JP5066117B2 - 淡水製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

この発明は、海水や汚水等の被処理水から淡水を製造する方法及び装置に関する。
海水の淡水化方法として、主に逆浸透圧法や蒸発法が知られている。
逆浸透圧法は、海水を加圧し逆浸透圧膜によって水分のみを抽出するものである。例えば、特許文献1では、逆浸透圧膜で水分抽出後の海水の流体圧エネルギーを回収し、回収したエネルギーを別の淡水化用海水の加圧に用いている。
蒸発法は、熱エネルギーを利用して海水を蒸発させ、その蒸気を凝縮させるものである。例えば特許文献2では、海水を給水タンクから太陽熱パネルに送って加熱し、次いで蒸発タンクに送って蒸発させる。蒸発した蒸気を上記給水タンク内の凝縮パイプに通す。これにより、凝縮パイプ内の蒸気と給水タンク内の海水とが凝縮パイプの管壁を介して熱交換し、蒸気が凝縮して淡水が得られる。
また、近年、疎水性の膜を利用した膜蒸留法による淡水化装置が開発されている(非特許文献1、2等)。この装置は、互いに対向流を構成する凝縮路と蒸発路の間に蒸留路を設け、蒸発路と蒸留路を疎水性膜にて隔てている。塩水を、凝縮路に通し、太陽熱集熱器を経て高温にし、蒸発路に通す。疎水性膜の両側には温度差により分圧差が生じ、この分圧差により蒸発路内の塩水の水分が蒸発して疎水性膜を透過し、蒸留路から取り出される。
特開2004−081913号公報 特開2001−070929号公報
Joachim Koschikowski等「Solar thermal-driven desalination plants based on membrane distillation」Elsevier、Desalination Vol.156 (2003) Hassan E.S.Fath等「PV and thermally small-scale, stand-alone solar desalination systems with very low maintenance needs」Elsevier、Desalination Vol.225 (2008)
従来の逆浸透圧法では、海水を高圧にするため、大きな力学エネルギーを必要としている。海水の圧力は、例えば約5.2MPaに達する。しかし、海水を初期濃度の3.5%から6%以上に濃縮するのは困難である。即ち、海水の利用効率は50%以下である。また、海水を淡水化装置まで輸送するのにコストがかかる。海水の利用効率が低いと益々コストがかかる。したがって、淡水化装置を海岸近辺に設置せざるを得ない。海水の利用効率を追求すれば逆浸透圧を10MPa超にする必要がある。ちなみに、海水を初期濃度の3.5%から約10%にする(海水の約2/3を淡水化する)には67MPaの圧力が必要となる。このような高圧に耐える逆浸透圧膜が必要となり、設備費も増大する。
蒸発法は、水の潜熱が極めて大きいため(570cal/cc)、大きな熱エネルギーを必要とする。
例えば、25℃の源海水を60℃まで加熱して水を蒸発させ、次いで凝縮させて淡水(出力水)を得たとする。蒸発に要した熱を凝縮時に回収することにし、水が蒸発した後の廃棄濃縮海水と出力水を源海水より5℃高い30℃にして排出したとする。(廃棄濃縮海水及び出力水を源海水の温度まで下げることは不可能である。)すると、1Lの水の生成に必要なエネルギーは340kJにもなる。また、1ccの淡水を得るのに16.3ccの海水が必要になる。したがって、上記逆浸透圧法と同様に、淡水化装置を海岸近辺に設置せざるを得ない。膜蒸留法でも所要熱量が大きい。
本発明方法は、被処理水から淡水を製造する方法であって、
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液を相対的に高温にして、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解工程と、
被処理水を第1半透膜の一方の面に接触させるとともに、前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を前記相対的に高温の状態で前記第1半透膜の他方の面に接触させ、被処理水の水分を前記第1半透膜を介して仲介溶液に吸収させる水分吸収工程と、
前記水分吸収工程後の仲介溶液を相対的に低温にし、前記仲介溶質を析出させる析出工程と、
前記析出工程後の仲介溶液を第2半透膜に、仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な液圧にて接触させる水分放出工程と、
を備えたことを特徴とする。
前記仲介溶液を高温にすることで、溶解度を高め、高濃度かつ高浸透圧の仲介溶液を得ることができる。この高濃度かつ高浸透圧の仲介溶液を第1半透膜を介して被処理水と接触させる。これにより、被処理水の水分が第1半透膜を透過して仲介溶液に吸収される。水分吸収後の仲介溶液の温度を下げていくと、仲介溶質が析出する。析出により仲介溶液が低濃度かつ低浸透圧になる。これにより、仲介溶液の液圧が比較的低くても、仲介溶液の水分を第2半透膜から容易に搾り出すことができ、淡水を生成することができる。第2半透膜に要求される耐圧性を低減でき、設備コストを削減できる。
仲介溶質の溶解熱は、水の潜熱と比べ、極めて小さい。例えば、仲介溶質としてカリウムミョウバンを用いた場合、その溶解熱は、生成水一リットル当たり、30kJ/L=7.3cal/cc程度であり、水の潜熱の80分の1である。水(仲介溶液の溶媒)の顕熱を考慮しても70kJ/L程度であり、水の潜熱の数十分の1である。したがって、所要の熱量を従来の蒸発法等より大幅に低減できる。
前記溶解工程では、前記析出工程で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を昇温して前記析出体を溶解させ、前記水分吸収工程用の仲介溶液を得、
前記溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を閉鎖系内で循環的に行なうことが好ましい(図2〜図12参照)。
これにより、仲介溶質を閉鎖系に閉じ込めて繰り返し使用し、淡水を連続的に生産できる。系外から仲介溶質を補充する必要がない。水分は、第1半透膜を介して閉鎖系に入り、第2半透膜を介して閉鎖系から放出される。
前記水分放出工程における仲介溶液を、他の工程における仲介溶液より高圧にしてもよい(図1、図2参照)。
水分吸収工程では、仲介溶液を高圧にせず、被処理水と仲介溶液の圧力差が形成されないようにすることができる。したがって、第1半透膜の耐久性を十分に確保できる。水分放出工程における仲介溶液は低浸透圧にできる。したがって、海水等の被処理水を直接第2半透膜に圧し当てて水分を搾り出す従来の逆浸透圧法よりも、加圧力を低くできる。これにより、仲介溶液の水分を第2半透膜から確実に搾り出すことができる。また、水分吸収工程を行う部分を高圧にしなくてもよく、析出工程を行う部分を高圧にしなくてもよく、溶解工程を行う部分を高圧にしなくてもよい。
前記閉鎖系全体の内圧を、前記水分放出工程における前記液圧とほぼ等しくすることが好ましい(図3〜図12参照)。
水分吸収工程における水分吸収によって閉鎖系内を高圧にすることができる。これにより、水分放出工程における所要の液圧を得ることができ、仲介溶液の水分を第2半透膜を介して放出させることができる。
前記析出工程で析出させた仲介溶質の析出体を前記水分放出工程に供される仲介溶液から分離する分離工程、を更に備えることが好ましい(図1、図2、図5、図9参照)。
水分放出工程に用いる第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。
前記析出工程で析出させた仲介溶質の析出体を前記水分放出工程に供される仲介溶液から分離する分離工程と、分離した前記析出体を前記水分放出工程後の仲介溶液と混合して前記溶解工程に供する混合工程と、を更に備えることが好ましい(図2、図5、図9参照)。
析出体を、水分放出工程を経ずに混合工程に供することができる。よって、水分放出工程に用いる第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。析出体を混合工程を経て溶解工程に供することで、仲介溶質を閉鎖系内で循環させることができ、淡水を連続的に生産できる。
前記析出体を分離した後の仲介溶液を加熱して前記水分放出工程を行なうことが好ましい(図2、図10参照)。
これによって、析出体分離後の仲介溶液を不飽和にでき、水分放出時に仲介溶質が析出するのを防止できる。仲介溶液の加熱は、析出体の分離後、水分放出工程前の期間に行なってもよく、水分放出工程中に行なってもよい。
仲介溶液を容れた容器を用意し、前記容器内の下側部分の仲介溶液を相対的に高温にして前記溶解工程及び水分吸収工程に用い、前記容器内の上側部分の仲介溶液を相対的に低温にして前記析出工程及び水分放出工程に用いることにしてもよい(図3、図9参照)。
容器の下側部分の仲介溶液を高温にすることで高浸透圧にできる。この高浸透圧の仲介溶液によって被処理水の水分を吸収することができる。容器の上側部分の仲介溶液を低温にすることで、仲介溶質を析出させ、仲介溶液の浸透圧を低下させることができる。この低浸透圧の仲介溶液から水分を放出させることができる。析出体は容器の仲介溶液内を下降し、容器の下側の高温部分へ向かう。これにより、析出体を溶解させ、上記水分吸収に用いることができる。
容器は閉鎖系の一要素を構成する。容器は、耐圧性を有する圧力容器であることが好ましい。
前記容器内の下側部分から仲介溶液を前記容器の外に導出し、前記容器の外部において前記水分吸収工程を行なった後、前記仲介溶液を前記溶液内に戻すことが好ましい(図9参照)。
容器の下側部分の高温の仲介溶液が、容器内と容器外の水分吸収工程を行なう部分との間を循環する。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。これにより、水分吸収工程を行なう部分ひいては第1半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。
前記容器及び容器外の水分吸収工程を行なう部分は、前記閉鎖系に含まれることが好ましい。
前記容器内の上側部分から仲介溶液を前記容器の外に導出し、前記容器の外部において前記水分放出工程を行なった後、前記仲介溶液を前記溶液内に戻すことが好ましい(図9参照)。
容器の上側部分の低温の仲介溶液が、容器内と容器外の水分放出工程を行なう部分との間を循環する。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。これにより、水分放出工程を行なう部分ひいては第2半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。容器の上側部分では、低温化によって仲介溶質が析出する(析出工程)。この析出体は、通常、仲介溶液より比重が大きいため、容器内を下降する。したがって、容器内の上側部分において上記分離工程が起き、析出体が水分放出工程を行なう部分に送られるのを防止できる。前記の析出体は、容器内の下側の高温部分において溶解する(溶解工程)。
前記容器及び容器外の水分放出工程を行なう部分は、前記閉鎖系に含まれることが好ましい。
被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、前記水分吸収工程後の被処理水と前記溶解工程時の仲介溶液とを熱交換させることが好ましい(図2、図4参照)。
被処理水を水分吸収工程の前に昇温することで、水分吸収工程時の仲介溶液が冷やされるのを防止できる。そして、水分吸収工程後の被処理水を熱源として溶解工程時の仲介溶液を昇温して析出体を溶解でき、熱を有効に利用できる。また、被処理水を、温度を下げたうえで廃棄できる。
前記水分吸収工程前の被処理水と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることが好ましい(図2、図4参照)。
被処理水を冷却源として析出工程時の仲介溶液の温度を下げることができ、かつ析出工程時の仲介溶液を熱源として被処理水の温度を上げることができ、熱を有効に利用できる。析出のための冷却媒体として被処理水を用いることで、ランニングコストを低減できる。被処理水を高温にしたうえで水分吸収工程に供給することで、水分吸収工程において仲介溶液が被処理水に熱を奪われて仲介溶質が析出するのを防止でき、水分吸収を確実に行なうことができる。
前記溶解工程時の仲介溶液と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることにしてもよい(図6参照)。
これにより、析出工程時の冷却すべき仲介溶液の熱を、溶解工程時の加熱すべき仲介溶液に与えることができ、熱を有効に利用できる。
被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、かつ前記昇温前の被処理水と前記水分吸収工程後の被処理水とを熱交換させることが好ましい(図7参照)。
被処理水を水分吸収工程の前に昇温することにより、水分吸収工程時に仲介溶液が被処理水によって冷やされるのを防止でき、仲介溶液を高温に維持でき、ひいては水分吸収に必要な浸透圧を維持できる。水分吸収工程後の被処理水の廃熱を、水分吸収工程の前の被処理水に戻すことで、熱を効率的に利用できる。
前記水分放出工程において前記仲介溶液を過飽和にすることが好ましい(図11参照)。
これによって、仲介溶液から水分が放出されても仲介溶質が析出することがない。よって、第2半透膜の目詰まりや損傷を抑制又は防止できる。
仲介溶液を過飽和状態にするには、水分放出工程時の仲介溶液の流速又は流量を調節するとよい。すなわち、水分放出工程時の仲介溶液の流速又は流量をできるだけ小さくし、仲介溶液が静流になるようにすることで、過飽和状態を作ることができる。
前記析出工程が、前記仲介溶液を過冷却して過冷却(過飽和)状態にする過冷却工程(析出前過飽和工程)と、過冷却後の仲介溶液の過冷却状態を過冷却中の仲介溶液と混ざらないようにしながら解除する過冷却解除工程とを含み、解除後の仲介溶液を前記水分放出工程に供することが好ましい(図12参照)。
仲介溶液を過冷却状態にすることで、析出体の発生を防止できる。したがって、仲介溶液を冷却する部分に析出体が付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。その後、過冷却を解除することにより、析出体が発生する。過冷却後の仲介溶液を、過冷却中の仲介溶液と混ざらないようにしながら、過冷却解除でき、ひいては、析出体が、過冷却中の仲介溶液に混ざるのを防止できる。また、過冷却解除時に析出が急激に起きるために、仲介溶質の結晶の粒が小さくなり、表面積が増加する。そのため、その後の溶解工程で溶解しやすくなる。
前記閉鎖系の内圧に応じて、前記溶解工程における仲介溶液の昇温度を調節することが好ましい(図13参照)。
閉鎖系の内圧が低くすぎるときは、溶解工程における仲介溶液の昇温度を大きくする。これにより、溶解後の中間溶液の浸透圧を高くでき、水分吸収工程時の水分吸収量を増大できる。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧が高すぎるときは、溶解工程における仲介溶液の昇温度を小さくする。これにより、溶解後の中間溶液の浸透圧を低くでき、水分吸収工程時の水分吸収量を減少できる。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
前記閉鎖系の内圧に応じて、前記被処理水の流量を調節することが好ましい(図14参照)。
閉鎖系の内圧が低くすぎるときは、被処理水の流量を大きくする。これにより、水分吸収工程時の被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが小さくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が増大する。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧が高くすぎるときは、被処理水の流量を小さくする。これにより、水分吸収工程時の被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが大きくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が減少する。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
本発明装置は、被処理水から淡水を製造する装置であって、
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液の温度を上げる昇温手段と、
前記仲介溶液を容れ、かつ前記昇温手段と熱的に接続されることによって、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解室と、
被処理水を容れる被吸収室と、前記昇温されかつ前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を容れる吸収室と、前記被吸収室及び吸収室を仕切る第1の半透膜と、を有する水分吸収部と、
前記吸収室からの仲介溶液を容れる析出室と、
前記析出室内の仲介溶液の温度を下げて前記仲介溶質を析出させる降温手段と、
前記析出室からの仲介溶液を容れる放出室と、前記放出室の少なくとも一部を画成する第2の半透膜と、を含む水分放出部と、
を備え、前記放出室の内圧を、前記仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な大きさにすることを特徴とする。
仲介溶液を昇温手段にて昇温することで、溶解度を高め、高濃度かつ高浸透圧の仲介溶液を得ることができる。これにより、水分吸収部において、被吸収室の被処理水の水分が第1半透膜を透過して吸収室の高濃度かつ高浸透圧の仲介溶液に吸収される。水吸収後の仲介溶液を析出室において冷却し仲介溶質を析出させる。析出により仲介溶液が低濃度かつ低浸透圧になる。これにより、放出室の圧力が比較的低くても、仲介溶液の水分を第2半透膜から容易に搾り出すことができ、淡水を生成することができる。第2半透膜をはじめとする装置構成要素に要求される耐圧性を低減でき、設備コストを削減できる。
上述したように、仲介溶質の溶解熱は、水の潜熱と比べ、極めて小さい。したがって、所要の熱量を従来の蒸発法等より大幅に低減できる。したがって、昇温手段の負担を軽減できる。
昇温手段として、例えば太陽熱集熱器を用いることができる。昇温手段として、太陽熱集熱器の他、工場排熱や電熱ヒータ等を用いてもよい。
昇温手段は、仲介溶液を直接的に昇温させる他、直接的には被処理水を昇温させ、この被処理水と仲介溶液との熱交換により仲介溶液を昇温させるようになっていてもよい。昇温手段は、仲介溶液の溶解時おける熱エネルギー供給源として用いられる他、被吸収室に入る被処理水を加熱するための熱エネルギー供給源として用いられるようになっていてもよい。
降温手段は、仲介溶液を直接的に降温させる他、直接的には淡水を降温させ、この淡水と仲介溶液との熱交換により仲介溶液を降温させるようになっていてもよく、或いは直接的には被処理水を降温させ、この被処理水と仲介溶液との熱交換により仲介溶液を降温させるようになっていてもよい。降温手段によって採取した熱は、仲介溶液の溶解のための熱エネルギーとして用いてもよく、被吸収室に入る前の被処理水を加熱するための熱エネルギーとして用いてよい。
前記溶解室が、前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を収容
前記昇温手段が、前記溶解室内の仲介溶液を昇温し、前記析出体を溶解させ、
前記溶解室と吸収室と析出室と放出室によって閉鎖系が構成されていることが好ましい(図2〜図12参照)。
これにより、仲介溶質を閉鎖系に閉じ込めて繰り返し使用し、淡水を連続的に生産できる。系外から仲介溶質を補充する必要がない。水分は、第1半透膜を介して閉鎖系に入り、第2半透膜を介して閉鎖系から放出される。
前記溶解室と吸収室と析出室と放出室とが環状に連なっていることが好ましい(図2、図4、図6、図8参照)。
仲介溶液を、溶解室、吸収室、析出室、放出室の順に循環させ、析出体の溶解、水分吸収、仲介溶質の析出、水分放出を循環的に行うことができる。
前記放出室を、前記吸収室及び析出室より高圧にする加圧手段を、更に備えることが好ましい(図1、図2参照)。
水分吸収部では、仲介溶液を高圧にせず、被吸収室と吸収室の間に圧力差が形成されないようにすることができる。したがって、第1半透膜の耐久性を十分に確保できる。水分放出部における仲介溶液は低浸透圧にできる。したがって、海水等の被処理水を直接第2半透膜に圧し当てて水分を搾り出す従来の逆浸透圧法よりも、加圧力を低くできる。これにより、仲介溶液の水分を第2半透膜から確実に搾り出すことができる。加圧手段の負担を軽減でき、加圧手段を小型化できる。
前記閉鎖系全体の内圧が、前記放出室の内圧とほぼ等しいことが好ましい(図3〜図12参照)。
水分吸収部における水分吸収によって閉鎖系内を高圧にすることができる。これにより、閉鎖系の内圧ひいては放出室の内圧を所要の大きさにすることができ、仲介溶液の水分を第2半透膜を介して放出させることができる。
前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段を、更に備えることが好ましい(図1、図2、図5参照)。
析出体が水分放出部に送られるのを回避できる。よって、第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。
前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段と、前記分離した析出体と前記放出室からの仲介溶液とを混合する混合部と、を更に備え、前記混合部が、前記溶解室に連なっていることが好ましい(図2、図5参照)。
析出室で析出した析出体が水分放出部を通らないようにできる。これにより、第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。析出体と水分放出後の仲介溶液と混合することで、析出体を仲介溶液の循環経路に戻すことができる。混合液を溶解室で溶解することで、水分吸収用の仲介溶液とすることができる。これにより、仲介溶質を閉鎖系内で循環させながら、淡水を連続的に生産できる。
前記分離手段が、前記仲介溶液の透過を許容し、前記析出体の透過を阻止する分離膜を含むことが好ましい(図1、図2、図5参照)。
析出体を仲介溶液から確実に分離できる。
前記仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を前記放出室に熱的に接続することが好ましい(図2、図10参照)。
これによって、放出室の仲介溶液を不飽和にでき、放出室内で仲介溶質が析出するのを防止できる。放出用加熱手段は、分離手段と放出室を結ぶ経路上に配置してもよく、放出室に直接接続してもよい。
前記閉鎖系が、仲介溶液を容れる容器を含み、前記昇温手段が、前記容器の相対的に下側部分に熱的に接続され、前記降温手段が、前記容器の相対的に上側部分に熱的に接続されていることが好ましい(図3、図9参照)。
容器の下側部分の仲介溶液は昇温手段によって高温になり、ひいては高浸透圧になる。この高浸透圧の仲介溶液によって被処理水の水分を吸収することができる。容器の上側部分の仲介溶液は降温手段によって低温になる。この上側部分の低温の仲介溶液から仲介溶質を析出させ、仲介溶液の浸透圧を低下させ、この低浸透圧の仲介溶液から水分を放出させることができる。析出体は容器の仲介溶液内を下降し、容器の下側の高温部分へ向かう。これにより、析出体を溶解させ、上記水分吸収に用いることができる。
容器は、耐圧性を有する圧力容器であることが好ましい。
前記容器の前記仲介溶液で満たされた内部空間の下端部に前記第1半透膜が設けられ、この第1半透膜の下面が前記被吸収室の一部を画成し、前記容器の前記内部空間の上端部に前記第2半透膜が設けられていることが好ましい(図3参照)。
第1半透膜を介して上側の高浸透圧の仲介溶液と下側の被処理水が接触する。これにより、被処理水の水分が第1半透膜を透過して容器内の仲介溶液に吸収される。容器の内部空間の第1半透膜の上面と接する部分が前記吸収室を構成する。仲介溶液は容器内を上昇し、容器内の上側部分において降温手段により冷却される。冷却により仲介溶質が析出し、仲介溶液が低浸透圧になる。容器内の上側部分が前記析出室になる。この低浸透圧の仲介溶液が、第2半透膜に接する。前記下側部分での水分吸収によって、容器の内圧ひいては仲介溶液の液圧を高くすることができる。これにより、仲介溶液の水分が第2半透膜を透過し、淡水が得られる。容器の内部空間の第2半透膜の下面と接する部分が前記放出室になる。前記の析出体は、容器内の仲介溶液中を下降する。この析出体が、容器内の下側部分において昇温手段にて加熱され溶解する。容器内の下側部分が溶解室になる。溶解により、容器内の下側部分の仲介溶液を高浸透圧にできる。この高浸透圧の仲介溶液を上記水分吸収に供する。このようにして、容器内において溶解、水分吸収、析出、水分放出を循環的に行わせ、淡水を連続的に生産することができる。
前記吸収室が、吸収往路及び吸収復路を介して前記容器の下側部分と連なっていることが好ましい(図9参照)。
前記容器の下側部分の高温の仲介溶液を、吸収往路を経て吸収室に導入し、水分吸収を行なわせる。水分吸収後の仲介溶液を、吸収復路を経て容器の下側部分に戻す。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。したがって、水分吸収部ひいては第1半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。吸収往路及び吸収復路は、閉鎖系の要素を構成する。
前記放出室が、放出往路及び放出復路を介して前記容器の上側部分と連なっていることが好ましい(図9参照)。
容器の上側部分の低温の仲介溶液を、放出往路を経て放出室に導入し、水分放出を行なわせる。水分放出後の仲介溶液を、放出復路を経て容器の上側部分に戻す。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。したがって、水分放出部ひいては第2半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。容器の上側部分では、降温手段による低温化によって仲介溶質が析出する。容器内の上側部分は析出室を構成する。析出体は、通常、仲介溶液より比重が大きいため、容器内を下降する。したがって、析出体が放出室に送られるのを防止できる。容器の上側部分は分離手段をも構成する。前記の析出体は、容器内の下側部分まで下降したとき、昇温手段による高温化によって溶解する。容器内の下側部分は溶解室を構成する。放出往路及び放出復路は、閉鎖系の要素を構成する。
前記放出往路に、仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を設けたことが好ましい(図10参照)。
放出往路において仲介溶液を加熱することで、該仲介溶液を不飽和にして放出室に導入できる。これにより、放出室の仲介溶液から水分が放出されても、仲介溶質が析出するのを防止できる。この結果、第2半透膜の目詰まりや損傷を防止できる。
前記放出室の仲介溶液が過飽和状態になるように仲介溶液の放出室での流速又は流量を調節する液流調節部と、
前記容器内で前記仲介溶液の過飽和状態を解除する過飽和解除手段と
を備えることが好ましい(図11参照)。
液流調節部によって、仲介溶液の放出室での流速又は流量を可及的に小さくする。これにより、放出室内の仲介溶液の流れを静流にすることができる。そのため、仲介溶液から水分が放出されても仲介溶質が析出せず、過飽和状態にすることができる。よって、第2半透膜の目詰まりや損傷を抑制又は防止できる。仲介溶液は、過飽和の状態で水分放出部から容器に戻される。この仲介溶液の過飽和状態を過飽和解除手段にて解除する。
前記過飽和解除手段は、たとえば攪拌羽根を有する攪拌器である。これにより、構造を簡素化でき、設備コストを安価にすることができる。攪拌器は、好ましくは前記容器の内部空間の上側部分に設けられ、より好ましくは前記容器の内壁から離れて設けられる(図11参照)。
攪拌器にて容器内の仲介溶液を攪拌することで、過飽和状態を確実に解除できる。過飽和の解除によって、仲介溶質が析出する。この析出は、容器の内壁から離れた容器の内側部分で起きる。したがって、仲介溶質の析出体が容器の内壁に付着するのを抑制でき、析出体が容器の下側部分へ確実に下降するようにできる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。
前記過飽和解除手段は、超音波照射装置であってもよい。超音波を仲介溶液に照射することで、過飽和を解除できる。過飽和解除手段として、超音波照射装置を用いる場合、高圧の容器を貫通するような回転軸が不要である。したがって、高圧系の信頼性が増す。
前記容器内の放出往路との接続部の近傍又は放出往路内に、仲介溶液の透過を許容し、不純物の透過を阻止するフィルタを設けることが好ましい(図11参照)。
仲介溶液中の不純物として微細な析出体や塵埃が挙げられる。フィルタによって、このような不純物が放出室に侵入するのを阻止できる。よって、放出室において、不純物を核にして析出体が形成されるのを防止でき、放出室内の仲介溶液を確実に過飽和状態にすることができる。
前記容器内の上側空間が、上下に延びる隔壁にて過冷却室と前記析出室とに仕切られ、過冷却室の内部には、前記降温手段として仲介溶液を過冷却状態にする冷却管が設けられ、過冷却室の上端部が、前記放出復路に連なるとともに前記析出室の上端部と連通し、析出室の上端部に過冷却解除手段が設けられ、析出室の過冷却解除手段より下側の箇所に前記放出往路が連なっていることが好ましい(図12参照)。
容器の下側部分で水分が吸収されるため、過冷却室では上昇流が形成される。この過冷却室の仲介溶液を過冷却(過飽和)状態にすることで、析出体の発生を防止できる。したがって、冷却管に析出体が付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。過冷却室の上端部で、過冷却状態の仲介溶液と放出復路からの仲介溶液とが混ざり、析出室の上端部へ移行する。この析出室で過冷却状態を解除することにより、析出体が発生する。したがって、析出室の過冷却解除手段より下側の仲介溶液が低浸透圧になる。この低浸透圧の仲介溶液を、放出往路を経て放出室に送り、水分放出に供することができる。
過冷却解除手段は、例えば攪拌器である。これにより、構造を簡素化でき、設備コストを安価にすることができる。
過冷却解除手段は、超音波照射装置であってもよい。超音波を仲介溶液に照射することで、過冷却を解除できる。過冷却解除手段として、超音波照射装置を用いる場合、高圧の容器を貫通するような回転軸が不要である。したがって、高圧系の信頼性が増す。
前記過飽和解除手段が過冷却解除手段を兼ねていてもよい。過飽和解除手段と過冷却解除手段が共通の攪拌器又は共通の超音波照射装置にて構成されていてもよい。
前記隔壁の下端部に絞り部が設けられ、この絞り部を介して前記析出室の下端部が前記容器内の下側部分に連なり、前記過冷却室が前記容器内の下側部分に直接的に連なっていることが好ましい(図12参照)。
析出室の析出体は絞り部を通過して、容器の下側部分に入ることができる。これにより、容器の下側部分で析出体を溶解させることができる。一方、容器の下側部分の仲介溶液のうち、絞り部を通って析出室に侵入する流量は小さく、容器の下側部分の仲介溶液の大部分が、過冷却室へ流入して上昇する。
前記昇温手段が、被処理水を前記被吸収室に導入する導入路に設けられた被処理水加熱部を含んでいてもよい(図4〜図14参照)。
被処理水加熱部は、該被処理水加熱部より下流の導入路、被吸収室、及び被処理水排出路を順次介して、溶解室に熱的に接続される。被処理水加熱部は、例えば、太陽熱集熱器にて構成することができる。被処理水加熱部は、太陽熱集熱器に代えて、工場排熱回収部でもよく、電熱ヒータでもよい。
前記昇温手段が、前記被吸収室への被処理水の導入路に接続され、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部と、前記溶解室とが、互いに熱交換器を構成していてもよい(図2、図4参照)。
被処理水を昇温手段により昇温した上で被吸収室に導入できる。これにより、吸収室の仲介溶液が冷やされるのを防止できる。また、被処理水排出路の被処理水を熱源にして、溶解室の仲介溶液を昇温して析出体を溶解でき、熱を有効に利用できる。また、被処理水を、温度を下げたうえで廃棄できる。
被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記析出室とが、互いに熱交換器を構成していることが好ましい(図2、図4参照)。
被処理水を冷却源として析出室の仲介溶液を冷却でき、かつ析出室の仲介溶液を熱源として被処理水を加熱でき、熱を有効に利用できる。析出のための冷却媒体として処理対象の被処理水を用いることで、ランニングコストを低減できる。被処理水を高温にしたうえで被吸収室に供給することで、吸収室内の仲介溶液が被処理水に熱を奪われて仲介溶質が析出するのを防止でき、水分吸収部における水分吸収を確実に行なうことができる。
前記導入路の前記熱交換器を構成する部分が、前記降温手段を構成していてもよい。前記降温手段が、被処理水を前記析出室の仲介溶液と熱交換可能に通す通路状になっていてもよい。
前記熱交換器が対向流型の熱交換器であることが好ましい。前記熱交換器における被処理水の流量と仲介溶液の流量とが互いにほぼ同じであることが好ましい。これにより、熱交換不整合に因る損失を回避できる。
前記溶解室と析出室とが、互いに熱交換器を構成していてもよい(図6参照)。
これにより、析出室の冷却すべき仲介溶液の熱を、溶解室の仲加熱すべき介溶液に与えることができ、熱を有効に利用できる。この構成によれば、析出室が、溶解室に対する昇温手段の少なくとも一部を構成し、溶解室が、析出室に対する降温手段の少なくとも一部を構成する。
被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部とが、互いに熱交換器を構成し、この熱交換器より下流の前記導入路に前記昇温手段が接続されていてもよい(図7参照)。
被処理水を被吸収室への導入前に昇温手段にて昇温することにより、水分吸収部において仲介溶液が被処理水によって冷やされるのを防止でき、仲介溶液を高温に維持でき、ひいては水分吸収に必要な浸透圧を維持できる。熱交換器によって被吸収室から出た被処理水の廃熱を、被吸収室への導入前の被処理水に戻すことで、熱を効率的に利用できる。前記導入路における昇温手段より上流側で熱交換することで、被処理水をある程度昇温したうえで昇温手段に送ることができ、昇温手段の負担を軽減できる。
前記閉鎖系の内圧を検出する圧力検出器と、前記圧力検出器の検出圧力に基づいて前記昇温手段の出力を調節する調節部とを備えることが好ましい(図13参照)。
閉鎖系の内圧検出値が低くすぎるときは、昇温手段の出力を大きくする。これにより、溶解室における仲介溶液の昇温度を大きくできる。したがって、溶解後の中間溶液の浸透圧を高くでき、水分吸収部での水分吸収量を増大できる。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧検出値が高すぎるときは、昇温手段の出力を小さくする。これにより、溶解室における仲介溶液の昇温度を小さくできる。したがって、溶解後の中間溶液の浸透圧を低くでき、水分吸収部での水分吸収量を減少できる。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
前記閉鎖系の内圧を検出する圧力検出器と、前記圧力検出器の検出圧力に基づいて前記被処理水の流量を調節する調節部とを備えることが好ましい(図14参照)。
閉鎖系の内圧検出値が低くすぎるときは、被処理水の流量を大きくする。これにより、水分吸収部での被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが小さくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が増大する。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧検出値が高くすぎるときは、被処理水の流量を小さくする。これにより、水分吸収部での被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが大きくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が減少する。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
前記閉鎖系の内圧が設定圧以上になったとき開く逃がし弁を、前記閉鎖系に接続することが好ましい(図15参照)。
閉鎖系の内圧が設定圧以上になったときは、閉鎖系内の仲介溶液を逃がし弁から系外に逃がすことができる。これにより、閉鎖系の内圧が異常に高くなるのを防止でき、安全性を確保できる。
逃がし弁は、閉鎖系における仲介溶液の濃度が相対的に小さくなる箇所(例えば前記容器の上端部又は析出室)に接続することが好ましい。これにより、逃がし弁が開いたときの仲介溶質の喪失量を小さくすることができる。
前記第2半透膜が、前記第1半透膜より被処理水の溶質(以下「被処理溶質」と称す)に対する透過阻止率が小さいことが好ましい。
ここで、水分吸収部において、被処理溶質が僅かながら第1半透膜を透過し、吸収室に侵入することが考えられる。閉鎖系においては、上記の侵入量が微量であっても、これが蓄積されると、閉鎖系の内圧が増大し、装置の寿命が短くなる。
そこで、前記第2半透膜は、被処理溶質を透過可能であることが好ましい。例えば、被処理水が海水の場合、被処理溶質はナトリウムイオン、塩素イオンである。前記第2半透膜が、ナトリウムイオン及び塩素イオンを透過可能であることが好ましい。
前記第2半透膜の被処理溶質の透過阻止率は、低いことが好ましい。具体的には、前記第2半透膜の被処理溶質の透過阻止率は、90%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、10%以下であることが一層好ましい。
これによって、閉鎖系に侵入した被処理溶質を、水分放出部において第2半透膜から閉鎖系外に放出できる。よって、閉鎖系に被処理溶質が蓄積されるのを防止できる。したがって、閉鎖系の内圧増大を回避でき、要求耐圧性能を抑えることができ、コスト増を抑制できる。さらには、装置の寿命を長くすることができる。
前記第2半透膜から取り出される出力淡水には被処理溶質が含まれることになるが、該出力淡水中の被処理溶質の濃度は、前記半透膜における被処理溶質の透過率に対応して、問題にならない程度に極めて小さい。
前記第2半透膜が、ナノフィルトレーション膜(NF膜)であることが好ましい。ナノフィルトレーション膜は、2価以上のイオンに対する透過阻止率が十分に大きく、1価のイオンに対する透過阻止率が十分に小さい。よって、前記被処理溶質のイオン価数が1価である場合(例えば海水のナトリウムイオン及び塩素イオン)、前記仲介溶液に侵入した被処理溶質を前記第2半透膜から透過させて確実に取り出すことができる。しかも、前記仲介溶質が2価のイオンを含む場合(例えばミョウバン等)、該2価のイオンが第2半透膜を透過して漏れ出るのを防止できる。
前記仲介溶液は、水溶液であることが好ましい。前記仲介溶液の溶媒は、好ましくは水である。
前記仲介溶質が、人体に無害であることが好ましい。これにより、生産した淡水を飲料に供する場合、安全性を確保できる。かかる仲介溶質として、ミョウバン、ショ糖が挙げられる。前記仲介溶質は、好ましくはミョウバンである。
ここで、ミョウバンは、アルミニウムと金属(アンモニウム含む)の硫酸塩(AlM(SO;Mは1価の+イオンを作る原子又は分子)であり、例えばMは、カリウム又はナトリウムである。前記仲介溶質は、より好ましくはカリウムミョウバンまたはナトリウムミョウバンである。カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバンは、溶解度の温度依存性が大きく、かつ無害であり、前記仲介溶質として適している。
前記仲介溶質が、少なくとも1つのイオンが2価以上の電解質であることが好ましい。これにより、仲介溶質が第2半透膜から系外に流出するのを十分に抑制又は防止できる。かかる仲介溶質として、ミョウバンが挙げられる。
前記仲介溶質の分子量が、被処理水の溶質の分子量より大きいことが好ましい。これにより、仲介溶質が第2半透膜から系外に流出するのを十分に抑制又は防止できる。例えば、仲介溶質がミョウバン、被処理水の溶質が塩(NaCl)の組み合わせが挙げられる。
前記仲介溶質が、ナトリウムミョウバンであり、前記第2半透膜が、ナノフィルトレーション膜であることが好ましい。
前記仲介溶質がカリウムミョウバンである場合、該仲介溶質のカリウムイオンがナノフィルトレーション透膜を透過可能であり、仲介溶質のカリウムイオンが徐々にナトリウムイオンに置き換わる。これが問題となる場合、仲介溶質としてナトリウムミョウバンを用いるとよい。これによって、仲介溶液の成分を安定させることができる。
前記被処理水が、海水であることが好ましい。これにより、海水から淡水を製造できる。海水はミョウバンとのマッチングが良好である。
本発明の被処理水は、海水に限られず、下水、泥水等の汚水であってもよい。これにより、汚水を浄化できる。汚水は海水よりも浸透圧が低いため、低温かつ低圧でよい。したがって、昇温手段の負担を軽減でき、より低温の熱源を利用できる。また、装置の耐圧性を低く設定でき、コストを下げることができる。
前記加圧手段の動力として、例えば内燃機関等の熱を発する動力源を用い、前記動力源からの排熱を前記加熱部において前記仲介溶液を加熱するための熱源として用いることにしてもよい。これによって、熱の利用効率を高めることができ、省エネにもなる。上記内燃機関を動力源及び熱源として利用する海水淡水化装置は、中近東などの水が少なく、石油が多い地域には好適である。
本発明によれば、海水等の被処理水を、仲介溶液を経由して淡水として取り出すことができる。被処理水を、直接、逆浸透膜に圧し当てて水分を搾り出す場合よりも加圧力を低くできる。したがって、第2半透膜に要求される耐圧性を低減できる。また、所要の熱量を低減することができる。
本発明の第1実施形態(基本態様)に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第2実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第3実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第4実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第5実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第6実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第7実施形態に係る淡水製造装置の一部分の回路構成図である。 本発明の第8実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第9実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第10実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第11実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第12実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 本発明の第13実施形態に係る淡水製造装置の一部分の回路構成図である。 本発明の第14実施形態に係る淡水製造装置の一部分の回路構成図である。 本発明の第15実施形態に係る淡水製造装置の一部分の回路構成図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の基本態様に係る第1実施形態を示したものである。淡水製造装置1は、水分吸収部20と、析出部30と、水分放出部40を備えている。
水分吸収部20は容器状になっている。水分吸収部20の内部に第1半透膜23が設けられている。第1半透膜23によって、水分吸収部20内が被吸収室21(被処理水室)と吸収室22(溶液室)に仕切られている。第1半透膜23は、平面状の膜でもよい。第1半透膜23は、1又は複数の中空糸状になっていてもよい。中空糸の内部が被吸収室21と吸収室22のうち何れか一方になり、中空糸の外部が被吸収室21と吸収室22のうち他方になっていてもよい。第1半透膜23は、平面膜を螺旋状に捻られた形状になっていてもよい。平面状又は螺旋状の第1半透膜23は、その外周縁が水分吸収部20の容器本体に支持されている。中空糸状の第1半透膜23は、その両端が水分吸収部20の容器本体に支持されている。被処理水導入路71が、被吸収室21の上流端(図1において右端)に連なっている。被吸収室21の下流端(図1において左端)から被処理水排出路73(廃海水路)が延びている。導入路71又は排出路73には送液ポンプ(図示省略)が設けられている。
被吸収室21に水分抽出対象の被処理水waが容れられている。被処理水waとして海水が用いられている。海水waの塩分濃度は約3.5%(重量百分率、以下同様)である。吸収室22に仲介溶液wbが容れられている。2種類の液wa,wbがそれぞれ室21,22内を通過するように流れる。従来のROモジュールは、デッドエンドが存在し、ここでは使えない。第1半透膜23を螺旋状にする場合、螺旋状の被吸収室21及び吸収室22内を各液wa,wbが確実に流通できるようにする。
仲介溶液wbは、溶解度が温度に依存する仲介溶質が溶解されている。ここでは、仲介溶質としてミョウバンが用いられている。具体的には、仲介溶質として、カリウムミョウバン(AlK(SO)またはナトリウムミョウバン(AlNa(SO)が用いられている。仲介溶液wbとして、ミョウバン水溶液(カリウムミョウバン水溶液又はナトリウムミョウバン水溶液)が用いられている。ミョウバンは、2価の負イオン(SO 2−)を含む電解質である。ミョウバンの分子量は、海水waの溶質(NaCl等)の分子量より大きい。
吸収室22に高濃度仲介溶液路81を介して仲介溶液加熱部15(昇温手段)が接続されている。加熱部15によって仲介溶液wbが高温化される。これにより、仲介溶液wbの溶解度が常温時より高くなる。高温かつ高溶解度の仲介溶液wbが吸収室22に導入される。吸収室22内の仲介溶液wb(ミョウバン水溶液)の溶質(ミョウバン)の濃度は、常温時の飽和濃度より十分に高くなっている。被吸収室21内の海水waは、吸収室22内のミョウバン水溶液wbと同程度の温度になっている。
被吸収室21の海水waと吸収室22の仲介溶液wbが第1半透膜23を介して接している。すなわち、吸収室22の仲介溶液wbが第1半透膜23の一方の面に接している。被吸収室21の海水waが第1半透膜23の他方の面に接している。第1半透膜23は、仲介溶液wbの溶媒(水分)の透過を許容し、かつ仲介溶液wbの溶質(ミョウバン)の透過を阻止する。また、第1半透膜23は、海水waの溶媒(水分)の透過を許容し、かつ海水waの溶質(塩分)の透過を可及的に阻止する。
析出部30は、容器状になっている。析出部30の内部に分離膜33(分離手段)が設けられている。分離膜33は、濾紙などのフィルターにて構成されている。分離膜33によって、析出部30内が析出室31と、透過液室32とに仕切られている。分離膜33が、析出室31の一部を画成している。中濃度仲介溶液路82が、吸収室22から延びて析出室31に連なっている。
分離膜33は、ミョウバン水溶液wbの透過を許容し、ミョウバン(仲介溶質)の析出体mすなわちミョウバン結晶mの透過を阻止する。析出室31内には、ミョウバン水溶液wbが容れられている。この析出室31内のミョウバン水溶液wb中に、ミョウバン結晶mが分散している。透過液室32内には、ミョウバン水溶液wbが収容されている。透過液室32内のミョウバン水溶液wbには、ミョウバン結晶mが含まれていない。
析出室31に仲介溶液冷却部35(降温手段)が接続されている。仲介溶液冷却部35は、熱交換器であってもよい。仲介溶液冷却部35は、送風手段やフィンを含む空冷式の冷却器であってもよい。
透過液室32から低濃度仲介溶液路83が延びている。低濃度仲介溶液路83に加圧ポンプ50(加圧手段)が設けられている。加圧ポンプ50の動力としては、例えば内燃機関等の熱を発する動力源を用いることが好ましい。
水分放出部40(加圧部)は、耐圧性の容器状になっている。水分放出部40の内部に第2半透膜43が設けられている。第2半透膜43によって、水分放出部40内が放出室41(加圧室)と、淡水室42とに仕切られている。第2半透膜43が放出室41の一部を画成している。低濃度仲介溶液路83の下流端が放出室41に連なっている。放出室41内にミョウバン水溶液wbが容れられている。淡水室42内に淡水wcが設けられている。淡水室42から淡水取り出し路92が延びている。
第2半透膜43は、仲介溶液wb中の溶媒(水分)の透過を許容し、溶質(ミョウバン)の透過を可及的に阻止する。第2半透膜43は、逆浸透膜にて構成されている。第2半透膜43は、平面状の膜でもよい。第2半透膜43は、1又は複数の中空糸状になっていてもよい。中空糸の内部が放出室41と淡水室42のうち何れか一方になり、中空糸の外部が放出室41と淡水室42のうち他方になっていてもよい。第2半透膜43は、平面膜を螺旋状に捻られた形状になっていてもよい。平面状又は螺旋状の第2半透膜43は、その外周縁が水分放出部40の耐圧性の容器本体に支持されている。中空糸状の第2半透膜43は、その少なくとも一端部が水分放出部40の耐圧性の容器本体に支持されている。
上記構成の淡水製造装置1の動作を説明する。
液温調節工程
海水waを加熱手段(図示せず)にて加熱し、高温にする。好ましくは、海水waの温度を後記ミョウバン水溶液wbの加熱温度と同程度にする。加圧ポンプ50の動力源である内燃機関等の発熱機器の排熱を用いて上記海水waを加熱してもよい。これによって、熱の利用効率が高まり、省エネにもなる。高温にした海水waを海水導入路71から被吸収室21内に導入する。
ミョウバン水溶液wbを加熱部15にて加熱し、高温にする。加圧ポンプ50の動力源である内燃機関等の発熱機器の排熱を上記加熱部15を介してミョウバン水溶液wbに与えることにしてもよい。これによって、熱の利用効率が高まり、省エネにもなる。加熱により、ミョウバン水溶液wbのミョウバン溶解度が高まる。高温ミョウバン水溶液wbにミョウバンを十分に溶解させる(溶解工程)。これにより、高温かつ高濃度のミョウバン水溶液wbを得る。この高温かつ高濃度のミョウバン水溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を介して吸収室22内に導入する。
水分吸収工程
吸収室22内の高濃度ミョウバン水溶液wbの浸透圧は、被吸収室21内の海水waの浸透圧より高い。したがって、被吸収室21内の海水waの水分が第1半透膜23を透過し、吸収室22内のミョウバン水溶液wbに混ざる。言い換えると、ミョウバン水溶液wbが、海水waから水分を吸収する。
被吸収室21の海水waが吸収室22のミョウバン水溶液wbと同程度の温度になっているため、吸収室22のミョウバン水溶液wbが海水waに熱を奪われるのを防止でき、吸収室22内にミョウバン結晶が析出するのを防止できる。これにより、ミョウバン水溶液wbの浸透圧が大きく低下するのを抑制でき、水分吸収能力を維持できる。
被吸収室21と吸収室22との間に圧力差は殆どない。したがって、第1半透膜23が目詰まりするのを抑制できる。よって、メンテナンスの手間やコストを軽減できる。
その後、海水waを被吸収室21から廃海水路73へ導出し、海等に廃棄する。
析出工程
吸収室22内のミョウバン水溶液wbのミョウバン濃度は、水分吸収により低下する。濃度低下したミョウバン水溶液wb(中濃度ミョウバン水溶液wbと称す)を、吸収室22から中濃度仲介溶液路82を経て析出室31に送る。
中濃度ミョウバン水溶液wbの析出室31への導入時の温度は、比較的高温になっている。この高温の中濃度ミョウバン水溶液wbを冷却部35にて冷却する。冷却によって中濃度ミョウバン水溶液wbを、その濃度における飽和温度より低温にする。これにより、析出室31内のミョウバン水溶液wbからミョウバン結晶mが析出する。この結果、ミョウバン水溶液wbの濃度が更に低下する。このミョウバン水溶液wbを低濃度ミョウバン水溶液と称す。
分離工程
析出室31のミョウバン結晶mは、分離膜33を透過するのが阻止され、透過液室32へは入らない。一方、析出室31の低濃度ミョウバン水溶液wbは、分離膜33を透過し、透過液室32に入る。
水分放出工程
加圧ポンプ50は、低濃度ミョウバン水溶液wbを透過液室32から吸い込み、加圧して、放出室41に導入する。これにより、低濃度ミョウバン水溶液wbが第2半透膜43に圧し当てられる。加圧ポンプ50の加圧によって、低濃度ミョウバン水溶液wbの圧力をその浸透圧より高くする。これにより、放出室41内のミョウバン水溶液wbの水分が、第2半透膜43から淡水室42へ搾り出される。この結果、淡水wcを淡水取り出し路92から取り出すことができる。 水分放出工程におけるミョウバン水溶液wbの圧力は、他の工程におけるミョウバン水溶液wbより高圧になる。
放出室41内のミョウバン水溶液wbは、低濃度であるため浸透圧が低い。したがって、加圧ポンプ50の加圧力を小さくすることができる。よって、加圧ポンプ50を小型化できる。さらに、放出室41と淡水室42の圧力差を小さくできるから、第2半透膜43に要求される耐圧性能及び水分放出部40の筐体に要求される耐圧性能を低くすることができる。この結果、設備コストを低減できる。
放出室41内のミョウバン水溶液wb中のミョウバン(溶質)は、第2半透膜43によって透過を阻止される。ミョウバンは海水の塩分より分子が大きい。したがって、第2半透膜43の目を海水用の逆浸透膜より粗くできる。そうすることで、圧力損失を小さくできる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
図2は、本発明の第2実施形態を示したものである。
第2実施形態の淡水製造装置1Aは、溶解部10と、水分吸収部20と、析出部30と、水分放出部40を備えている。これら4つの要素10,20,30,40が環状に接続されている。
溶解部10は、溶解室11を有している。溶解室11内にミョウバン結晶mを含むミョウバン水溶液wb(すなわち仲介溶液とその溶質の析出体の混合液)が容れられている。溶解室11に仲介溶液加熱部15が熱的に接続されている。加熱部15は、例えば太陽熱集熱器や工場からの排熱回収部や電熱ヒータ等で構成されていている。溶解室11から高濃度仲介溶液路81が水分吸収部20へ延びている。
水分吸収部20の被吸収室21及び吸収室22は、水分吸収部20の長手方向に延びる通路になっている。第1半透膜23が、水分吸収部20の長手方向に延びて、2つの通路状室21,22を仕切っている。
被吸収室21の上流端(図2において右端)に被処理水導入路71が連なっている。被吸収室21の下流端(図2において左端)から被処理水排出路73が延びている。導入路71又は排出路73には送液ポンプ(図示省略)が設けられている。
吸収室22の上流端(図2において左端)に高濃度仲介溶液路81が連なっている。吸収室22の下流端(図2において右端)から中濃度仲介溶液路82が延びている。
なお、被吸収室21の上流端と吸収室22の上流端は、水分吸収部20の互いに逆側の端部に配置されている。吸収室22内の流れ方向は、被吸収室21内の流れ方向とは逆向きになっている。
析出部30の析出室31及び透過液室32は、析出部30の長手方向に延びる通路になっている。分離膜33が、析出部30の長手方向に延びて、2つの通路状室31,32を仕切っている。
析出室31の上流端(図2において右端)に中濃度仲介溶液路82の先端部が連なっている。析出室31の下流端(図2において左端)から仲介分散液路88が延びている。分散液路88には分散液送りポンプ(図示省略)が設けられている。ポンプは、図中、矢印で示す流れが形成されるように、適当な場所に適当な数だけ設けられる。
被処理水導入路71には、第1実施形態の冷却部35に対応する被処理水熱交換路34が介在されている。被処理水熱交換路34は、析出室31の分離膜33側とは反対側に設けられ、析出室31に沿っている。被処理水熱交換路34と通路状の析出室31とが熱交換可能になっている。被処理水熱交換路34の上流端(図2において左端)は、析出部30における析出室31の上流端とは反対側に配置されている。被処理水熱交換路34内の流れ方向は、析出室31内の流れ方向とは逆向きになっている。
水分放出部40の放出室41及び淡水室42は、水分放出部40の長手方向に延びる通路状になっている。第2半透膜43が、水分放出部40の長手方向に延びて、2つの通路状室41,42を仕切っている。
第2半透膜43は、例えばNF膜(ナノフィルトレーション膜)にて構成されている。NF膜は、2価以上のイオンに対する透過阻止率が十分に大きく、1価のイオンに対する透過阻止率が十分に小さい。したがって、NF膜からなる第2半透膜43は、硫酸イオン(SO 2−)の透過を十分に阻止する一方、ナトリウムイオン(Na)、塩素イオン(Cl)、カリウムイオン(K)の透過を許容する。第2半透膜43の1価イオンの透過阻止率は、第1半透膜23の透過阻止率より低いことが好ましく、具体的には好ましくは90%以下であり、より好ましくは50%以下であり、一層好ましくは10%以下である。
放出室41の上流端(図2において左端)に低濃度仲介溶液路83の先端部が連なっている。放出室41の下流端(図2において右端)から仲介溶液回収路84が延びている。
仲介溶液回収路84に動力回収部51が介在されている。動力回収部51は、仲介溶液回収路84を通過するミョウバン水溶液wbの流体圧エネルギーを加圧ポンプ50の駆動エネルギーに変換する。動力回収部51と加圧ポンプ50が、エネルギーを伝達する伝達機構52にて接続されている。例えば、動力回収部51は、ギアポンプで構成されている。ミョウバン水溶液wbの流体圧でギアポンプが回転する。伝達機構52は、例えば、プーリ及びベルト機構で構成され、ギアポンプ51の回転エネルギーを加圧ポンプ50に伝達する。なお、動力回収部51としては、ギアポンプに限られず、種々の構造を採用でき、例えばダイアフラムポンプやプランジャーポンプなどの往復運動のポンプなどを用いてもよい。
動力回収部51より下流の仲介溶液回収路84と上記仲介分散液路88とが、混合部110において合流している。混合部110から仲介混合液路89が延びている。仲介混合液路89が上記溶解室11に連なっている。
溶解室11と吸収室22と析出室31と放出室41とが環状に連なり、閉鎖系Cが構成されている。閉鎖系Cにおいて、溶解室11と吸収室22が高濃度仲介溶液路81を介して連なっている。吸収室22と析出室31が中濃度仲介溶液路82を介して連なっている。析出室31と放出室41が、透過液室32及び低濃度仲介溶液路83を介して連なっている。放出室41と溶解室11が、仲介溶液回収路84と混合部110と仲介混合液路89を介して連なっている。更に、析出室31と溶解室11が、仲介分散液路88と混合部110と仲介混合液路89を介して連なっている。
淡水製造装置1Aには、熱交換器60が更に備えられている。熱交換器60は、互いに並行する4つの熱交換路61,62,63,64を有している。海水熱交換路61は、廃海水路73に介在されている。溶液熱交換路62は、透過液室32と加圧ポンプ50との間の低濃度仲介溶液路83に介在されている。淡水熱交換路63は、淡水取り出し路92に介在されている。回収溶液熱交換路64は、仲介溶液回収路84に介在されている。
溶液熱交換路62は、海水熱交換路61及び淡水熱交換路63の間に挟まれ、2つの熱交換路61,63の何れとも隣接している。溶液熱交換路62の上流端(図2において左端)は、熱交換器60における海水熱交換路61の下流端と同じ側に配置され、かつ淡水熱交換路63の下流端と同じ側に配置されている。溶液熱交換路62内の流れ方向は、海水及び淡水熱交換路61,63並びに回収溶液熱交換路64の流れ方向とは逆向きになっている。海水熱交換路61内の流れ方向と淡水熱交換路63内の流れ方向と回収溶液熱交換路64の流れ方向は互いに同じ向きになっている。
第2実施形態の淡水製造装置1Aの動作を説明する。
海水wa(被処理水)を導入路71から熱交換路34に導入する。海水waの導入路71での温度は、例えば25℃程度、塩分濃度は約3.5%であり、流量は例えば3単位である。海水waは、熱交換路34を通過しながら析出室31のミョウバン水溶液wbと熱交換し、加熱される。熱交換路34の出口での海水温度は例えば約55℃である。この温海水waを、熱交換路34より下流の海水導入路71(温海水路)を経て被吸収室21に導入する。
加熱部15にてミョウバン水溶液wbを加熱し、高温かつ高濃度のミョウバン水溶液wbを得る。
水分吸収工程
この高温かつ高濃度のミョウバン水溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に導入する。ミョウバン水溶液wbの仲介溶液路81での流量は、例えば2単位である。吸収室22への導入時のミョウバン水溶液wbの温度は、例えば約60℃であり、ミョウバン濃度は、およそ26%である。すなわち、100gの水に対し26gの無水ミョウバンが溶解している。
吸収室22内の高濃度ミョウバン水溶液wbの浸透圧が被吸収室21内の海水waの浸透圧より高いため、被吸収室21内の海水waの水分が、第1半透膜23を透過し、吸収室22内の高濃度ミョウバン水溶液wbに吸収される。海水waが加温されているため、吸収室22内のミョウバン水溶液wbが冷やされるのを防止できる。これにより、吸収室22内でミョウバンが析出するのを防止できる。
ミョウバン水容器wbによる水分吸収によって、被吸収室21の下流端(図2において左端)での海水waの塩分濃度は例えば約10%になる。被吸収室21の下流端での海水waの温度は例えば60℃であり、流量は例えば1単位である。この高温海水waを廃海水路73に導出する。この海水waを熱交換器60の海水熱交換路61に通す。これにより、海水waが、溶液熱交換路62の後記低濃度ミョウバン溶液wbに熱を与え、例えば約40℃まで冷却される。冷却後の海水waを、熱交換器60より下流の廃海水路73を経て、海等に廃棄する。被吸収室21からの高温の海水waを直接廃棄しないようにすることで、海洋環境に与える影響を軽減できる。
熱交換器60によって、ミョウバンの溶液wbを加熱し不飽和溶液にできる。したがって、後述するように、ミョウバン水溶液wbから水分を第2半透膜43で搾り出しても、ミョウバンが析出しないようにできる。
吸収室22におけるミョウバン水溶液wbの水分吸収量は、例えば2単位である。したがって、吸収後のミョウバン水溶液wbの流量は、4単位に増え、ミョウバン濃度が半減して約13%程度になる。
析出工程
上記の海水接触後のミョウバン水溶液wb(約13% 60℃)を、吸収室22から導出し、中濃度仲介溶液路82を経て析出室31に導入する。析出室31のミョウバン水溶液wbは、熱交換路(降温手段)34の海水waと熱交換して冷却される。冷却媒体として海水waを用いることで、ランニングコストを低減できる。しかも、ミョウバン水溶液wbの熱を海水waに移し、ミョウバン水溶液wbの冷却と同時に海水waを加熱でき、熱の利用効率を向上できる。
冷却後のミョウバン水溶液wbの温度は、例えば約34℃である。これにより、析出室31内のミョウバン水溶液wbからミョウバン結晶mが析出する。析出によりミョウバン水溶液wbが更に低濃度になる。
分離工程
ミョウバン結晶mは、分離膜33によって透過を阻止される。このミョウバン結晶mを含むミョウバン結晶分散液(析出体分散液)を、仲介分散液路88に導出する。析出室31内のミョウバン結晶分散液の温度は、水溶液wbの温度と同じく34℃である。
一方、析出室31内の低濃度のミョウバン水溶液wbは、分離膜33を透過して透過液室32に入る。透過液室32内のミョウバン水溶液wbのミョウバン濃度は、例えば9%であり、温度は34℃であり、流量は4単位である。
上記の低温かつ低濃度のミョウバン水溶液wb(約34℃、9%、流量4単位)を、透過液室32から低濃度仲介溶液路83に導出する。このミョウバン水溶液wbを熱交換器60の溶液熱交換路62に通す。また、上述したように、被吸収室21からの高温の海水wa(約60℃、流量1単位)を海水熱交換路61に通す。更に、淡水熱交換路63には高温の淡水wc(約50℃、流量2単位)を通す。また、回収溶液熱交換路64には、水分放出部40から出る濃縮ミョウバン水溶液wb(温度50℃、濃度17%、流量2単位)を通す。これにより、溶液熱交換路62のミョウバン水溶液wbが、海水熱交換路61の海水wa及び淡水熱交換路63の淡水wc並びに回収溶液熱交換路64の濃縮ミョウバン水溶液wbと熱交換して加熱される。加熱後のミョウバン水溶液wbの温度は、例えば約50℃になる。
水分放出工程
上記の高温かつ低濃度のミョウバン水溶液wb(約50℃、9%)を、加圧ポンプ50により約50気圧に加圧して放出室41に導入する。これにより、ミョウバン水溶液wbの水分が、第2半透膜43から淡水室42へ搾り出される。このとき、ミョウバン水溶液wbに加える圧力は、海水を直接、逆浸透膜に圧し当てて水分を搾り出し10%の濃縮塩水を排出するとした場合の約2/3程度にすることができ、第2半透膜43及び加圧ポンプ50の負担を軽減できる。
淡水室42に搾り出された淡水wcを淡水取り出し路92に導出する。淡水取り出し路92への導出時の淡水wcの温度は、例えば約55℃である。この高温の淡水wcを、淡水熱交換路63に通し、溶液熱交換路62のミョウバン水溶液wbと熱交換させる。これにより、淡水wcを冷却できる。冷却後の淡水wcの温度は、例えば約39℃である。この低温の淡水wcを、熱交換器60より後段の淡水取り出し路92から取り出し、種々の利用に供する。
放出室41のミョウバン水溶液wbは、水分の搾り出しによってミョウバン濃度が高まる。搾り出し後のミョウバン水溶液wbのミョウバン濃度は、例えば約18%である。放出室41内のミョウバン水溶液wbは高温(約50℃)になっているため、搾り出しにより濃度が高くなっても、ミョウバンが析出するのを防止できる。
このミョウバン水溶液wb(約18%、約50℃)を、仲介溶液回収路84に導出し、動力回収部51を経由させる。動力回収部51に導入時のミョウバン水溶液wbは、高圧になっている。動力回収部51は、ミョウバン水溶液wbの流体圧エネルギーを、加圧ポンプ50の駆動エネルギーに変換し、伝達機構52を介して加圧ポンプ50に供給する。これにより、加圧ポンプ50自体の駆動部の負担を軽減できる。
ミョウバン水溶液wbは、動力回収部51を通過することで減圧される。この後、ミョウバン水溶液wbは熱交換器60の回収溶液熱交換路64に通され冷却される。これにより、ミョウバン水溶液wbからミョウバン結晶mが析出するが、熱交換器60内であるため、析出結晶による膜の目詰まりを考慮する必要がない。ミョウバン水溶液wbは、析出結晶を含むスラリー溶液となる。減圧及び冷却後のミョウバン水溶液wb(スラリー液)を、動力回収部51より下流の仲介溶液回収路84を介し混合部110に送る。
混合工程
混合部110において、仲介溶液回収路84からのミョウバン水溶液wbと、仲介分散液路88からのミョウバン結晶分散液とを混合する。この混合流体を加熱部15にて約60℃まで加熱する。これにより、混合流体中のミョウバン結晶mが溶解し、高濃度(例えば約26%)のミョウバン水溶液wbが得られる。この高濃度ミョウバン水溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に供給する。したがって、ミョウバン水溶液wbを循環させて繰り返し使用できる。よって、系外からミョウバン水溶液wbを補充する必要がない。
仲介溶液wbの成分のうち少なくとも溶質(ミョウバン)が、閉鎖系C内に閉じ込められ、閉鎖系Cを循環する。仲介溶液wbの溶媒(水分)は、閉鎖系Cを循環しながら、水分吸収部20で補充され、水分放出部40で一部が放出される。
ここで、海水waのナトリウムイオンや塩素イオン(被処理溶質)が、微量ながら水分吸収部20の第1半透膜23を透過して吸収室22に侵入し、ミョウバン水溶液wbに混入することが考えられる。ミョウバン水溶液wbに混入した微量のナトリウムイオンや塩素イオンは、水分放出部40においてNF膜からなる第2半透膜43を透過し、淡水wcに移る。これによって、ミョウバン水溶液wbに被処理溶質のナトリウムイオンや塩素イオンが蓄積されるのを防止できる。これにより、淡水製造装置1Aの寿命が延ばすことができる。淡水wcにはナトリウムイオン又は塩素イオンが含まれることになるが、第1半透膜23を透過するナトリウムイオン又は塩素イオンが微量であるため、淡水wc中のナトリウムイオン又は塩素イオンは問題にならない程度に小さい。
図3は、本発明の第3実施形態を示したものである。
この実施形態に係る淡水製造装置1Bは、圧力容器2を備えている。圧力容器2は、軸線を上下に向けた筒状になっている。容器2は、数十気圧の高圧に耐え得る耐圧性を有している。圧力容器2の上端部及び下端部が開口されている。圧力容器2の下端の開口部に第1半透膜23が設けられている。第1半透膜23によって容器2の内部空間の下端部が閉塞されている。圧力容器2の上端の開口部にNF膜からなる第2半透膜43が設けられている。第2半透膜43によって容器2の内部空間の上端部が閉塞されている。
なお、容器2の耐圧性能が十分大きい場合、第2半透膜43は、NF膜に代えて、通常のRO膜でもよい。この点は、他の実施形態についても同様である。
半透膜23,43の耐圧保護のために、半透膜23,43を容器2の外側から機械的に保持してもよい。この場合、2種類の液wa,wb又はwb,wcが膜23,43を介して十分に接する程度の面積を確保する。たとえば、容器2の上下の両端部に金網をそれぞれ設け、各金網が膜23,43の外側面に接するようにしてもよい。これにより、容器2の内部の圧力を金網で受けることができ、膜23,43を保護することができる。
圧力容器2の内部に飽和濃度の仲介溶液wbが充填されている。圧力容器2の内部空間が閉鎖系Cを構成している。閉鎖系C内に仲介溶質(カリウムミョウバン又はナトリウムミョウバン)が出入り不能に閉じ込められている。仲介溶液wbの溶媒(水)は、半透膜23,43を介して閉鎖系Cに出入り可能になっている。圧力容器2すなわち閉鎖系の内圧ひいては仲介溶液wbの液圧は、定常状態で例えば約30barの高圧になっている。第3実施形態は、閉鎖系Cの全体が高圧である点で、閉鎖系Cのうち放出室41のみを高圧にする第2実施形態(図2)と異なっている。
圧力容器2の下側に被吸収室画成部20Bが設けられている。被吸収室画成部20Bは、第1半透膜23と協働して被吸収室21を画成している。被吸収室21の容積は十分に大きい。被吸収室21と圧力容器2の内部空間とが、第1半透膜23によって仕切られている。被吸収室21の内圧は略大気圧である。したがって、閉鎖系Cの内圧は、被吸収室21より高圧である。閉鎖系C内の仲介溶液wbは、被吸収室21内の被処理水waより高圧である。
被吸収室画成部20Bを省略し、圧力容器2の下端部を海中に配置してもよい。
圧力容器2の上側に淡水室画成部40Bが設けられている。淡水室画成部40Bは、第2半透膜43と協働して淡水室42を画成している。淡水室42と圧力容器2の内部空間とが、第2半透膜43によって仕切られている。
圧力容器2内の下側部分に仲介溶液加熱部15が熱的に接続されている。仲介溶液加熱部15は、例えば熱媒を通すコイル状の加熱パイプ15aを有している。加熱パイプ15aが圧力容器2内の下側部分に収容されている。加熱部15の加熱源としては、例えば太陽熱集熱器を用いることができる。加熱源として、工場排熱や電熱ヒータ等を用いてもよい。加熱部15は、仲介溶液wbの温度を上げる昇温手段を構成する。
圧力容器2内の上側部分に仲介溶液冷却部35が熱的に接続されている。仲介溶液冷却部35は、コイル状の冷却パイプ35aを有している。冷却パイプ35aが圧力容器2内の上側部分に収容されている。冷却パイプ35aに冷媒が通される。冷媒として、例えば常温の水等が通される。冷媒として、被吸収室21に導入する前の常温の海水(被処理水)を用いてもよい。図示は省略するが、冷却パイプ35aの外周面には付着防止膜がコーティングされている。付着防止膜は、樹脂等の析出体mが付着しにくい材質にて構成されている。このような材質として、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
冷却部15は、仲介溶液wbの温度を下げる降温手段を構成する。
加熱パイプ15aと冷却パイプ35aは、互いの温度制御が干渉しないよう、すなわち溶液中の熱伝導が加熱エネルギーに比較して十分小さくなるように、上下に十分に離れている。
第3実施形態の淡水製造装置1Bの動作を説明する。
なお、以下の説明では、仲介溶液wbがカリウムミョウバン水溶液であるものとする(後述する第4実施形態の仕様例において同じ)。以下の説明で例示する仲介溶液wbの浸透圧の数値は、カリウムミョウバン水溶液の浸透圧であり、しかも溶質のカリウムミョウバンが完全に電離していると仮定した浸透圧である。すなわち、カリウムミョウバン水溶液中では、1モルのカリウムミョウバン(AlK(SO)が、4モルのイオン(Al3++K+2SO 2−)に電離していると仮定している。実際のカリウムミョウバン水溶液は、カリウムミョウバンの電離がえてして不完全である。電離が不完全である場合の浸透圧は、完全に電離した場合より低い。
加熱部15によって圧力容器2内の下側部分の仲介溶液wbを例えば50℃程度に加温する。また、冷却部35によって圧力容器2内の上側部分の仲介溶液wbを例えば約25℃程度にする。
水分吸収工程
被吸収室21内の被処理水waと圧力容器2内の下端の仲介溶液wbとが、第1半透膜23を介して接触する。被吸収室21内の被処理水(海水)waの温度は約25℃、浸透圧は約30barである。これに対し、50℃の飽和仲介溶液(カリウムミョウバン飽和水溶液)wbの浸透圧は69bar程度である。したがって、第1半透膜23を挟んで両側の液wa,wbの浸透圧差(39bar)が、仲介溶液wbの液圧すなわち閉鎖系Cの内圧(後述するように30bar程度)を上回る。(被吸収室21の内圧は略大気圧であるから、考慮の必要がない。)よって、被吸収室21内の被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過し、圧力容器2内の仲介溶液wbに吸収される。
圧力容器2の内部空間における第1半透膜23の上面と接する下端部分が、吸収室22を構成する。
第3実施形態では、十分に大きな被吸収室21内に被処理水(海水)waが蓄えられているから、水分が吸収室22に吸い取られても、海水waの濃度ひいては浸透圧は殆ど変化しない。したがって、圧力容器2の下側部の仲介溶液wbの浸透圧を、例えば後記第4実施形態の吸収室22内での浸透圧よりも低くできる。したがって、加熱温度を低くでき、昇温手段15の負担を軽減できる。
なお、淡水製造装置1Bの運転開始当初は、圧力容器2内は高圧になっていない。
圧力容器2の容積は被処理水waからの水分吸収に拘わらずほぼ一定であるから、圧力容器2の内圧(仲介溶液wbの液圧)が水分吸収によって上昇する。仲介溶液wbの液圧は、上記浸透圧差と釣り合う大きさまで上昇できる。これにより、仲介溶液wbの液圧を定常状態で例えば30bar程度の高圧にすることができる。
析出工程
圧力容器2の内部において、下部の比較的高温の仲介溶液wbが対流によって上方へ移動する。この仲介溶液wbが冷却部35により冷却される。これにより、圧力容器2内の上側部分で仲介溶質(ミョウバン)の析出体mが析出する。特に、冷却パイプ35aの外周面の近傍で析出が起きる。
圧力容器2内の上側部分(冷却パイプ35aの周辺)は、析出室31を構成する。
水分放出工程
析出体mの析出によって、仲介溶液wbの溶質濃度及び浸透圧が低下する。この低濃度かつ低浸透圧の仲介溶液wbが第2半透膜43の下面に押し当てられる。仲介溶液wbの液圧は、定常状態では約30bar程度になり、該仲介溶液wbの25℃での浸透圧(25bar)より大きくなる。淡水室42での淡水wcの液圧は略大気圧、浸透圧は略0barであるから、考慮の必要がない。そのため、仲介溶液wb中の水分(溶媒)が第2半透膜43を透過し、淡水室42へ搾り出される。これにより、淡水取り出し路92から淡水wcを取り出すことができる。
圧力容器2の内部空間における第2半透膜43の下面と接する上端部分が、放出室41を構成する。
析出体下降工程
析出体mの比重は仲介溶液wbの比重より大きい。したがって、圧力容器2内の上側部分で析出した析出体mが、仲介溶液wb中を下降する。冷却パイプ35aの外周面には樹脂膜が設けられているため、冷却パイプ35aの外周面上で析出した析出体mは、冷却パイプ35aから容易に剥離し、仲介溶液wb中を下降する。
なお、冷却部35の冷却温度を数℃程度上げて戻す操作を一定の時間間隔置きに反復することにしてもよい。これにより、冷却パイプ35aの外周面上で析出体mが析出したとしても、この析出体mを冷却パイプ35aから速やかに剥離させることができる。
溶解工程
仲介溶液wb中の析出体mは、圧力容器2内の下側部分まで下降したとき、仲介溶液加熱部15の加温により溶解する。
圧力容器2内の下側部分(加熱パイプ15aの周辺)は、溶解室11を構成する。
溶解によって、圧力容器2内の下側部分の仲介溶液wbが高濃度かつ高浸透圧(90bar超)になる。この高浸透圧の仲介溶液wbが第1半透膜23を介して被吸収室21の被処理水waから水分を吸収する。
このようにして、圧力容器2からなる閉鎖系C内で溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を循環的に行ない、淡水wcを連続的に生産することができる。
図4は、本発明の第4実施形態を示したものである。
この実施形態に係る淡水製造装置1Cは、溶解部10Cと、水分吸収部20と、析出部30Cと、水分放出部40を備えている。これら4つの要素10C,20,30C,40が互いに環状に連結されている。
溶解部10Cは、2つの熱交換路11,12を有する対向流型の熱交換器にて構成されている。2つの熱交換路11,12は、流体を互いに反対方向に流す対向流路を構成している。一方の熱交換路11は、仲介溶液回収路84と高濃度仲介溶液路81の間に介在されている。この熱交換路11が溶解室として提供されている。すなわち、装置1Cの溶解室11は、通路状になり、他方の熱交換路12と熱交換可能になっている。他方の熱交換路12は、被処理水排出路73の中途部に介在されている。
水分吸収部20が、被吸収室21と、吸収室22と、これら室21,22を仕切る第1半透膜23とを有している。この点は、第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図2)と同じである。水分吸収部20の容器本体は、耐圧性を有している。
析出部30Cは、2つの熱交換路31,34を有する対向流型の熱交換器にて構成されている。2つの熱交換路31,34は、流体を互いに反対方向に流す対向流路を構成している。一方の熱交換路31は、中濃度仲介溶液路82と低濃度仲介溶液路83の間に介在されている。この熱交換路31が析出室として提供されている。すなわち、装置1Cの析出室31は、通路状になり、他方の熱交換路34と熱交換可能になっている。他方の熱交換路34は、被処理水導入路71の中途部に介在されている。熱交換路34は、析出室31の仲介溶液wbの温度を下げる降温手段になっている。熱交換路34を通る被処理水(海水)waが、冷媒として提供されている。
水分放出部40が、放出室41と、淡水室42と、これら室41,42を仕切る第2半透膜43とを有していることは、第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図2)と同じである。2種類の液wb,wcがそれぞれ室41,42内を通過するように流れる。従来のROモジュールは、デッドエンドが存在し、ここでは使えない。第2半透膜43を中空糸状にする場合、該中空糸状の第2半透膜43の両端部を水分放出部40の耐圧性の容器本体にて支持し、放出室41及び淡水室42内を各液wb,wcが確実に流通できるようにする。第2半透膜43を螺旋状にする場合、螺旋状の放出室41及び淡水室42内を各液wb,wcが確実に流通できるようにする。
溶解室11と、吸収室22と、析出室31と、放出室41が、環状に連なり、閉鎖系Cを構成している。第3実施形態(図3)と同様に、閉鎖系C内の全体が高圧になっている。閉鎖系Cの内圧は、定常状態で例えば約30barである。
高濃度仲介溶液路81に仲介溶液用送液ポンプ101が設けられている。
送液ポンプ101は、高濃度仲介溶液路81に設けるのに代えて、中濃度仲介溶液路82、低濃度仲介溶液路83、仲介溶液回収路84の何れかに設けてもよい。
熱交換路34より上流側の被処理水導入路71に被処理水用送液ポンプ102が設けられている。
なお、送液ポンプ102は、析出部30Cと水分吸収部20との間の導入路71に設けてもよく、被処理水排出路73に設けてもよい。
析出部30Cと水分吸収部20との間の被処理水導入路71には、被処理水加熱部120が介在されている。被処理水加熱部120は、例えば太陽熱集熱器にて構成されている。加熱部120は、該加熱部120より下流の被処理水導入路71、被吸収室21、被吸収室21と廃水熱交換路12との間の被処理水排出路73、及び廃水熱交換路12を順次介して、溶解室11に熱的に接続されている。太陽熱集熱器からなる加熱部120で集熱した太陽熱が、上記経路71,21,73,12を経て、溶解室11の仲介溶液wbへ伝達される。加熱部120は、被処理水waを介して溶解室11の仲介溶液wbを昇温する昇温手段を構成している。
加熱部120として太陽熱集熱器に代えて、工場排熱回収部や電熱ヒータ等を用いてもよい(他の実施形態において同様)。
第4実施形態の淡水製造装置1Cの動作を説明する。
水分吸収工程
被処理水waを、送液ポンプ102によって、熱交換路34、加熱部120、被吸収室21、廃水熱交換路12の順に送る。被処理水waを、上記の流通の途中、熱交換器30Cにて加温し、更に加熱部120によって加温する。高温化した被処理水waを、水分吸収部20の被吸収室21に通す。
また、閉鎖系C内の仲介溶液wbを、送液ポンプ101によって、溶解室11、吸収室22、析出室31、放出室41の順に循環させる。吸収室22での仲介溶液wbは、高温、高濃度かつ高浸透圧になっている。よって、水分吸収部20において、被吸収室21の被処理水waの水分が第1半透膜23を透過して吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。
第3実施形態(図3)と同様に、閉鎖系C全体の内圧(仲介溶液wbの液圧)が水分吸収によって上昇し、定常状態では30bar程度になる。
析出工程
水分吸収後の仲介溶液wbを熱交換器(析出部)30Cへ送る。熱交換器30Cにおいて、熱交換路(析出室)31を通る仲介溶液wbと、熱交換路34を通る被処理水waとが熱交換する。被処理水waは仲介溶液wbから熱を奪い、加温される。仲介溶液wbは被処理水waに熱を与えて冷却される。冷却によって、仲介溶液wb中の溶質(ミョウバン)が析出する。これにより、仲介溶液wbの溶媒濃度及び浸透圧が低下する。
水分放出工程
上記析出体mを含む仲介溶液wbを、水分放出部40の放出室41に送る。放出室41での仲介溶液wbの液圧は30bar程度の高圧であり、該仲介溶液wbの浸透圧を上回る。したがって、仲介溶液wbの水分が、第2半透膜43を透過し、淡水室42に搾り出される。これにより、淡水wcを取り出すことができる。
溶解工程
その後、仲介溶液wbを放出室41から導出し、熱交換器(溶解部)10Cの熱交換路(溶解室)11に送る。また、被吸収室21からの被処理水waを熱交換路12に導入する。熱交換器10Cにおいて、これら仲介溶液wbと被処理水waとが熱交換する。被処理水waは仲介溶液wbに熱を与え、冷却される。冷却後の被処理水waを廃棄する。仲介溶液wbは、熱交換器10Cにおいて被処理水waから熱を奪い、加温される。仲介溶液wbが高温化されることによって、仲介溶液wb中の析出体mが溶解する。これにより、仲介溶液wbの溶媒濃度及び浸透圧が高まる。この仲介溶液wbを水分吸収部20へ導入する。
このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を循環的に行ない、淡水wcを連続的に生産することができる。
被処理水waの源液(海水)を析出部30Cの冷却源にし、太陽熱を溶解部10Cの加熱源にすることで、熱を有効に利用できる。
更に淡水製造装置1Cの仕様例を説明する。以下の数値は例示であり、本発明がこれら数値に限定されないことは言うまでもない。
例えば、被処理水waの源液(海水)は、初期温度25.0℃であり、浸透圧29.6barである。この被処理水waを流量5.5mol/secで被処理水導入路71に通し、熱交換器30Cの被処理水熱交換路34に導入する。1mol/secは1.08L/min程度である。
熱交換器30Cの熱交換容量は11.65kWであり、平均対数温度差は4.8℃とする。
被処理水熱交換路34の出口での被処理水waは、流量5.5mol/sec、温度53.3℃、浸透圧32.4barになる。
この被処理水waを太陽熱集熱器等からなる加熱部120で加温し、流量5.5mol/sec、温度60.0℃、浸透圧33.1barにする。この被処理水waを水分吸収部20の被吸収室21に導入する。水分吸収部20で被処理水waの水分が仲介溶液wbに吸収されることで、被吸収室21の出口での被処理水waは、流量3.3mol/sec、温度60.0℃、浸透圧55.1barになる。この被処理水waを熱交換器10Cの廃水熱交換路12に導入する。
熱交換器10Cの熱交換容量は6.84kWであり、平均対数温度差は2.6℃とする。廃水熱交換路12の出口での被処理水waは、流量3.3mol/sec、温度32.5℃、浸透圧50.6barになる。この被処理水waを廃棄する。
溶解室11の入口での仲介溶液(カリウムミョウバン水溶液)wbは、例えば流量3.3mol、温度30.0℃、浸透圧30.4barとする。この仲介溶液wbが廃水熱交換路12の被処理水waと熱交換する。溶解室11の出口での仲介溶液wbは、流量3.3mol/sec、温度57.4℃、浸透圧95.5barになる。この仲介溶液wbを水分吸収部20の吸収室22に導入する。この仲介溶液wbが、被吸収室21の被処理水waから水分を吸収する。吸収室22の出口での仲介溶液wbは、流量5.5mol/sec、温度58.0℃、浸透圧98.3barになる。この仲介溶液wbを熱交換器30Cの析出室31に導入し、被処理水熱交換路34の被処理水waと熱交換させる。
熱交換器30Cでの熱交換によって、析出室31の出口での仲介溶液wbは、流量5.5mol/sec、温度30.0、浸透圧30.4barになる。この仲介溶液wbを水分放出部40の放出室41に導入する。水分放出部40において、仲介溶液wbの水分が搾り出される。水分放出部40での淡水wcの生産量は、2.2mol/secになる。この淡水wcが、温度30.0℃、浸透圧0.0barにて淡水取り出し路92から送出される。放出室41の出口での仲介溶液wbは、流量3.3mol、温度30.0℃、浸透圧30.4barになる。この仲介溶液wbが熱交換器10Cの溶解室11に導入される。
この仕様例では、1日当たり7時間の稼働で1mの淡水を生成できる。1Lの淡水を生成するのに必要な熱量は70kJであり、太陽熱集熱器120にて容易に得ることができる。ちなみに、蒸発法では340kJ程度の熱量が必要になる。
淡水製造装置1Cにおいては、熱交換器10Cにおける被処理水waと仲介溶液wbの流量を互いに等しくすることができる。同様に、熱交換器30Cにおける被処理水waと仲介溶液wbの流量を互いに等しくすることができる。したがって、熱交換不整合に因る損失が生じるのを防止できる。
図5は、本発明の第5実施形態を示したものである。第5実施形態の淡水製造装置1Dは、第4実施形態の高圧閉鎖系Cに第2実施形態の析出体分離構造を組み合わせたものである。
淡水製造装置1Dの析出部30Cには、分離部37が付加されている。分離部37は、容器状になっている。分離部37内に分離膜33(分離手段)が設けられている。分離膜33によって、分離部37の内部空間が分離室38と透過液室32とに区画されている。分離室38が、析出室31の下流に連なっている。透過液室32が、低濃度仲介溶液路83を介して放出室41に連なっている。
分離室38から仲介分散液路88が延びている。仲介分散液路88に仲介分散液用送液ポンプ103が設けられている。仲介分散液路88と仲介溶液回収路84が混合部110で合流している。混合部110が仲介混合液路89を介して溶解室11に連なっている。この点は、第2実施形態(図2)と同じである。
第5実施形態では、閉鎖系Cの全体が高圧系である点で、第2実施形態と異なっている。第5実施形態の閉鎖系Cは、室11,22,31,38,32,41及び路81,82,83,84,89を含む。
第5実施形態では、析出室31の析出体mと仲介溶液wbとの分散液を分離室38に導入する。この分散液のうち、析出体mは、分離膜33によって透過を阻止される。仲介溶液wbのみが分離膜33を透過して透過液室32に入る。これによって、析出体mを含まない仲介溶液wbを放出室41へ送ることができる。これにより、第2半透膜43の目詰まりや損傷を防止できる。
分離室38に残った析出体mを、分散液ポンプ103によって仲介分散液路88を経て混合部110に送る。混合部110において、放出室41からの仲介溶液wbと仲介分散液路88からの析出体mとを混合する。この混合液を仲介混合液路89を経て溶解室11へ送る。
その他の動作については、第4実施形態と同様である。
図6は、本発明の第6実施形態を示したものである。第6実施形態に係る淡水製造装置1Eは、仲介溶液間熱交換器130を備えている。熱交換器130は、対向流型の熱交換器を構成している。熱交換器130の一対の熱交換路のうち一方が溶解室11を構成し、他方の熱交換路が析出室31を構成している。
溶解室11と吸収室22と析出室31と放出室41が環状に連なり、環状の閉鎖系Cを構成している。この点は、第4実施形態(図4)と同様である。閉鎖系Cの全体が、例えば約30barの高圧になっている。
被処理水導入路71には、太陽熱集熱器等からなる加熱部120が設けられている。加熱部120は、該加熱部120より下流の被処理水導入路71、被吸収室21、吸収室22、中濃度仲介溶液路82、及び析出室31を順次介して、溶解室11に熱的に接続されている。加熱部120は、被処理水waを介して溶解室11の仲介溶液wbの温度を上げる昇温手段を構成している。
装置1Eの水分吸収部20は、被吸収室21と吸収室22と一対の熱交換路を構成する対向流型の熱交換器になっている。被吸収室21の被処理水waと吸収室22の仲介溶液wbとが第1半透膜23を介して熱交換する。
さらに、淡水製造装置1Eは、淡水冷却部90を備えている。淡水冷却部90は、例えばクーリングタワーにて構成されている。クーリングタワーは、滴化した淡水wcに外気を吹き付けて冷却する。淡水導入路91が、淡水冷却部90から延び出て淡水室42の上流端に連なっている。図示は省略するが、淡水取り出し路92から淡水戻し路が分岐し、この淡水戻し路が淡水冷却部90の給水ポートに連なっている。淡水冷却部90は、淡水導入路91、淡水室42、放出室41、仲介溶液回収路84、溶解室11を順次介して、析出室31に熱的に接続されている。淡水冷却部90は、淡水wcを介して析出室31の仲介溶液wbの温度を下げる降温手段を構成している。
淡水冷却部90として、クーリングタワーに代えて、空冷器やヒートポンプ等の他の冷却装置を用いてもよい。
装置1Eの水分放出部40は、放出室41と淡水室42と一対の熱交換路を構成する対向流型の熱交換器になっている。放出室41の仲介溶液wbと淡水室42の淡水wcとが第2半透膜43を介して熱交換する。
第6実施形態の淡水製造装置1Eの動作を説明する。
仲介溶液wbを、溶解室11、吸収室22、析出室31、放出室41の順に循環させる。放出室41から溶解室11に導入される仲介溶液wbには析出体mが含まれている。
溶解工程
熱交換器130において、溶解室11を通過する低温の仲介溶液wbが、析出室31を通過する高温の仲介溶液wbから熱を受け取る。これにより、溶解室11の仲介溶液wbが加温され、析出体mが溶解する。
水分吸収工程
析出体mの溶解により仲介溶液wbの濃度が高まり、浸透圧が高まる。この高濃度、高浸透圧の仲介溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に送る。
併行して、被処理水waを加熱部120により加温した後、被吸収室21に送る。この被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過し、吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。同時に、吸収室22の仲介溶液wbは、被吸収室21の被処理水waから熱を受け取り、加温される。
析出工程
水分吸収後かつ昇温後の仲介溶液wbを、中濃度仲介溶液路82を介して析出室31に送る。この仲介溶液wbが、析出室31を通過しながら、溶解室11の仲介溶液wbに熱を与え、冷却される。これによって、析出室31の仲介溶液wbから析出体mが析出する。析出体mの析出によって、仲介溶液wbの濃度が低下し、浸透圧が低下する。この低濃度、低浸透圧の仲介溶液wbを、仲介溶液回収路84を経て放出室41に送る。
水分放出工程
淡水冷却部90によって淡水wcを常温まで冷却する。冷却時に淡水wcの一部が蒸発してトータルの淡水wcの量が減少するが、水の潜熱が大きいため、減少量は僅少である。冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。淡水室42を流れる淡水wcによって放出室41の仲介溶液wbが更に冷却される。
閉鎖系Cの内圧は、約30barになっている。ひいては、放出室41の仲介溶液wbの液圧が、該仲介溶液wbの浸透圧を上回っている。よって、放出室41の仲介溶液wbの水分が第2半透膜43を透過し、淡水室42に搾り出される。この淡水wcを淡水取り出し路92に導出する。この淡水wcの一部又は全部を、淡水冷却部90に送り、降温手段用の淡水wcとして供する。
なお、淡水冷却部90への給水源として、淡水製造装置1Eの生産水wcに代えて、別途に準備した淡水を用いてもよい。
その後、仲介溶液wbを放出室41から仲介溶液回収路84を経て溶解室11に送る。このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、淡水wcを連続的に生産できる。
熱交換器130を構成する2つの熱交換路11,31の内圧(約30bar)は互いに等しい。したがって、熱交換器130の外殻だけを耐圧仕様にすれば、熱交換器130の内部構造を耐圧仕様にする必要がなく、構造を簡素化できる。
図7は、本発明の第7実施形態を示したものである。第7実施形態は、被処理水waの経路の変形例に係る。
被処理水waの経路には被処理水間熱交換器140が設けられている。熱交換器140は、一対の熱交換路141,142を有している。これら熱交換路141,142は、互いに対向流路を構成している。熱交換往路141は、被処理水導入路71の加熱部120より上流側の部分に介在されている。熱交換復路142は、被処理水排出路73に介在されている。
熱交換往路141には常温の被処理水waが通される。熱交換復路142には、高温の被処理水waが通される。これらの温度が異なる被処理水waが熱交換し、熱交換復路142の被処理水waの熱が熱交換往路141の被処理水waに移される。熱交換往路141において被処理水waを加温することによって、加熱部120の負担を軽減できる。また、熱交換復路142の被処理水waの廃熱を熱交換往路141の被処理水waに戻すことができ、熱を効率的に利用できる。
図8は、本発明の第8実施形態を示したものである。
第8実施形態に係る淡水製造装置1Fは、溶解部兼水分吸収部20Fと、析出部兼水分放出部40Fを備えている。溶解部兼水分吸収部20Fは、被吸収室21と、溶解室兼吸収室22Fと、これら室21,22Fを仕切る第1半透膜23を有している。被吸収室21及び溶解室兼吸収室22Fは、流体wa,仲介溶液wbの流れ方向に十分に長い通路状になっている。溶解室兼吸収室22Fの上流側部分(図8において左側)は、溶解室11として提供されている。溶解部兼水分吸収部20Fは、被吸収室21を流れる被処理水waと溶解室兼吸収室22Fを流れる仲介溶液wbとが第1半透膜23を介して熱交換可能な対向流型の熱交換器を構成している。
析出部兼水分放出部40Fは、析出室兼放出室41Fと、淡水室42と、これら室41F,42を仕切る第2半透膜43を有している。析出室兼放出室41F及び淡水室42は、流体wb,wcの流れ方向に十分に長い通路状になっている。析出室兼放出室41Fの上流側部分(図8において右側)は、析出室31として提供されている。析出部兼水分放出部40Fは、析出室兼放出室41Fを流れる仲介溶液wbと淡水室42を流れる淡水wcとが第2半透膜43を介して熱交換可能な対向流型の熱交換器を構成している。
仲介溶液回収路84が、析出室兼放出室41Fの下流端から延びて溶解室兼吸収室22Fの上流端(溶解室11)に連なっている。中濃度仲介溶液路82が、溶解室兼吸収室22Fの下流端から延びて析出室兼放出室41Fの上流端(析出室31)に連なっている。これによって、溶解室兼吸収室22Fと析出室兼放出室41Fが環状に連なり、閉鎖系Cを構成している。閉鎖系Cの全体が、例えば約30barの高圧になっている。
中濃度仲介溶液路82に仲介溶液用送液ポンプ101が設けられている。送液ポンプ101によって、仲介溶液wbが、溶解室兼吸収室22F、中濃度仲介溶液路82、析出室兼放出室41F、仲介溶液回収路84の順に循環される。
送液ポンプ101を中濃度仲介溶液路82に代えて仲介溶液回収路84に設けてもよい。
被処理水導入路71には、第6実施形態と同様に、太陽熱集熱器等からなる加熱部120が設けられている。加熱部120は、該加熱部120より下流の被処理水導入路71及び被吸収室21を介して、溶解室兼吸収室22Fに熱的に接続されている。また、クーリングタワーからなる淡水冷却部90が、淡水導入路91及び淡水室42を介して析出室兼放出室41Fに熱的に接続されている。冷却部90として、クーリングタワーに代えて、空冷器やヒートポンプ等の他の冷却手段を用いてもよい。
第8実施形態の淡水製造装置1Fの動作を説明する。
溶解工程、水分吸収工程
被処理水waを加熱部120により加温した後、被吸収室21に導入する。また、析出体mを含む仲介溶液wbを、仲介溶液回収路84から溶解室兼吸収室22Fの上流部(溶解室11)に導入する。溶解部兼水分吸収部20Fにおいて、被吸収室21の被処理水waと溶解室兼吸収室22Fの仲介溶液wbとが互いに対向方向に流れながら熱交換し、被処理水waの熱が仲介溶液wbに与えられる。これにより、仲介溶液wbが加温され、析出体mが溶解する。したがって、溶解室兼吸収室22Fの主に下流側の部分(図8において右側)では、仲介溶液wbが高濃度になり、浸透圧が高まる。これによって、被吸収室21の被処理水waの水分が第1半透膜23を透過し、溶解室兼吸収室22Fの仲介溶液wbに吸収される。
析出工程、水分放出工程
水分吸収によって低濃度になった仲介溶液wbを、中濃度仲介溶液路82を経て、析出室兼放出室41Fに送る。
また、淡水冷却部90で淡水wcを常温まで冷却する。冷却時に淡水wcの一部が蒸発してトータルの淡水wcの量が減少するが、水の潜熱が大きいため、減少量は僅少である。冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。
析出部兼水分放出部40Fにおいて、析出室兼放出室41Fの仲介溶液wbと淡水室42の淡水wcとが互いに対向方向に流れながら熱交換し、仲介溶液wbの熱が淡水wcに奪われる。これにより、仲介溶液wbが冷却され、析出体mが析出する。したがって、析出室兼放出室41Fの主に下流側の部分(図8において左側)では、仲介溶液wbが低濃度かつ低浸透圧になる。これにより、仲介溶液wbの液圧が、該仲介溶液wbの浸透圧を上回り、仲介溶液wbの水分が第2半透膜43を透過して淡水室42に搾り出される。この淡水wcを淡水取り出し路92に導出し、その一部又は全部を、淡水冷却部90に送り、上記冷却用の淡水wcとして供する。
析出体mが析出した仲介溶液wbは、析出室兼放出室41Fから仲介溶液回収路84に導出し、溶解室兼吸収室22Fに送る。このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、淡水wcを生産できる。
図9は、本発明の第9実施形態を示したものである。第9実施形態に係る淡水製造装置1Gは、水分吸収部20と、水分放出部40と、これら水分吸収部20及び水分放出部40の間に設けられた圧力容器200とを備えている。圧力容器200は、軸線を上下に向けた筒状になっている。圧力容器200内に飽和濃度の仲介溶液wbが充填されている。
圧力容器200の下側部分から吸収往路181が延びている。吸収往路181が、水分吸収部20の通路状の吸収室22の上流端に連なっている。吸収室22の下流端から吸収復路182が延びている。吸収復路182が、圧力容器200の下側部分に連なっている。圧力容器200の吸収往路181との接続部分と、吸収復路182との接続部分は、圧力容器200の互いに反対側の壁部分に向き合うようにして配置されている。吸収復路182に吸収用送液ポンプ104が設けられている。
送液ポンプ104を、吸収復路182に代えて、吸収往路181に設けてもよい。
圧力容器200の上側部分から放出往路183が延びている。放出往路183が、水分放出部40の通路状の放出室41の上流端に連なっている。放出室41の下流端から放出復路184が延びている。放出復路184が、圧力容器200の上側部分に連なっている。圧力容器200の放出往路183との接続部分と、放出復路184との接続部分は、圧力容器200の互いに反対側の壁部分に向き合うようにして配置されている。
放出往路183に放出用送液ポンプ105が設けられている。放出用送液ポンプ105を、放出往路183に代えて放出復路184に設けてもよい。
圧力容器200と吸収室22と放出室41は、往復路181〜184を介して互いに連なり、閉鎖系Cを構成している。閉鎖系C全体の内圧が、30bar程度の高圧になっている。
水分吸収部20は、第6実施形態と同様に熱交換器になっている。被吸収室21と吸収室22が、互いに対向流をなす一対の熱交換路を構成している。被吸収室21の被処理水waと吸収室22の仲介溶液wbが第1半透膜23を介して熱交換可能になっている。第1半透膜23は、平面状でもよいが、好ましくは中空糸膜にて構成されている。
加熱部120が、該加熱部120より下流の被処理水導入路71、被吸収室21、吸収室22、及び吸収復路182を順次介して、圧力容器200の下側部分に熱的に接続されている。圧力容器200内の下側部分の仲介溶液wbは、相対的に高温になっている。
加熱部120は、熱交換器20を介して圧力容器200内の下側部分の仲介溶液wbの温度を上げる昇温手段を構成している。
水分放出部40は、第6実施形態と同様に熱交換器になっている。放出室41と淡水室42が、互いに対向流をなす一対の熱交換路を構成している。淡水室42の淡水wcと放出室41の仲介溶液wbが第2半透膜43を介して熱交換可能になっている。第2半透膜43は、平面状でもよいが、好ましくは中空糸状のNF膜にて構成されている。
クーリングタワーからなる淡水冷却部90が、淡水導入路91、淡水室42、放出室41、及び放出復路184を順次介して、圧力容器200の上側部分に熱的に接続されている。圧力容器200内の上側部分の仲介溶液wbは、相対的に低温になっている。
冷却部90は、熱交換器40を介して圧力容器200内の上側部分の仲介溶液wbの温度を下げる降温手段を構成している。
第9実施形態の淡水製造装置1Gの動作を説明する。
水分吸収工程
圧力容器200の下側の比較的高温の仲介溶液wbは、高濃度かつ高浸透圧になっている。この仲介溶液wbを、吸収往路181を経て吸収室22に導入する。併行して、被処理水waを被処理水導入路71の途中で加熱部120にて加温したうえで、被吸収室21に導入する。これにより、被吸収室21の被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過して吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。また、仲介溶液wbは、被吸収室21の温被処理水waから熱を受け取り、加温される。
吸収室22を通過後の仲介溶液wbを、吸収復路182を経て圧力容器200の下側部分に戻す。
圧力容器200の下側部分と吸収室22との間で仲介溶液wbを循環させることによって、水分吸収を促進させることができる。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。この結果、水分吸収部20ひいては第1半透膜23をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜23の耐圧性能を容易に確保できる。
例えば、被処理水導入路71における被処理水waの流量は、12L/minである。吸収往路181における仲介溶液wbの流量は、10L/minである。水分吸収部20における仲介溶液wbの水分吸収流量は、2L/minである。被処理水waの被処理水排出路73への導出流量は、10L/minになる。仲介溶液wbの吸収復路182における流量は、12L/minになる。
仲介溶液wbが水分吸収部20で水分を吸収することにより、閉鎖系C全体の内圧が、例えば30bar程度の高圧になる。
析出工程
圧力容器200の内部において、下部の比較的高温の仲介溶液wbが上方へ移動する。この仲介溶液wbが圧力容器200の低温の上側部分で冷却され、析出体mが析出する。析出体mの析出によって、仲介溶液wbが低濃度かつ低浸透圧になる。
圧力容器200内の上側部分は、析出室31を構成する。
水分放出工程
圧力容器200の上側部分の低濃度かつ低浸透圧の仲介溶液wbを、放出往路183を経て放出室41に導入する。また、淡水冷却部90にて淡水wcを常温(約25℃)まで冷却し、冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。
放出室41の仲介溶液wbの液圧(30bar程度)は、該仲介溶液wbの浸透圧より大きい。よって、仲介溶液wbの水分が、例えば中空糸状のNF膜からなる第2半透膜43を透過し、淡水室42へ搾り出される。これにより、淡水取り出し路92から淡水wcを取り出すことができる。
その後、仲介溶液wbを放出室41から放出復路184を経て圧力容器200の上側部分に戻す。
圧力容器200の上側部分と放出室41との間で仲介溶液wbを循環させることによって、水分放出を促進させることができる。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。この結果、水分放出部40ひいては第2半透膜43をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜43の耐圧性能を容易に確保できる。
例えば、放出往路183を経て放出室41に導入される仲介溶液wbの流量は、12L/minである。淡水冷却部90から淡水室42に導入される淡水wcの流量は、10L/minである。水分放出部40における仲介溶液wbからの水分放出流量は、2L/minである。淡水wcは、淡水室42で12L/minに増量され、淡水取り出し路92へ導出される。仲介溶液wbの放出復路184における流量は、10L/minになる。
分離工程
圧力容器200の上側部分で析出した析出体mは、比重の関係で圧力容器200内の仲介溶液wb中を重力により下降する。したがって、析出体mが放出往路183を経て放出室41に送られるのを防止できる。よって、第2半透膜42の目詰まりや損傷を防止できる。圧力容器200は、放出室41に送られる仲介溶液wbから析出体mを分離する分離手段としても機能している。
溶解工程
圧力容器200内の析出体mは、圧力容器200の高温の下側部分まで下降したとき、溶解する。これにより、圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbが高濃度かつ高浸透圧になる。
圧力容器200内の下側部分は、溶解室11を構成する。
このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、淡水wcを連続的に生産することができる。
図10は、本発明の第10実施形態を示したものである。第10実施形態は、第9実施形態(図9)の変形例に係る。
第10実施形態の淡水製造装置1Hの圧力容器210は、シェルアンドチューブ型の熱交換器にて構成されている。シェルアンドチューブ型熱交換器は、シェル211と、このシェル211の内部に収容された複数のチューブ212を有している。チューブ212は上下に延びている。チューブ212の内部に飽和状態の仲介溶液wbが充填されている。チューブ212の内周面にフッ素系樹脂などの析出体付着防止膜を被膜してもよい。仲介溶液wbは、チューブ212より上側のシェル211内及びチューブ212より下側のシェル211内にも充填されている。
第10実施形態では、第9実施形態とは異なり、水分放出部40が熱交換器を構成する必要がない。淡水製造装置1Hの淡水導入路91には淡水冷却部90が設けられていない。淡水取り出し炉92からの温淡水wcの一部又は全部が、例えば40℃程度の高温のまま、淡水導入路91に戻され、淡水室42に導入される。
淡水製造装置1Hは、淡水冷却部90に代えて、降温手段として仲介溶液冷却部150を備えている。仲介溶液冷却部150は、圧力容器210に直接的に接続されている。仲介溶液冷却部150は、冷却源151と、圧力容器210に設けられた冷却路152とを含む。冷却源151は、クーリングタワーが用いられているが、空冷器やヒートポンプ等の他の冷却手段を用いてもよい。冷却路152は、圧力容器210の複数のチューブ212の外周面とシェル211との間の空間によって構成されている。冷却路152の上下両端部が、冷却源151に連なっている。冷却源151からの冷媒(例えば水)が、冷却路152の上端部に導入され、冷却路152内を下降し、冷却路152の下端部から冷却源151に戻される。
さらに、淡水製造装置1Hの放出往路183には放出用加熱手段129が設けられている。加熱手段129は、太陽光集熱器にて構成されていてもよく、電熱ヒータにて構成されていてもよく、熱交換器にて構成されていてもよい。加熱手段129は、該加熱手段129より下流の放出往路183を介して放出室41に熱的に接続されている。加熱手段129が、放出室41に直接的に接続されていてもよい。
第10実施形態では、冷却路152を流れる冷媒によってチューブ212の仲介溶液wbが冷却され、析出体mが析出する。よって、圧力容器210の上側部分(析出室31)の仲介溶液wbが低濃度、低浸透圧になる。この仲介溶液wbは飽和濃度になっている。析出した析出体mは、チューブ212内を重力によって下降する。これにより、圧力容器210の上側部分の仲介溶液wbから析出体mを分離できる。圧力容器210は、析出体mを水分放出用の仲介溶液wbから分離する分離手段としても機能している。
この圧力容器210の上側部分の仲介溶液wbを放出往路183に導出し、加熱手段129にて加熱する。これにより、仲介溶液wbが不飽和になる。この不飽和の仲介溶液wbを水分放出部40の放出室41に導入する。水分放出部40において、放出室41の仲介溶液wbの水分が第2半透膜43を透過して淡水室42に搾り出される。仲介溶液wbは放出室41への導入時に不飽和であったから、水分が放出されても放出室41内で析出体mが析出するのを防止できる。よって、第2半透膜43の目詰まりや損傷を一層確実に防止できる。
水分放出部40で生産された淡水wcは、淡水取り出し路92に導出される。この淡水wcの一部または全部が淡水導入路91から淡水室42に戻される。例えば、淡水導入路91での淡水wcの温度は40℃であり、流量は10L/minである。淡水取り出し路92での淡水wcの温度は42℃であり、流量は12L/minである。
図11は、本発明の第11実施形態を示したものである。第11実施形態は、第9実施形態(図9)の変形例に係る。
第11実施形態に係る淡水製造装置1Kでは、圧力容器200内の上側部に過飽和解除手段161とフィルタ162が設けられている。過飽和解除手段161は、例えば回転羽根を含む攪拌器にて構成されている。過飽和解除手段161の回転羽根は、圧力容器200の内部空間の放出復路184との連通部分寄りの部分に、圧力容器200の内壁から離れて配置されている。
過飽和解除手段161として、攪拌器に代えて、超音波照射装置を用いてもよい。
フィルタ162は、圧力容器200の内部空間の放出往路183との連通部分を覆うように設けられている。フィルタ162は、圧力容器200内の仲介溶液wbの透過を許容し、仲介溶液wb中の微細な析出体mや塵埃等の不純物の透過を阻止する。
フィルタ162は、後記送液ポンプ106より圧力容器200側の放出往路183に設けてもよい。
フィルタ162を透過した仲介溶液wbは、放出往路183に導入される。放出往路183には、低出力送液ポンプ106(液流調節部)が設けられている。送液ポンプ106は、仲介溶液wbを小流量で放出室41に送る。これにより、放出室41の仲介溶液wbの流速が小さくなり、仲介溶液wbが静流になる。よって、仲介溶液wbから水分が淡水室42に搾り出されたとき、仲介溶液wbを過飽和状態にでき、析出体mが析出するのを防止できる。フィルタ162のフィルタリングによって放出室41中の仲介溶液wbには微細析出体や塵埃等の不純物が殆ど含まれていない。したがって、かかる不純物を核にして析出体mが析出するのを確実に防止できる。ひいては、仲介溶液wbを確実に過飽和状態にすることができる。この結果、第2半透膜43の目詰まりや損傷を防止できる。
放出室41の過飽和状態の仲介溶液wbを、放出復路184を経て、圧力容器200の上側部分に戻す。この仲介溶液wbを攪拌器161によって攪拌する。これにより、仲介溶液wbの過飽和状態が解除され、析出体mが析出する。析出体mの析出が圧力容器200の内壁から離れた圧力容器200の内側部分で起きるため、析出体mが圧力容器200の内壁に付着するのを防止できる。したがって、析出体mを圧力容器200の下側部分(溶解室11)まで確実に下降させて溶解工程に確実に供することができる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系C内を確実に循環するようにできる。
図12は、本発明の第12実施形態を示したものである。
第12実施形態の圧力容器200には、上下に延びる隔壁201が設けられている。圧力容器200内の下部(溶解室11)より上側部分が、隔壁201によって過冷却室202と析出室31とに仕切られている。過冷却室202の下方に、圧力容器200の下部空間(溶解室11)が直接的に連なっている。
隔壁201の下側部分は、斜板部204を形成している。斜板部204は、下に向かうにしたがって、圧力容器200の析出室31側の内壁に近づくように斜めになっている。これにより、析出室31の下側部分が下方に向かって漸次狭くなっている。斜板部204の下端部と圧力容器200の析出室31側の内壁との間に絞り部205が形成されている。絞り部205は、圧力容器200の吸収往路181との連通部より上側に位置している。析出室31の下端部が、絞り部205を介して、圧力容器200の下部空間(溶解室11)に連なっている。吸収往復路181,182と圧力容器200との連通部は、絞り部205より下側に位置している。吸収往復路181,182が、絞り部205より下側において圧力容器200の下部空間(溶解室11)と連通している。
隔壁201の上端部は、圧力容器200の上板より下に位置している。圧力容器200の上板と隔壁201の上端部との間を介して、過冷却室202と析出室31が連なっている。
析出室31の上側部分の内部に攪拌器(過冷却解除手段)161Lが収容されている。攪拌器161Lは、隔壁201の上端部より少し下に配置された回転羽根を含んでいる。放出往路183は、圧力容器200の析出室31側の壁に接続され、析出室31と連通している。放出往路183と析出室31との連通部は、攪拌器161Lより十分に下側に配置されている。放出往路183と析出室31との連通部がフィルタ162にて覆われている。
過冷却解除手段161Lとして、攪拌器に代えて、超音波照射装置を用いてもよい。 放出復路184は、冷却管154より上側の過冷却室200に連通している。
淡水製造装置1Lの水分放出部40は、第10実施形態(図10)と同様に、熱交換器を構成する必要がない。淡水製造装置1Lには、淡水冷却部90が設けられていない。これに代えて、淡水製造装置1Lには、降温手段として、仲介溶液冷却部150Lが設けられている。仲介溶液冷却部150Lは、圧力容器200の過冷却室292に熱的に、かつ直接的に接続されている。
仲介溶液冷却部150Lは、第10実施形態(図10)の冷却路152に代えて、コイル状の冷却管154を有している。冷却管154が、軸線を上下に向けて過冷却室202の内部に収容されている。冷却管154の両端部が、冷却源151に接続されている。冷媒(例えば水)が、冷却源151から冷却管154の上端部に導入され、冷却管154内を下降し、冷却管154の下端部から冷却源151に戻される。冷却源151は、クーリングタワーが用いられているが、ヒートポンプ等の他の冷却手段を用いてもよい。
水分吸収工程
淡水製造装置1Lの水分吸収部20において、仲介溶液wbが、被処理水waから水分を吸収し、かつ被処理水waを介して加熱部120の熱を受け取り、その後、圧力容器200の下側部分に戻される。
過冷却工程
圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbは、比較的高温になっている。この高温の仲介溶液wbが、過冷却室202内を静かに上昇する。この仲介溶液wbを冷却管154によって冷却する。静流の仲介溶液wbは過冷却状態になる。したがって、過冷却室202では析出体mが析出せず、冷却管154に析出体mが付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系C内を確実に循環できる。過冷却状態の仲介溶液wbは、過飽和状態でもある。
室移行工程
冷却管154より上側において、過冷却状態の仲介溶液wbは、放出復路184からの過飽和(過冷却)状態の仲介溶液wbと混ざりながら、隔壁201の上端部を通過し、析出室31の上端部へ移行する。過冷却室202内には上昇流が形成されているため、放出復路184からの仲介溶液wbが過冷却室202内を下降することはほとんどない。
過冷却解除工程
析出室31の上端部では、攪拌器161Lにより仲介溶液wbを攪拌する。これにより、仲介溶液wbの過冷却状態を容易に解除できる。過冷却解除によって析出体mが析出する。
攪拌器161Lは、水分放出部40からの過飽和仲介溶液wbの過飽和状態を解除する過飽和解除手段にもなる。
析出室31の攪拌器161Lより下側部分の仲介溶液wbは、溶質の析出によって低濃度かつ低浸透圧になる。この低濃度かつ低浸透圧の仲介溶液wbを、攪拌器161Lより下側から延びる放出往路183に取り込み、放出室41へ送る。これにより、水分を淡水室42に搾り出すことができる。
析出体下降工程
攪拌器161Lが隔壁201の上端部より下に位置し、隔壁201の上端部より下側で析出が起きるため、析出体mが過冷却室202に入り込むのを防止できる。また、圧力容器200の内壁及び隔壁201から離れた析出室31の内側部分で析出が起きる。したがって、析出体mは、圧力容器200の内壁や隔壁201に付着することなく、析出室31内を重力によって下降する。
溶解工程
析出室31を下降した析出体mは、その後、絞り部205を通過して圧力容器200の下側部分(溶解室11)に入り、溶解する。一方、圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbは、絞り部205を通過するのを制限される。したがって、圧力容器200の下側部分(溶解室11)の仲介溶液wbの大部分が、過冷却室202へ導かれ、過冷却室202内を冷却管154に沿って上昇する。
図13は、本発明の第13実施形態を示したものである。この実施形態では、閉鎖系Cに圧力検出器171が設けられている。圧力検出器171は、例えば圧力容器200の下側部分に配置されている。圧力検出器171によって、閉鎖系Cの内圧を検出できる。特に、圧力容器200の底部の内圧を検出できる。圧力検出器171の検出信号線がコントローラ170(調節部)に接続されている。コントローラ170の制御信号線が、加熱部120に接続されている。
コントローラ170は、圧力検出器171の検出圧力に基づいて加熱部120の出力を調節する。出力調節は、負のフィードバック制御にて行なう。
すなわち、圧力検出器171の検出圧力が例えば30bar程度の所定値より小さくなったときは、加熱部120の出力を大きくする。これにより、被吸収室21に導入される被処理水waの温度が高くなり、更には圧力容器200の下側部分(溶解室11)及び吸収室22の間を循環する仲介溶液wbの温度が高くなる。したがって、該仲介溶液wbの浸透圧を高くできる。よって、水分吸収部20における仲介溶液wbの水分吸収量が増大する。これにより、閉鎖系Cの内圧を高めて所定値に戻すことができる。ひいては、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を増大させて所定流量に戻すことができる。
圧力検出器171の検出圧力が所定値より大きくなったときは、加熱部120の出力を小さくする。これにより、被吸収室21に導入される被処理水waの温度が低くなり、更には圧力容器200の下側部分(溶解室11)及び吸収室22の間を循環する仲介溶液wbの温度が低くなる。したがって、該仲介溶液wbの浸透圧を低くできる。よって、水分吸収部20における仲介溶液wbの水分吸収量が減少する。これにより、閉鎖系Cの内圧を低下させて所定値に戻すことができる。この結果、半透膜23,43が破損したり、閉鎖系Cの配管系が破損したりするのを防止できる。また、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を減少させて所定流量に戻すことができる。
これにより、閉鎖系Cの内圧を所要の大きさに維持でき、半透膜23,43をはじめとする閉鎖系Cの構成要素が破損するのを防止できる。
図14は、本発明の第14実施形態を示したものである。第14実施形態は、第13実施形態(図13)の変形例を示したものである。
この変形例では、コントローラ170の制御信号線が、加熱部120に代えて、被処理水用送液ポンプ102に接続されている。コントローラ170は、圧力検出器171の検出圧力に基づいて送液ポンプ102の出力を調節する。
すなわち、圧力検出器171の検出圧力が所定値より小さくなったときは、送液ポンプ102の出力を大きくする。これにより、水分吸収部20における被処理水waの流量が増える。そのため、水分吸収工程時の被処理水(海水)waの溶質(塩分)濃度の上昇度合いが小さくなり、ひいては仲介溶液wbと被処理水waの浸透圧差の縮小度合いが小さくなる。したがって、被処理水waから仲介溶液wbへの水分吸収量が増大する。これにより、閉鎖系Cの内圧を高めて所定値に戻すことができる。ひいては、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を増大させて所定流量に戻すことができる。
圧力検出器171の検出圧力が所定値より大きくなったときは、送液ポンプ102の出力を小さくする。これにより、水分吸収部20における被処理水waの流量が小さくなる。そのため、水分吸収工程時の被処理水(海水)waの溶質(塩分)濃度の上昇度合いが大きくなり、ひいては仲介溶液wbと被処理水waの浸透圧差の縮小度合いが大きくなる。したがって、被処理水waから仲介溶液wbへの水分吸収量が減少する。これにより、閉鎖系Cの内圧を低下させて所定値に戻すことができる。この結果、半透膜23,43が破損したり、閉鎖系Cの配管系が破損したりするのを防止できる。また、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を減少させて所定流量に戻すことができる。
これにより、閉鎖系Cの内圧を所要の大きさに維持でき、半透膜23,43をはじめとする閉鎖系Cの構成要素が破損するのを防止できる。
なお、第13及び第14実施形態(図13、図14)において、圧力検出器171は、圧力容器200に限られず、閉鎖系Cの任意の箇所に配置できる。圧力検出器171を室22,41に配置してもよく、路181〜184に配置してもよい。
図15は、本発明の第15実施形態を示したものである。
この実施形態では、閉鎖系Cに逃がし路191が設けられている。逃がし路191は、例えば圧力容器200の上端部から引き出されている。逃がし路191に逃がし弁192が設けられている。逃がし弁192は、閉鎖系Cの内圧が設定圧以上になると開き、閉鎖系C内の仲介溶液wbを系外に逃がす。これによって、閉鎖系Cの内圧が異常に高くなるのを防止でき、安全性を確保できる。
圧力容器200の上側部分の相対的に低濃度の仲介溶液wbが系外に放出されることになるため、仲介溶質(ミョウバン)の喪失量を小さくすることができる。
第15実施形態(図15)において、逃がし路191は、圧力容器200に限られず、閉鎖系Cの任意の箇所から引き出すことができ、路181〜184から分岐させてもよく、室22,41から引き出してもよい。
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、仲介溶液wbの溶質は、溶解度が温度依存性を有していればよく、アルミニウムカリウムミョウバン(AlK(SO)以外のミョウバンでもよく、ミョウバンに代えて、ショ唐、KNO、安息香酸などを用いてもよい。生成した淡水wcを飲料として用いる場合、仲介溶質は、アルミニウムカリウムミョウバン(AlK(SO)、ショ糖等の無害な物質を用いるのが好ましい。これによって、安全性を確保できる。
被処理水waは、水分を含む液体であればよく、海水に限られず、下水でもよく泥水でもよい。
第4、第5実施形態(図4、図5)において、溶解室11に昇温手段を直接的に接続してもよい。析出室31の仲介溶液を被処理水wa以外の冷却手段で冷却することにしてもよい。
第4、第5実施形態(図4、図5)において、溶解部10Cが、熱交換媒体を互いに対向方向に流す対向流型の熱交換器に代えて、熱交換媒体を互いに同じ向きに流す並行流型の熱交換器にて構成されていてもよく、析出部30Cが、並行流型の熱交換器になっていてもよい。同様に、第6実施形態(図6)の熱交換要素20,40,130、第7実施形態(図7)の熱交換器140、第8実施形態(図8)の熱交換要素22F,40F、第9〜第12実施形態(図9〜図12)の熱交換要素20,40についても、対向流型の熱交換器に代えて、並行流型の熱交換器にて構成されていてもよい。
第9〜第12実施形態(図9〜図12)において、圧力容器200の放出往路183との接続部と吸収往路181との接続部が、圧力容器200の周方向の同一位置に配置され、放出復路184との接続部と吸収復路182との接続部が、圧力容器200の周方向の同一位置に配置されているが、これに限られず、放出往路183との接続部と吸収復路184との接続部が、圧力容器200の周方向の同一位置に配置され、放出復路184との接続部と吸収往路181との接続部が、圧力容器200の周方向の同一位置に配置されていてもよく、放出路183,184との接続部分と吸収路181,182との接続部分が互いに圧力容器200の周方向に例えば90度ずれていてもよい。
複数の実施形態の要素を互いに組み合わせてもよい。
例えば、第5実施形態(図5)の分離部37より下流の溶液路83に、第10実施形態(図10)と同様の放出用加熱手段129を設けてもよい。
第6実施形態(図6)において、第5実施形態(図5)と同様に、析出体mの分離・混合機構37,88,103,110を設けてもよい。
第9実施形態(図9)の容器200の下側部分に第3実施形態(図3)の仲介溶液加熱部15を設けてもよい。第9実施形態(図9)の容器200の上側部分に第3実施形態(図3)の仲介溶液冷却部35を設けてもよい。
第9実施形態(図9)の水分吸収部20を省略し、容器200の下側部分を第3実施形態(図3)の容器2の下側部分及び被吸収室画成部20Bに置き換えてもよい。第9実施形態(図9)の水分放出部40を省略し、容器200の上側部分を第3実施形態(図3)の容器2の上側部分及び淡水室画成部40Bに置き換えてもよい。
図1、図2、図4〜図8の実施形態においても、仲介溶液wbが放出室41内で過飽和になるよう、仲介溶液wbの流速又は流量を調節してもよい。
第13及び第14実施形態(図13、図14)のコントローラ170及び圧力検出器171は、第9実施形態(図9)の閉鎖系Cに適用したものであるが、図3〜図7、図10〜図12に示す他の実施形態の高圧閉鎖系Cに第13実施形態又は第14実施形態と同様のコントローラ170及び圧力検出器171を組み込んでもよい。
第15実施形態(図15)の逃がし回路191,192は、第9実施形態(図9)の閉鎖系Cに適用したものであるが、図2〜図7、図10〜図12に示す他の実施形態の閉鎖系Cに第15実施形態と同様の逃がし回路191,192を設けてもよい。第2実施形態(図2)においては、加圧ポンプ50と動力回収部51との間の高圧部分に逃がし回路191,192を設けるとよい。
本発明は、海水から淡水を製造したり、汚水を浄化するのに適用可能である。
C 閉鎖系
m ミョウバン結晶(析出体)
wa 海水(被処理水)
wb ミョウバン水溶液(仲介溶液)
wc 淡水
1,1A〜1L 淡水製造装置
2 容器
10 溶解部
10C 溶解部、熱交換器
11 溶解室
12 廃水熱交換路
15 仲介溶液加熱部(昇温手段)
15a 加熱パイプ
20 水分吸収部
20B 被吸収室画成部
20F 溶解部兼水分吸収部
21 被吸収室
22 吸収室
22F 溶解室兼吸収室
23 第1半透膜
30 析出部
30C 析出部、熱交換器
31 析出室
32 透過液室
33 分離膜(分離手段)
34 被処理水熱交換路(降温手段)
35 仲介溶液冷却部(降温手段)
35a 冷却パイプ
37 分離部
38 分離室
40 水分放出部
40B 淡水室画成部
40F 析出部兼水分放出部
41 放出室
41F 析出室兼放出室
42 淡水室
43 第2半透膜
50 加圧ポンプ(加圧手段)
51 動力回収部
52 伝達機構
60 熱交換器
61 海水熱交換路(被処理水熱交換路)
62 溶液熱交換路
63 淡水熱交換路
71 海水導入路(被処理水導入路)
73 廃海水路(被処理水排出路)
81 高濃度仲介溶液路
82 中濃度仲介溶液路
83 低濃度仲介溶液路
84 仲介溶液回収路
88 仲介分散液路
89 仲介混合液路90 淡水冷却部(降温手段)
91 淡水導入路
92 淡水取り出し路101 仲介溶液用送液ポンプ
102 被処理水用送液ポンプ
103 仲介分散液用送液ポンプ
104 吸収用送液ポンプ
105 放出用送液ポンプ
106 低出力送液ポンプ(液流調節部)
110 混合部120 被処理水加熱部(昇温手段)
129 放出用加熱手段
130 仲介溶液間熱交換器
140 被処理水間熱交換器
141 熱交換往路
142 熱交換復路
150 仲介溶液冷却部(降温手段)
150L 仲介溶液冷却部(降温手段)
151 冷却源
152 冷却路
154 冷却管
161 攪拌器(過飽和解除手段)
161L 攪拌器(過冷却解除手段)
162 フィルタ
170 コントローラ(調節部)
171 圧力検出部
181 吸収往路
182 吸収復路
183 放出往路
184 放出復路
191 逃がし路
192 逃がし弁
200 圧力容器
201 隔壁
202 過冷却室
204 斜板部
210 圧力容器
211 シェル
212 チューブ

Claims (36)

  1. 被処理水から淡水を製造する方法であって、
    溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液を相対的に高温にして、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解工程と、
    被処理水を第1半透膜の一方の面に接触させるとともに、前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を前記相対的に高温の状態で前記第1半透膜の他方の面に接触させ、被処理水の水分を前記第1半透膜を介して仲介溶液に吸収させる水分吸収工程と、
    前記水分吸収工程後の仲介溶液を相対的に低温にし、前記仲介溶質を析出させる析出工程と、
    前記析出工程後の仲介溶液を第2半透膜に、仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な液圧にて接触させる水分放出工程と、
    を備えたことを特徴とする淡水製造方法。
  2. 前記溶解工程では、前記析出工程で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を昇温して前記析出体を溶解させ、前記水分吸収工程用の仲介溶液を得、
    前記溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を閉鎖系内で循環的に行なうことを特徴とする請求項1に記載の淡水製造方法。
  3. 前記水分放出工程における仲介溶液を、他の工程における仲介溶液より高圧にすることを特徴とする請求項2に記載の淡水製造方法。
  4. 前記閉鎖系全体の内圧を、前記水分放出工程における前記液圧とほぼ等しくすることを特徴とする請求項2に記載の淡水製造方法。
  5. 前記析出工程で析出させた仲介溶質の析出体を前記水分放出工程に供される仲介溶液から分離する分離工程と、分離した前記析出体を前記水分放出工程後の仲介溶液と混合して前記溶解工程に供する混合工程と、を更に備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  6. 前記析出体を分離した後の仲介溶液を加熱して前記水分放出工程を行なうことを特徴とする請求項5に記載の淡水製造方法。
  7. 仲介溶液を容れた容器を用意し、前記容器内の下側部分の仲介溶液を相対的に高温にして前記溶解工程及び水分吸収工程に用い、前記容器内の上側部分の仲介溶液を相対的に低温にして前記析出工程及び水分放出工程に用いることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  8. 被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、前記水分吸収工程後の被処理水と前記溶解工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  9. 前記水分吸収工程前の被処理水と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  10. 前記溶解工程時の仲介溶液と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  11. 被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、かつ前記昇温前の被処理水と前記水分吸収工程後の被処理水とを熱交換させることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  12. 前記水分放出工程において前記仲介溶液を過飽和にすることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  13. 前記析出工程が、前記仲介溶液を過冷却状態にする過冷却工程と、過冷却後の仲介溶液の過冷却状態を過冷却中の仲介溶液と混ざらないようにしながら解除する過冷却解除工程とを含み、解除後の仲介溶液を前記水分放出工程に供することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  14. 前記仲介溶質が、ミョウバン又はショ糖であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の淡水製造方法。
  15. 被処理水から淡水を製造する装置であって、
    溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液の温度を上げる昇温手段と、
    前記仲介溶液を容れ、かつ前記昇温手段と熱的に接続されることによって、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解室と、
    被処理水を容れる被吸収室と、前記昇温されかつ前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を容れる吸収室と、前記被吸収室及び吸収室を仕切る第1の半透膜と、を有する水分吸収部と、
    前記吸収室からの仲介溶液を容れる析出室と、
    前記析出室内の仲介溶液の温度を下げて前記仲介溶質を析出させる降温手段と、
    前記析出室からの仲介溶液を容れる放出室と、前記放出室の少なくとも一部を画成する第2の半透膜と、を含む水分放出部と、
    を備え、前記放出室の内圧を、前記仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な大きさにすることを特徴とする淡水製造装置。
  16. 前記溶解室が、前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を収容
    前記昇温手段が、前記溶解室内の仲介溶液を昇温し、前記析出体を溶解させ、
    前記溶解室と吸収室と析出室と放出室によって閉鎖系が構成されていることを特徴とする請求項15に記載の淡水製造装置。
  17. 前記溶解室と吸収室と析出室と放出室とが環状に連なっていることを特徴とする請求項16に記載の淡水製造装置。
  18. 前記閉鎖系全体の内圧が、前記放出室の内圧とほぼ等しいことを特徴とする請求項16又は17に記載の淡水製造装置。
  19. 前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段を、更に備えたことを特徴とする請求項15〜18の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  20. 前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段と、前記分離した析出体と前記放出室からの仲介溶液とを混合する混合部と、を更に備え、前記混合部が、前記溶解室に連なっていることを特徴とする請求項16〜18の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  21. 前記分離手段が、前記仲介溶液の透過を許容し、前記析出体の透過を阻止する分離膜を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載の淡水製造装置。
  22. 前記仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を前記放出室に熱的に接続したことを特徴とする請求項20又は21に記載の淡水製造装置。
  23. 前記閉鎖系が、仲介溶液を容れる容器を含み、前記昇温手段が、前記容器の相対的に下側部分に熱的に接続され、前記降温手段が、前記容器の相対的に上側部分に熱的に接続されていることを特徴とする請求項18に記載の淡水製造装置。
  24. 前記容器の前記仲介溶液で満たされた内部空間の下端部に前記第1半透膜が設けられ、この第1半透膜の下面が前記被吸収室の一部を画成し、前記容器の前記内部空間の上端部に前記第2半透膜が設けられていることを特徴とする請求項23に記載の淡水製造装置。
  25. 前記吸収室が、吸収往路及び吸収復路を介して前記容器の下側部分と連なっていることを特徴とする請求項23に記載の淡水製造装置。
  26. 前記放出室が、放出往路及び放出復路を介して前記容器の上側部分と連なっていることを特徴とする請求項23又は25に記載の淡水製造装置。
  27. 前記放出往路に、仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を設けたことを特徴とする請求項26に記載の淡水製造装置。
  28. 前記放出室の仲介溶液が過飽和状態になるように仲介溶液の放出室での流速又は流量を調節する液流調節部と、
    前記容器内で前記仲介溶液の過飽和状態を解除する過飽和解除手段と
    を備えたことを特徴とする請求項26又は27に記載の淡水製造装置。
  29. 前記容器内の上側空間が、上下に延びる隔壁にて過冷却室と前記析出室とに仕切られ、過冷却室の内部には、前記降温手段として仲介溶液を過冷却状態にする冷却管が設けられ、過冷却室の上端部が、前記放出復路に連なるとともに前記析出室の上端部と連通し、析出室の上端部に過冷却解除手段が設けられ、析出室の過冷却解除手段より下側の箇所に前記放出往路が連なっていることを特徴とする請求項26〜28の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  30. 前記昇温手段が、前記被吸収室への被処理水の導入路に接続され、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部と、前記溶解室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項16〜18、20、23〜29の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  31. 被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記析出室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項15〜30の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  32. 前記溶解室と析出室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項16〜18、20、23〜29の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  33. 被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部とが、互いに熱交換器を構成し、この熱交換器より下流の前記導入路に前記昇温手段が接続されていることを特徴とする請求項15〜32の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  34. 前記第2半透膜が、ナノフィルトレーション膜であることを特徴とする請求項15〜33の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  35. 前記仲介溶質が、少なくとも1つのイオンが2価以上の電解質であることを特徴とする請求項15〜34の何れか1項に記載の淡水製造装置。
  36. 前記仲介溶質が、ミョウバン又はショ糖であることを特徴とする請求項15〜35の何れか1項に記載の淡水製造装置。
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