JP2009243510A - 自動車用の流体封入式エンジンマウント - Google Patents

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高伸 南野
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Abstract

【課題】アイドリング状態下、高周波小振幅のアイドリング基本振動に加えアイドリング基本振動よりも低周波数域で発生する大振幅の振動に対しても有効な防振特性が得られることによって、車両乗り心地の向上が図られ得る、新規な構造の自動車用の流体封入式エンジンマウントを提供する。
【解決手段】シェイク用オリフィス通路78よりも高周波数域で且つアイドリング用オリフィス通路84よりも低周波数域にチューニングした中周波オリフィス通路86を設けると共に、流量制限部材36,38,54,56,58,60をアイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の受圧室68側の両開口部54,56,58を覆うように設け、更に隔壁弾性膜62をアイドリング用オリフィス通路84の平衡室70側の開口部46を覆うように設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のパワーユニットを車両ボデーに防振支持させるエンジンマウントに係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮され得る自動車用の流体封入式エンジンマウントに関するものである。
従来から、自動車のパワーユニットと車両ボデーの間に介装されてパワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめる自動車用エンジンマウントの一種として、流体封入式エンジンマウントが知られている。この流体封入式エンジンマウントでは、パワーユニットと車両ボデーの各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室が形成されて、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されている。これら受圧室と平衡室はオリフィス通路を通じて相互に連通せしめられており、オリフィス通路を通じての流体の共振作用等の流動作用に基づいてオリフィス効果である防振効果が発揮されるようになっている。
ところで、自動車用エンジンマウントにおいては、自動車の走行状態に応じて異なる周波数域や振幅の振動が入力されることから、複数の異なる振動に対して防振性能が要求される。かかる防振性能では、従来から知られているように、走行状態における「エンジンの剛体一次振動に相当する低周波大振幅のエンジンシェイク」と停車状態における「エンジンの爆発主成分に相当する高周波小振幅のアイドリング振動」が重視される。なお、これらエンジンシェイクやアイドリング振動に加えて、走行時のロードノイズ等に相当する、より高周波数域の微小振幅振動に対する走行こもり音の対策も検討される場合がある。具体的に例示すると、特許文献1(特開平09−310732号公報)に示されているように、オリフィス通路として、エンジンシェイクにチューニングした第一のオリフィス通路とアイドリング振動にチューニングした第二のオリフィス通路と走行こもり音にチューニングした第三のオリフィス通路を採用して、これら第二のオリフィス通路と第三のオリフィス通路における受圧室側または平衡室側の開口部分に可動部材を変位可能に配設すると共に、第三のオリフィス通路を切換手段で連通状態と遮断状態に切り換える構造が、提案されて検討されている。
ところが、本発明者が更なる検討を加えたところ、自動車のパワーユニットにおいては、アイドリング時に、エンジンの爆発に伴って発生する周期的な振動であるアイドリング基本振動(車両によって一次振動や二次振動等の場合がある。)の振幅よりも低周波数域で不定期に大きな振幅の振動が発生することがあり、これが車両乗り心地の低下に大きな問題となっていること、しかも、このアイドリング時の大振幅振動に関しては、振動周波数の相異等によりエンジンシェイクと同視することが実質的に困難であって、シェイク振動にチューニングされたオリフィス通路では対策困難であること、更に振幅の相異等によりアイドリング基本振動にチューニングされたオリフィス通路でも対策困難であることが、新たに分かったのである。
特開平09−310732号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、アイドリング状態下、高周波小振幅のアイドリング基本振動に加えアイドリング基本振動よりも低周波数域で発生する大振幅の振動に対しても有効な防振特性が得られることによって、車両乗り心地の向上が図られ得る、新規な構造の自動車用の流体封入式エンジンマウントを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、自動車のパワーユニットと車両ボデーの一方に取り付けられる第一の取付部材と、それらパワーユニットと車両ボデーの他方に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室とを形成してそれら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた自動車用の流体封入式エンジンマウントにおいて、オリフィス通路として、エンジンシェイクに相当する低周波数域にチューニングしたシェイク用オリフィス通路と、アイドリング基本振動に相当する高周波数域にチューニングしたアイドリング用オリフィス通路と、シェイク用オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域で且つアイドリング用オリフィス通路のチューニング周波数よりも低周波数域にチューニングした中周波オリフィス通路を設けると共に、受圧室におけるアイドリング用オリフィス通路及び中周波オリフィス通路の両開口部を覆うように広がって流体流動量を制限する流量制限部材を設け、更に平衡室におけるアイドリング用オリフィス通路の開口部を覆うように広がってアイドリング用オリフィス通路と平衡室を仕切る弾性変形可能な隔壁弾性膜を設けた自動車用の流体封入式エンジンマウントにある。
このような本発明に従う構造とされた自動車用の流体封入式エンジンマウントにおいては、走行状態下、低周波数域のエンジンシェイクが入力されると、受圧室と平衡室に相対的な圧力変動が生ぜしめられ、それら両室間においてシェイク用オリフィス通路を通じて流体流動作用が生ぜしめられる。ここで、エンジンシェイクの入力時には、中周波オリフィス通路とアイドリング用オリフィス通路における各受圧室側開口部を通じて流動せしめられる流体の量が流量制限部材で十分に制限されるようになっている。従って、受圧室における中周波及びアイドリング用オリフィス通路の各受圧室側開口部を通じての圧力漏れが抑えられて、シェイク用オリフィス通路の流体流動量が十分に確保される結果、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果(高減衰効果)が安定して得られる。
また、アイドリング状態下、エンジンの爆発主成分に相当する周期的な高周波小振幅のアイドリング基本振動が入力された際には、それよりも低周波数域にチューニングされたシェイク用オリフィス通路が***振的な作用により実質的に閉塞状態とされて、シェイク用オリフィス通路を通じての流体流動作用が有効に機能し得なくなる。一方、アイドリング基本振動の入力時には、中周波オリフィス通路とアイドリング用オリフィス通路において流量制限部材による流体流動量の制限機能が働かないようにされており、それによって、両オリフィス通路が受圧室に実質的に開口せしめられている程に、それら受圧室側開口部の流体流通抵抗が十分に小さくされている。ここで、中周波オリフィス通路ではアイドリング基本振動よりも低周波数域にチューニングされていることから、その***振作用に起因して流体流動作用が有効に機能し得ない。従って、隔壁弾性膜の所期の変形作用に基づいて、アイドリング用オリフィス通路を通じての受圧室と平衡室の間における流体の共振作用等の流動作用が有効に生ぜしめられ、アイドリング基本振動に対して有効な防振効果(低動ばね化による振動絶縁効果)が発揮され得る。
そこにおいて、自動車のパワーユニットでは、アイドリング時にアイドリング基本振動よりも低周波数域で不定期に大振幅の振動が発生することがあるが、本発明に従う構造の流体封入式エンジンマウントによれば、かかる大振幅振動の防振対策が有効に図られ得る。
すなわち、本構造の流体封入式エンジンマウントにおいては、エンジンシェイクよりも高周波数域で且つアイドリング基本振動よりも低周波数域にチューニングされた中周波オリフィス通路が設けられていることによって、上述のアイドリング時にアイドリング基本振動よりも低周波数域で不定期に発生する大振幅振動が、エンジンシェイクとアイドリング基本振動の間に位置する周波数を有する中周波大振幅振動として、中周波オリフィス通路のチューニング振動に設定され得る。ここで、中周波大振幅振動の入力時に、シェイク用オリフィス通路の流体流動作用は***振により有効に機能し得ない。また、中周波オリフィス通路の流体流動量を確保するために上述の流量制限部材の流量制限機能が解除されるように設計すると、中周波オリフィス通路と共にアイドリング用オリフィス通路も受圧室に対して実質的に開口せしめられることとなるが、低動ばねによる振動絶縁効果を目的として設計されたアイドリング用オリフィス通路では、そのアイドリング時の大振幅振動に対して隔壁弾性膜の弾性変形による対応可能な圧力変化量を超えていることから、有効な流体流動作用が得られない。要するに、問題となるアイドリング状態でのアイドリング基本振動よりも低周波数域で生じる大振幅振動の入力に際して、中周波オリフィス通路の所期の流体流動量を損なわしめるような、受圧室におけるシェイク用又はアイドリング用オリフィス通路を通じての圧力漏れが防止されるのであり、従って、中周波オリフィス通路を通じての受圧室と平衡室の間における流体の共振作用等の流動作用が有効に生ぜしめられ、かかるアイドリング時の大振幅振動に対して優れた防振効果(高減衰効果)が発揮され得るのである。
特に本構造では、隔壁弾性膜が、平衡室とアイドリング用オリフィス通路を仕切るようにしてアイドリング用オリフィス通路の平衡室の開口部に設けられていることによって、通路の流量制限部材としてよりも、平衡室の壁ばねチューニング手段として活用され得る。即ち、隔壁弾性膜と可撓性膜との合成ばねを含んでなる平衡室の壁ばね剛性のチューニングに際して、隔壁弾性膜のばね剛性が可撓性膜のばね剛性よりも大きくされることにより、エンジンシェイクや中周波大振幅振動の入力時に受圧室と平衡室の圧力差を大きくして、シェイク用オリフィス通路や中周波オリフィス通路による高減衰効果を有効に得ると共に、アイドリング基本振動の入力時に受圧室と平衡室の圧力差を小さくして、アイドリング用オリフィス通路による低動ばね特性に基づく振動絶縁効果を有効に得る構造が、一つの平衡室で実現され得る。即ち、シェイク用及び中周波オリフィス通路用とアイドリング用オリフィス通路用とにそれぞれ平衡室を設けたマウント構造と同等な作用効果を奏することから、目的とする防振特性を備えつつ、構造の簡略化が図られ得る。
また、オリフィス通路のチューニングは、例えば、受圧室や平衡室の各壁ばね剛性、即ちそれら各室を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体や可撓性膜、隔壁弾性膜等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路の通路長さと通路断面積や流量制限部材を設計変更することによって好適に実現され得る。そこにおいて、前述の如く可撓性膜と共に平衡室の好適な壁ばねチューニング手段として用いられ得る隔壁弾性膜が、アイドリング用オリフィス通路の平衡室の開口部に設けられていることから、可撓性膜と隔壁弾性膜との合成ばねからなる平衡室の壁ばねチューニングに際して、例えば、隔壁弾性膜がアイドリング用オリフィス通路の平衡室側開口部から受圧室側に離隔して設けられる場合に比して、アイドリング用オリフィス通路における平衡室側開口部から弾性ゴム膜に至る部分が平衡室に開口していることによる壁ばね剛性への影響を厳密に考慮する必要がなくなる。その結果、平衡室の壁ばね剛性のチューニング変更が容易とされ得、延いてはシェイク用や中周波、アイドリング用オリフィス通路のチューニング性能が向上され得る。これにより、L型、V型等のシリンダ配置形式や気筒数その他の車両構造に応じて、例えば、エンジンシェイクの周波数が変化したり、或いは、アイドリング基本振動が一次振動から二次振動になって、それに伴いアイドリング基本振動よりも低周波数側で発生する大振幅振動の周波数も変化したりする等の、防振すべき振動の周波数が異なる場合にも、各オリフィス通路のチューニング変更が容易に対処され得る。
それ故、本発明の自動車用の流体封入式エンジンマウントによれば、エンジンシェイクやアイドリング基本振動に対する防振特性が安定して得られることに加え、アイドリング状態下、アイドリング基本振動よりも低周波数域で不定期に発生する大振幅振動に対しても有効な防振特性が得られることによって、優れた車両乗り心地が実現され得るのである。
すなわち、本発明者が特許文献1(特開平09−310732号公報)等に示される如き従来構造の自動車用エンジンマウントの防振特性について鋭意検討したところ、アイドリング時にアイドリング基本振動よりも低周波数域で不定期に大きな振幅振動(中周波大振幅振動)が発生することがあり、かかる中周波大振幅振動に対して、それよりも低周波数域にチューニングされたシェイク用オリフィス通路では流体流動作用が有効に機能し得ないことに加えて、中周波大振幅振動はエンジンの剛体振動に近いモードとなることから、そもそも低動ばね化による振動絶縁を目的として設計されたアイドリング用オリフィス通路では防振効果が有効に機能し得ないのであり、これらオリフィス通路による防振効果の不機能が車両乗り心地に大きな問題となっていることが知見された。そこで、本発明者は、かかる中周波大振幅振動に対しては低動ばね化による振動絶縁効果でなく、高減衰による制振効果が必要であり、従来アイドリング時の振動を低動ばね化による振動絶縁効果で制振するという一般的な考えを逆にしなければ対応困難であるとの結論を導き出して、本発明を完成するに至り、制振効果の向上を成し得たのである。要するに、このようなアイドリング時に不定期に発生する大振幅振動に関しては、従来殆ど考慮されておらず、その制振が実現されていなかったのに対して、初めてアイドリング時の振動でありながら減衰で対策すべきであるということを、本発明者が新たに見い出したのであり、かかる知見に基づいて本発明を完成し得たのである。
また、本発明に係る自動車用の流体封入式エンジンマウントでは、受圧室におけるアイドリング用オリフィス通路及び中周波オリフィス通路の両開口部を覆う部分において、可動板を受圧室と平衡室の圧力差に基づいて変位可能とせしめ且つその変位量を拘束部材への当接により制限する状態で配設することによって、流量制限部材を構成した構造が、採用されても良い。このような構造によれば、アイドリング状態において、エンジンの爆発に伴って定常的に発生するアイドリング基本振動やアイドリング基本振動よりも低周波数域で不定期に発生する大振幅振動、また走行状態におけるエンジンシェイク等の各入力下で受圧室と平衡室の圧力差がそれぞれ異なることを利用して、アイドリング用及び中周波オリフィス通路の流量制限が有利に実現され得る。
すなわち、アイドリング基本振動に相当する高周波小振幅振動の振幅はエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動の振幅に比して充分に小さい。また、アイドリング時のアイドリング基本振動よりも低周波数域の大振幅振動に相当する中周波大振幅振動とかかるエンジンシェイクにおける振幅の大小関係においては、単純に比較されるものでなく、L型、V型等のシリンダ配置形式や気筒数その他の車両構造に応じて、大小関係が逆転したり同じになったりする場合もあると推考されるが、特に本構造の流量制限部材においては、中周波大振幅振動の振幅がエンジンシェイクの振幅に比して小さい自動車用エンジンマウントに対して好適に採用され得る。従って、アイドリング基本振動や中周波大振幅振動の入力時には、エンジンシェイクの入力に比して受圧室と平衡室の圧力差がそれ程大きくならないことから、可動板が大変位して拘束部材に積極的に当接することによる可動板の拘束変位が回避されて、可動板の変形による小変位に基づいて、アイドリング用及び中周波オリフィス通路の流体流動作用が充分に確保される態様が、好適に実現され得る。また、本構造によれば、可動板を受圧室の壁ばねチューニング手段として採用することも可能であり、それによって、中周波オリフィス通路やアイドリング用オリフィス通路におけるチューニング性能の更なる向上が図られ得る。
一方、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動の入力時には、受圧室と平衡室の圧力差が大きくなって、可動板が大変位して拘束部材に当接せしめられることで、可動板が拘束変位される。その結果、アイドリング用及び中周波オリフィス通路の受圧室側開口部が可動板で実質的に覆蓋せしられて、アイドリング用及び中周波オリフィス通路の流体流動作用が有効に機能しないように制限される態様が、好適に実現され得るのである。
また、本発明に係る自動車用の流体封入式エンジンマウントでは、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材を設けて、仕切部材の外周部分を周方向に延びるようにシェイク用オリフィス通路を形成すると共に、仕切部材の中央部分において流量制限部材を受圧室に面するように配設し隔壁弾性膜を平衡室に面するように配設して、仕切部材における流量制限部材と隔壁弾性膜の間にアイドリング用オリフィス通路を形成すると共に、仕切部材における流量制限部材と平衡室に面する部分との間で隔壁弾性膜の周囲を延びるように中周波オリフィス通路を形成した構造が、採用されても良い。
このような構造によれば、シェイク用オリフィス通路が仕切部材の外周部分に形成されていることで、通路長さが充分に確保され得て流体の流通抵抗が小さく設定され易くなり、低周波振動であるエンジンシェイクに対して要求される防振効果(高減衰効果)が一層得られ易くなる。また、流量制限部材や隔壁弾性膜が仕切部材の中央部分に形成されていることによって、仕切部材において流量制限部材や隔壁弾性膜の有効面積が大きく確保され得ることに加え、アイドリング用オリフィス通路や中周波オリフィス通路の通路断面積が大きく確保され易くなり、それによって、目的とするアイドリング基本振動に対する防振効果(低動ばね化による振動絶縁効果)やアイドリング時の中周波大振幅振動に対する防振効果(高減衰効果)が一層有利に発揮され得る。
また、本発明に係る自動車用の流体封入式エンジンマウントでは、第二の取付部材が筒状部を備えており、筒状部の一方の開口部側に第一の取付部材を離隔配置して本体ゴム弾性体で弾性連結することによって筒状部の一方の開口部を流体密に閉塞すると共に、筒状部の他方の開口部側に可撓性膜を配設して筒状部の他方の開口部を可撓性膜で流体密に閉塞し、仕切部材を筒状部の内側に組み付けて筒状部の内側における本体ゴム弾性体と可撓性膜の間の領域を仕切部材で仕切ることで仕切部材を挟んだ両側に受圧室と平衡室を形成した構造が、採用されても良い。このような構造によれば、受圧室と平衡室が簡単な構造で実現され得て、コンパクト化や製造コストの低減化等が図られ得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ、詳細に説明する。先ず、図1には、本発明の自動車用の流体封入式エンジンマウントに係る一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。この自動車用エンジンマウント10では、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で相互に弾性連結されている。第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない自動車の車両ボデーに取り付けられることによって、パワーユニットが自動車用エンジンマウント10を介して車両ボデーに防振支持されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前の自動車用エンジンマウント10の単体での状態が示されているが、自動車への装着状態では、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14がマウント軸方向で相互に接近する方向に変位して、本体ゴム弾性体16が弾性変形する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、小径の略裁頭円錐台形状乃至は円柱形状を呈している。第一の取付金具12の軸直角方向中央部分には、上端面に開口する螺子穴18が形成されており、図示しないパワーユニット側の部材が固定ボルトを介して螺子穴18に螺着固定されることにより、第一の取付金具12がパワーユニットに取り付けられるようになっている。
また、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分において軸直角方向に円環形状に広がる段部20と、段部20の外周縁部から上方に延びる大径円筒形状の大径筒部22と、段部20の内周縁部から下方に延び大径筒部22よりも小径の小径筒部24を含んで構成されている。即ち、本実施形態の第二の取付金具14は、その略全体で筒状部を構成している。第二の取付金具14は、図示しないブラケット部材等を介して車両ボデー側の部材に取り付けられるようになっている。これら第一の取付金具12と第二の取付金具14が相互に同一中心軸上に配置されていると共に、第一の取付金具12が第二の取付金具14の大径筒部22の開口部分よりも上方に所定距離を隔てて位置せしめられている。第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。
本体ゴム弾性体16は、全体として略裁頭円錐台形状を呈する厚肉のゴム弾性体であって、その上端部に対して第一の取付金具12の上端部分を除く略全体が埋め込まれるように加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の外周面に対して第二の取付金具14における大径筒部22の内周面や段部20の上端面の略全体が加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16が第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されており、それによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結されていると共に、第二の取付金具14の一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の下端面には、下方に開口する略逆すり鉢形状の大径凹所26が形成されている。更に、本体ゴム弾性体16には、大径凹所26の開口縁部から下方に延び出す薄肉のシールゴム層28が一体形成されて、第二の取付金具14の小径筒部24の内周面に被着形成されている。更にまた、大径凹所26の開口縁部とシールゴム層28の境界部分において、シールゴム層28よりも軸直角方向内方で且つ大径凹所26の開口縁部よりも軸直角方向外方の領域を軸直角方向に円環形状に広がる段差部30が形成されている。
このような本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、仕切部材32が組み付けられている。仕切部材32は、全体として略円形ブロック形状を呈しており、金属材や合成樹脂材等からなる硬質部材を用いて形成されている。仕切部材32は、仕切部材本体34や第一蓋部材36、第二蓋部材38、支持リング40を含んで構成されている。
仕切部材本体34は略円形ブロック形状を呈しており、その軸直角方向の略中央部分には、仕切部材32の厚さ方向となる軸方向に略一定の円形断面で延びる中央流路42が形成されていると共に、中央流路42の上側端部と下側端部には、中央流路42よりも大径の略円形凹状を有しており且つ仕切部材本体34の上端面と下端面に開口する、上側嵌着凹所44と下側嵌着凹所46が形成されている。即ち、これら中央流路42や上側及び下側嵌着凹所44,46が円形ブロック形状を有する仕切部材本体34の軸直角方向中央部分に貫通形成されていることで、仕切部材本体34は、換言すると、軸直角方向の厚さ寸法が大きな厚肉の略円筒形状を有している。
仕切部材本体34の外周部分における軸方向上端部分と軸方向中間部分には、それぞれ仕切部材本体34の外周面に開口して周方向に一周弱の長さで延びる第一周溝48と第二周溝50が形成されている。第一周溝48は、仕切部材本体34の上端縁部に形成されていることで仕切部材本体34の上端面にも開口している。また、第一周溝48と第二周溝50における各周方向一方の端部間には、第一及び第二周溝48,50と同様に仕切部材本体34の外周面に開口して、仕切部材本体34を周方向に傾斜して又は軸方向に延びる接続用溝51が形成されており、接続用溝51を介して第一周溝48と第二周溝50が相互に連結されている。即ち、これら第一周溝48や第二周溝50、接続用溝51が協働して、仕切部材本体34の外周部分を周方向に二周弱の長さで螺旋状に延びる一つの周溝を構成している。また、第二周溝50の周上の一箇所または複数箇所には、仕切部材本体34を軸直角方向にトンネル状に延びて、第二周溝50と中央流路42を連通せしめる内側接続流路52が形成されている。
また、第一蓋部材36は、周壁部の軸方向寸法が小さな浅底の略有底円筒形状を有しており、その外径寸法が仕切部材本体34の上側嵌着凹所44の内径寸法に比して僅かに小さくされていると共に、その軸方向寸法が上側嵌着凹所44の軸方向寸法と略同じとされている。また、第一蓋部材36の底壁部には、複数の小形の孔からなる通孔としての第一透孔54が貫通形成されている。
更に、第二蓋部材38は、薄肉の略円板形状を有しており、その外径寸法が仕切部材本体34の外径寸法と略同じとされている。また、第二蓋部材38の軸直角方向中央部分には、複数の小形の孔からなる通孔としての第二透孔56が貫通形成されている。
この第一蓋部材36の周壁部が仕切部材本体34の上側嵌着凹所44の周壁部に圧入等で嵌着固定されて、第一蓋部材36の周壁部の下端部分及び底部の外周部分が上側嵌着凹所44の底部に軸方向で重ね合わされている。また、第二蓋部材38が、仕切部材本体34と略同心状に位置せしめられて、仕切部材本体34の上端面及び第一蓋部材36の上端面に軸方向で重ね合わされて、仕切部材本体34等との重ね合わせ部分において、図示しないボルトやリベット等の固定部材が第一蓋部材36を貫通して仕切部材本体34等に固定されている。
これにより、第一蓋部材36と第二蓋部材38が互いに略同心状に位置せしめられた形態で仕切部材本体34における上部の軸直角方向中央部分に固定されており、仕切部材本体34における第一周溝48の上側開口部分が、第二蓋部材38の外周部分で覆蓋せしめられている。また、仕切部材本体34の中央流路42の上端部分が、第一及び第二蓋部材36,38で覆蓋せしめられていると共に、第一蓋部材36の開口部分が第二蓋部材38の軸直角方向中央部分で覆蓋せしめられていることによって、仕切部材32の軸直角方向中央部分の上部には、第一蓋部材36の底部の上端面や周壁部の内周面、第二蓋部材38の下端面が協働して、軸方向に略一定の円形断面で延びる収容空所58が形成されている。即ち、収容空所58の天壁部が第二蓋部材38における第一蓋部材36の開口を覆蓋する部分で構成されていると共に、収容空所58の底壁部が第一蓋部材36の底部で構成されており、更に収容空所58の周壁部が第一蓋部材36の周壁部で構成されている。ここで、第一蓋部材36の開口部分が第二蓋部材38で覆蓋されて収容空所58が構成されるのに先立って、可動板としての弾性ゴム板60が第一蓋部材36内に配されており、上述の如く収容空所58が構成されることによって、弾性ゴム板60が収容空所58に収容配置されている。
弾性ゴム板60は、ゴム弾性材からなり、厚さ寸法が全体に亘って略一定の円板形状を有している。弾性ゴム板60の軸方向に延びる厚さ寸法が、第一蓋部材36の底部と第二蓋部材38の軸方向の対向面間距離で表される収容空所58の軸方向の内法寸法に比して所定量だけ小さくされている。また、弾性ゴム板60の外径寸法が、第一蓋部材36の周壁部の内径寸法で表される収容空所58の軸直角方向の内法寸法に比して僅かに小さくされている。それによって、弾性ゴム板60が、主として軸方向への変位が許容された状態で、収容空所58に収容配置されている。
また、支持リング40は、全体として大径の略円形リング状を呈している。特に、その軸直角方向に広がる幅方向中央部分が、軸方向に円筒状に延びる外周面を備えていて、かかる円筒状外周面の上端部分が、幅方向内側に円環形状に広がる上端部分(面)とされていると共に、円筒状外周面の下端部分が、幅方向外側に円環形状に広がる下端部分(面)とされている。かかる支持リング40の円筒状外周面(部)が仕切部材本体34の下側嵌着凹所46の周壁部に圧入固定されて、支持リング40の外周部分の上端面が、仕切部材本体34における下側嵌着凹所46の開口縁部周りの下端面に軸方向で重ね合わされている。
ここで、仕切部材本体34と支持リング40の間には、隔壁弾性膜としての弾性ゴム膜62が挟み込まれている。弾性ゴム膜62は、ゴム弾性材からなり、略円板形状を有している。また、弾性ゴム膜62の外周縁部を含む外周部分が、中央部分よりも厚さ方向に大きく突出した円形断面等で周方向に延びていることによって、中央部分に比して厚肉とされている。この弾性ゴム膜62の外周部分の上端面が仕切部材本体34の下側嵌着凹所46の底面に重ね合わされていると共に、弾性ゴム膜62の外周部分の下端面が支持リング40の上端面に重ね合わされており、支持リング40と仕切部材本体34の圧入固定力に基づき、弾性ゴム膜62の外周部分が圧縮変形しつつ仕切部材本体34と支持リング40の間に挟み込まれて支持されている。これにより、弾性ゴム膜62が、その中央部分の変形が許容されつつ、仕切部材32の軸直角方向中央部分の下側に組み付けられていると共に、仕切部材本体34の中央流路42の下端部分が、弾性ゴム膜62で流体密に閉塞せしめられている。
これら弾性ゴム板60と弾性ゴム膜62が組み付けられた仕切部材32は、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品における第二の取付金具14の下側開口部から軸方向に差し入れられて、仕切部材32における第二蓋部材38の外周部分が、本体ゴム弾性体16の段差部30と軸方向に重ね合わされている。また、かかる第二の取付金具14の下側開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム64が組み付けられている。
ダイヤフラム64は、充分な弛みを有する薄肉の円形ゴム膜で形成されている。ダイヤフラム64の外周縁部には、固定部材としての大径の円筒形状を有する固定金具66の内周面が加硫接着されている。この固定金具66が第二の取付金具14の下側開口部から軸方向に差し入れられて、固定金具66の上端部分が、支持リング40乃至は仕切部材本体34で構成される仕切部材32の外周側の下端部と軸方向で重ね合わされている。
そして、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されて、第二の取付金具14の縮径変形に伴い、第二の取付金具14の小径筒部24の内周面に被着されたシールゴム層28が、第二の取付金具14と仕切部材32および固定金具66の間で圧縮変形せしめられつつ仕切部材32および固定金具66の外周面に重ね合わされている。これにより、仕切部材32および固定金具66が、第二の取付金具14に嵌着固定されて、第二の取付金具14の下側開口部が、固定金具66を備えたダイヤフラム64で流体密に閉塞せしめられていると共に、第二の取付金具14の内側における本体ゴム弾性体16とダイヤフラム64の間の領域が、仕切部材32で流体密に二分されている。
この仕切部材32を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側において、本体ゴム弾性体16の大径凹所26が仕切部材32で閉塞された領域には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室68が形成されている。また、仕切部材32を挟んだ軸方向他方(図1中、下)の側において、仕切部材32とダイヤフラム64の間の領域には、壁部の一部がダイヤフラム64で構成されてダイヤフラム64の弾性変形に基づき容積変化が容易に許容される平衡室70が形成されている。これら受圧室68と平衡室70には、非圧縮性流体が封入されている。封入される非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、受圧室68や平衡室70への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する仕切部材32やダイヤフラム64の固定金具66の組み付けを非圧縮性流体中で行うことによって、好適に実現される。
また、上述の如く第二の取付金具14のシールゴム層28が、第二の取付金具14と仕切部材32の間で圧縮変形せしめられつつ仕切部材32の外周面に重ね合わされていることによって、仕切部材32の外周面における第一周溝48や第二周溝50、接続用溝51の各開口部が、シールゴム層28で流体密に覆蓋せしめられている。それによって、仕切部材32の外周部分における軸方向上端部と軸方向中間部には、第一周溝48および第二の取付金具14が協働してなる第一外周流路72と、第二周溝50および第二の取付金具14が協働してなる第二外周流路74が、それぞれ周方向に一周弱の長さでトンネル状に延びるようにして形成されている。更に、接続用溝51と第二の取付金具14が協働してなる外側接続流路76によって、これら第一外周流路72の周方向一方の端部と第二外周流路74の周方向一方の端部が相互に接続されている。
ここで、本実施形態のシェイク用オリフィス通路78が、第一外周流路72や第二外周流路74、外側接続流路76を含んで構成されていることによって、仕切部材32の外周部分を周方向に二周弱の長さで螺旋状に延びている。シェイク用オリフィス通路78の一方の端部が、第一外周流路72の周方向他方の端部に位置する第二蓋部材38に貫設された連通孔80を通じて受圧室68に接続されていると共に、シェイク用オリフィス通路78の他方の端部が、第二外周流路74の周方向他方の端部に位置する仕切部材本体34の下端部に貫設され、更に該下端部に支持リング40の外周部分が重ね合わされている場合にはその外周部分にも貫設された連通孔82を通じて平衡室70に接続されている。それによって、受圧室68と平衡室70の間におけるシェイク用オリフィス通路78を通じての流体流動が許容されるようになっている。
さらに、仕切部材32の中央部分に形成された中央流路42が、自動車用エンジンマウント10の軸方向で、第一及び第二蓋部材36,38にて構成される収容空所58に収容配置された弾性ゴム板60を挟んで受圧室68と対向位置せしめられていると共に、弾性ゴム膜62を挟んで平衡室70と対向位置せしめられている。弾性ゴム板60では、その一方(図1中、上)の面に対して、第二蓋部材38の第二透孔56を通じて受圧室68の圧力が及ぼされるようになっていると共に、その他方(図1中、下)の面に対して、第一蓋部材36の第一透孔54を通じて、弾性ゴム膜62の弾性変形による中央流路42の圧力伝達を介して平衡室70の圧力が及ぼされ、また中央流路42や内側接続流路52、第二外周流路74から後述する仕切部材32に形成された連通孔88を通じて平衡室70の圧力が及ぼされるようになっている。一方、弾性ゴム膜62では、その一方(図1中、上)の面に対して、収容空所58における弾性ゴム板60の変形変位による中央流路42の圧力伝達を介して受圧室68の圧力が及ぼされるようになっていると共に、その他方(図1中、下)の面に対して平衡室70の圧力が及ぼされるようになっている。
従って、受圧室68と平衡室70の圧力差に基づいて、弾性ゴム板60が収容空所58内で変形変位せしめられることによって、受圧室68と平衡室70の間における中央流路42や内側接続流路52、第二外周流路74を通じての流体流動作用が有効に生ぜしめられるようになっている。更に、弾性ゴム板60の収容空所58内での変形変位に加えて、弾性ゴム膜62が有効に弾性変形せしめられることによって、受圧室68と平衡室70の間における中央流路42を通じての流体流動作用が有効に生ぜしめられるようになっている。換言すると、弾性ゴム板60が、収容空所58の底壁部を構成する第一蓋部材36の底部または収容空所58の天壁部を構成する第二蓋部材38の中央部分に当接せしめられて、第一透孔54または第二透孔56が弾性ゴム板60で閉塞されたり、或いは弾性ゴム膜62に所期の弾性変形が生ぜしめられないことによって、中央流路42の流体流動作用が有効に機能し得ないこととなる。また、弾性ゴム板60が第一蓋部材36の底部や第二蓋部材38の中央部分に当接せしめられて第一透孔54や第二透孔56が閉塞されることで、中央流路42や内側接続流路52、第二外周流路74を通じての流体流動作用も有効に機能し得ないこととなる。
そこにおいて、本実施形態のアイドリング用オリフィス通路84が、仕切部材32の中央流路42により構成されている。特に、アイドリング用オリフィス通路84の受圧室68側の開口部が、仕切部材32の収容空所58や第一及び第二透孔54,56を含んで構成されていることによって、弾性ゴム板60で覆われた状態で形成されている。また、アイドリング用オリフィス通路84の平衡室70側の開口部が、仕切部材32の下側嵌着凹所46で構成されて、弾性ゴム膜62によって流体密に閉塞されている。
さらに、本実施形態の中周波オリフィス通路86が、仕切部材32の中央流路42や内側接続流路52、第二外周流路74の全体に満たない長さで延びる周上の一部を含んで構成されている。ここで、中周波オリフィス通路86の受圧室68側の開口部が、アイドリング用オリフィス通路84と同様に、仕切部材32の収容空所58や第一及び第二透孔54,56を含んで構成されて、弾性ゴム板60で覆われた状態で形成されている。また、中周波オリフィス通路86の平衡室70側の開口部が、第二外周流路74における連通孔82の形成部分を除いた仕切部材本体32の下端部に貫設され、更に該下端部に支持リング40の外周部分が重ね合わされている場合にはその外周部分にも貫設された連通孔88によって構成されて、かかる連通孔88を通じて平衡室70に接続されている。
すなわち、本実施形態の自動車用エンジンマウント10の機能的モデル図が図2にも示されているように、受圧室68と平衡室70を連通せしめるオリフィス通路として、シェイク用オリフィス通路78とアイドリング用オリフィス通路84と中周波オリフィス通路86の3つが採用されており、特に本実施形態では、シェイク用オリフィス通路78と中周波オリフィス通路86が第二外周流路74を共用して構成されていると共に、中周波オリフィス通路86とアイドリング用オリフィス通路84が中央流路84を共用して構成されている。
また、シェイク用オリフィス通路78が、仕切部材32の外周部分を周方向に延びるように形成されている。更に、仕切部材32の中央部分において、弾性ゴム板60が第一及び第二蓋部材36,38で構成されてなる収容空所58に収容配置された状態で受圧室68に面するように配設されていると共に、弾性ゴム膜62が平衡室70に面するように配設されており、それら弾性ゴム板60と弾性ゴム膜62の間でマウント軸方向に延びる中央流路42によって、アイドリング用オリフィス通路84が形成されている。更にまた、中周波オリフィス通路86が、仕切部材32における弾性ゴム板60と平衡室70に面する下端部分との間で弾性ゴム膜62の周囲を延びるように形成されている。
その結果、受圧室68におけるアイドリング用オリフィス通路84および中周波オリフィス通路86の両開口部を覆う部分において、弾性ゴム板60が第一及び第二蓋部材36,38で構成されてなる収容空所58に収容配置された状態で配設され、弾性ゴム板60が、第一及び第二蓋部材36,38の第一及び第二透孔54,56と収容空所58を通じて及ぼされる受圧室68と平衡室70の圧力差に基づいて、収容空所58内を変位可能とされ、また、第一又は第二蓋部材36,38に当接されて、弾性ゴム板60の変位量が制限されると共に、第一又は第二透孔54,56が弾性ゴム板60で覆蓋せしめられることによって、アイドリング用オリフィス通路84および中周波オリフィス通路86を通じて流動せしめられる各流体の量が制限されるようになっている。このことからも明らかなように、弾性ゴム板60の変位量を拘束する拘束部材が第一及び第二蓋部材36,38を含んで構成されていると共に、アイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流体流動量を制限する流量制限部材が、弾性ゴム板60や第一及び第二蓋部材36,38、第一及び第二透孔54,56、収容空所58を含んで構成されている。
このような構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、シェイク用オリフィス通路78を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、エンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数域にチューニングされている。また、エンジンシェイクはエンジンの剛体一次振動に相当してその振幅が大きいことから、エンジンシェイク時に受圧室68と平衡室70の圧力差が大きくなることを利用して、弾性ゴム板60が第一又は第二蓋部材36,38に当接せしめられて、第一又は第二透孔54,56が弾性ゴム板60で閉塞されるように設計されている。
これにより、自動車の走行状態下、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動が入力されると、弾性ゴム板60が第一又は第二蓋部材36,38への当接により拘束変位されると共に、第一又は第二透孔54,56が閉塞せしめられることによって、アイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流体流動量が制限される。それ故、受圧室68のアイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86を通じての圧力漏れが抑えられて、受圧室68と平衡室70の圧力差が有効に惹起せしめられ、シェイク用オリフィス通路78の流体流動量が充分に確保され得る。このシェイク用オリフィス通路78を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイクに対して優れた防振効果(高減衰効果)が発揮され得る。
また、アイドリング用オリフィス通路84を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、アイドリング時にエンジンの爆発に伴って周期的に発生するアイドリング基本振動に相当する20〜30Hz程度の高周波数域にチューニングされている。また、かかるアイドリング基本振動の振幅は前述のエンジンシェイクの振幅に比して充分に小さいことから、受圧室68と平衡室70の圧力差がそれ程大きくならないことを利用して、アイドリング基本振動の入力時に、弾性ゴム板60の第一又は第二蓋部材36,38への当接を抑えて、弾性ゴム板60が収容空所58内を積極的に小変位せしめられるように設計されている。より望ましくは、弾性ゴム板60の共振周波数がアイドリング基本振動に相当する高周波数域にチューニングされることによって、弾性ゴム板60の小変位が一層積極的に生ぜしめられ得る。また、アイドリング用オリフィス通路84の平衡室70側開口部に設けられた弾性ゴム膜62の共振周波数をアイドリング基本振動に相当する高周波数域にチューニングすることで、アイドリング基本振動の入力時に弾性ゴム膜62が積極的に弾性変形せしめられるようにしても良い。
これにより、アイドリング状態でアイドリング基本振動に相当する高周波小振幅振動が入力された場合には、シェイク用オリフィス通路78が***振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって実質的に閉塞状態とされるが、収容空所58における弾性ゴム板60の変形による小変位と弾性ゴム膜62の弾性変形に基づいて、受圧室68と平衡室70の間におけるアイドリング用オリフィス通路84を通じての流体流動作用である共振作用が発揮される。また、収容空所58における弾性ゴム板60の小変位に伴い、アイドリング用オリフィス通路84と共に中周波オリフィス通路86も受圧室68に対して実質的に開口せしめられるが、後述の如く中周波オリフィス通路86のチューニング周波数がアイドリング基本振動よりも低周波数域に設定されているため、中周波オリフィス通路86が***振作用により実質的に閉塞状態とされる。その結果、受圧室68の圧力が中周波オリフィス通路86を通じて漏れ出すおそれがないことから、受圧室68と平衡室70の間に圧力差が有効に惹起せしめられて、弾性ゴム板60の小変位と弾性ゴム膜62の変形に基づきアイドリング用オリフィス通路84の流体流動量が充分に確保され得、アイドリング基本振動に対して有効な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮され得る。
ところで、本発明者が検討したところ、自動車用エンジンマウント10では、アイドリング状態下、アイドリング基本振動よりも低周波域で大振幅の振動が非周期的に入力される場合があることがわかった。また、かかる大振幅振動は、エンジンシェイクよりも高周波数域で発生すると共に、その振幅がアイドリング基本振動に相当する高周波振動の振幅に比して充分に大きいことがわかった。このような場合に、シェイク用オリフィス通路78が***振作用に起因して実質的に閉塞状態とされていると共に、低動ばねによる振動絶縁を目的として設計されたアイドリング用オリフィス通路86では、弾性ゴム膜62の変形に際して対応可能な圧力変化量を超えていることから、流体流動作用が有効に機能し得ない。
そこにおいて、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10では、中周波オリフィス通路86を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、問題となるアイドリング状態でアイドリング基本振動よりも低周波数域で発生する大振幅振動としての中周波大振幅振動に相当する11〜15Hz程度の中周波数域にチューニングされている。また、中周波大振幅振動の振幅は前述のエンジンシェイクの振幅に比して小さくされており、受圧室68と平衡室70の圧力差がそれ程大きくならないことを利用して、中周波大振幅振動の入力時に、弾性ゴム板60の第一又は第二蓋部材36,38への当接を抑えて、弾性ゴム板60が収容空所58内を小変位せしめられるように設計されている。
従って、アイドリング時に中周波大振幅振動が入力された場合に、収容空所58における弾性ゴム板60の変形変位に基づいて、受圧室68と平衡室70の間における中周波オリフィス通路86を通じての流体流動作用である共振作用が有効に発揮され得る。それ故、そのようなアイドリング時に不定期で発生する大振幅振動に対しても有効な防振効果(高減衰効果)が発揮され得て、優れた車両乗り心地が実現され得るのである。
特に本実施形態におけるシェイク用オリフィス通路78や中周波オリフィス通路84、アイドリング用オリフィス通路86のチューニングは、受圧室68や平衡室70の各壁ばね剛性、即ちそれら各室68,70を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム64等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、各オリフィス通路78,84,86の通路長さと通路断面積を調節することによって行われている。なお、オリフィス通路78,84,86のチューニング周波数は、オリフィス通路78,84,86を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数をいう。
ここで、本実施形態では、弾性ゴム膜62がアイドリング用オリフィス通路84の平衡室70の開口部に設けられていることによって、平衡室70の壁ばねチューニング手段として、好適に採用され得る。即ち、本実施形態では、弾性ゴム膜62とダイヤフラム64との合成ばねを含んでなる平衡室70の壁ばね剛性のチューニングに際して、弾性ゴム膜62のばね剛性がダイヤフラム64のばね剛性に比して大きくされている。これにより、例示の如きエンジンシェイクや中周波大振幅振動の入力時に受圧室68と平衡室70の圧力差が大きくされて、シェイク用及び中周波オリフィス通路78,86による高減衰効果が有効に発揮され得ると共に、アイドリング基本振動の入力時に受圧室68と平衡室70の圧力差が小さくされて、アイドリング用オリフィス通路84による低動ばね特性に基づく振動絶縁効果が有効に発揮され得るのである。
また、ダイヤフラム64と共に平衡室70の壁ばねチューニング手段として用いられる弾性ゴム膜62が、アイドリング用オリフィス通路84の平衡室70の開口部に設けられていることから、平衡室70の壁ばねチューニングに際して、例えば、弾性ゴム膜がアイドリング用オリフィス通路の平衡室側開口部から受圧室側に離隔して設けられる場合に比して、アイドリング用オリフィス通路における平衡室側開口部から弾性ゴム膜に至る部分が平衡室に開口していることによる壁ばね剛性への影響を厳密に考慮する必要がなくなる。その結果、平衡室70の壁ばね剛性のチューニング変更が容易とされ得、延いてはシェイク用や中周波、アイドリング用オリフィス通路78,84,86のチューニング性能が向上され得る。
因みに、本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10における防振特性の一具体例を以下に示す。かかる具体例は、自動車用エンジンマウント10に対してパワーユニットの分担支持荷重に相当する静的荷重を中心軸上で第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に及ぼした状態下で、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動を入力せしめた場合の防振特性を示すものである。
かくの如き防振特性の一具体例においては、シェイク用オリフィス通路78をエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動(周波数:f1=10Hz程度、振幅:±1.0mm)にチューニングした。また、アイドリング用オリフィス通路84においては、アイドリング基本振動に相当する高周波小振幅振動(周波数:f2=20〜30Hz程度、振幅:±0.1mm)の入力時に弾性ゴム板60の変形変位および弾性ゴム膜62の変形による流体の共振作用に基づく防振効果(低動ばねによる振動絶縁効果)が、発揮されるように、且つエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動に対しては弾性ゴム板60の拘束変位によるアイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限が機能することに基づいて、発揮されないようにチューニングした。このようなチューニングを施したことにより、防振特性としての減衰係数:C1が図3にも示されているように、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動に対しては、シェイク用オリフィス通路78による高減衰効果が発揮されて、優れた防振効果が実現され得る。一方、防振特性としての絶対ばね定数:K1が図4にも示されているように、アイドリング基本振動に相当する高周波小振幅振動に対しては、弾性ゴム板60の変形変位および弾性ゴム膜62の変形による流体の共振作用に基づいて低動ばねによる優れた防振効果(振動絶縁効果)が発揮され得る。更に、中周波オリフィス通路86においては、アイドリング状態でのアイドリング基本振動よりも低周波側で不定期に発生する大振幅振動に相当する中周波大振幅振動(周波数:f3=11〜15Hz程度、振幅:±0.5mm程度)の入力時に弾性ゴム板60の変形変位による流体の共振作用に基づく防振効果(高減衰効果)が、発揮されるように、且つエンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動に対しては弾性ゴム板60の拘束変位によるアイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限が機能することに基づいて、発揮されないようにチューニングした。このようなチューニングを施したことにより、防振特性としての減衰係数:C2が図4にも示されているように、アイドリング状態でのアイドリング基本振動よりも低周波側で不定期に発生する大振幅振動に相当する中周波大振幅振動に対しては、弾性ゴム板60の変形変位による中周波オリフィス通路86の共振作用に基づいて高減衰効果が発揮されて優れた防振効果が実現され得る。因みに、非圧縮性流体を封入しないでゴム単体からなる従来構造の自動車用エンジンマウントについての防振特性としての絶対ばね定数を比較例として図4に併せ示す。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、弾性ゴム板60や第一及び第二蓋部材36,38等を含んでなるアイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限部材と、アイドリング用オリフィス通路84の平衡室70の開口部に設けられる弾性ゴム膜62とが、仕切部材32の中央部分における略マウント中心軸上で軸方向に対向位置せしめられていたが、これら流量制限部材と弾性ゴム膜は互いに軸方向で対向しない位置に設けられていても良いし、流量制限部材と弾性ゴム膜の少なくとも一方が、マウント中心軸から偏倚した位置に設けられても良い。
また、前記実施形態では、アイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限部材が、エンジンシェイクや中周波大振幅振動、アイドリング基本振動時における受圧室68と平衡室70の圧力差がそれぞれ異なることを利用して、弾性ゴム板60の変形変位が収容空所58内を許容および制限されることで実現されていたが、例えばかかる可動板タイプの弾性ゴム板60に代えて、アイドリング用オリフィス通路84の開口部に設けられる弾性ゴム膜62と同様に、受圧室と平衡室の圧力差に基づいて弾性変形せしめられる可動膜タイプのゴム膜を採用し、ゴム膜が第一及び第二蓋部材やその他の拘束部材に当接せしめられてその変形量が制限されることでアイドリング用及び中周波オリフィス通路の流量が制限されても良い。
さらに、アイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限部材として、例えば、電磁式アクチュエータ等の駆動手段の出力部材に加振板を設けて、加振板をアイドリング用及び中周波オリフィス通路の受圧室側開口部を覆うように配設せしめ、エンジンシェイクや中周波大振幅振動、アイドリング基本振動の各入力に応じて加振板を加振制御せしめることによって、アイドリング用及び中周波オリフィス通路の流量制限を実現する構造も採用可能である。特に本構造の流量制限部材では、可動板構造の流量制限部材のような振幅依存性がないことから、例えばエンジンシェイクと中周波大振幅振動における振幅に大きな差がない自動車用エンジンマウントに対して好適に採用され得る。
また、前記実施形態では、弾性ゴム板60が全体に亘って略一定の厚さ寸法の円板形状とされていると共に、収容空所58における弾性ゴム板60の打ち当たり部分としての第一蓋部材36の底部や第二蓋部材38の中央部分も平坦な円板形状とされていたが、例えば、弾性ゴム板における第一又は第二蓋部材への当接面と第一又は第二蓋部材における弾性ゴム板への当接面の少なくとも一方に突起や凹所等を設けて、当接面積の減少に基づき当接打音を低減せしめることも可能である。
また、弾性ゴム板の主たる変位方向となる軸方向において、弾性ゴム板と第一又は第二蓋部材の何れか一方に位置決め突起を突設すると共に、他方に位置決め用孔を形成して、位置決め突起を位置決め用孔に挿通配置した状態で弾性ゴム板の軸方向変位を許容せしめたり、或いは、弾性ゴム板に突設した弾性突起を予圧縮をもって第一又は第二蓋部材に当接せしめて、弾性突起の変形変位により弾性ゴム板の軸方向変位を許容せしめても良い。それによって、弾性ゴム板の軸直角方向の変位量制限手段が、位置決め用突起を位置決め用孔に挿通せしめてなる軸直角方向の係止機構や、弾性突起を収容空所の壁部(第一又は第二蓋部材)に予圧縮をもって当接する当接機構により構成され得る。
また、前記実施形態では、シェイク用オリフィス通路78と中周波オリフィス通路86が第二外周流路74を共用して構成されていると共に、中周波オリフィス通路86とアイドリング用オリフィス通路84が中央流路42を共用して構成されていたが、これら各通路を、それぞれ独立して形成することも勿論可能である。
その他、シェイク用オリフィス通路78やアイドリング用オリフィス通路84、中周波オリフィス通路86、弾性ゴム膜62、アイドリング用及び中周波オリフィス通路84,86の流量制限部材、仕切部材32等における形状や大きさ、構造、数、配置等の形態は、要求される防振効果や製作性等に応じて適宜に設計変更され得るものであり、前記実施形態に限定されるものでない。
本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントの縦断面図。 同自動車用エンジンマウントの機能的構成のモデル図。 同自動車用エンジンマウントにおいてエンジンシェイクに相当する低周波数域の防振特性を表すグラフ。 同自動車用エンジンマウントにおいて中周波大振幅振動乃至はアイドリング基本振動に相当する中乃至は高周波数域の防振特性を表すグラフ。
符号の説明
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、36:第一蓋部材、38:第二蓋部材、46:下側嵌着凹所、54:第一透孔、56:第二透孔、58:収容空所、60:弾性ゴム板、62:弾性ゴム膜、64:ダイヤフラム、68:受圧室、70:平衡室、78:シェイク用オリフィス通路、84:アイドリング用オリフィス通路、86:中周波オリフィス通路

Claims (4)

  1. 自動車のパワーユニットと車両ボデーの一方に取り付けられる第一の取付部材と、それらパワーユニットと車両ボデーの他方に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室とを形成してそれら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた自動車用の流体封入式エンジンマウントにおいて、
    前記オリフィス通路として、エンジンシェイクに相当する低周波数域にチューニングしたシェイク用オリフィス通路と、アイドリング基本振動に相当する高周波数域にチューニングしたアイドリング用オリフィス通路と、該シェイク用オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域で且つ該アイドリング用オリフィス通路のチューニング周波数よりも低周波数域にチューニングした中周波オリフィス通路を設けると共に、前記受圧室における該アイドリング用オリフィス通路及び該中周波オリフィス通路の両開口部を覆うように広がって流体流動量を制限する流量制限部材を設け、更に前記平衡室における該アイドリング用オリフィス通路の開口部を覆うように広がって該アイドリング用オリフィス通路と該平衡室を仕切る弾性変形可能な隔壁弾性膜を設けたことを特徴とする自動車用の流体封入式エンジンマウント。
  2. 前記受圧室における前記アイドリング用オリフィス通路及び前記中周波オリフィス通路の両開口部を覆う部分において、可動板を該受圧室と前記平衡室の圧力差に基づいて変位可能とせしめ且つその変位量を拘束部材への当接により制限する状態で配設することによって、前記流量制限部材を構成した請求項1に記載の自動車用の流体封入式エンジンマウント。
  3. 前記受圧室と前記平衡室を仕切る仕切部材を設けて、該仕切部材の外周部分を周方向に延びるように前記シェイク用オリフィス通路を形成すると共に、該仕切部材の中央部分において前記流量制限部材を該受圧室に面するように配設し前記隔壁弾性膜を該平衡室に面するように配設して、該仕切部材における該流量制限部材と該隔壁弾性膜の間に前記アイドリング用オリフィス通路を形成すると共に、該仕切部材における該流量制限部材と該平衡室に面する部分との間で該隔壁弾性膜の周囲を延びるように前記中周波オリフィス通路を形成した請求項1又は2に記載の自動車用の流体封入式エンジンマウント。
  4. 前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置して前記本体ゴム弾性体で弾性連結することによって該筒状部の該一方の開口部を流体密に閉塞すると共に、該筒状部の他方の開口部側に前記可撓性膜を配設して該筒状部の該他方の開口部を該可撓性膜で流体密に閉塞し、前記仕切部材を該筒状部の内側に組み付けて該筒状部の内側における該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の間の領域を該仕切部材で仕切ることで該仕切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室を形成した請求項3に記載の自動車用の流体封入式エンジンマウント。
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