JP5946425B2 - アルミニウムの合金押出材の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば自動車の前後にはバンパーが取り付けられており、ドア内部にはドアビーム等が設けられている。
バンパーは、軽衝突時には車両の損傷を防ぐとともに重衝突時には変形して衝突エネルギーを吸収することで、乗員保護が図られている。
この場合に、バンパーに補強部材として設けられている水平方向に延在したバンパーリインホースメントの横圧壊(断面軸方向に垂直な横方向の変形)による変形だけでは充分なエネルギー吸収が得られない場合がある。
そこで近年、さらなる安全性向上を目的にバンパーを車両側に取り付けるサイドステー等の部材に断面軸方向の変形(軸圧壊)にてエネルギー吸収を図らんとすることが検討されている。
このようなバンパーリインホースメントやサイドステー等には省エネルギーの観点からの軽量化が要求され、軽量で高強度のアルミニウム合金押出材が検討されている。
しかし、アルミニウム合金は高強度化を図ると変形時に割れが発生しやすくなり、かえってエネルギー吸収性が低下するという問題があった。
例えば、特許文献1に衝突時の割れを抑える目的で過時効処理したアルミニウム合金押出材からなる自動車用バンパー補強材を開示する。
しかし、これは過時効処理を前提としているため人工時効処理時間が増加し、また、その処理条件の制御が大変であり生産性低下、コストアップの原因となる恐れがある。
また、同公報によると、Mn,Cr,Znの添加によりアルミニウム合金押出材に繊維状組織を形成し、合金を強化した旨の記載がある。
しかし、本発明者らの実験によるとMnは強度低下の原因となるだけでなく、割れが発生しやすくなることが判明した。
特許文献2はMnを添加することなく、Zrの添加により強度及び割れを改善した技術を開示する。
しかし、特許文献2の技術によると、押出直後の焼き入れに300℃/min以上の冷却速度が必要となるために、通常のファン空冷では対応できずに冷却装置が大型で特殊なものになる問題がある。
本発明は、押出直後のファン空冷とその後の人工時効処理にて、0.2%耐力値(σ0.2)として300MPa以上を確保しつつ、衝撃による割れを抑えた高靭性を得る観点から各成分の濃度範囲を選定した。
<Mg>
Mg成分は、Znと共存することで時効特性を出現させる。
Mg成分が0.60%(以下全て質量%)未満では強度が低く、1.50%を超えると押出性が低下する。
好ましくは、0.80〜1.20%の範囲である。
<Zn>
Zn成分は、上記Mg成分との組み合せにて4.0%未満では強度不足であり、7.0%を超えると耐応力腐食割れ性が低下する。
好ましくは、5.0〜6.0%の範囲である。
<Cu>
Cu成分は少量にて強度向上効果が認められるものの、添加量が多いと押出性が低下する。
よって、Cu成分は0.10〜0.50%の範囲とした。
好ましくは、0.10〜0.30%の範囲である。
<Cr>
Cr成分は、押出直後の空冷により粒界析出物が析出しやすくなる効果があり、これによりPFZが変形し、靭性が向上する。
Cr成分が0.10%未満では上記効果が弱く、0.50%を超えると粒界析出物が大きくなるもののMg,Zn等の固溶濃度が低下し、時効性が低下する。
好ましくは、0.15〜0.4%である。
<Zr>
Zr成分は、押出材の表面に生成する再結晶粒の粒径を小さくする効果があり、再結晶粒の平均が100μm以下になると衝撃時の割れの伝播を防ぐ効果がある。
0.15%未満だとその効果が弱く、0.25%を超えるとアルミ中に溶解できなくなる。
<Ti>
Ti成分は、アルミニウム合金鋳塊中の結晶粒を微細化する効果があり、添加する場合は0.1%以下に抑えるのが好ましい。
<他の成分>
本発明に係るアルミニウム合金を鋳造する際に地金中の不純物及び鋳造時に不純物が混入する。
最も混入しやすい不純物としてはFeがあり、Feの含有量は0.3%以下、好ましくは0.2%以下に抑えるのがよい。
Si成分も混入しやすいが、0.15%以下、好ましくは0.10%以下に抑えるのがよい。
本発明では、Mnも不純物として取り扱い、できるだけ少ない方が好ましく、0.05%以下がよい。
特にCrとZrとを添加し、Mnを添加しなかったことにより粒界での析出物が促進され、PFZが変形し高強度と靭性の両立が可能になったものと推定される。
また、靭性の評価として厳しい軸圧壊性を用いたが、この軸圧壊性に優れていた。
本発明に係る合金組成で実用的に押出可能な範囲を、図2中にmm単位にて寸法表示した。
その時の押出直後の冷却条件及び評価結果を図1の表に示す。
押出材を冷却した後に行う人工時効処理は、一段時効でも二段時効でもよい。
一段時効の場合は、100〜140℃の低温で20時間以上人工時効処理するのが一般的である。
本実施例は二段時効処理を行い、具体的には90〜110℃×4〜12時間+140〜180℃×4〜24時間の二段人工時効処理を行った。
機械的特性はJIS Z 2201 金属材料引張試験片に基づいて試験片を作成し、JIS Z 2241 金属材料引張試験方法に準拠し評価した。
本発明は、0.2%耐力値300MPa以上を目標として評価した。
靭性は図3に示す方法を用いて210mm→70mmに軸圧縮(押出方向に軸圧壊)試験を行い、蛇腹状に圧壊したものを評価合格「○」とした。
なお、靭性の悪いものは断面開口部から割れが生じ、蛇腹状にはつぶれなかった。
表中、σB(MPa)は引張強度,δ(%)は破断伸びの値を示し、再結晶率は押出材断面を顕微鏡観察し、その肉厚に対する再結晶表面の深さ比率を示す。
これに対して、比較例はCrの添加量が少なく軸圧壊性に劣っていた。
比較例の中でも、比較例No.17及び18はZrの添加量が少なく再結率も良くなかった。
また、比較例No.9〜13はMgの添加量が1.50%を超え、No.9〜12は冷却速度が100℃/minを超えていたので、強度及び耐力値が高いものの、軸圧壊性に劣っていた。
比較例No.14〜16はZnの添加量が7.0%を超えているものであり再結率が良くなかった。
比較例No.19は押出直後に水冷したものであり、この場合も軸圧壊性が良くなかった。
Claims (1)
- 質量%で、Mg:0.60〜1.50%,Zn:5.68〜7.0%,Cu:0.10〜0.50%,Cr:0.10〜0.50%,Zr:0.15〜0.25%,Ti:0.1%以下及び残部がアルミニウムと不可避的不純物からなり、押出直後に冷却速度100℃/min以下の空冷により焼き入れ処理し、その後に時効処理して得られたものであり、耐力値σ 0.2 が300MPa以上で軸圧壊性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材の製造方法。
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