JP4998365B2 - 極低炭素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、極低炭素鋼板およびその製造方法に関し、具体的には、鋼中全酸素濃度および介在物に因る酸素濃度(以下介在物酸素濃度と称す)を所定量含有し、特定組成のTiO系介在物を含むことによって、強度や伸び、さらには深絞り性等の鋼板特性を維持しつつ、表面性状に優れ、かつ連続鋳造時の浸漬ノズルの閉塞およびそれによって引き起こされる鋼材表面性状の劣化等も解決できる、極低炭素濃度かつ極低Al濃度を有するTi脱酸鋼からなる極低炭素鋼板および、これを工業的規模で量産する方法に関する。
溶鋼は、その製鋼工程において酸素を多量に含む状態になるので、一般的に、連続鋳造より前の工程において過剰な酸素を除くための脱酸が行われる。最も普及した脱酸方法は、溶鋼に、酸素と強い親和力を有するとともに工業上の大量使用が可能なAlを添加し、鋼中酸素濃度を低減するものであり、この脱酸方法により製造されたAl脱酸鋼が広く実用化されている。自動車車体等に広く用いられる鋼材、特に薄板として炭素濃度を特に低くした極低炭素鋼板においても、このAl脱酸鋼が一般的に使用される。
自動車用途を中心とした薄鋼板は、強度や伸びさらには溶接性といった様々な特性を高度にバランスさせるとともに、熱間および冷間で圧延された後においてもその表面に疵がない美麗な状態であることが要求される。このような美麗さは、官能的な判断に委ねられるので、厳格かつ対処が難しい課題でもある。その一方で、自動車用途を中心とした薄鋼板は、このように多様な性質が要求される高級鋼としてだけではなく量産される鋼材としても位置付けられるので、上述した様々な特性を高度にバランスさせるとともに表面が美麗な薄鋼板を、大規模製鉄所において量産することは、想像以上に困難であり、それだけにこれを実現できれば、工業的意義は極めて大きい。
圧延された薄鋼板の表面性状を損なう原因の一つに、Al脱酸によって生成したAl系介在物が表面に存在することが挙げられる。このAl系介在物は、クラスターと呼ばれる群落状の形状を呈するので、圧延された鋼材の表面に線状に伸展する、いわゆるスリバー疵の原因になる。また、このクラスター介在物は、連続鋳造に用いる浸漬ノズルを閉塞させる要因にもなる。この閉塞を軽減するために浸漬ノズルの上部から吹き込まれるArガスが連続鋳造鋳型中の溶鋼の流動を乱すため、連続鋳造スラブの表面性状が劣化し、ひいてはその後に圧延されて製造される薄鋼板の表面性状をも損なう要因となる。さらに、薄鋼板用の極低炭素鋼では、脱炭処理のために酸素を含む状態も必要であるので、その後に行う脱酸工程で生成するAl系介在物を充分に除去する処理を適用することは、時間やコストを要してしまうので、量産には適さない。
Al脱酸鋼を採用することに起因するこれらの弊害を抑制する方法として、薄鋼板用として非Al脱酸鋼を用いる発明が開示されている。
例えば特許文献1には、溶鋼中自由酸素を50〜150ppmに調整した後、Tiを溶鋼成分として0.003〜0.020%含有するように添加した後、連続鋳造することにより、Al:0.003%以下(本明細書においては特に断りがない限り組成に関する「%」は「質量%」を意味する)の低炭素鋼材を製造する方法に係る発明が開示されている。しかし、この発明は、非Al脱酸鋼として用いるTi脱酸化によって懸念される、連続鋳造時に発生するCOガスによるブローホールを抑制することを目的にするに過ぎない。
特許文献2には、C:0.005%以下、Mn:1.0%以下を含有する脱炭処理後の溶鋼に、AlおよびSiを添加して半脱酸溶鋼とし、この半脱酸溶鋼中に、含Ti物質を添加してさらに脱酸し、Al:0.005%以下、Si:0.20%以下、Ti:0.01〜0.10%を含有する溶鋼とするとともに、この溶鋼中の介在物の主成分をTi、AlおよびSiの複合酸化物として溶製し、次いでこの溶鋼を連続鋳造し、その後、熱間圧延および冷間圧延を経た後、得られた冷延鋼板を700℃〜Ac点の温度域で連続焼鈍することによって、極低炭素冷延鋼板を製造する方法に係る発明が開示されている。この方法は、Al濃度を抑制して、Si添加し、さらにTi添加量を制御して、介在物の主成分をTi、AlおよびSiの複合酸化物とした溶鋼を溶製することにより、アルミナクラスタの生成と浸漬ノズルの閉塞の抑制を図ったものである。しかし、この発明では、Siの複合酸化物を必要とする一方で、不可避的に生成されるMnの複合酸化物は許容しない介在物への制御は困難であると考えられる。
特許文献3には、C:0.0001〜0.0070%、酸可溶性Al:0.005%以下、Ti:0.004〜0.040%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼中に、チタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物、アルミナが複合され、かつアルミナが30%以下である酸化物系複合介在物を含有させた、欠陥が少なくプレス成形性に優れた薄鋼板およびその製造方法に係る発明が開示されている。
この発明は、酸可溶性Alを制限することにより鋼中アルミナを生成させず、Ti脱酸前の酸素濃度制御やTi含有金属による複合脱酸を図ることにより、粒径が粗大になりがちなチタン酸化物単独の生成を抑制するものである。ここで目指す介在物組成は、チタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物、アルミナが複合され、かつアルミナが30%以下である酸化物系であり、特許文献3の段落0008に記載されるように、融点が比較的低く冷却時に高融点で硬い晶出相の生成を抑制できる複合介在物を得るためである。アルミナ以外の組成については、明記こそされてはいないものの、段落0019の表4の記載から、Si酸化物を必須とするとともにTi酸化物の含有量が低いことにより、圧延で破砕されやすい組成を希求するものと考えられる。
しかし、本発明者らの知見によれば、軟質な介在物は圧延により伸展した形状を呈し、薄鋼板の主要特性である伸びや深絞り性の指標であるランクフォード値を悪化させるので、Si酸化物を含有する特許文献3により開示される発明は、そのまま実施できる発明ではないと解される。
さらに、特許文献4には、C:0.01%以下、sol.Al:0.0001〜0.01%、酸化物系非金属介在物として含有されるTiを除いたTi(1):0.003〜0.1%を含有し、さらにTi(l)、sol.Al、Mn、CおよびNの含有量を関係式で規定し、幅1μm以上の酸化物系非金属介在物の70%以上がTiOx、MnOおよびAlを主成分として、かつ介在物中TiOx、MnOおよびAlを3%以上であって、その介在物組成比が所定の関係を満足することによって、特許文献3に記載されたSi酸化物を含有する弊害を抑制する薄鋼板およびその脱酸方法が開示されている。
この発明は、段落0015〜0021等に記載されるように、溶鋼中酸化物系介在物の低融点組成化、すなわち酸化物系介在物組成を、低融点のTiOx−Al−MnO系またはTiOx−Al−MnO―SiO系(ただしSiO含有率≦5%)の組成とすることによって、表面疵が発生しない良好な表面品質を有するとともに、伸びの低下等を防止した加工性に優れた薄鋼板と、連続鋳造時の浸漬ノズルの閉塞を防止することが可能な溶製方法に係るものである。
しかし、この発明では、段落0058および0059に記載されるように、介在物中SiO濃度は、基本的には低融点化を実現するために制限される。また、溶鋼段階の介在物の組成形態と、圧延鋼材の段階での介在物の組成形態は概ね一致すると解されていたが、本発明者らがさらに研究を重ねたところ、その溶製条件によってはむしろ両者の間には相違があることが判明してきた。すなわち、低融点組成を有する酸化物系介在物がそのまま圧延鋼材まで維持された場合には、上述したように圧延工程で伸展した形状となる。このため、この発明に基づいても、薄鋼板の種々の特性、特に表面性状や圧延と垂直方向の延びといった特性がばらつくがあり、さらなる改善を図る必要がある。
特公平2−9646号公報 特許第3422612号公報 特許第3436857号公報 特許第3852396号公報
このような状況下にあって、本発明者らは、先に特願2007−054511号により、極低炭素を含み、Al濃度を極低水準、具体的には0.005%以下とし、かつTi等の酸素との親和力を有する合金を一定量含有する冷間圧延鋼材は、同じ強度水準に合金成分を調整しても、深絞り性の指標であるランクフォード値(以下「r値」という。)が高くなるとの知見に基づく発明を、提案した。
本発明者らは、この検討の中で、極低炭素でかつAl濃度を極低水準に維持し、かつTi等の酸素との親和力を有する合金を一定量含有する鋼を製造する際に、Ti脱酸鋼における種々の鋼材特性と、薄鋼板の表面性状の美麗さとを両立するには、むしろ酸化物系介在物はTiOx濃度が高い組成を有し、その形態は孤立点在する塊状形態であることが望ましいとの知見を得た。
しかしながら、このような形態を有する酸化物系介在物は、従来から指摘されているように、連続鋳造時に浸漬ノズルの閉塞や、これに起因した薄鋼板の表面性状の劣化を生じるので、これらを防止する必要がある。
本発明は、Ti脱酸鋼におけるO含有量、および熱間圧延以後の鋼材中の酸化物系介在物を特定することによって上記課題を解決することができるという知見に基づくものである。
本発明は、C:0.0005%以上0.025%以下、Si:0.003%以上0.12%以下、Mn:0.05%以上2.5%以下、P:0.15%以下、S:0.02%以下、N:0.006%以下、sol.Al:0.0002%以上0.003%以下、Ti:0.005%以上0.05%以下、Nb:0.005%以上0.20%以下を含有し、全酸素濃度T.O:0.003%以上0.008%以下を含み、介在物に因る酸素濃度Oinc:0.0025%以上0.007%以下を含み、任意添加元素として、Feの一部に代えて(I)B:0.0020%以下、および/または(II)Cu: 1.0%以下、Ni: 1.0%以下、およびCr:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含み、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するとともに、鋼材中の酸化物系介在物のSiOが1.0%未満であり、90.0%以上がTiOx、AlおよびMnOの3元系から構成され、この3元系での組成範囲がTiOx:50.0%以上95.0%以下、Al:3.0%以上35.0%以下、MnO:2.0%以上25.0%以下にあることを特徴とする極低炭素鋼板である。
別の観点からは、転炉精錬および真空精錬を含む精錬を経て行う、上述した本発明に係る極低炭素鋼板の製造方法であって、この精錬におけるTi添加によるTi調整前の溶鋼の酸素濃度が0.004%以上0.015%以下の段階で溶鋼にTiを添加し、溶鋼中のTi濃度を0.005%以上0.05%以下とするとともに溶鋼中のO濃度を0.003%以上0.008%以下としてから、連続鋳造することを特徴する極低炭素鋼板の製造方法である。
本発明により、介在物酸素濃度を所定量含有し、特定組成のTiO系介在物を含むことによって、強度や伸び、さらには深絞り性等の鋼板特性を維持しつつ、表面性状に優れ、かつ連続鋳造時の浸漬ノズルの閉塞およびそれによって引き起こされる鋼材表面性状の劣化等も解決できる、極低炭素濃度かつ極低Al濃度を有するTi脱酸鋼からなる極低炭素鋼板および、これを工業的規模で量産する方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。はじめに、本発明の技術思想を説明する。
極低炭素鋼の組成を有する薄鋼板の基本特性を損なうことがない酸化物系介在物の形態を検討するため、薄鋼板の基本特性である強度および伸びと、介在物の形態との関係を、Alを極少量しか含有しない非Al脱酸のTi脱酸鋼と、ほぼ同様の組成を有するAl脱酸鋼とを比較しながら、調査した。
その結果、Al脱酸鋼では、酸化物系介在物としてアルミナクラスタを生成し、このアルミナクラスタが薄鋼板の表面に残存することが、いわいるスリバー疵の生成要因となり、表面性状を著しく損ねる。一方、このアルミナクラスタは、熱間圧延および冷間圧延により介在物が破砕されて疎な点列状で内在される状態として存在すれば、鋼の清浄度が著しく悪くない限り、鋼材の基本特性に影響を及ぼさないことが判明した。
これに対し、Ti脱酸鋼では、群落状介在物は生成されないので、介在物が薄鋼板の表面に残存しても、表面性状の劣化要因にはならない。しかし、Ti脱酸鋼では酸化物系介在物の形態が、薄鋼板の特性のうちr値に影響すること、すなわち、酸化物系介在物の形態が熱間圧延工程で伸展した形態であるとr値も低下する傾向にあることが判明した。一方、酸化物系介在物が熱間圧延工程でも伸展し難い孤立した塊状の形態を呈すると、r値はむしろ向上することが判明した。この理由は、Ti脱酸鋼は、Al脱酸鋼よりも弱脱酸であるため、酸化物系介在物の量そのものが多いこと、および酸化物系介在物が析出物の不均質核生成の起点となること等があるものと推定される。
Ti脱酸鋼における、このように伸展し難い孤立した塊状の形態の酸化物は、TiO主体の組成を有する。ここで、「TiO」とは鋼中のTi酸化物の総称である。Tiは価数として4価、あるいは3価を取り得るため、TiO、Ti、Ti等の存在形態が考えられ、さらに非化学量論組成も存在するので、TiOと表記した。この酸化物は、TiOおよびTiといったTi酸化物を主体とし、かつAlやMnOを含む成分からなるものである。一方、Ti脱酸鋼において伸展した酸化物は、TiO、Ti、Al、MnO、SiO等の成分が複合した、液相線温度が低く熱間圧延の温度でも軟質な介在物であった。
ところで、Ti脱酸鋼は、連続鋳造を採用した量産工程では、条件によっては、酸化物系介在物による浸漬ノズルの閉塞が容易に生じることが知られている。特に極低炭素鋼では、精錬段階の途中まで脱炭処理のために溶鋼中酸素濃度が高いことからその後の脱酸で生成する酸化物系介在物を除去する時間が制約されるために、浸漬ノズルの閉塞が発生する可能性は非常に高まる。これを防ぐためには、溶鋼中の酸化物系介在物は液相を呈した介在物に制御する方法があるが、薄鋼板の特性に対しての介在物形態とは望ましい形態が不一致である。
そこで、極低炭素鋼の組成を基本としたTi脱酸鋼の酸化物系介在物について調査したところ、精錬時の溶鋼の段階における介在物の組成形態と、連続鋳造以降の鋳片もしくは圧延の段階における介在物の組成形態とが異なる場合があることを判明した。すなわち、溶鋼の段階では、液相を含むTiOおよびTiを主体とする組成形態であるのに対し、鋳片以降の段階では、さらにTiOおよびTi濃度が増加して塊状を呈する組成形態になる状態がある。このような状態は、Tiを脱酸剤に使用した場合は、Ti脱酸の温度依存性が影響し、温度が低下する過程でさらに脱酸する方向に進むため、すなわち介在物中のTi酸化物が濃化して液相を含む状態から塊状を呈する状態に変化するためと解される。さらには、このような状態は、連続鋳造以降の圧延鋼材の状態で、以下の4つの条件を満たすことにより実現できる。
すなわち、本発明の技術思想を以下に列記する。
(a)アルミナクラスタが薄鋼板の表面性状を悪化し、連続鋳造時の浸漬ノズルの閉塞の要因となり、さらにはそのために薄鋼板の表面性状を悪化させることを防ぐために、Ti脱酸鋼を用いる。
(b)Ti脱酸鋼においては、介在物の組成形態が薄鋼板の深絞り性に悪影響を及ぼし得るので、介在物の組成形態を、薄鋼板の基本特性を劣化させない塊状形態に制御する。
(c)溶鋼段階で介在物の組成形態をこのような塊状形態に制御すると、浸漬ノズルの閉塞を生じ、スラブの量産性や表面性状の悪化を誘発するので、溶鋼段階では、液相を含む、浸漬ノズルの閉塞を生じ難い組成形態に制御し、かつTi脱酸が有する脱酸平衡の温度依存性を利用して、鋳造工程および圧延工程において塊状形態に介在物を制御する。
(d)溶鋼段階では液相を含有する介在物に組成形態を制御し、かつ連続鋳造以降の圧延鋼材の状態で塊状の介在物に組成形態を制御可能な薄鋼板の条件、およびそのような鋼材を得るのに必要な製鋼条件を特定する。
次に、本実施の形態の極低炭素鋼板の特徴を説明する。
(全酸素濃度T.O:0.003%以上0.008%以下)
全酸素濃度T.Oは、0.003%以上0.008%以下である。弱脱酸鋼では、予備脱酸を経ても、なお鋼材中に酸素が含有された状態である。ここで、T.Oが0.008%を超えると、Tiを過剰に添加しても酸化物系介在物にMnOが25.0%以上および/またはSiOが1.0%以上の状態となり、介在物組成を制御し難く、介在物が低融点の組成のまま持ちきたされてしまう。一方、全酸素濃度T.Oが0.003%未満であると、溶鋼の段階で介在物の形態が液相状態を実現できないばかりか、Al濃度が高い介在物となる場合もあり、Ti脱酸鋼の特徴である表面性状の優位性を維持できなくなる。
(介在物に因る酸素濃度Oinc:0.0025%以上0.007%以下)
介在物に因る酸素濃度Oincは、0.0025%以上0.007%以下である。Ti弱脱酸鋼では、鋼中に含有される全酸素濃度の全てが酸化物系介在物になるわけではない。弱脱酸鋼であっても、脱酸が充分になされ全酸素濃度の多くが酸化物系介在物として存在することが望ましく、その介在物に因る酸素濃度Oincは0.0025%以上である。しかしながら、介在物量が多すぎると鋼の清浄度が悪化するので、介在物に因る酸素濃度Oincは0.007%以下であることが望ましい。
なお、介在物による酸素濃度の測定方法は特に限定されないが、例えば酸化物系介在物の平均組成をエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで求めるとともに、光学顕微鏡で粒度分布を測定して、その単位面積あたりの介在物量から単位体積あたり介在物量を求め、両者から介在物に因る酸素濃度Oincを換算する方法がある。
(酸化物系介在物)
熱間圧延以後の鋼材中の酸化物系介在物は、TiOx、Al、MnO、SiO、MgO、CaOおよび不純物からなる。ここで、TiOxは、x=1.5〜2.0の範囲であり、換言するとTiOおよびTiから構成される酸化物を意味する。本発明のTi脱酸鋼の組成範囲では、TiOの割合が優勢であるので、TiO濃度に換算した値を用いる。
酸化物系介在物は、TiOx、Al、MnOの合計が90%以上であって、かつSiOが1.0%未満である。TiOxを含む塊状の形態を呈するには、90.0%以上である。一方、SiO濃度が1.0%を上回ると、介在物が液相を含む割合が増加して、圧延鋼材中で伸展した形状の介在物となるので、SiO濃度は1.0%未満である。CaOおよびMgO濃度は、少量が含まれても塊状形態を得ることができるので、それぞれ5%以下であれば許容できる。
TiOx、AlおよびMnOの割合は、この3元系に換算した時の組成範囲が、TiOx:50.0%以上95.0%以下、Al:3.0%以上35.0%以下、MnO:2.0%以上25.0%以下である。TiOxが50.0%未満であると熱間圧延域で伸展した介在物になるとともに薄鋼板の深絞り性に悪影響を及ぼすためであり、一方95.0%を超えると溶鋼段階でも液相を含まない状態になるためである。また、Alが3.0%未満であるとTiOx濃度が95.0%を超えたり、MnO−TiOxの液相介在物を呈し溶鋼段階での制御が難しく、一方35.0%を超えると溶鋼段階で液相を含まない状態となるためである。さらに、MnOが2.0%未満であると介在物が溶鋼段階で液相を含まない状態となるためであり、25.0%を超えるとMnO−TiOxの液相介在物が多くなってしまうためである。
次に、本実施の形態に係る極低炭素鋼板の化学組成の限定理由を説明する。
(C:0.0005%以上0.025%以下)
Cは、Ti等の炭化物形成元素と結合し、TiC、NbCまたはその複合炭窒化析出物を形成する。このため、C含有量を適正化することによって、これら析出物の体積分率を限定して鋼の成形性の向上、すなわち、これら析出物による析出強化の効果および、焼鈍時の固溶炭素や固溶窒素の低減による深絞り性の向上を図ることができる。
しかし、C含有量が0.0005%未満では充分な引張強度が得られない。また、溶鋼段階にあっては、炭素は溶鋼中に共存する酸素と反応し、反応物が減圧除去されることによって脱炭される。このため、C含有量を0.0005%未満とするためには長時間の真空処理を行う必要を生じ、経済的観点からも好ましくない。一方、炭素含有量が0.025%を超えると耐力が上昇し伸びが低下して、成形性が劣化する。
したがって、C含有量は、0.0005%以上0.025%以下とする。さらなる成形性、特にr値の確保を図るためには、C含有量を0.01%以下とすることが好ましい。さらに好ましい範囲は、0.0010%以上0.0030%以下である。
(Si:0.003%以上0.12%以下)
Siは、安価な固溶強化元素であり、低コストで薄鋼板の高強度化を図ることができるので、強度の向上を目的として含有する。また、Ti弱脱酸鋼にあっては予備脱酸および複合脱酸の効果も期待できる。しかし、介在物中にSiOが含まれると、薄鋼板の本来の性能が発揮できなくなる可能性があるので、その点では低い濃度であることが望ましい。Si濃度が0.12%を超えると、介在物中のSiO濃度を1%未満にすることが困難となる。望ましくは0.08%以下、さらに望ましくは0.05%以下である。一方、Siは粗溶鋼の段階で含有されるものであり、Si含有量を極端に低下させるには、所定の処理が必要になるので生産性の低下を招くので、Si含有量を0.003%以上とする。以上の理由により、Si含有量は、0.003%以上0.12%以下とする。
(Mn:0.05%以上2.5%以下)
Mnは、固溶強化により鋼板を高強度化する作用を有し、またTi弱脱酸鋼にあっては、Mnとの複合脱酸の効果により脱酸を強化する働きがある。したがって、Mn含有量は0.05%以上とする。望ましくは0.10%以上、さらに望ましくは0.15%越とする。一方、Mn含有量が2.5%を超えると耐力の上昇と伸びの劣化が顕著になり、加工時にしわや割れが生じやすくなる。また、Mn合金鉄の使用量も増加し、Mn合金鉄に含有される炭素を除去するために製造コストが嵩む。このため、Mn含有量の上限を2.5%とする。望ましい上限は0.80%未満であり、さらに好ましい上限は0.31%未満である。
(P:0.15%以下)
Pは、固溶強化によって鋼板を高強度化する有用な元素であり、強度の向上を目的として含有する。しかし、P含有量が過剰になると、粒界偏析による脆化が懸念される。また、冷延鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施す鋼種では合金化処理性が低下してめっき密着性が低下したり、めっき表面にP偏析に起因する筋模様が現れたりする。したがって、P含有量は0.15%以下とする。0.06%以下とすることが好ましい。下限については、脱P処理に要する製造コストの上昇を抑制する観点から、0.005%以上とすることが好ましい。
(S:0.02%以下)
Sは、不純物として鋼板中に存在するが、S含有量が過剰であると薄鋼板の表面にスケール疵が生じ易くなり、外観品質を損なう場合がある。そのため、S含有量は0.02%以下とする。0.01%以下とすることが好ましい。
(N:0.006%以下)
Nは、過剰に含有すると、耐力が上昇したり、ストレッチャーストレインが発生したりして、加工時に薄鋼板の面歪みが発生し易くなる。このため、N含有量は0.006%以下とする。0.003%以下とすることが好ましい。
(sol.Al:0.0002%以上0.003%以下)
鋼中Alは、酸化物等の分析時に使用する酸に溶解しない形態と、固溶あるいは窒化物等の酸に溶解する形態とがあり、一般にAl含有量は酸に可溶な量で表し、これをsol.Alと表記する。sol.Al含有量は、溶鋼段階での溶存Al量と関連づけられるので、鋼の脱酸および介在物の組成形態に強く影響する。
本発明では、薄鋼板の段階でAl濃度は35.0%以下を必要とするが、Alが高い場合はこれを超えてしまうので、sol.Al含有量は0.003%以下とする。望ましくは0.001%以下である。
一方、Al自体は、溶鋼の製造工程で予備脱酸や温度調整に使用できるとともに、薄鋼板中のアルミナ系介在物の濃度が3.0%以上は必要であるので、その含有量を0.0002%以上とする。0.0003%以上とすることが好ましい。
(Ti:0.005%以上0.05%以下)
本実施の形態に係る極低炭素鋼板では、鋼中Tiは溶鋼段階では脱酸するとともに、薄鋼板の諸特性を安定させるために必要なTiOxの介在物を生成させる機能を有する重要な元素である。また、Tiの一部はTiNとして析出することにより、Nによるストッレッチャーストレインや耐力上昇を抑制し、加工時の面歪みを抑制する。そのためTi含有量を0.005%以上とする。
一方、Ti含有量が0.05%を超えると、TiCの析出量が増加して伸びを劣化させ、加工時に面歪みや割れが生じるようになる。また、本実施の形態に係る極低炭素鋼板に溶融亜鉛めっきを施す場合には、めっき皮膜の表面に筋模様を呈するといった問題も生じる。したがって、Ti含有量は0.05%以下とする。なお、Tiは比較的高価な元素であり製造コストに影響するから、薄鋼板の特性維持の観点や加工時の面歪みの発生防止の観点から許容される場合には、その含有量を0.025%以下とすることが好ましい。
(Nb:0.005%以上0.20%以下)
Nbは、鋼中にあってCと結合しNbCの析出物を生成し、鋼板の機械特性を向上させる。特にTi脱酸鋼では、Cと結びつくTi量が必ずしも充分ではないのでNbは必須となる。このような効果を得るためにNbは0.005%以上含有する。Nb含有量が0.005%未満であると、引張強度を安定して得ることが困難になる場合がある。より安定した効果を得るためには0.01%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が0.20%を超えると、C含有量に対してNb含有量が過剰となり、かえって耐力が上昇し伸びが低下する。したがって、Nb含有量の上限を0.20%とする。望ましい上限は0.05%以下である。
Feの一部に換えて以下に列記する元素を任意添加元素として、単独であるいは2種以上を複合して含有することにより、本発明の効果を享受しながら、薄鋼板の特性をさらに改善することができる。
(B:0.0020%以下)
Bは、二次加工脆化を防止する作用を有するので含有することが好ましい。ただし、B含有量が0.0020%を超えると、r値が顕著に低下する。このため、B含有量は0.0020%以下とすることが望ましい。B含有量を0.0003%以上0.0010%以下とすれば、B添加の効果を効率的に享受することができ、望ましい。
(Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下)
Cu、Ni、Crは、いずれも、強度を確保するために含有してもよい。しかし、過剰に添加しても効果は飽和し製造コストが嵩むだけとなる。そこで、Cu、Ni、Crそれぞれの含有量は、いずれも、1.0%以下とすることが望ましい。
上述した以外の組成は、Feおよび不純物である。
次に、本実施の形態の極低炭素鋼板の製造方法を、工程順に説明する。
(転炉精錬および真空精錬を含む精錬工程、および連続鋳造工程)
転炉等の製鋼炉で脱炭処理を行い、C濃度が0.04%から0.07%である低炭素溶鋼として、未脱酸のまま取鍋などの容器に出鋼する。Cを含む溶鋼は、さらにRH装置等の真空脱ガス装置に搬送されて真空脱炭処理が行われ、C濃度が0.025%以下である極低炭素溶鋼となる。この際の脱炭反応には溶鋼にCと反応するOを含有していることが要求され、そのO濃度は転炉から出鋼された段階で0.03%から0.08%程度である。
この真空脱炭に要する処理時間の溶鋼温度低下を補償するために、溶鋼の加熱処理が真空脱炭処理の前後にしばしば行われる。この加熱処理には、溶鋼をAl等の金属と酸素ガスとの酸化反応により加熱する方法や、黒鉛電極から電弧を発生させて溶鋼に通電してジュール熱の供給により電気加熱する方法があり、本発明ではいずれであってもよい。なお、Alの酸化反応による加熱処理の場合は、Alの燃焼によって生じるAl系介在物の多量の懸濁を生じるので、後述するTi調整前の成分調整の段階で、環流等の溶鋼撹拌操作により酸化物系介在物の組成制御を阻害しない程度に除去することが望ましい。一方、Al添加は本発明の微量Al含有を満たす一手段にもなり、また酸素ガス供給は、Ti調整前の酸素濃度の調整の一手段となる。
真空精錬による脱炭後に、Ti以外の酸素との親和力の弱い元素の成分調整を行う。ここで、Si、Nb、Bといった元素はフェロシリコン、フェロニオブ、フェロボロンといった合金鉄により成分調整を行うと、これらが含有する少量のAlによって溶鋼中に微量のAlを含有させることの補助的な役割を果たすことができる。
Ti以外の元素の成分調整を概ね実施した後に、O濃度の調整を行う。O濃度の調整は、成分調整時のSi、Mn濃度、O濃度、取鍋スラグの組成制御およびスラグ改質剤の添加、溶鋼環流等の撹拌操作などによって実施することができる。O濃度の制御は、従来から実施されている半経験的な制御方法や、近年実用化の域にあるO濃度の迅速分析装置による分析値を用いたフィードバック制御などが適用できる。
Ti調整前のO濃度は0.004%以上0.015%以下である。その理由は、Ti調整前のO濃度が0.004%未満であると、Ti調整後の酸化物系介在物中のTiOx濃度および/またはAl濃度および/またはMgO等のその他酸化物濃度が高くなり、このような状態では溶鋼段階で液相を含む介在物形態を安定して得ることができない。また、酸素濃度が0.015%を超えると介在物中のMnO濃度および/またはSiO濃度が高くなり、凝固以降の圧延段階で塊状介在物を得ることができなくなる。
さらに、Ti調整によりTi濃度を0.005%以上0.05%以下とする際には、全酸素濃度を0.003%以上0.008%以下とする。その理由は前述のとおりである。
このように、Ti調整の前後における全酸素濃度を所定範囲に調整することにより、溶鋼段階での介在物の組成形態は、液相を含むTiOx系介在物とすることが可能となり、連続鋳造工程における浸漬ノズルの閉塞を抑制することができ、これにより、本実施の形態の鋼を、安定して量産することができるようになる。さらに、浸漬ノズルの閉塞およびこれを防ぐために実施される浸漬ノズルの内部でのArガスの吹き込みによって誘発されるスラブの表面性状の劣化、ひいてはこのスラブを母材とする圧延鋼材の表面性状の悪化を、いずれも抑制することができる。
このように、本実施の形態の精錬工程および連続鋳造工程では、精錬を終了した溶鋼が、上述した化学組成を有するとともに、精錬工程におけるTi添加によるTi調整前の溶鋼の酸素濃度が0.004%以上0.015%以下の段階で溶鋼にTiを添加し、溶鋼中のTi濃度を0.005%以上0.05%以下とするとともに溶鋼中のO濃度を0.003%以上0.008%以下としてから、連続鋳造する。
(連続鋳造での凝固以降)
上記操作を行うことによって、連続鋳造での凝固以降の圧延段階では、酸化物系介在物の組成はSiOが1.0%未満であり、その90%以上がTiOx、AlおよびMnOから構成され、TiOx、AlおよびMnOからなる3元系での組成範囲がTiOx:50.0%以上95.0%以下、Al:3.0%以上35.0%以下、MnO:2.0%以上25.0%以下を満たすことができる。これにより、Ti脱酸鋼としての諸特性の劣化がなく、しかも表面品質が美麗な薄鋼板を製造することができる。
連続鋳造の後工程における鋼板の製造方法は特に規定しないが、以下の方法に従うことが好ましい。
連続鋳造によって得られた鋼塊を再加熱するか、もしくは連続鋳造後の高温の鋼塊をそのまま、または補助加熱を行ってから、熱間圧延を行う。鋼塊は、表面性状を良好に保つために、加熱前に冷間もしくは温間で表面手入れすることが好ましい。加熱温度が低いと、圧延荷重が増大して圧延が困難になるため、加熱温度は1150℃越とすることが好ましい。
熱間圧延の条件は特に規定しないが、オーステナイト低温域で仕上げ圧延を行って熱延鋼板の結晶粒を微細化し、焼鈍時に深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、Ar変態点以上(Ar変態点+100℃)以下の温度範囲で最終圧下を行うことが望ましく、890℃以上920℃未満で最終圧下を行えばさらに望ましい。また、スケール性の表面欠陥を抑制するために、仕上げ圧延の開始温度と仕上げ圧延の終了温度との差を100℃以上確保することが好ましい。
なお、仕上げ圧延をこれらの温度範囲で行うために、粗圧延と仕上げ圧延との間で粗圧延材を例えばバーヒーターにより加熱してもよい。この際、粗圧延材の後端が先端よりも高温となるように加熱することによって仕上げ圧延の開始時における粗圧延材の全長にわたる温度の変動を140℃以下に抑制することが望ましい。これにより、コイル内の製品特性の均一性を向上することができる。
粗圧延材の加熱は、例えば、粗圧延機と仕上げ圧延機との間にソレノイド式誘導加熱装置を設けておき、この誘導加熱装置の上流側における長手方向の温度分布等に基づいて加熱昇温量を制御する方法が、例示される。
熱間圧延を終了した後に鋼板を冷却してコイル状に巻取る。スケールの生成による歩留まりの低下を招くために、700℃未満で巻き取ることが望ましい。一方、巻き取り後にTiおよびNbの炭窒化物を十分に析出させ、深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、巻取り温度は610℃越とすることが好ましい。
冷間圧延は、酸洗等により脱スケールした後に、常法に従って行われる。冷間圧延後に行われる再結晶焼鈍によって深絞り性に好ましい再結晶集合組織を発達させるために、圧下率を70%以上とすることが好ましい。圧下率を過度に高くすると、圧延設備への負荷が高まり、生産性の低下を招く。したがって、圧下率は90%未満とし、最終板厚を0.40mm以上とすることが好ましい。
冷間圧延された鋼板は、必要に応じて公知の方法に従って脱脂などの処理が施され、再結晶焼鈍される。再結晶焼鈍時の加熱速度が速すぎるとフェライトが細粒化し、延性の劣化を招く。このため、均熱温度までの加熱速度は60℃/s未満とすることが好ましい。また、焼鈍温度がAc変態点以上となると、深絞り性に好ましい再結晶集合組織が変態により減少するので、焼鈍温度の上限をAc変態点未満とすることが好ましい。なお、再結晶焼鈍は、連続焼鈍または箱焼鈍のいずれによっても差し支えないが、生産性の観点からは連続焼鈍することが好ましい。焼鈍後に調質圧延を行ってもよい。
焼鈍後は、常法に従って、溶融亜鉛めっき処理を施してもよい。生産性および耐食性の観点からは、連続溶融亜鉛めっき装置で再結晶焼鈍およびめっきを行い、さらに、合金化処理を施すことが好ましい。また、めっき前もしくはめっき後に調質圧延を行っても構わない。
このように、本実施の形態では、連続鋳造での凝固以降における鋼材中の酸化物系介在物のSiOが1.0%未満であり、90.0%以上がTiOx、AlおよびMnOの3元系から構成され、この3元系での組成範囲がTiOx:50.0%以上95.0%以下、Al:3.0%以上35.0%以下、MnO:2.0%以上25.0%以下にあるようにする。
このようにして、本実施の形態の極低炭素鋼板が製造される。本実施の形態の極低炭素鋼板は、極低炭素濃度かつ極低Al濃度を有するTi脱酸鋼からなり、介在物酸素濃度を所定量含有し、特定組成のTiOx系介在物を含むことによって、強度や伸び、さらには深絞り性等の特性を維持しつつ、表面性状に優れるものであって、その素材であるスラブの連続鋳造時における浸漬ノズルの閉塞およびそれによって引き起こされる表面性状の劣化等も解決できる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
本発明における鋼組成と、介在物組成形態および鋼板特性との関係を明らかにするため、以下のような鋼板を試作した。
不活性ガス雰囲気で溶解が可能な17kg誘導加熱炉により、表1に示す組成を有する鋼塊を製造した。鋳造の直前に溶鋼から直径17mmのボンブサンプルを採取し、溶鋼中の介在物形態を調査した。断面に観察される5μmの介在物を光学顕微鏡で観察して個数計測を行うとともに、全介在物個数に対して溶鋼段階で液相を呈したと考えられる球状介在物の割合が20%以上の場合、介在物が液相を有すると判定した。
介在物に依る酸素濃度Oincは、酸化物系介在物の平均組成をエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで求めるとともに、光学顕微鏡で粒度分布測定して、その単位面積あたりの介在物量から単位体積あたり介在物量を求め、両者から算出した。
鋳造された鋼塊を鍛造して、幅210mm、長さ130mm、厚み20mmの素材を作製した後、さらに加熱温度1250℃に保持した後、仕上げ温度910℃で熱間圧延し、4.0mm厚の熱延鋼板を得た。熱間圧延後、直ちに水スプレー冷却により650℃まで冷却してこれを巻取り温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で炉冷却して巻取り後の徐冷処理とした。
得られた熱延鋼板の断面、幅約100mmの位置で長手方向20mmでミクロ試料を採取し、その断面に観察される介在物を評価した。評価方法は、走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置を用いて、長さ4μm以上、幅2μm以上の酸化物系介在物を無作為に10個ないし20個を選んで組成分析を行い、化学量論組成を仮定して酸化物に換算し、その平均値を求めた。
さらに熱延鋼板を酸洗した後、圧下率82.5%で厚さ0.7mmまで冷間圧延し、均熱温度850℃で焼鈍し、冷延鋼板とした。得られた冷延鋼板に伸び率1.0%の調質圧延を施した後、JIS5号引張試験片を採取して引張試験を行い、圧延方向の降伏応力(YS)、引張強度(TS)および全伸び(El)を求めた。r値は、圧延方向(0°方向)、圧延方向と45°をなす方向(45°方向)および圧延方向と直行する方向(90°方向)から採取したJIS5号引張試験片に引張試験を行い、0°方向のr値(r0°値)、45°方向のr値(r45°値)および90°方向のr値(r90°値)を用いて、平均r値=(r0°値+2×r45°値+r90°値)/4から平均r値を求めた。
冷間圧延材の疵の評価は、以下のような内容を実施した。冷間圧延材の表面幅約200mm、長さ900mmでスリバー状疵が観察され、そのスリバー状疵に酸化物系介在物と同様の組成の酸化物痕を認めた場合には、疵部の介在物を有りと判定した。
結果を表1、2にまとめて示す。
Figure 0004998365
Figure 0004998365
表1、2における試料No.1−1〜1−7は、本発明で規定する条件を全て満足する実施例であり、試料No.1−8〜1−15はこれらのうちの少なくとも一つを満足しない比較例である。
試料No.1−1〜1−7は、強度や伸び、さらには深絞り性を維持し、特に平均r値が1.90以上であり深絞り性が良好であるとともに、溶鋼段階での介在物は液相を含む状態になっているとともに、疵部に介在物が観察される例もなかった。
これに対し、試料No.1−8、1−9、1−11、1−13および1−15では、介在物中のSiOが1%を超えて含まれるか、3元系介在物に換算してMnO濃度が25%を超えることにより、平均r値が不芳であった。
また、試料No.1−10はTiO濃度が95.0%超であり、試料No.1−12ではAl濃度が35.0%超であり、さらに試料No.1−14ではMnO濃度が2.0%未満であるので、いずれも、溶鋼介在物に液相が認められない結果となり、また冷延鋼板の疵部に介在物痕が認められた。
溶鋼290トンを転炉で脱炭精錬し、その未脱酸溶鋼を収容した取鍋をRH装置へ移送し、RH装置で真空脱炭処理を行った。RH装置にて真空脱炭が終了した後、未脱酸溶鋼の予備脱酸と溶鋼の昇温操作を兼ねて金属Alを添加した。Al添加後に真空槽内の溶鋼に酸素を38Nm/minで供給して適宜酸化反応による溶鋼への熱付与を実施した。その後溶鋼に酸素濃度が含有される状態で既に含有されている濃度を勘案してTi以外の各種合金を添加調整し、最後にTiを添加調整し表3に示される化学組成になるように調整した。
これらの精錬を行った後、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造機に搬送し、幅960mm〜1200mm、厚さ250mmのスラブ形状の鋳片を得た。
得られた鋳片を表面手入れしてから、表4に示される条件で加熱して熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延した。続いて、連続溶融亜鉛めっき設備により冷延板を焼鈍し、溶融亜鉛めっきし、合金化処理した。その後、伸び率1.0%で調質圧延を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。一部の鋼板では、溶融亜鉛めっき後の合金化処理を省略し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、一部の鋼板では、冷間圧延後、連続焼鈍設備で焼鈍し、伸び率1.0%で調質圧延を施して冷延鋼板とした。
表4には、Ti調整前後の全酸素濃度を示す。また、表5には溶鋼段階での酸化物系介在物の組成形態と熱間圧延鋼材での酸化物系介在物の組成形態を示す。表5の介在物組成等の調査方法は実施例1に示した方法に準じている。溶鋼段階での介在物は、連続鋳造機のタンディッシュに収容された溶鋼からボンブサンプルを採取し、その鏡面仕上げした断面に観察される直径5μm以上の酸化物系介在物のうち球状介在物の割合を示した。また、圧延鋼材は、鋼帯の幅中央、板断面を圧延長手方向に3.2mm×20mmのミクロ試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
表6には、連続鋳造工程での浸漬ノズルの閉塞状況の指標として、ノズル上部に設置された溶鋼流量を制御するスライディングゲートの開度の1ヒートあたりの上昇分を△%/ヒートを示した。また、冷延鋼板のスリバー疵については、鋼帯1000m当たりの表面欠陥発生個数を示した。そして、鋼帯の欠陥発生率が0.5個/1000m未満を良好とし、1.0個/1000m以上を不良とした。
溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板および冷延鋼板から、JIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行い、圧延方向の降伏応力(YS)、引張強度(TS)および全伸び(El)を求めた。r値は実施例1と同様に求めた。
結果を表4〜6にそれぞれ示す。
Figure 0004998365
Figure 0004998365
Figure 0004998365
Figure 0004998365
表3〜6における試料No.2−1〜2−4は、本発明で規定する条件を全て満足する実施例であり、試料No.2−5〜2−10はこれらのうちの少なくとも一つを満足しない比較例である。
試料No.2−1〜2−4は、溶鋼中の介在物組成割合が30%以上と高く、そのためノズル閉塞の指標であるノズル開度の上昇も1ヒートあたり2%以下と少なく、安定して多連鋳が可能な状態である。さらには、鋼板の欠陥発生率が0.5個/1000mと少ないことから、本鋼の特徴である表面性状が美麗な薄鋼板が得られることがわかる。さらには、平均r値は1.8以上であり深絞り性も優れている。
これに対し、試料No.2−5は、Ti調整前の全酸素濃度が高く、圧延鋼材中SiO濃度が1%を超え、平均r値が低下した。
試料No.2−6は、Ti濃度が少ないために介在物中MnO濃度およびSiO濃度が高くなり、平均r値が低下した。
試料No.2−7は、Ti調整後の酸素濃度が低くAl濃度が0.003%以上であるので、圧延鋼材中のAl濃度が35%を超え、その結果溶鋼段階での液相率が7%と低く、ノズル開度も1ヒート当たり5%以上となり、安定した多連鋳が困難な結果となった。
試料No.2−8は、Ti調整前の全酸素濃度が高く、結果として圧延鋼材中の介在物のTiO濃度が50%を下回るため、平均r値が低い結果となった。
試料No.2−9は、Ti調整前の全酸素濃度が低く、Ti調整後の介在物組成制御が難しくなり、この例では結果として圧延鋼材中の介在物のその他酸化物濃度が10%を超えたため、平均r値が低い結果となった。
さらに、試料No.2−10は、Ti濃度が0.05%を超えるため、圧延鋼材での介在物中のTiO濃度が95%を超え、また溶鋼中介在物の液相介在物割合も7%と低く、ノズル開度の変化も大きくなり多連鋳への適用が困難であり、Ti脱酸鋼の特徴である欠陥発生率の低減もできなかった。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.0005%以上0.025%以下、Si:0.003%以上0.12%以下、Mn:0.05%以上2.5%以下、P:0.15%以下、S:0.02%以下、N:0.006%以下、sol.Al:0.0002%以上0.003%以下、Ti:0.005%以上0.05%以下、Nb:0.005%以上0.20%以下を含有し、全酸素濃度T.O:0.003%以上0.008%以下を含み、介在物に因る酸素濃度Oinc:0.0025%以上0.007%以下を含み、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するとともに、鋼材中の酸化物系介在物のSiOが1.0%未満であり、90.0%以上がTiOx、AlおよびMnOの3元系から構成され、該3元系での組成範囲がTiOx:50.0%以上95.0%以下、Al:3.0%以上35.0%以下、MnO:2.0%以上25.0%以下にあることを特徴とする極低炭素鋼板。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%でB:0.0020%以下を有する請求項1に記載された極低炭素鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu: 1.0%以下、Ni: 1.0%以下、およびCr:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する請求項1または請求項2に記載された極低炭素鋼板。
  4. 転炉精錬および真空精錬を含む精錬を経て行う請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された極低炭素鋼板の製造方法であって、
    質量%で、該精錬におけるTi添加によるTi調整前の溶鋼の酸素濃度が0.004%以上0.015%以下の段階で溶鋼にTiを添加し、溶鋼中のTi濃度を0.005%以上0.05%以下とするとともに溶鋼中のO濃度を0.003%以上0.008%以下としてから、連続鋳造することを特徴する極低炭素鋼板の製造方法。
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