JP5086646B2 - 像担持体用保護剤及びその製造方法、並びに保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
昨今、いずれの現像方式においても、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。このような高画質化を図るため、トナーの平均粒径は小さくなり、その粒子形状は角張った部分がなくなり、トナーはより丸い形状になってきている。
また、特許文献2では、炭素数20〜70の高級アルコールを含有する潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を用いることにより、ブレードニップ部先端に高級アルコールが不定形粒子として滞留し、また、適度な像担持体表面への濡れ性を有することから、潤滑性能が持続すると記載されている。
また、特許文献3では、特定のアルキレンビスアルキル酸アミド化合物の粉体を潤滑成分として使用することにより、クリーニングブレードが像担持体表面と当接する界面に粉体が存在するため、円滑な潤滑作用が長期間にわたって保持できると記載されている。
このため、前記特許文献1のようなステアリン酸亜鉛を用いた潤滑剤は、像担持体表面を比較的均等に覆い良好な潤滑性を与えるが、この潤滑層は繰り返し帯電工程を通過すると、ステアリン酸が分解し、遂には酸化亜鉛として像担持体表面や帯電部材表面に残存することがある。残存した酸化亜鉛は吸湿性を持ち、大気中の水分吸着によって抵抗が低下するため、高湿環境下で、像担持体上の静電荷が保持できなくなり、静電潜像が不明瞭化して、画像欠陥が生じる、いわゆるボケ画像が発生することがある。
しかし、上述したように、像担持体の潤滑層中に低抵抗物質が取り込まれると、低抵抗物質を取り除くには、例えばクリーニング機構により潤滑層ごと掻き落とす必要があるが、潤滑層自身の滑りやすさのために、除去には大きな力が必要となるばかりでなく、除去の際に像担持体に対して大きな機械的ストレスをかけることとなり、たとえ前記特許文献4のような架橋構造を有する特定の表面層を像担持体表面に設けても、これまで以上に像担持体を長寿命化するには至っていない。
また、特許文献6には、よりトナー平均粒子径が小さく、より球形に近いトナーをクリーニングするためにトナーと像担持体間の摩擦係数、トナーとブレード間の摩擦係数、トナーと像担持体の付着力、トナーがブレードから受ける力、及びブレードと像担持体間で形成する角度(クリーニング角度)の関係をそれぞれ規定したクリーニング装置が提案されている。
前記特許文献5及び特許文献6では、重合法トナーに代表される球形トナーのクリーニングにおいて、クリーニング機構での像担持体へのストレスを低減しつつ、トナーのクリーニング性を改善するための提案はなされているが、像担持体への電気的ストレスを考慮した長寿命化については開示も示唆もされていない。
<1> 少なくとも、疎水性有機化合物、及び両親媒性有機化合物を含有することを特徴とする像担持体用保護剤である。
<2> 疎水性有機化合物が炭化水素ワックスであり、かつ該炭化水素ワックスがノルマルパラフィン、イソパラフィン、及びシクロパラフィンから選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の像担持体用保護剤である。
<3> 疎水性有機化合物がノルマルパラフィンを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<4> 疎水性有機化合物の重量平均分子量(Mw)が350〜850である前記<1>から<3>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<5> 両親媒性有機化合物が、非イオン系界面活性剤を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<6> 非イオン系界面活性剤が下記構造式(1)で表されるアルキルカルボン酸と、多価アルコール類とのエステル化物である前記<5>に記載の像担持体用保護剤である。
CnH2n+1COOH ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、nは15〜35の整数を示す。
<7> アルキルカルボン酸が、直鎖状アルキルカルボン酸である前記<6>に記載の像担持体用保護剤である。
<8> 両親媒性有機化合物のHLB値が1.0〜6.5である前記<1>から<7>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<9> 疎水性有機化合物(A)と、両親媒性有機化合物(B)との混合質量比〔(A)/(B)〕が、10/90〜97/3である前記<1>から<8>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<10> 疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物の合計含有量が、像担持体用保護剤の総質量の75〜100質量%である前記<1>から<9>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<11> 像担持体用保護剤が、50〜130℃の範囲に少なくとも1つの吸熱ピーク温度を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<12> 像担持体用保護剤が40〜70℃の範囲と、80〜130℃の範囲とに少なくとも1つずつの吸熱ピーク温度を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の像担持体用保護剤である。
<13> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の像担持体用保護剤を製造する方法であって、
溶融した像担持体用保護剤を金型内に注入し、該像担持体用保護剤の相転移温度以下の温度まで冷却した後、該像担持体用保護剤の相転移温度まで再加熱することを特徴とする像担持体用保護剤の製造方法である。
<14> 像担持体と、該像担持体表面に前記<1>から<12>のいずれかに記載の像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成手段を有することを特徴とする保護層形成装置である。
<15> 保護層形成手段が、像担持体用保護剤を押圧して保護剤供給部材に当接させる押圧力付与部材と、像担持体表面に像担持体用保護剤を供給する保護剤供給部材と、供給された像担持体用保護剤を薄層化して保護層を形成する保護層形成部材とを有する前記<14>に記載の保護層形成装置である。
<16> 像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、転写後の前記像担持体表面に前記<1>から<12>のいずれかに記載の像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<17> 像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記<14>から<15>のいずれかに記載の保護層形成手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
<18> 転写手段より下流側かつ保護層形成手段より上流側に、像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する前記<17>に記載の画像形成装置である。
<19> 像担持体は、最表面層が少なくとも熱硬化性樹脂を含有する前記<17>から<18>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<20> 像担持体が、感光体及び中間転写体のいずれかである前記<17>から<19>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<21> 静電潜像形成手段が、像担持体表面に接触乃至近接して配設された帯電器を有する前記<17>から<20>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<22> 帯電器が、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段を有する前記<21>に記載の画像形成装置である。
<23> トナーの下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が、0.93〜1.00である前記<17>から<22>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長)
<24> トナーの質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.40である前記<17>から<23>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<25> 像担持体と、前記<14>から<15>のいずれかに記載の保護層形成手段とを少なくとも有してなり、画像形成装置本体と着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<26> 保護層形成手段より上流側に、像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する前記<25>に記載のプロセスカートリッジである。
<27> 像担持体は、最表面層が少なくとも熱硬化性樹脂を含有する前記<25>から<26>のいずれかに記載のプロセスカートリッジである。
<28> 像担持体表面に接触乃至近接して配設された帯電器を有する前記<25>から<27>のいずれかに記載のプロセスカートリッジである。
<29> トナーの下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が、0.93〜1.00である前記<26>から<28>のいずれかに記載のプロセスカートリッジである。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長)
<30> トナーの質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.40である前記<26>から<29>のいずれかに記載のプロセスカートリッジである。
ここで、前記像担持体用保護剤は、以下のような機構で、良好な保護層を形成しているものと考えられる。
画像形成装置中の画像形成過程で、像担持体表面は、帯電工程や転写工程での電気的ストレスにより、分子鎖の切断、大気中の酸素による酸化、及び水蒸気の付着を受けて親水化が促進される。
このように部分的に親水化した像担持体表面に対して、本発明の像担持体用保護剤が接触して塗布されると、その成分である両親媒性有機化合物は、一分子中に親水性を示す構造と親油性(疎水性)を示す構造の両方を有しているため、分子内の親水性部位で像担持体表面の親水部に吸着し、かつ吸着後の当該箇所を疎水化させる。
更に、この吸着した両親媒性有機化合物の疎水性構造部分と、疎水性有機化合物が、分子間力等に起因する分子間相互作用により複合化しつつ均質な保護層が形成されると考えられる。
溶融した像担持体用保護剤を金型内に注入し、該像担持体用保護剤の相転移温度以下の温度まで冷却した後、該像担持体用保護剤の相転移温度まで再加熱する。本発明の像担持体用保護剤の製造方法においては、溶融成形工程で像担持体用保護剤の相転移温度以下の温度まで冷却した後、該像担持体用保護剤の相転移温度まで再加熱することにより、本発明の前記像担持体用保護剤を内部歪みのない状態で効率良く製造することができる。
また、前記像担持体表面に接触又は近接して配設された帯電装置では、放電領域が像担持体のごく近傍に存在するため電気的ストレスが大きくなりがちであるが、像担持体保護層を形成した本発明の画像形成装置であれば、像担持体を電気的ストレスに曝すことなく使用できる。
更に、本発明の像担持体保護成分は金属成分を実質的に含んでいないため、接触又は近接して配設された帯電装置を、金属酸化物等で汚染することなく、帯電装置の耐久性も向上させることができる。
また、像担持体の表面は形成された保護層の効果により、表面状態の変化を極めて小さくできるため、クリーニングの良否が像担持体の状態変化に対して敏感に変動してしまうような、平均円形度が大きなトナーや平均粒径が小さなトナーであっても、長期間に亘って安定したクリーニングを行うことができる。
また、本発明の像担持体用保護剤は金属成分を実質的に含んでいないため、接触又は近接して配設された帯電部材を、金属酸化物等で汚染することなく、帯電装置の経時変化を小さくすることができる。このため、像担持体や帯電部材等のプロセスカートリッジ構成部品の再使用も容易となり、更なる廃棄物量の削減も可能となる。
本発明の像担持体用保護剤は、少なくとも、疎水性有機化合物、及び両親媒性有機化合物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記疎水性有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、両親媒性有機化合物中の親油性(疎水性)部分のみと親和しやすいものが好適であり、例えば、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素ワックス;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂やフッ素系ワックス類;ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂やシリコーン系ワックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、分子内の結合が、反応性が低く安定した飽和結合のみからなる、脂肪族飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素が好ましく、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンが、付加反応が生じ難く化学的に安定であり、実使用の大気中で酸化反応を生じにくいため、経時安定性の面でより好ましく、ノルマルパラフィンが特に好ましい。
前記疎水性有機化合物としてノルマルパラフィンを用いることにより、両親媒性の有機化合物中の親油性部位と緩やかな相互作用が行われ、像担持体保面に形成した保護層を常にリフレッシュしつつ使用することができ、保護層内に逆ミセルの状態で存在する劣化物の除去性が確実なものとなるため、特に好ましい。
前記両親媒性の有機化合物としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記陽イオン系界面活性剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の、疎水性部位の末端に陽イオン(カチオン)を有し、これと、塩素、フッ素、臭素等や、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、水酸イオン等が結合した化合物などが挙げられる。
前記両イオン系界面活性剤としては、例えばジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体、アルキルアミノ酸などが挙げられる。
前記非イオン系界面活性剤としては、例えば長鎖アルキルアルコール、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコキシド、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の、アルコール化合物、エーテル化合物、アミド化合物等が挙げられる。また、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の長鎖アルキルカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ヘキシトール等の多価アルコール、又はこれらの部分無水物とのエステル化合物も好ましい形態として挙げられる。
前記両親媒性有機化合物として非イオン系界面活性剤を用いることにより、界面活性剤自身がイオン解離することがなくなるため、使用環境、特に湿度が、大幅に変動した場合にも、気中放電などによる電荷のリークを抑制することができ、画像品質を高度に維持することができる。
CnH2n+1COOH ・・・ 構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、nは15〜35の整数を示し、16〜25が好ましい。
前記n(炭素数)が15未満であると、十分な疎水性が発現されず、特に、高温高湿環境下で潜像電荷のリークに伴う画像のボケ、乱れとなることがあり、nが35を超えると、材料の結晶性が高くなりがちであり、像担持体用保護剤を成型する際に部分的に結晶化が進むことがあり、密度均一性が損なわれ、均一塗布が困難となり、塗布ムラが発生し、画像ムラとなることがある。
前記アルキルカルボン酸のエステル化物1分子中のアルキルカルボン酸部位の数は疎水性を示し、その数が多い方が気中放電により発生した解離性物質が像担持体表面に吸着するのを防ぎ、かつ帯電領域での像担持体表面への電気的ストレスを小さくするためには有効である。しかしながら、アルキルカルボン酸エステルの占める割合が多くなりすぎると、親水性を示す多価アルコール類の部分が覆い隠されてしまい、像担持体の表面状態によっては十分な吸着性能が発現しないことがある。
したがって、前記両親媒性有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は1〜3個であることが好ましい。これら両親媒性有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は、異なるエステル結合数を持つ複数の両親媒性有機化合物から1種以上を選択し、混合して調整することもできる。
また、途中で分岐した構造を持つアルキルカルボン酸の場合、像担持体表面に保護剤が吸着した際、アルキル鎖の立体障壁のため吸着密度が十分に大きく取れない場合がある。よって、前記アルキルカルボン酸は、直鎖状アルキルカルボン酸であることが好ましい。
ここで、前記HLB値は、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、その値が大きいほど水への親和性が高くなる。前記HLB値は、下記の川上の式により算出することができる。
HLB=7+11.7×log(Mw/Mo)
ただし、Mwは親水性部分の分子量を表す。Moは親油基の分子量を表す。logは常用対数を表す。
前記疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物の合計含有量は、像担持体用保護剤の総質量の75〜100質量%が好ましく、85〜100質量%がより好ましい。この範囲において、帯電部材汚染の抑制や、保護効果が十分に発現される。前記合計含有量が75質量%未満であると、疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物以外の成分が、像担持体表面の保護層中でクラスター状の大きな領域を占めることがあり、均質な保護層が形成できなくなることがある。このような状態では、像担持体用保護剤成分の不均質さに伴う保護性能の不均一さが生じ、局所的な像担持体の劣化が発生して使用期限が制限されてしまうことがある。
なお、本発明の像担持体用保護剤には、保護剤消費量をコントロールすることや、保護剤の加工性を改善することなどを目的として、充填剤類を併用しても構わない。
また同時に、電気的ストレスから像担持体表面を確実に保護するためには、像担持体用保護剤は像担持体表面で延展し、保護層を形成することが好ましく、このような形態をとるには、保護剤組成物の分子間相互作用力が高すぎない方が好ましい。
分子間相互作用力が大きいと、一旦確定した相内構造を変化させるには大きなエネルギーが必要となるため、示差熱分析計などによって測定される吸熱ピーク発生温度は高くなる。よって、前記像担持体用保護剤の形状を維持しつつ、保護層形成時の延展性を確保するため、前記像担持体用保護剤は、50〜130℃の範囲、好ましくは50〜120℃の範囲に少なくとも1つの吸熱ピーク温度を有することが好ましい。
本発明の像担持体用保護剤の製造方法は、本発明の前記像担持体用保護剤を製造する方法であって、一定の形状(例えば角柱状、円柱状)に成形するための固体物質の成形方法として公知の方法を用いることができ、例えば、溶融成形法、粉末成形法、熱プレス成形法、冷間等方圧プレス法(CIP)、熱間等方圧プレス法(HIP)などが挙げられる。これらの中でも、溶融成形法が特に好ましい。
次に、室温近傍の温度まで冷却した後、成形体を金型から外し、像担持体用保護剤の成型体が得られる。その後、切削加工等により、像担持体用保護剤の形状を整えてもよい。
前記構造相転移を引き起こす外的条件としては、温度、圧力、磁場、電場などがあり、ここでは、特に熱により前記像担持体用保護剤の構造相転移が生じる温度を、相転移温度としている。前記構造相転移には、気相、液相、固相間の相転移だけではなく、固相内で、結晶が対称性の異なる構造に変化する場合や、結晶質の固相が非晶質の固相に変化する場合やその逆などについても含まれる。
前記相転移が生じる温度の近傍では、吸発熱や比熱の変化等が生じるため、示差熱分析計による示差熱プロフィールのオンセット温度(補外開始温度)や、プロフィールの傾きの変化(温度による一次微分のプロフィール)を取ることにより、相転移温度を測定することができる。
前記像担持体用保護剤の相転移温度は、例えば、35〜90℃が好ましく、45〜70℃がより好ましい。
本発明の保護層形成装置は、像担持体と、該像担持体表面に本発明の前記像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
また、前記保護層形成装置が前記保護層形成部材を有する場合には、該保護層形成部材はクリーニング部材を兼ねてもよいが、より確実に保護層を形成するには、予めクリーニング部材により像担持体上のトナーを主成分とする残存物を除去し、残存物が保護層内に混入しないようにすることが好ましい。
像担持体である感光体ドラム1に対向して配設された保護層形成装置2は、本発明の像担持体用保護剤21、保護剤供給部材22、押圧力付与部材23、保護層形成部材24等から主に構成される。
像担持体表面に供給された像担持体用保護剤は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、例えばブレード状の部材を持つ保護層形成部材により薄層化されて保護層となる。
本発明の像担持体用保護剤は、その組成物として、一分子内に親水性の部分と疎水性の部分を有する両親媒性有機化合物と、疎水性有機化合物とを併せ含んでいる。よって、像担持体表面が電気的ストレスにより親水性となった部分には、両親媒性の有機化合物が吸着することにより、表面を疎水化させると共に、周辺の疎水性有機化合物の存在により、電気的ストレスを像担持体表面へ、直接負荷させることが防止される。代わりに、像担持体保護剤の一部は、電気的ストレス曝され劣化し、部分的に親水性となるが、余剰に存在する、適度なHLB値を持つ両親媒性有機化合物と共に逆ミセルに類する形態となって、疎水性有機化合物中に分散するため、保護層による像担持体の保護効果と劣化した像担持体用保護剤の除去性を両立させることが可能となる。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるクリーニングブレードの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、1〜15mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばPFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
なお、撓みの程度を調整するため、前記可撓性のブラシ繊維の材料に、例えばジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合させてもよい。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、保護層形成工程と、定着工程とを少なくとも含み、好ましくはクリーニング工程を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、保護層形成手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、好ましくはクリーニング手段を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
−像担持体−
前記像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。なお、前記像担持体としては、感光体及び中間転写体のいずれであっても構わない。
前記ドラム状の支持体としては、直径が20〜150mmが好ましく、24〜100mmがより好ましく、28〜70mmが更に好ましい。前記ドラム状の支持体の直径が20mm未満であると、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に困難となることがあり、150mmを超えると、画像形成装置が大きくなってしまうことがある。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。また、特開昭52−36016号公報に開示されているようなエンドレスニッケルベルト、又はエンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
前記白色顔料としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、これらの中でも、導電性支持体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンが特に好ましい。
前記樹脂としては、例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂;アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%が好ましい。
また、前記感光層中にはレベリング剤を添加しても構わない。該レベリング剤としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、又はオリゴマーが使用される。前記レベリング剤の使用量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、0〜1質量部が好ましい。
このような電荷輸送能力を有するアクリル樹脂は、上記構造式(i)の基を有する不飽和カルボン酸を重合させることにより機械的強度が高く、透明性にも優れ、電荷輸送能力も高い表面層を形成することができる。また、単官能の上記構造式(i)の基を有する不飽和カルボン酸に多官能の不飽和カルボン酸、好ましくは3官能以上の不飽和カルボン酸を混合することで、アクリル樹脂は架橋構造を形成し、熱硬化性高分子となり、表面層の機械的強度は極めて高いものとなる。前記多官能の不飽和カルボン酸には、上記構造式(i)の基を付加してもよいが、モノマーの製造コストが高くなってしまうため、多官能の不飽和カルボン酸には、上記構造式(i)の基を付加せず、光硬化性多官能モノマーを用いることが好ましい。
前記構造式(ii)及び構造式(iii)において、Ar1及びAr2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
前記構造式(ii)及び構造式(iii)において、Ar3及びAr4は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
前記構造式(ii)及び構造式(iii)において、Xは、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は置換基を有していてもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
前記構造式(ii)及び構造式(iii)において、Zは、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルキレンエーテル2価基、又は置換基を有していてもよいアルキレンオキシカルボニル2価基を表す。
m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。
前記構造式(ii)及び構造式(iii)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などにより置換されていてもよい。これらR1の置換基のうち、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
前記縮合多環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものが好ましく、例えばペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などが挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、例えばベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基;ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基;9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えばカルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基などが挙げられる。
前記最表面層にアクリル樹脂を用いる場合には、上記不飽和カルボン酸を感光体に塗工後、電子線照射あるいは、紫外線等の活性光線を照射してラジカル重合を生じさせ、表面層を形成することができる。活性光線によるラジカル重合を行う場合には、不飽和カルボン酸に光重合開始剤を溶解したものを用いる。光重合開始剤としては、特に制限はなく、光硬化性塗料に通常用いられる材料の中から適宜選択することができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段を有するものが好ましい。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記トナーは、下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が0.93〜1.00のものが好ましく、0.95〜0.99がより好ましい。この平均円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長)
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
また、前記トナーは、質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は1.00〜1.40が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(D4/D1)が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味し、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。また、トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの質量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
前記ジオール(1−1)としては、例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
前記ジカルボン酸(2−1)としては、例えばアルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が特に好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル(i)の質量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記質量平均分子量が1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
また、ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記質量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステル(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が20,000を超えると、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
従って、(i)のポリエステル成分と(ii)の変性されていないポリエステルは類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。前記(i)の質量比が5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記(ii)の変性されていないポリエステルの水酸基価は5mgKOH/g以上が好ましく、10〜120mgKOH/gがより好ましく、20〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記(ii)の変性されていないポリエステルの酸価は1〜30mgKOH/gが好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
前記結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cm2となる温度(TG’)が、100℃以上が好ましく、110〜200℃がより好ましい。前記温度(TG’)が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1,000ポイズとなる温度(Tη)が、180℃以下が好ましく、90〜160℃がより好ましい。前記温度(Tη)が、180℃を超えると、低温定着性が悪化する。即ち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。なお、差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
まず、前記ポリオール(1)と、前記ポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。更に(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
使用可能な溶剤としては、例えば芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。
なお、ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
前記トナーは、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成してもよいし、予め製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下、トナー原料と称することもある)、着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分間である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(いずれも、旭硝子株式会社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(いずれも、住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(いずれも、ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(いずれも、ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(いずても、株式会社ネオス製)等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。
前記プレポリマー(A)100質量部に対する溶剤の使用量は、0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がより好ましく、25〜70質量部が更に好ましい。溶剤を使用した場合は、伸長及び/又は架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し除去する。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、不要の微粒子又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層よくなる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックス等);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが特に好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えばポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミド等);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド等);ジアルキルケトン(ジステアリルケトン等)などが挙げられる。これらの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記離型剤の溶融粘度は、融点より20℃高い温度で、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が乏しくなることがある。
前記離型剤の前記トナー中における含有量は、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(いずれも、日本カーリット株式会社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
前記ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーが用いられ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は20〜500m2/gが好ましい。前記無機微粒子の前記トナーにおける添加量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
−中間転写体−
前記中間転写体としては、体積抵抗1.0×105〜1.0×1011Ω・cmの導電性を示すものが好ましい。前記体積抵抗が1.0×105Ω・cmを下回る場合には、感光体から中間転写体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、1.0×1011Ω・cmを上回る場合には、中間転写体から紙などの記録媒体へトナー像を転写した後に、中間転写体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
中間転写体に表面層を設ける際には、上述の感光体表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記保護層形成工程は、転写後の前記像担持体表面に本発明の前記像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する工程である。
前記保護層形成手段としては、上述した、本発明の保護層形成装置を用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を前記定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング手段は、転写手段より下流側かつ保護層形成手段より上流側に設けられることが好ましい。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ドラム状の像担持体1Y,1M,1C,1Kの周囲に、それぞれ保護層形成装置2、帯電装置3、潜像形成装置8、現像装置5、転写装置6、及びクリーニング装置4が配置され、以下の動作で画像形成が行われる。
有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される像担持体は、除電ランプ(不図示)等で除電され、帯電部材を有する帯電装置3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置による像担持体の帯電が行われる際には、電圧印加機構(不図示)から帯電部材に、像担持体1Y,1M,1C,1Kを所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された像担持体1Y,1M,1C,1Kは、レーザー光学系等の潜像形成装置8によって照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体1Y,1M,1C,1Kの表面を、像担持体の回転軸方向に走査する。
このようにして形成された潜像が、現像装置5にある現像剤担持体である現像スリーブ上に供給されたトナー粒子、又はトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(不図示)から現像スリーブに、像担持体1Y,1M,1C,1Kの露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
このとき、転写装置6には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写体60は、像担持体から分離され、転写像が得られる。
また、像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材によって、クリーニング装置4内のトナー回収室へ、回収される。
画像形成装置としては、上述の現像装置が複数配置されたものを用い、複数の現像装置によって順次作製された色が異なる複数トナー像を順次記録媒体上へ転写した後、定着機構へ送り、熱等によってトナーを定着する装置であっても、あるいは同様に作製された複数のトナー像を順次一旦中間転写体上に順次転写した後、これを一括して記録媒体に転写後に、同様に定着する装置であってもよい。
このような像担持体表面に接触又は近接して帯電を行う帯電装置では、放電が像担持体表面近傍の領域で行われるため、像担持体への電気的ストレスが大きくなりがちである。しかし、本発明の像担持体用保護剤を用いた保護層形成装置を用いることにより、長期間に渡り像担持体を劣化させることなく維持できるため、経時的な画像の変動や使用環境による画像の変動を大幅に抑制でき、安定した画像品質の確保が可能となる。
本発明のプロセスカートリッジは、像担持体と、本発明の前記保護層形成手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、上述した本発明の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
前記プロセスカートリッジは、像担持体1である感光体ドラム1に対向して配設された保護層形成装置2は、像担持体用保護剤21、保護剤供給部材22、押圧力付与部材23、保護層形成部材24等から構成される。
また、像担持体1は、転写工程後に部分的に劣化した像担持体用保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。
図3では、クリーニング部材は、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で像担持体に当接されている。
クリーニング機構により、表面の残留トナーや劣化した像担持体用保護剤が取り除かれた像担持体表面へは、保護剤供給部材22から、像担持体用保護剤21が供給され、保護層形成部材24により皮膜状の保護層が形成される。この際、像担持体表面のうち電気的ストレスにより親水性が高くなっている部分に対して、本発明で使用する像担持体用保護剤は、より良好な吸着性を持つため、一時的に大きな電気的ストレスが掛かり、像担持体表面が部分的に劣化をし始めても、保護剤の吸着により像担持体自身の劣化の進行を防ぐことができる。
このようにして保護層が形成された像担持体は、帯電後、レーザー等の露光Lによって静電線像が形成され、現像装置5により現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写ローラ6などにより、記録媒体7へ転写される。
−像担持体用保護剤1の作製−
表1及び表2に示す保護剤処方1の組成物を、蓋付きのガラス製容器内に入れ、120℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め85℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型内を満たすように、溶融した保護剤処方1の組成物を流し込み、50℃まで室温雰囲気下で放冷後、温度設定をした恒温槽にて60℃まで再加熱して、その温度で20分間保持し、その後、室温まで放冷した。
冷却後、保護剤処方1の固形物を金型から外し、7mm×8mm×310mmに切削成形して、金属製支持体に両面テープで貼り付け、像担持体用保護剤1を作製した。
−像担持体用保護剤2〜33の作製−
実施例1において、保護剤の原材料、溶融温度、型予熱温度、及び冷却条件として、表1〜表4に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして、像担持体用保護剤2〜33を作製した。
<吸熱ピーク温度の測定>
各像担持体用保護剤の吸熱ピークを示差熱分析計(DSC−60、島津製作所製)を用いて測定した。
サンプルは、各像担持体用保護剤の一部を削り取り、小数点以下4桁の精密電子天秤を用い、約10mgを精秤して、蓋付きのアルミニウム容器(サンプルパン)へ封入して用いた。測定は、窒素気流雰囲気中で、昇温速度は5℃/minとし、室温から150℃までの、昇温時の示差熱プロフィールを採取して、吸熱のピーク値温度を計測し、測定値とした。
表面に熱硬化性樹脂(熱ラジカル反応型多官能アクリル樹脂)を含む厚み5μmの表面層を有する像担持体(感光体)の周りに、転写工程に引き続き、カウンタータイプのクリーニングブレード、ブラシ状の保護剤供給部材、トレーリングブレードタイプの保護層形成部材を、上流からこの順で設け、実施例1の像担持体用保護剤1を用いた保護層形成装置を有するプロセスカートリッジを作製した。
得られたプロセスカートリッジを、該プロセスカートリッジが搭載可能なように改造した画像形成装置(株式会社リコー製、カラーMFP imagio Neo C600)に搭載し、A4サイズ版、画像面積率6%原稿10万枚の連続画像出図試験を行った。試験前後における画像の異常の有無を、20℃、50%RHの常温常湿環境下、10℃、25%RHの低温低湿環境下、及び35℃、80%RHの高温高湿環境下にて確認した。
この時、トナーとしては、質量平均粒径(D4)=5.2μm、個数平均粒径(D1)=4.5μm、D4/D1=1.16、平均円形度=0.98の重合法により作製したトナーを用いた。
画像の異常としては、クリーニング性能の良否に関係する、スジ状の画像欠陥、ハーフトーン画像ムラ、地肌部のカブリ、及び画像ボケについて、以下の基準により評価した。
◎:極めて優れている
○:実用上問題ないレベル
△:実用上許容できるレベル
×:使用不可
◎:極めて優れている
○:実用上問題ないレベル
△:実用上許容できるレベル
×:使用不可
◎:極めて優れている
○:実用上問題ないレベル
△:実用上許容できるレベル
×:使用不可
◎:極めて優れている
○:実用上問題ないレベル
△:実用上許容できるレベル
×:使用不可
<各部材の状態の評価基準>
○:初期と同等レベル
△:やや変化している(実使用可能レベル)
×:劣化している
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
なお、実施例27の画像形成装置について、引き続いて、合計50万枚まで、通紙試験を行ったところ、画像への影響は全く見られず、また、像担持体、クリーニング部材、及び帯電部材の劣化もほとんど認められなかった。
実施例27において、像担持体用保護剤1を像担持体用保護剤2〜26に変えた以外は、実施例27と同様にして評価を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
なお、実施例28の画像形成装置について、引き続いて、合計50万枚まで、通紙試験を行ったところ、画像への影響は全く見られず、また、像担持体、クリーニング部材、及び帯電部材の劣化もほとんど認められなかった。
実施例27において、像担持体用保護剤1の代わりに像担持体用保護剤27〜33を用いた以外は、実施例27と同様にして評価を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
表面に熱硬化性樹脂(熱ラジカル反応型多官能アクリル樹脂)を含む厚み5μmの表面層を有する像担持体の周りに、転写工程に引き続き、ブラシ状の保護剤供給部材、カウンタータイプのクリーニングブレード兼用となる保護層形成部材を、上流からこの順で設け、実施例1の像担持体用保護剤1を用いた保護層形成装置を有するプロセスカートリッジを作製した。
上記プロセスカートリッジが搭載可能なように改造した画像形成装置(株式会社リコー製、カラーMFP imagio Neo C455)に搭載し、A4サイズ版、画像面積率6%原稿10万枚の連続画像出図試験を行い、試験前後における画像の異常の有無を確認した。
画像の異常としては、実施例27と同様にしてクリーニング性能の良否に関係する、スジ状の画像欠陥、ハーフトーン画像ムラ、地肌部のカブリ、及び画像ボケを評価した。
また、実施例27と同様にして、像担持体、クリーニングブレード及び帯電部材の劣化が画像へ及ぼす影響の大きさを評価するため、初期、及び10万枚時点でのそれぞれの状態を観察し、異常の有無を確認した。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
実施例27において、保護剤供給部材を取り外して保護剤を直接像担持体へ押圧することにより供給するように変更した以外は、実施例27と同様にして、試験を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
実施例27において、像担持体として表面層に熱硬化性樹脂(熱ラジカル反応型多官能アクリル樹脂)を含まない像担持体を用いた以外は、実施例27と同様にして、試験を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
実施例27において、トナーとして、質量平均粒径(D4)=6.0μm、個数平均粒径(D1)=5.3μm、D4/D1=1.13、平均円形度=0.90の重合法により作製したトナーを用いた以外は、実施例27と同様にして、試験を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
実施例27において、トナーとして、質量平均粒径(D4)=5.4μm、個数平均粒径(D1)=3.5μm、D4/D1=1.54、平均円形度=0.98の重合法により作製したトナーを用いた以外は、実施例27と同様にして、試験を行った。
各画質評価結果については表5〜表10に示し、部材劣化状態の観察結果については表11に示す。
実施例27及び実施例35のように吸熱ピーク温度が50〜120℃に存在する保護剤1や保護剤9と比較して、吸熱ピーク温度が50〜120℃の範囲に存在しない実施例36(保護剤10)、及び実施例37(保護剤11)では、常温常湿環境下では画像への影響はほとんど認められないものの、低温低湿環境下又は高温高湿環境下で増担持体保護剤の塗布状態に僅かなムラが認められ、これに伴う、ハーフトーン画像のごく僅かなムラが認められた。
実施例27(保護剤1)と、疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物の含有率が異なる実施例40(保護剤14)、及び実施例41(保護剤15)との対比より、疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物の含有率が低下するに伴って、像担持体用保護剤としての性能は徐々に低下し、その含有率が75質量%を下回ると、像担持体を電気的ストレスから保護する効果を除き、画像品質面で著しく急激な性能の低下が認められた。
疎水性有機化合物としてノルマルパラフィンを含まない実施例43(保護剤17)と、疎水性有機化合物がノルマルパラフィンであり、他の構成が同じ実施例27(保護剤1)と対比したところ、高温高湿環境下において、僅かにハーフトーン画像ボケが認められ、保護剤劣化成分の除去性が僅かに劣ることが確認された。
分岐構造の親油基を持つ両親媒性有機化合物を有する実施例45(保護剤19)と、両親媒性有機化合物の親油基が直鎖アルキルであり、他の構成が同じ実施例27(保護剤1)と対比したところ、像担持体の表層磨耗量が僅かに大きくなり、像担持体の保護効果が僅かに劣ることが確認された。
2 保護層形成装置
3 帯電ローラ
4 クリーニング機構
5 現像装置
6 転写ローラ
8 潜像形成装置
21 像担持体用保護剤
22 保護剤供給部材
23 押圧力付与部材
24 保護層形成部材
41 クリーニング部材
42 クリーニング押圧部材
60 中間転写体
100 画像形成装置
200 給紙機構
L 露光
Claims (25)
- 少なくとも、疎水性有機化合物、及び両親媒性有機化合物を含有し、前記疎水性有機化合物が炭化水素ワックスであり、かつ前記炭化水素ワックスがノルマルパラフィン、イソパラフィン、及びシクロパラフィンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする像担持体用保護剤。
- 疎水性有機化合物がノルマルパラフィンを含有する請求項1に記載の像担持体用保護剤。
- 疎水性有機化合物の重量平均分子量(Mw)が350〜850である請求項1から2のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 両親媒性有機化合物が、非イオン系界面活性剤を含有する請求項1から3のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 非イオン系界面活性剤が、下記構造式(1)で表されるアルキルカルボン酸と、多価アルコール類とのエステル化物である請求項4に記載の像担持体用保護剤。
C n H 2n+1 COOH ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、nは15〜35の整数を示す。 - アルキルカルボン酸が、直鎖状アルキルカルボン酸である請求項5に記載の像担持体用保護剤。
- 両親媒性有機化合物のHLB値が1.0〜6.5である請求項1から6のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 疎水性有機化合物(A)と、両親媒性有機化合物(B)との混合質量比〔(A)/(B)〕が、10/90〜97/3である請求項1から7のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 疎水性有機化合物及び両親媒性有機化合物の合計含有量が、像担持体用保護剤の総質量の75〜100質量%である請求項1から8のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 像担持体用保護剤が、50〜130℃の範囲に少なくとも1つの吸熱ピーク温度を有する請求項1から9のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 像担持体用保護剤が40〜70℃の範囲と、80〜130℃の範囲とに少なくとも1つずつの吸熱ピーク温度を有する請求項1から10のいずれかに記載の像担持体用保護剤。
- 請求項1から11のいずれかに記載の像担持体用保護剤を製造する方法であって、
溶融した像担持体用保護剤を金型内に注入し、該像担持体用保護剤の相転移温度以下の温度まで冷却した後、該像担持体用保護剤の相転移温度まで再加熱することを特徴とする像担持体用保護剤の製造方法。 - 像担持体と、該像担持体表面に請求項1から11のいずれかに記載の像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成手段を有することを特徴とする保護層形成装置。
- 保護層形成手段が、像担持体用保護剤を押圧して保護剤供給部材に当接させる押圧力付与部材と、像担持体表面に像担持体用保護剤を供給する保護剤供給部材と、供給された像担持体用保護剤を薄層化して保護層を形成する保護層形成部材とを有する請求項13に記載の保護層形成装置。
- 像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、転写後の前記像担持体表面に請求項1から11のいずれかに記載の像担持体用保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法。
- 像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する
転写手段と、請求項13から14のいずれかに記載の保護層形成装置が有する保護層形成手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。 - 転写手段より下流側かつ保護層形成手段より上流側に、像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する請求項16に記載の画像形成装置。
- 像担持体は、最表面層が少なくとも熱硬化性樹脂を含有する請求項16から17のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体が、感光体及び中間転写体のいずれかである請求項16から18のいずれかに記載の画像形成装置。
- 静電潜像形成手段が、像担持体表面に接触乃至近接して配設された帯電器を有する請求項16から19のいずれかに記載の画像形成装置。
- 帯電器が、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段を有する請求項20に記載の画像形成装置。
- トナーの下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が、0.93〜1.00である請求項16から21のいずれかに記載の画像形成装置。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長) - トナーの質量平均粒径(D 4 )と個数平均粒径(D 1 )との比(D 4 /D 1 )が1.00〜1.40である請求項16から22のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体と、請求項13から14のいずれかに記載の保護層形成装置が有する保護層形成手段とを少なくとも有してなり、画像形成装置本体と着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 保護層形成手段より上流側に、像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する請求項24に記載のプロセスカートリッジ。
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