JP4996132B2 - 燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池およびその製造方法に関する。
燃料電池としては、固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持されたもの(単セル)が知られている。この燃料電池では、カソード側の電極触媒層に供給される空気中の酸素と、アノード側の電極触媒層に供給される燃料ガス中の水素との電気化学反応によって発電が行われる際に水が生成する。また、この燃料電池では、固体高分子電解質膜によるイオン導電性を向上させるために、供給される空気や水素(反応ガス)に加湿が行われる。そして、生成した水や加湿に使用した水によって反応ガスの流れが阻害されると燃料電池の発電特性が低下することが知られている。
従来、燃料電池(単セル)からの排水性の向上を目的として、反応ガスの流路の出口付近に親水性処理を施した燃料電池(例えば、特許文献1参照)や、膜電極構造体を構成するガス拡散層のうち、反応ガスの流路の出口付近のガス拡散層部分であって電極触媒層と重ならない部分(非発電部)に親水化処理を施した燃料電池(例えば、特許文献2参照)、ガス拡散層に撥水化処理を施すことで水がガス拡散層に含浸することを防止した燃料電池(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
特開2002−298871号公報 特開2005−93243号公報 特開2004−22254号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の燃料電池では、親水化処理された反応ガスの出口付近に水がとどまるために排水性がかえって悪くなるおそれがある。特に、特許文献2に記載の燃料電池では、反応ガスの出口付近におけるガス拡散層内に水がとどまるために電極触媒層への反応ガスの拡散が妨げられて発電特性が低下するおそれもある。
また、特許文献3に記載の燃料電池では、固体高分子電解質膜に電極触媒層を介してガス拡散層を設ける際に、ガス拡散層は電極触媒層の周囲(非発電部)で固体高分子電解質膜と接着剤で接着される。その結果、ガス拡散層の非発電部は、接着剤によって親水化されることとなる。つまり、電極触媒層と面するガス拡散層部分(発電部)は、撥水性を示すものの、電極触媒層の周囲で固体高分子電解質膜と面するガス拡散層部分(非発電部)は、親水化されることとなる。したがって、特許文献3に記載の燃料電池は、反応ガスの出口付近におけるガス拡散層内に水がしみこみ、電極付近が水によって満たされることにより、ガス拡散性が低下し、発電特性が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、従来の燃料電池と比較して、生成した水や加湿に使用した水による発電特性の低下を効果的に防止することができる燃料電池およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持された燃料電池において、前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える電極部と、この電極部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有しており、前記流路の反応ガスの出口付近の前記非発電部には、親水部が形成されているとともに、この親水部の前記セパレータ側の面が、撥水性を示し、前記膜電極構造体の面方向が鉛直方向と一致するように配置されて前記流路の反応ガスの出口部分が鉛直方向の下側となるような前記膜電極構造体の配置位置で、前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、鉛直方向の上側の少なくとも一部分を残して鉛直方向の下側となる面部分が撥水性を示し、前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、撥水処理が施された、鉛直方向の下側となる前記面部分におけるエチレングリコールの接触角度が100度以上であり、前記一部分におけるエチレングリコールの接触角度が90度以下であることを特徴とする。
この燃料電池では、ガス拡散層のうち、電極触媒層に面する電極部のセパレータ側の面に表出した水は、セパレータに形成された流路を流れる反応ガスに同伴しながら反応ガスの出口付近に向かって運ばれてくる。そして、電極部の周囲で固体高分子電解質膜に面する非発電部のセパレータ側の面は、電極部のセパレータ側の面と比較してより高い撥水性を示すので、従来の燃料電池(例えば、特許文献2および特許文献3参照)と異なって、反応ガスの出口付近に運ばれた水がガス拡散層(非発電部)に浸み込むことが防止される。つまり、反応ガスの出口付近に運ばれた水は、セパレータの反応ガスの流路の出口から効率よく排出される。
また、この燃料電池では、流路の反応ガスの出口部分が鉛直方向の下側となるように膜電極構造体が配置されることで、水は反応ガスの流れと重力とによって効率よく反応ガスの出口付近に運ばれる。そして、水がより多く集まる親水部の下側となる面部分(セパレータ側の面)には撥水処理が施されているので、親水部に水が浸み込むことが防止される。その結果、反応ガスの出口付近に運ばれた水は、反応ガスの流路の出口から効率よく排出される。また、親水部の下側と比較して集まる水の量の少ない親水部の上側は、撥水処理が施されていないので、これに隣接する電極部(ガス拡散層)に含まれる水を引き込むとともに、引き込まれた水は親水部の上側を通過する反応ガスで蒸発して反応ガスの流路の出口から排出される。
また、この燃料電池では、鉛直方向の下側となる面部分におけるエチレングリコールの接触角度が100度以上となるように設定されることで、前記したように親水部の下側セパレータ側の面に多く集まった水が親水部内に浸み込むことが防止される。つまり、反応ガスの出口付近に集められた水は、セパレータの反応ガスの流路の出口から効率よく排出される。そして、撥水処理が施されていない前記一部分におけるエチレングリコールの接触角度が90度以下となるように設定されることで、親水部の上側は、効率よく電極部(ガス拡散層)に含まれる水を引き込むとともに、引き込んだ水を効率よく反応ガスで蒸発させることができる。
また、鉛直方向の下側となる前記した面部分におけるエチレングリコールの接触角度は、150度以下であるのが好ましい。それは、150度程度で初期の撥水効果が十分に得られるからである。一方、その上側となる前記一部分における接触角度は10度以上であるのが好ましい。それは、別途に親水性の処理を施さなくとも前記した水を引き込む作用が十分に得られるからである。
また、このような燃料電池においては、前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、撥水処理が施された、鉛直方向の下側となる前記面部分におけるエチレングリコールの接触角度θ1と、前記電極部の前記セパレータ側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が、−20度以上、20度以下であることが望ましい。
この燃料電池では、差θ1−θ2が、−20度以上となるように設定されることで、親水部のセパレータ側の面に水がとどまることが防止される。そして、差θ1−θ2が、20度以下となるように設定されることで、電極部のセパレータ側の面から親水部のセパレータ側の面に水が移行する際の抵抗が抑制される。その結果、水はセパレータの反応ガスの流路の出口からより効率よく排出される。
また、このような燃料電池においては、撥水処理が施された前記親水部の前記セパレータ側の面におけるエチレングリコールの接触角度が、前記セパレータの表面におけるエチレングリコールの接触角度と比較して大きいものが望ましい。
この燃料電池では、親水部のセパレータ側の面からセパレータの表面に水が移行する際の抵抗が抑制される。その結果、膜電極構造体からセパレータに形成された、反応ガス流路の出口に向かって、水が効率よく排出される。
また、前記課題を解決する燃料電池の製造方法は、固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持されており、前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える電極部と、この電極部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有している燃料電池の製造方法であって、前記流路の反応ガスの出口付近の前記非発電部に親水部を形成する第1工程と、前記第1工程の後であって、前記親水部の前記セパレータ側の面に撥水処理を施す第2工程とを有することを特徴とする。
この製造方法では、非発電部に親水部を形成した後に、親水部のセパレータ側の面に撥水処理を施すこととなるので、親水部のセパレータ側の面が、撥水性を示す電極部のセパレータ側の面と比較してより高い撥水性を示す請求項1に記載の燃料電池を製造することができる。
本発明によれば、従来の燃料電池と比較して、反応ガスの出口付近に運ばれた水をセパレータの反応ガスの流路の出口から効率よく排出することができ、発電特性の低下を効果的に防止することができる燃料電池およびその製造方法を提供することができる。
(第1実施形態)
次に、本発明の燃料電池の第1実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る燃料電池の斜視図である。図2は、単セルの積層構造を示す分解斜視図である。図3は、カソード側に配置されるセパレータをカソード側から見た平面図である。図4(a)は、膜電極構造体をカソード側から見た平面図、図4(b)は、図4(a)のX−X´断面図、図4(c)は、図4(b)のA部拡大図である。なお、図4(b)および(c)では、便宜上、シール部材の記載は省略している。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池FCは、内部マニホールド型のものであって、複数の単セル1が積層された積層体2を備えている。
図2に示すように、単セル1は、一対の導電性のセパレータ14およびセパレータ15で挟み込まれる膜電極構造体(MEA;Membrane Electrode Assembly)10を備えている。
セパレータ14は、膜電極構造体10のアノード12側の面に対向するように設けられている。このセパレータ14の膜電極構造体10に対向する面には、水素(反応ガス)が流通する流路14sが形成されている。そして、セパレータ14には、図2の紙面奥側上段、中段、下段に貫通孔14a,14b,14cが形成されており、図2の紙面手前側上段、中段、下段に貫通孔14d,14e,14fが形成されている。また、セパレータ14には、貫通孔14dと流路14sとを連通させる連絡路14gと、流路14sと貫通孔14cとを連通させる連絡路14hとが形成されている。
セパレータ15は、膜電極構造体10のカソード13側に対向するように設けられている。このセパレータ15の膜電極構造体10に対向する面には、図3に示すように、反応ガスとしての空気(酸素)が流通する流路15sが形成されている。そして、セパレータ15には、図2の紙面奥側上段、中段、下段に貫通孔15a,15b,15cが形成されており、図2の紙面手前側上段、中段、下段に貫通孔15d,15e,15fが形成されている。また、セパレータ15には、図3に示すように、貫通孔15aと流路15sとを連通させる連絡路15gと、流路15sと貫通孔15fとを連通させる連絡路15hとがそれぞれ形成されている。
そして、セパレータ15には、図2に示すように、流路15sが形成された面と反対の面に、冷却水が流通する冷却水路16sが形成されている。なお、この冷却水は、冷却水路16sを流れることにより燃料電池FCを冷却するものである。また、セパレータ15には、貫通孔15bと冷却水路16sとを連通させる連絡路16aと、冷却水路16sと貫通孔15eとを連通させる連絡路16bとがそれぞれ形成されている。
そして、単セル1が複数積層されて積層体2(図1参照)を形成した際に、貫通孔14d、および貫通孔15dは、相互に連通し合うことで水素をセパレータ14の流路14sに供給する供給孔(図示せず)を形成する。そして、貫通孔14c、および貫通孔15cは、相互に連通し合うことで流路14sから水素を排出する排出孔(図示せず)を形成する。ちなみに、この燃料電池FCにおいては、膜電極構造体10の面方向が鉛直方向と一致するように配置された際に、貫通孔14cに連通する連絡路14h(水素(反応ガス)の出口)は、鉛直方向の下側となる。
また、貫通孔14a、および貫通孔15aは、相互に連通し合うことで空気(酸素)をセパレータ15の流路15s(図3参照)に供給する供給孔(図示せず)を形成する。そして、貫通孔14f、および貫通孔15fは、相互に連通し合うことで流路15sから空気(酸素)を排出する排出孔(図示せず)を形成する。ちなみに、この燃料電池FCにおいては、膜電極構造体10の面方向が鉛直方向と一致するように配置された際に、貫通孔15fに連通する連絡路15h(空気(反応ガス)の出口)は、鉛直方向の下側となる。
また、貫通孔14b、および貫通孔15bは、相互に連通し合うことで冷却水をセパレータ15の冷却水路16sに供給する供給孔(図示せず)を形成する。そして、貫通孔14e、および貫通孔15eは、相互に連通し合うことで冷却水路16sから冷却水を排出する排出孔(図示せず)を形成する。
膜電極構造体10は、図4(a)および(b)に示すように、固体高分子電解質膜20と、この固体高分子電解質膜20の一方の面に形成されたアノード12(図4(b)参照)と、他方の面に形成されたカソード13と、アノード12側に形成されたガス拡散層21(図4(b)参照)と、カソード13側に形成されたガス拡散層22とを備えている。なお、アノード12およびカソード13は、特許請求の範囲にいう「電極触媒層」に相当する。
固体高分子電解質膜20の周縁は、アノード12およびカソード13の周縁から外側に向かって延出している。また、アノード12には、セパレータ14(図2参照)側の面にガス拡散層21が形成されており、カソード13には、セパレータ15(図2参照)側の面にガス拡散層22が形成されている。ちなみに、このアノード12およびカソード13としては、公知のものでよく、次に説明するガス拡散層21,22を形成するガス透過性材料の表面に触媒ペーストが塗布後に乾燥されたものが挙げられる。触媒ペーストとしては、白金、パラジウム等の触媒、カーボンブラック等の導電性粒子、および高分子電解質等のイオン導電性バインダを含むものが挙げられる。
ガス拡散層21は、水素が、図2に示す貫通孔14dおよび連絡路14gを介して流路14sに送り込まれて連絡路14hおよび貫通孔14cを介して流路14sから排出されていく際に、流路14sを流れる水素をアノード12(図4(b)参照)に向かって拡散させるものである。
ガス拡散層22は、空気(酸素)が、図3に示す貫通孔15aおよび連絡路15gを介して流路15sに送り込まれて連絡路15hおよび貫通孔15fを介して流路15sから排出されていく際に、流路15sを流れる空気(酸素)をカソード13(図4(b)参照)に向かって拡散させるものである。
ガス拡散層21,22の材質としては、公知のものでよく、カーボンペーパ等のガス透過性材料が使用される。
このような膜電極構造体10では、図4(a)および(b)に示すように、ガス拡散層22は、カソード13(電極触媒層)に面する電極部23と、この電極部23の周囲で固体高分子電解質膜20に面する非発電部24とを有している。
この非発電部24は、接着支持層25(図4(b)参照)を介してガス拡散層22が固体高分子電解質膜20と接着された部分である。そして、非発電部24には、図4(c)に示すように、この接着支持層25によってガス拡散層22が親水化されることで親水部26が形成されている。接着支持層25は、接着剤で形成されている。この接着剤としては、特に制限はないが、硬化後の引張り破断の伸び率が150%以上のもの、および水に溶出しないものが望ましい。中でも、シリコーン系接着剤が好ましく、特にアルケニル基含有の付加硬化形のシリコーン系接着剤がより好ましい。
また、非発電部24には、図4(a)および(c)に示すように、連絡路15h付近(セパレータ15における空気(反応ガス)の出口付近)のセパレータ15側の面に撥水化処理が施されることで撥水層Suが形成されている。つまり、親水部26のセパレータ15側の面は、撥水性を示すこととなる。ちなみに、ここでの「撥水性を示す」とは、その面におけるエチレングリコールの接触角度が90度以上であることを意味する。
前記した撥水層Suを形成するための撥水化処理としては、例えば、ガス拡散層22に撥水化処理剤が施されることによって行われる。その結果、本実施形態における親水部26のセパレータ15側の面は、電極部23のセパレータ15側の面と比較してより高い撥水性を示すこととなる。
撥水層Suの表面における撥水性と、電極部23のセパレータ15側の面における撥水性との差は、エチレングリコールの接触角度の差で換算することができる。そして、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度(θ1)と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2は、−20度以上、20度以下であることが望ましい。
また、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度(θ1)は、セパレータ15自体の表面におけるエチレングリコールの接触角度と比較して大きいものが望ましい。
そして、図2に示すように、膜電極構造体10とセパレータ14との間、膜電極構造体10とセパレータ15との間、およびセパレータ15と隣り合う単セル1のセパレータ(図示せず)との間には、それぞれシール部材17が配置されるとともに、前記したように複数の単セル1が積層されることによって積層体2が構成される。そして、図1に示すように、燃料電池FCでは、一対のエンドプレート3およびエンドプレート4がこの積層体2をその両側から挟み込んで支持している。ちなみに、エンドプレート3には、セパレータ14の貫通孔14a,14b,14c,14d,14e,14f(図2参照)およびセパレータ15の貫通孔15a,15b,15c,15d,15e,15f(図2参照)と対応する位置に、貫通孔3a,3b,3c,3d,3e,3fが形成されており、貫通孔3aは、空気(反応ガス)の供給口に設定されており、貫通孔3fは、空気(反応ガス)の排出口に設定されており、貫通孔3dは、水素(反応ガス)の供給口に設定されており、貫通孔3cは、水素(反応ガス)の排出口に設定されており、貫通孔3bは、冷却水の供給口に設定されており、貫通孔3eは、冷却水の排出口に設定されている。
次に、本実施形態に係る燃料電池FCの動作について説明する。
この燃料電池FCでは、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3dから加湿された水素(反応ガス)が供給されると、水素は、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14d、および貫通孔15d(図2参照)が連通し合って形成された前記供給孔(図示せず)内に流れ込む。そして、各単セル1では、水素がセパレータ14の貫通孔14dおよび連絡路14gを介して、セパレータ14の流路14sに流れ込む。次いで、流路14sに流れ込んだ水素は、セパレータ14の連絡路14hを介して貫通孔14cに排出される。つまり、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14c、および貫通孔15c(図2参照)が連通し合って形成された前記排出孔(図示せず)内に水素は流れ込む。そして、水素は、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3cから排出される。
その一方で、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3aから加湿された空気(反応ガス)が供給されると、空気は、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14a、および貫通孔15a(図2参照)が連通し合って形成された前記供給孔(図示せず)内に流れ込む。そして、各単セル1では、図3に示すセパレータ15の貫通孔15aおよび連絡路15gを介して、セパレータ15の流路15sに空気は流れ込む。次いで、流路15sに流れ込んだ空気は、セパレータ15の連絡路15hを介して貫通孔15fに排出される。つまり、積層体2(図1参照)内で各単セル1の貫通孔14f、および貫通孔15f(図2参照)が連通し合って形成された前記排出孔(図示せず)内に流れ込む。そして、空気は、図1に示すエンドプレート3の貫通孔3fから排出される。
この燃料電池FCでは、各単セル1のセパレータ14の流路14sに水素が流れ込むとともにセパレータ15の流路15sに空気が流れ込んだ際に、水素は、図4(b)に示す膜電極構造体10のガス拡散層21を介してアノード12側に拡散し、空気は膜電極構造体10のガス拡散層22を介してカソード13側に拡散する。その結果、アノード12では、触媒の作用によってプロトン(水素イオン)と電子に分解されて、プロトンが固体高分子電解質膜20を介してカソード13に透過し、電子が外部負荷を介してカソード13に移動する。なお、周知のとおり、アノード12で生じた電子は、図示しない所定の電極から取り出されるとともに、外部負荷を介してカソード13に戻る。一方、カソード13では、触媒の作用によって、固体高分子電解質膜20を透過したプロトンと、空気中の酸素と、外部負荷からの電子との反応によって水が生成される。
そして、図4(c)に示すように、カソード13で生成した水は、水滴Wとなって電極部23(ガス拡散層22)のセパレータ15側の面に表出する。この水滴Wは、セパレータ15に形成された流路15sを流れる反応ガスGに同伴して鉛直方向の下側に形成された空気の出口、つまり連絡路15h付近に向かって運ばれてくる。
そして、水滴Wがより多く集まる鉛直方向の下側の連絡路15h付近の非発電部24の表面、つまり、撥水層Suの表面は、前記したように、電極部23のセパレータ15側の面と比較してより高い撥水性を示している。その結果、この燃料電池FCは、従来の燃料電池(例えば、特許文献2および特許文献3参照)と異なって、空気の出口付近(連絡路15h付近)に運ばれた水滴Wが非発電部24(親水部26)に浸み込むことが防止される。つまり、水滴Wは、連絡路15hから効率よく排出される。したがって、この燃料電池FCによれば、発電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、この燃料電池FCでは、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度(θ1)と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が、−20度以上となるように設定されることで、撥水層Suの表面に水滴Wがとどまることが防止される。そして、差θ1−θ2が、20度以下となるように設定されることで、電極部23のセパレータ15側の面から撥水層Suの表面に水滴Wが移行する際の抵抗が抑制される。その結果、水滴Wは連絡路15hからより効率よく排出される。
また、この燃料電池FCでは、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度(θ1)が、セパレータ15自体の表面におけるエチレングリコールの接触角度と比較して大きくなるように設定されることで、撥水層Suの表面からセパレータ15の表面に水滴Wが移行する際の抵抗が抑制される。その結果、膜電極構造体10からセパレータ15に形成された連絡路15hに向かって、水滴Wがさらに効率よく排出される。
次に、本実施形態に係る燃料電池FCの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図5(a)から(d)は、膜電極構造体の製造工程を示す模式図である。
本実施形態に係る燃料電池FCの製造方法では、まず、図5(a)に示すように、ガス拡散層21の片面にアノード12が形成される。つまり、前記したガス透過性材料の片面に所定の下地層(図示せず)を介して前記した触媒ペーストが塗布後に乾燥される。
その一方で、図5(b)に示すように、ガス拡散層22となるガス透過性材料の片面に所定の下地層(図示せず)が形成されるとともに、その周縁部に前記した接着剤が塗布されることで接着支持層25が形成される。この際、接着支持層25が面するガス拡散層22部分は、この接着支持層25によって親水部26(図4(c)参照)となる。この工程は、特許請求の範囲にいう「非発電部に親水部を形成する第1工程」に相当する。そして、ガス拡散層22の片面には、接着支持層25の内側に前記した触媒ペーストが塗布されることでカソード13が形成される。
次に、図5(c)に示すように、準備した固体高分子電解質膜20の一方の面に、ガス拡散層21およびアノード12が重ね合わせられるとともに、固体高分子電解質膜20の他方の面に、ガス拡散層22およびカソード13が重ね合わせられる。そして、固体高分子電解質膜20、ガス拡散層21、アノード12、ガス拡散層22およびカソード13は、加熱下に押圧されることによって一体化される。
そして、図5(d)に示すように、ガス拡散層22および固体高分子電解質膜20にマスクMが施される。このマスクMは、撥水層Suに相当する部分が開口する以外は、ガス拡散層22および固体高分子電解質膜20を覆っている。次に、このマスクMを介して撥水化処理剤が施される。この工程は、特許請求の範囲にいう「撥水処理を施す第2工程」に相当する。その結果、マスクMの開口する部分でガス拡散層22の表面に撥水層Suが形成されて膜電極構造体10(図4(b)参照)が得られる。
次に、得られた膜電極構造体10、ならびにセパレータ14,15、およびシール部材17が図2に示すように組み付けられた単セル1が、図1に示すように積層されて積層体2が形成されるとともに、この積層体2の両端にエンドプレート3,4が配置されることで燃料電池FCが完成する。
(第2実施形態)
次に、本発明の燃料電池の第2実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図6(a)は、第2実施形態に係る燃料電池の膜電極構造体をカソード側から見た平面図、図6(b)は、図6(a)のY−Y´断面図である。なお、図6(b)では、便宜上、シール部材の記載は省略している。
この第2実施形態に係る燃料電池は、第1実施形態に係る燃料電池FCと膜電極構造体のみが相違するので、第2実施形態では、主に膜電極構造体について説明する。そして、この第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図6(a)に示すように、本実施形態に係る燃料電池における膜電極構造体10aでは、接着支持層25(図4(b)参照)を介して固体高分子電解質膜20と接着された非発電部24が親水化されており、第1実施形態と同様に、親水部26(図4(c)参照)が形成されている。
そして、この膜電極構造体10aでは、連絡路15h付近(セパレータ15における空気(反応ガス)の出口付近)の親水部26の表面(セパレータ15側となる面)のうち、鉛直方向の上側(図6(a)の紙面上側)の少なくとも一部分Nを残して鉛直方向の下側となる面部分に撥水処理が施されて撥水層Suが形成されている。そして、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度が100度以上であり、撥水処理が施されていない一部分Nにおけるエチレングリコールの接触角度が90度以下であることが望ましい。
また、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度は、150度以下であるのが好ましい。それは、150度程度で初期の撥水効果が十分に得られるからである。一方、前記一部分Nにおける接触角度は10度以上であるのが好ましい。それは、別途に親水性の処理を施さなくとも前記した水を引き込む作用が十分に得られるからである。
この燃料電池FCでは、第1実施形態に係る燃料電池FCと同様に、図4(c)に示す水滴Wは、セパレータ15に形成された流路15sを流れる反応ガスGに同伴して鉛直方向の下側に形成された空気の出口、つまり連絡路15h付近に向かって運ばれてくる。
そして、親水部26の表面のうち、水滴Wがより多く集まる鉛直方向の下側となる撥水層Suの表面は、前記したように、電極部23のセパレータ15側の面と比較してより高い撥水性を示している。その結果、この燃料電池FCは、従来の燃料電池(例えば、特許文献2および特許文献3参照)と異なって、空気の出口付近(連絡路15h付近)に運ばれた水滴Wが非発電部24(親水部26)に浸み込むことが防止される。つまり、水滴Wは、連絡路15hから効率よく排出される。したがって、この燃料電池FCによれば、発電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、撥水処理が施されておらず、親水部26の下側と比較して集まる水の量の少ない上側の一部分N(図6(a)参照)では、図6(b)に示すように、電極部23で生成した水Bが親水部26に引き込まれていく。そして、引き込まれた水Bは親水部26の上側を通過する反応ガスGで蒸発して連絡路15h(図4(c)参照)から排出されることとなる。また、この一部分Nは、蒸発により含水量が少ないため、撥水層Suが形成された親水部26(図4(c)参照)からも水(図示せず)を引き込むこととなる。そして、引き込まれた水も親水部26の上側を通過する反応ガスGで蒸発して連絡路15h(図4(c)参照)から排出されることとなる。したがって、この燃料電池FCによれば、第1実施形態に係る燃料電池FCと比較して、発電特性の低下をさらに効果的に防止することができる。
なお、本発明は、第1実施形態および第2実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
前記第1実施形態では、連絡路15h(反応ガスの出口)付近の親水部26における全ての表面に撥水層Suが形成されているが、本発明は連絡路15h付近の親水部26における表面の一部に撥水層Suが形成されたものであってもよい。ここで図7は、反応ガスの出口付近の親水層における表面の一部に撥水層が形成されたガス拡散層の断面図である。なお、図7では、便宜上、シール部材の記載は省略している。
図7に示すように、この他の実施形態での撥水層Suは、電極部23に隣接する親水部26の表面の一部にのみ形成されており、連絡路15h側の親水部26の表面には撥水層Suが形成されていない。
また、第1実施形態および第2実施形態では、撥水層Suが連絡路15h付近の親水部26の表面にのみ形成されているが、本発明は電極部23を取り囲むように形成された親水部26の全ての表面に撥水層Suが形成されたものであってもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態では、カソード13側のガス拡散層22にのみ親水部26および撥水層Suが形成されているが、本発明はアノード12側のガス拡散層21に親水部26および撥水層Suが形成されたものであってもよい。この場合、ガス拡散層21には、前記したカソード13側のガス拡散層22と同様に、アノード12に面する電極部(図示せず)と、この電極部の周囲で固体高分子電解質膜20に面する非発電部(図示せず)とが形成される。そして、非発電部には、親水部(図示せず)が形成されるとともに、セパレータ14の水素の出口付近、つまり、連絡路14h付近の表面(親水部のセパレータ14側の面)に撥水化処理が施されることとなる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図5(a)から(d)に示す工程に従って、膜電極構造体10を作製した。まず、図5(a)に示すように、ガス透過性材料としてのカーボンペーパ(東レ社製、TGP−H−060)の片面に下地層(図示せず)が形成されるとともに、この下地層上に触媒ペーストが塗布および乾燥されることでガス拡散層21およびアノード12が形成された。なお、下地層の形成には、カーボンブラック4質量部と、ポリテトラフルオロエチレン粒子6質量部と、適量のエチレングリコールとの混合物が使用された。また、触媒ペーストは、白金粒子1質量部と、カーボンブラック1質量部と、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(デュポン社製、ナフィオン(登録商標))1.2質量部と、適量の有機溶媒との混合物が使用された。なお、触媒ペーストの塗布量は、塗布面積あたりの白金質量に換算して、0.5mg/cmであった。そして、乾燥は、60℃で10分間加熱した後に、減圧下に120℃で15分間加熱することにより行った。
その一方で、図5(b)に示すように、ガス透過性材料としてのカーボンペーパの片面に前記したと同様の下地層(図示せず)が形成されるとともに、その片面の周縁部に接着剤がスクリーン印刷によって塗布されることで接着支持層25が形成された。なお、接着剤としては、シリコーン系接着剤(信越シリコーン社製、KE4898) が使用された。このことによって図4(c)に親水部26が形成された。そして、ガス拡散層22の片面には、接着支持層25の内側に前記した触媒ペーストが塗布および乾燥されることでカソード13が形成された。
次に、図5(c)に示すように、準備した固体高分子電解質膜20の一方の面に、ガス拡散層21およびアノード12が重ね合わせられるとともに、固体高分子電解質膜20の他方の面に、ガス拡散層22およびカソード13が重ね合わせられた。なお、固体高分子電解質膜20は、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(デュポン社製、ナフィオン(登録商標))を有機溶媒に溶解させたものから、キャスト法にて作製した。そして、固体高分子電解質膜20、ガス拡散層21、アノード12、ガス拡散層22およびカソード13は、150℃の加熱下に2.5MPaで押圧することによって一体化された。
次に、図5(d)に示すように、ガス拡散層22および固体高分子電解質膜20にマスクMを施した後に、このマスクMを介して撥水化処理剤としてのフッ素系離型剤(ダイキン工業社製、ダイフリー(登録商標))が噴霧された。このときのマスクMまでの噴霧距離は、50cmであり、噴霧時間は、10秒であった。その結果、マスクMの開口する部分でガス拡散層22の表面に撥水層Suが形成された膜電極構造体10(図4(b)参照)が得られた。この膜電極構造体10のアノード12、カソード13のいずれの電極面積についても、400cmであった。
そして、電極部23(図4(a)参照)の表面と、親水部26に形成された撥水層Suの表面とにおけるエチレングリコールの接触角度が測定された。この測定は、協和界面科学社製のCA−X型測定機を使用して、23℃、50%Rhの雰囲気下で行われた。その結果、電極部23(図4(a)参照)の表面におけるエチレングリコールの接触角度θ2は、124(deg:度)であり、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1は、127(deg:度)であった。なお、表1には、「撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1」を「親水部の接触角度θ1」として記し、「接触角度θ1と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2」を「接触角度差θ1−θ2」と記す。
Figure 0004996132
次に、この膜電極構造体10を、金メッキしたセパレータ14,15(図2参照)で挟持して単セル1(図2参照)が作製された。そして、この単セル1のアノード12(図2参照)側に純水素(加湿率90%)を供給するとともに、カソード13(図2参照)側に空気(加湿率90%)を供給することによって発電を行い、発電開始から500時間を経過するまでのセル電圧が測定された。その結果を図8に示す。なお、発電条件としては、電流密度が0.8A/cmに設定され、単セル温度(冷却水入り口温度)が80℃に設定された。ちなみに、この単セルでの水素の利用率および空気の利用率は、ともに75%であった。
そして、発電開始時のセル電圧と、発電開始から500時間を経過したときのセル電圧との差(セル電圧の低下量)が算出された。その結果を図9に示す。
(実施例2から実施例5)
フッ素系離型剤の噴霧時間を1秒以上、20秒以下の範囲で調節した以外は、実施例1と同様にして膜電極構造体10を作製した。そして、実施例1と同様にして、親水部26に形成された撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1が測定されるとともに、この接触角度θ1と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が求められた。その結果を表1に示す。
そして、この膜電極構造体10を使用して実施例1と同様の単セル1が作製されるとともに、この単セル1を使用して発電した際の、発電開始時のセル電圧と、発電開始から500時間を経過したときのセル電圧との差(セル電圧の低下量)が実施例1と同様に算出された。その結果を図9に示す。
(比較例1)
フッ素系離型剤の噴霧せずに、親水部26に撥水層Suを設けなかった以外は、実施例1と同様にして膜電極構造体10が作製された。そして、実施例1と同様にして、親水部26に形成された撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1が測定されるとともに、この接触角度θ1と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が求められた。その結果を表1に示す。
そして、この膜電極構造体10を使用して実施例1と同様の単セル1を作製するとともに、この単セル1を使用して発電を行い、発電開始から500時間を経過するまでのセル電圧が測定された。その結果を図8に示す。また、発電開始時のセル電圧と、発電開始から500時間を経過したときのセル電圧との差(セル電圧の低下量)を実施例1と同様に算出した。その結果を図9に示す。
(セル電圧の評価)
図8に示すように、実施例1の単セル1は、比較例1の単セル1と比較して、発電時間が経過しても良好な発電特性(セル電圧)を示している。このことは、生成した水が単セルから効率的に排出されたことによるものと考えられる。
また、図9に示すように、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1と、電極部23のセパレータ15側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が、−20度以上、20度以下となるように設定されることで、発電時間の経過によるセル電圧の低下量が減少している。このことは、差θ1−θ2が、−20度以上となるように設定されることで、撥水層Suの表面に水滴Wがとどまることが防止されたことによるものと考えられる。また、差θ1−θ2が、20度以下となるように設定されることで、電極部23のセパレータ15側の面から撥水層Suの表面に水滴Wが移行する際の抵抗が抑制されたことによるものと考えられる。
(実施例6)
この実施例6では、図6(a)に示す膜電極構造体10aが作製された。そして、電極部23を取り囲むように形成された接着支持層25のうち、連絡路15h付近の接着支持層25を形成する接着剤には、その他の接着支持層25を形成する接着剤と比較してより親水性に富むものが使用された。ここで図10は、接着支持層25を形成する2種の接着剤の配置を示す模式図である。
この実施例6で使用した膜電極構造体10aでは、図10に示す連絡路15h付近の接着支持層25(図6(a)参照)を形成する接着剤26bに、シリコーン系接着剤(信越シリコーン社製、KE4898)79.5質量%、酸化チタン粉末12質量%、ポリビニルアルコール粉末3質量%、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)0.5質量%、および炭素繊維(昭和電工社製、VGCF)5質量%の混合物が使用された。そして、図10に示す連絡路15h付近の接着支持層25(図6(a)参照)以外を形成する接着剤26aに、実施例1で使用したシリコーン系接着剤(信越シリコーン社製、KE4898)のみが使用された。なお、この膜電極構造体10aは、固体高分子電解質膜20、ガス拡散層21、アノード12、ガス拡散層22およびカソード13を160℃の加熱下に2.5MPaで15分間押圧することによって一体化して得られた。
そして、この膜電極構造体10aでは、図6(a)に示すように、連絡路15h付近の非発電部24(接着剤26bによって親水化された部分)の表面のうち、上側の一部分Nを残して、実施例1と同様の撥水層Suが形成された。
次に、電極部23(図6(a)参照)の表面と、撥水層Suの表面とにおけるエチレングリコールの接触角度とが実施例1と同様に測定された。電極部23の表面におけるエチレングリコールの接触角度θ2は、124(deg:度)であり、撥水層Suの表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1は、118(deg:度)であった。
そして、このような膜電極構造体10aが使用された以外は、実施例1と同様に単セル1が作製された。作製した単セル1を使用して実施例1と同様にして発電を行い、発電開始から500時間を経過するまでのセル電圧が測定された。その結果を図8に示す。
(セル電圧の評価)
図8に示すように、実施例6の単セル1は、比較例1の単セル1と比較して、発電時間が経過しても良好な発電特性(セル電圧)を示している。このことは、生成した水が単セルから効率的に排出されたことによるものと考えられる。また、実施例6の単セル1は、実施例1の単セル1と比較して、良好な発電特性(セル電圧)を示している。このことは、鉛直方向の下側の親水部26(撥水層Suが形成されている親水部26)に含まれる水が、鉛直方向の上側の親水部26(撥水層Suが形成されていない親水部26)に浸透するとともに、この浸透した水が空気(反応ガス)によって蒸発したことで、生成した水が単セルから更に効率的に排出されたことによるものと考えられる。
第1実施形態に係る燃料電池の斜視図である。 単セルの積層構造を示す分解斜視図である。 カソード側に配置されるセパレータをカソード側から見た平面図である。 (a)は、膜電極構造体をカソード側から見た平面図、(b)は、(a)のX−X´断面図、(c)は、(b)のA部拡大図である。 (a)から(d)は、膜電極構造体の製造工程を示す模式図である。 (a)は、第2実施形態に係る燃料電池の膜電極構造体をカソード側から見た平面図、(b)は、(a)のY−Y´断面図である。 反応ガスの出口付近の親水層における表面の一部に撥水層が形成されたガス拡散層の断面図である。 実施例および比較例で作製した単セルで発電を行った際の時間経過とセル電圧の変化との関係を示すグラフである。 実施例および比較例で作製した単セルにおける撥水層の表面におけるエチレングリコールの接触角度θ1と、電極部のセパレータ側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2(接触角度差θ1−θ2)に対する、セル電圧の低下量の関係を示すグラフである。 接着支持層を形成する2種の接着剤の配置を示す模式図である。
符号の説明
10 膜電極構造体
12 アノード(電極触媒層)
13 カソード(電極触媒層)
14 セパレータ
14s 流路(反応ガスの流路)
14h 連絡路(反応ガスの出口)
15 セパレータ
15s 流路(反応ガスの流路)
15h 連絡路(反応ガスの出口)
20 固体高分子電解質膜
21 ガス拡散層
22 ガス拡散層
23 電極部
24 非発電部
26 親水部
FC 燃料電池

Claims (4)

  1. 固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持された燃料電池において、
    前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える電極部と、この電極部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有しており、
    前記流路の反応ガスの出口付近の前記非発電部には、親水部が形成されているとともに、この親水部の前記セパレータ側の面が、撥水性を示し、
    前記膜電極構造体の面方向が鉛直方向と一致するように配置されて前記流路の反応ガスの出口部分が鉛直方向の下側となるような前記膜電極構造体の配置位置で、
    前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、鉛直方向の上側の少なくとも一部分を残して鉛直方向の下側となる面部分が撥水性を示し、
    前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、撥水処理が施された、鉛直方向の下側となる前記面部分におけるエチレングリコールの接触角度が100度以上であり、前記一部分におけるエチレングリコールの接触角度が90度以下であることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記親水部の前記セパレータ側となる面のうち、撥水処理が施された、鉛直方向の下側となる前記面部分におけるエチレングリコールの接触角度θ1と、前記電極部の前記セパレータ側の面におけるエチレングリコールの接触角度θ2との差θ1−θ2が、−20度以上、20度以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 撥水処理が施された前記親水部の前記セパレータ側の面におけるエチレングリコールの接触角度が、前記セパレータの表面におけるエチレングリコールの接触角度と比較して大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
  4. 固体高分子電解質膜の両面のそれぞれに電極触媒層およびガス拡散層を有する膜電極構造体が、反応ガスの流路を有する一対のセパレータで挟持されており、前記ガス拡散層が、前記電極触媒層に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える電極部と、この電極部の周囲で前記固体高分子電解質膜に面する面と前記セパレータに面する面の双方を備える非発電部とを有している燃料電池の製造方法であって、
    前記流路の反応ガスの出口付近の前記非発電部に親水部を形成する第1工程と、
    前記第1工程の後であって、前記親水部の前記セパレータ側の面に撥水処理を施す第2工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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