JP2010149008A - 電極触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】活性化過電圧の低下と、IR抵抗過電圧の低下とを両立させた、発電性能に優れる電極の構築が可能な電極触媒を提供する。
【解決手段】(A)SiCに第13族(3B族)元素がドープされた13族ドープSiCと、
(B)導電性炭素粒子と、
(C)前記(A)13族ドープSiCの表面に担持された貴金属と、
を含むことを特徴とする、電極触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極触媒に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、使用する電解質の種類に応じて種々のタイプに分類されるが、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池に代表されるプロトン伝導性電解質膜を用いた燃料電池では、下記式(1)に対して触媒活性を有する電極触媒を備えたアノードと、下記式(2)に対して触媒活性を有する電極触媒を備えたカソードとが、電解質膜表面に形成され、アノード側に水素ガス、カソード側に空気(酸素)を供給することで、発電する。
2 → 2H+ + 2e- ・・・(1)
2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2O ・・・(2)
一般的な固体高分子型燃料電池において、電極触媒としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ等の導電性炭素粒子に、白金や白金合金等の貴金属(触媒成分)を担持させたものが用いられている。
また、一般的なプロトン伝導性電解質としては、従来、ナフィオン(デュポン社製)等に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂や、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等にスルホン酸基やリン酸基等のプロトン伝導性基を導入した高分子電解質樹脂が用いられている。
これら高分子電解質樹脂、特にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、湿潤状態において高いプロトン伝導性を発現するため、高分子電解質樹脂を用いて構成された燃料電池では、電解質膜や電極を高い湿潤状態に保持することが重要である。このような理由から、高分子電解質樹脂を用いた固体高分子電解質型燃料電池の作動温度は、80〜100℃程度である。しかしながら、80〜100℃程度の低温度域における燃料電池の作動には、廃熱効率が悪い、白金電極触媒が燃料中の一酸化炭素により被毒される、排水性が低い、等の問題がある。
そこで、100〜300℃のような中温度域での発電が可能なプロトン伝導性電解質を用いた燃料電池が注目されている。中温度域発電が可能な燃料電池は、ナフィオン等の低温度域発電型燃料電池と比較して以下のような点で優れている。すなわち、廃熱効率がよい、燃料極の白金触媒の一酸化炭素による被毒の回避が可能(一酸化炭素耐性が高い)であり、CO除去ユニットが不要、電極反応速度が大きく、白金使用量の低減が可能、排水性が高い、等の優位性を有している。
しかしながら、中温度域で発電させる燃料電池においては、上記に示したカーボンブラック等の導電性炭素粒子は、耐酸化性等が不十分であり、触媒成分を担持させる担体として適していない。
一方で、触媒成分の担体として、炭化ケイ素(SiC)を用いることも提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
また、燃料電池全般に共通する問題として、過電圧が大きいことに起因する発電性能の低下がある。
特開2008−171771号公報 特開2006−239543号公報
本発明者らの検討の結果、SiCを触媒成分の担体として用いることによって、燃料電池の活性化過電圧(特に酸化剤極の活性化過電圧)を低下させることができる一方、IR抵抗過電圧が増大するという知見が得られた。これは、SiCが電極反応を活性化させる作用を有する一方、電子伝導性が乏しいためである。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、活性化過電圧の低下と、IR抵抗過電圧の低下とを両立させた、発電性能に優れる電極の構築が可能な電極触媒を提供することを目的とする。
本発明の電極触媒は、
(A)SiCに第13族(3B族)元素がドープされた13族ドープSiCと、
(B)導電性炭素粒子と、
(C)前記(A)13族ドープSiCの表面に担持された貴金属と、
を含むことを特徴とするものである。
本発明者らが鋭意検討したところ、(A)SiCに第13族(3B族)元素をドープさせたもの(13族ドープSiC)を(C)貴金属(触媒成分)の担体として用いることによって、単なるSiCを担体として用いる場合と比較して、燃料電池の活性化過電圧を低下させると同時に、燃料電池のIR抵抗過電圧を低下させることが可能であることが見出された。また、(A)13族ドープSiCと共に(B)導電性炭素粒子とを併用することによって、電極触媒の電子伝導性がさらに向上し、IR抵抗過電圧のさらなる低下が可能であることが見出された。すなわち、本発明によれば、電極の活性化過電圧の低下と同時にIR抵抗過電圧の低下が可能である。
本発明の電極触媒の具体的な構造としては、少なくとも、前記(C)貴金属を担持した前記(A)13族ドープSiCが、前記(B)導電性炭素粒子に担持されている構造が挙げられる。
さらに具体的には、前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子とが、複合化されているものが挙げられる。
このとき、前記(B)導電性炭素粒子が、表面に貴金属(前記(C)を除く)を担持していてもよい。
また、本発明の電極触媒としては、少なくとも、前記(C)貴金属を担持した前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子と、を物理混合することにより得られたものが挙げられる。
このとき、前記(B)導電性炭素粒子が表面に貴金属(前記(C)を除く)を担持していてもよい。
また、本発明の電極触媒として、前記(A)13族ドープSiCと前記(B)導電性炭素粒子とを物理混合した後、該(A)13族ドープSiC及び該(B)導電性炭素粒子に貴金属を担持させることにより得られたものが挙げられる。
前記第13族元素としてはAlが好ましく用いられる。
また、前記(A)13族ドープSiCにおいて、前記第13族元素のドープ量は、1〜5モル%であることが好ましい。
前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子との割合[(A):(B)]は、重量比で1:9〜5:5であることが好ましい。
本発明の電極触媒によれば、活性化過電圧の低下と、IR抵抗過電圧の低下とを両立させた、発電性能に優れる電極の構築が可能である。
本発明の電極触媒は、
(A)SiCに第13族(3B族)元素がドープされた13族ドープSiCと、
(B)導電性炭素粒子(前記(A)を除く)と、
(C)前記(A)13族ドープSiCの表面に担持された貴金属と、
を含むことを特徴とするものである。
本発明者らは、触媒成分の担体としてSiCを用いることによって、燃料電池の活性化過電圧(特に酸化剤極の活性化過電圧)を低下させることはできるものの、IR抵抗過電圧は増大するという知見を得た。これは、SiCが電極反応の活性化エネルギーを低下させる作用を有するため、SiCを担体として利用することで電極の活性化過電圧が低下する一方、SiCの電子伝導性が低いため、SiCを担体として利用することで電極のIR抵抗が増加するからである。
そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、(A)第13族(3B族)元素をドープさせたSiC(13族ドープSiC)が、SiCよりも優れた電子伝導性を発現することが見出された。さらには、(A)13族ドープSiCは、第13族元素のドープ量によっては、活性化過電圧を低下させる作用についても、SiCより優れていることが見出された。
すなわち、第13族元素をドープさせたSiCを触媒成分の担体として用いることによって、電極の触媒活性が高くなり、活性化過電圧が低下すると共に、電極の電子伝導性が向上し、IR抵抗過電圧が低下する。従って、13族ドープSiCを担体として用いる本発明の電極触媒によれば、過電圧の低い、発電性能に優れた電極を得ることが可能である。
第13族元素をドープさせることによってSiCの電子伝導性が向上するメカニズムは、以下のように推測される。すなわち、SiとCは価電子を4つずつ有しており、SiCの結晶では、隣り合ったSiとCが互いの電子を共有し合い、それぞれの原子が8個の電子を有しているような状態で結合している。そのため、SiCは低い電子伝導性を示す。
一方、第13族元素は、価電子を3つ有している。そのため、SiC結晶の一部のSiを第13族元素に置換することによって、結晶内に電子が欠落した正孔ができる。この正孔がキャリアとなり、第13族元素をドープしたSiCは、電子伝導性を発現するようになる。
なお、第13族元素をドープさせたSiCを担体として用いることによって、電極の触媒活性が向上する正確なメカニズムは、今のところ明らかではない。
本発明の電極触媒では、上記したような(A)13族ドープSiCの表面に、触媒成分である(C)貴金属が担持されている。尚、本明細書において、担持されているとは、被担持体が、担体の表面に付着している状態であり、担体の表面を被担持体が被覆していてもよいし、担体表面に被担持体が海島状に付着していてもよい。電子伝導性及び触媒活性のバランスから、通常は、担体表面に被担持体が海島状に付着していることが好ましい。
さらに、本発明者らが検討した結果、(A)13族ドープSiCと、触媒成分であり、該(A)に担持された(C)貴金属とに加えて、(B)導電性炭素粒子を用いることによって、電極触媒の電子伝導性が、電極触媒の電子伝導性がさらに向上することが見出された。
また、(B)導電性炭素粒子を用いることには、担体の表面積を確保できるというメリットがある。担体の表面積を稼ぐ方法として、ポーラス化が挙げられるが、(A)13族ドープSiCのポーラス体を作製することは現在の技術では非常に難しい。そこで、(B)導電性炭素粒子を用いることによって、(A)13族ドープSiCの凝集を抑制し、(A)13族ドープSiCの表面積を確保する。さらに(B)導電性炭素粒子の表面に直接貴金属を担持させる場合には、(B)導電性炭素粒子は貴金属が直接担持される担体として機能し、触媒金属として有効に働く貴金属量を増大させることができる。
以上のような観点から、本発明の電極触媒は、通常、(C)貴金属を担持した、(A)13族ドープSiCが、(B)導電性炭素粒子の表面に担持されていることが好ましい。
SiCにドープされる第13族元素としては、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)及びTl(タリウム)から選ばれる少なくとも1種であればよく、中でも、Alが好ましい。
(A)13族ドープSiCにおいて、第13族元素のドープ量は、過電圧低下及びIR抵抗過電圧低下の観点から、0.5〜10モル%であることが好ましく、特に1〜5モル%であることが好ましく、さらに、1〜3モル%であることが好ましい。第13族元素がAlの場合には、1〜5モル%が好ましく、特に3モル%が好ましい。
尚、ここで、(A)13族ドープSiCにおける第13族元素のドープ量とは、(A)に含まれる第13族元素とSiの合計モル数に対する第13元素のモル比である。すなわち、第13族元素のドープ量が1〜5モル%であるとは、(A)13族ドープSiCを、組成式Si1-xxC(式中、Aは第13族元素)で表した場合のxを百分率で示した値が1〜5%であることを意味する。
(A)13族ドープSiCにおいて、第13族元素は、SiCの結晶構造を変えることなく、一部のSiと置換(ドープ)されている。第13族元素がSiCにドープされているかどうかは、X線回折(XRD)によりSiCと(A)第13族元素がドープされたSiCの結晶構造を解析することで確認できる。
(A)13族ドープSiCは、具体的には、以下のような方法により得ることができる。
例えば、アルコールと水の混合溶媒中に、少なくとも、SiCのSi源及びC源である有機ケイ素化合物と、第13族元素源である第13元素化合物と、触媒とを添加、攪拌し、不活性雰囲気下、熱処理を行うことで得ることができる。
ここで、アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール等が挙げられ、中でもエタノールが好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、等のアルコキシシラン、テトラメチルシラン、シロキサン等が挙げられ、中でもテトラエトキシシランが好適に用いられる。
第13族元素化合物としては、例えば、第13族元素のアルコキシド等が挙げられる。具体的には、アルミニウムエトキシド等が挙げられる。
触媒としては、例えば、シュウ酸、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられ、中でも、シュウ酸が好ましく用いられる。
有機ケイ素化合物中のSiと第13族元素化合物中の第13族元素のモル比が、(1−x):xとなるように、その仕込み量を調整することにより、組成式Si1-xxC(式中、Aは第13族元素)で表される、第13元素化合物のドープ量がx(100xモル%)の(A)13族ドープSiCを得ることができる。
(B)導電性炭素粒子としては、上記(A)を除く、導電性を示す炭素材料の粒子であればよく、例えば、電極触媒の担体として一般的に使用されるもの、具体的には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、等が挙げられる。好適に使用されるものとして、具体的には、ブラックパール(Cabot製)、ケッチェン(ケッチェンブラックインターナショナル製)、バルカン(Cabot製)等が挙げられる。
ここで、粒子とは、球状のものに限らず、繊維状のものも含む。さらに、(B)導電性炭素粒子は、表面積が100〜1500m2/g、特に100〜1000m2/g、さらに500〜1000m2/gであることが好ましい。
本発明の電極触媒において、(A)13族ドープSiCと、(B)導電性炭素粒子との割合は、電極触媒の電子伝導性及び触媒活性の観点から、通常、重量比(A:B)で1:9〜5:5であることが好ましく、特に2:8〜4:6であることが好ましく、さらに、2:8〜3:7であることが好ましい。
(C)貴金属は、本発明の電極触媒を使用する目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではない。例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、金、これらの貴金属の合金、又は鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅、バナジウム、クロム、モリブデン等の金属と貴金属との合金が挙げられる。中でも、白金、又は白金‐ルテニウム合金、白金‐鉄合金、白金‐ニッケル合金等の白金合金が好適に用いられ、特に白金が好ましい。
(A)13族ドープSiCに(C)貴金属を担持させる方法としては、例えば、導電性炭素粒子に貴金属を担持させる、従来の一般的な方法を採用することができる。例えば、白金を担持させる方法としては、塩化白金酸水溶液や白金アンミン錯体水溶液等の白金化合物水溶液に、(A)13族ドープSiCを含浸させた後、水素ガス雰囲気下200〜300℃で加熱することによって、白金化合物を還元し、(A)13族ドープSiC表面に白金微粒子を析出、担持させる還元法が挙げられる。
本発明の電極触媒において、(A)13族ドープSiCと、(B)導電性炭素粒子は、複合化されていることが好ましい。(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の複合体は、(B)導電性炭素粒子の表面に、(A)13族ドープSiCの微粒子が付着したものであり、(B)導電性炭素粒子の表面で、(A)13族ドープSiCの微粒子を生成することにより得られる。このような複合体は、(B)導電性炭素粒子の表面に、(A)13族ドープSiCの微粒子が担持されているため、(A)13族ドープSiCの表面積が大きい。そのため、SiCの触媒作用が高く、また、貴金属を担持する担体としての機能も高い。
このような複合体は、(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子とを物理混合して得られるものと比較して、分散度が高いという点で区別できる。分散度は例えばSEM観察等による目視で判断することができる。
(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の複合体は、具体的には、以下のような方法により得ることができる。
例えば、アルコールと水の混合溶媒中に、少なくとも(B)導電性炭素粒子と、SiCのSi源及びC源である有機ケイ素化合物と、第13族元素源である第13元素化合物と、触媒とを添加、攪拌し、不活性雰囲気下、熱処理を行うことで得ることができる。
ここで、アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、中でもエタノールが好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、等のアルコキシシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、シロキサン等が挙げられ、中でもテトラエトキシシランが好適に用いられる。
第13族元素化合物としては、例えば、第13族元素のアルコキシド等が挙げられる。具体的には、アルミニウムエトキシド等が挙げられる。
触媒としては、例えば、シュウ酸、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられ、中でも、シュウ酸が好ましく用いられる。
上記複合体の製造において、有機ケイ素化合物中のSiと第13族元素化合物中の第13族元素のモル比が、(1−x):xとなるように、その仕込み量を調整することにより、第13元素化合物のドープ量がx(100xモル%)の(A)13族ドープSiCを得ることができる。
また、上記複合体における、SiCとCの割合は、複合体合成時に、炭素源(ブラックパールなど)とシリカ源(TEOS等)の比率をコントロールすることで調整することができる。
熱処理の具体的な条件としては、例えば、加熱温度1300℃〜1500℃、加熱時間10〜15時間が例示できる。
尚、(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の複合体の製造方法は、上記方法に限定されない。
上記のようにして得られた(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の複合体では、(B)導電性炭素粒子の表面において、(A)13族ドープSiCが生成することによって、該(B)導電性炭素粒子の表面に(A)13族ドープSiCが担持される。
上記のようにして得られた(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の複合体に、既述した還元法等により貴金属を担持させることによって、(A)13族ドープSiCの表面に(C)貴金属を担持させると同時に、(B)導電性炭素粒子の表面にも直接、貴金属((C)貴金属以外)を担持させることができる。尚、(B)導電性炭素粒子の表面に担持される、(C)貴金属以外の貴金属とは、(A)13族ドープSiCが(B)導電性炭素粒子に担持された結果、間接的に(B)導電性炭素粒子に担持された(C)貴金属ではなく、(B)導電性炭素粒子の表面に直接付着し担持された貴金属を指している。
本発明の電極触媒は、少なくとも、(C)貴金属を担持した(A)13族ドープSiCと、(B)導電性炭素粒子とを物理混合することでも得ることができる。
具体的には、既述したような方法によって、(A)13族ドープSiCの表面に、(C)貴金属を担持させたものと、(B)導電性炭素粒子とを、乳鉢、ボールミル、ミキサー等の一般的な物理混合法によって、混合すればよい。
上記物理混合において、(B)導電性炭素粒子として、その表面に貴金属を担持させたものを用いることができる。この場合、(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子の両方の表面に貴金属が担持された電極触媒を得ることができる。表面に貴金属を担持した(B)導電性炭素粒子は、例えば、記述した還元法を利用することにより得ることができる。
或いは、本発明の電極触媒は、少なくとも、(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子とを物理混合した後、該(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子とに、貴金属を担持することによっても得ることができる。ここで、物理混合の方法、貴金属の担持方法は、上記と同様とすることができる。
(A)13族ドープSiCの表面積の確保、十分な電子伝導性、高分散性等の観点から、本発明の電極触媒としては、特に、(A)13族ドープSiCと(B)導電性炭素粒子とが複合化されていることが好ましいといえる。
本発明の電極触媒は、様々な分野において使用することができ、燃料電池の他、燃料電池以外の電気化学システムにおいて利用できる。
特に、本発明の電極触媒は、SiCを担体として用いることにより耐酸化性に優れていることから、100〜300℃のような中温度域で発電させる燃料電池において好適に使用することができる。中温度域で発電させる燃料電池は、80〜100℃で作動する燃料電池と比較して、廃熱効率がよい、燃料極の白金触媒の一酸化炭素による被毒の回避が可能(一酸化炭素耐性が高い)であり、CO除去ユニットが不要である、電極反応速度が大きく、白金使用量の低減が可能である、排水性が高い、等の利点がある。
本発明の電極触媒を用いて燃料電池の電極を形成する方法としては、例えば、本発明の電極触媒と、電解質材料とを含むペースト等を調製し、塗布、成形する方法が挙げられる。この方法に限らず、その他の方法を採用することも可能である。
[結晶性の確認]
(実施例1)
<AlドープSiC−C複合体(Alドープ量10モル%)の合成>
エタノールと水の混合溶媒中、ブラックパール(平均粒径:40nm、表面積1500m2/g)1.4g、テトラエトキシシラン2.807g、3.5wt%シュウ酸水溶液2.0ml、アルミニウムアルコキシド(Al(OC253)0.2426gを、攪拌した後、乾燥させた。次に、アルゴン雰囲気下、1500℃で15時間、熱処理を行い、AlドープSiC−C複合体(Alドープ量10モル%、SiC:C(重量比。以下同じ。)=3:7)を得た。
(実施例2)
<AlドープSiC−C複合体(Alドープ量3モル%)の合成>
実施例1において、テトラエトキシシラン3.023g、アルミニウムアルコキシド0.0728gとしたこと以外は同様にして、AlドープSiC−C複合体(Alドープ量3モル%、SiC:C=3:7)を得た。
(XRD測定)
上記にて得られた実施例1及び実施例2のAlドープSiC−C複合体を、それぞれ乳鉢ですりつぶし、XRD測定を行った。結果を図1に示す。
また、実施例1のAlドープSiC−C複合体(Alドープ量10モル%)の合成において、アルミニウムアルコキシドを使用しなかったこと以外は同様にして、SiC−C複合体(Alドープ量0モル%、SiC:C=3:7)を合成し、XRD測定を行った。結果を図1に示す。
図1に示すように、上記にて合成した実施例1及び実施例2のAlドープSiC−C複合体は、共に、アルミニウムをドープしていないSiC−C複合体の結晶構造を保持しており、SiCにアルミニウムがドープされていることが確認できた。
[ドープ量]
(実施例3〜実施例6)
<AlドープSiC−C複合体の合成>
実施例1において、テトラエトキシシラン3.086g、アルミニウムアルコキシド0.0243gとしたこと以外は同様にして、実施例3のAlドープSiC−C複合体(Alドープ量1モル%、SiC:C=3:7)を得た。
同様に、実施例1において、テトラエトキシシラン3.023g、アルミニウムアルコキシド0.0728gとしたこと以外は同様にして、実施例4のAlドープSiC−C複合体(Alドープ量3モル%、SiC:C=3:7)を得た。
また、実施例1において、テトラエトキシシラン2.961g、アルミニウムアルコキシド0.1213gとしたこと以外は同様にして、実施例5のAlドープSiC−C複合体(Alドープ量5モル%、SiC:C=3:7)を得た。
また、実施例1において、テトラエトキシシラン2.900g、アルミニウムアルコキシド0.1701gとしたこと以外は同様にして、実施例6のAlドープSiC−C複合体(Alドープ量7モル%、SiC:C=3:7)を得た。
<カソード過電圧の測定>
上記にて得られた実施例3のAlドープSiC−C複合体(0.10g)と、PTFE(0.05g)と、グリセリン(0.5ml)とを、乳鉢で混合してペーストを調製した。
次に、得られたペーストを、カーボンペーパー(SGL Carbon製、 GDL 35BC)中に、カーボンペーパーの単位面積当りのAlドープSiC−C複合体の量が3.3mg/cm2となるように、練り込んだ。ペーストを練り込んだカーボンペーパーを、まず150℃で3時間熱処理し、続いてAr雰囲気下、350℃で1時間熱処理し、電極(アノード、カソード)を作製した。
一方、SnO2、Al(OH)3、85%H3PO4及びイオン交換水を、Sn、Al及びPのモル比が、Sn:Al:P=0.95:0.05:2となるように混合し、高粘度ペーストが得られるまで、300℃を維持しながら攪拌した。得られたペーストを、650℃で2.5時間、アルミナボックス中でか焼し、Sn0.95Al0.0527を合成した。Sn0.95Al0.0527を加圧成型し、1mm厚の電解質ペレットを得た。
電解質ペレットを、上記ペーストを練り込んだカーボンペーパー2枚(カソード、アノード)で挟み込み、セルを作製した(図7参照)。
さらに、2枚のPtメッシュで上記セルを挟み、Ptメッシュ/セル/Ptメッシュ積層体を作製した。該積層体の電解質ペレットの側面に、参照極(RE)として金ホイル(金箔)を設けた。金ホイルは、周囲雰囲気に曝した。
2つのアルミナ菅で上記積層体を挟み込み、接着剤でガスシールした(図7参照)。
上記アルミナ菅から、前記積層体の一方のカーボンペーパー(アノード)にH2(30cc/min、ドライ:PH2O=0.006atm)、もう一方のカーボンペーパー(カソード)に空気(30cc/min、ドライ:PH2O=0.006atm)供給しつつ、アノード−カソード間に電流を流し、電流遮断法(測定温度150℃)にて、参照極−カソード間のカソードの過電圧とIR抵抗を分離した。結果(カソード過電圧)を図2に示す。
実施例4〜6のAlドープSiC−C複合体(0.10g)を用いて、同様にカソード過電圧を測定した。結果を図2に示す。
(比較例1)
実施例3〜6において、AlドープSiC−C複合体の代わりにカーボン粒子(ブラックパール、平均粒径:40nm、表面積1500m2/g)を用い、カーボンペーパーへの該カーボン粒子の練り込み量が2.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にして、セルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図2に示す。
(比較例2)
実施例3〜6において、AlドープSiC−C複合体の代わりに、SiC粒子(平均粒径:40nm、表面積16m2/g)を用い、カーボンペーパーへの該SiC粒子の練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は同様にして、セルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図2に示す。
(比較例3)
実施例1のAlドープSiC−C複合体の合成において、アルミニウムアルコキシドを使用しなかったこと以外は同様にして、SiC−C複合体(Alドープ量0モル%、SiC:C=2:8)を合成した。実施例3〜6において、AlドープSiC−C複合体の代わりに、得られたSiC−C粒子を用い、カーボンペーパーへの該SiC−C粒子の練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は同様にして、セルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図2に示す。
(カソード過電圧測定の結果)
図2に示すように、AlドープSiC−C複合体を担体とする実施例3〜6のカソード過電圧は、比較例2(SiC)と比較すると高いものの、比較例1(カーボン粒子)と比較すると大幅に低下した。
実施例3〜6を対比すると、Alドープ量3モル%の実施例4が特に低いカソード過電圧を示し、次いで、Alドープ量1モル%の実施例3が低いカソード過電圧を示した。
尚、比較例1〜3の対比においては、比較例2(SiC−C複合体)は、比較例1(カーボン粒子)と比較例3(SiC)の中間程度のカソード過電圧を示した。
[カソード過電圧]
(実施例7〜9)
<Pt担持AlドープSiC−C複合体の合成>
実施例3と同様にして、AlドープSiC−C複合体(Alドープ量1モル%、SiC:C=3:7)を合成した。
続いて、得られたAlドープSiC−C複合体0.21gを脱イオン水に分散させ、得られた分散液に、H2PtCl6・6H2O(和光純薬製、純度98.5%)0.239gを含有する水溶液50mLと、NaBH4(和光純薬製、純度95%)0.052gを含有する水溶液50mLを同時に滴下した。滴下後、70℃で1時間攪拌を続けた。得られた溶液を吸引ろ過し、ろ過された試料を空気中、100℃で乾燥させた。
次に得られた乾燥試料を、乳鉢ですり潰した後、電気炉にて、還元ガス雰囲気(H2/Ar混合ガス、10vol%H2)下、200℃で1時間熱処理を行い、AlドープSiC−C複合体上にPtが担持されたPt/AlドープSiC−C複合体(Pt担持量30wt%)を得た。尚、加熱処理の昇温速度及び降温速度は5℃/minとした。
また、実施例4、実施例5と同様にして、AlドープSiC−C複合体(実施例8:Alドープ量3モル%、実施例9:Alドープ量5モル%、各々SiC:C=3:7)を合成した。得られたAlドープSiC−C複合体に、実施例7と同様にしてPtを担持させ、AlドープSiC−C複合体上にPtが担持されたPt/AlドープSiC−C複合体(Pt担持量30wt%)を得た。
<カソード過電圧の測定>
実施例3において、AlドープSiC−C複合体の代わりに、上記にて合成した実施例7〜9それぞれのPt/AlドープSiC−C複合体を用い、カーボンペーパーへの該Pt/AlドープSiC−C複合体の練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は同様にして、セルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図3に示す。
(比較例4)
実施例7において、AlドープSiC−C複合体0.21gを用いる代わりに、カーボン粒子(ブラックパール、平均粒径:40nm、表面積1500m2/g)を0.21g用いる以外は同様にして、カーボン粒子上にPtが担持されたPt/C(Pt担持量30wt%)を得た。
また、実施例7において、Pt/AlドープSiC−C複合体の代わりに上記にて合成したPt/Cを用い、カーボンペーパーへの該Pt/Cの練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図3に示す。
(比較例5)
実施例7において、AlドープSiC−C複合体0.21gを用いる代わりに、SiC粒子(平均粒径:40nm、表面積16m2/g)を0.21g用いる以外は同様にして、SiC粒子上にPtが担持されたPt/SiC(Pt担持量30wt%)を得た。
また、実施例7において、Pt/AlドープSiC−C複合体の代わりに上記にて合成したPt/SiCを用い、カーボンペーパーへの該Pt/SiCの練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図3に示す。
(比較例6)
比較例3と同様にしてSiC−C複合体(Alドープ量0モル%、SiC:C=2:8)を合成した。得られたSiC−C複合体をAlドープSiC−C複合体の代わりに用いる以外は、実施例7と同様にして、SiC−C複合体粒子上にPtが担持されたPt/SiC−C(Pt担持量30wt%)を得た。
また、実施例7において、Pt/AlドープSiC−C複合体の代わりに上記にて合成したPt/SiC−Cを用い、カーボンペーパーへの該Pt/SiC−Cの練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図3に示す。
(カソード過電圧測定の結果)
図3に示すように、AlドープSiC−C複合体を担体とする実施例7〜9は、比較例8(SiC)には劣るものの、比較例4(カーボン粒子)と比較すると、カソード過電圧を大幅に改善することができた。
また、SiC‐C複合体を担体とする比較例6と比較すると、Alドープ量1モル%の実施例7及びAlドープ量3モル%の実施例8は、低いカソード過電圧を示した。
実施例7〜9を対比すると、電流密度によって差はあるものの、Alドープ量3モル%の実施例8が特に優れたカソード過電圧改善効果を示した。
[IR抵抗過電圧]
(実施例10〜12)
<Pt担持AlドープSiC−C複合体の合成>
実施例7〜9と同様にして、Pt/AlドープSiC−C複合体(実施例10:Alドープ量1モル%、実施例11:Alドープ量3モル%、実施例12:Alドープ量5モル%、各々SiC:C=3:7及びPt担持量30wt%)を得た。
<IR抵抗過電圧の測定>
得られたPt担持AlドープSiC−C複合体を用い、実施例7〜9と同様にして、電流遮断法(測定温度150℃)にてカソード−参照極間のカソードの過電圧とIR抵抗を分離した。結果(IR抵抗過電圧)を図4に示す。
(比較例7〜9)
比較例4〜6と同様にして、電極触媒[比較例7:Pt/C(Pt担持量30wt%)、比較例8:Pt/SiC(Pt担持量30wt%)、比較例9:Pt/SiC−C(SiC:C=2:8、Pt担持量30wt%)]を得た。
実施例10〜12において、Pt/AlドープSiC−C複合体を用いる代わりに、上記にて合成した各電極触媒を用いる以外は、同様にして、IR抵抗過電圧を測定した。結果を図4に示す。
(IR抵抗過電圧測定の結果)
図4に示すように、AlドープSiC−C複合体を担体とする実施例10〜12では、比較例7(カーボン粒子)よりは劣るものの、比較例5(SiC)及び比較例6(SiC−C複合体)と比較して、IR抵抗過電圧を改善することができた。特に、SiC粒子を担体として用いた比較例5と比較すると、実施例10〜12は大幅にIR抵抗過電圧を低下させることができた。
実施例7〜9を対比すると、電流密度によって差はあるものの、Alドープ量3モル%の実施例8が特に優れたIR抵抗過電圧の改善効果を示した。
また、上記実施例7〜8及び比較例4〜6のカソード過電圧測定結果と、実施例10〜12及び比較例7〜9のIR抵抗過電圧測定結果から、次のことがわかる。
すなわち、電極触媒において、カーボン粒子(導電性炭素粒子)を担体とする場合には、IR抵抗過電圧が低い一方、カソード過電圧が高く、SiCを担体とする場合には、カソード過電圧が低い一方、IR抵抗過電圧が高い。これに対して、第13族元素であるAlをドープしたSiCを担体として含む本発明の電極触媒は、カソード過電圧及びIR抵抗過電圧とが共に低く、優れた発電特性を有している。特に、上記カソード過電圧測定及びIR抵抗過電圧測定において、AlドープSiC−C複合体におけるAlドープ量は、3モル%が最適である。
[カソード過電圧]
(実施例13)
<Pt担持AlドープSiC−C複合体の合成>
実施例4と同様にして、AlドープSiC−C複合体(Alドープ量3モル%、SiC:C=4:6)を合成した。
続いて、得られたAlドープSiC−C複合体0.21gを脱イオン水中に分散させ、得られた分散液に、H2PtCl6・6H2O(和光純薬製、純度98.5%)0.239gを含有する水溶液50mLと、NaBH4(和光純薬製、純度95%)0.052gを含有する水溶液50mLを同時に滴下した。滴下後、70℃で1時間攪拌を続けた。得られた溶液を吸引ろ過し、ろ過された試料を空気中、100℃で乾燥させた。
次に得られた乾燥試料を、乳鉢ですり潰した後、電気炉にて、還元ガス雰囲気(H2/Ar混合ガス、10vol%H2)下、200℃で1時間熱処理を行い、AlドープSiC−C複合体上にPtが担持されたPt/AlドープSiC−C複合体(Pt担持量30wt%)を得た。尚、加熱処理の昇温速度及び降温速度は5℃/minとした。
<カソード過電圧の測定>
実施例3において、AlドープSiC−C複合体の代わりに上記にて合成したPt/AlドープSiC−C複合体を用い、カーボンペーパーへの該Pt/AlドープSiC−C複合体の練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図5に示す。
(比較例10)
比較例4と同様にして、Pt/Cを用いてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図5に示す。
(比較例11)
比較例5と同様にして、Pt/SiCを用いてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図5に示す。
(比較例12)
比較例10で用いるPt/C、及び比較例11で用いるPt/SiCを、SiC:C=4:6(重量比)となるように、物理混合(乳鉢にて、室温、大気圧中、すり潰すように混合)した。比較例11において、Pt/SiCの代わりに得られた混合物を用い、カーボンペーパーへの該混合物の練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図5に示す。
(比較例13)
比較例3と同様にしてSiC−C複合体(Alドープ量0モル%、SiC:C=2:8)を合成した。得られたSiC−C複合体をAlドープSiC−C複合体の代わりに用いる以外は、実施例7と同様にして、SiC−C複合体粒子上にPtが担持されたPt/SiC−C(Pt担持量30wt%)を得た。
また、実施例7において、Pt/AlドープSiC−C複合体の代わりに上記にて合成したPt/SiC−Cを用い、カーボンペーパーへの該Pt/SiC−Cの練り込み量が3.3mg/cm2となるようにしたこと以外は、同様にしてセルを作製し、カソード過電圧を測定した。結果を図5に示す。
(カソード過電圧測定の結果)
図5に示すように、AlドープSiC−C複合体を担体とする実施例13は、比較例10〜14と比較して、低いカソード過電圧を示した。
比較例10〜13を対比すると、担体としてカーボン粒子を用いた比較例10のカソード過電圧が最も高く、次いで、担体としてカーボン粒子を用いたものと、担体としてSiCを用いたものを物理混合した比較例12、担体としてSiC−C複合体を用いた比較例13、担体としてSiCを用いた比較例11の順となった。比較例12と比較例13との対比から、担体として導電性炭素粒子とSiCを併用する場合には、これら導電性炭素粒子とSiCは、物理混合よりも複合化することで、優れたカソード過電圧特性を示すことが示唆される。
[IR抵抗過電圧]
(実施例14)
実施例13と同様にして、Pt/AlドープSiC−C複合体(Alドープ量3モル%、SiC:C=4:6、Pt担持量30wt%)を得た。
得られたPt/AlドープSiC−C複合体を用いて、実施例10と同様にして、セルを作製し、IR抵抗過電圧を測定した。結果を図6に示す。
(比較例14〜17)
比較例10〜13と同様にして、電極触媒[比較例14:Pt/C(Pt担持量30wt%)、比較例15:Pt/SiC(Pt担持量30wt%)、比較例16:Pt/C(Pt担持量30wt%)+Pt/SiC(Pt担持量30wt%)[物理混合]、比較例17:Pt/SiC−C(SiC:C=2:8、Pt担持量30wt%)]を得た。
実施例14において、Pt/AlドープSiC−C複合体を用いる代わりに、上記にて合成した各電極触媒を用いる以外は、同様にしてセルを作製し、IR抵抗過電圧を測定した。結果を図6に示す。
(IR抵抗過電圧測定の結果)
図6に示すように、AlドープSiC−C複合体を担体とする実施例14のIR抵抗過電圧は、カーボン粒子を担体として用いた比較例14に比べると劣るものの、比較例15〜17よりも低い値を示した。
比較例15〜17を対比すると、担体としてSiCを用いた比較例15のIR抵抗過電圧が最も高く、次いで、担体としてカーボン粒子を用いたものと、担体としてSiCを用いたものを物理混合した比較例16、担体としてSiC−C複合体を用いた比較例17の順で低くなった。比較例12と比較例13との対比から、担体として導電性炭素粒子とSiCを併用する場合には、これら導電性炭素粒子とSiCは、物理混合よりも複合化することで、優れたIR抵抗過電圧特性を示すことが示唆される。
また、上記実施例13及び比較例10〜13のカソード過電圧測定結果と、実施例14及び比較例14〜17のIR抵抗過電圧測定結果から、次のことがわかる。すなわち、電極触媒において、カーボン粒子(導電性炭素粒子)を担体とする場合には、IR抵抗過電圧が低い一方、カソード過電圧が高く、SiCを担体とする場合には、カソード過電圧が低い一方、IR抵抗過電圧が高い。これに対して、第13族元素であるAlをドープしたSiCを担体として含む本発明の電極触媒は、カソード過電圧及びIR抵抗過電圧とが共に低く、優れた発電特性を有している。
実施例1及び実施例2のXRD測定の結果を示すものである。 実施例3〜6及び比較例1〜3のカソード過電圧測定の結果を示すものである。 実施例7〜9及び比較例4〜6のカソード過電圧測定の結果を示すものである。 実施例10〜12及び比較例7〜9のIR抵抗過電圧測定の結果を示すものである。 実施例13及び比較例10〜13のカソード過電圧測定の結果を示すものである。 実施例14及び比較例14〜17のIR抵抗過電圧測定の結果を示すものである。 実施例におけるカソード過電圧及びIR抵抗過電圧の測定方法を説明するものである。

Claims (10)

  1. (A)SiCに第13族(3B族)元素がドープされた13族ドープSiCと、
    (B)導電性炭素粒子と、
    (C)前記(A)13族ドープSiCの表面に担持された貴金属と、
    を含むことを特徴とする、電極触媒。
  2. 少なくとも、前記(C)貴金属を担持した前記(A)13族ドープSiCが、前記(B)導電性炭素粒子に担持されている、請求項1に記載の電極触媒。
  3. 前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子とが、複合化されている、請求項1又は2に記載の電極触媒。
  4. 前記(B)導電性炭素粒子が、表面に貴金属(前記(C)を除く)を担持している、請求項3に記載の電極触媒。
  5. 少なくとも、前記(C)貴金属を担持した前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子と、を物理混合することにより得られた、請求項1又は2に記載の電極触媒。
  6. 前記(B)導電性炭素粒子が表面に貴金属(前記(C)を除く)を担持している、請求項5に記載の電極触媒。
  7. 少なくとも、前記(A)13族ドープSiCと前記(B)導電性炭素粒子とを物理混合した後、該(A)13族ドープSiC及び該(B)導電性炭素粒子に貴金属を担持させることにより得られた、請求項1又は2に記載の電極触媒。
  8. 前記第13族元素がAlである、請求項1乃至7のいずれかに記載の電極触媒。
  9. 前記(A)13族ドープSiCにおいて、前記第13族元素のドープ量が1〜5モル%である、請求項1乃至8のいずれかに記載の電極触媒。
  10. 前記(A)13族ドープSiCと、前記(B)導電性炭素粒子との割合[(A):(B)]が、重量比で1:9〜5:5である、請求項1乃至9のいずれかに記載の電極触媒。
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