JP5029567B2 - 接着式ウインドガラスの仮止め構造 - Google Patents
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Description
ウインドガラスを車体に固定する際には、ウインドガラスの車体に対する上下方向、左右方向、前後方向(ウインドガラスの厚さ方向)を位置決めした状態で接着剤を硬化させる必要がある。
そこで、ウインドガラスに接着した合成樹脂製のファスナを車体の係合孔に係合させることでウインドガラスの位置決めを行う仮止め構造が提案されている(特許文献1参照)。
そして、弾性片として、基板部に連結された環状の片体を用いている。
そのため、ファスナを成形する金型として、基板部の厚さ方向にスライドさせる金型と、基板部の厚さ方向に対して直交する方向へスライドさせ弾性片を成形する左右の金型とが必要となり、金型が複雑化して金型の設計、製造に手間がかかりコストが増大する不利があった。
また、弾性片が環状を呈していることから、車種に応じて弾性片の寸法を変更する必要が生じた場合には、金型を調整しにくく、構造が複雑な金型を最初から製造しなければならない不具合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コストを削減する上で有利な接着式ウインドガラスの仮止め構造を提供することを目的とする。
また、本発明の請求項2は、前記基板部は、厚さよりも大きい寸法の幅と、幅よりも大きい寸法の長さとを有する細長形状を呈し、前記フックは前記基板部の長さ方向の中間部から突設され、前記弾性片は、前記長さ方向で前記フックの両側における前記基板部の箇所から突設され、前記基板部の厚さ方向から前記弾性片を見た場合、前記弾性片の突出方向と前記基板部の長さ方向とは平行していることを特徴とする。
また、本発明の請求項4は、前記弾性片は前記フックの両側において、それぞれ前記基板部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項5は、前記弾性片は前記フックの両側において、それぞれ前記基板部の長さ方向および幅方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また本発明の請求項6は、前記弾性片は、前記先部に至るに連れて前記基板部から次第に離れるように傾斜していることを特徴とする。
そのため、金型の単純化を図れ、金型の設計、製造が容易でコストを削減する上で有利となる。
また、車種に応じて弾性片の寸法を変更する場合、弾性片の長さを調整する必要が生じたとしても、金型の構造が単純化されているので、従来のように最初から金型を作り直す必要はなく、金型の調整を容易にでき、金型の製造コストを削減する上で有利となる。
本発明の請求項2によれば、弾性片の長さを大きく確保することにより車体パネルとの反力圧縮代を多く確保でき、また、基板部の厚さ方向からファスナを見た場合に、弾性片を基板部の輪郭内に位置させることができ、金型を安価に製造する上で有利となる。
本発明の請求項3によれば、円弧部を有することから、弾性片の車体パネルへの弾接が円滑になされる。
本発明の請求項4によれば、弾性片の数を増やすことにより、車体パネルとの反力調整代をより多く確保でき組み付け性の向上を図る上で有利となり、また、基板部の面積も大きくなることから、ウインドガラスとの接着面積を大きく確保してファスナのウインドガラスに対する取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
本発明の請求項5によれば、弾性片の数をさらに増やすことにより、車体パネルとの反力調整代をより多く確保でき組み付け性の向上を図る上でより有利となり、また、基板部の面積も大きくなることから、ウインドガラスとの接着面積を大きく確保してファスナのウインドガラスに対する取り付け強度の向上を図る上でより有利となる。
本発明の請求項6によれば、弾性片が傾斜していることから、金型を安価に製造する上で有利となる。
次に本発明の実施の形態について説明する。
図9は乗用車2の外観を示す斜視図である。
実施の形態の接着式ウインドガラスの仮止め構造10は、乗用車2のウインドガラス4に適用されている。
仮止め構造10はファスナ12を含んで構成され、ファスナ12はウインドガラス4の上縁の左右2箇所に配置され、ウインドガラス4の上縁はそれらファスナ12により仮止めされ、位置決め後、接着剤により車体6に取り付けられる。
なお、ウインドガラス4の左右の側縁、下縁は、従来公知のさまざまな構造により取り付けられている。
図6は図9のAA線断面図であり、ウインドガラス4の車体パネル8への仮止め前の状態を示す図、図7は図9のAA線断面図であり、ウインドガラス4の車体パネル8への仮止め後の状態を示す図、図8は図7のAA線断面図である。
ファスナ12は、ポリアセタール、ナイロン、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂製で、型により一体成形されている。
ファスナ12は、基板部14と、フック16と、弾性片18と、開口部20と、ガイド片22とを有している。
基板部14の厚さ方向の一方の面は、平坦な裏面1402とされ、この裏面1402は例えば両面粘着テープなどを介してウインドガラス4に取り付けられる。
基板部14の厚さ方向の他方の面である表面1404の幅方向の端部には、剛性向上のため、基板部14の長さ方向から見た場合に、基板部14の断面がL字形となるようにリブ1410が膨出形成されている。
リブ1410は基板部14の長さ方向の全長にわたって延在されている。
フック16は、車体6を構成する車体パネル8(図8)に係止することで車体パネル8に対して離れる方向におけるウインドガラス4の位置決めを行う係止部1602を有している。
係止部1602は、基板部14の幅方向でリブ1410が形成された側に突設されている。
車体パネル8に対して離れる方向におけるウインドガラス8のフック16による位置決めは例えば±0.1mm程度でなされる。
弾性片18は、長さ方向でフック16の両側における基板部14の箇所から基板部14の幅方向と平行する方向に延在する幅を有して突設され、基板部14の厚さ方向から基板部14を見た場合、弾性片18の突出方向と基板部14の長さ方向とは平行している。
弾性片18は片持ち式で弾性片18の突出方向の先部は基板部14から切り離されている。
弾性片18は、弾性片18の突出方向および幅方向に直交する厚さを有し、弾性片18の突出方向の先部に、弾性片18の厚さよりも大きい寸法の直径からなる円弧部1802が弾性片18の幅方向に延在し、弾性片18の車体パネル8への弾接の円滑化が図られている。
なお、弾性片18の幅方向が基板部14の幅方向と平行することから、基板部14の厚さ方向からファスナ12を見た場合に、弾性片18が基板部14の輪郭内に位置し、金型を安価に製造する上で有利となっている。
フック16の両側に2つずつ設けられた合計4つの弾性片18は、基板部14を平面視した場合(基板部14の厚さ方向から見た場合)、各弾性片18の長さ方向が、基板部14の長さ方向に直線状に延在するように並べられた列を構成している。
弾性片18は、先部に至るに連れて基板部14から次第に離れるように傾斜し、金型を安価に製造する上で有利となっている。
フック16の両側の弾性片18は、フック16を中心とした左右対称形状を呈している。
フック16の両側において2つの弾性片18は、互いに近接する箇所が基板部14に連結され、互いに離れた箇所が基板部14から離れるように傾斜した傾斜板として設けられ、ハの字を形成している。
図3に示すように、基板部14の厚さ方向から基板部14を見た場合、基部1810を除いた残りの弾性片18の部分が収容される大きさの開口部20が、各弾性片18毎に基板部14に設けられ、基板部14の厚さ方向にスライドされる上下の金型によりファスナ12を製造できるように構成されている。
ガイド片22は、車体パネル8の孔8002(図7、図8)に係合され、このガイド片22の係合により、車体パネル8に対してウインドガラス4の上縁の上下左右の位置決めがなされる。ガイド片22の係合によるウインドガラス4の上下左右の位置決めは、車体パネル8のばらつき(例えば±2mm程度)を吸収できる程度でなされる。
図4、図5に示すように、ガイド片22には、車体パネル8の孔8002に挿入されやすいように、傾斜面2202、2204が形成されている。
なお、フック16とその両側のガイド片22で囲まれる基板部14の箇所には、図1、図3、図5に示すように、開口部1420が形成されている。
次に、ファスナ12の取り付けについて説明する。
図6に示すように、ファスナ12の基板部14の裏面1402を両面粘着テープなどによりウインドガラス4に取り付ける。この場合、ウインドガラス4の全周にわたって接着剤Sが塗布されている。
そして、ウインドガラス4を車体パネル8に臨ませ、ファスナ12のフック16およびガイド片22を車体パネル8の孔8002に挿入する。
フック16を孔8002に挿入すると、図7に示すように、係止部1602が孔8002の縁部を乗り越え、各ガイド片22が孔8002の縁部に当接されることでウインドガラス4の上下左右の位置決めがなされる。
弾性片18は、車体パネル8に弾接してウインドガラス4を車体パネル8から離れる方向に付勢し、係止部1602を孔8002の周囲の車体パネル8箇所に係止させる。
したがって、ウインドガラス4は、車体パネル8に対して離れる方向における位置決めがなされた状態で係止保持され、接着剤Sの硬化によりウインドガラス4が車体パネル8に取り付けられる。
なお、図8において、符号24はウインドガラス4と車体パネル8との隙間をシールするウインドシールドモールディングを示している。
したがって、ファスナ12を成形する金型として、基板部14の厚さ方向にスライドさせる金型で足り、基板部14の厚さ方向に対して直交する方向へスライドさせる金型が不要となる。
そのため、金型の単純化を図れ、金型の設計、製造が容易でコストを削減する上で有利となる。
また、例えば、ウインドガラス4と車体パネル8との距離を変えたい場合などのように車種に応じて弾性片の寸法を変更する場合、弾性片18の長さを調整する必要が生じたとしても、金型の構造が単純化されているので、従来のように最初から金型を作り直す必要はなく、金型の調整を容易にでき、金型の製造コストを削減する上で有利となる。
また、弾性片18が片持ち式で弾性片18の突出方向の先部は基板部14から切り離されているため、弾性片18の長さを確保することで、車体パネル8の形状や寸法のばらつきを吸収する上で有利となる。
特に、従来のように、弾性片として環状の構造を用いる場合に比較して、弾性片18が片持ち式であるため、弾性片18の弾性が強くなり過ぎることがなく、車体パネル8の形状や寸法のばらつきを吸収する上でより一層有利となる。
また、車体パネル8との間にウインドガラス4の厚さ方向において一定の寸法の隙間が形成されるため、ウインドガラス4と他の部品と間の間隔が空き過ぎたり、ウインドガラス4と他の部品とが近づきすぎて干渉したりすることを確実に防止する上で有利となる。
また、車体パネル8との間にウインドガラス4の厚さ方向において一定の寸法の隙間が形成された状態で接着剤Sが硬化するため、ウインドガラス4と車体パネル8との間に介在する接着剤Sの厚さを一定に保持できるため、接着剤Sによるシール性を確保する上で有利となり、ウインドガラスSと車体パネル8との間で接着剤Sが一部途切れてシール切れを生じるといったことを確実に防止する上で有利となる。
次に第2の実施の形態について説明する。
図10は第2の実施の形態におけるファスナ12の斜視図である。なお、以下の実施の形態においては第1の実施の形態と同一または対応する部分、部材には同一の符号を付して説明する。
第1の実施の形態では、ファスナ12の弾性片18は、フック16の両側に2つずつ設けられていたが、第2の実施の形態では、ファスナ12の弾性片18は、フック16の両側に4つずつ設けられている。
フック16の片側に設けられた4つの弾性片18は、ハの字が2つ形成されるように基板部14から突設され、各弾性片18に対応してそれぞれ開口部20が形成されている。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
さらに、第1の実施の形態では弾性片18が4つ設けられているのに対して、第2の実施の形態では弾性片18が8つ設けられていることから、車体パネル8との反力調整代を多く確保でき組み付け性の向上を図る上で有利となる。
また、第2の実施の形態では、両面粘着テープの長さ方向の寸法を大きく取れるのでウインドガラス4との接着面積を大きく確保してファスナ12のウインドガラス4に対する取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
次に第3の実施の形態について説明する。
図11は第3の実施の形態におけるファスナ12の斜視図である。
第3の実施の形態では、基板部14の幅が第1の実施の形態よりも大きな寸法で形成され、第1の実施の形態で設けられた4つの弾性片18からなる列が幅方向に間隔をおいて2つ設けられている。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
さらに、第1の実施の形態では弾性片18が4つ設けられているのに対して、第3の実施の形態では弾性片18が8つ設けられていることから、第2の実施の形態と同様に、車体パネル8との反力調整代を多く確保でき組み付け性の向上を図る上で有利となる。
また、第3の実施の形態では、両面粘着テープの幅方向の寸法を大きく取れるのでウインドガラス4との接着面積を大きく確保してファスナ12のウインドガラス4に対する取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
次に第4の実施の形態について説明する。
図12は第4の実施の形態におけるファスナ12の斜視図である。
第4の実施の形態では、ファスナ12の弾性片18は、基板部14の長手方向においてフック16の両側に1つずつ設けられている。
この実施の形態では、各弾性片18は、フック16寄りの箇所が基板部14に連結され、フック16から離れた箇所が基板部14から切り離されるように突設されているが、フック16から離れた箇所が基板部14に連結され、フック16寄りの箇所が基板部14から切り離されるように突設されていてもよい。
このような第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第4の実施の形態では、弾性片18が2つであるため、型構造を簡素化でき、金型の設計、製造、調整などに要する準備費を削減する上で有利となる。
次に第5の実施の形態について説明する。
図13は第5の実施の形態におけるファスナ12の要部断面図である。
第1乃至第4の実施の形態では、弾性片18は直線状に延在し傾斜板として形成されている場合について説明したが、この第5の実施の形態のように、弾性片18が片持ち式で弾性片18の突出方向の先部が基板部14から切り離されていれば、弾性片18は、基板部14の表面1404から離間する方向に向かって凸状となるように湾曲形成されていてもよい。
このような第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第5の実施の形態でも、型構造を簡素化でき準備費を削減する上で有利となる。
なお、弾性片18の形状は板状や湾曲形状に限定されず、弾性力を発揮し、基板部14の厚さ方向にスライドする金型で成形できる形状であればよい。
Claims (6)
- ウインドガラスを車体パネルに接着するに際して、前記ウインドガラスに設けられたファスナを前記車体パネルに係止させることで前記車体パネルに対して離間接近する方向における前記ウインドガラスの位置決めを行う接着式ウインドガラスの仮止め構造であって、
前記ファスナは、
前記ウインドガラスに取着される基板部と、
前記基板部から突設され前記車体パネルに係止される係止部を有し前記係止部が前記車体パネルに係止することで前記車体パネルに対して離れる方向における前記ウインドガラスの位置決めを行うフックと、
前記フックの両側における前記基板部の箇所から突設され前記車体パネルに弾接して前記ウインドガラスを前記車体パネルから離れる方向に付勢し前記係止部を前記車体パネルに係止させる弾性片とを有し、
前記弾性片は、前記基板部に連結された基部を有し、
前記基板部の厚さ方向から前記基板部を見た場合、前記基部を除いた残りの前記弾性片の部分が収容される大きさの開口部が前記各弾性片毎に前記基板部に設けられ、
前記弾性片は片持ち式で前記弾性片の突出方向の先部は前記基板部から切り離されている、
ことを特徴とする接着式ウインドガラスの仮止め構造。 - 前記基板部は、厚さよりも大きい寸法の幅と、幅よりも大きい寸法の長さとを有する細長形状を呈し、
前記フックは前記基板部の長さ方向の中間部から突設され、
前記弾性片は、前記長さ方向で前記フックの両側における前記基板部の箇所から突設され、
前記基板部の厚さ方向から前記弾性片を見た場合、前記弾性片の突出方向と前記基板部の長さ方向とは平行している、
ことを特徴とする請求項1記載の接着式ウインドガラスの仮止め構造。 - 前記弾性片は、前記弾性片の突出方向および幅方向に直交する厚さを有し、
前記弾性片の突出方向の先部に、前記弾性片の厚さよりも大きい寸法の直径からなる円弧部が前記弾性片の幅方向に延在している、
ことを特徴とする請求項2記載の接着式ウインドガラスの仮止め構造。 - 前記弾性片は前記フックの両側において、それぞれ前記基板部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の接着式ウインドガラスの仮止め構造。 - 前記弾性片は前記フックの両側において、それぞれ前記基板部の長さ方向および幅方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の接着式ウインドガラスの仮止め構造。 - 前記弾性片は、前記先部に至るに連れて前記基板部から次第に離れるように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載の接着式ウインドガラスの仮止め構造。
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