JP5041078B2 - 多気筒内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、多気筒内燃機関の排気通路に設けられた触媒の下流側に配設された空燃比センサの出力値に基いて、前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する多気筒内燃機関の空燃比制御装置に関する。
従来から知られるこの種の空燃比制御装置の一つは、機関の排気通路の上流から下流に向け、順に、上流側空燃比センサ、触媒及び下流側空燃比センサを備え、上流側空燃比センサの出力値と下流側空燃比センサの出力値とに基いて機関に供給される混合気の空燃比(以下、単に「機関の空燃比」と称呼することもある。)をフィードバック制御するようになっている。
より具体的に述べると、従来の空燃比制御装置(従来装置)は、下流側空燃比センサの出力値を下流側目標値(例えば、理論空燃比に相当する値)に一致させるためのサブフィードバック量(第1のフィードバック量)を、下流側空燃比センサの出力値と下流側目標値との偏差を比例・積分処理することによって算出する。
更に、従来装置は、上流側空燃比センサの出力値とサブフィードバック量とに基いて、機関の空燃比を上流側目標空燃比(例えば、理論空燃比)に一致させるためのメインフィードバック量を算出する。そして、従来装置は、その算出したメインフィードバック量に基づき機関の空燃比(例えば、燃料噴射量)をフィードバック制御する。
なお、本明細書において、メインフィードバック量を新たに算出(更新)し、そのメインフィードバック量を機関の空燃比の制御に使用することをメインフィードバック制御を実行するとも言う。同様に、サブフィードバック量を新たに算出(更新)し、そのサブフィードバック量を機関の空燃比の制御に使用することをサブフィードバック制御を実行するとも言う。
ところで、十分に長い期間に渡ってサブフィードバック制御が行われると、サブフィードバック量は所定の値に収束する。この所定の値を収束値と称呼する。収束値は、触媒に流入するガスの空燃比の平均値が下流側目標空燃比からどの程度乖離しているかを示す。換言すると、サブフィードバック量は、エアフローメータの空気量測定誤差、燃料噴射弁の噴射特性に起因する燃料噴射量の誤差、及び、上流側空燃比センサの空燃比検出誤差等(以下、「吸排気系の誤差」とも称呼する。)を反映した収束値へと収束する。
従って、例えば、下流側空燃比センサが活性化する前の期間、及び、下流側空燃比センサが活性化することに伴ってサブフィードバック制御が開始された時点からサブフィードバック量が収束値近傍の値に至る時点までの期間においては、前回の運転中に得られたサブフィードバック量の収束値を用いて機関の空燃比を制御することが好ましい。
そこで、従来装置は、サブフィードバック制御中において、「算出されたサブフィードバック量に応じた値」に基いて学習値を更新する「学習」を行う。「算出されたサブフィードバック量に応じた値」は、例えば、上記比例・積分処理の結果である「積分項及び/又は比例項」等の「サブフィードバック量に含まれる定常成分に応じた値」である。
この学習値は、従来装置が備えるバックアップRAM(スタンバイRAM)、又は、EEPROM等の不揮発性メモリに格納される。バックアップRAMには機関が搭載された車両のイグニッション・キー・スイッチの位置に拘らずバッテリから電力が供給される。バックアップRAMはバッテリから電力が供給されている限り「格納した値(データ)」を保持することができる。そして、従来装置は、この学習値をも使用して機関の空燃比を制御する。
これにより、サブフィードバック量の定常値からのズレを学習値によって補償することができる。即ち、サブフィードバック制御の開始前或いは開始直後等において、サブフィードバック量がその収束値から偏移していたとしても、その偏移を学習値によって補償することができる。この結果、機関の空燃比は、常に適正値近傍の空燃比となるように制御され得る。
ところが、例えば、バッテリが車両から取り外された場合及びバッテリが放電してしまった場合等において「バッテリからバックアップRAM」への給電が停止すると、バックアップRAMに格納されている学習値は消滅する(破壊される)。また、何らかの電気ノイズ等によりバックアップRAM内又は不揮発性メモリ内の学習値が破壊される場合もある。このような場合、学習値は初期値(デフォルト値)に戻されるから、学習値を早期に収束値に近づける(即ち、学習を早期に完了させる)ことが好ましい。
そこで、特開平5−44559号公報に開示された空燃比制御装置は、学習値が初期値に戻された後等において、学習値の更新幅(即ち、学習値の更新速度)を大きくすることにより、学習値を早期に収束値に近づけるようになっている。この結果、「上記吸排気系の誤差が補償されないことに起因して機関の空燃比が適正値から乖離し、それにより、エミッションが悪化する期間」を短縮することができる。なお、このような「学習値を早期に収束値に近づける制御」は「学習促進制御」とも称呼される。
しかしながら、このような学習促進制御を実行している期間において、「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生すると、サブフィードバック量はそれに応じて収束値とは異なる値へと一時的に変化し、学習促進制御によって更新速度が高められているために学習値も本来到達すべき値から大きく乖離する場合がある。その結果、機関の空燃比が適正値から乖離する期間が長期化しエミッションが悪化する虞がある。
「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、後述するように、例えば、燃料タンク内で発生した蒸発燃料ガスを吸気系に流入させて燃焼室に供給する場合にその蒸発燃料ガスの濃度が想定した濃度から急変した場合、その蒸発燃料ガスの濃度が所定濃度よりも高い場合、内部EGRガス(筒内残留ガス)の量(内部EGR量)が過大になる場合、内部EGR量が急変する場合、外部EGRガス(排気還流ガス)の量(外部EGR量)が過大になる場合、外部EGR量が急変する場合、及び、燃料に含まれるアルコールの濃度が急変した場合等に発生する。
本発明は、上記課題に対処するためになされたものである。本発明の目的の一つは、学習促進制御を実行している期間において「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生した場合、学習促進制御を禁止することにより、学習値が適正値から乖離することを回避し、その結果、エミッションが悪化することを回避することができる多気筒内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
具体的に述べると、本発明による多気筒内燃機関の空燃比制御装置は、複数の気筒を有する多気筒内燃機関に適用され、触媒(例えば、三元触媒)と、燃料噴射弁と、下流側空燃比センサと、第1フィードバック量更新手段と、学習手段と、空燃比制御手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置である。
触媒は、前記機関の排気通路であって「前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部」よりも下流側の部位に配設される。
燃料噴射弁は、前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気に含まれる燃料を噴射する弁である。
下流側空燃比センサは、前記排気通路であって前記触媒よりも下流側の部位に配設されるとともに、その配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力するセンサである。
第1フィードバック量更新手段は、所定の第1更新タイミングが到来する毎に「前記下流側空燃比センサの出力値を下流側目標空燃比に応じた値に一致させるための第1フィードバック量」を「同下流側空燃比センサの出力値及び同下流側目標空燃比に応じた値」に基いて更新するようになっている。例えば、第1フィードバック量更新手段は、下流側空燃比センサの出力値」と「下流側目標空燃比に応じた値」との差である「第1偏差」に基づいて第1フィードバック量を更新する。
学習手段は、所定の第2更新タイミングが到来する毎に、前記第1フィードバック量に基いて、同第1フィードバック量の定常成分を取り込むように「同第1フィードバック量の学習値」を更新する手段である。「第1フィードバック量の定常成分を取り込むように」とは、「第1フィードバック量が学習をしない場合に収束するであろう値に除々に接近するように」、という意味である。
空燃比制御手段は、前記第1フィードバック量及び前記学習値のうちの少なくとも一方に基いて、「前記燃料噴射弁から噴射される燃料の量を制御する」ことにより、前記触媒に流入する排ガスの空燃比を制御するようになっている。
更に、本空燃比制御装置は、学習促進手段と、学習促進禁止手段と、を備える。
学習促進手段は、「前記学習値」と「その学習値が収束すべき値」との差(第2偏差)が所定値以上である状態、即ち、学習不足状態が発生しているか否かを推定するようになっている。更に、学習促進手段は、学習不足状態が発生していると推定されるとき、学習不足状態が発生していないと推定されるときに比較して、前記学習値の更新速度を増大させる学習促進制御を実行するようになっている。
学習促進禁止手段は、「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生するか否かを推定するようになっている。そして、学習促進禁止手段は、そのような外乱が発生すると推定されるとき、前記学習促進制御を禁止するようになっている。
これによれば、機関の空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生する可能性が高い場合、学習促進制御が禁止(中止を含む。)されるので、学習値が適正値から乖離してしまう可能性を低減することができる。その結果、エミッションが悪化する期間を短くすることができる。
前記空燃比制御手段は、
「前記排気集合部」又は「前記排気集合部と前記触媒との間の前記排気通路」に配設されるとともに、その配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサと、
「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比」を「前記下流側目標空燃比と同じ空燃比である上流側目標空燃比」と一致させるための基本燃料噴射量を、前記機関の吸入空気量と同上流側目標空燃比とに基いて決定する基本燃料噴射量決定手段と、
所定の第3更新タイミングが到来する毎に、前記上流側空燃比センサの出力値と前記第1フィードバック量と前記学習値とに基づき、「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比」が前記上流側目標空燃比に一致するように、「前記基本燃料噴射量を補正するための第2フィードバック量」を更新する第2フィードバック量更新手段と、
「前記第2フィードバック量により前記基本燃料噴射量を補正すること」により得られる燃料噴射量の燃料を、前記燃料噴射弁から噴射させる燃料噴射指示手段と、
を含むことが望ましい。
これによれば、上流側空燃比センサの出力値と、前記第1フィードバック量と、前記学習値と、に基づいて燃料噴射量が補正される。従って、このような構成においては、本発明の「学習促進制御を適切に禁止することによって学習値が適正値から乖離することを未然に防ぐこと」による「エミッション悪化の防止効果」がより有効となる。
また、前記学習手段は、
前記学習値を「前記第1フィードバック量」又は「前記第1フィードバック量に含まれる定常成分」に「除々に接近させる」ように、前記学習値の更新を行うように構成され得る。
このとき、前記学習促進手段は、
「前記第1フィードバック量の更新速度」を、「前記学習不足状態が発生していると推定されるとき」に「前記学習不足状態が発生していないと推定されるとき」よりも大きくするように、前記第1フィードバック量更新手段に対して指示を与えるように構成され得る。
これによれば、学習促進手段により、学習不足状態が発生していると推定されるとき、第1フィードバック量の更新速度が高められる。つまり、第1フィードバック量はその収束値へとより迅速に近づく。その結果、「前記第1フィードバック量」又は「前記第1フィードバック量に含まれる定常成分」に「除々に接近させる」ように更新される学習値の更新速度も結果的に大きくなる。即ち、学習促進制御が実現される。
一方、前記学習促進手段は、
前記学習値の「前記第1フィードバック量への」又は「前記第1フィードバック量に含まれる定常成分への」接近速度を、前記学習不足状態が発生していると推定されるときに前記学習不足状態が発生していないと推定されるときよりも大きくするように、前記学習手段に対して指示を与えるように構成され得る。
これによれば、学習促進手段により、学習不足状態が発生していると推定されるとき、「学習値の前記第1フィードバック量への接近速度」が高められる、或いは、「学習値の前記第1フィードバック量に含まれる定常成分への接近速度」が高められる。即ち、学習促進制御が実現される。
本発明による空燃比制御装置は、
前記燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンクと、
前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを「前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する通路部」であって、同燃料タンクと同吸気通路とを接続したパージ通路部と、
前記パージ通路部に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたパージ制御弁と、
前記機関の運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を変更するように前記指示信号を前記パージ制御弁に与えるパージ制御手段と、
を備えることもできる。即ち、本発明の空燃比制御装置は、蒸発燃料ガスパージシステムを備えることができる。
この場合、
前記第2フィードバック量更新手段は、
前記パージ制御弁が0でない所定の開度に開かれているとき、「少なくとも前記上流側空燃比センサの出力値」に基いて「前記蒸発燃料ガスの濃度に関連する値」を「蒸発燃料ガス濃度学習値」として更新するとともに、その蒸発燃料ガス濃度学習値にも基いて前記第2フィードバック量を更新するように構成され、
前記学習促進禁止手段は、
前記蒸発燃料ガス濃度学習値の「前記機関の始動後からの更新回数」が「所定の更新回数閾値」よりも小さいとき、「前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定するように構成され得る。
これによれば、蒸発燃料ガス濃度学習値が十分に更新されていない場合、即ち、蒸発燃料ガスの機関の空燃比への影響が第2フィードバック量により十分には補償されていない場合、「蒸発燃料ガスパージに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定される。従って、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明の空燃比制御装置が「蒸発燃料ガスパージシステム」を備えている場合、
前記学習促進禁止手段は、
前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値(例えば、上記蒸発燃料ガス濃度学習値、又は、蒸発燃料ガス濃度検出センサの出力値)を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると推定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、高濃度の蒸発燃料ガスが各気筒に互いに均等には流入しないので、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると推定されるときに「蒸発燃料ガスパージに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明の空燃比制御装置が「蒸発燃料ガスパージシステム」を備えている場合、
前記学習促進禁止手段は、
前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値(例えば、上記蒸発燃料ガス濃度学習値、又は、蒸発燃料ガス濃度検出センサの出力値)を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、蒸発燃料ガスの濃度変化が大きいために、各気筒に流入する蒸発燃料ガスの量が互いに均等にならないので、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると推定されるときに「蒸発燃料ガスパージに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室において既に燃焼したガス」であって「その2以上の気筒のそれぞれの圧縮行程の開始時にそのそれぞれの気筒の燃焼室に存在するガス(筒内残留ガス)」の量である「内部EGR量(内部EGRガス量)」を、前記機関の運転状態に応じて制御する内部EGRガス量制御手段(例えば、後述するバルブオーバーラップ期間変更手段)を備えることができる。
この場合、前記学習促進禁止手段は、
前記内部EGR量の変化速度が所定の内部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
内部EGR量の変化速度が所定の内部EGR量変化速度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、内部EGR量の変化速度が大きいと、各気筒の内部EGR量が互いに均等にならないので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるため、或いは、内部EGR量が「想定した内部EGR量」よりも過大になって不整燃焼が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、内部EGR量の変化速度が所定の内部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室において既に燃焼したガス」であって「その2以上の気筒のそれぞれの圧縮行程の開始時にそのそれぞれの気筒の燃焼室に存在するガス(筒内残留ガス)」の量である「内部EGR量」を変更するための制御量(例えば、後述するオーバーラップ量等)を、指示信号に応じて変更する内部EGR量変更手段と、
前記機関の運転状態に応じて「前記内部EGR量を変更するための制御量」の目標値を取得する制御量目標値取得手段と、
前記内部EGR量変更手段に対し、前記制御量の実際の値が前記制御量の目標値に一致するように、前記指示信号を与える内部EGR量制御手段と、
を備え、
前記学習促進禁止手段は、
前記内部EGR量を変更するための制御量の実際の値を取得するとともに、同取得された制御量の実際の値と前記制御量の目標値との差が所定の制御量差閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
内部EGR量を変更するための制御量は、一般に機械的機構を含むアクチュエータにより変更されるので、例えば、その目標値に対してオーバーシュートすることがある。そのような場合には、取得された制御量の実際の値と前記制御量の目標値との差が所定の制御量差閾値以上となるので、内部EGR量は過大となり且つ内部EGR量の変化速度も大きくなる。それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒の内部EGR量の差が大きくなるので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、取得された制御量の実際の値と制御量の目標値との差が所定の制御量差閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「吸気弁及び排気弁が共に開弁しているバルブオーバーラップ期間」を前記機関の運転状態に基いて変更するバルブオーバーラップ期間変更手段を備え、
前記学習促進禁止手段は、
「前記バルブオーバーラップ期間の長さ(即ち、バルブオーバーラップ量)の変化速度」が「所定のバルブオーバーラップ量変化速度閾値」以上であると推定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
内部EGR量は「バルブオーバーラップ量(バルブオーバーラップ期間のクランク角幅等により表される量)」に依存して変化する。従って、バルブオーバーラップ量の変化速度がバルブオーバーラップ量変化速度閾値以上であると、それにより機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒に流入する内部EGR量が均等にならないので、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためであると考えられる。従って、上記構成のように、バルブオーバーラップ量の変化速度がバルブオーバーラップ量変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「吸気弁及び排気弁が共に開弁しているバルブオーバーラップ期間」が「前記機関の運転状態に基いて定められる目標オーバーラップ期間」に一致するように、同バルブオーバーラップ期間を変更するバルブオーバーラップ期間変更手段を備え、
「前記バルブオーバーラップ期間の長さであるバルブオーバーラップ量の実際値」を取得するとともに、「同取得されたバルブオーバーラップ量の実際値」と「前記目標オーバーラップ期間の長さである目標オーバーラップ量」との差(即ち、バルブオーバーラップ量差)が「所定のバルブオーバーラップ量差閾値」以上であると判定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
前述したように、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間」に依存して変化する。このバルブオーバーラップ期間は、機関の運転状態に基いて定められる目標オーバーラップ期間に一致するように変更される。ところが、バルブオーバーラップ期間は、一般に機械的機構を含むアクチュエータにより変更されるので、例えば、「バルブオーバーラップ期間の長さであるバルブオーバーラップ量」が「目標バルブオーバーラップ期間の長さである目標オーバーラップ量」に対してオーバーシュートすることがある。そのような場合、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、このようなオーバーシュートが発生すると、内部EGR量は過大となり且つ変化速度も大きいから、例えば、各気筒の内部EGR量の差が大きくなり、その結果、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、「取得されたバルブオーバーラップ量の実際値」と「目標オーバーラップ期間の長さである目標オーバーラップ量」との差(即ち、バルブオーバーラップ量差)が「所定のバルブオーバーラップ量差閾値」以上であると推定されるとき、「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁の開弁時期を前記機関の運転状態に基いて変更する吸気弁開弁時期制御手段を備え、
前記学習促進禁止手段は、
前記吸気弁の開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
一般に、吸気弁開弁時期及び排気弁閉弁時期は「バルブオーバーラップ期間」が存在するように定められている。従って、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の開始時期」である吸気弁開弁時期(例えば、吸気上死点を基準とした進角量である吸気弁開弁時期進角量により表される。)に依存して変化する。
従って、吸気弁の開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると、それにより機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒に流入する内部EGR量が均等にならないので、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためであると考えられる。従って、上記構成のように、吸気弁の開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁の開弁時期」が「前記機関の運転状態に基いて定められる目標吸気弁開弁時期」に一致するように、同吸気弁の開弁時期を変更する吸気弁開弁時期制御手段を備え、
前記学習促進禁止手段は、
前記吸気弁の開弁時期の実際値を取得するとともに、「同取得された吸気弁の開弁時期の実際値」と「前記目標吸気弁開弁時期」との差が「所定の吸気弁開弁時期差閾値」以上であると判定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
前述したように、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の開始時期」である吸気弁開弁時期に依存して変化する。ところが、吸気弁開弁時期は、一般に機械的機構を含むアクチュエータにより変更されるので、例えば、その目標値に対してオーバーシュートすることがある。
そのような場合、「取得された吸気弁の開弁時期の実際値」と「目標吸気弁開弁時期」との差が「所定の吸気弁開弁時期差閾値」以上となるので、内部EGR量は過大となり且つ内部EGR量の変化速度も大きくなる。それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒の内部EGR量の差が大きくなるので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、「取得された吸気弁の開弁時期の実際値」と「目標吸気弁開弁時期」との差が「所定の吸気弁開弁時期差閾値」以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの排気弁の閉弁時期を前記機関の運転状態に基いて変更する排気弁閉弁時期制御手段を備え、
前記学習促進禁止手段は、
前記排気弁の閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
更に、前述したように、一般に、バルブオーバーラップ期間が存在するように吸気弁開弁時期及び排気弁閉弁時期が定められるので、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の終了時期」である排気弁閉弁時期(例えば、吸気上死点を基準とした遅角量である排気弁閉弁時期遅角量により表される。)に依存して変化する。
従って、排気弁の閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると、それにより機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒に流入する内部EGR量が均等にならないので、各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためであると考えられる。従って、上記構成のように、排気弁の閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの排気弁の閉弁時期が前記機関の運転状態に基いて定められる目標排気弁閉弁時期に一致するように同排気弁閉弁時期を変更する排気弁閉弁時期制御手段を備え、
前記学習促進禁止手段は、
前記排気弁の閉弁時期の実際値を取得するとともに、同取得された排気弁の閉弁時期の実際値と前記目標排気弁閉弁時期との差が所定の排気弁閉弁時期差閾値以上であると判定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
前述したように、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の終了時期」である排気弁閉弁時期に依存して変化する。ところが、排気弁閉弁時期は、一般に機械的機構を含むアクチュエータにより変更されるので、例えば、その目標値に対してオーバーシュートすることがある。
そのような場合、「取得された排気弁の閉弁時期の実際値」と「目標排気弁閉弁時期」との差が「所定の排気弁閉弁時期差閾値」以上となるので、内部EGR量は過大となり且つ内部EGR量の変化速度も大きくなる。それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒の内部EGR量の差が大きくなるので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、「取得された排気弁の閉弁時期の実際値」と「目標排気弁閉弁時期」との差が「所定の排気弁閉弁時期差閾値」以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、
「前記機関の排気通路であって前記触媒よりも上流側の部位」と「前記機関の吸気通路」とを接続する排気還流管と、
前記排気還流管に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたEGR弁と、
前記機関の運転状態に応じて前記EGR弁の開度を変更することにより「前記排気還流管を流れて前記吸気通路に導入される外部EGRの量(排気還流量)」を変更するように前記指示信号を前記EGR弁に与える外部EGR量制御手段と、
を備えることができる。
即ち、本発明による内燃機関の空燃比制御装置は、外部EGRシステム(排気還流システム)を備える場合がある。
この場合、前記学習促進禁止手段は、
前記外部EGRの量の変化速度が所定の外部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
外部EGR量の変化速度が所定の外部EGR量変化速度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、外部EGR量の変化速度が大きいと、各気筒の外部EGR量が互いに均等にならないので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるため、或いは、外部EGR量が「想定した外部EGR量」よりも過大になるためと推定される。従って、上記構成のように、外部EGR量の変化速度が所定の外部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるときに「外部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
更に、本発明による内燃機関の空燃比制御装置が外部EGRシステムを備える場合、
前記学習促進禁止手段は、
前記EGR弁の実際の開度を取得するとともに、同取得されたEGR弁の実際の開度と前記EGR弁に与えられている指示信号により定まる前記EGR弁の開度との差が所定のEGR弁開度差閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成され得る。
外部EGR量はEGR弁の開度により変更されるので、例えば、そのEGR弁がDCモータやスイッチングバルブ等により構成されていると、EGR弁の開度がその目標値に対してオーバーシュートすることがある。そのような場合、「取得されたEGR弁の実際の開度」と「EGR弁に与えられている指示信号により定まるEGR弁の開度」との差が「所定のEGR弁開度差閾値」以上となる。
このとき、外部EGR量は過大となり且つ外部EGR量の変化速度も大きくなる。それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これは、例えば、各気筒の外部EGR量の差が大きくなるので各気筒の空燃比の間に不均衡が生じるためと推定される。従って、上記構成のように、「取得されたEGR弁の実際の開度」と「EGR弁に与えられている指示信号により定まるEGR弁の開度」との差が「所定のEGR弁開度差閾値」以上であると推定されるときに「外部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
ところで、前記学習促進手段は、
前記学習値の変化速度が所定の学習値変化速度閾値以上であるとき前記学習不足状態が発生していると推定するように構成されることが好ましい。
これは、学習不足状態においては学習値の変化速度が所定の学習値変化速度閾値以上となるからである。
更に、本発明による空燃比制御装置が上流側空燃比センサを備える場合、
その上流側空燃比センサは前記触媒を通過する前の排ガスが接触する拡散抵抗層と前記出力値を出力する空燃比検出素子とを有するものとすることができる。
この場合、本空燃比制御装置は、
前記学習値に基いて、「前記触媒を通過する前の排ガスに含まれる水素の量」と「前記触媒を通過した後の排ガスに含まれる水素の量」との差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータを取得するインバランス判定用パラメータ取得手段と、
前記取得されたインバランス判定用パラメータが異常判定閾値よりも大きいとき「前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比」の間に不均衡が生じていると判定する空燃比気筒間インバランス判定手段と、
を備えることができる。
後に詳述するように、機関全体(上記少なくとも2つの気筒)に供給される混合気の空燃比の真の平均値が例えば理論空燃比にフィードバック制御されている場合であっても、空燃比気筒間インバランスが発生した場合に排ガスに含まれる水素の総量SH1は、空燃比気筒間インバランスが発生していない場合に排ガスに含まれる水素の総量SH2よりも、顕著に大きくなる。水素の量が多い場合、水素は他の未燃物(HC,CO)よりも迅速に上記拡散抵抗層内を移動するから、上流側空燃比センサは実際の空燃比よりもリッチ側の空燃比に相当する出力値を出力する。その結果、上流側空燃比センサの出力値に基づくフィードバック制御(第2のフィードバック量による制御)により、機関全体に供給される混合気の空燃比の真の平均は、理論空燃比よりもリーン側に制御されてしまう。
一方、下流側空燃比センサには、触媒を通過した排ガスが到達する。従って、排ガスに含まれる水素は他の未燃物(HC,CO)とともに触媒において酸化(浄化)される。それ故、下流側空燃比センサの出力値は、機関全体に供給される混合気の真の空燃比に応じた値となる。従って、下流側空燃比センサの出力値を下流側目標空燃比(例えば、理論空燃比)に応じた値に一致させるように更新される第1のフィードバック量及びその学習値は、上流側空燃比センサの出力値に基づくフィードバック制御による空燃比のリーン側への過補正を補う値となる。この結果、前記学習値に基くことにより、「前記触媒を通過する前の排ガスに含まれる水素の量」と「前記触媒を通過した後の排ガスに含まれる水素の量」との差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータを取得することができる。
また、本発明によれば、学習値は適正値に迅速に且つ誤りなく近づくので、インバランス判定用パラメータも精度のよい値となる。
そして、取得されたインバランス判定用パラメータが異常判定閾値よりも大きいとき「前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比」の間に不均衡が生じていると判定することができる。
より具体的には、前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
前記インバランス判定用パラメータを学習値が大きくなるに従って大きくなるように取得するように構成される。この結果、実用性の高い「空燃比気筒間インバランス判定装置」を含む空燃比制御装置が提供される。
図1は、本発明の各実施形態に係る空燃比制御装置が適用される内燃機関の概略構成図である。
図2は、図1に示した可変吸気タイミング制御装置の概略断面図である。
図3は、図1に示した上流側空燃比センサの出力値と、上流側空燃比と、の関係を示したグラフである。
図4は、図1に示した下流側空燃比センサの出力値と、下流側空燃比と、の関係を示したグラフである。
図5は、本発明の各実施形態に係る空燃比制御装置の作動の概要を示したフローチャートである。
図6は、本発明の第1実施形態に係る空燃比制御装置(第1制御装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図7は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図13は、第1制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図14は、本発明の第2実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図15は、本発明の第3実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図16は、バルブオーバーラップ期間について説明するための図である。
図17は、本発明の第4実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図18は、本発明の第4実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図19は、本発明の第5実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図20は、本発明の第6実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図21は、本発明の第6実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図22は、本発明の第7実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図23は、本発明の第8実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図24は、本発明の第9実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図25は、本発明の第10実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図26は、本発明の第10実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図27は、本発明の第11実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図28は、本発明の第1変形例に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図29は、図1に示した上流側空燃比センサの概略断面図である。
図30は、排ガス(被検出ガス)の空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比である場合の上流側空燃比センサの作動を説明するための図である。
図31は、排ガスの空燃比と上流側空燃比センサの限界電流値との関係を示したグラフである。
図32は、排ガス(被検出ガス)の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である場合の上流側空燃比センサの作動を説明するための図である。
図33は、気筒に供給された混合気の空燃比と、その気筒から排出される未燃成分と、の関係を示したグラフである。
図34は、空燃比気筒間インバランス割合とサブフィードバック量との関係を示したグラフである。
図35は、本発明の第2変形例に係る空燃比制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明による多気筒内燃機関の空燃比制御装置の各実施形態について図面を参照しながら説明する。この空燃比制御装置は、内燃機関の空燃比を制御するために燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御装置でもある。
第1実施形態
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第1制御装置」とも称呼する。)を、4サイクル・火花点火式・多気筒(4気筒)・内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50と、を含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21の壁面及びピストン22の上面は、シリンダヘッド部30の下面とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング制御装置33、可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフトを含むとともに同エキゾーストカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変排気タイミング制御装置36、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36a、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射する燃料噴射弁(フューエルインジェクタ、燃料噴射手段、燃料供給手段)39を備えている。
可変吸気タイミング制御装置33(可変バルブタイミング機構)は、例えば、特開2007−303423号公報等に記載されているように周知の装置である。以下、可変吸気タイミング制御装置33の概略断面図である図2を参照しながら可変吸気タイミング制御装置33について簡単に説明する。
可変吸気タイミング制御装置33は、タイミングプーリ33b1、円筒状ハウジング33b2、回転軸33b3、複数個の仕切壁33b4、及び、複数個のベーン33b5を備えている。
タイミングプーリ33b1は、図示しないタイミングベルトを介し、機関10のクランク軸24によって矢印Rの方向に回転せしめられるようになっている。円筒状ハウジング33b2は、タイミングプーリ33b1と一体的に回転するようになっている。回転軸33b3は、インテークカムシャフトと一体的に回転し且つ円筒状ハウジング33b2に対して相対回転可能となっている。仕切壁33b4は、円筒状ハウジング33b2の内周面から回転軸33b3の外周面まで延びている。ベーン33b5は、互いに隣接する二つの仕切壁33b4の間において回転軸33b3の外周面から円筒状ハウジング33b2の内周面まで延びている。このような構造により、各ベーン33b5の両側には、進角用油圧室33b6と遅角用油圧室33b7とが形成されている。進角用油圧室33b6及び遅角用油圧室33b7は、一方に作動油が供給されたとき他方から作動油が排出されるようになっている。
進角用油圧室33b6及び遅角用油圧室33b7への作動油の供給制御(給排)は、作動油供給制御弁を含む図1にも示したアクチュエータ33aと、図示しない油圧ポンプと、によって行われる。アクチュエータ33aは、電磁駆動式であって指示信号(駆動信号)に応答して前記作動油の供給制御を行う。即ち、インテークカムシャフトのカムの位相を進角すべきとき、アクチュエータ33aは、進角用油圧室33b6に作動油を供給するとともに遅角用油圧室33b7内の作動油を排出する。このとき、回転軸33b3は、円筒状ハウジング33b2に対して矢印Rの方向に相対回転せしめられる。これに対し、インテークカムシャフトのカムの位相を遅角すべきとき、アクチュエータ33aは、遅角用油圧室33b7に作動油を供給するとともに進角用油圧室33b6内の作動油を排出する。このとき、回転軸33b3は、円筒状ハウジング33b2に対して矢印Rと反対の方向に相対回転せしめられる。
更に、アクチュエータ33aが進角用油圧室33b6及び遅角用油圧室33b7への作動油の給排を停止すると、円筒状ハウジング33b2に対する回転軸33b3の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸33b3は、その時点での相対回転位置に保持される。このように、可変吸気タイミング制御装置33は、インテークカムシャフトのカムの位相を所望の量だけ進角及び遅角させることができる。
可変吸気タイミング制御装置33によれば、吸気弁32の開弁期間の長さ(開弁クランク角度幅)は、インテークカムシャフトのカムのプロフィールによって決定されるので、一定に維持される。即ち、可変吸気タイミング制御装置33により、吸気弁開弁時期INOが所定角度だけ進角又は遅角させられると、吸気弁閉弁時期INCもその所定角度だけ進角又は遅角させられる。
なお、上述した可変吸気タイミング制御装置33は、例えば、特開2004−150397号公報等に開示されている「電動式可変吸気タイミング制御装置」に置換されてもよい。この電動式可変吸気タイミング制御装置は、電磁コイルと複数の歯車とを備える。この装置は、指示信号(駆動信号)に応じて電磁コイルが発生する磁力により、その複数の歯車の相対回転位置を変化させ、もって、インテークカムシャフトのカムの位相を所望の量だけ進角又は遅角することができるようになっている。
一方、可変排気タイミング制御装置36は、エキゾーストカムシャフトの端部に取り付けられている。この可変排気タイミング制御装置36は、上述した油圧式の可変吸気タイミング制御装置33と同様の構成を有している。更に、可変吸気タイミング制御装置33及び可変排気タイミング制御装置36は、互いに独立して吸気弁32及び排気弁35の開閉時期を制御することができる。なお、この可変排気タイミング制御装置36も、上記同様、電動式の可変排気タイミング制御装置に置換されてもよい。
可変排気タイミング制御装置36によれば、排気弁35の開弁期間の長さ(開弁クランク角度幅)は、エキゾーストカムシャフトのカムのプロフィールによって決定されるので、一定に維持される。即ち、可変排気タイミング制御装置36により、排気弁閉弁時期EXCが所定角度だけ進角又は遅角させられると、排気弁開弁時期EXOもその所定角度だけ進角又は遅角させられる。
再び、図1を参照すると、燃料噴射弁39は、各気筒の燃焼室25一つに対して一つずつ配設されている。燃料噴射弁39は吸気ポート22に設けられている。燃料噴射弁39は、噴射指示信号に応答し、正常である場合に「その噴射指示信号に含まれる指示噴射量の燃料」を対応する吸気ポート22内に噴射するようになっている。このように、複数の気筒のそれぞれは、他の気筒とは独立して燃料供給を行う燃料噴射弁39を備えている。
吸気系統40は、インテークマニホールド41、吸気管42、エアフィルタ43、及び、スロットル弁44を備えている。インテークマニホールド41は、複数の枝部41aとサージタンク41bとからなる。複数の枝部41aのそれぞれの一端は複数の吸気ポート31のそれぞれに接続されている。複数の枝部41aの他端はサージタンク41bに接続されている。吸気管42の一端はサージタンク41bに接続されている。エアフィルタ43は吸気管42の他端に配設されている。スロットル弁44は、吸気管42内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするようになっている。スロットル弁44は、DCモータからなるスロットル弁アクチュエータ44aにより吸気管42内で回転駆動されるようになっている。
更に、内燃機関10は、液体ガソリン燃料を貯留する燃料タンク45、燃料タンク45内にて発生した蒸発燃料を吸蔵可能なキャニスタ46、前記蒸発燃料を含むガスを燃料タンク45からキャニスタ46へと導くためのベーパ捕集管47、キャニスタ46から脱離した蒸発燃料を蒸発燃料ガスとしてサージタンク41bへと導くためのパージ流路管48、及び、パージ流路管48に配設されたパージ制御弁49を備えている。燃料タンク45に貯留された燃料は、燃料ポンプ45a及び燃料供給管45b等を通して燃料噴射弁39に供給されるようになっている。ベーパ捕集管47及びパージ流路管48はパージ通路(パージ通路部)を構成している。
パージ制御弁49は、指示信号であるデューティ比DPGを表す駆動信号により開度(開弁期間)が調節されることにより、パージ流路管48の通路断面積を変更するようになっている。パージ制御弁49は、デューティ比DPGが「0」であるときにパージ流路管48を完全に閉じるようになっている。即ち、パージ制御弁49は、パージ通路に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されている。
キャニスタ46は周知のチャコールキャニスタである。キャニスタ46は、ベーパ捕集管47に接続されたタンクポート46aと、パージ流路管48に接続されたパージポート46bと、大気に曝されている大気ポート46cと、が形成された筐体を備える。キャニスタ46は、その筐体内に、蒸発燃料を吸着するための吸着剤46dを収納している。キャニスタ46は、パージ制御弁49が完全に閉じられている期間において燃料タンク45内で発生した蒸発燃料を吸蔵し、パージ制御弁49が開かれている期間において吸蔵した蒸発燃料を蒸発燃料ガスとしてパージ流路管48を通してサージタンク41b(スロットル弁44よりも下流の吸気通路)に放出するようになっている。これにより、蒸発燃料ガスは燃焼室25へ供給される。即ち、パージ制御弁49が開かれることにより、蒸発燃料ガスパージ(又は、略して、エバポパージ)が行われる。
排気系統50は、各気筒の排気ポート34に一端が接続された複数の枝部を含むエキゾーストマニホールド51、各エキゾーストマニホールド51の枝部の他端であって総ての枝部が集合している集合部(エキゾーストマニホールド51の排気集合部)に接続されたエキゾーストパイプ52、エキゾーストパイプ52に配設された上流側触媒53、及び、上流側触媒53よりも下流のエキゾーストパイプ52に配設された図示しない下流側触媒を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。このように、上流側触媒53は、排気通路の「総ての燃焼室25(少なくとも2以上の燃焼室)から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位」に配設されている。
上流側触媒53及び下流側触媒のそれぞれは、所謂、白金等の貴金属からなる活性成分を担持する三元触媒装置(排気浄化触媒)である。各触媒は、各触媒に流入するガスの空燃比が理論空燃比であるとき、HC,COなどの未燃成分を酸化するとともに窒素酸化物(NOx)を還元する機能を有する。この機能は触媒機能とも称呼される。更に、各触媒は、酸素を吸蔵(貯蔵)する酸素吸蔵機能を有し、この酸素吸蔵機能により空燃比が理論空燃比から偏移したとしても未燃成分及び窒素酸化物を浄化することができる。この酸素吸蔵機能は、触媒に担持されているセリア(CeO)によってもたらされる。
更に、機関10は、排気還流システムを備えている。排気還流システムは、外部EGR通を構成する排気還流管54、及び、EGR弁55を含んでいる。
排気還流管54の一端はエキゾーストマニホールド51の集合部に接続されている。排気還流管54の他端はサージタンク41bに接続されている。
EGR弁55は排気還流管54に配設されている。EGR弁55は、DCモータを駆動源として内蔵している。EGR弁55は、そのDCモータへの指示信号であるデューティ比DEGRに応答して弁開度を変更し、それにより排気還流管54の通路断面積を変更するようになっている。EGR弁55は、デューティ比DEGRが「0」であるときに排気還流管54を完全に閉じるようになっている。即ち、EGR弁55は、外部EGR通路に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されることにより、排気還流量(以下、「外部EGR量」とも称呼する。)を制御するように構成されている。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、水温センサ63、クランクポジションセンサ64、インテークカムポジションセンサ65、エキゾーストカムポジションセンサ66、上流側空燃比センサ67、下流側空燃比センサ68、アルコール濃度センサ69、EGR弁開度センサ(EGR弁リフト量センサ)70、及び、アクセル開度センサ71を備えている。
エアフローメータ61は、吸気管42内を流れる吸入空気の質量流量Gaに応じた信号を出力するようになっている。
スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁44の開度(スロットル弁開度)を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
水温センサ63は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、後述する電気制御装置80によって機関回転速度NEに変換される。
インテークカムポジションセンサ65は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。
エキゾーストカムポジションセンサ66は、エキゾーストカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。
上流側空燃比センサ67は排気通路であって「排気集合部(エキゾーストマニホールド51の枝部の集合部)と上流側触媒53との間」の位置に配設されている。上流側空燃比センサ67の配設位置は、排気集合部であってもよい。上流側空燃比センサ67は、後に詳述するように、例えば、特開平11−72473号公報、特開2000−65782号公報及び特開2004−69547号公報等に開示された「拡散抵抗層を備える限界電流式広域空燃比センサ」である。
上流側空燃比センサ67は、図3に示したように、「被検出ガス」の空燃比A/Fに応じた電圧である出力値Vabyfsを出力するようになっている。従って、本例において、上流側空燃比センサ67は、排気通路であって上流側空燃比センサ67が配設されている部位を流れるガスの空燃比(即ち、上流側触媒53に流入する排ガスの空燃比、従って、機関に供給される混合気の空燃比)に応じた出力値Vabyfsを発生するようになっている。
出力値Vabyfsは、被検出ガスの空燃比が理論空燃比であるときに値Vstoichに一致する。出力値Vabyfsは、被検出ガスの空燃比が大きくなる(リーンとなる)ほど増大する。即ち、上流側空燃比センサ67は、被検出ガスの空燃比の変化に対して出力が連続的に変化する。
後述する電気制御装置80は、図3に示したテーブル(マップ)Mapabyfsを記憶していて、そのテーブルMapabyfsに実際の出力値Vabyfsを適用することによって空燃比を検出するようになっている。以下、上流側空燃比センサの出力値VabyfsとテーブルMapabyfsとによって取得される空燃比を、上流側空燃比abyfs又は検出空燃比abyfsとも称呼する。
下流側空燃比センサ68は、排気通路であって上流側触媒53よりも下流側であり且つ下流側触媒よりも上流側(即ち、上流側触媒53と下流側触媒との間の排気通路)に配設されている。下流側空燃比センサ68は、周知の起電力式の酸素濃度センサ(安定化ジルコニアを用いた周知の濃淡電池型の酸素濃度センサ)である。下流側空燃比センサ68は、排気通路であって下流側空燃比センサ68が配設されている部位を流れるガスである被検出ガスの空燃比(即ち、上流側触媒53から流出し且つ下流側触媒54に流入するガスの空燃比、従って、機関に供給される混合気の空燃比の時間的平均値)に応じた出力値Voxsを発生するようになっている。
この出力値Voxsは、図4に示したように、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチのとき最大出力値max(例えば、約0.9V)となり、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンのとき最小出力値min(例えば、約0.1V)となり、被検出ガスの空燃比が理論空燃比であるとき最大出力値maxと最小出力値minの略中間の電圧Vst(中間電圧Vst、例えば、約0.5V)となる。更に、この出力値Voxsは、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比からリーンな空燃比へと変化する際に最大出力値maxから最小出力値minへと急変し、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比からリッチな空燃比へと変化する際に最小出力値minから最大出力値maxへと急変する。
再び、図1を参照すると、アルコール濃度センサ69は燃料供給管45bに配設されている。アルコール濃度センサ69は、燃料(ガソリン燃料)に含まれるアルコール(エタノール等)の濃度を検出し、その濃度EtOHを表す信号を出力するようになっている。
EGR弁開度センサ70は、EGR弁の開度(即ち、EGR弁が備える弁体のリフト量)を検出し、その開度AEGRVactを表す信号を出力するようになっている。
アクセル開度センサ71は、運転者によって操作されるアクセルペダル91の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置80は、互いにバスで接続された「CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ、関数)及び定数等を予め記憶したROM82、CPU81が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM83、及び、バックアップRAM84並びにADコンバータを含むインターフェース85等」からなる周知のマイクロコンピュータである。
バックアップRAM84は、機関10を搭載した車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチの位置(オフ位置、始動位置及びオン位置等の何れか)に関わらず、車両に搭載されたバッテリから電力の供給を受けるようになっている。バックアップRAM84は、バッテリから電力の供給を受けている場合、CPU81の指示に応じてデータを格納する(データが書き込まれる)とともに、そのデータを読み出し可能となるように保持(記憶)する。バックアップRAM84は、バッテリが車両から取り外される等によりバッテリからの電力供給が遮断されると、データを保持することができない。そこで、CPU81は、バックアップRAM84への電力供給が再開されたとき、バックアップRAM84に保持されるべきデータを初期化(デフォルト値に設定)するようになっている。
インターフェース85は、センサ61〜71と接続され、CPU81にそれらのセンサからの信号を供給するようになっている。更に、インターフェース85は、CPU81の指示に応じて可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33a、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36a、各気筒のイグナイタ38、各気筒に対応して設けられた燃料噴射弁39及びスロットル弁アクチュエータ44a、パージ制御弁49、及び、EGR弁55等に駆動信号(指示信号)を送出するようになっている。
(制御概要)
次に、上記のように構成された第1制御装置の作動の概要について説明する。なお、本明細書において、変数kが付された値は、今回の燃焼サイクルについての値であることを示す。即ち、変数X(k)は今回の燃焼サイクルに対する値Xであり、X(k−N)はN回前の燃焼サイクルに対する値Xである。
第1制御装置は、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基いて得られる上流側空燃比abyfsを上流側目標空燃比abyfrに一致させるメインフィードバック制御と、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標値Voxsrefに一致させるサブフィードバック制御と、を含む空燃比フィードバック制御を実行する。
実際には、第1制御装置は「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfs」を「下流側空燃比センサ68の出力値Voxsと下流側目標値Voxsrefとの出力偏差量Dvoxsを小さくするように算出されたサブフィードバック量Vafsfb及びその学習値Vafsfbg」により補正し、それによって「フィードバック制御用空燃比(補正検出空燃比)abyfsc」を算出し、そのフィードバック制御用空燃比abyfscを上流側目標空燃比abyfrに一致させる空燃比フィードバック制御を行う。サブフィードバック量Vafsfbは便宜上「第1フィードバック量」とも称呼される。
<メインフィードバック制御及び最終燃料噴射量の決定>
より具体的に述べると、第1制御装置は、フィードバック制御用出力値Vabyfcを下記(1)式に従って算出する。(1)式において、Vabyfsは上流側空燃比センサ67の出力値、Vafsfbは下流側空燃比センサ68の出力値Voxsに基いて算出されるサブフィードバック量、Vafsfbgはサブフィードバック量の学習値である。これらの値は、何れも現時点において得られている値である。サブフィードバック量Vafsfb及びサブフィードバック量の学習値Vafsfbgの算出方法は後述される。
Vabyfc=Vabyfs+Vafsfb+Vafsfbg …(1)
第1制御装置は、下記(2)式に示したように、フィードバック制御用出力値Vabyfcを図3に示したテーブルMapabyfsに適用することによりフィードバック制御用空燃比abyfscを得る。
abyfsc=Mapabyfs(Vabyfc) …(2)
一方、第1制御装置は、現時点にて各気筒(各燃焼室25)に吸入される空気量である筒内吸入空気量Mc(k)を求める。筒内吸入空気量Mc(k)は、各気筒の吸気行程毎に、その時点のエアフローメータ61の出力Gaと機関回転速度NEとに基いて求められる。例えば、筒内吸入空気量Mc(k)は、「エアフローメータ61により計測された吸入空気量Ga、機関回転速度NE及びルックアップテーブルMapMc」に基いて求められる。或いは、筒内吸入空気量Mc(k)は、エアフローメータ61の吸入空気量Gaに対して一次遅れ処理を施した値を機関回転速度NEで除することにより求められられる。筒内吸入空気量Mc(k)は、周知の空気モデル(吸気通路における空気の挙動を模した物理法則に従って構築されたモデル)により算出されてもよい。筒内吸入空気量Mc(k)は、各吸気行程に対応されながらRAM83内に記憶される。
第1制御装置は、下記(3)式に示したように、その筒内吸入空気量Mc(k)を現時点における上流側目標空燃比abyfrによって除すことにより基本燃料噴射量Fbを求める。上流側目標空燃比abyfrは、機関暖機中、フューエルカット復帰後増量中及び触媒過熱防止増量中等の特殊な場合を除き、理論空燃比stoichに設定される。なお、本例において、上流側目標空燃比abyfrは常に理論空燃比stoichに設定されている。基本燃料噴射量Fb(k)は、各吸気行程に対応されながらRAM83内に記憶される。
Fb(k)=Mc(k)/abyfr …(3)
第1制御装置は、下記(4)式に示したように、基本燃料噴射量Fbを種々の補正係数により補正することにより、最終燃料噴射量Fiを算出する。そして、第1制御装置は、最終燃料噴射量Fiの燃料を吸気行程を迎えている気筒の燃料噴射弁39から噴射する。
Fi=KG・FPG・FAF・Fb(k) …(4)
上記(4)式の右辺における各値は以下の通りである。
KG:メインフィードバック係数の学習値(メインFB学習値KG)。
FPG:パージ補正係数。
FAF:メインフィードバック制御により更新(算出)されるメインフィードバック係数。
メインFB学習値KG及びパージ補正係数の算出・更新方法は後述される。ここでは、メインフィードバック係数FAFの更新(算出)方法について述べる。
メインフィードバック係数FAF(便宜上、第2フィードバック量とも称呼される。)はメインフィードバック値DFiに基いて算出される。メインフィードバック値DFiは、次のようにして求められる。第1制御装置は、下記(5)式に示したように、現時点よりもNサイクル(即ち、N・720°クランク角)前の時点における筒内吸入空気量Mc(k−N)を、上記フィードバック制御用空燃比abyfscで除すことにより、現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室25に実際に供給された燃料の量である「筒内燃料供給量Fc(k−N)」を求める。
Fc(k−N)=Mc(k−N)/abyfsc …(5)
このように、現時点からNサイクル前の筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)をフィードバック制御用空燃比abyfscで除すのは、燃焼室25内で燃焼された混合気が上流側空燃比センサ67に到達するまでにNストロークに相当する時間を要するからである。但し、実際には、上流側空燃比センサ67には各気筒から排出された排ガスがある程度混合された後に到達する。
次に、第1制御装置は、下記(6)式に示したように、「現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)」を「現時点からNストローク前の上流側目標空燃比abyfr(k−N)」で除すことにより「現時点からNストローク前の目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)」を求める。なお、上述したように、本例において上流側目標空燃比abyfrは一定であるので、(6)式においては単にabyfrと表記されている。
Fcr(k−N)=Mc(k−N)/abyfr …(6)
制御装置は、下記(7)式に示したように、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減じた値を筒内燃料供給量偏差DFcとして設定する。この筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストローク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す量となる。
DFc=Fcr(k−N)−Fc(k−N) …(7)
その後、制御装置は、下記(8)式に基いてメインフィードバック値DFiを求める。この(8)式において、Gpは予め設定された比例ゲイン、Giは予め設定された積分ゲインである。なお、(8)式の係数KFBは機関回転速度NE及び筒内吸入空気量Mc等により可変とすることが好適であるが、ここでは「1」としている。また、(8)式の値SDFcは筒内燃料供給量偏差DFcの積分値である。つまり、第1制御装置は、フィードバック制御用空燃比abyfscを上流側目標空燃比abyfrに一致させる比例・積分制御(PI制御)によりメインフィードバック値DFiを算出する。
DFi=(Gp・DFc+Gi・SDFc)・KFB …(8)
そして、第1制御装置は、メインフィードバック値DFi及び基本燃料噴射量Fb(k−N)を下記(9)式に適用することによりメインフィードバック係数FAFを算出する。即ち、メインフィードバック係数FAFは、現時点からNストローク前の基本燃料噴射量Fb(k−N)にメインフィードバック値DFiを加えた値を基本燃料噴射量Fb(k−N)で除すことにより求められる。
FAF=(Fb(k−N)+DFi)/Fb(k−N) …(9)
メインフィードバック係数FAFは、上記(4)式に示したように基本燃料噴射量Fb(k)に乗じられる。なお、メインフィードバック係数FAFは、所定の第3更新タイミングが到来する毎(例えば、第3所定時間の経過毎)に更新される。以上が、メインフィードバック制御(従って、空燃比フィードバック制御)の概要である。
<サブフィードバック制御>
第1制御装置は下記(10)式に示したように、所定の第1更新タイミングが到来する毎(例えば、第1所定時間の経過毎)に、下流側目標値Voxsrefから現時点の下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを減じることにより出力偏差量(第1偏差)DVoxsを求める。
DVoxs=Voxsref−Voxs …(10)
(10)式における下流側目標値Voxsrefは、上流側触媒53の浄化効率が良好となるように定められる。下流側目標値Voxsrefは、本例において理論空燃比に相当する値(理論空燃比相当値)Vstに設定される。
第1制御装置は、下記(11)式に基いてサブフィードバック量Vafsfbを求める。(11)式において、Kpは比例ゲイン(比例定数)、Kiは積分ゲイン(積分定数)、Kdは微分ゲイン(微分定数)である。また、SDVoxsは、出力偏差量DVoxsの積分値(時間積分値)、DDVoxsは出力偏差量DVoxsの微分値(時間微分値)である。
Vafsfb=Kp・DVoxs+Ki・SDVoxs+kd・DDVoxs …(11)
このように、第1制御装置は、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標値Voxsrefに一致させる比例・積分・微分制御(PID制御)によりサブフィードバック量Vafsfbを算出する。このサブフィードバック量Vafsfbは、上述した(1)式に示したように、フィードバック制御用出力値Vabyfcを算出するために使用される。
このように、第1制御装置は、所定の第1更新タイミングが到来する毎に下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標空燃比に応じた値(下流側目標値Voxsref、理論空燃比に相当する値Vst)に一致させるための第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)を、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsと下流側目標値Voxsrefに応じた値との差である第1偏差(出力偏差量DVoxs)に基いて更新する第1フィードバック量更新手段を備える。
<サブフィードバック制御の学習>
第1制御装置は、所定の第2更新タイミングが到来する毎(第2の所定時間の経過毎、或いは、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsが理論空燃比に相当する値Vstを横切る毎等)に、下記(12)式に基いてサブフィードバック量Vafsfbの学習値Vafsfbgを更新する。(12)式の左辺Vafsfbgnewは更新後の学習値Vafsfbgを表す。つまり、サブFB学習値Vafsfbgは、「第1フィードバック量であるサブフィードバック量Vafsfbの定常成分を取り込むように(サブフィードバック量Vafsfbの定常成分に応じた量となるように)更新される。」更新される。換言すると、サブFB学習値Vafsfbgは、「第1フィードバック量であるサブフィードバック量Vafsfbが、学習値Vafsfbgの更新をしない場合に収束するであろう値」に除々に接近するように、更新される。
(12)式から明らかなように、学習値Vafsfbgはサブフィードバック量Vafsfbの積分項Ki・SDVoxsにノイズ除去のためのフィルタ処理を施した値である。(12)式において、値pは0以上1未満の任意の値である。更新後の学習値Vafsfbgnewは学習値VafsfbgとしてバックアップRAM84に格納される。(12)式から明らかなように、値pが大きいほど、現時点の積分項Ki・SDVoxsが学習値Vafsfbgに大きく反映される。即ち、値pを大きくするほど、学習値Vafsfbgの更新速度を大きくすることができ、学習値Vafsfbgを収束値と等しいであろう積分項Ki・SDVoxsにより迅速に接近させることができる。なお、学習値Vafsfbgは下記の(13)式に示したように更新されてもよい。
Vafsfbgnew=(1−p)・Vafsfbg+p・Ki・SDVoxs …(12)
Vafsfbgnew=(1−p)・Vafsfbg+p・Vafsfb …(13)
<サブフィードバック制御の学習に伴うサブフィードバック量の補正>
上記(1)式に示したように、第1制御装置は、サブフィードバック量Vafsfb及び学習値Vafsfbgを上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに加えることにより、フィードバック制御用出力値Vabyfcを得る。学習値Vafsfbgはサブフィードバック量Vafsfbの積分項Ki・SDVoxs(定常成分)の一部を取り込んだ値である。従って、学習値Vafsfbgを更新した場合、サブフィードバック量Vafsfbをその更新分に応じて補正しないと、更新後の学習値Vafsfbgとサブフィードバック量Vafsfbとにより二重の補正が行われる。従って、学習値Vafsfbgを更新した場合、サブフィードバック量Vafsfbをその学習値Vafsfbgの更新分に応じて補正する必要がある。
そこで、第1制御装置は下記(14)及び下記(15)式に示したように、学習値Vafsfbgを変更量ΔGだけ増加するように更新したとき、サブフィードバック量Vafsfbを変更量ΔGだけ減少させる修正を行う。(14)式において、Vafsfbg0は更新直前の学習値Vafsfbgである。従って、変更量ΔGは正の値及び負の値の何れともなる。(15)式において、Vafsfbnewは修正後のサブフィードバック量Vafsfbである。更に、第1制御装置は、学習値Vafsfbgを変更量ΔGだけ増加するように更新したとき、出力偏差量DVoxsの積分値を下記(16)式のように修正しておくことが望ましい。(16)式においてSDVoxsnewは、修正後の出力偏差量DVoxsの積分値である。但し、(14)式乃至(16)式による補正を行わなくてもよい。
ΔG=Vafsfbg−Vafsfbg0 …(14)
Vafsfbnew=Vafsfb−ΔG …(15)
SDVoxsnew=SDVoxs−ΔG/Ki …(16)
以上、説明したように、第1制御装置は、サブフィードバック量Vafsfbと学習値Vafsfbgとの和だけ上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsを補正し、その補正によって得られたフィードバック制御用出力値Vabyfcに基いてフィードバック制御用空燃比abyfscを取得する。そして、制御装置は、取得したフィードバック制御用空燃比abyfscを上流側目標空燃比abyfrに一致させるように燃料噴射量Fiを制御する。その結果、上流側空燃比abyfsは上流側目標空燃比abyfrに近づき、同時に、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsは下流側目標値Voxsrefに近づく。即ち、制御装置は、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsとサブフィードバック量Vafsfbと学習値Vafsfbgとに基づき機関の混合気の空燃比を上流側目標空燃比abyfrに一致させる空燃比フィードバック制御手段を備えている。
このように、第1制御装置は、所定の第2更新タイミングが到来する毎に第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)に基いて第1フィードバック量の学習値(学習値Vafsfbg)を更新する学習手段を備える。また、学習手段は、学習値Vafsfbgが更新されると、サブフィードバック量Vafsfbを「更新した学習値Vafsfbgに応じた分(学習値Vafsfbgの変更量ΔG)」により補正し、出力偏差量DVoxsの積分値SDVoxsも変更量ΔGに応じて修正するようになっている。
<サブフィードバック量の学習促進制御>
第1制御装置は、更に、学習不足状態が発生していると推定されるとき、学習不足状態が発生していないと推定されないときに比較して、学習値Vafsfbgの更新速度を増大させるための学習促進制御を実行する学習促進手段を備える。学習不足状態は、「学習値Vafsfbg」と「学習値Vafsfbgが収束すべき値」との差である第2偏差が所定値以上である状態である。
より具体的に述べると、第1制御装置は、学習値Vafsfbgの変化量(変化速度)が所定閾値以上であるとき、学習不足状態が発生していると推定する。学習値Vafsfbgの変化量は、例えば、更新回数において所定回数だけ前の時点にて更新された過去の学習値Vafsfbgold(例えば4回前に更新された学習値Vafsfbg(4))と、今回更新された学習値Vafsfbgと、の差により取得され得る。
そして、第1制御装置は、学習不足状態が発生していると推定したとき、上記(12)式の値pを、学習不足状態が発生していないと推定しているときの値pSmallよりも大きな値pLargeに設定する。この結果、学習値Vafsfbgの更新速度が大きくなるので、学習値Vafsfbgは収束値により迅速に接近する。
<サブフィードバック量の学習促進制御の禁止>
しかしながら、このような学習促進制御を実行している期間において、「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生すると、サブフィードバック量もそれに応じて収束値とは異なる値へと一時的に変化する場合がある。この結果、学習値が本来到達すべき値から乖離し、機関の空燃比が適正値から乖離してしまう虞がある。
そこで、第1制御装置は、図5の概念フローチャートに示したように、先ずステップ510にてサブフィードバック量の学習促進要求があるか否か(学習不足状態であるか否か)を判定し、学習促進要求がななければサブフィードバック量の学習を通常通り行うようにステップ520に進む。即ち、第1制御装置は、ステップ520に進むと、上記(12)式の値pを値pSmallに設定し、通常のサブフィードバック量の学習を行う。
一方、ステップ510にてサブフィードバック量の学習促進要求がある場合、第1制御装置はステップ530に進み、「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生するか否か、即ち、「空燃比外乱」があるか否かを推定する。そして、空燃比外乱がないと推定されると、第1制御装置はステップ540に進み、上記(12)式の値pを値pSmallよりも大きい値pLargeに設定し、サブフィードバック量の学習促進制御を実行する。これに対し、ステップ530にて「空燃比外乱」があると推定されるとき、第1制御装置はステップ520に進み、通常のサブフィードバック量の学習を行う。
この結果、学習促進制御を実行している際又は学習不足状態であるために学習促進要求が発生した際に「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生すると、学習促進制御が禁止(中止)されるので、サブフィードバック量の学習値Vafsfbgが大きく適値から乖離することを回避できる。従って、学習値Vafsfbgが収束値へと収束するまでの時間を結果的に短縮できるので、エミッションが悪化する期間を短縮することができる。
なお、上記「機関の空燃比を過渡的に乱す状態(空燃比の外乱)」は、例えば、蒸発燃料ガスパージ、内部EGR量(筒内残留ガス量)、外部EGR量、及び、燃料のアルコール濃度等に起因して発生する。
蒸発燃料ガスパージに起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。
・蒸発燃料ガスパージ中であってその蒸発燃料ガスの濃度が急変する場合。
・蒸発燃料ガスパージ中であってその蒸発燃料ガスの濃度が所定濃度よりも高い場合。
・後述する蒸発燃料ガス濃度学習値の「機関の始動後からの更新回数」が所定の更新回数閾値よりも小さい場合。
内部EGR量に起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。
・内部EGR量が意図している内部EGR量よりも所定量以上大きくなる場合。
・内部EGR量の変化速度(単位時間における変化量)が所定変化速度よりも大きくなる場合。
より具体的には、内部EGR量に起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。バルブオーバーラップ量とは、バルブオーバーラップ期間の長さを表す量である。
・実際のバルブオーバーラップ量が目標オーバーラップ量よりも所定量以上大きくなる場合。
・バルブオーバーラップ量の変化速度が所定変化速度閾値以上である場合。
・バルブオーバーラップ量を決定する吸気弁開弁時期がその目標時期と所定値以上乖離する場合。
・バルブオーバーラップ量を決定する排気弁閉弁時期がその目標時期と所定値以上乖離する場合。
・吸気弁開弁時期の変化速度が所定変化速度以上である場合。
・排気弁閉弁時期の変化速度が所定変化速度以上である場合。
外部EGR量に起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。
・外部EGR量が意図している外部EGR量よりも所定量以上大きくなる場合。
・外部EGR量の変化速度(単位時間における変化量)が所定変化速度よりも大きくなる場合。
より具体的には、外部EGR量に起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。
・外部EGR率の変化速度が所定変化速度以上となる場合。
・実際の外部EGR率が目標外部EGR率よりも所定値以上大きくなる場合。これは、例えば、実際の外部EGR弁の開度が目標外部EGR弁開度よりも所定開度以上大きくなる場合でもある。
燃料のアルコール濃度に起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」は、以下のような場合に発生する。
燃料の燃料タンク45への補給により燃料に含まれるアルコール濃度がその補給前のアルコール濃度よりも所定濃度以上変化した場合。なお、この状態は、機関の始動時毎にアルコール濃度センサ69の出力値であるアルコール濃度EtOHをバックアップRAM84に格納しておき、次回の機関の始動時に得られるアルコール濃度EtOHと、バックアップRAM84に格納されているアルコール濃度EtOHと、の差が所定濃度以上であるか否かを判定することにより検出される。
(実際の作動)
次に、上記のように構成された第1制御装置の実際の作動について説明する。
<燃料噴射量制御>
CPU81は、図6に示した最終燃料噴射量Fiの計算及び燃料噴射の指示を行うルーチンを、所定の気筒のクランク角が吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、その気筒(以下、「燃料噴射気筒」とも称呼する。)に対して繰り返し実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ600から処理を開始し、以下に述べるステップ610乃至ステップ660の処理を順に行い、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ610:CPU81は「エアフローメータ61により計測された吸入空気量Ga、及び、機関回転速度NE」をルックアップテーブルMapMcに適用することにより現時点の筒内吸入空気量Mc(k)を求める。
ステップ620:CPU81は、メインFB学習値KGをバックアップRAM84から読み出す。メインFB学習値KGは、後述する図8に示したメインフィードバック学習ルーチンにより別途求められ、バックアップRAM84内に格納されている。
ステップ630:CPU81は上記(3)式に従って基本燃料噴射量Fb(k)を求める。
ステップ640:CPU81はパージ補正係数FPGを下記の(17)式に従って求める。(17)式において、PGTは目標パージ率である。目標パージ率PGTは、後述する図9のステップ930において機関10の運転状態に基いて求められている。FGPGは蒸発燃料ガス濃度学習値である。蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGは、後述する図9に示したルーチンにより求められている。
FPG=1+PGT(FGPG−1) …(17)
ステップ650:CPU81は、基本燃料噴射量Fb(k)を上記(4)式に従って補正することにより、最終的な燃料噴射量(指令噴射量)Fiを求める。なお、メインフィードバック係数FAFは後述する図7に示したルーチンにより求められている。
ステップ660:CPU81は、最終燃料噴射量Fiの燃料を燃料噴射気筒に対応して設けられている燃料噴射弁39から噴射するように、その燃料噴射弁39に指示信号を送出する。
以上により、基本燃料噴射量Fbがメインフィードバック値DFi(実際にはメインフィードバック係数FAF)等により補正され、その補正の結果である最終燃料噴射量Fiの燃料が燃料噴射気筒に対して噴射される。
<メインフィードバック制御>
CPU81は図7にフローチャートにより示したメインフィードバック量(第2フィードバック量)算出ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ700から処理を開始し、ステップ705に進んでメインフィードバック制御条件(上流側空燃比フィードバック制御条件)が成立しているか否かを判定する。メインフィードバック制御条件は、例えば、フューエルカット中でなく、機関の冷却水温THWが第1所定温度以上であり、負荷KLが所定値以下であり、且つ、上流側空燃比センサ67が活性化しているときに成立する。
いま、メインフィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU81はステップ705にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ710乃至ステップ750の処理を順に行い、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ710:CPU81は、上記(1)式に従ってフィードバック制御用出力値Vabyfcを取得する。
ステップ715:CPU81は、上記(2)式に従ってフィードバック制御用空燃比abyfscを取得する。
ステップ720:CPU81は、上記(5)式に従って筒内燃料供給量Fc(k−N)を取得する。
ステップ725:CPU81は、上記(6)式に従って目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を取得する。
ステップ730:CPU81は、上記(7)式に従って筒内燃料供給量偏差DFcを取得する。
ステップ735:CPU81は、上記(8)式に従ってメインフィードバック値DFiを取得する。なお、本例において、係数KFBは「1」に設定されている。筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcは次のステップ740にて求められる。
ステップ740:CPU81は、その時点における筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcに上記ステップ730にて求められた筒内燃料供給量偏差DFcを加えることにより、新たな筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを取得する。
ステップ745:CPU81は、上記(9)式に従ってメインフィードバック係数FAFを求める。
ステップ750:CPU81は、下記(18)式に従ってメインフィードバック係数FAFの加重平均値をメインフィードバック係数平均FAFAV(以下、「補正係数平均FAFAV」とも称呼する。)として求める。(18)式においてFAFAVnewは更新後の補正係数平均FAFAVであり、そのFAFAVnewが新たな補正係数平均FAFAVとして格納される。また、(18)式において、値qは0より大きく1より小さい定数である。この補正係数平均FAFAVは、後述する「メインFB学習値KG及び蒸発燃料ガス濃度学習値FGPG」を求める際に用いられる。
FAFAVnew=q・FAF+(1−q)・FAFAV …(18)
以上により、メインフィードバック値DFiが比例積分制御により求められ、このメインフィードバック値DFiがメインフィードバック係数FAFへと変換された上で前述した図6のステップ650において最終燃料噴射量Fiに反映される。この結果、燃料供給量の過不足が補償されるので、機関の空燃比(従って、上流側触媒53に流入するガスの空燃比)の平均値が上流側目標空燃比abyfr(特殊な場合を除き、理論空燃比)と略一致させられる。
一方、ステップ705の判定時において、メインフィードバック制御条件が不成立であると、CPU81はそのステップ705にて「No」と判定してステップ755に進み、メインフィードバック値DFiの値を「0」に設定する。次いで、CPU81は、ステップ760にて筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを「0」に設定し、ステップ765にてメインフィードバック係数FAFの値を「1」に設定し、ステップ770にて補正係数平均FAFAVの値を「1」に設定する。
その後、CPU81は、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、メインフィードバック制御条件が不成立であるとき、メインフィードバック値DFiの値は「0」に設定され、メインフィードバック係数FAFの値は「1」に設定される。従って、基本燃料噴射量Fbのメインフィードバック係数FAFによる補正は行わない。但し、このような場合であっても、基本燃料噴射量FbはメインFB学習値KGによって補正される。
<メインフィードバック学習(ベース空燃比学習)>
第1制御装置はパージ制御弁49を完全に閉じた状態に維持する指示信号が同パージ制御弁に送出されている「パージ制御弁閉弁指示期間(デューティ比DPGが「0」である期間)」において、メインフィードバック係数FAFを基本値「1」に近づけるように、補正係数平均FAFAVに基いてメインFB学習値KGを更新する。
このメインFB学習値KGの更新を行うために、CPU81は図8に示したメインフィードバック学習ルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、CPU81は所定のタイミングになるとステップ800から処理を開始し、ステップ805に進んでメインフィードバック制御が実行中であるか否か(即ち、メインフィードバック条件が成立しているか否か)を判定する。このとき、メインフィードバック制御が実行されていなければ、CPU81はそのステップ805にて「No」と判定し、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、メインFB学習値KGの更新は行われない。
一方、メインフィードバック制御が実行中であるとき、CPU81はステップ810に進んで「蒸発燃料ガスパージが行われていないか否か(具体的には、後述する図9のルーチンにより求められる目標パージ率PGTが「0」でないか否か)」を判定する。このとき、蒸発燃料ガスパージが行われていると、CPU81はそのステップ810にて「No」と判定し、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、メインFB学習値KGの更新は行われない。
他方、CPU81がステップ810に進んだ際に蒸発燃料ガスパージが行われていなければ、CPU81はステップ810にて「Yes」と判定してステップ815に進み、補正係数平均FAFAVの値が値1+α(αは0より大きく1より小さい微小な所定値であり、例えば、0.02)以上であるか否かを判定する。このとき、補正係数平均FAFAVの値が値1+α以上であると、CPU81はステップ820に進んでメインFB学習値KGを正の所定値Xだけ増大させる。その後、CPU81はステップ835に進む。
これに対し、CPU81がステップ815に進んだ際、補正係数平均FAFAVの値が値1+αよりも小さいと、CPU81はステップ825に進んで補正係数平均FAFAVの値が値1−α以下であるか否かを判定する。このとき、補正係数平均FAFAVの値が値1−α以下であると、CPU81はステップ830に進んでメインFB学習値KGを正の所定値Xだけ減少させる。その後、CPU81はステップ835に進む。
更に、CPU81はステップ835に進んだとき、そのステップ835にてメインフィードバック学習完了フラグ(メインFB学習完了フラグ)XKGの値を「0」に設定する。メインFB学習完了フラグXKGは、その値が「1」であるときにメインフィードバック学習が完了しており、その値が「0」であるときにメインフィードバック学習が完了していないことを示す。次いで、CPU81はステップ840に進み、メイン学習カウンタCKGの値を「0」に設定する。なお、メイン学習カウンタCKGの値は、機関10が搭載された車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更された際に実行されるイニシャルルーチンにても「0」に設定されるようになっている。その後、CPU81はステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
加えて、CPU81がステップ825に進んだ際、補正係数平均FAFAVの値が値1−αよりも大きいと(即ち、補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値であると)、CPU81はステップ845に進んでメイン学習カウンタCKGの値を「1」だけ増大する。
次に、CPU81はステップ850に進み、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGth以上であるか否かを判定する。そして、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGth以上であれば、CPU81はステップ855に進んでメインFB学習完了フラグXKGの値を「1」に設定する。即ち、機関10の始動後において補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値である回数がメイン学習カウンタ閾値CKGth以上となると、メインFB学習値KGの学習は完了したと見做される。その後、CPU81はステップ895に進んで、本ルーチンを一旦終了する。
また、CPU81は、ステップ850に進んだとき、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGthよりも小さければ、CPU81はそのステップ850からステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、メイン学習カウンタCKGの値は、ステップ805及びステップ810の何れかにおいて「No」と判定された際にも「0」に設定されるように、プログラムを構成してもよい。これによれば、ステップ815以降に進む状態(即ち、今回のメインフィードバック学習が行われている期間)において、補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値である回数がメイン学習カウンタ閾値CKGth以上となったとき、メインFB学習値KGの学習は完了したと見做される。
以上により、メインフィードバック制御中であって蒸発燃料ガスパージが行われていない間にメインFB学習値KGが更新される。
<パージ制御弁駆動>
一方、CPU71は図9に示したパージ制御弁駆動ルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになるとCPU81はステップ900から処理を開始し、ステップ910に進んでパージ条件が成立しているか否かを判定する。このパージ条件は、例えば、空燃比フィードバック制御が実行中であり、且つ、機関10が定常運転されているとき(例えば、機関の負荷を表すスロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量が所定値以下のとき)に成立する。
いま、パージ条件が成立していると仮定する。この場合、CPU81は図9のステップ910にて「Yes」と判定してステップ920に進み、メインFB学習完了フラグXKGの値が「1」であるか否か(即ち、メインフィードバック学習が完了しているか否か)を判定する。このとき、メインFB学習完了フラグXKGの値が「1」であると、CPU81はステップ920にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ930乃至ステップ970の処理を順に行い、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ930:CPU81は、目標パージ率PGTを機関10の運転状態(例えば、機関の負荷KL及び回転速度NE)に基いて設定する。また、目標パージ率PGTは、補正係数平均FAFAVの値が値1+αと値1−αの間にある場合、所定量ずつ増大されてもよい。なお、負荷KLは、本例において負荷率(充填率)KLであり、下記の(A)式に基いて算出される。この(18)式において、ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは機関10の排気量(単位は(l))、4は機関10の気筒数である。但し、負荷KLは、筒内吸入空気量Mc、スロットル弁開度TA及びアクセルペダル操作量Accp等であってもよい。
KL={Mc(k)/(ρ・L/4)}・100(%) …(A)
ステップ940:CPU81は、下記(19)式に従って目標パージ率PGT及び吸入空気量(流量)Gaから「蒸発燃料ガスの流量であるパージ流量(蒸発燃料ガスパージ量)KP」を算出する。換言すると、パージ率は、吸入空気量Gaに対するパージ流量KPの比である。パージ率は、「吸入空気量Gaと蒸発燃料ガスパージ量KPとの和(Ga+KP)」に対する蒸発燃料ガスパージ量KPの比として表されてもよい。
KP=Ga・PGT …(19)
ステップ950:CPU81は、下記(20)式に示したように、回転速度NE及び負荷KLをマップMapPGRMXに適用することにより、全開パージ率PGRMXを求める。この全開パージ率PGRMXは、パージ制御弁49を全開にしたときのパージ率である。マップMapPGRMXは実験又はシミュレーションの結果に基づき予め取得され、ROM82内に格納されている。マップMapPGRMXによれば、全開パージ率PGRMXは回転速度NEが大きくなるほど、又は、負荷KLが大きくなるほど、小さくなる。
PGRMX=MapPGRMX(NE,KL) …(20)
ステップ960:CPU81は、下記(21)式に従って全開パージ率PGRMX及び目標パージ率PGTを用いてデューティ比DPGを算出する。
DPG=(PGT/PGRMX)・100 …(21)
ステップ970:CPU81は、パージ制御弁49をデューティ比DPGに基いて開閉制御する。
これに対し、CPU81は、パージ条件が成立していていない場合にはステップ910にて「No」と判定してステップ980に進み、メインFB学習完了フラグXKGの値が「0」である場合にはステップ920にて「No」と判定してステップ980に進む。そして、CPU81はステップ980にてパージ流量KPを「0」に設定し、続くステップ990にてデューティ比DPGを「0」に設定した後、ステップ970へと進む。このとき、デューティ比DPGは「0」に設定されているからパージ制御弁49は完全に閉じられた状態となる。その後、CPU71はステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
<蒸発燃料ガス濃度学習>
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図10に示した蒸発燃料ガス濃度学習ルーチンを実行するようになっている。この蒸発燃料ガス濃度学習ルーチンの実行によって、蒸発燃料ガスパージが行われている間に蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新が行われる。
即ち、CPU81は所定のタイミングになるとステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、メインフィードバック制御が実行中であるか否かを判定する。このとき、メインフィードバック制御が実行されていなければ、CPU81はそのステップ1005にて「No」と判定し、ステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新は行われない。
一方、メインフィードバック制御が実行中であるとき、CPU81はステップ1010に進んで「蒸発燃料ガスパージが行われているか否か(具体的には、図9のルーチンにより求められる目標パージ率PGTが「0」か否か)」を判定する。このとき、蒸発燃料ガスパージが行われていないと、CPU81はそのステップ1010にて「No」と判定し、ステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新は行われない。
他方、CPU81がステップ1010に進んだ際に蒸発燃料ガスパージが行われていると、CPU81はステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1015に進み、補正係数平均FAFAVから「1」を減じた値の絶対値|FAFAV−1|が所定値β以上であるか否かを判定する。ここで、βは0より大きく1より小さい微小な所定値であり、例えば、0.02である。
このとき、絶対値|FAFAV−1|がβ以上であると、CPU81はステップ1015にて「Yes」と判定してステップ1020に進み、下記(22)式に従って更新値tFGを求める。(22)式における目標パージ率PGTは、図9のステップ930にて設定されている。(22)式から明らかなように、更新値tFGは目標パージ率1%当たりの「偏差εa(FAFAVの1からの差=FAFAV−1)」である。その後、CPU81はステップ1030に進む。
tFG=(FAFAV−1)/PGT …(22)
蒸発燃料ガスに含まれる蒸発燃料ガスの濃度が高いほど、上流側空燃比abyfsは理論空燃比よりもより小さい空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)となる。従って、メインフィードバック係数FAFはより小さい値になるので、補正係数平均FAFAVも「1」より小さい値となる。その結果、FAFAV−1は負の値となるので、更新値tFGは負の値となる。更に、更新値tFGの絶対値は、FAFAVが小さいほど(「1」から乖離するほど)大きな値となる。つまり、蒸発燃料ガスの濃度が高いほど、更新値tFGはその絶対値の大きい負の値となる。
これに対し、絶対値|FAFAV−1|が値β以下である場合、CPU81はステップ1015にて「No」と判定してステップ1025に進み、更新値tFGを「0」に設定する。その後、CPU81はステップ1030に進む。
CPU81は、ステップ1030において、下記(23)式に従って蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGを更新する。(23)式においてFGPGnewは更新後の蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGである。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGは、蒸発燃料ガスの濃度が高いほど小さい値になる。なお、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの初期値は「1」に設定されている。
FGPGnew=FGPG+tFG …(23)
次に、CPU81はステップ1035に進み、蒸発燃料ガス濃度学習値の更新回数CFGPG(以下、「更新回数CFGPG」とも称呼する。)を「1」だけ増大する。更新回数CFGPGは上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
次に、CPU81はステップ1040に進み、更新回数CFGPGが所定の更新回数閾値CFGPGth以上であるか否かを判定する。このとき、更新回数CFGPGが所定の更新回数閾値CFGPGth以上であれば、CPU81はステップ1045に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。
これに対し、更新回数CFGPGが所定の更新回数閾値CFGPGthよりも小さければ、蒸発燃料ガスの濃度が十分には学習されていない。従って、CPU81は、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定し、ステップ1050に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。空燃比外乱発生フラグXGIRNの値は、後述する図13に示した学習促進制御ルーチンにおいて、学習促進制御を実行すべきか禁止すべきかを決定する際に参照される。なお、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値は、上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
<サブフィードバック量及びサブFB学習値算出>
CPU81は、サブフィードバック量Vafsfb及びサブフィードバック量Vafsfbの学習値Vafsfbgを算出するために、図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進んでサブフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。サブフィードバック制御条件は、例えば、前述した図7のステップ705におけるメインフィードバック制御条件が成立し、上流側目標空燃比abyfrが理論空燃比に設定され、機関の冷却水温THWが前記第1所定温度よりも高い第2所定温度以上であり、且つ、下流側空燃比センサ68が活性化しているときに成立する。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPU81はステップ1105にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1110乃至ステップ1160の処理を順に行い、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1110:CPU81は、上記(10)式に従って下流側目標値Voxsrefと下流側空燃比センサ68の出力値Voxs(即ち、理論空燃比相当値Vst)との差である出力偏差量DVoxsを取得する。出力偏差量DVoxsは「第1偏差」とも称呼される。
ステップ1115:CPU81は、上記(11)式に従ってサブフィードバック量Vafsfbを取得する。
ステップ1120:CPU81は、その時点における出力偏差量の積分値SDVoxsに上記ステップ1110にて求めた出力偏差量DVoxsを加えて、新たな出力偏差量の積分値SDVoxsを取得する。
ステップ1125:CPU81は、「上記ステップ1110にて算出した出力偏差量DVoxs」から「本ルーチンを前回実行した際に算出された出力偏差量である前回出力偏差量DVoxsold」を減じることにより、新たな出力偏差量の微分値DDVoxsを求める。
ステップ1130:CPU81は、「上記ステップ1110にて算出した出力偏差量DVoxs」を「前回出力偏差量DVoxsold」として格納する。
このように、CPU81は、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標値Voxsrefに一致させるための比例・積分・微分(PID)制御により「サブフィードバック量Vafsfb」を算出する。このサブフィードバック量Vafsfbは、上述した(1)式に示したように、フィードバック制御用出力値Vabyfcを算出するために使用される。
ステップ1135:CPU81は、その時点のサブFB学習値Vafsfbgを更新前学習値Vafsfbg0として格納する。
ステップ1140:CPU81は、上記(12)式又は上記(13)式に従ってサブFB学習値Vafsfbgを更新する。更新されたサブFB学習値Vafsfbg(=Vafsfbgnew)はバックアップRAM84に格納される。ここで、上記(12)式及び上記(13)式の値pは後述する図13に示した学習促進制御ルーチンにより、学習促進制御禁止時を含む通常時にはpSmall、学習促進制御実行時にはpSmallよりも大きいpLargeに設定されている。
なお、(12)式から明らかなように、サブFB学習値Vafsfbgは「サブフィードバック量Vafsfbの積分項Ki・SDVoxs」に「ノイズ除去のためのフィルタ処理」を施した値である。換言すると、サブFB学習値Vafsfbgは、サブフィードバック量Vafsfbの定常成分(積分項)に応じた値である。
また、(13)式から明らかなように、サブFB学習値VafsfbgはサブFB学習値Vafsfbgの一次遅れ量(なまし値)である。
従って、サブFB学習値Vafsfbgは、サブFB学習値Vafsfbgの定常成分を結果的に取り込むように更新される。
ステップ1145:CPU81は、上記(14)式に従ってサブFB学習値Vafsfbgの変更量(更新量)ΔGを算出する。
ステップ1150:CPU81は、上記(15)式に従ってサブフィードバック量Vafsfbを変更量ΔGにより補正する。
ステップ1155:CPU81は、上記(16)式に従って積分項Ki・SDVoxsを変更量ΔGに基いて補正する。なお、ステップ1155を省略してもよい。また、ステップ1145乃至ステップ1155を省略してもよい。
ステップ1160:CPU81は、本ルーチンのステップ1140が3回前に実行された際に得られた学習値Vafsfbg(3)を、ステップ1140が4回前に実行された際に得られた学習値Vafsfbg(4)として記憶する。以下、ステップ1140がn回前に実行された際に得られた学習値Vafsfbg(n)を単に「n回前の学習値Vafsfbg(n)」と称呼する。更に、CPU81は、2回前の学習値Vafsfbg(2)を3回前の学習値Vafsfbg(3)として記憶し、1回前の学習値Vafsfbg(1)を2回前の学習値Vafsfbg(2)として記憶する。そして、CPU81は上記ステップ1140にて得られた今回の学習値Vafsfbgを1回前の学習値Vafsfbg(1)として記憶する。
以上の処理により、所定時間の経過毎(所定の第1更新タイミングが到来する毎、及び、所定の第2更新タイミングが到来する毎)にサブフィードバック量VafsfbとサブFB学習値Vafsfbgとが更新される。
一方、サブフィードバック制御条件が成立していない場合、CPU81は図11のステップ1105にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1165及びステップ1170の処理を順に行い、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1165:CPU81はサブフィードバック量Vafsfbの値を「0」に設定する。
ステップ1170:CPU81は出力偏差量の積分値SDVoxsの値を「0」に設定する。
これにより、上記(1)式から明らかなように、フィードバック制御用出力値Vabyfcは、上流側空燃比センサ67の出力値VabyfsとサブFB学習値Vafsfbgとの和となる。即ち、この場合、「サブフィードバック量Vafsfbの更新」及び「サブフィードバック量Vafsfbの最終燃料噴射量Fiへの反映」は停止される。但し、少なくとも、サブフィードバック量Vafsfbの積分項に対応するサブFB学習値Vafsfbgは最終燃料噴射量Fiに反映される。
<サブフィードバック量のズレ大判定>
CPU81は、サブFB学習値の学習促進制御を実行する必要があるか否かを判定するために、図12に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ1200から処理を開始し、ステップ1210に進んで「現時点がサブFB学習値Vafsfbgの更新直後の時点」であるか否かを判定する。このとき、現時点がサブFB学習値Vafsfbgの更新直後の時点でなければ、CPU81はステップ1210からステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点がサブFB学習値Vafsfbgの更新直後の時点であると、CPU81はステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1220に進み、下記の(24)式が成立しているか否かを判定する。
|Vafsfbg−Vafsfbg(4)|>Vth …(24)
即ち、CPU81は、所定回数前(本例においては4回前)に更新された学習値Vafsfbg(4)と今回更新された学習値Vafsfbgとの差の絶対値が、所定閾値Vthより大きいか否かを判定する。仮に学習値Vafsfbgが収束値から「所定値」以上偏移していると、学習値Vafsfbgは更新される毎に相当に大きい量だけ更新されるので、上記(24)式が成立する。換言すると、(24)式が成立することは、「学習値Vafsfbg」と「その学習値Vafsfbgが収束すべき値」との差である「第2偏差」が所定値以上である学習不足状態が発生していると推定される。
そこで、CPU81は、上記(24)式が成立するとき、ステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1230に進み、ズレ判定カウンタCZの値を「1」だけ増大する。次いで、CPU81はステップ1240に進み、ズレ判定カウンタCZの値がズレ判定閾値(学習促進制御要求閾値)CZth以上であるか否かを判定する。
このとき、ズレ判定カウンタCZの値がズレ判定閾値CZthよりも小さければ、CPU81はステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、「学習値Vafsfbg」と「その学習値Vafsfbgが収束すべき値」の差が相当に大きい状態においては、ステップ1220の判定条件が連続的に成立する。従って、ステップ1230の処理が繰り返されるので、ズレ判定カウンタCZの値は次第に増大し、所定のタイミングにてズレ判定閾値CZth以上となる。このとき、CPU81がステップ1240の処理を実行すると、CPU81はそのステップ1240にて「Yes」と判定してステップ1250に進み、学習促進要求フラグXZL(ズレ大判定フラグXZL)の値を「1」に設定する。なお、学習促進要求フラグXZLは、上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。但し、学習促進要求フラグXZLは、上述したイニシャルルーチンにおいて「1」に設定されるようになっていてもよい。
他方、ステップ1220の判定条件(上記(24)式)が成立しないとき、CPU81はそのステップ1220にて「No」と判定し、ステップ1260に進んでズレ判定カウンタCZの値を「1」だけ減少する。次いで、CPU81はステップ1270に進み、ズレ判定カウンタCZの値がズレ小判定閾値(学習促進制御不要閾値)CZth−DCZ以下であるか否かを判定する。ここで、DCZは正の値であり、CZth−DCZも正の値である。つまり、ズレ小判定閾値(CZth−DCZ)はズレ判定閾値CZthよりも小さい。
このとき、ズレ判定カウンタCZの値がズレ小判定閾値(CZth−DCZ)よりも大きければ、CPU81はステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、「学習値Vafsfbg」と「その学習値Vafsfbgが収束すべき値」の差が小さくなっている状態においては、ステップ1220の判定条件が連続的に不成立となる。従って、ステップ1260の処理が繰り返されるので、ズレ判定カウンタCZの値は次第に減少し、所定のタイミングにてズレ小判定閾値(CZth−DCZ)以下となる。このとき、CPU81がステップ1270の処理を実行すると、CPU81はそのステップ1270にて「Yes」と判定してステップ1280に進み、学習促進要求フラグXZL(ズレ大判定フラグXZL)の値を「0」に設定する。以上により、学習促進要求フラグXZLの値が設定される。
<サブFB学習値の学習促進制御(その1)>
CPU81は、図13に示したサブFB学習値Vafsfbgの学習促進ルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ1300から処理を開始してステップ1310に進み、学習促進要求フラグXZLの値が「1」であるか否かを判定する。
このとき、学習促進要求フラグXZLの値が「0」であると、CPU81はステップ1310にて「No」と判定してステップ1320に進み、図11のステップ1140にて使用される上記(12)式(又は上記(13)式)中の値pを第1の値(通常学習速度対応値)pSmallに設定する。その後、CPU81はステップ1395に進み、本ルーチンを一旦終了する。この結果、図11のステップ1140にて、学習値Vafsfbgは新たに求められた積分項Ki・SDVoxsを僅かずつ取り込むので、穏やかにサブフィードバック量Vafsfbの収束値へと接近する。或いは、図11のステップ1140にて上記(13)式が用いられると、学習値VafsfbgはサブFB学習値Vafsfbgの定常値に穏やかに接近する。即ち、通常学習制御が実行される。
一方、学習促進要求フラグXZLの値が「1」であると、CPU81はステップ1310にて「Yes」と判定してステップ1330に進み、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「0」であるか否かを判定する。このとき、上述した図12のステップ1250において空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」に設定されていると、CPU81はステップ1330にて「No」と判定し、前述したステップ1320に進む。従って、通常学習制御が実行される。
これに対し、CPU81がステップ1330に進んだとき、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「0」に設定されていると、CPU81はステップ1330にて「Yes」と判定してステップ1340に進む。そして、CPU81は、ステップ1340にて、図11のステップ1140にて使用される上記(12)式(又は上記(13)式)中の値pを第2の値(学習促進速度対応値)pLargeに設定する。この第2の値pLargeは第1の値pSmallよりも大きい。この結果、図11のステップ1140にて、新たに求められた積分項Ki・SDVoxsが学習値Vafsfbgに大きな割合で取り込まれるので、学習値Vafsfbgは速やかにサブフィードバック量Vafsfbの収束値へと接近する。或いは、図11のステップ1140にて上記(13)式が用いられると、学習値VafsfbgはサブFB学習値Vafsfbgの定常値に速やかに接近する。即ち、学習促進制御が実行される。
以上、説明したように、第1制御装置は、学習値Vafsfbgを速やかにサブフィードバック量Vafsfbの収束値へと接近させる学習促進制御の要求が発生しても(即ち、学習促進要求フラグXZLの値が「1」に設定されても)、蒸発燃料ガス濃度学習値の更新回数CFGPGが更新回数閾値CFGPGthよりも小さく、従って、基本燃料噴射量Fbに対するパージ補正係数FPGによる補正が十分でないためにエバポパージに起因する「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生すると推定されるとき(即ち、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」に設定されているとき)、学習促進制御を禁止する。従って、学習値Vafsfbgが本来収束すべき値と相違する値に変化することを回避することができる。
なお、第1制御装置は、
複数の気筒を有する多気筒内燃機関10に適用され、
前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒の燃焼室25(本例では、総ての気筒の燃焼室25)から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒53と、
前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室25(本例では、総ての気筒の燃焼室25)に供給される混合気に含まれる燃料を噴射する燃料噴射弁39と、
前記排気通路であって前記触媒53よりも下流側の部位に配設されるとともに同配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する下流側空燃比センサ68と、
所定の第1更新タイミング(図11のルーチンが実行されるタイミング)が到来する毎に前記下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標空燃比に応じた値(下流側目標値Voxsref=理論空燃比相当値Vst)に一致させるための第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)を、下流側空燃比センサの出力値Voxsと同下流側目標空燃比に応じた値(下流側目標値Voxsref)との差である第1偏差(出力偏差量DVoxs)に基いて更新する第1フィードバック量更新手段(図11のルーチンの特にステップ1105〜ステップ1130を参照。)と、
所定の第2更新タイミング(図11のルーチンが実行されるタイミング)が到来する毎に前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)に基いて同第1フィードバック量の定常成分を取り込むように同第1フィードバック量の学習値(サブFB学習値Vafsfbg)を更新する学習手段(図11のルーチンの特にステップ1135〜ステップ1155を参照。)と、
前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)及び前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)のうちの少なくとも一方に基いて前記燃料噴射弁39から噴射される燃料の量を制御することにより前記触媒53に流入する排ガスの空燃比を制御する空燃比制御手段(図6及び図7のルーチンを参照。)と、
を備えた内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記学習値と同学習値が収束すべき値との差である第2偏差が所定値以上である学習不足状態が発生しているか否かを推定する(図11のステップ1160及び図12のルーチンを参照。)とともに、同学習不足状態が発生していると推定されるとき(学習促進要求フラグXZLの値が「1」のとき)同学習不足状態が発生していないと推定されるとき(学習促進要求フラグXZLの値が「0」のとき)に比較して前記学習値の更新速度を増大させる学習促進制御を実行する学習促進手段(図13のルーチン及び図11のステップ1140の値pを参照。)と、
前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室25(本例では、総ての気筒の燃焼室25)に供給される混合気の空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生するか否かを推定する(図10のステップ1040)とともに同外乱が発生すると推定されるとき(空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」であるとき)前記学習促進制御を禁止する学習促進禁止手段(図13のステップ1330及びステップ1320を参照。)と、
を備えた内燃機関の空燃比制御装置である。
また、前記空燃比制御手段は、
前記排気集合部又は前記排気集合部と前記触媒(53)との間の前記排気通路に配設されるとともに同配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサ(67)と、
前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比を前記下流側目標空燃比と同じ空燃比である上流側目標空燃比abyfrと一致させるための基本燃料噴射量Fbを前記機関の吸入空気量と同上流側目標空燃比とに基いて決定する基本燃料噴射量決定手段(図6のステップ610及びステップ630を参照。)と、
所定の第3更新タイミングが到来する毎(図7のルーチンが実行されるタイミング)に前記上流側空燃比センサ(67)の出力値Vabyfsと前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)と前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)とに基づき前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比が前記上流側目標空燃比abyfrに一致するように前記基本燃料噴射量Fbを補正するための第2フィードバック量(メインフィードバック係数FAF、又は、少なくともメインフィードバック係数FAFとパージ補正係数FPGとの積(FAF・FPG))を更新する第2フィードバック量更新手段(図7のルーチン及び図6のステップ650を参照。)と、
前記第2フィードバック量により前記基本燃料噴射量(Fb)を補正することにより得られる燃料噴射量(Fi)の燃料を前記燃料噴射弁39から噴射させる燃料噴射指示手段(図6のステップ650及びステップ660を参照。)と、
を含む。
更に、第1制御装置において、
前記学習手段は、
前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)を前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)又は前記第1フィードバック量に含まれる定常成分(例えば、積分項Ki・SDVoxs)に除々に接近させるように前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)の更新を行うように構成され(図11のステップ1140を参照。)、
前記学習促進手段は、
前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)の更新速度(図11のステップ1140における値p)を前記学習不足状態が発生していると推定されるときに前記学習不足状態が発生していないと推定されるときよりも大きくするように前記第1フィードバック量更新手段に対して指示を与えるように構成されている(図13のルーチンを参照。)。
更に、第1制御装置は以下のように表現される装置である。
前記燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンク(45)と、
前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する通路部であって同燃料タンクと同吸気通路とを接続したパージ通路部(48)と、
前記パージ通路部に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたパージ制御弁(49)と、
前記機関の運転状態に応じて前記パージ制御弁(49)の開度を変更するように前記指示信号を前記パージ制御弁(49)に与えるパージ制御手段(図9のルーチンを参照。)と、
を備え、
前記第2フィードバック量更新手段は、
前記パージ制御弁が0でない所定の開度に開かれているとき少なくとも前記上流側空燃比センサの出力値Vabyfsに基いて前記蒸発燃料ガスの濃度に関連する値を蒸発燃料ガス濃度学習値(蒸発燃料ガス濃度学習値FGPG)として更新する(図10のルーチンを参照。)とともに同蒸発燃料ガス濃度学習値(FGPG)にも基いて前記第2フィードバック量(少なくともメインフィードバック係数FAFとパージ補正係数FPGとの積(FAF・FPG))を更新するように構成され、
前記学習促進禁止手段は、
前記蒸発燃料ガス濃度学習値(FGPG)の前記機関の始動後からの更新回数(CFGPG)が所定の更新回数閾値(CFGPGth)よりも小さいとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された(図10のステップ1035乃至ステップ1050を参照。)空燃比制御装置。
この第1制御装置によれば、機関の空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生する可能性が高い場合、即ち、蒸発燃料ガス濃度学習値が十分に更新されていないために(CFGPG<CFGPGth)蒸発燃料ガスの機関の空燃比への影響が第2フィードバック量により十分には補償されていない場合、学習促進制御が禁止(中止を含む。)される。従って、サブFB学習値Vafsfbgが適正値から乖離してしまう可能性を低減することができる。その結果、エミッションが悪化する期間を短くすることができる。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第2制御装置」とも称呼する。)について説明する。第2制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件のみが第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
第2制御装置のCPU81は、図10のステップ1035乃至ステップ1050を図14のステップ1410乃至ステップ1430に置換したルーチンを実行する。即ち、CPU81は、図10のステップ1030にて蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGを更新した後、図14のステップ1410に進む。そして、CPU81は、ステップ1410にて蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGが濃度学習閾値FGPGth以下であるか否かを判定する。前述したように、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGは、蒸発燃料ガスの濃度が高いほど小さい値になる。従って、CPU81は、ステップ1410にて「蒸発燃料ガス濃度が所定の濃度閾値以上であるか否か」を判定していることになる。
このとき、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGが濃度学習閾値FGPGth以下であれば(即ち、蒸発燃料ガス濃度が所定の濃度閾値以上であれば)、CPU81はステップ1410にて「Yes」と判定し、ステップ1420に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。即ち、この場合、CPU81は、エバポパージに起因する「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定する。その後、CPU81はステップ1095へと進む。
これに対し、CPU81がステップ1410に進んだとき、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGが濃度学習閾値FGPGthよりも大きければ(即ち、蒸発燃料ガス濃度が所定の濃度閾値より小さければ)、CPU81はステップ1410にて「No」と判定し、ステップ1430に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。即ち、この場合、CPU81は、エバポパージに起因する「空燃比を変動させる外乱は発生しない」と推定する。その後、CPU81はステップ1095へと進む。
以上、説明したように、第2制御装置は、
前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値(蒸発燃料ガス濃度学習値FGPG)を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると推定されるとき(図14のステップ1410での「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図14のルーチン)を備える。
なお、第2制御装置は、パージ制御弁49よりも下流(サージタンク41b側)のパージ流路管48(即ち、パージ通路部)に「蒸発燃料ガス濃度センサ」を配設し、その蒸発燃料ガス濃度センサによって検出される蒸発燃料ガス濃度(検出ガス濃度)が所定濃度閾値以上であるときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定し、その検出ガス濃度が所定濃度閾値よりも小さいときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定するように構成されることもできる。
蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。従って、第2制御装置のように、蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると推定されるときに「蒸発燃料ガスパージに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第3制御装置」とも称呼する。)について説明する。第3制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件のみが第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
第3制御装置のCPU81は、図10のステップ1035乃至ステップ1050を図15のステップ1510乃至ステップ1530に置換したルーチンを実行する。即ち、CPU81は、図10のステップ1030にて蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGを更新した後、図15のステップ1510に進む。そして、CPU81は、ステップ1510にて「図10のステップ1020にて求めた更新値tFG」が濃度学習変化閾値tFGth以下であるか否かを判定する。ここで、濃度学習変化閾値tFGthは負の所定値である。
図10に示したルーチンは所定時間の経過毎に実行されるから、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新値tFGは「蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの時間的変化量」と等価である。更に、蒸発燃料ガス濃度が急増しているときメインフィードバック係数FAFは急激に小さくなり、それに伴って、補正係数平均FAFAVも急激に減少する。このため、上記(22)式から理解されるように、蒸発燃料ガス濃度が急増しているとき更新値tFGも急激に小さくなる。従って、CPU81は、ステップ1510にて「蒸発燃料ガス濃度の変化(増大速度)が所定濃度変化閾値以上であると推定されるか否かを判定していることになる。
このとき、更新値tFGが濃度学習変化閾値tFGth以下であれば(即ち、蒸発燃料ガス濃度の変化(変化速度)が所定濃度変化閾値以上であれば)、CPU81はステップ1510にて「Yes」と判定し、ステップ1520に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。即ち、この場合、CPU81は、エバポパージに起因する「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定する。その後、CPU81はステップ1095へと進む。
これに対し、CPU81がステップ1510に進んだとき、更新値tFGが濃度学習変化閾値tFGthよりも大きければ(即ち、蒸発燃料ガス濃度の変化(変化速度)が所定濃度変化閾値よりも小さければ)、CPU81はステップ1510にて「No」と判定し、ステップ1530に進んで空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。即ち、この場合、CPU81は、エバポパージに起因する「空燃比を変動させる外乱は発生しない」と推定する。その後、CPU81はステップ1095へと進む。
なお、第3制御装置は、パージ制御弁49よりも下流(サージタンク41b側)のパージ流路管48(即ち、パージ通路)に「蒸発燃料ガス濃度センサ」を配設し、その蒸発燃料ガス濃度センサによって検出される蒸発燃料ガス濃度(検出ガス濃度)に基いて「蒸発ガス濃度の単位時間あたりの蒸発燃料ガス濃度変化量(即ち、蒸発燃料ガス濃度変化速度)を取得し、その取得した蒸発燃料ガス濃度変化量が所定濃度変化閾値以上であるときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定し、その取得した蒸発燃料ガス濃度変化量が所定濃度変化閾値よりも小さいときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定するように構成されることもできる。
更に、第3制御装置は、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの単位時間あたりの変化量(蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの変化速度)を取得し、その取得した蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの単位時間あたりの変化量に基づいて蒸発燃料ガス濃度変化速度を取得し、その取得した蒸発燃料ガス濃度変化速度が所定濃度変化閾値以上であるときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定し、その取得した蒸発燃料ガス濃度変化速度が所定濃度変化閾値よりも小さいときに空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定するように構成されることもできる。
以上、説明したように、第3制御装置は、前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値(蒸発燃料ガス濃度学習値FGPG)を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると推定されるとき(図15のステップ1510にて「Yes」と判定されるとき)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図15のルーチンを参照。)を備える。
蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。従って、第3制御装置のように、蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると推定されるときに「蒸発燃料ガスパージに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定することにより、学習促進制御が適切に禁止される。
第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第4制御装置」とも称呼する。)について説明する。第4制御装置は、バルブオーバーラップ期間を制御する点、及び、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第1制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用している点、においてのみ、第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
バルブオーバーラップ期間は、図16に示したように、ある気筒に着目したとき、その気筒の「吸気弁32及び排気弁35」が共に開弁している期間である。このバルブオーバーラップ期間の開始時期は吸気弁32の開弁時期INOであり、終了時期は排気弁35の閉弁時期EXCである。
吸気弁32の開弁時期INOは、吸気上死点TDCからの進角度θino(θino>0)により表される。進角度θinoの単位はクランク角(°)である。換言すると、吸気弁32は吸気上死点前θino(BTDCθino)にて開弁する。進角度θinoは「吸気弁開弁時期進角量」とも称呼される。
排気弁35の閉弁時期EXCは、吸気上死点TDCからの遅角度θexc(θexc>0)により表される。遅角度θexcの単位はクランク角(°)である。換言すると、排気弁35は吸気上死点後θexc(ATDCθexc)にて閉弁する。遅角度θexcは「排気弁閉弁時期遅角量」とも称呼される。
従って、バルブオーバーラップ期間の長さを表すバルブオーバーラップ量(単位はクランク角(°))VOLは、吸気弁開弁時期INOを表す進角度θino(吸気弁開弁時期進角量θino)と排気弁閉弁時期EXCを表す遅角度θexc(排気弁閉弁時期遅角量θexc)との和(VOL=θino+θexc)となる。
一般に、バルブオーバーラップ量VOLが大きいほど、そのバルブオーバーラップ期間中に吸気ポート31に排出される既燃ガス(燃焼ガス、内部EGRガス)の量が増大するので、バルブオーバーラップ期間後において吸気弁32が開弁しているときに燃焼室25内に流入する既燃ガスの量(内部EGR量)も増大する。
従って、バルブオーバーラップ量VOLが大きく変化すると(バルブオーバーラップ量VOLの変化速度が大きいと)、内部EGR量が急激に変化する。内部EGR量の急激な変化は、各気筒に供給される混合気の空燃比の間に過渡的な不均衡を発生させる。このような場合、サブフィードバック量Vafsfbも一時的に変動するので、学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行することは好ましくない。このため、第4制御装置は、バルブオーバーラップ量VOLが大きく変化するときに「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定し、学習促進制御を禁止する。
より具体的に述べると、第4制御装置のCPU81は、第1制御装置のCPU81が実行するルーチンに加え、所定時間が経過する毎に図17にフローチャートにより示した「バルブタイミング制御ルーチン」を実行するようになっている。但し、図10のステップ1035乃至ステップ1050は省略される。
従って、所定のタイミングになると、CPU81は図17のステップ1700から処理を開始し、以下に述べるステップ1710乃至ステップ1750の処理を順に行い、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1710:CPU81は、負荷KLと機関回転速度NEとをテーブルMapVOLtgtに適用することによりバルブオーバーラップ量VOLの目標値VOLtgt(目標バルブオーバーラップ量VOLtgt)を決定する。例えば、テーブルMapVOLtgtによれば、目標バルブオーバーラップ量VOLtgtは、中負荷且つ中回転速度領域において最も大きくなるように定められる。更に、テーブルMapVOLtgtによれば、目標バルブオーバーラップ量VOLtgtは、高負荷になるほど又は低負荷になるほど小さくなり、高回転速度又は低回転速度になるほど小さくなるように定められる。
ステップ1720:CPU81は、ステップ1710にて決定された目標バルブオーバーラップ量VOLtgtをテーブルMapθinotgtに適用することにより、吸気弁開弁時期INOを表す吸気弁進角度θinoの目標値(目標吸気弁進角度)θinotgtを決定する。
ステップ1730:CPU81は、ステップ1710にて決定された目標バルブオーバーラップ量VOLtgtをテーブルMapθexctgtに適用することにより、排気弁閉弁時期EXCを表す排気弁遅角度θexcの目標値(目標排気弁遅角度)θexctgtを決定する。
なお、テーブルMapθinotgt及びテーブルMapθexctgtは、それらに目標バルブオーバーラップ量VOLtgtを適用したときに得られる目標吸気弁進角度θinotgtと目標排気弁遅角度θexctgtとの和が、その目標バルブオーバーラップ量VOLtgtに一致するように予め定められている。
ステップ1740:CPU81は、各気筒の吸気弁32が目標吸気弁進角度θinotgt(即ち、BTDCθinotgt)にて開弁するように、可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33aに指示を送出する。
ステップ1750:CPU81は、各気筒の排気弁35が目標排気弁遅角度θexctgt(即ち、ATDCθexctgt)にて閉弁するように、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36aに指示を送出する。
以上により、バルブオーバーラップ時期の制御がなされる。
更に、第4制御装置のCPU81は、所定時間が経過する毎に図18にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図18のステップ1800から処理を開始してステップ1810に進み、「現時点における目標バルブオーバーラップ量VOLtgt」と「前回本ルーチンを実行した際に記憶しておいた所定時間前の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtold(後述するステップ1840を参照。)」との差の絶対値|VOLtgt−VOLtgtold|がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であるか否かを判定する。バルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLthは正の所定値である。差の絶対値|VOLtgt−VOLtgtold|は実質的にバルブオーバーラップ量VOLの変化速度の大きさを表すので、CPU81はステップ1810にて「バルブオーバーラップ量VOLの変化速度の大きさがバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であるか否か」を判定していることになる。
このとき、差の絶対値|VOLtgt−VOLtgtold|がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であると、CPU81はステップ1810にて「Yes」と判定してステップ1820に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大(内部EGR量の変化速度が過大)であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ1820にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ1840に進む。
これに対し、差の絶対値|VOLtgt−VOLtgtold|がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLthよりも小さいと、CPU81はステップ1810にて「No」と判定してステップ1830に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ1830にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ1840に進む。
CPU81は、ステップ1840にて「現時点における目標バルブオーバーラップ量VOLtgt」を「所定時間前の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtold」として記憶する。その後、CPU81はステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、差の絶対値|VOLtgt−VOLtgtold|がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上である場合、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」に設定されるので、CPU81は図13のステップ1330に進んだとき、そのステップ1330にて「No」と判定してステップ1320に進む。従って、学習値Vafsfbgの学習促進制御が禁止される。
なお、第4制御装置のCPU81は、図18のステップ1810において、「現時点における目標バルブオーバーラップ量VOLtgt」から「所定時間前の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtold」を減じた値(VOLtgt−VOLtgtold)がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。これによれば、目標バルブオーバーラップ量VOLtgt(従って、実質的なバルブオーバーラップ量VOL)の増大速度がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上である場合に学習値Vafsfbgの学習促進制御が禁止される。
同様に、第4制御装置のCPU81は、図18のステップ1810において、「所定時間前の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtold」から「現時点における目標バルブオーバーラップ量VOLtgt」を減じた値(VOLtgtold−VOLtgt)がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。これによれば、目標バルブオーバーラップ量VOLtgt(従って、実質的なバルブオーバーラップ量VOL)の減少速度がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上である場合に学習値Vafsfbgの学習促進制御が禁止される。
更に、第4制御装置のCPU81は、図18のステップ1810において、現時点における目標バルブオーバーラップ量VOLtgt」に代えて「現時点における実際のバルブオーバーラップ量VOLact」を用いるとともに、「所定時間前の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtold」に代えて「所定時間前の実際のバルブオーバーラップ量VOLact」を用いるように構成されてもよい。なお、実際のバルブオーバーラップ量VOLactは、実際の吸気弁進角度(実吸気弁進角度)θinoactと実際の排気弁遅角度(実排気弁遅角度)θexcactとの和に基づいて取得することができる。実吸気弁進角度θinoactは、クランクポジションセンサ64及びインテークカムポジションセンサ65からの信号に基づき取得される。実排気弁遅角度θexcactは、クランクポジションセンサ64及びエキゾーストカムポジションセンサ66からの信号に基づき取得される。
以上、説明したように、第4制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室において既に燃焼したガス」であって「その2以上の気筒のそれぞれの圧縮行程の開始時」にそのそれぞれの気筒の燃焼室に存在する筒内残留ガスの量(内部EGR量)を、前記機関の運転状態に応じて制御する内部EGR量制御手段(図17のルーチンを参照。)と、
バルブオーバーラップ量(目標バルブオーバーラップ量VOLtgt又は実バルブオーバーラップ量VOLact)の変化速度が変化速度閾値以上であることにより、前記内部EGR量の変化速度が所定の内部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるとき(図18のステップ1810における「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図18のルーチン)と、
を備える。
更に、第4制御装置は、
バルブオーバーラップ期間を機関10の運転状態に基いて変更するバルブオーバーラップ期間変更手段(図17のルーチンを参照。)と、
「前記バルブオーバーラップ期間の長さ(即ち、バルブオーバーラップ量)の変化速度」が「所定のバルブオーバーラップ量変化速度閾値」以上であると推定されるとき図18のステップ1810における「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図18のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第4制御装置は、バルブオーバーラップ量VOLの急激な変化に起因する「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定されるとき、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第5制御装置」とも称呼する。)について説明する。第5制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第4制御装置が使用する条件とは異なる条件を用いている点、においてのみ、第4制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
前述したように、可変吸気タイミング制御装置33は、作動油の供給・排出によって吸気弁開弁時期INOを変更する機械的な機構を有する。従って、可変吸気タイミング制御装置33により調整される「実際の吸気弁進角度θinoact」は、目標吸気弁進角度θinotgtが変化するとき目標吸気弁進角度θinotgtに対してオーバーシュートする。
同様に、可変排気タイミング制御装置36は、作動油の供給・排出によって排気弁閉弁時期EXCを変更する機械的な機構を有する。従って、可変排気タイミング制御装置36により調整される「実際の排気弁遅角度θexcact」は、目標排気弁遅角度θexctgtが変化するとき目標排気弁遅角度θexctgtに対してオーバーシュートする。
このような「実吸気弁進角度θinoact及び実排気弁遅角度θexcact」のオーバーシュートが発生する期間においては、実際のバルブオーバーラップ量VOLactも目標バルブオーバーラップ量VOLtgtに対してオーバーシュートする。従って、内部EGR量が想定した量よりも過大になるので、各気筒に供給される混合気の空燃比の間に過渡的に不均衡が発生する。このような場合、学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行することは好ましくない。このため、第5制御装置は、「実バルブオーバーラップ量VOLactと目標バルブオーバーラップ量VOLtgtとの差(VOLact−VOLtgt)」が所定値以上になったとき、「空燃比を変動させる外乱が発生した」と推定し、学習促進制御を禁止する。
より具体的に述べると、第5制御装置のCPU81は、第4制御装置のCPU81が実行するルーチンのうち図18を除くルーチンを実行するようになっている。更に、第5制御装置のCPU81は、図18に代わる図19にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU81は図19のステップ1900から処理を開始し、以下に述べるステップ1910乃至ステップ1940の処理を順に行い、ステップ1950に進む。
ステップ1910:CPU81は、別途取得されている実際の吸気弁進角度θinoactを読み込む。この実吸気弁進角度θinoactは、クランクポジションセンサ64及びインテークカムポジションセンサ65からの信号に基づき取得される。
ステップ1920:CPU81は、別途取得されている実際の排気弁遅角度θexcactを読み込む。この実排気弁遅角度θexcactは、クランクポジションセンサ64及びエキゾーストカムポジションセンサ66からの信号に基づき取得される。
ステップ1930:CPU81は、実吸気弁進角度θinoactと実排気弁遅角度θexcactとの和を実際のバルブオーバーラップ量VOLactとして算出する。
ステップ1940:CPU81は、実際のバルブオーバーラップ量VOLactから現時点の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtを減じた値を、バルブオーバーラップ量VOLのオーバーシュート量OSVOLとして取得する。オーバーシュート量OSVOLはクランク角幅として表される。
そして、CPU81はステップ1950にて、上記ステップ1940にて取得したバルブオーバーラップのオーバーシュート量OSVOLが、「所定の正の値であるオーバーシュート閾値(所定クランク角幅閾値)OSVOLth」以上であるか否かを判定する。
このとき、オーバーシュート量OSVOLがオーバーシュート閾値OSVOLth以上であると、CPU81はステップ1950にて「Yes」と判定してステップ1960に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大であるから、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ1960にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ1995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、オーバーシュート量OSVOLがオーバーシュート閾値OSVOLthよりも小さいと、CPU81はステップ1950にて「No」と判定してステップ1970に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいから、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ1970にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ1995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、CPU81は、ステップ1950において、オーバーシュート量OSVOLの絶対値がオーバーシュート閾値OSVOLth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。この場合、実際のバルブオーバーラップ量VOLactが現時点の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtを大きく上回る場合のみでなく、実際のバルブオーバーラップ量VOLactが現時点の目標バルブオーバーラップ量VOLtgtを大きく下回る場合においても、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」に設定され、学習促進制御が禁止される。
以上、説明したように、第5制御装置は、
内部EGR量を変更するための制御量(バルブオーバーラップ量)を指示信号に応じて変更する内部EGR量変更手段(可変吸気タイミング制御装置33及び可変排気タイミング制御装置36)と、
前記機関の運転状態に応じて前記内部EGR量を変更するための制御量の目標値(目標バルブオーバーラップ量VOLtgt)を取得する制御量目標値取得手段(図17のステップ1710を参照。)と、
前記内部EGR量変更手段に対し前記制御量の実際の値が前記制御量の目標値に一致するように前記指示信号を与える内部EGR量制御手段(図17のステップ1720乃至ステップ1750)と、
前記内部EGR量を変更するための制御量の実際の値(実際のバルブオーバーラップ量VOLact)を取得するとともに、同取得された制御量の実際の値(VOLact)と前記制御量の目標値(VOLtgt)との差(OSVOL)が所定の制御量差閾値(OSVOLth)以上であると推定されるとき(図19のステップ1950における「Yes」の判定を参照。)前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定する学習促進禁止手段(図19のルーチンを参照。)と、
を備える。
更に、第5制御装置は、
バルブオーバーラップ期間が前記機関の運転状態に基いて定められる目標オーバーラップ期間(目標吸気弁進角度θinotgto及び目標排気弁遅角度θexcにより定まる期間)に一致するように同バルブオーバーラップ期間を変更するバルブオーバーラップ期間変更手段(可変吸気タイミング制御装置33、可変排気タイミング制御装置36及び図17のルーチンを参照。)を備え、
前記バルブオーバーラップ期間の長さであるバルブオーバーラップ量の実際値(VOLact)を取得するとともに、同取得されたバルブオーバーラップ量の実際値(VOLact)と前記目標オーバーラップ期間の長さである目標オーバーラップ量(VOLtgt)との差(バルブオーバーラップ量差(OSVOL))が所定のバルブオーバーラップ量差閾値(OSVOLth)以上であると判定されるとき(図19のステップ1950における「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定する学習促進禁止手段(図19のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第5制御装置は、「実際のバルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量に対して過大(又は過小)になること」に起因して内部EGR量が過大(又は過小)となり、それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある場合、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第6制御装置」とも称呼する。)について説明する。第6制御装置は、負荷KL及び機関回転速度NEから「吸気弁進角度θino及び排気弁遅角度θexc」を直接決定する点、及び、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第4制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用している点、においてのみ、第4制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
上述した第4制御装置は、バルブオーバーラップ量の変化速度の大きさ(|VOLtgt−VOLtgtold|)がバルブオーバーラップ量変化速度閾値ΔVOLth以上であるとき、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定した。これに対し、第6制御装置は、吸気弁開弁時期INOが急激に変化するとき、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。これは、バルブオーバーラップ量VOLが同じであっても、吸気弁開弁時期INO(即ち、バルブオーバーラップ期間の開始時期)により内部EGR量が変化するからである。
より具体的に述べると、第6制御装置のCPU81は、所定時間が経過する毎に図20にフローチャートにより示した「バルブタイミング制御ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU81は図20のステップ2000から処理を開始し、以下に述べるステップ2010乃至ステップ2040の処理を順に行い、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ2010:CPU81は、負荷KLと機関回転速度NEとをテーブルMapθinotgtに適用することにより目標吸気弁進角度θinotgtを決定する。
ステップ2020:CPU81は、負荷KLと機関回転速度NEとをテーブルMapθexctgtに適用することにより目標排気弁遅角度θexcを決定する。
ステップ2030:CPU81は、各気筒の吸気弁32が目標吸気弁進角度θinotgt(即ち、BTDCθinotgt)にて開弁するように、可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33aに指示を送出する。
ステップ2040:CPU81は、各気筒の排気弁35が目標排気弁遅角度θexctgt(即ち、ATDCθexctgt)にて閉弁するように、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36aに指示を送出する。
上記ステップ2010にて使用されるテーブルMapθino及び上記ステップ2020にて使用されるテーブルMapθexctgtは、負荷KL及び機関回転速度NEに応じた所定のバルブオーバーラップ期間(バルブオーバーラップ量及びバルブオーバーラップ期間の開始時期)が実現されるように予め定められている。以上により、バルブオーバーラップ期間の制御がなされる。
更に、第6制御装置のCPU81は、所定時間が経過する毎に図21にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図21のステップ2100から処理を開始してステップ2110に進み、「現時点における目標吸気弁進角度θinotgt」と「前回本ルーチンを実行した際に記憶しておいた所定時間前の目標吸気弁進角度θinotgtold(後述するステップ2140を参照。)」との差の絶対値|θinotgt−θinotgtold|が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定する。進角量変化速度閾値Δθinothは正の所定値である。差の絶対値|θinotgt−θinotgtold|は実質的に吸気弁進角度θino(吸気弁開弁時期INO)の変化速度の大きさを表すので、CPU81はステップ2110にて「吸気弁開弁時期INOの変化速度の大きさが進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否か」を判定していることになる。
このとき、差の絶対値|θinotgt−θinotgtold|が所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であると、CPU81はステップ2110にて「Yes」と判定してステップ2120に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2120にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2140に進む。
これに対し、差の絶対値|θinotgt−θinotgtold|が所定の進角量変化速度閾値Δθinothよりも小さいと、CPU81はステップ2110にて「No」と判定してステップ2130に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2130にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2140に進む。
そして、CPU81はステップ2140にて「現時点における目標吸気弁進角度θinotgt」を「所定時間前の目標吸気弁進角度θinotgtold」として記憶する。その後、CPU81はステップ2195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、第6制御装置のCPU81は、図21のステップ2110において、「現時点における目標吸気弁進角度θinotgt」から「所定時間前の目標吸気弁進角度θinotgtold」を減じた値(θinotgt−θinotgtold)が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。更に、第6制御装置のCPU81は、図21のステップ2110において、「所定時間前の目標吸気弁進角度θinotgtold」から「現時点における目標吸気弁進角度θinotgt」を減じた値(θinotgt−θinotgtold)が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
加えて、第6制御装置のCPU81は、図21のステップ2110において、「現時点における実吸気弁進角度θinoact」と「所定時間前の実吸気弁進角度θinoactold」との差の絶対値|θinoact−θinoactold|が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。更に、第6制御装置のCPU81は、図21のステップ2110において、「現時点における実吸気弁進角度θinoact」から「所定時間前の実吸気弁進角度θinoactold」を減じた値(θinoact−θinoactold)が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。また、第6制御装置のCPU81は、図21のステップ2110において、「所定時間前の実吸気弁進角度θinoactold」から「現時点における実吸気弁進角度θinoact」を減じた値(θinoactold−θinoact)が、所定の進角量変化速度閾値Δθinoth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第6制御装置は、
前記少なくとも2以上の気筒(本例においては、総ての気筒)のそれぞれの吸気弁の開弁時期INOを機関の運転状態に基いて変更する吸気弁開弁時期制御手段(可変吸気タイミング制御装置33及び図20のルーチン)と、
前記吸気弁の開弁時期の変化速度(θinotgt−θinotgtold)が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値(Δθinoth)以上であると推定されるとき(図21のステップ2110ででの「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図21のルーチンを参照。)と、
を備える。
一般に、吸気弁開弁時期INO及び排気弁閉弁時期EXCは「バルブオーバーラップ期間」が存在するように定められている。従って、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の開始時期」である吸気弁開弁時期INO(吸気弁進角度θino)に依存して変化する。そのため、吸気弁開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると、それにより機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これに対し、第6制御装置は、吸気弁開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定するので、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第7実施形態
次に、本発明の第7実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第7制御装置」とも称呼する。)について説明する。第7制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第6制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用している点、においてのみ、第6制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
前述したように、可変吸気タイミング制御装置33は、作動油の供給・排出によって吸気弁開弁時期INOを変更する機械的な機構を有する。従って、可変吸気タイミング制御装置33により調整される「実際の吸気弁進角度θinoact」は、目標吸気弁進角度θinotgtが変化するとき目標吸気弁進角度θinotgtに対してオーバーシュートする。そのようなオーバーシュートが発生する期間においては、内部EGR量が想定した量よりも過大になり且つ内部EGR量の変化も大きいので、各気筒に供給される混合気の空燃比の間に過渡的な不均衡が発生する。このような場合、学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行することは好ましくない。このため、第7制御装置は、「実際の吸気弁進角度θinoactと目標吸気弁進角度θinotgtとの差(θinoact−θinotgt)」が所定値以上になったとき、「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定し、学習促進制御を禁止する。
より具体的に述べると、第7制御装置のCPU81は、第6制御装置のCPU81が実行するルーチンのうち図21を除くルーチンを実行するようになっている。更に、第7制御装置のCPU81は、図21に代わる図22にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU81は図22のステップ2200から処理を開始してステップ2210に進み、「現時点における実際の吸気弁進角度θinoact」と「目標吸気弁進角度θinotgt」との差(θinoact−θinotgt)が所定の吸気弁開弁時期オーバーシュート閾値θinerth以上であるか否かを判定する。
このとき、差(θinoact−θinotgt)が所定の吸気弁開弁時期オーバーシュート閾値θinerth以上であると、CPU81はステップ2210にて「Yes」と判定してステップ2220に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2220にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、差(θinoact−θinotgt)が所定の吸気弁開弁時期オーバーシュート閾値θinerthよりも小さいと、CPU81はステップ2210にて「No」と判定してステップ2230に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2230にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、第7制御装置のCPU81は、図22のステップ2210において、上述した差(θinoact−θinotgt)の絶対値|θinoact−θinotgt|が所定の吸気弁開弁時期オーバーシュート閾値θinerth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第7制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒(本例においては総ての気筒)のそれぞれの吸気弁の開弁時期INO(即ち、吸気弁進角度θino)」が「前記機関の運転状態に基いて定められる目標吸気弁開弁時期(即ち、目標吸気弁進角度θinotgt)」に一致するように、同吸気弁の開弁時期を変更する吸気弁開弁時期制御手段(可変吸気タイミング制御装置33、図20のルーチンのステップ2010及びステップ2030を参照。)と、
前記吸気弁の開弁時期の実際値(実吸気弁進角度θinoact)を取得するとともに、「同取得された吸気弁の開弁時期の実際値(実吸気弁進角度θinoact)」と「前記目標吸気弁開弁時期(目標吸気弁進角度θinotgt)」との差が「所定の吸気弁開弁時期差閾値(θinerth)」以上であると判定されるとき(図22のステップ2210での「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図22のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第7制御装置は、「実際の吸気弁開弁時期が目標吸気弁開弁時期に対して過大(過進角)又は過小(過遅角)になること」に起因して内部EGR量が過大又は過小となり、それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある場合、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第8実施形態
次に、本発明の第8実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第8制御装置」とも称呼する。)について説明する。第8制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第6制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用している点、においてのみ、第6制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
第6制御装置は、吸気弁開弁時期INOが急激に変化するとき、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定した。これに対し、第8制御装置は、排気弁閉弁時期EXCが急激に変化するとき、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。これは、バルブオーバーラップ量VOL及び/又は吸気弁開弁時期INO(即ち、バルブオーバーラップ期間の開始時期)が同じであっても、排気弁閉弁時期EXC(即ち、バルブオーバーラップ期間の終了時期)によって内部EGR量が変化するからである。
より具体的に述べると、第8制御装置のCPU81は、第6制御装置のCPU81が実行するルーチンのうち図21を除くルーチンを実行するようになっている。更に、第8制御装置のCPU81は、図21に代わる図23にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU81は図23のステップ2300から処理を開始してステップ2310に進み、「現時点における目標排気弁遅角度θexctgt」と「前回本ルーチンを実行した際に記憶しておいた所定時間前の目標排気弁遅角度θexctgtold(後述するステップ2340を参照。)」との差の絶対値|θexctgt−θexctgtold|が、所定の遅角量変化速度閾値Δθexcth以上であるか否かを判定する。
このとき、差の絶対値|θexctgt−θexctgtold|が所定の遅角量変化速度閾値Δθexcth以上であると、CPU81はステップ2310にて「Yes」と判定してステップ2320に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2320にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2340に進む。
これに対し、差の絶対値|θexctgt−θexctgtold|が所定の遅角量変化速度閾値Δθexcthよりも小さいと、CPU81はステップ2310にて「No」と判定してステップ2330に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2330にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2340に進む。
そして、CPU81はステップ2340にて「現時点における目標排気弁遅角度θexctgt」を「所定時間前の目標排気弁遅角度θexctgtold」として記憶する。その後、CPU81はステップ2395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、第8制御装置のCPU81は、図23のステップ2310において、「現時点における目標排気弁遅角度θexctgt」から「所定時間前の目標排気弁遅角度θexctgtold」を減じた値(θexctgt−θexctgtold)が、所定の遅角量変化速度閾値Δθexcth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。更に、第6制御装置のCPU81は、図23のステップ2310において、「所定時間前の目標排気弁遅角度θexctgtold」から「現時点における目標排気弁遅角度θexctgt」を減じた値(θexctgt−θexctgtold)が、所定の遅角量変化速度閾値Δθexcth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第8制御装置は、
前記少なくとも2以上の気筒(本例においては総ての気筒)のそれぞれの排気弁の閉弁時期EXCを機関の運転状態に基いて変更する排気弁閉弁時期制御手段(可変排気タイミング制御装置36及び図20のルーチン)と、
前記排気弁の閉弁時期の変化速度(θexctgt−θexctgtold)が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値(Δθexcth)以上であると推定されるとき(図23のステップ2310での「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図23のルーチンを参照。)と、
を備える。
前述したように、吸気弁開弁時期INO及び排気弁閉弁時期EXCは「バルブオーバーラップ期間」が存在するように定められている。従って、内部EGR量は「バルブオーバーラップ期間の終了時期」である排気弁閉弁時期EXC(吸気弁進角度θexc)にも依存して変化する。そのため、排気弁閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると、それにより機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある。これに対し、第8制御装置は、排気弁閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると推定されるときに「内部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定するので、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第9実施形態
次に、本発明の第9実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第9制御装置」とも称呼する。)について説明する。第9制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第6制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用している点、においてのみ、第6制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
上述したように、可変排気タイミング制御装置36は、作動油の供給・排出によって排気弁閉弁時期EXCを変更する機械的な機構を有する。従って、可変排気タイミング制御装置36により調整される「実際の排気弁遅角度θexcact」は、目標排気弁遅角度θexctgtが変化するとき目標排気弁遅角度θexctgtに対してオーバーシュートする。そのようなオーバーシュートが発生する期間において、内部EGR量が想定した量よりも過大になり且つ内部EGR量の変化も大きくなる。従って、各気筒に供給される混合気の空燃比の間に過渡的な不均衡が発生する。このような場合にも、学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行することは好ましくない。このため、第9制御装置は、「実際の排気弁遅角度θexcactと目標排気弁遅角度θexctgtとの差(θexcact−θexctgt)」が所定値以上になったとき、「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定し、学習促進制御を禁止する。
より具体的に述べると、第9制御装置のCPU81は、第6制御装置のCPU81が実行するルーチンのうち図21を除くルーチンを実行するようになっている。更に、第9制御装置のCPU81は、図21に代わる図24にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU81は図24のステップ2400から処理を開始してステップ2410に進み、「現時点における実際の排気弁遅角度θexcact」と「目標排気弁遅角度θexctgt」との差(θexcact−θexctgt)が所定の排気弁閉弁時期オーバーシュート閾値θexerth以上であるか否かを判定する。
このとき、差(θexcact−θexctgt)が所定の排気弁閉弁時期オーバーシュート閾値θexerth以上であると、CPU81はステップ2410にて「Yes」と判定してステップ2420に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化が過大であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2420にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、差(θexcact−θexctgt)が所定の排気弁閉弁時期オーバーシュート閾値θexerthよりも小さいと、CPU81はステップ2410にて「No」と判定してステップ2430に進む。即ち、CPU81は、内部EGR量の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2430にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、第9制御装置のCPU81は、図24のステップ2410において、上述した差(θexcact−θexctgt)の絶対値|θexcact−θexctgt|が所定の排気弁閉弁時期オーバーシュート閾値θexerth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第9制御装置は、
「前記少なくとも2以上の気筒(本例においては総ての気筒)のそれぞれの排気弁の閉弁時期EXC(即ち、排気弁遅角度θexc)」が「前記機関の運転状態に基いて定められる目標排気弁閉弁時期(即ち、目標排気弁遅角度θexctgt)」に一致するように同排気弁閉弁時期を変更する排気弁閉弁時期制御手段(可変排気タイミング制御装置36、図20のルーチンのステップ2020及びステップ2040を参照。)と、
前記排気弁の閉弁時期の実際値(実排気弁遅角度θexcact)」を取得するとともに、「同取得された排気弁の閉弁時期の実際値(実排気弁遅角度θexcact)」と「前記目標排気弁閉弁時期(目標排気弁遅角度θexctgt)」との差が「所定の排気弁閉弁時期差閾値(θexerth)」以上であると判定されるとき(図24のステップ2410での「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図24のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第9制御装置は、「実際の排気弁閉弁時期が目標排気弁閉弁時期に対して過大(過進角)又は過小(過遅角)になること」に起因して内部EGR量が過大又は過小となり、それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある場合、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第10実施形態
次に、本発明の第10実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第10制御装置」とも称呼する。)について説明する。第10制御装置は、外部EGR量を制御する点、及び、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第1制御装置が使用する条件とは異なる条件を採用した点、においてのみ、第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
外部EGR量の急激な変化は、各気筒に供給される混合気の空燃比の間に過渡的な不均衡を発生させる。このような場合、学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行することは好ましくない。このため、第10制御装置は、外部EGR率が(以下、単に「EGR率」とも称呼する。)大きく変化したときに「空燃比を変動させる外乱が発生する」と推定し、学習促進制御を禁止する。ここでは、EGR率は、吸入空気量(流量)Gaに対する外部EGRガスの流量の比である。但し、EGR率は、「吸入空気量Gaと外部EGRガスの流量の和」に対する「外部EGRガスの流量」の比と定義されてもよい。
より具体的に述べると、第10制御装置のCPU81は、第1制御装置のCPU81が実行するルーチンに加え、所定時間が経過する毎に図25にフローチャートにより示した「EGR弁制御ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU81は図25のステップ2500から処理を開始し、以下に述べるステップ2510乃至ステップ2530の処理を順に行い、ステップ2595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ2510:CPU81は、負荷KLと機関回転速度NEとをテーブルMapREGRtgtに適用することにより目標EGR率(目標外部EGR率)REGRtgtを決定する。例えば、テーブルMapREGRtgtによれば、目標EGR率REGRtgtは、中負荷且つ中回転速度領域において最も大きくなるように定められる。更に、テーブルMapREGRtgtによれば、目標EGR率REGRtgtは、高負荷になるほど又は低負荷になるほど小さくなり、高回転速度又は低回転速度になるほど小さくなるように定められる。
ステップ2520:CPU81は、ステップ2510にて決定された目標EGR率REGRtgt、吸入空気量Ga、機関回転速度NE及び負荷KLをテーブルMapDEGRに適用することにより、EGR弁55に付与すべきデューティ比DEGRを決定する。テーブルMapDEGRは予め実験により得られたデータに基づき作成されている。
ステップ2530:CPU81は、ステップ2520にて決定されたデューティ比DEGRに基いてEGR弁55の開度を制御する。
以上により、外部EGR量(即ち、EGR率)の制御がなされる。
更に、第10制御装置のCPU81は、所定時間が経過する毎に図26にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図26のステップ2600から処理を開始してステップ2610に進み、「現時点における目標EGR率REGRtgt」と「前回本ルーチンを実行した際に記憶しておいた所定時間前の目標EGR率REGRtgtold(後述するステップ2640を参照。)」との差の絶対値|REGRtgt−REGRtgtold|がEGR率変化速度閾値ΔREGRth以上であるか否かを判定する。
このとき、差の絶対値|REGRtgt−REGRtgtold|がEGR率変化速度閾値ΔREGRth以上であると、CPU81はステップ2610にて「Yes」と判定してステップ2620に進む。即ち、CPU81は、外部EGR率(従って、外部EGR量)の変化が過大であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2620にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2640に進む。
これに対し、差の絶対値|REGRtgt−REGRtgtold|がEGR率変化速度閾値ΔREGRthよりも小さいと、CPU81はステップ2610にて「No」と判定してステップ2630に進む。即ち、CPU81は、外部EGR率(従って、外部EGR量)の変化は小さいので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2630にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2640に進む。
CPU81は、ステップ2640にて「現時点における目標EGR率REGRtgt」を「所定時間前の目標EGR率REGRtgtold」として記憶する。その後、CPU81はステップ2695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、差の絶対値|REGRtgt−REGRtgtold|がEGR率変化速度閾値ΔREGRth以上である場合、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」に設定されるので、CPU81は図13のステップ1330に進んだとき、そのステップ1330にて「No」と判定してステップ1320に進む。従って、学習値Vafsfbgの学習促進制御が禁止される。
なお、第10制御装置のCPU81は、図26のステップ2610において、「現時点における目標EGR率REGRtgt」から「所定時間前の目標EGR率REGRtgtold」を減じた値(REGRtgt−REGRtgtold)がEGR率変化速度閾値ΔREGRth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。また、第10制御装置のCPU81は、図26のステップ2610において、「所定時間前の目標EGR率REGRtgtold」から「現時点における目標EGR率REGRtgt」を減じた値(REGRtgtold−REGRtgt)がEGR率変化速度閾値ΔREGRth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第10制御装置は、
前記機関の排気通路であって前記触媒(53)よりも上流側の部位と前記機関の吸気通路(サージタンク41b)とを接続する排気還流管(54)と、
前記排気還流管に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたEGR弁(55)と、
前記機関の運転状態に応じて前記EGR弁(55)の開度を変更することにより前記排気還流管を流れて前記吸気通路に導入される外部EGRの量を変更するように前記指示信号を前記EGR弁に与える外部EGR量制御手段(図25のルーチンを参照。)と、
前記外部EGRの量(本例においては外部EGR率)の変化速度(REGRtgt−REGRtgtold)が所定の外部EGR量変化速度閾値(EGR率変化速度閾値ΔREGRth)以上であると推定されるとき(図26のステップ2610での「Yes」の判定を参照。)前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図26のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第10制御装置は、外部EGRの量(外部EGR率)の急激な変化に起因する「外部EGRに起因する前記空燃比を過渡的に変動させる外乱」が発生すると推定されるとき、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第11実施形態
次に、本発明の第11実施形態に係る多気筒内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第11制御装置」とも称呼する。)について説明する。第11制御装置は、空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」及び「0」に設定する条件として第10制御装置が使用する条件とは異なる条件を用いている点、においてのみ、第10制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
より具体的に述べると、第11制御装置のCPU81は、第10制御装置のCPU81が実行するルーチンのうち図26を除くルーチンを実行するようになっている。更に、第9制御装置のCPU81は、図26に代わる図27にフローチャートにより示した「空燃比外乱発生判定ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU81は図27のステップ2700から処理を開始してステップ2710に進み、図25のステップ2520にて決定されたデューティ比DEGRをテーブルMapAEGRtgtに適用することにより、目標EGR弁開度AEGRVtgtを取得する。目標EGR弁開度は、EGR弁55がデューティ比DEGRにて駆動されたときに収束するEGR弁開度である。
次に、CPU81は、ステップ2720に進み、「現時点においてEGR弁開度センサ70により検出された実際のEGR弁開度AEGRVact」と「目標EGR弁開度AEGRVtgt」との差(AEGRVact−AEGRVtgt)が所定のEGR弁オーバーシュート閾値Aeerth以上であるか否かを判定する。換言すると、CPU81はステップ2720にて、実際の外部EGR率と目標EGR率との差が所定値以上であるか否かを判定する。
このとき、差(AEGRVact−AEGRVtgt)が所定のEGR弁オーバーシュート閾値Aeerth以上であると、CPU81はステップ2720にて「Yes」と判定してステップ2730に進む。即ち、CPU81は、外部EGR率(従って、外部EGR量)が過剰であるので、空燃比を変動させる外乱が発生すると推定する。そして、CPU81は、ステップ2730にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「1」に設定する。その後、CPU81はステップ2795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、差(AEGRVact−AEGRVtgt)が所定のEGR弁オーバーシュート閾値Aeerthよりも小さいと、CPU81はステップ2720にて「No」と判定してステップ2740に進む。即ち、CPU81は、外部EGR率(従って、外部EGR量)が過剰ではないので、空燃比を変動させる外乱は発生しないと推定する。そして、CPU81は、ステップ2740にて空燃比外乱発生フラグXGIRNの値を「0」に設定する。その後、CPU81はステップ2795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、第11制御装置のCPU81は、図27のステップ2720において、上述した差(AEGRVact−AEGRVtgt)の絶対値|AEGRVact−AEGRVtgt|が所定のEGR弁オーバーシュート閾値Aeerth以上であるか否かを判定するように構成されてもよい。
以上、説明したように、第11制御装置は、
前記排気還流管(54)と、前記EGR弁(55)と、
前記機関の運転状態に応じて前記EGR弁の開度を変更することにより前記排気還流管を流れて前記吸気通路に導入される外部EGRの量を変更するように前記指示信号(DEGR)を前記EGR弁(55)に与える外部EGR制御手段(図25のルーチンを参照。)と、
前記EGR弁の実際の開度(AEGRVact)を取得するとともに、同取得されたEGR弁の実際の開度(AEGRVact)と前記EGR弁に与えられている指示信号(DEGR)により定まる前記EGR弁の開度(AEGRVtgt)との差(AEGRVact−AEGRVtgt)が所定のEGR弁開度差閾値(EGR弁オーバーシュート閾値Aeerth)以上であると推定されるとき(図27のステップ2720での「Yes」の判定を参照。)、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された学習促進禁止手段(図27のルーチンを参照。)と、
を備える。
従って、第11制御装置は、「実際のEGR弁の開度が目標EGR弁開度に対して過大(又は過小)になること」に起因して外部EGR量が過大(又は過小)となり、それにより、機関の空燃比が過渡的に変動する虞がある場合、学習促進制御を適切に禁止することができる。
第1変形例
次に、本発明の各実施形態に係る空燃比制御装置の第1変形例(以下、「第1変形装置」とも称呼する。)について説明する。第1変形装置は、各実施形態のCPU81が実行する図13に示したルーチンに代え、図28に示したサブFB学習値Vafsfbgの学習促進ルーチン(その2)を所定時間の経過毎に実行している。なお、図28において図13に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図13のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は省略される。
CPU81は、学習促進要求フラグXZLの値が「0」である場合、又は、学習促進要求フラグXZLの値が「1」であるが空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「1」である場合、ステップ2810に進む。そして、CPU81は、そのステップ2810にて、比例ゲインKpを通常値KpSmallに設定するとともに、積分ゲインKiを通常値KiSmallに設定する。この比例ゲインKp及び積分ゲインKiは、先に説明した図11のステップ1115にて使用されるゲインである(上記(11)式を参照。)。従って、この場合、比例ゲインKp及び積分ゲインKiが何れも通常値(学習促進制御非実行時の値)に設定されるので、サブフィードバック量Vafsfbは比較的緩慢に変化する。その結果、学習値Vafsfbgも緩慢に変化し、学習値Vafsfbgはサブフィードバック量Vafsfbの収束値へと穏やかに接近する。即ち、通常学習制御が実行される。
これに対し、CPU81は、学習促進要求フラグXZLの値が「1」であり且つ空燃比外乱発生フラグXGIRNの値が「0」である場合、ステップ2820に進む。そして、CPU81は、そのステップ2820にて、比例ゲインKpを通常値KpSmallよりも大きい促進値KpLargeに設定するとともに、積分ゲインKiを通常値KiSmallよりも大きい促進値KiLargeに設定する。この結果、サブフィードバック量Vafsfbは比較的迅速に変化する。その結果、学習値Vafsfbgも迅速に変化し、学習値Vafsfbgはサブフィードバック量Vafsfbの収束値へと速やかに接近する。即ち、学習促進制御が実行される。
なお、第1変形装置において、ステップ2810にて図13のステップ1320の処理(図11のステップ1140にて使用される値pを第1の値pSmallに設定する処理)を加えるとともに、ステップ2820にて図13のステップ1340の処理(ステップ1140にて使用される値pを第2の値pLargeに設定する処理)を加えてもよい。
以上、説明したように、第1変形装置は、
前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)を「前記第1フィードバック量(サブフィードバック量Vafsfb)又は前記第1フィードバック量に含まれる定常成分」に除々に接近させるように前記学習値の更新を行うように構成された学習手段(図11のルーチンの特にステップ1135〜ステップ1155を参照。)と、
前記第1フィードバック量の更新速度(比例ゲインKp及び積分ゲインKiが大きいほど大きくなる更新速度)を、前記学習不足状態が発生していると推定されるときに前記学習不足状態が発生していないと推定されるときよりも大きくするように前記第1フィードバック量更新手段に対して指示を与えるように構成された学習促進手段(図28のルーチンを参照。)と、
を備える。
第2変形例
次に、本発明の各実施形態に係る空燃比制御装置の第2変形例(以下、「第2変形装置、又は、判定装置」とも称呼する。)について説明する。第2変形装置は、「空燃比気筒間インバランス判定」を実行する。
ところで、前述した上流側空燃比センサ67は、図29に示したように、固体電解質層67aと、排ガス側電極層67bと、大気側電極層67cと、拡散抵抗層67dと、隔壁部67eと、ヒータ67fと、を含んでいる。
固体電解質層67aは酸素イオン導電性酸化物焼結体である。本例において、固体電解質層67aは、ZrO(ジルコニア)にCaOを安定剤として固溶させた「安定化ジルコニア素子」である。固体電解質層67aは、その温度が活性温度以上であるとき、周知の「酸素電池特性」及び「酸素ポンプ特性」を発揮する。
排ガス側電極層67bは、白金(Pt)等の触媒活性の高い貴金属からなる。排ガス側電極層67bは、固体電解質層67aの一つの面上に形成されている。排ガス側電極層67bは、化学メッキ等により浸透性を十分に有するように(即ち、多孔質状に)形成されている。
大気側電極層67cは、白金(Pt)等の触媒活性の高い貴金属からなる。大気側電極層67cは、固体電解質層67aの他の面上であって、固体電解質層67aを挟んで排ガス側電極層67bに対向するように形成されている。大気側電極層67cは、化学メッキ等により浸透性を十分に有するように(即ち、多孔質状に)形成されている。
拡散抵抗層(拡散律速層)67dは、多孔質セラミック(耐熱性無機物質)からなる。拡散抵抗層67dは、排ガス側電極層67bの外側表面を覆うように、例えば、プラズマ溶射法等により形成されている。分子径の小さい水素Hの拡散抵抗層67dにおける拡散速度は、相対的に分子径の大きい「炭化水素HC及び一酸化炭素CO等」の拡散抵抗層67dにおける拡散速度よりも大きい。従って、拡散抵抗層67dの存在により、水素Hは、炭化水素HC及び一酸化炭素CO等よりも「排ガス側電極層67b」に速やかに到達する。上流側空燃比センサ67は、拡散抵抗層67dの外表面が「排ガスに晒される(機関10から排出された排ガスが接する)」ように配置される。
隔壁部67eは、緻密であってガスを透過させないアルミナセラミックスからなる。隔壁部67eは大気側電極層67cを収容する空間である「大気室67g」を形成するように構成されている。大気室67gには大気が導入されている。
ヒータ67fは隔壁部67eに埋設されている。ヒータ67fは通電されたときに発熱し、固体電解質層67aを加熱するようになっている。
上流側空燃比センサ67は、図30に示したように、電源67hを使用する。電源67hは、大気側電極層67c側が高電位となり、排ガス側電極層67bが低電位となるように、電圧Vを印加する。
図30に示したように、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であるとき、上述した酸素ポンプ特性が利用されることにより空燃比が検出される。即ち、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であるとき、排ガス中に多量に含まれる酸素分子が拡散抵抗層67dを通って排ガス側電極層67bに到達する。その酸素分子は電子を受け取って酸素イオンになる。酸素イオンは、固体電解質層67aを通過し、大気側電極層67cにて電子を放出して酸素分子になる。この結果、電源67hの正極から、大気側電極層67c、固体電解質層67a及び排ガス側電極層67bを介して電源67hの負極へと電流Iが流れる。
この電流Iの大きさは、電圧Vの大きさを所定値Vp以上に設定したとき、拡散抵抗層67dの外側表面に到達した排ガスに含まれる酸素分子のうち「拡散抵抗層67dを通って排ガス側電極層67bへと拡散によって到達する酸素分子」の量に応じて変化する。即ち、電流Iの大きさは、排ガス側電極層67bにおける酸素濃度(酸素分圧)に応じて変化する。排ガス側電極層67bにおける酸素濃度は、拡散抵抗層67dの外側表面に到達した排ガスの酸素濃度に応じて変化する。この電流Iは、図31に示したように、電圧Vを所定値Vp以上に設定しても変化しないから、限界電流Ipと呼ばれる。空燃比センサ67は、この限界電流Ip値に基いて空燃比に応じた値を出力する。
これに対し、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であるとき、図32に示したように、上述した酸素電池特性が利用されることにより空燃比が検出される。より具体的に述べると、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であるとき、排ガス中に多量に含まれる未燃物(HC,CO及びH等)が拡散抵抗層67dを通って排ガス側電極層67bに到達する。この場合、大気側電極層67cにおける酸素濃度と排ガス側電極層67bにおける酸素濃度との差(酸素分圧差)が大きくなるので、固体電解質層67aは酸素電池として機能する。印加電圧Vは、この酸素電池の起電力よりも小さくなるように設定される。
従って、大気室67gに存在する酸素分子は大気側電極層67cにて電子を受け取って酸素イオンとなる。その酸素イオンは、固体電解質層67aを通過し、排ガス側電極層67bへと移動する。そして、排ガス側電極層67bにて未燃物を酸化し、電子を放出する。この結果、電源67hの負極から、排ガス側電極層67b、固体電解質層67a及び大気側電極層67cを介して電源67hの正極へと電流Iが流れる。
この電流Iの大きさは、大気側電極層67cから固体電解質層67aを通って排ガス側電極層67bに到達する酸素イオンの量により定まる。前述したように、この酸素イオンは排ガス側電極層67bにて未燃物を酸化するために使用される。従って、拡散により拡散抵抗層67dを通過して排ガス側電極層67bに到達する未燃物の量が多いほど、固体電解質層67aを通過する酸素イオンの量は多くなる。換言すると、空燃比が小さいほど(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であって未燃物の量が多いほど)、電流Iの大きさは大きくなる。但し、拡散抵抗層67dの存在により、排ガス側電極層67bに到達する未燃物の量は制限されるので、電流Iは空燃比に応じた一定値Ipとなる。上流側空燃比センサ67は、この限界電流Ip値に基いて空燃比に応じた値を出力する。この結果、上流側空燃比センサ67は、図3に示した出力値Vabyfsを出力する。
上述したように、下流側空燃比センサ68は、周知の濃淡電池型の酸素濃度センサ(O2センサ)である。下流側空燃比センサ68は、例えば、図29に示した上流側空燃比センサ67と同様な構成を備える(但し、電源67hを除く。)。或いは、下流側空燃比センサ68は、試験管状の固体電解質層と、固体電解質層の外側に形成された排ガス側電極層と、大気室(固体電解質層の内側)に露呈し且つ固体電解室層を挟んで排ガス側電極層と対向するように固体電解質層に形成された大気側電極層と、排ガス側電極層を覆い且つ排ガスが接触する(排ガス中に晒されるように配置される)拡散抵抗層と、を備えるものであってもよい。
(空燃比気筒間インバランス判定の原理)
次に、上記判定装置による「空燃比気筒間インバランス判定」の原理について説明する。空燃比気筒間インバランス判定とは、気筒間における空燃比の不均一性が警告必要値以上となったか否か、換言すると、気筒別空燃比の間に(エミッション上許容できない程度の)不均衡(即ち、空燃比気筒間インバランス)が生じているか否か、を判定することである。
機関10の燃料は炭素と水素との化合物である。従って、燃料が燃焼して水HOと二酸化炭素COへと変化する過程において、「炭化水素HC、一酸化炭素CO及び水素H等」の未燃物が中間生成物として生成される。
燃焼に供される混合気の空燃比が理論空燃比よりも小さくなるほど(即ち、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比になるほど)、燃料が完全燃焼するために必要な酸素の量と実際の酸素の量との差が増大する。換言すると、リッチ側の空燃比になるほど燃焼途中における酸素の不足量が増大し、酸素濃度が低下するから、中間生成物(未燃物)が酸素と出合って結合する(酸化される)確率が急激に小さくなる。この結果、図33に示したように、気筒から排出される未燃物(HC、CO及びH)の量は、気筒に供給される混合気の空燃比がリッチ側の空燃比になるほど急激に(二次関数的に)増大する。なお、図33の点P1、点P2及び点P3は、ある気筒に供給される燃料の量が、その気筒の空燃比が理論空燃比に一致する場合の燃料の量に対して、それぞれ10%(=AF1)、30%(=AF2)及び40%(=AF3)だけ過剰となった点を示す。
更に、水素Hは、炭化水素HC及び一酸化炭素CO等に比べて小さい分子である。従って、水素Hは他の未燃物(HC,CO)に比較して、上流側空燃比センサ67の拡散抵抗層67dを迅速に拡散する。このため、HC,CO及びHからなる未燃物が多量に発生すると、拡散抵抗層67dにおいて水素Hの選択的拡散(優先的な拡散)が顕著に発生する。即ち、水素Hは、空燃比検出素子の表面(固体電解質層67aの表面に形成された排ガス側電極層67b)に「他の未燃物(HC,CO)」よりも多量に到達するようになる。この結果、水素Hの濃度と他の未燃物(HC,CO)の濃度とのバランスが崩れる。換言すると、「上流側空燃比センサ67の空燃比検出素子(排ガス側電極層67b)に到達した排ガス」に含まれる全未燃成分に対する水素Hの割合は、「機関10から排出された排ガス」に含まれる全未燃成分に対する水素Hの割合よりも大きくなる。
ところで、上述した上流側目標空燃比abyfrは理論空燃比stoichに設定される。更に、下流側目標値Voxsrefは理論空燃比に相当する値(0.5V)に設定される。
いま、空燃比気筒間インバランスが発生していない状態において、各気筒の空燃比が一律にリッチ側に偏移した場合を想定する。このような状態は、例えば、燃料噴射量を算出する際の基本量となる「機関の吸入空気量の測定値又は推定値」が「真の吸入空気量」よりも大きくなったとき等において発生する。
この場合、例えば、各気筒の空燃比が図33に示したAF2であった仮定する。ある気筒の空燃比がAF2であると、ある気筒の空燃比がAF2よりも理論空燃比に近い空燃比AF1である場合に比べ、より多くの未燃物(従って、水素H)が排ガスに含まれる(点P1及び点P2を参照。)。従って、上流側空燃比センサ67の拡散抵抗層67dにおいて「水素Hの選択的拡散」が発生する。
しかしながら、この場合、「各気筒が一回の燃焼行程を終了する間(クランク角720度に相当する期間)に機関10に供給される混合気」の空燃比の真の平均値もAF2である。更に、上述したように、図3に示した空燃比変換テーブルMapabyfsは、「水素Hの選択的拡散」を考慮して作成されている。従って、上流側空燃比センサ67の実際の出力値Vabyfsにより表される上流側空燃比abyfs(実際の出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより得られる上流側空燃比abyfs)は、上記「空燃比の真の平均値AF2」に一致する。
それ故、メインフィードバック制御により、機関10全体に供給される混合気の空燃比は「上流側目標空燃比abyfrである理論空燃比」に一致するように修正され、空燃比気筒間インバランスは発生していないから、各気筒の空燃比も理論空燃比に略一致する。従って、サブフィードバック量Vafsfb及びサブFB学習値Vafsfbgは、空燃比の補正を大きく行う値となることはない。換言すると、空燃比気筒間インバランスが発生していない場合、サブフィードバック量Vafsfb及びサブFB学習値Vafsfbgは、空燃比の補正を大きく行う値とならない。
次に、「空燃比気筒間インバランスが発生した場合」の各値の挙動について、上述した「空燃比気筒間インバランスが発生していない場合」の各値の挙動と比較しながら説明する。
例えば、機関10の各気筒に吸入される空気量(重量)がA0であり、各気筒に供給される燃料量(重量)がF0であるとき、空燃比A0/F0が理論空燃比(例えば、14.5)であると仮定する。
そして、吸入空気量の推定誤差等に起因して、各気筒に対して供給(噴射)される燃料量が均等に10%だけ過剰となったと仮定する。即ち、各気筒に1.1・F0の燃料が供給されたと仮定する。このとき、4気筒エンジンである機関10に供給される空気量の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される空気量)は4・A0である。また、機関10に供給される燃料量の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される燃料の量)は4.4・F0(=1.1・F0+1.1・F0+1.1・F0+1.1・F0)である。よって、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値は、4・A0/(4.4・F0)=A0/(1.1・F0)となる。このとき、上流側空燃比センサの出力値は、空燃比A0/(1.1・F0)に応じた出力値となる。
従って、メインフィードバック制御により、各気筒に供給される燃料の量が10%ずつ減量され(各気筒に1・F0の燃料が供給されるようになり)、機関10全体に供給される混合気の空燃比は理論空燃比A0/F0に一致させられる。
これに対し、特定気筒の空燃比のみが大きくリッチ側にずれた場合を想定する。このような状況は、例えば、特定気筒に対して備えられている燃料噴射弁39の噴射特性が「指示された燃料噴射量よりも相当に多い量の燃料を噴射する特性」になった場合に生じる。このような燃料噴射弁39の異常は「燃料噴射弁のリッチずれ異常」とも称呼される。
いま、ある一つの特定気筒に対して供給される燃料の量が40%だけ過剰な量(即ち、1.4・F0)であり、残りの3気筒に対して供給される燃料の量はそれらの気筒の空燃比が理論空燃比と一致するような燃料の量(即ち、1・F0)であると仮定する。この場合、特定気筒の空燃比は図33に示した「AF3」であり、残りの気筒の空燃比は理論空燃比である。
このとき、4気筒エンジンである機関10に供給される空気量の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される空気量)は4・A0である。一方、機関10に供給される燃料の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される燃料の量)は4.4・F0(=1.4・F0+F0+F0+F0)である。
従って、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値は、4・A0/(4.4・F0)=A0/(1.1・F0)となる。即ち、この場合の機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値は、上述した「各気筒に対して供給される燃料の量が均等に10%だけ過剰である場合」と同じ値となる。
しかしながら、前述したように、排ガス中の未燃物(HC、CO及びH)の量は、気筒に供給される混合気の空燃比がリッチ側の空燃比になるほど急激に増大する。このため、「特定気筒に対して供給される燃料の量のみが40%だけ過剰な量となった場合」に排ガスに含まれる水素Hの総量SH1は、図33によれば、SH1=H3+H0+H0+H0=H3+3・H0となる。これに対し、「各気筒に対して供給される燃料の量が均等に10%だけ過剰となった場合」に排ガスに含まれる水素Hの総量SH2は、図33によれば、SH2=H1+H1+H1+H1=4・H1となる。このとき、量H1は量H0よりも僅かに大きいが、量H1及び量H0は共に極めて微量である。即ち、量H1と量H0とは、量H3に比べた場合、互いに略等しいと言える。従って、水素総量SH1は水素総量SH2よりも極めて大きくなる(SH1>>SH2)。
このように、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値が同一であっても、空燃比気筒間インバランスが発生した場合に排ガスに含まれる水素の総量SH1は、空燃比気筒間インバランスが発生していない場合に排ガスに含まれる水素の総量SH2よりも、顕著に大きくなる。
従って、特定気筒に対して供給される燃料の量のみが40%だけ過剰な量となった場合、上述した拡散抵抗層67dにおける「水素Hの選択的拡散」に起因して、上流側空燃比センサの出力値Vabyfsにより表される空燃比は「機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値(A0/(1.1・F0))」よりもリッチ側の空燃比(小さい空燃比)となる。つまり、排ガスの空燃比の平均値が同じであっても、空燃比気筒間インバランスが発生している場合には、空燃比気筒間インバランスが発生していない場合よりも、上流側空燃比センサ67の排ガス側電極層67bにおける水素Hの濃度が高くなるから、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsは「空燃比の真の平均値」よりもリッチ側の空燃比を示す値となるのである。
その結果、メインフィードバック制御により、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均は、理論空燃比よりもリーン側に制御されてしまう。
一方、下流側空燃比センサ68には、上流側触媒53を通過した排ガスが到達する。排ガスに含まれる水素Hは他の未燃物(HC,CO)とともに上流側触媒53において酸化(浄化)される。従って、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsは、機関10全体に供給される混合気の真の空燃比に応じた値となる。従って、サブフィードバック制御にて算出される空燃比の制御量(サブフィードバック量等)は、上記メインフィードバック制御による空燃比のリーン側への過補正を補う値となる。そして、このようなサブフィードバック量等により、機関10の空燃比の真の平均値は理論空燃比に一致させられる。
このように、サブフィードバック制御にて算出される空燃比の制御量(サブフィードバック量)は、燃料噴射弁39のリッチずれ異常(空燃比気筒間インバランス)に起因する「空燃比のリーン側への過補正」を補償するような値となる。また、このリーン側への過補正の程度は、リッチずれ異常を起こした燃料噴射弁39が「指示された噴射量」に比較してより多くの量の燃料を噴射するようになるほど(即ち、特定気筒の空燃比がリッチ側の空燃比になるほど)増大する。
従って、サブフィードバック量が正の値であってその大きさが大きいほど「機関の空燃比がよりリッチ側へと補正されるシステム」においては、「サブフィードバック量に応じて変化する値(実際には、例えば、サブフィードバック量の定常成分を取り込んだサブフィードバック量の学習値)」は、空燃比気筒間インバランスの程度を示す値となる。
かかる知見に基づき、本判定装置は、サブフィードバック量に応じて変化する値(本例において、サブフィードバック量の学習値である「サブFB学習値Vafsfbg」)を、インバランス判定用パラメータとして取得する。つまり、インバランス判定用パラメータは「上流側触媒53を通過する前の排ガスに含まれる水素の量と、上流側触媒53を通過した後の排ガスに含まれる水素の量と、の差が大きいほど、大きくなる値」となる。そして、判定装置は、そのインバランス判定用パラメータが「異常判定閾値」以上となった場合(即ち、サブFB学習値の増減に応じて増減する値が「機関の空燃比を異常判定閾値以上リッチ側に補正することを示す値」となった場合)、空燃比気筒間インバランスが発生したと判定する。
図34の実線は、空燃比気筒間インバランスが発生して、ある一つの気筒の空燃比が理論空燃比からリッチ側及びリーン側に乖離した場合におけるサブFB学習値を示している。図34に示したグラフの横軸は「インバランス割合」である。インバランス割合とは、「理論空燃比Xに対する、理論空燃比Xとそのリッチずれした気筒の空燃比afとの差Y(=X−af)、の比(Y/X)」のことである。前述したように、インバランス割合が大きくなるほど、水素Hの選択的拡散の影響が急激に大きくなる。従って、図34の実線により示されるように、サブFB学習値(従って、インバランス判定用パラメータ)は、インバランス割合が大きくなるのに従って二次関数的に増大する。
なお、図34の実線に示したように、インバランス割合が負の値である場合においても、そのインバランス割合の絶対値が増大するほど、サブFB学習値は増大する。即ち、例えば、一つの特定気筒の空燃比のみが大きくリーン側にずれるような空燃比気筒間インバランスが発生した場合にも、インバランス判定用パラメータとしてのサブFB学習値(サブFB学習値に応じた値)は増大する。このような状況は、例えば、特定気筒に対して備えられている燃料噴射弁39の噴射特性が「指示された燃料噴射量よりも相当に少ない量の燃料を噴射する特性」になった場合に生じる。このような燃料噴射弁39の異常は「燃料噴射弁のリーンずれ異常」とも称呼される。
以下、一つの特定気筒の空燃比のみが大きくリーン側にずれるような空燃比気筒間インバランスが発生した場合にも、サブFB学習値が増大する理由について簡単に説明する。以下の説明においても、機関10の各気筒に吸入される空気量(重量)はA0であると仮定する。更に、各気筒に供給される燃料量(重量)がF0であるとき、空燃比A0/F0は理論空燃比に一致すると仮定する。
いま、ある一つの特定気筒(便宜上、第1気筒とする。)に対して供給される燃料の量が40%だけ過小な量(即ち、0.6・F0)であり、残りの3気筒(第2、第3及び第4気筒)に対して供給される燃料の量はそれらの気筒の空燃比が理論空燃比と一致するような燃料の量、即ちF0)となった場合を想定する。なお、この場合、失火は発生しないものと仮定している。
この場合、メインフィードバック制御により、第1気筒乃至第4気筒に供給される燃料の量は同じ所定量(10%)だけ増大されたと仮定する。このとき、第1気筒に供給される燃料の量は0.7・F0となり、第2乃至第4気筒のそれぞれに供給される燃料の量は1.1・F0となる。
係る状態においては、4気筒エンジンである機関10に供給される空気量の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される空気量)は4・A0である。また、メインフィードバック制御の結果、機関10に供給される燃料量の総量(各気筒がそれぞれ一回の燃焼行程を終了する間に機関10全体に供給される燃料の量)は4・F0(=0.7・F0+1.1・F0+1.1・F0+1.1・F0)となる。よって、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値は、4・A0/(4・F0)=A0/F0、即ち、理論空燃比となっている。
しかしながら、この状態における「排ガスに含まれる水素Hの総量SH3」は、SH3=H4+H1+H1+H1=H4+3・H1となる。但し、H4は、空燃比がA0/(0.7・F0)であるときに発生する水素量であり、H1及びH0よりも小さく且つH0と略等しい。従って、総量SH3は、最大でも(H0+3・H1)となる。
これに対し、空燃比気筒間インバランスが発生しておらず且つ機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値が理論空燃比である場合、「排ガスに含まれる水素Hの総量SH4」は、SH4=H0+H0+H0+H0=4・H0となる。前述したように、H1はH0よりも僅かに大きい。従って、総量SH3(=H0+3・H1)は総量SH4(=4・H0)よりも大きくなる。
従って、「燃料噴射弁のリーンずれ異常」に起因する空燃比気筒間インバランスが発生している場合、メインフィードバック制御によって、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値が理論空燃比に移行されたときであっても、水素の選択的拡散の影響が上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに表れる。即ち、出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより得られる上流側空燃比abyfsは、上流側目標空燃比abyfrである理論空燃比よりも「リッチ側(小さい)の空燃比」となる。その結果、メインフィードバック制御が更に実行され、機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値は、理論空燃比よりもリーン側に補正されてしまう。
従って、サブフィードバック制御にて算出される空燃比の制御量は、燃料噴射弁39のリーンずれ異常(空燃比気筒間インバランス)に起因する「メインフィードバック制御による空燃比のリーン側への過補正」を補償するように増大する。よって、「サブフィードバック制御にて算出される空燃比の制御量」に基いて取得される「インバランス判定用パラメータ(例えば、サブFB学習値)」は、インバランス割合が負の値であってインバランス割合の絶対値が増大するほど増大する。
これにより、本判定装置は、特定気筒の空燃比が「リッチ側にずれた場合」のみならず「リーン側にずれた場合」にも、インバランス判定用パラメータ(例えば、サブFB学習値の増減に応じて増減する値)が「異常判定閾値Ath」以上となった場合に、空燃比気筒間インバランスが発生したと判定する。
なお、図34の破線は、各気筒の空燃比が理論空燃比からリッチ側に一律に乖離し且つメインフィードバック制御を中止した場合におけるサブFB学習値を示している。この場合、横軸は、「空燃比気筒間インバランスが生じた場合の機関の空燃比のズレ」と同一のズレとなるように調整してある。即ち、例えば、第1気筒のみが20%だけリッチ側にずれるような「空燃比気筒間インバランス」が生じた場合、インバランス割合は20%である。一方、各気筒の空燃比が一律に5%(20%/4気筒)だけずれた場合、実際にはインバランス割合は0%であるが、図34においてはインバランス割合は20%に相当するものとして扱われる。図34の実線と破線との比較から、「サブFB学習値が異常判定閾値Ath以上となったとき、空燃比気筒間インバランスが発生したと判定することができる。」ことが理解される。なお、実際にはメインフィードバック制御が実行されるので、空燃比気筒間インバランスが発生していない場合、サブFB学習値は実際には図34の破線に示したほど増大しない。
次に、本判定装置の実際の作動について説明する。
<空燃比気筒間インバランス判定>
次に、「空燃比気筒間インバランス判定」を実行するための処理について説明する。CPU81は、図35に示した「空燃比気筒間インバランス判定ルーチン」を所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ3500から処理を開始し、ステップ3505に進んで「異常判定(空燃比気筒間インバランス判定)の前提条件(判定実施条件)」が成立しているか否かを判定する。換言すると、この前提条件が成立しない場合、空燃比気筒間インバランスの「判定禁止条件」が成立する。空燃比気筒間インバランスの「判定禁止条件」が成立すると、「サブFB学習値Vafsfbgに基いて算出されるインバランス判定用パラメータ」を用いた「以下に述べる空燃比気筒間インバランス」の判定が実行されない。
この異常判定(空燃比気筒間インバランス判定)の前提条件は、例えば、次の条件1とすることができる。
(条件1)上流側触媒53の水素を酸化する能力が第1所定能力以下ではない。即ち、上流側触媒53の水素を酸化する能力が第1所定能力より大きい場合。換言すると、この条件は、「上流側触媒53の状態が、上流側触媒53に流入する水素を所定量以上浄化し得る状態(即ち、水素浄化可能状態)にあること」である。
この条件1を設ける理由は次の通りである。
上流側触媒53の水素を酸化する能力が第1所定能力以下であると、水素が上流側触媒53において十分に浄化されず、水素が上流側触媒53の下流に流出する可能性がある。この結果、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsが水素の選択的拡散の影響を受ける可能性があり、或いは、上流側触媒53の下流のガスの空燃比が「機関10全体に供給される混合気の空燃比の真の平均値」に一致しなくなる。従って、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsは、「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsを用いた上記空燃比フィードバック制御により過剰に補正された空燃比の真の平均値」に応じた値を示さない可能性が高い。故に、このような状態において空燃比気筒間インバランス判定を実行すると、判定を誤る可能性が高い。
上記条件1は、例えば、上流側触媒53の酸素吸蔵量が第1閾値酸素吸蔵量以下ではない場合に成立する条件とすることができる。この場合、上流側触媒53の水素を酸化する能力が第1所定能力よりも大きいと判定することができる。
いま、上述した異常判定の前提条件が成立していると仮定する。この場合、CPU81はステップ3505にて「Yes」と判定し、ステップ3510に進んで上述した「サブフィードバック制御条件が成立しているか否か」を判定する。そして、「サブフィードバック制御条件が成立している」とき、CPU81は以下に述べるステップ3515以降の処理を実行する。ステップ3515以降の処理は、異常判定(空燃比気筒間インバランス判定)のための処理の一部である。従って、サブフィードバック制御条件は、「異常判定の前提条件」の一つと言うこともできる。更に、サブフィードバック制御条件は、メインフィードバック制御条件が成立しているときに成立する。従って、メインフィードバック制御条件も、「異常判定の前提条件」の一つと言うことができる。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPU81は以下に述べるステップ3515乃至ステップ3560のうちの所定のステップの処理を実行する。
ステップ3515:CPU81は現時点が「サブFB学習値Vafsfbgが更新された直後の時点(サブFB学習値更新直後時点)」であるか否かを判定する。CPU81は、現時点がサブFB学習値更新直後の時点であれば、ステップ3520に進む。CPU81は、現時点がサブFB学習値更新直後の時点でなければ、ステップ3595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ3520:CPU81は学習値積算カウンタCexeの値を「1」だけ増大する。
ステップ3525:CPU81は図11のルーチンにより算出されているサブFB学習値Vafsfbgを読み込む。
ステップ3530:CPU81は、サブFB学習値Vafsfbgの積算値SVafsfbgを更新する。即ち、CPU81は「その時点の積算値SVafsfbg」に「ステップ3525にて読み込んだサブFB学習値Vafsfbg」を加えることにより、新たな積算値SVafsfbgを得る。
この積算値SVafsfbgは、イグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置に切り換えられた際に実行される図示しないイニシャルルーチンにより「0」に設定されるようになっている。更に、積算値SVafsfbgは、後述するステップ3560の処理によっても「0」に設定される。このステップ3560は、異常判定(空燃比気筒間インバランス判定、ステップ3545〜ステップ3555)が実行されたときに実行される。従って、積算値SVafsfbgは、「機関の始動後又は直前の異常判定実行後」において、「異常判定の前提条件が成立している場合」であって、且つ、「サブフィードバック制御条件が成立している場合」、におけるサブFB学習値Vafsfbgの積算値となる。
ステップ3535:CPU81は学習値積算カウンタCexeの値がカウンタ閾値Cth以上であるか否かを判定する。CPU81は、学習値積算カウンタCexeの値がカウンタ閾値Cthよりも小さいと、ステップ3535にて「No」と判定してステップ3595に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。これに対し、CPU81は、学習値積算カウンタCexeの値がカウンタ閾値Cth以上であると、ステップ3535にて「Yes」と判定してステップ3540に進む。
ステップ3540:CPU81は、「サブFB学習値Vafsfbgの積算値SVafsfbg」を「学習値積算カウンタCexe」で除することにより、サブFB学習値平均値Avesfbgを求める。このサブFB学習値平均値Avesfbgは、前述したように、上流側触媒53を通過する前の排ガスに含まれる水素の量と上流側触媒53を通過した後の排ガスに含まれる水素の量との差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータである。
ステップ3545:CPU81は、サブFB学習値平均値Avesfbgが異常判定閾値Ath以上であるか否かを判定する。前述したように、気筒間における空燃比の不均一性が過大となって「空燃比気筒間インバランス」が生じている場合、サブフィードバック量Vafsfbは機関10に供給される混合気の空燃比を大きくリッチ側に補正する値になろうとするから、それに伴って、サブFB学習値Vafsfbgの平均値であるサブFB学習値平均値Avesfbgも「機関10に供給される混合気の空燃比を大きくリッチ側に補正する値(閾値Ath以上の値)」となる。
従って、CPU81は、サブFB学習値平均値Avesfbgが異常判定閾値Ath以上である場合、ステップ3545にて「Yes」と判定してステップ3550に進み、異常発生フラグXIJOの値を「1」に設定する。つまり、異常発生フラグXIJOの値が「1」であることは、空燃比気筒間インバランスが生じていることを示す。なお、この異常発生フラグXIJOの値はバックアップRAM84に格納される。また、異常発生フラグXIJOの値が「1」に設定されたとき、CPU81は図示しない警告ランプを点灯してもよい。
これに対し、サブFB学習値平均値Avesfbgが異常判定閾値Athよりも小さい場合、CPU81はステップ3545にて「No」と判定してステップ3555に進む。そして、CPU81は、ステップ3555にて、「空燃比気筒間インバランス」が生じていないことを示すように、異常発生フラグXIJOの値を「0」に設定する。
ステップ3560:CPU81は、ステップ3550及びステップ3555の何れかからステップ3560に進み、学習値積算カウンタCexeの値を「0」に設定する(リセットする)とともに、サブFB学習値の積算値SVafsfbgを「0」に設定する(リセットする)。
なお、CPU81は、ステップ3505の処理を実行したとき、異常判定の前提条件が成立していなければ、ステップ3595に進んで本ルーチンを一旦終了する。また、CPU81は、ステップ3505の処理を実行したとき、異常判定の前提条件が成立していなければ、ステップ3560を経由してからステップ3595に進み、本ルーチンを一旦終了するように構成されてもよい。更に、CPU81は、ステップ3510の処理を実行したとき、サブフィードバック制御条件が成立していなければ、ステップ3595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、判定装置(第2変形装置)は、
前記学習値(サブFB学習値Vafsfbg)に基いて前記触媒53を通過する前の排ガスに含まれる水素の量と前記触媒53を通過した後の排ガスに含まれる水素の量との差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータ(サブFB学習値平均値Avesfbg)を取得するインバランス判定用パラメータ取得手段(図35の特にステップ3520乃至ステップ3540)と、
前記取得されたインバランス判定用パラメータ(サブFB学習値平均値Avesfbg)が異常判定閾値(Ath)よりも大きいとき前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比の間に不均衡が生じていると判定する空燃比気筒間インバランス判定手段(図35の特にステップ3545乃至ステップ3555)と、
を備えた空燃比制御装置である。
更に、
前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
前記インバランス判定用パラメータ(サブFB学習値平均値Avesfbg)を学習値(サブFB学習値Vafsfbg)が大きくなるに従って大きくなるように取得するように構成されている。
これによれば、空燃比気筒間インバランスが発生したことを検出することができる実用的な空燃比気筒間インバランス判定装置が提供される。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る装置は、サブFB学習値Vafsfbgの学習促進制御を実行している期間において「機関の空燃比を過渡的に乱す状態」が発生した場合、その学習促進制御を禁止する。従って、サブFB学習値Vafsfbgが適正値から乖離することを回避することができる。その結果、各実施形態に係る装置は、「サブFB学習値Vafsfbgが適正値から乖離しているためにエミッションが悪化する期間」を短縮することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。以下、そのような本発明の実施形態の変形例(以下、「本装置」とも称呼する。)について列挙する。
・本装置は、内部EGRの量を変更する手段として、可変吸気タイミング制御装置33及び可変排気タイミング制御装置36のうちの何れか一方のみを備えることができる。
・本装置は、サブフィードバック量Vafsfbを算出する際に求められる「出力偏差量DVoxsの積分値に基づく値SDVoxs」をサブFB学習値VafsfbgとしてバックアップRAM84に記憶してもよい。この場合、サブFB学習値Vafsfbgは例えば、下記(25)式に基づいて更新される。(25)式において、k3は0から1までの任意の定数であり、Vafsfbgnewは更新後のサブFB学習値Vafsfbgである。
Vafsfbgnew=k3・Vafsfbg+(1−k3)・SDVoxs …(25)
この場合、サブフィードバック制御が開始されるまでの期間又はサブフィードバック制御の中止期間、サブフィードバック量VafsfbとしてKi・Vafsfbgを使用すればよい。このとき、上記(1)式におけるVafsfbは「0」に設定される。更に、この場合、サブフィードバック制御開始時おける出力偏差量の積分値SDVoxsの初期値としてサブFB学習値Vafsfbgを採用すればよい。
・本装置は、上記(13)式により更新されるサブFB学習値VafsfbgをバックアップRAM84に記憶するとともに、上記(1)式におけるVafsfbを「0」に設定してもよい。
この場合、サブフィードバック制御が開始されるまでの期間(又はサブフィードバック制御の中止期間)、サブフィードバック量VafsfbとしてサブFB学習値Vafsfbgを採用すればよい。
・本装置は、サブFB学習値Vafsfbgの更新を、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsが理論空燃比相当値Vst(0.5V)を横切った直後(リッチ・リーン反転時)に行うように構成され得る。この場合、本装置は、例えば、機関始動後のサブFB学習値Vafsfbgの更新回数が所定値以下であるか否かを判定し、機関始動後のサブFB学習値Vafsfbgの更新回数が所定値以下であるとき、上述した「学習不足状態」であると推定してもよい。
・本装置のパージ制御弁49及びEGR弁55は、デューティ信号により開度が調節されるスイッチングバルブ形式の弁、及び、ステップモータを使用して開度調整を行う弁、等であってもよい。
・本装置は、例えば、V型エンジンにも適用することができる。その場合、V型エンジンは右バンクに属する気筒の排気集合部よりも下流に右バンク上流側触媒(前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒)を備え、左バンクに属する気筒の排気集合部よりも下流に左バンク上流側触媒(前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒以外の残りの2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒)と、を備えることができる。更に、V型エンジンは、右バンク上流側触媒の上流及び下流に右バンク用の上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサを備え、左バンク上流側触媒の上流及び下流に左バンク用の上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサを備えることができる。この場合、右バンク用のメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御が実行され、それとは独立して左バンク用のメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御が実行される。
・本明細書及び請求の範囲で言う「学習促進制御を禁止すること」は、機関の空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生する可能性が高いと推定される場合、その学習促進制御における学習値の更新速度よりも小さい更新速度(例えば、学習促進制御と通常学習制御との間の更新速度)により学習値Vafsfbgの更新を行うことを含む。そのようにするには、例えば、上述の値pをpLargeとpSmallとの間の値に設定すればよい。或いは、そのようにするには、上記比例ゲインKpを促進値KpLargeと通常値KpSmallとの間の値に設定するとともに、上記積分ゲインKiを促進値KiLargeと通常値KiSmallとの間の値に設定すればよい。

Claims (18)

  1. 複数の気筒を有する多気筒内燃機関に適用され、
    前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒と、
    前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気に含まれる燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記排気通路であって前記触媒よりも下流側の部位に配設されるとともに同配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する下流側空燃比センサと、
    所定の第1更新タイミングが到来する毎に前記下流側空燃比センサの出力値を下流側目標空燃比に応じた値に一致させるための第1フィードバック量を同下流側空燃比センサの出力値と同下流側目標空燃比に応じた値とに基いて更新する第1フィードバック量更新手段と、
    所定の第2更新タイミングが到来する毎に前記第1フィードバック量に基いて同第1フィードバック量の定常成分を取り込むように同第1フィードバック量の学習値を更新する学習手段と、
    前記第1フィードバック量及び前記学習値のうちの少なくとも一方に基いて前記燃料噴射弁から噴射される燃料の量を制御することにより前記触媒に流入する排ガスの空燃比を制御する空燃比制御手段と、
    前記学習値と同学習値が収束すべき値との差である第2偏差が所定値以上である学習不足状態が発生しているか否かを推定するとともに、同学習不足状態が発生していると推定されるとき同学習不足状態が発生していないと推定されるときに比較して前記学習値の更新速度を増大させる学習促進制御を実行する学習促進手段と、
    前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生するか否かを推定するとともに同外乱が発生すると推定されるとき前記学習促進制御を禁止する学習促進禁止手段と、
    を備え、
    前記空燃比制御手段は、
    前記排気集合部又は前記排気集合部と前記触媒との間の前記排気通路に配設されるとともに同配設された部位を流れるガスの空燃比に応じた出力値を出力する上流側空燃比センサであって前記触媒を通過する前の排ガスが接触する拡散抵抗層と前記出力値を出力する空燃比検出素子とを有する上流側空燃比センサと、
    前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比を上流側目標空燃比と一致させるための基本燃料噴射量を前記機関の吸入空気量と同上流側目標空燃比とに基いて決定する基本燃料噴射量決定手段と、
    所定の第3更新タイミングが到来する毎に前記上流側空燃比センサの出力値と前記第1フィードバック量と前記学習値とに基づき前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室に供給される混合気の空燃比が前記上流側目標空燃比に一致するように前記基本燃料噴射量を補正するための第2フィードバック量を更新する第2フィードバック量更新手段と、
    前記第2フィードバック量により前記基本燃料噴射量を補正することにより得られる燃料噴射量の燃料を前記燃料噴射弁から噴射させる燃料噴射指示手段と、
    を含み、
    前記学習値に基いて前記触媒を通過する前の排ガスに含まれる水素の量と前記触媒を通過した後の排ガスに含まれる水素の量との差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータを取得するインバランス判定用パラメータ取得手段と、
    前記取得されたインバランス判定用パラメータが異常判定閾値よりも大きいとき前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比の間に不均衡が生じていると判定する空燃比気筒間インバランス判定手段と、
    を備えた空燃比制御装置。
  2. 請求の範囲1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記学習手段は、
    前記学習値を前記第1フィードバック量又は前記第1フィードバック量に含まれる定常成分に除々に接近させるように前記学習値の更新を行うように構成され、
    前記学習促進手段は、
    前記学習値の前記第1フィードバック量への又は前記第1フィードバック量に含まれる定常成分への接近速度を前記学習不足状態が発生していると推定されるときに前記学習不足状態が発生していないと推定されるときよりも大きくするように前記学習手段に対して指示を与えるように構成された空燃比制御装置。
  3. 請求の範囲1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記学習手段は、
    前記学習値を前記第1フィードバック量又は前記第1フィードバック量に含まれる定常成分に除々に接近させるように前記学習値の更新を行うように構成され、
    前記学習促進手段は、
    前記第1フィードバック量の更新速度を前記学習不足状態が発生していると推定されるときに前記学習不足状態が発生していないと推定されるときよりも大きくするように前記第1フィードバック量更新手段に対して指示を与えるように構成された空燃比制御装置。
  4. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンクと、
    前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する通路部であって同燃料タンクと同吸気通路とを接続したパージ通路部と、
    前記パージ通路部に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたパージ制御弁と、
    前記機関の運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を変更するように前記指示信号を前記パージ制御弁に与えるパージ制御手段と、
    を備え、
    前記第2フィードバック量更新手段は、
    前記パージ制御弁が0でない所定の開度に開かれているとき少なくとも前記上流側空燃比センサの出力値に基いて前記蒸発燃料ガスの濃度に関連する値を蒸発燃料ガス濃度学習値として更新するとともに同蒸発燃料ガス濃度学習値にも基いて前記第2フィードバック量を更新するように構成され、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記蒸発燃料ガス濃度学習値の前記機関の始動後からの更新回数が所定の更新回数閾値よりも小さいとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  5. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンクと、
    前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する通路部であって同燃料タンクと同吸気通路とを接続したパージ通路部と、
    前記パージ通路部に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたパージ制御弁と、
    前記機関の運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を変更するように前記指示信号を前記パージ制御弁に与えるパージ制御手段と、
    を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度が所定の濃度閾値以上であると推定されるとき、前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  6. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンクと、
    前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する通路部であって同燃料タンクと同吸気通路とを接続したパージ通路部と、
    前記パージ通路部に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたパージ制御弁と、
    前記機関の運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を変更するように前記指示信号を前記パージ制御弁に与えるパージ制御手段と、
    を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記蒸発燃料ガスの濃度に応じた値を取得するとともに、同取得した値に基いて同蒸発燃料ガスの濃度の変化速度が所定濃度変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  7. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室において既に燃焼したガスであって同2以上の気筒のそれぞれの圧縮行程の開始時に同それぞれの気筒の燃焼室に存在する筒内残留ガスの量である内部EGR量を前記機関の運転状態に応じて制御する内部EGR量制御手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記内部EGR量の変化速度が所定の内部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  8. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒の燃焼室において既に燃焼したガスであって同2以上の気筒のそれぞれの圧縮行程の開始時に同それぞれの気筒の燃焼室に存在する筒内残留ガスの量である内部EGR量を変更するための制御量を指示信号に応じて変更する内部EGR量変更手段と、
    前記機関の運転状態に応じて前記内部EGR量を変更するための制御量の目標値を取得する制御量目標値取得手段と、
    前記内部EGR量変更手段に対し前記制御量の実際の値が前記制御量の目標値に一致するように前記指示信号を与える内部EGR量制御手段と、
    を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記内部EGR量を変更するための制御量の実際の値を取得するとともに、同取得された制御量の実際の値と前記制御量の目標値との差が所定の制御量差閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  9. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁及び排気弁が共に開弁しているバルブオーバーラップ期間を前記機関の運転状態に基いて変更するバルブオーバーラップ期間変更手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記バルブオーバーラップ期間の長さであるバルブオーバーラップ量の変化速度が所定のバルブオーバーラップ量変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  10. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁及び排気弁が共に開弁しているバルブオーバーラップ期間が前記機関の運転状態に基いて定められる目標オーバーラップ期間に一致するように同バルブオーバーラップ期間を変更するバルブオーバーラップ期間変更手段を備え、
    前記バルブオーバーラップ期間の長さであるバルブオーバーラップ量の実際値を取得するとともに、同取得されたバルブオーバーラップ量の実際値と前記目標オーバーラップ期間の長さである目標オーバーラップ量とのバルブオーバーラッブ量差が所定のバルブオーバーラップ量差閾値以上であると判定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  11. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁の開弁時期を前記機関の運転状態に基いて変更する吸気弁開弁時期制御手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記吸気弁の開弁時期の変化速度が所定の吸気弁開弁時期変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  12. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの吸気弁の開弁時期が前記機関の運転状態に基いて定められる目標吸気弁開弁時期に一致するように同吸気弁の開弁時期を変更する吸気弁開弁時期制御手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記吸気弁の開弁時期の実際値を取得するとともに、同取得された吸気弁の開弁時期の実際値と前記目標吸気弁開弁時期との差が所定の吸気弁開弁時期差閾値以上であると判定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  13. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの排気弁の閉弁時期を前記機関の運転状態に基いて変更する排気弁閉弁時期制御手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記排気弁の閉弁時期の変化速度が所定の排気弁閉弁時期変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  14. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれの排気弁の閉弁時期が前記機関の運転状態に基いて定められる目標排気弁閉弁時期に一致するように同排気弁閉弁時期を変更する排気弁閉弁時期制御手段を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記排気弁の閉弁時期の実際値を取得するとともに、同取得された排気弁の閉弁時期の実際値と前記目標排気弁閉弁時期との差が所定の排気弁閉弁時期差閾値以上であると判定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  15. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記機関の排気通路であって前記触媒よりも上流側の部位と前記機関の吸気通路とを接続する排気還流管と、
    前記排気還流管に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたEGR弁と、
    前記機関の運転状態に応じて前記EGR弁の開度を変更することにより前記排気還流管を流れて前記吸気通路に導入される外部EGRの量を変更するように前記指示信号を前記EGR弁に与える外部EGR量制御手段と、
    を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記外部EGRの量の変化速度が所定の外部EGR量変化速度閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  16. 請求の範囲1、請求の範囲3及び請求の範囲4の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記機関の排気通路であって前記触媒よりも上流側の部位と前記機関の吸気通路とを接続する排気還流管と、
    前記排気還流管に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されたEGR弁と、
    前記機関の運転状態に応じて前記EGR弁の開度を変更することにより前記排気還流管を流れて前記吸気通路に導入される外部EGRの量を変更するように前記指示信号を前記EGR弁に与える外部EGR制御手段と、
    を備え、
    前記学習促進禁止手段は、
    前記EGR弁の実際の開度を取得するとともに、同取得されたEGR弁の実際の開度と前記EGR弁に与えられている指示信号により定まる前記EGR弁の開度との差が所定のEGR弁開度差閾値以上であると推定されるとき前記空燃比を過渡的に変動させる外乱が発生すると推定するように構成された空燃比制御装置。
  17. 請求の範囲1、及び、請求の範囲3乃至請求の範囲17、の何れか一つに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記学習促進手段は、
    前記学習値の変化速度が所定の学習値変化速度閾値以上であるとき前記学習不足状態が発生していると推定するように構成された空燃比制御装置。
  18. 請求の範囲1に記載の空燃比制御装置であって、
    前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
    前記インバランス判定用パラメータを学習値が大きくなるに従って大きくなるように取得するように構成された空燃比制御装置。
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