JPH11293387A - 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法 - Google Patents
快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法Info
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Abstract
な黒鉛を析出させ、且つ、トランプエレメントのCu及
びNi混入の製造上及び品質上の悪影響を回避できる、
快削性に優れた熱間加工鋼材を製造する。 【解決手段】 C:0.80〜1.70wt.%、Si:
0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01〜2.0wt.
%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P、S、O、N:所
定値以下、残部鉄及び不可避不純物、Ni/Cu≧0.
2、黒鉛化指数1.30以下の鋼材を、上記CuとNi
との含有比率のCu−Ni合金の固相線温度未満であっ
て、鋼材の固相線温度−50℃以下、800℃以上の温
度に加熱し熱間加工し室温まで冷却し、得られた熱間加
工鋼材に平均粒径0.5μm以上の黒鉛を100個/m
m2 以上析出させ、パーライト主体とする。更に、黒鉛
析出促進元素、パーライト微細化元素、被削性向上元
素、焼入れ促進元素等を適宜添加する。
Description
ト、ハイポイドギア等、自動車や産業機械の部品の素材
として使用される棒鋼等鋼材、及び上記部品等製品に関
するものであって、Cu、Ni等の不純物の多い低級な
スクラップを利用して安価に製造することができ、黒鉛
を析出させるための熱処理を行わなくても、熱間加工ま
まで微細な黒鉛を有し、Ca添加等との複合効果により
被削性がより一層良好で、且つ、従来の球状黒鉛鋳鉄よ
り高い強度と靱性とを有する、熱間加工鋼材及び製品、
並びに、それらの製造方法に関するものである。
自動車、電気製品の廃材が多量に混入している。例え
ば、電気モーターには多量の銅が使用されているし、排
ガスのマフラー、触媒等にはNiを多量に含むステンレ
ス鋼が使用されており、これらが必然的にスクラップの
中に混入する。従って、これらスクラップの品位が低下
する。このスクラップ品位の低級化に伴い、これを主原
料として用いる電気炉溶製鋼においては、その鋼材製品
に不純物が多量混じってくるのは避けられないものであ
る。
低下も懸念されており、これら低品位スクラップが利用
されず、不純物の少ない高級スクラップばかり利用され
ると、将来的に鉄源としての鋼スクラップの循環が悪く
なって、低級スクラップが市場に放置される事態も招き
かねない。従って、こうした低級スクラップの有効利用
が強く求められている。
れた棒鋼は、自動車、建設機械、産業機械等の部品の素
材として広く使われている。例えば、建設機械のピスト
ンロッドなどにおいては、圧延棒鋼の外周を直接切削し
てのち高周波焼入れを行って使用するが、棒鋼の内部組
織は圧延ままである。従って、棒鋼は優れた被削性とと
もに、圧延ままで所望の強度、延性を有していることが
必要である。また棒鋼から熱間鍛造により製造した部品
を切削により機械加工する場合、例えば、自動車のエン
ジン廻り部品であるコネクチングロッド、クランクシャ
フト、カムシャフト、ハイポイドギア、ピニオンギアの
加工においても、これら機械加工仕上げ前の鍛造品には
優れた被削性が要求されるとともに、鍛造まま、あるい
は熱処理後に所望の強度、延性を有することが必要であ
る。
品形状に仕上げられるが、鋼に求められる被削性として
は、切削工具の寿命が長く、且つ切り屑の処理性が良い
ことが重要である。今日の切削は、生産性を高めるた
め、従来より極めて高速で行われるため、工具の摩耗が
従来より大きくなって、工具寿命に優れた快削鋼が求め
られている。
工されることが多く、切り屑が長くつながって絡まって
しまうと、機械の停止や切り屑を取り除くための余計な
作業を行う必要が生じ、生産性を低下させることにな
る。このため切り屑が適当な大きさに細かく分断するよ
うな、処理性に優れた快削鋼が求められている。
トにおいては潤滑油を供給するための、径の細い穴をい
くつか有しているが、この穴は深いために、穴明け加工
においては、切り屑が細かく分断して、ドリル穴から支
障なく排出されることが必要である。即ち、分断しにく
い切り屑では穴から排出されず、切り屑が穴に詰まって
ドリル折損を引き起こすのである。
たっては、工具寿命、切り屑処理性の改善のため、快削
元素である鉛を0.05〜0.30wt.%添加した鉛快削
鋼が広く用いられてきた。鉛は低融点であるため、切削
加工の熱により容易に溶解して、鋼の延性を低下させ、
これによって、工具寿命を延ばし、切り屑を適度な大き
さに分断する。
年の地球環境保護の機運の高まりに伴って、無鉛の快削
鋼が強く求められている。切削性を向上させる元素とし
てはPbの他にS、Ca、Bi、Se、Te等の元素が
知られているが、これら元素は単独では被削性改善効
果が鉛に及ばない、高価である、毒性がある、とい
った欠点を少なくとも1つ有しているために、鉛代替の
元素にはなり得ない。
を極めて向上させる元素であるが、鋼に炭素を添加する
とセメンタイトを析出するので、鋼材に黒鉛の析出を得
るのは容易ではない。従来の発明における炭素0.10
〜1.5wt.%を有する鋼の場合には、例えば特開平2−
107742号公報、特開平3−140411号公報に
は、600〜800℃の温度で数時間〜200 時間もの長
い時間の焼鈍を行って黒鉛を析出させる鋼材または方法
が開示されている。
昭49−67817号公報には750〜950℃で焼入
れ、600〜750℃で焼戻して黒鉛を析出させた黒鉛
快削鋼が開示されている。
も、黒鉛を得るための、黒鉛化熱処理を施す必要があ
り、このため極めてコスト高になってしまう。また黒鉛
化熱処理により金属組織がフェライトになってしまい、
このため強度の低い部品や冷間鍛造によって製造可能な
小さな部品の製造に限定されてしまい、クランクシャフ
トやコネクチングロッドといった大型の鍛造部品の製造
には適用することができなかった。
はCa、Mg等の接種により鋳造ままで容易に球状黒鉛
が得られ、被削性が良好であることは良く知られてい
る。しかしながら鋳鉄、鋳鋼は鋳込ままで使用するた
め、鋼材製品の形状の自由度はあるものの、伸び、絞
り、衝撃値といった靱性が低いという欠点がある。
をベイナイトにすることにより、その靱性が改善されて
きてはいる。例えば、特開昭61−243121号公報
には球状黒鉛鋳鉄にオーステンパー処理を施すクランク
シャフトの製造方法が、特開昭61−174332号公
報には同じく、球状黒鉛鋳鉄にオーステンパー処理を施
すコネクチングロッドの製造方法が開示されている。し
かしながら、これら鋳造品は、S48Cを基本成分にし
て0.10wt.%程度のVを添加した非調質鋼の鍛造品に
較べるとヤング率が低く、疲労強度に劣る。また靱性も
なお鍛造品には及ばない。またこれら鋳造品には0.1
mm程度の鋳造巣が発生することがあり、これは疲労破
壊の起点となるので材料の信頼性が劣るのが欠点であ
り、鋳造方法及び製品の超音波検査に厳重な注意を払う
必要がある。
においては、下記問題点のいずれかが未解決となってい
る。
性があり、環境対策上問題がある。 問題点2:毒性のない快削元素として炭素を利用し、黒
鉛の形態に析出させて快削効果を発揮させ得るが、黒鉛
化熱処理を施さなければならないので、コストが嵩む。
あれば接種による球状黒鉛の析出により快削性が確保さ
れるが、靱性が劣っている。 問題点4:快削鋳鉄や快削鋳鋼の熱処理により靱性改善
を図っても、十分な靱性が得られず、また、鋳造巣欠陥
により製品の信頼性に問題がある。
エレメントとして高濃度に混入した低品位スクラップを
相当量、鉄源として使用した場合には、鋼材の延性低下
が懸念されるが、これに対する有効な技術が見当たらな
い。この発明においては、この問題の解決が極めて重要
であると位置づけしている。
自動車や産業機械の部品類の素材として用いられる熱間
加工状態の棒鋼、及び、その棒鋼を熱間加工し、切削加
工仕上げをして製品とし、熱処理を施さないで上記部品
類を製造するために、被削性が良好であり、トラン
プエレメントを高濃度に含むスクラップを使用しても、
強度及び靱性に優れており、表面疵発生が抑制され、し
かも、安価で且つ環境保護上問題なく製造し得る技術
を開発することを目的とする。本発明者等は、上記目的
を達成するために、特に、熱処理を行なわず熱間加工ま
まで微細で適切な黒鉛を析出させ、且つ、トランプエレ
メントのCu及びNi混入の製造上及び品質上の悪影響
を回避することを主な課題とした。
して、本発明者等は、低級なスクラップを利用し、且つ
鋳物に匹敵する被削性を有する無鉛の快削鋼製品の開発
を目的として、鋭意研究を重ねた結果、化学成分を適正
に組み合わせることによって、良好な熱間延性を有し、
熱間での棒圧延が可能で、焼鈍を行なわず熱間加工まま
で直接微細な黒鉛を有する快削性に優れた熱間加工鋼材
及び製品を得ることができるとの知見を得た。
のであり、その要旨は次の通りであり、請求項1〜6
は、本発明による鋼材及び製品に関するものである。請
求項1記載の快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品は、 C:0.80〜1.70wt.%、Si:0.70〜
2.50wt.%、Cu:0.01〜2.0wt.%、Ni:
0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%以下、S:
0.050wt.%以下、O:0.0050wt.%以下、及
び、N:0.015wt.%以下を含有し、残部鉄(Fe)
および不可避的不純物からなり、且つ、Ni含有率とC
u含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ----(1)を満たし、そして、下
記(2)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 --------------(2) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、 熱間加工された後、室温まで冷却された、 熱間加工鋼材及びこの熱間加工鋼材を素材とした製
品であって、 平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が100個/mm
2 以上析出しており、且つ、金属組織の主体がパーライ
トであることに特徴を有するものである。
びこの熱間加工鋼材を素材とした製品とは、上記に述
べた通りに、化学成分組成的にいかなるものを要件とし
ているのか、そして、上記に述べた通りに、熱間加工
ままという履歴下にあるものである、という両方の要件
を備えたものであることを意味しているのである。そし
て、この発明品は、このような熱間加工鋼材及びその製
品であって、上記に述べた通りに、いかなる状態に黒
鉛が析出していることを要件としているのか、という特
定をされたものである。
材及び製品は、請求項1記載の発明において、黒鉛化指
数CEの算出式として、下記(4)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B ----(4) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、上記鋼材及び上記製品の化学成分組成に、下記4
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種が、更に付加されて含まれていることに特徴を有する
ものである。ここで、上記4種の化学成分組成とは、M
n:0.01〜1.0wt.%、Cr:0.01〜1.0w
t.%、Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、B :
0.0005〜0.010wt.%を指す。
材及び製品は、請求項1又は請求項2記載の発明におい
て、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ----(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、上記鋼材及び上記製品の化学成分組成に、下記5
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種が、更に付加されて含まれていることに特徴を有する
ものである。ここで、上記5種の化学成分組成とは、A
l:0.01〜0.50wt.%、Ti:0.01〜0.5
0wt.%、Zr:0.01〜0.50wt.%、V :0.0
1〜0.30wt.%、及び、Nb:0.01〜0.30w
t.%を指す。
材及び製品は、請求項1又は請求項2記載の発明におい
て、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ----(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)用い、そし
て、上記鋼材及び上記製品の化学成分組成に、下記3種
の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種
が、更に付加されて含まれていることに特徴を有するも
のである。ここで、上記3種の化学成分組成とは、C
a:0.0010〜0.0100wt.%、Mg:0.00
10〜0.10wt.%、及び、REM:0.0010〜
0.10wt.%を指す。
材及び製品は、C:0.80〜1.70wt.%、Si:
0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01〜2.0wt.
%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%
以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0050wt.%
以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有し、更に、
Al:0.10超え〜0.50wt.%、Ti:0.01〜
0.50wt.%、Zr:0.01〜0.50wt.%、V :
0.01〜0.30wt.%、及び、Nb:0.01〜0.
30wt.%。からなる群から選ばれた少なくとも1種と、
Ca:0.0010〜0.0100wt.%、Mg:0.0
010〜0.10wt.%、及び、REM:0.0010〜
0.10wt.%からなる群から選ばれた少なくとも1種と
を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からな
り、且つ、Ni含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/C
uが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(6)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9+Al/6 +Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ------------(6) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、熱間加工された
後、室温まで冷却された、鋼材及び前記鋼材を素材とし
た製品であって、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が1
00個/mm2 以上析出し、且つ金属組織の主体がパー
ライトであることに特徴を有するするものである。
材及び製品は、C:0.80〜1.70wt.%、Si:
0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01〜2.0wt.
%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%
以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0050wt.%
以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有し、更に、
Mn:0.01〜1.0wt.%、Cr:0.01〜1.0
wt.%、Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、B :
0.0005〜0.010wt.%。からなる群から選ばれ
た少なくとも1種と、Al:0.10超え〜0.50w
t.%、Ti:0.01〜0.50wt.%、Zr:0.01
〜0.50wt.%、V :0.01〜0.30wt.%、及
び、Nb:0.01〜0.30wt.%。からなる群から選
ばれた少なくとも1種と、Ca:0.0010〜0.0
100wt.%、Mg:0.0010〜0.10wt.%、及
び、REM:0.0010〜0.10wt.%からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種とを含有し、残部鉄(Fe)
および不可避的不純物からなり、且つ、Ni含有率とC
u含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、熱間加工された
後、室温まで冷却された、鋼材及び前記鋼材を素材とし
た製品であって、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が1
00個/mm2 以上析出し、且つ金属組織の主体がパー
ライトであることに特徴を有するものである。
発明鋼材及び製品の製造方法に関するものである。請求
項7記載の快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造
方法は、C:0.80〜1.70wt.%、Si:0.70
〜2.50wt.%、Cu:0.01〜2.0wt.%、Ni:
0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%以下、S:
0.050wt.%以下、O:0.0050wt.%以下、及
び、N:0.015wt.%以下を含有し、残部鉄(Fe)
および不可避的不純物からなり、且つ、Ni含有率とC
u含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(2)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(2) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことに特
徴を有するものである。
材及び製品の製造方法は、請求項7記載の発明におい
て、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)
式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B --------------------------------(4) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼片又は前記鋼材として、下記4種の化学成
分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に
付加されて含まれているものを用いることに特徴を有す
るものである。ここで、上記4種の化学成分組成とは、
Mn:0.01〜1.0wt.%、Cr:0.01〜1.0
wt.%、Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、B :
0.0005〜0.010wt.%を指す。
材及び製品の製造方法は、請求項7又は請求項8記載の
発明において、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下
記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼片又は前記鋼材として、下記5種の化学成
分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に
付加されて含まれているものを用いることに特徴を有す
るものである。ここで、上記5種の化学成分組成とは、
Al:0.01〜0.50wt.%、Ti:0.01〜0.
50wt.%、Zr:0.01〜0.50wt.%、V :0.
01〜0.30wt.%、及び、Nb:0.01〜0.30
wt.%を指す。
鋼材及び製品の製造方法は、請求項7又は請求項8記載
の発明において、前記黒鉛化指数CEの算出式として、
下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼片又は前記鋼材として、下記3種の化学成
分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に
付加されて含まれているものを用いることに特徴を有す
るものである。ここで、上記5種の化学成分組成とは、
Ca :0.0010〜0.0100wt.%、Mg :
0.0010〜0.10wt.%、及び、REM:0.00
10〜0.10wt.%を指す。
鋼材及び製品の製造方法は、C:0.80〜1.70w
t.%、Si:0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01
〜2.0wt.%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.
050wt.%以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0
050wt.%以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有
し、更に、Al:0.10超え〜0.50wt.%、Ti:
0.01〜0.50wt.%、Zr:0.01〜0.50w
t.%、V :0.01〜0.30wt.%、及び、Nb:
0.01〜0.30wt.%。からなる群から選ばれた少な
くとも1種と、Ca:0.0010〜0.0100wt.
%、Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、RE
M:0.0010〜0.10wt.%からなる群から選ばれ
た少なくとも1種とを含有し、残部鉄(Fe)および不
可避的不純物からなり、且つ、Ni含有率とCu含有率
とのwt.%比Ni/Cuが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(6)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9+Al/6 +Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ------------(6) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことに特
徴を有するものである。
鋼材及び製品の製造方法は、C:0.80〜1.70w
t.%、Si:0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01
〜2.0wt.%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.
050wt.%以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0
050wt.%以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有
し、更に、Mn:0.01〜1.0wt.%、Cr:0.0
1〜1.0wt.%、Mo:0.01〜0.50wt.%、及
び、B :0.0005〜0.010wt.%。からなる群
から選ばれた少なくとも1種と、Al:0.10超え〜
0.50wt.%、Ti:0.01〜0.50wt.%、Zr:
0.01〜0.50wt.%、V :0.01〜0.30w
t.%、及び、Nb:0.01〜0.30wt.%。からなる
群から選ばれた少なくとも1種と、Ca:0.0010
〜0.0100wt.%、Mg:0.0010〜0.10w
t.%、及び、REM:0.0010〜0.10wt.%から
なる群から選ばれた少なくとも1種とを含有し、残部鉄
(Fe)および不可避的不純物からなり、且つ、Ni含
有率とCu含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記(1)
式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことに特
徴を有するものである。
材及びこの鋼材から製造された部品類等製品の、化学成
分組成、黒鉛の析出状態及び金属組織、並びに、鋼片及
び鋼材の加熱条件を上記の通り限定した理由について説
明する。
素である。熱間加工ままで黒鉛を析出させるためには
0.80wt.%以上を必要とする。しかしながら炭素含有
量が1.70wt.%を超えると熱間延性の低下が大きく、
棒圧延に際して表面疵の発生が増大する。また熱間加工
後に析出する黒鉛粒が粗大になり、靱性を低下させる。
従って、炭素含有率は0.80〜1.70wt.%の間とす
る。
即ちSiはセメンタイトの黒鉛化を促進する元素であ
り、0.70wt.%未満ではその効果は小さい。しかし、
Siが2.50wt.%を超えると非金属介在物が増大して
靱性の低下を招くのみならず、熱間加工時の加熱におい
て脱炭を大きくする。従って、Si含有率は、0.70
〜2.50wt.%の間とする。
ある。一方、鋼の高温加熱に際して、はじめにFeが選
択的に酸化され、鋼中Cuは材料表面に濃化する。Cu
は融点が低いので溶融して、Cuの融体が隙間の多い結
晶粒界に侵入する。これが熱間延性を低下させ、表面
疵、割れ発生の原因となるため、自動車や産業機械用部
品等には、Cuが積極的に利用されることは少なかっ
た。しかし、Cuの融点は約1083℃であるため、こ
の融点未満で熱間加工すれば、Cuが粒界に侵入して熱
間延性を低下させることは防止できる。
間加工では、材料の変形抵抗の増大を伴い、圧延機や工
具に過大な負荷がかかるため、従来の鋼では実用化され
るに至っておらず、変形抵抗の小さい鋼を開発する必要
がある。
してSの悪影響を無害化するため、Mnの代替になる有
用な元素であるとともに、黒鉛の析出を促進し、且つ焼
入れ性を向上させる元素である。従って、この目的でC
uを利用するするときには0.01wt.%以上の添加を必
要とする。しかしCuは2.0wt.%を超えると、鋼中へ
の固溶限を超えてしまうため、未溶解Cuが残存して熱
間延性を低下させ、表面疵の発生を助長するので、Cu
含有率は0.01〜2.0wt.%の間とする。
はCuと全率固溶体をつくるため、よく混じり合う。N
iの融点は約1453℃であり、Cu(融点:1083
℃)に混じることによって、その溶けはじめる温度(固
相線温度)を上昇させる。即ち、Cu中のNi濃度が高
くなるにつれてCuとNiとの合金(Cu−Ni合金)
の固相線温度TS は高くなる。従って、Ni添加により
鋼材表層部のCuはCuとNiとの合金になり、溶融し
にくくなるので、結晶粒界への侵入が抑止され、表面疵
の発生が抑制される。
を促進させるとともに、焼入れ性を向上させる有用な元
素である。これらの目的で添加するときにはNiは0.
01wt.%以上の添加を必要とする。しかし、Niを2.
0wt.%を超えて添加してもその効果は飽和するのみなら
ず、変形抵抗を増大させることになる。
t.%の間とする。ここで、CuとNiを併用する場合、
Ni/Cuの重量wt.%比は0.2以上とする理由は次の
通りである。
と、固相線温度が上昇する。鋼材の加熱温度が、このC
u−Ni合金の固相線温度よりも高いと、熱間延性が低
下し、表面疵や割れが発生するので、加熱温度の上限
は、Cu−Ni合金の固相線温度未満にする必要があ
る。一方、本発明の鋼材の加熱温度は、後で説明するよ
うに、最適加工温度を、鋼材の固相線温度から定める約
1165℃までさげることができ、従来の機械構造用鋼
の加工温度より約200℃低下することができる。そこ
で、鋼材加熱中のCu融体の生成を防止して、上記最適
加工温度の低下を実施することができるようにするため
に、Cu(融点:1083℃)をCu−Ni合金化して
この固相線温度を高める必要がある。
生を防止するためには、Ni/Cuのwt.%比を、0.2
以上にすることが必要であると判断した。Ni/Cuの
wt.%比が0.2のとき、この合金の融点は約1145℃
となり、Cuの融点を約60℃高めることができること
がわかった。
間延性を低下させ、表面疵の発生を助長する。従って、
P含有率は0.050wt.%以下に限定する。
0.050wt.%を超えると、Si等の黒鉛化促進元素を
多量に添加する必要があり、熱間延性の低下を招く。従
って、S含有率は上記弊害を抑えるために0.050w
t.%以下に限定する。望ましくは0.030wt.%以下と
する。
る元素であるので、できる限り低く抑えるべきである。
しかし、この観点から0.0050wt.%までは許容され
るので上限を0.0050wt.%とする。
率が0.015wt.%を超えると、黒鉛の析出が困難にな
るほか、窒素ガスによるブローホ─ルが多数形成され
て、圧延後の表面疵の原因になる。従って、N含有率は
0.015wt.%以下とする。
を強靱化する元素である。この目的で用いる場合には
0.01wt.%以上の添加を必要とするが、Mnは黒鉛の
析出を大きく阻害する元素でもある。従って、Mnを
1.0wt.%以下の範囲で含有させることが望ましい。
ライトを微細にする元素である。Crをこの目的で用い
る場合には0.01wt.%以上の添加を必要とする。しか
しCrもMnと同様に黒鉛化を阻害する作用が強いの
で、1.0wt.%を超えると、黒鉛化促進元素を多量に必
要とし、コスト高になる。従って、Crを0.01〜
1.0wt.%の間で含有させることが望ましい。
素である。この目的で用いる場合には0.01wt.%以上
の添加を必要とする。しかしMoもMn、Crと同様に
黒鉛化を阻害する元素であり、0.50wt.%を超える
と、黒鉛化促進元素を多量に必要とする。従って、Mo
を0.01〜0.50wt.%の間で含有させることが望ま
しい。
をBNとして固定し、Nの黒鉛化阻害作用を軽減する。
Bをこの目的で用いる場合には0.0005wt.%以上の
添加を必要とする。しかし、Bを0.010wt.%を超え
て添加してもその効果は飽和するのみならず、熱間延性
を低下させる。従って、B含有率を0.0005〜0.
010wt.%の間で含有させることが望ましい。
る。またSiと同様に黒鉛化を促進する元素である。こ
れらの目的のためにはAlは少なくとも0.01wt.%以
上添加する必要がある。しかし0.50wt.%を超えて添
加すると、酸化物系介在物の量が多くなって、鋼の清浄
性を低下させ、熱間加工時の割れの発生原因となる。従
って、Alを0.01〜0.50wt.%の間で含有させる
ことが望ましい。
る。またこれら析出物は黒鉛析出の核として作用し、黒
鉛の析出を促進する。Ti添加量が0.01wt.%未満で
はその効果は小さく、一方、0.50wt.%を超えて添加
すると、硬いTiN、TiCが多量に生成して、工具の
摩耗を促進する。従って、Tiを0.01〜0.50w
t.%の間で含有させることが望ましい。
を微細化すると共に、黒鉛の析出を促進させる。Zr添
加量が0.01wt.%未満ではその効果は小さく、一方
0.50wt.%を超えて添加すると、工具の摩耗を促進す
る。従って、Zrを0.01〜0.50wt.%の間で含有
させることが望ましい。
また、Vの析出物は微細であるので鋼の降伏応力を高
め、疲労限応力を向上させる。しかし、V添加量が0.
01wt.%未満ではその効果は小さい。一方、Vは黒鉛の
析出を阻害する元素であり、0.30wt.%を超えて添加
すると、黒鉛化促進元素を多量に必要とする。従って、
Vを0.01〜0.30wt.%の間で含有させることが望
ましい。
とともに、降伏応力を高める。Nbの炭窒化物は115
0℃の高温でも鋼中に固溶せず、オーステナイト粒の粗
大化を阻止し、鍛造後の粒を微細にして、靱性を向上さ
せる。Nb添加量が0.01wt.%未満ではその効果は小
さく、一方、0.30wt.%を超えて添加すると、黒鉛の
析出を阻害して、黒鉛化促進元素を多量に必要とする。
従って、Nbを0.01〜0.30wt.%の間で含有させ
ることが望ましい。
させるために用いられる。Caによる黒鉛化促進機構
は、Caの蒸気圧が高く、鋳造中にCaの蒸気が鉄内に
微小な空洞を形成し、これが黒鉛析出の核となって、球
状黒鉛を析出させると考えられるが、鋳鉄と同様に鋼に
おいても熱間加工後の黒鉛析出を容易にする。またCa
は酸化物系介在物として存在すると、超硬工具切削にお
いてベラーグを形成し、工具寿命を延長する高価が大き
いので、快削鋼には望ましい元素である。こうした目的
のためにはCaは0.0010wt.%以上添加する必要が
あるが、0.010wt.%を超えて添加しても効果は飽和
する。従って、Caを0.0010〜0.010wt.%の
間で含有させることが望ましい。
黒鉛化を促進させ、鋼においても加工後の黒鉛析出を容
易にする。その添加量が0.0010wt.%未満では効果
は小さく、一方、0.10wt.%を超えて添加しても効果
は飽和する。従って、Mgを0.0010〜0.10w
t.%の間で含有させることが望ましい。
その添加量が0.0010wt.%未満では効果は小さく、
一方、0.10wt.%を超えて添加しても効果は飽和す
る。従って、REMを0.0010〜0.10wt.%の間
で含有させることが望ましい。
可避的に混入する元素を含む。また環境への問題が小さ
い場合には、補足的にBi、Se、Te等の快削元素を
少量添加することも可能である。
る。このCEは主要元素については下記(5)式で表わ
される。即ち、 CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号は各元素の含有率(wt.%)を表わす。
そして、他の条件が一定の場合には、黒鉛化指数CEが
大きいほど黒鉛の析出は促進される。
により左右されるので、CEによって一義的に決定され
るものではないが、CEは1.30以上でないと、焼鈍
等の黒鉛を析出させる熱処理を行なわない限り、実用的
な条件で黒鉛を析出させることが困難になる。従って、
CEは1.30以上とする。
製品には快削性を確保するために、微細な黒鉛を含む
他、金属組織の主体は、靱性を確保するためパーライト
であることが必要である。パーライトの他には一部、粒
界フェライト、黒鉛粒のまわりに発生するフェライト、
ベイナイトが単独で又は複合で存在していても差し支え
ない。
である。これは加工時の加熱温度が適正ならば、鋼が高
温に保持されている間に微細な黒鉛を析出する。また加
工によって導入された格子欠陥を多量残存させることに
よってその後の冷却中における黒鉛の析出を容易ならし
める。しかし過度の高温に長時間保持すると、高温保持
中に一旦析出した黒鉛は再固溶して、加工後に得られる
黒鉛粒の数が少なくなる。
限を、当該鋼材中のCuとNiとの含有率(wt.%)の比
率に等しい組成のCuとNiとの合金(「Cu−Ni合
金」)の固相線温度と、当該鋼材の固相線温度より50
℃だけ低い温度とを比較し、低い方の温度を採用する。
但し、前者のCu−Ni合金の固相線温度の方が低い場
合には、加熱温度の上限としては、Cu−Ni合金の固
相線温度未満の温度としている。上記限定理由は、次の
通りである。
度TS より50℃だけ低い温度、即ち、(TS −50)
℃を超えると、鋼材の熱間延性が急激に低下して、熱間
圧延棒鋼には表面疵が発生したり、また、熱間鍛造品に
は割れが発生したりする。よって、加熱温度は、(TS
−50)℃以下でなければならない。
0)℃以下であっても、表層部のFeが選択的に酸化さ
れ、残存して濃化したCuとNiとが合金化し、こうし
て生成したCu−Ni合金の融体がオーステナイト粒界
に侵入して、熱間延性を低下させたり、表面疵や割れを
発生させるのを防止しなければならない。よって、鋼材
加熱温度は、当該鋼材中のCuとNiとの含有率(wt.
%)の比率に等しい組成のCu−Ni合金の固相線温度
よりも、低くしなければならない。
中の(Cu含有率(wt.%))/(Ni含有率(wt.%))
の比率に等しい組成のCu−Ni合金の固相線温度未満
であって、且つ、鋼材の固相線温度より50℃低い温度
とすべきである。なお、鋼片の加熱温度の上限値も、鋼
材の場合と全く同じ理由により、鋼材の加熱温度の上限
値と同じである。
当該鋼材の固相線温度(鋼を加熱したときに、液相が生
成し始める温度)より50℃だけ低い温度(TS −5
0)℃まで許容された場合の作用・効果について説明す
る。例えば1.2wt.%C−1.5wt.%Si鋼について、
加熱温度の上限値を考えると、次の通りである。
出始める温度)TS は、鋼材の成分組成に依存し、例え
ば下記近似式: TS (℃) =1420−250(C−0.5)−20Si 但し、C、Si:炭素、シリコン含有率(wt.%)を表わ
す、により、1215℃と算出される。よって、加熱上
限温度は、(固相線温度TS−50)℃=1215−5
0=1165℃となる。なお、この鋼材の共晶温度は約
1140℃であり、固相線温度TS が共晶温度を下回る
ことはない。一般に、固相線温度TS が共晶温度を下回
ることはないので、上記式でTS の計算値が1140℃
を下回った場合でも、現実の固相線温度は1140℃以
上となる。
て、例えば上記1.2wt.%C−1.5wt.%Si鋼につい
てみると、固相線温度TS は1215℃であるから、従
来の通常の機械構造用鋼である0.5wt.%Cの中炭素鋼
の固相線温度(TS =1420℃程度)よりも、約20
0℃低いことになる。このことは、本発明鋼材を用いれ
ば、従来鋼材よりも200℃程度低い加熱温度で熱間加
工を行なっても、従来鋼材と同等の変形抵抗と変形能を
有することが示唆され、省エネルギーの面からも好まし
い鋼材ということができる。
のFe−C系状態図を示す。同図中、S点の温度はA1
温度、E点の温度は共晶温度、HE線は固相線温度を示
す。同図はFe−C二元系状態図であるため、本発明鋼
の、Si含有率2.0wt.%のときの固相線温度を厳密に
推定することはできない。従って、本発明鋼材の固相線
温度を正確に求めることはできないが、鋼材の固相線温
度の低下に及ぼすC含有率の影響、及び、本発明におけ
る鋼片又は鋼材の固相線温度TS より50℃だけ低い温
度((TS −50)℃)を、実用的に推定するために役
立つ。同図中に、C=0.80〜1.70wt.%における
800℃以上、(TS −50)℃以下の温度領域を斜線
部で示した。
i鋼の場合で、(固相線温度TS −50)℃が1165
℃という温度水準は、Cuの融点1083℃にかなり近
く、更に、この発明においては、CuにNiが合金化す
ることにより、Cu−Ni合金の固相線温度は上昇する
ので、鋼材の(TS −50)℃=1165℃は、Cu−
Ni合金の固相線温度に一層近づき、Cu−Ni合金の
固相線温度近傍での低温加工を可能ならしめる。従っ
て、1.2wt.%C−1.5wt.%Si鋼は、低変形抵抗の
鋼であるということができる。
示し、この発明における鋼材のCuとNiとの含有率
(wt.%)の比率の範囲である、下記(6)、(7)及び
(1)式: Cu:0.01〜2.0wt.% ------------(6) Ni:0.01〜2.0wt.% ------------(7) Ni/Cu≧0.2 ------------(1) を満たす条件下において、Cu−Ni合金中のNiの含
有率(wt.%)(これを、「CNi」で表記する): CNi=〔Ni(wt.%)/{Cu(wt.%)+Ni(wt.
%)}〕×100(wt.%) に換算すると、 16.7wt.%≦CNi≦99.5wt.%--------(8) が得られる。CNiのとり得る範囲を、同図に矢印範囲で
記入した。なお、NiとCuの含有率比率が、Ni/C
u=0.2を満たす限り、Cu、Niの含有率のいかん
にかかわらず常に、Cu−Ni合金中のNiの含有率C
Niは、CNi=16.7wt.%となる。
加熱中に生成するCu−Ni合金の固相線温度は、おお
よそ、1145〜1451℃の範囲内にある。上記によ
り、当該鋼材の(TS −50)℃とCu−Ni合金の固
相線温度との差が容易に算出され、Cu−Ni合金の固
相線温度の方が低くても、その差が縮小されることがよ
くわかる。また、Cu−Ni合金の固相線温度の方が鋼
材の(TS −50)℃よりも高い場合には、当然なが
ら、Cu−Ni合金は加熱保持中に溶融しないので、オ
ーステナイト粒界に侵入することはない。
上でないと変形抵抗が増大し、鍛造工具の寿命が短くな
る。また変形能が不足して鍛造割れの原因となるので、
800℃以上に確保する必要がある。
i合金の融点未満であって、且つ鋼材の固相線温度−5
0℃以下、800℃以上の間の温度とする。 (24)黒鉛の粒径 粒状に析出した黒鉛の平均粒径が0.5μm未満では、
切削時に切り屑を小さく破砕する効果が小さく、切削性
への寄与は小さい。したがって黒鉛の平均粒径は0.5
μm以上とする。上限は特に限定しないが、30μmを
超える黒鉛が多数析出すると靱性低下の原因となるの
で、黒鉛の粒径は30μm以下が望ましい。
に塊状と表現されるものであるが、球状でも粒状でもよ
く、厚さ/長さ比が5以下ならば特に差し支えはない。 (25)黒鉛の数 単位面積当たりの黒鉛の数を多くすることは、切り屑を
小さく分断させるのに重要である。その数が100個/
mm2 未満では切り屑処理性の改善効果が小さいので、
黒鉛の数は100個/mm2 以上とする。黒鉛の数は黒
鉛の大きさに左右され、粒が大きくなれば少なくなり、
小さくなれば多くなる。本発明では、10〜25μmの
径の黒鉛が析出するとき、その数はおおよそ100〜1
000個の間であるが、0.5〜5μmの径の黒鉛の場
合には、おおよそ3000〜50000個に達する。
に説明する。ここでは、試験1から試験3を行なった。
供試材の化学成分組成、並びに、後述する黒鉛化指数C
E及び固相線温度TS を示す。また表3及び表4には、
主な製造条件及びその試験結果を示す。
ては本発明の範囲にあり、対応する請求項の番号を併記
した。この内、鋼種No.1〜20を用いた試験は、製造
条件も本発明の範囲内にあるから、本発明の範囲内の試
験例である実施例に該当する。そこで、これらをそれぞ
れ実施例No.1〜20とした。しかし、鋼種No.21〜
23を用いた試験は、製造条件の内、後述する鋼片の加
熱温度が本発明の範囲外にあるので、本発明の範囲外の
試験例である比較例に該当する。そこで、それぞれ比較
例No.21〜23とした。
発明の範囲外にあり、この内、鋼種No.24〜45は比
較成分例、鋼種No.46は従来の球状黒鉛鋳鉄、鋼種N
o.47はS48CにV:0.10wt.%、Pb:0.22
wt.%を添加した従来の非調質鋼、鋼種No.48は従来の
S50C、そして鋼種No.49は従来のSCM822で
ある、従来成分例である。そして、鋼種No.24〜49
を用いた試験の製造条件は、本発明の範囲内・外の各種
のものを含むが、いずれも試験としては本発明の範囲外
の試験例である比較例に該当する。そこで、これらをそ
れぞれ比較例No.24〜49とした。
進するには、黒鉛化指数CEが重要であり、他の条件が
同じ場合には、CEが大きい方が黒鉛の析出が促進され
る。このCEは、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で表わされ
る。黒鉛の析出は、加熱温度、加工度、冷却速度により
左右されるので、CEによって一義的に決定されるもの
ではないが、表1の鋼種No.1〜23においてはすべ
て、1.30以上となるように成分を調整した。
30トン電気炉により溶製後、連続鋳造又は造塊法によ
り鋳片とした。鋳片は160mm角の鋼片に分塊圧延
後、鋼片加熱炉にて820〜1180℃の間の温度に加
熱して、26mm又は93mmの直径の棒鋼に熱間圧延
した。
て黒鉛を析出させた。26mm棒鋼の放冷ままの800
℃〜600℃までの平均冷却速度は、約1.5℃/se
c、カバー徐冷におけるそれは0.4℃/sec、93
mm棒鋼の放冷時の冷却速度は0.25℃/sec、カ
バー徐冷のそれは0.08℃/secであった。
態、金属組織を光学顕微鏡により調査した。更に、26
mmの棒鋼はショックアブソーバ─のピストンロッド
に、93mmの棒鋼は、建設機械のピストンロッドに切
削により機械加工して、切り屑処理性を判定した。
切り屑が巻き以下で分断しているものを良好としてラン
ク1、3〜6巻で分断しているものを普通としてランク
2、8巻以上につながっているものを劣るとしてランク
3と位置づけた。なお、切削は、超硬P20の切削工具
を用い、切削速度200m/minで20min切削し
た。
して、引張試験を行い、引張強さ、及び伸びを求めた。
なお、比較例No.46の球状黒鉛鋳鉄のみは、88mm
φの砂型に直接鋳造したインゴットを比較材として用い
た。
は化学成分組成、圧延加熱温度とも適正であり、圧延品
に割れの発生はない。また、黒鉛粒の大きさは0.5〜
25μmの間となっており、黒鉛粒の数は100個/m
m2 以上で十分に多い。このため切り屑は、全て2巻以
下に小さく分断した良好な形状を呈していた。また金属
組織はパーライト単相ないしパーライト主体のフェライ
ト+パーライトの組織になっていた。
鏡面の顕微鏡組織を示す。黒鉛とパーライトとよりなる
組織である。図4には、実施例No.4のノーエッチング
での検鏡面の顕微鏡による黒鉛の析出状態を示す。黒鉛
は主として粒界に存在する。図5には、そのエッチング
した検鏡面の顕微鏡組織を示す。その組織は、粒界フェ
ライト+パーライトである。
上と高く、伸びも15%以上とピストンロッドとして十
分な、強度、延性を有していた。以上の実施例に対して
比較例No.21は加熱温度がCu−Ni合金の融点より
は低いが、鋼材のTS −50℃より高かったために、熱
間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
よりは低いが、Cu−Ni合金の融点よりは高かったた
めCu−Ni合金の融液が粒界に侵入して、熱間延性を
低下させたため、棒鋼に割れを生じた。
未満であったため、やはり熱間延性が不足して、棒鋼に
割れを生じた。比較例No.24はC量が本発明を外れて
低く、このため黒鉛の析出は見られなかった。
高く、熱間延性が不足して、棒鋼に割れが発生した。比
較例No.26はSiが本発明を外れて低く、このため黒
鉛化指数CEが小さくなり、黒鉛の析出は見られず、切
り屑が長くつながってしまった。このため機械を停止し
て切り屑を除去する必要があった。
く、このため熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じ
た。比較例No.28はCuが本発明より高く、熱間延性
不足で、棒鋼に割れを発生した。
延性不足で、棒鋼に割れを発生した。比較例No.30は
Ni/Cu比が本発明の範囲より低く、加熱温度がCu
−Ni合金の固相線温度より高かったために、割れを発
生した。
延棒鋼に割れが発生した。比較例No.32はMn及びS
が本発明より高く、このため黒鉛の析出が起こらなかっ
た。
このため熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。比
較例No.34はMoが本発明より高く、やはり棒鋼に割
れを生じた。
く、多量のBNが析出して延性不足から割れを生じた。
比較例No.36はTiが、比較例No.37はZrが、比
較例No.38はVが、比較例No.39はAlが、比較例
No.40はNbが、いずれも本発明の範囲より高く、こ
のため延性不足で棒鋼に割れを生じてしまった。
42はMgが、比較例No.43はREMが、本発明より
高く、このため酸化物系介在物を多量に巻き込み、これ
が圧延疵の原因となり、棒鋼に割れを発生してしまっ
た。
分組成は本発明の範囲内であるが、黒鉛化指数CEが本
発明の範囲より低いため、黒鉛の析出はみられなかっ
た。比較例No.46は従来の球状黒鉛鋳鉄の例であり、
接種材としてのMgを含んでいる。本鋳造品の表面に
は、0.10mm程度の***がいくつか存在し、機械部
品としては好ましい状態ではなかった。また引張強さは
適当であるが、伸びが4%と延性に劣るものであった。
が、これは諸特性は特に問題なく、またPbを含有して
いるため、切り屑処理性も良好であった。しかし環境保
護の観点からこのPbは使用しない方向で部品を製造す
ることが今後求められる。
あり、Pbを含まないため、切り屑処理性は劣る。また
引張強さが700N/mm2 程度とやや不足しており、
焼入れ焼戻しを施して、引張強さを高める必要があっ
た。
の例であり、これについては後述する試験3の比較例N
o.49Dにおいて説明する。以上述べたように、本発明
の範囲内の実施例によれば、従来の非調質棒鋼に匹敵す
る強度、延性を有する無鉛の非調質快削棒鋼を製造する
ことができる。
囲内にある鋼種No.3及び17のAグループ、並びに、
本発明の範囲外にある鋼種No.47、48、及び46の
Bグループの鋼について下記の通りの試験を行なった。
Aグループの試験は本発明の範囲内のものであり、それ
ぞれ実施例No.3A、17Aとよび、Bグループの試験
は本発明の範囲外のものであり、それぞれ比較例No.4
7B、48B、46Bとよぶ。
φ棒鋼を用いて、1000℃に加熱後、クランクシャフ
トに熱間鍛造し、扇風機により空冷した。また、従来の
非調質鋼である比較例No.47B、及び従来SC材であ
る比較例No.48Bの88mmφ棒鋼を試験1と同じ工
程で製造し、この場合は変形抵抗が大きいので、より高
温の1250℃に加熱して同一形状のクランクシャフト
に熱間鍛造し、同じく扇風機により空冷した。また更
に、比較のために比較例No.46Bの従来球状黒鉛鋳鉄
を同じ形状のクランクシャフトに直接鋳造して、凝固さ
せた。
いは鋳造品を外周切削したのち、油穴を小径深穴ドリル
により、3mm径の穴を明けた。その時の切り屑の形態
は、実施例No.3A及び17A、並びに比較例No.46
B及び47Bは、2巻き以下の細かく分断した良好な切
り屑であったが、Pbを含有しない比較例No.48Bの
みは切り屑が10巻き以上に長くつながり、ドリル折損
が多発した。
フトを曲げ疲労試験に供した。実施例No.3Aの疲労強
度は500N/mm2 、実施例No.17Aの疲労強度は
530N/mm2 、比較例No.47Bの疲労強度は50
0N/mm2 と良好な強度を有していた。これに対して
比較例No.46Bの球状黒鉛鋳鉄は420N/mm2 の
疲労強度しか有していなかった。これは鋳鉄はヤング率
が低いこと、および小さい気泡が疲労の起点となり、疲
労限を低下させたためと考えられる。
度も430N/mm2 程度しか有していなかった。そこ
で870℃焼入れ後580℃焼戻しを施したところ、疲
労強度は520N/mm2 まで向上さすことができた。
クシャフトについて、黒鉛の平均粒径及び黒鉛粒の数を
測定した結果、いずれも、本発明の要件を満たしてい
た。以上の通り、実施例3A及び実施例17Aによれ
ば、無鉛で被削性に優れた非調質の快削鋼部品の製造が
可能であり、被削性は鉛快削鋼や球状黒鉛鋳鉄と同等で
あり、またその特性は従来の球状黒鉛鋳鉄を上回り、焼
入れ焼戻し材相当の高い疲労強度を有している。
囲内にある鋼種No.1及び5のCグループ、並びに、本
発明の範囲外にある鋼種No.49及び47のDグループ
の鋼について下記の通りの試験を行なった。Cグループ
の試験は本発明の範囲内のものであり、それぞれ実施例
No.1C、5Cとよび、Dグループの試験は本発明の範
囲外のものであり、それぞれ比較例No.49D、47D
とよぶ。
CM822による比較例49Dでは、鋼片を100mm
棒鋼に圧延し、外径220mmのデファレンシャルドラ
イブギアに熱間鍛造し、そのまま放冷した。また比較例
No.47Dでは、従来球状黒鉛鋳鉄は同一形状のギア砂
型に直接鋳込んだ。
まホブ盤にて歯車に切削加工し、その後570℃、5時
間のガス軟窒化を施して表面を硬化させた。SCM82
2による比較例No.49Dでは、鍛造ままの組織がベイ
ナイトであり、硬いのでそのまま切削加工することは困
難であった。そこで920℃×2.5時間→650℃×
1時間のサイクル焼鈍をして軟化させたのち、切削加工
した。その後表面を硬化せさるため、920℃×5時間
→840℃×40分の浸炭焼入れ処理を行って表面を硬
化させた。
鉄を型から取り出して、直接切削加工したのち、900
℃×1時間→240℃×2時間ソルト浴浸漬のオーステ
ンパー処理を施した。
り屑処理性を示し、また工具の摩耗も少なく、切削面の
むしれもなく、良好な切削状態であった。また、各熱処
理を施したギアを疲労試験に供した。本発明鋼を使用し
た実施例No.1C及び5Cのガス軟窒化ギアの歯元曲げ
疲労強度は440N/mm2 であり、比較例No.49D
のSCM822の浸炭焼入れギアの疲労強度も440N
/mm2 であった。しかしながら、比較例No.47Dの
球状黒鉛鋳鉄のオーステンパー処理材の疲労強度は32
0N/mm2 と低いものであった。
騒音の原因となるため、各ギアのドライヴ側のプレッシ
ャ−アングルの変形量を測定した。浸炭焼入れ材のアン
グルのずれは14分(1分は1°の60分の1)であっ
たが、軟窒化材は1分と殆ど変形のないものであった。
またオーステンパー材は熱処理直後の変形は3分と比較
的変形の小さいものであったが、1000回の疲労回数
を超えると21分と変形の大きいものであった。これは
オーステンパー処理によって、組織内に留められた残留
オーステナイトがマルテンサイトに変態したために、変
形量が大きくなったものと考えられる。
素材について、黒鉛の平均粒径及び黒鉛粒の数を測定し
た結果、いずれも、本発明の要件を満たしていた。以上
の通り、実施例1C及び実施例5Cによれば、ギアに軟
化焼鈍を施さなくても、被削性は良好であり、疲労強度
も球状黒鉛鋳鉄より高く、従来SCM鋼の浸炭焼入れギ
アに匹敵する高い強度を有し、且つ歪みが小さく、騒音
の発生の小さいものであることが確認された。
原料として、Cu、Ni等の不純物の多い低級なスクラ
ップを使用し、且つ、有毒なPbを用いることなく、被
削性に優れ、また疲労強度、伸び特性に優れた熱間加工
製品の製造が可能であり、非調質の快削鋼部品や低歪み
で高い疲労強度を有する歯車を製造することが可能とな
る。このような、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品
並びにそれらの製造方法を提供することができ、工業上
有用な効果がもたらされる。
図である。
ある。
組織を示す図である。
微鏡による黒鉛の析出状態を示す図である。
組織を示す。
Cu−Ni合金の組成範囲と、当該Cu−Ni合金の固
相線温度範囲を示す図である。
Claims (12)
- 【請求項1】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からな
り、且つ、Ni含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/C
uが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(2)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(2) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、熱間加工された
後、室温まで冷却された、鋼材及び前記鋼材を素材とし
た製品であって、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が1
00個/mm2 以上析出し、且つ金属組織の主体がパー
ライトであることを特徴とする、快削性に優れた熱間加
工鋼材及び製品。 - 【請求項2】 請求項1記載の発明において、前記黒鉛
化指数CEの算出式として、下記(4)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B --------------------------------(4) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼材及び前記製品の化学成分組成に、下記4
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、
快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品。 Mn:0.01〜1.0wt.%、 Cr:0.01〜1.0wt.%、 Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、 B :0.0005〜0.010wt.%。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明におい
て、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)
式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼材及び前記製品の化学成分組成に、下記5
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、
快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品。 Al:0.01〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 - 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の発明におい
て、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)
式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼材及び前記製品の化学成分組成に、下記3
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、
快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品。 Ca:0.0010〜0.0100wt.%、 Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.%。 - 【請求項5】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、更に、 Al:0.10超え〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Ca:0.0010〜0.0100wt.%、 Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.% からなる群から選ばれた少なくとも1種とを含有し、残
部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、且つ、N
i含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記
(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(6)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9+Al/6 +Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ------------(6) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、熱間加工された
後、室温まで冷却された、鋼材及び前記鋼材を素材とし
た製品であって、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が1
00個/mm2 以上析出し、且つ金属組織の主体がパー
ライトであることを特徴とする、快削性に優れた熱間加
工鋼材及び製品。 - 【請求項6】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、更に、 Mn:0.01〜1.0wt.%、 Cr:0.01〜1.0wt.%、 Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、 B :0.0005〜0.010wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Al:0.10超え〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Ca:0.0010〜0.0100wt.%、 Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.% からなる群から選ばれた少なくとも1種とを含有し、残
部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、且つ、N
i含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記
(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有し、且つ、熱間加工された
後、室温まで冷却された、鋼材及び前記鋼材を素材とし
た製品であって、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が1
00個/mm2 以上析出し、且つ金属組織の主体がパー
ライトであることを特徴とする、快削性に優れた熱間加
工鋼材及び製品。 - 【請求項7】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からな
り、且つ、Ni含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/C
uが、下記(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(2)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(2) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことを特
徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造
方法。 - 【請求項8】 請求項7記載の発明において、前記黒鉛
化指数CEの算出式として、下記(4)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B --------------------------------(4) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%) を用い、そして、前記鋼片又は前記鋼材として、下記4
種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1
種を、更に付加されて含まれているものを用いることを
特徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製
造方法。 Mn:0.01〜1.0wt.%、 Cr:0.01〜1.0wt.%、 Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、 B :0.0005〜0.010wt.%。 - 【請求項9】 請求項7又は請求項8記載の発明におい
て、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)
式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼片又は前記鋼材として、下記5種の化学成
分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に
付加されて含まれているものを用いることを特徴とす
る、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造方法。 Al:0.01〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 - 【請求項10】 請求項7又は請求項8記載の発明にお
いて、前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(5)
式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)を用い、そ
して、前記鋼片又は前記鋼材として、下記3種の化学成
分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に
付加されて含まれているものを用いることを特徴とす
る、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造方法。 Ca :0.0010〜0.0100wt.%、 Mg :0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.%。 - 【請求項11】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、更に、 Al:0.10超え〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Ca:0.0010〜0.0100wt.%、 Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.% からなる群から選ばれた少なくとも1種とを含有し、残
部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、且つ、N
i含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記
(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(6)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9+Al/6 +Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 ------------(6) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことを特
徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造
方法。 - 【請求項12】C :0.80〜1.70wt.%、 Si:0.70〜2.50wt.%、 Cu:0.01〜2.0wt.%、 Ni:0.01〜2.0wt.%、 P :0.050wt.%以下、 S :0.050wt.%以下、 O :0.0050wt.%以下、及び、 N :0.015wt.%以下 を含有し、更に、 Mn:0.01〜1.0wt.%、 Cr:0.01〜1.0wt.%、 Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、 B :0.0005〜0.010wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Al:0.10超え〜0.50wt.%、 Ti:0.01〜0.50wt.%、 Zr:0.01〜0.50wt.%、 V :0.01〜0.30wt.%、及び、 Nb:0.01〜0.30wt.%。 からなる群から選ばれた少なくとも1種と、 Ca:0.0010〜0.0100wt.%、 Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、 REM:0.0010〜0.10wt.% からなる群から選ばれた少なくとも1種とを含有し、残
部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、且つ、N
i含有率とCu含有率とのwt.%比Ni/Cuが、下記
(1)式: Ni/Cu≧0.2 ------------------------------------(1) を満たし、そして、下記(5)式: CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9 −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 --------------------------------(5) 但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)で算出され
る黒鉛化指数CEが、下記(3)式: CE≧1.30 ----------------------------------------(3) を満たす化学成分組成を有する鋼片又は鋼材を、前記C
u含有率と前記Ni含有率との比率に等しい組成のCu
とNiとの合金の固相線温度未満の温度であって、且
つ、前記鋼片又は前記鋼材の固相線温度より50℃低い
温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加
熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却し、こうし
て得られた熱間加工鋼材に平均粒径が0.5μm以上の
黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、前記熱間
加工鋼材の金属組織の主体をパーライトとなすことを特
徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品の製造
方法。
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JP2000063948A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-02-29 | Toa Steel Co Ltd | 超快削鋼棒線材及び部品の製造方法並びにそれらによる超快削鋼棒線材及び部品 |
JP2000063989A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-02-29 | Nkk Joko Kk | 超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材 |
JP2000063988A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-02-29 | Nkk Joko Kk | 穴明け加工性に優れた快削鋼棒線材及びその製造方法 |
CN104653591A (zh) * | 2015-01-14 | 2015-05-27 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 压缩机用零件及其制备方法以及压缩机和制冷设备 |
CN107354370A (zh) * | 2017-07-19 | 2017-11-17 | 广东中天创展球铁有限公司 | 一种铸态铁素体球墨铸铁及其制备方法 |
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1998
- 1998-04-08 JP JP09607898A patent/JP3874532B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2000063948A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-02-29 | Toa Steel Co Ltd | 超快削鋼棒線材及び部品の製造方法並びにそれらによる超快削鋼棒線材及び部品 |
JP2000063989A (ja) * | 1998-08-19 | 2000-02-29 | Nkk Joko Kk | 超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材 |
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