JP2010143293A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ランフラット耐久性と通常時の高速耐久性の向上およびトレッドの中央部と両端部の偏摩耗を抑制した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ビード部1と、両サイド部2を経て両ビード部1に延びるカーカス層4と、少なくとも2層以上のベルト層8と、周方向ベルト補強層9と、サイド補強ゴム層5と、を備えた空気入りタイヤである。
周方向ベルト補強層9が中央部領域9A、両側部領域9Bの3つの領域に分割され、両側部領域9Bを構成するコードがポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II)、
σ≧−0.01E+1.2・・・(I)
σ≧0.02・・・(II)
を満たし、
中央部領域Aを構成するコードが、ポリケトン繊維に比べて、150℃における2%伸時の引張り強力が小さく、かつ、25℃における2%伸時の引張り強力が大きい有機繊維コードである。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、ランフラット耐久性と通常時の高速耐久性の向上およびトレッドの中央部と両端部の偏摩耗を抑制した空気入りタイヤに関する。
従来のランフラットタイヤにおいては、三日月形状のサイド補強ゴムをサイド部のカーカス層のタイヤ半径内側に配置する構造が一般的である。ランフラットタイヤにおいては、サイド補強ゴムが存在するためにサイド領域でのたわみ量が少ない分、設置両端部(ショルダー部)の接地圧が高くなり、高速耐久性を悪化させるという問題がある。さらに、一般にサイド補強ゴムがスチールベルト下にまで配置されており、高速走行時に歪が大きいスチールベルト端での走行により蓄熱が増加し、高速耐久性を悪化させる一因となっている。
また、パンク状態(内圧:0kPa時)で走行する場合、スチールベルト層はバックリング(中央部が接地面から浮き上がり、両端部のみで車重を保持する)状態となり、車重を保持している両端部(ショルダー領域)の接地圧が高くなり、ランフラット耐久性を悪化させている。このように、ランフラットタイヤにおいては、パンクしていない状態での高速耐久性と、パンク走行時のランフラット耐久性の両立が課題とされてきた。
さらに、ランフラット耐久性と乗り心地との高次元で両立させることを目的として、ラジアル方向プライの材質に、熱収縮応力の大きいポリケトン繊維からなるコードを用いるという手法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。これは、ランフラット走行により、サイド部全体が発熱した際の高熱収縮応力を活用して、ケース保持力の向上を狙ったものである。
特開2006−321275号公報 特開2007−253826号公報
一方、近年、タイヤ耐久性の向上の観点から、偏摩耗の抑制も求められている。この対策として、ベルトの設置枚数を増やし、タイヤ中央部の剛性を向上させることも考えられる。しかし、ベルト数を増加させることはタイヤ重量の増加をもたらし、燃費の悪化につながるという新たな問題も生じることになる。
そこで、本発明の目的は、ランフラット耐久性と通常時の高速耐久性の向上およびトレッドの中央部と両端部の偏摩耗を抑制した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、周方向ベルト補強層を所定の構成とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に少なくとも2層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に周方向ベルト補強層と、前記カーカス層の内側に沿って両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
前記周方向ベルト補強層が中央部領域、両側部領域の3つの領域に分割されており、かつ、該周方向ベルト補強層両側部領域を構成するコードがポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II)、
σ≧−0.01E+1.2・・・(I)
σ≧0.02・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たし、
前記周方向ベルト補強層の中央部領域を構成するコードが、前記ポリケトン繊維に比べて、150℃における2%伸時の引張り強力が小さく、かつ、25℃における2%伸時の引張り強力が大きい有機繊維コードであることを特徴とするものである。
ここで、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σは、一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する応力であり、また、上記ポリケトン繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率Eは、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率である。
本発明においては、前記周方向ベルト補強層の両側部領域が前記ベルト層の端部のタイヤ幅方向外側に少なくとも2mm以上延在し、かつ、前記周方向ベルト補強層の両側部領域長が10〜50mmであることが好ましく、また、前記有機繊維コードがアラミドまたはアラミドとナイロンからなる複合コードであることが好ましい。
本発明によれば、ランフラット耐久性と通常時の高速耐久性の向上およびトレッドの中央部と両端部の偏摩耗を抑制した空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの好適例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイド部2と、両サイド部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する一枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、サイド部2のカーカスプライ4の内側に配置した一対の断面三日月状サイド補強ゴム層5とを備える。
また、図示例のタイヤにおいては、ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側にビードフィラー7が配置されており、更に、カーカスプライ4のトレッド部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト8が配置されている。さらに、このベルト8のタイヤ半径方向外側でベルト8の全体を覆うように周方向ベルト補強層9が配置されている。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト8を構成する。また、周方向ベルト補強層9は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
本発明においては、周方向ベルト補強層9が中央部領域9A、両側部領域9Bの3つの領域に分割されている。また、周方向ベルト補強層9の両側部領域Bを構成するコードがポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II)、
σ≧−0.01E+1.2・・・(I)
σ≧0.02・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことが重要である。
上記要件を満足するポリケトン繊維からなるコードをクラウン部の両端に設置することで、高速走行時においても、ランフラット走行時においても、ともにベルト端部のタイヤ内部温度が上昇すると、コードの収縮応力が温度上昇に合わせて上昇し、両端部の周方向のベルト拡張を抑制することができる。これにより、両端部の周方向張力が大きくなり、ベルト端部の接地圧低減による高速耐久性向上と、ベルトのバックリング抑制によるランフラット耐久性向上が実現可能となる。
なお、図2に示すように、周方向ベルト補強層9は両側部領域9Bに配置するポリケトンレイヤーはタイヤの摩耗性能や実車操縦性等を考慮し、1層のみ(a)、2層且つ2層の幅が同一(b)、2層且つ1層の幅が他の1層に比べて狭い(c)といった構造を適宜採用することができる。これにより、他性能との両立が可能となる。例えば、タイヤ幅が狭いタイヤにおいては、1層で十分バックリング抑制効果が得られるが、逆にタイヤ幅が広いタイヤや、スピードシンボルがWレンジ以上のタイヤなどでは2層構造を適用することで本発明の効果が発揮される。また、2層構造が望ましいタイヤにおいて、摩耗を考慮して1層幅が他の1層に比べて狭くするという手法も効果的である。
なお、使用するコードが、上記式(I)の関係を満たさない場合、熱収縮応力σが大きいものの弾性率Eが低いコードを使用すると、ランフラット走行時のタイヤの撓みを十分に抑制することができず、タイヤのランフラット耐久性が低下し、一方、弾性率Eが高いものの熱収縮応力σが小さいコードを使用すると、通常走行時のタイヤの縦バネが大きくなり、通常走行時のタイヤの乗り心地が悪化する。また、使用するコードの177℃における熱収縮応力σが0.02cN/dtex未満では、ランフラット走行時のたわみ量が大きくなってしまい、ランフラット耐久距離が不足してしまう。
ここで、上記ポリケトン繊維コードは、177℃における熱収縮応力σが1.5cN/dtex以下であることが好ましい。ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σが1.5cN/dtexを超えると、加硫時の収縮力が大きくなり過ぎ、結果的に、タイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れを引き起こし、耐久性の悪化やユニフォミティーの悪化を招いてしまう。また、上記ポリケトン繊維コードは、ランフラット走行時のタイヤの変形を十分に抑制する観点から、177℃における熱収縮応力σが0.20cN/dtex以上であることが好ましく、ランフラット走行時のタイヤの変形を確実に抑制する観点から、177℃における熱収縮応力σが0.30cN/dtex以上であることが更に好ましく、0.4cN/dtex超であることがより一層好ましい。なお、熱収縮応力σが高い程、ランフラット走行時のタイヤの変形を抑制する効果が高い。更に、上記ポリケトン繊維コードは、ランフラット走行時のタイヤの変形を十分に抑制する観点から、25℃における49N荷重時の弾性率Eが30cN/dtex以上であることが好ましく、ランフラット走行時のタイヤの変形を確実に抑制する観点から、49N荷重時の弾性率Eが80cN/dtex以上であることが更に好ましい。また更に、上記ポリケトン繊維コードは、耐疲労性を十分に確保する観点から、25℃における49N荷重時の弾性率Eが170cN/dtex以下であることが好ましく、耐疲労性を良好にする観点から、49N荷重時の弾性率Eが150cN/dtex以下であることが更に好ましい。
上記周方向ベルト補強層の両側部領域9Bに用いるポリケトン繊維コードは、下記式(III)、
Figure 2010143293
[式中、Nは撚り数(回/10cm)で、ρはコードの比重(g/cm)で、Dはコードの総デシテックス数(dtex)である]で定義される撚り係数(Nt)が0.25以上であることが好ましい。ポリケトン繊維コードの撚り係数(Nt)が0.25未満では、疲労性が低下して、耐久性が不足する。
本発明の空気入りタイヤの周方向ベルト補強層の両側部領域9Bにおいては、上記ポリケトン繊維コードの打ち込み数が5〜60(本/50mm)の範囲であることが好ましい。周方向ベルト補強層の両側部領域9Bにおけるポリケトン繊維コードの打ち込み数が5(本/50mm)未満では、ランフラット走行時のタイヤの撓みを十分に抑制することができず、タイヤのランフラット耐久性を十分に向上させることができなくなる傾向があり、一方、60(本/50mm)を超えると、通常走行時のタイヤの縦バネが上昇してしまい、通常走行時のタイヤの乗り心地が悪化する傾向がある。
また、上記周方向ベルト補強層の両側部領域9Bに用いるポリケトン繊維コードは、繊度が500〜2000dtexのポリケトンからなるフィラメント束を2本又は3本撚り合わせてなることが好ましい。ポリケトン繊維コードに用いるフィラメント束の繊度が500dtex未満では、弾性率・熱収縮応力共に不十分であり、2000dtexを超えると、コード径が太くなり、打ち込みを密にできない。なお、ポリケトンからなるフィラメント束の本数が4本以上であっても、上記式(I)及び式(II)の関係を満足できれば、特に制限されない。
上記周方向ベルト補強層の両側部領域9Bに用いるポリケトン繊維コードは、高温下で収縮し、室温に戻すと伸長する可逆性を有することが好ましい。この場合、高温下、即ち、ランフラット走行時時に周方向ベルト補強層の両側部領域9B中のポリケトン繊維コードが収縮しようとして剛性が高まり、タイヤのサイドウォール部2の撓みを抑制することができる上、低温下、即ち、通常走行時に周方向ベルト補強層9の両側部領域9B中のポリケトン繊維コードが伸張しようとして剛性が低下し、タイヤの縦バネが低下して、タイヤの通常走行時の乗り心地の悪化を抑制することができる。また、20℃と177℃での熱収縮応力の差が0.20cN/dtex以上、好ましくは0.25cN/dtex以上の可逆的なポリケトン繊維コードを用いることで、通常走行時とランフラット走行時での効果を両立することができる。
本発明の空気入りタイヤの周方向ベルト補強層9の両側部領域9Bは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなり、該ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンとしては、下記式(IV)、
Figure 2010143293
で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH−CH−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(IV)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6−クロロヘキセン,N−ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(V)、
Figure 2010143293
[式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキ
サフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である]で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n−ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記ポリケトン繊維コードは、上記ポリケトンからなるフィラメント束を複数本、好ましくは、2本又は3本撚り合わせてなり、例えば、上記ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いでこれを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。
上記のようにして得られたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することで、上記補強コード層に用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムとしては、特に制限は無く、従来のタイヤ用のコード/ゴム複合体に用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムによる被覆に先立って、ポリケトン繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
また、本発明においては、周方向ベルト補強層9の中央部領域9Aを構成するコードが、両側部領域Bに使用するポリケトン繊維に比べて、150℃における2%伸時の引張り強力が小さく、かつ、25℃における2%伸時の引張り強力が大きい有機繊維コードであることも重要である。通常走行時に、高性能系タイヤにおいては、周方向ベルト補強層9Aのコードとして、常温時(25℃)において、両側部領域Bに9使用するポリケトンコードよりも高弾性のコードを用いることにより、センター部の迫り出しを抑制して、高速耐久性の向上および中央部と両側部での摩耗差(偏摩耗)抑制が可能となる。なお、本発明においては、周方向ベルト補強層9の中央部領域9Aを構成するコードの150℃における2%伸時の引張り強力は25〜50Nであることが好ましく、また、25℃における2%伸時の引張り強力は100〜300Nであることが好ましい。
図3は常温(25℃)時におけるアラミドコード、アラミドとナイロンの複合コードおよびポリケトン(PK)コードの、伸び−強力相関イメージを示す。図示するように、アラミドコード、アラミドとナイロンの複合コードは25℃時の2%伸時の引張り強力が大きい。したがって、本発明にはアラミドコードおよびアラミドとナイロンの複合コードを好適に用いることができる。
本発明においては、周方向ベルト補強層9の両側部領域9Bがベルト層8の端部のタイヤ幅方向外側に少なくとも2mm以上延在し、かつ、周方向ベルト補強層9の両側部領域9Bが10〜50mmであることが好ましい。これは、摩耗性能や実車操縦性能といった他性能への影響を考慮したものである。
本発明の空気入りタイヤは、上記要件を満足することのみが重要であり、それ以外のタイヤ構造の詳細や材料などについては特に制限されるものではなく、常法により製造することができる。また、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1、2および比較例1〜3)
図1に示すサイド補強タイプのランフラットタイヤを、タイヤサイズ215/45R17にて作製した。なお、各供試タイヤの周方向ベルト補強層の構成は、下記表1に示すとおりである。得られた各供試タイヤにつき、高速耐久性、ランフラット耐久性および偏摩耗性の試験をおこなった。得られた結果を、表1に併記する。なお、高速耐久性、ランフラット耐久性および偏摩耗性の試験方法については以下のとおりである。
<高速耐久性>
上記各供試タイヤをリムサイズ7J×17のリムに組み付けた後、内圧200kPa、荷重4.0kNの条件下で高速耐久ドラム試験を実施した。上記条件にてドラムにて120km/hからスタートし、5分毎に速度を10km/hずつ上昇させ、タイヤが故障に至るまでの速度を測定し、この測定値によって評価した。評価は、比較例1の故障発生速度を100として、指数表示としておこなった。結果を表1に併記する。
<ランフラット耐久性>
上記各供試タイヤをリムサイズ7J×17のリムに組み付けた後、バルブコアを抜いて0kPaとし、荷重4.0kNを加え、ドラムにて80km/hで故障まで何分走行するかを測定し、この測定値によって評価した。評価は、比較例1の故障発生時間を100として、それぞれの故障発生時間を指数表示することにより評価をおこなった。結果を表1に併記する。
<偏摩耗性>
上記各供試タイヤをリムサイズ7J×17のリムに組み付けた後、乗用車に装着した。その後、舗装道路を5000km走行後のタイヤ断面形状において最も摩耗した部分と摩耗していない部分との差の逆数を求めて、比較例1を基準100としたときの指数表示にて示した。数値が大なるほど耐摩耗性が良好である。
Figure 2010143293
表1より、本発明の空気入りタイヤは、高速耐久性、ランフラット耐久性および偏摩耗性が向上していることがわかる。
本発明の空気入りタイヤの一例の断面図である。 本発明に係る周方向ベルト補強層の例を示す図である。 25℃における周方向ベルト補強層の中央部領域を構成するコードの伸びと強力の関係を示した図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイド部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
5 サイド補強ゴム
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト層
9 周方向ベルト補強層
9A 周方向ベルト補強層の中央部領域
9B 周方向ベルト補強層の側部領域

Claims (3)

  1. 左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に少なくとも2層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に周方向ベルト補強層と、前記カーカス層の内側に沿って両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記周方向ベルト補強層が中央部領域、両側部領域の3つの領域に分割されており、かつ、該周方向ベルト補強層両側部領域を構成するコードがポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II)、
    σ≧−0.01E+1.2・・・(I)
    σ≧0.02・・・(II)
    [式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たし、
    前記周方向ベルト補強層の中央部領域を構成するコードが、前記ポリケトン繊維に比べて、150℃における2%伸時の引張り強力が小さく、かつ、25℃における2%伸時の引張り強力が大きい有機繊維コードであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記周方向ベルト補強層の両側部領域が前記ベルト層の端部のタイヤ幅方向外側に少なくとも2mm以上延在し、かつ、前記周方向ベルト補強層の両側部領域長が10〜50mmである請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記有機繊維コードがアラミドまたはアラミドとナイロンからなる複合コードである請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
JP2008320285A 2008-12-16 2008-12-16 空気入りタイヤ Withdrawn JP2010143293A (ja)

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