JP4979774B2 - 一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法 - Google Patents

一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、老視における調節力不足を補うための加入度数を有する多焦点眼鏡レンズにおいて、屈折力が連続的に変化する一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法に関する。
累進屈折力レンズは老視用眼鏡レンズでありながら外見上は容易に老眼鏡と察知されない利点や、遠距離から近距離まで切れ目なく連続的に明視しうる利点などの理由から、一般に広く利用されている。しかしながら、限られたレンズ面積の中に境界線を介入させることなく、遠方を見るための視野と近方を見るための視野、更にはそれらの中間的な距離を見るための視野といった複数の視野を配置する都合から、各々の視野の広さが必ずしも充分ではないことや、主として側方の視野に像の歪みや揺れを感じさせる領域が存在するなど、累進屈折力レンズ特有の欠点があることも広く知られている。
これらの欠点を改善する多くの先行技術が提案されているが、それらの先行技術は、個々の処方度数や装用状態に応じて、より好適な平均度数分布や収差分布を与えるという設計技術に関するものが殆どであり、左右のレンズの組み合わせに着目し、左右眼の両眼視機能の改善を目的としたものは極めて少ない。
これらの先行技術では、個々の処方度数や装用状態に応じて設計がなされるため、左右の処方度数や装用状態が同じであれば、左右のレンズの設計は同一となる。ただし、近方視における視線の輻湊の方向は左右で逆となるため、より正確に表現すれば、両眼の中央を境として互いに鏡に写した様な設計(一般に鏡面対称と呼ばれる)としている。この平均度数分布や収差分布は各々の累進屈折力レンズ特有の「設計」として扱われるのが一般的である。
近年の設計技術の進歩により、主として視線とレンズ面とが直交しえないことに起因する非点収差の発生や度数の変化を、除去もしくは低減するための「補正作用」を加える設計方法が可能となった。これは光線追跡と呼ばれる光学設計技術を利用しており、一般に「透過設計」や「非球面設計」と呼ばれていて、装用者がレンズを実際に装用した状況において本来の光学的な機能を得るための設計方法である。この「補正作用」は原理的にレンズの外面、内面、両面のいずれの面にも施すことが可能であり、また、近年の加工技術の進歩により、必ずしも予め準備しておく半完成品に施しておく必要はなく、受注後に設計して加工することも可能となっている。
しかしながら、従来技術の「補正作用」の内容は主として強度度数や乱視度数に付随した収差の発生や度数の変化の除去や低減が目的であり、あくまで左右眼の個々の処方度数や装用状態に応じた設計がなされているに過ぎず、左右眼の処方度数の違いに対応してはいない。
左右の度数の異なる眼鏡の装用者についての不都合を改善するための従来技術の一つとして、古くからスラブオフと呼ばれる加工技術がある。これは主として、左右の近方視における上下方向のプリズム差を解消するために、レンズの遠用部領域と近用部領域の一方のみに、上下方向のプリズム作用を付けるための切除加工を施すものである。このスラブオフについて、一般に公開されているより詳細な資料として、「‘82 HOYAシニアレンズ製作度数範囲表(1987年2月1日より)P45」などがある。
この従来技術の欠点としては、切除加工を施されたレンズの遠近領域の境に、2種類の面が交わる境界線(面の折れ曲がりの稜線)が生じて目立つことや、その境界線を境にプリズム作用の急激な変化の結果として、イメージジャンプと呼ばれる像の跳躍が生じることなどがある。なお、累進屈折力レンズに対しても、このスラブオフを施すことは可能であるが、遠方領域と近方領域との間に水平方向の境界線が発生することは避けられず、「境界線を有しない」という通常の累進屈折力レンズの重要な長所が失われてしまう。
また、左右の遠用度数が異なる累進屈折力レンズに対し、このような境界線を発生させることなく、左右の近方視における上下方向のプリズム差を解消または低減するための方法が提案されている(特許文献1参照)。
この技術は、左右の累進帯における度数変化の仕方に違いを持たせることにより、左右の近用部のプリズム度数に違いを持たせようとするものである。例えば、同じ加入度数であっても、遠用部から近用部に至る累進帯の度数変化が、最初は緩やかで最後は急速に増加する場合と、逆に、最初は急激で最後は穏やかに増加する場合とでは、累進帯における平均的な付加屈折力が異なることになり、遠用部から一定距離だけ下方に離れた近用部の上下方向のプリズム作用に差が生ずる。このプリズム差と相殺させることにより、前述の左右の遠用度数差に起因する近用部の上下方向のプリズム差を減少させることができる。しかしながらこの方法では累進帯の途中における付加屈折力が左右で異なることから、中間視における両眼視に不都合が生ずるという問題がある。
これらの従来の技術に共通した考え方は、左右の遠用度数差に起因する左右のプリズム差自体を解消しようとしていることにある。しかしながら、境界線を発生させる前者のスラブオフの方法では、累進屈折力レンズにおいて極めて重要な「視野の連続性」が失われる。また、累進帯の度数を変えてしまう後者の特許文献1に記載の方法では、「視野の連続性」は維持されるが、累進帯を通して眺める中間視野が損なわれる。
一方、これらのプリズム差自体を解消するのではなく、プリズム差が引き起こす視線のずれによる悪影響を、レンズ上の収差や度数の分布を変えることで低減させようとする従来技術も存在する。
図21は左右異なる近用度数の累進屈折力レンズ11L、11Rにより、正面の例えば距離40cmの近方視標TNを左眼12L及び右眼12Rで見るときに生ずる水平方向のプリズム差と、それにより引き起こされる左右眼の視線の向きの変化を示した図である。ここで、図中における各記号の添字R、Lはそれぞれ右眼、左眼に対応しており、点OL、ORは眼球回旋中心点、点PL0、PR0は正面視の視線とレンズ外面との交点、点PL、PRは近方視の視線とレンズ外面との交点、HL、HRは正面視から近方視に至る眼球の輻湊作用に対応した変位量、破線矢印EL、ERは眼軸の方向、実線矢印VL、VRはレンズから視標TNの視線方向を表している。図21に示す例では、近方視の視線とレンズ外面との交点における左右のレンズ11L、11Rのプリズム作用の違いによって、眼軸方向と視線方向との差異が左右で異なっていることがわかる。
このような左右異なる近用度数の累進屈折力レンズで、正面の近方視標TNを見るとき、良好な両眼視を得るためには、レンズ上の視線の通過位置である視線とレンズとの交点における付加屈折力は相等しく、非点収差はゼロであることが望ましい。したがって、一般に「近用部の内寄せ量」と呼ばれる変位量を、近用度数(より詳しくは近用度数の水平方向成分)に対応して変えることは、良好な両眼視を得るために有効である。このような先行技術は「エルゴノミック・インセット」や「バリアブル・インセット」などの名称で呼ばれ、既に製品化されている。
また、例えば、遅くとも2001年には、フランスのBBGR社製において、製品名Evolisという累進屈折力レンズが上市されており、近視系老視に対しては少ない内寄せ量と短い累進帯の長さを、遠視系の老視に対しては多い内寄せ量と長い累進帯長を、そして正視系の老視に対してはそれらの中間的な量や長さになるように変化させている。
これらの設計手法は、「左右のプリズム差自体を低減するのではなく、それによる2次的な悪影響を低減させる」という意図をもって設計されている。
しかしながら、これらの先行技術は、近方視の際の視線の通過位置の変化について、極めて簡略な分類とその対応しかしておらず、充分な改良とはいえない。
例えば、前記「エルゴノミック・インセット」や「バリアブル・インセット」などの先行技術では、水平方向の位置ずれの対応しかしておらず、上下方向の位置ずれの対応はされていない。
また、前記Evolisでは、遠用度数を、近視、遠視、正視の3種類にしか分類していない。従って、左右の遠用度数にどんなに大きな差があろうとも、左右眼が同じ分類である場合には何の改善も施されないことになる。また仮に、左右の分類が異なっていたとしても、分類自体が3種類しかないのであるから、「近視と正視、正視と遠視、近視と遠視」の3種類の組み合わせだけの対応となり、左右の遠用度数の度数差に対応した改善とは言えない。
仮に、遠用度数を更に細かく分類し、その分類に応じて様々な内寄せ量や累進帯の長さの組み合わせを設定したとしても、片眼の遠用度数で片眼の設計が決定するという構成に変わりはない。即ち、もう一方の側の遠用度数との関連が考慮されない限り、両眼視に対応した累進屈折力レンズとは言えない。
しかも、これらの先行技術は、左右眼の近方視野の位置合わせのみであり、遠方視、側方視、近方視、中間視などの全ての累進屈折力レンズの視野領域についての両眼視野の改善を提案している従来技術はない。
また、累進屈折力レンズの掛け替えに伴う度数変化や素材の屈折率の変化に対応し、「以前のレンズ」と同じ姿勢で物を見ることができるようにした技術が提案されている(例えば特許文献2参照。)。しかしながらこの場合、発明の目的が単に眼鏡の掛け替えにおける、「以前のレンズ」との違和感を減らすことにあり、両眼視野の改善を目的としていない。
更に、一般的に度数差のある場合のレンズの左右の凸面側のカーブや厚みを揃えるなどの技術は知られているが、それらは前述の累進屈折力レンズの構成における遠方視、側方視、近方視、中間視などの全ての累進屈折力レンズの視野領域についての両眼視野の改善を開示する技術ではなく、両眼視のための平均度数分布及び非点収差分布の構成を提案しているものでもない。
特許第3788083号公報 特開2006−285200号公報
上述したように、従来技術において、左右の遠用度数の異なる累進屈折力レンズ眼鏡が装用者の両眼視機能に与える不都合を低減、もしくは解消する技術は提案されていない。
元来、両眼視機能とは脳を含めた視覚システムが有する同時視や立体視、融像などの高度な機能のことを意味し、眼鏡や眼鏡レンズが有している機能ではない。しかしながら、これらの同時視や立体視、融像などの機能は全て良好な両眼視を前提としており、両眼視を妨げるような眼鏡の使用が両眼視機能を損なわせる結果となるのは自明である。従って、両眼視を妨げることの少ない眼鏡を提供することにより、眼鏡装用者の視覚システムが有する本来の両眼視機能が充分に発揮されるようにすることができる。
以上の問題に鑑みて、本発明は、左右の遠用度数が異なる累進屈折力レンズを用いた眼鏡を装用して使用する際に、両眼視機能に与える不都合が低減された一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、遠用度数が左右で異なる一対の累進屈折力レンズを設計する方法であって、
前記一対の累進屈折力レンズのレンズ成分を、遠用度数と加入度数とが左右で等しい一対の累進屈折力レンズ成分と、左右異なる度数の一対の単焦点レンズ成分とに分け、
前記単焦点レンズ成分を有するレンズを装用して両眼視をする場合に、正面遠方から所定の方位角に向かって正面以外の遠方に視線を移すときの左右眼のレンズ上の視線移動距離の比率を算出し、
前記累進屈折力レンズ成分を有するレンズの片眼用又は両眼用のレンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布に対し、前記比率に応じた補正を加えることにより、
両眼視における左右の視線に対する平均度数及び非点収差の差において、前記左右の遠用度数差以外の収差の発生を抑制することを特徴とする。
また、本発明は、遠用度数が左右で異なる一対の累進屈折力レンズであって、
前記一対の累進屈折力レンズのレンズ成分を、遠用度数と加入度数とが左右で等しい一対の累進屈折力レンズ成分と、左右で度数の異なる一対の単焦点レンズ成分とに分けた場合に、前記単焦点レンズ成分を有するレンズを装用して、正面遠方から所定の方位角に向かって正面以外の遠方に視線を移すときの、前記レンズ上において算出される左右眼の視線移動距離の比率に応じて、前記累進屈折力レンズ成分を有するレンズの片眼用又は両眼用のレンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布が補正され、
両眼視における左右の視線に対する平均度数及び非点収差の差において、前記左右の遠用度数差以外の収差の発生を抑制することを特徴とする。
上述したように、本発明による一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法においては、左右各々の累進屈折力レンズのレンズ成分を、遠用度数と加入度数とが左右で等しい一対の累進屈折力レンズ成分と、左右で遠用度数の異なる一対の単焦点レンズ成分とに分け、累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び収差分布を、適切な比率だけ凝縮させたり分散させたりする設計上の変更を加えるものである。
そして、その比率の指標として左右の各累進屈折力レンズ上における視線の変位量の比率を用いる。基準度数のレンズを用いる場合は、この基準度数のレンズ上と左右の処方度数の累進屈折力レンズ上とにおける視線の変位量の比率を利用する。そしてこの比率に基づいて、各累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布を変更することによって、両眼の視線が通過するレンズ上の位置における光学的な状況、すなわち平均度数分布及び非点収差分布を相互に近づけることができる。これにより、装用者の両眼視機能が損なわれる度合いを低減することができる。
すなわち、本発明の一対の累進屈折力レンズの設計方法によれば、左右眼の処方度数に度数差のある患者に対して、累進屈折力レンズの眼鏡を調製する場合、その度数差に起因する両眼視機能に与える不都合が低減される一対の累進屈折力レンズの設計方法を提供することができる。
A及びBは左右の度数の異なるマイナス度数の累進屈折力レンズにおける右側方視での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるマイナス度数の累進屈折力レンズにおける左側方視での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるプラス度数の累進屈折力レンズにおける右側方視での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるプラス度数の累進屈折力レンズにおける左側方視での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるマイナス度数の累進屈折力レンズにおける上方の視野での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるマイナス度数の累進屈折力レンズにおける下方の視野での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるプラス度数の累進屈折力レンズにおける上方の視野での両眼視の変位の差を示す説明図である。 A及びBは左右の度数の異なるプラス度数の累進屈折力レンズにおける下方の視野での両眼視の変位の差を示す説明図である。 累進屈折力レンズの構成を示す側面図である。 本発明の実施例1の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例2の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例3の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例4の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例5の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例6の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 本発明の実施例7の累進屈折力レンズの遠用度数の強弱の相違を比率として円にたとえて示した説明図である。 A及びBは本発明の実施の形態に係る累進屈折力レンズにおける標準の非点収差分布及び平均度数分布を示す図である。 A及びBは本発明の実施の形態に係る累進屈折力レンズにおける拡大処理をした非点収差分布及び平均度数分布を示す図である。 A及びBは本発明の実施の形態に係る累進屈折力レンズにおける縮小処理をした非点収差分布及び平均度数分布を示す図である。 本発明の実施の形態に係る累進屈折力レンズの設計方法のフローチャートを示す図である。 従来の一対の累進屈折力レンズにおける近方視での両眼の視線の変位を示す説明図である。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
先ず、処方度数において左右の遠用度数が異なり、その処方に基づいて設計された一対の累進屈折力レンズを使用した眼鏡の装用者における両眼視機能の問題について、図面を用いて説明する。
図1〜図8は左右眼の遠用度数が異なっている累進眼鏡の装用者が、正面以外の方向を両眼で見ているときの眼軸方向Eと視線方向Vを示す図である。
図1〜図4は特に側方方向を両眼で見ているときの図であり、いずれも眼鏡装用者の頭上から眺めた図である。図5〜図8は特に上下方向を両眼で見ているときの図であり、いずれも眼鏡装用者の側面から眺めた図である。
各図共に、左右異なる遠用度数の累進屈折力レンズ1L、1Rにより、無限遠方を左眼2L及び右眼2Rで見るときに生ずる水平方向又は上下方向のプリズム差と、それにより引き起こされる左右眼の視線の向きの変化を示した図である。
なお、眼光学上厳密には眼軸と視線の向きはわずかに異なるが、実質的にその差異の影響は無視できる程度であるので、説明上、実質同一としてみなして取り扱っている。従って、眼軸と視線の向きの相違はレンズのプリズム作用によってのみ引き起こされるものとする。無論、前記差異を組み込むことが必要とされる場合にはそれを補正値として組み入れることにより対応できる。
図面に使用している符号及び記号の説明は次の通りである。
図1〜図8の各図において用いられている、記号の添字RはRightの略、LはLeftの略で、方向の表示及びレンズでは右眼、左眼を意味する。
また、図1〜図8の各図において用いられている、記号の添字AはA図(図1A〜図8A)、記号の添字BはB図(図1B〜図8B)に使用されている。
点OL、ORは眼球回旋中心点、点PL0、PR0は正面遠方を見ているときの視線とレンズ外面との交点、
点PLA、点PRA、点PLB、点PRBは正面以外(側方、上下、斜め)の遠方に眼を向けているときの視線及び眼軸とレンズ外面との交点、
符号HLA、符号HRA、符号HLB、符号HRBは、A、Bそれぞれの図における、左右のレンズ外面上での正面遠方視点と正面外遠方視点との水平方向の距離、
破線矢印で示す符号ELA、符号ERA、符号ELB、符号ERBはそれぞれ眼軸の方向、
実線矢印で示す符号VLA、符号VRA、符号VLB、符号VRBはそれぞれレンズ外面から前方への視線方向を表している。
なお、図1〜図8において、Aの図(図1A〜図8A)では左右の眼軸方向は平行の表示であるが、左右の視線方向は平行ではなく、Bの図(図1B〜図8B)では左右の視線方向は平行の表示であるが、左右の眼軸方向は平行ではない。
次に、図1〜図8の内容について説明する。
図1A及び図1Bは、左眼に比べて右眼の方がより強いマイナスの遠用度数である眼鏡の装用者が、右側方遠方を両眼で見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。
図1Aは、左右の度数差を考慮していない従来の累進設計の考え方における不都合や矛盾の説明図である。前述のごとく、従来技術の累進屈折力レンズでは、両眼の中央を境として互いに鏡に写した様な設計(一般に鏡面対称と呼ばれる)として近方視における輻湊作用に対応している。ところが遠方視においては輻湊作用が起きないため、左右眼の眼軸方向(ELA、ERA)は平行であり、遠方視における左右の視線のレンズ上での変位量(HLA、HRA)は等しいものと想定されている。しかしながら、これらは左右の遠用度数が等しい場合にのみ成立し、等しくない場合には下記のような不都合や矛盾が生ずる。
図1Aにおいて、左右眼の眼軸方向(ELA、ERA)は平行であり、その結果、左右レンズ上での変位量(HLA、HRA)もほぼ等しくなっているが、左右のレンズ度数の違いのためレンズ外面上での任意の点(点PLA、点PRA)におけるプリズム作用が異なっている。このため左右の視線方向VLAと視線方向VRAとは平行になりえず、右側方遠方にある視標を正しく両眼視することが出来ない。なぜならば、仮に左眼の視線方向VLAが正しく遠方の視標を捉えているとすると、これと平行ではない右眼の視線方向VRAが、遠方の視標を捉えることはありえないからである。
このようなとき、眼鏡装用者は無意識のうちに眼軸方向を補正し、左右の視線方向を正しく視標に向かわせることにより両眼視を可能にしているものと考えられる。
この状況を描いたのが図1Bであり、左右の視線方向VLBとVRBが平行となっている。即ち、従来図1Aのように誤って把握されていた両眼視における眼軸や視線の方向を、実態に合わせて描いたのが図1Bである。
図1Bで第1に問題となるのは、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ近寄っていることである。即ち、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)は、調節緊張を伴わない遠方視であるにもかかわらず輻湊を強いられていることがわかる。
次に、第2の問題は、図1Bにおいて左右のレンズ上でのそれぞれの変位量は、左眼の変位量のほうが右眼の変位量より大きくなっている(HLB>HRB)。即ち、遠方視であるにもかかわらず輻湊を強いられた結果、両眼の視線が通過するレンズ上の位置にずれが生じている。
前述のごとく図1Aにおける左右眼の変位量は等しい(HLA=HRA)ため、眼鏡装用者が無意識のうちに図1Bのごとく両眼の眼軸方向を補正していると仮定すると、HLB>HLA、HRB<HRAとなっているものと考えられる。
このようにレンズ上での左右眼の変位量が異なれば(HLB>HRB)、左右眼の視線が通るレンズ上での平均度数や非点収差が異なってしまう。
従って、累進屈折力レンズの左右の設計(平均度数分布及び非点収差分布)を従来技術のように鏡面対称とせずに異なる構成とし、上記の左右眼の視線が通るレンズ上での平均度数や非点収差を実質的に近似させることにより、両眼視の阻害要因を防ぐことが出来る。
図2A及び図2Bは、図1と同様の眼鏡の装用者が左側方遠方を見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。前述の図1Bとの相違点は、図2Bにおける両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ離れていることである。即ち、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)は、調節弛緩を伴わない遠方視であるにもかかわらず開散を強いられている。このことによる問題点の発生も、前述と同様である。
図3A及び図3Bは、左眼に比べて右眼の方がより強いプラスの遠用度数である眼鏡の装用者が、右側方遠方を両眼で見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。
装用者の眼鏡がマイナスの遠用度数ではなく、プラスの遠用度数である場合は全く逆の状況となる。前述の図1Bとの相違点は、図3Bにおいてレンズ上での左右眼の変位量の傾向が逆になっている(HLB<HRB)。その結果、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)は、調節弛緩を伴わない遠方視であるにもかかわらず開散を強いられている。
図4A及び図4Bは、眼鏡の装用者が左側方遠方を見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。前述の図1Bとの相違点は、図4Bにおいてレンズ上での左右眼の変位量の傾向が逆になっている(HLB<HRB)。その結果、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)は、調節緊張を伴わない遠方視であるにもかかわらず輻湊を強いられている。
このように、左右の遠用度数の異なる眼鏡の装用者が、左右の側方遠方を両眼視する場合には、調節緊張や調節弛緩を伴わない不自然な輻湊や開散を強いられるという不都合が起きている。また、これらの輻湊や開散は、左右眼の視線が通るレンズ上の位置を変えてしまうため、両眼に対する収差や度数の変化に差が生じ、両眼視の阻害要因となっている。
上記の問題は、視標が遠方にある場合であったが、視標が近方にあったとしても、基本的な違いはない。近方視の場合は生理的な輻湊作用が両眼に付加され、それに伴って両眼のプリズムや眼軸方向も変化するが、前述の遠方視における変化に加算されるだけであり、左右の度数差が両眼視の阻害要因となっているという基本的な状況に変わりはない。
またこのような不都合は、左右の遠用度数の異なる眼鏡の装用者が、左右の側方遠方を両眼視する場合に限られるものではなく、上下方向の両眼視においても同様の問題が起きている。なお、ここで言う「上下方向」とは、遠方ばかりではなく、近方の場合も同様である。近方視に付随して起きる視線や眼軸方向の変化は輻湊であり、上下方向には無関係である。
図5A及び図5Bは左眼に比べて右眼の方がより強いマイナスの遠用度数である眼鏡の装用者が、上方を両眼で見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図であり、いずれも眼鏡装用者の側面から眺めた図である。ここでは図面の作成の都合上、左眼と右眼の図を上下に配置して示す。これらの図における各記号の意味は図1A及び図1Bと同一である。前述の図1Bとの相違点は、図5Bにおける両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ上下に離れていることである。これは前述のごとく、遠方視ばかりではなく近方視においても同様であり、図5Bは眼鏡装用者の側面から眺めた図であるため、両眼の近方視の視線方向(VLB、VRB)は平行である。
即ち、このことによる問題点の発生も、本発明による課題の解決方法も、両眼の眼軸方向(ELB、ERB)のずれる方向が水平方向であるか上下方向であるかの違いだけである。
図6A及び図6Bは、眼鏡の装用者が下方を見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。前述の図1Bとの相違点は、図6Bにおける両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ上下に近付いていることである。
図7A及び図7Bは、左眼に比べて右眼の方がより強いプラスの遠用度数である眼鏡の装用者が、上方を両眼で見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図であり、いずれも眼鏡装用者の側面から眺めた図である。この装用者の眼鏡がマイナスの遠用度数ではなく、プラスの遠用度数である場合は全く逆の状況となる。前述の図1Bとの相違点は、図7Bにおける両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ上下に近付いていることである。
図8A及び図8Bは、眼鏡の装用者が下方を見ているときの眼軸方向と視線方向を示す図である。前述の図1Bとの相違点は、図8Bにおける両眼の眼軸方向(ELB、ERB)が、眼から遠ざかるにつれ上下に離れていることである。
このように、左右の遠用度数の異なる眼鏡の装用者が、上下方向を両眼視する場合には、両眼の視軸が上下方向に近付いたり離れたりするという、左右が同じ遠用度数ならば起きることがないことを強いられるという不都合が起きている。また、これらは、左右眼の視線が通るレンズ上の位置を変えてしまうため、左右眼の視線通過位置の平均度数や非点収差が変化する結果となり、両眼視の阻害要因となっていることがわかった。
本発明者らは、以上のような両眼視の眼生理学的な考察を重ね、これらの両眼視の阻害要因は、左右の遠用度数の異なる累進屈折力レンズを通して、遠方視、側方視、近方視、中間視など全ての方向を両眼視するとき、左右の遠用度数差に起因する左右の視線通過位置の変化を予測して、左右の遠用度数差と、左右眼の視線通過位置の平均度数や非点収差の変化量との差が減少するように、レンズ上の平均度数分布や非点収差分布を予め変えておくことによって、改善できるという結論に至った。
即ち、左右異なる遠用度数を有する一対の累進屈折力レンズの装用において、左右眼の視線通過位置の平均度数や非点収差が変化するということは、両眼視する方向によって左右の遠用度数差以外の余分な差異が発生するということになり、両眼視における阻害要因となる。従って、これらの余分な差異が完全に無くなることが理想であるが、従来より少なくなるだけでも両眼視における阻害要因が低減されたことになり、本発明の効果が発揮されたことになる。
また、本発明はレンズ上の度数や収差分布が一様ではない単焦点レンズを含む全ての眼鏡レンズに対しても適用でき、特に累進屈折力レンズに対して顕著なものとなることがわかった。眼鏡レンズの有効視野は眼鏡フレームの形状や装用状況においてもその影響を受けるので、本願発明の構成が、少なくとも眼鏡レンズ中央の直径30mm以内の領域において実施されれば、本発明の効果を発揮することが出来る。具体的には、遠用度数の差異と、両眼視における左右の視線に対する平均度数及び非点収差の差異との差を0.25ジオプター以内にすることが可能である。0.25ジオプターは、極めて特殊な場合を除き、当業者間で使用されている眼鏡レンズの度数表示の最小ピッチであり、両眼視を事実上妨げない両眼の度数差の限界として、十分に小さな値であると考えられる。
次に、両眼視機能を考慮した一対の累進屈折力レンズ及びその設計方法について、各実施の形態に沿って説明する。
[1]第1の実施の形態
先ず、本発明の第1の実施の形態として、遠用度数に乱視度数が含まれていない例として実施例1〜3について説明する。
表1は本発明の実施例1〜実施例3における左右の遠用度数と、その度数差が引き起こす視線の変位量の比を求めた結果を示す一覧表である。
表1の符号及び表記について説明する。なお、下記の符号は、眼鏡の装用者が実際に輻湊や開散などを強いられている状況を説明する図1B、図2B、・・・図8Bに示す符号を使用している。
符号DLは左用遠用度数(ジオプター)、符号DRは右用遠用度数(ジオプター)、符号DCは右でも左でもない第3の度数として基準度数(ジオプター)を意味し、ここでは左右の平均遠用度数(ジオプター)を用いている。符号OPは眼球回旋中心点からレンズ凸面の中心点までの距離(mm)である。
符号HLBは左眼変位量を意味し、左用のレンズ凸面中心点PLOから、正面以外の両眼遠方視をしているときの左眼の視線とレンズ凸面との交点PLBまでの距離(mm)のことであり、符号HRBは右眼変位量を意味し、右用のレンズ凸面中心点PROから、正面以外の両眼遠方視をしているときの右眼の視線とレンズ凸面との交点PRBまでの距離(mm)のことである。符号HCは基準変位量を意味し、基準度数を有するレンズの凸面中心点から、正面以外の両眼遠方視をしているときの左眼又は右眼の視線とレンズ凸面との交点までの距離(mm)のことである。なお、ここで言う「レンズ凸面中心点」とは、正面遠方視をしている視線とレンズ凸面との交点のことであり、レンズの光学中心点でもある。
式HLB/HRBは右眼変位量に対する左眼変位量の比率(左眼用直接調整比率)であり、式HRB/HLBは左眼変位量に対する右眼変位量の比率(右眼用直接調整比率)であり、式HLB/HCは基準変位量に対する左眼変位量の比率(左眼用調整比率)であり、式HRB/HCは基準変位量に対する右眼変位量の比率(右眼用調整比率)である。
ここで、左眼変位量HLB、右眼変位量HRB、基準変位量HCについては、いずれも正面遠方視から、正面以外の任意の方向の両眼遠方視をしているときのレンズ上の視線の移動量を表しているため、特定の値にはならないが、それらの相互の比率については表1の左用遠用度数DL、右用遠用度数DR、基準度数DC、眼球回旋中心点からレンズ凸面の中心点までの距離OPを用いて算出することが出来る。
上述したように第1の実施の形態においては、累進屈折力レンズに遠用度数に乱視度数が含まれず、球面度数であるため、前記4種類の調整比率は方向性を持たず、全ての方位角に対してそれぞれ固有の値となる。このため、任意の方向における左眼変位量HLB、右眼変位量HRB、基準変位量HCの相互の比率をそれぞれの調整比率とすればよい。
表1において、眼球回旋中心点とレンズ凸面中心点との距離は、近視眼の方が長く遠視眼の方が短い場合の多いことが一般に知られているが、ここでは説明を簡単にするために左右でほぼ同一とみなし取り扱っている。したがって、左眼の眼球回旋中心点OLから左レンズ凸面の中心点PL0と、右眼の眼球回旋中心点ORから右レンズ凸面の中心点PR0とを同一と仮定し、眼球回旋中心点からレンズ凸面の中心点までの距離OPとして示している。なお、左右のレンズの凸面中心点の高さが異なる場合、この距離は異なった値となる。本明細書では、これは後述する乱視の場合の第2の実施の態様に記載の表2においても同様の扱いとしている。
また、基準度数DCを有する基準レンズは、前述のごとく右でも左でもない第3の度数(基準度数)のレンズであり、後述するように左右のレンズの設計を変更する上での基準となる仮想的なレンズを意味している。
Figure 0004979774

(1)実施例1
表1に示すように、実施例1は左眼に比べて右眼の方がより強いマイナス度数の遠用度数を持つ累進屈折力レンズである。
図1Bは、実施例1の一対の累進屈折力レンズの装用者が遠方の右方向の側方を両眼視しているときの様子を、装用者の頭上から眺めた図である。
それについては、前述のとおりで、遠方を見ている装用者は、調節緊張を伴わないのにもかかわらず輻湊を強いられている状態を示している。
ここで、従来技術の累進屈折力レンズの設計(平均度数分布及び非点収差分布)に加える本発明の補正において必要となる「調整比率」の算出方法を説明する。
例として図1Bにおける左眼変位量HLBと右眼変位量HRBとの関係式を求め、それらの相互の比率を「調整比率」とする方法を示す。
まず、図1Bの左右のレンズ上の点(点PLB、点PRB)におけるそれぞれのプリズム屈折力(PrismL、PrismR)を、
プランティスの公式
P=H*D/10
(P:プリズム屈折力(プリズムジオプター)、H:光学中心点からの変位量(mm)、D:レンズの度数(D))を使って求めると、
PrismL=HLB×DL/10 (プリズムジオプター)
PrismR=HRB×DR/10 (プリズムジオプター)
となる。
各々のプリズム屈折力による視線のふれ角の勾配は、プリズム屈折力の定義(1m離れた位置でPrism[cm]ふれる)から、各々のプリズム屈折力の1/100に等しいことになる。
また、図1Bから明らかなように、左右のレンズ上の視線通過点(点PLB、点PRB)におけるプリズム屈折力(PrismL、PrismR)によるふれ角は、左眼の場合は、左眼軸方向ELBと左視線方向VLBとのなす角に等しい。右眼も同様である。
さらに、左右の眼軸方向(ELB、ERB)の勾配は、眼球回旋中心点からレンズ(凸面)の光学中心点(PL0、PR0)までの距離OPを用いて表わすと、左眼では左眼変位量を前記距離で割ったもの(HLB/OP)、右眼では右眼変位量を前記距離で割ったもの(HRB/OP)となる。
以上のことから、左視線方向VLBの勾配と右視線方向VLBの勾配は以下の通りとなる。
左視線方向VLBの勾配=左眼軸方向ELBの勾配+左眼軸方向ELBと左視線方向VLBのなす角の勾配=HLB/OP−HLB×DL/1000・・・(a)
右視線方向VRBの勾配=右眼軸方向ERBの勾配+右眼軸方向ERBと右視線方向VLBのなす角の勾配=HRB/OP−HRB×DR/1000・・・(b)
そして、左視線方向VLBと右視線方向VRBが平行であることから、上記式(a)=式(b)より、
HLB(1/OP−DL/1000)=HRB(1/OP−DR/1000)
となり、
右眼変位量に対する左眼変位量の比率(左眼用直接調整比率)は、
HLB/HRB=(1/OP−DR/1000)/(1/OP−DL/1000)
=(1000−OP×DR)/(1000−OP×DL)・・・(1)
及び
左眼変位量に対する右眼変位量の比率(右眼用直接調整比率)は、
HRB/HLB=(1/OP−DL/1000)/(1/OP−DR/1000)
=(1000−OP×DL)/(1000−OP×DR)・・・(2)
となる。
この式(1)及び(2)から、左眼用直接調整比率の比率HLB/HRB、右眼用直接調整比率HRB/HLBを求めることができる。
この式(1)及び式(2)を使用して算出した事例が、実施例1〜実施例3で、表1に示すように、例えば、実施例1では、左眼用直接調整比率HLB/HRBは、108.3%、右眼用直接調整比率HRB/HLBは、92.4%と算出される。
これは、設計上の両眼視機能の調整方法として、左眼、右眼のどちらかのレンズに一方のレンズを合わせる、片眼レンズの調整方法に有効的に使用できる。
また、効き目等の例においても使用でき、さらにこれを基礎データとして他の条件データを加える場合にも有用である。
例えば、片方の眼が強い「効き目」であったり、両眼の視力に大きな差があったりすれば、左右の眼軸方向の補正量に差が生ずると考えられる。例えば右眼が強い「効き目」であったり、右眼の視力が左眼より大幅に良好であったりすれば、眼軸方向の補正量は左眼より右眼の方が少ないであろう。そのような特別な場合を除き、通常は両眼が互いに歩み寄るように補正されると考えられる。本明細書では説明を簡単にするために両眼の補正量は等しいものとしているが、無論、本発明はそれに限定されるものではない。
なお、遠方の正面視ではレンズの度数に係わらず左右の視線に対してプリズム作用が発生しないので、両眼視を妨げる要素自体が存在しない。
次に、両眼の視線が通過する左右のレンズ上の視線通過点(点PLB、点PRB)における光学的な状況、特に本実施例では平均度数分布と非点収差分布を合わせる点について説明する。ただし、左右の遠用度数は処方値として異なるので、その度数差は維持しなければならない。
そのレンズ設計における具体的な方法について説明する。
本実施例では、図9に示すように、一枚の累進屈折力レンズL1を、この累進屈折力レンズL1の遠用度数をゼロとした上平累進屈折力レンズより成るレンズL2と、累進屈折力レンズL1の遠用度数を有する単焦点レンズより成るレンズL3との重ね合わせと仮定したとき、左右の上平累進屈折力レンズ成分(要素)、すなわち図9の上平累進屈折力レンズとするレンズL2のレンズ成分(要素)の、左右レンズ上での点(PLB、PRB)における平均度数分布や非点収差分布を調整する。
しかしながら、本発明の形態は図9のレンズL2の遠用度数がゼロである上平累進屈折力レンズだけに限定されるものではない。例えば、前記レンズL2の遠用度数として左右の遠用度数の平均度数や基準度数を採用することも可能である。この場合の利点は、例えば強度度数の一対の累進屈折力レンズに本発明を適用する場合に顕著である。それは本発明の一つのステップである前記レンズL2のレンズ成分(要素)の設計において、強度度数において問題となることが多い、視線とレンズ面とが直交しえないことに起因する各種の収差発生を低減するための、非球面要素を加えた設計が行えるからである。この場合、前記レンズL3に相当する単焦点レンズの度数の絶対値は、前記レンズL2の遠用度数をゼロとしたときよりも小さくなり、レンズL2とレンズL3の重ね合わせによる光学上の誤差を最小限にすることが可能となる。
なお、ここでは非点収差の分布の用語は非点収差の軸方向の分布も含む意味で使用している。
例えば図1Bにおいて、左右の累進屈折力レンズ(1L、1R)の加入度数が等しく遠用度数が異なっているとすると、これらのレンズが従来の設計の累進屈折力レンズであった場合は、左右の上平累進屈折力レンズ成分(図9におけるレンズL2に相当)は、互いに鏡に映したような鏡面対象の設計(平均度数分布や非点収差分布)をしていると考えることが出来る。ところが、左右の遠用度数を有する単焦点レンズ成分(図9におけるレンズL3に相当)が異なるのであるから、前述したような理由により、図1Bにおける左眼変位量HLBと右眼変位量HRBとが異なってしまう。その結果、両眼の視線通過点(点PLB、点PRB)における平均度数や非点収差が異なることとなって良好な両眼視が妨げられる。
この不都合を改善するためには、両眼の視線通過点(点PLB、点PRB)における平均度数や非点収差が等しくなるように、左右の上平累進屈折力レンズ成分(図9におけるレンズL2に相当)のいずれか若しくは両方の設計に変更を加えれば達成できる。
仮に図1Bのように左眼変位量HLBが右眼変位量HRBより大きい場合で、左レンズの設計のみを変更する場合、左の上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布や非点収差分布を、左眼用直接調整比率(HLB/HRB)だけレンズ全体に分散(又は拡大)させれば良いことになる。この場合の分散とは、平均度数の等高線及び非点収差の等高線の形状が相似形状を維持しつつ拡大するような変化の意味で使用している。
逆に、右レンズの設計のみを変更する場合は、この比率が逆数となり、右の上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布や非点収差分布を、右眼用直接調整比率(HRB/HLB)だけ凝縮(又は縮小)させれば良いことになる。この場合の凝縮とは、前記分散と逆の表現で、平均度数の等高線及び非点収差の等高線の形状が相似形状を維持しつつ縮小するような変化の意味として使用している。
即ち本発明においては、左右各々の上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布を、適切な比率を使用して補正する設計上の変更を加えることにより、左右の遠用度数の異なる累進屈折力レンズの装用者が上下左右のあらゆる方向を両眼視する上で、両眼の視線に対する左右の上平累進屈折力レンズ分の非点収差やその軸方向、平均度数などの分布を、遠用度数の差は保ったままで、一致させる方向に変化させる方法を用いているため、左右の遠用度数差以外の余分な差異が発生することを抑えている。
ここで、図1Bにおける左右レンズ上での点の位置(PLB、PRB)の違いは、そのままそれぞれの左右眼の変位量(HLB、HRB)の大きさの違いを意味する。
したがって、例えば、右眼用の累進屈折力レンズには変更を加えず、左眼用の累進屈折力レンズのみを変更する場合、右眼用の累進屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布に対し、左眼用の累進屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布を、変換比率(実施例1では表1の左眼用直接調整比率HLB/HRBの108.3%)を使用して相似形状を維持しつつ、拡大させれば、左右の上平累進屈折力レンズ分の位置(PL、PR)における非点収差やその軸方向、平均度数などが同じとなり、両眼の視線に対する光学的な状況が一致するので、本発明の目的が達成できる。
逆に、左眼用の累進屈折力レンズには変更を加えず、右眼用の累進屈折力レンズのみを変更する場合、左眼用累進屈折力レンズを基準として、右眼用累進屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布を、変換比率(実施例1では表1の右眼用直接調整比率HRB/HLBの92.4%)を使用して相似形状を維持しつつ、縮小させれば良いことになる。
しかしながら、片眼のレンズのみを大きく変更するよりも、両眼のレンズを少しずつ変更した方が、両眼のバランスをとる意味で、より自然であり有利であると考えられる。また、従来技術による累進屈折力レンズから本発明の累進屈折力レンズに掛け変えるような場合においても、片眼のレンズのみを大きく変更するよりも、両眼のレンズを少しずつ変更してある方が、掛け変えに伴う初期の違和感が少ないと考えられる。
このように両眼のレンズを少しずつ変更するとは、左右の累進屈折力レンズの設計に対し、互いに近づくような逆方向の補正を加えることを意味する。即ち、これまで片眼のレンズのみを変更する場合の基準遠用度数は他眼の遠用度数であった。従って、左右の遠用度数の間に位置する度数を、左右共通の基準遠用度数とすれば、左右の累進屈折力レンズの設計に対し、基準遠用度数を基準として互いに近づくような逆方向の補正を加えることが出来る。なお、ここで言う「左右の遠用度数の間に位置する度数」とは必ずしも左右の平均度数とは限らず、効き目のある側、より強度な度数の側、乱視度数のある側、などの様々なファクターにより左右いずれかの度数に近い基準遠用度数を採用することも可能である。最も極端な例として、左右いずれかの度数を基準遠用度数とした場合が、前述の片眼のレンズのみを変更する場合に相当する。
これらを具体的に示したものが上記表1の基準遠用度数DCであり、それに対応した左右レンズの光学中心点(PL0、PR0)からの変位量が基準変位量HCである。
なお、ここでは点(PL0、PR0)を光学中心点としたが、肉厚を減らすこと等を目的とした、プリズムシニングと呼ばれる左右同量・同方向のプリズムが付いていても本発明は実施可能である。その場合の前記点(PL0、PR0)は光学中心点ではなくプリズム測定基準点となる。
基準遠用度数DCは、左右の遠用度数(DL、DR)との間にある第3の度数であり、上記表1では左右の遠用度数の平均の度数を採用している。
そして、右眼用の累進屈折力レンズも左眼用の累進屈折力レンズも、この基準遠用度数DCの遠用度数を有する仮想的な累進屈折力レンズ(第3の累進屈折力レンズ)を想定して、その光学性能に合わせる設計変更(平均度数分布及び非点収差分布の変更)を加えれば、本発明の両眼視機能を考慮した一対の累進屈折力レンズができる。
但し、前記基準遠用度数を有する仮想の累進屈折力レンズは、必ずしも実際に累進屈折力レンズとして設計する必要はなく、単に表1に示した左眼用調整比率や右眼用調整比率を求めるために、遠用度数をファクターとして用いるだけでも、本願発明を実現することが出来る。
この基準変位量HCと前記左眼変位量HLB、右眼変位量HRBとの比率は、前記左眼用直接調整比率HLB/HRBや右眼用直接調整比率HRB/HLBなどの場合と同様に、
基準変位量に対する左眼変位量の比率(左眼用調整比率):
HLB/HC=(1/OP−DC/1000)/(1/OP−DL/1000)
=(1000−OP×DC)/(1000−OP×DL)・・・(3)
及び
基準変位量に対する右眼変位量の比率(右眼用調整比率):
HRB/HC=(1/OP−DC/1000)/(1/OP−DR/1000)
=(1000−OP×DC)/(1000−OP×DR)・・・(4)
で表される。
この式(3)及び(4)から左眼用調整比率HLB/HC、右眼用調整比率HRB/HCを求めることができる。
その実施例は、表1中に示す通りで、それぞれ、左眼用調整比率HLB/HCは、104.1%、右眼用調整比率HRB/HCは、96.2%となる。
次に、基準度数DCの累進屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布を、変換比率(実施例1では表1のHLB/HCの比率104.1%)を使用して、相似形状的に拡大させて、左眼用累屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布とし、更に左眼用遠用度数DL成分の単焦点レンズを重ねて(光学的に加算して)実施例1の左眼用累進屈折力レンズとする。
同様に、基準度数DCの累進屈折力レンズの上平累進屈折力レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布を、変換比率(実施例1では表1のHRB/HCの比率96.2%)を使用して、相似形状的に縮小させて、右眼用累進屈折力レンズの上平累進屈折成分レンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布とし、更に右眼用遠用度数成分の単焦点レンズを重ねて(光学的に加算して)実施例1の右眼用累進屈折力レンズとする。
このように、左右の眼に対応する累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布を変更する場合は、前述した片眼のみの累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布を変更する場合の大きな変化を両眼で分け合うこととなる。したがって、それぞれの左右眼においてはより少ない変化でよいことになる。
図10は、相似的な形状の拡大や縮小を説明する手段として、レンズ度数の強弱を比率として3つの円にたとえて示した説明図である。
実施例1における左右のレンズの度数(DL1、DR1)と基準度数DC1の度数の大きさを表わし、マイナス度数が強いほど小さな円としてある。これらの円の大小を比べたとき、左眼レンズ円比率(DL1/DC1)は1より大きくて拡大を表し、右眼レンズ円比率(DR1/DC1)は1より小さくして縮小を表している。
なお、この実施例1の相似的な形状の拡大や縮小の設計変更(平均度数分布及び非点収差分布の変更)の具体的方法を以下に説明する。
最も単純な第1の方法は、処方度数(あるいは必要に応じて装用状態)から累進屈折力レンズの設計仕様に基づき従来技術にて設計する場合の、長さや幅に関する全てのパラメータ(累進帯の起点位置や終点位置、遠近度数測定位置、近方領域の幅など)のXY座標値(レンズ面に向かって、左右方向と上下方向の座標値。設計中心が原点)に、前記の調整比率を乗じて得られる新たな座標値に基づくパラメータを用いて設計することである。なお、この場合のパラメータは可変パラメータばかりではなく、通常は固定値となっている固定パラメータも含まれる。このように、長さや幅に関する全てのパラメータを拡大・縮小することにより、設計結果である平均度数や非点収差の分布も同率で拡大・縮小される。これにより、その調整比率に応じた平均度数分布や非点収差分布を有する累進面(若しくは累進の要素を有した非球面)が得られる。
また、長さや幅に関する設計パラメータの変更を伴わない、下記の第2の方法を用いても設計と補正を行うことが出来る。
第2の方法では、先ず処方度数(あるいは必要に応じて装用状態)から累進屈折力レンズの設計仕様に基づき従来技術にて設計する場合の、レンズの基準カーブ(ベースカーブ)と加入度数(又は加入度数の要素)に、左右別々に設定された前記の調整比率を掛けたレンズの基準カーブ(ベースカーブ)と加入度数(又は加入度数の要素)を用いた累進面(又は累進要素を有した面)を設計する。この設計は必要に応じてレンズの凸面側、凹面側、又は両方について実行される。
この累進面(又は累進要素を有した面)は、(x、y、z)の3次元方向の座標値データとして算出される。そしてこの座標値(x、y、z)の各々の値に、前記の調整比率を掛け合わせることで得られる座標値で表された累進面(又は累進要素を有した面)が、本件発明における目的の設計面となる。
通常、使用する座標点は、片眼レンズで少なくとも8000点以上である。
なお、近方視における輻湊作用に対応した内寄せ処理は、前記第1の方法及び第2の方法において、従来技術による設計ステップの中で行われる。
即ち、本件発明の技術は左右の遠用度数差が原因となって引き起こされる不都合の改善に効果があるのであって、近方視のための内寄せ処理の機能は含まれていない。
しかしながら、例えば前記第2の方法による内寄せ処理が、基準度数などの左右相等しい遠用度数において行われるため、従来設計を終えた段階での左右の内寄せ量は等しくなる。
その後に左右それぞれの調整比率による分散・凝縮が加えられ、しかる後に左右の度数差に相当する単焦点レンズ成分が加算されるため、最終的には左右異なった内寄せ量に補正され、左右の度数差に対応した近方視が可能となる。
ここに記載した第2の方法の基本的な考え方は、設計面全体の拡大・縮小である。例えば、ある第1の設計面の3次元座標値データ(x、y、z)の全てをH倍して得られる3次元座標値データ(Hx、Hy、Hz)の第2の設計面は、第1の設計面を空間的にH倍した設計面であるから、平均度数分布や非点収差分布もまたH倍されていると考えることが出来る。ここでHが1(又は100%)より大きければ拡大(分散)、小さければ縮小(凝縮)である。
ただし、この方法だけでは設計面の基準カーブ(ベースカーブ)の曲率半径までH倍(曲率やカーブでは1/H倍)に変化してしまうので不都合である。この不都合を防ぐためには、設計する設計面の基準カーブ(ベースカーブ)を、あらかじめH倍(曲率半径では1/H倍)して設計しておけば、前記の3次元座標値データ(x、y、z)の全てをH倍した段階で当初の基準カーブ(ベースカーブ)に戻ることになる。加入度数(又は加入度数の要素)も同様であり、遠近の度数測定位置における曲率半径がH倍されてカーブ差が1/Hとなってしまうことを防ぐために、あらかじめH倍しておくのである。
これにより、収差及び平均度数分布は変更しても、ベースカーブや加入度数(又は加入度数の要素)の値には変化がなく、処方度数は保持される。
なお、「累進要素を有した面」、「加入度数の要素」といった用語は、後述する両面複合累進屈折力レンズを設計する際に用いる設計要素の名称である。
以上説明した設計手法を採用することによって、上述した図1〜図8のB図(図1B〜図8B)に示す各状態においてそれぞれ、左右の上平累進屈折力レンズ分の点(PLB、PRB)における非点収差やその軸方向、平均度数などが同じとなり、両眼の視線に対する光学的な状況を一致させることができる。
なお、上記の拡大、縮小の設計処理に伴い設計面の3次元座標データの領域が広くなったり狭くなったりするが、所定のレンズ外径を製造する上で必要となるデータ領域を満たさねばならなので、特に縮小の設計処理を行う場合、予め広めのデータ領域を設定する必要がある。
以下の説明において「分散又は凝縮を行う」とは、このようなベースカーブと加入度数(又は加入度数の要素)に予め分散又は凝縮の比率を掛け合わせておく演算も含まれることを意味する。
また、累進屈折力レンズの設計において通常用いられる光学収差を改善するための光線追跡法を使用した最適化計算処理や更に装用状態を考慮した収束計算等の設計手法を本件発明と組み合わせて設計することは、精度の向上や設計の完成度を増すことになり、有効な手段である。
すなわち、上記のように本実施例1における累進屈折力レンズの設計変更(平均度数分布及び非点収差分布の変更)は、先ず上平累進屈折力レンズ分について相似的形状での拡大や縮小などの方法で行い、その後で遠用度数分の単焦点レンズを光学的に加算するとしたが、最終的なレンズ形状を決定する際には、レンズと眼との距離や角度の3次元的な位置関係、更には対物距離(眼から視標までの距離)などの装用状態を考慮した厳密な光線追跡を行い、本発明の目的における誤差を把握した上でその誤差を打ち消すための再計算(再設計)を繰り返すという、いわゆる収束計算によって精度を向上させることも可能である。
(2)実施例2
実施例2は実施例1と同様な設計手法を用いた例で、左眼に比べて右眼の方がより強いマイナス度数の累進屈折力レンズである。
(3)実施例3
実施例3も前記実施例1と同様な設計手法を用いた例で、左眼に比べて、右眼の方がより強いプラス度数の累進屈折力レンズである。
図11及び図12は、図10と同様にレンズ度数の強弱を比率として3つの円にたとえて示した説明図であり、左のレンズの度数をそれぞれ円DL2、DL3、右のレンズの度数を円DR2、DR3、また基準度数を円DC2、DC3でそれぞれ表す。
実施例1と同様に、実施例2、実施例3ともに前記式(1)〜(4)より求めた前記左眼用直接調整比率HLB/HRB、前記右眼用直接調整比率HRB/HLB、前記左眼用調整比率HLB/HC、前記右眼用調整比率HRB/HCを実施例1と並列して、表1中に設計データを示している。
拡大、縮小の比率が異なるのみで基本的設計手法は実施例1と同様であるので説明は省略する。
なお、表1からわかるように、実施例1における左用遠用度数と実施例2における右用遠用度数は−3.00[D]と同じ値であるが、当然のことながら、実施例1における左眼用直接調整比率や左眼用調整比率の値と、実施例2における右眼用直接調整比率や右眼用調整比率の値とは異なっている。これは、他方の眼の遠用度数が実施例1では−6.00[D]、実施例2では−1.00[D]と異なっていることによることはいうまでもない。
つまり、例えば左右の遠用度数が同じ−3.00[D]である一対の累進屈折力レンズと比べると、その他の加入度数等の条件が同じであっても、本発明の設計方法を適用する場合、一方の眼のみが−3.00[D]であるレンズの平均度数分布や非点収差分布は、上記左右の遠用度数が同じ累進屈折力レンズの平均度数分布や非点収差分布とは異なったものとなることがわかる。
[2]第2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態として、遠用度数に乱視度数が含まれている場合について説明する。
表2は本発明の設計方法に基づいて実施された実施例4〜実施例7に関するレンズデータを示す一覧表である。実施例1〜実施例3との最も大きな違いは遠用度数に乱視度数と乱視軸方向の情報が含まれていることである。
表2において表す記号について説明する。
DL−Sphは左用遠用球面度数(ジオプター)、DL−Cylは左用遠用乱視度数(ジオプター)、DL−AXは左用遠用乱視軸方向(°)であり、左用遠用度数DL−で表示したレンズをDLレンズとする。そして、これに対応する右眼レンズは、上記Lの表記をRに変更した表記として使用しており、右用遠用度数DR−で表示したレンズをDRレンズとする。
DC−Sphは基準度数(ここでは左右平均度数)の遠用球面度数(ジオプター)、DC−Cylは基準度数(ここでは左右平均度数)の遠用乱視度数(ジオプター)、DC−AXは基準度数(左右平均度数)の遠用乱視軸方向(°)である。
EL−Sphは後述するELレンズ(左用差分レンズとする)の遠用球面度数(ジオプター)、EL−CylはELレンズの遠用乱視度数(ジオプター)、EL−AXはELレンズの遠用乱視軸方向(°)である。
これらに対応する右眼用のレンズや表記も同様である。
OPは眼球回旋中心点からレンズ凸面の中心点までの距離(mm)を表す。
DC−で表示するレンズは、第1の実施の形態において説明した基準度数のレンズ(DCレンズ)に相当し、前述のごとく右でも左でもない第3の度数(基準度数)のレンズであって、後述するように左右のレンズの設計を変更する上での基準となる仮想的なレンズである。また、第1の実施の形態におけるDCレンズとの違いは乱視度数と乱視軸方向の情報が含まれていることである。
基準度数のDCレンズの説明において、基準度数として選択した「左右平均度数」とは、左眼DLレンズと右眼DRレンズとを重ね合わせて得られる合成度数の1/2のレンズ度数のことであり、左右の球面度数同士や乱視度数同士の相加平均値ではない。
前記ELレンズは、左眼DLレンズから基準度数DCレンズを光学的に減じた差分となる仮想的な左用差分レンズである。同様に、右眼DRレンズから基準度数DCレンズを光学的に減じた差分となる仮想的な右用差分レンズとしてERレンズを定義する。
なお、乱視度数を含む2枚のレンズの合成度数の算出方法は、例えば「光学技術ハンドブック(1968年(株)朝倉書店発行)」の800頁〜802頁に記載されている。この合成度数の1/2のレンズ度数は、合成度数の乱視軸方向は変更せずに球面度数と乱視度数の値を1/2とすれば得られる。また、2枚のレンズの偏差は、減ぜられようとするレンズに、減じようとするレンズの球面度数と乱視度数の符号を逆符号(プラスはマイナスに、マイナスはプラスに)とし、乱視軸方向は変更せずに加算(合成)すれば得られる。
また、HLELb及びHLELcは第1の実施の形態における左眼変位量HLBに相当するが、第2の実施の形態では乱視度数に対応するために、ELレンズ(左用差分レンズ)のベース方向とクロス方向の2つの成分に分け、それぞれベース方向左眼変位量HLELb及びクロス方向左眼変位量HLELcとして区別して表記している。
同様に、第1の実施の形態における右眼変位量HRBに相当するのがベース方向右眼変位量HRERb及びクロス方向右眼変位量HRERcである。同様に、基準変位量に相当するのはベース方向左眼基準変位量HCELb、クロス方向左眼基準変位量HCELc、ベース方向右眼基準変位量HCERb及びクロス方向右眼基準変位量HCERcであるが、全部で4種類も存在するのは前記ELレンズと前記ERレンズとの各々のベース方向とクロス方向に対応する必要があるからである。
つまり、第2の実施の形態におけるように、左眼又は右眼の遠用度数が乱視度数を含む場合、変位量の比率を算出する所定の方向として、左用差分レンズ(ELレンズ)のベース方向とクロス方向、右用差分レンズ(ERレンズ)のベース方向とクロス方向を用いることとなる。
第1の実施の形態において述べたのと同様の理由から、左眼変位量HLELb及びHLELc、右眼変位量HRERb及びHRERc、基準変位量HCELb、HCELc、HCERb及びHCERcの各々については、いずれも特定の値にはならないが、それらの相互の比率については表2の左用遠用度数DL、右用遠用度数DR、基準遠用度数DC、右用差分度数ER、左用差分度数EL、中心間距離OPを用いて算出することが出来る。即ち、HLELb/HCELb及びHLELc/HCELcはELレンズのベース方向とクロス方向のそれぞれについての基準変位量に対する左眼変位量の比率(それぞれ左眼用ベース方向調整比率、左眼用クロス方向調整比率とする)であり、HRERb/HCERb及びHRERc/HCERcはERレンズのベース方向とクロス方向のそれぞれについての基準変位量に対する右眼変位量の比率(それぞれ右眼用ベース方向調整比率、右眼用クロス方向調整比率とする)である。
Figure 0004979774
図13の実線で描いた3種類の円及び楕円は、左右に乱視度数を含む場合における左右の遠用度数及びその平均の度数をDL4、DR4及びDC4として表している。この態様は表2中の実施例4に対応している。この場合、乱視度数の存在のため、方向によって大きさの異なる楕円状となっている。ここではマイナス度数が強い方向ほど小さな寸法としている。従って、乱視度数をマイナスで表現したとき、乱視の軸方向は楕円の長軸方向となり、乱視軸に直交する方向は楕円の短軸方向となる。図13においては左眼遠用レンズの乱視軸方向(ベース方向)とこれと直交する方向(クロス方向)を一点鎖線で示す。
図13を見て明らかなように、左用遠用度数DL4や右用遠用度数DR4、平均の度数DC4の大小比較は方向によって判断が分かれる。例えばこの場合、左眼遠用DL4の乱視軸方向の長さ(楕円の長軸)は平均の度数DC4の円の直径より大きく、左用遠用度数DL4の乱視軸に直交する方向の長さ(楕円の短軸)は平均の度数DC4の円の直径より小さい。右用遠用度数DR4についても同様である。
このため、第1の実施の形態において詳述した本発明の重要なステップである平均度数分布及び非点収差分布に対する凝縮や分散といった設計変更も、ベース方向とクロス方向とでは異なることになる。即ち、第2の実施の形態における凝縮や分散は、第1の実施の形態で説明した相似形状を維持したままの単純な拡大や縮小ではなく、円形が楕円形になるような、方向性を持った拡大や縮小である。
表2の実施例4では左用遠用乱視度数DL−Cylと右用遠用乱視度数DR−Cylとが等しく、左用遠用乱視軸DL−AXと右用遠用乱視軸DR−AXとが直交しているため、両者の平均度数DCは乱視成分が打ち消されて球面レンズとなっている。その結果、凝縮や分散の方向は左用レンズ及び右用レンズの乱視軸方向やその直交方向であると容易に推定できる。
ところが、基準度数DCが乱視度数となったり、その乱視軸方向が左用レンズ及び右用レンズの乱視軸方向と異なったりする場合は、凝縮や分散の方向を判定することが困難なので、下記の方法により算定する。
どのような度数の組み合わせに対しても凝縮や分散の方向を正しく判定するために、基準度数DCと右用レンズ及び左用レンズとの差分となるレンズを仮想的に左用差分レンズ(ELレンズ)、右用差分レンズ(ERレンズ)とする。前記DLレンズ(左用レンズ)から前記DCレンズ(基準レンズ)を減じたものはELレンズ(左用差分レンズ)となる。言い換えると、DCレンズにELレンズを加えるとDLレンズとなる。ERレンズ(右用差分レンズ)も同様である。
即ち、DCレンズにELレンズの度数が加算されてDLレンズとなっているのであるから、凝縮や分散の方向はELレンズの乱視軸方向(EL−AX)やその直交方向と考えられる。凝縮か分散かの判定は各々の軸方向についてのDCレンズとDLレンズの度数を比較し、ある軸方向で左用遠用度数DLの方がマイナス強度(またはプラス弱度)であれば凝縮、逆であれば分散である。右用遠用度数も同様である。
ここで、表1において説明した実施例1〜3における左眼用調整比率HLB/HC、右眼用調整比率HRB/HCに相当する分散または凝縮の比率は、乱視度数を含む実施例4〜7においては、上述したようにELレンズ及びERレンズのベース方向(乱視軸方向、ELb及びERb)とクロス方向(乱視軸と直交する方向、ELc及びERc)とに分けて考えなければならない。上記表2においては、これらの記号を添字として用いている。すなわち、表2中実施例4〜7の分散又は凝縮の比率は、前述の左眼用ベース方向調整比率HLELb/HCELb、左眼用クロス方向調整比率HLELc/HCELc、右眼用ベース方向調整比率HRERb/HCERb、右眼用クロス方向調整比率HRERc/HCERc、のように、左右のレンズそれぞれにおいて、ベース方向とクロス方向とに分けて表示する。
このように、凝縮や分散が軸方向によって異なるレンズの設計方法の例として、微分幾何学における下記のオイラーの公式を用いる方法が考えられる。
Dθ=Db・Cosθ+Dc・Sinθ・・・(5)
これは2種類のカーブ(Db:ベースカーブ、Dc:クロスカーブ)から任意の軸方向θのカーブを求める方法であり、θは乱視軸方向(ベース方向)からの偏角である。
この公式はDbの屈折力を持つ球面と、Dcの屈折力を持つ球面から、乱視軸方向の屈折力がDbで、乱視軸に直交する方向の屈折力がDcである一つの乱視面を合成する方法として応用することができる。更に、この方法は球面や乱視面に限定されることなく、累進面や累進の要素を持った非球面といった複雑な曲面の合成にも応用することが出来る。
即ち、表2におけるDLレンズ(左用レンズ)の設計面に対し、
ELレンズのベース方向について、左眼用ベース方向調整比率(HLELb/HCELb)だけ分散又は凝縮させた面をDbとし、
ELレンズのクロス方向について、左眼用クロス方向調整比率(HLELc/HCELc)だけ分散又は凝縮させた面をDcとし、
EL−AXからの偏角をθとして前記(5)式に代入すれば、
DLレンズのθにおける断面Dθが確定することになり、任意のθに対して展開すれば、本発明における設計変更を施したDLレンズの設計面を得ることが出来る。
DRレンズも同様である。
即ち、表2におけるDRレンズ(右用レンズ)の設計面に対し、
ERレンズのベース方向について、右眼用ベース方向調整比率(HRERb/HCERb)だけ分散又は凝縮させた面をDbとし、
ERレンズのクロス方向について、右眼用クロス方向調整比率(HRERc/HCERc)だけ分散又は凝縮させた面をDcとし、
ER−AXからの偏角をθとして前記(5)式に代入すれば、
DRレンズのθにおける断面Dθが確定することになり、任意のθに対して展開すれば、本発明における設計変更を施したDRレンズの設計面を得ることが出来る。
このように、本発明の第2の実施の形態においては、上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布及び非点収差分布を、基準レンズを仲立ちとして、差分レンズのベース方向及びクロス方向それぞれに対して、表2に記した適切な比率、すなわち左眼用ベース方向調整比率HLELb/HCELb、左眼用クロス方向調整比率HLELc/HCELc、右眼用ベース方向調整比率HRERb/HCERb、右眼用クロス方向調整比率HRERc/HCERcだけ凝縮させたり分散させたりする設計上の変更を加えることにより、差分レンズ(ELレンズ又はERレンズ)のベース方向及びクロス方向それぞれに対応した2種類の設計面が確定し、前記オイラーの公式などの利用により一つの設計面として合成することが出来る。これらを左右の累進屈折力レンズに適用することにより、装用者が上下左右のあらゆる方向を両眼視する上で、左右いずれかの眼、若しくは両眼に乱視度数を含む場合においても、両眼の視線に対する左右の上平累進屈折力レンズ分の非点収差やその軸方向、平均度数などを一致させることができる。したがって、前述のごとく、これまで左右の度数差により損なわれていた装用者の両眼視機能を改善することができる。
(1)実施例4
この例においては、表2における実施例4の基準度数DCの、上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布及び非点収差分布、又は左レンズの上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布及び非点収差分布を、表2中に示す比率とする。すなわち、ELレンズのベース方向(45°)はHLELb/HCELb=101.4%の分散を行い、クロス方向(135°)はHLELc/HCELc=98.7%の凝縮を行って左の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。
一方、基準度数DCの上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布及び非点収差分布、又は右レンズの上平累進屈折力レンズ分の平均度数分布及び非点収差分布も、表2中に示す比率とする。すなわち、ERレンズのベース方向(135°)はHRERb/HCERb=101.4%の分散を行い、クロス方向(45°)はHRERc/HCERc=98.7%の凝縮を行って右の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。
このような変更を行うことで、上述したように、両眼視機能を改善することができる。
なお、表2からわかるように、実施例4における左右の遠用球面度数と遠用乱視度数は同じ値であるが、乱視軸方向が左右で異なる。このため、左眼用と右眼用とのベース方向及びクロス方向それぞれの調整比率の値が同じとなっていても、それらの補正を加える方向(左右の差分乱視軸方向)が異なっている。つまり、遠用度数のうち乱視軸方向のみが異なる場合でも、このように調整比率の補正を加える方向が異なることがわかる。
したがって、例えば左右の遠用度数等の条件が実施例4と全く同じである従来の一対の累進屈折力レンズと比べると、実施例4に示す一対の累進屈折力レンズでは、左右の乱視軸方向の相違によって平均度数分布や非点収差分布が分散又は凝縮されているため、従来の一対の累進屈折力レンズの平均度数分布や非点収差分布とは異なることが容易に推測できる。
(2)実施例5
この例においては、左用遠用度数DL、右用遠用度数DR及び基準遠用度数DCの全てが乱視度数を有している例であり、かつ、その全ての乱視軸方向が縦か横である例を示す。
図14は、実施例5における左右の遠用度数及びその平均度数をDL5、DR5及びDC5として表す概念図である。図14においてもマイナス度数が強い方向ほど小さな寸法としている。
表2に示すように、この場合、ELレンズのベース方向(0°)には104.1%の分散を行い、クロス方向(90°)にはH100.0%すなわち分散・凝縮を行わずにそのままとして左の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。また、ERレンズのベース方向(90°)には100.0%すなわち分散・凝縮を行わずにそのままとし、クロス方向(180°)には96.2%の凝縮を行って右の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。
このような変更を行うことで、実施例4と同様に、左右の度数差により損なわれていた装用者の両眼視機能を改善することができる。
(3)実施例6
この例においては、左用遠用度数DL、右用遠用度数DR及び基準遠用度数DCの全てが乱視度数を有している例であり、DL、DR及びDCの全ての乱視軸方向が同一の斜め方向(45°)である例を示す。
図15は、実施例6における左右の遠用度数及びその平均度数をDL6、DR6及びDC6として表す概念図である。図15においてもマイナス度数が強い方向ほど小さな寸法としている。左右のレンズ及び基準レンズの乱視軸方向及びこれと直交する方向をそれぞれ一点鎖線で示す。乱視軸方向が同一方向であり、全て同一方向に長軸方向をもつ楕円状となっていることがわかる。
表2に示すように、この場合、ELレンズのベース方向(135°)に110.8%、クロス方向(45°)に109.6%の分散を行い、左の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。また、ERレンズのベース方向(45°)に92.0%、クロス方向(135°)に91.1%の凝縮を行って右の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。
このような変更を行うことで、同様に、左右の度数差により損なわれていた装用者の両眼視機能を改善することができる。
(4)実施例7
この例においては、左用遠用度数DL、右用遠用度数DR及び基準遠用度数DCの全てが乱視度数を有している例であり、しかも全ての乱視軸方向が異なっている例を示す。
図16は、実施例7における左右の遠用度数及びその平均度数をDL7、DR7及びDC7として表す概念図である。図16においてもマイナス度数が強い方向ほど小さな寸法としている。図16中一点鎖線は右用レンズの乱視軸方向(ベース方向)及びこれと直交するクロス方向、二点鎖線は基準レンズの乱視軸方向(ベース方向)及びこれと直交するクロス方向を示す。このように、乱視軸方向が全て異なる場合も、実施例4〜6と同様に、左右の眼の乱視軸方向を長軸方向とする楕円形状となることがわかる。
表2に示すように、この場合、ELレンズのベース方向(75°)には100.6%の分散を行い、クロス方向(165°)には97.9%の凝縮を行って、左の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。また、ERレンズのベース方向(165°)には102.2%の分散を行い、クロス方向(75°)には99.4%の凝縮を行って右の累進屈折力レンズの平均度数分布及び非点収差分布とする。
このような変更を行うことで、同様に、左右の度数差により損なわれていた装用者の両眼視機能を改善することができる。
図17〜図19は、一例として±10%の分散又は凝縮を平均度数分布及び非点収差分布に行った場合の各分布を示す。図17A及びBにおいては標準すなわち100%の非点収差分布及び平均度数分布をそれぞれ示し、図18A及びBにおいては110%の分散を行った非点収差分布及び平均度数分布をそれぞれ示し、図19A及びBにおいては90%の凝縮を行った非点収差分布及び平均度数分布をそれぞれ示す。図17、図18、図19にFとNとで示されている2つの十字線は、いずれも図17に対する遠用度数と近用度数の測定位置を示している。また、図17、図18、図19の中央に描いた円は直径50mmであり、これらはいずれも非点収差や平均度数についての分散や凝縮の様子を比較・対比して説明するもので、すべて同じ位置、同じ寸法で表示している。
非点収差分布及び平均度数分布は共に、分散においては縦及び横方向に分布が分散し、凝縮においては縦及び横方向に分布が凝縮されていることが分かる。一方、ベースカーブと加入度数(又は加入度数の要素)に予め分散又は凝縮の比率を係数として掛け合わせているので、所定のベースカーブ及び加入度数(又は加入度数の要素)は保持されている。
前記実施例1〜実施例7では、基準度数DCの決定方法として、左右の遠用度数の平均度数としたが、本発明ではそれ以外の度数も選択しうる。例えば装用者の利き目側の遠用度数と一致させたり、その利き目の程度に応じて、左右の遠用度数間の度数を無段階に選択したりすることができる。また、装用者の処方度数とは無関係に、DC=0.00とすることも可能である。この場合、遠用度数をゼロとした上平累進屈折力レンズを基準度数としたことになる。
また、上述の実施例1〜3においては処方度数として球面度数を用い、実施例4〜7においては、処方度数として球面度数、乱視度数、乱視度数の軸方向を用いたが、これに限定されるものではない。処方度数としては、その他、プリズム度数、プリズム度数の軸方向を用いてもよく、これらのうちの一部でもよく、または全部を用いることも可能である。
更に、装用状態としては、上述の実施例1〜7においては、左右の眼球回旋中心位置と正面視の視線とレンズの外面との交点との距離OPを用いた。上述の各例においては、左右でこの距離OPが同一であると仮定したが、異なる距離を用いて比率を導き出してもよい。また、装用状態としてはこの距離に限定されるものではなく、左右の眼の頂間距離(CVD)、眼球回旋中心から角膜頂点までの距離(CR)、片眼瞳間距離(ハーフPD)等を用いて、より精度よく比率を導くことも可能である。
なお、本発明の一対の累進屈折力レンズにおける物体側の面は、左右同一または互いに鏡面対称であってもよい。このような一対の累進屈折力レンズにおいても、眼球側の面に本発明の補正を加えることにより本発明を適用することができる。また、眼球側の面は従来技術の通りとし、物体側の面にのみ本発明の補正を加えたり、さらには両側の面に本発明の補正を加えたりすることにより本発明を適用することができる。
以上説明したように、本発明の累進屈折力レンズを用いることにより、左右の遠用度数成分を取り除いた上平累進屈折力レンズ分の所定の側方視の位置PLBとPRBにおける非点収差やその軸方向、平均度数などが一致し、従来技術に比べて両眼視の機能を妨げることが少なくなり、眼鏡装用者の視覚システムが有する本来の両眼視機能が充分に発揮されるようになる。
なお、上記の各実施例においては、調整比率を算出するにあたって、図9に示すレンズL2を遠用度数がゼロである上平累進屈折力レンズとして算出する場合を示したが、上述したようにこれに限定されるものではない。すなわち、前記レンズL2の遠用度数として左右の平均度数や基準度数を採用することも可能である。
また同様に上記各実施例では、調整比率を算出する際に用いる変位量の起点である点(PL0,PR0)を光学中心点とした場合を示すが、上述したようにこれに限定されるものではなく、例えばプリズム測定基準点とすることも可能である。
次に、図20に示すフローチャートに基づいて本発明の一実施形態の設計方法について説明する。
(ステップ1)
先ず、顧客の来店により、眼鏡店からレンズメーカーに対して「発注アクセス」がなされる。この発注アクセスで、左右の眼の処方度数、効き目の程度、眼鏡の装用状態、その他の装用者の使用情報などがレンズメーカーに対して通知される。なお、処方度数とは眼鏡店での検眼により得られる数値である。装用状態とは人の顔の形状等によって決定される眼鏡の位置であり、特別に指定されない「お任せ」でレンズメーカーに送られる場合もある。
また、このステップS1の発注アクセスの中で、どのような累進屈折力仕様のレンズを設計するのか、すなわち、「両面複合累進屈折力レンズ」とするのか、「両面累進屈折力レンズ」にするのか、「内面累進屈折力レンズ」とするのか、あるいは「外面累進屈折力レンズ」とするのか、の設計仕様の情報が提供される。
ここで、この4つの設計仕様について説明する。まず、第1の「両面複合累進屈折力レンズ」仕様は、本件発明者らにより開発された仕様であり、物体側表面と眼球側裏面とを共に非球面レンズ構成とすることにより表裏両面で複合的に累進屈折力レンズの効果を生み出すレンズである(例えば特許第3617004号公報、WO/2006137489号公報等参照。)。この両面複合累進屈折力レンズの外面(表面)では例えば縦方向の累進屈折力の成分のみを与え、レンズの内面(裏面)において、横方向の累進屈折力の成分のみを与えることによって、表裏両面で複合的に処方の累進屈折力を与える仕様である。
第2の「両面累進屈折力レンズ」仕様とは、レンズの外面(表面)と内面(裏面)の双方を共に累進面とし、各々の累進面の累進屈折力の合算値によって処方の累進屈折力を与える仕様である(例えば特開2000−155294号公報、特開2000−249992公報等参照。)。
第3の「内面累進屈折力レンズ」仕様は、レンズの裏面の凹部に処方度数対応の累進面を形成する仕様である。(例えば特許第3852116号公報、特開平10−206805公報等参照。)
第4の「外面累進屈折力レンズ」仕様は、レンズの表面の凸部に処方度数対応の累進面を形成する仕様である(例えば特許第3196877号公報、特許第3196880号公報等参照。)。現在のところ、すべての累進屈折力レンズ仕様は、以上の4種類のいずれかに分類されると考えられ、これらのいずれかの要求仕様にしたがって、以後の累進屈折力レンズの設計が行われることになる。なお、これら4種類以外の構造を持った累進屈折力レンズについても、収差分布や平均度数分布を規定する設計面を有する限り、本発明を適用することができる。
(ステップ2)
この発注アクセスに続いてレンズメーカー側で受注処理が開始される。すなわち、顧客からの発注を受けたレンズメーカー側が、受注に伴う様々な処理(受注処理)を行う。
(ステップ3)
「受注処理」の中で、本発明の設計方法において特に重要な処理となる「基準度数決定」のための処理が行われる。
一般に、物を見るということは、両眼に入射した左右2種類の光学情報が、眼球や網膜、視神経などを経由して脳に伝えられ、一つの立体感のある融像された画像として認識されることである。ここで、基準度数(DC)とは、ひとつの度数(つまり「基準度数」)を有した眼が単眼視していると想定したときの仮想的な度数を意味する。
すなわち、基準度数とは、右眼の度数とも左眼の度数とも異なる第3の度数であり、通常は左右の度数の相加平均値とされる。ただし、左右眼に「利き目」が存在する場合は、その度合いに応じた重み付けを行った加重平均値をとることができる。この基準度数は、ステップS1の発注アクセスの内容によって変更を受ける。
本発明の実施形態における設計方法では、左右異なる処方値の眼における両眼視性能の向上をその主目的としていることから、左右眼の差異を低減させる基準の基準度数が重要である。すなわち、右眼を左眼に合わせたり、左眼を右眼に合わせたりするのではなく、適切な基準度数を予め設けておき、左右各々の眼の度数を相互に補完させて基準度数に合わせるようにする。これにより両眼視性能を向上させようとするものである。ここで、左右の眼の度数を基準度数に合わせるといっても、左右の眼の処方値そのものに変化を加えることはできないので、それを除いた左右の眼鏡レンズの設計要素、すなわち収差分布や平均度数の分布などを変えることにより、左右の眼の度数を基準度数に合わせる。
(ステップ4)
ステップS3における「基準度数」の決定が終了した段階で、左右の眼の乱視が入っているかどうかが判断される。
(ステップ5)
もし、乱視が入っている状態の左右の一対の累進屈折力レンズを設計する場合には、右眼と左眼の度数の基準度数との差分を算出する必要が生じる。まず、このステップS5は、左右の処方値の度数と基準度数の差異である差分度数を算出する。ここでは、右眼用と左眼用との2種類の差分度数(右用ERと左用EL)が算出される。なお、上述の実施例4で示すように、左右眼の処方値が乱視度数の場合、差分度数も乱視度数とは限らないが、一般的には差分度数は乱視度数となる。
なお、処方値が左右共に球面度数である場合には、次に行う調整比率の算出において方向による違いが生じないため、この「差分度数算出」のステップ5は不要である。
(ステップ6)
ステップS3での基準度数の算出、また乱視度数がある場合にステップS5での差分度数の算出が終了すると、続いて、基準度数と処方度数とのレンズ上における視線の変位量の比率が算出される。これが「調整比率算出」処理である。すなわち設計尺度となる調整比率として、上述の第1又は第2の実施の形態において説明した比率を演算する。ここで、乱視度数がありステップS5で差分度数が算出されている場合には、右眼用と左眼用の各々のレンズに対し、ベース方向とクロス方向に対する2種類の調整比率が存在する。したがって、合計4種類の調整比率すなわち比率が算出されることになる。なお、ベース方向とは、上述したように差分レンズの乱視軸方向であり、クロス方向とは、このベース方向と垂直な方向をいう。
ステップS3からステップS6までは、以降の一対の累進屈折力レンズの設計に有効な基礎データを獲得するステップである。これらのデータに基づいて、左右のレンズ設計面での具体的な変更(補正)が加えられる。
(ステップ7〜ステップ10)
まず、設計の受注を受けた一対の累進屈折力レンズが「両面複合累進」である場合(ステップS7のYes)は、右用レンズ、左用レンズとも、処方度数に応じて両面複合累進面の仮設計が行われる(ステップS8)。そして、このステップS8で得られた仮設計の設計面に対し、既にステップS6で算出してある調整比率を掛け合わせて複合累進面が算出される(ステップS9)。ここで、「両面複合累進」の場合は、上述した4種類(右眼用と左眼用の各々に対し、差分度数のベース方向とクロス方向に対する2種類)の調整比率が、外面(表面)と内面(裏面)の両面に適用されるため、合計で8種類となる。
最後に、ベース方向とクロス方向に対する設計面をオイラーの公式を利用するなどの方法により「一つの設計面に合成」する処理が、右眼用と左眼用の各々に対し実行される(ステップS10)。これにより、「両面複合累進」の受注を受けた場合の一対の累進屈折力レンズの設計が完了する(ステップS25)。なお、これらの設計面を具体的に加工する方法は、フリーフォーム面を加工する従来技術と何ら変わることはない。
(ステップ11〜ステップ14)
次に、受注が「両面累進」の場合(ステップS11のYes)は、ステップS8と同様に、右用レンズ及び左用レンズの処方度数に応じた両面累進面の仮設計がなされる(ステップS12)。このステップS12では、左右レンズの外面(表面)の縦方向と横方向の平均度数(ジオプター)に基づいて外面の累進面が設計されると共に、レンズの内面(裏面)においても同様に縦方向と横方向の平均度数(ジオプター)に基づいて累進面が設計されることになる。この「両面累進」の場合も、右眼用と左眼用の2種類、乱視度数がある場合はベース方向とクロス方向の2種類、外面(表面)と内面(裏面)の2種類の合計で、乱視度数がない場合は4種類、乱視度数がある場合は合計8種類の調整比率に基づいて、左右レンズの累進面が設計されることになる。
続いて、ステップS6で求めた調整比率に従って、外面及び内面の累進面が算出され設計される(ステップS13)。最後に、オイラーの公式を利用するなどの方法により、外面及び内面の累進面の合成がなされ(ステップS14)、設計が完了する。
(ステップ15〜ステップ19)
次に、受注が「内面累進」の場合(ステップS15のYes)は、外面を固定して内面のみ累進面とする設計となるので、最初に、右用レンズ及び左用レンズの外面球面の選定が行われる(ステップS16)。
ステップS16で外面球面が選定されると、次に、右用レンズ及び左用レンズの処方度数に応じた左右レンズ内面累進面の仮設計がなされる(ステップS17)。そして、ステップS6で算出された調整比率に対応した左右レンズの内面累進面が算出される(ステップS18)。ここで、調整比率は、左右レンズで2種類、乱視度数がある場合は内面のベース方向とクロス方向の2種類の4種類となるので、既述した「両面複合累進」や「両面累進」の場合の半分の調整比率となっている。ステップS18で左右の内面累進面の算出が終わると、オイラーの公式を用いるなどの方法によって、内面累進面の合成が行われ(ステップS19)、設計が完了する。
(ステップ20〜ステップ24)
最後に、受注仕様が「外面面累進」の場合(ステップS20のYes)は、右用レンズ及び左用レンズの処方度数に応じた左右レンズの外面累進面の仮設計がなされる(ステップS21)。そして、ステップS6で算出された調整比率に対応した左右レンズの外面累進面が算出される(ステップS22)。この外面累進面の設計に用いられる調整比率も、左右レンズで2種類、乱視度数がある場合はそれぞれの外面のベース方向とクロス方向の2種類の4種類となる。このステップS22で左右の外面累進面の算出が終わると、オイラーの公式を用いるなどの方法によって、外面累進面の合成が行われる(ステップS23)。そして、最後に、左右レンズの内面すなわち裏面(凹部)で乱視対応の設計を行う「内面処方面設計」が行われ(ステップS24)、設計が完了する。
なお、ステップS7、S11、S15、S20のいずれにも該当しない場合(全てNoの場合)は、エラーとして処理される(ステップS26)。ただし、上記の4種類以外の構造を持った累進屈折力レンズについて、その収差分布や平均度数分布を設計する際に本発明を適用することができる。その場合、処方度数及び装用状態に基づいて仮設計を行うステップと、本発明を適用して、調整比率に対応した左右レンズの累進面の算出を行うステップとを設けることによって、本発明と同様に設計を行うことができる。
以上の設計方法により設計された本発明構成の一対の累進屈折力レンズによれば、上述したように、左右の眼の処方度数を保持したまま、眼鏡レンズの平均度数分布や収差分布などの設計を変えることによって、両眼視の機能が損なわれることが低減される。
なお、本発明は上述の各実施の形態において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
引用符号の説明
1L…左眼用レンズ、1R…右眼用レンズ、2L…左眼、2R…右眼

Claims (10)

  1. 遠用度数が左右で異なる一対の累進屈折力レンズを設計する方法であって、
    前記一対の累進屈折力レンズのレンズ成分を、遠用度数と加入度数とが左右で等しい一対の累進屈折力レンズ成分と、左右異なる度数の一対の単焦点レンズ成分とに分け、
    前記単焦点レンズ成分を有するレンズを装用して両眼視をする場合に、正面遠方から所定の方位角に向かって正面以外の遠方に視線を移すときの左右眼のレンズ上の視線移動距離の比率を算出し、
    前記累進屈折力レンズ成分を有するレンズの片眼用又は両眼用のレンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布に対し、前記比率に応じた補正を加えることにより、
    両眼視における左右の視線に対する平均度数及び非点収差の差において、前記左右の遠用度数差以外の収差の発生を抑制することを特徴とする一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  2. 前記単焦点レンズ成分の度数が、左右いずれも球面度数である場合、
    前記累進屈折力レンズ成分に対する補正として、平均度数分布及び非点収差分布を、任意の方位角の方向について均等に拡大または縮小することを特徴とする
    請求項1記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  3. 前記単焦点レンズ成分の度数のうち、左右の一方又は両方に乱視度数がある場合、
    前記累進屈折力レンズ成分に対する補正として、平均度数分布及び非点収差分布を、所定の方位角の方向について異なる縮尺となるように、楕円状に拡大または縮小することを特徴とする
    請求項1記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  4. 前記所定の方位角の方向を、前記単焦点レンズ成分を有するレンズ対の左右のレンズ成分の度数から、基準度数を光学的に減じたレンズ成分を有する差分レンズにおけるベース方向及びクロス方向とすることを特徴とする
    請求項3記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  5. 前記基準度数とは、前記単焦点レンズ成分の左眼レンズ成分と右眼レンズ成分とを重ね合わせて得られる合成度数の1/2のレンズ度数であることを特徴とする
    請求項4記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  6. 少なくともレンズ中央直径30mmの視野領域内において、
    前記遠用度数の差異と、両眼視における左右の視線に対する平均度数分布と非点収差分布の差異との差を0.25ジオプター以内にすることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  7. 前記一対の累進屈折力レンズにおいて左右で異なる遠用度数とは、遠用球面度数、遠用乱視度数、遠用乱視軸方向、プリズム度数、プリズム度数の軸方向のいずれか一つ又は複数であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項6記載の一対の累進屈折力レンズの設計方法。
  8. 遠用度数が左右で異なる一対の累進屈折力レンズであって、
    前記一対の累進屈折力レンズのレンズ成分を、遠用度数と加入度数とが左右で等しい一対の累進屈折力レンズ成分と、左右で度数の異なる一対の単焦点レンズ成分とに分けた場合に、前記単焦点レンズ成分を有するレンズを装用して、正面遠方から所定の方位角に向かって正面以外の遠方に視線を移すときの、前記レンズ上において算出される左右眼の視線移動距離の比率に応じて、前記累進屈折力レンズ成分を有するレンズの片眼用又は両眼用のレンズ成分の平均度数分布及び非点収差分布が補正され、
    両眼視における左右の視線に対する平均度数及び非点収差の差において、前記左右の遠用度数差以外の収差の発生を抑制することを特徴とする一対の累進屈折力レンズ。
  9. 前記単焦点レンズ成分の度数が、左右いずれも球面度数であり、
    前記所定の方位角が任意の方位角とされることを特徴とする
    請求項8記載の一対の累進屈折力レンズ。
  10. 前記単焦点レンズ成分の度数のうち、左右の一方又は両方に乱視度数があり、
    前記所定の方位角が、前記単焦点レンズ成分を有するレンズ対の左右のレンズ成分の度数から、前記単焦点レンズ成分の左眼レンズ成分と右眼レンズ成分とを重ね合わせて得られる合成度数の1/2のレンズ度数を光学的に減じたレンズ成分を有するレンズにおけるベース方向及びクロス方向とされることを特徴とする
    請求項8記載の一対の累進屈折力レンズ。
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