JP5024844B2 - 非酸化物系粒状物質 - Google Patents

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Description

本発明は、非酸化物系粒状物質の、球形度と、粉体表面の安定性とを同時に向上させた新規な材料、その製法及び製造装置に関するものであり、更に詳しくは、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかのガス状物質を反応器へ添加する事を特徴とする、気相中の連続的な製法により得られる、金属、窒化物、酸窒化物から成る複合粒状物質に関するものである。また、本発明は、該粒状物質の表面部又は外層を、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体よりなる、被覆層又は結合層を形成するものであり、上記ガス状物質を添加する手段、及び、ガス状物質中に粒状物質を浮遊せしめる手段に特徴を有するものである。本発明は、非酸化物系粒状物質の製造技術分野において、従来の非酸化物系粉体や気相中の連続的な粉体の製法では不可能であった、形状や構造を制御した新規な、粉体の球形度と、粉体表面の安定性とを、同時に向上させた新材料の粉体、その製法、及び製造装置を提供するものである。
非酸化物粉体は、高熱伝導、耐食・耐薬品性、高光学特性、高機械的特性等、(酸化物に勝る)に優れた特性を有するが、電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法では、高温で長時間の熱処理が必須で、実際の焼成温度が2000℃以上に及ぶ場合も報告されている。このような焼成条件下で生成された粉体は粗大化し、その後の粉砕も容易ではない。これは、高密度成形性や易焼結性のための粉体の微粒化や球状化において問題であり、高熱伝導成形体や高強度焼結体を製造するための原料粉体の供給ルートとして、十分に満足した特性を発揮できていないという問題点があった。更に、長時間の熱処理と粉砕は、純度の点でも問題である(以上、例えば、非特許文献1参照)。
形状改良の方法として、球状の原料粉体を用いる製法が検討されている。シータ相等の遷移アルミナ粉体では、アルファ相の六方構造に由来する板状化の影響が小さく、比較的球形度の高い粉体が入手できる。これを還元窒化法等に適用した結果、原料粉体の形状を保持した高球形度の窒化アルミニウム粉体が製造できる(例えば、特許文献1参照)。だが、原料に必須条件が増加する点、はもちろん、比較的高価な原料が必須となる点、依然として電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法であって、工業化や生産性向上に有利な気相中の連続製法ではない点、等が問題である。
発熱反応である金属粉体の直接窒化法(窒素元素との気相反応)やガス窒化法(例えば、アンモニアガスとの気相反応)を基本として、電気炉中のバッチ処理を連続処理に変えた製法が報告され、工業化が検討された事があった。しかし、次の主な2つの問題があった;(1)完全な反応のためには0.1〜0.2ミクロンの粒子径が限界で、それ以上の大粒径は製造できないこと、(2)原料である金属粉体は下から上へ送る事が、反応性向上のためには必要となること。これらの問題の理由として、問題点(1)については「工業化を考慮して1500℃前後の温度に抑えている事」が、問題点(2)については「大粒径の原料粉体はその表面からの発生成分のみを利用し、残りは燃えカスとして自然落下させる事」が、挙げられている(例えば、特許文献2参照)。だが、(1)で高コストを招く1500℃以上の電気炉加熱を抑制したにも関わらず、(2)で本質的に低生産性な「原料の上昇供給」に限定され、しかも、原料を100%利用できず、燃えカスの発生が本質的な製法であるという事は、工業的製法として限界がある。
最高2100℃の加熱が可能な電気炉を使用し、「原料の下方供給」を実現し、0.4〜0.8ミクロンの粒子径を持つ非酸化物の製法が工業化された事があった。しかし、完全な反応のために、(1)生成物の粉砕処理と、(2)粉砕粉体の再熱処理と、(1)と(2)の繰返し処理が必要とされる。この理由として、「0.4〜0.8ミクロンの非酸化物粉体には、原料としても比較的大粒径が必要で、電気炉中のバッチ処理に比べて本質的に反応時間の短い気相中の連続製法では、反応性向上に限界がある事」、「原料の上昇供給では、未反応原料を燃えカスとして自然落下させる事ができず、未反応原料が生成物に混じる事」、が挙げられている(例えば、非特許文献2参照)。だが、工業設備として汎用的ではない、高コストの高温設備導入が不可避である事に加え、生成物の粉砕処理、粉砕粉体の再熱処理、それらの繰返し処理が必要である事は、電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法と本質的に変わりが無く、少なくとも工業的メリットは皆無である。
気相中の連続製法として、気相析出反応(CVD)法等を基本としたビルドアップ方式(ガス状物質を粒状物質に成長させる方法)がある。例えば、揮発性で自然発火性液体(常温)のトリエチルアルミニウム(Al(C)を気化し、窒化ガスとして窒素より強力なアンモニアを使用して、0.2〜0.5ミクロンの粒子径の窒化アルミニウム粉体を製造する方法が報告され、工業化されている(例えば、特許文献3参照)。だが、危険で取り扱いの難しい高揮発性の有機原料が必須で、高コストを招く(実際問題として産業界に現在普及していない)新規設備導入が不可避である事に加え、ビルドアップ方式は一般に大粒径に不向きであり、大粒径の粒状生成物製造には、生成物の歩留まりを低下する原料の高濃度化や長時間処理が必須となる、等の問題がある。
また、非酸化物(金属や窒化物等)の気相中の連続製法として特長を有する方法に、熱プラズマ法や、蒸発―凝縮法がある。これらは、減圧状態にした真空容器中に、アルゴン等の電離し易いガス状物質を添加する手段等により、ラジカルや電子等、高活性物質を高密度に発生させたプラズマ等を反応場にするものである(例えば、特許文献4参照)。本質的に非酸化雰囲気を構成できる事から、非酸化物用の気相中の連続製法として、長く独占的な地位を占めていた。だが、安定なプラズマ状態の保持と、その最も高活性な部分への原料である粒状物質の導入とを、両立させる事は極めて難しく、プラズマ発生部の(高価な)石英管の破損等の事故を極めて起こし易い(それを防ぐには、例えば、倣い式の粒状物質供給装置等、更に新規な設備導入を必要とする)。このため、プラズマに導入する物質は、その安定状態に影響を与え難いガス状物質等とし、粒状物質はプラズマの終端部へ導入する事で、「粒状物質の被覆化装置」として使用される事が一般的で、本発明の目的には適用されていない。更に、高精度な雰囲気調整と、減圧状態が可能な真空容器が必須で、高コストを招く(実際問題として産業界に現在普及していない)新規な設備導入が不可避である事に加え、ラジカルを発生させたプラズマの保持には、例えば、膨大な冷却水(毎分数100リッター等)を必要とし、ランニングコストの突出は避けられない。このため、この方法を用いた製造現場では、非酸化物が製造可能で、非減圧状態(大気圧状態)で運転可能であり、しかも、易操作性の製法が、切望されていた。
一方、非酸化物粉体の表面は、大気中の水分や酸素等と反応し易く、粉体特性劣化や長期安定性の低さという大きな問題があった。これを比較的簡便に解決する手段として、粉体の材質や、製法の本質に関わらず、粉体の表面部又は外層を「強制的に」改質する製法が提案されている。例えば、有機物を粉体表面に吸着させる方法(例えば、非特許文献3参照)、酸窒化物層を粉体表面に形成する方法(例えば、特許文献7参照)、リン系化合物を粉体表面に形成する方法(例えば、特許文献8参照)、二つ以上の物質層の被膜を粉体表面に形成する方法(例えば、特許文献9参照)等が試みられてきた。しかし、これらの強制的な表面改質やコーティング法は、製法(粉体外部からの人為的な操作)に重点を置いた手法であった。その結果、耐水性等の粉体特性劣化や、長期安定性の低さ等の問題を未だ解決するには至らず、改善効果は不十分であった。また、リン等、熱伝導性等の非酸化物の有する粉体特性を劣化させる異種材料を必須技術要件とする場合が多かった。更に、典型的なバッチプロセス(非連続的な複数工程を必須とする製法)であり、生産性や工業化、コストの点で不利である他、現在の技術では一般化された原料が無く、対象材料によって、組成や粉体特性、調製方法を模索する必要がある、等が問題である(例えば、特許文献10参照)。
上記の製法(粉体外部からの人為的な操作)に重点を置いた手法とは別に、粉体の材質や、製法の本質に起因した、強制的な操作や工程をできるだけ低減した、個別適応的な手法も幾つか試みられている。これらの手法には、例えば、アンモニウムアルミニウム化合物による耐水効果(例えば、非特許文献4参照)、酸窒化物層(例えば、特許文献11参照)、製造過程で発生する窒素酸化物の分解で生じる活性酸素による緻密酸化薄膜(例えば、特許文献12参照)、炭化水素系ガスによる水蒸気の除去効果(例えば、特許文献13参照)、酸化雰囲気中の(比較的)低温条件下での熱処理(例えば、特許文献14参照)、その他、古くは、アンモニアガスと粉体を構成する成分との気相反応効果(例えば、特許文献15参照)や、還元窒化法の過剰炭素除去工程で生じる酸化膜層(例えば、非特許文献5参照)等によるものがある。しかし、これらの粉体材質や製法の本質に起因した個別例的手法では、(例えば、還元窒化法にみられるように)粉体表面の安定性は副産物的な位置付けであって、耐水性等の粉体特性劣化や、長期安定性の低さ等の問題を未だ解決するには至らず、改善効果は不十分であった。更に、また、工程低減の方を重視したために、非酸化物が本来有する高熱伝導、耐食・耐薬品性、高光学特性、高機械的特性等、(酸化物に勝る)優れた特性を劣化させる結果となる場合も見受けられる、等が問題である。
即ち、既往の非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、材料及び製法(主たる七つの方法)の面から現状を俯瞰すると、(1)固相反応法は、粒子径は満足されるが、形状や連続生産性が不可、(2)球状原料法は、粒子径や形状は満足されるが、コストや連続生産性が不可、(3)直接窒化法を基本とした気相中の連続製法は、形状や連続生産性は満足されるが、粒子径が不可、(4)高温電気炉法は、粒子径や形状は改善されるが、コストや連続生産性が不可、(5)ビルドアップ法は、形状や連続生産性は満足されるが、粒子径やコストが不可、(6)プラズマ又は蒸発―凝縮法は、連続生産性は満足されるが、粒子径、形状、コストが不可、(7)各種表面改質法は、形状や構造の制御性が不十分、材料組成や粉体特性の汎用性、生産性や工業化、コストが不可、となる。従って、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、の全てを同時に満たす事は、現時点では不可能であった。
本発明者らは、上記の状況を踏まえ、種々検討を重ねる中で、ある種のガス状物質を添加した場合に、非酸化物の反応性(還元反応)が向上する現象に着目した。例えば、炭化水素系ガスとアンモニアガスの混合ガス中で、低純度(高酸素含有率)の窒化アルミニウム組成物を高純度化したり(例えば、特許文献5参照)、アルミナの還元窒化法においてその反応性を向上することが可能な事(例えば、特許文献6参照)が報告されている(但し、全て、電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法)。だが、この現象の利用は、あくまで非酸化物生成のための原料の還元(即ち、原料から酸素元素を解離する事)だけに限定され、ガス状物質の種類も限定されている。しかも、これらの技術は、粉体表面の安定性については、現時点では全く考慮されていない。これは、経験則に基づく知見の蓄積で得られた成果であったため、現象の「本質的な限定要素」が明確化されていない事が理由であって、工業技術としての限界ではない事が推定される。
特開平4−74705号公報 特開平2−283605号公報 特開平3−137009号公報 特開2000−219901号公報 特開平6−100305号公報 特開平11−130411号公報 特開平6−144809号公報 特開平7−33413号公報 特開2002−226207号公報 特開2003−41600号公報 特開平6−144809号公報 特開平6−115912号公報 特開平11−21113号公報 特開平1−141811号公報 特開昭63−297206号公報 A.W.Weimer,G.A.Cochran,G.A.Eisman,J.P.Henley,B.D.Hook,L.K.Mills,T.A.Guiton,A.K.Knudsen,N.R.Nicholas,J.E.Volmering,W.G.Moore,Rapid Process for Manufacturing Aluminum Nitride Powder,J.Am.Ceram.Soc.,Vol.77,p.3−18(1994) 平井伸治、村上英明、片山博、上村揚一郎、三友護、アルミナと窒化アルミニウムからの酸窒化アルミニウムスピネルの生成、日本金属学会誌、Vol.58、p.648(1994) M.Egashira,Y.Shimizu,Y.Takao,R.Yamaguchi,Y.Ichikawa,Effect of Carboxylic Acid Adsorption on the Hydrolysis and Sintered Properties of Aluminum Nitride Powder,J.Am.Ceram.Soc.,Vol.77,p.1793−1798(1994) 杉山和夫、高橋秀樹、今野成夫、田中摂子、松田常雄、上西雅利、橋詰良樹、窒化アルミニウム粉体の表面状態とその耐水処理、粉体工学会誌、Vol.29,p.682−687(1992) 倉元信行、窒化アルミニウム粉末とその現状、セラミックス、Vol.22、p.29−34(1987)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の有する諸問題を抜本的に解決する事を可能とする新しい技術を開発する事を目標として鋭意研究を積み重ねた結果、非酸化物が生成する条件下で正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質である、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかを添加する事を特徴とする気相中の連続的な製法により、金属、窒化物、又は酸窒化から成る、非酸化物系粒状物質の表面部又は外層を、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体よりなる被覆層又は結合層で形成することが可能であり、従来の非酸化物系の粉体では不可能であった、形状や構造を制御した新規な粉体の製法(特に、粉体の球形度と、粉体表面の安定性とを、同時に向上させた新材料)、その粉体、及び製造装置が提供可能である事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、従来の非酸化物粉体、その製法、及びその製造装置が持つ欠点を克服した、新規な粒状物質、その製法、及びその製造装置を提供する事を目的とするものである。また、本発明は、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、の、全てを同時に満たす事を達成した、新規な粒状物質、その製法、及びその製造装置を提供する事を目的とするものである。
上記の課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質を反応場へ添加することを含む、気相中の連続的な製法で、非酸化物系粒状物質の球形度と粒状物質の表面の安定性を同時に向上させた複合粒状物質であって、
その表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を有し、粒状物質の外形が、長径/短径比が0.7以上で、粒子の表面が角ばらない高球形度の形状及び高安定性の表面を有し、平均粒子径が1〜100ミクロンであり、
上記非酸化物系粒状物質が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄から選択される1種であり、上記ガス状物質が、炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかであることを特徴とする複合粒状物質。
(2)上記被覆層又は結合層が、粒状、棒状、膜状、多孔状、不定形の何れかの形状からなることを特徴とする上記(1)に記載の複合粒状物質。
(3)上記(1)に記載の複合粒状物質よりなることを特徴とするフィラー又は充填材。
(4)気相中の連続的な製法で、非酸化物系粒状物質の球形度と粒状表面の安定性を同時に向上させた複合粒状物質を製造する方法であって、
製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する、炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかのガス状物質を反応場へ添加する工程、ガス状物質中に非酸化物系粒状物質を浮遊させる工程、により非酸化物系粒状物質の表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質、又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を形成すること、及び
上記非酸化物系粒状物質が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄から選択される1種であることを特徴とする複合粒状物質の製造方法。
(5)気相中での生成反応が、流動層法により、大気圧下で行われることを特徴とする上記(4)に記載の複合粒状物質の製造方法。
(6)上記被覆層又は結合層が、粒状、棒状、膜状、多孔状、不定形の何れかの形状からなることを特徴とする上記(4)に記載の複合粒状物質の製造方法。
(7)非酸化物系粒状物質の表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質、又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を有する複合粒状物質を気相中で連続的に製造するための装置であって、
気相中で反応を遂行するための反応装置、非酸化物系粒状物質の窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄の何れかの原料を反応装置内へ供給するための手段、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかのガス状物質を反応装置へ供給する手段、及び反応装置及び/又はガス状物質を加熱するための加熱手段、を含むことを特徴とする複合粒状物質の製造装置。
(8)反応装置に対して、外部加熱手段を並用又は別建てで設けたことを特徴とする上記(7)に記載の複合粒状物質の製造装置。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者らは、非酸化物の反応を熱力学的に再検討した。その結果、ある種のガス状物質を添加した場合に非酸化物の反応性(還元反応)が向上する現象は、非酸化物を製造する温度で、そのガス状物質が正の標準生成自由エネルギーを持つために、非酸化物生成反応に必要な自由エネルギーを小さくできる事が原因である事を熱力学的に明らかにした。しかも、酸化物生成反応に必要な自由エネルギーは、上記の非酸化物生成反応より小さい場合が多いのが一般的であるが、非酸化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添加した反応の自由エネルギーは、(非酸化物生成反応だけではなく)酸化物生成反応よりも小さくなる場合がある事もわかった。更に、この反応機構は、原理的に、酸化物の還元(原料から酸素元素を解離)だけに限定されるものではなく、窒化(原料と窒素元素を反応)や、大粒径の原料でも反応が可能であったり(還元や窒化反応性が向上されるため)、電気炉中のバッチ処理に比べて本質的に反応時間の短い気相中の連続的な製法でも反応を駆動し得る可能性を持つ事(上記のガス状物質による自励的な反応を利用し、熱エネルギーの効率的利用が可能な内部加熱方式で構成できるため)、に着目した。
本発明者らは、更に、非酸化物が生成する条件下で正の標準生成自由エネルギーを有する、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかのガス状物質を添加する製法が、同時に、製法としての本質的に、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体から成る粒状物質表面部又は外層を形成し易いという、重要な特徴を有している事に着目した。即ち、上記の製法が、アンモニウムアルミニウム化合物、酸窒化物層、製造過程で発生する窒素酸化物の分解で生じる活性酸素の除去、酸化雰囲気中の熱処理、アンモニアガスと粉体を構成する成分との気相反応、工程中の部分酸化等、粉体材質や製法の本質に起因した個別例的手法で試みられていた、全ての工程を包含している事、に着目した。
本発明者らは、更に、上記の製法が、気相中の連続的な製法であるため、製法としての本質的に、(1)ガス中に粉体を浮遊せしめ、しかも、その粉体の球形度が高いため、上記の粉体表面部又は外層形成の均一性が高まる事、(2)上記粉体製造工程と、粉体の材質や製法に関わらず粉体の表面部又は外層を「強制的に」改質する製法(複合化プロセス)とも両立させ易い事、の2点に着目した。例えば、大気圧状態で運転可能な「正の標準生成自由エネルギーのガス支援型・非酸化物製造装置」に原料を投入する際、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用いる事により、上記の製造機構は、原理的に、既往の(任意の)粉体表面の複合化プロセスを併用し得る可能性を持つ事、が例示できる。
本発明者らは、以上の着想を実現すべく鋭意検討した結果、具体的には、(1)気相中の連続的な製法において、(2)非酸化物が生成する条件下で正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質である、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかを添加する事、(3)ガス状物質中に粒状物質を浮遊せしめる事、(4)粒状物質表面部又は外層が、粒状、棒状、膜状、多孔状、不定形の何れかの形状又は構造を有し、当該粒状物質又はその表面部に付着、被覆、結合の何れかの化学的状態で存在している事、及び、必要に応じて(5)粉体の材質や製法に関わらず粉体の表面部又は外層を「強制的に」改質する製法(複合化プロセス)と組み合わせる事、そして、以上の五点の制御を同時に、又は連続的に、又は断続的に組み合わせる事で、本発明を具現化した。
本発明において、非酸化物とは、金属又は窒化物又は酸窒化物が例示され、高熱伝導性が注目される窒化アルミニウム(AlN)、耐食・耐薬品性や高光学特性が注目される酸窒化アルミニウム(γ―AlON等)、高機械的特性等が注目される窒化ケイ素(Si )、純鉄(Fe)、窒化鉄(FeN)を好適とするが、特に制限されるものではない。本発明で使用される非酸化物粒状物質の粒子径は、0.01〜1000ミクロン、好ましくは1〜100ミクロンである。
本発明において、例えば、窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムを製造するにあたり、直接窒化法を基本とする場合には、原料として、アルミニウム金属、特に水、ガス、遠心等の各種アトマイズ法で製造された球形度の高いAl系粉体群を好適とするが、特に制限はない。また、還元窒化法を基本とする場合の、原料として、例えば、バイヤー法又は改良バイヤー法、アルコキシド法、アンモニウムドーソナイト法、気相法等で製造されたアルミナ系粉体群を好適とするが、更に、ボーキサイト等の岩石類、アルファ相、ガンマ相、シータ相、カッパ相の各種アルミナ多系(中間アルミナ)群、AlOOHやAl(OH)の化学式で表現される水酸化物前駆体、アセチルアセトナト(化学式Al(C)やアンモニウムドーソナイト(化学式NHAlCO(OH))等の炭酸塩前駆体、等が例示されるが、特に制限はない。気相法を基本とする場合には、原料として、例えば、AlCl等の塩化物、アルミニウムイソプロポキシド(化学式Al(iso−OC)等のアルコキシド原料、アルミニウムアセチルアセトナト(化学式Al(iso−C)等のβジケトン錯体、トリメチルアルミニウム(化学式Al(CH)等のアルキルメタル等、低沸点の気相合成用原料群、等が例示されるが、非酸化物を製造する反応に供する事が可能であれば良く、特に制限されるものではない。
本発明において、非酸化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質としては、入手の容易さから炭化水素系ガス及びアンモニアガスを使用するが、これらは、非酸化物が生成する一般的な温度範囲である1000℃近辺での標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質である。なお、本発明に適用することができる炭化水素系ガスとアンモニアガスを含むガス状物質の例と、それらの標準生成自由エネルギー、還元又は窒化能力を、表1に例示した。
本発明において、原料が粒状物質の場合、粉体の流動化又は気相分散状態の形成・利用方法については、例えば、粉体を気流で搬送・滞留化させる各種の流動層法(原料粉体より大きく、流動化し易い数100ミクロン直径の媒体メディアを同時に用い、原料粉体の凝集を防止しながら高分散化を図る媒体流動層法、粉体層に振動を印加して微粉体のチャネリングを防止する振動流動層法等)を好適とするが、例えば、更に、回転円板やガスノズルを用いて粉体を気流にのせる各種噴霧法、液体媒体中に粉体を分散させ、超音波霧化器等で液体ごと粉体を液滴化する液体噴霧法等も適用可能であり、特に制限されるものではない。また、何れの方法で調製された粒状物質も適用できる。
本発明において、1ミクロン以上の平均粒子径を持つ粒状物質の原料として、液状原料も一般的であるが、媒体としてはイオン交換水や蒸留水等の水系、エタノール等の有機非水系の他、ガソリンやトルエン、ベンゼン等の可燃性液状物質を使用し、非酸化物生成のための原料をイオン状態に溶解、又は粒状やコロイド状に分散させた溶液又はスラリーが例示されるが、特に制限されるものではない。その供給方法は、回転円板やガスノズル等の各種噴霧法、超音波霧化器等が例示される。
本発明では、気相中で反応を遂行するための反応装置、非酸化物粒状物質の原料を反応装置内へ供給する手段、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質を反応装置へ供給する手段、及び反応装置及び/又はガス状物質を加熱するための加熱手段を含む複合粒状物質製造装置が使用される。本発明において、非酸化物の反応装置、又は非酸化物が生成する温度で還元又は窒化能力を持つガス状物質を生成するための装置、又はそれらに同時に、又は連続的に、又は断続的に高温付与可能な装置は、石英、アルミナ、耐熱鋼等の反応管や壁を設け、雰囲気制御や、発生熱エネルギーの効率的利用が可能な密閉構造を好適とするが、反応に問題が無ければ自由空間でも良い。また反応駆動力としては、原料の自励的な反応が経済性の点で最も望ましいが、反応促進と短時間化の目的で、気相析出反応(CVD)法で多用される外部加熱(電気炉)法や、プラズマ、アーク、火炎(但し「火炎」とは、完全燃焼であり、水蒸気(HO)と二酸化炭素(CO)に完全に分解される現象をいう)、高還元比の部分燃焼(但し「還元比」とは、水蒸気+二酸化炭素と、水素(H)+一酸化炭素(CO)との比)、等を併用する事を妨げるものではない。
本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成の一例を、図1に整理した。図1―aは、原料の自励的な反応を利用する場合の装置構成を具現化したものに相当する。大気圧状態で運転可能な「正の標準生成自由エネルギーのガス支援型・非酸化物製造装置」に原料を投入する際、前記ガス状物質を添加する。図1―bは、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用する場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―cは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用いる場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―dは、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用し、それに更に、外部加熱装置を併用した場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―eは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―fは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置(それにも外部加熱装置を併用)を併用した場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―gは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用いる場合の装置構成を具現化したものに相当する。図1―hは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置構成を具現化したものに相当する。これら以外にも、多くの装置構成が想定され、それを妨げるものではない。
本発明において、アルミニウム(Al)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」として、アセチレン(C)とアンモニア(NH)を添加する例について、以下に説明する。
一般的なAlの直接窒化反応は次式による;
2Al+N→2AlN (1)
NH3によるAlの窒化反応は次式による;
2Al+2NH→2AlN+3H (2)
一方、大気圧下等で、酸素が存在する場合、金属Alは容易に次式の酸化反応が起こる;
4Al+3O→2Al (3)
(3)式の酸化反応を起こさずに、(1)式や(2)式の反応を進行させるには、非酸化雰囲気に保持し、十分な高温、水素(H)分圧を平衡分圧以下に保つ等の制御を要する。
一方、次式;
2Al+2NH+C+O→2AlN+2CO+4H(4)
又は、
14Al+2NH+2C+11O→2AlN+4CO+5H(5)
に従う、Al−C−NH系の、窒化アルミニウム(AlN)又は酸窒化アルミニウム(ここではAlN)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業化されている窒化反応で一般的な、1000K(727℃)〜1800K(1527℃)の温度範囲において、十分大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置するCとNHが、上記温度範囲で正の標準生成自由エネルギーを持っているためである。(1)式や(2)式に比べ、(4)式や(5)式の反応は、(3)式の反応を起こさずに、比較的容易な制御条件で駆動させる事が見込める。以上の反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図2に整理した(なお、各元素や化合物等の標準生成自由エネルギーは、JANAF熱化学表等から引用した)。また、酸窒化アルミニウムは、それを生成物として使用する他に、次式によりAlNに変換して用いる事も可能である;
AlN+9C+3N→7AlN+9CO (6)
本発明において、アルミニウム(Al)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてプロパン(C)とアンモニア(NH)を添加する例を説明する。次式;
2Al+2NH+2C+3O→2AlN+6CO+11H (7)
又は、
14Al+2NH+2C+12O→2AlN+6CO+11H
(8)
に従う、Al−C−NH系の窒化アルミニウム(AlN)又は酸窒化アルミニウム(ここでは、AlN)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業化されている窒化反応で一般的な1000K(727℃)〜1800K(1527℃)の温度範囲において、極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置するCとNHが、上記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持っているためである。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図3に整理した。
本発明において、粉体表面の複合化プロセスとは、粉体表面に、粉体の形状又は構造を制御するための粒状物質、液状物質又はガス状物質が、粒状、棒状、膜状、多孔状、又は不定形に、付着、被覆又は結合する事を必要とするが、それ以外の条件、例えば、物質の相(固体、液体又は気体等)、形状や構造(粒状、棒状、膜状、多孔状、又は不定形)、材質(金属、高分子、酸化物、又は非酸化物等)、大きさ、添加量、複合構造化を図る方法等については特に制限は無く、限定されない。例えば、金、銀、銅、白金、鉄、チタン等の金属系、チタン系化合物、ホウ素系化合物、亜鉛系化合物等の各種機能付与・促進剤、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アラビアゴム等の各種高分子添加剤、パラフィンやグラファイト等の炭素系粉体材料、各種界面活性剤、各種バインダー、加熱により分解してガス状物質を発生する性質を有する粒状物質又は液状物質又はガス状物質(アゾ系物質等の発泡剤等)、セリサイト等の板状粉体、等が例示される。また、方法は、粉体の混合や電気炉中の加熱、粉砕、剪断応力を利用した機械的複合化法等の固相法、液体中のゼータ電位差や加水分解、錯体反応やエマルション法等を利用する液相法、ガス中の蒸発−凝縮現象、核生成、静電気力、液架橋力等を利用する気相法、等が例示されるが、特に制限はない。
本発明において、「高球形度の形状」とは、粒子の外形が、長径/短径が0.5〜1、好ましくは0.7以上であり、粒子の表面が角ばらない形状、即ち、粒子全体を巨視的(投影図的)に見た場合の長径/短径比が、0.5〜1、好ましくは0.7以上であることに加え、同時に、粒子表面を微視的(拡大図的)に見た場合に、表面突起や多角形形状による突起部等がない、平滑表面であること、として定義される。また、本発明において、「粉体表面の安定性」とは、原料粉体のハンドリング中に、粉体表面の材料組成や、粒子形態・構造等が変化しないということで、例えば、大気中の酸素と反応し、非酸化物が大量に酸化物化するようなことがない、ということを意味する。更に、粉体の球形度と、粉体表面の安定性とを同時に向上させたとは、粒子形態・構造の、巨視的球形度が高く、微視的表面粗さが平滑で、同時に、粉体表面の材料組成や、粒子形態・構造等が変化しないということを意味する。本発明において、製造された粒状物質の使用方法、及び粒状物質を利用した成形体や焼結体としては、半導体素子の保護・絶縁等を目的としたパッケージング(封止)材料を好適とするが、更に、熱伝導材料、耐食・耐薬品性材料、光学材料、高強度・高靭性材料、絶縁材料、電極・導電材料、電気粘性流体、研磨剤、化学機械研磨用スラリー、射出成形や鋳込み成形等のセラミック成形プロセス原料、基板材料、セラミック電子材料、セラミック構造材料、充填剤や嵩増剤等の各種フィラー系粉体、化粧品材料、吸入療法用経肺薬剤、錠剤用薬剤粉体、等の材料系が例示される。
以上、詳述したように、(1)本発明は、従来の、非酸化物粉体、その製法、及び製造装置が持つ欠点を克服することを可能とする、(2)本発明により、非酸化物が生成する条件において正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質である、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかを添加する事を特徴とする、気相中の連続的な製法で、非酸化物系粒状物質である、金属、窒化物、又は酸窒化物から成る粒状物質の表面部又は外層を、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体で構成することが可能となる、(3)非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)の全てを同時に満たす事を達成した、新規な粒状物質、その製法、及びその製造装置を提供する事ができる、という格別の効果が奏される。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。本発明で対象とする材料系の内、代表的な非酸化物として、窒化アルミニウム(AlN)系、及び酸窒化アルミニウム(δ―Al0N)系、鉄(Fe)系を用いて、以下の実施例を展開したが、他の非酸化物についても同様の結果が得られた。
図1に整理した本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例より、最も基礎的な図1―aを基本とした実施例を示す。反応の種類として「アルミニウム(Al)の直接窒化反応」を基本とし、「非酸化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質」としてアセチレン(C)とアンモニア(NH)を添加する、本発明の上記反応メカニズムを採用し、これを具現化する事とした。但し、NHの添加位置は、非酸化物が生成する条件を持った反応場の中央とし、非酸化物の原料やCの後から添加した。概略図を図4―cに示す。
(1)方法
反応器は、アルミナ反応管とステンレス製二重円筒管とした。ガス状物質の供給部はスパッド型とし、ガス混合の際のデッドゾーン減少を図った。ステンレス製二重円筒管の外管へC2H2を供給し、内管へ原料及び反応ガス系を搬送した。原料のAl(図4、符号11)は、工業化優位性と生産性を考慮し、液状ではなく粒状物質を用いた。そこで、凝集等による搬送や反応の不均一性低減のため、供給装置として、流動層式の気相状態の粒状物質(エアロゾル)発生装置を用いた。流動化は、媒体流動層法とし、直径150ミクロンのガラスビーズを媒体として使用した。反応管中の雰囲気制御を厳密に行い、気相反応により、粒状の生成物を得た。捕集はテフロン(登録商標)フィルターを通してポンプ引きし、有害ガス等をトラップ除去する構成を採用した。Al原料は、平均粒子径約3ミクロンのガスアトマイズ法による球状粉体を用いた。Alは、窒化原料兼用の窒素ガスにより、1分当たり3リッターで搬送した。Cは、1分当たり4リッターで供給した。また、酸素(O)を、Cとの化学量論比〜還元側で調節した。更に、NHを、上記のように反応場の中央(図4、符号12)より、又は非酸化物原料や他のガス状物質と混合して(図4、符号13)、1分当たり0〜3リッターまで調整して供給した。
(2)結果
実施例1において、生成物の形状を確認するための走査型電子顕微鏡写真を示す。市販されている酸窒化アルミニウムを図4―a、市販の窒化アルミニウムを図4―bに、実施例1の酸窒化アルミニウムを図4―d、実施例1の窒化アルミニウムを図4―eに、夫々示した。既往の市販粉体は、粉砕工程を経ているにも関わらず、生成粉体が固く融着又は凝集した状態が残っている(図4―a)。また、粉砕工程を反映して、非球状性の板状粒子となっている(図4―b)。これは、電気炉中のバッチ処理で酸窒化アルミニウムを合成するには、超高温(一般に、1650℃以上〜2000℃程度)の長時間処理が必要で、融着又は凝集状態が不可避であるためである(例えば、非特許文献2参照)。
一方、本発明の非酸化物粉体(図4、符号14)は、原料Al粉体(図4、符号11)の融着又は凝集による粗大粉体化を起こさず、図4―d、及び図4―eに夫々示されたように、高分散状態が維持されている(即ち、図4に示すように、平均粒子径は変化していない)。この結果は、気相状態にある粒状物質(エアロゾル)が、高分散状態を維持して搬送されているために、反応過程の相互作用が固相法や液相法に比べて小さく、本質的に粉体の融着又は凝集による粗大粉体化を起こし難いというメカニズムが、有効に機能している事を示唆している。
実施例1において、上記の結果は、本発明の目的の、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、を達成する上で、極めて重要な結果である。即ち、1ミクロン以上の原料粉体を用いたにも関わらず、未反応物を作らず、所望の反応を終えたという事は、「粉体中へのガス拡散と、拡散したガスと粉体との反応」が起きている事を示すものである。この反応機構は、電気炉中のバッチ処理を基本とした直接窒化法や還元窒化法の反応駆動原理と同一であり、本発明によると、バッチ処理を気相中の連続製法に変えたにも関わらず、電気炉中のバッチ処理と同一の反応を使用できる事を意味する。この事は、大粉体化や生産性の点で非常に有利で、原理的(本質的)に、直接窒化法や還元窒化法で成功している生成物(例えば、1ミクロン以上の平均粒子径と、高球形度の形状を同時に有した窒化アルミニウム粉体等)を製造できるポテンシャルを本質的に持っている事を示している。
本発明とは対照的に、発熱反応である金属粉体の直接窒化法又はガス窒化法を、電気炉中でのバッチ処理から連続処理に変えた既往の製法では、NH添加効果が正反対になる事が報告されている(例えば、堀田憲康、福井紘一郎、吉川裕一、亀島哲、木村勇雄、金谷貢、浮上窒化反応による高純度AlN粉末の合成、J.Ceram.Soc.Japan,Vol.102,p.1032−1036(1994)参照)。即ち、既往製法の窒化反応は、NHを反応場の中央より添加した場合に最も良く進み、NH無添加の場合や、NHを他原料と先に混合して反応場に供給した場合、反応効率の低下が明らかにされている。そして、その理由として、「Al粉体表面から発生した蒸気と窒化成分ガスとの気相中での反応」を主反応としている事が、挙げられている。この事は、大粉体化や生産性の点では不利となる。即ち「Al粉体表面から発生した蒸気」を主原料とするという事は、Al粒子表面にも窒化アルミニウム層が形成される事を意味しており、未反応のAl層が内部に残存してしまう。その結果、(1)完全な反応のためには0.1〜0.2ミクロンの粒子径が限界で、それ以上の大粒径は製造できない、(2)原料である金属粉体は下から上へ送る事が、反応性向上のためには必要とされる、(3)大粒径の原料粉体はその表面からの発生成分のみを利用し、残りは燃えカスとして自然落下され、本質的に低生産性な「原料の上昇供給」に限定される、という、三つの致命的な問題が発生する(例えば、特許文献2)。原料を100%利用できず、燃えカスが本質的に発生する製法であるという事は、工業的製法として限界がある。
更に、実施例1において、個々の1次粒子表面に、サブミクロン径以下の超微粒子が均一に被覆された状態が得られている(図4―d、及び図4―e中の拡大写真)。また、更に、NH供給量により、平均粒子径0.1ミクロン〜10ミクロンと、粒状生成物の大きさを制御する事も可能であった。以上の結果は、本発明の窒化反応が、気相中でのAl粉体内への窒化成分の拡散(及びその気相反応)を主反応としつつ、一方、Al粉体表面から発生した蒸気と窒化成分ガスとの気相中での反応が、一部、生じている事を表している。
この結果は、本発明が目的とする、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、を、同時に満たすに留まらず、1ミクロン「以下」の粉体合成(例えば、焼結体用原料の供給方法等)をも、実施可能な能力を有する事を示し、本発明の将来性(ポテンシャル)の高さを示唆する結果として、指摘できる。
図1に整理した本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例より、図1―fを基本とした実施例を示す。「非酸化物が生成する条件下で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」として、プロパン(C)を添加し、直径5ミクロンの鉄(Fe)粉体を用いて、以下の実施例を展開した。
(1)方法
Fe粉体を、反応器(図1―f、符号10)内に設けられた加熱体長さ0.3m、加熱温度250〜500℃の石英管に供給した。この時、鉄粉体の反応器とは別に設けられた反応器(図1―f、符号20)において、アルミニウムイソプロポキシド(Al(iso−OC、略号AIP)を200℃で加熱し、予めガス化させ、Fe粉体の反応器へ供給した。Fe粉体には、1分当たり0〜3リッターのアルゴンガスを供給し、AIPガスは、1分当たり0.5〜1リッターのアルゴンガスで搬送した。
(2)結果
実施例2において、生成物の形状を確認するための走査型電子顕微鏡写真を、原料のFe粉体を図5―aに、特別の粉体操作を加えずに複合化した後のFe粉体の状態を図5―bに、夫々示した。そして、本発明が目的とする、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)の内、[C]気相中の連続的な製法=気相状態の粒状物質(エアロゾル)を利用して、複合化した後のFe粉体の状態を図5―cに示した。粉体操作を加えずに複合化した場合(図5―b)、原料Fe粉体は、融着又は凝集による粗大粉体化を起こしており、凝集構造内部への複合化を行う事ができず、[B]の粉体表面の安定性を達成できない。一方、本発明の非酸化物粉体(図5―c)は、原料Fe粉体の融着又は凝集による粗大粉体化を起こさず、高分散状態が維持されている。この結果は、気相状態にある粒状物質(エアロゾル)が、高分散状態を維持して搬送されているために、反応過程の相互作用が固相法や液相法に比べて小さく、本質的に粉体の融着又は凝集による粗大粉体化を起こし難いというメカニズムが、有効に機能している事を示唆している。
実施例2において、[B]粉体表面の安定性に資する、粉体表面の複合化の形状又は構造の高制御性を示す結果として、Fe粉体(図6―a)表面に、アルミナ(Al)系粒子を粒状に複合化した場合(図6―b、c)、及び膜状に複合化した場合(図6―d、e)を、夫々示した。但し、図6―a、b、dは、走査型電子顕微鏡写真、図6―c、eは、透過型電子顕微鏡写真である。製造条件は、粒状に複合化した場合は、加熱温度500℃、Fe粉体へのアルゴンガス供給量は0、AIPガスは1分当たり1リッターとした。一方、膜状に複合化した場合は、加熱温度250℃、Fe粉体へのアルゴンガス供給量は1分当たり2リッター、AIPガスは1分当たり0.5リッターとした。その結果、直径5ミクロンの個々のFe粉体を、1次粒子レベルまで均一に、数10ナノメーターのAl系粒子が複合化したり(図6―b、c)、数10ナノメーターのAl系薄膜が複合化した(図6―d、e)、多様な複合粉体を任意に作製する事ができた。この結果も、気相状態にある粒状物質(エアロゾル)が、高分散状態を維持して搬送されているために、反応過程の相互作用が固相法や液相法に比べて小さく、本質的に粉体の融着又は凝集による粗大粉体化を起こし難いというメカニズムが、有効に機能している事を示唆している。以上の結果は、本発明の目的の、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、を達成する上で、極めて重要な結果である。
図1に整理した本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例より、図1―fを基本とした実施例を示す。「非酸化物が生成する条件において標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」として、プロパン(C)を添加して作製した、直径5ミクロンの鉄(Fe)粉体を用いて、以下の実施例を展開した。
(1)方法
Fe粉体を、高周波電力量200〜300Wの反応器(図1―f、符号10)に供給した。この時、鉄粉体の反応器とは別に設けられた反応器(図1―f、符号20)において、アルミニウムイソプロポキシド(Al(iso−OC、略号AIP)を200℃で加熱し、予めガス化させ、Fe粉体反応器へ供給した。AIPガスは、1分当たり0.5リッターのアルゴンガスで搬送した。
(2)結果
実施例3において、[B]粉体表面の安定性に資する、粉体表面の複合化の形状又は構造の高制御性を示す結果として、Fe粉体(図6―a)表面に、アルミナ(Al)系粒子を膜状に複合化した場合(図7―a〜c)、及び粒状に複合化した場合(図7―d)を、夫々示した。但し、写真は全て透過型電子顕微鏡写真であり、図7―aは判別し難いため拡大写真を併せて示した。また、複合膜AlN主相に極微量の炭素からなる組成を示すため、Fe粉体中心部(図7―eのA)、及び複合膜(図7―eのB)のエネルギー分散型X線分光(EDS)分析結果を示した。
製造条件は、膜状に複合化した場合は、高周波電力量300W、Fe粉体処理時間は、5分(図7―a)、10分(図7―b)、20分(図7―c)とした。一方、粒状に複合化した場合は、高周波電力量200W、Fe粉体処理時間は20分とした。
その結果、直径5ミクロンの個々のFe粉体を、(Fe粉体の)1次粒子レベルまで均一に、Al系、又はFeの固溶体(EDS分析結果より)を、複合化させる事に成功した。しかも、数〜数10ナノメーターの超微細なレベルで、任意に膜厚を制御(図7―a〜c)、又は数ナノメーターのAl系粒子が複合化した(図7―d)、多様な複合粉体を高制御に作製する事ができた。以上の結果も、気相状態にある粒状物質(エアロゾル)が、高分散状態を維持して搬送されているために、反応過程の相互作用が、固相法や液相法に比べて小さく、本質的に粉体の融着又は凝集による粗大粉体化を起こし難いというメカニズムが、有効に機能している事を示唆している。以上の結果は、本発明の目的の、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)、を達成する上で、極めて重要な結果である。
図1に整理した本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例より、図1―fを基本とした実施例を示す。「1ミクロン以上の平均粒子径と、高球形度の形状」を同時に有した窒化アルミニウム(AlN)粉体を用いて、粉体表面の安定性(ここでは耐水性)について、以下の実施例を展開した。
(1)方法
AlN粉体に炭酸カルシウムを添加し、窒素雰囲気中、1800℃で6時間熱処理、塩酸で残存した炭酸カルシウムを溶解除去して、目的形状を有したモデル粉体を作製した。モデル粉体への複合化方法として、実施例4では、高分子添加法を改良し、還元剤として炭素粉体を同時に湿式混合する方法を用いた。得られた試料は、1300℃で3時間熱処理後、乾燥及び解砕して、AlN主相に極く微量の炭素からなる組成、及び構造を有する複合粉体を作製した。この複合粉体を、40℃の水中で攪拌し、pHの時間変化を測定する事で、粉体表面の安定性(耐水性)を評価した。
比較例1
上記のAlNモデル粉体を、複合化せずそのまま、実施例4と同様に、安定性(耐水性)評価を実施した。
(2)結果
実施例4及び比較例1の各粉体を投入した水のpHが、pH8.5及びpH9.0となるまでの時間変化を示す(表2)。但し、表中の∞は、pHが9.0となる前に、逆に減少し始めた(即ち、pH9.0にはならなかった)事を表す。その結果、実施例4において、高分子系粉体及び炭素系粉体(還元剤)を複合化した場合、格段の粉体表面の安定性(耐水性)を示す事が明らかとなった。この結果も、本発明が目的とする、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)の内、製法の本質的に、(1)ガス中に粉体を浮遊せしめ、しかもその粉体の球形度が高いため、上記の粉体表面部又は外層形成の均一性が高まる事、(2)上記粉体製造工程と、粉体の材質や製法に関わらず粉体の表面部又は外層を「強制的に」改質する製法(複合化プロセス)とも両立させ易い事、というメカニズムが、有効に機能している事を示唆している。以上の結果は、本発明の目的の、[B]粉体表面の安定性を達成する上で、極めて重要な結果である。
非酸化物系粒状物質の製造装置の実施例を、本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例(図1)に相関させて、説明する。図1―aは、原料の自励的な反応を利用する手段を用いた場合に相当し、非酸化物が生成する条件下で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素の何れか又は複数を添加する手段を用いて該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合であり、最も基本的な製造装置例を示す。図1―bは、還元又は窒化用のガス状物質の供給装置を併用する手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―cは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用いる手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―dは、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用し、更に、外部加熱装置を併用した手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―eは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用した手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―fは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置(それにも外部加熱装置を併用)を併用した手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―gは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用いる手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。図1―hは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用い、更に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用した手段を用いて、該粒状物質の表面部又は外層を製造する場合に相当する。
本発明は、非酸化物が生成する条件において正の標準生成自由エネルギーを有する、ガス状物質である、炭化水素系ガス、アンモニアの何れかを添加する事を特徴とする、気相中の連続的な製法で得られた非酸化系物質である、金属、窒化物、又は酸窒化物から成る粒状物質の表面部又は外層を、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体からなる、被覆層又は結合層として形成した非酸化物系粒状物質に係るものであり、従来の非酸化物系の粉体では不可能であった、形状や構造を制御した新規な粉体の製法(特に、粉体の球形度と、粉体表面の安定性とを、同時に向上させた新材料)、その粉体、及び製造装置の提供が可能な事を見出し、金属、窒化物、酸窒化物から成る粒状物質において、該粒状物質の表面部又は外層を、上記ガス状物質を添加する事、及びガス状物質中に粒状物質を浮遊せしめる事により、酸化物、酸窒化物、当該粒状物質を構成する成分、又はその固溶体により形成する事が可能となり、非酸化物粉体の形状や構造の制御に関して、[A]高球形度の形状、[B]粉体表面の安定性、[C]気相中の連続的な製法(高コストパフォーマンス)の全てを同時に満たす事を達成した、新規な粒状物質、その製法、及びその製造装置を提供する事ができるものである。
本発明の装置構成の具体例を示す。 アルミニウムの直接窒化法を基本としたアセチレンとアンモニアを使用する製法のエリンガム線図を示す。 アルミニウムの直接窒化法を基本としたプロパンとアンモニアを使用する製法のエリンガム線図を示す。 実施例1で作製した、窒化アルミニウム(e)、酸窒化アルミニウム(d)と、市販の窒化アルミニウム(b)、市販の酸窒化アルミニウム(a)、及び原料であるアルミニウム(c)のアトマイズ粉体の走査型電子顕微鏡写真を示す。 実施例2で作製した、鉄系複合粉体(c)、原料鉄粉体(a)、比較例(b)の走査型電子顕微鏡写真を示す。 実施例2で作製した、アルミナを粒状に複合化した鉄系複合粉体(b,c)、アルミナを膜状に複合化した鉄系粉体(d,e)、原料鉄粉(a)の走査型電子顕微鏡写真、及び透過型電子顕微鏡写真を示す。 実施例3で作製した、アルミナを膜状に複合化した鉄系複合粉体(a〜c)、アルミナを粒状に複合化した鉄系複合粉体(d)の透過型電子顕微鏡写真、及び鉄粉中心部と複合膜のエネルギー分散型X線分光分析結果(e)を示す。
符号の説明
(図1の符号)
10: 正の標準生成エネルギーガス支援型非酸化物製造装置
11: 非酸化物系物質の原料
12: 正の標準生成エネルギーを有するガス状物質
13: 外部加熱装置併用型(同時加熱方式)
20: 還元用、窒化用、表面被覆用等のガス状物質の発生装置
21: 外部加熱装置併用型(同時加熱方式)
30: 外部加熱装置別建て型(連続加熱方式)
31: 外部加熱装置併用型(動じ加熱方式)
(図4の符号)
11: 原料Al粉末
12: 酸素、NH、C
13: 非酸化物原料、他のガス状物質
14 非酸化物粉体生成物

Claims (8)

  1. 製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有するガス状物質を反応場へ添加することを含む、気相中の連続的な製法で、非酸化物系粒状物質の球形度と粒状物質の表面の安定性を同時に向上させた複合粒状物質であって、
    その表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を有し、粒状物質の外形が、長径/短径比が0.7以上で、粒子の表面が角ばらない高球形度の形状及び高安定性の表面を有し、平均粒子径が1〜100ミクロンであり、
    上記非酸化物系粒状物質が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄から選択される1種であり、上記ガス状物質が、炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかであることを特徴とする複合粒状物質。
  2. 上記被覆層又は結合層が、粒状、棒状、膜状、多孔状、不定形の何れかの形状からなることを特徴とする請求項1に記載の複合粒状物質。
  3. 請求項1に記載の複合粒状物質よりなることを特徴とするフィラー又は充填材。
  4. 気相中の連続的な製法で、非酸化物系粒状物質の球形度と粒状表面の安定性を同時に向上させた複合粒状物質を製造する方法であって、
    製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する、炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかのガス状物質を反応場へ添加する工程、ガス状物質中に非酸化物系粒状物質を浮遊させる工程、により非酸化物系粒状物質の表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質、又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を形成すること、及び
    上記非酸化物系粒状物質が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄から選択される1種であることを特徴とする複合粒状物質の製造方法。
  5. 気相中での生成反応が、流動層法により、大気圧下で行われることを特徴とする請求項4に記載の複合粒状物質の製造方法。
  6. 上記被覆層又は結合層が、粒状、棒状、膜状、多孔状、不定形の何れかの形状からなることを特徴とする請求項4に記載の複合粒状物質の製造方法。
  7. 非酸化物系粒状物質の表面部又は外層に、当該粒状物質を構成する物質、又はそれらの固溶体の何れかの物質で構成された被覆層又は結合層を有する複合粒状物質を気相中で連続的に製造するための装置であって、
    気相中で反応を遂行するための反応装置、非酸化物系粒状物質の窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、純鉄、窒化鉄の何れかの原料を反応装置内へ供給するための手段、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガスのアセチレン、プロパン又はアンモニアガスの何れかのガス状物質を反応装置へ供給する手段、及び反応装置及び/又はガス状物質を加熱するための加熱手段、を含むことを特徴とする複合粒状物質の製造装置。
  8. 反応装置に対して、外部加熱手段を並用又は別建てで設けたことを特徴とする請求項7に記載の複合粒状物質の製造装置。
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