JP4993170B2 - 衝撃吸収特性に優れ、かつ良好な焼入れ性を有するアルミニウム合金押出形材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のサイドメンバ、サイドルーフレール、バンパリィンホースメント、バンパステイ等の構造材に適した、衝撃吸収性に優れたアルミニウム合金押出形材に関する。
自動車の燃費向上の一手段として、車体の軽量化が要求されている中で、自動車構造材にアルミニウム合金押出形材の適用が検討されている。
自動車の構造材としては、高強度、曲げ加工性、耐食性が要求され、7000系アルミニウム合金(アルミニウム−亜鉛−マグネシウム系)及び6000系アルミニウム合金(アルミニウム−マグネシウム−シリコン系)が注目されているが、7000系アルミニウム合金は自然時効型合金であり、押出成形から曲げ加工までに工程が長いと硬くなり、加工がしにくくなる欠点があることから、熱処理型合金として6000系アルミニウム合金が特に有望視されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の高強度の6000系アルミニウム合金からなる押出材は、引張強さは高いが、伸び特性が充分でなく、曲げ加工時に割れが発生する恐れがある。高強度と良好な曲げ加工性を両立するためには、水冷によるプレス焼入れを行い、更に内部組織をファイバー状の繊維状組織としている(例えば、特許文献2参照)。
水冷によるプレス焼入れは、押出後再加熱する溶体化・焼入れ処理とほぼ同等の物性が得られる利点があるが、押出材の断面形状や肉厚の差等に基づいて断面で冷却速度に差が生じ、冷却中に温度分布が不均一となって歪みが発生し、寸法精度が悪くかつ断面形状の薄肉化が難しくなり、また、そのような歪みの発生を防止しようとすれば、断面形状の自由度が小さくなるという課題がある。更に、空冷に比べ高コストであるという課題がある。
一方、空冷による焼入れは、水冷によるプレス焼入れに比べ低コストであるという利点があるが、冷却速度に限りがあるため合金組成によっては高い強度が得られず、高い強度が得られた場合でも衝撃吸収特性が劣るという課題がある(例えば、特許文献3、4参照)。
空冷による焼入れでは、ファイバー状の繊維状組織や、アスペクト比5以上の伸長した再結晶粒組織とすることは困難であった。
特開2002−285272号公報 特開2005−105317号公報 特開2004−225124号公報 特開2004−84041号公報
そこで、本発明は、自動車の構造材としての衝撃吸収特性に優れ、かつ良好な焼入れ性を有する高強度アルミニウム合金押出形材を得ることを技術的課題とする。
本発明の技術的要旨は、マグネシウムを0.5〜0.9%、シリコンを0.9〜1.3%、鉄を0.36〜0.50%、チタンを0.005〜0.1%、マンガンを0.15〜0.30%含有し、更に、銅を0.4%以下、クロムを0.05%以下、ジルコニウムを0.05%以下に制限し、残部をアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金を押出成形した後に、2〜5%の加工歪み量を付与することを特徴とする。
好ましくは、押出成形し、空冷による焼入れを行った後に2〜5%の加工歪み量を付与することで、その金属組織をアスペクト比が5〜10で押出方向に伸長した扁平再結晶粒組織とするのがよい。
また、マグネシウムを0.5〜0.9%、シリコンを0.9〜1.3%、鉄を0.3〜0.5%、チタンを0.005〜0.1%含有し、更に、銅を0.4%以下、マンガンを0.30%以下、クロムを0.10%以下、ジルコニウムを0.10%以下に制限し、残部をアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金を押出成形し、空冷による焼入れを行った後、更に加工歪みを2〜5%導入し、その後、人工時効を施すことを特徴とした。
本発明によれば、6000系アルミニウム押出形材について、空冷による焼入れであっても衝撃吸収特性に優れ、かつ良好な焼入れ性を有する0.2%耐力値が300MPa以上の高強度アルミニウム合金押出形材及びその製造方法を提供することができる。
衝撃吸収部材として効率的に衝撃エネルギーを吸収するため、アルミニウム合金押出形材の金属組織は伸長した再結晶組織(再結晶の成長が抑制され、押出方向に伸長した偏平な再結晶組織)とすることが好ましい。押出形材の内部において断面厚さ(板厚)の60%以上、望ましくは80%以上の厚さで、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2が5以上で伸長した再結晶組織を有していることが望ましい。
アスペクト比L1/L2が10を超えるようなファイバー状の繊維状組織にするには後述するように焼入れ感受性を強くするマンガン、クロムを多く添加する必要があるため、空冷で焼入れする場合は好ましくない。
この伸長した再結晶組織においては、球状の再結晶組織に比べて割れの伝播が抑制され、効率的に衝撃エネルギーを吸収することができる。そのために本発明は、アルミニウム−マグネシウム−シリコン系アルミニウム合金押出形材に鉄、マンガンを含有しているが、鉄は多く含有すると、鋳造時に粗大な金属間化合物を晶出し、強度が低下する。更に、マンガン、クロムは多く含有すると焼入れ感受性が強くなる。
押出後水冷による焼入れは多少焼入れ感受性が強くても大きな冷却速度が得られるために焼きが入り、その後の時効処理において高い強度を確保することができる。しかしながら、押出形材において、断面形状や肉厚差等に基づいて冷却速度に差が生じ、冷却中の温度分布が不均一となり歪みが発生する。
本発明では、押出直後に空冷を行うことにより焼きが入り、車両保護の観点から耐力300MPa以上であり、かつ衝撃吸収部材として押出軸方向に伸長した再結晶組織で衝撃エネルギーを吸収することのできる最適な合金成分を定めたものである。
6000系アルミ合金の空冷によるT5処理で、0.2%耐力値が300MPa以上というのは高度な要求値である。290MPa以上レベルであっても、自動車のバンパリィンホースメントのような中空断面の押出形材が、押出軸方向に垂直な方向に圧壊して衝突エネルギーを吸収する場合に好適であり、300MPa以上では更に好適である。
以下に本発明に係るアルミニウム押出形材の合金成分及び製造方法について説明する。
<マグネシウム,シリコン>
マグネシウムとシリコンは、押出直後のファン空冷で過飽和固溶体を形成し、その後の時効処理においてMgSi析出物を析出し、合金強度を向上する。マグネシウムは、衝撃吸収部材として必要な強度を確保するため、マグネシウムが0.5%以上含有することが好ましい。ただし、押出時における変形抵抗を下げて、生産性を向上するためにはマグネシウムが0.9%以下であることが好ましい。従ってマグネシウムは0.5%〜0.9%とすることができる。より望ましくは0.6%〜0.8%とすることができる。
シリコンは、衝撃吸収部材として必要な強度を確保するため、シリコンが0.9%以上含有することが好ましい。ただし、押出時における変形抵抗を下げて、生産性を向上するためにはシリコンが1.3%以下であることが好ましい。従ってシリコンは0.9%〜1.3%とすることができる。より望ましくは0.95%〜1.20%とすることができる。
<銅>
銅は、強度を確保のためには0.05%以上含有されていることが好ましいが、過剰であると耐食性が低下し、押出時における変形抵抗が増加し、生産性を低下する傾向がある。これを考慮し、銅は0.4%以下が好ましい。
<鉄>
鉄は、押出後の金属組織において結晶粒を微細化させ、衝撃吸収性を向上させるのに効果がある。また、マンガン、クロム、ジルコニウムに比べて焼入れ感受性を強くすることなく、押出直後のファン空冷により焼入れすることができ、車両を構成する衝撃吸収部材によっては十分に適用可能である。
鉄は、衝撃吸収部材として必要な衝撃吸収性を確保するために0.3%以上含有することが好ましい。ただし、0.5%を超えると、鋳造時に金属間化合物を多く晶出し、合金強度が低下する。この金属間化合物は粗大であり、かつ、その後の時効処理で合金強度を向上させるMgSiを構成しているシリコンを取り込むために析出物の密度が小さくなる。これを考慮し、鉄は0.3%〜0.5%とすることができる。より望ましくは0.36%〜0.45%とすることができる。
<マンガン、クロム>
マンガン、クロムは、押出時の再結晶を抑制し、繊維状組織を安定化する効果がある。マンガン、クロムの合計が0.3以下では衝撃吸収性を向上させるのに効果がある繊維状組織は形成しないが、再結晶の成長を抑制し、押出軸方向に伸長した再結晶組織を形成することができる。この伸長した再結晶組織においては、球状の再結晶組織に比べて割れの伝播が抑制され、効率的に衝撃エネルギーを吸収することができる。
更に、マンガン、クロムは、焼入れ感受性を強くする傾向がある。マンガン、クロムが合計で0.3%を超えて含有すると焼入れ感受性が強くなり、押出直後のファン空冷により、車両を構成する衝撃吸収部材によっては、焼きが入らない。これを考慮し、マンガン、クロムは合計で0.3%以下とすることができる。より望ましくは0.15%〜0.25%とすることができる。
単体では、マンガンを0.05%〜0.30%、クロムを0.1%以下に制御するのがよく、更には、マンガンを0.15%〜0.25%、クロムを0.05%以下に制御するのが望ましい。
<チタン>
チタンは、鋳造時に結晶を微細化させるのに有効であり、押出成形時の再結晶抑制にも有効であるが、過剰に添加しても添加効果が飽和する。これを考慮し、チタンは0.005%〜0.1%とすることができる。より望ましくは0.01%〜0.05%とすることができる。
<ジルコニウム>
ジルコニウムは、押出成形時の再結晶抑制に有効であるが、焼入れ感受性を強くする傾向があり、更に鋳造時にチタンと金属間化合物を形成し、チタンの結晶を微細化する効果を減少させ、鋳造時に割れが発生する原因となる。これを考慮し、ジルコニウムは含有しないことが望ましい。不純物として含有することを考慮しても、ジルコニウムは0.05%以下とすることができる。より望ましくは0.001%未満とすることができる。
<不可避不純物>
不可避不純物は、アルミニウム合金を鋳造する際の地金、添加元素の中間合金等の様々な経路で混入する。混入する元素は様々であるが、単体で0.05%以下、総量で0.15%以下であれば合金の特性にほとんど影響を及ぼさない。これを考慮し、不可避不純物は単体で0.05%以下、総量で0.15%以下とする。
次に、本発明に係わるアルミニウム合金押出形材の好適な製造方法について説明する。
本発明に係わるアルミニウム合金押出形材は、押出成形後、ファン空冷にてプレス焼入れするのがよい。冷却速度は、押出温度から表面温度が100℃以下になるまでを、50℃/分以上とすることが望ましい。
押出成形後の空冷の後、更に引張矯正、引抜き及び曲げ加工等などの2次加工の1種又は2種以上で積極的に加工歪みを導入し、その後、人工時効を施す。加工歪みの付与する方法としては、押出成形された押出形材を押出軸方向に引っ張りして加工歪みを導入するのが望ましい。
押出成形後に、積極的に加工歪みを付与することで、押出軸方向に伸長した再結晶組織を更に伸長させていくことで、球状の再結晶組織に比べて割れの伝播が抑制され、効率的に衝撃エネルギーを吸収すると考えることができる。
通常、加工歪みを付与すれば加工硬化により強度が高くなるが、本発明では制御した合金成分と加工歪みの組み合せにより、加工硬化による強度アップ以上の高強度が得られ、更に割れの伝播を抑制して衝撃エネルギー吸収性を向上することができる。すなわち、球状再結晶や繊維状組織の合金に加工歪みを付与しても加工硬化による若干の強度アップが得られるが、本発明では、その強度アップ以上の高強度が得られることを見出した。
しかしながら、加工歪みを多く導入すると、破断伸びが減少し、自動車等の構造材によっては、その後の2次加工や衝突時に割れが生じる。これを考慮し、押出成形後に導入する加工歪みは、軸方向に2.0〜5.0%とすることが好ましい。より望ましくは2.5〜4.5%とすることができる。
人工時効は、強度や生産性を考慮し、160〜210℃の範囲で、4〜10時間とするのがよい。
本発明に係るアルミニウム合金押出形材は、中実又は中空部をもつ形材であり、角筒形状でも良いし、円筒形状、異形形状でも良い。その横断面形状としては、図1のような自動車構造材バンパの日の字断面に例示することができる。
次に、本発明の実施例について、比較例と対比して具体的に説明する。
まず、表1.(試験例No.1〜12)に示すアルミニウム−マグネシウム−シリコン系のアルミニウム合金の組成になるように成分調整した原料を溶解し、押出サイズに適した円筒状の鋳塊(直径204mm×長さ900mmを溶製した。尚、表1に示す合金成分は、分析値で「0.00%」は有効数字を考慮している。その後、鋳塊を565℃×6時間で均質化処理を行った。
次に、均質化処理した鋳塊(ビレット)を押出成形型にて、押出温度(ビレット加熱温度)500℃、押出速度10m/分で押出成形し、図1に示す自動車構造材バンパの日の字断面(100×70mm、肉厚2mmのダブルホロー)に相当するアルミニウム合金押出形材を形成した。
*印は本発明の範囲から外れている成分の値、加工歪み量を示す。
押出した直後にファン空冷(80℃/分)にて焼入れし、その後、引っ張りすることで形材の曲がり矯正及び表1に示す所定の加工歪みを導入した。その後、175〜195℃の温度にて1〜24hrの時間にて、人工時効処理をした。
これらのアルミニウム合金押出形材について、引張試験により引張強さ、耐力、破断伸び、衝撃吸収性を調べ、総合評価を行った。引張特性は、供試材からJIS5号試験片を採取し、JIS規格に準拠した引張試験機でJIS−Z2241に基づいて求めた。
衝撃吸収性は、図2に示すように、押出材より30×150mmの試験片を切り出し、治具にて固定し、上部から先端所定Rのパンチにて負荷を加え、その際の変位−荷重線図を図3に示すように求めた。従来の高強度アルミニウム合金は(a)のような変位−荷重線を一般に示した。それに対して、本発明によるアルミニウム合金を用いると、(b)に示すような変位−荷重線になる。
これは、従来の高強度アルミニウムの場合には、最大荷重付近で材料に亀裂が発生すると、すぐに大きく成長して割れとなり、荷重が急降下するのに対して、本発明合金による場合には割れが生じにくく、いわゆる「ねばり」があり、徐々に荷重が降下するためである。また、この変位−荷重線図の積分値をE/A量とする。また、試験後の試験片の外観を目視で観察した。
また、これらの供試材より試験片を採取し、鏡面研磨仕上げを行い、その後、エッチングして400倍の光学顕微鏡により金属組織を観察し、視野内の複数の結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2を算出して、平均的なアスペクト比を求めた。また、押出方向に対して平行方向に長く伸長する再結晶組織か、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2との差が顕著では無い球状再結晶組織かを判別する。これらの結果は表2に示す。
判定基準は、耐力が衝突時における車両保護の観点から300MPa以上を○、300MPa未満を×とした。衝撃吸収性は、試験後の外観が破断なしのときには○、破断ありのときには×とした。これらの結果を表2に示す。
実施例に相当する試験例No.1は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを2.0%導入した後、175℃×8hの時効熱処理を施した。
試験例No.1によれば、耐力が306MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.1の衝撃吸収性評価では、図3の(b)に示す変位−荷重線図となり、E/A量37.6Jで、試験後の試験片の外観は破断なしの○で、優れた衝撃吸収性を有する。
図4は試験例No.1に係わる試験片の金属組織を示す。図4に示すように押出軸方向に伸長した再結晶組織であり、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2が5を超えるような伸長した再結晶組織を得られている。この伸長した再結晶組織において、球状の再結晶組織に比べて割れの伝播が抑制され、効率的に衝撃エネルギーを吸収することができる。従って、耐力、衝撃吸収性ともに規定を満足するので、試験例No.1の総合評価は○であった。
実施例に相当する試験例No.2は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを2.0%導入した後、195℃×6hの時効熱処理を施した。
試験例No.2によれば、耐力が306MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.2の衝撃吸収性評価では、E/A量37.8Jで、試験後の試験片の外観は破断なしの○で、優れた衝撃吸収性を有する。
試験片の金属組織も押出軸方向に伸長した再結晶組織であり、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2が5を超えるような伸長した再結晶組織を得られている。従って、耐力、衝撃吸収性ともに規定を満足するので、試験例No.2の総合評価は○であった。
実施例に相当する試験例No.3は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを4.0%導入した後、175℃×8hの時効熱処理を施した。
試験例No.3によれば、耐力が302MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.3の衝撃吸収性評価では、E/A量37.1Jで、試験後の試験片の外観は破断なしの○で、優れた衝撃吸収性を有する。
試験片の金属組織も押出軸方向に伸長した再結晶組織であり、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2が5を超えるような伸長した再結晶組織を得られている。従って、耐力、衝撃吸収性ともに規定を満足するので、試験例No.3の総合評価は○であった。
実施例に相当する試験例No.4は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを4.0%導入した後、195℃×6hの時効熱処理を施した。
試験例No.3によれば、耐力が309MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.4の衝撃吸収性評価では、E/A量37.1Jで、試験後の試験片の外観は破断なしの○で、優れた衝撃吸収性を有する。
試験片の金属組織も押出軸方向に伸長した再結晶組織であり、結晶粒の押出方向の長さL1と厚さ方向の長さL2とのアスペクト比L1/L2が5を超えるような伸長した再結晶組織を得られている。従って、耐力、衝撃吸収性ともに規定を満足するので、試験例No.4の総合評価は○であった。
比較例に相当する試験例No.5は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを6.0%導入した後、175℃×8hの時効熱処理を施した。加工歪み量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.5によれば、耐力が305MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.5の衝撃吸収性評価では、E/A量29.8Jで、試験後の試験片の外観は、微小割れが見られたので破断ありの×であった。
試験片の金属組織は押出軸方向に伸長した再結晶組織であったが、加工歪みを多く導入し過ぎてため、破断伸びが減少し、割れが生じたと推測される。従って、試験例No.5の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.6は、Siが1.10%、Cuが0.30%、Mgが0.69%、Feが0.40%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを6.0%導入した後、195℃×6hの時効熱処理を施した。加工歪み量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.6によれば、耐力が310MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.6の衝撃吸収性評価では、E/A量18.6Jで、試験後の試験片の外観は、割れが見られたので破断ありの×であった。
試験片の金属組織は押出軸方向に伸長した再結晶組織であったが、加工歪みを多く導入し過ぎてため、破断伸びが減少し、割れが生じたと推測される。従って、試験例No.6の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.7は、Siが1.09%、Cuが0.30%、Mgが0.71%、Feが0.25%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材に195℃×3hの時効熱処理を施した。Fe添加量は本発明の規定を満足していない。加工歪み量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.7によれば、耐力が304MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.7の衝撃吸収性評価では、図3の(a)に示す変位−荷重線図となり、E/A量7.1Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
図5は試験例No.7に係わる試験片の金属組織を示す。図7に示すように球状の再結晶であり、Fe含有量と加工歪み量が本発明の規定を満足していないので、金属組織が球状の再結晶となり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.7の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.8は、Siが1.09%、Cuが0.30%、Mgが0.71%、Feが0.25%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを2.0%導入した後、175℃×8hの時効熱処理を施した。Fe添加量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.8によれば、耐力が308MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.8の衝撃吸収性評価では、E/A量9.4Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
金属組織は球状の再結晶であり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.8の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.9は、Siが1.09%、Cuが0.30%、Mgが0.71%、Feが0.25%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを4.0%導入した後、175℃×8hの時効熱処理を施した。Fe添加量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.9によれば、耐力が304MPaで、車両保護の観点から要求される耐力が300MPa以上であり、規定を満たしている。試験例No.9の衝撃吸収性評価では、E/A量9.5Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
金属組織は球状の再結晶であり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.9の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.10は、Siが0.55%、Mgが0.75%、Fe0.18%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材に195℃×3hの時効熱処理を施した。Si添加量は本発明の規定を満足していない。歪み量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.10によれば、耐力が260MPaで、車両保護に要求される耐力300MPa以上を満足していない。これは、Mgの添加量は規定内であるが、Si添加量が少なく、Mg2Si析出物の密度が小さいためと推測される。試験例No.10の衝撃吸収性評価では、E/A量8.4Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
金属組織は球状の再結晶であり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.10の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.11は、Siが0.55%、Mgが0.75%、Fe0.18%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを2.0%導入した後、195℃×3hの時効熱処理を施した。Si添加量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.11によれば、耐力が268MPaで、車両保護に要求される耐力300MPa以上を満足していない。これは、Mgの添加量は規定内であるが、Si添加量が少なく、Mg2Si析出物の密度が小さいためと推測される。試験例No.11の衝撃吸収性評価では、E/A量8.8Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
金属組織は球状の再結晶であり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.11の総合評価は×であった。
比較例に相当する試験例No.12は、Siが0.55%、Mgが0.75%、Fe0.18%含有するアルミニウム押出形材である。この押出形材を押出成形後、更に引っ張りすることで加工歪みを4.0%導入した後、195℃×3hの時効熱処理を施した。Si添加量は本発明の規定を満足していない。
試験例No.12によれば、耐力が273MPaで、車両保護に要求される耐力300MPa以上を満足していない。これは、Mgの添加量は規定内であるが、Si添加量が少なく、Mg2Si析出物の密度が小さいためと推測される。試験例No.12の衝撃吸収性評価では、E/A量9.1Jで、試験後の試験片の外観は破断ありの×であった。
金属組織は球状の再結晶であり、この球状の再結晶組織において割れが生じたと推測される。従って、試験例No.12の総合評価は×であった。
試験片の横断面を示す図である。 衝撃吸収性の評価方法の概略図を示す。 図2に示す方法にて得られた変位−荷重線を示す図である。 試験例No.1に係る試験片のミクロ組織を示す写真図及び模式図である。 試験例No.7に係る試験片のミクロ組織を示す写真図及び模式図である。 試験例No.1に係る衝撃吸収性試験後の試験片の形態を示す写真図である。 試験例No.7に係る衝撃吸収性試験後の試験片の形態を示す写真図である。
符号の説明
1 供試材
2 試材を固定するための下治具
3 供試材に負荷を加えるパンチ金属部材

Claims (1)

  1. アルミニウム−マグネシウム−シリコン系のアルミニウム合金押出形材の製造方法であって、質量%でマグネシウムを0.5〜0.9%、シリコンを0.9〜1.3%、鉄を0.3〜0.5%、チタンを0.005〜0.1%含有し、更に、銅を0.4%以下、マンガンを0.30%以下、クロムを0.10%以下、ジルコニウムを0.10%以下に制限し、残部をアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金を押出成形し、空冷による焼入れを行った後、更に加工歪みを2〜5%導入し、その後、人工時効を施すことを特徴とする衝撃吸収特性に優れ、かつ良好な焼入れ性を有するアルミニウム合金押出形材の製造方法。
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