧された、表面に凸部を有する凸ディスクと、表面に凹部を有する凹ディスクとを有するヒンジにおいて、前記凸ディスクの凸部と前記凹ディスクの凹部が嵌合した状態から回転して脱出するまでの間、凸部の稜線と凹部の稜線の角度が一致しないように、凸ディスクの凸部の広がり角度を凹ディスクの凹部の広がり角度より大きくし、かつ凸ディスクの凸部の広がり角度中心を回転中心からずらす事によって、常に押し合う傾斜面が斜めに当たり、点接触するようにしたことを特徴とするヒンジである。
また、請求項2に記載の発明は、前記凸部の稜線と前記凹部の稜線のいずれか一方かまたは両方がアール加工されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジである。
また、請求項3に記載の発明は、前記凸ディスクと随伴して回転する第一の取付け部材と前記凹ディスクと随伴して回転する第二の取付け部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジである。
また、請求項4に記載の発明は、前記第二の取付け部材と前記凹ディスクが一体であることを特徴とする請求項3に記載のヒンジである。
また、請求項5に記載の発明は、前記第一の取付け部材と前記第二の取付け部材の相対的回転角度を規制する回転規制手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載のヒンジである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジが、他のヒンジの可動部に固定されていることを特徴とする二軸ヒンジである。
本発明に係るヒンジは、相対的に回転可能であり、表面同士が対面しかつ押圧された、表面に凸部を有する凸ディスクと、表面に凹部を有する凹ディスクとを有するヒンジにおいて、前記凸ディスクの凸部と前記凹ディスクの凹部が嵌合した状態から回転して脱出するまでの間、凸部の稜線と凹部の稜線の角度が一致しないように、凸ディスクの凸部の広がり角度を凹ディスクの凹部の広がり角度より大きくし、かつ凸ディスクの凸部の広がり角度中心を回転中心からずらす事によって、常に押し合う傾斜面が斜めに当たり、点接触するようにしたことを特徴とするヒンジであるから、凸ディスクと凹ディスクが嵌合した状態から脱出する時に、極端に大きなトルクを必要とせず、滑らかに脱出することができ、また摺動状態から嵌合する時も、同様に滑らかに嵌合するので、クリック感が滑らかであり、高級な使用感が得られる。
また、凸ディスクの凸部は、凹ディスクの凹部に完全に嵌合することはなく、常に点接触で引っ掛かった状態であり嵌合状態での遊びがないため、嵌合状態において定位置が変化したりぐらぐらしたりすることがない。
また、本発明に係るヒンジにおけるこれらの性質は、トルク発生手段の構造そのものからもたらされるものであるから、多数回の使用によってもその特性が変化することがなく、耐久性に優れている。
凸ディスクの凸部の稜線または凹ディスクの凹部の稜線のいずれか一方かまたは両方がアール加工されている場合には、上に述べた回転時の滑らかさや耐久性等がさらに向上する。
凸ディスクと随伴して回転する第一の取付け部材と凹ディスクと随伴して回転する第二の取付け部材を有する場合には、機器への取付けが確実容易に行われる。またそれぞれの取付け部材の構造を変化させることにより、さまざまな用途に応用することができる。
第二の取付け部材と凹ディスクが一体である場合には、部品数が減り、全体の構造が簡略化されるので、コンパクトなヒンジを実現できる。
第一の取付け部材と第二の取付け部材の相対的回転角度を規制する回転規制手段を有する場合には、例えば携帯電話機のディスプレイ部に用いる回転ヒンジのように、接続する二つの部材間に配線が必要とされるような場合であっても、一方向に無制限に回転することによって配線がちぎれてしまうといった問題が生じることがない。
本発明に係るヒンジを、他のヒンジの可動部に固定した二軸ヒンジにあっては、小型でありながら十分な耐久性と高級な使用感を実現することができるので、携帯電話機等の用途に好適に使用できる。
本発明に係るヒンジについて、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るヒンジは、携帯電話機や情報端末等の小型機器に特に好適に使用されるものであり、図14及び図15は、携帯電話機のディスプレイ部の開閉、回転機構に用いた例を示した斜視図である。
図14の例では、携帯電話機本体1に開閉ヒンジ3が取付けられており、この開閉ヒンジ3の可動部に回転ヒンジ4が取付けられて、2軸ヒンジを形成している。図14では、開閉ヒンジ3がディスプレイ部2を閉じた状態から約170度開いており、回転ヒンジ4は、原点の状態にある。図15においては、開閉ヒンジ3は約100度開いた状態であり、回転ヒンジ4は原点から約80度右方向に回転した状態である。この例では、回転ヒンジ4は、原点位置から180度回転可能であり、原点位置及び180度回転した位置でクリックストップするようになっている。
図14、15に示された使用例においては、開閉ヒンジ3の機構部分は、直径約5mmのシャフト内部に内蔵されており、回転ヒンジ4の機構部分は、その大半の部分が開閉ヒンジ3の可動部内部に収納されている。従って開閉ヒンジ、回転ヒンジの機構部分は、ともに可能な限り小型であることが必要条件となる。
またこの使用例においては、開閉ヒンジ3、回転ヒンジ4の特性として、クリックストップする原点位置ならびに180度回転した位置における停止角度の正確さとこの繰り返し精度が求められる。またクリックストップする時の感触ならびにクリックストップ位置から回転を始める時の感触が問題とされ、滑らかな動作感が求められている。さらにこの開閉動作および回転動作を1万回以上繰り返した時の耐久性も必要となる。本発明に係るヒンジは、このような要求品質をすべて満足するものとなっている。
図1は、本発明に係るヒンジの一実施形態を示した斜視図であり、携帯電話機用の回転ヒンジに応用した例を示したものである。図2は、図1のAA断面を示した断面説明図である。また図3は、図1に示したヒンジの部品展開図である。以下の説明は、図1〜3を併用して行う。
本発明に係るヒンジ6は、相対的に回転可能であり、表面に凸部41を有する凸ディスク40と、表面に凹部51を有する凹ディスク50とが、表面同士を対面した状態で、ディスク押圧手段30によって押圧されており、これらがトルク発生手段を形成している。
本実施形態においては、凹ディスク50が第二の取付け部材20を兼ねているが、凹ディスク50と第二の取付け部材20とは、随伴して回転する構造でさえあれば、別々の部品であってももちろん良い。また本実施形態においては、シャフト60を介して凸ディスク40、凹ディスク50が相対的に回転可能となっているが、凸ディスク40と凹ディスク50とが相対的に回転可能な構造でさえあれば、中心にシャフトのない構造であっても良い。
本実施形態においては、凹ディスク50が第二の取付け部材20を兼ねているので、凹ディスク50には、取付けねじ孔53が設けられており、これを利用して一方の部品に取付けることができる。また凹ディスク50には、中央にシャフト挿入孔52が設けられており、シャフト60が挿入可能となっている。シャフト60は、回転中心5を中心として回転可能である。また本実施形態においては、シャフト60に固定された第一の取付け部材10の回転を0度〜180度に規制するための回転規制手段としてストッパー55が取付けられている。ストッパー55は、ストッパー取付け突起56が凹ディスク50に設けられたストッパー取付け孔54に嵌合することによって凹ディスク50に固定されている。
シャフト60には、円周から一方向に突出した突出部を持った回転規制カム62が固定されており、シャフト60と一体として回転する。この突出部がストッパー55に当接することにより、0度〜180度の回転規制がもたらされるようになっている。
シャフト60を構成する異形断面シャフト61は、円筒形を両側から部分的に平面に切削した小判型の形状となっている。異形断面シャフト61の端部には、取付け用突起63が設けられており、第一の取付け部材10に設けられた異形断面シャフト固定孔11に嵌合して固定されるようになっている。
異形断面シャフト61には、凹ディスク50、凸ディスク40、ディスク押圧手段である皿ばね31、32、およびカバー33が挿入されるようになっている。
これらをすべて挿入した状態で異形断面シャフト61の先端にある取付け用突起63を
第一の取付け部材10の異形断面シャフト固定孔11に嵌合して固定することにより、ヒンジ6が完成する。取付け用突起63と第一の取付け部材10との固定方法としては、取付け用突起63の先端をかしめる方法や溶接、ねじ留め等任意である。
凸ディスク40には、異形断面シャフト61の断面形状に嵌合する異形断面シャフト挿入孔42が設けられており、このため凸ディスク40は、シャフト60と随伴して回転することができる。また、異形断面シャフト61に沿って軸方向に移動することができる。シャフト60は、第一の取付け部材10に固定されているので、凸ディスク40は、第一の取付け部材10と随伴して回転することができる。
第一の取付け部材10には、取付け孔12が設けられているので、これを利用してヒンジ6を目的とする部品に取付けることができる。このようにして、一方の部品と他方の部品とをヒンジ6で結合することが可能となる。
なお、ヒンジを部品に取付けるために、取付け部材は、必ずしも必要ではなく、取付ける部品の構造によっては不要な場合もある。
本実施形態においては、ディスク押圧手段30として2枚の皿ばね31、32を用いているが、目的とするヒンジの特性に応じて皿ばね以外の、コイルばね、つるまきばね、ゴム板等も使用可能である。また皿ばねの枚数を増減することもできる。
カバー33は、凸ディスク40や押圧手段30等の機構部分のカバーの役割を果たすと同時に、皿ばね31、32を凸ディスク40に押圧するためのばね押さえの役割も果している。
図4は、凸ディスクの平面模式図であり、凸ディスク40を凸部41の側から見た状態を示している。凸ディスク40には、2個の凸部41が回転中心5を中心として対称に設けられている。凸部41は、凸ディスク40の平面部から凸部斜面43を経て扇形に盛り上がった状態に形成されており、凸部41の上面は平面となっている。凸部斜面43と凸部41の境目は凸部稜線44を形成している。
凸ディスク40の中心には、異形断面シャフト61の断面形状とほぼ等しく、異形断面シャフト61が嵌合することができる異形断面シャフト挿入孔42が設けられている。このため、凸ディスク40は、異形断面シャフト61と随伴して回転すると共に、異形断面シャフト61に沿って軸方向に移動することができる。
凸部41の広がり角度45は、ひとつの凸部の2本の凸部稜線44のなす角度に相当する。凸部の広がり角度45の中心46は、回転中心5とずれた位置にあり、この凸部の広がり角度中心のずれ47を設けたことが、本発明における重要な技術的要素となっている。
図5は、凹ディスクの平面模式図である。本図は、図3に示された凹ディスク50の中央部分のみを拡大した図である。
凹ディスク50には、2個の凹部51が回転中心5を中心として対称に設けられている。凹部51は、凹ディスク50の平面部から凹部斜面57を経て溝状に形成されており、凹部51の底面は平面となっている。凹部斜面57と平面部の境目は凹部稜線58を形成している。
凹ディスク50の中心には、シャフト60が回転自在に嵌合可能なシャフト挿入孔52が設けられている。
凹ディスク50の凹部の広がり角度57は、前記凸ディスク40の凸部の広がり角度4
5よりも小さくすることが好ましい。具体的には、例えば凸部の広がり角度45が40度であれば、凹部の広がり角度59を36度程度とする。このようにすることにより、凸部41が凹部51に完全に嵌まり込んでしまうことはなく、嵌合した状態であっても完全に嵌まり込まず途中で引っ掛かった状態となる。このため、確実に一定の角度に収り、ぐらつきがなく、位置決めが可能になる。
図6および図7は、凸ディスクと凹ディスクの位置関係を示した断面説明図である。
図6は、凸ディスク40の凸部41と凹ディスク50の凹部51が嵌合状態にある図であるが、凹部の広がり角度59よりも凸部の広がり角度45が大きいため、図に示されたように凸部41は凹部51に完全に嵌まり込むことはなく、途中で引っ掛かった状態となる。また本図では分かり難いが、凸ディスク40の凸部の広がり角度中心46が、回転中心5すなわち凹ディスク50の凹部の広がり角度中心よりもずれた位置にあるため、凸ディスク40と凹ディスク50とは面接触も線接触もすることはなく、常に点接触することになる。
この凸ディスクにおける凸部の広がり角度中心のずれとしては、凸ディスクの直径の2〜3%程度が好ましい。
図7は、凸ディスク40が回転して嵌合状態から脱出しようとする状態を示した図である。本図では分かり難いが、凸ディスク40の回転に伴い、凸ディスク40の凸部41は、凸部稜線44と凹部稜線58が点接触しながら凹ディスク50の表面に乗り上げていく。凸ディスク40と凹ディスク50とは、ディスク押圧手段30によって常に押し付けられているので、この乗り上げの過程に伴う抵抗がクリックトルクを発生させる。
また凸ディスク40の凸部41が凹ディスク50の平面上に完全に乗り上げた後は、平面同士が摺動するので、摺動トルクが発生する。
ヒンジの品質特性として、クリックストップ位置から他のクリックストップ位置に至る過程におけるトルク特性が、重視されるようになってきているが、このトルク特性は、主に以下の要素からなっている。クリックストップ位置すなわち、本発明に係るヒンジであれば、凸ディスクと凹ディスクの嵌合状態からの脱出トルクと安定回転状態における摺動トルクと再び嵌合状態に入る時の嵌入トルクおよびこの嵌入トルクが発生し始める角度(吸い込み角)である。
嵌合状態から脱出する際において、凸ディスクと凹ディスクが面接触していたり、線接触していたりした場合、脱出する際の抵抗が大きく、脱出トルクが著しく大きくなる傾向がある。この傾向は、長期間の使用によって接触面が摩耗した場合に特に顕著となる。
また、接触面が摩耗した場合、クリックストップ位置が安定せず、ぐらぐらする状態になりやすい。
本発明に係るヒンジにおいては、既に述べたように凸ディスクと凹ディスクの接触が常に点接触であるから、脱出トルクが小さく、また回転も滑らかになる。また点接触の利点として、位置が確実に決まるので、ストップ位置がずれたり、ぐらぐらしたりすることがない。
凸部稜線44と凹部稜線58のいずれか一方かまたは両方がアール加工されている場合には、さらに滑らかさが向上し、回転ヒンジの耐久性もまた向上する。アールの大きさとしては、0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
凸ディスク40と凹ディスク50の材質については、耐磨耗性に優れた丈夫な材質であることが必要であり、鋼に浸炭焼入れを施し、さらに表面に硬質クロムめっきを行うなどの耐摩耗性表面処理加工を施すことが好ましい。また、これらの摺動面には、グリース等の
潤滑剤を浸漬させて滑りやすくすることがさらに好ましい。
以上説明したヒンジにおいては、凸ディスクと凹ディスクが1枚づつである場合について説明してきたが、ヒンジの用途によっては、凸ディスクと凹ディスクの組み合わせからなるトルク発生手段を複数具備することも可能である。
本発明に係るヒンジは、上に述べてきたように小型機器用の回転ヒンジとして特に好適に用いられるものであるが、小型機器用の開閉ヒンジや、より大型のヒンジ例えばドアの開閉ヒンジ等にも用いることができる。図16は、本発明に係るヒンジの他の実施形態を示した斜視展開図であり、携帯電話機の開閉ヒンジに応用した例である。
図16に示された実施形態においては、2枚の凹ディスク50が左右の第二の取付け部材20に取付けねじ穴53を介してねじによって固定されており、それぞれの凹ディスクに凸ディスク40が対面し、押圧手段30であるコイルばねによって押圧されている。凸ディスク40には、上下に切れ込み48が設けてあり、第一の取付け部材10の内側に設けた嵌合突起13に嵌合するようになっているため、凸ディスク40と第一の取付け部材10とは、随伴して回転する。2枚の凸ディスク40とコイルばねは、第一の取付け部材10の内部に収納される。第一の取付け部材10と第二の取付け部材20とは、スリーブ21によって嵌合して、回転するようになっているため、この実施形態においては、シャフトは存在しない。
以下実施例に基づいて、本発明に係るヒンジについてさらに具体的に説明する。
図1〜3に示した部品構成ならびに形状を有する回転ヒンジを作成した。
凸ディスクおよび凹ディスクの仕様を以下の通りとした。
凸ディスクの直径 5.6mm
凸ディスクの厚さ 0.5mm
凸部の高さ 0.3mm
凸部の広がり角度 40°
凸部の広がり角度中心のずれ 0.16mm
凸部稜線のアール 0.20mm
凹ディスクの直径(第二の取付け部材の幅) 7.0mm
凹ディスクの厚さ 1.4mm
凹部の深さ 0.31mm
凹部の広がり角度 35.8°
図8、9は実施例における凸ディスクと凹ディスクの関係を示した平面説明図である。図8(1)は、凸ディスクの回転角が0°すなわち嵌合状態を示している。
図8(2)は、凸ディスクの回転角が1°の状態を示している。
図8(3)は、同様にして2°の状態、(4)は、3°の状態を示している。
図9(1)は、同様にして4°の状態、(2)は、5°の状態を示している。
図中、細かい斜線の部分は、凸ディスクの凸部斜面43を、また粗い斜線の部分は、凹ディスクの凹部斜面57を示している。
図8(1)において、凸ディスクの凸部41は、凹ディスクの凹部51に嵌合した状態となっているが、凸部の広がり角度が凹部の広がり角度より大きいため、凸部41は、凹部51に完全に嵌まり込むことはなく、途中で引っ掛かった状態となっている。また凸部の広がり角度中心がずれているため、凸部稜線44と凹部稜線58の角度が一致することはなく、凸ディスクと凹ディスクは、面や線で接触せず、点で接触している。
図8(2)において、凸ディスクが回転すると、凸ディスクの凸部41は脱出して凹ディスクの平面に乗り上げていく。この時、両ディスクの接触点は移動して行くが、常に点接
触の状態を保っている。
図8(3)において、凸ディスクの回転角が2°になると、両ディスクの点接触はほぼ完了し、脱出が完了する。図8(4)において、凸ディスクの回転角が3°の状態では、凸ディスクの凸部41が凹ディスクの平面部に乗り上がるので、以後は面同士の摺動状態となる。図9(1)、(2)においても凸ディスクと凹ディスクの関係は変わらず、面同士の摺動状態が続く。
図10は、実施例における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフである。グラフにみられるように、0°から脱出トルクはなだらかに上昇し、クリックを過ぎて一旦下降し、摺動状態においては、摺動トルクが安定して推移した後、嵌入トルクへとなだらかに下降する。
このグラフのようにトルクが変化する場合には、非常になめらかな使用感と高級感のあるクリック感が得られる。この実施例においては、1万回以上の繰り返し試験によっても、トルクの変化が少なく、安定していた。
<比較例1>
実施例と同様の構成のヒンジにおいて、凸ディスクと凹ディスクの仕様を以下のように変更した。
凸ディスクの直径 変更なし
凸ディスクの厚さ 変更なし
凸部の高さ 変更なし
凸部の広がり角度 40°(変更なし)
凸部の広がり角度中心のずれ ずれなし
凸部稜線のアール 0.20mm(変更なし)
凹ディスクの直径(第二の取付け部材の幅) 変更なし
凹ディスクの厚さ 変更なし
凹部の深さ 変更なし
凹部の広がり角度 40°
図11は、比較例1における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフである。なお、グラフ図中の実線が比較例1における回転角とトルクの関係を示しており、比較のために上記実施例における回転角とトルクの関係を点線にて、グラフ図中に合わせて記している。グラフに見られるように、比較例1においては、嵌合状態から抜け出す脱出トルクが著しく大きく、また滑らかさに欠ける。また、180度に近づいた時の嵌入トルクが開始する角度(吸い込み角)は、実施例の場合よりも小さく、急激である。また、ディスク表面の仕上げ状態のばらつきや回転の繰り返しによる摩耗によって脱出トルクや、摺動トルクが大きく変化する傾向が見られた。また、脱出トルクを小さくするようにばねを弱くすると、摺動トルクが小さくなりすぎるなど、バランスがとれなかった。
<比較例2>
実施例と同様の構成のヒンジにおいて、凸ディスクと凹ディスクの仕様を以下のように変更した。
凸ディスクの直径 変更なし
凸ディスクの厚さ 変更なし
凸部の高さ 変更なし
凸部の広がり角度 40°(変更なし)
凸部の広がり角度中心のずれ 0.16mm(変更なし)
凸部稜線のアール 0.20mm(変更なし)
凹ディスクの直径(第二の取付け部材の幅) 変更なし
凹ディスクの厚さ 変更なし
凹部の深さ 変更なし
凹部の広がり角度 40°
図12は、比較例2における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフである。なお、グラフ図中の実線が比較例1における回転角とトルクの関係を示しており、比較のために上記実施例における回転角とトルクの関係を点線にて、グラフ図中に合わせて記している。グラフに見られるように、比較例2においては、脱出トルクが大きく滑らかさに欠ける点は、比較例1の場合とあまり変わらないが、180度に近づいた時の嵌入トルクが開始する角度(吸い込み角)は、比較例1の場合よりも大きく、ゆるやかになった。
<比較例3>
実施例と同様の構成のヒンジにおいて、凸ディスクと凹ディスクの仕様を以下のように変更した。
凸ディスクの直径 変更なし
凸ディスクの厚さ 変更なし
凸部の高さ 変更なし
凸部の広がり角度 40°(変更なし)
凸部の広がり角度中心のずれ ずれなし
凸部稜線のアール 0.20mm(変更なし)
凹ディスクの直径(第二の取付け部材の幅) 変更なし
凹ディスクの厚さ 変更なし
凹部の深さ 変更なし
凹部の広がり角度 35.8°(変更なし)
図13は、比較例3における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフである。なお、グラフ図中の実線が比較例1における回転角とトルクの関係を示しており、比較のために上記実施例における回転角とトルクの関係を点線にて、グラフ図中に合わせて記している。グラフに見られるように、比較例3においては、回転初めのトルクは低目であり、トルクの上昇もなめらかではあるが、脱出の終わりにトルクが一気に下がり、違和感があった。
本発明に係るヒンジの一実施形態を示した斜視図。 図1のAA断面を示した断面説明図。 図1に示したヒンジの部品展開図。 凸ディスクの平面模式図。 凹ディスクの平面模式図。 凸ディスクと凹ディスクの位置関係を示した断面説明図。 凸ディスクと凹ディスクの位置関係を示した断面説明図。 実施例における凸ディスクと凹ディスクの関係を示した平面説明図。(1)は、凸ディスクの回転角が0°の状態。(2)は、凸ディスクの回転角が1°の状態。(3)は、凸ディスクの回転角が2°の状態。(4)は、凸ディスクの回転角が3°の状態。 実施例における凸ディスクと凹ディスクの関係を示した平面説明図。(1)は、凸ディスクの回転角が4°の状態。(2)は、凸ディスクの回転角が5°の状態。 実施例における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフ。 比較例1における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフ。 比較例2における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフ。 比較例3における凸ディスクの回転角とトルクの関係を示したグラフ。 本発明に係るヒンジを用いた携帯電話機の斜視図。 図14に示した携帯電話機のディスプレイ部を回転した状態を示した斜視図。 本発明に係るヒンジの他の実施形態を示した斜視展開図。
符号の説明
1・・・携帯電話機本体
2・・・ディスプレイ部
3・・・開閉ヒンジ
4・・・回転ヒンジ
5・・・回転中心
6・・・ヒンジ
10・・・第一の取付け部材
11・・・異形断面シャフト固定孔
12・・・取付け孔
13・・・嵌合突起
20・・・第二の取付け部材
21・・・スリーブ
30・・・ディスク押圧手段
31・・・皿ばね1
32・・・皿ばね2
33・・・カバー
40・・・凸ディスク
41・・・凸部
42・・・異形断面シャフト挿入孔
43・・・凸部斜面
44・・・凸部稜線
45・・・凸部の広がり角度
46・・・凸部の広がり角度中心
47・・・凸部の広がり角度中心のずれ
48・・・切れ込み
50・・・凹ディスク
51・・・凹部
52・・・シャフト挿入孔
53・・・取付けねじ孔
54・・・ストッパー取付け孔
55・・・ストッパー
56・・・ストッパー取付け突起
57・・・凹部斜面
58・・・凹部稜線
59・・・凹部の広がり角度
60・・・シャフト
61・・・異形断面シャフト
62・・・回転規制カム
63・・・取付け用突起

Claims (6)

  1. 相対的に回転可能であり、表面同士が対面しかつ押圧された、表面に凸部を有する凸ディスクと、表面に凹部を有する凹ディスクとを有するヒンジにおいて、前記凸ディスクの凸部と前記凹ディスクの凹部が嵌合した状態から回転して脱出するまでの間、凸部の稜線と凹部の稜線の角度が一致しないように、凸ディスクの凸部の広がり角度を凹ディスクの凹部の広がり角度より大きくし、かつ凸ディスクの凸部の広がり角度中心を回転中心からずらす事によって、常に押し合う傾斜面が斜めに当たり、点接触するようにしたことを特徴とするヒンジ。
  2. 前記凸部の稜線と前記凹部の稜線のいずれか一方かまたは両方がアール加工されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
  3. 前記凸ディスクと随伴して回転する第一の取付け部材と前記凹ディスクと随伴して回転する第二の取付け部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジ。
  4. 前記第二の取付け部材と前記凹ディスクが一体であることを特徴とする請求項3に記載のヒンジ。
  5. 前記第一の取付け部材と前記第二の取付け部材の相対的回転角度を規制する回転規制手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載のヒンジ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジが、他のヒンジの可動部に固定されていることを特徴とする二軸ヒンジ。
JP2008181127A 2008-07-11 2008-07-11 ヒンジ Expired - Fee Related JP5092952B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008181127A JP5092952B2 (ja) 2008-07-11 2008-07-11 ヒンジ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008181127A JP5092952B2 (ja) 2008-07-11 2008-07-11 ヒンジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010019357A JP2010019357A (ja) 2010-01-28
JP5092952B2 true JP5092952B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=41704472

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008181127A Expired - Fee Related JP5092952B2 (ja) 2008-07-11 2008-07-11 ヒンジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5092952B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015102159A (ja) * 2013-11-25 2015-06-04 三菱電機株式会社 ヒンジ機構およびパネル装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005249020A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Kazuo Yamagami 位置決め機構および回転支持機構
JPWO2005124168A1 (ja) * 2004-06-22 2008-07-31 株式会社オーハシテクニカ ヒンジ装置及びその取付け構造
JP4546888B2 (ja) * 2005-07-08 2010-09-22 株式会社ストロベリーコーポレーション ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010019357A (ja) 2010-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4908484B2 (ja) 回転角度規制機構付きセミオート型ヒンジ
JP4079407B2 (ja) 複数のトルク発生部を有する1軸ヒンジ装置
JP4113092B2 (ja) 二軸ヒンジの回転機構およびこれを備えた携帯電話
US6115886A (en) Hinge apparatus
JP2001355371A (ja) 小型ヒンジ装置
JP3708945B2 (ja) 回転支持機構および携帯端末
JP2007271008A (ja) 開閉装置
JP2009299861A (ja) ヒンジ装置
KR20130030762A (ko) 힌지장치
JP2008223247A (ja) ドアヒンジ
JP2011047505A (ja) ヒンジ装置及びヒンジ装置を用いた電子機器
JP2005163885A (ja) 開閉装置
JP5092952B2 (ja) ヒンジ
KR101369111B1 (ko) 틸트힌지 및 이 틸트힌지를 구비한 전자기기
JP2006153227A (ja) 開閉装置
JP2007182942A (ja) 開閉装置
JP6497771B2 (ja) チルトヒンジ及び電子機器
JP2008196563A (ja) カム式ヒンジ機構
JP4905078B2 (ja) ダンパー装置
JP4998076B2 (ja) 開閉装置
JP2006017313A (ja) 複数のトルク発生部を有する1軸ヒンジ装置
JP2009052218A (ja) ヒンジ
JP2004204978A (ja) ヒンジ装置
JP5331850B2 (ja) ヒンジ装置および電子機器
JP2011089637A (ja) 電子機器の開閉装置並びに電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees