JP2011255340A - 溶媒抽出方法及び装置 - Google Patents

溶媒抽出方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011255340A
JP2011255340A JP2010133805A JP2010133805A JP2011255340A JP 2011255340 A JP2011255340 A JP 2011255340A JP 2010133805 A JP2010133805 A JP 2010133805A JP 2010133805 A JP2010133805 A JP 2010133805A JP 2011255340 A JP2011255340 A JP 2011255340A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alum
solution
chamber
absorption
extraction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010133805A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2010133805A priority Critical patent/JP2011255340A/ja
Publication of JP2011255340A publication Critical patent/JP2011255340A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】溶質が系外へ漏れたとしても補填を安価に行なうことができる溶媒抽出装置を提供する。
【解決手段】ミョウバン溶液を循環路3に沿って循環させながら、溶解室11にてミョウバンの析出体を溶解させる。吸収室21のミョウバン溶液と被吸収室22の被処理溶液を吸収用半透膜23を介して接触させる。析出室31にてミョウバンを析出させる。被抽出室41にてミョウバン溶液を抽出用浸透膜43と接触させ、溶媒を抽出する。補填手段70から循環路3にミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を連続的又は定期的又は不定期に混入する。
【選択図】図1

Description

この発明は、海水や汚水等の被処理溶液から淡水等の溶媒を抽出する方法及び装置に関する。
例えば、特許文献1には、反応容器内に半透膜及び蒸留膜を設け、海水とブラインとを半透膜を介して接触させ、かつ上記ブラインと淡水とを蒸留膜を介して接触させている。ブラインは、バッファタンクと反応容器との間を循環する。海水の水分が半透膜を透過してブラインに混ざる。ブラインの水分が蒸留膜を透過して淡水に混ざる。これによって、海水の水分を、ブラインを経由して淡水側に取り出すことができる。
国際公開WO2007/147013号公報
上掲の方式では、ブラインの成分が膜を透過して系外に漏れた場合、循環路のブラインが減り、淡水(溶媒)の抽出に支障が出る。漏れた分のブラインを補充することにした場合、ブラインは海水等の被処理溶液と比べ一般に高価であるからランニングコストが上昇する。
上記事情に鑑み、本発明に係る溶媒抽出方法は、被処理溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出方法であって、
ミョウバン溶液を加熱して前記ミョウバン溶液中のミョウバンの析出体を溶解させる溶解工程と、
前記溶解工程後の前記ミョウバン溶液と前記被処理溶液とを吸収用半透膜を介して接触させる吸収工程と、
前記吸収工程後の前記ミョウバン溶液を冷却してミョウバンを析出させる析出工程と、
前記析出工程後かつ前記溶解工程前の前記ミョウバン溶液を抽出用浸透膜に接触させる抽出工程と、
前記ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を連続的又は定期的又は不定期に前記ミョウバン溶液に混入する補填工程と、
を備えたことを特徴とする。
前記溶解工程によってミョウバン溶液の浸透圧が高くなる。これにより、前記吸収工程において被処理溶液の溶媒が吸収用半透膜を透過してミョウバン溶液に吸収される。このミョウバン溶液のミョウバンが前記析出工程によって析出することで、ミョウバン溶液の浸透圧が低くなる。したがって、前記抽出工程では加圧圧力をあまり高くしなくてもミョウバン溶液から溶媒を抽出用浸透膜を介して容易に搾り出すことができる。抽出工程後のミョウバン溶液を前記溶解工程に供する。したがって、ミョウバン溶液は、溶解工程、吸収工程、析出工程、抽出工程の順に循環的に供される。ミョウバン溶液のミョウバン成分が吸収用半透膜又は抽出用半透膜を透過して系外へ漏れたとしても、補填工程によってその漏れ成分を補填できる。よって、溶媒抽出を支障なく継続して行なうことができる。
前記補填工程を、前記吸収工程後、前記析出工程前に行なうことが好ましい。
これによって、吸収工程時に吸収用半透膜からミョウバン成分が漏れた場合、その漏れ分に応じて前記化合物を補填することができる。吸収工程ではミョウバン溶液が溶媒吸収によって希釈される。したがって、吸収工程後はミョウバン溶液の溶解能力が高くなる。よって、前記化合物を確実又は十分に溶解させることができ、ミョウバン溶液の管路等が前記化合物の堆積によって詰まるのを回避することができる。
本発明に係る装置は、被処理溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出装置であって、
前記被処理溶液を容れる被吸収室を含む被処理溶液路と、
ミョウバン溶液を加熱して前記ミョウバン溶液中のミョウバンの析出体を溶解させる溶解室と、吸収室と、前記ミョウバン溶液を冷却してミョウバンを析出させる析出室と、被抽出室とを環状に順次連ねてなり、ミョウバン溶液を前記溶解室、前記吸収室、前記析出室、前記被抽出室の順に循環させる循環路と、
前記被吸収室と前記吸収室とを仕切る吸収用半透膜と、
前記被抽出室の少なくとも一部を画成する抽出用浸透膜と、
前記循環路に接続され、前記ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を前記循環路に補填する補填手段と
を備えたことを特徴とする。
溶解室では、溶解によってミョウバン溶液の浸透圧が高まる。この高浸透圧のミョウバン溶液を吸収室に送る。吸収室では、ミョウバン溶液が被吸収室の被処理溶液の溶媒を吸収用半透膜を介して吸収する。溶媒吸収後のミョウバン溶液を析出室に送る。析出室では、ミョウバン溶質の析出によってミョウバン溶液の浸透圧が下がる。この低浸透圧のミョウバン溶液を被抽出室に送ることで、ミョウバン溶液から溶媒を抽出用浸透膜を介して容易に抽出できる。これにより、被処理溶液の溶媒を、仲介溶液を介して取り出すことができる。ミョウバン溶液のミョウバン成分が吸収用半透膜又は抽出用半透膜を透過して系外へ漏れたとしても、補填手段によってその漏れ成分を補填できる。よって、溶媒抽出を支障なく継続して行なうことができる。
前記補填手段が、前記循環路の前記吸収室と前記析出室との間に接続されていることが好ましい。
これによって、吸収室のミョウバン成分が吸収用半透膜から漏れた場合、その漏れ分に応じて前記化合物を補填することができる。吸収室内ではミョウバン溶液が溶媒吸収によって希釈される。したがって、吸収室の出口ではミョウバン溶液の溶解能力が循環路の他の部分と比べ高くなる。よって、前記化合物を確実又は十分に溶解させることができ、循環路が前記化合物の堆積によって詰まるのを回避することができる。
ここで、ミョウバンは、アルミニウムと金属(アンモニウム含む)の硫酸塩(AlM(SO;Mは1価の+イオンを作る原子又は分子)であり、例えばMは、アンモニウム、カリウム、ナトリウムである。ミョウバンの上記成分のうち、1価イオン(M)及び2価イオン(SO 2−)は、3価イオン(Al3+)と比べて漏れやすい。3価イオン(Al3+)は、1価及び2価のイオンより静電ポテンシャルが大きいことから、多くの水分子を引き連れた大きなクラスターを形成しやすく、半透膜を透過しにくい。したがって、補填工程ではミョウバンのうちアルミニウムを除く成分だけを補填すれば十分である。ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物は、MSOと表されるから、前記化合物の単位補填量に含まれるMのモル数はSO 2−のモル数の倍になる。したがって、ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分のうち比較的漏れやすい成分(M)を比較的漏れにくい成分(SO 2−)より多く補填することができる。
ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物の多くは、肥料等の化学製品原料や工業用原料として広く利用されており、ミョウバンそのものより材料コストが安い。例えば、アンモニウムミョウバンの場合、アルミニウムを除く成分からなる化合物は、硫酸アンモニウム((NHSO)である。カリウムミョウバンの場合、アルミニウムを除く成分からなる化合物は、硫酸カリウム(KSO)である。ナトリウムミョウバンの場合、アルミニウムを除く成分からなる化合物は、硫酸ナトリウム(NaSO)である。硫酸アンモニウムや硫酸カリウムは、代表的な肥料成分である。硫酸ナトリウムは、工業用原料として広く利用されている。
前記化合物が、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸カリウム(KSO)、又は硫酸ナトリウム(NaSO)であることが好ましい。前記ミョウバン溶液がアンモニウムミョウバンである場合は、硫酸アンモニウムを補填することが好ましい。前記ミョウバン溶液がカリウムミョウバンである場合は、硫酸カリウムを補填することが好ましい。前記ミョウバン溶液がナトリウムミョウバンである場合は、硫酸ナトリウムを補填することが好ましい。これによって、補填用の材料コストを低廉化でき、ひいては、ランニングコストを低減できる。
前記化合物は、粉状又はペレット状にして補填してもよく、前記化合物を溶解させた溶液の状態で補填することにしてもよい。溶液の状態で補填する場合、その溶媒は前記被処理溶液の溶媒と同じ成分であることが好ましく、溶液中の前記化合物の濃度は飽和濃度又はそれに近い状態であることが好ましい。
前記被処理溶液としては、海水、泥水、汚水等が挙げられる。溶媒抽出装置は、海水の淡水化装置、泥水や汚水の浄化装置等として用いることができる。前記被処理溶液の溶媒は、水であることが好ましい。
前記ミョウバン溶液の溶媒は、好ましくは前記被処理溶液の溶媒と同じ成分であり、好ましくは水である。前記ミョウバン溶液は、ミョウバン水溶液であることが好ましい。
ミョウバンは、対水溶解度ひいては浸透圧の温度依存性が海水よりも十分に大きい。図2は、カリウムミョウバン飽和水溶液の浸透圧の温度依存性を示したものである。図中、実線が発明者の実測値であり、破線はカリウムミョウバンが100%電離したと仮定したときの計算値である。二点鎖線は、カリウムミョウバンの電離率であり、すなわち計算値を実測値で除した値の百分率である。同図の実線に示すように、実測の浸透圧は、30℃近辺で1MPa程度であり、60℃近辺で7MPa程度である。したがって、常温付近で十分に溶媒抽出できる。よって、上記析出用の冷却手段は、溶液を常温以下又は湿球温度程度まで冷却できれば十分であり、常温以下又は湿球温度以下まで冷却する能力を要求されない。上記溶解用の加熱手段は、高い加熱能力を要求されない。したがって、冷却手段又は加熱手段として、ヒートポンプ等の大きな投入エネルギーを必要とする装置を用いなくても済む。例えば、冷却手段として被処理溶液を冷却源とする熱交換器を用いることができる。或いは、冷却手段として、湿球温度程度まで冷却可能なクーリングタワーを用いることもできる。また、加熱手段の熱源として、太陽熱集熱器や工場廃熱等を用いることができる。
更に、ミョウバンは食品添加物であり、飲用の淡水化装置に適している。
本発明によれば、ミョウバン溶液の溶質が吸収用半透膜又は抽出用半透膜を透過して系外へ漏れたとしても、漏れた溶質成分を補填できる。よって、継続して溶媒抽出することができる。
本発明の第1実施形態に係る淡水製造装置の回路構成図である。 カリウムミョウバン飽和水溶液の浸透圧の温度依存性の実測値(実線)及び理想計算値(破線)並びに実測値の電離率(二点鎖線)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶媒抽出装置1を示したものである。溶媒抽出装置1は、被処理溶液からその溶媒を抽出する装置である。例えば、被処理溶液は、海水である。海水の塩分濃度は、一般に3.5%(重量百分率、以下同様)程度であり、その浸透圧は例えば2.5MPa程度である。抽出する溶媒は、水である。溶媒抽出装置1は、海水から水分を抽出する。抽出操作に仲介溶液を介在させる。海水の水分が、仲介溶液を経て抽出される。
仲介溶液は、仲介溶質を含む。仲介溶液の溶媒は、被処理溶液の溶媒(水)と同じである。仲介溶液としては、溶解度の温度に対する依存性が被処理溶液より高い溶液が用いられている。ここでは、仲介溶液は、ミョウバン水溶液にて構成されている。仲介溶質は、ミョウバンにて構成されている。具体的には、仲介溶質として、カリウムミョウバン(AlK(SO)が用いられている。カリウムミョウバン水溶液の場合、20℃〜30℃の浸透圧は1MPa程度であり、60℃の浸透圧は7MPa程度である(図2参照)。
溶媒抽出装置1は、溶解部10と、吸収部20と、析出部30と、抽出部40を備えている。
溶解部10は、溶解室11と、授熱室12を有している。これら室11,12が隔壁13にて仕切られている。隔壁13は、被処理溶液(海水)及び仲介溶液(ミョウバン水溶液)に対して耐蝕性を有し、かつ伝熱性の良好な樹脂等の材料にて構成されている。溶解部10は、隔壁13を介して2つの室11,12間で熱交換する対向流型の熱交換器にて構成されている。溶解部10は、長手方向(流通方向)を上下又は垂直に向けて配置されていてもよく、水平に向けて配置されていてもよい。
吸収部20は、吸収室21と、被吸収室22を有している。これら室21,22が吸収用半透膜23にて仕切られいている。吸収用半透膜23は、好ましくは親水性の多孔質膜にて構成され、例えばフォワードオスモシス膜(FO膜)、逆浸透膜(RO膜)等にて構成されている。吸収用半透膜23は、平面状でもよく、中空糸状でもよい。中空糸の内部が吸収室21と被吸収室22のうち何れか一方になり、中空糸の外部が吸収室21と被吸収室22のうち他方になっていてもよい。吸収用半透膜23が、平面膜を螺旋状に捻じった形状になっていてもよい。
析出部30は、析出室31と、受熱室32を有している。これら室31,32が隔壁33にて仕切られている。隔壁33は、被処理溶液(海水)及び仲介溶液(ミョウバン水溶液)に対して耐蝕性を有し、かつ伝熱性の良好な樹脂等の材料にて構成されている。析出部30は、隔壁33を介して2つの室31,32間で熱交換する対向流型の熱交換器にて構成されている。析出部30は、長手方向(流通方向)を上下又は垂直に向けて配置されていてもよく、水平に向けて配置されていてもよい。
抽出部40は、被抽出室41と、抽出室42を有している。これら室41,42が抽出用半透膜43にて仕切られいている。抽出用半透膜43は、逆浸透膜(RO膜)にて構成されている。抽出用半透膜43は、平面状でもよく、中空糸状でもよい。中空糸の内部が被抽出室41と抽出室42のうち何れか一方になり、中空糸の外部が被抽出室41と抽出室42のうち他方になっていてもよい。抽出用半透膜43が、平面膜を螺旋状に捻じった形状になっていてもよい。
溶媒抽出装置1には、被処理溶液路2と、仲介溶液循環路3が設けられている。被処理溶液路2には、海水(被処理溶液)が通される。仲介溶液循環路3には、カリウムミョウバン水溶液(仲介溶液)が通される。
被処理溶液路2は、上流側から受熱室32と、被吸収室22と、授熱室12とを順次連ねている。図示は省略するが、被処理溶液路2の一箇所に送液ポンプが設けられている。被処理溶液路2の上流端に海水供給源が連なっている。海水供給源は、海自体でもよく、海水を溜めたタンクでもよい。被処理溶液路2の下流端は、排出路に連なっていてもよく、海水供給源に還流していてもよい。被処理溶液路2の内圧は、略大気圧(0MPa)になっている。
仲介溶液循環路3は、溶解室11と、吸収室21と、析出室31と、被抽出室41をこの順に環状に接続している。図示は省略するが、仲介溶液循環路3の一箇所に送液ポンプが設けられている。この送液ポンプによって、カリウムミョウバン水溶液が、溶解室11、吸収室21、析出室31、被抽出室41の順に循環される。第1循環路3の内圧は、定常状態で例えば2.8MPa程度になっている。仲介溶液循環路3は耐圧構造になっている。
抽出室42には淡水が入っている。抽出室42から淡水出力路4が延びている。淡水出力路4に電気透析器5(透析手段)が設けられている。抽出室42が淡水出力路4を介して電気透析器5に接続されている。電気透析器5は、抽出室42から抽出した淡水(抽出液)を電気透析し、淡水中のイオン成分を出力淡水から分離する。
更に、溶媒抽出装置1には加熱器6(加熱手段)が設けられている。加熱器6は、被処理溶液路2における受熱室32と被吸収室22との間の部分に設けられている。加熱器6としては、太陽熱集熱器、工場廃熱利用部、熱交換器、電熱ヒータ、ヒートポンプ等の種々の加熱手段を適用できる。加熱器6が、被吸収室22及び授熱室12を順次介して溶解室11に熱的に接続されている。
更に、溶媒抽出装置1は、補填手段70を備えている。補填手段70は、貯蔵部71と、補填路72と、圧送ポンプ73を含む。貯蔵部71には、ミョウバン(仲介溶質)のうちアルミニウムを除く成分からなる化合物が蓄えられている。ここでは、カリウムミョウバン(AlK(SO)のうちアルミニウムを除く成分(K及びSO)からなる化合物が蓄えられている。すなわち、貯蔵部71には硫酸カリウム(KSO)が蓄えられている。硫酸カリウム(KSO)は、肥料として広く用いられている。
貯蔵部71内の硫酸カリウムは水にて溶解されている。貯蔵部71内の硫酸カリウム水溶液は、好ましくは飽和濃度又は飽和に近い濃度になっている。貯蔵部71を加熱して硫酸カリウム水溶液の濃度を高くしてもよい。
貯蔵部71から補填路72が延びている。補填路71は、仲介溶液循環路3の吸収室21と析出室31との間の部分に接続されている。好ましくは、補填路71と循環路3の接続部は、吸収室21の出口の近くに位置している。
補填路72に圧送ポンプ73が設けられている。圧送ポンプ73は、貯蔵部71からの濃縮硫酸カリウム水溶液を仲介溶液循環路3の内圧(約2.8MPa)以上に加圧して、該圧送ポンプ73より下流の補填路72へ送出する。
上記構成の溶媒抽出装置1によって海水から淡水を抽出する方法を説明する。
海水を被処理溶液路2に沿って受熱室32、加熱器6、被吸収室22、授熱室12の順に流す。かつ、カリウムミョウバン水溶液を仲介溶液循環路3に沿って溶解室11、吸収室21、析出室31、被抽出室41の順に循環させる。
海水は、常温(例えば10℃〜30℃程度)で受熱室32に入る。この海水が、析出室31のカリウムミョウバン水溶液から熱を受け取って加温される。受熱室32から出た海水を加熱器6により更に加熱する。高温化した海水を、被吸収室22を経て授熱室12に通す。溶解部10においては、授熱室12の海水と溶解室11のカリウムミョウバン水溶液とが互いに対向流をなすように流れる。これら海水及びカリウムミョウバン水溶液が隔壁13を介して熱交換する。加熱器6が、該加熱器6から授熱室12までの間の被処理溶液路2を介して溶解室11に熱的に接続する。
これによって、溶解部10において、カリウムミョウバン水溶液が高温の海水から熱を受け取り、例えば50℃以上、好ましくは60℃〜70℃程度に加温される。加温によってカリウムミョウバン水溶液の溶解度が常温時より高くなる。特にカリウムミョウバン水溶液が50℃以上になるとその溶解度が急激に大きくなる(図2参照)。そのため、溶解室11中のカリウムミョウバン結晶がカリウムミョウバン水溶液中に溶解する(溶解工程)。溶解によって、カリウムミョウバン水溶液の浸透圧が高まる。例えば、カリウムミョウバン水溶液を60℃程度に加温すると、その浸透圧を7MPa程度にすることができる(図2参照)。カリウムミョウバン水溶液を70℃程度に加温すると、その浸透圧を11MPa程度にすることができる。
上記高浸透圧(例えば約7MPa〜11MPa)のカリウムミョウバン水溶液を溶解室11から吸収部20の吸収室21へ送る。上述したように、吸収部20の吸収室21には海水が導入される。吸収部20において、吸収室21のミョウバン水溶液と被吸収室22の海水とが互いに対向流をなすように流れる。海水の塩分濃度は、一般に3.5%(重量百分率、以下同様)程度であり、浸透圧は2.5MPa程度である。また、仲介溶液循環路3ひいては吸収室21の内圧は、上述したように2.8MPa程度である。被吸収室22の内圧は略大気圧(0MPa)である。したがって、カリウムミョウバン水溶液と海水の浸透圧差(約4.5MPa〜8.5MPa)が室21,22の内圧差(約2.8MPa)を上回る。これによって、被吸収室22の海水中の水分(溶媒)が吸収用半透膜23を透過して吸収室21のカリウムミョウバン水溶液に吸収される(吸収工程)。
なお、溶媒抽出装置1の運転開始時には、仲介溶液循環路3の内圧が定常圧(2.8MPa)より低くなっている。吸収部20におけるカリウムミョウバン水溶液の水分吸収によって、仲介溶液循環路3の内圧が上昇し、定常圧に落ち着く。
海水を加熱器6によって加温したうえで被吸収室22に導入することにより、吸収室21内のカリウムミョウバン水溶液の温度が低下するのを回避できる。これにより、吸収室21内でカリウムミョウバンが析出するのを防止できる。
水分吸収後のカリウムミョウバン水溶液を析出部30の析出室31へ送る。析出部30においては、析出室31のカリウムミョウバン水溶液と受熱室32の海水が互いに対向流をなすように流れる。これらカリウムミョウバン水溶液と海水が隔壁33を介して熱交換する。これにより、カリウムミョウバン水溶液が海水に熱を奪われ、冷却される。受熱室32が、冷却手段を構成し、海水が冷却媒体として提供される。冷却によって、カリウムミョウバン水溶液中の溶質(カリウムミョウバン)が析出する(析出工程)。
析出部30において、カリウムミョウバン水溶液は例えば30℃程度まで冷却され、浸透圧は例えば1.1MPa程度になる(図2参照)。この低温かつ低浸透圧のカリウムミョウバン水溶液を、抽出部40の被抽出室41に送る。被抽出室41の内圧は2.8MPa程度である。したがって、被抽出室41のカリウムミョウバン水溶液の液圧がその浸透圧を上回る。抽出室42の内圧は略大気圧(0MPa)である。抽出室42内の淡水の浸透圧は略0MPaである。これにより、カリウムミョウバン水溶液の水分が、抽出用半透膜43を透過し、抽出室42に搾り出される(抽出工程)。これにより、淡水出力路4から淡水を取り出すことができる。
抽出後のカリウムミョウバン水溶液を溶解部10へ送る。こうして、カリウムミョウバン水溶液を仲介溶液循環路3に沿って循環させながら、溶解工程、吸収工程、析出工程、抽出工程に順次供する。仲介溶質としてカリウムミョウバンを用いることで、仲介溶液を例えば60℃〜70℃程度まで加温すれば浸透圧を十分高くでき、溶媒を十分に吸収できる。かつ、仲介溶液を常温付近にすれば浸透圧を十分低くでき、溶媒を十分に抽出できる。
溶解部10の授熱室12を通過した海水は、海に戻され、又は廃棄される。
仲介溶液循環路3は閉鎖系であるから、カリウムミョウバンを系内に閉じ込めることができる。一方、微量ではあるがカリウムミョウバンが吸収用半透膜23又は抽出用半透膜43から漏れる可能性がある。特に、カリウムミョウバン中の1価イオン(K)は、多価イオンと比べ水和性が低いため、膜23,43を透過しやすい。カリウムミョウバン中の2価イオン(SO 2−)は、1価イオンより水和性が高く、水分子と結合して大きなクラスターを形成できるため、1価イオンと比べると膜23,43を透過しにくい。しかし、室21,22どうし又は室41,42どうしの圧力差によってクラスターが破壊されるおそれがあり、そうすると、2価イオン(SO 2−)も膜23,43を透過するおそれがある。カリウムミョウバン中の3価イオン(Al3+)は、2価イオンより更に水和性が高く、室21,22どうし又は室41,42どうしの圧力差によってもクラスターが破壊されにくい。したがって、3価イオン(Al3+)は吸収用半透膜23を比較的透過しにくい。
吸収部20においてイオンが漏れた場合、漏れたイオンは被吸収室22の海水に混ざり、海水と共に系外へ排出される。抽出部40においてイオンが漏れた場合、漏れたイオンは、抽出室42の淡水に混ざり、淡水と共に系外へ流出する。
この漏れ量に応じて補填手段70を制御し、ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を仲介溶液循環路3のミョウバン溶液に混入する(補填工程)。
具体的には、貯蔵部71の濃縮硫酸カリウム水溶液を圧送ポンプ73によって仲介溶液循環路3の内圧(約2.8MPa)以上に加圧して、圧送ポンプ73より下流の補填路72へ送出する。送出は、溶媒抽出装置1の運転中、連続的に行なってもよく、ある期間置きに定期的に行なってもよく、或いは、不定期に行なってもよい。予め上記の漏れ量を実測や計算等により求めておき、これに基づいて濃縮硫酸カリウム水溶液の送出流量を決めておく。或いは、出力路4における淡水の製造流量を監視し、この製造流量に応じて濃縮硫酸カリウム水溶液の送出流量を調節してもよい。
濃縮硫酸カリウム水溶液は、仲介溶液循環路3の吸収室21と析出室31との間の部分に注入され、吸収工程直後(析出工程前)のカリウムミョウバン水溶液に混ざる。これによって、漏れたカリウムミョウバン成分(K、SO 2−)を補うことができる。したがって、仲介溶液循環路3におけるカリウムミョウバン量が溶媒抽出装置1の運転に伴って低下するのを防止できる。ひいては、淡水の製造流量を所望に維持することができる。
硫酸カリウムの単位補填量に含まれるKのモル数はSO 2−のモル数の倍になる。したがって、カリウムミョウバンの成分のうち比較的漏れやすいKを、比較的漏れにくいSO 2−より多く補填することができる。これにより、仲介溶液循環路3におけるカリウムミョウバンの各成分量のバランスをとることができる。
吸収工程ではカリウムミョウバン水溶液が水分吸収によって希釈され、かつ海水との熱交換で高温になっているから、吸収室21の出口でのカリウムミョウバン水溶液は、循環路3の他の部分より溶解能力が高くなっている。したがって、硫酸カリウムの補填箇所を吸収室21と析出室31との間の循環路3にすることによって、硫酸カリウムをカリウムミョウバン溶液に確実に溶解させることができる。よって、循環路3内に硫酸カリウムが固形化して堆積するのを防止でき、循環路3が詰まるのを回避できる。
硫酸カリウム(KSO)は、化学肥料として広く用いられており、カリウムミョウバンそのものより材料コストが安い。したがって、カリウムミョウバンそのものを補填するよりもランニングコストを低減できる。
上記抽出用半透膜43を透過したイオンは、淡水と共に電気透析器5に送られる。電気透析器5は、淡水を透析し、淡水からイオンを分離する。これによって、出力淡水のイオン濃度を十分に小さくすることができる。電気透析器5には、K及びSO 2−を含む濃縮液が蓄積される。この濃縮液からK及びSO 2−を回収して貯蔵部71に投入することにすれば、ランニングコストを一層低減できる。本装置1によってイオン濃度を十分に下げることができるため、電気透析に必要なエネルギーは、海水を直接電気透析する場合よりも非常に少ない。抽出室42からの淡水をRO膜によって濾過してもよく、この場合も海水を直接RO濾過するよりも駆動エネルギーを十分に小さくできる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、上記の浸透圧、内圧、温度等の数値はあくまでも例示であり適宜変更できる。
ミョウバンとして、カリウムミョウバン(AlK(SO)に代えて、アンモニウムミョウバン(Al(NH)(SO)を用いてもよい。この場合、硫酸アンモニウム((NHSO)を循環路3のミョウバン溶液に補填することが好ましい。ミョウバンとして、ナトリウムミョウバン(AlNa(SO)を用いてもよい。この場合、硫酸ナトリウム(NaSO)を循環路3のミョウバン溶液に補填することが好ましい。
ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を、溶液状態で補填するのに限られず、粉状又はペレット状等の固体の状態で補填してもよい。
補填工程のタイミングは、仲介溶液循環路3からの漏れに応じて適宜設定すればよく、溶媒抽出装置1の運転中に限られず、溶媒抽出装置1を停止した状態で補填を行なってもよい。
補填路72を、吸収室21に直接接続してもよい。この場合、吸収室21のなるべく下流側の部分に補填路72を接続するのが好ましい。
更に、補填路72を仲介溶液循環路3の吸収室21から析出室21までの間以外の部分に接続してもよい。例えば、補填路72を、仲介溶液循環路3の被抽出室41と溶解室11との間の部分に接続してもよく、溶解室11と吸収室21の間の部分に接続してもよく、析出室31と被抽出室41の間の部分に接続してもよい。
補填工程において、アルミニウムをも循環路3に補充することにしてもよい。補填手段70が、アルミニウムをも循環路3に補充してもよい。
加熱手段6を溶解室11に直接接続してもよい。析出室31にクーラントタワー、熱交換器、ヒートポンプ等の冷却手段を接続してもよい。
本発明は、海水から淡水を製造する淡水化装置や、汚水を浄化する浄水装置に適用可能である。
1 溶媒抽出装置
2 被処理溶液路
3 仲介溶液循環路
4 淡水出力路
5 電気透析器(透析手段)
6 加熱器(加熱手段)
10 溶解部
11 溶解室
12 授熱室
13 隔壁
20 吸収部
21 吸収室
22 被吸収室
23 吸収用半透膜
30 析出部
31 析出室
32 受熱室
33 隔壁
40 抽出部
41 被抽出室
42 抽出室
43 抽出用半透膜
70 補填手段
71 貯蔵部
72 補填路

Claims (6)

  1. 被処理溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出方法であって、
    ミョウバン溶液を加熱して前記ミョウバン溶液中のミョウバンの析出体を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程後の前記ミョウバン溶液と前記被処理溶液とを吸収用半透膜を介して接触させる吸収工程と、
    前記吸収工程後の前記ミョウバン溶液を冷却してミョウバンを析出させる析出工程と、
    前記析出工程後かつ前記溶解工程前の前記ミョウバン溶液を抽出用浸透膜に接触させる抽出工程と、
    前記ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を連続的又は定期的又は不定期に前記ミョウバン溶液に混入する補填工程と、
    を備えたことを特徴とする溶媒抽出方法。
  2. 前記化合物が、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸カリウム(KSO)、又は硫酸ナトリウム(NaSO)であることを特徴とする請求項1に記載の溶媒抽出方法。
  3. 前記補填工程を、前記吸収工程後、前記析出工程前に行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶媒抽出方法。
  4. 被処理溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出装置であって、
    前記被処理溶液を容れる被吸収室を含む被処理溶液路と、
    ミョウバン溶液を加熱して前記ミョウバン溶液中のミョウバンの析出体を溶解させる溶解室と、吸収室と、前記ミョウバン溶液を冷却してミョウバンを析出させる析出室と、被抽出室とを環状に順次連ねてなり、ミョウバン溶液を前記溶解室、前記吸収室、前記析出室、前記被抽出室の順に循環させる循環路と、
    前記被吸収室と前記吸収室とを仕切る吸収用半透膜と、
    前記被抽出室の少なくとも一部を画成する抽出用浸透膜と、
    前記循環路に接続され、前記ミョウバンのうちアルミニウムを除く成分からなる化合物を前記循環路に補填する補填手段と
    を備えたことを特徴とする溶媒抽出装置。
  5. 前記化合物が、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸カリウム(KSO)、又は硫酸ナトリウム(NaSO)であることを特徴とする請求項4に記載の溶媒抽出装置。
  6. 前記補填手段が、前記循環路の前記吸収室と前記析出室との間に接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の溶媒抽出装置。
JP2010133805A 2010-06-11 2010-06-11 溶媒抽出方法及び装置 Pending JP2011255340A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010133805A JP2011255340A (ja) 2010-06-11 2010-06-11 溶媒抽出方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010133805A JP2011255340A (ja) 2010-06-11 2010-06-11 溶媒抽出方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011255340A true JP2011255340A (ja) 2011-12-22

Family

ID=45472127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010133805A Pending JP2011255340A (ja) 2010-06-11 2010-06-11 溶媒抽出方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011255340A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102958848B (zh) 利用膜蒸馏法的正向渗透脱盐装置
JP5575015B2 (ja) 淡水製造システム
CN105073229B (zh) 渗透分离***和方法
KR101943421B1 (ko) 삼투압 분리 시스템 및 방법
US20080067071A1 (en) Concentrate recycle loop with filtration module
CN104692574A (zh) 一种高含盐废水的处理方法
CN106315935B (zh) 水质淡化装置及利用该装置淡化水质的方法
US20130233797A1 (en) Methods for osmotic concentration of hyper saline streams
CN102774994B (zh) 组合式膜分离回收含盐废水工艺
KR101184787B1 (ko) 히트펌프를 이용한 막여과 장치
US20190022591A1 (en) Fluid purification by forward osmosis, ion exchange and re-concentration
CN104190260B (zh) 减压组合气隙膜蒸馏方法及其装置
US9487424B2 (en) Treatment of raw brines from desalination plants
JP5066117B2 (ja) 淡水製造方法及び装置
WO2016106049A1 (en) Enhanced brine concentration with osmotically driven membrane systems and processes
EA024894B1 (ru) Установка для восстановления участвующих в осмосе растворенных веществ
Wan Osman et al. A review on recent progress in membrane distillation crystallization
KR101298724B1 (ko) 유도용액의 일부가 정삼투 분리기로 직접 재공급되는 막증류 방식의 정삼투 담수화 장치
JP2013146642A (ja) 流体膜分離発電システム
US20180264410A1 (en) Method for improving inhibition performance of semipermeable membrane, semipermeable membrane, and semipermeable membrane water production device
CN102371120B (zh) 多级式减压膜蒸馏组件单元装置及其膜蒸馏装置与方法
JP6266257B2 (ja) 淡水化装置、及び、淡水化方法
JP2011255340A (ja) 溶媒抽出方法及び装置
KR20130125446A (ko) 압력지연식 막증류를 이용한 발전 겸용 정수화 장치
WO2018173330A1 (en) Drawing agent for forward osmosis and pressure retarded osmosis and a system using the same