JP4931430B2 - タイヤの温度分布予測方法とタイヤの温度分布予測計算プログラム - Google Patents
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一方、タイヤの耐久性を評価する方法の一つとして、粘弾性体であるゴム材料の転動時の発熱による温度上昇を考慮した評価方法が提案されている。
図7はそのフローチャートを示す図で、図8はこの評価方法に用いられるタイヤの有限要素モデル(タイヤモデル)70の概要を示す図である。このタイヤモデル70は、タイヤを有限個の要素70Sに分割するとともに、トレッド部71とサイド部72等のゴム部材をソリッド要素でモデル化し、ベルト73等の補強部材を膜要素などでモデル化したもので、耐久性の評価を行う際には、まず、上記タイヤモデル70を用いて静的応力解析、あるいは、転動解析等の動的解析を行って、上記タイヤモデル70の各要素の応力解析を行った(ステップS51)後、上記応力解析で得られた各要素の、タイヤを一回転させた場合の応力σと歪εを求めるとともに、上記歪εにゴム材料の損失正接に応じた位相遅れδを与えて得られる応力σと歪εとのヒステリシスループの面積から各要素の発熱エネルギーを演算し(ステップS52)、この発熱エネルギーを温度に換算して、タイヤが所定時間θだけ走行して発熱した場合の温度分布を求める(ステップS53)。
次に、上記モデル化したタイヤを所定時間θだけ走行させて放熱させる伝熱解析を実行してタイヤの温度分布を予測し(ステップS54)、上記予測された放熱後の各要素の温度における破断強度と破断伸びとから当該タイヤの安全率を演算して(ステップS55)、タイヤの耐久性を評価する(ステップS56)。なお、発熱時の解析においては、タイヤは発熱するのみで放熱しないものとし、放熱時の解析においては、タイヤは放熱するのみで発熱はしないものとして計算する。
このように、発熱の解析と放熱の解析とを別個に行った後、発熱時間と放熱時間とを一致させることにより、温度分布の予測計算時間を大幅に短縮することができる(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上記従来の温度分布の予測方法では、上記粘弾性係数やtanδとして、応力解析を行う際の与えた数値をそのまま用いており、粘弾性係数やtanδの温度依存性について考慮していないだけでなく、歪量依存性について考慮していないため、タイヤの温度分布を精度よく予測することが困難であった。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤの温度分布予測方法であって、上記リムモデルの各要素にはホイールの材質に合わせた熱伝導率を物性値として与え、上記内部空気モデルの各要素には空気の熱伝導率を物性値として与えるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタイヤの温度分布予測方法において、上記各ゴム部材に与える弾性率及び損失正接と温度との関係を予め実験により求めるようにしたものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタイヤの温度分布予測方法において、上記新たな応力解析モデルを用いて負荷または転動解析を行う際の弾性率と、再度発熱分布を求める際に用いる損失正接とを、上記予測された温度分布に加えて、上記前の負荷または転動解析により求められたタイヤ各部の歪量に基づいて設定するようにしたものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のタイヤの温度分布予測方法において、上記各ゴム部材に与える弾性率及び損失正接と歪量との関係を予め実験により求めるようにしたものである。
タイヤを構成する各ゴム部材の弾性率と損失正接の温度依存性と歪量依存性とを予め実験により求める第1のステップと、
3次元のタイヤモデルまたは3次元のタイヤモデルと路面モデルとから成る応力解析モデルを作成する第2のステップと、
上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に所定の同一温度の弾性率と損失正接とを与える第3のステップと、
弾性率が与えられた解析モデルを用いて負荷または転動解析を行ってタイヤ各部の応力と歪量とを算出する第4のステップと、
上記算出されたタイヤ各部の応力と歪量とから歪エネルギーの密度分布を求め、この密度分布に損失正接を乗算してタイヤの発熱分布を求める第5のステップと、
上記3次元のタイヤモデル、もしくは、カットサンプル型または軸対称の2次元タイヤモデルにタイヤ内部の空気を有限個の要素に分割した内部空気モデル、及び、少なくともリム部を含むホイールの一部または全部を有限個の要素に分割したリムモデルのいずれか一方または両方を付加した熱解析モデルを作成し、上記熱解析モデルについて、上記発熱分布に基づいて熱解析計算を行って、タイヤの表面及び内部の温度分布を求める第6のステップと、
上記温度分布に基づいて、上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に、当該要素の温度及び歪量における弾性率を与えた負荷または転動解析用の3次元解析モデルを新たな応力解析モデルとするとともに、発熱分布を求める際に用いる損失正接を当該要素の温度における損失正接に置換える第7のステップと、
上記新たな応力解析モデルと上記置換えられた損失正接とを用いて上記第4のステップから第6のステップまでを繰り返して新たな温度分布を求める第8のステップと、
上記第8のステップで求められた温度分布と上記第6のステップで求められた温度分布とを比較して温度分布の収束性を判定する第9のステップとを備えるとともに、
上記第9のステップにおいて収束判定がなされなかった場合には、上記第7のステップに戻って第8のステップで求められた温度分布に基づいて新たな応力解析モデルを作成するとともに、発熱分布を求める際に用いる各要素の損失正接を上記温度分布に基づいた損失正接に置換えて再度温度分布を予測して温度分布の収束性を確認するように構成したことを特徴とするものである。
このとき、熱解析モデルとして、上記3次元のタイヤモデルにタイヤ内部の空気を有限個の要素に分割した内部空気モデル、及び、少なくともリム部を含むホイールの一部または全部を有限個の要素に分割したリムモデルのいずれか一方または両方を付加した熱解析モデルを用いたので、転動時のタイヤの温度分布を精度よく予測することができる。
また、上記新たな応力解析モデルを用いて負荷または転動解析を行う際に用いる弾性率と、新たな発熱分布を求める際に用いる損失正接とを、上記予測された温度分布に加えて、上記負荷または転動解析により求められたタイヤ各部の歪量に基づいて設定するようにしたので、温度分布の予測精度を更に向上させることができる。
また、タイヤは回転体であるので、カットサンプル型または軸対称の2次元解析モデルを用いて上記熱解析計算を行うようにすれば、計算を効率よく行うことができる。
まず、タイヤの温度予測シミュレーションの事前準備として、タイヤを構成する各ゴム部材の弾性率/動弾性率と損失正接(tanδ)の温度依存性と歪量依存性とを計測する(ステップS10)。詳細には、各ゴムの加硫試験片、望ましくは新品タイヤまたは走行品タイヤから採取した試験片を、JIS K6394/ISO4664にある規格に基づいて計測して求める。なお、温度と歪量の計測範囲としては、歪については予測計算によって得られた各ゴム部材の使用歪範囲とし、温度については、温度の実測により得られた範囲(40℃〜120℃程度)とした。
次に、負荷解析または転動解析などのタイヤの応力解析を行うための数値解析モデル(以下、応力解析モデルという)M(k)の初期モデルM(0)を作成する(ステップS11)。上記応力解析モデルM(k)は、図2(a),(b)に示すように、タイヤモデル10とリムモデル20と路面モデル30とから構成され、タイヤモデル10については、トレッド部11やサイド部12などのゴム部材とビードワイヤ13とをソリッド要素でモデル化し、ベルト14,カーカスプライ15等の補強部材はシェル要素、膜要素、リバー要素でモデル化し、リムモデル20についてはソリッド要素でモデル化している。一方、路面は平坦な剛体シェル要素でモデル化しているが、実際の路面凹凸をモデル化することも可能である(なお、図2(a)ではリムモデル20については省略した)。また、路面モデル30を省略し、上記タイヤモデル10に境界条件を与えてもよい。
上記各モデル10〜30の各要素にはそれぞれ密度や弾性率などの材料物性が初期特性として与えられるが、本例では、まず、タイヤモデル10の各要素の温度は均一と仮定し、タイヤモデル10のゴム部材に、上記ステップS10で計測した弾性率/動弾性率とtanδのうち、初期設定温度(例えば、40℃)での弾性率/動弾性率とtanδの値を初期値として設定する(ステップS12)。
そして、上記初期応力解析モデルM(0)に、上記ステップS12で設定された弾性率/動弾性率の初期値を与えて負荷または転動解析を行ない、タイヤ各部に作用する応力σと歪量εとを算出する(ステップS13)。
タイヤ各部の応力σと歪量εとの算出が完了した後には、各要素のタイヤ1回転分の歪エネルギーを計算し、これに上記ステップS12で与えた各要素の初期設定温度におけるtanδを乗算して各要素の歪エネルギーロスを算出してタイヤの発熱分布P(0)を求める(ステップS14)。
そして、上記求められた発熱分布P(0)に基づいて熱解析モデルを作成し、この熱解析モデルを用いて熱解析計算を行い、タイヤの表面及び内部の温度分布F(0)を求める(ステップS15)。図3は、熱解析モデルの一例を示す図で、本例では、熱解析モデルG(k)として、タイヤモデル40とリムモデル50とから構成される数値解析モデルに、更に、タイヤ内部の気体(ここでは、空気)を有限個の要素に分割した内部空気モデル60を付加した3次元モデル、または、カットサンプル型または軸対称の2次元解析モデルを用いているとともに、上記タイヤモデル40の形状を内圧時の形状とし、リムモデル50の各要素には、ホイールの材質に合わせた熱伝導率を、内部空気モデル60に対しては、空気の熱伝導率を物性値として設定している。
すなわち、ステップS15では、上記ステップS14で求められた発熱分布P(0)を有する熱解析モデルG(0)を作成し、上記熱解析モデルG(0)を用いて熱解析計算して、初期設定条件下における温度分布F(0)を求める。
本例のように、熱解析モデルG(k)として、タイヤモデル40とリムモデル50とに内部空気モデル60とを付加したモデルを採用することにより、図4に示すように、タイヤモデル40のトレッド部41やサイド部42から放出される熱の流れだけでなく、ビード部46からリムモデル50のフランジ部51を介して外気に放出される熱の流れや、タイヤモデル40の内表面からリムモデル50のベース部52に伝導されて外気に放出される熱の流れについても考慮することができるので、タイヤの温度分布を精度よく求めることができる。なお、上記トレッド部41の熱解析計算は、路面に接している状態と路面とは接していない状態との平均的な熱の流れを用いて行う。
図5(a),(b)は、本例で用いるtanδと弾性率/動弾性率(Modulus)の概略を示すグラフで、tanδの値も弾性率/動弾性率の値も温度の上昇に伴って一旦高くなった後、低下する傾向にあるが、外気温25℃で20km/h〜80km/hの定常走行時(タイヤトレッド部の温度;40℃〜80℃)においては、各温度の弾性率/動弾性率とtanδは、初期設定温度である40℃での弾性率/動弾性率とtanδよりも高い値となる。
次に、上記応力解析モデルM(k)を用いて、負荷または転動解析を行なってタイヤ各部に作用する応力σと歪量εとを算出した(ステップS18)後、各要素のタイヤ1回転分の歪エネルギーを計算し、これに各要素の上記温度分布F(k−1)に対応する温度におけるtanδを乗算して各要素の歪エネルギーロスを算出して、タイヤの発熱分布P(k)を求める(ステップS19)。そして、ステップS20に進んで、上記求められた発熱分布P(k)を有する熱解析モデルG(k)を作成した後、この熱解析モデルG(k)を用いて熱解析計算を行って、タイヤの表面及び内部の温度分布を再度求める(ステップS21)。このステップS21で求められた温度分布は、くり返し数kにおける温度分布であるので、これを温度分布F(k)とおく。
次に、ステップS22に進み、上記ステップS21で求められた温度分布F(k)と上記ステップS17で用いた温度分布F(k−1)とを比較して、温度分布の収束性について判定する。具体的には、温度分布F(k)と温度分布F(k−1)との差が、例えば、5%以内であれば、収束したと判定する。
上記ステップS22において収束判定がなされなかった場合には、くり返し数kを1個増やして(ステップS23)ステップS17に戻り、上記ステップS18で算出した各要素の歪量εと上記ステップS21で求めた新たな温度分布F(k)に応じた弾性率/動弾性率をタイヤモデル10の各要素与えた新たな応力解析モデルM(k+1)を作成するとともに、新たな発熱分布P(k+1)を求める際に用いる各要素のtanδの値を上記温度分布F(k)に対応する温度におけるtanδに置換えた後、上記ステップS18からステップS21までの操作を行って新たな温度分布F(k+1)を求め、ステップS22にて、この温度分布F(k+1)と上記温度分布F(k)とを比較して温度分布の収束性について判定する。
このような操作を、収束判定まで繰り返すことにより求められた、最終的なタイヤの温度分布F(n)は、上記温度分布F(n)にほぼ等しい温度分布F(n−1)に応じた弾性率/動弾性率を与えた応力解析モデルM(n)を用いて求められた応力と歪量とに対応する弾性率/動弾性率と、上記温度分布F(n−1)におけるtanδとを用いて求めた発熱分布P(n)を有する熱解析モデルG(n)を用いて熱解析計算して得られた温度分布であるので、従来の、各要素の温度が均一と仮定して予測し温度分布F(0)に比較して、予測精度を大幅に向上させることができる。
また、上記熱解析計算を行う際に、タイヤモデル40とリムモデル50とに、タイヤ内部の空気を有限個の要素に分割した内部空気モデル60を付加した3次元モデルまたは2次元解析モデル(熱解析モデルG(k))を作成し、この熱解析モデルG(k)について、熱解析計算を行って、タイヤの表面及び内部の温度分布を求めるようにしたので、実際のタイヤの放熱過程に近い状態の熱解析計算を行うことができ、タイヤの温度分布を更に精度よく予測することができる。
なお、タイヤの発熱はトレッド部が主となるので、上記ステップS13で行う応力解析をタイヤモデル10のみで行ってもよい。
また、上記例の熱解析計算においては、リム部のみをモデル化したリムモデル50を用いたが、ホイールのリム部及びディスク部を構成する材料は熱伝導性が良好なので、熱解析計算においては、ホイール全体をモデル化すれば、タイヤ温度の予測精度を更に向上させることができる。
また、上記例において、tanδと弾性率/動弾性率に対しては、温度依存性のみを持たせても予測精度を向上させることは可能であるが、本例のように、各ゴム部材の各要素に予測した温度分布に対応する温度と算出した歪量εに応じたtanδと弾性率/動弾性率とをそれぞれ与えるようにした方が予測精度を確実に向上させることができる。
また、熱解析計算は3次元モデルを用いれば精度は向上するが、境界条件が複雑になるだけでなく、計算時間が膨大となるといった問題点がある。タイヤは回転体であるので、本例のように、カットサンプル型または軸対称の2次元解析モデル(熱解析モデルG(k)を用いて行うようにすれば、計算を効率よく行うことができる。
実施例1は熱解析をタイヤモデルのみで行ったもので、実施例2は、図6(a)に示すような、タイヤとリムと内部空気をモデル化した熱解析モデルを用いて熱解析を行ったものである。一方、従来例は、ゴム部材の弾性率/動弾性率とを一定にし、かつ、タイヤモデルのみ熱解析を行ったものである。
表1から明らかなように、弾性率/動弾性率とtanδとして、予測した温度のものを用いた実施例1の方が、弾性率/動弾性率とtanδを一定とした従来例よりも、ベルト端の予測温度が高く、しかも、実測温度との差が指数で従来例の約半分であることから、本発明の方法により、タイヤ温度の予測精度が向上していることが確認された。
また、実施例2は、指数が103とほぼ実測温度に近い値となったことから、リム及び内部空気を介した放熱を考慮した熱解析を行うことにより、タイヤ温度の予測精度を大幅に向上させることができることが確認された。
なお、上記Tタイプのタイヤでは、予測箇所及び測定箇所として、3ベルト端、プライ端、ナイロンチェーファー端(プライ端がワイヤーチェーファー端よりも高い構造のタイヤの場合)またはワイヤーチェーファー端(ワイヤーチェーファー端がプライ端よりも高い構造のタイヤの場合;表2の*印)の3箇所とした。
表2から明らかなように、Tタイプのタイヤにおいても、弾性率/動弾性率とtanδとして予測した温度のものを用いた実施例3の方が、弾性率/動弾性率とtanδを一定とした従来例よりも、それぞれの測定箇所での予測温度が高く、しかも、実測温度との差が指数で従来例の約半分であることから、本発明の方法により、タイヤのタイプによらず、タイヤ温度の予測精度が向上することが確認された。
また、実施例4は、実測温度との指数の差がいずれも上記実施例3の半分以下であり、熱解析をタイヤとリムと内部空気をモデル化したもので行えば、タイヤのタイプによらず、タイヤ温度の予測精度を大幅に向上させることができることが確認された。
12 サイド部、13 ビードワイヤ、14 ベルト、15 カーカスプライ、
20 リムモデル、30 路面モデル、
G(k) 熱解析モデル、40 タイヤモデル、41 トレッド部、
42 サイド部、46 ビード部、50 リムモデル、51 フランジ部、
52 ベース部、60 内部空気モデル。
Claims (8)
- 3次元タイヤモデルまたは3次元タイヤモデルと路面モデルとから成る応力解析モデルを作成するとともに、上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に弾性率を与えて、負荷または転動解析を行ってタイヤ各部の応力と歪量とを算出した後、上記算出されたタイヤ各部の応力と歪量とゴム部材の損失正接とを用いて求められたタイヤの発熱分布に基づいて、熱解析計算を行って、タイヤの表面及び内部の温度分布を予測するタイヤの温度分布予測方法であって、
上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に所定の温度の損失正接を与えてタイヤの温度分布を予測した後、上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素の弾性率を上記予測された温度での弾性率に置換えた新たな応力解析モデルを用いて負荷または転動解析を行ってタイヤ各部の応力と歪量とを再度算出し、この算出された応力と歪量と上記予測された温度でのゴム部材の損失正接とを用いてタイヤの発熱分布を求めるとともに、上記タイヤモデルにタイヤ内部の空気を有限個の要素に分割した内部空気モデル、及び、少なくともリム部を含むホイールの一部または全部を有限個の要素に分割したリムモデルのいずれか一方または両方を付加して作成された熱解析モデルについて、上記発熱分布に基づいて熱解析計算を行ってタイヤの温度分布予測を行い、上記新たな熱解析計算で予測された温度分布と、前の熱解析計算で予測された温度分布とを比較して、上記温度分布の収束性を判定し、上記温度分布が収束しない場合には、上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に、上記新たな熱解析計算により予測された温度における弾性率と損失正接とを与え、タイヤの温度分布を予測して温度分布の収束性を判定する操作を上記温度分布が収束するまで繰り返し、当該タイヤの温度分布を予測するようにしたことを特徴とするタイヤの温度分布予測方法。 - 上記リムモデルの各要素にはホイールの材質に合わせた熱伝導率を物性値として与え、上記内部空気モデルの各要素には空気の熱伝導率を物性値として与えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの温度分布予測方法。
- 上記新たな熱解析計算で予測された温度分布と前の熱解析計算で予測された温度分布との差が5%以内になったときに収束判定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤの温度分布予測方法。
- 上記各ゴム部材に与える弾性率及び損失正接と温度との関係を予め実験により求めるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタイヤの温度分布予測方法。
- 上記新たな応力解析モデルを用いて負荷または転動解析を行う際の弾性率と、再度の発熱分布を求める際に用いる損失正接とを、上記予測された温度分布に加えて、上記前の負荷または転動解析により求められたタイヤ各部の歪量に基づいて設定するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタイヤの温度分布予測方法。
- 上記各ゴム部材に与える弾性率及び損失正接と歪量との関係を予め実験により求めるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のタイヤの温度分布予測方法。
- 上記熱解析計算を、カットサンプル型または軸対称の2次元解析モデルを用いて行うようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のタイヤの温度分布予測方法。
- タイヤの表面及び内部の温度分布を、タイヤを有限個の要素に分割した解析モデルを用いて予測計算するための計算プログラムであって、
タイヤを構成する各ゴム部材の弾性率と損失正接の温度依存性と歪量依存性とを予め実験により求める第1のステップと、
3次元のタイヤモデルまたは3次元のタイヤモデルと路面モデルとから成る応力解析モデルを作成する第2のステップと、
上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に所定の同一温度の弾性率と損失正接とを与える第3のステップと、
弾性率が与えられた解析モデルを用いて負荷または転動解析を行ってタイヤ各部の応力と歪量とを算出する第4のステップと、
上記算出されたタイヤ各部の応力と歪量とから歪エネルギーの密度分布を求め、この密度分布に損失正接を乗算してタイヤの発熱分布を求める第5のステップと、
上記3次元のタイヤモデル、もしくは、カットサンプル型または軸対称の2次元タイヤモデルにタイヤ内部の空気を有限個の要素に分割した内部空気モデル、及び、少なくともリム部を含むホイールの一部または全部を有限個の要素に分割したリムモデルのいずれか一方または両方を付加した熱解析モデルを作成し、上記熱解析モデルについて、上記発熱分布に基づいて熱解析計算を行って、タイヤの表面及び内部の温度分布を求める第6のステップと、
上記温度分布に基づいて、上記タイヤモデルの各ゴム部材の要素に、当該要素の温度及び歪量における弾性率を与えた負荷または転動解析用の3次元解析モデルを新たな応力解析モデルとするとともに、発熱分布を求める際に用いる損失正接を当該要素の温度における損失正接に置換える第7のステップと、
上記新たな応力解析モデルと上記置換えられた損失正接とを用いて上記第4のステップから第6のステップまでを繰り返して新たな温度分布を求める第8のステップと、
上記第8のステップで求められた温度分布と上記第6のステップで求められた温度分布とを比較して温度分布の収束性を判定する第9のステップとを備えるとともに、
上記第9のステップにおいて収束判定がなされなかった場合には、上記第7のステップに戻って第8のステップで求められた温度分布に基づいて新たな応力解析モデルを作成するとともに、発熱分布を求める際に用いる各要素の損失正接を上記温度分布に基づいた損失正接に置換えて再度温度分布を予測して温度分布の収束性を確認するように構成したことを特徴とするタイヤの温度分布予測計算プログラム。
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