JP4938475B2 - 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車 - Google Patents

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Description

本発明は、浸炭歯車用鋼およびそれを用いた浸炭歯車に関し、JIS SCM822 肌焼鋼と同等の回転曲げ疲労強度を備え、特に高い衝撃疲労強度が要求される自動車および各種産業機械用として好適なものに関する。
自動車等に用いられている歯車は、近年、省エネルギー化による車体重量の軽量化に伴い小型化が要求されているが、一方ではエンジンの高出力化により負荷が増大しているため、耐久性の向上が課題とされている。
一般的に歯車の耐久性は、歯の耐衝撃破壊、歯元の曲げ疲労破壊ならびに歯面の面圧疲労破壊によって決定される。
衝撃的な応力がかかる部分、例えば自動車のデファレンシャル等で使用される歯車では、高い衝撃荷重により破壊が早期に起こる場合があるため、衝撃特性の向上が種々検討されている(特許文献1〜5)。
すなわち、特許文献1には、浸炭層の靭性を向上するためにMoを添加し、浸炭層の粒界強度を低下させるMn、Cr、Pを少なくすることおよびMo/(10Si+100P+Mn+Cr)により求まる値の下限を規定することと、浸炭硬化層深さの範囲を規定することにより衝撃特性を向上させることが提案されている。
特許文献2には焼入れの冷却速度範囲を成分組成に応じた適正範囲に制御することにより、歯車の内部をマルテンサイトとベイナイトの混合組織として靭性を向上させることが提案されている。
特許文献3には、特許文献2と同様にミクロ組織を規定するもので、ミクロ組織をマルテンサイトと、内部の靭性を向上させるトルースタイトの混合組織とし、MnとCrの添加量の範囲を規定し、Mo添加量を規制してトルースタイトの量を制限することで内部硬度の低下を抑える方法が提案されている。
さらに、特許文献4には特許文献3記載の成分組成にMoを添加した鋼が提案されている。特許文献5には成分組成においてMn、Cr、Moの複合添加量を制限して鋼材の硬さを抑え、冷間鍛造性を損なうこと無く衝撃特性を向上させた傘歯車用鋼材が提案されている。
特公平7−100840号公報 特許3094856号公報 特許第3329177号公報 特許第3733504号公報 特許第3319684号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、衝撃特性を向上出来たとしても、高価な合金であるMoを多量に添加させるか、Moを多く入れない場合には浸炭時間を大幅に延長させることが必要で、製品コストまたは製造コストの大幅な増加を招いてしまう。
特許文献2記載の方法では、ミクロ組織中にベイナイト組織を含むので靭性を向上させて衝撃値を高めることは可能である。
しかし、内部にベイナイト組織が含まれると、内部硬さは低下するために歯車が衝撃で変形しやすくなり、衝撃力が繰り返されると破損することが懸念される。
特許文献3記載の方法では、MnとCrの複合添加量を指定し、Mo添加量を規制するので、表層付近で発生する粒界酸化が多くなり、Mn,Crの酸化物が形成されるために焼入れ性が低下し、表層に不完全焼入れ層が形成される。
そのため、内部硬度が確保出来たとしても表層の硬さ低下による表層からの破壊が発生しやすくなり、結果的に衝撃疲労を含むすべての疲労強度が低下してしまう。
特許文献4記載の方法の場合、Moを添加してもトルースタイトにより歯車内部の硬度低下が発生するため、衝撃特性が向上したとしても内部起因の曲げ疲労などの疲労強度が低下する。特許文献5記載の方法の場合、歯車を熱間鍛造で整形する場合は硬度が低く、衝撃以外の疲労強度が低下する。
そこで、本発明は、歯車としての特性を劣化させずに、優れた衝撃疲労強度が得られる低コストな歯車用鋼およびそれを用いた歯車を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するため、生産コストとして安価な、従来から用いられている浸炭工法により、優れた耐衝撃疲労強度が得られる低コストな成分組成の歯車用鋼について鋭意検討を行った。
その結果、歯車の場合、繰返される衝撃応力に対して衝撃力による変形を起こさないことが必要で、そのためには適切な硬度分布およびそれに影響を及ぼす粒界酸化層深さと内部硬度を得る事が重要であることを知見し、以下の成分設計指針を得た。
1.衝撃疲労特性の向上には旧オーステナイト粒界の強化が最も重要であり、Pを低減して旧オーステナイト粒界の脆化を抑制する。
2.さらに鋼中にBを固溶させて旧オーステナイト粒界に優先的に偏析させ、Pの粒界偏析を抑制する。
3.固溶Bを鋼中に存在させるには、Bとの結合力の強いNをTiまたはAlで結合させるが、Tiを用いた場合に溶製時に析出するTiNは比較的大きく、鋭利で硬質な介在物のため、疲労の起点となり易く、面疲労強度および曲げ疲労強度が低下する。
4.Alを添加してB,Nとの平衡関係を利用してN固定をした場合、BN,AlNが鋼中に析出する。AlNは微細なため、結晶粒は微細化し、衝撃疲労強度が向上する。また、AlNは微細なために疲労の起点にはならずTi添加よりも疲労強度向上が図られる。
5.衝撃疲労強度には粒界酸化層深さと内部の硬さおよび浸炭硬度分布(硬化層深さ)のバランスが大切であり、最適な範囲が存在する。
本発明は得られた知見に更に検討を加えてなされたもので、すなわち本発明は、
1.mass%で、C:0.16〜0.30%、Si:0.40%未満、Mn:0.50%以上、P:0.015%以下、Cu:0.30%以下、Cr:2.00%未満、Mo:0.16〜0.50%、Al:0.060〜0.110%、B:0.0004%以上、N:0.0065%以下を含有し、(1)式を満足する残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、浸炭焼入れ・焼戻し後に得られる有効硬化層深さE、内部硬度D、粒界酸化層深さPについて(2)式のS値を満足する耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼。
I(=14/27×Al+14/10.8×B−N)≧0.03・・・(1)
但し、(1)式中のAl、B、Nは含有量(mass%)を示す。
170≦S(=E/2×D-P/2)≦250 ・・・(2)
但し、E:有効硬化層深さ(mm)、D:内部硬度(HV)、P:粒界酸化層深さ(μm)を示す。
2.更に、mass%で、Ti:0.020%未満、Nb:0.050%以下,V:0.030〜0.200%のいずれか1種以上を添加する1記載の耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼。
3.1または2に記載の鋼材を用いて、機械加工、あるいは鍛造後に機械加工を行い歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施す事により得られる、耐衝撃疲労特性に優れた歯車。
4.3の工程により歯車形状とした後、さらに歯面にショットピーニングあるいは研磨加工を施した、耐衝撃疲労特性に優れた歯車。
本発明によれば、従来鋼に対し同等以上の曲げ疲労強度を備えた歯車で、優れた衝撃疲労強度を備えるものが得られ産業上極めて有用である。
以下に本発明の成分元素の限定理由について述べる。説明において%はmass%とする。
C:0.16〜0.30%
Cは強度確保のために必要であり、その量は内部硬さを決定する。その量が0.16%に満たないと表面硬さが300HV以下にまで低下し、歯車としての強度を確保できない。また、0.30%を超えると素材硬さが上昇しすぎるために加工性が低下し、生産コストが上昇するので、0.16〜0.30%とする。
Si:0.40%未満
Siは酸化されやすい元素であり、浸炭表面での粒界酸化を助長させ、不完全焼入層を生成する。含有量が0.40%以上で顕著となるため、0.40%未満とする。
Mn:0.50%以上
Mnは焼き入れ性を高める元素であるが添加量が0.50%未満では焼入れ性が確保できない。よってMn添加量は0.50%以上とする。
P:0.015%以下
Pは粒界に偏析して粒界を脆化させ粒界強度を低下させる。添加量が増えるほど疲労の亀裂の発生・伝播が起こりやすくなるため0.015%以下とする。
Cu:0.30%以下
Cuは圧延や鍛造等の熱間加工性を低下させ、歯車等に加工した場合に加工精度が悪くなり疲労特性が低下するので0.30%以下とする。
Cr:2.00%未満
Crは焼入れ性向上元素であるとともに、焼戻し軟化抵抗を高める元素である。しかしその添加量が2.00%以上の場合は軟化抵抗を高める効果は飽和し、焼入れ性が高くなりすぎるため歯車内部の靭性が劣化し、衝撃値が低くなるばかりでなく曲げ疲労強度が低下する。よって、Cr添加量は2.00%未満に限定した。
Mo:0.16〜0.50%
Moは焼入れ性を向上させるのに有効な元素であるが0.16%未満では焼入れ性が確保できないため、0.16%以上とする。Moは高価な元素でもあるため、0.50%を上限とし、0.16〜0.50%とする。
Al:0.060〜0.110%
AlはNとBとの平衡において固溶Bを確するために必要な元素である。その添加量が0.060%未満ではその効果が得られず、0.110%を超えて添加すると溶製時において鋳造異常等の恐れがあるため、0.060〜0.110%とする。
B:0.0004%以上
Bは鋼中に固溶して粒界偏析し焼入れ性を向上させ、低Si化による焼入れ性の低下を補う。また、Pの粒界偏析を妨げ、粒界強度を向上させて疲労特性を改善するため0.0004%以上とする。
N:0.0065%以下
NはBと結合してBNを生成するので固溶Bの確保のためにはNは低いほど良い。しかし、AlとNとBの平衡関係においてNが0.0065%以下であれば固溶Bの確保は可能となるため、0.0065%以下とする。
I(=14/27×Al+14/10.8×B−N) :0.03以上
本パラメータIは、衝撃疲労強度を向上させる固溶Bの確保のためにAl,B,Nのバランスを決める指標で、本パラメータIの値が0.03未満の場合は鋼中に固溶するBの確保が出来なくなるため0.03以上とする。式中のAl、B、Nは含有量(mass%)を示す。
以上が本発明の基本成分組成であるが、更に特性を向上させる場合、Ti、Nb、Vの一種または二種以上を添加する。
Ti:0.020%未満
TiはNと最も結合しやすく固溶Bの確保には有効な元素である。しかし、過剰に添加されると硬くて鋭利な形状の粗大なTiNが多く形成され、曲げ疲労や衝撃疲労の破壊の起点となり、強度を低下させる。その影響は0.020%以上の添加で顕著である。よってTiを添加する場合は、0.020%未満とする。
Nb:0.050%以下
Nbは結晶粒を微細化させて粒界を強化して疲労強度を向上させるが、その効果は0.050%で飽和する。よってNbを添加する場合は0.050%以下とする。
V:0.030〜0.200%
Vには、浸炭後の内部強度を上昇させて全体の疲労強度を向上させる。その効果は0.030%以上で現れるが0.200%を超えると飽和するのでVを添加する場合は0.030〜0.200%とする。
尚、不可避不純物としてのSおよび酸素含有量は、コストが許す範囲内で出来るだけ低いほうが望ましい。また、被削性を向上させるために必要に応じて、S、Pb、Se、Ca等の快削元素を含有させてもよい。
170≦S(=E/2×D-P/2)≦250
(但し、E:有効硬化層深さ(mm)、D:内部硬度(HV)、P:粒界酸化層深さ(μm))
本パラメータSは、優れた耐衝撃疲労特性を付与するためのもので、170以上、250以下とする。表1のNo.1〜3の丸棒鋼を用いて衝撃疲労試験片を作成し、種々の条件で浸炭焼入れ・焼戻しを行い、粒界酸化層深さ,内部硬度,有効硬化層深さの異なる衝撃疲労試験片を作成し、衝撃疲労試験を実施した。表2と図4に結果を示す。
Figure 0004938475
Figure 0004938475
衝撃疲労試験結果は、E:有効硬化層深さ(mm)、D:内部硬度(HV)、P:粒界酸化層深さ(μm)によるパラメータS(=E/2×D-P/2)で整理され、パラメータSの値が170以上、250以下で衝撃疲労強度が2.5N・m以上の優れた衝撃疲労試験結果が得られる。
有効硬化層深さを0.98mm以上、粒界酸化層を12μm以上、内部硬度を417Hv以上とすると、回転曲げ疲労強度650MPa以上の優れた回転曲げ疲労特性が得られ、自動車および各種産業機械用として、より好適である。
尚、パラメータSを算出する際のE、D、Pにはそれぞれの単位系における数値自体を用いる。
本発明に係る歯車用鋼から歯車を作成する場合は、常法により溶解鋳造してビレットとし、熱間圧延後、歯車としての予備成形を行う。
次に、機械加工、あるいは鍛造後に機械加工を行い歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施し、必要に応じて更に歯面にショットピーニングあるいは研磨加工を施して最終製品とする。浸炭焼入れ処理は、浸炭温度900〜1050℃、焼入れ温度800〜900℃とし、焼戻しは120〜250℃の範囲とする。
表3に示す化学成分を有する鋼を溶解し供試鋼とした。表中、No.1〜15は、本発明範囲内の組成の本発明鋼であり、No.16〜28は本発明範囲外の比較鋼である。No.29はJISSCM822肌焼鋼の従来鋼である。
溶製された上記の本発明鋼,比較鋼,従来鋼のインゴットを熱間圧延により直径32mmの丸棒鋼に調製し、得られた丸棒鋼に対し焼準処理を実施した。
焼準処理後の丸棒から20mmφの丸棒、小野式回転曲げ疲労試験片,衝撃疲労試験片を採取した。丸棒および各疲労試験片に対して、図1に示す条件の、浸炭焼入れ・焼戻しを施した後、表面硬度,内部硬度,有効硬化層深さの調査、および衝撃疲労試験と回転曲げ疲労試験を実施した。以下にそれぞれの調査内容について詳細に説明する。
粒界酸化層深さ、有効硬化層深さ、表面硬度、内部硬度調査
発明鋼、比較鋼および従来鋼の20φ丸棒を用いて、浸炭焼入れ焼戻し処理後、切断し、最大となる粒界酸化層深さを光学顕微鏡にて測定した。また断面の硬度分布を測定し、ビッカース硬さで550HVの得られる深さを調査し「有効硬化層深さ」とした。さらに表層より5mm深さ位置の硬度を「内部硬度」と規定してビッカース硬度計を用いて測定した。
衝撃疲労特性調査
直径32mm径の丸棒鋼より図2に示す試験片を作製し、図1に示す条件の浸炭焼入れ焼き戻しをした後、落錘型衝撃疲労試験機により、繰返し数200回で破壊する衝撃エネルギーを調査した。
回転曲げ疲労特性
直径32mm径の丸棒鋼から、図3に示す寸法、形状の平行部直径8mmの試験片を採取し、平行部にこれと直角方向の深さ2mmの切欠き(切欠き係数:1.34)を全周に付与した回転曲げ疲労試験片を調製した。
得られた試験片の全数(本発明鋼、比較鋼および従来鋼)に図1に示す条件の浸炭焼入れ・焼戻し処理を行い、その後、小野式回転曲げ疲労試験機を使用して10回を疲労限度として回転曲げ疲労試験を行い、回転曲げ疲労強度を測定した。
表4に上記調査の結果を示す。本発明鋼は有効硬化層深さが0.98mm以上、粒界酸化層が12μm以上、内部硬度は417Hv以上で、回転曲げ疲労強度は654MPa以上、衝撃疲労強度は2.7N・m以上が得られ、比較鋼No.16〜No.28と従来鋼(JISSCM822肌焼鋼)より優れていた(No.29の従来鋼(JISSCM822肌焼鋼)は回転曲げ疲労強度650MPa、衝撃疲労強度は2.0N・m)。
すなわち、比較鋼No.16はC含有量が本発明範囲より低いために、内部硬度が低くなりすぎ、そのために衝撃疲労強度は良好であったが、回転曲げ疲労強度が低下した。
比較鋼No.17はSi含有量が本発明の範囲よりも高いために粒界酸化層が深く表面硬度が低い。そのため衝撃疲労強度、回転曲げ疲労強度および面疲労強度が低下した。
比較鋼No.18はMn含有量が本発明の範囲より低いために焼入れ性が低すぎる。よって有効硬化層深さが浅く、内部硬度が低いため、衝撃疲労強度および回転曲げ疲労強度が低下した。
比較鋼No.19はP含有量が本発明範囲より高いために粒界強度が不足し、衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.20はCu含有量が本発明範囲よりも高いために、試験片の加工精度が悪く、回転曲げ疲労強度と衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.21はCr含有量が本発明の範囲より高いために焼入れ性が高くなりすぎている。そのため、衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.22はMo含有量が本発明の範囲より低いために焼入性が不足し、有効硬化層深さおよび内部硬さが低下した。その結果回転曲げ疲労強度、衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.23はV含有量が本発明範囲よりも低いために内部の硬さが低下した。その結果回転曲げ疲労強度が低下した。
比較鋼No.24はB含有量が本発明範囲よりも低いために、粒界強化作用が得られず、有効硬化層深さも浅くなり、回転曲げ疲労強度および衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No25はAl添加量が本発明範囲よりも低いその結果固溶Bによる粒界強化作用が得られず、有効硬化層深さも浅く、内部硬度も低くなった。そのため、回転曲げ疲労強度および衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.26はN添加量が本発明範囲よりも高い。その結果、固溶Bが確保できず、有効硬化層深さも浅く、内部硬度も低くなった。そのため、回転曲げ疲労強度および衝撃疲労強度が低下した。
比較鋼No.27はTi添加量が本発明範囲よりも高い。そのため、TiN起点による疲労破壊が起こりやすくなり、回転曲げ疲労特性および衝撃疲労特性が低下した。
比較鋼No28はAl添加量及びI値が本発明範囲よりも低い。その結果、固溶Bによる粒界強化作用が得られず、焼入れ性も低くなったために有効硬化層深さが浅くなった。そのため、回転曲げ疲労強度および衝撃疲労強度が低下した。
Figure 0004938475
Figure 0004938475
浸炭焼入れ・焼戻し処理条件を示す図。 衝撃疲労試験片の形状を示す図。 小野式回転曲げ疲労試験片の形状を示す図。 衝撃疲労試験結果に及ぼすS(=E/2×D-P/2)値の影響を示す図。

Claims (4)

  1. mass%で、C:0.16〜0.30%、Si:0.40%未満、Mn:0.50%以上、P:0.015%以下、Cu:0.30%以下、Cr:2.00%未満、Mo:0.16〜0.50%、Al:0.060〜0.110%、B:0.0004%以上、N:0.0065%以下を含有し、(1)式を満足する残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、浸炭焼入れ・焼戻し後に得られる有効硬化層深さE、内部硬度D、粒界酸化層深さPについて(2)式のS値を満足する耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼。
    I(=14/27×Al+14/10.8×B−N)≧0.03・・・(1)
    但し、(1)式中のAl、B、Nは含有量(mass%)を示す。
    170≦S(=E/2×D-P/2)≦250 ・・・(2)
    但し、E:有効硬化層深さ(mm)、D:内部硬度(HV)、P:粒界酸化層深さ(μm)を示す。
  2. 更に、mass%で、Ti:0.020%未満、Nb:0.050%以下,V:0.030〜0.200%のいずれか1種以上を添加する請求項1記載の耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼。
  3. 請求項1または2に記載の鋼材を用いて、機械加工、あるいは鍛造後に機械加工を行い歯車形状とした後、浸炭焼入れ処理を施す事により得られる、耐衝撃疲労特性に優れた歯車。
  4. 請求項3の工程により歯車形状とした後、さらに歯面にショットピーニングあるいは研磨加工を施した、耐衝撃疲労特性に優れた歯車。
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