JP5048371B2 - セラミック多孔質膜の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法 - Google Patents

セラミック多孔質膜の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミック多孔質膜の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法に係り、更に詳しくは、欠陥が少なく、膜厚が薄く均一なセラミック多孔質膜の製造方法及びそのセラミック多孔質膜を含むセラミックフィルタの製造方法に関する。
従来から、多孔質基材上にセラミック多孔質膜を成膜する方法は種々のものが知られている。例えば、ホットコート法が知られている(非特許文献1を参照)。これは、加熱したチューブ基材の外表面に、セラミックゾルを含む布を用いチューブ基材に擦りつけて塗布することにより多孔質膜を成膜する方法である。
チューブ形状や円筒レンコン状のモノリス形状多孔質基材の内表面にろ過成膜により多孔質膜を形成する方法も公知であり(特許文献1〜2を参照)、多孔質基材のゾル液が接触する内表面側より外表面側を低圧に保持することにより多孔質基材の内表面に成膜するものである。
特開平3−267129号公報 特開昭61−238315号公報 Journal of Membrane Science149(1988)127−135
しかしながら、既存の限外濾過フィルタの作製方法はチューブ状の基材に適応できるが、セル数が多く膜面積が大きいレンコン状のモノリス形状多孔質基材に適応して平均細孔径が3nm以下のフィルタを作製しようとすると、5nm以上の大きな細孔あるいはクラック等の欠陥が発生し、所望の阻止特性が得られなかった。
本発明の課題は、欠陥が少なく、膜厚が薄く均一で細孔径が小さいセラミック多孔質膜の製造方法及びそのセラミック多孔質膜を含むセラミックフィルタの製造方法を提供することにある。特に、大きさが数nm以下、また分子量が4000以下の物質を阻止するのに適し、例えば、有機溶媒中の分子量が数千程度の物質の除去にも適用することができ、有機膜では耐蝕性という意味で使用困難な環境でも使用可能なセラミックフィルタの製造方法を提供する。電子分野などにおいて、例えば、半導体、液晶ガラス、フォトマスク等の製造工程で用いられる有機物質(例えば、大きささが数nm以下で、分子量が5000以下であるレジストなど)とそれを剥離、洗浄するための各種溶剤(極めて高価であるために再利用が求められている)との加熱処理なしでの分離に適応可能であるセラミックフィルタを提供する。また、本発明の製造方法にて膜を積層することによりアルコールや酢酸等からの脱水にも適応可能である。
本発明者らは、セラミックゾル原液を作製した後に、希釈用の溶媒としてイソプロピルアルコールまたはイソプロピルアルコールの水溶液とセラミックゾル原液とを混合して得たセラミックゾルコート液をセルの内側表面に付着させ、前記セルの内側表面上に沿うように接触させつつ送風することによりセラミックゾルを乾燥させ、その後焼成することによってセラミック多孔質膜を形成することにより、上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下のセラミック多孔質膜の製造方法、及びセラミック多孔質膜を含むセラミックフィルタの製造方法が提供される。
[1] セラミックゾル原液を作製した後に、希釈用の溶媒としてイソプロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールの水溶液を、イソプロピルアルコール濃度が70wt%以上となるように前記セラミックゾル原液に混合してセラミックゾルコート液を作製し、多孔質基材のセルの内側表面上に、前記セラミックゾルコート液を付着させ、前記セルの内側表面上に沿うように接触させつつ風速50〜200m/sにて送風することにより、乾燥時の温度が10〜60℃にてセラミックゾルを乾燥させ、その後焼成することにより、前記セラミックゾルによる分画分子量4000以下のセラミック多孔質膜を前記多孔質基材の前記セルの内側表面上に形成するセラミック多孔質膜の製造方法。
[2] 前記セラミックスゾルの乾燥を前記多孔質基材の外周面をマスクした状態にて行う前記[1]に記載のセラミック多孔質膜の製造方法。
] セラミックゾル原液を作製した後に、希釈用の溶媒としてイソプロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールの水溶液を、イソプロピルアルコール濃度が70wt%以上となるように前記セラミックゾル原液に混合してセラミックゾルコート液を作製し、セラミック基材のセルの内側表面上に、前記セラミックゾルコート液を付着させ、前記セルの内側表面上に沿うように接触させつつ風速50〜200m/sにて送風することにより、乾燥時の温度が10〜60℃にてセラミックゾルを乾燥させ、その後焼成することにより、前記セラミックゾルによる分画分子量4000以下のセラミック多孔質膜を前記セラミック基材の前記セルの内側表面上に形成するセラミックフィルタの製造方法。
] 前記セラミックスゾルの乾燥を前記セラミック基材の外周面をマスクした状態にて行う前記[]に記載のセラミックフィルタの製造方法。
本発明のセラミック多孔質膜の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法によれば、溶媒としてイソプロピルアルコールを用いたセラミックゾルを基材の表面上に付着させ、そのセラミックゾルを送風によって乾燥させ、その後焼成することにより、セラミックゾルによるセラミック多孔質膜を密に形成することができる。このように、送風によって乾燥すると、セラミック多孔質膜が密になるため、平均細孔径が小さく、高分離能を有するセラミック多孔質膜及びセラミックフィルタを製造することができる。本発明の製造方法は、特に、大きさが数nm以下、また分子量が4000以下の物質を阻止するのに適し、例えば、有機溶媒中の分子量が数千程度の物質の除去にも適用することができ、有機膜では耐蝕性という意味で使用困難な環境でも使用可能なセラミックフィルタの製造方法を提供する。本発明のセラミックフィルタは電子分野などにおいて、例えば、半導体、液晶ガラス、フォトマスク等の製造工程で用いられる有機物質(例えば、大きささが数nm以下で、分子量が5000以下であるレジストなど)とそれを剥離、洗浄するための各種溶剤(極めて高価であるために再利用が求められている)との加熱処理なしでの分離に適応可能である。また、本発明の製造方法にて膜を積層することによりアルコールや酢酸等からの脱水にも適応可能である。また、本発明の製造方法にて膜を積層することによりアルコールや酢酸等からの脱水にも適応可能である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
図1に本発明の製造方法によって形成されるセラミック多孔質膜1を示す。精密濾過膜(MF膜)11上に細孔径が5〜10nmの限外濾過膜であるUF膜14が形成され、そのUF膜14上に細孔径が0.5〜10nmのセラミック多孔質膜1が形成されている。UF膜14としては、例えば、チタニアを採用することができる。セラミック多孔質膜1は、セラミックゾルを1回から複数回積層した単層、または多層構造とされたナノ濾過膜であり、例えば、チタニアを採用することができる。
以上のように、UF膜14上にセラミック多孔質膜1を形成した場合、UF膜14の膜表面が平滑で欠陥も少ないため、セラミック多孔質膜1が薄く、欠陥無く成膜することが可能となる。即ち高分離能、高透過速度、低コストのセラミック多孔質膜1が作製可能となる。
一方、UF膜14を形成せずに精密濾過膜(MF膜)上にセラミック多孔質膜1を形成した場合、MF膜の表面の凸凹のため、表面を全てセラミック多孔質膜1で被覆するためにはセラミック層が厚膜となってしまい、低透過速度となる。またMF膜の表面が凸凹であるため、セラミック多孔質膜1が不均質となりクラック等の欠陥が発生しやすい。すなわち低分離性能となる。さらにクラックを発生させないためには一度に薄くしか成膜できず、工程数が増え高コストの原因となる。したがってUF膜14を形成し、UF膜14の表面を基材の表面としてセラミック多孔質膜1を形成することが望ましい。
UF膜14をセラミック多孔質膜1形成の基材として、UF膜14上にセラミック多孔質膜1を形成すると、欠陥の少ないセラミック多孔質膜1、すなわち高分離能のセラミック多孔質膜1を形成できる。基材の最表面層は、成膜する下地層でありUF膜14である。さらに、送風乾燥を行うことにより、密なセラミック多孔質膜1が形成できる。
次に図2を用いて、本発明の製造方法によってセラミック多孔質膜1が形成されるセラミックフィルタ10の一実施形態を説明する。本発明のセラミックフィルタ10は、隔壁22により画成され軸方向の流体通路を形成する複数のセル23を有するモノリス形状を成している。本実施形態では、セル23は円形断面を有し、その内壁面に、図1に示されたようなセラミック多孔質膜1が形成されている。セル23は、六角断面や四角形断面を有するように形成してもよい。このような構造によれば、例えば、混合体を入口側端面25からセル23に導入すると、その混合体を構成する一方が、セル23内壁に形成されたチタニア膜1において分離され、多孔質の隔壁22を透過してセラミックフィルタ10の最外壁から排出されるため、混合体を分離することができる。つまり、セラミックフィルタ10に形成されたセラミック多孔質膜1は、分離膜として利用することができる。
基材本体である多孔質基材11は、押し出し成形等により多孔質材料からなる円柱形状のモノリス型フィルターエレメントとして形成されており、多孔質材料としては、耐食性と温度変化によるろ過部の細孔径の変化が少ない点や充分な強度が得られる点から、例えば、アルミナを用いることができるが、アルミナ以外にコーディエライト、ムライト、炭化珪素等のセラミックス材料を使用することもできる。セラミック多孔質膜1を成膜する面(最表面層)は、細孔径が好ましくは5〜20nm、より好ましくは、5〜10nmの多数の細孔を有する多孔質体で形成されるとよく、最表面層は、基材本体であってもよいが、図1の実施形態においては、UF膜14が上記範囲の最表面層を形成している。
本発明のセラミック多孔質膜1は、多孔質基材11の内周面(内壁面)に対して成膜するため、長さが50cm以上である比較的長尺のレンコン状の形状の多孔質基材を好適に用いることができる。
次に、セラミック多孔質膜1の製造方法について図3を用いて、セラミック多孔質膜1として、チタニア膜を形成する場合を例として説明する。まず、セラミック多孔質膜1を形成するためのセラミックコート液(以下、コート液ともいう)を用意する。コート液は、セラミックゾル原液(以下、ゾル原液ともいう)をイソプロピルアルコールまたはその水溶液で希釈して得る。ゾル原液は金属アルコキシド(例えばチタンテトライソプロポキシド)と硝酸、または塩酸の混合液を2〜10℃に保持しながら水と混合し、さらに保持温度を10〜40℃にし、予め硝酸と混合しておいたイソプロピルアルコールと混合して得られる。なお、ゾル原液は、0.23wt%〜1.2wt%、好ましくは、0.3wt%〜0.5wt%のチタニア(TiO)を含むゾル液である。そして、得られたゾル原液をイソプロピルアルコール(IPA)で希釈し、希釈後のコート液中のIPA濃度が70wt%以上、好ましくは95wt%以上、さらに好ましくは99wt%となるように調整し、コート液を得る。希釈後のチタニア濃度は0.02〜0.2wt%が特に好ましい。濃度が0.02wt%以下の場合、膜が薄膜化しすぎるために目的の膜厚を得るまでの成膜回数が増え生産性が悪くなり、さらに下地の影響を受けやすくなるために不均質となりクラック等の欠陥が発生しやすくなる。濃度が0.2wt%以上の場合、一度の成膜で得られる膜厚が大きくなり、クラックが発生しやすくなる。さらに、イソプロピルアルコールは水に比べて、乾燥速度が大きく、表面張力が小さいので、密で欠陥の少ない膜を得るのに非常に有効である。また、ここではセラミックゾルの成分としてチタニアを用いているが、チタニアの変わりにシリカ、ジルコニアの成分のゾルを用いることもできる。
本発明におけるコート液の作製方法は、セラミックゾル原液を先に作製し、それをIPAで希釈するという2段プロセスであり、このようにゾル原液を作製後IPAで希釈することにより、細孔径の小さい、具体的には、大きさが数nm以下、また分子量が4000以下の物質を阻止するのに適したセラミック多孔質膜を作製することが可能となる。これに対し、セラミックゾル原液作製時に希釈溶媒としてあらかじめIPAを混合して所望の濃度のコート液を得る1段プロセスでは、凝集したゾル粒子が多くなり、粗大細孔の数が増えてしまうので好ましくない。
次にセラミックゾルコート液をディップ法、濾過成膜法、または基材上部より滴下してセルの内側表面上を流動させる方法などにより多孔質基材11のセル23の表面上に付着させる。
次に、図3及び図5に示すように、例えば、ドライヤ等によりセル内に風を膜表面上に沿うように接触させつつ送って乾燥させる。風の温度は、好ましくは、10〜60℃程度、より好ましくは、20〜40℃の室温である。10℃よりも低い温度の風を通過させると、セル表面に付着したチタニアゾルの乾燥が進展しないため、密な膜が得られず細孔径が大きい膜となってしまう。また、60℃よりも高い温度で温風を通過させると膜面にクラックが発生しやすく好ましくない。乾燥のための風がセル内を通過する速度は、1〜300m/秒、より好ましくは、50〜200m/秒で行うとよい。風がセル内を通過する速度が1m/秒以下だと密な膜が得られず細孔径が大きくなり、また、風がセル内を通過する速度が300m/秒以上だと膜面にクラックが発生しやすく、好ましくない。送風乾燥は、0.5〜15時間程度行うとよい。
以上のような条件で、セル内に風を膜表面上に沿うように接触させつつ送ることにより、セル内側から、つまり膜の表面側から溶媒が蒸発する。このような送風を行うことにより乾燥させると、UF膜14へチタニア膜1が密に膜化する構造とすることができる。また、送風乾燥は均一乾燥が困難なモノリス形状には非常に有効である。膜表面から溶媒が乾燥することが膜の緻密化に重要と考えられるため、外周面をマスクすることにより、チタニアゾルの含まれる溶媒の基材側からの蒸発を防止するとより良好な膜を形成することができる。
その後、100℃/hrにて昇温し、400〜500℃で1時間保持した後、100℃/hrで降温する。なお、基材が大きい場合、昇降温の速度はさらに小さくてもよい。以上のコート液(チタニアゾル液)の流し込み、乾燥、昇温、降温の操作を1回〜5回繰り返す。
以上の工程により、UF膜14を基材とし、そのUF膜14の表面上にセラミック多孔質膜であるチタニア膜1が形成される。
これに対し、図4(a)に示すMF膜11上に直接セラミック多孔質膜1を形成する場合は、図4(b)に示すように、セラミック多孔質膜1aを形成しても、表面を全て覆うことができず、凹凸によってセラミック多孔質膜1にクラックが発生しやすくなる。図4(c)〜図4(e)に示すように、セラミック多孔質膜1b,1c,1dを重ねて厚膜とすることにより、セラミック多孔質膜1を平坦にすることができるが、この場合、低透過速度となり、工程数も増加するための高コストとなる。
また、送風乾燥を行うことにより、セラミック多孔質膜1がUF膜14上に密な構造で形成され、高分離能を有する膜を得ることができる。
以上のようにして得られた、内壁面にナノレベルの薄膜状のセラミック多孔質膜1が形成されたセラミックフィルタ10は、混合液体等を分離するフィルタとして好適に用いることができる。
以下、本発明の製造方法を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。まず、本実施例で使用した多孔質基材、セラミックゾル液及び、成膜方法等について説明する。
(実施例1〜10および参考例1,2
(1)多孔質基材
平均細孔径が5〜10nmのUF膜が形成されているモノリス形状(外径30mm,セル内径3mm×37セル,長さ65〜1000mm)を基材とした。尚、基材両端部はガラスにてシールした。
(2)セラミックゾルコート液(セラミックゾルコートスラリー)
セラミックゾルコートスラリーは、ゾル原液をアルコールまたは水で希釈して得た。ゾル原液は金属アルコキシド(チタンテトライソプロポキシド)と硝酸、または塩酸の混合液を5℃に保持しながら水と混合し、さらに保持温度を25℃(液調整温度)にし、予め硝酸と混合しておいたイソプロピルアルコール、または水と混合し製造した。そして、得たゾル原液をイソプロピルアルコール(IPA)または水で希釈し、チタニア換算で0.1wt%となるように調整し、セラミックゾルコート液(セラミックゾルコートスラリー)を得た。
(3)成膜(ディップ)
多孔質基材を成膜チャンバー内にセットした。次に、基材下部よりチタニアゾル液を1.0l/minの送液速度で送液ポンプによって供給し、基材上部から余剰なゾル液が出たら、送液を止め、排液弁を開け、径内のチタニアゾル液を排出させた。その後、成膜チャンバーから基材を取り出し、手で基材を振るように動かし、余剰なゾル液を除去した。
(4)乾燥(送風)
チタニアゾルを流し込んだ多孔質基材11のセル23内を表1の風速と温度の風が通過するように送風機などを用いて10時間乾燥させた。
(5)焼成
電気炉で100℃/hrにて昇温し、400〜500℃で1時間保持した後、100℃/hrで降温した。尚、上記(3)〜(5)の操作を2回繰り返して実施例の試料を得た。
表1に実施例及び比較例の成膜条件及び乾燥条件と、形成されたチタニア膜の平均細孔径及び分画分子量(フィルタが90%阻止できる分子の大きさを分子量で表したもの)を示す。成膜条件は、チタニアゾル液の作製方法、チタニアゾル液の希釈溶媒種類、コート液中のIPA濃度を変化させた。実施例1を基準として各条件を変化させた。
Figure 0005048371
表1に示した平均細孔径は、セラミックフィルタにヘキサンと窒素を同時に流し、ヘキサンの分圧を変化させて、そのときの窒素透過流量を測定し、測定したヘキサン分圧の値をケルビンの凝縮式に当てはめて得た細孔径分布から求めた(Journal of Membrane Science186(2001)257−265を参照)。ヘキサン分圧0の時の窒素透過流量を1としてその値が半分となる細孔径を平均細孔径とした。粗大細孔径含有率は5nmの細孔径のヘキサン分圧0の時の窒素透過流量を1としたときの窒素透過流量割合で表した(図6参照)。
図6に実施例1及び比較例1の細孔径に対する相対窒素透過流量を示す。実施例1では、平均細孔径が比較例1に対して小さくなるとともに、粗大細孔径含有率も大幅に低下した。これは、細孔径の平均が小さくなったのみならず、大きな細孔径のものが大幅に減少したことを示している。
表1に示した分画分子量はセラミックフィルタにPEG(ポリエチレングリコール)の水溶液を循環濾過させて、その阻止率(供給液とろ過液中のPEG濃度比で評価)から求めた。
(実施例1)
実施例1は平均細孔径が1.1nm、粗大細孔含有率が1%と小さく、その結果、分画分子量も1000と小さい値となった。
(製造プロセス:実施例1、比較例1)
コート液の製造プロセスの検討を行った。コート液の製造を1段階(比較例1)にすると2段階のもの(実施例1)に比べて平均細孔径と欠陥量が大きくなり、分画分子量も大きくなった。
(希釈溶媒の種類:実施例1、比較例2)
希釈溶媒の種類の検討を行った。希釈溶媒を水にすると(比較例2)、IPA希釈(実施例1)に比べて、平均細孔径、粗大細孔含有率、分画分子量、全ての値が大きくなった。
(IPAの濃度:実施例1〜4、比較例3)
コート液中のIPA濃度の検討を行った。IPA濃度が大きくなるにつれて平均細孔径、粗大細孔含有率、分画分子量、全ての値が小さくなった。IPA濃度が70wt%以上では分画分子量が4000以下になり、さらに95wt%以上(実施例1,2)では分画分子量が2000以下になった。
(風速:実施例1,5,6、参考例1,2、比較例4,5)
乾燥時の風速の検討をおこなった。風速が1〜300m/sの間では平均細孔径が3nm以下、粗大細孔含有率が20%以下となり分画分子量が4000以下となった。さらに、風速が50〜200m/sの間(実施例1,5,6)では平均細孔径が1.5nm以下、粗大細孔含有率が10%以下となり、分画分子量も1500以下となった。また、風速が0(自然乾燥)、400m/sの場合は平均細孔径、粗大細孔含有率が大きくなり分画分子量もそれぞれが9000、7000と大きい値となった。
(乾燥時の温度:実施例1,−1、比較例6,7)
乾燥時の温度の検討を行った。10〜60℃の間では平均細孔径が3nm以下、粗大細孔含有率が20%以下となり、分画分子量が4000以下になった。さらに、温度が20〜40℃の場合(実施例)は平均細孔径が1.5nm以下、粗大細孔含有率が10%以下となり、分画分子量が1000以下になり、より阻止率の高い膜になった。また、温度が5、70℃の場合は平均細孔径、粗大細孔含有率が大きくなり分画分子量もそれぞれが8000、9000と大きい値となった。
希釈溶媒にIPAを用いた方が、水を用いた場合よりも小さい分子量のPEGを阻止することができる。
(評価)
表1に示すように、表面の細孔径が5〜10nmの範囲の多孔質基材に、イソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒としたセラミックゾルを付着させ、送風乾燥を行うことにより、膜を形成する過程で起こる加水分解・脱水縮合反応が抑制され、結果として粒子の成長が抑制され、細孔径(粒子間隔)が小さくなる。つまり本発明のセラミック多孔質膜の製造方法によれば、セラミックゾルを基材の表面上に付着させ、そのセラミックゾルを送風によって膜表面から選択的に乾燥させ、その後焼成することにより、セラミック多孔質膜を密に形成することができる。このように、送風によって乾燥すると、セラミック多孔質膜が密になるため、平均細孔径が小さく、高分離能を有するセラミック多孔質膜を製造することができる。
以上のように、所望の多孔質膜(平均細孔径が3nm以下、好ましくは1.5nm以下、粗大細孔含有率が20%以下、好ましくは10%以下、分画分子量が4000以下、好ましくは3000以下)を得るためには、IPA濃度を70wt%以上、好ましくは95wt%以上、風速を1〜300m/s、好ましくは50〜200m/s、風の温度を10〜60℃、好ましくは20〜40℃とするとよい。
特に、希釈溶媒の95wt%以上がイソプロピルアルコールであるセラミックゾルを使用すると良好なセラミック多孔質膜を形成することができる。セラミックゾル液の溶媒としてイソプロピルアルコールを用いることにより、濡れ性が向上し、その結果、より均一でより薄い膜が形成され、膜剥がれなどの欠陥の少ない膜ができる。送風乾燥には常温で溶媒の蒸発速度を増大させる効果がある。
本発明によれば、少ない成膜回数で、粗大細孔や欠陥が少なく、膜厚が薄く均一な膜を得ることができるため、このようなセラミック多孔質膜が形成されたセラミックフィルタは、フィルタとして好適に用いることができる。また、内壁面にナノレベルの薄膜状のセラミック多孔質膜が形成されたセラミックフィルタは、酸性あるいはアルカリ性溶液、あるいは有機溶媒中での分離除去等、有機のフィルタが使用できない箇所にも用いることができる。
本発明の一実施形態であるセラミックフィルタの断面図である。 本発明の一実施形態であるセラミックフィルタを示す斜視図である。 本発明のセラミックフィルタのチタニア膜の製造方法の一例を概略的に示す概略図である。 UF膜が形成されない場合のチタニア膜を説明する図である。 送風乾燥により膜面から溶媒が蒸発しているのを表した図である。 実施例1と比較例2の細孔径分布を示した図である。
符号の説明
1:セラミック多孔質膜(チタニア膜)、10:セラミックフィルタ、11:多孔質基材、14:UF膜、22:隔壁、23:セル、25:入口側端面、41:マスキングテープ。

Claims (4)

  1. セラミックゾル原液を作製した後に、希釈用の溶媒としてイソプロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールの水溶液を、イソプロピルアルコール濃度が70wt%以上となるように前記セラミックゾル原液に混合してセラミックゾルコート液を作製し、多孔質基材のセルの内側表面上に、前記セラミックゾルコート液を付着させ、前記セルの内側表面上に沿うように接触させつつ風速50〜200m/sにて送風することにより、乾燥時の温度が10〜60℃にてセラミックゾルを乾燥させ、その後焼成することにより、前記セラミックゾルによる分画分子量4000以下のセラミック多孔質膜を前記多孔質基材の前記セルの内側表面上に形成するセラミック多孔質膜の製造方法。
  2. 前記セラミックスゾルの乾燥を前記多孔質基材の外周面をマスクした状態にて行う請求項1に記載のセラミック多孔質膜の製造方法。
  3. セラミックゾル原液を作製した後に、希釈用の溶媒としてイソプロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールの水溶液を、イソプロピルアルコール濃度が70wt%以上となるように前記セラミックゾル原液に混合してセラミックゾルコート液を作製し、セラミック基材のセルの内側表面上に、前記セラミックゾルコート液を付着させ、前記セルの内側表面上に沿うように接触させつつ風速50〜200m/sにて送風することにより、乾燥時の温度が10〜60℃にてセラミックゾルを乾燥させ、その後焼成することにより、前記セラミックゾルによる分画分子量4000以下のセラミック多孔質膜を前記セラミック基材の前記セルの内側表面上に形成するセラミックフィルタの製造方法。
  4. 前記セラミックスゾルの乾燥を前記セラミック基材の外周面をマスクした状態にて行う請求項に記載のセラミックフィルタの製造方法。
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