JP5066117B2 - 淡水製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
逆浸透圧法は、海水を加圧し逆浸透圧膜によって水分のみを抽出するものである。例えば、特許文献1では、逆浸透圧膜で水分抽出後の海水の流体圧エネルギーを回収し、回収したエネルギーを別の淡水化用海水の加圧に用いている。
例えば、25℃の源海水を60℃まで加熱して水を蒸発させ、次いで凝縮させて淡水(出力水)を得たとする。蒸発に要した熱を凝縮時に回収することにし、水が蒸発した後の廃棄濃縮海水と出力水を源海水より5℃高い30℃にして排出したとする。(廃棄濃縮海水及び出力水を源海水の温度まで下げることは不可能である。)すると、1Lの水の生成に必要なエネルギーは340kJにもなる。また、1ccの淡水を得るのに16.3ccの海水が必要になる。したがって、上記逆浸透圧法と同様に、淡水化装置を海岸近辺に設置せざるを得ない。膜蒸留法でも所要熱量が大きい。
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液を相対的に高温にして、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解工程と、
被処理水を第1半透膜の一方の面に接触させるとともに、前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を前記相対的に高温の状態で前記第1半透膜の他方の面に接触させ、被処理水の水分を前記第1半透膜を介して仲介溶液に吸収させる水分吸収工程と、
前記水分吸収工程後の仲介溶液を相対的に低温にし、前記仲介溶質を析出させる析出工程と、
前記析出工程後の仲介溶液を第2半透膜に、仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な液圧にて接触させる水分放出工程と、
を備えたことを特徴とする。
仲介溶質の溶解熱は、水の潜熱と比べ、極めて小さい。例えば、仲介溶質としてカリウムミョウバンを用いた場合、その溶解熱は、生成水一リットル当たり、30kJ/L=7.3cal/cc程度であり、水の潜熱の80分の1である。水(仲介溶液の溶媒)の顕熱を考慮しても70kJ/L程度であり、水の潜熱の数十分の1である。したがって、所要の熱量を従来の蒸発法等より大幅に低減できる。
前記溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を閉鎖系内で循環的に行なうことが好ましい(図2〜図12参照)。
これにより、仲介溶質を閉鎖系に閉じ込めて繰り返し使用し、淡水を連続的に生産できる。系外から仲介溶質を補充する必要がない。水分は、第1半透膜を介して閉鎖系に入り、第2半透膜を介して閉鎖系から放出される。
水分吸収工程では、仲介溶液を高圧にせず、被処理水と仲介溶液の圧力差が形成されないようにすることができる。したがって、第1半透膜の耐久性を十分に確保できる。水分放出工程における仲介溶液は低浸透圧にできる。したがって、海水等の被処理水を直接第2半透膜に圧し当てて水分を搾り出す従来の逆浸透圧法よりも、加圧力を低くできる。これにより、仲介溶液の水分を第2半透膜から確実に搾り出すことができる。また、水分吸収工程を行う部分を高圧にしなくてもよく、析出工程を行う部分を高圧にしなくてもよく、溶解工程を行う部分を高圧にしなくてもよい。
水分吸収工程における水分吸収によって閉鎖系内を高圧にすることができる。これにより、水分放出工程における所要の液圧を得ることができ、仲介溶液の水分を第2半透膜を介して放出させることができる。
水分放出工程に用いる第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。
析出体を、水分放出工程を経ずに混合工程に供することができる。よって、水分放出工程に用いる第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。析出体を混合工程を経て溶解工程に供することで、仲介溶質を閉鎖系内で循環させることができ、淡水を連続的に生産できる。
これによって、析出体分離後の仲介溶液を不飽和にでき、水分放出時に仲介溶質が析出するのを防止できる。仲介溶液の加熱は、析出体の分離後、水分放出工程前の期間に行なってもよく、水分放出工程中に行なってもよい。
容器の下側部分の仲介溶液を高温にすることで高浸透圧にできる。この高浸透圧の仲介溶液によって被処理水の水分を吸収することができる。容器の上側部分の仲介溶液を低温にすることで、仲介溶質を析出させ、仲介溶液の浸透圧を低下させることができる。この低浸透圧の仲介溶液から水分を放出させることができる。析出体は容器の仲介溶液内を下降し、容器の下側の高温部分へ向かう。これにより、析出体を溶解させ、上記水分吸収に用いることができる。
容器は閉鎖系の一要素を構成する。容器は、耐圧性を有する圧力容器であることが好ましい。
容器の下側部分の高温の仲介溶液が、容器内と容器外の水分吸収工程を行なう部分との間を循環する。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。これにより、水分吸収工程を行なう部分ひいては第1半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。
前記容器及び容器外の水分吸収工程を行なう部分は、前記閉鎖系に含まれることが好ましい。
容器の上側部分の低温の仲介溶液が、容器内と容器外の水分放出工程を行なう部分との間を循環する。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。これにより、水分放出工程を行なう部分ひいては第2半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。容器の上側部分では、低温化によって仲介溶質が析出する(析出工程)。この析出体は、通常、仲介溶液より比重が大きいため、容器内を下降する。したがって、容器内の上側部分において上記分離工程が起き、析出体が水分放出工程を行なう部分に送られるのを防止できる。前記の析出体は、容器内の下側の高温部分において溶解する(溶解工程)。
前記容器及び容器外の水分放出工程を行なう部分は、前記閉鎖系に含まれることが好ましい。
被処理水を水分吸収工程の前に昇温することで、水分吸収工程時の仲介溶液が冷やされるのを防止できる。そして、水分吸収工程後の被処理水を熱源として溶解工程時の仲介溶液を昇温して析出体を溶解でき、熱を有効に利用できる。また、被処理水を、温度を下げたうえで廃棄できる。
被処理水を冷却源として析出工程時の仲介溶液の温度を下げることができ、かつ析出工程時の仲介溶液を熱源として被処理水の温度を上げることができ、熱を有効に利用できる。析出のための冷却媒体として被処理水を用いることで、ランニングコストを低減できる。被処理水を高温にしたうえで水分吸収工程に供給することで、水分吸収工程において仲介溶液が被処理水に熱を奪われて仲介溶質が析出するのを防止でき、水分吸収を確実に行なうことができる。
これにより、析出工程時の冷却すべき仲介溶液の熱を、溶解工程時の加熱すべき仲介溶液に与えることができ、熱を有効に利用できる。
被処理水を水分吸収工程の前に昇温することにより、水分吸収工程時に仲介溶液が被処理水によって冷やされるのを防止でき、仲介溶液を高温に維持でき、ひいては水分吸収に必要な浸透圧を維持できる。水分吸収工程後の被処理水の廃熱を、水分吸収工程の前の被処理水に戻すことで、熱を効率的に利用できる。
これによって、仲介溶液から水分が放出されても仲介溶質が析出することがない。よって、第2半透膜の目詰まりや損傷を抑制又は防止できる。
仲介溶液を過飽和状態にするには、水分放出工程時の仲介溶液の流速又は流量を調節するとよい。すなわち、水分放出工程時の仲介溶液の流速又は流量をできるだけ小さくし、仲介溶液が静流になるようにすることで、過飽和状態を作ることができる。
仲介溶液を過冷却状態にすることで、析出体の発生を防止できる。したがって、仲介溶液を冷却する部分に析出体が付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。その後、過冷却を解除することにより、析出体が発生する。過冷却後の仲介溶液を、過冷却中の仲介溶液と混ざらないようにしながら、過冷却解除でき、ひいては、析出体が、過冷却中の仲介溶液に混ざるのを防止できる。また、過冷却解除時に析出が急激に起きるために、仲介溶質の結晶の粒が小さくなり、表面積が増加する。そのため、その後の溶解工程で溶解しやすくなる。
閉鎖系の内圧が低くすぎるときは、溶解工程における仲介溶液の昇温度を大きくする。これにより、溶解後の中間溶液の浸透圧を高くでき、水分吸収工程時の水分吸収量を増大できる。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧が高すぎるときは、溶解工程における仲介溶液の昇温度を小さくする。これにより、溶解後の中間溶液の浸透圧を低くでき、水分吸収工程時の水分吸収量を減少できる。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
閉鎖系の内圧が低くすぎるときは、被処理水の流量を大きくする。これにより、水分吸収工程時の被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが小さくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が増大する。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧が高くすぎるときは、被処理水の流量を小さくする。これにより、水分吸収工程時の被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが大きくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が減少する。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液の温度を上げる昇温手段と、
前記仲介溶液を容れ、かつ前記昇温手段と熱的に接続されることによって、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解室と、
被処理水を容れる被吸収室と、前記昇温されかつ前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を容れる吸収室と、前記被吸収室及び吸収室を仕切る第1の半透膜と、を有する水分吸収部と、
前記吸収室からの仲介溶液を容れる析出室と、
前記析出室内の仲介溶液の温度を下げて前記仲介溶質を析出させる降温手段と、
前記析出室からの仲介溶液を容れる放出室と、前記放出室の少なくとも一部を画成する第2の半透膜と、を含む水分放出部と、
を備え、前記放出室の内圧を、前記仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な大きさにすることを特徴とする。
上述したように、仲介溶質の溶解熱は、水の潜熱と比べ、極めて小さい。したがって、所要の熱量を従来の蒸発法等より大幅に低減できる。したがって、昇温手段の負担を軽減できる。
昇温手段は、仲介溶液を直接的に昇温させる他、直接的には被処理水を昇温させ、この被処理水と仲介溶液との熱交換により仲介溶液を昇温させるようになっていてもよい。昇温手段は、仲介溶液の溶解時おける熱エネルギー供給源として用いられる他、被吸収室に入る被処理水を加熱するための熱エネルギー供給源として用いられるようになっていてもよい。
前記昇温手段が、前記溶解室内の仲介溶液を昇温し、前記析出体を溶解させ、
前記溶解室と吸収室と析出室と放出室によって閉鎖系が構成されていることが好ましい(図2〜図12参照)。
これにより、仲介溶質を閉鎖系に閉じ込めて繰り返し使用し、淡水を連続的に生産できる。系外から仲介溶質を補充する必要がない。水分は、第1半透膜を介して閉鎖系に入り、第2半透膜を介して閉鎖系から放出される。
仲介溶液を、溶解室、吸収室、析出室、放出室の順に循環させ、析出体の溶解、水分吸収、仲介溶質の析出、水分放出を循環的に行うことができる。
水分吸収部では、仲介溶液を高圧にせず、被吸収室と吸収室の間に圧力差が形成されないようにすることができる。したがって、第1半透膜の耐久性を十分に確保できる。水分放出部における仲介溶液は低浸透圧にできる。したがって、海水等の被処理水を直接第2半透膜に圧し当てて水分を搾り出す従来の逆浸透圧法よりも、加圧力を低くできる。これにより、仲介溶液の水分を第2半透膜から確実に搾り出すことができる。加圧手段の負担を軽減でき、加圧手段を小型化できる。
水分吸収部における水分吸収によって閉鎖系内を高圧にすることができる。これにより、閉鎖系の内圧ひいては放出室の内圧を所要の大きさにすることができ、仲介溶液の水分を第2半透膜を介して放出させることができる。
析出体が水分放出部に送られるのを回避できる。よって、第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。
析出室で析出した析出体が水分放出部を通らないようにできる。これにより、第2半透膜が析出体によって目詰まりしたり損傷したりするのを防止できる。析出体と水分放出後の仲介溶液と混合することで、析出体を仲介溶液の循環経路に戻すことができる。混合液を溶解室で溶解することで、水分吸収用の仲介溶液とすることができる。これにより、仲介溶質を閉鎖系内で循環させながら、淡水を連続的に生産できる。
析出体を仲介溶液から確実に分離できる。
これによって、放出室の仲介溶液を不飽和にでき、放出室内で仲介溶質が析出するのを防止できる。放出用加熱手段は、分離手段と放出室を結ぶ経路上に配置してもよく、放出室に直接接続してもよい。
容器の下側部分の仲介溶液は昇温手段によって高温になり、ひいては高浸透圧になる。この高浸透圧の仲介溶液によって被処理水の水分を吸収することができる。容器の上側部分の仲介溶液は降温手段によって低温になる。この上側部分の低温の仲介溶液から仲介溶質を析出させ、仲介溶液の浸透圧を低下させ、この低浸透圧の仲介溶液から水分を放出させることができる。析出体は容器の仲介溶液内を下降し、容器の下側の高温部分へ向かう。これにより、析出体を溶解させ、上記水分吸収に用いることができる。
容器は、耐圧性を有する圧力容器であることが好ましい。
第1半透膜を介して上側の高浸透圧の仲介溶液と下側の被処理水が接触する。これにより、被処理水の水分が第1半透膜を透過して容器内の仲介溶液に吸収される。容器の内部空間の第1半透膜の上面と接する部分が前記吸収室を構成する。仲介溶液は容器内を上昇し、容器内の上側部分において降温手段により冷却される。冷却により仲介溶質が析出し、仲介溶液が低浸透圧になる。容器内の上側部分が前記析出室になる。この低浸透圧の仲介溶液が、第2半透膜に接する。前記下側部分での水分吸収によって、容器の内圧ひいては仲介溶液の液圧を高くすることができる。これにより、仲介溶液の水分が第2半透膜を透過し、淡水が得られる。容器の内部空間の第2半透膜の下面と接する部分が前記放出室になる。前記の析出体は、容器内の仲介溶液中を下降する。この析出体が、容器内の下側部分において昇温手段にて加熱され溶解する。容器内の下側部分が溶解室になる。溶解により、容器内の下側部分の仲介溶液を高浸透圧にできる。この高浸透圧の仲介溶液を上記水分吸収に供する。このようにして、容器内において溶解、水分吸収、析出、水分放出を循環的に行わせ、淡水を連続的に生産することができる。
前記容器の下側部分の高温の仲介溶液を、吸収往路を経て吸収室に導入し、水分吸収を行なわせる。水分吸収後の仲介溶液を、吸収復路を経て容器の下側部分に戻す。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。したがって、水分吸収部ひいては第1半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。吸収往路及び吸収復路は、閉鎖系の要素を構成する。
容器の上側部分の低温の仲介溶液を、放出往路を経て放出室に導入し、水分放出を行なわせる。水分放出後の仲介溶液を、放出復路を経て容器の上側部分に戻す。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。したがって、水分放出部ひいては第2半透膜をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜の耐圧性能の確保が容易になる。容器の上側部分では、降温手段による低温化によって仲介溶質が析出する。容器内の上側部分は析出室を構成する。析出体は、通常、仲介溶液より比重が大きいため、容器内を下降する。したがって、析出体が放出室に送られるのを防止できる。容器の上側部分は分離手段をも構成する。前記の析出体は、容器内の下側部分まで下降したとき、昇温手段による高温化によって溶解する。容器内の下側部分は溶解室を構成する。放出往路及び放出復路は、閉鎖系の要素を構成する。
放出往路において仲介溶液を加熱することで、該仲介溶液を不飽和にして放出室に導入できる。これにより、放出室の仲介溶液から水分が放出されても、仲介溶質が析出するのを防止できる。この結果、第2半透膜の目詰まりや損傷を防止できる。
前記容器内で前記仲介溶液の過飽和状態を解除する過飽和解除手段と
を備えることが好ましい(図11参照)。
液流調節部によって、仲介溶液の放出室での流速又は流量を可及的に小さくする。これにより、放出室内の仲介溶液の流れを静流にすることができる。そのため、仲介溶液から水分が放出されても仲介溶質が析出せず、過飽和状態にすることができる。よって、第2半透膜の目詰まりや損傷を抑制又は防止できる。仲介溶液は、過飽和の状態で水分放出部から容器に戻される。この仲介溶液の過飽和状態を過飽和解除手段にて解除する。
攪拌器にて容器内の仲介溶液を攪拌することで、過飽和状態を確実に解除できる。過飽和の解除によって、仲介溶質が析出する。この析出は、容器の内壁から離れた容器の内側部分で起きる。したがって、仲介溶質の析出体が容器の内壁に付着するのを抑制でき、析出体が容器の下側部分へ確実に下降するようにできる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。
仲介溶液中の不純物として微細な析出体や塵埃が挙げられる。フィルタによって、このような不純物が放出室に侵入するのを阻止できる。よって、放出室において、不純物を核にして析出体が形成されるのを防止でき、放出室内の仲介溶液を確実に過飽和状態にすることができる。
容器の下側部分で水分が吸収されるため、過冷却室では上昇流が形成される。この過冷却室の仲介溶液を過冷却(過飽和)状態にすることで、析出体の発生を防止できる。したがって、冷却管に析出体が付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系内を確実に循環するようにできる。過冷却室の上端部で、過冷却状態の仲介溶液と放出復路からの仲介溶液とが混ざり、析出室の上端部へ移行する。この析出室で過冷却状態を解除することにより、析出体が発生する。したがって、析出室の過冷却解除手段より下側の仲介溶液が低浸透圧になる。この低浸透圧の仲介溶液を、放出往路を経て放出室に送り、水分放出に供することができる。
過冷却解除手段は、超音波照射装置であってもよい。超音波を仲介溶液に照射することで、過冷却を解除できる。過冷却解除手段として、超音波照射装置を用いる場合、高圧の容器を貫通するような回転軸が不要である。したがって、高圧系の信頼性が増す。
前記過飽和解除手段が過冷却解除手段を兼ねていてもよい。過飽和解除手段と過冷却解除手段が共通の攪拌器又は共通の超音波照射装置にて構成されていてもよい。
析出室の析出体は絞り部を通過して、容器の下側部分に入ることができる。これにより、容器の下側部分で析出体を溶解させることができる。一方、容器の下側部分の仲介溶液のうち、絞り部を通って析出室に侵入する流量は小さく、容器の下側部分の仲介溶液の大部分が、過冷却室へ流入して上昇する。
被処理水加熱部は、該被処理水加熱部より下流の導入路、被吸収室、及び被処理水排出路を順次介して、溶解室に熱的に接続される。被処理水加熱部は、例えば、太陽熱集熱器にて構成することができる。被処理水加熱部は、太陽熱集熱器に代えて、工場排熱回収部でもよく、電熱ヒータでもよい。
前記昇温手段が、前記被吸収室への被処理水の導入路に接続され、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部と、前記溶解室とが、互いに熱交換器を構成していてもよい(図2、図4参照)。
被処理水を昇温手段により昇温した上で被吸収室に導入できる。これにより、吸収室の仲介溶液が冷やされるのを防止できる。また、被処理水排出路の被処理水を熱源にして、溶解室の仲介溶液を昇温して析出体を溶解でき、熱を有効に利用できる。また、被処理水を、温度を下げたうえで廃棄できる。
被処理水を冷却源として析出室の仲介溶液を冷却でき、かつ析出室の仲介溶液を熱源として被処理水を加熱でき、熱を有効に利用できる。析出のための冷却媒体として処理対象の被処理水を用いることで、ランニングコストを低減できる。被処理水を高温にしたうえで被吸収室に供給することで、吸収室内の仲介溶液が被処理水に熱を奪われて仲介溶質が析出するのを防止でき、水分吸収部における水分吸収を確実に行なうことができる。
前記導入路の前記熱交換器を構成する部分が、前記降温手段を構成していてもよい。前記降温手段が、被処理水を前記析出室の仲介溶液と熱交換可能に通す通路状になっていてもよい。
前記熱交換器が対向流型の熱交換器であることが好ましい。前記熱交換器における被処理水の流量と仲介溶液の流量とが互いにほぼ同じであることが好ましい。これにより、熱交換不整合に因る損失を回避できる。
これにより、析出室の冷却すべき仲介溶液の熱を、溶解室の仲加熱すべき介溶液に与えることができ、熱を有効に利用できる。この構成によれば、析出室が、溶解室に対する昇温手段の少なくとも一部を構成し、溶解室が、析出室に対する降温手段の少なくとも一部を構成する。
被処理水を被吸収室への導入前に昇温手段にて昇温することにより、水分吸収部において仲介溶液が被処理水によって冷やされるのを防止でき、仲介溶液を高温に維持でき、ひいては水分吸収に必要な浸透圧を維持できる。熱交換器によって被吸収室から出た被処理水の廃熱を、被吸収室への導入前の被処理水に戻すことで、熱を効率的に利用できる。前記導入路における昇温手段より上流側で熱交換することで、被処理水をある程度昇温したうえで昇温手段に送ることができ、昇温手段の負担を軽減できる。
閉鎖系の内圧検出値が低くすぎるときは、昇温手段の出力を大きくする。これにより、溶解室における仲介溶液の昇温度を大きくできる。したがって、溶解後の中間溶液の浸透圧を高くでき、水分吸収部での水分吸収量を増大できる。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧検出値が高すぎるときは、昇温手段の出力を小さくする。これにより、溶解室における仲介溶液の昇温度を小さくできる。したがって、溶解後の中間溶液の浸透圧を低くでき、水分吸収部での水分吸収量を減少できる。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
閉鎖系の内圧検出値が低くすぎるときは、被処理水の流量を大きくする。これにより、水分吸収部での被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが小さくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が増大する。よって、閉鎖系の内圧を高めることができる。
閉鎖系の内圧検出値が高くすぎるときは、被処理水の流量を小さくする。これにより、水分吸収部での被処理水の濃度ひいては浸透圧の上昇度合いが大きくなる。したがって、仲介溶液の水分吸収量が減少する。よって、閉鎖系の内圧を低下させることができる。
これにより、閉鎖系の内圧を所要の大きさに維持でき、第1、第2半透膜をはじめとする閉鎖系の構成要素が破損するのを防止できる。
閉鎖系の内圧が設定圧以上になったときは、閉鎖系内の仲介溶液を逃がし弁から系外に逃がすことができる。これにより、閉鎖系の内圧が異常に高くなるのを防止でき、安全性を確保できる。
逃がし弁は、閉鎖系における仲介溶液の濃度が相対的に小さくなる箇所(例えば前記容器の上端部又は析出室)に接続することが好ましい。これにより、逃がし弁が開いたときの仲介溶質の喪失量を小さくすることができる。
ここで、水分吸収部において、被処理溶質が僅かながら第1半透膜を透過し、吸収室に侵入することが考えられる。閉鎖系においては、上記の侵入量が微量であっても、これが蓄積されると、閉鎖系の内圧が増大し、装置の寿命が短くなる。
そこで、前記第2半透膜は、被処理溶質を透過可能であることが好ましい。例えば、被処理水が海水の場合、被処理溶質はナトリウムイオン、塩素イオンである。前記第2半透膜が、ナトリウムイオン及び塩素イオンを透過可能であることが好ましい。
前記第2半透膜の被処理溶質の透過阻止率は、低いことが好ましい。具体的には、前記第2半透膜の被処理溶質の透過阻止率は、90%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、10%以下であることが一層好ましい。
これによって、閉鎖系に侵入した被処理溶質を、水分放出部において第2半透膜から閉鎖系外に放出できる。よって、閉鎖系に被処理溶質が蓄積されるのを防止できる。したがって、閉鎖系の内圧増大を回避でき、要求耐圧性能を抑えることができ、コスト増を抑制できる。さらには、装置の寿命を長くすることができる。
前記第2半透膜から取り出される出力淡水には被処理溶質が含まれることになるが、該出力淡水中の被処理溶質の濃度は、前記半透膜における被処理溶質の透過率に対応して、問題にならない程度に極めて小さい。
前記仲介溶質が、人体に無害であることが好ましい。これにより、生産した淡水を飲料に供する場合、安全性を確保できる。かかる仲介溶質として、ミョウバン、ショ糖が挙げられる。前記仲介溶質は、好ましくはミョウバンである。
ここで、ミョウバンは、アルミニウムと金属(アンモニウム含む)の硫酸塩(AlM(SO4)2;Mは1価の+イオンを作る原子又は分子)であり、例えばMは、カリウム又はナトリウムである。前記仲介溶質は、より好ましくはカリウムミョウバンまたはナトリウムミョウバンである。カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバンは、溶解度の温度依存性が大きく、かつ無害であり、前記仲介溶質として適している。
前記仲介溶質が、少なくとも1つのイオンが2価以上の電解質であることが好ましい。これにより、仲介溶質が第2半透膜から系外に流出するのを十分に抑制又は防止できる。かかる仲介溶質として、ミョウバンが挙げられる。
前記仲介溶質の分子量が、被処理水の溶質の分子量より大きいことが好ましい。これにより、仲介溶質が第2半透膜から系外に流出するのを十分に抑制又は防止できる。例えば、仲介溶質がミョウバン、被処理水の溶質が塩(NaCl)の組み合わせが挙げられる。
前記仲介溶質が、ナトリウムミョウバンであり、前記第2半透膜が、ナノフィルトレーション膜であることが好ましい。
前記仲介溶質がカリウムミョウバンである場合、該仲介溶質のカリウムイオンがナノフィルトレーション透膜を透過可能であり、仲介溶質のカリウムイオンが徐々にナトリウムイオンに置き換わる。これが問題となる場合、仲介溶質としてナトリウムミョウバンを用いるとよい。これによって、仲介溶液の成分を安定させることができる。
図1は、本発明の基本態様に係る第1実施形態を示したものである。淡水製造装置1は、水分吸収部20と、析出部30と、水分放出部40を備えている。
液温調節工程
海水waを加熱手段(図示せず)にて加熱し、高温にする。好ましくは、海水waの温度を後記ミョウバン水溶液wbの加熱温度と同程度にする。加圧ポンプ50の動力源である内燃機関等の発熱機器の排熱を用いて上記海水waを加熱してもよい。これによって、熱の利用効率が高まり、省エネにもなる。高温にした海水waを海水導入路71から被吸収室21内に導入する。
吸収室22内の高濃度ミョウバン水溶液wbの浸透圧は、被吸収室21内の海水waの浸透圧より高い。したがって、被吸収室21内の海水waの水分が第1半透膜23を透過し、吸収室22内のミョウバン水溶液wbに混ざる。言い換えると、ミョウバン水溶液wbが、海水waから水分を吸収する。
被吸収室21と吸収室22との間に圧力差は殆どない。したがって、第1半透膜23が目詰まりするのを抑制できる。よって、メンテナンスの手間やコストを軽減できる。
その後、海水waを被吸収室21から廃海水路73へ導出し、海等に廃棄する。
吸収室22内のミョウバン水溶液wbのミョウバン濃度は、水分吸収により低下する。濃度低下したミョウバン水溶液wb(中濃度ミョウバン水溶液wbと称す)を、吸収室22から中濃度仲介溶液路82を経て析出室31に送る。
析出室31のミョウバン結晶mは、分離膜33を透過するのが阻止され、透過液室32へは入らない。一方、析出室31の低濃度ミョウバン水溶液wbは、分離膜33を透過し、透過液室32に入る。
加圧ポンプ50は、低濃度ミョウバン水溶液wbを透過液室32から吸い込み、加圧して、放出室41に導入する。これにより、低濃度ミョウバン水溶液wbが第2半透膜43に圧し当てられる。加圧ポンプ50の加圧によって、低濃度ミョウバン水溶液wbの圧力をその浸透圧より高くする。これにより、放出室41内のミョウバン水溶液wbの水分が、第2半透膜43から淡水室42へ搾り出される。この結果、淡水wcを淡水取り出し路92から取り出すことができる。 水分放出工程におけるミョウバン水溶液wbの圧力は、他の工程におけるミョウバン水溶液wbより高圧になる。
放出室41内のミョウバン水溶液wb中のミョウバン(溶質)は、第2半透膜43によって透過を阻止される。ミョウバンは海水の塩分より分子が大きい。したがって、第2半透膜43の目を海水用の逆浸透膜より粗くできる。そうすることで、圧力損失を小さくできる。
第2実施形態の淡水製造装置1Aは、溶解部10と、水分吸収部20と、析出部30と、水分放出部40を備えている。これら4つの要素10,20,30,40が環状に接続されている。
吸収室22の上流端(図2において左端)に高濃度仲介溶液路81が連なっている。吸収室22の下流端(図2において右端)から中濃度仲介溶液路82が延びている。
なお、被吸収室21の上流端と吸収室22の上流端は、水分吸収部20の互いに逆側の端部に配置されている。吸収室22内の流れ方向は、被吸収室21内の流れ方向とは逆向きになっている。
海水wa(被処理水)を導入路71から熱交換路34に導入する。海水waの導入路71での温度は、例えば25℃程度、塩分濃度は約3.5%であり、流量は例えば3単位である。海水waは、熱交換路34を通過しながら析出室31のミョウバン水溶液wbと熱交換し、加熱される。熱交換路34の出口での海水温度は例えば約55℃である。この温海水waを、熱交換路34より下流の海水導入路71(温海水路)を経て被吸収室21に導入する。
水分吸収工程
この高温かつ高濃度のミョウバン水溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に導入する。ミョウバン水溶液wbの仲介溶液路81での流量は、例えば2単位である。吸収室22への導入時のミョウバン水溶液wbの温度は、例えば約60℃であり、ミョウバン濃度は、およそ26%である。すなわち、100gの水に対し26gの無水ミョウバンが溶解している。
熱交換器60によって、ミョウバンの溶液wbを加熱し不飽和溶液にできる。したがって、後述するように、ミョウバン水溶液wbから水分を第2半透膜43で搾り出しても、ミョウバンが析出しないようにできる。
上記の海水接触後のミョウバン水溶液wb(約13% 60℃)を、吸収室22から導出し、中濃度仲介溶液路82を経て析出室31に導入する。析出室31のミョウバン水溶液wbは、熱交換路(降温手段)34の海水waと熱交換して冷却される。冷却媒体として海水waを用いることで、ランニングコストを低減できる。しかも、ミョウバン水溶液wbの熱を海水waに移し、ミョウバン水溶液wbの冷却と同時に海水waを加熱でき、熱の利用効率を向上できる。
ミョウバン結晶mは、分離膜33によって透過を阻止される。このミョウバン結晶mを含むミョウバン結晶分散液(析出体分散液)を、仲介分散液路88に導出する。析出室31内のミョウバン結晶分散液の温度は、水溶液wbの温度と同じく34℃である。
上記の高温かつ低濃度のミョウバン水溶液wb(約50℃、9%)を、加圧ポンプ50により約50気圧に加圧して放出室41に導入する。これにより、ミョウバン水溶液wbの水分が、第2半透膜43から淡水室42へ搾り出される。このとき、ミョウバン水溶液wbに加える圧力は、海水を直接、逆浸透膜に圧し当てて水分を搾り出し10%の濃縮塩水を排出するとした場合の約2/3程度にすることができ、第2半透膜43及び加圧ポンプ50の負担を軽減できる。
混合部110において、仲介溶液回収路84からのミョウバン水溶液wbと、仲介分散液路88からのミョウバン結晶分散液とを混合する。この混合流体を加熱部15にて約60℃まで加熱する。これにより、混合流体中のミョウバン結晶mが溶解し、高濃度(例えば約26%)のミョウバン水溶液wbが得られる。この高濃度ミョウバン水溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に供給する。したがって、ミョウバン水溶液wbを循環させて繰り返し使用できる。よって、系外からミョウバン水溶液wbを補充する必要がない。
この実施形態に係る淡水製造装置1Bは、圧力容器2を備えている。圧力容器2は、軸線を上下に向けた筒状になっている。容器2は、数十気圧の高圧に耐え得る耐圧性を有している。圧力容器2の上端部及び下端部が開口されている。圧力容器2の下端の開口部に第1半透膜23が設けられている。第1半透膜23によって容器2の内部空間の下端部が閉塞されている。圧力容器2の上端の開口部にNF膜からなる第2半透膜43が設けられている。第2半透膜43によって容器2の内部空間の上端部が閉塞されている。
半透膜23,43の耐圧保護のために、半透膜23,43を容器2の外側から機械的に保持してもよい。この場合、2種類の液wa,wb又はwb,wcが膜23,43を介して十分に接する程度の面積を確保する。たとえば、容器2の上下の両端部に金網をそれぞれ設け、各金網が膜23,43の外側面に接するようにしてもよい。これにより、容器2の内部の圧力を金網で受けることができ、膜23,43を保護することができる。
被吸収室画成部20Bを省略し、圧力容器2の下端部を海中に配置してもよい。
冷却部15は、仲介溶液wbの温度を下げる降温手段を構成する。
なお、以下の説明では、仲介溶液wbがカリウムミョウバン水溶液であるものとする(後述する第4実施形態の仕様例において同じ)。以下の説明で例示する仲介溶液wbの浸透圧の数値は、カリウムミョウバン水溶液の浸透圧であり、しかも溶質のカリウムミョウバンが完全に電離していると仮定した浸透圧である。すなわち、カリウムミョウバン水溶液中では、1モルのカリウムミョウバン(AlK(SO4)2)が、4モルのイオン(Al3++K++2SO4 2−)に電離していると仮定している。実際のカリウムミョウバン水溶液は、カリウムミョウバンの電離がえてして不完全である。電離が不完全である場合の浸透圧は、完全に電離した場合より低い。
被吸収室21内の被処理水waと圧力容器2内の下端の仲介溶液wbとが、第1半透膜23を介して接触する。被吸収室21内の被処理水(海水)waの温度は約25℃、浸透圧は約30barである。これに対し、50℃の飽和仲介溶液(カリウムミョウバン飽和水溶液)wbの浸透圧は69bar程度である。したがって、第1半透膜23を挟んで両側の液wa,wbの浸透圧差(39bar)が、仲介溶液wbの液圧すなわち閉鎖系Cの内圧(後述するように30bar程度)を上回る。(被吸収室21の内圧は略大気圧であるから、考慮の必要がない。)よって、被吸収室21内の被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過し、圧力容器2内の仲介溶液wbに吸収される。
圧力容器2の内部空間における第1半透膜23の上面と接する下端部分が、吸収室22を構成する。
圧力容器2の容積は被処理水waからの水分吸収に拘わらずほぼ一定であるから、圧力容器2の内圧(仲介溶液wbの液圧)が水分吸収によって上昇する。仲介溶液wbの液圧は、上記浸透圧差と釣り合う大きさまで上昇できる。これにより、仲介溶液wbの液圧を定常状態で例えば30bar程度の高圧にすることができる。
圧力容器2の内部において、下部の比較的高温の仲介溶液wbが対流によって上方へ移動する。この仲介溶液wbが冷却部35により冷却される。これにより、圧力容器2内の上側部分で仲介溶質(ミョウバン)の析出体mが析出する。特に、冷却パイプ35aの外周面の近傍で析出が起きる。
圧力容器2内の上側部分(冷却パイプ35aの周辺)は、析出室31を構成する。
析出体mの析出によって、仲介溶液wbの溶質濃度及び浸透圧が低下する。この低濃度かつ低浸透圧の仲介溶液wbが第2半透膜43の下面に押し当てられる。仲介溶液wbの液圧は、定常状態では約30bar程度になり、該仲介溶液wbの25℃での浸透圧(25bar)より大きくなる。淡水室42での淡水wcの液圧は略大気圧、浸透圧は略0barであるから、考慮の必要がない。そのため、仲介溶液wb中の水分(溶媒)が第2半透膜43を透過し、淡水室42へ搾り出される。これにより、淡水取り出し路92から淡水wcを取り出すことができる。
圧力容器2の内部空間における第2半透膜43の下面と接する上端部分が、放出室41を構成する。
析出体mの比重は仲介溶液wbの比重より大きい。したがって、圧力容器2内の上側部分で析出した析出体mが、仲介溶液wb中を下降する。冷却パイプ35aの外周面には樹脂膜が設けられているため、冷却パイプ35aの外周面上で析出した析出体mは、冷却パイプ35aから容易に剥離し、仲介溶液wb中を下降する。
なお、冷却部35の冷却温度を数℃程度上げて戻す操作を一定の時間間隔置きに反復することにしてもよい。これにより、冷却パイプ35aの外周面上で析出体mが析出したとしても、この析出体mを冷却パイプ35aから速やかに剥離させることができる。
仲介溶液wb中の析出体mは、圧力容器2内の下側部分まで下降したとき、仲介溶液加熱部15の加温により溶解する。
圧力容器2内の下側部分(加熱パイプ15aの周辺)は、溶解室11を構成する。
このようにして、圧力容器2からなる閉鎖系C内で溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を循環的に行ない、淡水wcを連続的に生産することができる。
この実施形態に係る淡水製造装置1Cは、溶解部10Cと、水分吸収部20と、析出部30Cと、水分放出部40を備えている。これら4つの要素10C,20,30C,40が互いに環状に連結されている。
送液ポンプ101は、高濃度仲介溶液路81に設けるのに代えて、中濃度仲介溶液路82、低濃度仲介溶液路83、仲介溶液回収路84の何れかに設けてもよい。
なお、送液ポンプ102は、析出部30Cと水分吸収部20との間の導入路71に設けてもよく、被処理水排出路73に設けてもよい。
加熱部120として太陽熱集熱器に代えて、工場排熱回収部や電熱ヒータ等を用いてもよい(他の実施形態において同様)。
水分吸収工程
被処理水waを、送液ポンプ102によって、熱交換路34、加熱部120、被吸収室21、廃水熱交換路12の順に送る。被処理水waを、上記の流通の途中、熱交換器30Cにて加温し、更に加熱部120によって加温する。高温化した被処理水waを、水分吸収部20の被吸収室21に通す。
また、閉鎖系C内の仲介溶液wbを、送液ポンプ101によって、溶解室11、吸収室22、析出室31、放出室41の順に循環させる。吸収室22での仲介溶液wbは、高温、高濃度かつ高浸透圧になっている。よって、水分吸収部20において、被吸収室21の被処理水waの水分が第1半透膜23を透過して吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。
第3実施形態(図3)と同様に、閉鎖系C全体の内圧(仲介溶液wbの液圧)が水分吸収によって上昇し、定常状態では30bar程度になる。
水分吸収後の仲介溶液wbを熱交換器(析出部)30Cへ送る。熱交換器30Cにおいて、熱交換路(析出室)31を通る仲介溶液wbと、熱交換路34を通る被処理水waとが熱交換する。被処理水waは仲介溶液wbから熱を奪い、加温される。仲介溶液wbは被処理水waに熱を与えて冷却される。冷却によって、仲介溶液wb中の溶質(ミョウバン)が析出する。これにより、仲介溶液wbの溶媒濃度及び浸透圧が低下する。
上記析出体mを含む仲介溶液wbを、水分放出部40の放出室41に送る。放出室41での仲介溶液wbの液圧は30bar程度の高圧であり、該仲介溶液wbの浸透圧を上回る。したがって、仲介溶液wbの水分が、第2半透膜43を透過し、淡水室42に搾り出される。これにより、淡水wcを取り出すことができる。
その後、仲介溶液wbを放出室41から導出し、熱交換器(溶解部)10Cの熱交換路(溶解室)11に送る。また、被吸収室21からの被処理水waを熱交換路12に導入する。熱交換器10Cにおいて、これら仲介溶液wbと被処理水waとが熱交換する。被処理水waは仲介溶液wbに熱を与え、冷却される。冷却後の被処理水waを廃棄する。仲介溶液wbは、熱交換器10Cにおいて被処理水waから熱を奪い、加温される。仲介溶液wbが高温化されることによって、仲介溶液wb中の析出体mが溶解する。これにより、仲介溶液wbの溶媒濃度及び浸透圧が高まる。この仲介溶液wbを水分吸収部20へ導入する。
このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を循環的に行ない、淡水wcを連続的に生産することができる。
被処理水waの源液(海水)を析出部30Cの冷却源にし、太陽熱を溶解部10Cの加熱源にすることで、熱を有効に利用できる。
例えば、被処理水waの源液(海水)は、初期温度25.0℃であり、浸透圧29.6barである。この被処理水waを流量5.5mol/secで被処理水導入路71に通し、熱交換器30Cの被処理水熱交換路34に導入する。1mol/secは1.08L/min程度である。
熱交換器30Cの熱交換容量は11.65kWであり、平均対数温度差は4.8℃とする。
被処理水熱交換路34の出口での被処理水waは、流量5.5mol/sec、温度53.3℃、浸透圧32.4barになる。
この被処理水waを太陽熱集熱器等からなる加熱部120で加温し、流量5.5mol/sec、温度60.0℃、浸透圧33.1barにする。この被処理水waを水分吸収部20の被吸収室21に導入する。水分吸収部20で被処理水waの水分が仲介溶液wbに吸収されることで、被吸収室21の出口での被処理水waは、流量3.3mol/sec、温度60.0℃、浸透圧55.1barになる。この被処理水waを熱交換器10Cの廃水熱交換路12に導入する。
熱交換器10Cの熱交換容量は6.84kWであり、平均対数温度差は2.6℃とする。廃水熱交換路12の出口での被処理水waは、流量3.3mol/sec、温度32.5℃、浸透圧50.6barになる。この被処理水waを廃棄する。
淡水製造装置1Cにおいては、熱交換器10Cにおける被処理水waと仲介溶液wbの流量を互いに等しくすることができる。同様に、熱交換器30Cにおける被処理水waと仲介溶液wbの流量を互いに等しくすることができる。したがって、熱交換不整合に因る損失が生じるのを防止できる。
淡水製造装置1Dの析出部30Cには、分離部37が付加されている。分離部37は、容器状になっている。分離部37内に分離膜33(分離手段)が設けられている。分離膜33によって、分離部37の内部空間が分離室38と透過液室32とに区画されている。分離室38が、析出室31の下流に連なっている。透過液室32が、低濃度仲介溶液路83を介して放出室41に連なっている。
その他の動作については、第4実施形態と同様である。
溶解室11と吸収室22と析出室31と放出室41が環状に連なり、環状の閉鎖系Cを構成している。この点は、第4実施形態(図4)と同様である。閉鎖系Cの全体が、例えば約30barの高圧になっている。
淡水冷却部90として、クーリングタワーに代えて、空冷器やヒートポンプ等の他の冷却装置を用いてもよい。
仲介溶液wbを、溶解室11、吸収室22、析出室31、放出室41の順に循環させる。放出室41から溶解室11に導入される仲介溶液wbには析出体mが含まれている。
溶解工程
熱交換器130において、溶解室11を通過する低温の仲介溶液wbが、析出室31を通過する高温の仲介溶液wbから熱を受け取る。これにより、溶解室11の仲介溶液wbが加温され、析出体mが溶解する。
析出体mの溶解により仲介溶液wbの濃度が高まり、浸透圧が高まる。この高濃度、高浸透圧の仲介溶液wbを、高濃度仲介溶液路81を経て吸収室22に送る。
併行して、被処理水waを加熱部120により加温した後、被吸収室21に送る。この被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過し、吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。同時に、吸収室22の仲介溶液wbは、被吸収室21の被処理水waから熱を受け取り、加温される。
水分吸収後かつ昇温後の仲介溶液wbを、中濃度仲介溶液路82を介して析出室31に送る。この仲介溶液wbが、析出室31を通過しながら、溶解室11の仲介溶液wbに熱を与え、冷却される。これによって、析出室31の仲介溶液wbから析出体mが析出する。析出体mの析出によって、仲介溶液wbの濃度が低下し、浸透圧が低下する。この低濃度、低浸透圧の仲介溶液wbを、仲介溶液回収路84を経て放出室41に送る。
淡水冷却部90によって淡水wcを常温まで冷却する。冷却時に淡水wcの一部が蒸発してトータルの淡水wcの量が減少するが、水の潜熱が大きいため、減少量は僅少である。冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。淡水室42を流れる淡水wcによって放出室41の仲介溶液wbが更に冷却される。
なお、淡水冷却部90への給水源として、淡水製造装置1Eの生産水wcに代えて、別途に準備した淡水を用いてもよい。
被処理水waの経路には被処理水間熱交換器140が設けられている。熱交換器140は、一対の熱交換路141,142を有している。これら熱交換路141,142は、互いに対向流路を構成している。熱交換往路141は、被処理水導入路71の加熱部120より上流側の部分に介在されている。熱交換復路142は、被処理水排出路73に介在されている。
第8実施形態に係る淡水製造装置1Fは、溶解部兼水分吸収部20Fと、析出部兼水分放出部40Fを備えている。溶解部兼水分吸収部20Fは、被吸収室21と、溶解室兼吸収室22Fと、これら室21,22Fを仕切る第1半透膜23を有している。被吸収室21及び溶解室兼吸収室22Fは、流体wa,仲介溶液wbの流れ方向に十分に長い通路状になっている。溶解室兼吸収室22Fの上流側部分(図8において左側)は、溶解室11として提供されている。溶解部兼水分吸収部20Fは、被吸収室21を流れる被処理水waと溶解室兼吸収室22Fを流れる仲介溶液wbとが第1半透膜23を介して熱交換可能な対向流型の熱交換器を構成している。
送液ポンプ101を中濃度仲介溶液路82に代えて仲介溶液回収路84に設けてもよい。
溶解工程、水分吸収工程
被処理水waを加熱部120により加温した後、被吸収室21に導入する。また、析出体mを含む仲介溶液wbを、仲介溶液回収路84から溶解室兼吸収室22Fの上流部(溶解室11)に導入する。溶解部兼水分吸収部20Fにおいて、被吸収室21の被処理水waと溶解室兼吸収室22Fの仲介溶液wbとが互いに対向方向に流れながら熱交換し、被処理水waの熱が仲介溶液wbに与えられる。これにより、仲介溶液wbが加温され、析出体mが溶解する。したがって、溶解室兼吸収室22Fの主に下流側の部分(図8において右側)では、仲介溶液wbが高濃度になり、浸透圧が高まる。これによって、被吸収室21の被処理水waの水分が第1半透膜23を透過し、溶解室兼吸収室22Fの仲介溶液wbに吸収される。
水分吸収によって低濃度になった仲介溶液wbを、中濃度仲介溶液路82を経て、析出室兼放出室41Fに送る。
また、淡水冷却部90で淡水wcを常温まで冷却する。冷却時に淡水wcの一部が蒸発してトータルの淡水wcの量が減少するが、水の潜熱が大きいため、減少量は僅少である。冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。
送液ポンプ104を、吸収復路182に代えて、吸収往路181に設けてもよい。
放出往路183に放出用送液ポンプ105が設けられている。放出用送液ポンプ105を、放出往路183に代えて放出復路184に設けてもよい。
加熱部120は、熱交換器20を介して圧力容器200内の下側部分の仲介溶液wbの温度を上げる昇温手段を構成している。
冷却部90は、熱交換器40を介して圧力容器200内の上側部分の仲介溶液wbの温度を下げる降温手段を構成している。
水分吸収工程
圧力容器200の下側の比較的高温の仲介溶液wbは、高濃度かつ高浸透圧になっている。この仲介溶液wbを、吸収往路181を経て吸収室22に導入する。併行して、被処理水waを被処理水導入路71の途中で加熱部120にて加温したうえで、被吸収室21に導入する。これにより、被吸収室21の被処理水waの水分が、第1半透膜23を透過して吸収室22の仲介溶液wbに吸収される。また、仲介溶液wbは、被吸収室21の温被処理水waから熱を受け取り、加温される。
吸収室22を通過後の仲介溶液wbを、吸収復路182を経て圧力容器200の下側部分に戻す。
圧力容器200の下側部分と吸収室22との間で仲介溶液wbを循環させることによって、水分吸収を促進させることができる。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分吸収量を得ることができる。この結果、水分吸収部20ひいては第1半透膜23をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第1半透膜23の耐圧性能を容易に確保できる。
仲介溶液wbが水分吸収部20で水分を吸収することにより、閉鎖系C全体の内圧が、例えば30bar程度の高圧になる。
圧力容器200の内部において、下部の比較的高温の仲介溶液wbが上方へ移動する。この仲介溶液wbが圧力容器200の低温の上側部分で冷却され、析出体mが析出する。析出体mの析出によって、仲介溶液wbが低濃度かつ低浸透圧になる。
圧力容器200内の上側部分は、析出室31を構成する。
圧力容器200の上側部分の低濃度かつ低浸透圧の仲介溶液wbを、放出往路183を経て放出室41に導入する。また、淡水冷却部90にて淡水wcを常温(約25℃)まで冷却し、冷却後の淡水wcを淡水室42に導入する。
放出室41の仲介溶液wbの液圧(30bar程度)は、該仲介溶液wbの浸透圧より大きい。よって、仲介溶液wbの水分が、例えば中空糸状のNF膜からなる第2半透膜43を透過し、淡水室42へ搾り出される。これにより、淡水取り出し路92から淡水wcを取り出すことができる。
その後、仲介溶液wbを放出室41から放出復路184を経て圧力容器200の上側部分に戻す。
圧力容器200の上側部分と放出室41との間で仲介溶液wbを循環させることによって、水分放出を促進させることができる。この循環サイクルを繰り返すことで、十分な水分放出量を得ることができる。この結果、水分放出部40ひいては第2半透膜43をコンパクトにでき、設備コストを低減できる。さらに、第2半透膜43の耐圧性能を容易に確保できる。
圧力容器200の上側部分で析出した析出体mは、比重の関係で圧力容器200内の仲介溶液wb中を重力により下降する。したがって、析出体mが放出往路183を経て放出室41に送られるのを防止できる。よって、第2半透膜42の目詰まりや損傷を防止できる。圧力容器200は、放出室41に送られる仲介溶液wbから析出体mを分離する分離手段としても機能している。
圧力容器200内の析出体mは、圧力容器200の高温の下側部分まで下降したとき、溶解する。これにより、圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbが高濃度かつ高浸透圧になる。
圧力容器200内の下側部分は、溶解室11を構成する。
このようにして、仲介溶液wbを閉鎖系C内で循環させ、淡水wcを連続的に生産することができる。
第10実施形態の淡水製造装置1Hの圧力容器210は、シェルアンドチューブ型の熱交換器にて構成されている。シェルアンドチューブ型熱交換器は、シェル211と、このシェル211の内部に収容された複数のチューブ212を有している。チューブ212は上下に延びている。チューブ212の内部に飽和状態の仲介溶液wbが充填されている。チューブ212の内周面にフッ素系樹脂などの析出体付着防止膜を被膜してもよい。仲介溶液wbは、チューブ212より上側のシェル211内及びチューブ212より下側のシェル211内にも充填されている。
第11実施形態に係る淡水製造装置1Kでは、圧力容器200内の上側部に過飽和解除手段161とフィルタ162が設けられている。過飽和解除手段161は、例えば回転羽根を含む攪拌器にて構成されている。過飽和解除手段161の回転羽根は、圧力容器200の内部空間の放出復路184との連通部分寄りの部分に、圧力容器200の内壁から離れて配置されている。
過飽和解除手段161として、攪拌器に代えて、超音波照射装置を用いてもよい。
フィルタ162は、後記送液ポンプ106より圧力容器200側の放出往路183に設けてもよい。
第12実施形態の圧力容器200には、上下に延びる隔壁201が設けられている。圧力容器200内の下部(溶解室11)より上側部分が、隔壁201によって過冷却室202と析出室31とに仕切られている。過冷却室202の下方に、圧力容器200の下部空間(溶解室11)が直接的に連なっている。
過冷却解除手段161Lとして、攪拌器に代えて、超音波照射装置を用いてもよい。 放出復路184は、冷却管154より上側の過冷却室200に連通している。
淡水製造装置1Lの水分吸収部20において、仲介溶液wbが、被処理水waから水分を吸収し、かつ被処理水waを介して加熱部120の熱を受け取り、その後、圧力容器200の下側部分に戻される。
圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbは、比較的高温になっている。この高温の仲介溶液wbが、過冷却室202内を静かに上昇する。この仲介溶液wbを冷却管154によって冷却する。静流の仲介溶液wbは過冷却状態になる。したがって、過冷却室202では析出体mが析出せず、冷却管154に析出体mが付着するのを防止できる。よって、仲介溶質が析出、溶解を反復しながら閉鎖系C内を確実に循環できる。過冷却状態の仲介溶液wbは、過飽和状態でもある。
冷却管154より上側において、過冷却状態の仲介溶液wbは、放出復路184からの過飽和(過冷却)状態の仲介溶液wbと混ざりながら、隔壁201の上端部を通過し、析出室31の上端部へ移行する。過冷却室202内には上昇流が形成されているため、放出復路184からの仲介溶液wbが過冷却室202内を下降することはほとんどない。
析出室31の上端部では、攪拌器161Lにより仲介溶液wbを攪拌する。これにより、仲介溶液wbの過冷却状態を容易に解除できる。過冷却解除によって析出体mが析出する。
攪拌器161Lは、水分放出部40からの過飽和仲介溶液wbの過飽和状態を解除する過飽和解除手段にもなる。
攪拌器161Lが隔壁201の上端部より下に位置し、隔壁201の上端部より下側で析出が起きるため、析出体mが過冷却室202に入り込むのを防止できる。また、圧力容器200の内壁及び隔壁201から離れた析出室31の内側部分で析出が起きる。したがって、析出体mは、圧力容器200の内壁や隔壁201に付着することなく、析出室31内を重力によって下降する。
析出室31を下降した析出体mは、その後、絞り部205を通過して圧力容器200の下側部分(溶解室11)に入り、溶解する。一方、圧力容器200の下側部分の仲介溶液wbは、絞り部205を通過するのを制限される。したがって、圧力容器200の下側部分(溶解室11)の仲介溶液wbの大部分が、過冷却室202へ導かれ、過冷却室202内を冷却管154に沿って上昇する。
すなわち、圧力検出器171の検出圧力が例えば30bar程度の所定値より小さくなったときは、加熱部120の出力を大きくする。これにより、被吸収室21に導入される被処理水waの温度が高くなり、更には圧力容器200の下側部分(溶解室11)及び吸収室22の間を循環する仲介溶液wbの温度が高くなる。したがって、該仲介溶液wbの浸透圧を高くできる。よって、水分吸収部20における仲介溶液wbの水分吸収量が増大する。これにより、閉鎖系Cの内圧を高めて所定値に戻すことができる。ひいては、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を増大させて所定流量に戻すことができる。
これにより、閉鎖系Cの内圧を所要の大きさに維持でき、半透膜23,43をはじめとする閉鎖系Cの構成要素が破損するのを防止できる。
この変形例では、コントローラ170の制御信号線が、加熱部120に代えて、被処理水用送液ポンプ102に接続されている。コントローラ170は、圧力検出器171の検出圧力に基づいて送液ポンプ102の出力を調節する。
すなわち、圧力検出器171の検出圧力が所定値より小さくなったときは、送液ポンプ102の出力を大きくする。これにより、水分吸収部20における被処理水waの流量が増える。そのため、水分吸収工程時の被処理水(海水)waの溶質(塩分)濃度の上昇度合いが小さくなり、ひいては仲介溶液wbと被処理水waの浸透圧差の縮小度合いが小さくなる。したがって、被処理水waから仲介溶液wbへの水分吸収量が増大する。これにより、閉鎖系Cの内圧を高めて所定値に戻すことができる。ひいては、水分放出部40から取り出される淡水wcの流量を増大させて所定流量に戻すことができる。
これにより、閉鎖系Cの内圧を所要の大きさに維持でき、半透膜23,43をはじめとする閉鎖系Cの構成要素が破損するのを防止できる。
この実施形態では、閉鎖系Cに逃がし路191が設けられている。逃がし路191は、例えば圧力容器200の上端部から引き出されている。逃がし路191に逃がし弁192が設けられている。逃がし弁192は、閉鎖系Cの内圧が設定圧以上になると開き、閉鎖系C内の仲介溶液wbを系外に逃がす。これによって、閉鎖系Cの内圧が異常に高くなるのを防止でき、安全性を確保できる。
圧力容器200の上側部分の相対的に低濃度の仲介溶液wbが系外に放出されることになるため、仲介溶質(ミョウバン)の喪失量を小さくすることができる。
第15実施形態(図15)において、逃がし路191は、圧力容器200に限られず、閉鎖系Cの任意の箇所から引き出すことができ、路181〜184から分岐させてもよく、室22,41から引き出してもよい。
例えば、仲介溶液wbの溶質は、溶解度が温度依存性を有していればよく、アルミニウムカリウムミョウバン(AlK(SO4)2)以外のミョウバンでもよく、ミョウバンに代えて、ショ唐、KNO3、安息香酸などを用いてもよい。生成した淡水wcを飲料として用いる場合、仲介溶質は、アルミニウムカリウムミョウバン(AlK(SO4)2)、ショ糖等の無害な物質を用いるのが好ましい。これによって、安全性を確保できる。
被処理水waは、水分を含む液体であればよく、海水に限られず、下水でもよく泥水でもよい。
第4、第5実施形態(図4、図5)において、溶解部10Cが、熱交換媒体を互いに対向方向に流す対向流型の熱交換器に代えて、熱交換媒体を互いに同じ向きに流す並行流型の熱交換器にて構成されていてもよく、析出部30Cが、並行流型の熱交換器になっていてもよい。同様に、第6実施形態(図6)の熱交換要素20,40,130、第7実施形態(図7)の熱交換器140、第8実施形態(図8)の熱交換要素22F,40F、第9〜第12実施形態(図9〜図12)の熱交換要素20,40についても、対向流型の熱交換器に代えて、並行流型の熱交換器にて構成されていてもよい。
例えば、第5実施形態(図5)の分離部37より下流の溶液路83に、第10実施形態(図10)と同様の放出用加熱手段129を設けてもよい。
第6実施形態(図6)において、第5実施形態(図5)と同様に、析出体mの分離・混合機構37,88,103,110を設けてもよい。
第9実施形態(図9)の容器200の下側部分に第3実施形態(図3)の仲介溶液加熱部15を設けてもよい。第9実施形態(図9)の容器200の上側部分に第3実施形態(図3)の仲介溶液冷却部35を設けてもよい。
第9実施形態(図9)の水分吸収部20を省略し、容器200の下側部分を第3実施形態(図3)の容器2の下側部分及び被吸収室画成部20Bに置き換えてもよい。第9実施形態(図9)の水分放出部40を省略し、容器200の上側部分を第3実施形態(図3)の容器2の上側部分及び淡水室画成部40Bに置き換えてもよい。
図1、図2、図4〜図8の実施形態においても、仲介溶液wbが放出室41内で過飽和になるよう、仲介溶液wbの流速又は流量を調節してもよい。
第13及び第14実施形態(図13、図14)のコントローラ170及び圧力検出器171は、第9実施形態(図9)の閉鎖系Cに適用したものであるが、図3〜図7、図10〜図12に示す他の実施形態の高圧閉鎖系Cに第13実施形態又は第14実施形態と同様のコントローラ170及び圧力検出器171を組み込んでもよい。
第15実施形態(図15)の逃がし回路191,192は、第9実施形態(図9)の閉鎖系Cに適用したものであるが、図2〜図7、図10〜図12に示す他の実施形態の閉鎖系Cに第15実施形態と同様の逃がし回路191,192を設けてもよい。第2実施形態(図2)においては、加圧ポンプ50と動力回収部51との間の高圧部分に逃がし回路191,192を設けるとよい。
m ミョウバン結晶(析出体)
wa 海水(被処理水)
wb ミョウバン水溶液(仲介溶液)
wc 淡水
1,1A〜1L 淡水製造装置
2 容器
10 溶解部
10C 溶解部、熱交換器
11 溶解室
12 廃水熱交換路
15 仲介溶液加熱部(昇温手段)
15a 加熱パイプ
20 水分吸収部
20B 被吸収室画成部
20F 溶解部兼水分吸収部
21 被吸収室
22 吸収室
22F 溶解室兼吸収室
23 第1半透膜
30 析出部
30C 析出部、熱交換器
31 析出室
32 透過液室
33 分離膜(分離手段)
34 被処理水熱交換路(降温手段)
35 仲介溶液冷却部(降温手段)
35a 冷却パイプ
37 分離部
38 分離室
40 水分放出部
40B 淡水室画成部
40F 析出部兼水分放出部
41 放出室
41F 析出室兼放出室
42 淡水室
43 第2半透膜
50 加圧ポンプ(加圧手段)
51 動力回収部
52 伝達機構
60 熱交換器
61 海水熱交換路(被処理水熱交換路)
62 溶液熱交換路
63 淡水熱交換路
71 海水導入路(被処理水導入路)
73 廃海水路(被処理水排出路)
81 高濃度仲介溶液路
82 中濃度仲介溶液路
83 低濃度仲介溶液路
84 仲介溶液回収路
88 仲介分散液路
89 仲介混合液路90 淡水冷却部(降温手段)
91 淡水導入路
92 淡水取り出し路101 仲介溶液用送液ポンプ
102 被処理水用送液ポンプ
103 仲介分散液用送液ポンプ
104 吸収用送液ポンプ
105 放出用送液ポンプ
106 低出力送液ポンプ(液流調節部)
110 混合部120 被処理水加熱部(昇温手段)
129 放出用加熱手段
130 仲介溶液間熱交換器
140 被処理水間熱交換器
141 熱交換往路
142 熱交換復路
150 仲介溶液冷却部(降温手段)
150L 仲介溶液冷却部(降温手段)
151 冷却源
152 冷却路
154 冷却管
161 攪拌器(過飽和解除手段)
161L 攪拌器(過冷却解除手段)
162 フィルタ
170 コントローラ(調節部)
171 圧力検出部
181 吸収往路
182 吸収復路
183 放出往路
184 放出復路
191 逃がし路
192 逃がし弁
200 圧力容器
201 隔壁
202 過冷却室
204 斜板部
210 圧力容器
211 シェル
212 チューブ
Claims (36)
- 被処理水から淡水を製造する方法であって、
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液を相対的に高温にして、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解工程と、
被処理水を第1半透膜の一方の面に接触させるとともに、前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を前記相対的に高温の状態で前記第1半透膜の他方の面に接触させ、被処理水の水分を前記第1半透膜を介して仲介溶液に吸収させる水分吸収工程と、
前記水分吸収工程後の仲介溶液を相対的に低温にし、前記仲介溶質を析出させる析出工程と、
前記析出工程後の仲介溶液を第2半透膜に、仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な液圧にて接触させる水分放出工程と、
を備えたことを特徴とする淡水製造方法。 - 前記溶解工程では、前記析出工程で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を昇温して前記析出体を溶解させ、前記水分吸収工程用の仲介溶液を得、
前記溶解工程、水分吸収工程、析出工程、水分放出工程を閉鎖系内で循環的に行なうことを特徴とする請求項1に記載の淡水製造方法。 - 前記水分放出工程における仲介溶液を、他の工程における仲介溶液より高圧にすることを特徴とする請求項2に記載の淡水製造方法。
- 前記閉鎖系全体の内圧を、前記水分放出工程における前記液圧とほぼ等しくすることを特徴とする請求項2に記載の淡水製造方法。
- 前記析出工程で析出させた仲介溶質の析出体を前記水分放出工程に供される仲介溶液から分離する分離工程と、分離した前記析出体を前記水分放出工程後の仲介溶液と混合して前記溶解工程に供する混合工程と、を更に備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記析出体を分離した後の仲介溶液を加熱して前記水分放出工程を行なうことを特徴とする請求項5に記載の淡水製造方法。
- 仲介溶液を容れた容器を用意し、前記容器内の下側部分の仲介溶液を相対的に高温にして前記溶解工程及び水分吸収工程に用い、前記容器内の上側部分の仲介溶液を相対的に低温にして前記析出工程及び水分放出工程に用いることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、前記水分吸収工程後の被処理水と前記溶解工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記水分吸収工程前の被処理水と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記溶解工程時の仲介溶液と前記析出工程時の仲介溶液とを熱交換させることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 被処理水を前記水分吸収工程の前に昇温し、かつ前記昇温前の被処理水と前記水分吸収工程後の被処理水とを熱交換させることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記水分放出工程において前記仲介溶液を過飽和にすることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記析出工程が、前記仲介溶液を過冷却状態にする過冷却工程と、過冷却後の仲介溶液の過冷却状態を過冷却中の仲介溶液と混ざらないようにしながら解除する過冷却解除工程とを含み、解除後の仲介溶液を前記水分放出工程に供することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 前記仲介溶質が、ミョウバン又はショ糖であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の淡水製造方法。
- 被処理水から淡水を製造する装置であって、
溶質(以下「仲介溶質」と称す)が溶解されていて、かつその溶解度が温度に依存する仲介溶液の温度を上げる昇温手段と、
前記仲介溶液を容れ、かつ前記昇温手段と熱的に接続されることによって、前記仲介溶液に前記仲介溶質を更に溶解させる溶解室と、
被処理水を容れる被吸収室と、前記昇温されかつ前記更に溶解した仲介溶質を含む仲介溶液を容れる吸収室と、前記被吸収室及び吸収室を仕切る第1の半透膜と、を有する水分吸収部と、
前記吸収室からの仲介溶液を容れる析出室と、
前記析出室内の仲介溶液の温度を下げて前記仲介溶質を析出させる降温手段と、
前記析出室からの仲介溶液を容れる放出室と、前記放出室の少なくとも一部を画成する第2の半透膜と、を含む水分放出部と、
を備え、前記放出室の内圧を、前記仲介溶液の水分が前記第2半透膜を介して放出可能な大きさにすることを特徴とする淡水製造装置。 - 前記溶解室が、前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を含む仲介溶液を収容し、
前記昇温手段が、前記溶解室内の仲介溶液を昇温し、前記析出体を溶解させ、
前記溶解室と吸収室と析出室と放出室によって閉鎖系が構成されていることを特徴とする請求項15に記載の淡水製造装置。 - 前記溶解室と吸収室と析出室と放出室とが環状に連なっていることを特徴とする請求項16に記載の淡水製造装置。
- 前記閉鎖系全体の内圧が、前記放出室の内圧とほぼ等しいことを特徴とする請求項16又は17に記載の淡水製造装置。
- 前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段を、更に備えたことを特徴とする請求項15〜18の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記析出室で析出した仲介溶質の析出体を前記放出室へ送られる仲介溶液から分離する分離手段と、前記分離した析出体と前記放出室からの仲介溶液とを混合する混合部と、を更に備え、前記混合部が、前記溶解室に連なっていることを特徴とする請求項16〜18の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記分離手段が、前記仲介溶液の透過を許容し、前記析出体の透過を阻止する分離膜を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載の淡水製造装置。
- 前記仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を前記放出室に熱的に接続したことを特徴とする請求項20又は21に記載の淡水製造装置。
- 前記閉鎖系が、仲介溶液を容れる容器を含み、前記昇温手段が、前記容器の相対的に下側部分に熱的に接続され、前記降温手段が、前記容器の相対的に上側部分に熱的に接続されていることを特徴とする請求項18に記載の淡水製造装置。
- 前記容器の前記仲介溶液で満たされた内部空間の下端部に前記第1半透膜が設けられ、この第1半透膜の下面が前記被吸収室の一部を画成し、前記容器の前記内部空間の上端部に前記第2半透膜が設けられていることを特徴とする請求項23に記載の淡水製造装置。
- 前記吸収室が、吸収往路及び吸収復路を介して前記容器の下側部分と連なっていることを特徴とする請求項23に記載の淡水製造装置。
- 前記放出室が、放出往路及び放出復路を介して前記容器の上側部分と連なっていることを特徴とする請求項23又は25に記載の淡水製造装置。
- 前記放出往路に、仲介溶液を加熱する放出用加熱手段を設けたことを特徴とする請求項26に記載の淡水製造装置。
- 前記放出室の仲介溶液が過飽和状態になるように仲介溶液の放出室での流速又は流量を調節する液流調節部と、
前記容器内で前記仲介溶液の過飽和状態を解除する過飽和解除手段と
を備えたことを特徴とする請求項26又は27に記載の淡水製造装置。 - 前記容器内の上側空間が、上下に延びる隔壁にて過冷却室と前記析出室とに仕切られ、過冷却室の内部には、前記降温手段として仲介溶液を過冷却状態にする冷却管が設けられ、過冷却室の上端部が、前記放出復路に連なるとともに前記析出室の上端部と連通し、析出室の上端部に過冷却解除手段が設けられ、析出室の過冷却解除手段より下側の箇所に前記放出往路が連なっていることを特徴とする請求項26〜28の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記昇温手段が、前記被吸収室への被処理水の導入路に接続され、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部と、前記溶解室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項16〜18、20、23〜29の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記析出室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項15〜30の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記溶解室と析出室とが、互いに熱交換器を構成していることを特徴とする請求項16〜18、20、23〜29の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 被処理水を前記被吸収室に導入する導入路の一部と、前記被吸収室から被処理水を排出する被処理水排出路の一部とが、互いに熱交換器を構成し、この熱交換器より下流の前記導入路に前記昇温手段が接続されていることを特徴とする請求項15〜32の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記第2半透膜が、ナノフィルトレーション膜であることを特徴とする請求項15〜33の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記仲介溶質が、少なくとも1つのイオンが2価以上の電解質であることを特徴とする請求項15〜34の何れか1項に記載の淡水製造装置。
- 前記仲介溶質が、ミョウバン又はショ糖であることを特徴とする請求項15〜35の何れか1項に記載の淡水製造装置。
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