JP3348743B2 - 排ガス脱硫処理装置の制御方法 - Google Patents

排ガス脱硫処理装置の制御方法

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JP3348743B2 JP35179093A JP35179093A JP3348743B2 JP 3348743 B2 JP3348743 B2 JP 3348743B2 JP 35179093 A JP35179093 A JP 35179093A JP 35179093 A JP35179093 A JP 35179093A JP 3348743 B2 JP3348743 B2 JP 3348743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルシウム系化合物を
吸収剤として使用し排ガス中の硫黄酸化物を石膏として
分離除去する湿式脱硫処理において、しばしば遭遇する
カルシウム系化合物の溶解速度低下を阻止し、ひいては
脱硫率の低下を防止する的確で効果的な方法を提供する
ものである。
【0002】より詳しくは本発明は燃焼排ガスを湿式脱
硫処理するにあたり、カルシウム系化合物含有吸収液の
pHの変動幅または変動回数の低下を指標として該カルシ
ウム系化合物の溶解速度を高める操作を行うことによる
排ガス脱硫処理装置の制御方法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】ボイラー等の燃焼排ガスを処理するため
の排ガス湿式脱硫処理法においては、排ガス中に主とし
て含有される硫黄酸化物をカルシウム系化合物含有吸収
液と接触させて硫黄酸化物を石膏となして無害化除去
し、しかも生成する石膏を産業上利用するという優れた
方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カルシ
ウム系化合物含有吸収液中に比較的高濃度のAl3+イオン
および F- イオンが存在すると、そこにカルシウム系化
合物を添加してもカルシウム化合物の溶解速度が上がら
ず、吸収液のpHも上がらず、脱硫率が低下すると言う現
象が出現することは以前から注目されていた。いわゆる
カルシウム系化合物の溶解活性の低下であり、単に活性
低下とも呼ばれる現象である。
【0005】燃焼排ガス、特に石炭燃焼排ガス中にはフ
ッ素化合物(例えばHF) およびアルミニウム化合物(フ
ライアッシュ中のAl2 O 3 その他) が含有されており、
電気集塵機処理や冷却処理後でもなお残存して脱硫吸収
液に混入してくる。またカルシウム系化合物中にもアル
ミニウム化合物が不純物として存在し、これが吸収液中
に混入する。そのため、吸収液中には通常5mg/L以上の
フッ素および0.5mg/L以上のアルミニウムが不純物とし
て存在し、これらが脱硫処理条件の変動によっては高濃
度となって吸収液に存在するものと考えられる。
【0006】このようなAl3+イオンおよび F- イオンが
吸収液に存在する場合にカルシウム系化合物の溶解活性
低下が起こる理由としては例えば、Al3+イオンおよび F
- イオンが高濃度で吸収液に存在するところへカルシウ
ム系化合物がスラリーの形態すなわち微細な固体の懸濁
液の形態で添加されると、Al3+および F- がカルシウム
イオンと相互作用して、例えば CaAlF3 (OH)2 ・CaF 2
のような種類の不溶性アパタイトを生成し、このものが
未溶解固形カルシウム化合物粒子の表面を被覆して溶解
不能となすためではないかと考えられている(例えば、
Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev. 1981, 20: 144-14
7 参照)。特にアルミニウムが AlFX 錯体の形態で存在
する場合にこのようなカルシウム系化合物の活性の低下
が起こりやすいと見られている。
【0007】ひとたびこのようなカルシウム系化合物の
溶解活性低下が起こると、そこにいくらカルシウム系化
合物を添加しても吸収塔のpHが上がらず、脱硫率も低下
するのでカルシウム系化合物の溶解速度を高め、実質的
に活性低下を防止する方法がこれまで種々模索されてき
ている。例えば、カルシウム系化合物の溶解速度の制御
を目的とする特開昭61−61616号公報記載の方法
は、吸収液スラリーのpHと炭酸カルシウム濃度を測定
し、その測定値に基づいて炭酸カルシウム投入量を制御
するものである。また特開平2−156146号公報で
は、吸収液中のAl Fx 等を分別定量してそれにより吸収
液中の炭酸カルシウムの溶解活性を評価する方法が開示
されている。
【0008】その他特開平3−245820号公報で
は、種々の濃度(例えばpH値、Ca濃度、Na濃度、Cl濃度
等)を算出し、異常を認めた場合はカルシウム化合物と
ナトリウム化合物を吸収塔へ投入して吸収液のpHを高め
る操作をとる方法を開示している。しかしながらこれら
の方法においては、例えば炭酸カルシウム濃度等の各種
の濃度を測定するための計測設備費、運転コスト、炭酸
カルシウムに比較して高価なカセイソーダ等の投入薬剤
に要する費用、等の種々のコスト増に加え、各種計測ま
たは測定の精度や信頼性の維持および監視、その上運転
方法の複雑化に伴う人員増による人件費増大等の問題も
あった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、カルシ
ウム系化合物の溶解活性低下の出現を予知できる方法を
探索し、早期に対策をとることにより、より簡便な方法
でこれらの問題を解決する方法を提供することを目的と
するものである。本発明者らは、カルシウム系化合物の
溶解活性低下が発生した時の状況を詳細に分析、検討し
たところ、カルシウム系化合物の溶解速度が低下して吸
収液のpHが低下し始め、pHを所定値に維持するためのカ
ルシウム系化合物の投入量が増大するに先立ち、その数
時間前にpHの変動幅または変動回数が正常運転時に比較
して低下する現象が出現することを発見した。この低下
が数時間続いたのちにカルシウム系化合物の投入量が増
大し始め、ついで脱硫率の低下が始まる。
【0010】このようなpHの変動幅または変動回数の低
下が始まるのは、脱硫率が低下し始めるおよそ8〜15
時間前であり、カルシウム系吸収剤スラリーの投入量が
増大するまで継続する場合が多い。従ってpHの変動幅ま
たは変動回数の低下が確認された時点でカルシウム系化
合物の溶解速度を高める操作を行い、カルシウム系化合
物の溶解活性低下の防止策を講じれば脱硫率の低下に至
ることなく安定して排ガス処理を継続できることを見い
だした。本発明はこのような予想外の知見に基づくもの
である。
【0011】すなわち本発明は、硫黄酸化物の他にフッ
素化合物およびアルミニウム化合物をも含有する燃焼排
ガスを湿式脱硫処理するにあたり、(1) 前記燃焼排ガ
スを冷却する冷却工程、(2) 前記冷却工程を経た排ガ
スを、該排ガスとの接触に先立ちカルシウム系化合物含
有吸収液のpH値を設定した値になるよう、pHを制御手段
の少なくとも一つとして使用しそれに基づき吸収剤スラ
リーの投入量を制御する様式の下、該カルシウム系化合
物含有吸収液と気液接触させて硫黄酸化物を吸収除去す
る除去工程、および(3) 前記除去工程を経た該カルシ
ウム系化合物含有吸収液から固液分離して石膏を主とす
る固形物を分離する固液分離工程、を包含する湿式排ガ
ス脱硫処理において、前記除去工程(2)における該カル
シウム系化合物含有吸収液のpHの変動幅または変動回数
を監視し、該変動幅または変動回数の低下が確認された
場合は該カルシウム系化合物の溶解速度を高める操作を
行うことを特徴とする、排ガス脱硫処理装置の制御方法
に関する。冷却工程と吸収工程を1塔で処理するスート
混合方式の脱硫装置の一例の概略を図1に示す。
【0012】図1は冷却処理と吸収処理をそれぞれ分離
することなく排ガス処理する例を示したものであるが、
これら冷却処理および吸収処理は分離して2塔で行うこ
ともできることは良く知られており、そのような方法も
本発明に包含されることは理解されるべきである。
【0013】電気集塵機等の予備処理を経た燃焼排ガス
は、増湿および冷却のための冷却塔を経由するかまたは
そのまま冷却/吸収塔1に送られる。冷却/吸収塔1
で、カルシウム系化合物をスラリー化するためのスラリ
ー調製タンク3から供給された吸収液と気液接触し、硫
黄酸化物が吸収除去される。冷却/吸収塔1を出た吸収
液は固液分離装置2で石膏を分離除去され、母液はスラ
リー調製タンク3に還流されてカルシウム系化合物のス
ラリー形成に使用され、場合により一部分排水される。
【0014】本発明者らは、カルシウム系化合物含有吸
収液のpH値を設定した値になるよう、pHを制御手段の少
なくとも一つとして使用しそれに基づき吸収剤スラリー
の投入量を制御する様式で脱硫を行っていたところ、カ
ルシウム系化合物の投入量の増大に先立つ1〜10時間
前、多くは2〜6時間前にはpHの変動幅または変動回数
が正常運転時のものとは明らかに相違する低下を示すこ
とを発見した。正常時とカルシウム系化合物の溶解活性
低下時におけるpHの変動幅または変動回数の低下を模式
的に示せばそれぞれ図2および図3に示すとおりであ
る。
【0015】このようなpHの変動幅または変動回数にお
ける異常が確認できるのは、脱硫率の低下が起こるおよ
そ8〜15時間前であることも判明した。図2はpH変動
幅が正常運転時には設定値の±0.07であったものが、カ
ルシウム系化合物の活性低下発生直前には±0.03に低下
している例を示し、Tは低下現象が見られる時間(長
さ)を示す。
【0016】図3はpH変動回数が活性低下発生前には正
常運転時のおよそ半分に低下している例を示す。Tは図
2におけると同じ意味を有する。図2または図3に示す
現象はそれぞれ単独で出現する場合もあるが、両方の現
象が同時に発生する場合の方が多い。このようなpH変動
幅またはpH変動回数の低下は少なくとも約1時間は持続
するので、その間にカルシウム系化合物の溶解速度を高
める操作を行えば良く、制御機能を組み込んだ特別の設
備を設けることなく手動で操作するか、pH設定値を変更
するか、あるいは手動で添加できるものでよい。多種類
の濃度を測定するための計測設備費や運転コストを要す
る必要もなく現在のままの運転方式でただpHの変動のみ
を注意しておれば良い。正常運転中のものとは異なる低
下が観測されたら、直ちに手動でいずれかの操作を取れ
ばよいので非常に簡便でそれでいて確実な方法といえ
る。勿論、制御手段として制御ループを加え、自動制御
することもできる。しかしこの場合でも、かかる制御ル
ープは一般的なものであり、簡易で低コストのものが採
用できる。
【0017】カルシウム系化合物の投入量が増大するに
先立ち、pHの変動幅または変動回数が低下する理由を推
測すると、カルシウム系化合物の溶解速度が大幅に低下
してその投入量が増大する以前においても、既にカルシ
ウム系化合物の溶解速度は徐々に低下していて、その僅
かな速度の低下がpH応答性の低下を招いていると推測さ
れる。
【0018】本発明方法においてカルシウム系化合物の
溶解速度を高める操作を開始する時点は、pHの変動幅ま
たは変動回数が正常運転時の30%以上低下したところ
が好ましい。30%未満では供給排ガス中の硫黄酸化
物、供給排ガス量の変動、カルシウム系化合物添加量の
変動等によるブレまで含まれてしまい、誤動作となる可
能性があるので避けた方が好ましい。従って実際的には
40%以上、50%前後であれば確実に外乱因子による
誤動作を排除できる。
【0019】カルシウム系化合物吸収剤の調製に使用で
きるカルシウム系化合物としては、炭酸カルシウム、水
酸化カルシウム、酸化カルシウム等があげられるが、安
価にかつ大量に入手できる点で炭酸カルシウムの使用が
好ましい。カルシウム系化合物の溶解速度を高める操作
はこの分野で知られた任意の方法をとることができる
が、簡便で安価で効果が高い実用的な方法を選択するの
が好ましい。そのうちの幾つかを列記すると次のとおり
であるが、これらの方法を複数採用することもできるこ
とは言うまでもない。。 (1) 除去工程での吸収液pHを維持しつつ、吸収液中の
フッ素化合物およびアルミニウム化合物の濃度を低下さ
せ、CaAlF 3 (OH)2 CaF 2 と考えられるもののような不
溶性物質の生成を阻止する。
【0020】具体的方法としては、カルシウム系化合物
含有吸収液に、フッ素化合物およびアルミニウム化合物
含有量の低い水を添加し同時に該添加された水分に相当
する量の排水を抜き出す。それにより溶解しているF お
よびAlを排出できるだけでなく、石膏のような固形物の
排出量も高まるので、F およびAlの固形物もより多く排
出される。
【0021】あるいはこのための水分を添加せずに、吸
収塔から抜き出して固液分離工程にまわす液量のみを増
加させる。この場合は溶液中に存在する溶解F 量や溶解
Al量は低下しないが、固形のF やAl成分は除去される。
固形のF やAl成分の除去によって、溶解平衡上溶解する
可能性のあるF やAl成分を除去できる。しかしながら、
F およびAlの固形物と同時に石膏の排出量が多くなり、
吸収液中の石膏濃度が低下すると、除去工程においてス
ケーリングが発生する可能性が高まる。そこで排水量を
多くすることは保持しつつ、固液分離された固体画分の
一部を除去工程の吸収液に戻すことが必要となる場合が
ある。
【0022】これを実施するため、石膏を脱水する固液
分離機の上流側、すなわち吸収塔から固液分離機までの
間において、吸収塔から抜き出されたスラリーをサイク
ロンまたはシックナーなどの脱水することのない固液分
離機を設けることによって容易に石膏分を吸収塔に戻す
ことができる。特に、これらの機器では粒径の大きい石
膏は分離されやすいがCaF 2 やAl(OH)3 などは粒径が小
さいので液体画分に混入するので、この画分を固液分離
し、排出すれば選択的にF やAl成分を排出できる。そし
て粒径の大きい石膏の一部をこの液体画分に混ぜ、一緒
に処理することもできる。
【0023】フッ素化合物およびアルミニウム化合物含
有量の低い水としては、工業用水、水道水、排水の処理
水、およびフッ素化合物およびアルミニウム化合物を含
まない水の1種またはそれ以上をあげることができよ
う。 (2) 吸収液のpHを低下させる。フッ素化合物(HF とし
て)およびアルミニウム化合物(Al(OH)3 として) の存
在下におけるpH値と石灰石 (CaCO3 ) の溶解度との関係
を図4に示す。
【0024】図4から明らかなとおり、石灰石の溶解速
度はpH 4.5を超えると急激に低下する。従って吸収液の
pHを低下させることは吸収剤の溶解活性の低下を起こさ
せる反応よりもカルシウム系化合物吸収剤の溶解反応の
方が速度的に速くなるので、実用上吸収剤の溶解活性の
低下はなくなる。これは吸収液のpHを4.5 以上に設定す
る方法(例えば、特開昭62−244426号)が多い
中で本発明者らが新たに見い出した対処法である。
【0025】吸収液のpHを低下させるには吸収塔のpH設
定値を低下させるのが一番手軽に行える方法である。特
に、pH設定範囲をpH4.5 未満とするのが好ましい。pH4.
5 未満ではカルシウム系化合物の溶解活性の低下がほと
んど起こらず、また、たとえ溶解活性の低下が発生して
も防止策をさらに実施すれば極めて速やかにその効果が
発現する。従って正常運転に戻るまでに要する時間が短
縮でき、また必要な薬剤量が少なくて済み、その上pHの
低下幅も小さくて済む。
【0026】即効性を得るには硫酸水溶液を適宜前記吸
収液に添加すれば簡便にpHを低下できる。硫酸は石膏と
なるので好都合である。Clイオンが共存するとカルシウ
ム系化合物の溶解活性の低下が促進させるので、塩酸の
添加は避けたほうが好ましい。また硝酸塩の添加は不純
物を増加させることと、高価なためやはり好ましくな
い。 (3) もう一つは特開昭60−7925号公報に開示さ
れるように、吸収塔の液中に可溶性のアルカリまたはア
ルカリ金属塩が溶存するとSO2 の酸化吸収反応を促進で
きるのみならずカルシウム系化合物の溶解度、溶解速度
も高めることができると言う事実に着目し、カルシウム
系化合物吸収剤の溶解度を高めてCaイオンが不溶性物質
を生成するよりも先にCaSO4 すなわち石膏を生成せし
め、吸収液のpH設定値を安定的に維持して、脱硫率を高
めようとするものである。
【0027】具体的には、ナトリウム化合物、マグネシ
ウム化合物およびカリウム化合物(例えばそれらの水酸
化物、硫酸塩、炭酸塩等)のうちの少なくとも1種を前
記除去工程(2)、前記固液分離工程(3)、およびカルシウ
ム系化合物含有吸収剤スラリー調製工程を含むループの
どこかでカルシウム系化合物含有吸収液に添加してカル
シウム化合物の溶解活性を高めることによる。
【0028】本発明による制御方法は、冷却工程と除去
工程を1塔で処理する1塔方式(スート混合方式とも言
う)においては、吸収液中にAlやF が多く流入するゆえ
カルシウム化合物の溶解活性の低下が起こりやすいの
で、1塔方式における脱硫処理により向いているが、分
離方式においても冷却工程のpH0.5 〜1.5 の低pHの液
が、溶解活性低下を引き起こし易いと言われているAl-F
錯体を高濃度に含有しており、この液が排ガスに同伴す
る液ミストとして除去工程の吸収液に混入し、それによ
り溶解活性の低下を起こすため、分離方式においても十
分に有効である。
【0029】また本発明による制御方法は、吸収液に酸
素含有ガス導入の下に気液接触を行えば、吸収液中での
亜硫酸の酸化を促進でき、亜硫酸が速やかに硫酸とな
り、硫酸は酸性度が亜硫酸より高くそのため吸収液中へ
の吸収剤の溶解を加速することができてさらに有利であ
る。本発明による制御方法は、ガスバブリング方式によ
り実施するのが特に好ましい。吸収液のpHを低く保持し
たままでも脱硫率が高いガスバブリング方式では、吸収
液のpHが低ければ溶解活性の低下はほとんど起こらない
が、pH計や人的な誤動作により溶解活性低下が起きた場
合にも、本発明によれば、上記したようにより効率的に
溶解活性低下を事前に検知し、対策を講じれば、その効
果は他の方式によるよりも顕著である。
【0030】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 実施例1 図1に示される、冷却工程と吸収工程を1塔で処理する
スート混合方式のスプレー塔型の装置を用い、下記条件
下に運転した。運転条件 吸収剤 炭酸カルシウム(325 メッシュ95%パス) pH:5.8 供給排ガス 石炭燃焼排ガス:5m 3 N/h SO2 濃度 :620 ppm ダスト :116 mg/m3 N HF濃度 :12 ppm 排水 あり 液ガス比 10 L/m 3 吸収液滞留 15時間 脱硫率 91%運転結果 時刻19時30分、冷却/吸収塔1のpHの変動幅が当初の設
定値±0.11の範囲内であったものが、±0.04に低下して
いることを確認した。また、変動回数が当初の6回/5
分間から3回/5分間に低下していることも同時に確認
された。
【0031】時刻19時50分、冷却/吸収塔1の下部にあ
る吸収液溜5に工業用水を0.8L/hで投入を開始し、同時
に排水液量を相当して増加させた。翌日の、時刻00時20
分、工業用水の投入を停止し、正常運転に復帰した。こ
の間の脱硫率は91%を維持したままであった。 比較例1 実施例1におけると全て同じ条件で運転した。しかし、
カルシウム系化合物吸収剤の溶解速度を高める操作はま
ったくとらずそのまま運転を継続した。運転結果 時刻13時05分、冷却/吸収塔1のpHの変動幅が当初の設
定値±0.10の範囲内であったものが、±0.05に低下して
いることを確認した。また、変動回数が当初の7回/5
分間から4回/5分間に低下していることも同時に確認
された。
【0032】時刻17時40分、炭酸カルシウム投入量が増
大していることを確認。時刻23時20分、吸収液のpH低下
が確認され、続いて脱硫率が当初の91%から87%迄徐々
に低下していることが観察された。 実施例2 実施例1におけると全て同じ条件で運転し、時刻19時30
分にpHの変動幅および変動回数が実施例1におけると同
様に低下したところで、吸収液中の塩素およびフッ素を
(NaClおよびNaF として)中和できる量のNaOHを、吸収
液のpHが6.5 を超えないように保持して、30分かかって
徐々に投入した。
【0033】その後正常運転に復帰したが、吸収剤の投
入量は正常の範囲内であった。脱硫率も91%を維持した
ままであった。 実施例3 千代田CT−121型ガスバブリング吸収塔を使用し、
吸収液のpHを4.1 に設定する以外は実施例1におけると
同じ条件で運転した。そのなかで、pH計の誤動作とそれ
に基づく吸収剤投入量の変動によって、吸収剤の溶解活
性の低下が発生した。運転結果 時刻16時50分、pHの変動幅および変動回数の変化を確
認。
【0034】時刻17時00分、pH設定値を当初の4.1 から
3.8 に下げると同時に気液接触する液深をおよそ5%深
くして、脱硫率の維持を図った。時刻20時00分〜翌日17
時00分、排ガス量を50〜100 %の範囲で変動させた。20
時10分、通常運転に戻すべく、pHを徐々に上げ、当初の
pH4.1 とし、液深を含めて正常運転に復帰した。脱硫率
の低下は見られなかった。 実施例4 冷却工程と吸収工程を分離して2塔で処理するスート分
離方式の装置を用い、電気集塵機処理後の下記ガス組
成: SO 2濃度 :571 ppm HF濃度 :11 ppm HCl 濃度 :6 ppm ダスト濃度 :81mg/m3 N O 2 濃度 :4.8 % を有する石炭燃焼排ガス10000m3 N/m を脱硫処理した。
吸収塔は酸化用空気を導入するガスバブリング方式と
し、吸収液pHを4.8 に設定した。カルシウム系化合物吸
収剤としては325 メッシュ95%パス、純度98%の炭酸カ
ルシウムを使用してスラリーを調製した。
【0035】pHの変動幅および変動回数が実施例1にお
けると同様に低下したところで、pH設定値を当初の4.8
から4.1 に下げると同時に気液接触する液深をおよそ8
%深くして、脱硫率の維持を図った。16時間後、通常運
転に戻すべく、pHを徐々に上げ、当初のpH4.8 とし、液
深を含めて正常運転に復帰した。脱硫率の低下は見られ
なかった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したとおり、脱硫処理において
吸収液のpHの変動幅または変動回数の低下が確認された
時点でカルシウム系化合物吸収剤の溶解速度を高める操
作を行ってカルシウム系化合物の溶解活性低下を防止す
れば、脱硫率の低下を招くことなく安定して操作を継続
できる。
【0037】また、特別の設備を設けることなく手動で
添加するかあるいは手動で操作できるものですむし、あ
るいは制御手段として制御ループを加え、自動制御とし
た場合でも、この制御ループは一般的なもので済み、簡
易で低コストのものが採用できるので、多種類の濃度を
測定するための計測設備費や運転コストを要する必要も
なくただpHの変動のみを検知しておれば良いので非常に
簡便でそれでいて確実な方法といえる。かかる変動を自
動検知することは、制御としては安易なことであり、こ
れによって警報、異常シグナル等を出すことができ、そ
れに基づいて手動もしくは簡単なシステムによる自動操
作で対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却工程と吸収工程を1塔で処理するスート混
合方式の装置を用いるフローダイヤグラムである。
【図2】正常運転時に比較して低下したpH変動幅の一例
を示す。
【図3】正常運転時に比較して低下したpH変動回数の一
例を示す。
【図4】フッ素化合物(HF)およびアルミニウム化合物(A
l(OH3 ) の存在下におけるpH値と石灰石 (CaCO3 ) の溶
解度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 冷却/吸収塔 2 固液分離機 3 スラリー調製タンク 4 ミストエリミネーター 5 吸収液溜 T 低下現象が見られる時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−267114(JP,A) 特開 平7−194936(JP,A) 特開 平4−305224(JP,A) 特開 昭60−179121(JP,A) 特開 昭60−78622(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄酸化物の他にフッ素化合物およびア
    ルミニウム化合物をも含有する燃焼排ガスを湿式脱硫処
    理するにあたり、(1) 前記燃焼排ガスを冷却する冷却工
    程、(2) 前記冷却工程を経た排ガスを、該排ガスとの接
    触に先立ちカルシウム系化合物含有吸収液のpH値を設定
    した値になるよう、pHを制御手段の少なくとも一つとし
    て使用しそれに基づき吸収剤スラリーの投入量を制御す
    る様式の下、該カルシウム系化合物含有吸収液と気液接
    触させて硫黄酸化物を吸収除去する除去工程、および
    (3) 前記除去工程を経た該カルシウム系化合物含有吸収
    液から固液分離して石膏を主とする固形物を分離する固
    液分離工程、を包含する排ガス湿式脱硫処理において、
    前記除去工程(2)における該カルシウム系化合物含有吸
    収液のpHの変動幅または変動回数を検知し、該変動幅ま
    たは変動回数の低下が確認された場合は該カルシウム系
    化合物の溶解速度を高める操作を行うことを特徴とす
    る、排ガス脱硫処理装置の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記カルシウム系化合物の溶解速度を高
    める操作が、カルシウム系化合物含有吸収液に、フッ素
    化合物およびアルミニウム化合物含有量の低い水分を添
    加し同時に該添加された水分に相当する量の排水を抜き
    出すものである、請求項1記載の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記フッ素化合物およびアルミニウム化
    合物含有量の低い水が、工業用水、水道水、排水の処理
    水、およびフッ素化合物およびアルミニウム化合物を含
    まない水の1種またはそれ以上である、請求項2記載の
    制御方法。
  4. 【請求項4】 前記除去工程から排出されるカルシウム
    系化合物含有吸収液を固液分離後、固体スラリー画分の
    一部を除去工程に戻す、請求項1〜3のいずれか1項記
    載の制御方法。
  5. 【請求項5】 前記固液分離工程が、サイクロンまたは
    シックナーを用いて実施される、請求項1〜4のいずれ
    か1項記載の制御方法。
  6. 【請求項6】 前記カルシウム系化合物の溶解速度を高
    める操作が、前記pH設定値を下げるものである、請求項
    1記載の制御方法。
  7. 【請求項7】 前記pH設定値を下げる操作が、硫酸水溶
    液を前記カルシウム系化合物含有吸収剤スラリーに添加
    することからなる、請求項6記載の制御方法。
  8. 【請求項8】 前記pH設定値をpH4.5 未満とする、請求
    項6または7記載の制御方法。
  9. 【請求項9】 前記カルシウム系化合物の溶解速度を高
    める操作が、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物お
    よびカリウム化合物のうちの少なくとも1種を、前記除
    去工程、前記固液分離工程、およびカルシウム系化合物
    含有吸収剤スラリー調製工程を含むループのどこかで前
    記カルシウム系化合物含有吸収液に添加することからな
    る、請求項1記載の制御方法。
  10. 【請求項10】 前記pHの変動幅または変動回数の低下
    が30%以上である、請求項1〜9のいずれか1項記載
    の制御方法。
  11. 【請求項11】 前記冷却工程と前記除去工程を1塔で
    処理する請求項1〜10のいずれか1項記載の制御方
    法。
  12. 【請求項12】 前記除去工程が該吸収液に酸素含有ガ
    ス導入の下に実施される請求項1〜11のいずれか1項
    記載の制御方法。
  13. 【請求項13】 前記除去工程がガスバブリング方式で
    実施される請求項1〜12のいずれか1項記載の制御方
    法。
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