JP3985039B2 - 高分散及び球形度の高い酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

高分散及び球形度の高い酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置に関するものであり、更に詳しくは、原料粉体の酸窒化反応を火炎の存在下、大気圧下の気相中で適用し、火炎の熱エネルギー及び還元力を酸窒化反応の駆動力とし、気相中で酸窒化反応が進行するようにして生成物の溶融凝固や凝集を防止して、特に、プロセスが単純でコスト的に有利な原料金属粉の直接窒化法で原料粉融着や粒成長抑制を実現し、主たる用途として、等方的結晶構造による透光性を利用した光学系材料、高耐熱衝撃性あるいは溶鋼に対する低濡れ性・低反応性を利用した耐溶融材料などにおいて、その原料として必要な粒子径と球形度を同時に達成し、特に、原料粉体の粒成長を抑制して一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性及び/又は粒子の外形が角張らないことを同時に実現した新規な酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光学系材料において、可視及び赤外線波長での透光性に優れ、同時に耐熱性・耐磨耗性も高い材料が発光管用材料、高温用窓材料、スペースシャトルなど真空雰囲気下での高強度窓材料などとして求められている。この種の材料の一つとして、透光性アルミナ焼結体は、高圧ナトリウム発光管にも広く実用化されている。しかしながら、アルミナは、異方性を持つ六方晶構造を有し、結晶粒界での複屈折による光散乱が避けられない。そこで、結晶粒子径の粗大化による散乱低減が図られているが、強度低下が不可避の問題となっている。
また、耐火物などの耐溶融材料は、溶鋼との低活性、高温安定性や耐酸化性、溶鋼流動による損耗が低いこと(即ち、高温機械的強度)が重要である。この材料として、サイアロンが良好とされているが、高温でのSiとFeの親和性から耐溶融材料に不適との見解も示されている。
【0003】
窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムの多系である酸窒化アルミニウムは、等方性の立方晶構造から成り、粒界散乱の無い優れた透光性を示すと共に、高耐熱衝撃性あるいは溶鋼に対する低濡れ性、更に、非Si系であることから、耐溶融材料としても有望視されている。多系は、これまでに、AlN、Al16314、Al1038 、Al937 、A1735 、A 6 34 、Al23275 、Al19.729.52.5 、Al22302 、Al1927N、Al2739N、Al2 O3 などが知られており(Al元素÷O元素の比が0.67〜5.3に含まれ、Al元素÷N元素の比が1〜27に含まれる)、特に、立方晶スピネル型Al(64+x)/3(8-x)/332-xx (但し、□は陽イオン空孔、0≦x≦8)が良く研究されている。
【0004】
酸窒化アルミニウムの製造方法としては、窒化アルミニウムと同様の金属Al粉の直接窒化法や、Al23 と黒鉛の還元窒化法の他、Al23 とAlNの混合物を窒素雰囲気中で高温焼成する方法、また、近年では、低圧雰囲気下アークプラズマによる気相合成法も報告されている。この内、Al23 −AlN混合物の高温焼成法は、多くの多系を持つ酸窒化アルミニウムの組成制御が比較的容易であるという利点を有し、その製造法として一般的な方法である〔例えば、1)平井伸治、村上英明、片山博、上村揚一郎、三友護“アルミナと窒化アルミニウムからの酸窒化アルミニウムスピネルの生成”、2)日本金属学会誌、Vol.58、p.648、1994〕。しかしながら、Al23 −AlN高温焼成法は、固―固反応であり、高温で長時間の熱処理が必須であり、実際の焼成温度が2000℃以上に及ぶ場合も報告されている。このような焼成条件下で生成された粉体は、粗大化し、その後の粉砕も容易ではない。従って、高強度焼結体を製造するための易焼結性原料粉体の供給ルートとして、十分に満足した特性を発揮できていないという問題点があった。更に、長時間の熱処理と粉砕は、純度の点でも問題である。
【0005】
一方、金属Alの高活性による発熱反応を利用した直接窒化法は、いわゆる燃焼合成法としては100年程前から検討されてきた。これは、プロセスが単純で、コスト的には最も有利とされるが、生成粉体の粒成長が起こり易いのが一般的である。しかも、現状の“常圧”下での直接窒化プロセスでは、窒素雰囲気中1000〜1500℃程度のAl融点以上の熱処理が必要とされる。即ち、既往の直接窒化製造方法によると、(1)激しい発熱反応、(2)Al融点以上の熱処理、により、生成粉体が固く凝集(融着)した状態となっていた。従って、この方法でも、生成物の粗大化と低純度の問題が解決されない〔例えば、1)Normand D.Corbin,Aluminum Oxynitride Spinel、2)A Review,Journal of the European Ceramic Society,Vol.5、p.143、1989、3)Jason Shin,Do−Hwan Ahn,Mee−Shik Shin and Yong−Seog Kim,Self−propagating High Temperature Synthesis of Aluminum Nitride under Lower Nitrogen Pressures,Journal of the American Ceramic Society,Vol.83、p.1021、2000〕。
【0006】
酸窒化アルミニウムは、通常、不安定であり、上記の非化学量論的な構造を持つのが一般的である。化学量論組成のスピネル酸窒化アルミニウムは、現在までのところ、アークイメージ炉による溶解法でのみ製造されている(桑野義博、平井敏雄、AlN基セラミックスとその気相合成、日本金属学会会報、Vol.30、p.913、1991)。プラズマアーク溶融法は、微細且つ高純度で、比較的球形度の高い粉体製造が可能という気相(エアロゾル)合成の利点を有し、更に、反応雰囲気調整による量論組成の微細制御の可能性を持つ点で、今後の発展が期待される(例えば、Hiroyuki Fukuyama,WataruNakao,Masahiro Susa and Kazuhiro Nagata,New Synthetic Method of FormingAluminum Oxynitride by Plasma Arc Melting,Journal of the American Ceramic Society,Vol.82、p.1381、1999;又は特開平11−268910公報)。しかしながら、既往の酸窒化アルミニウムの気相法は、減圧気相プロセスであり、減圧(真空)化設備を必須とする点で製造コストの問題がある。それに付随して、工業的プロセスとした場合(例えば、スケールアップ化)、上記の高特性を保持できるかどうかは現時点では未知であるという問題点が指摘される。更に、減圧下での気相法は、蒸発−凝縮反応を駆動原理とすることから、必然的に、ナノメーターレベル(大きくても数10ナノメーター)の粉体合成は可能であるが、それが本発明で対象とする技術分野の材料系に必ずしも好適なわけではない。一般に、上記のような“超微粒子”は、捕集や分散、成形などの粉体工学的取り扱いが難しく、易凝集性粉体で、焼結体用原料粉体としては余り用いられない。むしろ粘稠剤用フィラーとして利用されている。即ち、焼結体原料粉体供給プロセスとしては、平均粒子径がサブミクロンレベルから、ミクロンレベル程度の粉体を制御性良く合成可能なことが求められるが、ビルディングアップ法であるプラズマアーク溶融法は、そのために長時間を要したり、前駆体の高濃度化が必要となって生成物の制御性が低下する恐れがある。しかも、減圧気相プロセスであるため、前駆体・高濃度化の融通性は比較的小さい。
【0007】
難合成系で優位性を発揮し得る気相法では、その他、Alの低沸点前駆体のCVD気相合成法(例えば、B.Aspar,B.Armas,C.Combescure and D.Thenegal,Organometallic Chemical Vapour Deposition IntheAl−O−N System,Journal of the European Ceramic Society,Vol.8、p.251、1991)も検討されているが、プラズマアーク溶融法と同様の問題点を有する。
また、酸窒化アルミニウムは、1960年頃、日本で発見されたが、Al2 O3 などに比べると比較的歴史の浅い材料系で、その製造方法自体、未だ必ずしも最適化されたものとは考え難い点も指摘される。
即ち、既往の酸窒化アルミニウム粉体の主な三つの製造方法によると、(1)Al23 −AlN高温焼成法では粗大粒子径と低純度が不可である、(2)Al直接窒化法でも粗大粒子径と低純度が不可である、(3)プラズマアーク溶融法などの気相合成法は所望の粒子径範囲と減圧気相プロセスで難点がある、となり、高焼結性に必要な粒子径を満たす粉体も、それを生産性・経済性良く製造する方法・装置の何れも、現時点では得られていなかった。
【0008】
本発明者らは、このような状況を踏まえ、種々検討を重ねる中で、上記サイズの高純度粉体を、経済性良く製造し得る方法として、これまでだれも予期し得なかった現行の代表的フィラーである非晶質球状シリカ粉体に着目した。この粉体では「化学炎プロセス」が一般的であり、可燃性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎中に硅石原料やSi金属粉を投入し、原料表面の溶融や、気相中の蒸発−反応−結晶化プロセスの併用により、球形度の高いシリカ粒子を、しかも、粒子径範囲を任意に調整して製造することが行われている。この手法による球状粒子化は、気相中で化学反応が進行した場合に、立体的に周囲から作用を及ぼされることが少ないため、球状に形を構成し易いというエアロゾル合成の特長を利用している。また、この手法は、蒸発−凝縮反応のみを駆動原理としているわけではないので、超微粒子だけでなく、ミクロンレベルから10数ミクロンのフィラー粉体サイズまで適用可能である。
【0009】
この方法や製造装置を、酸窒化アルミニウム粉体に適用できれば、(1)粒子径が不適(粗大あるいは過小)、あるいは(粉砕による)形状異方性が大きいという欠点の解消、(2)シリカフィラー合成で蓄積されてきた粉体合成の知的資産やノウハウの利用により、粒子径分布など粉体特性の制御性向上や、必要な特性を得るための検討時間の短縮、(3)化学炎法の製造装置の流用による初期設備投資の優位性など、多くの利点が期待されると考えられる。
しかしながら、これまで、「酸窒化アルミニウム粉体・化学炎プロセス」はだれも予期し得ず、実現されてこなかった。その理由については、(1)「酸素」の存在する火炎中で非酸化物を合成し得るとは考えられず、内炎又は還元性燃焼火炎などの対酸素還元力を利用する発想がなかったこと、(2)「酸素」の存在する火炎中へ単純に原料を投入するだけでは、完全な酸化物ではない酸窒化アルミニウムが製造できないこと、(3)シリカと異なり高融点の耐溶融セラミックスでもある酸窒化アルミニウムでは「原料粉体表面の溶融」による球状化は期待できないこと、(4)一度の反応(1プロセス)で完全な酸窒化アルミニウム結晶構造(特に、γスピネル)を有した粉体を合成しなければならないと考え、気相合成の特徴である複数の反応を比較的容易に連続化できる点に着目しなかったこと、などによるものと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況を踏まえて新たに開発されたものであって、上記従来の酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置が持つ欠点を克服し、火炎の熱エネルギー及び還元力を酸窒化反応の駆動力とし、気相中で酸窒化反応が進行するようにして生成物の溶融凝固や凝集を防止(特に、プロセスが単純でコスト的に有利な原料金属粉の直接窒化法で原料粉融着や粒成長抑制を実現)し、主たる用途として等方的結晶構造による透光性を利用した光学系材料、又は高耐熱衝撃性あるいは溶鋼に対する低濡れ性・低反応性を利用した耐溶融セラミックスなどにおいて、その原料として必要な粒子径と球形度を同時に達成し、特に、原料粉体の粒成長を抑制して一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性及び/又は粒子の外形が角張らないことを同時に実現した新規な酸窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)原料粉体を火炎の存在下、気相中で酸窒化反応に付して作製された100%酸窒化アルミニウム組成の粉体であって、1)一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散で、粒子の外形が角張らないこと、2)Al元素÷O元素の比が、0.67〜5.3に含まれ、Al元素÷N元素の比が1〜27に含まれること、を特徴とする酸窒化アルミニウム粉体。
(2)原料粉体を、可燃性ガスの火炎、可燃性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎、可燃性ガスと酸素の割合を完全燃焼比より酸素を少なくした還元性燃焼火炎、不活性ガスのプラズマによる火炎、又は非接触状態下の物質間に発生するアーク炎から選択される火炎、の存在下、その熱エネルギーと還元力を利用して気相中で酸窒化反応に付して作製されたことを特徴とする、前記(1)に記載の酸窒化アルミニウム粉体。
(3)前記(1)又は(2)に記載の酸窒化アルミニウム粉体を製造する方法であって、Al元素から成る粉体、又はAl及びO元素から成る粉体とC元素から成る粉体の混合物で、1次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれる原料粉体を気相中で分散状態に形成する工程、スパッド型の火口を有する拡散火炎式の反応器を具備した構造を有する火炎発生装置を用いて、原料粉体を火炎の存在下、気相中で直接窒化又は還元窒化する酸窒化反応に付して原料粉末と反応ガスとの拡散混合及び炭素が残らないようにする制御を行うことにより原料粉の融着と粒成長を抑制して酸窒化物を製造する工程、又は、これらの工程及び上記酸窒化物を熱処理する工程、から成ることを特徴とする酸窒化アルミニウム粉体の製造方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の酸窒化アルミニウム粉体の製造方法に使用するための装置であって、火炎の発生装置と、原料粉体の供給装置と、反応ガスの供給装置とを構成要素として含み、火炎の発生装置が、スパッド型の火口と同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わせた二重円筒管による拡散火炎式の反応器を具備した構造を有し、いずれかの円筒管へ原料粉体を供給し、他の円筒管へ反応ガスを供給して、該円筒管の先端部付近で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、炭素が残らないように燃料と酸素量の比を制御するpre−mixing zoneを有し、原料粉体の酸窒化反応が、火炎の存在下、気相中で進行するようにしたことを特徴とする、製造装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者らは、前述のように、種々検討を重ねる中で、(1)第一に、「酸素」の存在する火炎は、むしろ還元活性の大きい反応場と考えることができること、(2)第二に、可燃性ガス過多の内炎中や、可燃性ガスと酸素割合を完全燃焼量論比より酸素を減少させた還元性燃焼火炎を利用し、そこへ反応物を“有効に”供給することで酸窒化物(又は窒化物)の反応場として見なし得ること、(3)第三に、シリカのように溶融過程を利用できなくとも、気相中で化学反応が進行した場合に、立体的に周囲から作用を及ぼされることが少ないため、球状に形を構成し易いというエアロゾル合成の特長が利用し得る上に、気相中で酸窒化反応が進行するようにすることは、球状化と同時に、生成物の溶融凝固や凝集を防止できることが見込める(特に、プロセスが単純でコスト的に有利な原料金属粉の直接窒化法で原料粉融着や粒成長抑制を実現し得る)こと、更に、気相合成の制御因子の豊富さは生成粒子特性の高制御性を意味すること、(4)第四に、化学炎法では、気相合成の特徴である複数の反応を連続化して用いることが可能(あるいは比較的容易)であること、に着目した。
【0013】
そして、上記の着想を実現すべく鋭意検討した結果、具体的には、(1)燃焼火炎あるいはプラズマ火炎中の酸素濃度を調整し、また、安定した内炎や還元性燃焼火炎を維持すること、(2)好適な粒子径の実現並びに生産性の観点から、火炎による熱エネルギーを駆動力にした直接窒化法又は還元窒化法を主反応系として適用すること、(3)流動化媒体を併用する流動層プロセスを利用するなど、粉体状の原料を凝集の少ない高分散状態で、且つ効率的に反応場へ供給すること、(4)原料と火炎の量比率の適正化により酸窒化アルミニウム結晶構造の生産性を高めること、あるいはAl元素及び/又はO元素及び/又はN元素から成る多系相を前駆体として製造し、後段に熱処理工程を連続化することで酸窒化アルミニウム結晶構造とすること、そして、以上4点の制御を同時且つ効果的に組み合わせることで、焼結体原料粉体として必要な粒子径と球形度を達成した酸窒化アルミニウム粉体を製造することを実現した。
【0014】
即ち、本発明は、(これまで想像の産物でしかなかった)焼結体原料粉体として必要な粒子径と球形度を同時に達成し、特に、原料粉体の粒成長を抑制して一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性及び/又は粒子の外形が角張らないことを同時に実現した酸窒化アルミニウム粉体、並びにそれを粉砕を行わずに直接合成する製造方法、及びその製造装置を提供するものであり、火炎の熱エネルギー及び還元力を酸窒化反応の駆動力とし、気相中で酸窒化反応が進行するようにして生成物の溶融凝固や凝集を防止したことを特徴とするものである。
【0015】
上記のように、本発明の重要な技術的要件は、次の4点にある。即ち、(1)火炎中のガス雰囲気の調整、及び内炎や還元性燃焼火炎の安定化、(2)火炎による熱エネルギーを駆動力にした直接窒化法又は還元窒化法の利用、(3)原料粉体の気相分散(エアロゾル)状態の形成、且つ効率的な反応場への供給、(4)原料及び火炎量の比率の制御、又は熱処理工程の連続化、である。
【0016】
本発明において、原料粉体の流動化又は気相分散(エアロゾル)状態の形成・利用方法としては、気流にのせて粉体を滞留化させる各種の流動層法(原料粉体より大きく流動化し易い数100μm直径の媒体メディアを同時に用いて、原料粉体の凝集を防止しながら高分散化を図る媒体流動層法、粉体層に振動を印加して微粒子のチャネリングを防止する振動流動層法などを含む)が好適に用いられるが、例えば、更に、回転円板やガスノズルを用いて粉体を気流にのせる各種噴霧法、液体媒体中に粉体を分散させ超音波噴霧器や遠心噴霧器などで液体ごと粉体を液滴化する液体噴霧法なども適宜使用可能であり、特に、制限されるものではなく、いずれの方法で調製された流動化原料粉体も使用できる。
空気、窒素、アンモニア又は不活性ガスの供給・制御装置としては、コンプレッサーなどの圧縮ガス式供給機、ガス製造設備より供給される高圧ガスボンベの内圧利用、浮き玉式流量計、マスフローコントローラーなどが例示される。
【0017】
また、気相分散状態の利用による原料粉体の反応場への供給方法としては、火炎ごと内包可能な、石英、アルミナ、コーディエライト又は耐熱鋼などの、反応管又は壁を設け、発生熱エネルギーの封止による反応効率の向上や、供給粉体の搬送精度を高める方法が好適に用いられるが、例えば、更に、(但し、反応効率に問題が無ければ)自由空間において発生させた火炎中に原料粉体を供給する手法も適宜使用可能であり、特に制限されるものではなく、いずれの方法で調製された供給方法も使用できる。
更に、火炎中への原料粉体及び窒化源(窒素、アンモニア又は不活性ガスなど)の導入経路においては、同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わせた構造を有する原料供給管を設け、火炎原料である可燃性ガス又はプラズマ発生用の不活性ガスを外側から、酸素及び原料粉体及び窒化源を内側から供給する二重円筒方式が好適に用いられるが、例えば、更に、(但し、反応系の駆動原理や、原料粉体及び窒化源の混合状態、火炎の過冷却において問題が無ければ)上記の原料供給管とは別に、火炎原料と酸素から発生させた火炎中に周囲から、原料粉体及び窒化源を供給する手法も適宜使用可能であり、特に制限されるものではなく、いずれの方法で調製された導入経路も使用できる。
【0018】
また、気相分散状態の利用による原料粉体の反応場への供給の際は、サイクロン分級による原料粉体の粒子径分布調整や粗大粒子除去を行い、反応効率や制御性向上を図ることが好適なものとして例示されるが、例えば、更に、邪魔板によるインパクター分級や、比較的長めの供給管を用いることで粗大粒子が必然的に除去されるようにすること、あるいは粒子径分布幅の狭い原料粉体の場合は特に分級操作を行わない方式も適宜使用可能であり、特に制限されるものではなく、いずれの方法で調製された供給方法も使用できる。
【0019】
本発明において、火炎の原料や発生・利用方法としては、例えば、水素、メタン、ブタン、アセチレンなどの液化石油ガス、アンモニアなど、各種の可燃性ガス、及び酸素などの支燃性ガスが好適に用いられるが、更に、アルゴンなど不活性ガスの電離によるプラズマ火炎、又は被覆棒アーク、ザブマージアーク、イナートガスアークなど高電圧を印加された非接触状態下の物質間に発生するアーク炎なども適宜使用可能であり、特に制限されるものではなく、いずれの方法で調製された火炎も使用できる。
更に、火炎の発生装置としては、液化ガスあるいは都市ガス用のガスバーナー、ガス溶接ガン、アーク溶接ガン、熱プラズマ装置などが例示されるが、好適には、例えば、同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わせた構造を有する火炎の発生装置を構成要素として含み、いずれかの円筒管へ原料粉体を供給し、他の円筒管へ反応ガスを供給して、原料粉体の該円筒管先端部付近で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、原料粉体の窒化反応が火炎の存在下、気相中で進行するようにした装置が例示される。
【0020】
また、同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わせた構造を有する原料供給管を設け、火炎原料であるC又はH元素から成る可燃性ガス又はプラズマ発生用の不活性ガスを外側から、酸素及び原料粉体及び窒化源を内側から供給する二重円筒方式において、火炎原料ガスと、原料粉体及び窒化源(及び酸素)を混合し、同時に安定した内炎(及び外炎)又は還元性燃焼火炎を発生させる火口形状については、火炎原料ガスが数本の噴射管に分けられて外周より噴出され、それより供給源に近い位置で内側から噴出された酸素などを包囲し、良好な混合状態が得られるスパッド型が好適に用いられる。しかしながら、これらは、特に制限されるものではなく、単体の火炎原料ガス供給管を用いる高圧型のガン型、輪状の火炎原料ガス供給管円周に沿って多数の噴出口が設けられたリング型、太口径ノズルが放射状に分割されて火炎原料ガスと酸素などが並列して噴出されるアニュラー型、火口端で段差を設けて渦流制御に拠り火炎の存在しないデッドスペースを減少させるウォールリセス型、ウォールリセス型に加え火炎原料ガス供給管を主管と袖火管に分割したステクタイト型、主管断面積を袖火管断面積の10倍以上にして袖火噴出速度低減を図ったフェロックス型(又はピアン型)、火炎が並列して横に並ぶライン型及びシェパード型、未燃ガス流中に邪魔板を設けて高温渦流と再循環域を作り連続着火するブラフボディ型、混合ガスを高速で赤熱した耐火物に衝突させて連続着火するラジアントカップ型、なども適宜使用可能であり、いずれの方法で調製された火炎も使用できる。
【0021】
本発明において、原料をAl元素から成る粉体とし、窒素、アンモニア又は不活性ガスの存在下で、酸窒化反応を進行させること、原料をAl及びO元素から成る粉体と、C元素から成る粉体の混合物とし、窒素、アンモニア又は不活性ガスの存在下で、酸窒化反応を進行させること、により上記Al、O及びN元素を含む粉体とすることができる。ここで、「Al元素から成る粉体」として記述した粉体状の原料の材料系については、任意の粒子径のアルミニウム金属粉体、水・ガス・遠心の各アトマイズ法で製造された球形度の高い気相合成・Al系粉体群が好適に用いられ、更に、AlCl3 などの塩化物、アルミニウムイソプロポキシド(化学式Al(iso−OC353 )などのアルコキシド原料、アルミニウムアセチルアセトナト(化学式Al(iso−C5723 )などのβジケトン錯体、トリメチルアルミニウム(化学式Al(CH33 )などのアルキルメタルなどの低沸点の気相合成原料群、などが例示されるが、特に制限はない。
【0022】
また、「Al及びO元素から成る粉体と、C元素から成る粉体の混合物」として記述した粉体状の原料の材料系について、まず「Al及びO元素から成る粉体」としては、市販のバイヤー法・改良バイヤー法・アルコキシド法・アンモニウムドーソナイト法・気相法などで製造されたアルミナ粉体群を好適とするが、更に、α・γ・θ・κの各Al23 多系(中間アルミナ)、AlOOHやAl(OH)3 の化学式で表現される水酸化物前駆体、アセチルアセトナト(化学式Al(C5723 )や、アンモニウムドーソナイト(化学式NH4 AlCO3 (OH)2 )などの炭酸塩前駆体、アルミニウムイソプロポキシド(化学式Al(iso−OC353 )などのアルコキシド原料、アルミニウムアセチルアセトナト(化学式Al(iso−C5723 )などのβジケトン錯体、トリメチルアルミニウム(化学式Al(CH33 )などのアルキルメタルなどの低沸点の気相合成原料群、などが例示されるが、特に制限はない。
また、「C元素から成る粉体」としては、任意の粒子径の炭素粉体、カーボンブラックやアセチレンブラックなど純度の高い気相合成・炭素粉体、などが例示されるが、特に制限されるものではない。
なお、上記の原料粉体は、一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれること求められる。この理由は、原料粉体の特性(主に、粒子径と形状)が、合成される酸窒化アルミニウム粉体特性に反映されるためである。
【0023】
また、原料粉体の供給装置としては、ニーダーなどのスクリュー式、二軸ミルなどのローター式供給装置、粉体搬送用の気流供給などが例示される。
本発明においては、炭素が残らないように燃料と酸素量の比を制御する。火炎中で合成された粉体に連続的又は断続的に高温を付与する方法・装置としては、熱CVD法などで採用される通常の電気炉加熱が好適に用いられるが、熱処理用の燃焼火炎を複数設けることによる火炎再加熱、プラズマ炎やアーク炎の利用、イメージ炉式加熱なども適宜使用可能であり、特に制限されるものではない。
更に、熱処理の条件は、火炎中で合成された直後の状態の粉体の形態や結晶相により決定され、合成直後の粉体の特性で満足される場合、熱処理は必ずしも必要ない。一般的な条件として、窒素、アンモニア又は不活性ガス雰囲気が例示される。熱処理により、酸窒化アルミニウム多系の相の割合、その高制御化の格段の効果が得られる。
【0024】
本発明による、光学系材料及びその原料粉体は、可視及び赤外線波長での透光性に優れ、同時に耐熱性・耐磨耗性も高い材料が必要な高圧ナトリウム発光管などの発光管用材料、高温用窓材料、スペースシャトルなど真空雰囲気下での高強度窓材料の製造用原料粉体として好適に用いられるが、特に制限はない。
本発明による、耐溶融材料及びその原料粉体は、サイアロンなどが用いられる溶鋼との低活性、高温安定性や耐酸化性、溶鋼流動による損耗が低いこと(即ち、高温機械的強度が高いこと)が求められる坩堝などの耐火物の製造用原料として好適に用いられるが、特に制限されるものではない。
【0025】
本発明において、組成が無機材料から成る粉体を、組成が有機材料から成る樹脂系原料に充填して作製する複合材料系としては、半導体素子の保護・絶縁などを目的としたパッケージング材料が好適に例示されるが、更に、絶縁材料や電極・導電材料、電気粘性流体、化学機械研磨用スラリー、射出成形や鋳込み成形などのセラミック成形プロセス原料などの材料系も例示される。充填するフィラーである無機材料から成る粒子状材料としては、半導体パッケージング材料で多用されるシリカ又は窒化アルミニウムが好適に例示されるが、例えば、Al23、SiC、Si34 などの他の酸化物系、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Al、Au−Pdなど金属系も当然適用可能であり、特に制限はない。また、結晶性についても制限は無く、結晶性又は非晶質のいずれでも構わない。媒体である液状材料については、イオン交換水や蒸留水などの水系、エタノールなどの有機非水系のほか、レゾール型やノボラック型のフェノール樹脂、ビスフェノール型クレゾールノボラック多官能型のエポキシ樹脂、ハロゲン化樹脂など、常温で固形タイプの樹脂材料や、常温で液状タイプの次世代半導体素子用のパッケージング材料で多用される樹脂材料が好適に例示されるが、特に制限はない。
【0026】
本発明において、基板材料及びその原料粉体としては、LSIやICが単体では無く、複数素子が多層化・高集積化され、単体のシリコンチップ中に全システムを内包するシステムLSI、マルチチップモジュール、又は三次元実装などシステムレベルの多機能高密度化を志向するシステムインパッケージ用の基板材料、又は電力変換用パワーデバイス(例えば、スイッチング電源の一次整流用ブリッジダイオード、プリンターやFAXなどのモータドライバー用IC、通信機器又はデジタル家電向けDC/DCコンバータIC、インバータ照明向け高耐圧IC、TV・VTRなどのハイブリッドICなど)が例示されるが、特に制限はない。
【0027】
本発明は、平均粒子径がサブミクロン〜数ミクロンオーダーの粒子径と、高い球形度とを同時に達成した酸窒化アルミニウム粉体、及びそれを粉砕を行わずに直接合成可能な製造技術、その用途、及び製造装置を提供することを可能とし、本発明の粉体は、特に、光学系材料あるいは耐溶融材料などの無機系材料において、その原料粉体として最適である。
本発明の方法により製造した酸窒化アルミニウム粉体の特性とその製造方法の利点を以下に示す。
即ち、上記粉体は、特に、原料粉体の粒成長を抑制して一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性及び/又は粒子の外形が角張らないことを同時に実現した。また、結晶相は、酸窒化アルミニウムの各多系相から、AlN相、Al23 相まで任意に制御して製造することが可能である。
【0028】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)方法
図1に、本発明に基づく製造装置構成の一例を模式的に示す。液化石油ガスと酸素系の化学炎と、窒素又はアンモニアの窒化源、そして粒子状の原料粉体とから成る、気相(エアロゾル)製造プロセスを構築した。反応器(Diffusion Burner Flame Reactor)は、透明石英管(Quartz Tube)とステンレス製二重円筒管による拡散火炎式とし、火口はスパッド型(Spud−type)を用いた。外管へ火炎原料ガス(Hydrocarbon Gases)を供給し、内管へ原料粉体(Raw Precursor Powder)、及び反応ガス系、ここでは、NH3 の窒化ガス(Nitriding Gas)と、O2 とを搬送した。図1では、先ずAl原料粉体を流動層エアロゾル発生装置(Fluidized Bed Aerosol Generator)に搬送し、原料粉体の粒子サイズを選別(Clasification)し、火炎原料ガスと酸素比率や窒化ガスの納入経路(Controlof Nitriding Gas Inlet Position)などを調整して、内炎(Inner Luminous Flame)で気相合成、生成物(Resultant Products in Gas Phase“Aerosol”)をフィルター(Filter)を通してポンプ(Pump)引きし、有害ガスなどをトラップ(Trap)除去する構成を採用した。化学炎法へ適用する基礎反応系の一例として、ここでは、Al粉体の直接窒化法を用いたが、勿論、還元窒化法でも問題はない。
【0029】
Al原料粉体は、平均粒子径約3ミクロンのガスアトマイズ法による球状粉体を用いた。その流動化は、媒体流動層法とし、直径150ミクロンのガラスビーズを媒体として使用した。
原料粉体は、窒素ガスにより1分当たり3リッターで、液化石油ガスは1分当たり4リッターで供給し、制御因子である酸素ガスは、液化石油ガスとの化学量論比から若干還元性火炎側へ調節し、1分当たり4リッターとした。但し、不完全燃焼による炭素が過剰に発生するほどではない。更に、酸窒化反応用のアンモニアガスを、1分当たり0リッターから3リッターまで調整して供給した。
(2)結果
上記したように、気相合成法は、制御因子が豊富であり、生成粒子の制御性が高い特長を有する。ここでは、その一例として、反応系へ供給する窒化源量によって反応効率を制御し、生成粒子の平均粒子径を調整した結果を示した。
図2及び図3に、本発明の方法による、酸窒化アルミニウム粉体の一例のSEMを示す。図2はアンモニアガス1分当たり3リッター、図3は1分当たり0リッターで製造した結果である。その結果、3ミクロンの出発粒子径から、微細化は約0.1ミクロン、粗大粒子径化は約10ミクロンまで、制御可能であった。即ち、原料粉体の1/30程度から、3倍程度まで変化させることができた。
生成粒子径は、上記の合成条件の他、原料粒子径を変えることで任意に制御可能であり、現在、市販品で容易にサブミクロンから数10ミクロン程度のAl粉体を入手可能なことから、合成し得る一次粒子径の妥当な範囲として0.05〜100ミクロンが保証される。
【0030】
従って、まず、第一に、本発明が対象とする技術分野の原料粉体として主に必要な、(1)火炎のみで直接合成された段階で(熱処理などを施さずに)、100%酸窒化アルミニウム組成の粉体が製造可能である(即ち、1650℃以上の高価な熱処理設備や、余計な後段の熱処理が不要である)、(2)前駆体原料粉体の大きさを保持した、平均粒子径がミクロンオーダー程度の生成粒子・粒子径を達成できる、(3)合成された段階で粉体の粗大化が起こらず高分散状態が実現できる(即ち、粉砕工程が不要である)、(4)高い球形度を達成できる、(5)特に、金属Al粉の直接窒化を用いているにも関わらず生成粉体が固く融着又は凝集した状態が発生し難い、という格別の効果が達成された。
また、第二に、窒化源の供給量という容易に調整可能な条件で、任意に生成粒子径を制御することができた。
この他、窒化ガスの供給方法を原料粉体及び酸素ガスと予め混合、又は内炎が燃焼している中央へ後から供給、と導入経路を変えて供給することで、反応原理を変えて粒子径や生成相を制御することが可能となった。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、(1)高価な熱処理設備や粉砕工程を用いず、フィラー粉体分野で構築された既往の製造設備で直接合成が可能である、(2)前駆体原料粉体の粒成長を抑制し、粉体の粗大化・凝集(融着)フリーの粉体を製造できる(即ち、前駆体原料粉体径という容易に調整可能な条件で任意に生成粒子径を制御し得る)、(3)前記の粉体特性を満たし、同時に従来製品に期待できない高い球形度が実現される(従来、酸窒化アルミニウム粉体では、粉砕工程が必須で、角張った形状異方性の高い粉体しか存在しなかった)、(4)特に、等方的結晶構造による透光性を利用した光学系材料、又は高耐熱衝撃性あるいは溶鋼に対する低濡れ性・低反応性を利用した耐溶融材料などにおいて、その原料として必要な粒子径と球形度を同時に達成し、特に、原料粉体の粒成長を抑制して一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性及び/又は粒子の外形が角張らないことを同時に実現した新規な原料粉体を提供することができる、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく製造装置の構成の一例の模式図を示す。
【図2】実施例で製造した、酸窒化アルミニウム粉体の一例のSEM(窒化用アンモニアガス1分当たり3リッターの場合)を示す。
【図3】実施例で製造した、酸窒化アルミニウム粉体の一例のSEM(窒化用アンモニアガス1分当たり0リッターの場合)を示す。

Claims (4)

  1. 原料粉体を火炎の存在下、気相中で酸窒化反応に付して作製された100%酸窒化アルミニウム組成の粉体であって、1)一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散で、粒子の外形が角張らないこと、2)Al元素÷O元素の比が、0.67〜5.3に含まれ、Al元素÷N元素の比が1〜27に含まれること、を特徴とする酸窒化アルミニウム粉体。
  2. 原料粉体を、可燃性ガスの火炎、可燃性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎、可燃性ガスと酸素の割合を完全燃焼比より酸素を少なくした還元性燃焼火炎、不活性ガスのプラズマによる火炎、又は非接触状態下の物質間に発生するアーク炎から選択される火炎、の存在下、その熱エネルギーと還元力を利用して気相中で酸窒化反応に付して作製されたことを特徴とする、請求項1に記載の酸窒化アルミニウム粉体。
  3. 請求項1又は2に記載の酸窒化アルミニウム粉体を製造する方法であって、Al元素から成る粉体、又はAl及びO元素から成る粉体とC元素から成る粉体の混合物で、1次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれる原料粉体を気相中で分散状態に形成する工程、スパッド型の火口を有する拡散火炎式の反応器を具備した構造を有する火炎発生装置を用いて、原料粉体を火炎の存在下、気相中で直接窒化又は還元窒化する酸窒化反応に付して原料粉末と反応ガスとの拡散混合及び炭素が残らないようにする制御を行うことにより原料粉の融着と粒成長を抑制して酸窒化物を製造する工程、又は、これらの工程及び上記酸窒化物を熱処理する工程、から成ることを特徴とする酸窒化アルミニウム粉体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸窒化アルミニウム粉体の製造方法に使用するための装置であって、火炎の発生装置と、原料粉体の供給装置と、反応ガスの供給装置とを構成要素として含み、火炎の発生装置が、スパッド型の火口と同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わせた二重円筒管による拡散火炎式の反応器を具備した構造を有し、いずれかの円筒管へ原料粉体を供給し、他の円筒管へ反応ガスを供給して、該円筒管の先端部付近で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、炭素が残らないように燃料と酸素量の比を制御するpre−mixing zoneを有し、原料粉体の酸窒化反応が、火炎の存在下、気相中で進行するようにしたことを特徴とする、製造装置。
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