JP5033237B2 - 自動車ミラーアンテナ組立体 - Google Patents

Description

本発明は、概してアンテナ組立体に関し、特に自動車用のバックミラー（後写鏡）アンテナ組立体に関する。

本発明の目的は、十分なアンテナ性能を維持しつつ自動車ミラー組立体の内部へ効率的に組み込むことのできる、好ましくはＡＭ／ＦＭ受信用の、アンテナ組立体を提供することである。

一般的に、バックミラーは、内部に多数のプラスチックや金属の構成要素が備え付けられている。また、バックミラーは内部に、エレクトロクローム・ミラーシステム、ガラスヒータ、ミラーガラス・アクチュエータ、電動格納アクチュエータ、サイドマーカー表示器（車幅灯）、パドルライト、点滅灯（方向指示器）、ワイヤハーネス、回路、その他のような、いくつかの電気的構成要素までもが備え付けられている。従って、またＡＭ／ＦＭアンテナが大きな周波数を有し、それ故にアンテナの寸法が大きいという事実のために、ＡＭ／ＦＭアンテナのための従来技術の手法は、帯域幅、利得、および効率の点から良好な性能を維持しつつ自動車のバックミラー内部に取り付けられるＡＭ／ＦＭアンテナを達成するのに十分なものではなかった。

本発明による自動車ミラーアンテナ組立体は、互いに取り付けられたミラーおよびケーシングを備えている。放射素子を備えたアンテナ構造が、前記ミラー組立体の中に収容されている。そのアンテナ構造は、ミラーの外周に略沿って配置されている。従って、放射素子の配置形状は、ミラーガラス周縁の少なくとも一部の形状に類似している。

放射素子は、少なくともフラクタル・デザインの形態をとっている部分を有した細長いアームである。前記アームは、導体、超伝導体、もしくは半導体で作られるか、または、導体、超伝導体、もしくは半導体によって限定される。

放射素子の形状は、既知の態様での生成モチーフの拡大／縮小された反復によって得られる。少なくとも２つの縮尺（拡大／縮小）レベルの生成モチーフを用いて放射素子が形作られる。

放射素子の形状は、１よりも大きいボックス次元（box-counting dimension, 容量次元）を有していることが好ましい。ボックス次元は、この技術分野で回旋状の曲線を特徴付けるために用いられる既知の手法であり、それは、例えばＰＣＴ出願ＷＯ２００４／０７５３４２に記述されている。従って、本発明において、曲線のボックス次元は、前記ＰＣＴ出願で説明された方法に従って計算される。

放射素子のフラクタル・デザインのおかげで、アンテナ構造は、広帯域作用、多帯域作用、または両者の効果の組み合わせを伴った、小型のアンテナを形成する。アンテナ構造の放射素子は、ＡＭ／ＦＭ信号を受信するために適合されていることが好ましい。

本発明においては、次のことが見いだされてきている。即ち、可撓性の放射素子は、有利なことに、バックミラー・システムの内部の機械的および電気的な構成要素を取り囲んで、バックミラー組立体のミラーガラスに対して垂直ないし略垂直に配置することができる。本発明によれば、バックミラー内部におけるアンテナ構造の形状および空間的配置が、帯域幅、利得、および効率の点から、アンテナの作用をより良好に成し遂げさせる。バックミラー内部におけるアンテナの特別な配置のおかげで、信号の放射および受信が最適化される。

放射素子は平坦な可撓性のストリップであり、それは可撓性薄層基材の表面に対して固定されている。添付図面において認めることができるように、薄層基材は、長手方向軸線を有する、概して矩形の細長い本体である。薄層基材がミラーに対して取り付けられるとき、その薄層基材は、ミラー表面で画成される平面に対して垂直な、湾曲した、或いはリング形状の面を画成する。これは、基材の前記長手方向軸線を横断する任意の線がミラー表面に対して直交する、ということを意味する。

従って、従来技術はバックミラー内部の異なるアンテナ構成を示しているが、この発明は以下のことを可能とする最初のものである：
−バックミラー内部に効率的に組み込まれるべきＡＭ／ＦＭアンテナ。従来技術のＡＭ／ＦＭアンテナの寸法のせいで、ＡＭ／ＦＭアンテナをバックミラー内部に組み込むことができなかった。フラクタル技術とアンテナの特別な配置が、アンテナ性能を維持しつつ、小型化を、従ってバックミラー内部への組み込みを可能とする。
−アンテナの形状（ＰＣＢ可撓性）が、バックミラーの外形に追従して、異なる機械的特性を持った異なるミラーにおいて同じアンテナ設計を有することを可能とする。これは、運用コストにとって特別な利益である。それは、当該アンテナが、特定周波数帯域での運用のための標準となるかもしれないが、固定方法を適合させるだけで他の自動車からの他のバックミラーと交換可能であるかもしれないからである。
−この構成でアンテナを設置することによって、エレクトロクローム・ミラー、ガラスヒータ、ミラーガラス・アクチュエータ、電動格納アクチュエータ、サイドマーカー表示器（車幅灯）、パドルライト、点滅灯（方向指示器）、ワイヤハーネス、回路、その他のような、ミラー内部に設置される他の電子機器から干渉を受けることを回避する。
−その上、このアンテナ構成は、今日設計済みのバックミラー内部での極端な変更を回避し、従ってアンテナの組み込まれたミラーを供給する市場に対してのリードタイムを最少化する。このことは、より良好な製造ライン装備と、より良好なロジスティクスに帰結する。

ここに為される説明を補足するため、また本発明の特徴のより良好な理解に対する援助の目的を持って、本発明の実施形態の好適な例に従って、前記説明の不可欠な部分として一組の図面が添付される。当該図面には、例示的、非限定的な性質を伴って以下のものが描かれている。

ミラー内部に配置された放射素子を示すために部分的に開放されたバックミラー組立体の斜視図。 図１のバックミラーのいくつかの斜視図。 平坦面上にある放射素子および可撓性基材を示す図。 平面上にある放射素子および可撓性基材のもう一つの好適なデザインを示す図。 プラスチック・ケーシングが取り外された状態で、バックミラーに取り付けられた図４の放射素子を示す２つの斜視図。 ミラーガラスの外周の一部に追従している放射素子の配置を示す、ミラーガラスの平面図。

添付図面においては、図示の目的のためにミラーのケーシングが取り外されている、本発明によるバックミラー組立体を認めることができる。

アンテナ構造は、平坦な導電性ストリップから成る放射素子（１）を備えている。その導電性ストリップは、生成モチーフ（９）の拡大／縮小された反復によって得られるフラクタル・デザインに従って屈曲させられている。アンテナの多帯域の／微細な作用を達成するために、生成モチーフ（９）のいくつかの縮尺（拡大／縮小）レベルがもたらされる。

放射素子（１）は、既知の手法によって可撓性基材（２）の表面に結合される。例えば、可撓性基材はプリント回路基板であり、放射素子はその表面のうちの一方の表面上に形成される。

これに代えて、放射素子（１）は、ミラー組立体におけるケーシング（１１）の内面（６）上に直接固定ないしプリントすることもできる。その場合、ミラー組立体のケーシングが、放射素子の基材としての役目を果たす。放射素子は、ＬＤＳ（レーザー照射立体回路形成法）のような任意の既知の製造工程を用いることによって、ケーシングの前記内面上にプリントすることができる。この放射素子の配置は、バックミラーの金属製構成要素と放射素子との間の距離を最大にし、これにより干渉を最小にする。

可撓性アンテナ素子は、バックミラーの内部に、ミラー（５）自体の外周（４）を実質的に覆って、或いはこの外周（４）に接近して配置される。その結果、アンテナ素子は、バックミラーの内部に設置された機械的および電気的構成要素（１０）から適切に間隔を置かれ、従って、それらの要素との、並びにそれらの要素からの機械的および電気的な干渉の双方を回避している。

例えば図２（ａ）で認められるように、ミラーガラス（５）は平坦面を画成しており、放射素子（１）を伴う可撓性基材（２）は、前記平坦面に対して垂直に配置されている。

この特別な配置が、金属製ブラケットなどの組立体内部の金属製構成要素によるアンテナ内での干渉によって影響されることなく、バックミラーの取り付けられる自動車に対して当該バックミラーが動くことを可能とする。

バックミラー組立体の内部にアンテナ素子を設置するために、ケーシングは一対の平行壁（３）を形成している。これらの平行壁（３）は、互いの間に狭い隙間を画成して、ミラー（５）の後面に対して垂直に取り付けられている。例えば図２（ｄ）に示すように、放射素子および可撓性基材は、少なくとも部分的に前記隙間内に挿入され保持されている。

或いは、互いの間に狭い隙間を伴った２つの平行壁を有する必要を回避して、プラスチック壁に対する接着剤を用いることで、バックミラーの内部構造に対してアンテナ素子を取り付けることもできる。別の代替的な解決策は、前記プラスチック壁に対してアンテナ素子をクリップ留めすることである。

図３に示すように、生成モチーフ（９）を有する少なくとも一つの分岐（８）が、放射素子（１）の選択された箇所に対して連結されている。図３の実施形態において、放射素子（１）は、直列に連結された複数の異なる縮尺の生成モチーフ（９）で形成された真っ直ぐな帯の形態の細長い主要部（１５）を画成している。当該構造は、放射素子（１）に対して平行な、放射素子と一箇所で連結された分岐（８）を備えている。図３の実施形態は、垂直な真っ直ぐの部分と、水平な真っ直ぐの部分とで形成されている。即ち、互いに隣り合った２つの部分の組のいずれもが９０度の角度を成している。組立体内部の金属製構成要素との接触を避けるために、いくつかのカットオフ（７）領域が選択された箇所に設けられている。

図４の実施形態において、放射素子（１）はまた、生成モチーフ（９’）の拡大／縮小された反復によって形成されている。この場合、放射素子（１）は、ループ（１２）を形成すると共に、いくつかの傾斜部分（１８）を含んでいる。即ち、この放射素子は、垂直部分、水平部分、および傾斜部分によって形成されている。この放射素子は、複数の異なる方向からの信号のアンテナ受信を改善する利点を有している。

また、このアンテナ構造は、放射素子（１）に対して結合された寄生アーム（１６）を有している。

図５の実施形態においては、放射素子（１）の主要部が、ミラーガラスの外周の一部の形状に追従している。但し、ループ（１２）はミラーガラスの平面に対して垂直ではない。図５に示すように、このループ（１２）はミラーガラスの平面に対してある一定の角度（好ましくは−３０度から＋３０度の範囲内の角度）を成しており、また当該ループはケーシング（１１）の後部に極めて接近して配置されている。

アンテナ構造はさらに、例えば増幅器などの電子回路（１３）を備えると共に、放射素子を自動車の電子機器と接続するための何本かのワイヤ（１４）を備えている。

好適な実施例において、自動車ミラー組立体はライナー・ブラケットを備えている。そのライナー・ブラケットは、ケーシングの内面に対する、或いはミラー組立体の機械的構成要素に対する自らの取り付けのために適合されている。この実施例では、放射素子および可撓性基材が前記ライナー・ブラケットに対して固定される。

Claims (23)

1. ケーシング（１１）に対して取り付けられたミラー（５）を備える自動車ミラーアンテナ組立体であって、前記ケーシングは外周（４）を画成しており、当該組立体は放射素子（１）を有するアンテナ構造をさらに備え、前記放射素子（１）は、前記ミラーと前記ケーシングとで画成される空間内に収容され、放射素子の少なくとも一部が、前記外周（４）の少なくとも一部に略沿って配置されている、自動車ミラーアンテナ組立体において、放射素子（１）は細長いアームであり、放射素子の形状が１よりも大きいボックス次元を有し、放射素子（１）は少なくとも２つの周波数帯域で機能するように構成され、放射素子の一部分がループ（１２）の形態を有し、前記ループ（１２）はある一定の平面上にあり、前記平面は、ミラーガラスによって画成される平面に対してある一定の角度を成していることを特徴とする自動車ミラーアンテナ組立体。
2. 前記ループ（１２）は、ケーシング（１１）の後部に極めて接近して配置されている、請求項１記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
3. 放射素子（１）は、互いの間に９０度の角度を成して配置された垂直部分と水平部分とを含んでおり、放射素子は、前記垂直部分および前記水平部分に対して傾斜した状態で配置された傾斜部分をさらに含んでいる、請求項１または２記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
4. 放射素子全体が、ミラーの外周の少なくとも一部に略沿って配置されている、請求項１記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
5. 放射素子は、可撓性薄層基材の表面に対して固定された平坦な可撓性のストリップである、請求項１〜４のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
6. 放射素子は、ケーシングの内面上にプリントされている、請求項１または２記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
7. 放射素子の少なくとも一部は、ミラーに対して略垂直である、請求項１〜６のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
8. 前記ループ（１２）は前記ミラーガラスによって画成される前記平面に対して角度を成し、この角度が−３０度から＋３０度の範囲内にある、請求項１〜７のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
9. 放射素子および基材は、少なくとも一部がミラーの前記外周（４）に沿って配置されている、請求項１記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
10. 前記放射素子の形状の少なくとも一部が、フラクタル・デザインを有している、請求項１〜９のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
11. 放射素子の形状が生成モチーフの反復によって得られると共に、放射素子の形状は、少なくとも２つの縮尺レベルの前記生成モチーフを有している、請求項１０記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
12. 放射素子は、導体、超伝導体、もしくは半導体で作られるか、または、導体、超伝導体、もしくは半導体によって限定される、請求項１〜１１のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
13. ミラー組立体は機械的および電気的な構成要素を収容しており、放射素子は前記構成要素の周囲に配置されている、請求項１〜１２のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
14. 放射素子（１）は少なくとも１つの分岐（８）を含み、この分岐（８）は、放射素子の一箇所に対して連結された第１の端部と、開放した第２の端部とを有しており、前記分岐（８）の形状が、少なくとも１つの生成モチーフ形状を含んでいる、請求項１〜１３のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
15. 前記分岐（８）は放射素子に対して平行である、請求項１４記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
16. アンテナは、ＡＭ、ＦＭ、ＶＨＦ、ＵＨＦ、ＤＡＢ−ＩＩＩ、ＤＡＢ−Ｌ、ＤＶＢ−Ｈ、ＤＶＢ−Ｔ、ＧＳＭ９００、ＧＳＭ１８００、ＡＭＰＳ、ＤＣＳ、ＧＰＳ、ＳＤＡＲＳ、ＣＤＭＡ８００、ＵＭＴＳ、Ｗ−ＣＤＭＡ、ＴＭＣ（交通情報チャンネル）、ＲＫＥ（リモートキー・エントリー）、ＦＢＨ（燃料ヒータ）、ＴＰＭＳ（タイヤ空気圧監視システム）、ブルートゥース（登録商標）、テトラ（Tetra）、ＤＥＣＴ、ＤＭＢ、ジグビー（Zigbee）、ＷＬＡＮ ８０２ ａ／ｂ／ｇを含んで成る群から選択された少なくとも２つの周波数帯域で機能するように適合されている、請求項１〜１５のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
17. 前記ケーシングには、前記放射素子および可撓性基材を取り付けるための手段が設けられている、請求項１〜１６のいずれか一項に記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
18. 前記手段は、ケーシングの内面に対する、またはミラー組立体の機械的構成要素に対する自らの取り付けのために適合されたライナー・ブラケットから成り、放射素子および可撓性基材が前記ライナー・ブラケットに対して固定されている、請求項１７記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
19. 可撓性基材がケーシングに対して接着されている、請求項１７記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
20. 可撓性基材が、クリップ留め手段によってケーシングに対して固定されている、請求項１７記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
21. 前記手段は、互いの間に狭い隙間を画成する２つの平行壁を備え、前記平行壁の外周および放射素子および可撓性基材が、少なくとも部分的に前記隙間内へ挿入されている、請求項１７記載の自動車ミラーアンテナ組立体。
22. 請求項１〜２１のいずれか一項に記載のミラーアンテナ組立体を少なくとも１つ組み込んでいる自動車。
23. 互いに異なる周波数帯で機能するように適合されたアンテナ素子を有する２つのミラー組立体を組み込んでいる、請求項２２記載の自動車。

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