以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための最良の形態について、2ピースタイプのパンツ型おむつを例として具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える使い捨ておむつを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図3〜図4については、作図の都合上、開口部伸縮材、腹周り伸縮材及びウエスト周り伸縮材を捨象した形で作図を行った。
また、本明細書において「パンツ型おむつ」というときは、図1及び図2Aに示す使い捨ておむつ1のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)を接合することによって、接合部8、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。なお、図2Aについては、説明の便宜のため立体ギャザーの伸縮弾性体は省略して図示してある。
そして、「2ピースタイプ」とは、図1及び図2Aに示す使い捨ておむつ1のように、着用者の***物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体14と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材16とから構成され、外装部材16の内側に吸収性本体14が配置されたタイプのおむつを意味するものとする。図3に示すように、吸収性本体14は吸収体22、トップシート18及びバックシート20を構成要素として備えた部材である。
更に、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]本発明の使い捨ておむつの構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1、図2A、図3に示す使い捨ておむつ1のように、吸収体22と、前記吸収体22の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、前記吸収体22の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20と、前記トップシート18の表面に前記吸収体22の各側縁に沿って配置される少なくとも一対の立体ギャザー26とを備えた使い捨ておむつである。前記立体ギャザー26は先端部に伸縮弾性体36(36a、36b,36c,36d)が伸張状態で配置されて、その収縮力を利用して立体的に起立可能に形成されてなり、前記立体ギャザー26には、便通過用開口部28が形成されている疎水性シート24が、前記便通過用開口部28を挟んだ両脇の位置において接合されてなり、前記疎水性シート24は、前記一対の立体ギャザー26の間、かつ、前記トップシート18の前記便通過用開口部28に相当する領域以外の領域を被覆する使い捨ておむつである。
[1−1]立体ギャザー:
本実施形態の立体ギャザーは、吸収体の各側縁に沿って配置されている。すなわち、立体ギャザーは、吸収体の両側縁であって前身頃から後身頃に亘る長さ方向全域に形成される。このように立体ギャザーが形成されることにより、立体ギャザーに接合された疎水性シートを所望の領域に被覆させることができ、開口部内の空間領域を大きくさせることができるので望ましい。
ここで「吸収体の各側縁に沿って」とは、概ね吸収体の側縁と同方向に付設されていることを意味する。但し、吸収体の側縁は、脚周り開口部に沿って曲線的に形成される場合もあり、直線的に形成されているとは限らない。従って、必ずしも吸収体の側縁に接するように付設されている必要はなく、吸収体の側縁と同一の軌跡を描くように付設されている必要もない。通常は、吸収体の形状に拘らず、直線的に立体ギャザーを配置することが多い。
例えば、図2A及び図3に示す使い捨ておむつ1の場合には、吸収性本体14の両側縁部までトップシート18が配置されており、立体ギャザー26a,26bをそのトップシート18の両側縁、即ち、吸収性本体14の両側縁に沿って形成した例である。
このように立体ギャザーが形成されることにより、立体的に起立可能ないわば防漏壁として構成される。すなわち、立体ギャザーは、開口部内に***された着用者の便等の横漏れを防止するための部材として形成される。換言すれば、開口部内に***された着用者の便等は、トップシート側にある立体ギャザーの内壁(内面)に遮られるため、その内壁を透過して脚周り方向にある外壁(外面)側に漏れ出さず、さらに、立体的に起立可能に形成されることから、便通過用開口部に***された便等が、その起立した壁を越えて再び開口部から外に漏れ出すこともない。
また、立体ギャザーには、便通過用開口部が形成されている疎水性シートが、その便通過用開口部を挟んだ両脇の位置において接合(固定)されている。すなわち、図3に示されるように、立体ギャザーは、立体ギャザーの起立時に着用者の肌側に位置する一方の端部(上端縁34a、34a)と、吸収性本体に接合(固定)される他方の端部34b、34bとを有し、図2Aに示されるように中央に位置する便通過用開口部28aを基準にした場合には、その便通過用開口部28aを挟んだ両脇の位置に接合される。
また、図2Bに示されるように、疎水性シートに尿通過用開口部28aと便通過用開口部28bが形成される場合には、立体ギャザーは、前述の尿通過用開口部28aと便通過用開口部28bとを挟んだ両脇の位置において接合(固定)されることが好ましい。すなわち、図2Bに示されるように尿通過用開口部28aと便通過用開口部28bとが中央に位置するように、立体ギャザーは疎水性シートの両脇の位置に接合されることが好ましい。
ここで「便通過用開口部を挟んだ両脇(あるいは、尿通過用開口部28aと便通過用開口部28bとを挟んだ両脇)」とは、少なくとも一対の立体ギャザーのそれぞれが有する上端縁の領域のみならず、上端縁近傍であって着用者の肌に接触する面側に相当する領域をもいう。また「両脇の位置において接合(固定)される」とは、前述の領域に、疎水性シートが接合されることをいう。このように、少なくとも一対の立体ギャザーのそれぞれが有する上端縁の領域を含めるのは、例えば、図6に示されるように、上端縁のそれぞれが、トップシートを基準にしてその幅方向に対向するように形成し、その上端縁に疎水性シートを接合する場合にも、立体ギャザーの高さ(立体ギャザーからトップシートまでの距離)と同程度の高さ(立体ギャザーからトップシートまでの距離)を少なくとも確保でき、開口部内の空間容積を大きく形成できるからである。また、上端縁近傍であって着用者の肌に接触する面側に相当する領域であれば、上端縁の領域よりも空間容積を大きくできるため、より望ましいからである。ただし、立体ギャザーが一対のみから構成される場合には、立体ギャザーの起立性を保ち易く成形し易いという点においては、図3に示されるような、上端縁がトップシートと反対側の上方に位置するように形成されるものの方がより好ましい。
本発明においては、疎水性シートは立体ギャザーの上端部上(上端部の上)に接合される。上端部上に接合され得れば、トップシートまでの高さ(距離)を確保でき、開口部内の空間容積を大きくできるためである。ここで「上端部」とは、例えば、図3に示されるような立体ギャザーに伸縮弾性体が挟まれた折り返し部分であって、いわゆるフランジ状に形成されている先端部の着用者の肌側に位置する端部をいうが、このように形成された上端部に限らず、例えば、折り返しされていないものから形成された先端部の着用者の肌側に位置する端部等も含まれる。
また、トップシート側の反対側に形成される立体ギャザーの外壁上に、疎水性シートが接合されることも好ましい形態の一つといえる。接合される疎水性シートが、いわゆるアーチ状になることから、疎水性シートのトップシートまでの高さ(距離)を確保でき、さらには、開口部内の空間容積を大きく確保できるからである。
立体ギャザーの高さ(下端縁から上端縁までの長さ)は、5〜80mmとすることが好ましく、10〜40mmとすることが更に好ましい。5mm以上とすることにより疎水性シートを高く配置でき空間容積を大きくとることができる。また、80mm以下とすることによって、疎水性シートが捩れたりダブついたりして着用者の肌と十分密着せずに横漏れや開口部内に便等が落下しないといった事態、更には、トップシートの表面を覆ってしまい開口部分が狭くなったり小さくなったりして、便の量が多量にある場合に十分に収納し得ないといった事態を防止できる。したがって、このように立体ギャザーの高さを所望の高さ(長さ)に形成することにより吸収効果の不具合を防止できる。
立体ギャザーを構成するシート材としては、立体ギャザーの防漏性を向上させるという観点から撥水性材料を用いる。撥水性材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。
ただし、立体ギャザーの起立線よりも外側に更に立体ギャザーが形成される場合に(図5参照)、疎水性シートに接合する内側の立体ギャザーを構成するシートは、液透過性材料から形成されてもよい。この液透過性材料としては、たとえば、親水性処理を施したスパンボンドやカードエンボス等の不織布が好適に用いられる。このように内側の立体ギャザー(第1立体ギャザー)を親水性シートで形成し、第1立体ギャザーよりも外側に形成される第2立体ギャザーが、撥水性材料或いは液不透過材料から形成されることで、たとえば、(***された)尿がスキンシートの上に載ってしまった場合でも、第1立体ギャザーを伝わり吸収体にスムーズに導くことができる。さらに、外側に更に形成された立体ギャザー(第2立体ギャザー)は横漏れ防止を果たすから、第1立体ギャザーと第2立体ギャザーとの相乗効果を期待でき、好ましい形態の一つといえる。
ここで、本実施形態では、吸収性本体の側縁側のフラップ部を挟み込むように、吸収性本体に立体ギャザーを構成するシート材が貼り合わされている。吸収性本体を構成するトップシートの側縁側の端面が、立体ギャザーを構成するシート材、即ち、撥水性材料からなるシート材によって被包されているため、おむつの外部に露出しない構造をとることができる。従って、トップシートの側縁側の端面からの染み出し漏れを有効に防止できる、という効果が発揮される。
なお、立体ギャザーの種類としては、(1)おむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザー、(2)おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザー、(3)高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)等を挙げることができる。ただし、空間容積を大きくとるという点から、過度にトップシート側に内倒しされるものは好ましくない。このような立体ギャザー、とりわけ、内倒しギャザーとしては、具体的には図2A,B及び図3に示される立体ギャザー26a,26bが挙げられる。
[1−1−1]立体ギャザー伸縮弾性体:
立体ギャザー伸縮弾性体は、立体ギャザーの先端部に伸張状態で配置される。この立体ギャザーの先端部に伸縮弾性体が配置されることにより、立体ギャザーを確実に上方へ、すなわち、着用者の肌方向へ起立させることができる。また、立体ギャザーの先端部に配置されることにより、疎水性シートを下支えし、さらには下側方向から着用者の肌方向へ当接させる(接触させる)ことができる。したがって、開口部を高く、また開口部内を大きく保つことができ、加えて、確実に着用者の肌に接触できる。
ここで、伸縮弾性体の配置位置については、後述する疎水性シートに配置される伸縮弾性体と協働し得るという点から好適な配置位置はあるものの、先端部分に配置されれば、少なくとも本発明の効果を奏し得る。ただし、おむつの前後方向に沿って伸縮弾性体が配置されたものであることが好ましい。
また、「立体ギャザーの先端部」とは、前述のように、立体ギャザーに伸縮弾性体が挟まれた折り返し部分であって、いわゆるフランジ状に形成されている先端部分をいう(図3符合33、33a、33b参照)。
また、「伸縮弾性体が伸張状態で配置される」とは、立体ギャザーに伸長状態で固定されることをいう。立体ギャザーに十分な伸縮力を作用させ起立させるためには伸長状態で固定されることが望ましいからである。伸張状態としては、例えば、伸縮弾性体が天然ゴムや合成ゴムから構成される場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させ、かつ、立体ギャザーを確実に起立させることができる。
また、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体と後述の疎水性シートに配置される伸縮弾性体とが協働して、立体ギャザーと疎水性シートとをいわば一つの面として浮き上がらせることが好ましい。立体ギャザーの伸縮弾性体は、立体的に起立可能であれば、その構造を特に制限するものではなく、一つの立体ギャザーにつき単数配置しても複数配置してもよい。立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が適切な力、換言すれば、力(伸縮弾性力)が強い伸縮弾性体が単独で配置されるよりも、力が弱い伸縮弾性体が複数配置される方が、立体ギャザーと疎水性シートとを、一体的な面として着用者の肌方向へ持ち上げるのに、さらには、着用者の肌へ密着させやすいから、より好ましい。
この伸縮弾性力は、0.2〜5.0 Nであることが好ましい。このような所望の数値範囲内に収まるような伸縮弾性体を配置される場合に、協働していわばひとつの面として浮き上がらせることができ、本発明の効果を奏することができるからである。
したがって、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体の本数が少ないと、個々の伸縮弾性体の伸縮弾性力は強くないから、立体ギャザーの高さを適切な位置に押し上げることが難しくなり、或いは、疎水性シートを高さ(トップシートからの距離)、十分な空間容積、を確保できなくなる。また、本数が多いと伸縮弾性体の配置スペースを確保する必要となるが、そのスペースが大きくなると、便通過開口部が小さくなりかねない。そのため、より好ましい配置本数は、図1に示されるように、一方の先端部に3本、他方の先端部に3本配置されるのが好ましい。なお、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体と、疎水性シートに配置される伸縮弾性体との、配置関係については、疎水性シートの説明をした後の[1−2−3]にて説明し、ここでは説明を省略する。
図2A及び図3に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18やバックシート20とは全く別個のシート材32a,32bを、吸収性本体14の両側縁部に貼り合わせ、起立線38から立体的に起立可能な構造とすることにより、1対の立体ギャザー26a,26bを形成した例である。この例では、シート材32a,32bの端部(立体ギャザー26a,26bの上端縁34に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に2本の立体ギャザー伸縮弾性体36a,36bないしは立体ギャザー伸縮弾性体36c,36dを挟み込むように配置している。このようにして2本の立体ギャザー伸縮弾性体36a,36bないしは立体ギャザー伸縮弾性体36c,36dが挟まれた折り返し部分は、立体ギャザーの先端部33(33a、33b)となる。ただし、このような先端部に限られず、立体ギャザーの上端縁又は上端縁の近傍が、いわゆるフランジ状になっているものであれば、本実施形態の先端部に含まれる。
立体ギャザー伸縮弾性体としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮弾性体
(伸縮材)を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
前記のような伸縮弾性体は、立体ギャザーを形成するシートに対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
また、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が、直接便通過用開口部を縁取るように配置されることも好ましい形態の一つである。便通過開口部を縁取る伸縮弾性体が後述の疎水性シートに配置される場合には、疎水性シートの製造工程で蛇行が生じると誤って伸縮弾性体を切断するといった不具合を生じ得ることにもなるが、立体ギャザーに配置された伸縮弾性体が便通過開口部を縁取る場合には、そのような不具合を防止し得るので好ましい形態と言える。
また、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が、股下部において伸縮弾性が発現しないようにされていることが、より好ましい。このように股下部に伸縮弾性を発現しないようにするのは、股下部において、前述のように複数の伸縮弾性体を配置すると、伸縮弾性体により便通過開口部が小さくなるおそれがあり、股下部に配置された弾性伸縮体が目立って外観が悪くなるおそれもあるからである。したがって、股下部において伸縮弾性が発現しないように構成されることが好ましい。
股下部において伸縮弾性が発現しない具体的な方法としては、たとえば、図10に示されるように、股下部における立体ギャザーの伸縮弾性の発現を望まない箇所の、伸縮弾性体の上(又は下、図10では上にシールしてある)に、或いは、立体ギャザーを形成するシート上(又は下)に、ドットシールによる熱シールをして固定する。これにより、ドットシールが、伸縮弾性体を踏み伸縮弾性体が切断され、伸縮弾性が発現しなくなる。
この熱シールの方法としては、一対のロールの両方又はどちらかを加熱し、自重又は追加的に圧力をかけたロール間を通して、伸縮弾性体又は立体ギャザーを形成するシートにシールパターンを形成する方法のほか、超音波溶着等の方法がある。
[1−1−2]第2立体ギャザー:
また、立体ギャザー(以下、適宜「第1立体ギャザー(内側立体ギャザー)」という)の起立線より外側の部分に、さらに別の立体ギャザー(以下、適宜「第2立体ギャザー(外側立体ギャザー)」という)が少なくとも一対形成されている。第2立体ギャザーをこのように設けることにより、横漏防止の効果をさらに発揮できるからである。第2立体ギャザーを形成する場合には、起立時に第2立体ギャザーの壁面(又は上端部)が、第1立体ギャザーと離間するように形成されることが好ましい。例えば、図5には、第1立体ギャザー77と第2立体ギャザー79が示されているが、第2立体ギャザー79の壁面79(79a、79c)が、第1立体ギャザー77に接触すると、第1立体ギャザー77を超えてきた便尿が、開口溝81(81a、81b)に落ちづらくなる。そのため、例えば、第2立体ギャザー79の壁面79aを伝わったり、さらには、脚周り方向へ横漏れしたりするおそれがある。したがって、前述のように形成されることが好ましい。
なお、第1立体ギャザーの上端縁(又は上端部)をトップシート側の上方に位置するように形成し、第2立体ギャザーの上端部(又は上端部)を、トップシート側とは反対側(逆方向)の脚周り開口部側に位置するように形成することも好ましい形態の一つである。すなわち、第1立体ギャザーの上端縁をトップシート側の上方に位置するように形成する場合には、立体ギャザー上に疎水性シートをいわば一枚の面として橋架けし易くなり、また、トップシート上に疎水性シートを被覆し易くなる。加えて、仮に第1立体ギャザーを乗り越えた便尿があったとしても、第2立体ギャザーが、いわば第2の防御壁として機能するため、乗り越えた便尿が、第1立体ギャザーと第2立体ギャザーの間に設けられた開口溝に落ち、横漏れ防止の効果を発揮できるからである。
ただし、上述のような構成に限らず、第1立体ギャザーの上端縁(上端部)をトップシート側と反対側方向に位置するように形成してもよく、また、第2立体ギャザーの上端縁(上端部)をトップシート側の方向に位置するよう形成してもよい。このように形成しても、多量の便を収容可能な空間容積を大きく設けることができる場合には、本願の効果を奏することができるからである。
さらに、図5に示される立体ギャザーとは別に、例えば、第1立体ギャザーの起立部38を、第2立体ギャザーの起立線83から離間させて、第1立体ギャザーと第2立体ギャザーを形成することも好ましい形態の一つである。第1立体ギャザーの起立線38と第2立体ギャザーの起立線83を重ねて形成する場合には、限られた領域の中で最大限開口部の容積を大きく形成可能となる。これに対して、前述したように互いの起立線を離間して形成する場合には、開口部内の空間容積は若干小さくなり得るが、第1立体ギャザーと第2立体ギャザーの間に設けられる開口溝を大きく形成できるため、仮に、第1立体ギャザーを乗り超えた便や尿があったとしても、前述の開口溝内で確実に留めることができる。なお、37a、37b、37c、37dは、第2立体ギャザーの伸縮弾性体である。
また、第1立体ギャザーと第2立体ギャザーとを形成する場合には、(1)図5に示されるように、トップシートを第1立体ギャザーの下端部で挟み、さらに、その第1立体ギャザーの下端部を第2立体ギャザーで挟んで接合してもよいし、(2)第1立体ギャザーをトップシート上に接合するとともに、第2立体ギャザーの下端部でトップシートを挟み込み接合してもよい。前者(1)の場合には、開口溝にはトップシートが露出しないが、後者(2)の場合には、開口溝にはトップシートが露出されるため、開口溝に落ちた便尿を、トップシートを介して吸収体に吸収させることができる。
[1−2]疎水性シート:
疎水性シートは、着用者の肌とトップシートとを離隔するための部材であり、トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたシート状部材である。このように疎水性シートを配置するのは、着用者の肌に密着させながら、***された便を直接接触し難くする機能を発揮させるためである。すなわち、着用者の肌には、まず疎水性シートが接触するため、疎水性シートの下方に配置されるトップシートは着用者の肌と直接接触し難くなる。換言すれば、着用者の肌とトップシートとが離隔されることになる。したがって、トップシートと着用者の肌との間に疎水性シートという遮蔽層が介在していることにもなるから、たとえトップシート上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を奏する。
疎水性シートは、便通過用開口部を挟んだ両脇の位置において立体ギャザーに接合(固定)される。具体的には、図2Aに示されるように、疎水性シート中央に位置する便通過用開口部28aを基準にした場合には、その便通過用開口部28aを挟んだ両脇の位置に疎水性シート24が、一対の立体ギャザーを架橋するように接合される。このように接合されることにより、便を収容する開口部内の収納容積(空間容積)を大きくでき、多量の便が***されても、十分に収納できるためスキントラブルを防止し得る。
また、図2Bに示されるように、疎水性シートに便通過用開口部と尿通過用開口部とを形成する場合には、疎水性シート中央に位置する便通過用開口部28a及び尿通過用開口部28bとを基準にした場合には、それらの便通過用開口部28a及び尿通過用開口部28bとを挟んだ両脇の位置に、疎水性シート24が、一対の立体ギャザーを架橋するように、接合されることが好ましい。
なお、「便通過用開口部を挟んだ両脇に接合される(あるいは、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bとを挟んだ両脇)」とは、疎水性シートに形成された便通過用開口部を基準にした場合(或いは、疎水性シートに形成された尿通過用開口部及び便通過用開口部を基準にした場合)には、少なくとも一対の立体ギャザーのそれぞれが有する、上端縁の領域に疎水性シートの両側縁が接合されている場合のみならず、上端縁近傍であって着用者の肌に接触する面上に疎水性シートが接合されている場合をいう。このように疎水性シートが接合されることにより、空間容積を大きくとれ、本発明の効果を奏することができる。ただし、より望ましいのは、より空間容積を大きくとれる、上端縁近傍であって着用者の肌に接触する面上に疎水性シートが接合される場合である。このように、一方の立体ギャザーの上端縁と、他方の立体ギャザーの上端縁とに、疎水性シートを接合してあたかも一枚のシート状部材(一枚の面)として形成する場合には、立体ギャザーの高さ(立体ギャザーからトップシートまでの距離)と同等以上の高さ(立体ギャザーからトップシートまでの距離)を少なくとも確保でき、開口部内の空間容積を大きく形成できるからである。
また、疎水性シートは、便通過用開口部に相当するトップシートの領域以外の領域の表面全体を覆うように接合される。ここで、「便通過用開口部に相当するトップシートの領域」とは、図6に示されるように、便通過用開口部28を形成する開口部端部24から、垂直方向に垂線を延ばしてトップシート18と交差させた際にできる領域をいい、図6では符号Zで表される。トップシートの上方に相当する領域が全て開口せずに疎水性シートで被覆されてしまうと、当然のことながら、便をトップシート上に落下させることができない。したがって、便通過用開口部24に相当する領域Zは、疎水性シート24で被覆されない。なお、図6に示した矢印は、開口端部24c、24dから下ろした垂線を示しており、その下ろした垂線に囲まれた領域Zは開口部と同じ形状となる。また、図6では、一対の立体ギャザーの上端縁のそれぞれが、トップシートを基準にしてその幅方向に対向するように形成されているが、図3に示されるように、トップシートと反対側の上方に位置する場合でも同様であることはいうまでもない。
また、「便通過用開口部に相当するトップシートの領域以外の領域」とは、上述の領域Zを除いたトップシート上の領域全てをいう。なお、「トップシート」とは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートを意味し、おむつの中央部に配置される液透過性材料からなるトップシート(センターシート)は勿論のこと、おむつのサイドフラップ部分に配置される撥水性材料等からなるトップシート(サイドシート)を含む。
なお、疎水性シートに尿通過用開口部が形成される場合には、尿通過用開口部に相当するトップシートの領域は、その上方を疎水性シートで被覆されない。すなわち、尿通過用開口部を形成する開口部端部から、垂直方向に垂線を延ばしてトップシートと交差させた際にできる領域(開口端部から下ろした垂線に囲まれた領域であって、開口部と同じ形状の領域)が被覆されてしまうと、尿をトップシート上に***することができなくなるからである。また、便通過用開口部及び前記尿通過用開口部に相当する領域以外のトップシートの領域とは、前述の領域Z及び尿通過用開口部の端部から、垂直方向に垂線を延ばしてトップシートと交差させた際にできる領域を除いたトップシートの領域をいう。
疎水性シートの素材は、疎水性の樹脂からなるシート状部材によって構成することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプリピロピレン、ポリエステル等の樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプリピロピレン、ポリエステル、ポリエチレン−ポリエステル等からなる不織布、メッシュシート、フィルム等を用いることができる。また、撥水性材料からなるシート材等を用いることによって、軟便や水様便に対する防漏性を向上させることも可能となる。この撥水性材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いることができる。中でも、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布は耐水圧が高いという利点があり、好適に用いることができる。なお、後述の伸縮弾性体を配置し易くするために、複数枚のシートから疎水性シート(疎水性シート体)を形成してもよい。例えば、図3に示されるように、着用者の肌と接触する上部にアッパーシート24aが、その下部にライナーシート24bが配置され、一体として形成される疎水性シート24が接合されている。
なお、疎水性シートを後述の立体ギャザーに固定する方法としては、接着剤、ホットメルト等が挙げられ、そのような固定方法を用いて、例えば、図3に示す使い捨ておむつ1のように、立体ギャザー26a,26b上に疎水性シート24を接合する。
さらに、疎水性シートは、立体ギャザーの上端部(フランジ)に接合されることが好ましい。立体ギャザーの上端部に接合されることにより、立体ギャザーの起立時に、疎水性シートからトップシートまでの高さ(距離)を十分確保できるように配置できるから好ましい。換言すれば、立体ギャザーの上端部(フランジ)は、その起立時にトップシート上から最も高くなり得るため、立体ギャザーの上端部に、疎水性シートを接合することで、疎水性シートの高さ(距離)を確保できるため、開口部内の収納容積(空間容積)を大きくできる。したがって、好ましい形態の一つといえる。
さらに、前記疎水性シートが、トップシート側の反対側に形成される立体ギャザー外壁に接合されることはより好ましい形態の一つである。トップシート側の反対側に形成されている立体ギャザー外壁に、疎水性シートを接合することにより、疎水性シートの高さ(距離)を確保でき、さらには、開口部内の収納容積(空間容積)を大きくすることができるからである。
[1−2−1]開口部:
疎水性シートには、着用者の***した便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成される。このように開口部を形成することより、着用者の***した便が疎水性シートに形成された便通過用開口部を通過してトップシート上に落下することになり、便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させることが可能となる。
開口部は便を通過させ得る形状である限り、その形状について特に制限はない。即ち、便を通過させ得る「開口部」には、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)の他、直線状スリット、十字状スリット、3本以上のスリットを交差させた星型スリット等のスリットも含まれる。中でも、おむつの前後方向(長手方向)を長軸方向とする楕円形開口部、或いは星型スリットが好ましい。楕円形開口部には、便が疎水性シートの開口部を通過し易いという利点があり、星型スリットには、一旦、疎水性シートの開口部を通過してトップシート上に落下した便が、再び、疎水性シートの開口部から露出し、着用者の臀部を汚してしまうことを有効に防止することができるという利点がある。
例えば、図2Aに示す使い捨ておむつ1は、疎水性シート24のおむつの股下部4に相当する部分に、便通過用開口部28aとして、おむつの前後方向に長い楕円形状の開口部を形成した例である。なお、孔やスリットのサイズについては、「便を通過させる」という機能を考慮した上で適宜決定すればよい。
また、図2Bに示されるように、疎水性シート24に、前述した便通過用開口部28aより前身頃側に、尿通過用の開口部28bが形成されることも好ましい形態の一つである。即ち、疎水性シート24には、開口部28として便通過用開口部28a及び尿通過用開口部28bが形成されていることが好ましい。
前記のように尿通過用開口部28bを形成することによって、その開口部28bを通過させて着用者の***した尿を疎水性シート24とトップシート18の間の空間に確実に流入させることが可能となり、疎水性シート24を伝って尿が拡散し、おむつの脚周り開口部12a、12b等からの横漏れを生ずる事態を有効に防止することができる上、尿と便とが混ざり合うことを有効に防止しできるのである。
例えば、図2Bに示す使い捨ておむつ1は、疎水性シート24に開口部28として、おむつの前後方向に長い楕円形の便通過用開口部28aに加えて、おむつの前後方向に長い楕円形の尿通過用開口部28bを更に形成してあり、便通過用開口部28aはおむつの股下部4に相当する部分に形成され、尿通過用開口部28bは便通過用開口部28aよりも前身頃2側の部分に形成されている。
なお、便通過用開口部は、股下部において、可能な限り大きく形成することが好ましいが、後述する伸縮弾性体を複数配置すると、股下部の幅は元々適正幅があるので、伸縮弾性体を配置した部分は便通過用開口部として使えないために、便通過用開口部の大きさは、その空間容積とは別に、適度な大きさに形成されることが好ましい。たとえば、幅60〜80mm、長さ120〜160mmの大きさの楕円形があげられる。
[1−2−2]伸縮弾性体:
疎水性シートには、伸縮弾性体(伸縮材)が配置される。ここで、本実施形態における疎水性シートは、少なくとも一対の立体ギャザーのそれぞれが有する上端縁の領域、或いは、上端縁近傍であって着用者の肌に接触する面側に相当する領域に接合されるため、仮に伸縮弾性体が配置されなくともある程度の高さを確保できる。したがって、伸縮弾性体を配置しなくとも開口部内の容積の大きさを確保できるが、しかし、確実に開口部内の空間容積を大きくするとともに、安定的にその空間容積を保持するためには、疎水性シートに伸縮弾性体が配置されることが望ましい。
疎水性シートに配置される伸縮弾性体の配置パターンは、前記効果を発揮し得るパターンである限り特に制限はないが、開口部伸縮弾性体が開口部の周縁を取り囲むようなパターンに配置されると、開口部に確実に伸縮力を作用させることができるため、好ましい。例えば、円形、楕円形、菱形等のパターンで開口部が形成される場合には、開口部の周縁を取り囲むように、伸縮弾性体を円形、楕円形、菱形等のパターンで配置することが好ましい。
また、開口部の側円或いは周縁に伸縮弾性体(開口部伸縮弾性体)を配置することが好ましい。このように伸縮弾性体を配置することにより、確実に開口部内の空間容積を大きくするとともに、安定的にその空間を保持できるからである。
このように伸縮弾性体(開口部伸縮弾性体)を開口部の周縁に配置すると、立体ギャザーにいわば橋架けした疎水性シートに張力がかかるので、疎水性シートにコシを持たせることができる。従って、疎水性シートがへたってトップシート側に落ち込む事態を防止できる。その上、疎水性シートを着用者の肌に密着させ易くなるという利点がある。さらに、疎水性シートにコシを持たせることにより、開口部の高さを確実にとることができ、確実に開口部内の空間容積を大きくできる。したがって、安定的にその空間を保持できるため、本願の効果を奏することができる。
例えば、図2Aに示す使い捨ておむつ1は、開口部伸縮弾性体30として2本の開口部伸縮弾性体30a,30bを用い、その2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28aの側縁に沿って配置した例である。このようなパターンで開口部伸縮弾性体30a,30bを配置すると、開口部の両側縁をあたかも縁取りするかのように、保持することができる。開口部のいわば入り口を確実に開けることができるため、便を開口部内に確実に収納できる。さらに、立体ギャザーの伸縮弾性体の配置位置が疎水性シートの伸縮弾性体と比較して便通過用開口部から遠い位置に配置されたとしても、疎水性シートの伸縮弾性体が開口部の両側縁に配置されるため、疎水性シートと立体ギャザーの伸縮弾性体が一つの面で展開するから、着用者の肌に接触する面を大きくとることができ、また、肌との密着度を高めることができ、確実に逆戻りを防ぐことが出来る。
また、例えば、図2Bに示されるように開口部伸縮弾性体30を周縁に配置すると、疎水性シート24を収縮させ、トップシート18、吸収体22、バックシート18は下側(外装部材16側)に向かって撓ませる力を作用させることができるから好ましい。しかるに、疎水性シート24をトップシート18から浮かせた状態を維持することができ、疎水性シート24とトップシート18とを確実に離隔させることが可能となる。さらに、後述のように尿便分離壁を設けた場合にも、疎水性シートが収縮することによって、疎水性シートやトップシートと尿便分離壁となる通気撥水性シートとの間に空隙があった場合でもその空隙を埋めることができる。従って、疎水性シートとトップシートとの間の空間を確実に仕切ることが可能となる。
伸縮弾性体の伸張状態としては、開口部伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、100〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、開口部に十分な伸縮力を作用させ、かつ、開口部が閉じることを防止でき、疎水性シートを着用者に当接させやすくすることができる。
また、開口部伸縮弾性体として配置する場合には、便通過開口部の側縁に、2本の開口部伸縮弾性体を配置する場合が一例として挙げられる。また、そのような配置パターンに限らず、例えば、2本の開口部伸縮弾性体を用い、その2本の開口部伸縮材が開口部の前後の少なくとも1点で交差し、開口部の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置されていることも好ましい形態の一つである。このようなパターンで開口部伸縮材を配置すると、開口部伸縮材をおむつの前後方向に向かって連続的に配置することが可能となるため、使い捨ておむつの連続的な製造が容易になるという利点があり好ましい。
具体的には、図2Bに示す使い捨ておむつ1は、開口部伸縮弾性体30として2本の開口部伸縮弾性体30a,30bを用い、その2本の開口部伸縮弾性体30a,30bが便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの間の点Pで交差し、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置した例である。このようなパターンで開口部伸縮弾性体30a,30bを配置すると、吸収性本体14が長手方向に向かって連続して配置されたような吸収性本体連続体を容易に製造することが可能となる。
また、図2Bに示す使い捨ておむつ1は、股下部4の中央で開口部伸縮材30a,30bが交差する配置となっている。このような配置とすることにより、おむつの前身頃2側や後身頃6側よりも股下部4(即ち、点P近傍)において幅方向(おむつ左右方向)への伸縮力を大きく作用させることができる。従って、疎水性シート24の中でも比較的弛み易い、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bとの間の部分を着用者の肌に対してより密着させる効果がある。また、図2Bに示す使い捨ておむつ1は、開口部伸縮材30a,30bが股下部4の中央の点P以外では交差しておらず、便通過用開口部28aの後身頃6側の周縁及び尿通過用開口部28bの前身頃2側の周縁が開放されたパターンに配置されている。このような配置とすることにより、疎水性シート24の前身頃2側や後身頃6側が着用者の肌に対して過度に密着しないため、通気性を確保することができる。従って、疎水性シートの当接による発汗が抑制され、汗に起因するムレやスキントラブルを効果的に防止することができる。
開口部伸縮弾性体としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮弾性体(伸縮材)を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
前記のような開口部伸縮弾性体は、疎水性シートに対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
開口部伸縮弾性体の配置方法は特に限定されないが、例えば、図3に示す使い捨ておむつ1のように、疎水性シート24を2枚のシート材(アッパーシート24a、ライナーシート24b)を貼り合わせることにより構成し、アッパーシート24aとライナーシート24bの間に開口部伸縮弾性体30a,30bを挟みこむように配置することが好ましい。このような配置方法を採用すると、必要最小限の伸縮弾性体により疎水性シートに伸縮力を付与することができるという効果を奏するため好ましい。
また、疎水性シートに配置される伸縮弾性体が、股下部において伸縮弾性が発現しないようにされていることがより好ましい。股下部に伸縮弾性を発現しないようにするのは、股下部において複数の伸縮弾性体を配置すると便通過開口部が小さくなるおそれがあるからである。また、股下部に配置された弾性伸縮体が目立って外観が悪くなるおそれもあるためである。
股下部において伸縮弾性が発現しない具体的な方法としては、たとえば、股下部における疎水性シートの伸縮弾性の発現を望まない箇所の、伸縮弾性体の上(又は下)に、或いは、疎水性シート上(又は下)に、ドットシールによる熱シールをして固定する。これにより、ドットシールが、伸縮弾性体を踏み伸縮弾性体が切断され、伸縮弾性が発現しなくなる。
熱シールの方法としては、一対のロールの両方又はどちらかを加熱し、自重又は追加的に圧力をかけたロール間を通して、伸縮弾性体又は立体ギャザーを形成するシートにシールパターンを形成する方法のほか、超音波溶着等の方法がある。
[1−2−3]立体ギャザーと疎水性シートとに配置される伸縮弾性体の位置関係:
本実施形態における立体ギャザーに配置される伸縮弾性体と疎水性シートに配置される伸縮弾性体との位置関係は、概ね次の(1)〜(3)の関係に構成されることが好ましい。すなわち、(1)疎水性シートと立体ギャザーとに配置される、それぞれの伸縮弾性体が双方とも便通過用開口部に近い位置に配置される場合、(2)疎水性シートと立体ギャザーとに配置される伸縮弾性体がいわゆる面で展開する場合、(3)立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が直接便通過用開口部を縁取るように配置されるとともに、疎水性シートに配置される伸縮弾性体が疎水性シートを浮かせるために使われる(配置される)場合である。
まず、(1)疎水性シートと立体ギャザーとに配置される、それぞれの伸縮弾性体が双方とも便通過用開口部に近い位置に配置される場合として、図7A、Bを用いて具体的に説明する。図7Aは、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)と立体ギャザーの伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)が両方とも便通過用開口部28に近い位置に配置された例を模式的に示した図であって、図7Aは、図3に示されるような幅方向の断面を示した模式図である。また、図7Bは、図7Aに示される伸縮弾性体が配置されたおむつの展開図を、一部拡大して模式的に示した模式図である。なお、図7A、Bも説明の便宜を図るべく、疎水性シートの伸縮弾性体と立体ギャザーの伸縮弾性体及び便通過用開口部以外の他の部材については一部省略した。
図7A、Bに示されるように、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)と立体ギャザーの伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)が両方とも便通過用開口部28に近い位置に配置されると、便通過用開口部28が伸縮弾性体30(30c、30d)によって、縁取られるために開口部28が閉じることなく、疎水性シートが着用者に当接する。したがって便通過用開口部28から下に落ちた便の逆戻りを防ぎ、確実にスキントラブルを回避することができる。さらに、疎水性シートの伸縮弾性体と立体ギャザーの伸縮弾性体とが、いわば協働することにより、着用者に確実に疎水性シートを当接させるために、伸縮弾性体が適切な力で、面で疎水性シートを浮き上がらせることができるため好ましい。
次に、(2)疎水性シートと立体ギャザーとに配置される伸縮弾性体がいわゆる面で展開する場合として、図8を用いて具体的に説明する。図8は、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)と立体ギャザーの伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)が面で展開する例を模式的に示した図であって、図8は、図2Aに示されるような幅方向の断面を示した模式図である。なお、図8は説明の便宜を図るべく、疎水性シートの伸縮弾性体と立体ギャザーの伸縮弾性体及び便通過用開口部以外の他の部材については一部省略している。
図8に示されるように、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)が、便通過用開口部28の近い位置に配置され、立体ギャザーの伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)が、疎水性シートの伸縮弾性体と比較して、便通過用開口部から遠い位置に配置されている。このように、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)の配置位置を便通過用開口部の両側縁に配置するとともに、立体ギャザーの伸縮弾性体の配置位置が疎水性シートの伸縮弾性体と比較して、便通過用開口部から遠い位置に配置される場合には、疎水性シートと立体ギャザーの伸縮弾性体が面で展開する。したがって、開口部28の空間容積を大きくできる。さらに、疎水性シートと立体ギャザーの伸縮弾性体が面で展開することから、着用者の肌に接触する面を大きくとることができ、また、肌との密着度を高めることができるから、確実に逆戻りを防ぐことが出来る。
さらに、(3)立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が直接便通過用開口部を縁取るように配置されるとともに、疎水性シートに配置される伸縮弾性体が疎水性シートを浮かせるために使われる(配置される)場合として、図9A、Bを用いて具体的に説明する。図9Aは、立体ギャザーの先端(先端部)の伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)が直接便通過用開口部28を縁取る一方、疎水性シートの伸縮弾性体30(30c、30d)が立体ギャザーの先端の伸縮弾性体36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)よりも外側(脚周り側)に配置された例を示した模式図であって、図2Aに示されるような幅方向の断面を模式に示した図である。また、図9Bは、図9Aに示される伸縮弾性体が配置されたおむつの展開図を、一部拡大して模式的に示した図である。なお、図7A、Bも説明の便宜を図るべく、疎水性シートの伸縮弾性体と立体ギャザーの伸縮弾性体及び便通過用開口部以外の他の部材については一部省略した。
図9A、Bに示されるように、立体ギャザーの先端部に配置された伸縮弾性体が、直接便通過用開口部を縁取ることにより、開口部を下支えでき、確実に開口部の高さ、ひいては空間容積を確保できる。また、疎水性シートに配置された伸縮弾性体がシートを浮かせることにより、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体と協働して一つの面として展開できる。さらに、疎水性シートに配置する伸縮弾性体を、このような位置に配置すると、成形し易いという利点がある。すなわち、便通過用開口部の縁ぎりぎりに伸縮弾性体を配置する場合には、便通過用開口部を広くとることができ空間容積も大きくとることができるが、疎水性シートを製造する際に蛇行が生じる場合があり、そのような蛇行が生じると、伸縮弾性体が疎水性シートの際に配置されていると、伸縮弾性体の切断を招くおそれがあるため、前述のように配置されることは好ましい形態と言える。
なお、前述の(1)〜(3)は、疎水性シートに、便通過用開口部のみ形成された場合に限定されず、尿通過用開口部が形成される場合も適用されることはいうまでもない。
[1−3]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層又は複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
[1−4]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、後述するテープ型おむつにおいては、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート(センターシート)を配置し、おむつのサイドフラップ部分には撥水性材料からなるトップシート(サイドシート)を配置する形態がよく利用される。
[1−5]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[1−6]吸収性本体:
2ピースタイプのパンツ型おむつにおいては、トップシート、バックシート及び吸収体を、吸収・保持機能を担う「吸収性本体」という一つの部材として構成し、これとは別個に製造された外装部材と接合することにより使い捨ておむつを構成する。この吸収性本体は、生理用ナプキン等と同様に、吸収体の上面側にトップシート、下面側にバックシートが配置されたものであり、トップシートとバックシートとの間に吸収体が介装された構造となっている。例えば、図3に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18とバックシート20の間に吸収体22を挟みこみ、吸収体22の周縁部を封着することによって、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造の吸収性本体14を構成した例である。
吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。吸収性本体は、例えばホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
[1−7]尿便分離壁:
本発明の使い捨ておむつでは、疎水性シートとトップシートとの間の空間を、便通過用開口部に連通する空間と前身頃側の空間とを区画する尿便分離壁が形成されることが好ましい。このような構成により、尿と便が混ざり難くなり、アンモニアの発生によるおむつかぶれを効果的に防止することができる。
前記のような空間を区画する形態としては、通気撥水性シートからなり、前記疎水性シートと前記トップシートの後身頃側表面との間に形成される空間を前身頃側の空間から仕切る尿便分離壁を有し、前記尿便分離壁は、前記通気撥水性シートの一端が前記疎水性シートの前端部に接合され、他端が前記トップシートの表面まで垂下されることによって形成されたものが好ましい。
例えば、図4に示される使い捨ておむつのように、疎水性シート24とトップシート18との間に形成される空間46を前身頃2側の空間から仕切る尿便分離壁48を設けることが好ましい。尿便分離壁48は、通気撥水性シート52からなり、その通気撥水性シート52の一端が疎水性シート24の前端部に接合され(接合部62)、他端がトップシート18の表面まで垂下され、接合される(接合部66)ことによって形成されている。なお、この例では、通気撥水性シート52の吸収体22側縁からはみ出した部分に関しては、トップシート18の表面に固定(接合)されておらず、単に垂下されている。
この例では、通気撥水性シート52は、断面Z字型に折り曲げられ、接合部62,66以外の部分は固定されていないため、通気撥水性シート52の中途の折り畳み部が自由に伸張する。従って、尿便分離壁48によって、疎水性シート24の立ち上がりが阻害されることが少ないという利点がある。
また、図4に示す使い捨ておむつ1では、通気撥水性シート52の他端56をトップシート18の表面に固定しているが、本発明の使い捨ておむつは、このような形態に限定されるものではない。例えば、疎水性シートに一端を固定した通気撥水性シートをトップシートの表面の一部を覆う程度に垂下させるのみでも空間を仕切ることは可能であり、他端を固定した場合と同様の効果を得ることができる。
通気撥水性シートの構成材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。
[1−8]外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。
2ピースタイプのパンツ型おむつでは、着用者の***物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。
そして、外装部材は、脚周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1〜図3に示す使い捨ておむつ1は、外装部材16を2枚の不織布から構成し、その2枚の不織布の間に脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。
[1−9]各種伸縮材:
パンツ型の使い捨ておむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが一般的であり、更に腹周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
図1及び図2A、Bに示す使い捨ておむつ1は、脚周り開口部12a,12bの周縁には複数本の脚周り伸縮材40を配置し、ウエスト周り開口部10の周縁にはウエスト周り開口部10を取り囲むように複数本のウエスト周り伸縮材42を配置し、更に、ウエスト周り開口部10と脚周り開口部12a,12bとの間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)には、着用者の腹周りを取り囲むように複数本の腹周り伸縮材44を配置した例である。なお、図2A、Bには示されていないが、脚周り伸縮材40は前身頃2側、後身頃6側で各々U字型を描くように配置されており、股下部4の中央において切断されている。
これらの伸縮材については、既に述べた起立用伸縮材と同様の構成を採用することができる。そして、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
[2]製造方法:
以下、本発明の使い捨ておむつを製造する方法の一例を、図1〜図7に示す使い捨ておむつ1(2ピースタイプのパンツ型おむつ)を製造する場合の例により説明する。
[2−1]吸収性本体の製造:
バックシート20の上面に、親水性シートに包まれた吸収体22を配置し、更にその上面にトップシート18を配置する。次いで、吸収体22の周縁部をトップシート18とバックシート20とで挟み込むように封着することによって吸収性本体14を得る。
[2−2]疎水性シートの製造:
ライナーシート24bの上面に、2本の開口部伸縮弾性体30a,30bを所定のパターンに配置しつつ、アッパーシート24aを貼り合わせる。開口部伸縮弾性体の配置パターンは、前述のように、2本の開口部伸縮弾性体30a,30bが、側縁に配置される場合(図2A参照)、2本の開口部伸縮弾性体30a,30bが、後に形成される便通過用開口部28の前側の点Pで交差し、便通過用開口部28の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置する場合(図2B参照)、さらには、疎水性シートと立体ギャザーとに配置される、それぞれの伸縮弾性体が双方とも便通過用開口部に近い位置に配置される場合(図7参照)、疎水性シートと立体ギャザーとに配置される伸縮弾性体がいわゆる面で展開する場合(図8参照)、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が直接便通過用開口部を縁取るように配置されるとともに、疎水性シートに配置される伸縮弾性体が疎水性シートを浮かせるために使われる(配置される)場合(図9参照)など、所望の配置パターンに応じて配置する。たとえば、便通過用開口部28の前側の点Pで交差し、便通過用開口部28の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置する場合には、2本の開口部伸縮材30a,30bは、後に形成される便通過用開口部28の前側の点Pで交差し、便通過用開口部28の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置する。
次いで、貼り合わされたライナーシート24bとアッパーシート24aに、便通過用開口部28を形成する。こうすることによって、2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28の前側の点Pで交差し、便通過用開口部28の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置された2層構造の疎水性シート24を得る。
[2−3]立体ギャザーの製造:
立体ギャザー形成シート26a(26b)の一方の端部を折り返し、その折り返し部分に、2本の起立用伸縮材36a,36b(36c,36d)を挟み込んだ状態で貼り合わせることによって、立体ギャザー26a(26b)を得る。なお、疎水性シートと立体ギャザーとに配置されるそれぞれの伸縮弾性体は、双方とも便通過用開口部に近い位置に配置される場合(図7参照)、疎水性シートと立体ギャザーとに配置される伸縮弾性体がいわゆる面で展開する場合(図8参照)、立体ギャザーに配置される伸縮弾性体が直接便通過用開口部を縁取るように配置されるとともに、疎水性シートに配置される伸縮弾性体が疎水性シートを浮かせるために使われる(配置される)場合(図9参照)に応じて配置する。
[2−4]吸収性本体への立体ギャザーの付設:
立体ギャザーは、吸収性本体を構成するトップシートに固定させた後、疎水性シート24を貼りあわせる。この際、立体ギャザー(立体ギャザーの上端縁)は、前記の通り疎水性シートの便通過用開口部を挟んだ両脇の位置に固定される。通常、立体ギャザーが平面に倒れた状態で、その上端縁が疎水性シートに貼り付けられ、その下端縁が吸収性本体に貼り付けられると、立体ギャザーは、股下部でおむつが幅方向に湾曲する分以外は立ち上がることができない。それでも空間をつくることは可能ではあるが、立体ギャザーの上端縁と下端縁との中間で一度Z字状に折り返して、いわゆる「まち(図3参照)」を作っておくことが好ましい。
[2−5]外装部材の製造:
まず、外装部材16となる不織布を2枚用意し、このうちの1枚の不織布の上面に、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44及び脚周り伸縮材40を配置し接着固定する。そして、この上面に、更にもう1枚の不織布を積層し固定することにより、2枚の不織布の間に、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44及び脚周り伸縮材40が介装された外装部材16を得る。なお、脚周り伸縮材40については、股下部4中央の部分のみを非接着の状態としておき、その非接着部分を切断することにより、スナップバックさせる。
[2−6]使い捨ておむつの製造:
外装部材16の股下部近傍に、吸収性本体14を配置し固定する。吸収性本体14の両側に該当する外装部材16に、脚周り開口部をあける。次いで、吸収性本体14を内側にして、前身頃2と後身頃6とを合わせるように二つ折りにし、前身頃2と後身頃6とをヒートシール等の手段により接合し、接合部8を形成することによって、図1〜図3に示す使い捨ておむつ1を製造することができる。
前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材や伸縮材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、使い捨ておむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
[3]本発明の適用対象:
本発明の使い捨ておむつの適用対象は、前記2ピースタイプのパンツ型おむつに限られるものではなく、例えば、1ピースタイプのパンツ型おむつやテープ型おむつにも適用することができる。即ち、これらの使い捨ておむつにおいても、少なくとも一対の立体ギャザーを形成するとともに、その立体ギャザーに便通過用開口部が形成されている疎水性シートを接合することにより、本発明の使い捨ておむつの効果を享受することができる。
なお、「1ピースタイプ」とは、2ピースタイプと同様に、トップシート、バックシート、吸収体を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体がトップシートとバックシートの間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート及び/又はバックシートと一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
また、「テープ型おむつ」とは、トップシートと、バックシートと、両シートの間の少なくとも一部に介装された吸収体と、装着用のテープファスナーとを備え、テープファスナーによっておむつの前身頃と後身頃とを相互に固定し得る使い捨ておむつを意味するものとする。「テープ型おむつ」にも、パンツ型おむつと同様に「1ピースタイプ」と「2ピースタイプ」が存在するが、本発明の使い捨ておむつはいずれのタイプのテープ型おむつにも適用可能である。
1:使い捨ておむつ、2:前身頃、2a,2b:側縁部、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁部、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、12,12a,12b:脚周り開口部、14:吸収性本体、16:外装部材、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、24:疎水性シート、24a:アッパーシート、24b:ライナーシート、26,26a,26b:立体ギャザー、28:開口部、28a:便通過用開口部、28b:尿通過用開口部、30,30a,30b,30c,30d,30e,30f:伸縮弾性体、32,32a,32b:シート材、先端部:33,33a,33b,34a:上端縁(一方の端部)、34b:他方の端部、35,35a,35b:上端部、36,36a,36b,36c,36d,36e,36f:立体ギャザー伸縮弾性体、37a,37b,37c,37d:第2(外側)立体ギャザー伸縮弾性体、38,46:起立線、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、55:ドットシール、77:第1立体ギャザー、79:第2立体ギャザー、79a,79c:壁面、81,81a,81b:開口溝、83:起立線、P:点、Z:領域。