しかしながら、特許文献1に記載のエアバッグ装置では、体格検出手段及び排気量制御手段に電気的な構成が用いられている。このため、装置の構成が複雑でコストが増加するという問題がある。
また、歩行者に対しては体格検出手段を使用できないので、この特許文献1に記載のエアバッグ装置を歩行者保護用のエアバッグ装置に適用することは不可能である。
また、特許文献2に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突した乗員が体格の小さい例えば子供である場合であって、バッグケース内の圧力が所定値以上に達しなかった場合には、圧力開放弁が開かず、エアバッグの内部空気の排出が遅れて乗員の衝突エネルギを吸収できない虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことのできるエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができるエアバッグ装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のエアバッグ装置は、ガスの供給を受けて膨張展開されるエアバッグと、前記エアバッグに前記ガスを供給するガス発生器と、前記エアバッグの内部ガスを外部に排出させるためのガス排出通路を有するガス排出部と、前記エアバッグが膨張展開された状態にあるときに前記エアバッグに衝突体が衝突した場合には、前記エアバッグに作用する前記衝突体からの衝突荷重が大きいほど前記ガス排出通路からのガス排出量が少なくなるように、前記衝突荷重に応じて前記ガス排出通路の開度を調整するガス排出量調整部と、を備えている。
請求項1に記載のエアバッグ装置では、例えば車両の衝突の検知時にガス発生器からエアバッグにガスが供給されると、エアバッグが膨張展開される。そして、エアバッグが膨張展開された状態にあるときにエアバッグに衝突体が衝突した場合には、エアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されることで、衝突体の衝突エネルギが吸収される。
ここで、請求項1に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突体が衝突してエアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されるときには、ガス排出通路の開度がガス排出量調整部によって調整される。
すなわち、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合、すなわち、エアバッグに作用した衝突体からの衝突荷重が大きい場合には、ガス排出量調整部によって、エアバッグの内部ガスの排出量が少なくなるようにガス排出通路の開度が調整される。一方、エアバッグに衝突した衝突体の重量が小さい場合、すなわち、エアバッグに作用した衝突体からの衝突荷重が小さい場合には、ガス排出量調整部によって、エアバッグの内部ガスの排出量が多くなるようにガス排出通路の開度が調整される。これにより、衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができる。
しかも、請求項1に記載のエアバッグ装置では、上述のガス排出量調整部が衝突荷重に応じてガス排出通路の開度を調整する構成とされているので、体格検出手段が不要である。
このように、請求項1に記載のエアバッグ装置によれば、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、エアバッグに衝突した衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。
請求項2に記載のエアバッグ装置は、請求項1に記載のエアバッグ装置において、前記ガス排出量調整部が前記エアバッグに前記衝突体が衝突したことに伴う前記エアバッグの内部圧力の上昇が大きいほど前記ガス排出通路の開度を減少させる構成とされている。
請求項2に記載のエアバッグ装置によれば、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路の開度を減少させるという構成を用いることで、エアバッグに作用する衝突体からの衝突荷重が大きいほどガス排出通路からのガス排出量が少なくなるように、衝突荷重に応じてガス排出通路の開度を調整するという構成を実現することができる。
請求項3に記載のエアバッグ装置は、請求項2に記載のエアバッグ装置において、前記ガス排出量調整部が、前記ガス排出通路と連通するバルブ開口を構成するバルブ部及びバルブシート部と、前記バルブ部が一体に形成されると共に、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接離方向に変位可能とされ、且つ、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接近方向に前記エアバッグの内部圧力を受けるバルブ部材と、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する離間方向に前記バルブ部材を付勢する付勢部材と、を有する構成とされている。
請求項3に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突体が衝突してエアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されるときには、ガス排出通路の開度がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材を有して構成されたガス排出量調整部によって調整される。
すなわち、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合には、バルブ部材に作用する圧力が高いので、付勢部材の付勢力に抗したバルブ部材の変位量が大きい。従って、バルブ部及びバルブシート部で構成されるバルブ開口が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグの内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が小さい場合には、バルブ部材に作用する圧力が低いので、付勢部材の付勢力に抗したバルブ部材の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口が大きく確保され、ガス排出通路の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグの内部ガスの排出量が多くなる。
このように、請求項3に記載のエアバッグ装置によれば、バルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材を用いることで、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路の開度を減少させるという構成を実現することができる。
しかも、請求項3に記載のエアバッグ装置によれば、ガス排出量調整部がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
請求項4に記載のエアバッグ装置は、請求項1に記載のエアバッグ装置において、前記ガス排出量調整部が前記エアバッグに前記衝突体が衝突したことに伴う前記エアバッグの変形が大きいほど前記ガス排出通路の開度を減少させる構成とされている。
請求項4に記載のエアバッグ装置によれば、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が大きいほどガス排出通路の開度を減少させるという構成を用いることで、エアバッグに作用する衝突体からの衝突荷重が大きいほどガス排出通路からのガス排出量が少なくなるように、衝突荷重に応じてガス排出通路の開度を調整するという構成を実現することができる。
請求項5に記載のエアバッグ装置は、請求項4に記載のエアバッグ装置において、前記ガス排出量調整部が、前記ガス排出通路と連通するバルブ開口を構成するバルブ部及びバルブシート部と、前記バルブ部が一体に形成されると共に、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接離方向に変位可能とされたバルブ部材と、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接近方向に前記バルブ部材を付勢する付勢部材と、前記バルブ部材と前記エアバッグとを連結し、前記エアバッグが膨張展開されることに伴って前記バルブ部の前記バルブシート部に対する離間方向に前記バルブ部材を引っ張る紐材と、を有する構成とされている。
請求項5に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突体が衝突してエアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されるときには、ガス排出通路の開度がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、紐材、付勢部材を有して構成されたガス排出量調整部によって調整される。
すなわち、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が大きい場合には、紐材を介してバルブ部材に作用するエアバッグからの引張力が小さいので、付勢部材によって付勢されることによるバルブ部材の変位量が大きい。従って、バルブ部及びバルブシート部で構成されるバルブ開口が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグの内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が小さい場合には、紐材を介してバルブ部材に作用するエアバッグからの引張力が大きいので、付勢部材によって付勢されることによるバルブ部材の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口が大きく確保され、ガス排出通路の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグの内部ガスの排出量が多くなる。
このように、請求項5に記載のエアバッグ装置によれば、バルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、紐材、付勢部材を用いることで、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が大きいほどガス排出通路の開度を減少させるという構成を実現することができる。
しかも、請求項5に記載のエアバッグ装置によれば、ガス排出量調整部がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、紐材、付勢部材を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
また、前記課題を解決するために、請求項6に記載のエアバッグ装置は、ガスの供給を受けて膨張展開されるエアバッグと、前記エアバッグに前記ガスを供給するガス発生器と、前記エアバッグの内部ガスを外部に排出させるためのガス排出通路を有するガス排出部と、前記ガス排出通路と連通するバルブ開口を構成するバルブ部及びバルブシート部と、前記バルブ部が一体に形成されると共に、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接離方向に変位可能とされ、且つ、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接近方向に前記エアバッグの内部圧力を受けるバルブ部材と、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する離間方向に前記バルブ部材を付勢する付勢部材と、を備えている。
請求項6に記載のエアバッグ装置では、例えば車両の衝突の検知時にガス発生器からエアバッグにガスが供給されると、エアバッグが膨張展開される。そして、エアバッグが膨張展開された状態にあるときにエアバッグに衝突体が衝突した場合には、エアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されることで、衝突体の衝突エネルギが吸収される。
ここで、請求項6に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突体が衝突してエアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されるときには、ガス排出通路の開度がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材によって調整される。
すなわち、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合には、バルブ部材に作用する圧力が高いので、付勢部材の付勢力に抗したバルブ部材の変位量が大きい。従って、バルブ部及びバルブシート部で構成されるバルブ開口が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグの内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が小さい場合には、バルブ部材に作用する圧力が低いので、付勢部材の付勢力に抗したバルブ部材の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口が大きく確保され、ガス排出通路の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグの内部ガスの排出量が多くなる。これにより、衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができる。
しかも、請求項6に記載のエアバッグ装置では、バルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材が、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路の開度を減少させる構成とされているので、体格検出手段が不要である。
このように、請求項6に記載のエアバッグ装置によれば、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、エアバッグに衝突した衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。
また、請求項6に記載のエアバッグ装置によれば、ガス排出量を調整するための機構がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
また、前記課題を解決するために、請求項7に記載のエアバッグ装置は、ガスの供給を受けて膨張展開されるエアバッグと、前記エアバッグに前記ガスを供給するガス発生器と、前記エアバッグの内部ガスを外部に排出させるためのガス排出通路を有するガス排出部と、前記ガス排出通路と連通するバルブ開口を構成するバルブ部及びバルブシート部と、前記バルブ部が一体に形成されると共に、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接離方向に変位可能とされたバルブ部材と、前記バルブ部の前記バルブシート部に対する接近方向に前記バルブ部材を付勢する付勢部材と、前記バルブ部材と前記エアバッグとを連結し、前記エアバッグが膨張展開されることに伴って前記バルブ部の前記バルブシート部に対する離間方向に前記バルブ部材を引っ張る紐材と、を備えている。
請求項7に記載のエアバッグ装置では、例えば車両の衝突の検知時にガス発生器からエアバッグにガスが供給されると、エアバッグが膨張展開される。そして、エアバッグが膨張展開された状態にあるときにエアバッグに衝突体が衝突した場合には、エアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されることで、衝突体の衝突エネルギが吸収される。
ここで、請求項7に記載のエアバッグ装置では、エアバッグに衝突体が衝突してエアバッグの内部ガスがガス排出通路から外部に排出されるときには、ガス排出通路の開度がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、紐材、付勢部材によって調整される。
すなわち、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が大きい場合には、紐材を介してバルブ部材に作用するエアバッグからの引張力が小さいので、付勢部材によって付勢されることによるバルブ部材の変位量が大きい。従って、バルブ部及びバルブシート部で構成されるバルブ開口が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグの内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が小さい場合には、紐材を介してバルブ部材に作用するエアバッグからの引張力が大きいので、付勢部材によって付勢されることによるバルブ部材の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグの内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口が大きく確保され、ガス排出通路の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグの内部ガスの排出量が多くなる。これにより、衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができる。
しかも、請求項7に記載のエアバッグ装置では、バルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、紐材、付勢部材が、エアバッグに衝突体が衝突したことに伴うエアバッグの変形が大きいほどガス排出通路の開度を減少させる構成とされているので、体格検出手段が不要である。
このように、請求項7に記載のエアバッグ装置によれば、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、エアバッグに衝突した衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。
また、請求項7に記載のエアバッグ装置によれば、ガス排出量を調整するための機構がバルブ部及びバルブシート部、バルブ部材、付勢部材を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
以上詳述したように、本発明によれば、エアバッグに衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。また、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10について説明する。
図1には、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10の全体構成が示されている。この図に示されるエアバッグ装置10は、例えば、乗員保護用として自動車の車内に取り付けられるか、又は、歩行者保護用として自動車の車外に取り付けられるものであり、エアバッグ12と、ガス発生器14と、ガス排出部としてのガス排出管16と、ガス排出量調整部としてのガス排出量調整機構18とを主要な構成として備えている。
エアバッグ12は、車体に固定された収納ケース20に金属製のベースプレート22を介して取り付けられており、ガスの供給を受けて膨張展開される構成とされている。なお、図1では、エアバッグ12が膨張展開された状態で示されている。
ところで、一般的に、エアバッグは、ベントホールを有して構成されており、このベントホールから内部ガスを排出させることで衝突エネルギを吸収するようになっている。ところが、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10では、後述するように、ガス排出管16及びガス排出量調整機構18が備えられており、これらからエアバッグ12の内部ガスを排出させる構成とされているので、エアバッグ12はベントホールを有しない構成とされている。
ガス発生器14は、エアバッグ12の内部に配置されると共に、ベースプレート22を介して収納ケース20に取り付けられている。このガス発生器14は、複数のガス噴射口24を有して構成されており、自車両と相手車両又は自車両と歩行者の衝突が検知された時に図示しない制御ユニットから出力された制御信号が入力されると、ガス噴射口24から高圧のガスを噴射して、このガスをエアバッグ12に供給する構成とされている。
図2には、図1に示されるガス排出管16及びガス排出量調整機構18が詳細に示されている。この図に示されるように、ガス排出管16は、フランジ部28、筒状部30、底部32を有する有底筒状に形成されており、収納ケース20に形成された孔部26に筒状部30が挿入された状態でフランジ部28によって収納ケース20に固定されている。
そして、このガス排出管16の内部空間は、エアバッグ12の内部ガスを外部に排出させるためのガス排出通路34とされている。つまり、このガス排出通路34の入口は、エアバッグ12の内部と連通された連通口35とされており、ガス排出通路34の出口は、筒状部30に概略円形状に形成されて外部に開放された複数のガス排出口36とされている。
ガス排出量調整機構18は、上述のガス排出通路34の開度を調整するためのものであり、バルブ部38及びバルブシート部40と、バルブ部材42と、付勢部材としてのコイルスプリング44と、ボルト46とを有して構成されている。
バルブ部38は、バルブ部材42に一体に形成されており、バルブシート部40は、上述のガス排出管16のフランジ部28に一体に形成されている。このバルブ部38及びバルブシート部40は、ガス排出通路34の開度を調整するためのものであり、ガス排出通路34に対する上流側(エアバッグ12の内部側)に配置され、且つ、ガス排出通路34と連通するバルブ開口48を構成している。
バルブ部材42は、中央部に孔部50を有し、この孔部50にボルト46が挿入されることでボルト46に軸方向に移動可能に支持されている。また、このバルブ部材42には、バルブ部38に対するバルブシート部40と反対側に圧力受け部52が形成されており、この圧力受け部52は、上述のエアバッグ12の内部に向けられると共に平面状に形成されている。つまり、この圧力受け部52は、バルブ部38のバルブシート部40に対する接近方向にエアバッグ12の内部圧力を受ける構成とされている。
なお、バルブ部材42の孔部50は、ボルト46に形成された頭部54よりも小径に形成されており、これにより、バルブ部材42のボルト46からの抜けが防止されている。また、ボルト46は、バルブ部38のバルブシート部40に対する接離方向(Z1方向,Z2方向)に沿って延在されており、ガス排出管16に形成されたネジ孔56にネジ部58が螺入されることでガス排出管16に固定されている。
コイルスプリング44は、ガス排出管16に収容されると共に内側にボルト46が挿入されており、その両端は、バルブ部材42に形成された座部60とガス排出管16の底部32に形成された座部62とに支持されている。このコイルスプリング44は、図2に示されるように、バルブ部38がバルブシート部40から最も離間された状態にあるときの座部60,62間の長さAよりも自由長が長くなるように形成されている。
つまり、コイルスプリング44は、バルブ部材42及びガス排出管16の間に圧縮状態で介在されており、バルブ部38のバルブシート部40に対する離間方向(Z2方向)にバルブ部材42をガス排出管16に対して付勢している。なお、エアバッグ12が膨張展開されておらず圧力受け部52に圧力が作用していないときのバルブ部38及びバルブシート部40間のギャップはL0である。
また、このコイルスプリング44は、エアバッグ12の内部圧力に応じてバルブ部38及びバルブシート部40が次の如く動作されるように、そのバネ定数が予め設定されている。
ここで、図3には、エアバッグ12が膨張展開されたがエアバッグ12に衝突体が衝突していないときのガス排出量調整機構18が示されている。また、図4Aには、エアバッグ12に重量の大きい衝突体120が衝突したときのエアバッグ装置10が示されており、図4Bには、エアバッグ12に重量の小さい衝突体122が衝突したときのエアバッグ装置10が示されている。さらに、図5A,図5Bには、図4A,図4Bのガス排出量調整機構18がそれぞれ詳細に示されている。
すなわち、コイルスプリング44は、図3に示される如く、エアバッグ12が膨張展開されたがエアバッグ12に衝突体が衝突していないときには、バルブ部38及びバルブシート部40間のギャップがL1となり、図5Aに示される如く、エアバッグ12に重量の大きい衝突体120が衝突したときには、バルブ部38がバルブシート部40に当接するか又は近接し、図5Bに示される如く、エアバッグ12に重量の小さい衝突体122が衝突したときには、バルブ部38及びバルブシート部40間のギャップがL2となるように、そのバネ定数が予め設定されている。
また、上述の圧力受け部52は、エアバッグ12の内部圧力に応じてコイルスプリング44を上述の如く伸縮させることができるようにその表面積が予め設定されている。
なお、本発明の第一実施形態では、バルブ部38及びバルブシート部40、バルブ部材42、ボルト46、コイルスプリング44を用いることで、エアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路34の開度を減少させるという構成が実現されている。
さらに、このエアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路34の開度を減少させるという構成を用いることで、エアバッグ12に作用する衝突体からの衝突荷重が大きいほどガス排出通路34からのガス排出量が少なくなるように、衝突荷重に応じてガス排出通路34の開度を調整するという構成が実現されている。
また、本発明の第一実施形態において、衝突体とは、例えば、エアバッグ装置10が乗員保護用として自動車の車内に取り付けられた場合には、乗員に相当し、エアバッグ装置10が歩行者保護用として自動車の車外に取り付けられた場合には、歩行者に相当する。また、衝突体が乗員又は歩行者である場合に、衝突体の重量が大きい場合とは、例えば、乗員又は歩行者の体格が大人のように大きい場合であり、衝突体の重量が小さい場合とは、例えば、乗員又は歩行者の体格が子供のように小さい場合である。
次に、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10の作用及び効果について説明する。
本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10では、自車両と相手車両又は自車両と歩行者の衝突が検知された時に図示しない制御ユニットから出力された制御信号がガス発生器14に入力されると、ガス発生器14がガス噴射口24から高圧のガスを噴射する。また、ガス発生器14からエアバッグ12にガスが供給されると、図1に示されるように、エアバッグ12が膨張展開される。そして、エアバッグ12が膨張展開された状態にあるときにエアバッグ12に衝突体が衝突した場合には、エアバッグ12の内部ガスがガス排出通路34から外部に排出されることで、衝突体の衝突エネルギが吸収される。
ここで、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10では、エアバッグ12に衝突体が衝突してエアバッグ12の内部ガスがガス排出通路34から外部に排出されるときには、ガス排出通路34の開度がバルブ部38及びバルブシート部40、バルブ部材42、コイルスプリング44を有して構成されたガス排出量調整機構18によって調整される。
すなわち、図4Aに示されるように、エアバッグ12に衝突体120が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きい場合には、図5Aに示されるように、圧力受け部52に作用する圧力Pが高いので、コイルスプリング44の付勢力に抗したバルブ部材42の変位量が大きい。従って、バルブ部38及びバルブシート部40で構成されるバルブ開口48が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路34の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグ12の内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、図4Bに示されるように、エアバッグ12に衝突体122が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が小さい場合には、図5Bに示されるように、圧力受け部52に作用する圧力Pが低いので、コイルスプリング44の付勢力に抗したバルブ部材42の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口48が大きく確保され、ガス排出通路34の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグ12の内部ガスの排出量が多くなる。
つまり、エアバッグ12の内部圧力は次のように調整される。図6には、エアバッグ12が膨張展開されてから衝突体の衝突エネルギが吸収されるまでのエアバッグ12の内部圧力と時間との関係が示されている。
すなわち、衝突検知後時間T1でガス発生器14から高圧なガスが折り畳まれたエアバッグ12に供給されると、エアバッグ12が時間T2で図示しない樹脂製のモジュールカバーを破壊して、時間T3で完全に膨張展開する。その後、時間T4において、エアバッグ12に衝突体が衝突するとエアバッグ12の内部圧力が一旦上昇する。このとき、衝突体の重量が大きい場合には、実線のグラフG1で示されるように、エアバッグ12の内部圧力の上昇が大きく、逆に、衝突体の重量が小さい場合には、破線のグラフG2で示されるように、エアバッグ12の内部圧力の上昇が小さい。
そして、実線のグラフG1で示されるように、エアバッグ12の内部圧力の上昇が大きい場合には、エアバッグ12の内部ガスがエアバッグ12の繊維の隙間から排出されるか又は小さく狭められたバルブ開口48を介してガス排出通路34から排出され、エアバッグ12の内部ガスの排出量が少なくなるので、エアバッグ12の内部圧力はゆっくりと低下する。
逆に、破線のグラフG2で示されるように、エアバッグ12の内部圧力の上昇が小さい場合には、エアバッグ12の内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口48が大きく確保されてエアバッグ12の内部ガスの排出量が多くなるので、ガス排出通路34からのガス排出量が増加し、実線のグラフG1で示される衝突体の重量が大きい場合に比して、エアバッグ12の内部圧力は速やかに低下する。
従って、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10によれば、衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができる。
しかも、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10では、ガス排出量調整機構18がエアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路34の開度を減少させる構成とされているので、体格検出手段が不要である。
このように、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10によれば、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。
また、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10によれば、ガス排出量調整機構18がバルブ部38及びバルブシート部40、バルブ部材42、コイルスプリング44、ボルト46を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
また、本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10によれば、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合には、バルブ開口48が閉止されるか又は小さく狭められるので、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合にバルブ開口48が大きく開放される構成に比して、エアバッグ12を膨張展開させるためのガスの圧力を低くすることができる。これにより、ガス発生器14に容量の小さいものや安価なもの(例えば、圧縮空気を噴出する簡易なものなど)を使用できるので、エアバッグ装置10を小型化及び低コスト化することができる。
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態において、ガス排出量調整機構18は、バルブ部38及びバルブシート部40、バルブ部材42、コイルスプリング44を有して構成されていたが、エアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きいほどガス排出通路34の開度を減少させる構成であれば、その他の構成とされていても良い。
また、上記実施形態において、バルブ部38及びバルブシート部40は、図7に示されるように、ガス排出通路34側(下流側)に向かうに従って縮径するテーパ状に形成されていても良い。このように構成されていると、エアバッグ12の内部からガス排出通路34までのガスの流れを円滑にすることができる。
また、上記実施形態において、エアバッグ12は、ベントホールを有しない構成とされていたが、ベントホールを有する構成とされていても良い。
また、上記実施形態において、バルブ部38及びバルブシート部40は、ガス排出通路34に対する上流側(エアバッグ12の内部側)に配置されていたが、ガス排出通路34に対する下流側(外部側)に配置されていても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70について説明する。
図8には、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70の全体構成が示されている。本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70は、上述の本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10に対して、ガス排出管16及びガス排出量調整機構18の代わりに、ガス排出管76及びガス排出量調整機構78を有して構成されたものである。
なお、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70において、ガス排出管76及びガス排出量調整機構78以外の構成については、上述の本発明の第一実施形態に係るエアバッグ装置10と同一であるので、この同一の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一の符号を用いることとしてその説明を省略する。
図9には、図8に示されるガス排出管76及びガス排出量調整機構78が詳細に示されている。この図に示されるように、ガス排出部としてのガス排出管76は、フランジ部88、筒状部90、底部92を有する有底筒状に形成されており、収納ケース20に形成された孔部26に筒状部90が挿入された状態でフランジ部88によって収納ケース20に固定されている。
そして、このガス排出管76の内部空間は、エアバッグ12の内部ガスを外部に排出させるためのガス排出通路94とされている。つまり、このガス排出通路94の入口は、エアバッグ12の内部と連通された連通口95とされており、ガス排出通路94の出口は、筒状部90に概略円形状に形成されて外部に開放された複数のガス排出口96とされている。
ガス排出量調整部としてのガス排出量調整機構78は、上述のガス排出通路94の開度を調整するためのものであり、バルブ部98及びバルブシート部100と、バルブ部材102と、付勢部材としてのコイルスプリング104と、紐材106とを有して構成されている。
バルブ部98は、バルブ部材102に一体に形成されており、バルブシート部100は、上述のガス排出管76のフランジ部88に一体に形成されている。このバルブ部98及びバルブシート部100は、ガス排出通路34の開度を調整するためのものであり、ガス排出通路94に対する上流側(エアバッグ12の内部側)に配置され、且つ、ガス排出通路94と連通するバルブ開口108を構成している。また、このバルブ部98及びバルブシート部100は、ガス排出通路94側(下流側)に向かうに従って縮径するテーパ状に形成されている。
バルブ部材102は、ガス排出管76に対して自由状態とされており、これにより、バルブ部98のバルブシート部100に対する接離方向(Z1方向,Z2方向)に変位可能とされている。また、このバルブ部材102には、紐材106の長手方向一端側が接続されており、この紐材106の長手方向他端側は、図8に示されるように、エアバッグ12における衝突体との衝突側の部分に接続されている。
つまり、紐材106は、エアバッグ12が膨張展開されることに伴ってバルブ部98のバルブシート部100に対する離間方向(Z2方向)にバルブ部材102を引っ張ることができるように、バルブ部材102とエアバッグ12とを連結している。
コイルスプリング104は、ガス排出管76に収容されており、その両端は、バルブ部材102に形成された係止部110とガス排出管76の底部92に形成された係止部112とに係止されている。このコイルスプリング104は、バルブ部98がバルブシート部100と当接した状態(後述する図11Aを参照)にあるときの係止部110,112間の長さBよりも自由長が短くなるように形成されている。
つまり、コイルスプリング104は、バルブ部材102及びガス排出管76の間に引張状態で介在されており、バルブ部98のバルブシート部100に対する接近方向(Z1方向)にバルブ部材102をガス排出管76に対して付勢している。なお、図9に示されるガス排出量調整機構78は、エアバッグ12が膨張展開されたがエアバッグ12に衝突体が衝突していないときの状態とされている。
また、このコイルスプリング104は、エアバッグ12の衝突体との衝突による変形に応じてバルブ部98及びバルブシート部100が次の如く動作されるように、そのバネ定数が予め設定されている。
ここで、図10Aには、エアバッグ12に重量の大きい衝突体120が衝突したときのエアバッグ装置70が示されており、図10Bには、エアバッグ12に重量の小さい衝突体122が衝突したときのエアバッグ装置70が示されている。さらに、図11A,図11Bには、図4A,図4Bのガス排出量調整機構78がそれぞれ詳細に示されている。
すなわち、コイルスプリング104は、図9に示される如く、エアバッグ12が膨張展開されたがエアバッグ12に衝突体が衝突していないときには、バルブ部98及びバルブシート部100間のギャップがL1となり、図11Aに示される如く、エアバッグ12に重量の大きい衝突体120が衝突したときには、バルブ部98がバルブシート部100に当接するか又は近接し、図11Bに示される如く、エアバッグ12に重量の小さい衝突体122が衝突したときには、バルブ部98及びバルブシート部100間のギャップがL2となるように、そのバネ定数が予め設定されている。
また、上述の紐材106は、エアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形に応じてコイルスプリング104を上述の如く伸縮させることができるようにその長さが予め設定されている。
なお、本発明の第二実施形態では、バルブ部98及びバルブシート部100、バルブ部材102、紐材106、コイルスプリング104を用いることで、エアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が大きいほどガス排出通路94の開度を減少させるという構成が実現されている。
さらに、このエアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が大きいほどガス排出通路94の開度を減少させるという構成を用いることで、エアバッグ12に作用する衝突体からの衝突荷重が大きいほどガス排出通路94からのガス排出量が少なくなるように、衝突荷重に応じてガス排出通路94の開度を調整するという構成が実現されている。
また、本発明の第二実施形態において、衝突体とは、例えば、エアバッグ装置70が乗員保護用として自動車の車内に取り付けられた場合には、乗員に相当し、エアバッグ装置70が歩行者保護用として自動車の車外に取り付けられた場合には、歩行者に相当する。また、衝突体が乗員又は歩行者である場合に、衝突体の重量が大きい場合とは、例えば、乗員又は歩行者の体格が大人のように大きい場合であり、衝突体の重量が小さい場合とは、例えば、乗員又は歩行者の体格が子供のように小さい場合である。
次に、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70の作用及び効果について説明する。
本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70では、自車両と相手車両又は自車両と歩行者の衝突が検知された時に図示しない制御ユニットから出力された制御信号がガス発生器14に入力されると、ガス発生器14がガス噴射口24から高圧のガスを噴射する。また、ガス発生器14からエアバッグ12にガスが供給されると、図8に示されるように、エアバッグ12が膨張展開される。そして、エアバッグ12が膨張展開された状態にあるときにエアバッグ12に衝突体が衝突した場合には、エアバッグ12の内部ガスがガス排出通路94から外部に排出されることで、衝突体の衝突エネルギが吸収される。
ここで、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70では、エアバッグ12に衝突体が衝突してエアバッグ12の内部ガスがガス排出通路94から外部に排出されるときには、ガス排出通路94の開度がバルブ部98及びバルブシート部100、バルブ部材102、紐材106、コイルスプリング104を有して構成されたガス排出量調整機構78によって調整される。
すなわち、図10Aに示されるように、エアバッグ12に衝突体120が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が大きい場合には、紐材106が緩んだ状態となり、図11Aに示されるように、紐材106を介してバルブ部材102に作用するエアバッグ12からの引張力Fが小さいので、コイルスプリング104によって付勢されることによるバルブ部材102の変位量が大きい。従って、バルブ部98及びバルブシート部100で構成されるバルブ開口108が閉止されるか又は小さく狭められ、ガス排出通路94の開度の減少度合いが大きいので、エアバッグ12の内部ガスの排出量が少なくなる。
一方、図10Bに示されるように、エアバッグ12に衝突体120が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が小さい場合には、図11Bに示されるように、紐材106を介してバルブ部材102に作用するエアバッグ12からの引張力Fが大きいので、コイルスプリング104によって付勢されることによるバルブ部材102の変位量が小さい。従って、上述のエアバッグ12の内部圧力の上昇が大きい場合に比して、バルブ開口108が大きく確保され、ガス排出通路94の開度の減少度合いが小さいので、エアバッグ12の内部ガスの排出量が多くなる。これにより、衝突体の重量が大きい場合だけでなく、衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができる。
しかも、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70では、ガス排出量調整機構78がエアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が大きいほどガス排出通路94の開度を減少させる構成とされているので、体格検出手段が不要である。
このように、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70によれば、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合だけでなく、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が小さい場合にも衝突体の衝突エネルギを吸収することができ、しかも、これを体格検出手段を用いずに行うことができる。
また、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70によれば、ガス排出量調整機構78がバルブ部98及びバルブシート部100、バルブ部材102、紐材106、コイルスプリング104を備えた機械的な構成とされているので、装置の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
また、本発明の第二実施形態に係るエアバッグ装置70によれば、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合には、バルブ開口108が閉止されるか又は小さく狭められるので、エアバッグ12に衝突した衝突体の重量が大きい場合にバルブ開口108が大きく開放される構成に比して、エアバッグ12を膨張展開させるためのガスの圧力を低くすることができる。これにより、ガス発生器14に容量の小さいものや安価なもの(例えば、圧縮空気を噴出する簡易なものなど)を使用できるので、エアバッグ装置70を小型化及び低コスト化することができる。
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態において、ガス排出量調整機構78は、バルブ部98及びバルブシート部100、バルブ部材102、紐材106、コイルスプリング104を有して構成されていたが、エアバッグ12に衝突体が衝突したことに伴うエアバッグ12の変形が大きいほどガス排出通路94の開度を減少させる構成であれば、その他の構成とされていても良い。
また、上記実施形態において、バルブ部98及びバルブシート部100は、ガス排出通路94に対する上流側(エアバッグ12の内部側)に配置されていたが、ガス排出通路94に対する下流側(外部側)に配置されていても良い。