[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置及びその製造方法を図1乃至図14を用いて説明する。図1は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図1を用いて説明する。
図1に示すように、例えばN型又はP型のシリコンより成る半導体基板10には、素子領域を画定する素子分離領域12が形成されている。素子分離領域12が形成された半導体基板10内には、P型のウェル14が形成されている。
ウェル14が形成された半導体基板10上には、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極(ゲート配線)18が形成されている。ゲート電極18の側壁部分には、サイドウォール絶縁膜20が形成されている。
サイドウォール絶縁膜20が形成されたゲート電極18の両側には、ソース/ドレイン拡散層22が形成されている。
ゲート電極18の上部及びソース/ドレイン拡散層22上には、それぞれシリサイド層24a、24bが形成されている。ソース/ドレイン拡散層22上のシリサイド層24bは、ソース/ドレイン電極として機能する。
こうして、ゲート電極18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ26が構成されている。
トランジスタ26が形成された半導体基板10上には、例えば膜厚200nmのSiONより成る絶縁膜(カバー膜)28が形成されている。
絶縁膜28が形成された半導体基板10上には、例えば膜厚700nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜30が形成されている。層間絶縁膜30の表面は平坦化されている。
層間絶縁膜30及び絶縁膜28には、ソース/ドレイン電極24bに達するコンタクトホール32が形成されている。
コンタクトホール32内には、例えば膜厚30nmのTi膜が形成されている。Ti膜が形成されたコンタクトホール32内には、例えば膜厚20nmのTiN膜が形成されている。Ti膜とTiN膜とにより密着層34が構成されている。
密着層34が形成されたコンタクトホール32内には、タングステン(W)より成る導体プラグ36が埋め込まれている。
導体プラグ36が埋め込まれた層間絶縁膜30上には、例えば膜厚130nmのSiONより成る酸化防止膜38が形成されている。酸化防止膜38は、層間絶縁膜36に導体プラグ36を埋め込んだ後に、導体プラグ36の上面が酸化されるのを防止するためのものである。
なお、ここでは酸化防止膜38として、SiON膜を形成する場合を例に説明したが、かかる酸化防止膜38はSiON膜に限定されるものではない。例えば、酸化防止膜38として、シリコン窒化膜や酸化アルミニウム膜を形成してもよい。
酸化防止膜38上には、例えば膜厚200nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜40が形成されている。
層間絶縁膜40及び酸化防止膜38には、導体プラグ36に達するコンタクトホール42が形成されている。
コンタクトホール42内には、例えば膜厚30nmのTi膜が形成されている。Ti膜が形成されたコンタクトホール42内には、例えば膜厚20nmのTiN膜が形成されている。Ti膜とTiN膜とにより密着層44が構成されている。
密着層44が形成されたコンタクトホール42内には、タングステンより成る導体プラグ46が埋め込まれている。
導体プラグ46が埋め込まれた層間絶縁膜40上には、例えば膜厚20nmのTiNより成る密着層48が形成されている。かかる密着層48は、後述する酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させるためのものである。
なお、ここでは、密着層48の材料としてTiNを用いる場合を例に説明したが、密着層48の材料はTiNに限定されるものではない。酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させ得る材料を、密着層48の材料として適宜用いることができる。例えば、Ti、Ti合金、Al、Al合金、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金、Re、Re合金、Ru、Ru合金、Pd、Pd合金、Os、Os合金、Rh、Rh合金、酸化プラチナ、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、又は、酸化パラジウム等を密着層48の材料として用いてもよい。
密着層48上には、例えば膜厚100nmのTiAlNより成る導電性の酸素バリア膜(酸素拡散防止膜)50が形成されている。かかる酸素バリア膜50は、層間絶縁膜40に導体プラグ46を埋め込んだ後に、導体プラグ46の上面が酸化されるのを防止するためのものである。
なお、ここでは、酸素バリア膜50の材料としてTiAlNを用いる場合を例に説明したが、酸素バリア膜50の材料はTiAlNに限定されるものではない。TiAlON、TaAlN又はTaAlON等を酸素バリア膜50の材料として適宜用いてもよい。
酸素バリア50膜上には、キャパシタ72の下部電極52が形成されている。下部電極56は、例えば膜厚20〜100nmの酸化プラチナ(PtOX)より成る第1の導電膜52と、例えば膜厚100nmのPtより成る第2の導電膜54とを順次積層することにより形成されたものである。
本実施形態において、下部電極56を構成する第1の導電膜52として酸化プラチナを用いているのは、酸化プラチナは、PbやBiの拡散を防止する機能を有しているためである。キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが下部電極56と酸素バリア膜50との界面まで達した場合には、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応してしまい、下部電極56と酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれ、ひいては下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれてしまう。これに対し、本実施形態によれば、下部電極56を構成する第1の導電膜52として酸化プラチナが用いられているため、キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが、下部電極56と酸素バリア膜50との界面まで達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、下部電極56と酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれるのを防止することができ、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
また、本実施形態において、下部電極56を構成する第2の導電膜54としてPtを用いているのは、Ptより成る第2の導電膜54上には結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能なためである。
なお、下部電極56を形成した後の熱処理により、下部電極56の一部が還元される場合がある。即ち、下部電極56を形成した後の熱処理により、下部電極56のうちの第1の導電膜52を構成する酸化プラチナが還元される場合がある。下部電極56のうちの第1の導電膜52が還元された場合でも、第1の導電膜52中にはある程度の酸素が残存する。従って、第1の導電膜52を構成する酸化プラチナ膜が還元された場合には、酸化プラチナ膜52は酸素を含むプラチナ膜となる。第1の導電膜52を構成する酸化プラチナ膜が還元された場合であっても、第1の導電膜52中には酸素が残存するため、下部電極56のうちの酸素バリア膜50側の酸素濃度は、下部電極56のうちのキャパシタ誘電体膜62側の酸素濃度より高い状態となっている。
なお、ここでは、下部電極56のうちの第1の導電膜52の材料として、酸化プラチナを用いる場合を例に説明したが、かかる第1の導電膜52の材料は酸化プラチナに限定されるものではない。酸化パラジウムも、酸化プラチナと同様に、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有する。従って、下部電極56のうちの第1の導電膜52の材料として、酸化パラジウムを用いてもよい。第1の導電膜52を構成する酸化パラジウム膜が還元された場合には、酸化パラジウム膜52は酸素を含むパラジウム膜となる。
また、ここでは、下部電極56のうちの第2の導電膜54の材料として、Ptを用いる場合を例に説明したが、かかる第2の導電膜54の材料はPtに限定されるものではない。例えば、Pt合金膜上にも、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。また、Pd膜上にも、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。また、Pd合金膜上にも、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。従って、下部電極56のうちの第2の導電膜54の材料として、Pt合金膜、Pd膜、Pd合金膜等を用いてもよい。
下部電極56上には、キャパシタ誘電体膜62が形成されている。キャパシタ誘電体膜62は、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成された第1の誘電体膜58と、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、有機金属化学気相成長)法により形成された第2の誘電体膜60とにより構成されている。第2の誘電体膜60の膜厚は、第1の誘電体膜58の膜厚より厚く設定されている。第2の誘電体膜60の膜厚を第1の誘電体膜58の膜厚より厚く設定しているのは、第2の誘電体膜60の方が第1の誘電体膜58より膜質が良好なためである。キャパシタ誘電体膜62の材料としては、Pb又はBiを含む強誘電体、又は、Pb又はBiを含む高誘電体が用いられている。高誘電体とは、比誘電率が二酸化シリコンの比誘電率(3.8)よりも高い誘電体のことである。例えば、キャパシタ誘電体膜62として、PbZrXTi1−XO3膜(PZT膜)を用いることができる。PZT膜は、Pbを含むペロブスカイト型の結晶構造を有する強誘電体膜である。また、キャパシタ誘電体膜62として、例えばSrBi2Ta2O9膜(SBT膜)を用いてもよい。SBT膜は、Biを含むビスマス層状構造の強誘電体膜である。
キャパシタ誘電体膜62は、PZT膜やSBT膜に限定されるものではない。本発明の原理は、Pb若しくはBiを含む強誘電体、又は、Pb若しくはBiを含む高誘電体をキャパシタ誘電体膜62の材料として用いる場合に広く適用することが可能である。
例えば、PZTにLaが添加された材料より成るPbLa(Zr,Ti)O3膜(PLZT膜)をキャパシタ誘電体膜62として用いてもよい。また、PZTにLa、Ca、Sr又はSiの少なくともいずれかが添加された材料をキャパシタ誘電体膜62の材料として用いてもよい。これらは、Pbを含む強誘電体膜である。
また、BiLaO3膜(BLT膜)、SrBi2(Ta,Nb)2O9膜(SBTN膜)、Bi4Ti3O9膜、(Bi,La)4Ti3O12膜、BiFeO3膜、SrBi4Ti4O15膜、又は(Bi1−XRX)Ti3O12膜(Rは希土類元素)等をキャパシタ誘電体膜62として用いてもよい。これらは、Biを含む強誘電体膜である。
また、(Pb,Ba,Sr)TiO3等をキャパシタ誘電体膜62として用いてもよい。これらは、Pbを含む高誘電体膜である。
また、(Bi,Sr)TiO3等をキャパシタ誘電体膜62として用いてもよい。これらは、Biを含む高誘電体膜である。
本実施形態では、キャパシタ誘電体膜62の材料として、Pb若しくはBiを含む強誘電体、又は、Pb若しくはBiを含む高誘電体が用いられているため、下部電極56中には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiが存在している。本実施形態では、上述したように、下部電極56のうちの第1の導電膜52には、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有する材料である酸化プラチナ又は酸化パラジウムが用いられている。このため、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiは、下部電極56と酸素バリア膜50との界面には達していない。即ち、下部電極56と酸素バリア膜50との界面には、Pb及びBiがほとんど存在していない。キャパシタ誘電体膜62から下部電極56中に拡散したPb又はBiの濃度ピークは、下部電極56を構成する第1の導電膜52と第2の導電膜54との界面に位置している。即ち、キャパシタ誘電体膜62から下部電極56中に拡散したPb又はBiの濃度ピークの位置は、下部電極56と酸素バリア膜50との界面から離間している。本実施形態によれば、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiが下部電極56と酸素バリア膜50との界面に達しないため、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、酸素バリア膜50と下部電極56との密着性が損なわれるのを防止することができ、ひいては下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
なお、極めてわずかなPb又はBiが、下部電極56と酸素バリア膜50との界面に達してもよい。下部電極56と酸素バリア膜50との界面に達するPb又はBiが極めてわずかであれば、酸素バリア膜50と下部電極56との界面における密着性は殆ど損なわれず、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれることはないためである。キャパシタ誘電体膜62の材料としてPbを含む強誘電体又は高誘電体が用いられている場合、下部電極56と酸素バリア膜50との界面におけるPbの濃度が、下部電極56中におけるPbのピーク値の50分の1以下であれば、酸素バリア膜50と下部電極56との間の密着性は十分に確保され、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれることはない。また、キャパシタ誘電体膜62の材料としてBiを含む強誘電体又は高誘電体が用いられている場合、下部電極56と酸素バリア膜50との界面におけるBiの濃度が、下部電極56中におけるBiのピーク値の50分の1以下であれば、酸素バリア膜50と下部電極56との間の密着性は十分に確保され、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれることはない。ただし、下部電極56と酸素バリア膜50との間で極めて高い密着性を確保する観点からは、下部電極56と酸素バリア膜50の界面にPb又はBiが存在しないことが望ましい。
また、ここでは、二層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成する場合、即ち、第1の誘電体膜58をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成し、第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成し、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を形成する場合を例に説明したが、キャパシタ誘電体膜62は二層構造に限定されるものではなく、単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。即ち、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。ただし、MOCVD法により形成された第2の誘電体膜60を含むキャパシタ誘電体膜62は、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成された単層構造のキャパシタ誘電体膜62と比較して、電気的特性が優れている。従って、電気的特性の良好な誘電体キャパシタ72を得る観点からは、第1の誘電体膜58をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成し、第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成し、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を形成することが望ましい。
キャパシタ誘電体膜62上には、キャパシタ72の上部電極70が形成されている。上部電極70は、例えば膜厚50nmのIrOX膜より成る第1の導電膜64と、膜厚100〜300nmのIrOY膜より成る第2の導電膜66と、膜厚50〜150nmのIr膜より成る第3の導電膜68とを順次積層することにより形成されている。Ir膜より成る第3の導電膜68は、キャパシタ誘電体膜62が水素により還元されてしまうのを防止する水素バリア膜(水素拡散防止膜)として機能する。また、Ir膜より成る第3の導電膜68は、上部電極70と後述する導体プラグ94との間で良好な電気的接続を確保するための導電性向上膜としても機能する。
こうして、下部電極56とキャパシタ誘電体膜62と上部電極70とを有するキャパシタ72が構成されている。
キャパシタ72が形成された層間絶縁膜40上には、キャパシタ72を覆うように例えば膜厚2〜20nmの水素バリア膜(水素拡散防止膜)74が形成されている。水素バリア膜74の材料としては、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)が用いられている。かかる水素バリア膜74は、水素によりキャパシタ誘電体膜62が還元されるのを防止するためのものである。
水素バリア74上には、例えば膜厚20〜50nmの水素バリア膜(水素拡散防止膜)76が更に形成されている。水素バリア膜76の材料としては、水素バリア膜74と同様に、例えば酸化アルミニウムが用いられている。かかる水素バリア膜74は、水素バリア膜76と相俟って、水素によりキャパシタ誘電体膜62が還元されるのを防止するためのものである。
水素バリア膜76上には、膜厚1400nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜78が形成されている。層間絶縁膜78の表面は平坦化されている。
層間絶縁膜78上には、例えば膜厚20〜100nmの水素バリア膜(水素拡散防止膜)80が形成されている。水素バリア膜80の材料としては、水素バリア膜74,76と同様に、例えば酸化アルミニウムが用いられている。かかる水素バリア膜80は、水素バリア膜74,76と同様に、水素によりキャパシタ誘電体膜62が還元されるのを防止するためのものである。平坦化された層間絶縁膜78上に水素バリア膜80を形成するため、水素バリア膜80は平坦に形成されている。
水素バリア膜80上には、シリコン酸化膜より成る層間絶縁膜82が形成されている。層間絶縁膜82の膜厚は、例えば100〜300nmとする。層間絶縁膜82の表面は平坦化されている。
層間絶縁膜82、水素バリア膜80、層間絶縁膜78、水素バリア膜76、水素バリア膜74、層間絶縁膜40及び酸化防止膜38には、導体プラグ36に達するコンタクトホール84が形成されている。
コンタクトホール84内には、例えば膜厚30nmのTi膜が形成されている。Ti膜が形成されたコンタクトホール84内には、例えば膜厚20nmのTiN膜が形成されている。Ti膜とTiN膜とにより密着層86が構成されている。
密着層86が形成されたコンタクトホール84内には、タングステンより成る導体プラグ88が埋め込まれている。
層間絶縁膜82、水素バリア膜80、層間絶縁膜78、水素バリア膜76及び水素バリア膜74には、上部電極70に達するコンタクトホール90が形成されている。
コンタクトホール90内には、例えば膜厚30nmのTi膜が形成されている。Ti膜が形成されたコンタクトホール90内には、例えば膜厚20nmのTiN膜が形成されている。Ti膜とTiN膜とにより密着層92が構成されている。
密着層92が形成されたコンタクトホール90内には、タングステンより成る導体プラグ94が埋め込まれている。
導体プラグ88,94が埋め込まれた層間絶縁膜82上には、配線96が形成されている。配線96は、例えば膜厚60nmのTi膜と、膜厚30nmのTiN膜と、膜厚360nmのAlCu合金膜と、膜厚5nmのTi膜と、膜厚70nmのTiN膜とを順次積層して成る積層膜により構成されている。
配線96が形成された層間絶縁膜82上には、更に、層間絶縁膜(図示せず)、導体プラグ(図示せず)、配線(図示せず)等が複数層に亘って形成されている。最上層には、シリコン酸化膜及びSiN膜より成るカバー膜が形成されている。
こうして、本実施形態による半導体装置が構成されている。
本実施形態による半導体装置は、酸化プラチナ又は酸化パラジウムより成る第1の導電膜52と、第1の導電膜52上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第2の導電膜54とにより下部電極56が構成されていることに主な特徴がある。酸化プラチナ等より成る第1の導電膜52は、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有している。このため、本実施形態によれば、キャパシタ誘電体膜62に含まれているPb又はBiが下部電極56中に拡散した場合であっても、下部電極56と酸素バリア膜50との界面にPb又はBiが達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、下部電極56と酸素バリア膜50との密着性が損なわれるのを防止することができ、ひいては下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。また、Pt等より成る第2の導電膜54上には、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。より具体的には、Pt等より成る第2の導電膜54上には、ウェハ面内で結晶性が均一なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能であり、また、表面モフォロジの良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。従って、本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高いキャパシタを有する半導体装置を提供することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図2乃至図13を用いて説明する。図2乃至図13は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、例えばN型又はP型のシリコンより成る半導体基板10に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子領域を画定する素子分離領域12を形成する。なお、素子分離領域12の形成方法はSTI法に限定されるものではない。例えばLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法により素子分離領域12を形成してもよい。
次に、イオン注入法により、P型のドーパント不純物を導入することにより、P型のウェル14を形成する。
次に、例えば熱酸化法により、素子領域上に膜厚10nmのゲート絶縁膜16を形成する。
次に、例えばCVD法により、膜厚180nmのポリシリコン膜18を形成する。ポリシリコン膜18は、ゲート電極等となるものである。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜18をパターニングする。こうして、ポリシリコン膜より成るゲート電極(ゲート配線)18が形成される。
次に、ゲート電極18をマスクとし、イオン注入法により、ゲート電極18の両側の半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。これにより、エクステンションソース/ドレインの浅い領域を構成するエクステンション領域(図示せず)が形成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚300nmのシリコン酸化膜を形成する。
次に、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。こうして、ゲート電極18の側壁部分に、シリコン酸化膜より成るサイドウォール絶縁膜20が形成される。
次に、サイドウォール絶縁膜20が形成されたゲート電極18をマスクとし、イオン注入法により、ゲート電極18の両側の半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。これにより、エクステンションソース/ドレインの深い領域を構成する不純物拡散層(図示せず)が形成される。エクステンション領域と深い不純物拡散層とによりソース/ドレイン拡散層22が構成される。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、コバルト等より成る高融点金属層(図示せず)を形成する。
次に、熱処理を行うことにより、半導体基板10の表層部と高融点金属層とを反応させるとともに、ゲート電極18の上部と高融点金属層とを反応させる。
次に、未反応の高融点金属層を例えばウエットエッチングにより除去する。
こうして、ソース/ドレイン拡散層22上にコバルトシリサイドより成るソース/ドレイン電極24bが形成される。また、ゲート電極18の上部にコバルトシリサイドより成るシリサイド層24aが形成される。
こうして、図2(a)に示すように、ゲート電極18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ26が形成される。
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚200nmのSiONより成る絶縁膜(カバー膜)28を形成する。
次に、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚1μmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜30を形成する。
次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、層間絶縁膜30の表面を平坦化する。こうして、例えば膜厚700nmの層間絶縁膜30が形成される(図2(b)参照)。
次に、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、ソース/ドレイン電極24bに達するコンタクトホール32を形成する。コンタクトホール32の径は、例えば0.25μmとする。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚30nmのTi膜を形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚20nmのTiN膜を形成する。これらTi膜とTiN膜とにより密着層34が構成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚300nmのタングステン膜36を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜30の表面が露出するまでタングステン膜36及び密着層34を研磨する。こうして、コンタクトホール32内に、タングステン膜より成る導体プラグ36が埋め込まれる(図3(a)参照)。
次に、図3(b)に示すように、全面に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚130nmのSiONより成る酸化防止膜38を形成する(図3(b)参照)。酸化防止膜38は、層間絶縁膜30に埋め込まれた導体プラグ36の表面が酸化されるのを防止するためのものである。
なお、ここでは、酸化防止膜38の材料としてSiONを用いる場合を例に説明したが、酸化防止膜38の材料はSiONに限定されるものではない。例えばSiNや酸化アルミニウムを酸化防止膜38の材料として用いてもよい。
次に、図3(c)に示すように、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚300nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜40を形成する。
次に、図4(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、導体プラグ36に達するコンタクトホール42を、層間絶縁膜40及び酸化防止膜38に形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚30nmのTi膜を形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚20nmのTiN膜を形成する。これらTi膜とTiN膜とにより密着層44が構成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚300nmのタングステン膜46を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜40の表面が露出するまでタングステン膜46及び密着層44を研磨する。CMP法によりタングステン膜46及び密着層44を研磨する際には、タングステン膜46及び密着層44の研磨速度が層間絶縁膜40の研磨速度より速くなるような研磨剤を用いる。かかる研磨剤としては、例えば、キャボット・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション(Cabot Microelectronics Corporation)製の研磨剤(型番:SSW2000)を用いることができる。こうして、コンタクトホール42内に、タングステン膜より成る導体プラグ46が埋め込まれる(図4(b)参照)。
次に、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気(NH3プラズマ)に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する(プラズマ処理)。本実施形態において、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露するのは、層間絶縁膜40の表面の酸素原子をNH基に結合させることにより、後工程で層間絶縁膜40上にTi膜47を形成する際に、Ti原子が層間絶縁膜40の表面の酸素原子により捕捉されるのを防止するためである。
プラズマ処理の条件は以下の通りとする。プラズマ処理装置としては、平行平板型のプラズマ処理装置を用いる。対向電極の位置は、例えば半導体基板10から約9mm(350mils)離間した位置とする。プラズマ処理を行う際におけるチャンバ内の圧力は、例えば266Pa(2Torr)程度とする。基板温度は、例えば400℃とする。チャンバ内に導入するNH3ガスの流量は、例えば350sccmとする。半導体基板10に印加する高周波電力は、例えば13.56MHz、100Wとする。対向電極に印加する高周波電力は、例えば350kHz、55Wとする。高周波電力の印加時間は、例えば60秒とする。
なお、ここでは、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する場合を例に説明したが、かかるプラズマ雰囲気は、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に限定されるものではない。窒素を含むプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露すればよい。例えば、N2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気(N2プラズマ)に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理してもよい。
次に、図4(c)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、膜厚20nmのTi膜47を形成する。層間絶縁膜40の表面が上記のように処理されているため、層間絶縁膜40上に堆積されたTi原子は酸素原子により捕捉されることなく、層間絶縁膜40の表面を自在に移動することができる。このため、(002)の方向に自己配向された良質なTi膜47が層間絶縁膜40上に形成される。
Ti膜47を形成する際の条件は、例えば以下の通りとする。即ち、半導体基板10とターゲットとの間の距離は、例えば60mmとする。成膜室内の圧力は、0.15Paとする。成膜室以内の雰囲気は、例えばAr雰囲気とする。基板温度は、例えば室温とする。供給するDCパワーは、例えば2.6kWとする。DCパワーを供給する時間は、例えば5秒間とする。
次に、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)法により、窒素雰囲気中にて熱処理を行う。熱処理温度は、例えば650℃とする。熱処理時間は、例えば60秒とする。この熱処理により、上述したTi膜47がTiN膜48となる(図5(a)参照)。こうして、(111)配向のTiN膜より成る密着層48が得られる。かかる密着層48は、後工程で形成される酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させるためのものである。
なお、ここでは、TiN膜より成る密着層48を形成する場合を例に説明したが、かかる密着層48はTiN膜に限定されるものではない。酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させ得る材料を、密着層48の材料として適宜用いることができる。例えば、Ti、Ti合金、Al、Al合金、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金、Re、Re合金、Ru、Ru合金、Pd、Pd合金、Os、Os合金、Rh、Rh合金、酸化プラチナ、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、又は、酸化パラジウム等を密着層48の材料として用いてもよい。
次に、図5(b)に示すように、全面に、反応性スパッタリング法により、例えば膜厚100nmのTiAlNより成る導電性の酸素バリア膜(酸素拡散防止膜)50を形成する。かかる酸素バリア膜50は、層間絶縁膜40に導体プラグ46を埋め込んだ後に、導体プラグ46の上面が酸化されるのを防止するためのものである。
酸素バリア膜50を形成する際の条件は、例えば以下の通りとする。即ち、ターゲットとしては、TiAl合金より成るターゲットを用いる。チャンバ内の雰囲気は、Arガスと窒素ガスとの混合ガスより成る雰囲気とする。チャンバ内に導入するArガスの流量は、例えば40sccmとする。チャンバ内に導入する窒素ガスの流量は、例えば10sccmとする。チャンバ内の圧力は、例えば253.3Paとする。基板温度は、例えば400℃とする。スパッタパワーは、例えば1kWとする。
なお、ここでは、酸素バリア膜50の材料としてTiAlNを用いる場合を例に説明したが、酸素バリア膜50の材料はTiAlNに限定されるものではない。酸素の拡散を防止し得る導電体を酸素バリア膜50の材料として適宜用いることができる。例えば、TiAlON、TaAlN又はTaAlON等を酸素バリア膜50の材料として用いてもよい。
次に、図5(c)に示すように、例えばスパッタリング法により、下部電極56の一部となる第1の導電膜52を形成する。かかる第1の導電膜52としては、例えば非晶質の酸化プラチナ膜を形成する。
酸化プラチナより成る第1の導電膜52を形成する際の成膜条件は、例えば以下の通りとする。即ち、チャンバ内に導入するArガスの流量は、例えば40sccmとする。チャンバ内に導入するO2ガスの流量は、例えば160sccmとする。即ち、チャンバ内の雰囲気の酸素濃度は80%程度とする。チャンバ内の圧力は例えば0.3Paとする。スパッタパワーは、例えば1kWとする。
酸化プラチナより成る第1の導電膜52を形成する際の成膜温度は、150〜400℃とすることが望ましい。第1の導電膜52を形成する際の成膜温度を150〜400℃とするのは、以下のような理由によるものである。
即ち、150℃より低い温度で成膜された酸化プラチナ膜は、導電性が極めて低く、電気的には絶縁体に近いものとなる。しかも、150℃より低い温度で成膜された酸化プラチナ膜は、後工程で熱処理を行ったとしても還元されにくく、導電性は殆ど向上しない。このため、酸化プラチナより成る第1の導電膜52を150℃より低い温度で成膜した場合には、電気的に良好なキャパシタ72を得ることが困難である。従って、酸化プラチナより成る第1の導電膜52を形成する際の成膜温度は、150℃以上とすることが望ましい。
一方、400℃より高い温度で酸化プラチナ膜を形成しようとした場合には、酸化プラチナ膜の成膜中に酸素が解離してしまい、Pt膜が形成されてしまう。第1の導電膜52がPt膜により形成された場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散するPb又はBiを第1の導電膜52によりバリアすることができない。第1の導電膜52によりPb又はBiをバリアすることができない場合には、下部電極56と酸素バリア膜50との界面にPb又はBiが達してしまい、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応してしまう。そうすると、下部電極56と酸素バリア膜50との密着性が損なわれ、ひいては、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥離してしまう。従って、酸化プラチナより成る第1の導電膜52を形成する際の成膜温度は、400℃以下とすることが望ましい。
このような観点から、酸化プラチナより成る第1の導電膜52を形成する際の成膜温度は、150〜400℃とすることが望ましい。
酸化プラチナ膜の導電性は、成膜温度が高いほど小さくなる傾向がある。従って、良好な導電性を有する下部電極56を形成するためには、成膜温度を高めに設定することが望ましい。ここでは、下部電極56のうちの第1の導電膜52を形成する際の成膜温度を例えば350℃程度とする。
また、下部電極56のうちの第1の導電膜52の膜厚は、20〜100nmとすることが望ましい。第1の導電膜52の膜厚を20〜100nmとするのは、以下のような理由によるものである。
即ち、第1の導電膜52を20nmより薄く形成した場合には、後工程において下部電極56を熱処理する際に、酸化プラチナ膜のほぼ全体が還元され、Pt膜となってしまう。Pt膜は、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有していない。このため、酸化プラチナより成る第1の導電膜52の全体がPtになった場合には、後工程で形成されるキャパシタ誘電体膜62から拡散されるPb又はBiを第1の導電膜52によりバリアすることが困難となる。第1の導電膜52によりPb又はBiをバリアすることができない場合には、下部電極56と酸素バリア膜50との界面にPb又はBiが達してしまい、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応してしまう。そうすると、下部電極56と酸素バリア膜50との密着性が損なわれ、ひいては、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥離してしまう。
酸化プラチナより成る第1の導電膜52を20nm以上の膜厚で形成すれば、下部電極56に対して熱処理を行った際に、第1の導電膜52のうちの少なくとも一部は酸化プラチナのまま残存する。従って、キャパシタ誘電体膜62から拡散されるPb又はBiを第1の導電膜52によりバリアするためには、第1の導電膜52の膜厚は20nm以上とすることが望ましい。
一方、第1の導電膜52を100nmより厚く形成した場合には、後工程で行われる熱処理において第1の導電膜52の一部が還元されたとしても、かなりの厚さの酸化プラチナ膜が第1の導電膜52中に残存することとなる。酸化プラチナ膜のシート抵抗は比較的大きいため、第1の導電膜52中にかなりの厚さの酸化プラチナ膜が残存した場合には、電気的特性の良好なキャパシタを得ることが困難となる。従って、第1の導電膜52の膜厚は100nm以下とすることが望ましい。
ここでは、第1の導電膜52の膜厚を例えば50nmとする。
なお、ここでは、下部電極56を構成する第1の導電膜52として、酸化プラチナ膜を形成する場合を例に説明したが、第1の導電膜52の材料は酸化プラチナに限定されるものではない。例えば、酸化パラジウムも、酸化プラチナと同様に、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有する。従って、第1の導電膜52として、酸化パラジウム膜を形成してもよい。
次に、図6(a)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、下部電極56の一部を構成する第2の導電膜54を形成する。かかる第2の導電膜54としては、例えば膜厚100nmのPt膜を形成する。かかる第2の導電膜54は、上述した第1の導電膜52と相俟って下部電極56を構成するものである。
第2の導電膜54の成膜条件は例えば以下の通りとする。即ち、チャンバの雰囲気は、Ar雰囲気とする。チャンバ内の圧力は、例えば0.2Paとする。基板温度は、400℃とする。スパッタパワーは、0.5kWとする。
なお、ここでは、第2の導電膜54の材料として、Ptを用いる場合を例に説明したが、第2の導電膜54の材料はPtに限定されるものではない。例えば、Pt合金膜、Pd膜又はPd合金膜等を第2の導電膜54の材料として用いてもよい。
次に、RTA法により、不活性ガスより成る雰囲気中にて熱処理を行う。不活性ガスとしては、Arガス、N2ガス又はN2Oガスを用いることができる。熱処理温度は、650℃以上とする。熱処理時間は、例えば60秒程度とする。かかる熱処理は、各層の密着性を向上するとともに、下部電極56の結晶性を向上するためのものである。この熱処理により、第1の導電膜54を構成する酸化プラチナ膜が部分的に還元され、下部電極56の結晶性が向上する。
次に、図6(b)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、キャパシタ誘電体膜62の一部となる第1の誘電体膜58を形成する。
本実施形態において、第1の誘電体膜58をスパッタリング法により形成するのは、下部電極56上に、直接、MOCVD法により誘電体膜を形成した場合には、下部電極56の表面に異常酸化が生じ、良質な誘電体膜を形成することができないためである。本実施形態では、スパッタリング法により第1の誘電体膜58を形成した後に、MOCVD法により第2の誘電体膜60を形成し、これら第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を構成するため、下部電極56の表面に異常酸化が生じるのを回避することができ、良質なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能となる。
第1の誘電体膜58としては、例えばPbZrXTi1−XO3膜(PZT膜)を用いることができる。PZT膜は、Pbを含むペロブスカイト型の結晶構造を有する強誘電体膜である。キャパシタの耐疲労特性、インプリント特性等を向上させ、リーク電流を低減し、低電圧動作を可能とするためには、PZTにLa、Ca、Sr、Nb等の添加物を添加することが望ましい。また、かかる添加物の添加量はキャパシタのスイッチング電荷量に影響するため、かかる添加物の添加量は1〜5mol%程度とすることが望ましい。ここでは、Ca、La、及びSrを添加したPZTを第1の誘電体膜58の材料として用いる。Caの添加量は例えば5%、Laの添加量は例えば2%、Srの添加量は例えば2%とする。
なお、第1の誘電体膜58はPZT膜に限定されるものではない。本発明の原理は、Pb若しくはBiを含む強誘電体、又は、Pb若しくはBiを含む高誘電体をキャパシタ誘電体膜62の材料として用いる場合に広く適用することが可能である。例えば、第1の誘電体膜58として、例えばSrBi2Ta2O9膜(SBT膜)を形成してもよい。SBT膜は、Biを含むビスマス層状構造の強誘電体膜である。
また、PZTにLaが添加された材料より成るPbLa(Zr,Ti)O3膜(PLZT膜)を第1の誘電体膜58として形成してもよい。また、PZTにLa、Ca、Sr又はSiの少なくともいずれかが添加された材料を第1の誘電体膜58の材料として用いてもよい。
また、BiLaO3膜(BLT膜)、SrBi2(Ta,Nb)2O9膜(SBTN膜)、Bi4Ti3O9膜、(Bi,La)4Ti3O12膜、BiFeO3膜、SrBi4Ti4O15膜、又は(Bi1−XRX)Ti3O12膜(Rは希土類元素)等を第1の誘電体膜58として形成してもよい。
また、(Pb,Ba,Sr)TiO3等を第1の誘電体膜58して用いてもよい。これらは、Pbを含む高誘電体膜である。
また、(Bi,Sr)TiO3等を第1の誘電体膜58として用いてもよい。これらは、Biを含む高誘電体膜である。
第1の誘電体膜58の膜厚は、例えば1〜50nmとする。ここでは、第1の誘電体膜58の膜厚を20〜30nmとする。
次に、例えばRTA法により、酸素を含む雰囲気中にて第1の誘電体膜58を熱処理する。より具体的には、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスより成る雰囲気中にて、第1の誘電体膜58を熱処理する。
熱処理条件は以下の通りとする。熱処理温度は、例えば550〜800℃とする。ここでは、熱処理温度を580℃程度とする。酸素ガスの流量は、例えば25sccm以下とする。Arガスの流量は、例えば2000sccmとする。熱処理時間は、例えば30〜120秒とする。ここでは、熱処理時間を90秒程度とする。
適切な熱処理温度は、第1の誘電体膜58の種類によって異なる。例えば、第1の誘電体膜58の材料として、PZT、又は、添加物が添加されたPZTを用いる場合には、熱処理温度は600℃以下とすることが望ましい。また、第1の誘電体膜58の材料として例えばBSTを用いる場合には、熱処理温度は800℃以下とすることが望ましい。また、第1の誘電体膜58の材料としてBLTを用いる場合には、熱処理温度は700℃以下とすることが望ましい。
なお、ここでは、第1の誘電体膜58をスパッタリング法により形成する場合を例に説明したが、第1の誘電体膜58をゾル・ゲル法により形成してもよい。第1の誘電体膜58をゾル・ゲル法に形成した場合にも、下部電極56の表面に異常酸化が生じるのを防止しつつ、第1の誘電体膜58上にMOCVD法により良質な第2の誘電体膜60を形成することが可能である。
次に、図6(c)に示すように、全面に、例えばMOCVD法により、第2の誘電体膜60を形成する。第2の誘電体膜60としては例えばPZT膜を形成する。
PZT膜をMOCVD法により形成する際には、Pb、Zr、Tiの各液体原料を気化することにより原料ガスを生成し、かかる原料ガスを用いてPZT膜を形成する。
Pb、Zr、Tiの各液体原料は以下のようにして形成される。Pbの液体原料は、Pb(DPM)2を、THF(テトラヒドロフラン)より成る溶媒中に例えば0.3mol/lの濃度で溶解することにより形成される。また、Zrの液体原料は、Zr(dmhd)4を、THFより成る溶媒中に例えば0.3mol/lの濃度で溶解することにより形成される。また、Tiの液体原料は、[Ti(O−iOr)2(DPM)2]を、THFより成る溶媒中に例えば0.3mol/lの濃度で溶解することにより形成される。
PZTの原料ガスは、Pbの液体原料、Zrの液体原料及びTiの液体原料を、THFより成る溶媒とともに気化器に導入し、かかる液体原料を気化器により気化させることにより生成される。THFより成る溶媒の供給量は、例えば0.474ml/分とする。Pbの液体原料の供給量は、例えば0.326ml/分とする。Zrの液体原料の供給量は、例えば0.200ml/分とする。Tiの液体原料の供給量は、例えば0.200ml/分とする。
第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成する際の条件は、以下の通りとする。即ち、成膜室内の圧力は、例えば665Pa(5Torr)とする。基板温度は、例えば620℃とする。成膜時間は、例えば620秒とする。
このような条件で形成すると、例えば80nmのPZT膜より成る第2の誘電体膜60が形成される。
なお、第2の誘電体膜60はPZT膜に限定されるものではない。上述したように、本発明の原理は、Pb若しくはBiを含む強誘電体、又は、Pb若しくはBiを含む高誘電体をキャパシタ誘電体膜62の材料として用いる場合に広く適用することが可能である。例えば、第2の誘電体膜60として、例えばSrBi2Ta2O9膜(SBT膜)を形成してもよい。SBT膜は、上述したように、Biを含むビスマス層状構造の強誘電体膜である。
また、PZTにLaが添加された材料より成るPbLa(Zr,Ti)O3膜(PLZT膜)を第2の誘電体膜60として形成してもよい。また、PZTにLa、Ca、Sr又はSiの少なくともいずれかが添加された材料を第2の誘電体膜60の材料として用いてもよい。
また、BiLaO3膜(BLT膜)、SrBi2(Ta,Nb)2O9膜(SBTN膜)、Bi4Ti3O9膜、(Bi,La)4Ti3O12膜、BiFeO3膜、SrBi4Ti4O15膜、又は(Bi1−XRX)Ti3O12膜(Rは希土類元素)等を第2の誘電体膜60として形成してもよい。
また、(Pb,Ba,Sr)TiO3等を第2の誘電体膜60して用いてもよい。これらは、Pbを含む高誘電体膜である。
また、(Bi,Sr)TiO3等を第2の誘電体膜60として用いてもよい。これらは、Biを含む高誘電体膜である。
なお、ここでは、二層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成する場合、即ち、第1の誘電体膜58をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成し、第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成し、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を形成する場合を例に説明したが、キャパシタ誘電体膜62は二層構造に限定されるものではなく、単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。即ち、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。ただし、MOCVD法により形成された第2の誘電体膜60を含むキャパシタ誘電体膜62は、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成された単層構造のキャパシタ誘電体膜62と比較して、電気的特性が優れている。従って、電気的特性の良好な誘電体キャパシタ72を得る観点からは、第1の誘電体膜58をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成し、第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成し、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を形成することが望ましい。
次に、図7(a)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、上部電極70の一部となる第1の導電膜64を形成する。かかる第1の導電膜64としては、例えば結晶質のIrOX膜を形成する。IrOX膜の膜厚は、例えば50nm程度とする。IrOX膜の酸素の組成比Xは、例えば1.3〜1.9程度とする。
IrOX膜より成る第1の導電膜64の成膜条件は、例えば以下の通りとする。成膜温度は、例えば300℃とする。チャンバ内の雰囲気は、Arガス及びO2ガスの混合ガス雰囲気とする。Arガスの流量は例えば140sccmとする。O2ガスの流量は、例えば60sccmとする。スパッタパワーは、例えば1〜2kWとする。
次に、例えばRTA法により、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行う。かかる熱処理は、キャパシタ誘電体膜62を十分に結晶化させるとともに、IrOX膜より成る第1の導電膜64の膜質を向上させ、また、キャパシタ誘電体膜62中の酸素欠損を補償するためのものである。
熱処理を行う際の条件は、例えば以下の通りとする。熱処理温度は、例えば725℃程度とする。チャンバ内の雰囲気は、ArガスとO2ガスとの混合雰囲気とする。Arガスの流量は、2000sccmとする。O2ガスの流量は例えば20sccmとする。熱処理時間は、例えば60秒とする。
かかる熱処理により、下部電極56のうちの第1の導電膜52を構成する酸化プラチナが還元され、酸化プラチナ膜がPt膜(酸素を含むPt膜)となる。第1の導電膜52を構成する酸化プラチナ膜が還元されてPt膜(酸素を含むPt膜)に変化したとしても、第1の導電膜52中のPb又はBiは第1の導電膜52中にとどまる。第1の導電膜52中のPb又はBiが、下部電極56と酸素バリア膜50との界面にまで達してしまうことはない。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、上部電極70の一部となる第2の導電膜66を形成する。かかる第2の導電膜66としては、例えば膜厚100〜300nmのIrOY膜を形成する。かかるIrOY膜より成る第2の導電膜66は、化学量論的組成とすることが望ましい。即ち、IrOY膜の酸素の組成比Xを2とすることが望ましい。IrOY膜の組成を化学量論的組成とするのは、IrOY膜が水素に対して触媒作用を起こすことを防止し、これにより、キャパシタ誘電体膜62が水素ラジカルにより還元されてしまうのを防止するためである。IrOY膜の成膜条件は、例えば以下の通りとする。チャンバ内の雰囲気は、ArガスとO2ガスとの混合雰囲気とする。Arガスの流量は例えば100sccmとする。O2ガスの流量は、例えば100sccmとする。チャンバ内の圧力は、例えば0.8Paとする。スパッタパワーは、例えば1.0kWとする。このような成膜条件で例えば79秒間成膜を行うと、IrOY膜の膜厚は例えば200nm程度となる。
なお、ここでは、上部電極70を構成する第2の導電膜66としてIrOY膜を用いる場合を例に説明したが、上部電極70を構成する第2の導電膜66はIrOY膜に限定されるものではない。例えば、Ir、Ru、Ru酸化物、Rh、Rh酸化物、Re、Re酸化物、Os、Os酸化物、Pd、Pd酸化物等を、上部電極70を構成する第2の導電膜66の材料として形成してもよい。また、SrRuO3等の導電性酸化物を、上部電極70を構成する第2の導電膜66の材料として用いてもよい。また、これらの材料を用いた積層膜を、上部電極70を構成する第2の導電膜66として用いてもよい。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、上部電極70の一部となる第3の導電膜68を形成する。かかる第3の導電膜68としては、例えば膜厚50〜100nmのIr膜を形成する。かかる第3の導電膜68は、キャパシタ誘電体膜62が水素により還元されてしまうのを防止する水素バリア膜(水素拡散防止膜)として機能する。また、第3の導電膜68は、上部電極70と導体プラグ94との間で良好なコンタクトを確保するための導電性向上膜としても機能する。
第3の導電膜68の成膜条件は、例えば以下の通りとする。チャンバ内の雰囲気はArガス雰囲気とする。チャンバ内の圧力は、例えば1Paとする。スパッタパワーは、例えば1kWとする。
なお、ここでは、上部電極70を構成する第3の導電膜68としてIr膜を形成する場合を例に説明したが、かかる第3の導電膜68はIr膜に限定されるものではない。Ru膜、Rh膜又はPd膜等を第3の導電膜68として形成してもよい。
次に、半導体基板10の下面(裏面)を洗浄する。
次に、図7(b)に示すように、全面に、スパッタリング法により、TiN膜98を形成する。かかるTiN膜98は、上部電極70、キャパシタ誘電体膜62、下部電極56、酸素バリア膜50及び密着層48をパターニングする際に用いられるハードマスクの一部を構成するものである。
次に、全面に、TEOSガスを用いたCVD法により、膜厚700nmのシリコン酸化膜100を形成する。かかるシリコン酸化膜100は、TiN膜98と相俟って、上部電極70、キャパシタ誘電体膜62、下部電極56、酸素バリア膜50及び密着層48をパターニングする際に用いられるハードマスクの一部となるものである。
次に、図8(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、シリコン酸化膜100をキャパシタ72の平面形状にパターニングする。
次に、シリコン酸化膜100をマスクとしてTiN膜98をパターニングする。こうして、TiN膜98とシリコン酸化膜100とから成るハードマスク102が形成される。
次に、ハードマスク102をマスクとして、プラズマエッチング法により、第3の導電膜68、第2の導電膜66、第1の導電膜64、第2の誘電体膜60、第1の誘電体膜58、第2の導電膜54及び第1の導電膜52をパターニングする。これにより、第1の導電膜52と第2の導電膜54とから成る下部電極56が形成される。また、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とから成るキャパシタ誘電体膜62が形成される。また、第1の導電膜64と第2の導電膜66と第3の導電膜68とから成る上部電極70が形成される。下部電極56とキャパシタ誘電体膜62と上部電極70とによりキャパシタ72が構成される(図8(b)参照)。
次に、図9(a)に示すように、ドライエッチング又はウエットエッチングにより、ハードマスク102のうちのシリコン酸化膜100をエッチング除去する。
次に、TiN膜98をマスクとして、ドライエッチングにより、酸素バリア膜50及び密着層48をエッチングする。この際、キャパシタ72上に存在しているTiN膜98もエッチング除去されることとなる(図9(b)参照)。
次に、図10(a)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、水素バリア膜74を形成する。かかる水素バリア膜74としては、例えば膜厚20nmの酸化アルミニウム膜を形成する。
次に、酸素を含む雰囲気中にて熱処理を行う。かかる熱処理は、キャパシタ誘電体膜62に酸素を供給し、キャパシタ誘電体膜62の膜質を改善し、良好な電気的特性のキャパシタ72を得るためのものである。
熱処理を行う際の基板温度は、例えば550〜700℃とする。キャパシタ誘電体膜62としてPZT膜を用いる場合には、基板温度は例えば650℃とし、熱処理時間は例えば60分とする。なお、熱処理条件はこれに限定されるものではなく、適宜設定することができる。
次に、図10(b)に示すように、全面に、例えばCVD法により、水素バリア膜76を形成する。かかる水素バリア膜76としては、例えば膜厚20nmの酸化アルミニウム膜を形成する。
次に、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚1500nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜78を形成する。層間絶縁膜78を形成する際の原料ガスとしては、例えば、TEOSガスと酸素ガスとヘリウムガスとから成る混合ガスを用いる。
なお、ここでは、層間絶縁膜78としてシリコン酸化膜を形成する場合を例に説明したが、層間絶縁膜78はシリコン酸化膜に限定されるものではない。絶縁性の無機膜を層間絶縁膜78として適宜用いることが可能である。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜78の表面を平坦化する(図11(a)参照)。
次に、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、熱処理を行う。この熱処理は、層間絶縁膜78中の水分を除去するとともに、層間絶縁膜78の膜質を変化させ、層間絶縁膜78中に水分を入りにくくさせるためのものである。
次に、図11(b)に示すように、全面に、例えばスパッタ法又はCVD法により、水素バリア膜80を形成する。水素バリア膜80としては、膜厚20〜100nmの酸化アルミニウム膜を形成する。平坦化された層間絶縁膜78上に水素バリア膜80を形成するため、水素バリア膜80は平坦となる。
次に、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、層間絶縁膜82を形成する。層間絶縁膜82としては、例えば膜厚300〜500nmのシリコン酸化膜を形成する。
なお、ここでは、層間絶縁膜82としてシリコン酸化膜を形成する場合を例に説明したが、層間絶縁膜82はシリコン酸化膜に限定されるものではない。例えば、層間絶縁膜82としてSiON膜やシリコン窒化膜を形成してもよい。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜82の表面を平坦化する(図12(a)参照)。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、層間絶縁膜82、水素バリア膜80、層間絶縁膜78、水素バリア膜76、水素バリア膜74、層間絶縁膜40及び酸化防止膜38に、導体プラグ36に達するコンタクトホール84を形成する。
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚125nmのTiN膜86を形成する。こうして、TiN膜より成る密着層86が形成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚300nmのタングステン膜88を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜82の表面が露出するまで、タングステン膜88及び密着層86を研磨する。こうして、コンタクトホール84内に、タングステンより成る導体プラグ88が埋め込まれる。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、層間絶縁膜82、水素バリア膜80、層間絶縁膜78、水素バリア膜76及び水素バリア膜74に、キャパシタ72の上部電極70に達するコンタクトホール90を形成する。
次に、酸素雰囲気中にて熱処理を行う。この熱処理は、キャパシタ誘電体膜62に酸素を供給し、キャパシタ72の電気的特性を回復するためのものである。熱処理を行う際の基板温度は、例えば550℃とする。
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚125nmのTiN膜92を形成する。こうして、TiN膜より成る密着層92が形成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚300nmのタングステン膜94を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜82の表面が露出するまで、タングステン膜94及び密着層92を研磨する。こうして、コンタクトホール90内に、タングステンより成る導体プラグ94が埋め込まれる(図12(b)参照)。
次に、例えばスパッタ法により、膜厚60nmのTi膜、膜厚30nmのTiN膜、膜厚360nmのAlCu合金膜、膜厚5nmのTi膜、及び、膜厚70nmのTiN膜を順次成膜する。こうして、Ti膜、TiN膜、AlCu合金膜、Ti膜及びTiN膜より成る積層膜96が形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜96をパターニングする。こうして、積層膜より成る配線(第1金属配線層)96が形成される(図13参照)。
この後、配線96が形成された層間絶縁膜82上に、更に、層間絶縁膜(図示せず)、導体プラグ(図示せず)、配線(図示せず)等が複数層に亘って形成する。最上層には、シリコン酸化膜及びSiN膜より成るカバー膜(図示せず)を形成する。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
このように、本実施形態による半導体装置の製造方法は、酸化プラチナ又は酸化パラジウムより成る第1の導電膜52と、第1の導電膜52上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第2の導電膜54とにより下部電極56を形成することに主な特徴がある。酸化プラチナ等より成る第1の導電膜52は、Pb又はBiの拡散を防止する機能を有している。このため、本実施形態によれば、キャパシタ誘電体膜62に含まれているPb又はBiが下部電極56に達した場合であっても、下部電極56と酸素バリア膜50との界面にPb又はBiが達するのを防止することができる。このため、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができ、ひいては下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。また、Pt等より成る第2の導電膜54上には、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。従って、本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高いキャパシタ72を有する半導体装置を提供することができる。
(評価結果)
次に、本実施形態による半導体装置の評価結果を図14を用いて説明する。図14は、二次イオン質量分析法により求められたPbの濃度分布を示すグラフである。縦軸は質量分析器により得られたPbイオンの検出強度を示している。
図14(a)は本実施形態による半導体装置の場合、即ち、酸素バリア膜50上に酸化プラチナより成る第1の導電膜52とPtより成る第2の導電膜54とから成る下部電極56が形成され、かかる下部電極56上にPbを含むキャパシタ誘電体膜62が形成され、かかるキャパシタ誘電体膜62上に上部電極70が形成された半導体装置について、Pbの濃度分布を測定したものである。
一方、図14(b)は、比較例の場合、即ち、酸素バリア膜50上に、Ptより成る下部電極156が形成され、かかる下部電極156上にPbを含むキャパシタ誘電体膜62が形成され、かかるキャパシタ誘電体膜62上に上部電極70が形成された半導体装置について、Pbの濃度分布を測定したものである。
図14(b)から分かるように、比較例の場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPbの濃度ピークが酸素バリア膜50と下部電極256との界面に位置している。
比較例による半導体装置では、キャパシタ誘電体膜62を形成した後、又は、上部電極70を形成した後に、下部電極156が酸素バリア膜50上から剥がれた。
これに対し、本実施形態の場合には、図14(a)から分かるように、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPbの濃度ピークが下部電極56の内部に位置している。より具体的には、キャパシタ62から拡散したPbの濃度ピークは、第1の導電膜52と第2の導電膜54との界面に位置しており、下部電極56と酸素バリア膜50との界面から離間している。図14(a)から分かるように、下部電極56と酸素バリア膜50との界面におけるPbの濃度は、下部電極56の内部におけるPbの濃度ピークの100分の1以下であった。
本実施形態による半導体装置では、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれることはなかった。
このように、本実施形態によれば、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb等が下部電極56と酸素バリア膜50との界面に達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb等と反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、下部電極56と酸素バリア膜50との密着性が損なわれるのを防止することができ、ひいては下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置及びその製造方法を図15乃至図18を用いて説明する。図15は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図14に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図15を用いて説明する。
本実施形態による半導体装置は、導体プラグ46及び層間絶縁膜40上に平坦化層(下地層)104が形成されており、かかる平坦化層104上に、密着層48、酸素バリア膜50及びキャパシタ72が形成されていることに主な特徴がある。
CMP法により層間絶縁膜40に導体プラグ46を埋め込む際には、導体プラグ46の上部が過度に研磨され、導体プラグ46の上面の高さが層間絶縁膜40の上面の高さより低くなる場合がある。かかる場合には、導体プラグ46が埋め込まれた箇所に凹部106が形成されることとなる。かかる凹部106の深さは、例えば20〜50nm程度である。このような凹部106が形成された導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に密着層48を形成すると、かかる凹部106を反映して密着層48の表面にも凹部が形成される。そして、このような密着層48上に酸化防止膜50を形成すると、かかる凹部を反映して酸化防止膜50の表面にも凹部が形成される。このような凹部が形成された酸化防止膜50上には、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することは困難である。
本実施形態では、図15に示すように、導体プラグ46及び層間絶縁膜40上に凹部106を埋め込むように下地層104が形成されている。かかる下地層104の表面は、CMP法により平坦化されている。
下地層104上には、密着層48が形成されている。平坦な下地層(平坦化層)104上に密着層48が形成されているため、密着層48の表面は平坦となっている。
密着層48上には、酸素バリア膜50が形成されている。平坦な密着層48上に酸素バリア膜50が形成されているため、酸素バリア膜50の表面は平坦となっている。
酸素バリア膜50上には、下部電極56が形成されている。平坦な酸素バリア膜50上に下部電極56が形成されているため、配向性の良好な下部電極56が形成されている。
下部電極56上には、キャパシタ誘電体膜62が形成されている。平坦な下部電極56上にキャパシタ誘電体膜62が形成されているため、配向性の良好なキャパシタ誘電体膜62が形成されている。
キャパシタ誘電体膜62上には、上部電極70が形成されている。平坦なキャパシタ誘電体膜62上に上部電極70が形成されているため、配向性の良好な上部電極70が形成されている。
このように本実施形態によれば、平坦な下地層(平坦化層)104上に下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70が形成されているため、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。従って、本実施形態によれば、より電気的特性の良好なキャパシタ72を有する半導体装置を提供することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図16乃至図18を用いて説明する。図16乃至図18は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10に素子分離領域12を形成する工程から、導体プラグ36に達するコンタクトホール42を形成する工程までは、図2(a)乃至図4(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図16(a)参照)。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚30nmのTi膜を形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚20nmのTiN膜を形成する。これらTi膜とTiN膜とにより密着層44が構成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚300nmのタングステン膜46を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜40の表面が露出するまでタングステン膜46及び密着層44を研磨する。タングステン膜46及び密着層44を研磨する際には、タングステン膜46及び密着層44が過度に研磨され、図16(b)に示すように、導体プラグ46の上面の高さが層間絶縁膜40の上面の高さより低くなる場合がある。かかる場合には、導体プラグ46が埋め込まれた箇所に凹部106が形成されることとなる。かかる凹部106の深さは、例えば20〜50nm程度である。
次に、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する(プラズマ処理)。本実施形態において、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露するのは、層間絶縁膜40の表面の酸素原子をNH基に結合させることにより、後工程で層間絶縁膜40上にTi膜103を形成する際に、Ti原子が層間絶縁膜40の表面の酸素原子により捕捉されるのを防止するためである。
プラズマ処理の条件は以下の通りとする。プラズマ処理装置としては、平行平板型のプラズマ処理装置を用いる。対向電極の位置は、例えば半導体基板10から約9mm(350mils)離間した位置とする。プラズマ処理を行う際におけるチャンバ内の圧力は、例えば266Pa(2Torr)程度とする。基板温度は、例えば400℃とする。チャンバ内に導入するNH3ガスの流量は、例えば350sccmとする。半導体基板10に印加する高周波電力は、例えば13.56MHz、100Wとする。対向電極に印加する高周波電力は、例えば350kHz、55Wとする。高周波電力の印加時間は、例えば60秒とする。
なお、ここでは、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する場合を例に説明したが、かかるプラズマ雰囲気は、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に限定されるものではない。窒素を含むプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露すればよい。例えば、N2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理してもよい。
次に、図16(c)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、膜厚100nmのTi膜103を形成する。層間絶縁膜40の表面が上記のように処理されているため、層間絶縁膜30上に堆積されたTi原子は酸素原子により捕捉されることなく、層間絶縁膜40の表面を自在に移動することができる。このため、(002)の方向に自己配向された良質なTi膜103が層間絶縁膜40上に形成される。
Ti膜103を形成する際の条件は、例えば以下の通りとする。即ち、半導体基板10とターゲットとの間の距離は、例えば60mmとする。成膜室内の圧力は、0.15Paとする。成膜室以内の雰囲気は、例えばAr雰囲気とする。基板温度は、例えば室温とする。供給するDCパワーは、例えば2.6kWとする。DCパワーを供給する時間は、例えば5秒間とする。
次に、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)法により、窒素雰囲気中にて熱処理を行う。熱処理温度は、例えば650℃とする。熱処理時間は、例えば60秒とする。この熱処理により、上述したTi膜103がTiN膜104となる(図17(a)参照)。こうして、(111)配向のTiN膜より成る下地層104が得られる。
なお、ここでは、TiN膜より成る下地層104を形成する場合を例に説明したが、かかる下地層104はTiN膜に限定されるものではない。例えば、タングステン、シリコン、銅(Cu)等を下地層104の材料として形成してもよい。
次に、CMP法により、下地層104の表面を研磨する。こうして、表面が平坦化された平坦化層104が形成される(図17(b)参照)。本実施形態において、下地層104の表面を平坦化するのは、平坦化された下地層104上には、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することが可能なためである。
次に、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に下地層(平坦化層)104の表面を暴露することにより、下地層104の表面を処理する(プラズマ処理)。
本実施形態において、下地層104に対してプラズマ処理を行うのは、以下のような理由によるものである。即ち、下地層104をCMP法により平坦化した段階では、下地層104の表層部の結晶が研磨によって歪んだ状態となっている。表層部の結晶が歪んでいる下地層104上方には、結晶性の良好な下部電極56を形成することはできず、ひいては、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することはできない。これに対し、下地層104に対してプラズマ処理を行えば、下地層104の表層部の結晶の歪が、上層の膜に影響を与えなくなる。そうすると、下地層104上に、結晶性の良好な下部電極56及びキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能となる。このような理由により、本実施形態では、下地層104に対してプラズマ処理を行う。
この後、密着層48を形成する工程から第3の導電膜68、第2の導電膜66、第1の導電膜64、第2の誘電体膜60、第1の誘電体膜58、第2の導電膜54及び第1の導電膜52をパターニングする工程までは、図5(a)乃至図9(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図17(c)参照)。
次に、TiN膜98をマスクとして、ドライエッチングにより、酸素バリア膜50、密着層48及び平坦化層104をエッチングする。この際、キャパシタ72上に存在しているTiN膜98もエッチング除去される(図18(a)参照)。
この後の半導体装置の製造方法は、図10(a)乃至図13を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図18(b)参照)。
このように本実施形態によれば、導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に平坦な下地層(平坦化層)104を形成し、かかる平坦化層104上に下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成するため、導体プラグ46の上部が過度に研磨された場合であっても、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。従って、本実施形態によれば、より電気的特性の良好なキャパシタ72を有する半導体装置を提供することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置及びその製造方法を図19乃至図21を用いて説明する。図19は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図18に示す第1又は第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図19を用いて説明する。
本実施形態による半導体装置は、導体プラグ46の上部が過度に研磨されたことにより生じた凹部106内に平坦化層104aが埋め込まれていることに主な特徴がある。
図19に示すように、導体プラグ46の上部が過度に研磨されており、導体プラグ46の上部の高さは層間絶縁膜40の上面の高さより低くなっている。導体プラグ46が埋め込まれた箇所には凹部106が形成されている。かかる凹部106の深さは、例えば20〜50nm程度である。上述したように、このような凹部106が形成された導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に密着層48を形成すると、かかる凹部106を反映して密着層48の表面にも凹部が形成される。そして、このような密着層48上に酸化防止膜50を形成すると、かかる凹部を反映して酸化防止膜50の表面にも凹部が形成される。このような凹部が形成された酸化防止膜50上には、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することは困難である。
本実施形態では、図19に示すように、凹部106内には下地層104aが埋め込まれている。下地層104a及び層間絶縁膜40の表面は、CMP法により平坦化されている。このため、下地層104aの上面の高さと層間絶縁膜40の上面の高さとは等しくなっている。
下地層104a上及び層間絶縁膜40には、密着層48が形成されている。平坦な下地上に密着層48が形成されているため、密着層48の表面は平坦となっている。
密着層48上には、酸素バリア膜50が形成されている。平坦な密着層48上に酸素バリア膜50が形成されているため、酸素バリア膜50の表面は平坦となっている。
酸素バリア膜50上には、下部電極56が形成されている。平坦な酸素バリア膜50上に下部電極56が形成されているため、配向性の良好な下部電極56が形成されている。
下部電極56上には、キャパシタ誘電体膜62が形成されている。平坦な下部電極56上にキャパシタ誘電体膜62が形成されているため、配向性の良好なキャパシタ誘電体膜62が形成されている。
キャパシタ誘電体膜62上には、上部電極70が形成されている。平坦なキャパシタ誘電体膜62上に上部電極70が形成されているため、配向性の良好な上部電極70が形成されている。
このように本実施形態によれば、導体プラグ46が過度に研磨されることにより生じた凹部104内に下地層(平坦化層)104aが埋め込まれているため、平坦な下地上に下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。このため、本実施形態によれば、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。従って、本実施形態によれば、より電気的特性の良好なキャパシタ72を有する半導体装置を提供することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図20及び図21を用いて説明する。図20及び図21は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10に素子分離領域12を形成する工程から、導体プラグ36に達するコンタクトホール42を形成する工程までは、図2(a)乃至図4(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
この後、コンタクトホール42内に導体プラグ46を埋め込む工程から、熱処理によりTi膜103をTiN膜104とする工程までは、図16(b)乃至図17(a)に示す第2実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図20(a)参照)。
次に、CMP法により、層間絶縁膜40の表面が露出するまで下地層104を研磨する。こうして、凹部106内に平坦化層104aが埋め込まれる(図20(b)参照)。平坦化層104aの上面の高さと層間絶縁膜40の上面の高さとは等しくなる。
次に、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する(プラズマ処理)。本実施形態において、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露するのは、層間絶縁膜40の表面の酸素原子をNH基に結合させることにより、後工程で層間絶縁膜40上にTi膜47を形成する際に、Ti原子が層間絶縁膜40の表面の酸素原子により捕捉されるのを防止するためである。
プラズマ処理の条件は以下の通りとする。プラズマ処理装置としては、平行平板型のプラズマ処理装置を用いる。対向電極の位置は、例えば半導体基板10から約9mm(350mils)離間した位置とする。プラズマ処理を行う際におけるチャンバ内の圧力は、例えば266Pa(2Torr)程度とする。基板温度は、例えば400℃とする。チャンバ内に導入するNH3ガスの流量は、例えば350sccmとする。半導体基板10に印加する高周波電力は、例えば13.56MHz、100Wとする。対向電極に印加する高周波電力は、例えば350kHz、55Wとする。高周波電力の印加時間は、例えば60秒とする。
なお、ここでは、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理する場合を例に説明したが、かかるプラズマ雰囲気は、NH3ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に限定されるものではない。窒素を含むプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を曝露すればよい。例えば、N2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気に層間絶縁膜40の表面を暴露することにより、層間絶縁膜40の表面を処理してもよい。
次に、図20(c)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、膜厚20nmのTi膜47を形成する。層間絶縁膜40の表面が上記のように処理されているため、層間絶縁膜40上に堆積されたTi原子は酸素原子により捕捉されることなく、層間絶縁膜40の表面を自在に移動することができる。このため、(002)の方向に自己配向された良質なTi膜47が層間絶縁膜40上に形成される。
Ti膜47を形成する際の条件は、例えば以下の通りとする。即ち、半導体基板10とターゲットとの間の距離は、例えば60mmとする。成膜室内の圧力は、0.15Paとする。成膜室以内の雰囲気は、例えばAr雰囲気とする。基板温度は、例えば室温とする。供給するDCパワーは、例えば2.6kWとする。DCパワーを供給する時間は、例えば5秒間とする。
次に、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)法により、窒素雰囲気中にて熱処理を行う。熱処理温度は、例えば650℃とする。熱処理時間は、例えば60秒とする。この熱処理により、上述したTi膜47がTiN膜48となる(図21(a)参照)。こうして、(111)配向のTiN膜より成る密着層48が得られる。かかる密着層48は、後工程で形成される酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させるためのものである。
なお、ここでは、TiN膜より成る密着層48を形成する場合を例に説明したが、かかる密着層48はTiN膜に限定されるものではない。酸素バリア膜50の結晶性を向上させるとともに、かかる酸素バリア膜50と層間絶縁膜40との密着性を向上させ得る材料を、密着層48の材料として適宜用いることができる。例えば、Ti、Ti合金、Al、Al合金、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金、Re、Re合金、Ru、Ru合金、Pd、Pd合金、Os、Os合金、Rh、Rh合金、酸化プラチナ、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、又は、酸化パラジウム等を密着層48の材料として用いてもよい。
この後の半導体装置の製造方法は、図5(b)乃至13を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図21(b)参照)。
このように本実施形態によれば、導体プラグ46が過度に研磨されることにより生じた凹部104内に下地層(平坦化層)104aを埋め込むため、平坦な下地上に下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。このため、本実施形態によれば、配向性の良好な下部電極56、キャパシタ誘電体膜62及び上部電極70を形成することができる。従って、本実施形態によれば、より電気的特性の良好なキャパシタ72を有する半導体装置を提供することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による半導体装置及びその製造方法を図22乃至図25を用いて説明する。図22は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図21に示す第1乃至第3実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図22を用いて説明する。
本実施形態による半導体装置は、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、第1の導電膜52a上に形成された酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bと、第2の導電膜52b上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54とにより下部電極56が構成されていることに主な特徴がある。
図22に示すように、酸素バリア膜50上には、キャパシタ72aの下部電極56aが形成されている。下部電極56aは、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、第1の導電膜52a上に形成された酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bと、第2の導電膜52b上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54とを順次積層することにより形成されたものである。第1の導電膜52aの膜厚は、例えば50nmとする。第2の導電膜52bの膜厚は、例えば30nmとする。第3の導電膜54の膜厚は、例えば100nmとする。
本実施形態において、第3の導電膜54の下に、第1の導電膜52aと第2の導電膜52bとから成る積層膜を形成しているのは、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bとから成る積層膜は、PbやBiの拡散を防止する機能を有しているためである。
単層の酸化イリジウム膜や単層の酸化ルテニウム膜は、PbやBiの拡散を防止する機能は弱い。
しかし、酸化イリジウム膜や酸化ルテニウム膜を積層して成る積層膜は、PbやBiの拡散を防止する機能を有している。
即ち、酸化イリジウム膜52aと酸化イリジウム膜52bを順次積層して成る積層膜の場合には、酸化イリジウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとの界面においてPbやBiの拡散を停止させることが可能である。酸化イリジウム膜52aと酸化イリジウム膜52bを順次積層して成る積層膜の場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは酸化イリジウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとの界面に位置する。
また、酸化イリジウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、酸化イリジウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとの界面においてPbやBiの拡散を停止させることが可能である。酸化イリジウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは酸化イリジウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとの界面に位置する。
また、酸化ルテニウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、酸化ルテニウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとの界面においてPbやBiの拡散を停止させることが可能である。酸化ルテニウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは酸化ルテニウム膜52aと酸化イリジウム膜52bとの界面に位置する。
また、酸化ルテニウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、酸化ルテニウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとの界面においてPbやBiの拡散を停止させることが可能である。酸化ルテニウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとを順次積層して成る積層膜の場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは酸化ルテニウム膜52aと酸化ルテニウム膜52bとの界面に位置する。
このように、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bとから成る積層膜は、PbやBiの拡散を防止する機能を有している。
本実施形態によれば、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bとから成る積層膜を下部電極56aが有しているため、キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面まで達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれるのを防止することができ、下部電極56aが酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
また、本実施形態において、下部電極56を構成する第3の導電膜としてPt、Pt合金、Pd又はPd合金を用いているのは、Pt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54上には結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能なためである。
なお、下部電極56aを形成した後の熱処理により、下部電極56aの一部が還元される場合がある。即ち、下部電極56aを形成した後の熱処理により、下部電極56aのうちの第2の導電膜52bを構成する酸化イリジウム又は酸化ルテニウムが還元される場合がある。また、下部電極56aを形成した後の熱処理により、下部電極56aのうちの第1の導電膜52aを構成する酸化イリジウム又は酸化ルテニウムが還元される場合がある。第1の導電膜52aが還元された場合でも、第1の導電膜52a中にはある程度の酸素が残存する。第1の導電膜52aとして酸化イリジウム膜が用いられている場合には、酸化イリジウム膜52aは酸素を含むイリジウム膜となる。また、第1の導電膜52aとして酸化ルテニウム膜が用いられている場合には、酸化ルテニウム膜52aは酸素を含むルテニウム膜となる。また、第2の導電膜52bが還元された場合にも、第2の導電膜52b中にはある程度の酸素が残存する。第2の導電膜52bとして酸化イリジウム膜が用いられている場合には、酸化イリジウム膜52bは酸素を含むイリジウム膜となる。また、第2の導電膜52bとして酸化ルテニウム膜が用いられている場合には、酸化ルテニウム膜52bは酸素を含むルテニウム膜となる。第1の導電膜52a及び第2の導電膜52bが還元された場合であっても、第1の導電膜52a中及び第2の導電膜52b中には酸素が残存するため、下部電極56aのうちの酸素バリア膜50側の酸素濃度は、下部電極56aのうちのキャパシタ誘電体膜62側の酸素濃度より高い状態となっている。
なお、極めてわずかなPb又はBiが、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面に達してもよい。下部電極56aと酸素バリア膜50との界面に達するPb又はBiが極めてわずかであれば、酸素バリア膜50と下部電極56aとの界面における密着性は殆ど損なわれず、下部電極56aが酸素バリア膜50上から剥がれることはないためである。キャパシタ誘電体膜62の材料としてPbを含む強誘電体又は高誘電体が用いられている場合、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面におけるPbの濃度が、下部電極56a中におけるPbのピーク値の50分の1以下であれば、酸素バリア膜50と下部電極56aとの間の密着性は十分に確保され、下部電極56aが酸素バリア膜50上から剥がれることはない。また、キャパシタ誘電体膜62の材料としてBiを含む強誘電体又は高誘電体が用いられている場合、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面におけるBiの濃度が、下部電極56a中におけるBiのピーク値の50分の1以下であれば、酸素バリア膜50と下部電極56aとの間の密着性は十分に確保され、下部電極56aが酸素バリア膜50上から剥がれることはない。ただし、下部電極56aと酸素バリア膜50との間で極めて高い密着性を確保する観点からは、下部電極56aと酸素バリア膜50の界面にPb又はBiが存在しないことが望ましい。
下部電極56a上には、キャパシタ誘電体膜62が形成されている。キャパシタ誘電体膜62は、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成された第1の誘電体膜58と、MOCVD法により形成された第2の誘電体膜60とにより構成されている。
なお、ここでは、二層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成する場合、即ち、第1の誘電体膜58をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成し、第2の誘電体膜60をMOCVD法により形成し、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とによりキャパシタ誘電体膜62を形成する場合を例に説明したが、キャパシタ誘電体膜62は二層構造に限定されるものではなく、単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。即ち、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により単層構造のキャパシタ誘電体膜62を形成してもよい。
キャパシタ誘電体膜62上には、キャパシタ72の上部電極70が形成されている。上部電極70は、例えば膜厚50nmのIrOX膜より成る第1の導電膜64と、膜厚100〜300nmのIrOY膜より成る第2の導電膜66と、膜厚50〜150nmのIr膜より成る第3の導電膜68とを順次積層することにより形成されている。
こうして、下部電極56aとキャパシタ誘電体膜62と上部電極70とを有するキャパシタ72aが構成されている。
このように、本実施形態による半導体装置は、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、第1の導電膜52a上に形成された酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bと、第2の導電膜52b上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54とにより下部電極56が構成されていることに主な特徴がある。
本実施形態によれば、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aと、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bとから成る積層膜を下部電極56aが有しているため、キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面まで達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。このため、本実施形態によっても、下部電極56aと酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれるのを防止することができ、下部電極56aが酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。また、Pt、Pt合金、Pd、Pd合金より成る第3の導電膜54上には、結晶性の良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。より具体的には、Pt等より成る第2の導電膜54上には、ウェハ面内で結晶性が均一なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能であり、また、表面モフォロジの良好なキャパシタ誘電体膜62を形成することが可能である。従って、本実施形態によれば、電気的特性が良好で信頼性の高いキャパシタ72aを有する半導体装置を提供することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図23及び図25を用いて説明する。図23乃至図25は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10に素子分離領域12を形成する工程から、酸素バリア膜50を形成する工程までは、図2(a)乃至図5(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図23(a)参照)。
次に、図23(b)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、結晶質の酸化イリジウム又は結晶質の酸化ルテニウムより成る第1の導電膜52aを形成する。第1の導電膜52aの膜厚は、例えば50〜100nmとする。第1の導電膜52aの成膜条件は以下の通りとする。チャンバ内に導入するArガスの流量は100sccmとする。また、チャンバ内に導入するO2ガスの流量は100sccmとする。スパッタパワーは、例えば2kWとする。基板温度は、例えば300℃とする。
なお、ここでは、第1の導電膜52aとして酸化イリジウム膜又は酸化ルテニウム膜を形成する場合を例に説明したが、第1の導電膜52aは酸化イリジウム膜や酸化ルテニウム膜に限定されるものではない。第1の導電膜52aとして結晶質のIr膜やRuO2膜を形成してもよい。
次に、図23(c)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、非晶質の酸化イリジウム又は非晶質の酸化ルテニウムより成る第2の導電膜52bを形成する。第2の導電膜52bの膜厚は、例えば30nmとする。第2の導電膜52bとして非晶質の酸化イリジウム膜又は酸化ルテニウム膜を形成するのは、結晶質の酸化イリジウム膜又は結晶質の酸化ルテニウム膜上に、良好な結晶性を有するPt膜、Pt合金膜、Pd膜又はPd合金膜を形成することは困難なためである。本実施形態では、非晶質の酸化イリジウム膜52b又は非晶質の酸化ルテニウム膜52b上にPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54を形成するため、良好な結晶性を有する第3の導電膜54を形成することが可能である。
次に、図24(a)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法により、Pt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜54を形成する。第3の導電膜54の膜厚は、例えば100nmとする。第3の導電膜54の成膜条件は以下の通りとする。チャンバ内に導入するArガスの流量は例えば199sccmとする。スパッタパワーは、例えば0.3kWとする。基板温度は例えば400℃とする。
次に、RTA法により、不活性ガスより成る雰囲気中にて熱処理を行う。不活性ガスとしては、Arガス、N2ガス又はN2Oガスを用いることができる。熱処理温度は、例えば650〜750℃とする。熱処理時間は、例えば60〜120秒程度とする。かかる熱処理は、各層の密着性を向上するとともに、下部電極56aの結晶性を向上するためのものである。この熱処理により、第1の導電膜54a及び第2の導電膜54bを構成する酸化イリジウム膜又は酸化ルテニウム膜が部分的に還元され、下部電極56aの結晶性が向上する。
この後、第1の誘電体膜58を形成する工程からハードマスク102を形成する工程までは、図6(b)乃至図8(a)を用いて上述した半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する(図24(b)参照)。
次に、ハードマスク102をマスクとして、プラズマエッチング法により、第3の導電膜68、第2の導電膜66、第1の導電膜64、第2の誘電体膜60、第1の誘電体膜58、第3の導電膜54、第2の導電膜52b及び第1の導電膜52aをパターニングする。これにより、第1の導電膜52aと第2の導電膜52bと第3の導電膜54とから成る下部電極56aが形成される。また、第1の誘電体膜58と第2の誘電体膜60とから成るキャパシタ誘電体膜62が形成される。また、第1の導電膜64と第2の導電膜66と第3の導電膜68とから成る上部電極70が形成される。下部電極56aとキャパシタ誘電体膜62と上部電極70とによりキャパシタ72aが構成される(図25(a)参照)。
この後の半導体装置の製造方法は、図9(a)乃至図13を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
こうして本実施形態による半導体装置が製造される(図25(b)参照)。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、第4実施形態では、密着層48の下に平坦化層104(図15参照)を形成することなく、導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に、密着層48、酸素バリア膜50及びキャパシタ72aを形成する場合を例に説明したが、導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に平坦化層104を形成し、かかる平坦化層104上に、密着層48、酸素バリア膜50及びキャパシタ72aを形成してもよい。
また、第4実施形態では、密着層48の下に平坦化層104a(図19参照)を形成することなく、導体プラグ46上及び層間絶縁膜40上に、密着層48、酸素バリア膜50及びキャパシタ72aを形成する場合を例に説明したが、導体プラグ46上の凹部106に平坦化層104aを埋め込み、かかる平坦化層104a及び層間絶縁膜40上に、密着層48、酸素バリア膜50及びキャパシタ72aを形成してもよい。
また、上記実施形態では、導体プラグ36上に更に導体プラグ46を形成し、かかる導体プラグ46上にキャパシタ72、72aを形成する場合を例に説明したが、導体プラグ46を形成することなく、導体プラグ36上にキャパシタ72、72aを形成してもよい。
また、第1乃至第3実施形態では、第1の導電膜52と第2の導電膜54との積層膜により下部電極56を構成する場合を例に説明したが、第1の導電膜52と第2の導電膜54との間に酸化イリジウム膜を形成してもよい。即ち、第1の導電膜52と酸化イリジウム膜と第2の導電膜54とを順次積層して成る積層膜により下部電極56を構成してもよい。この場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは、第1の導電膜52と酸化イリジウム膜との界面に位置する。この場合にも、キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが、下部電極56と酸素バリア膜50との界面まで達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。従って、下部電極56と酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれるのを防止することができ、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
また、第1乃至第3実施形態では、第1の導電膜52と第2の導電膜54との積層膜により下部電極56を構成する場合を例に説明したが、第1の導電膜52と第2の導電膜54との間に酸化ルテニウム膜を形成してもよい。即ち、第1の導電膜52と酸化ルテニウム膜と第2の導電膜54とを順次積層して成る積層膜により下部電極56を構成してもよい。この場合には、キャパシタ誘電体膜62から拡散したPb又はBiの濃度ピークは、第1の導電膜52と酸化ルテニウム膜との界面に位置する。この場合にも、キャパシタ誘電体膜62に含まれるPb又はBiが、下部電極56と酸素バリア膜50との界面まで達するのを防止することができ、酸素バリア膜50がPb又はBiと反応するのを防止することができる。従って、下部電極56と酸素バリア膜50との界面における接着強度が損なわれるのを防止することができ、下部電極56が酸素バリア膜50上から剥がれるのを防止することができる。
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
半導体基板上に形成されたトランジスタと、
前記半導体基板及び前記トランジスタを覆う絶縁層と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記トランジスタのソース/ドレイン拡散層に電気的に接続された導体プラグと、
前記絶縁層及び前記導体プラグ上方に形成され、第1の導電膜と、前記第1の導電膜上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第2の導電膜とを有する下部電極と;前記下部電極上に形成された強誘電体又は高誘電体より成るキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタとを有し、
前記キャパシタ誘電体膜は、Pb又はBiである第1の元素を含み、
前記キャパシタ誘電体膜から前記下部電極中に拡散した前記第1の元素の濃度ピークが、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との界面に位置している
ことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
付記1記載の半導体装置において、
前記第1の導電膜は、酸化プラチナ膜、酸化パラジウム膜、酸素を含むプラチナ膜、又は、酸素を含むパラジウム膜である
ことを特徴とする半導体装置。
(付記3)
半導体基板上に形成されたトランジスタと、
前記半導体基板及び前記トランジスタを覆う絶縁層と、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記トランジスタのソース/ドレイン拡散層に電気的に接続された導体プラグと、
前記絶縁層及び前記導体プラグ上方に形成され、第1の導電膜と、前記第1の導電膜上に形成された第2の導電膜と、前記第2の導電膜上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜とを有する下部電極と;前記下部電極上に形成された強誘電体又は高誘電体より成るキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタとを有し、
前記キャパシタ誘電体膜は、Pb又はBiである第1の元素を含み、
前記キャパシタ誘電体膜から前記下部電極中に拡散した前記第1の元素の濃度ピークが、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との界面に位置している
ことを特徴とする半導体装置。
(付記4)
付記3記載の半導体装置において、
前記第1の導電膜は、酸化イリジウム膜、酸化ルテニウム膜、酸素を含むイリジウム膜、又は、酸素を含むルテニウム膜であり、
前記第2の導電膜は、酸化イリジウム膜、酸化ルテニウム膜、酸素を含むイリジウム膜、又は、酸素を含むルテニウム膜である
ことを特徴とする半導体装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記導体プラグと前記第1の導電膜との間に形成され、前記導体プラグの表面の酸化を防止する導電性の酸素バリア膜を更に有し、
前記酸素バリア膜は、TiAlN、TiAlON、TaAlN、又は、TaAlONより成る
ことを特徴とする半導体装置。
(付記6)
付記5記載の半導体装置において、
前記絶縁層と前記酸素バリア膜との間に形成され、前記酸素バリア膜の結晶性を向上するとともに、前記酸素バリア膜と前記絶縁層との密着性を向上するための導電性の密着層を更に有する
ことを特徴とする半導体装置。
(付記7)
付記6記載の半導体装置において、
前記密着層は、TiN、Ti、Ti合金、Al、Al合金、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金、Re、Re合金、Ru、Ru合金、Pd、Pd合金、Os、Os合金、Rh、Rh合金、酸化プラチナ、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、又は、酸化パラジウムより成る
ことを特徴とする半導体装置。
(付記8)
下部電極と、前記下部電極上に形成された強誘電体又は高誘電体より成るキャパシタ誘電体膜と、前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、前記トランジスタのソース/ドレイン拡散層に電気的に接続された導体プラグを埋め込む工程と、
前記絶縁層及び前記導体プラグ上方に、酸化プラチナ又は酸化パラジウムより成る第1の導電膜と、前記第1の導電膜上に形成された、Pt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第2の導電膜とを有する前記下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、Pb又はBiを含む前記キャパシタ誘電体膜を形成する工程と、
前記キャパシタ誘電体膜上に前記上部電極を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9)
付記8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の導電膜の膜厚は、20nm〜100nmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10)
下部電極と、前記下部電極上に形成された強誘電体又は高誘電体より成るキャパシタ誘電体膜と、前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、前記トランジスタのソース/ドレイン拡散層に電気的に接続された導体プラグを埋め込む工程と、
前記絶縁層及び前記導体プラグ上方に、酸化ルテニウム又は酸化イリジウムより成る第1の導電膜と、前記第1の導電膜上に形成された酸化ルテニウム又は酸化イリジウムより成る第2の導電膜と、前記第2の導電膜上に形成されたPt、Pt合金、Pd又はPd合金より成る第3の導電膜とを有する前記下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、Pb又はBiを含む前記キャパシタ誘電体膜を形成する工程と、
前記キャパシタ誘電体膜上に前記上部電極を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11)
付記8乃至10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記下部電極を形成する工程の後、前記キャパシタ誘電体膜を形成する工程の前に、不活性ガスより成る雰囲気中で熱処理を行うことにより、前記下部電極を部分的に還元する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12)
付記11記載の半導体装置の製造方法において、
前記不活性ガスは、Arガス、N2ガス又はN2Oガスである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13)
付記8乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記キャパシタ誘電体膜を形成する工程では、スパッタリング法又はゾル・ゲル法により前記キャパシタ誘電体膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
付記8乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記キャパシタ誘電体膜を形成する工程は、前記下部電極上に第1の誘電体膜をスパッタリング法又はゾル・ゲル法により形成する工程と;前記第1の誘電体膜上に第2の誘電体膜を有機金属化学気相成長法により形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15)
付記8乃至14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記導体プラグを埋め込む工程の後、前記第1の導電膜を形成する工程の前に、前記導体プラグの表面の酸化を防止する導電性の酸素バリア膜を形成する工程を更に有し、
前記酸素バリア膜は、TiAlN、TiAlON、TaAlN、又は、TaAlONより成る
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記16)
付記15記載の半導体装置の製造方法において、
前記導体プラグを埋め込む工程の後、前記酸素バリア膜を形成する工程の前に、前記酸素バリア膜の結晶性を向上するとともに、前記酸素バリア膜と前記絶縁層との密着性を向上するための導電性の密着層を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記17)
付記16記載の半導体装置の製造方法において、
前記導体プラグを埋め込む工程の後、前記密着層を形成する工程の前に、前記絶縁層の表面及び前記導体プラグの表面を、窒素を含むプラズマに曝す工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記18)
付記17記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素を含むプラズマは、NH3プラズマ又はN2プラズマより成る
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記19)
付記15記載の半導体装置の製造方法において、
前記導体プラグを埋め込む工程の後、前記酸素バリア膜を形成する工程の前に、下地層を形成する工程と;前記下地層の表面を研磨することにより、前記下地層の表面を平坦化する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記20)
付記15記載の半導体装置の製造方法において、
前記導体プラグを埋め込む工程の後、前記酸素バリア膜を形成する工程の前に、前記導体プラグが埋め込まれた箇所に生じた凹部に、下地層を埋め込む工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。