JP4249832B2 - トリガーファクター発現プラスミド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外来タンパク質を可溶化した状態で、かつ正常な立体構造を保持した状態で発現させうる、人工オペロン、該オペロンを有する発現プラスミド、該プラスミドと外来タンパク質発現ベクターとを含有した共形質転換体および該共形質転換体を用いることを特徴とする外来タンパク質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリガーファクターは、イン・ビトロでの大腸菌外膜タンパク質のOmpAの前駆体であるproOmpAの膜への輸送に必要な細胞質因子として発見された因子である〔Crooke, E. and Wickner, W., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 5216-5220 (1987)〕。また、分子量48kDaのトリガーファクターをコードする遺伝子としてtig遺伝子がクローニングされている〔Guthrie, B. and Wickner, W., J. Bacteriol., 172, 5555-5562 (1990) 〕。アミノ酸配列の解析により、トリガーファクターはFK506結合タンパク質(FKBP)ドメインを有し、FK506との結合活性とペプチジル−プロリルイソメラーゼ(PPIase)活性の発現に必要なすべてのアミノ酸が保存されていることが明らかにされている〔Callebaut, I. and Mornon, J. -P., FEBS Lett., 374, 211-21 (1995)〕。
【0003】
トリガーファクターは、大腸菌リボソームの50Sサブユニットに結合したPPIaseとしても同定され、該トリガーファクターは、変異型RNaseT1のイン・ビトロでのリフォールディングにおけるプロリル異性化反応を著しく促進することが報告されている〔Stoller, G. et al. (1995) EMBO J. 14, 4939-4948 〕。さらに、クロスリンク試薬を用いた実験により、トリガーファクターは大腸菌リボソーム上の新生ポリペプチド鎖と結合することが見出されている〔Valent, Q. A. et al., EMBO J., 14, 5494-5505 (1995); Hesterkamp, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 4437-4441(1996)〕。また、トリガーファクターはGroELのアンフォールドタンパク質への結合を促進することも知られている〔Kandror, O. et al., EMBO J., 14, 6021-6027 (1995) ;Kandror, O. et al., J. Biol. Chem., 272, 1730-1734 (1997)〕。
【0004】
PPIaseはペプチド鎖中のプロリン残基に作用し、ペプチド結合に関する配置のシス−トランス異性化を触媒する。この反応はタンパク質の折畳み過程の律速段階とされており、PPIaseファミリータンパク質の役割として、細胞内でのタンパク質折畳み、リフォールディング、会合と解離、輸送などへの関与が考えられている。
【0005】
また、イン・ビトロにおいては、トリガーファクターがいくつかのタンパク質の折り畳みを助けることが示されている〔Scholz, C. et al., EMBO J. 16, 54-58, (1997)〕。しかしながら、トリガーファクターの機能の実態は不明であった。
【0006】
大腸菌による外来タンパク質の発現において、シャペロンを共発現させて目的の外来タンパク質の不溶化抑制および安定化の試みは、これまで種々行なわれている。しかしながら、どのタンパク質にどのシャペロンの共発現が有効かを予測することは困難であり、試行錯誤が繰り返されている。また、既知のシャペロンの共発現では十分な効果が得られない場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、外来タンパク質を可溶化した状態で、かつ正常な立体構造を保持した状態で発現させうる、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれをコードする遺伝子を含有した人工オペロンを提供することを目的とする。また、本発明は、該オペロンを含有したプラスミドおよびトリガーファクター発現プラスミドを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記プラスミドと外来タンパク質発現ベクターとを含有した共形質転換体を提供することにある。さらに、本発明は、前記共形質転換体を用いることを特徴とする外来タンパク質の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 Pzt−1プロモーターの制御下に、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれをコードする遺伝子を含有してなる人工オペロンであって、前記各遺伝子は、GroESをコードする遺伝子、GroELをコードする遺伝子、トリガーファクターをコードする遺伝子の順番で配置され、前記トリガーファクターをコードする遺伝子が、配列番号:2に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:2に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子であり、前記GroELをコードする遺伝子が、配列番号:5に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:5に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子であり、前記GroESをコードする遺伝子が、配列番号:6に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:6に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子である、人工オペロン
〔2〕 前記〔1〕記載の人工オペロンを保持する、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれを発現しうるプラスミド、
〔3〕 前記〔2〕記載のプラスミドと外来タンパク質用の発現プラスミドとを保持する共形質転換体、ならびに
〔4〕 前記〔3〕記載の共形質転換体を用いることを特徴とする、外来タンパク質の製造方法、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の人工オペロンは、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれをコードする遺伝子(それぞれtig遺伝子、groEL遺伝子、groES遺伝子という)を含有することを1つの大きな特徴とする。本発明の人工オペロンは前記tig、groEL、groESの各遺伝子を含有するため、該人工オペロンを外来タンパク質をコードする遺伝子と共発現させた場合に、可溶性の発現産物を効率よく得ることができるという優れた効果を発揮する。
【0010】
本発明において、「トリガーファクター」とは、イン・ビトロでの大腸菌外膜タンパク質のOmpAの前駆体であるproOmpAの膜への輸送に必要な細胞質因子として発見された因子をいう。
【0011】
前記トリガーファクターは、配列番号:1に示されるアミノ酸配列を有する因子である〔Guthrie, B. and Wickner, W., J. Bacteriol., 172, 5555-5562 (1990) 〕。本発明において、トリガーファクターは、外来遺伝子との共発現により、外来タンパク質を可溶化した状態で、かつ正常な立体構造を保持した状態で発現させうる因子であれば、前記配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸残基に、置換、欠失、付加または挿入の変異が導入された配列を有する因子をも包含する。
【0012】
本発明の人工オペロンには、前記トリガーファクターのアミノ酸配列に対応するtig遺伝子が用いられる。かかるtig遺伝子としては、配列番号:2に示される塩基配列からなる遺伝子が挙げられる〔Guthrie, B. and Wickner, W., J. Bacteriol., 172, 5555-5562 (1990) 〕。前記配列番号:2に示される塩基配列からなる遺伝子は、例えば、小原クローンNo.148〔Kohara, Y et al., Cell, 50, 495-508 (1987)〕から得ることができる。
【0013】
また、本発明において、tig遺伝子は、外来遺伝子との共発現により、外来タンパク質を可溶化した状態で、かつ正常な立体構造を保持した状態で発現させうる因子をコードする遺伝子であれば、前記配列番号:2に示される塩基配列において、1個以上の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入などの変異が導入された配列からなる遺伝子をも包含する。
【0014】
さらに、本発明において、tig遺伝子は、外来遺伝子との共発現により、外来タンパク質を可溶化した状態で、かつ正常な立体構造を保持した状態で発現させうる因子をコードする遺伝子であれば、前記配列番号:2に示される塩基配列からなるDNAまたは前記配列番号:2に示される塩基配列において、1個以上の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入などの変異が導入された配列を有するDNAのいずれかのDNAにストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAからなる遺伝子をも包含する。
【0015】
なお、ハイブリダイゼーションの条件は、例えば、モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル第2版〔Sambrook, J. et al., Cold Spring Harbour Laboratory Press, New York, (1989) 〕に記載の条件などが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられるGroELおよびGroESのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:3および4に示す〔Hemmingsen, S. M. et al., Nature, 333, 330-334 (1988) 〕。本発明において、GroELおよびGroESは、前記配列番号:3および4のそれぞれに示される配列を有する野性型のGroELおよびGroESと同等の機能を有する因子であれば、前記配列番号:3および4のそれぞれに示されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸残基に、置換、欠失、付加または挿入の変異が導入された配列を有する因子をも包含する。
【0017】
本発明に用いられるgroEL遺伝子およびgroES遺伝子は、それぞれ配列番号:5および6に示される塩基配列〔Hemmingsen, S. M. et al., Nature, 333, 330-334 (1988) 〕からなる遺伝子が挙げられる。前記groEL遺伝子およびgroES遺伝子は、例えば、pGro11プラスミド〔Nishihara, K. et al., Appl. Environ. Microbiol., 64, 1694-1699 (1998) 〕から得ることができる。
【0018】
本発明においては、groEL遺伝子およびgroES遺伝子は、前記野生型のGroELおよびGroESと同等の機能を有する因子をコードする遺伝子であれば、前記配列番号:5および6に示されるそれぞれの塩基配列において、1個以上の塩基に、置換、欠失、付加または挿入の変異が導入された配列を有する遺伝子をも包含する。
【0019】
さらに、groEL遺伝子およびgroES遺伝子は、前記野生型のGroELおよびGroESと同等の機能を有する因子をコードする遺伝子であれば、前記配列番号:5および6に示されるそれぞれの配列または前記配列番号:5および6に示されるそれぞれの塩基配列において、1個以上の塩基に、置換、欠失、付加もしくは挿入などの変異が導入された配列を有するDNAにストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAからなる遺伝子をも包含する。
【0020】
本発明の人工オペロンにおいて、前記tig遺伝子、groEL遺伝子およびgroES遺伝子の配置は、特に限定されるものではないが、例えば、groES−groEL−tigの順番で配置されたオペロンなどが挙げられる。
【0021】
本発明の人工オペロンにおいては、前記tig遺伝子、groEL遺伝子およびgroES遺伝子は、プロモーターの制御下に配置することができる。
【0022】
プロモーターの制御下に存在する前記オペロンの転写を制御するプロモーターは、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれの発現量を調節する観点から、誘導可能なプロモーターであることが好ましい。誘導可能なプロモーターとしては、例えば、lac、tac、trc、trp、ara、Pzt−1、PL およびT7が挙げられる。前記lac、tacおよびtrcは、いずれもイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導することができ、前記trp、araおよびPzt−1は、それぞれ、3−インドールアクリル酸(IAA)、L−アラビノース、テトラサイクリンを用いて誘導することができる。また前記PL は高温(42℃)で誘導することができる。また、T7RNAポリメラーゼによって特異的にかつ強力に転写されるT7プロモーターも使用できる。この場合、lacプロモーター下流に連結したT7RNAポリメラーゼ遺伝子をもつλファージを溶原化した大腸菌を用いることにより、IPTGで誘導が可能である。前記プロモーターの中では、誘導操作性の容易さの観点から、lac、trp、araおよびPzt−1が好ましい。前記プロモーターは、公知のベクターなどに含まれており、制限酵素等を用いてベクターから適宜切り出して用いることができる。
【0023】
また、本発明の人工オペロンにおいては、rrnBT1T2などに代表されるターミネーターを有することにより、より安定に人工オペロン上の因子を発現させることが可能になる。これらのターミネーターは、公知のベクターなどに含まれており、制限酵素等を用いてベクターから適宜切り出して用いることができる。
【0024】
本発明の人工オペロンの具体例としては、例えば、配列番号:7に示される塩基配列を有するオペロンなどが挙げられる。
【0025】
本発明のプラスミドは、トリガーファクターをコードする遺伝子または前記人工オペロンを保持することを1つの大きな特徴とする。
【0026】
本発明のプラスミドにおいては、誘導可能なプロモーターにより、トリガーファクターをコードする遺伝子または人工オペロン上にコードされる因子(トリガーファクター、GroELおよびGroES)を発現できることが好ましい。
【0027】
また、本発明のプラスミドを宿主に導入するに際して、同一のプラスミド上に、トリガーファクターをコードする遺伝子または前記オペロンと目的とする外来タンパク質とをコードする遺伝子を有しているプラスミドを用いてもよく、トリガーファクターをコードする遺伝子またはオペロンを保持するプラスミドと外来タンパク質をコードする遺伝子を保持するプラスミド(以下、共発現型プラスミドという)とを同時に用いてもよい。なかでも、外来タンパク質ごとにトリガーファクターをコードする遺伝子または前記オペロンと目的とする外来タンパク質とをコードする遺伝子を含有するプラスミドを作製する必要性がないこと、宿主内でのプラスミドの安定性などの観点から、共発現型プラスミドが好ましい。
【0028】
外来蛋白質の発現レベルを低下させず、トリガーファクターまたは前記人工オペロン上にコードされる因子の発現量や発現時期を最適化するために、トリガーファクターまたは人工オペロン上にコードされる因子の発現と目的蛋白質の発現は独立して制御できる方が有利である。前記したような観点から、トリガーファクターまたは人工オペロン上にコードされる因子の発現に用いる誘導可能なプロモーターとしては、目的蛋白質の発現に用いられるプロモーターと異なるものが好ましい。
【0029】
前記プラスミドとして共発現型プラスミドを用いる場合、使用する宿主内、例えば、大腸菌内で目的蛋白質の発現ベクターと不和合性を示さないレプリコンを有するものであれば使用可能である。例えば、目的蛋白質の発現ベクターとしてpBR322等ColE1レプリコンをもつベクターを用いる場合、トリガーファクターまたは前記人工オペロン上にコードされる因子の発現に用いるプラスミドには、pACYC系プラスミドに存在するp15Aレプリコンを使用することができる。
【0030】
本発明の発現プラスミドの具体例としては、共発現型プラスミドである、pTf13およびpG−Tf1が挙げられる。それぞれの概略構成図を図1および図2に示す。
【0031】
前記pTf13およびpG−Tf1は、それぞれ、例えば、下記実施例1および下記実施例2のようにして得ることができる。
【0032】
本発明の共形質転換体は、本発明のプラスミド(共発現型プラスミド)と外来タンパク質発現ベクターとを導入することによって得ることができる。
【0033】
前記共形質転換体に用いる外来タンパク質発現ベクターとしては、特に限定されないが、所望の外来タンパク質を菌体の細胞質内で発現または菌体のペリプラズムに分泌させうるベクターであり、かつ前記発現プラスミドと和合性を示すベクターなどが挙げられ、特に誘導可能なプロモーターにより、目的の外来タンパク質の発現が誘導されるベクターが好ましい。誘導可能なプロモーターとしては、前記と同様のプロモーターが挙げられるが、トリガーファクターまたは人工オペロン上にコードされる因子の誘導発現に用いるプロモーター以外のプロモーターを選ぶことにより、トリガーファクターまたは人工オペロン上にコードされる因子と目的外来タンパク質とを別々に発現誘導することができる。
【0034】
また、外来タンパク質発現ベクターは、必要に応じて選択マーカー遺伝子を含んでもよい。かかる選択マーカー遺伝子としては、前記と同様のものが挙げられるが、本発明のプラスミド(共発現型プラスミド)に含まれる選択マーカー遺伝子以外のものを用いることにより、共形質転換体の二重選別が可能となる。
【0035】
前記外来タンパク質発現ベクターとしては、得られた外来タンパク質のジスルフィド結合の正しい形成を行なう観点から、菌体のペリプラズムに分泌させるベクターであることが好ましく、かかるベクターとしては、例えば、目的とする外来タンパク質にOmpA、OmpT、MalE、β−ラクタマーゼなどのシグナルペプチドが付加されたポリペプチドをコードする遺伝子を有するベクターなどが挙げられる。前記ベクターは、例えば、前記シグナルペプチドをコードする遺伝子を遺伝子工学的に目的外来タンパク質をコードする遺伝子上のN末端に対応する箇所に付加し、得られた遺伝子を公知のベクターに組み込むことにより得ることができる。
【0036】
また、本発明の外来タンパク質発現ベクターにおいては、本発明の目的を妨げないものであれば、例えば、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質などのタンパク質との融合タンパク質としての発現;ヒスチジンタグなどを付加したタンパク質としての発現などに代表される目的外来タンパク質の精製を容易に行なうための手法を可能にする配列を含んでもよい。
【0037】
本発明に用いられる宿主としては、例えば、大腸菌が挙げられ、具体的には、HB101、JM109、MC4100、MG1655、W3110等の一般的に用いられる株、ならびにdegP変異株、ompT変異株、tsp変異株、lon変異株、clpPX変異株、hslV/U変異株、lonおよびclpPX二重変異株、lon、clpPXおよびhslV/U三重変異株等のプロテアーゼ変異株、plsX変異株、rpoH変異株(例えば、rpoH欠失変異株、rpoHミスセンス変異株など)等の変異株が挙げられる。
【0038】
本発明においては、外来タンパク質をより安定に発現させる観点から、lonおよびclpPX二重変異株またはlon、clpPXおよびhslV/U三重変異株のプロテアーゼ変異株、plsX変異株、rpoH変異株が好ましい。前記rpoH変異株のなかでは、外来タンパク質をより安定に発現させる観点から、rpoH欠失変異株が好ましい。
【0039】
ここで、lonおよびclpPX二重変異株としては、lon遺伝子およびclpPX遺伝子に二重欠失変異を導入したW3110株由来のKY2783株が好ましい。なお、前記KY2783株は、E.coli KY2783と命名・表示され、平成10年2月3日(原寄託日)より通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号:305−8566))に受託番号:FERM BP−6244として寄託されている。
【0040】
また、lon、clpPXおよびhslV/U三重変異株とは、前記lonおよびclpPX二重変異株において、さらにHslV/UプロテアーゼをコードするhslV/U遺伝子に変異を導入した変異株であり、lon遺伝子、clpPX遺伝子およびhslV/U遺伝子に三重欠失変異を導入したW3110株由来のKY2893株が好ましい。なお、前記KY2893は、E.coli KY2893と命名・表示され、平成10年2月3日(原寄託日)より通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号:305−8566))に受託番号:FERM BP−6243として寄託されている。
【0041】
本発明により、発現させる外来タンパク質としては、宿主内、特に大腸菌内で不安定化および/または不溶化する外来タンパク質であれば、いかなるタンパク質でもよい。かかる外来タンパク質の具体例としては、インターフェロン、インターロイキン、インターロイキン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、インスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、ニューロトロフィン、血管新生阻害因子、プロウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテインC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビター、リポコルチン、レプチン、免疫グロブリン、単鎖抗体、補体成分、血清アルブミン、スギ花粉抗原、低酸素誘導性ストレスタンパク質、プロテインキナーゼ、プロトオンコジーン産物、転写調節因子およびウイルス構成タンパク質が挙げられる。
【0042】
本発明のプラスミドを外来タンパク質発現ベクターと共に大腸菌に導入する方法としては、塩化カルシウム法、塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法等の通常の方法が用いられる。共形質転換体のスクリーニング法としては、選択マーカー遺伝子に応じた薬剤により行なうことができる。外来タンパク質の発現は、例えば、ウエスタンブロット解析等により確認することができる。
【0043】
本発明の外来タンパク質の製造方法は、前記共形質転換体を用いることを1つの大きな特徴とする。前記製造方法は、例えば、トリガーファクターの発現量、またはトリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれの発現量が、発現対象の外来タンパク質の安定化および/または可溶化に適した量となる誘導条件下に共形質転換体を培養し、菌体を集め、集めた菌体を破砕し、外来タンパク質に応じた精製方法に従って、該外来タンパク質を単離・精製することにより行なうことができる。
【0044】
前記誘導条件は、本発明のプラスミドおよび外来タンパク質発現ベクターに用いられた誘導可能なプロモーターにより異なるが、トリガーファクターの発現量、またはトリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれの発現量が外来タンパク質の可溶化に適した量となる条件であればよい。例えば、前記誘導条件は、以下のようにして決定することができる。
【0045】
まず、前記プロモーターの誘導物質を、種々の添加濃度、添加時期を変化させて添加する。外来タンパク質を発現させた菌体を集め、集めたそれぞれの菌体を破砕し抽出物を得る。得られたそれぞれの抽出物を、例えば、SDS−PAGEに供し、ついで、クマシーブリリアントブルー染色や銀染色などによりゲル中のタンパク質に由来するバンドを可視化する。可視化されたバンドのなかで、外来タンパク質に由来するバンドについて、デンシトメトリーなどでその濃度を測定することにより適切な誘導条件を調べることができる。
【0046】
共形質転換体の培養は、宿主として用いた細胞により異なるため、特に限定されないが、種々の培養時間、培養温度などを設定し、それぞれの培養条件下に発現した外来タンパク質の量を前記誘導条件の決定と同様に調べることにより決定することができる。
【0047】
外来タンパク質の分離精製方法は、例えば、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーに代表されるタンパク質の精製方法により行なうことができる。
【0048】
【実施例】
実施例1 pTf13の構築
トリガーファクターを含む小原クローンNo.148〔Kohara, Y. et al. (1987) Cell 50, 495-50〕から、tig遺伝子を含む約2.6kbの断片をXmnIおよびNruIを用いて切り出し、ついで得られたXmnI−NruI断片を平滑末端化し、tig遺伝子断片を得る。pAR3プラスミド〔Perez-Perez, J. & Guitierrez, J.,Gene 158, 141-142 (1995)〕をPstIで切断し、ついで得られた直鎖状のプラスミド断片を平滑末端化して、pAR3断片を得る。前記のようにして得られたtig遺伝子断片をpAR3断片に連結し、pTf13を構築した。
【0049】
実施例2 pG−Tf1の構築
前記小原クローンNo.148から、tig遺伝子を含む約2.5kbの断片をBsp12861IおよびNruIを用いて切り出し、ついで得られたBsp12861I−NruI断片を平滑末端化して、tig遺伝子断片を得る。pGro11プラスミド〔Nishihara, K. et al., Appl. Environ. Microbiol., 64, 1694-1699 (1998) 〕のgroEL遺伝子の下流をSmaIで切断したのち、前記平滑末端化されたtig遺伝子断片を連結し、pG−Tf1を得た。
【0050】
調製例1
マウスエンドスタチン発現のための共形質転換体の調製
pTf13またはpG−Tf1のそれぞれ(各50ng)とマウスエンドスタチンをコードするpTB01#8〔O'Reilly, M. S. et al., Cell, 88, 277-285 (1997); ハーバード大学子供病院Thomas Boehm博士、Judah Folkman 博士より入手〕(50ng)とを用いて、大腸菌BL21を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行なった。
【0051】
pTf13とpTB01#8を保持する共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。得られたトリガーファクターとマウスエンドスタチンとを共発現するクローンをNK365と命名した。
【0052】
pG−Tf1とpTB01#8を保持する共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。得られた得られたトリガーファクター、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチンとを共発現するクローンをNK364と命名した。
【0053】
比較例として、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチン、DnaK、DnaJおよびGrpEとマウスエンドスタチン、ならびにDnaK、DnaJ、GrpE、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチンとを共発現する共形質転換体をそれぞれ調製した。
【0054】
DnaK、DnaJ、GrpE、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチンとを共発現するクローンは、pG−KJE8とpTB01#8とを共形質転換し、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いて、スクリーニングすることにより得た。得られたクローンをNK363と命名した。
【0055】
前記pG−KJE8はpG−KJE6〔Nishihara, K. et al., Appl. Environ. Microbiol. 64, 1694-1699 (1998)〕のdnaK−dnaJ−grpE遺伝子の下流にrrnBT1T2ターミネーター配列を入れることにより、シャペロン発現調節をより厳密に行えるようにしたプラスミドで、下記のように調製した。まず、pKJE7のdnaK−dnaJ−grpE遺伝子の下流にあるKpnI部位を平滑末端化した後、pTrc99A(ファルマシア社)からXmnI部位で切り出したrrnBT1T2配列を挿入し、プラスミドpKJE9を得た。次いで、pKJE9をXmnI部位で切断して、pG−KJE6を調製した場合と同様にTetR−Pzt1p−groES−groEL断片を平滑末端で挿入した。TetR−Pzt1p−groES−groEL断片がpG−KJE6と同じ向きに入っているプラスミドを選択し、該プラスミドをpG−KJE8とした。
【0056】
試験例1 マウスエンドスタチンの発現
調製例1で得られた各共形質転換体を用いて、マウスエンドスタチンの発現を調べた。培養には、L培地(組成:1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、20μg/mlクロラムフェニコール、50μg/mlアンピシリン)を用いた。
【0057】
各共形質転換体は37℃で培養した。培養開始する際に、NK365の培地にはL−アラビノース(終濃度10mg/ml)を添加し、またNK364の培地にはテトラサイクリン(終濃度10ng/ml)を添加してシャペロンを発現誘導した。Klett Unit約60の時に培養液に10mM MgSO4 とλファージCE6(Novagen社)3×109 pfu/mlを加えてエンドスタチンの発現を誘導した。
【0058】
NK363の培養開始時に培地にテトラサイクリン(50ng/ml)を添加し、Klett Unit約60の時に前記と同様に10mM MgSO4 とλファージCE6を加えて、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチンの発現を誘導した。
【0059】
また、培養開始時にL−アラビノース(10mg/ml)を、Klett Unit約60の時にMgCl2 とλファージCE6をそれぞれ添加し、DnaK、DnaJ、GrpEとマウスエンドスタチンの発現を誘導した。
【0060】
さらに、培養開始時にL−アラビノース(10mg/ml)とテトラサイクリン(20ng/ml)を、Klett Unit約60の時にMgCl2 とλファージCE6をそれぞれ添加し、DnaK、DnaJ、GrpE、GroELおよびGroESとマウスエンドスタチンの発現を誘導した。
【0061】
エンドスタチンの発現誘導を2時間行なったのち、菌体を回収した。得られた菌体を超音波破砕し、ついで8200×gの遠心分離により可溶性画分と不溶性画分に分けた。それぞれの画分について、菌体タンパク質8μgに由来する量をSDS−PAGEに供した。なお、対照として、トリガーファクターを発現誘導しないNK365から得られた画分を用いた。結果を図3に示す。
【0062】
図3の左パネルに示すように、通常大腸菌内では不溶化しインクルージョンボディーとして発現するマウスエンドスタチンとGroELおよびGroESのみとの共発現した場合には、エンドスタチンは大部分が可溶性画分に検出されたが、不溶性画分にもマウスエンドスタチンが検出された。さらに、マウスエンドスタチンとDnaK、DnaJおよびGrpEまたはDnaK、DnaJ、GrpE、GroELおよびGroESとを共発現した場合にも、不溶性画分にマウスエンドスタチンが検出された。
【0063】
一方、図3の右パネルの結果より、マウスエンドスタチンとトリガーファクターまたはトリガーファクター、GroELおよびGroESとを共発現したどちらの場合も、発現したエンドスタチンは可溶性画分においてのみ検出され、不溶性画分には検出されなかった。また、トリガーファクターまたはトリガーファクター、GroELおよびGroESを共発現していない対照に比べ、可溶性画分が増加していることが観察された。
【0064】
以上のように、GroELおよびGroES、DnaK、DnaJおよびGrpE、ならびにDnaK、DnaJ、GrpE、GroELおよびGroESのそれぞれのシャペロンの共発現に比べ、トリガーファクターまたはトリガーファクター、GroELおよびGroESの共発現により、一層外来タンパク質の可溶化の効果が得られることが示された。
【0065】
調製例2
ヒトORP150発現のための共形質転換体の調製
実施例1もしくは2で得られたpTf13もしくはpG−Tf1、またはgroELおよびgroESを保持するプラスミドであるpGro11〔Nishihara, K. et al., Appl. Environ. Microbiol., 64, 1694-1699 (1998) 〕のそれぞれ(各50ng)とヒトORP150をコードするプラスミドpORP4(50ng)とを用いて、大腸菌JM109を形質転換した。なお、形質転換は塩化カルシウム法により行なった。
【0066】
pTf13とpORP4の共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。得られたクローンをNK360と命名した。
【0067】
pG−Tf1とpORP4の共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。得られたクローンをNK340と命名した。
【0068】
pGro11とpORP4の共形質転換体は、クロラムフェニコールおよびアンピシリンをそれぞれ20μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むプレートを用いてスクリーニングすることにより得た。得られたクローンをNK341と命名した。
【0069】
試験例2 ヒトORP150発現
調製例2で得られたNK360、NK340およびNK341を用いて、ヒトORP150の発現を調べた。培養には、L培地(組成:1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、20μg/mlクロラムフェニコール、50μg/mlアンピシリン)を用いた。
【0070】
各共形質転換体は37℃で培養した。NK340およびNK341は、Klett Unitが約40に達した時に、それぞれの培養液にテトラサイクリン(終濃度10ng/ml)とIPTG(終濃度1mM)を添加してシャペロンおよびORP150の発現を誘導した。NK360は、Klett Unitが約20に達した時にL−アラビノース(終濃度10mg/ml)を添加してトリガーファクターを発現誘導し、続いてKlett Unitが約40に達した時にIPTG(終濃度1mM)を添加してORP150の発現を誘導した。
【0071】
IPTG添加2時間後にそれぞれの菌体を回収した。得られた菌体を超音波破砕し、ついで8200×gの遠心分離により可溶性画分と不溶性画分に分けた。それぞれの画分について、菌体タンパク質8μgに由来する量をSDS−PAGEに供した。なお、対照として、シャペロン(GroEL、GroES)を発現誘導しないNK341から得られた画分を用いた。結果を図4に示す。
【0072】
図4の結果より、通常大腸菌内では不溶化しインクルージョンボディーとして発現するORP150は、GroELおよびGroESとの共発現あるいはトリガーファクターとの共発現により、発現したORP150の半分程度が可溶性タンパク質となり、GroEL、GroESおよびトリガーファクターとの共発現によりほぼすべてのORP150が可溶性タンパク質となることが示された。
【0073】
【発明の効果】
本発明の人工オペロンおよびプラスミドは、目的の外来遺伝子との共発現により、外来蛋白質を安定化した状態で、かつ可溶化した状態で発現することができるという優れた性質を発揮する。また、本発明の共形質転換体は、外来蛋白質を安定化した状態で、かつ可溶化した状態で発現することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の外来蛋白質の製造方法によれば、外来蛋白質を安定化した状態で、かつ可溶化した状態で発現することができるという優れた効果を奏する。本発明によれば、大腸菌における外来蛋白質の効率的な遺伝子工学的生産が可能となる。
【0074】
【配列表】
Figure 0004249832
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【0076】
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【0077】
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【0078】
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【0079】
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【0080】
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【0081】
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Figure 0004249832
Figure 0004249832

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、pTf13(約5.9kb)の概略構成図を示す。図中、araB p/oはaraBプロモーター/オペレーター、tigはトリガーファクターの構造遺伝子、pACYC oriはpACYC系プラスミドの複製開始起点、Cmrはクロラムフェニコール耐性遺伝子、araCはaraCアクチベーター/リプレッサーをそれぞれ示す。
【図2】図2は、pG−Tf1(約8.4kb)の概略構成図を示す。図中、Pzt−1pはPzt−1プロモーター、groESおよびgroELはGroESおよびGroELをコードする遺伝子、tigはトリガーファクターの構造遺伝子、tetRはtetRリプレッサー、Cmrはクロラムフェニコール耐性遺伝子、pACYC oriはpACYC系プラスミドの複製開始起点をそれぞれ示す。
【図3】図3は、共発現によるマウスエンドスタチンの可溶化の結果を示す図である。図中、Sは可溶性画分、Iは不溶性画分を示す。
【図4】図4は、共発現によるヒトORP150の可溶化の結果を示す図である。図中、Sは可溶性画分、Iは不溶性画分を示す。

Claims (13)

  1. Pzt−1プロモーターの制御下に、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれをコードする遺伝子を含有してなる人工オペロンであって、前記各遺伝子は、GroESをコードする遺伝子、GroELをコードする遺伝子、トリガーファクターをコードする遺伝子の順番で配置され、前記トリガーファクターをコードする遺伝子が、配列番号:2に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:2に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子であり、前記GroELをコードする遺伝子が、配列番号:5に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:5に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子であり、前記GroESをコードする遺伝子が、配列番号:6に示される塩基配列からなる遺伝子、または配列番号:6に示される塩基配列において、1乃至数個の塩基に置換、欠失、付加もしくは挿入の変異が導入された塩基配列からなる遺伝子である、人工オペロン
  2. 配列番号:7に示される塩基配列からなる、請求項1記載の人工オペロン。
  3. 請求項1又は2記載の人工オペロンを保持する、トリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれを発現しうるプラスミド。
  4. さらに、p15Aレプリコン、クロラムフェニコール耐性遺伝子、及びtetRリプレッサーを有する請求項3記載のプラスミド
  5. 請求項3又は4記載のプラスミドと外来タンパク質用の発現プラスミドとを保持する共形質転換体。
  6. 大腸菌のプロテアーゼ変異株を用いて得られる請求項記載の共形質転換体。
  7. プロテアーゼ変異株がlonおよびclpPX二重変異株、またはlon、clpPXおよびhslV/U三重変異株である、請求項記載の共形質転換体。
  8. 大腸菌のplsX変異株を用いて得られる、請求項記載の共形質転換体。
  9. 大腸菌のrpoH変異株を用いて得られる、請求項記載の共形質転換体。
  10. rpoH変異株がrpoH欠失変異株である、請求項記載の共形質転換体。
  11. 外来タンパク質が、インターフェロン、インターロイキン、インターロイキン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、インスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、ニューロトロフィン、血管新生阻害因子、プロウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテインC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビター、リポコルチン、レプチン、免疫グロブリン、単鎖抗体、補体成分、血清アルブミン、スギ花粉抗原、低酸素誘導性ストレスタンパク質、プロテインキナーゼ、プロトオンコジーン産物、転写調節因子およびウイルス構成タンパク質からなる群より選択された、請求項5〜10いずれか記載の共形質転換体。
  12. 請求項5〜11いずれか記載の共形質転換体を用いることを特徴とする、外来タンパク質の製造方法。
  13. トリガーファクターの発現量、またはトリガーファクター、GroELおよびGroESのそれぞれの発現量が外来タンパク質の可溶化に適した量となる誘導条件下に共形質転換体の培養を行なう、請求項12記載の製造方法。
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