JP4988337B2 - ポリペプチドの製造方法 - Google Patents
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Description
cspA遺伝子を用いた低温条件下での組換体タンパク質発現系は、上述のように該遺伝子のプロモーターが低温において高効率で転写を開始させること以外に、以下のような有効性が示されている。
(1)cspA遺伝子から転写された翻訳可能なmRNAが機能を有するCspAタンパク質をコードしていない場合、より具体的には、CspAタンパク質のN末端配列の一部のみをコードしている場合には、このようなmRNAはコールドショックタンパク質も含めた他の大腸菌タンパク質の発現を長時間阻害し、その間は該mRNAの翻訳が優先的に行われる(例えば、非特許文献7、特許文献6参照)。この現象はLACE(low temperature−dependent antibiotic effect of truncated cspA expression)効果と呼ばれている。
(2)cspA遺伝子の開始コドンから12塩基下流の位置には、15塩基からなるダウンストリームボックス(downstream box)と呼ばれる配列があり、低温条件下での翻訳効率を高いものにしている。
(3)cspA遺伝子mRNAの転写開始点から開始コドンまでにある159塩基からなる5’非翻訳領域は、CspAの発現に対して、37℃では負の、低温条件下では正の影響を与えている。
特に上記(1)の現象は、cspA遺伝子を利用して目的のタンパク質のみを特異的に発現させる可能性を示唆するものであり、高純度の組換えタンパク質生産、構造解析のための同位体標識されたタンパク質の調製への応用が期待されている。
しかしながら、上記の低温条件下での組換体タンパク質発現系もすべての組換えタンパク質に適用可能なものではない。タンパク質はそれぞれ固有の分子量、等電点、アミノ酸組成を有し、また、その機能の発現のためには特有の高次構造を形成する必要がある。タンパク質の中には上記の発現系をもってしても十分な発現量が達成できないもの、活性を有するタンパク質を取得できないものが存在している。
さらに、上記の方法において、目的とするポリペプチド、タンパク質をシャペロンとの融合タンパク質として発現させた場合、目的タンパク質の可溶化に特に有効であることを見出した。この方法による目的タンパク質の可溶化の効果は、従来から知られていたタンパク質とシャペロンとを融合タンパク質として発現させる方法や、低温条件下での組換体タンパク質発現系を用いて目的タンパク質を発現させる方法によるそれぞれの効果からは、全く予想し得ない驚くべきものであった。
本発明は、例えば、目的遺伝子を組み込んだベクターとシャペロン遺伝子を組み込んだベクターを同一宿主内に導入し、両遺伝子の発現を誘導して効率よく目的ポリペプチドを発現させる方法を提供する。
第1の発明においてシャペロン遺伝子をコードする遺伝子の発現を増強する手段としては、宿主シャペロン遺伝子の発現の誘導、宿主染色体上のシャペロン遺伝子の改変、宿主へのシャペロン遺伝子の導入、シャペロン遺伝子の発現が増強された宿主の使用が例示される。
第1の発明には、DnaK、DnaJ、GrpE、GroEL、GroES、トリガーファクターから選択されるシャペロンをコードする遺伝子が好適に使用される。
第1の発明において、所望のポリペプチドをコードする遺伝子はコールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAの下流に接続されて宿主に導入されていることができ、前記コールドショックタンパク質遺伝子としては大腸菌cspA遺伝子が例示される。
第1の発明において、所望のポリペプチドをコードするDNAとシャペロンをコードする遺伝子は、ベクターにより宿主に導入する事ができる。また、前記所望のポリペプチドをコードするDNAとシャペロンをコードする遺伝子は、所望のポリペプチドとシャペロンとの融合タンパク質をコードするように接続されていても良い。前記の所望のポリペプチドとしては、ラウス関連ウイルス2(RAV−2)由来逆転写酵素αサブユニット、RAV−2由来βサブユニット、DNase、ヒト由来Dicer PAZドメインポリペプチドが例示される。
第1の発明に使用される宿主としては、大腸菌が例示される。
(1)プロモーターの下流に
(a)コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNA、
(b)前記(a)のDNAの下流に位置する、所望のポリペプチドをコードする遺伝子の挿入に使用可能な制限酵素認識配列、を有する第1のベクター;および
(2)シャペロンをコードする遺伝子を有する第2のベクター、
を含有し、前記(1)、(2)のベクターの複製起点が不和合性を示さないように選択されていることを特徴とする。
第2の発明において、第1のベクターとしては大腸菌cspA遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAを含有するもの、また、第2のベクターとしてはDnaK、DnaJ、GrpE、GroEL、GroES、トリガーファクターから選択されるシャペロンをコードする遺伝子を含有しているものがそれぞれ例示される。前記のベクターには大腸菌で複製しうるプラスミドを使用することができる。
(a)コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNA、
(b)前記(a)のDNAの下流に位置する、所望のポリペプチドをコードする遺伝子の挿入に使用可能な制限酵素認識配列、を有するDNA、および
(c)シャペロンをコードする遺伝子
を有することを特徴とする。
第3の発明の発現ベクターとしては、大腸菌cspA遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAを含有するもの、DnaK、DnaJ、GrpE、GroEL、GroES、トリガーファクターから選択されるシャペロンをコードする遺伝子を含有するものが例示される。
第3の発明においては、所望のポリペプチドをコードする遺伝子の挿入に使用可能な制限酵素認識配列が、所望のポリペプチドがシャペロンとの融合タンパク質として発現されるように前記ポリペプチドをコードする遺伝子を挿入できる部位に位置していてもよい。
前記の発現ベクターは大腸菌で複製しうるプラスミドであってもよい。
(1)コールドショックベクター
本発明に使用される、所望のポリペプチドをコードする遺伝子を含有するベクターは、宿主の培養温度を通常の生育温度よりも低くシフトさせる処理、すなわちコールドショックにより、前記ポリペプチドの発現が誘導されるものであり、本発明においては発現ベクターとして使用される。本明細書において「低温」なる用語は、宿主の通常の生育温度よりも低い温度をいう。以下、前記のベクターをコールドショックベクターと記載することがある。また、当該ベクターを利用した所望のポリペプチドの発現系を、コールドショック発現系と記載する事がある。当該ベクターとしては、コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAを保持し、その下流に所望のポリペプチドをコードする遺伝子が接続されたものを使用することができる。本明細書において「下流」なる用語は、転写の方向に関して下流の位置をいう。
特に本発明を限定するものではないが、好適な態様において、所望のポリペプチドをコードする遺伝子を含有するベクターは下記の各要素を含有することを特徴とする:
(A)使用する宿主中でその作用を示すプロモーター、
(B)(A)のプロモーターの作用を調節するための調節領域、及び
(C)コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域、あるいは該非翻訳領域に少なくとも1以上の塩基の置換、欠失、挿入、付加が施された領域をコードする領域。
以下にその詳細を説明する。
また、上記(B)の調節領域としては、(A)のプロモーターの下流に位置する遺伝子の発現を制御可能なものであれば特に限定はない。例えば、プロモーターより転写されたmRNAに相補的なRNA(アンチセンスRNA)を転写するような領域をベクターに導入しておくことにより、プロモーター下流の遺伝子からの目的タンパク質の翻訳を阻害することができる。アンチセンスRNAの転写を(A)のプロモーターとは異なる適当なプロモーターの制御下に置くことにより、目的ポリペプチドの発現を調節することができる。また、種々の遺伝子の発現調節領域に存在するオペレーターを利用してもよい。例えば、大腸菌ラクトースオペロン由来のlacオペレーターを本発明では使用することができる。lacオペレーターは適当な誘導物質、例えばラクトースやその構造類似体、特に好適にはイソプロピル−β−D−チオガラクシド(IPTG)の使用によってその機能を解除し、プロモーターを作用させることが可能である。このようなオペレーター配列は、通常、プロモーター下流の転写開始点付近に配置される。
上記(C)のコールドショックタンパク質mRNA由来の5’非翻訳領域をコードする領域とは、mRNAの開始コドンよりも5’側の部分をコードしている領域である。大腸菌のコールドショックタンパク質遺伝子(cspA、cspB、cspG、及びcsdA)にはこの領域が特徴的に見出されており[J. Bacteriol.、第178巻、第4919〜4925項(1996);J. Bacteriol.、第178巻、第2994〜2997項(1996)]、これらの遺伝子から転写されたmRNAのうちの5’末端より100塩基以上の部分がタンパク質に翻訳されていない。この領域は遺伝子発現の低温応答性に重要であり、任意のタンパク質のmRNAの5’末端にこの5’非翻訳領域を付加することにより、該mRNAからタンパク質への翻訳が低温条件下で起こるようになる。このコールドショックタンパク質mRNA由来の5’非翻訳領域は、その機能を保持する範囲においてその塩基配列に1以上の塩基の置換、欠失、挿入、付加が施されたものであってもよい。
さらに、本ベクターは、発現された目的の遺伝子産物の精製を容易にするためのペプチドであるタグ配列をコードする塩基配列や、タグ配列のような目的の遺伝子産物中の余分なペプチドの除去に利用されるプロテアーゼ認識アミノ酸配列をコードする塩基配列を導入することができる。
精製用のタグの配列としては、数個のヒスチジン残基からなるヒスチジンタグ(His Tag)やマルトース結合タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼなどが使用できる。ヒスチジンタグを付加されたポリペプチドはキレーティングカラムを使用して容易に精製することができ、他のタグ配列についてもこれらに特異的な親和性を有するリガンドを使用することにより、簡便に精製することができる。また、余分なペプチドの除去に利用されるプロテアーゼとしては、ファクターXa、トロンビン、エンテロキナーゼ等を使用することができ、本ベクターにこれらのプロテアーゼによって特異的に切断されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を導入すればよい。
本発明のポリペプチドの製造方法は、目的とするポリペプチドをコードする遺伝子の発現の際に、シャペロンをコードする遺伝子の発現を増強させることを特徴とする。
本発明において、シャペロンとは、タンパク質のフォールディングに関与するタンパク質であればいかなるタンパク質でも構わない。例えば、大腸菌由来DnaK、DnaJ、GrpE、GroEL、GroES、トリガーファクター等が挙げられる。
特に本発明を限定するものではないが、コールドショックベクターを用いたポリペプチドの発現においては、ポリペプチド内のプロリンの異性化に関与するタンパク、例えばトリガーファクター[Peptidyl−prolyl cis−tarans isomerase(PPIase)とも呼ばれる]の使用が好ましい。前記のシャペロンは、大腸菌由来のものに限定されず、例えば、古細菌、酵母、微生物、好冷菌由来などのシャペロンを利用することが出来る。
染色体上のシャペロン遺伝子の発現誘導は、例えば宿主において前記シャペロンの発現が誘導される条件が知られているものであれば、当該条件を利用して実施することができる。染色体上のシャペロン遺伝子の改変は、宿主染色体について相同組換えを利用した遺伝子の挿入や部位特異的変異導入の手法を使用して実施することができる。例えば、宿主染色体上の誘導したいシャペロンをコードする遺伝子の上流に誘導可能なプロモーターを挿入しておき、このプロモーターを介して発現を誘導することができる。
さらに、別の態様としては、ポリペプチドの発現に使用される宿主についてシャペロン遺伝子の発現が増強されている変異株を取得し、これを宿主として使用することが挙げられる。変異株の取得は、公知の方法、例えば宿主微生物を薬剤や紫外線のような変異原で処理した後にシャペロン遺伝子の発現が増強されている株を選抜することによって実施できる。
ここで、シャペロンをコードする遺伝子の発現の増強とは、宿主中のシャペロンタンパク質の量がその通常の量に比較して増加していることを意味する。上記の操作によりシャペロン遺伝子の発現が増強されているかどうかは、例えば当該シャペロンを認識する抗体を利用してシャペロンタンパク質を測定するか、あるいは当該シャペロンをコードする遺伝子より転写されるmRNA量を公知の方法、例えばRT−PCR法やノーザンハイブリダイゼーション、DNAアレイを使用するハイブリダイゼーション等によって測定し、確認することができる。
目的タンパク質の発現レベルを低下させず、前記シャペロンの発現量や発現時期を最適化するために、シャペロンの発現と目的タンパク質の発現は独立して制御できる方が有利である。このためにはシャペロン遺伝子を制御可能なプロモーターの下流に置くことが好ましい。さらに、シャペロンの発現に用いる制御可能なプロモーターとしては、目的タンパク質の発現に用いられるプロモーターと異なるものが好ましい。
通常、同一宿主に近縁の2種のプラスミドは安定に共存できない。この現象を不和合性という。本発明において、シャペロン遺伝子を含有するベクターとしてプラスミド(以下シャペロンプラスミドと記載することがある)を使用する場合は、目的タンパク質の発現ベクターと不和合性を示さないレプリコンを有するものを使用可することが好ましい。例えば、目的タンパク質の発現ベクターとして国際公開第99/27117号パンフレットに記載のpCold07等ColE1レプリコンをもつものを用いる場合、シャペロンプラスミドには、pACYCベクターに存在するp15Aレプリコン等を使用することができる。
この態様においては、シャペロンをコードする遺伝子と目的のポリペプチドをコードする遺伝子とがイン・フレームで結合され、シャペロンと目的のポリペプチドとの融合タンパク質が発現されるような位置に、目的のポリペプチドをコードする遺伝子の挿入に使用可能な制限酵素認識配列を配してもよい。シャペロンと目的のポリペプチドとの融合タンパク質は、シャペロンが目的のポリペプチドのN末端側に連結されても、C末端側に連結されても、その両方に連結されてもよい。また、前記融合タンパク質は、シャペロンと目的のポリペプチドとの間にリンカーとなるアミノ酸、又はペプチドを有していても良い。このようなリンカーの鎖長は、1〜50アミノ酸である事が好ましく、更に好ましくは3〜40アミノ酸であり、最も好ましくは5〜30アミノ酸である。また、リンカーのアミノ酸配列は、プロテアーゼの認識配列であっても良く、複数のプロテアーゼ認識配列が並列に挿入されたものであっても良い。このようなプロテアーゼ認識配列としては、Factor Xa、Thrombin、Enterokinase(いずれもタカラバイオ社製)、PreScission Protease(アマシャムバイオサイエンス社製)といった各種プロテアーゼの認識配列が例示される。前記のプロテアーゼの認識配列は、好適には4〜8アミノ酸からなる配列が例示される。
本発明におけるポリペプチドの製造は、例えば以下のような工程で実施される。
目的とするポリペプチドをコードする遺伝子をコールドショックベクターの、コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAの下流に挿入する。こうして作製された組換え発現ベクターを適切な宿主に導入して形質転換体を作製する。
前記のコールドショックの後、さらに低温で形質転換体の培養を継続し、ポリペプチドを発現させる。こうして得られる培養物より目的のポリペプチドを回収することにより、該ポリペプチドを製造することができる。培養物からのポリペプチドの精製は、前記培養物より回収された形質転換体細胞、培養液上清、もしくはその両方から実施することができる。ポリペプチドの精製は、硫安分画、限外ろ過、各種クロマトグラフィーなどの公知のタンパク精製手法を組み合わせて実施すればよい。
その他、抗体とのアフィニティーを用いてもかまわない。上記の精製タグは、発現タンパク質のN末端側に設計しても、C末端側に設計してもいずれであってもかまわない。これらの遺伝子操作や、アフィニティー精製方法は、当業者には一般的に理解されているものである。
また、本明細書に記載の操作のうち、プラスミドの調製、制限酵素消化などの基本的な操作については2001年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、J.サムブルック(J.Sambrook)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第3版(Molecular Cloning : A Laboratory Manual 3rd ed.)に記載の方法によった。
(1)発現ベクターの構築
ヒト由来DicerのPAZ+RNaseIIIドメインよりなるポリペプチド(ヒト由来Dicer のアミノ酸配列のN末端側より679〜1924番目)を発現させるため、以下のようにして発現ベクターを構築した。
まず、Genbank Acc. No.AB028449で公開されている塩基配列より、配列表の配列番号4及び5記載の塩基配列を有する合成プライマー5及び6をDNA合成機で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー5は、制限酵素KpnIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号3)のアミノ酸番号679〜685に相当する塩基配列を塩基番号16〜36にもつ合成DNAである。また、合成プライマー6は、制限酵素HindIIIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号3)のアミノ酸番号1919〜1924に相当する塩基配列を塩基番号18〜35にもつ。
すなわち、鋳型DNA(ヒトcDNAライブラリー、Human Pancreas、タカラバイオ社製)2μl、5μlの10×LA PCR buffer(タカラバイオ社製)、5μlのdNTP混合液(タカラバイオ社製)、10pmolの合成プライマー5、10pmolの合成プライマー6、0.5UのTakara LA Taq(タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を50μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler SP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 3分を1サイクルとする30サイクルの反応を行なった。
GroELおよびGroESを発現するpGro7、DnaKおよびDnaJならびにGrpEを発現するpKJE7,GroELおよびGroESならびにトリガーファクターを発現するpG−Tf2、トリガーファクターを発現するpTF16(いずれもタカラバイオ社製)それぞれのシャペロンプラスミド各1ngと、上記のプラスミドpCold08/hDi−ASI各1ngとを用いて、大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行った。
(1)で得られた各形質転換体を用いて、hDi−ASIの発現を調べた。培養には、5mlのLB液体培地(組成:1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、20μg/mlクロラムフェニコール、50μg/mlアンピシリン)を使用した。ただし、対照であるC1の培養にはクロラムフェニコールを含まない培地を用いた。
上記(2)で調製したpCold08 hDi−ASIとpTf16を用いて、大腸菌BL21を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを500mlのTB液体培地(バクトトリプトン 6g、バクト−イースト エキス 12g、グリセロール 2ml、17mM KH2PO4、72mM K2HPO4、アンピシリン25mg)2本に植菌した。植菌後にアラビノースを終濃度0.5mg/mlになるように添加し、37℃、130rpmの条件で対数増殖期まで培養し、その後15℃に冷却した。冷却後にIPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、130rpm、15℃の条件で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、3.3gの湿菌体を得た。湿菌体3.3gを13.16mlのbinding buffer[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、プロテアーゼインヒビター(Complete,EDTA−free、ベーリンガーマンハイム社製)]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(12,000rpm 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液 約13mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のように行なった。
すなわち、樹脂容積にして10ml分のNi−NTA agarose(キアゲン社製)をφ50mmのカラムに充填し蒸留水30mlで洗浄した。その後binding buffer 100mlで洗浄し、樹脂を回収した。上記の菌体破砕液より調製した約13mlの上清を添加し、4℃で約1時間、ロータリーシェイカーで穏やかに混和した。その後、この目的タンパク質の吸着した樹脂をφ50mmのカラムに充填し、50mlのbinding bufferで2回洗浄した。次に50mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、20mM イミダゾール]で樹脂を洗浄後、50mlのbufferB[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、800mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、20mM イミダゾール]、続いて50mlのbufferAで洗浄を行い目的以外の不要タンパク質の除去を行った。
洗浄後、30mlのbufferC[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、100mM イミダゾール]で溶出操作を行った。溶出サンプルについてCentricon YM−10(アミコン社製)を用いて濃縮を行ない、10mlのbufferD[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、250mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM DTT 、0.1% Triton X−100、10% グリセロール]を加え濃縮を行った。この操作を2回繰り返した。次に、500mlのbufferE[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、250mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM DTT 、0.1% Triton X−100、50% グリセロール]に対して透析を行ない、約220μlのタンパク質サンプルを得た。その一部について10%SDSポリアクリルアミド電気泳動に供したところ、分子量約144,000の位置に目的タンパク質のバンドが確認され、これを以下の活性の確認に使用した。
(4)で調製したタンパク質サンプルについて、dsRNA分解活性を測定した。活性測定は以下のようにして行った。
先ず、活性測定に用いた基質となるdsRNAを、TurboScript T7 Transcription kit(GTS社製)を用いて、その添付プロトコールに従って合成した。
すなわち、プラスミドpQBI1125(和光純薬社製)に挿入されているRed−shift Green Fluorescent Protein(以下GFPと略称する)をコードする遺伝子(配列表の配列番号10にその塩基配列を示す)をプラスミドpDON−AI(タカラバイオ社製)に挿入したpDON−rsGFPを鋳型とし、配列表の配列番号11記載のT7プロモーター配列をもった合成プライマー3と配列表の配列番号12記載の合成プライマー4を用いてPCRを行い、増幅産物を得た。次に得られた2本鎖DNAを鋳型として、T7 RNA polymeraseによるRNA合成反応により約700bpの長さのdsRNAを調製した。上記方法で調製したdsRNA 1μg、上記(3)で調製したタンパク質サンプル 1μl、5×反応緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、12.5mM 塩化マグネシウム) 2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。37℃で18時間反応後、反応液の10μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、泳動後のゲルをエチジウムブロマイドで染色して切断産物の確認を行なった。その結果、約21塩基対の分解産物が確認され、dsRNA分解活性が確認された。
以上のように、本発明の方法によってdsRNA分解活性を保持したタンパク質が発現されることが示された。
下記の操作により、目的タンパク質単独での発現、目的タンパク質とトリガーファクターの共発現、目的タンパクとトリガーファクターとの融合タンパク質の発現の比較を行った。また、融合タンパク質の発現に関しては、発現システムとして、コールドショックベクターを使用する系(コールドショック発現系)、T7プロモーターとT7RNAポリメラーゼとを組み合わせた発現系(T7プロモーター発現系)の2通りを用いた。
(1)プラスミドベクターの構築
大腸菌由来のトリガーファクター遺伝子配列(Genbank Acc. No.NC_000913、454357番目〜455655番目)より、配列表の配列番号13及び14記載の塩基配列を有する合成プライマーTFN及びTFCPをDNA合成機で合成し、常法により精製した。
上記合成プライマーTFNは、大腸菌由来トリガーファクターのアミノ酸配列のN末端より1〜9番目のアミノ酸をコードする塩基配列を持ち、さらに塩基番号4〜9に制限酵素NdeIの認識配列を持つ合成DNAである。また、合成プライマーTFCPは、大腸菌由来トリガーファクターのアミノ酸配列のC末端より1〜9番目のアミノ酸をコードする塩基配列に相補的な塩基配列、プロテアーゼFactor Xaの認識配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列、制限酵素EcoRIの認識配列、制限酵素BamHIの認識配列、及び制限酵素HindIIIの認識配列を持つ合成DNAである。次に、大腸菌HB101(タカラバイオ社製)より、PCRの鋳型となるゲノムDNAを抽出した。
ラウス関連ウイルス2(Rous associated virus 2、RAV−2)由来の逆転写酵素αサブユニット(以下、RAV−2 RTaseα)のアミノ酸配列(Genbank Acc. No.BAA22090のうち、N末端より1〜572番目のアミノ酸)をもとに、コードされるアミノ酸配列を変化させる事なく大腸菌のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を変更し、さらに制限酵素EcoRIの認識配列及び制限酵素XbaIの認識配列をそれぞれ前記配列の両端に持つよう設計した配列(配列表の配列番号15)を持った二本鎖DNAを合成した。
トリガーファクターとRAV−2 RTaseαの融合蛋白質をコールドショック発現系で発現するpColdTF−αを用いて、大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行った。形質転換体は、アンピシリンを100μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。
上記の融合発現系の比較例として、RAV−2 RTaseα、RAV−2 RTaseβを単独発現系で発現する形質転換体、RAV−2 RTaseαとトリガーファクターとの共発現系で発現する形質転換体、RAV−2 RTaseβとトリガーファクターとの共発現系で発現する形質転換体、トリガーファクターとRAV−2 RTaseαとの融合蛋白質をT7プロモーター発現系で発現する形質転換体、及びトリガーファクターとRAV−2 RTaseβとの融合蛋白質をT7プロモーター発現系で発現する形質転換体についても調製した。
(4)RTaseαおよびRTaseβの発現
(3)で得られた各形質転換体を用いて、RTaseαおよびRTaseβの発現を調べた。コールドショック発現系で融合蛋白質を発現する形質転換体、および単独発現系の形質転換体の培養には、5mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリンを含む)を用いた。また、共発現系の形質転換体の培養には、5mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリン、20μg/mlクロラムフェニコール、0.5mg/mlのアラビノースを含む)を用いた。それぞれの形質転換体は37℃で培養し、濁度がOD600=0.4程度に達した時点で15℃、15分間培養後、培養液に終濃度1mMのIPTGを加え、更に15℃で24時間培養を行うことで発現を誘導した。発現誘導を24時間行ったのち、菌体を回収した。
(1)DNase発現ベクターの構築
DNaseを単独で発現するプラスミドとして、pCold08−End1(FERM BP−10313)(平成17年2月16日(原寄託日)に日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566)、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託)を用いた。当該プラスミドは、254アミノ酸残基からなるDNaseをコードする塩基配列を含み、該DNaseにHis−Tag、Factor Xa認識配列、並びにリンカー配列が付加された271アミノ酸残基の融合タンパク質が発現されるように構築されている。
まず、上記pCold08−End1の塩基配列より、配列表の配列番号17及び18記載の塩基配列を有する合成プライマーNUCN及びNUCCをDNA合成機で合成し、常法により精製した。合成プライマーNUCNは、DNaseのN末端より1〜7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を持ち、さらに塩基番号4〜9に制限酵素EcoRIの認識配列を持つ合成DNAである。また、合成プライマーNUCCは、DNaseのN末端より247〜254番目のアミノ酸をコードする塩基配列に相補的な塩基配列を持ち、さらに塩基番号4〜9に制限酵素BamHIの認識配列を持つ合成DNAである。
トリガーファクターとDNaseの融合蛋白質を発現するpColdTF−End1を用いて、大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行った。形質転換体は、アンピシリンを100μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。
共発現系で発現する形質転換体の調製は以下の方法により行った。まず、プラスミドpCold08−End1と、プラスミドpTf16とを用いて大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行った。次に、pCold08−End1と、プラスミドpTf16とを保持する共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ100μg/mlおよび20μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングする事により得た。
(2)で得られた各形質転換体を用いて、DNaseの発現を調べた。融合発現系および単独発現系の形質転換体の培養には、5mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリンを含む)を用いた。また、共発現系の形質転換体の培養には、5mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリン、20μg/mlクロラムフェニコール、0.5mg/mlのアラビノースを含む)を用いた。それぞれの形質転換体は37℃で培養し、濁度がOD600=0.8程度に達した時点で15℃、15分間培養後、培養液に終濃度1mMのIPTGを加え、更に15℃で24時間培養を行うことで発現を誘導した。発現誘導を24時間行ったのち、菌体を回収した。得られた菌体をPBSで懸濁、超音波破砕し、細胞抽出液画分を調製、ついで15、000×gの遠心分離により可溶性画分と不溶性画分に分けた。それぞれの画分の0.05OD分(OD600)についてSDS−PAGE(5−20%ゲル)に供した。CBB染色により解析した結果を図3に示した。
(3)で調製した融合発現系の超音波破砕可溶性画分について、DNase活性を測定した。対照として、インサートを導入していないpColdTFベクターのみを用いて形質転換した大腸菌の超音波破砕可溶性画分についても取得し、同時に活性測定を行った。対照の超音波破砕可溶性画分は、pColdTFを用いる点以外は、前記(2)、(3)と同様の方法で得た。
活性測定にはλ−HindIII digest(タカラバイオ社製)を基質として用いた。λ−HindIII digest 1μg、超音波破砕可溶性画分0.025OD分(OD600)、10×反応緩衝液(400mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、60mM 塩化マグネシウム、10mM 塩化カルシウム) 5μl、これにnuclease free水を加えて、全量を50μlとしたものを反応液とし、20℃で2時間反応後、反応液の10μlを1%アガロースゲル電気泳動に供し、切断産物の解析を行った。結果を図4に示す。
図4より、対照の超音波破砕可溶性画分を用いた場合(レーン1)は基質の分解がほとんど確認できないのに対し、DNaseとトリガーファクターの融合発現系の超音波破砕可溶性画分を用いた場合(レーン2)は基質が分解され、DNaseの活性が確認された。
(1)発現ベクターの構築
ヒト由来DicerのPAZドメイン(ヒト由来Dicerのアミノ酸配列のN末端側より895〜1064番目)を含むポリペプチド(ヒト由来Dicerのアミノ酸配列のN末端側より892〜1064番目、以下PAZと称する事がある)を発現させるため、以下のようにして発現ベクターを構築した。
まず、Genbank Acc. No.AB028449で公開されている塩基配列より、配列表の配列番号19及び20記載の塩基配列を有する合成プライマー1及び2をDNA合成機で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー1は、制限酵素KpnIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号3)のアミノ酸番号892〜898に相当する塩基配列を塩基番号16〜36にもつ合成DNAである。また、合成プライマー2は、制限酵素HindIIIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号3)のアミノ酸番号1058〜1064に相当する塩基配列を塩基番号15〜36にもつ。
すなわち、鋳型DNA1ng、10μlの10×LA PCR buffer(タカラバイオ社製)、8μlのdNTP混合液(タカラバイオ社製)、10pmolの合成プライマー5、10pmolの合成プライマー6、0.5UのTakara Ex Taq(タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を100μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler MP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 2分を1サイクルとする30サイクルの反応を行なった。
トリガーファクターとhDi−PAZの融合蛋白質を発現するpColdTF/hDi−PAZを用いて、大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行った。形質転換体は、アンピシリンを100μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。
(2)で得られた各形質転換体を用いて、hDi−PAZの発現を調べた。融合発現系および単独発現系の形質転換体の培養には、3mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリンを含む)を用いた。また、共発現系の形質転換体の培養には、3mlのLB液体培地(50μg/mlアンピシリン、20μg/mlクロラムフェニコール、0.5mg/mlのアラビノースを含む)を用いた。それぞれの形質転換体は37℃で培養し、濁度がOD600=0.4程度に達した時点で15℃、15分間培養後、培養液に終濃度0.5mMのIPTGを加え、更に15℃で24時間培養を行うことで発現を誘導した。発現誘導を24時間行ったのち、菌体を回収した。得られた菌体を菌体破砕液(50mM Tris−HCl(pH8.5)、100mM NaCl、1mM MgCl2、protease inhibitor(complete EDTA−free))で懸濁、超音波破砕し、細胞抽出液画分を調製、ついで15、000×gの遠心分離により可溶性画分と不溶性画分に分けた。それぞれの画分について、約2.5×106個の菌体分をSDS−PAGEに供した。CBB染色により解析した。
SEQ ID NO:4; Synthetic primer 5 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:5; Synthetic primer 6 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:6; A gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:7; An amino acid sequence of human dicer mutant
SEQ ID NO:8; An amino acid sequence of human dicer mutant
SEQ ID NO:9; A gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:10; A gene encoding red-shift green fluorescent protein.
SEQ ID NO:11; Synthetic primer 3 to amplify a gene encoding red-shift green fluorescent protein
SEQ ID NO:12; Synthetic primer 4 to amplify a gene encoding red-shift green fluorescent protein
SEQ ID NO:13; Synthetic primer TFN to amplify a gene encoding Trigger Factor
SEQ ID NO:14; Synthetic primer TFCP to amplify a gene encoding Trigger Factor
SEQ ID NO:15; A gene encoding RAV-2 reverse transcriptase alpha subunit
SEQ ID NO:16; A gene encoding RAV-2 reverse transcriptase beta subunit
SEQ ID NO:17; Synthetic primer NUCN to amplify a gene encoding DNase
SEQ ID NO:18; Synthetic primer NUCC to amplify a gene encoding DNase
SEQ ID NO:19; Synthetic primer 1 to amplify a gene encoding human dicer PAZ domain
SEQ ID NO:20; Synthetic primer 2 to amplify a gene encoding human dicer PAZ domain
Claims (6)
- RAV−2由来逆転写酵素αサブユニット、RAV−2由来逆転写酵素βサブユニット、DNase、ヒト由来Dicer PAZドメインポリペプチドから選択される所望のポリペプチドをコードする遺伝子とトリガーファクターをコードする遺伝子とがベクターにより導入された宿主を低温条件にさらすことによって所望のポリペプチドとトリガーファクターとの融合タンパク質の発現を誘導する工程を包含するポリペプチドの製造方法であって、ここで、前記の所望のポリペプチドをコードする遺伝子とトリガーファクターをコードする遺伝子は前記の融合タンパク質をコードするように接続されており、前記の所望のポリペプチドをコードする遺伝子は、プロモーターの下流に、コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAの下流に接続されて宿主に導入されている、ポリペプチドの製造方法。
- 所望のポリペプチドをコードする遺伝子が大腸菌cspA遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAの下流に接続されて宿主に導入されていることを特徴とする請求項1記載のポリペプチドの製造方法。
- 宿主が大腸菌である請求項1または2記載のポリペプチドの製造方法。
- プロモーターの下流に、
(a)コールドショックタンパク質遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNA、
(b)前記(a)のDNAの下流に位置し、所望のポリペプチドがトリガーファクターとの融合タンパク質として発現されるように前記ポリペプチドをコードする遺伝子を挿入できる部位に位置する、所望のポリペプチドをコードする遺伝子の挿入に使用可能な制限酵素認識配列、を有するDNA、および
(c)トリガーファクターをコードする遺伝子
を有する発現ベクター。 - 大腸菌cspA遺伝子mRNA由来の5’非翻訳領域をコ−ドするDNAを含有する請求項4記載の発現ベクター。
- 大腸菌で複製しうるプラスミドである請求項4または5記載の発現ベクター。
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