JP5014239B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体のオリフィス通路を通じての流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に互いに異なる周波数域の振動に対して防振効果を発揮するようにチューニングされた複数のオリフィス通路を備えた流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等の防振装置の一種として、流体封入式防振装置が知られている。この流体封入式防振装置では、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室が形成されて、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されている。また、受圧室と平衡室はオリフィス通路を通じて相互に連通されており、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいてオリフィス効果である防振効果が発揮されるようになっている。かくの如き流体封入式防振装置は、例えば、自動車用のエンジンマウントやボデーマウント、デフマウント、サスペンションメンバマウント、サスペンションブッシュ等への適用が検討されている。
ところで、上述の流体封入式防振装置においては、例えば自動車用エンジンマウントへの適用に際して、自動車の走行状態に応じてエンジンシェイク等に相当する低周波振動や、アイドリング振動や走行こもり音等に相当する中乃至高周波振動等の異なる周波数域の振動に対して、それぞれ、防振性能が要求される。しかし、オリフィス通路による有効な防振効果は特定のチューニング周波数域で発揮されるため、複数種類の振動に対する高度な防振効果を実現することが難しい。特に、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波側の振動が入力されると、オリフィス通路を通じての流体の***振作用によって流動抵抗が著しく増大してしまい、マウント特性が大幅に高動ばね化して防振性能が低下する問題があった。
このような問題に対処するために、本出願人は、特許文献1(特開2005−233243号公報)において、低周波数域にチューニングした第一のオリフィス通路と高周波数域にチューニングした第二のオリフィス通路を並設すると共に、第二のオリフィス通路の受圧室または平衡室への開口部に可動部材を配設して流体流動量を制限した構造を提案した。この特許文献1記載の流体封入式防振装置では、例えば、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動に対しては、第二のオリフィス通路の流体流動量が制限されて第一のオリフィス通路による防振効果が発揮される一方、アイドリング振動等の高周波小振幅振動に対しては、第二のオリフィス通路による防振効果が発揮される。
ところが、かかる特許文献1記載の流体封入式防振装置に対しても、更なる防振性能の向上が要求される場合があった。具体的には、第一のオリフィス通路による低周波振動に対する防振効果の更なる向上を、第二のオリフィス通路による中乃至高周波振動に対する防振性能を確保しつつ、しかも、異音等の問題を伴うことなく、達成することが要求されている。
ところで、第一のオリフィス通路による防振効果の更なる向上のためには、低周波大振幅振動の入力時に可動部材の変位を確実に抑えて第二のオリフィス通路を通じての流体流動量を確実に制限することが有効である。また、可動部材の変位を確実に抑えるためには、例えば可動部材の支持ばね剛性を大きくして、可動部材の変位を小さく抑えることが有効である。しかしながら、小振幅振動入力時には、第二のオリフィス通路による中乃至高周波振動に対する防振効果を確保するために、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量を、小さな流動抵抗で充分に確保することが必要であり、かかる目的からは、可動部材の支持ばね剛性を小さくすることが望ましい。それ故、第一のオリフィス通路による防振効果の更なる向上のために、単純に、可動部材の支持ばね剛性を大きくすることは、第二のオリフィス通路による防振効果の低下につながり、採用し難い。
一方、小振幅振動入力時には可動部材が容易に変位し得るようにすると共に、大振幅振動の入力時には可動部材の変位が確実に阻止されるように、可動部材自体を硬質板構造とすると共に、小振幅振動入力時における変位量分だけ可動部材が板厚方向に自由に変位し得るように、可動部材を板厚方向に微小隙間をもって変位可能に配設することも考えられる。しかしながら、可動部材を微小隙間をもって変位可能に配設すると、かかる微小隙間を通じての流体の逃げが発生してしまい、その逃げ分だけ、大振幅振動の入力時における第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が少なくなって第一のオリフィス通路による防振効果が充分に発揮され難くなるという問題がある。加えて、可動部材を板厚方向に微小変位可能に配設すると、大振幅振動の入力時に可動部材が打ち当たって大きな打音や衝撃を発生することが問題となり易い。
なお、上記特許文献1において、本出願人は、硬質板で補強した可動部材を微小変位可能に配設すると共に、この可動部材の外周側に広がるゴム薄膜を一体形成せしめて、可動部材の外周側の微小隙間をこのゴム薄膜で閉塞することにより、可動部材の外周側の微小隙間を通じての流体の逃げを防止せしめた構造を提案した。しかしながら、可動部材の外周側のゴム薄膜は、弾性変形によって受圧室の圧力を逃がすことになるから、第一のオリフィス通路の防振効果を、未だ充分に向上させることが難しい場合があったのである。
特開2005−233243号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、低周波数域の大振幅振動に対する防振効果を発揮する第一のオリフィス通路と中乃至高周波数域の小振幅振動に対する防振効果を発揮する第二のオリフィス通路とを併せ備えた流体封入式防振装置において、以下に記載の如き目的(i),(ii),(iii)を達成し、防振特性の更なる向上を実現することにある。
(i) 低周波数域の大振幅振動の入力時には、第二のオリフィス通路への流体の逃げを抑えて第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を充分に確保することにより、第一のオリフィス通路による防振効果の更なる向上を図ること。
(ii) 上記(i)において第二のオリフィス通路への流体の逃げを抑えるに際して、可動部材の打音や衝撃の発生を防止すること。
(iii)中乃至高周波数域の小振幅振動の入力時には、第二のオリフィス通路を通じての流体流動に対する可動部材の抵抗を抑えて、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量を確保することにより、第二のオリフィス通路による防振効果の更なる向上を図ること。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材で支持された仕切部材の一方の側において該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室が形成されると共に、該仕切部材の他方の側において壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室が形成されており、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されていると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式防振装置において、前記オリフィス通路として第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を設けると共に、該第二のオリフィス通路の前記受圧室への開口部分において開口方向に対して直交する方向に広がる円板形状の可動板部材を前記仕切部材に対して板厚方向に変位可能に配設せしめて、該可動板部材における該第二のオリフィス通路の開口方向となる板厚方向への変位量を該仕切部材への当接で制限することにより小振幅振動の入力時における該第二のオリフィス通路を通じての流体流動を許容すると共に大振幅振動の入力時における該第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を確保する流体流動量制限機構を構成する一方、硬質の拘束板に対して膜状ゴムを被着せしめて該可動板部材を構成し、該拘束板は外径寸法を周方向に異ならせて小径部と大径部が周方向で交互に設けられた異形状として、該拘束板における該小径部の形成部分を膜状ゴムの単層構造からなる弾性膜部とすると共に、該可動板部材の外周部分において周上の複数箇所に設けられた該弾性膜部には板厚方向両側に突出する弾性当接突部を一体形成して該可動板部材の板厚方向への変位に際してそれら複数の弾性当接突部が該仕切部材に対して最初に当接せしめられるようにすると共に、それら複数の弾性当接突部を周方向につないで該可動板部材の外周部分を周方向に延びる控え弾性突条を該拘束板の該大径部上において該弾性膜部と一体形成して該可動板部材の板厚方向への変位に際して該弾性当接突部に続いて該控え弾性突条が該仕切部材に対して当接せしめられるようにし、更に、該控え弾性突条にはその周上の複数箇所において該拘束板の該大径部上を径方向内方に向かって延び出す内方延出突条を一体形成し、該可動板部材の板厚方向への変位に際して該内方延出突条も該仕切部材に対して当接せしめられるようにすると共に、前記拘束板における前記大径部の上において、該大径部の外周縁部に沿って周方向に延びるようにして前記控え弾性突条が形成すると共に、該大径部の周方向両側縁部に沿って径方向に延びるようにして前記内方延出突条が形成した流体封入式防振装置にある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、低周波数域の大振幅振動の入力時には、流体流動量制限機構によって第二のオリフィス通路を通じての流体流動が確実に制限されることにより、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が充分に確保され得て、前述の本発明の目的(i)が有効に達成される。
すなわち、低周波数域の大振幅振動の入力時には、可動板部材の一方の面に受圧室の圧力が及ぼされるが、この可動板部材の弾性変形が拘束板で抑えられていると共に、拘束板の大径部が控え弾性突条と内方延出突条を介して仕切部材に当接することによって、該拘束板が直接的に変位制限されることとなる。それ故、可動板部材の変位量が確実に制限されて、可動板部材の変位に伴う受圧室の圧力の逃げが阻止される。しかも、拘束板の外周縁部において、弾性当接突部を周方向に繋ぐようにして控え弾性突条が形成されていることから、控え弾性突条が仕切部材に当接した状態では、可動板部材の外周縁部と仕切部材の間が全周に亘って実質的に密着状態となる。それ故、可動板部材の外周部分において仕切部材との間に隙間があっても、そこからの受圧室の圧力の逃げは可及的に防止される。従って、低周波数域の大振幅振動の入力時には、流体流動量制限機構を構成する可動板部材による受圧室の圧力の逃げが確実に防止されることとなり、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が充分に確保されることによって、第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が一層効果的に発揮されるのである。
しかも、低周波数域の大振幅振動の入力時に、可動板部材は、弾性当接突部の次に控え弾性突条と内方延出突条が仕切部材に対して当接することにより、かかる当接に際して段階的な緩衝機能が発揮される。加えて、弾性当接突部は、拘束板を外れて形成されていることから、柔らかいばね特性によって優れた緩衝機能を発揮し得る。これにより、可動板部材が仕切部材に対して当接して変位制限される際にも、打音や衝撃の発生が効果的に防止されることとなり、前述の本発明の目的(ii)が有効に達成され得る。
さらに、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、中乃至高周波数域の小振幅振動の入力時には、可動板部材による抵抗が充分に小さく抑えられて、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が充分に確保されることにより、前述の本発明の目的(iii)が有効に達成される。
すなわち、中乃至高周波数域の小振幅振動の入力時には、可動板部材の一方の面に及ぼされる受圧室の圧力で可動板部材が変位することとなり、この可動板部材の変位量に対応する流体量が第二のオリフィス通路を流動せしめられることとなる。ここにおいて、可動板部材は拘束板で補強されているが、弾性当接突部の形成部分は拘束板を外れた膜状ゴムの単層構造からなる弾性膜部とされているから、控え弾性突条が当接するまでの変位領域では非常に柔らかいばね特性が発揮されて、小さな抵抗力で容易に変位許容される。しかも、拘束板の配設領域の全体が変位せしめられることから、かかる変位に基づいて第二のオリフィス通路に流動せしめられる流体量が効率的に確保される。加えて、控え弾性突条が当接するまでの可動板部材の変位領域では、可動板部材の外周側を回り込んで受圧室から直接に第二のオリフィス通路に至る流体流動も許容され得ることから、可動板部材の変位相当量以上の流体流動量を第二のオリフィス通路において確保することも可能である。
しかも、可動板部材の外周部分の表面には、径方向に延びる内方延出突条が突設されており、これらの内方延出突条によって、可動板部材の変位等に伴って可動板部材の表面に惹起される流体流動の整流作用が発揮されることとなる。そして、この整流作用に基づいて、可動板部材の変位に対する流体抵抗や、可動板部材の周囲に生ぜしめられる流体流動抵抗も軽減されることから、上述の如き可動板部材の変位に伴って第二のオリフィス通路に惹起される流体流動量や、可動板部材の外周側を回り込んで第二のオリフィス通路に惹起される流体流動量が、何れも、一層効果的に確保され得て、前述の本発明の目的(iii)が一層効果的に達成されるのである。
さらに、本発明の構造によれば、控え弾性突条および内方延出突条を、拘束板において中心から最も離れた外周縁部分に対して効率的に配設することが出来る。その結果、控え弾性突条および内方延出突条の仕切部材への当接により、拘束板の全体をバランス良く且つ高強度で変位規制することが可能となる。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前述の如き特徴的な構成に加え、例えば、前記控え弾性突条および前記内方延出突条が何れも前記弾性当接突部に比して小さい高さ寸法で前記拘束板から板厚方向両側に突出している構造が、採用され得る。
このような構造によれば、可動板部材の弾性当接突部や控え弾性突条や内方延出突条が当接せしめられる仕切部材側の当接面の全体を、可動板部材の変位方向となる板厚方向に直交する平坦面形状で形成することが可能となる。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前述の如き特徴的な構成に加え、例えば、前記仕切部材には径方向内方に開口して周方向に延びる環状の支持周溝が形成され、前記可動板部材の外周部分が該支持周溝に差し入れられて支持されており、該可動板部材における前記弾性当接突部の突出先端面が該支持周溝の両側壁内面に当接されていると共に、前記控え弾性突条および前記内方延出突条の各突出先端面が何れも該支持周溝の両側壁内面に対して隙間をもって対向せしめられている構造が、採用され得る。
更に、そのような環状の支持周溝を採用するに際しては、例えば、前記可動板部材の外周面と前記支持周溝の内周面との径方向対向面間に径方向隙間が設けられており、振動が入力されていない静置状態下において、この径方向隙間を通じて前記受圧室が前記第二のオリフィス通路に連通されている構成も、併せて採用され得る。
かくの如き環状の支持周溝による可動板部材の支持構造を採用すれば、可動板部材の外周部分を支持すると共に、可動板部材における弾性当接突部や控え弾性突条や内方延出突条の仕切部材に対する当接面を、容易に形成することが出来る。また、可動板部材の外周面上に設けられた径方向隙間を通じての受圧室から第二のオリフィス通路への流体流路も、支持周溝の内面に沿って短い流路長で形成されることから、前述の如き中乃至高周波数域の小振幅振動の入力時におけるかかる径方向隙間を通じての流体流動が、一層小さな流動抵抗でより効率的に生ぜしめられ得て、第二のオリフィス通路による防振効果の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前述の如き特徴的な構成に加え、例えば、前記仕切部材の外周部分を周方向に延びるようにして前記第一のオリフィス通路が形成されている一方、該第一のオリフィス通路から独立して該第一のオリフィス通路の内周側を周方向に延びるように前記第二のオリフィス通路が形成されており、該第二のオリフィス通路における前記受圧室への開口部分が該仕切部材の中央に設けられ、かかる開口部分に前記可動板部材が配設されている構造が、採用され得る。
このような構造によれば、可動板部材の配設位置において、第二のオリフィス通路の流体流動方向が可動板部材の変位方向となる板厚方向とされる。それ故、受圧室の圧力作用に基づく可動板部材の変位により、第二のオリフィス通路における流体流動が一層効率的に生ぜしめられて、第二のオリフィス通路による防振効果の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前述の如き特徴的な構成に加え、例えば、前記第二のオリフィス通路には、長さ方向の中間部分で該第二のオリフィス通路と前記平衡室とを隔てる隔壁部分に開口窓が形成されていると共に、該開口窓が仕切弾性膜で流体密に閉塞されており、該仕切弾性膜の弾性変形に基づいて該第二のオリフィス通路における液圧吸収機構が構成されている構造が、採用され得る。
このような構造によれば、受圧室から可動板部材を介して第二のオリフィス通路に及ぼされる圧力変動が、第二のオリフィス通路上に配された弾性仕切膜を介して平衡室に短絡的に逃がされる。それ故、第二のオリフィス通路のチューニング周波数よりも更に高周波数域の振動入力時にも、第二のオリフィス通路の***振による著しい高動ばね化を回避して、低ばね特性による防振性能を得ることが可能となる。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前述の如き特徴的な構成に加え、例えば、前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部側に前記第一の取付部材が離隔配置されて前記本体ゴム弾性体で弾性連結されることによって該筒状部の該一方の開口部が流体密に閉塞されると共に、該筒状部の他方の開口部側に前記可撓性膜が配設されて該筒状部の該他方の開口部が該可撓性膜で流体密に閉塞されている一方、前記仕切部材が該筒状部に組み付けられて該筒状部の内側における該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間の領域を仕切ることで該仕切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室が形成されていると共に、該仕切部材によって前記可動板部材が支持されて該受圧室と該平衡室の対向方向で変位可能に配設されている構造が、採用され得る。
このような構造によれば、受圧室と平衡室の対向方向を振動の入力方向にあわせることが出来、更に、可動板部材の変位方向もかかる振動の入力方向に設定することが出来る。これにより、受圧室と平衡室の圧力変動を可動板部材に対して簡単な構造で効率的に及ぼすことが可能となり、防振装置全体のサイズもコンパクトに設計することができる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ、詳細に説明する。先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。この自動車用エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された基本構造を備えている。かかるエンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない自動車の車両ボデーに取り付けられることによって、自動車に装着されることとなる。そして、かかる自動車用エンジンマウント10を含む複数のエンジンマウントを介して、パワーユニットが車両ボデーに防振支持される。
なお、図1では、自動車に装着する前の自動車用エンジンマウント10の単体での状態が示されているが、自動車への装着状態では、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14がマウント軸方向で相互に接近する方向に変位して、本体ゴム弾性体16が弾性変形する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、逆向きの円錐台形状とされている。第一の取付金具12の大径側の上端面には、中央から上方に向かって固定ボルト18が突設されており、この固定ボルト18が図示しないパワーユニット側の部材に固着されることにより、第一の取付金具12がパワーユニットに取り付けられるようになっている。
また、第二の取付金具14は、第一の取付金具12よりも大径の略円筒形状を有しており、その略全体で筒状部を構成している。第二の取付金具14の上部において、径方向内方に向かって円環形状に広がる段部20が形成されていると共に、段部20の内周縁部から上方に向かって径寸法が次第に大きくなるテーパ筒状部22が形成されており、更にテーパ筒状部22の上端縁部には、外フランジ状部24が形成されている。
更にまた、第二の取付金具14には、ブラケット金具26が外嵌固着されている。ブラケット金具26は、大径の略有底円筒形状を有しており、その上端部に外フランジ状部28が形成されていると共に、ブラケット金具26の外周面に複数の脚部30が固設されている。このブラケット金具26に対して第二の取付金具14が下端部側から圧入されて、第二の取付金具14の外フランジ状部24がブラケット金具26の外フランジ状部28に軸方向で重ね合わされていることにより、第二の取付金具14の下端部がブラケット金具26の底部から上方に所定距離を隔てて位置せしめられた形態で、ブラケット金具26が第二の取付金具14に固定されている。
そして、ブラケット金具26の脚部30が、図示しない車両ボデー側の部材にボルト等で固定されることにより、第二の取付金具14がブラケット金具26を介して車両ボデーに取り付けられるようになっている。
かくの如き第二の取付金具14の上側開口部の外方に離隔して、第一の取付金具12が配設されている。これら第一の取付金具12と第二の取付金具14は、略同一の中心軸上に配設されており、本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結されている。
かかる本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有しており、その小径側の上端部に対して、第一の取付金具12が上端面を露出せしめられた状態で、略全体を埋め込まれて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面に対して、第二の取付金具14の内周面が、テーパ筒状部22や段部20において加硫接着されている。
本実施形態では、本体ゴム弾性体16が第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されており、第二の取付金具14の上側の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側の下端面には、下方に開口する略逆すり鉢形状の大径凹所32が形成されている。更に、本体ゴム弾性体16には、大径凹所32の開口縁部から第二の取付金具14の内周面に沿って軸方向下方に延び出す薄肉のシールゴム層34が一体形成されており、このシールゴム層34が、第二の取付金具14における段部20や段部20の外周縁部から第二の取付金具14の下端部付近に至るまでの略全面に被着されている。
上述の如くブラケット金具26が第二の取付金具14に取り付けられるのに先立って、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、仕切部材36と可撓性膜としてのダイヤフラム38が組み付けられている。仕切部材36は、全体として略円形ブロック状を呈しており、金属材や合成樹脂材等からなる硬質部材を用いて形成されている。本実施形態の仕切部材36は、仕切部材本体40、第一蓋部材42、第二蓋部材44を含んで構成されている。
仕切部材本体40は、図2〜6にも示されているように、略円形ブロック状を呈しており、その中心軸上には、中央流路46が貫通形成されている。特に、中央流路46は、仕切部材本体40の下端面から一定の円形断面で延びていると共に、上側開口部分が、上方に向かって拡開するテーパ状部48とされている。また、テーパ状部48の大径側の開口端部は、段差状に拡開されて溝底凹所50とされている。溝底凹所50は、径方向外方に広がる円環状の底部と該底部の外周縁部から円筒状に立ち上がる周壁部を備えている。
また、仕切部材本体40の外周面には、上下二段でそれぞれ周方向に延びる外周溝52,54が形成されており、これら外周溝52,54が各周方向一方の端部において相互に直列的に接続されている。更に、これら外周溝52,54で協働形成された所定長さの溝は、その両端部が連通溝58、60を通じて、仕切部材本体40の軸方向の各一方の端面に開口せしめられている。
更にまた、仕切部材本体40の下端面には、径方向中間部分を周方向に一周弱の長さで延びる中間周溝62が形成されている。この中間周溝62の周方向一方の端部は、径方向溝64を通じて、中央流路46の下端部に接続されている。
そして、かくの如き仕切部材本体40の上面に対して、第一蓋部材42が重ね合わされている。この第一の蓋部材42は、図7にも示されているように、薄肉の略円板形状を有しており、その外径寸法が仕切部材本体40の外径寸法と略同じとされている。また、第一蓋部材42の中央部分には、円形の中央透孔70が貫通形成されている。この中央透孔70の内径寸法は、仕切部材本体40に形成された溝底凹所50の開口径寸法より小さくされており、溝底凹所50の底部の内径寸法、換言するとテーパ状部48の大径側端部の外径寸法と略同じとされている。更にまた、第一蓋部材42の外周部分には、切り欠き状の第一連通窓72が形成されている。
かかる第一蓋部材42は、仕切部材本体40の上面に対して、周方向に位置合わせされて組み付けられている。特に本実施形態では、仕切部材本体40の上面に突設された複数本の位置決め突起66が、第一蓋部材42の対応位置に貫設された各挿通孔74に係合されることにより、周方向の位置合わせがされている。そして、この第一蓋部材42が仕切部材本体40の上面に固着されることにより、溝底凹所50の開口部分が第一蓋部材42の内周縁部で覆われており、中央流路46の上側開口部分において、仕切部材36の径方向内方に開口して周方向に連続に延びる円環形状の支持周溝82が形成されている。
さらに、仕切部材本体40の下面には、第二蓋部材44が重ね合わされている。この第二蓋部材44は、図8にも示されているように、薄肉の略円板形状を有しており、その外径寸法が、仕切部材本体40の下端面より小さいが、仕切部材本体40に形成された中間周溝62を覆蓋せしめるに充分な大きさとされている。
なお、第二蓋部材44の外周縁部には、仕切部材本体40に形成された連通溝60を開口させるための切り欠き状の第二連通窓76が形成されている。また、第二蓋部材44の径方向中間部分には、連通孔78が貫設されており、仕切部材本体40に形成された中間周溝62の周方向他方の端部(中央流路46への接続側と反対側の端部)が、かかる連通孔78を通じて開口せしめられている。特に本実施形態では、仕切部材本体40の下面と第二蓋部材44との各対応する位置に複数の固定用穴68と挿通孔80が形成されており、圧入ピンやボルト等によって、第二の蓋部材44が仕切部材本体40に対して位置決め固定されるようになっている。
このように第二の蓋部材44が仕切部材本体40の下面に固着されることにより、中間周溝62が第二蓋部材44で覆蓋されて、仕切部材36の軸方向に延びる中央流路46の下端部から延び出して周方向に一周弱の長さで延び、軸方向下端面に開口する中間流路84が形成されている。
そして、かくの如く仕切部材本体40の上下面に第一及び第二の蓋部材42,44が組み付けられてなる仕切部材36は、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を構成する第二の取付金具14に対して下側開口部から軸方向に差し入れられ、第二の取付金具14の縮径加工で嵌着固定されている。その組付状態下、仕切部材36における第一蓋部材42の外周部分が、本体ゴム弾性体16のシールゴム層34を介して段部20と軸方向に重ね合わされて軸方向で位置決めされている。
さらに、第二の取付金具14の下側開口部には、ダイヤフラム38が組み付けられている。かかるダイヤフラム38は、全体として弛みをもった円形の膜状とされており、ゴム弾性体で形成されている。また、ダイヤフラム38の外周縁部には、大径の略円筒形状を有する固定筒金具86が加硫接着されている。この固定筒金具86の外周面には、シールゴム層88がダイヤフラム38と一体形成されている。
そして、固定筒金具86が第二の取付金具14の下側開口部から差し入れられて、固定筒金具86が仕切部材本体40の下端面に当接されて軸方向に位置決めされている。かくの如き固定筒金具86の組付状態下で第二の取付金具14が縮径加工されることにより、第二の取付金具14の下側開口部分に対して、固定筒金具86が嵌着固定されている。これによって、第二の取付金具14の下側開口部がダイヤフラム38で流体密に覆蓋されており、第二の取付金具14の内側で本体ゴム弾性体16とダイヤフラム38の対向面間に画成された領域が、仕切部材36を挟んで上下に二分されている。
仕切部材36の上方には、本体ゴム弾性体16の大径凹所32が仕切部材36で閉塞された構造の受圧室90が形成されている。この受圧室90は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられるようになっている。
一方、仕切部材36の下方には、壁部の一部がダイヤフラム38で構成されてダイヤフラム38の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室92が形成されている。
また、これら受圧室90と平衡室92には、水やポリアルキレングリコール等の非圧縮性流体が封入されている。なお、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
更にまた、仕切部材36の外周面における外周溝52,54等の外周面が、シールゴム層34を介して、第二の取付金具14で流体密に覆蓋されることにより、仕切部材36の外周部分を周方向に一周以上の長さで略螺旋状に延びる第一のオリフィス通路94が形成されている。この第一のオリフィス通路94の一方の端部が、連通溝58と連通窓72を通じて受圧室90に連通されていると共に、他方の端部が、連通溝60と連通窓76を通じて平衡室92に連通されている。これにより、受圧室90と平衡室92の間で、第一のオリフィス通路94を通じての流体流動が許容されるようになっている。
また、仕切部材36の中央部分には、中央流路46と中間流路84が直列的に接続されて第二のオリフィス通路96が形成されている。この第二のオリフィス通路96は、第一のオリフィス通路94よりも高周波数域にチューニングされており、特に本実施形態では、第一のオリフィス通路94を通じて流動せしめられる流体の共振周波数がエンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数域にチューニングされていると共に、第二のオリフィス通路96を通じて流動せしめられる流体の共振周波数がアイドリング振動等に相当する20〜30Hz程度の中周波数域にチューニングされている。
さらに、第二のオリフィス通路96における受圧室90側への開口部分には、可動板部材98が配設されている。この可動板部材98は、図9〜12にも示されているように、全体として略円板形状を有しており、拘束板100に対して膜状ゴム102が被着された一体的な構造とされている。
拘束板100は、金属や合成樹脂等の硬質材料で形成されており、薄肉の平板形状とされている。特に本実施形態の拘束板100では、図13にも示されているように、円板形状の拘束板本体104の外周縁部から円弧板形状の板片部110の複数(本実施形態では4つ)が径方向外方に突出して一体形成されている。各板片部110は、周方向に略等間隔に形成されており、換言すれば、一枚の円板の外周縁部を、周方向で等間隔に4箇所で円弧状に切り欠いた形状とされている。更に換言すれば、かかる拘束板100は、その周上において板片部110が形成されていない部分の小径部112と、板片部110としての大径部とが、周方向に交互に設けられた異形状とされている。
特に本実施形態では、小径部112の外径寸法が、仕切部材36における支持周溝82の上下両側壁部の内径寸法(即ち、溝底凹所50における円環状下面の内径寸法および第一蓋部材42の内径寸法)と同じか僅かに小さく設定されている。一方、大径部(板片部)110の外径寸法は、仕切部材36における支持周溝82の上下両側壁部内径寸法よりも大きく、且つ支持周溝82の底面(円筒状面)の内径寸法よりも小さく設定されている。
さらに、拘束板100の全面を全体に亘って覆うようにして膜状ゴム102が加硫接着されている。なお、拘束板100には、適当な位置に複数の貫通孔108が形成されており、この貫通孔108に充填されたゴムによって、拘束板100の表裏両側を覆う膜状ゴム102が相互に一体化されている。
膜状ゴム102によって拘束板100が覆われることにより、可動板部材98が全周に亘って外径寸法が一定の円板形状とされており、その外径寸法が、仕切部材36における支持周溝82の底面(円筒状面)の内径寸法よりも僅かに小さくされている。また、膜状ゴム102は、拘束板100の表面を覆うだけでなく、小径部112の外周側において周方向で隣り合う大径部110,110の間を充填するように広がっており、そこに拘束板100の埋設領域と同じ平板状のゴム単体からなる弾性膜部114を形成している。要するに、この弾性膜部114は、拘束板100が埋設されていないことにより、弾性変形が容易に許容されるようになっているのである。また、この弾性膜部114は、全ての小径部112の外周側に形成されており、弾性膜部114の表裏両面は、何れも、拘束板100の埋設領域において拘束板100の表裏に被着された膜状ゴム102の表面と同一平面とされている。それによって、小径部112と大径部110との何れの部位に拘わらず全体として外径寸法が一定の円板形状を有する可動板部材98が形成されている。
また、各弾性膜部114には、中央部分において表裏両面にそれぞれ突出する弾性当接突部118,118が一体形成されている。本実施形態では、弾性当接突部118が略円弧形又は略矩形の平面形状を有するブロック状とされており、その基端側の外周縁部が、拘束板100の外周縁部から離れた位置に設定されている。これにより、弾性当接突部118の周囲には、拘束板100で拘束されずに弾性膜部114の弾性変形が許容される領域が設けられている。また、弾性当接突部118の突出先端面は、略平坦な当接面とされている。
更にまた、可動板部材98の外周縁部には、表裏両面においてそれぞれ周方向に延びる控え弾性突条120,120が、膜状ゴム102に対して一体形成されている。かかる控え弾性突条120は、可動板部材98の外周縁部に突設された複数の弾性当接突部118の間を周方向に連続して延びるように円弧帯状に形成されている。また、この控え弾性突条120は、その幅方向(可動板部材98の径方向)の少なくとも一部(本実施形態では、殆ど全部)が、拘束板100における大径部110の外周縁部の上に位置せしめられている。要するに、大径部110の形成部分では、控え弾性突条120が、大径部110の外周縁部を周方向に延びるようにして形成されているのである。
なお、控え弾性突条120は、一定の断面形状で形成されており、好適には、半円形状や台形状などの先細の断面形状をもって形成される。また、控え弾性突条120の突出高さは、弾性当接突部118の突出高さよりも小さくされている。
さらに、可動板部材98の外周部分には、表裏両面において、それぞれ、径方向に所定長さで延びる内方延出突条122が、周方向で互いに所定距離を隔てて複数形成されている。これらの内方延出突条122は、控え弾性突条120から径方向内方に向かって一定の断面形状で延び出して形成されている。また、何れの内方延出突条122も、拘束板100における大径部110の上に形成されており、特に本実施形態では、各大径部110の周方向両側縁部に沿って延びるように形成されており、板片部110の径方向基端部と略同じ径方向位置に至るまで径方向内方に向かって延び出している。
なお、内方延出突条122も、控え弾性突条120と同様に、先細の断面形状をもって形成されることが望ましい。また、内方延出突条122の突出高さは、控え弾性突条120の突出高さと同じにされている。
上述の如き弾性当接突部118,控え弾性突条120,内方延出突条122が表裏の外周部分にそれぞれ形成された可動板部材98は、仕切部材36における第二のオリフィス通路96の受圧室90側への開口部分に配設されている。かかる配設状態下、可動板部材98の外周部分が、仕切部材36の支持周溝82に差し入れられて組み付けられており、第二のオリフィス通路96の受圧室90側への開口部分である第一蓋部材42の中央透孔70を可動板部材98が略蓋するようになっている。
本実施形態では、可動板部材98における最大厚さ寸法である表裏の弾性当接突部118,118の両突出面間距離が、仕切部材36の支持周溝82の両側壁の対向内面間距離と同一かそれよりも大きくされている。これにより、可動板部材98の仕切部材36への組付状態下、可動板部材98の表裏の弾性当接突部118,118の各突出先端面が、支持周溝82の両側壁の対向内面に対して当接されている。
一方、可動板部材98における表裏の控え弾性突条120および内方延出突条122は、その突出先端面が、仕切部材36の支持周溝82の両側壁の対向内面に対して僅かな距離を隔てて非当接状態で対向位置せしめられている。
かかる可動板部材98は、その上面(表面)に対して受圧室90の圧力が、第一蓋部材42の中央透孔70を通じて作用せしめられるようになっていると共に、その下面(裏面)に対しては、第二のオリフィス通路96を通じて、平衡室92の圧力が及ぼされるようになっている。そして、可動板部材98は、その表裏両面に及ぼされる圧力差に基づいて、表裏の弾性当接突部118,118の弾性変形によって、板厚方向に変位せしめられることとなる。
ここにおいて、可動板部材98は、弾性当接突部118の形成部分回りを除く略全体に亘って拘束板100で補強されており、変形が実質的に阻止されていることから、表裏の作用圧力差に基づく上述の如き板厚方向への変位が、可動板部材98の全体として生ぜしめられるようになっている。
また、可動板部材98の板厚方向への変位量がある程度大きくなると、弾性当接突部118の当接に続いて、控え弾性突条120および内方延出突条122も、仕切部材36の支持周溝82の両側壁の対向内面に対して当接せしめられる。これにより、可動板部材98の変位に対する弾性的な抵抗力が大きくなり、非線形的に増大したばね特性によって可動板部材98の変位が抑えられる。
ここにおいて、控え弾性突条120と内方延出突条122は、弾性当接突部118が先に仕切部材36に当接してその弾性に基づいて可動板部材98の変位を弾性的に抑えたあとに仕切部材36に当接することから、可動板部材98の変位抑制が二段階のばね特性をもって非線形的に作用せしめられることとなる。それ故、控え弾性突条120や内方延出突条122の仕切部材36への当接に際しての衝撃や異音の発生が効果的に低減され得る。
しかも、初期における弾性当接突部118の当接時には、その周囲に形成されたゴム単体からなる薄肉の弾性膜部114における剪断変形によって非常に柔らかいばね特性が発揮される一方、後から仕切部材36に当接する控え弾性突条120と内方延出突条122は、拘束板100の面上に形成されており、圧縮変形によって硬いばね特性が発揮される。それ故、それら弾性当接突部118と控え弾性突条120および内方延出突条122との仕切部材36への当接に際して、非線形的なばね特性が効率的に発揮され得るのである。
加えて、控え弾性突条120および内方延出突条122は、拘束板100において最も径方向外方に位置せしめられている各大径部110の周縁部に沿って形成されていることから、これら控え弾性突条120と内方延出突条122が仕切部材36に当接することにより、拘束板100の全体に対して変位制限効果が効率的に且つ安定して作用せしめられることとなり、可動板部材98の変位量が一層効果的に実現され得る。
そして、上述の如き弾性当接突部118と控え弾性突条120および内方延出突条122の仕切部材36への当接の後、更に可動板部材98の変位量が大きくなった場合には、可動板部材98の外周部分の略全体が、支持周溝82の上下両側壁部の対向内面に対して当接せしめられる。この当接部分には、拘束板100の各大径部110が配設されていることから、可動板部材98に対して確実な変位量の制限効果が発揮されるのである。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、自動車の走行状態下、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、可動板部材98に受圧室90の大きな圧力が及ぼされて拘束板100が板厚方向に大きく変位し、弾性当接突部118や控え弾性突条120及び内方延出突条122が仕切部材36に当接せしめられて可動板部材98の変位が実質的に拘束される。これにより、第二のオリフィス通路96を通じての流体流動量が制限されて、それ以上の受圧室90の圧力変動分により、第一のオリフィス通路94を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。この第一のオリフィス通路94を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイクに対する防振効果が発揮されるのである。
ここにおいて、可動板部材98の変位量制限に際しては、前述の如き弾性当接突部118や控え弾性突条120及び内方延出突条122による緩衝作用により、可動板部材98の仕切部材36に対する当接に伴う異音や振動の発生が効果的に防止される。しかも、前述の如き拘束板100の補強作用により、可動板部材98の弾性変形等に起因する必要以上の受圧室90の圧力の逃げが防止されることにより、第一のオリフィス通路94を通じての流体流動量が確実且つ安定して確保され得て、第一のオリフィス通路94による目的とする防振効果が一層効果的に発揮され得るのである。
また、本実施形態の自動車用エンジンマウント10に対して、アイドリング振動に相当する中周波中振幅振動が入力された場合には、第一のオリフィス通路94が***振的な作用によって実質的に閉塞状態とされる。一方、弾性当接突部118や控え弾性突条120及び内方延出突条122の弾性変形に基づいて許容される可動板部材98の変位によって、かかる変位に相当する量の容積変化が受圧室90から第二のオリフィス通路96に伝達される。これにより、第二のオリフィス通路96を通じての流体流動が生ぜしめられて、かかる流体の共振作用に基づいてアイドリング振動に対する防振効果が発揮されるのである。即ち、本実施形態では、流体流動量制限機構が、可動板部材98を含んで構成されている。
ここにおいて、可動板部材98は、その略全体に拘束板100が配設されており、拘束板100を外れた位置において弾性当接突部118で弾性支持されていることから、弾性当接突部118の当接状態下でも拘束板100の配設領域となる略全体が容易に変位することとなる。それ故、アイドリング振動の入力時には、小さな流動抵抗のもとで第二のオリフィス通路96を通じての流体流動量が効率的に確保可能であり、第二のオリフィス通路96を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が有効に発揮され得る。
加えて、本実施形態では、可動板部材98の外周面と支持周溝82の底面との径方向対向面間に僅かな隙間が設けられており、控え弾性突条120や内方延出突条122が仕切部材36に当接する前の状態下では、可動板部材98の外周縁部を回り込んでかかる隙間を通じて、受圧室90と第二のオリフィス通路96との間での直接的な流体流動も許容される。それ故、第二のオリフィス通路96を通じての流体流動量の確保とそれに基づく防振効果の向上が、一層効果的に達成され得るのである。
また、可動板部材98の表面上に突設された内方延出突条122は、径方向に延び出していることから、可動板部材98の変位に際し、特に可動板部材98の外周部分と支持周溝82の上下両側壁部内面との対向面間において支持周溝82を出入り方向に流動せしめられる流体に対して、これら内方延出突条122による整流効果が発揮される。これにより、可動板部材98の変位に際しての流体による抵抗が軽減されて、受圧室90の圧力変動に対する可動板部材98の変位追従性能が向上されることにより、例えばアイドリング振動の入力時における可動板部材98の変位に伴う第二のオリフィス通路96を通じての流体流動に対する抵抗の更なる低減が図られ得る。
次に、図14には、本発明の流体封入式防振装置に係る第二の実施形態としての自動車用エンジンマウント130が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材及び部位については、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、第二のオリフィス通路96を構成する中央流路46の下端開口部を覆蓋する第二蓋部材44の中央部分に開口窓としての下側中央透孔132が貫通形成されている。更に、この下側中央透孔132の形成部位に仕切弾性膜としての弾性ゴム膜134が配されており、弾性ゴム膜134の外周縁部が下側中央透孔132の開口周縁部に加硫接着されることによって、下側中央透孔132が弾性ゴム膜134で流体密に閉塞されている。
この弾性ゴム膜134は、そのばね剛性が適当に調節されることにより、第二のオリフィス通路96のチューニング周波数域では、受圧室90から可動板部材98を介して第二のオリフィス通路96に及ぼされる圧力変動に対して充分な剛性を発揮し得るようになっており、第二のオリフィス通路96を通じての流体流動量が確保されて、第一の実施形態と同様に第二のオリフィス通路96を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
一方、走行こもり音等の第二のオリフィス通路96のチューニング周波数を超えた高周波数域の小振幅振動の入力時には、第二のオリフィス通路96の***振作用に基づいて第二のオリフィス通路96が実質的に閉塞状態とされることに伴い、受圧室90から可動板部材98を介して第二のオリフィス通路96に及ぼされる圧力変動が過大となることにより、かかる弾性ゴム膜134が弾性変形するようになっている。この弾性ゴム膜134の弾性変形により、第二のオリフィス通路96に及ぼされた過大な圧力変動が、第二のオリフィス通路96を構成する中間流路84を通ずることなく、第二のオリフィス通路96の途中から短絡的に平衡室92に逃がされることとなる。
その結果、受圧室90の圧力変動が可動板部材98から第二のオリフィス通路96へ及ぼされて弾性ゴム膜134を通じて平衡室92に逃がされ、第二のオリフィス通路96の実質的な閉塞化に起因する受圧室90における過大な圧力発生が軽減乃至は回避される。これにより、走行こもり音等の高周波小振幅振動に対しても、良好な防振性能が維持され得るのである。
特に、本実施形態では、受圧室90から第二のオリフィス通路96に圧力伝達する可動板部材98の変位方向と、第二のオリフィス通路96の途中から平衡室92に圧力伝達する弾性ゴム膜134の変形変位方向とが同じ方向とされると共に、それら可動板部材98と弾性ゴム膜134が、振動入力方向で中央流路46の流体流動方向に所定距離を隔てて互いに重なるように直列的に配設されていることから、可動板部材98と弾性ゴム膜134を介しての、受圧室90から平衡室92への短絡的な圧力の逃げが効率的に且つ速やかに許容されることとなり、目的とする高周波数域の低動ばね化が一層効果的に達成され得る。
なお、かくの如き高周波小振幅振動の入力時において、受圧室90と平衡室92との間には、弾性ゴム膜134の変形変位に相当する流量分だけ中央流路46を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。それ故、この中央流路46を、防振すべき走行こもり音等の周波数域(例えば、100〜300Hz程度の適当な周波数)にチューニングして第三のオリフィス通路を構成することも可能である。
因みに、上述の第一の実施形態の自動車用エンジンマウント10(実施例1)と、第二の実施形態の自動車用エンジンマウント130(実施例2)について、それぞれ防振特性を実測した。何れのエンジンマウント10,130においても、第一のオリフィス通路94をエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動(周波数:略10Hz、振幅:±1.0mm)にチューニングすると共に、第二のオリフィス通路96をアイドリング振動に相当する中周波中振幅振動(周波数:略25Hz、振幅:±0.1mm)にチューニングした。また、第二の実施形態の自動車用エンジンマウント130における第三のオリフィス通路としての中央流路46は、走行こもり音に相当する高周波小振幅振動(周波数:100〜300Hz、振幅:±0.03mm)よりも充分に高周波数域にチューニングした。更に、比較例として、第一の実施形態の自動車用エンジンマウント10において可動板部材98や第二のオリフィス通路96を設けずに第一のオリフィス通路94だけを設けた従来構造のものを準備した。
これら実施例1,2および比較例の各エンジンマウントについては、装着状態下で及ぼされるエンジン分担支持荷重相当の静的荷重を第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に及ぼしめた状態下で、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に防振対象とする振動を入力することによって、防振特性を測定した。具体的には、±1.0mm,±0.1mm,±0.03mmの一定振幅でそれぞれ加振させた時の周波数に対する減衰係数、絶対ばね定数を測定した。それらの測定結果を、図15〜17に示す。
これら図15〜17に示された測定結果からも理解できるように、5〜20Hzまでの低周波大振幅(±1.0mm)時振動に対しては、実施例1、2の減衰(減衰係数)が、比較例よりもブロードになっているため、減衰ピークを保持しつつ広い周波数領域で、減衰が高くなっていることがわかる。また、アイドリング振動領域に相当する20〜28Hz付近の中振幅(±0.1mm)時振動に対しては、実施例1、2の動的ばね定数(絶対ばね定数)が、比較例よりも大幅に低減されていることがわかる。さらに、100〜300Hzの高周波小振幅(±0.03mm)時振動に対しては、実施例1、2の動的ばね定数(絶対ばね定数)が、比較例と同等かそれ以下に抑えられていることがわかる。以上の結果から、アイドリング振動時の動的ばね定数を低減させることによる、低周波大振幅振動時の減衰の低下や高周波小振幅振動時の動的ばね定数のアップを招くことなく、それを負圧や電気的な切り替え機構を持たない流体封入式防振装置で成し得たことがわかる。よって、本発明に従う構造とされたエンジンマウント10,130においては、防振を目的とする複数の周波数域の振動に対して、何れも、非常に優れた防振効果を発揮し得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、可動板部材98における弾性当接突部118は、支持周溝82の上下両側壁部の対向内面に対して当初から当接状態とされている必要はなく、所定距離の隙間を隔てて対向位置せしめられていても良い。この場合でも、弾性当接突部118と、控え弾性突条120および内方延出突条122との段階的な当接に基づく緩衝的な可動板部材98の変位量制限機能等は有効に発揮され得る。
また、前記実施形態では、可動板部材98が仕切部材36に対して、支持周溝82に差し入れられた外周部分だけで支持されており、支持周溝82の溝幅方向両側の大径の開口部分を通じて、可動板部材98の中央部分が受圧室90と第二のオリフィス通路96に対して直接的に大きな面積が晒されており、それによって、特に可動板部材98に対する受圧室90の圧力伝達と、可動板部材98から第二のオリフィス通路96への圧力伝達とが、何れも効率的に行なわれるようになっていた。この圧力伝達の効率化は、可動板部材98が配設された支持周溝82と第二のオリフィス通路96との間に形成されたテーパ状部48によっても更なる向上が図られていた。尤も、これらテーパ状部48や可動板部材98の中央部分を受圧室90や第二のオリフィス通路96に対して晒す大口径の中央透孔70等の構造は、本発明において必須ではない。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントの縦断面図であって、図2のI−I断面に相当する図。 図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する仕切部材本体の平面図。 図2に示された仕切部材本体の正面図。 図2に示された仕切部材本体の底面図。 図2のV−V断面図。 図2のVI−VI断面図。 図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する第一蓋部材の平面図。 図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する第二蓋部材の底面図。 図1に示された自動車用エンジンマウントを構成する可動板部材の平面図。 図9に示された可動板部材の底面図。 図9のXI−XI断面図。 図9のXII−XII断面図。 図9に示された可動板部材を構成する拘束板の平面図。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントの縦断面図。 本発明の実施例である自動車用エンジンマウントの低周波数域の防振特性の測定結果を比較例と共に示すグラフ。 本発明の実施例である自動車用エンジンマウントの中周波数域の防振特性の測定結果を比較例と共に示すグラフ。 本発明の実施例である自動車用エンジンマウントの高周波数域の防振特性の測定結果を比較例と共に示すグラフ。
符号の説明
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、36:仕切部材、38:ダイヤフラム、40:仕切部材本体、42:第一蓋部材、90:受圧室、92:平衡室、94:第一のオリフィス通路、96:第二のオリフィス通路、98:可動板部材、100:拘束板、102:膜状ゴム、110:大径部、112:小径部、114:弾性膜部、118:弾性当接突部、120:控え弾性突条、122:内方延出突条

Claims (7)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材で支持された仕切部材の一方の側において該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室が形成されると共に、該仕切部材の他方の側において壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室が形成されており、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されていると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式防振装置において、
    前記オリフィス通路として第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を設けると共に、該第二のオリフィス通路の前記受圧室への開口部分において開口方向に対して直交する方向に広がる円板形状の可動板部材を前記仕切部材に対して板厚方向に変位可能に配設せしめて、該可動板部材における該第二のオリフィス通路の開口方向となる板厚方向への変位量を該仕切部材への当接で制限することにより小振幅振動の入力時における該第二のオリフィス通路を通じての流体流動を許容すると共に大振幅振動の入力時における該第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を確保する流体流動量制限機構を構成する一方、
    硬質の拘束板に対して膜状ゴムを被着せしめて該可動板部材を構成し、該拘束板は外径寸法を周方向に異ならせて小径部と大径部が周方向で交互に設けられた異形状として、該拘束板における該小径部の形成部分を膜状ゴムの単層構造からなる弾性膜部とすると共に、該可動板部材の外周部分において周上の複数箇所に設けられた該弾性膜部には板厚方向両側に突出する弾性当接突部を一体形成して該可動板部材の板厚方向への変位に際してそれら複数の弾性当接突部が該仕切部材に対して最初に当接せしめられるようにすると共に、それら複数の弾性当接突部を周方向につないで該可動板部材の外周部分を周方向に延びる控え弾性突条を該拘束板の該大径部上において該弾性膜部と一体形成して該可動板部材の板厚方向への変位に際して該弾性当接突部に続いて該控え弾性突条が該仕切部材に対して当接せしめられるようにし、更に、該控え弾性突条にはその周上の複数箇所において該拘束板の該大径部上を径方向内方に向かって延び出す内方延出突条を一体形成し、該可動板部材の板厚方向への変位に際して該内方延出突条も該仕切部材に対して当接せしめられるようにすると共に、
    前記拘束板における前記大径部の上において、該大径部の外周縁部に沿って周方向に延びるようにして前記控え弾性突条が形成すると共に、該大径部の周方向両側縁部に沿って径方向に延びるようにして前記内方延出突条が形成したことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記控え弾性突条および前記内方延出突条が何れも前記弾性当接突部に比して小さい高さ寸法で前記拘束板から板厚方向両側に突出している請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記仕切部材には径方向内方に開口して周方向に延びる環状の支持周溝が形成され、前記可動板部材の外周部分が該支持周溝に差し入れられて支持されており、該可動板部材における前記弾性当接突部の突出先端面が該支持周溝の両側壁内面に当接されていると共に、前記控え弾性突条および前記内方延出突条の各突出先端面が何れも該支持周溝の両側壁内面に対して隙間をもって対向せしめられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記可動板部材の外周面と前記支持周溝の内周面との径方向対向面間に径方向隙間が設けられており、振動が入力されていない静置状態下において、この径方向隙間を通じて前記受圧室が前記第二のオリフィス通路に連通されている請求項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記仕切部材の外周部分を周方向に延びるようにして前記第一のオリフィス通路が形成されている一方、該第一のオリフィス通路から独立して該第一のオリフィス通路の内周側を周方向に延びるように前記第二のオリフィス通路が形成されており、該第二のオリフィス通路における前記受圧室への開口部分が該仕切部材の中央に設けられ、かかる開口部分に前記可動板部材が配設されている請求項1乃至の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二のオリフィス通路には、長さ方向の中間部分で該第二のオリフィス通路と前記平衡室とを隔てる隔壁部分に開口窓が形成されていると共に、該開口窓が仕切弾性膜で流体密に閉塞されており、該仕切弾性膜の弾性変形に基づいて該第二のオリフィス通路における液圧吸収機構が構成されている請求項1乃至の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部側に前記第一の取付部材が離隔配置されて前記本体ゴム弾性体で弾性連結されることによって該筒状部の該一方の開口部が流体密に閉塞されると共に、該筒状部の他方の開口部側に前記可撓性膜が配設されて該筒状部の該他方の開口部が該可撓性膜で流体密に閉塞されている一方、前記仕切部材が該筒状部に組み付けられて該筒状部の内側における該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間の領域を仕切ることで該仕切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室が形成されていると共に、該仕切部材によって前記可動板部材が支持されて該受圧室と該平衡室の対向方向で変位可能に配設されている請求項1乃至の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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