JP5069763B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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近年では、加速度センサやヨーレートセンサ、ブレーキスイッチ等の車両状態検出手段によって車両の状態を検出し、車両の状態に応じてウェビングを電動モータによって引き込むシートベルト装置が案出されている。
この場合、電動モータが標準制御手段で制御されているときに、車両状態検出手段からの信号の異常が異常検出手段によって検出されると、その信号異常が故障によるものであるか否かが故障検証手段によって検証される。この故障検証手段による検証の間は、電動モータの制御は標準制御手段による制御から保持制御手段による制御に切り換えられる。この間、ウェビングは電動モータによって積極的に引き込まれなくなるものの、リールと電動モータがクラッチを介して接続されることから、ウェビングの引き出しに対して抵抗を付与することになる。また、故障検証手段で故障が検証された後には、緊急状態であってもその状態が終了しているはずの所定時間の経過を待ってクラッチが遮断される。
この場合、電動モータが標準制御手段で制御されているときに、巻取り量検出手段の信号異常が第2の異常検出手段によって検出されると、バックルスイッチを通してタングプレートとバックルの係合状態が判定される。バックルスイッチが係合状態を検出した場合には、電動モータの制御が第1の漸近制御手段による制御に切り換えられ、電動モータが比較的大きい第1の固定指令値に漸近するように制御される。また、バックルスイッチが非係合状態を検出した場合には、電動モータの制御が第2の漸近制御手段による制御に切り換えられ、電動モータが第1の固定指令値よりも小さい第2の固定指令値に漸近するように制御される。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に係合することにより、乗員3の胸部や腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、車両の挙動が不安定になったとき等に電動モータ10によって自動的にウェビング5の巻取りを実行する。
この場合、リール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、リール12の回転量(回転位置)や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってリール12の回転量(ウェビング5の巻取り量・引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってリール12の回転方向を検出する。
動力伝達機構13は、サンギヤ14が駆動入力用の外歯15に一体に結合されるとともに、複数のプラネタリギヤ16を支持するキャリア17がリール12の軸に結合されている。そして、プラネタリギヤ16に噛合したリングギヤ18の外周側には複数のラチェット歯(図示省略)が形成され、このラチェット歯がクラッチ20の一部を構成するようになっている。このクラッチ20は、コントローラ21による電動モータ10の駆動力の制御によって電動モータ10とリール12の間の動力伝達系を適宜断切する。
なお、この実施形態においては、前後加速度センサ30、横加速度センサ31、ヨーレートセンサ32等の各種のセンサと、車内通信網を通して情報を送信するVSAシステム34等の他のシステムが車両の状態を検出する車両状態検出手段として機能している。
電動モータ10が標準制御手段52によって制御されているときに、異常検出手段50によってコントローラ21の入力系の信号異常(車両状態検出用の信号の異常)が検出された場合には、コントローラ21は、故障検証手段51による故障の検証を開始すると同時に、電動モータ10の制御を標準制御手段52による制御から保持制御手段53による制御に切り換える。また、コントローラ21は、故障検証手段51で故障が検証された後には、保持制御手段53による電動モータ10の制御を所定時間(緊急時であっても、緊急状態が終了するはずの所定時間)継続し、その後にクラッチ20を遮断するように電動モータ10を制御する。
図4のステップS101においては、各種のセンサからの入力信号を基にして緊急状態であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS102に進み、Noの場合にはリターンする。ステップS102においては、標準制御手段52によって電動モータ10の制御を開始し、つづく、ステップS103においては、異常検出手段50と第2の異常検出手段54によって入力側の信号異常があるか否かを判定する。このとき、Yesの場合には、ステップS104に進み、Noの場合には、ステップS105へと進む。
ステップS108においては、電動モータ10の制御を標準制御手段52による制御から保持制御手段53による制御に切り換え、さらに、つづくステップS109において、故障検証手段51による故障の検証を実行する。ステップS110においては、故障検証手段51による検証を終了したか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS111に進み、Noの場合には、保持制御手段53による制御と故障の検証を継続する。
そして、検証を終了してステップS111に進んだ場合には、保持制御手段53による電動モータ10の制御をさらに所定時間継続し、その後にステップS107に進んで解除処理を行う。
同図のステップS201においては、車両状態を検出するセンサ類から所定周期(例えば、周期10ms)で送られる信号パケットの内容を調べ、その内容の前回値と今回値が等しいか否かを判定する。ここで、Yesの場合、つまり内容に変化がない場合には、ステップS202に進み、Noの場合、つまり内容に変化があった場合には、ステップS203へと進む。
ステップS203では、故障カウンタをクリアしてリターンする。このとき、故障カウンタのカウンタ値は例えば「0」のままに維持され、増加しない。
ステップS202では、故障カウンタの値をインクリメントし、つづくステップS204においては、故障カウンタのカウンタ値が規定値以上、例えば「100」以上であるか否かを判定する。このとき、Yesの場合には、ステップS205に進んで故障を確定し、Noの場合には、リターンする。つまり、信号パケットの内容が所定時間以上変化しない場合には、ステップS205において故障を確定する。
なお、上記の処理は、予め決められた時間を上限時間として実行する。上限時間を越えても故障が確定されないときには、故障がないものと確定する。
同図のステップS301においては、バックルスイッチ33がONであるか否かを判定し、ここでYesの場合、つまり、タングプレート8がバックル9に係合されている場合には、ステップS302に進み、Noの場合、つまりタングプレート8の係合が外れている場合には、ステップS303へと進む。
ステップS304では、電動モータ10の電流指令値がさらに第1の固定指令値D1と等しいか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS306に進み、Noの場合には、ステップS307へと進む。
ステップS302とステップS304では、電流指令値が第1の固定指令値D1に対して大きい場合(ステップS305)、等しい場合(ステップS306)、小さい場合(ステップS307)の各場合に振り分ける。
ステップS306では、電動モータ10の電流指令値が第1の固定指令値D1であるため、現状の通電を継続し、ステップS305では、第1の固定指令値D1に近づくように電流指令値をデクメントし、ステップS307では、第1の固定指令値D1に近づくように電流指令値をインクリメントする。つまり、ステップS305〜S307においては、電流指令値が第1の固定指令値D1に次第に近づくように電動モータ10の通電を制御する。
ステップS308では、電動モータ10の電流指令値がさらに第2の固定指令値D2と等しいか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS310に進み、Noの場合には、ステップS311へと進む。
ステップS303とステップS308では、電流指令値が第2の固定指令値D2に対して大きい場合(ステップS309)、等しい場合(ステップS310)、小さい場合(ステップS311)の各場合に振り分け、ステップS310では、現状の通電を継続し、ステップS309では、第2の固定指令値D2に近づくように電流指令値をデクリメントし、ステップS311では、第2の固定指令値D2に近づくように電流指令値をインクリメントする。ここでは、電流指令値が第2の固定指令値D2に次第に近づくように電動モータ10の通電を制御する。
すなわち、このシートベルト装置1においては、タングプレート8とバックル9が係合しているときには、乗員3をウェビング5によって拘束する必要があるために、第1の漸近制御手段55によって比較的大きい第1の固定指令値D1に電流指令値を近づけ、タングプレート8とバックル9の係合が解除されているときには、単純にウェビング5を巻き取るだけであるために、第2の漸近制御手段56によって比較的小さい第2の固定指令値D2に電流指令値を近づけることができる。
8…タングプレート
9…バックル
10…電動モータ
11…回転センサ(巻取り量検出手段)
12…リール
20…クラッチ
21…コントローラ(制御装置)
30…前後加速度センサ(車両状態検出手段)
31…横加速度センサ(車両状態検出手段)
32…ヨーレートセンサ(車両状態検出手段)
33…バックルスイッチ
50…異常検出手段
51…故障検証手段
52…標準制御手段
53…保持制御手段
54…第2の異常検出手段
55…第1の漸近制御手段
56…第2の漸近制御手段
Claims (2)
- ウェビングが巻回されるリールと、
前記リールに駆動力を伝達する電動モータと、
前記電動モータのウェビング巻き取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記電動モータとリールを接続状態に維持するクラッチと、
車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記車両状態検出手段で検出される車両の状態に応じて前記電動モータを制御する制御装置と、
を備えたシートベルト装置であって、
前記車両状態検出手段からの信号異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段で信号異常が検出されたときに、故障によるものか否か検証する故障検証手段と、が設けられ、
前記制御装置は、
車両の状態に応じて前記電動モータを制御する標準制御手段と、
前記ウェビングを巻き取らずに前記クラッチを接続状態に維持するように前記電動モータを制御する保持制御手段を備え、
前記電動モータが標準制御手段によって制御されているときに、前記異常検出手段によって信号異常が検出された場合に、前記故障検証手段による検証が終了するまでの間、前記保持制御手段による電動モータの制御に切り換え、
前記故障検証手段で故障が検証された後には、所定時間の経過を待って前記クラッチを遮断することを特徴とするシートベルト装置。 - 前記リールのウェビング巻取り量を検出する巻取り量検出手段と、
タングプレートがバックルに係合されていることを検出するバックルスイッチと、
が設けられ、
前記制御装置は、さらに、
前記巻取り量検出手段の信号異常を検出する第2の異常検出手段と、
前記電動モータの電流指令値を第1の固定指令値に漸近させる第1の漸近制御手段と、
前記電動モータの電流指令値を前記第1の固定指令値よりも小さい第2の固定指令値に漸近させる第2の漸近制御手段と、
を備え、
前記電動モータが標準制御手段によって制御されているときに、前記第2の異常検出手段によって信号異常が検出された場合に、
前記バックルスイッチが係合状態を検出したときには、前記第1の漸近制御手段による電動モータの制御に切り換え、
前記バックルスイッチが非係合状態を検出したときには、前記第2の漸近制御手段による電動モータの制御に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
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