JP5028836B2 - 燃料電池用触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用触媒に関し、さらに詳しくは、燃料電池用触媒を連続的に製造する方法に関する。
地球温暖化問題を引き起こしている二酸化炭素の排出を削減する技術として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質の種類により、りん酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、固体高分子形(PEFC)、固体電解質形(SOFC)、アルカリ形(AFC)等に分類できる。また、燃料の種類により、メタノール燃料電池、ヒドラジン燃料電池等に分類できる。燃料電池は天然ガス、メタノール、ナフサ、石炭等の燃料を改質して得られる水素と、空気中の酸素との電気化学反応により電気エネルギーを得るようにした装置であり、クリーンで高い発電効率を得ることができる。
この燃料電池は、近年では移動通信用、建築・土木工事用等に使用される数100W程度の小型電源用として注目され、ポータブル化の気運が高まっている。この気運に対し、固体高分子形燃料電池(PEFC)はパーフルオロスルフォン酸膜等のイオン交換膜を電解質とし、このイオン交換膜の両面にアノードとカソードの各電極を接合して構成されているため、上記の小型電源用として優れている。発電は、アノードに水素、カソードに酸素を供給して、各電極で下記の電気化学反応させる。
アノード: H2→2H+2e
カソード: 1/2O2+2H+2e→H2
全反応: H+1/2O2→H2
これらの反応を速やかに進行させるために、従来より金属微粒子を触媒として用いることが知られている。特に、水素酸化反応、酸素還元反応に強い活性を示す白金微粒子が用いられており、金属微粒子製造法としては含浸法、気相還元法、液相還元法、スパッタ法などが知られている。ただし、これらの手法はいずれもバッチ式であり、触媒製造の量産化には最適とは言えない。
さらに、固体高分子形燃料電池は、常温〜100℃での低温で運転が可能であるため、その利用の期待が大きい。しかし、水素を直接燃料としているため、水素の貯蔵方法の点及びエネルギーの体積密度が小さい点に問題がある。
一方、液体燃料であるメタノールから改質した水素を用いる方法は、水素を直接用いる方法において生じる問題点を抑えるものとして有力な方法である。メタノールを用いる方法のうち、特にメタノールを直接電極上で反応させる直接メタノール形燃料電池(DMFC、Direct Methanol Fuel Cell)が特に注目されている。即ち、直接メタノール形燃料電池は、改質器が不要であるため、小型軽量化することが可能であり、自動車用電力源や携帯電話などの携帯用電源として期待されている。この直接メタノール形燃料電池の電極での反応は、次のように行われる。
メタノール燃料極(アノード極):CHOH+HO→CO+6H+6e
空気極(カソード極):3/2O+6H+6e→3H
全反応:CHOH+3/2O→CO+2H
これらの反応を速やかに進行させるために、従来より金属微粒子を触媒として用いることが知られている。特に、メタノール酸化反応、酸素還元反応に強い活性を示す白金微粒子および白金合金微粒子が用いられており、金属微粒子製造法としては含浸法、気相還元法、液相還元法、スパッタ法などが知られている(特許文献1参照)。ただし、これらの手法はいずれもバッチ式であり、触媒製造の量産化には最適とは言えない。
特開2003−123775号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の問題を解消し、連続的に金属微粒子を製造し、高い活性性能を有する燃料電池用触媒の量産化を可能とすることにある。
上記目的を達成するために、金属を含む原料液の投入部、原料液を送液および加圧するためのポンプ、流路、流路の一部を加熱するためのヒーター部、流路内の圧力を調節するための圧力調整弁および触媒となる金属微粒子を回収する回収部からなる装置を用いる燃料電池用触媒の製造方法であって、前記金属の金属源としては塩化物、臭化物、ヨウ化物、(亜)硝酸塩、炭酸塩、錯体、シアン化物、硫酸塩が用いられ、原料液中に水またはアルコール系の溶媒を含み、前記流路の一部の圧力を1MPa〜50MPaの範囲で、ヒーター部の温度を100℃〜400℃の範囲で、金属を含む原料液のpHを10〜14にして製造するものである。
本発明によれば、金属を含む原料液の投入部、原料液を送液および加圧するためのポンプ、流路、流路の一部を加熱するためのヒーター部、流路内の圧力を調節するための圧力調整弁および触媒となる金属微粒子を回収する回収部からなる装置を用いることで、連続的に金属微粒子を製造し、高い活性性能を有する燃料電池用触媒を連続的に得ることができる。
本発明の触媒の製造法は、金属を含む原料液の投入部、原料液を送液および加圧するためのポンプ、流路、流路の一部を加熱するためのヒーター部、流路内の圧力を調節するための圧力調整弁および触媒となる金属微粒子を回収する回収部からなる装置を用いることを必須とする。ポンプで金属原料を連続的に供給することで触媒となる金属微粒子の連続生産が可能となり、温度と圧力を制御することにより、特定の活性を持つ金属微粒子を製造することが可能となる。ここでいう連続的とは、量産化に適していればよく、メンテナンスや生産調整のため、断続的に運転されても構わない。
金属を含む原料液の形態としては、ポンプで送液可能であれば特に限定されるものではなく、原料液中に含まれる金属の種類も1種以上複数種あっても構わない。金属源としては、各種の塩化物、臭化物、ヨウ化物、(亜)硝酸塩、炭酸塩、錯体、シアン化物、硫酸塩を単独または混合して用ることが必要である。特に、価格、溶解性の点から塩化物が好ましい。
金属として白金を用いる場合、その原料としては溶媒に溶解すればどの様な原料でも良く、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム、塩化白金酸、塩化白金無水物、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸アンモニウム、臭化白金、ヨウ化白金、シアン化白金、アセチルアセトン白金錯体、ジニトロジアンミン白金、テトラアンミンジクロロ白金、ジアンミンジクロロ白金、亜硝酸ジアンミン白金などが例示でき、特に限定されないが、その溶解性、反応性、価格などの観点から、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム、塩化白金酸、塩化白金無水物、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸アンモニウムなどの塩化物由来の原料を用いることが好ましい。なお、触媒調製時は、調製後の触媒に塩化物イオンが混入しないよう、充分に水洗することが好ましい。
金属としてルテニウムを用いる場合、その原料としては溶媒に溶解すればどの様な原料でも良く、塩化ルテニウム、塩化ルテニウム無水物、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、シアン化ルテニウム、アセチルアセトンルテニウム錯体、硝酸ルテニウム、ルテニウムカルボニル、硫酸ルテニウム、硝酸ニトロシルルテニウム、塩化ニトロシルルテニウム錯体などが例示でき、特に限定されないが、その溶解性、反応性、価格などの観点から、塩化ルテニウム、塩化ルテニウム無水物、塩化ニトロシルルテニウム錯体などの塩化物由来の原料を用いることが好ましい。なお、触媒調製時は、調製後の触媒に塩化物イオンが混入しないよう、充分に水洗することが好ましい。
本発明における触媒となる金属微粒子を作る際の圧力は高い方が溶媒の沸点を高温にでき、還元反応を促進するので好ましく、また金属が二種以上含まれているときは合金化が進みやすくなるので好ましい。しかし金属微粒子安定化剤として水溶性高分子などが入っている場合、水溶性高分子が分解しない程度の圧力にするのが好ましい。具体的には、1MPa〜50MPaの範囲に調節することが必要である
本発明における触媒となる金属微粒子を作る際の温度は高い方が反応速度が大きくなって好ましく、特に大気圧での沸点以上の温度であることが好ましい。また金属が二種以上含まれている場合、高温にするほど合金化が進みやすくなるので好ましい。しかし金属微粒子安定化剤として水溶性高分子などが入っている場合、水溶性高分子が分解しない程度の温度にするのが好ましい。具体的には、100℃〜400℃の範囲に調節することが必要であり、さらに好ましくは150℃〜380℃の範囲に調節することが好ましい。
触媒となる金属微粒子を作る際の温度と圧力は、溶媒を超臨界状態にできる温度と圧力があれば、原料液の密度を自由に制御することができ、拡散速度も液相・気相に比べて大きくすることができるようになる。その結果、金属微粒子サイズを自由に制御できる、反応速度が上がる、などの利点があり好ましい。超臨界状態とは溶媒が気相でも液相でもない高温高圧の状態にあることをいう。超臨界状態となる温度と圧力を超臨界点といい、各溶媒によって固有の値を取る。例えば水の場合、超臨界点(647.3K、22.12MPa)以上の温度、圧力にある場合、超臨界状態といい、またエタノールの場合、超臨界点(513.9K、6.14MPa)以上の温度、圧力にある場合、超臨界状態という。
本発明における触媒となる金属微粒子を作る際の流速は、大きいほど金属微粒子の生成量が増えて好ましいが、あまり速すぎると原料が還元されずにそのまま反応出口から出てしまうことになり、触媒金属の回収率が悪くなる。そこで流速としては、金属原料溶液が反応容器内を通過する間に、金属原料の80%程度が還元される程度が好ましい。すなわち、反応速度によって流速の好ましい範囲が決まるため、反応温度と圧力、還元溶媒などによって最適な範囲が変化する。例えば、100℃10MPaの条件で、エチレングリコールを用いて還元する場合、2〜60cm/s程度の線速が好ましい。
本発明の金属を含む原料液において、金属の種類と数は特に限定されるものではない。例えば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)等から挙げられる金属を1種以上含むことができる。これらの中でも、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうち一種以上の金属を含むことが好ましく、さらに好ましくは白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)のうち一種以上の金属を含むことが好ましい。特に白金(Pt)は、酸素還元能力が高いのでカソード触媒として好ましい。
また、直接メタノール形燃料電池のアノード用触媒として用いる場合、二種以上の金属を含むことが好ましく、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれる二種以上の金属を含むことが好ましく、さらに好ましくは白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)から選ばれる二種以上の金属を含むことが好ましい。特に白金(Pt)とルテニウム(Ru)の組み合わせは、反応に伴って生成してくるCOによる触媒被毒を防ぐ働きが強く好ましい。
金属を含む原料液の溶媒としては金属の塩もしくは錯体を溶解または均一に分散できるものであ、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール系が金属原料を還元状態に保持できるので必須に用いられる。またそれぞれの溶媒は、単独で用いても良いし混合して用いても良い。なかでも超臨界状態を得やすい、水、エタノール、水/エタノール混合溶媒が好ましい。
金属を含む原料液の濃度としては、濃度が高いほど生産性が向上できるので好ましいが、あまり濃度が高くなると、生じた金属微粒子が安定に存在できず、沈殿を生じるようになるので適度に抑えるのが好ましい。具体的には、1mM〜100mMの濃度にするのが好ましい。
本発明における金属を含む原料液中に他の成分を含んでいても良い。特に、生成してくる金属微粒子を安定に分散化させるような成分が含まれることが好ましい。例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等の水溶性高分子、パーフルオロスルホン酸系高分子、トリトンX、ドデシルスルホン酸ナトリウム、四級アンモニウム塩などの界面活性剤、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリがあると金属微粒子が均一に分散できて好ましい。なかでも、製造した触媒から容易に除去できる水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機アルカリ塩が好ましい。
本発明における金属を含む原料液のpHは、金属微粒子を安定に分散化できるため、pH=10〜14の範囲にあることが必要である。ただし、反応後の金属微粒子分散液のpHは、この限りではない。また、上記pHの範囲に調節するために、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、シュウ酸カリウム、フタル酸カリウム、クエン酸カリウムなどを用いることが好ましい。
本発明において触媒とは、目的の反応速度を高め又は促進するが、反応によって変化されることがない物質を意味する。触媒は少なくとも一種の金属微粒子を成分として含むが、複数の金蔵微粒子を成分として含んでも構わない。また、その他の成分の選択は燃料電池用電極が使用される用途によって決まり、その他の成分としては、例えば、炭素担体上に担持されたあるいは担持されていない、金属および金属酸化物状態の貴金属又は遷移金属などをあげることができる
本発明において、触媒の金属微粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したとき、金属微粒子の投影面積を円換算した平均粒子径が20nm以下であるようにすることが好ましい。さらに好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下の球状であるのがよい。円換算平均粒子径の求め方は、透過型電子顕微鏡で観察するとき視野内にある金属微粒子を無作為に200個抽出し、それぞれの粒子の投影面積を真円と同等とみなして換算した時の直径を円換算粒子径とし、これを200個の金属微粒子について平均化することにより求める。
透過型電子顕微鏡の観察により200個の金属微粒子を抽出するときは、顕微鏡の倍率を10万倍以上にして行う。透過型電子顕微鏡の性能によっては、10万倍以上の倍率で観察するのが困難な場合もあるが、本発明では正確な粒子サイズを求めるために10万倍以上の倍率にする。10万倍以上の倍率の観察を可能にする高性能な透過型電子顕微鏡としては、日立製作所製HF-2210等を例示することができる。
透過型電子顕微鏡で触媒を観察するとき、金属微粒子同士が近接し、雪ダルマ状になって観察される場合もあるが、その時は2つの金微属粒子として換算する。また、3つ以上の金属微粒子が凝集して観察される場合もあるが、これらもそれぞれの粒子を別々にカウントして円換算粒子径を求めるようにする。
本発明の触媒となる金属微粒子は、金属の種類と数は特に限定されるものではない。例えば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)等から挙げられる金属を1種以上含むことができる。これらの中でも、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうち一種以上の金属を含むことが好ましく、さらに好ましくは白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、イリジウム(Ir)のうち一種以上の金属を含むことが好ましい。特に白金(Pt)は、他の金属に比べて酸化活性が高く、酸素還元能力も高いので好ましい。
本発明の触媒には、上記金属元素の他に他の元素を含むようにしてもよい。この他の元素としては、炭素、窒素、酸素、ホウ素、リン、ケイ素、水素、硫黄などの典型元素のほか、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素などを挙げることができる。ただし、ハロゲン化物イオンは白金金属と結合して反応を阻害することがあるので、できるだけ少ない方が好ましい。
本発明の触媒となる金属微粒子は担体に担持することが好ましい。なかでも炭素材料は電極触媒担体として有用である。炭素材料の種類としては、種々のカーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノホーン等を例示することができる。これらのうちでも、特に導電性の点で、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブが好ましい。また、カーボンブラックとしてはバルカン(登録商標)XC−72R、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ブラックパールズ(登録商標)2000などが例示できる。
担体への担持方法としては、特に限定されるものではないが、得られた金属微粒子分散液に担体を加えて担持する方法、担体上に金属微粒子分散液を滴下する方法、担体分散液と金属微粒子分散液を混合する方法などが例示できる。特に、均一に担持でき、連続的に製造できるという点で、金属微粒子分散液と同じ分散媒に担体を分散させておき、金属微粒子分散液を滴下する手法が好ましい。
本発明の触媒が適用される燃料電池としては、その種類はりん酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、固体高分子形(PEFC)、固体電解質形(SOFC)、アルカリ形(AFC)のいずれであってもよい。これらのうちでも、特に使用温度条件が低い固体高分子形燃料電池が特に好ましい。
また、燃料電池に用いる燃料も、水素、改質ガス、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ヒドラジン等のいずれでもよく、特に限定されるものではない。しかし、好ましくは水素、改質ガス、メタノール、エタノール、ジメチルエーテルが好ましく、さらに好ましくは、直接アルコール形燃料電池に用いることがよい。使用するアルコールとしては、メタノールが特に好ましい。
また、触媒を用いる燃料電池の部位としては、カソード電極用の触媒、アノード電極用の触媒のいずれであってもよい。特に含まれる金属が白金のみの場合はカソード電極用触媒として好ましく、白金およびルテニウムを含む場合はアノード電極用触媒として好ましい。
次に本発明の燃料電池用触媒を用いた燃料電池について説明する。本発明の燃料電池触媒を用いて電極触媒層を形成し、電極基材、高分子電解質膜と組み合わせることにより膜電極複合体として燃料電池に用いられる。
本発明の燃料電池における電極触媒層について説明する。電極触媒層とは、電極反応を促進する電子伝導やプロトン伝導に寄与する物質を含む層である。また燃料が液体や気体の場合には、その液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造が好ましい。
本発明の燃料電池の燃料としては、水素、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの気体、アルコール、ケトン、ジエチルエーテルなどの液体が挙げられ、1種または2種以上の混合物でもよい。特に反応効率や電池全体のシステム簡素化の観点から炭素数1〜6の有機化合物およびこれと水との混合物が好ましく、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらと水の混合物がより好適に使用される。
また、電極触媒層に含まれる触媒としては本発明の触媒となる金属微粒子を含むが、さらには公知の触媒を用いることができ、特に限定されるものではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金などの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金、混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わない。
電極触媒層に含まれる電子伝導体(導電材)としては、特に限定されるものではないが、電子伝導性や化学的な安定性の点から炭素材料、無機導電材料が好ましく用いられる。なかでも、非晶質、結晶質の炭素材が挙げられる。例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。ファーネスブラックとしては、キャボット社製バルカン(登録商標)XC−72、バルカンP、ブラックパールズ(登録商標)880、ブラックパールズ(登録商標)1100、ブラックパールズ(登録商標)1300、ブラックパールズ(登録商標)2000、リーガル(登録商標)400、ケッチェンブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラック(登録商標)EC、EC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業社製デンカブラック(登録商標)などが挙げられる。
またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。これらの炭素材の形態としては特に限定されず、不定形粒子状のほか繊維状、鱗片状、チューブ状、円錐状、メガホン状のものも用いることができる。また、これら炭素材を後処理加工した炭素材も用いることが可能である。また、電子伝導体は、触媒粒子と均一に分散していることが電極性能の点で好ましいものである。このため、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散しておくことが好ましい。
さらに、電極触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボン等を用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できる。ここで、電極触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、電子伝導性をさらに高めるために導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
上記、触媒と電子伝導体類は通常粉体であるので、これらを固めるためにプロトン伝導体を使用する。電極触媒層に用いられるプロトン伝導体としては、一般的に、種々の有機、無機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、プロトン伝導性を向上するスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などのアニオン性基を有するポリマが好ましく用いられる。なかでも、アニオン性基の安定性の観点から、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基を有するポリマが好ましく用いられる。たとえば、デュポン社製のナフィオン(登録商標)、旭化成社製のアシプレックス(登録商標)、旭硝子社製フレミオン(登録商標)などが好ましく用いられる。また本発明の高分子電解質も好適である。これらのプロトン交換ポリマは、溶液または分散液の状態で電極触媒層中に設ける。この際に、ポリマを溶解あるいは分散化する溶媒は特に限定されるものではないが、プロトン交換ポリマの溶解性の点から極性溶媒が好ましい。
プロトン伝導体は、電極触媒層を作製する際に電極触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが電極性能の点から好ましいものであるが、電極触媒層を塗布した後にプロトン伝導体を塗布してもかまわない。ここで、電極触媒層にプロトン伝導体を塗布する方法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコート、フローコートなどが挙げられ、特に限定されるものではない。電極触媒層に含まれるプロトン伝導体の量としては、要求される電極特性や用いられるプロトン伝導体の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がさらに好ましい。プロトン伝導体は、少な過ぎる場合はプロトン伝導性が低く、多過ぎる場合はガス透過性を阻害する点で、いずれも電極性能を低下させることがある。
電極触媒層には、上記の触媒、電子伝導体、プロトン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもかまわない。特に電極触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、上述のプロトン交換樹脂以外のポリマを含んでもよい。このようなポリマとしては、フッ素原子を含むポリマが挙げられ、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルなど、あるいはこれらの共重合体、これらのポリマを構成するモノマ単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマとの共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができる。これらポリマの電極触媒層中の含有量としては、重量比で5〜40%の範囲が好ましい。ポリマ含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する傾向がある。
本発明の燃料電池においては、電極基材は特に限定されることなく公知のものを用いることが可能であり、電気抵抗が低く、集(給)電を行えるものであれば用いることができる。また、前記電極触媒層を集電体兼用で使用する場合は、特に電極基材を用いなくてもよい。電極基材の構成材としては、たとえば、炭素質、導電性無機物質が挙げられ、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。たとえば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E-TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるものなど特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。
電極基材に炭素繊維からなる導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などがあげられる。
本発明の燃料電池に用いられる電極基材に、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐために行う撥水処理、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるために行われる炭素粉末の添加等を行うこともできる。
本発明の燃料電池においては、電極基材と電極触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマを含む導電性中間層を設けることが好ましい。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、電極触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
本発明の高分子電解質膜、電極触媒層あるいは電極触媒層と電極基材を用いて膜電極複合体とする際の作製方法は特に限定されるものではなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
A.触媒評価用電極の調製方法
触媒試料の電気化学的な特性評価は、以下の手順に従って試験電極を作製した。触媒試料を微量の蒸留水で湿らせたあと、2 g/Lとなるようにエタノールを加え、30分間超音波にて均一に分散させた。得られた分散液を、#3000のエメリー紙にて平滑研磨したグラッシーカーボン(GC)電極上に20 μL滴下した。60℃で乾燥させた後、メタノールで1%に希釈したナフィオン(登録商標) 溶液を10 μL滴下し電極触媒を固定化後、再び60℃で乾燥した。触媒/グラッシーカーボン電極を集電体である真鍮製の電極ホルダーに固定し、試料面(見かけ表面積0.196 cm2)のみが露出するようにグラッシーカーボン電極および電極ホルダーをフッ素樹脂テープで絶縁し、試験電極とした。
B. 電気化学測定法
電解セルにはビーカー型三極式を使用し、対極には白金メッシュ、参照極にはAg/AgCl電極を使用した。電解セルを用いた全ての電気化学測定は、ポテンショスタット(北斗電工社製電気化学測定システムHSV-100)によって行った。測定は25℃の恒温槽中に設置した電解セルに、純度99.9999%以上の窒素を吹き込んで電解液中の溶存酸素を除去しながら行った。また電極電位は、可逆水素電極(RHE)電位基準で表示した。試験電極表面の不純物を取り除くために、電位走査速度100 mV/sで100サイクルの電気化学的前処理を行った。このときの電位走査範囲は、0.05〜1.2 V(vs. RHE)とした。また、ルテニウムを含む触媒での電位走査範囲は、0.05〜0.8 V(vs. RHE)とした。ルテニウムを含む触媒における電位範囲の上限は、金属ルテニウムの不可逆酸化を防ぐためである。サイクリックボルタンメトリーはこの電気化学的処理の後、上記の電位走査範囲で、100 mV/sの走査速度で行った。
得られたサイクリックボルタンメトリー曲線の内、0.05〜0.4 V(vs. RHE)の範囲に見られる水素原子吸着波の電気量から、電極触媒上に担持された金属比表面積を算出した。電極二重層の充電のための電気量を差し引き、電気量として210μC/cmの値から割り返して金属比表面積を算出した。
C.MEAによる発電性能評価
(カソード触媒評価)
製造した触媒とナフィオン(登録商標)を混合し、カーボンペーパー上に0.5mg-Pt/cmとなるよう塗布し、カソード側電極を調製した。またアノード側電極は、ジョンソンマッセイ社製白金ルテニウム担持カーボンを3mg-Pt/cmとなるようカーボンペーパー上に塗布して作製した。高分子電解質膜として、ナフィオン(登録商標)117(商品名、Dupont社製)を間に挟んでプレスし、MEAを作製した。このMEAを用いてアノード側に3%メタノール水溶液、カソード側に空気を用いて40℃で発電させ、セル電圧400mVにおいての電流値を測定することで触媒の発電性能評価を行った。
(アノード触媒評価)
製造した触媒とナフィオン(登録商標)を混合し、カーボンペーパー上に0.5mg-Pt/cmとなるよう塗布し、アノード側電極を調製した。またカソード側電極は、ジョンソンマッセイ社製白金担持カーボンを6mg-Pt/cmとなるようカーボンペーパー上に塗布して作製した。高分子電解質膜として、ナフィオン(登録商標)117(商品名、Dupont社製)を間に挟んでプレスし、MEAを作製した。このMEAを用いてアノード側に3%メタノール水溶液、カソード側に空気を用いて40℃で発電させ、セル電圧400mVにおいての電流値を測定することで触媒の発電性能評価を行った。
(実施例1)
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が30 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Aを調製した。また、水酸化ナトリウムを122mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Bを調製した。白金原料液Aとアルカリ溶液Bを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、12であった。この混合液を図1の装置(流路の内径:0.5mm、反応セル容積:2ml)を用い、電気炉温度200℃、調節圧力25MPa、ポンプ流量3mL/分(線速:6.4cm/s)で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))30mLに分散したものに上記白金微粒子分散液(反応時間1時間分)を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.7gを得た。
得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、50m/g-Ptであった。
また、得られた触媒を用いてMEAを作製し、カソード触媒としての発電性能を評価したところ、セル電圧400mVにおいて53mA/cmの電流を得ることができた。
この手法で触媒10gを得るには、白金微粒子製造時間を増やす必要があり、約26h必要になる。
(比較例1)
白金前駆体としてHPtCl・6HOを用いた。これら前駆体をそれぞれ金属濃度が4 mMとなるようにエタノールに溶解した。炭素材料担体としてバルカン(登録商標)XC-72Rを用い、エタノールを加えて超音波処理を30分間行い、分散した。この分散液に触媒全体として50wt%Ptの金属担持量となるようにPt前駆体溶液を加えて混合した。この前駆体混合分散液を30分間超音波処理して十分に分散させた後、ホットスターラーで攪拌しながら60℃で約4時間かけて乾燥させた(濃縮工程)。乾燥後に得られた粉末をめのう乳鉢で粉砕した後、水素/窒素(1:9)混合気体を流速250 mL/minで流通させながら、400℃で2時間熱分解(還元工程)を行いPt/C触媒0.5gを製造した。
得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、18m/g-Ptであった。
また、得られた触媒を用いてMEAを作製し、カソード触媒としての発電性能を評価したところ、セル電圧400mVにおいて15mA/cmの電流を得ることができた。
この手法で触媒10gを得るには、濃縮工程、還元工程での時間を増やす必要があり、約5日間(約120h)必要になる。
(実施例
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が30 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Aを調製した。また、水酸化ナトリウムを96mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Dを調製した。白金原料液Aとアルカリ溶液Dを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、10であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度200℃、調節圧力25MPa、ポンプ流量3mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))30mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.8gを得た。得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、23m/g-Ptであった。
(実施例
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が30 mMとなるようにエタノールに溶解し、白金原料液Eを調製した。また、水酸化ナトリウムを122mMとなるようにエタノールに溶解し、アルカリ溶液Fを調製した。白金原料液Eとアルカリ溶液Fを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、12であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度250℃、調節圧力25MPaの超臨界条件下、ポンプ流量3mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール30mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.8gを得た。
得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、48m/g-Ptであった。
(実施例
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が30 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Aを調製し、塩化ルテニウムを金属濃度が30 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、ルテニウム原料液Gを調製した。また、水酸化ナトリウムを214mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Hを調製した。白金原料液Aとルテニウム原料液G、アルカリ溶液Hを1:1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、14であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度200℃、調節圧力25MPa、ポンプ流量3mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))30mLに分散したものに上記白金ルテニウム微粒子分散液(反応時間1.5時間分)を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金ルテニウム担持カーボン1.0gを得た。
得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、30m/g-Ptであった。
また、得られた触媒を用いてMEAを作製し、アノード触媒としての発電性能を評価したところ、セル電圧400mVにおいて55mA/cmの電流を得ることができた。
この手法で触媒10gを得るには、金属微粒子製造時間を増やす必要があり、約31h必要になる。
(比較例2)
白金前駆体としてHPtCl・6HO、ルテニウム前駆体としてRuClを用いた。これら前駆体をそれぞれ金属濃度が4 mMとなるようにエタノールに溶解した。炭素材料担体としてバルカン(登録商標)XC-72Rを用い、エタノールを加えて超音波処理を30分間行い、分散した。この分散液に触媒全体として40wt%Pt、20wt%Ruの金属担持量となるように金属前駆体溶液を加えて混合した。この前駆体混合分散液を30分間超音波処理して十分に分散させた後、ホットスターラーで攪拌しながら60℃で約4時間かけて乾燥させた(濃縮工程)。乾燥後に得られた粉末をめのう乳鉢で粉砕した後、水素/窒素(1:9)混合気体を流速250mL/minで流通させながら、400℃で2時間熱分解(還元工程)を行い白金ルテニウム担持カーボン0.5gを製造した。
得られた触媒の白金表面積を0.5M硫酸中のサイクリックボルタンメトリで測定したところ、11m/g-Ptであった。
また、得られた触媒を用いてMEAを作製し、アノード触媒としての発電性能を評価したところ、セル電圧400mVにおいて20mA/cmの電流を得ることができた。
この手法で触媒10gを得るには、濃縮工程、還元工程での時間を増やす必要があり、約5日間(約120h)必要になる。
(実施例
塩化白金を金属濃度が5mMとなるように水に溶解し、白金原料液Iを調製した。また、水酸化ナトリウムを20mMとなるように水に溶解し、アルカリ溶液Jを調製した。白金原料液Iとアルカリ溶液Jを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、12であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度380℃、調節圧力25MPaの超臨界条件下、ポンプ流量10mL/分(線速:21cm/s)で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.3gを水30mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.6gを得た。
この手法で触媒10gを得るには、白金微粒子製造時間を増やす必要があり、約29h必要になる。
(実施例
塩化白金酸を金属濃度が30mMとなるようにエチレングリコールに溶解し、白金原料液Kを調製した。また、水酸化ナトリウムを180mMとなるようにエチレングリコールに溶解し、アルカリ溶液Lを調製した。白金原料液Kとアルカリ溶液Lを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、14であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度100℃、調節圧力1MPa、ポンプ流量3mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエチレングリコール50mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.7gを得た。
この手法で触媒10gを得るには、白金微粒子製造時間を増やす必要があり、約26h必要になる。
(実施例
ジニトロジアンミン白金を金属濃度が20mMとなるようにエチレングリコール水溶液(エチレングリコール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Mを調製した。また、水酸化ナトリウムを120mMとなるようにエチレングリコール水溶液(エチレングリコール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Nを調製した。白金原料液Mとアルカリ溶液Nを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、14であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度200℃、調節圧力10MPa、ポンプ流量4mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエチレングリコール水溶液(エチレングリコール/水=1/1(体積比))50mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.7gを得た。
この手法で触媒10gを得るには、白金微粒子製造時間を増やす必要があり、約27h必要になる。
(実施例
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が10 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Qを調製した。また、水酸化ナトリウムを60mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Rを調製した。白金原料液Qとアルカリ溶液Rを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、14であった。この混合液を図1の装置を用い、電気炉温度350℃、調節圧力25MPaの超臨界条件下、ポンプ流量10mL/分で反応させ、白金微粒子分散液を連続的に得た。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))30mLに分散したものに上記白金微粒子分散液を白金重量/炭素担体重量=1/1となるように混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン0.7gを得た。
この手法で触媒10gを得るには、白金微粒子製造時間を増やす必要があり、約26h必要になる。
(比較例3)
塩化白金酸ナトリウムを金属濃度が10 mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、白金原料液Qを調製した。また、水酸化ナトリウムを60mMとなるようにエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))に溶解し、アルカリ溶液Rを調製した。白金原料液Qとアルカリ溶液Rを1:1の体積比で混合し、pHを測定したところ、14であった。この混合液500mLを三ツ口フラスコに入れて、オイルバス上で100℃に加熱還流し、常圧で5時間反応させた。炭素担体(バルカン(登録商標)XC―72R)0.5gをエタノール水溶液(エタノール/水=1/1(体積比))50mLに分散したものに上記反応液を混合し、室温で10h撹拌した後、ろ取、水洗、60℃乾燥して白金担持カーボン1gを得た。
この手法で触媒10gを得るには、反応回数を増やす必要があり、約3日(約62h)必要になる。
本発明における装置の概略図である。
符号の説明
1.金属を含む原料液の投入部
2.ポンプ
3.流路
4.電気炉
5.反応セル
6.冷却器
7.圧力調節弁
8.金属微粒子分散液の回収部

Claims (9)

  1. 金属を含む原料液の投入部、原料液を送液および加圧するためのポンプ、流路、流路の一部を加熱するためのヒーター部、流路内の圧力を調節するための圧力調整弁および触媒となる金属微粒子を回収する回収部からなる装置を用いる燃料電池用触媒の製造方法であって、前記金属の金属源としては塩化物、臭化物、ヨウ化物、(亜)硝酸塩、炭酸塩、錯体、シアン化物、硫酸塩が用いられ、原料液中に水またはアルコール系の溶媒を含み、前記流路の一部の圧力を1MPa〜50MPaの範囲で、ヒーター部の温度を100℃〜400℃の範囲で、原料液のpHを10〜14にして製造することを特徴とする、燃料電池用触媒の製造方法。
  2. 金属を含む原料液中にアルコールを含む請求項1に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  3. 金属を含む原料液中に金属微粒子の分散安定化剤を含む請求項1または2に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  4. 前記分散安定化剤が水溶性高分子である請求項3記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  5. 白金を含む原料液を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  6. 原料液を超臨界条件下に送液させる請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  7. 白金の他に一種以上の金属を含む原料液を用いる請求項5または6に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  8. ルテニウムを含む原料液を用いる請求項7に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  9. 金属微粒子をさらに炭素材料に担持する請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法。
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