JP5019358B2 - 排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法 - Google Patents

排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法 Download PDF

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本発明は、排煙脱硫装置における吸収塔内で吸収剤の活性低下(以下「失活」と略称する)時の対応方法に関し、特に吸収剤スラリと排煙とを接触させて排煙中の硫黄酸化物を吸収除去する排煙脱硫装置において、吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下した場合に、迅速かつ効率よく硫黄酸化物の吸収速度を復活させることが可能な排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法に関する。
近年、各種のプラントや自動車等の排気ガスの影響による大気汚染が深刻化している。このため、大気汚染に関して、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的として大気汚染防止法が制定されている。また、各地方自治体においても、大気汚染防止のための条例や要綱等を定め、大気汚染物質の排出量を規制している。
これに応じて、各企業等では、大気汚染物質の排出を極力抑制して環境保護に努めている。例えば、ボイラユニットを有する発電プラントでは、大気汚染防止法や公害防止協定等に規定された環境基準を遵守するため、ボイラユニットからの排煙中に含まれる煤塵、NOx、SOx等の大気汚染物質を十分に除去してクリーンな排気を行っている。
特に、SOxは環境に重大な影響を及ぼすため、排煙脱硫装置を安定して稼働することが重要な責務となっている。このような状況の中、従来より、排煙脱硫装置を安定して稼働することにより、効率的にSOxの除去を行うための技術が種々開示されている。
例えば、特開平6−238126号公報「湿式排煙脱硫装置の異常診断装置」(特許文献1)に、石膏純度を常に監視し、石膏の品質に影響する要因を診断することにより石膏の品質を保つための最適な各種成分の操作量を支援する技術が開示されている。
この特許文献1に記載された「湿式排煙脱硫装置の異常診断装置」は、ボイラなどの燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を吸収塔循環用吸収剤スラリにより気液接触させて吸収除去する湿式排煙脱硫装置に関するものである。この「湿式排煙脱硫装置の異常診断装置」は、以下の手順により、石膏の品質を保つための最適な各種成分の操作量を支援する。
すなわち、給炭量信号と石炭性状信号と排ガス流量信号を排ガス性状演算器に入力してHCL濃度とHF濃度を算出する。続いて、信号と入口SO2濃度信号と出口SO2濃度信号と入口煤塵濃度信号と吸収剤スラリ流量信号と吸収塔抜出流量信号と酸化用空気流量信号と吸収塔レベル信号と演算器での算出HCL濃度とHF濃度を液性状演算器に入力して吸収液中のCaCO3濃度とCaSO3・1/2H2O濃度とCaSO3・2H2O濃度と不純物濃度とCaF2濃度を算出する。続いて、演算器の算出液性状から石膏純度演算器で石膏純度を算出し、異常診断装置で石膏純度の評価診断を行う。続いて、石膏純度が異常と判定した場合には、純度異常をガイダンスし、正常な状態に戻すための操作量(吸収剤スラリ流量、酸化用空気流量、硫酸流量)を制御装置に出力する。
また、特開平11−244646号公報「排煙脱硫装置の吸収剤スラリ流量制御方法及び装置」(特許文献2)に、吸収塔における吸収液の循環量が最大である状態において、万一、吸収塔へ導入される排ガスの流量が過渡的に計画値を超えて上昇したような場合であっても、脱硫率を保持して吸収塔出口SO2濃度を規制値以下に抑え得る技術が開示されている。
この特許文献2に記載された「排煙脱硫装置の吸収剤スラリ流量制御方法及び装置」は、吸収塔における複数台の循環ポンプが全台運転されており、かつ吸収剤の活性低下が発生していない状態で、吸収塔出口SO2濃度が高設定濃度以上、あるいは脱硫率が低設定脱硫率以下となった異常発生時には、設定pH値を一時的に上昇させ、設定吸収剤スラリ流量を増加させ、吸収剤スラリ流量が設定吸収剤スラリ流量と等しくなるように制御器から流量調整弁へ開度指令を出力するようにしたものである。この「排煙脱硫装置の吸収剤スラリ流量制御方法及び装置」によれば、吸収塔における吸収液の循環量が最大である状態において、万一、吸収塔へ導入される排ガスの流量が過渡的に計画値を超えて上昇したような場合であっても、脱硫率を保持して吸収塔出口SO2濃度を規制値以下に抑え得ることができるとしている。
特開平6−238126号公報 特開平11−244646号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された「湿式排煙脱硫装置の異常診断装置」は、グリッド塔と称される排煙脱硫装置に関する技術であり、この技術をそのまま液注塔と称される排煙脱硫装置に適用することはできない。
また、特許文献2に記載された「排煙脱硫装置の吸収剤スラリ流量制御方法及び装置」は、吸収塔における複数台の循環ポンプが全台運転されており、かつ吸収剤の活性低下が発生していない状態を想定したものであり、吸収塔において失活懸念が発生した場合、あるいは実際に失活状態となった場合に適用できる技術ではない。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、吸収剤スラリと排煙とを接触させて排煙中の硫黄酸化物を吸収除去する排煙脱硫装置において、吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下した場合に、迅速かつ効率よく硫黄酸化物の吸収速度を復活させることが可能な排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法を提供することを目的とする。
本発明に係る排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
吸収剤スラリと排煙とを接触させて排煙中の硫黄酸化物を吸収除去する排煙脱硫装置において吸収塔失活が発生した際の対応方法であって、吸収塔におけるCaCO 濃度の運転基準値が所定の範囲を超えた場合に、排煙脱硫装置に取り入れる排煙からの煤塵濃度を制御する工程の後に、吸収塔内のpH値を測定し、pH値の運転基準値が規定値よりも低い失活懸念状態と、吸収塔内のpH値が失活懸念状態よりもさらに低い失活状態に対応して、吸収剤循環ポンプの動翼を制御して吸収剤スラリ循環量を調整する工程を行った後に、吸収塔におけるCaCO 濃度の運転基準値が降下しない場合に、吸収塔へ供給する酸化空気流量を減少させる工程と、吸収塔へ供給する吸収剤スラリ流量を減少させる工程を行い、吸収塔内のpH値を測定し、pH値が規定値よりも低い失活懸念状態と、吸収塔内のpH値が失活懸念状態よりもさらに低い失活状態にそれぞれ対応して、吸収剤スラリ循環量を調整する工程を行うことにより吸収塔失活状態を解消することを特徴とするものである。
この排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法は、前記吸収剤スラリとして、石灰石を溶質とするとともに水を溶媒とした炭酸カルシウムスラリを用いることを特徴とするものである。
本発明に係る排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法によれば、排煙からの煤塵除去量、吸収剤スラリの循環量、酸化空気流量、吸収剤スラリ流量、脱水機へ供給する吸収剤スラリ流量を調節することにより、吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下し、吸収塔失活懸念となった場合、あるいは吸収塔失活状態となった場合に、迅速かつ効率よく硫黄酸化物の吸収速度を復活させることができる。これにより、排煙脱硫装置における脱硫能力を既定値以上に保って、環境基準等に適合したクリーンな排気ガスを排出して環境保護に貢献することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法の実施形態を説明する。
吸収塔において吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下することを吸収塔失活と称する。例えば、石炭焚きボイラの場合には、特に排ガス中に含まれるダスト(フライアッシュ)が多くなる。このダストの主成分はシリカやアルミナであり、また排ガス中に塩素分(HCL)、フッ素分(HF)等を含んでいるため、これらの物質が吸収塔において吸収剤スラリ中に混入すると、吸収剤の主成分である炭酸カルシウム(CaCO3)の溶解が阻害され、排ガス中に含まれるSO2の吸収速度を低下させて、失活現象(pH低下)が発生する。
本発明に係る排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法は、吸収剤スラリと排ガスとを接触させて排煙中のSO2を吸収除去する排煙脱硫装置において、吸収剤の溶解が阻害されてSO2の吸収速度が低下した場合(失活状態となった場合、あるいは失活の懸念が生じた場合)に、迅速かつ効率よくSO2の吸収速度を復活させるための技術である。
<排煙脱硫装置>
図1は、本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法を適用する排煙脱硫装置の模式図である。
本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法を適用する排煙脱硫装置は、図1に示すように、吸収剤スラリを排煙と気液接触させる装置であり、さらに酸化空気を接触させるための空気供給手段61を備えている。
気液接触装置10は、吸収剤スラリ(例えば、石灰石を溶質とするとともに水を溶媒とした炭酸カルシウムスラリ)が供給されるタンク60と、導入側吸収塔(接触処理塔)70と、導出側吸収塔80とを備えている。
導入側吸収塔70は、タンク60の一側部から上方に向かって延設されるとともに、未処理排煙Aを導入するための排煙導入部71がその上端部に形成されており、排煙が下方に向って流れるようになっている。
導出側吸収塔80は、タンク60の他側部(図では右側)から上方に向かって延設されるとともに、処理済排煙Bを導出するための排煙導出部81がその上端部に形成されており、導入側吸収塔70を通過しタンク60内上部を経由した排煙が上方に向って流れるようになっている。
また、導入側吸収塔70には、スプレーパイプ72が設けられており、スプレーパイプ72には、吸収剤スラリを上方に向って液柱状に噴射するための複数のスプレーノズル73が形成されている。また、タンク60には、タンク60内の吸収剤スラリを吹上げる循環ポンプ74が連通接続されており、供給ヘッダ75を介して吸収剤スラリがスプレーパイプ72に送り込まれ、各スプレーノズル73から噴射されるようになっている。
さらに、導出側吸収塔80の後方部には、同伴ミストを捕集除去するためのミストエリミネータ82が設けられている。なお、このミストエリミネータ82で捕集されたミストは、例えば導出側吸収塔80内を滴下することにより直接タンク60内に戻るようになっている。
スプレーパイプ72は、詳細には図示しないが、導入側吸収塔70の内部の横方向全域にわたって、平行に複数並べて配設されており、スプレーパイプ72の他端側が供給ヘッダ75の長手方向の複数箇所にそれぞれ接続されている。
この供給ヘッダ75は、スプレーパイプ72が接続された範囲において、閉塞された一端側に向って縮径した先細り形状となっている。この供給ヘッダ75の流路断面積の低下率は、内部の平均流速が長手方向に略一定となるように設定される。
また、タンク60内には、空気供給手段61が設けられており、スプレーノズル73から吹上げられた吸収剤スラリは亜硫酸ガスを吸収しながら流下して、空気供給手段61を用いて吹込んだ空気により酸化し、石膏を生成するようになっている。
なお、本実施形態における空気供給手段61は、アーム回転式となっており、タンク60内に中空回転軸62を用いて支持されたモータ(図示せず)により水平回転するアーム63と、中空回転軸62から延長されるとともに開口端がアーム63の下側に延長された空気供給管64と、中空回転軸62の基端側を空気源に供給するためのロータリージョイント65とを備えている。この空気供給手段61では、ロータリージョイント65から空気Cを圧入しつつ中空回転軸62を回転させて、空気供給管64よりアーム63の回転方向背面側に生じる気相域に空気Cを供給する。さらに、アーム63の回転により生じる渦力により、気相域終縁部の千切れ現象を起こして略均一な微細気泡を多数発生させ、タンク60内で亜硫酸ガスを吸収した吸収剤スラリ溶液と空気とを効率良く接触させるようになっている。
そして、タンク60内のスラリ(石膏と吸収剤である少量の石灰石が懸濁または溶存したもの)は、抜出ポンプ20により吸出されて脱水機30に送出され、この脱水機30により濾過されて、水分含有量の少ない石膏(例えば、水分含有率10%程度)として取り出される。一方、脱水機30からの濾液は、スラリ槽40に送出されて、補給水とともに石灰石が加えられ、再び吸収剤スラリとしてスラリポンプ50によりタンク60内に供給される。
<吸収塔失活時の対応方法>
本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法は、上述した構成を備えた排煙脱硫装置において、吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下した場合に、迅速かつ効率よく硫黄酸化物の吸収速度を復活させるための技術である。
以下、図2および図3を参照して、本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法の手順を説明する。図2および図3は、本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法の手順を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法では、図2および図3に示すように、吸収塔におけるpH値が低下した場合に、まず、CaCO3濃度を観察し、CaCO3濃度が運転基準値の範囲内であるか否かを判断する(S1)。ここで、CaCO3濃度の運転基準値は、例えば既定値+10mmol/lであり、より具体的には20〜60mmol/lの範囲を吸収塔における運転基準値とする。
ここで、CaCO3濃度が運転基準値の範囲内である場合には、動向を監視し(S2)、失活懸念が発生した場合には、速やかに失活対応操作に移行する。
一方、CaCO3濃度が運転基準値の範囲を逸脱した場合には、失活懸念が発生したと判断して、煤塵濃度の制御を行う(S3)。本工程の煤塵濃度の制御では、吸収塔の上流側に設けられた電気式集塵機を全荷電運転として集塵能力を上げ、吸収塔へ送出される排ガス中に含まれる煤塵を極力除去して、吸収塔入口における煤塵濃度を下げる操作を行う。
続いて、吸収塔内のpH値が所定値の範囲内(例えば5.5以上)であるか否かを判断する(S4)。ここで、吸収塔内のpH値が所定値の範囲を逸脱して、例えば5.5〜5.6となった場合には、失活の懸念が発生したと判断して(S5)、吸収剤スラリ循環量を調節する(S6)。吸収剤スラリ循環量の調節では、例えば、循環ポンプの動翼開度を50〜80%とすることにより、吸収剤スラリ循環量を増加させて、失活状態の解消を試みる。
また、吸収塔内のpH値が所定値の範囲を逸脱して、例えば4.0〜5.5(未満)となった場合には、失活状態が発生したと判断して(S7)、吸収剤スラリ循環量を調節する(S8)。吸収剤スラリ循環量の調節では、例えば、循環ポンプの動翼開度を80〜100%とすることにより、吸収剤スラリ循環量を増加させて、失活状態の解消を試みる。なお、吸収塔内のpH値が境界値である5.5となった場合には、失活状態を速やかに解消するため、循環ポンプの動翼開度を80〜100%に設定することが好ましい。
続いて、吸収塔内のpH値が上昇したか否か、および吸収塔内のCaCO3濃度が降下したか否かを判断する(S9)。ここで、吸収塔内のpH値が上昇するとともに、吸収塔内のCaCO3濃度が降下した場合には、失活状態が解消したものと判断して、失活対応処理を終了する。
一方、吸収塔内のpH値が上昇しないとともに、吸収塔内のCaCO3濃度が降下しない場合には、吸収塔へ供給する吸収剤スラリ流量を調節する(S10)。本工程の吸収剤スラリ流量の調節では、例えば、吸収剤スラリ流量を、脱硫に最低限必要な5.0t/h〜8.0t/hとする。すなわち、CaCO3濃度が高すぎると石膏純度が低下し、製品としての基準を満たさなくなるおそれがある。また、CaCO3は石膏と比較して粒度が小さいため、CaCO3濃度が高すぎると濾布の目詰まりを生じやすい。さらに、CaCO3濃度が高すぎると排水処理膜のフラックスも低下する。そこで、本工程では、吸収塔へ吸収剤スラリを供給するためのスラリポンプの流量を制御し、吸収塔へ供給する吸収剤スラリ流量を減少させるような調節を行うことにより、失活状態の解消を試みる。
続いて、酸化空気流量の調節を行う(S11)。なお、本実施形態では、排ガス中のSO2を除去するために石灰石を用いているが、反応の過程においてまず亜硫酸石膏(CaSO3)が生成され、この亜硫酸石膏が酸化されて最終生成物である石膏(CaSO4)が生成される。そこで、亜硫酸石膏を効率良く酸化させて最終生成物である石膏を得るために、空気供給手段を用いて酸化空気を供給している。酸化空気流量の調節は、通常の状態では、ORP(Oxidation Reduction Potential)制御を行って、吸収塔における吸収剤スラリの電位を測定し、所定値となるように酸化空気の供給量を増減することにより行っている。そして、失活状態が発生した場合には、酸化空気流量を減少させる操作が行われる。
続いて、吸収塔内のpH値が未だ失活状態(例えば4.0〜5.5)であるか否かを判断する(S12)。ここで、吸収塔内のpH値が未だ失活状態の範囲内である場合には、脱水機(ベルトフィルタ)へ供給する吸収剤スラリ流量を増加させる(S13)。すなわち、本工程では、脱水機へ吸収剤スラリを供給するための抜出ポンプの流量を制御し、吸収塔内に存在する吸収剤スラリの入れ替えによって、吸収塔における液質改善を図ることにより、失活状態の解消を試みる。
一方、吸収塔内のpH値が失活状態を脱した場合(例えば5.5以上)には、脱水機へ供給する吸収剤スラリ流量を自動調節して(S14)、失活状態の解消を継続する。
続いて、吸収塔内のpH値が上昇したか否か、および吸収塔内のCaCO3濃度が降下したか否かを判断する(S15)。ここで、吸収塔内のpH値が上昇するとともに、吸収塔内のCaCO3濃度が降下した場合には、失活状態が解消したものと判断して、失活対応処理を終了する。
一方、吸収塔内のpH値が上昇しないとともに、吸収塔内のCaCO3濃度が降下しない場合には、抜出ポンプによる脱水機への吸収剤スラリ供給を停止する(S16)。この工程では、抜出ポンプから予備タンクに吸収剤スラリを短時間で大量かつ一時的に受け入れ、そのタンク受入相当分(減少分)を、液室内に工水を大量に注入して希釈操作を行うことにより、液質改善を図って失活状態の解消を試みる。なお、脱水機への吸収剤スラリ供給を停止することは、石膏の製造中止を意味する。そして、ステップ8(S8)の処理へ戻って失活状態の解消を継続する。
なお、上述した実施形態では、CaCO3濃度、pH値、循環ポンプの動翼開度等について具体的数値を示したが、各数値は一例であり、本実施形態を適用する排煙脱硫装置の形状および規模や、プラントの規模および稼働状態等に応じて、各数値を適宜変更して実施できることは勿論である。
本発明に係る排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法は、主として、発電プラント等で使用されている吸収剤スラリと排煙とを接触させて排煙中の硫黄酸化物を吸収除去する排煙脱硫装置において、吸収剤の溶解が阻害されて硫黄酸化物の吸収速度が低下した場合に、迅速かつ効率よく硫黄酸化物の吸収速度を復活させるために使用することができる。
本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法を適用する排煙脱硫装置の模式図である。 本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る吸収塔失活時の対応方法の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 気液接触装置
20 抜出ポンプ
30 脱水機(ベルトフィルタ)
40 スラリ槽
50 スラリポンプ
60 タンク
61 空気供給手段
62 中空回転軸
63 アーム
64 空気供給管
65 ロータリージョイント
70 導入側吸収塔(接触処理塔)
71 排煙導入部
72 スプレーパイプ
73 スプレーノズル
74 循環ポンプ
75 供給ヘッダ
80 導出側吸収塔
81 排煙導出部
82 ミストエリミネータ

Claims (2)

  1. 吸収剤スラリと排煙とを接触させて排煙中の硫黄酸化物を吸収除去する排煙脱硫装置において吸収塔内で吸収剤の活性低下(以下「失活」と略称する)が発生した際の対応方法であって、
    吸収塔におけるCaCO 濃度の運転基準値が所定の範囲を超えた場合に、
    排煙脱硫装置に取り入れる排煙からの煤塵濃度を制御する工程の後に、
    吸収塔内のpH値を測定し、pH値の運転基準値が規定値よりも低い失活懸念状態と、吸収塔内のpH値が失活懸念状態よりもさらに低い失活状態に対応して、吸収剤循環ポンプの動翼を制御して吸収剤スラリ循環量を調整する工程を行った後に、
    吸収塔におけるCaCO 濃度の運転基準値が降下しない場合に、
    吸収塔へ供給する酸化空気流量を減少させる工程と、吸収塔へ供給する吸収剤スラリ流量を減少させる工程を行い、
    吸収塔内のpH値を測定し、pH値が規定値よりも低い失活懸念状態と、吸収塔内のpH値が失活懸念状態よりもさらに低い失活状態にそれぞれ対応して、吸収剤スラリ循環量を調整する工程を行うことにより吸収塔失活状態を解消することを特徴とする排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法。
  2. 前記吸収剤スラリとして、石灰石を溶質とするとともに水を溶媒とした炭酸カルシウムスラリを用いることを特徴とする請求項1に記載の排煙脱硫装置における吸収塔失活時の対応方法。
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