JP4921810B2 - エレベータの据付装置およびそれを用いた据付工法 - Google Patents
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しかしながら、既存のゴンドラを一杯に伸張させても昇降路の内壁面まで届かないことがあり、レールブラケット取付作業を行う作業員がゴンドラから大きく身を乗り出して作業せざるを得ない場合があった。
さらに、次の据付作業までゴンドラを保管する際には、その間口方向および奥行き方向の寸法を一杯に縮めるものの、1台のゴンドラが占有する面積は大きく、かなりの保管スペースを必要とする。
加えて、本設かご枠の上方に作業床を固定するために作業床を揚重機で吊上げる作業や、昇降路の内部に作業床を搬入して組み立てたり分解して搬出したりする作業が煩雑である。
建物の昇降路にエレベータを据え付ける際に用いる据付装置であって、
前記エレベータの本設のかご床と、
前記かご床に着脱自在に取り付けられる左右一対の仮設の立枠および仮設の作業用手摺りと、
その周囲に予め固定されている枠体を介して前記左右一対の仮設の立枠にそれぞれ着脱自在に取り付けられる、昇降路内において前記かご床を昇降させるための一対のエンドレスウィンチと、を備えることを特徴とする。
なお、本設のかご床とは、仮に設置するものではなく、完成したエレベータの乗りかごの床部分を実際に構成する部分であり、かご枠の一部を構成する下梁、床受け枠、防振ゴム、ガイドレールと係合する案内手段および安全手段を含めることができる。
また、請求項1に記載した手段は、上述したエレベータの据付装置の前記枠体に、前記エンドレスウィンチから延び出て垂下するワイヤロープが前記手摺りおよび前記かご床の外側に延びるように案内するワイヤロープガイドが取り付けられていることを特徴とする。
また、本設のかご床に追加して昇降路に搬入する部品は、左右一対の仮設の立枠と仮設の作業用手摺りだけであり、据付作業を効率よく行うことができる。
さらに、据付作業後に工場に返却して整備修復し保管する部品も、左右一対の仮設の立枠と仮設の作業用手摺りだけであるから、その製作や整備修復にかかる費用、および保管に必要なスペースを大幅に削減することができる。
加えて、エンドレスウィンチに予め枠体が固定されているから、この枠体を用いて左右一対の仮設の立枠に取り付けることができるばかりでなく、次述する天井支持手段、ワイヤロープガイド、アイボルト等、ウィンチ本体には取り付けが困難な様々な部品を取り付けることができる。
また、請求項1に記載したエレベータの据付装置においては、エンドレスウィンチに固定されている枠体の上部にワイヤロープガイドを取り付けることができる。
これにより、エンドレスウィンチから延び出て垂下するワイヤロープが、仮設の作業用手摺りや本設のかご床等に絡むことなく昇降路の下部へ延びるようにすることができる。
なお、吊下手段は揚重用の玉掛けワイヤを取り付けることができるものであれば良く、アイボルト、環付きフック、Uボルト等の既製品に限らず、鋼材を組み合わせて製作することもできる。
これにより、左右一対の立枠に固定する前のエンドレスウィンチを揚重機として活用し、本設のかご床を構成する部品や、左右一対の仮設の立枠、仮設の作業用手摺り等を昇降路に搬入する作業を行うことができるから、据付作業を効率よく行うことができる。
これにより、天井支持手段を左右一対の立枠に取り付けるための専用の部材は必要なく、据付装置の構造を簡単なものとすることができる。
これにより、昇降路の頂部において巻上機、制御盤、各種機器類、配線等を取り付ける作業を行うときに、昇降路内において本設のかご床を最適な位置まで上昇させて作業員の背丈に合わせることができるから、据付作業をより一層効率的に行うことができる。
したがって、かご床に乗っている作業員がワイヤロープに接触したりワイヤロープを不用意に掴んだりしないように保護することが可能となる。
これにより、昇降路の頂部において巻上機、制御盤、各種機器類、配線等を取り付ける作業を行うときに、昇降路の内壁面と天井部材の先端との間の距離を広げることができるから、据付作業をより一層効率的に行うことができる。
前記エンドレスウィンチを揚重機として用いることにより、前記本設のかご床、前記左右一対の仮設の立枠、および前記仮設の作業用手摺りを吊り下げて昇降路内にそれぞれ搬入する工程と、
前記本設のかご床、左右一対の仮設の立枠、および仮設の作業用手摺りを一体に組み立てる工程と、
前記左右一対の仮設の立枠に、前記枠体を介して前記一対のエンドレスウィンチをそれぞれ取り付ける工程と、を備えることを特徴とする。
そして、搬入に用いたエンドレスウィンチは、その枠体を介して左右一対の仮設の立枠にそのまま取り付けることができる。
これにより、エレベータ据付作業の最初の段階を極めて効率よく行うことができる。
前記エンドレスウィンチの枠体に前記天井支持手段を取り付ける工程と、
前記天井支持手段の支持柱の上下方向長さを調整する工程と、
前記天井支持手段の支持梁の水平方向長さを調整する工程と、
をさらに備えることを特徴とする。
これにより、昇降路の頂部において巻上機、制御盤、各種機器類、配線等を取り付ける作業を行うときには、昇降路内において本設のかご床を最適な位置まで上昇させて作業員の背丈に合わせることができるとともに、昇降路の内壁面と天井の先端との間の隙間を広げることができるから、据付作業をより一層効率的に行うことができる。
なお、以下の説明においては、同一の部分に同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
また、昇降路の頂部に水平に掛け渡された吊元梁4から垂下する駆動用ワイヤロープ5および安全装置用ワイヤロープ6とそれぞれ係合し、その昇降および安全確保を行うことができる。
このとき、左右一対の仮設の立枠14L,14Rの上下方向長さは、エレベータのかご枠を構成する本設の立枠よりも短く、昇降路1の内壁面にかご側ガイドレール3L,3Rを固定する作業に支障が生じないようになっている。
また、仮設の作業用手摺り15は、かご床13の上面に貫設されている巾木取付孔を用いて固定され、かつ作業員用の出入口を構成する開閉扉16が開閉自在かつ施錠可能に設けられている。
また、上部枠体23には、鋼管をU字形に湾曲させたワイヤロープガイド25が着脱自在に取り付けられており、エンドレスウィンチの駆動部分から上方に延び出て垂下する駆動用ワイヤロープ5が、作業用手摺り15やかご床13等に絡むことなく下方に延びるように案内している。
さらに、下部枠体24には、このエンドレスウィンチ組立体20を単体で揚重機として用いることができるようにするアイボルト(吊下手段)26と、作業階の床面上での移動を容易にするキャスタ車輪27とが取り付けられている。
さらにまた、左右一対のエンドレスウィンチ組立体20L,20Rは、図4に示したように、上部枠体23に接続した上側ブラケット28および下部枠体24に接続した下側ブラケット29により、左右一対の仮設の立枠14L,14Rにそれぞれ固定することができる。
これにより、天井支持柱30L,30Rはその全体が上下方向に伸縮することができ、かご床13と天井支持体40との間の上下方向距離を調整することができる。
また、天井支持柱30L,30Rは、昇降路1の頂部から下方に延びる駆動用ワイヤロープ5に接近して配設されており、かご床組立体10上の作業員が駆動ロープ5に接触したり不用意に掴んだりしないように保護する役割を果たしている。
なお、天井支持柱30L,30Rに駆動用ワイヤロープ5と摺動自在に係合する案内部材を設けることにより、駆動用ワイヤロープ5を案内する案内手段として活用することもできる。
これにより、端部支持体42の先端、したがって図示されない天井部材の先端と昇降路1の内壁面との間の水平方向距離を必要に応じて変更することができる。
このとき、図10に示したように、吊元梁4に固定されている天井フック7に環付きフック8およびシャックル9を用いて両ワイヤロープ5,6を吊り下げることができる。
そして、S3において駆動用ワイヤロープ5の下端部を手繰り寄せ、その先端をウィンチ本体21に挿入してウィンチ本体21の電動機を作動させると、図11に示したようにエンドレスウィンチ組立体20を揚重機として用いる準備が整う。
このとき、ワイヤロープガイド25を取り外しておくこともできる。
すなわち、本実施形態の据付装置100においては、エンドレスウィンチ組立体20の下部枠体24にアイボルト26を設けているので、エンドレスウィンチ組立体20を単体で揚重機として用いることができ、エレベータ据付作業の最初の段階を効率よく進めることができる。
そして、左右一対のエンドレスウィンチ組立体20L,20Rをそれぞれ駆動用ワイヤロープ5によって吊り下げつつ、各枠体23,24に取り付けたブラケット28,29を介して左右一対の仮設の立枠14L,14Rの所定位置に取り付ける。
すなわち、本実施形態の据付装置100においては、エンドレスウィンチ組立体20に枠体23,24が予め固定されているので、ブラケット28,29を介した立枠14L,14Rへの取り付けを容易に行うことができる。
すなわち、本実施形態の据付装置100においては、エンドレスウィンチ組立体20L,20Rに上部枠体23が予め固定されているので、各天井支持柱30L,30Rの取り付けを容易に行うことができる。
また、各エンドレスウィンチ組立体20L,20Rから上方に延び出て垂下する駆動用ワイヤロープ5が、ワイヤロープガイド25に案内されて作業用手摺り15およびかご床13の外側に延びるので、駆動用ワイヤロープ5が作業用手摺り15およびかご床13等に絡むこと確実に防止できる。
このとき、本実施形態のエレベータの据付装置100およびそれを用いた据付工法は、エレベータの本設のかご床13を用いるものであるから、エレベータを据え付ける昇降路の寸法に合致しており、その上に乗った作業員が作業用手摺り15から身を乗り出して据付作業を行う必要がない。
これにより、昇降路1の頂部において巻上機、制御盤、各種機器類、配線等を取り付ける作業を行うときには、天井支持体40を低めに配置し、昇降路1内においてかご床組立体10を最適な位置まで上昇させて作業員の背丈に合わせることができるとともに、昇降路1の内壁面と天井部材の先端との間の隙間を広げて作業スペースを確保することができるから、据付作業をより一層効率的に行うことができる。
そして、エンドレスウィンチ組立体20の単体を揚重機として用いることにより、これらの部材を昇降路1の外へと搬出することができる。
さらに、工場に返却して整備修復し保管する部品は、天井部材、天井支持体40,各天井支持柱30L,30R、エンドレスウィンチ組立体20L,20R、仮設の立枠14L,14R,仮設の作業用手摺り15だけであるから、その整備修復にかかる費用、および保管に必要なスペースを大幅に削減することができる。
そして、主ロープをかご枠の上梁に接続することにより、昇降路1にエレベータを据え付ける作業がほぼ完了する。
例えば、上述した実施形態においては、エンドレスウィンチ組立体20L,20Rを吊り下げている駆動用ワイヤロープ5が、天井支持柱30L,30Rを構成している柱部材32,33,34の外側表面に沿って上下方向に延びている。
これに対して、入れ子式に組み合わせた複数の筒状部材から天井支持柱20L,20Rを組み立てるとともに、これらの筒状部材の内側に駆動用ワイヤロープ5を挿通する構造とすることもできる。
2 バッファ台
3L,3R かご側ガイドレール
4 吊元梁
5 駆動用ワイヤロープ
6 安全装置用ワイヤロープ
7 天井フック
8 環付きフック
9 シャックル
10 かご床組立体
11 下梁
12 床受け枠
13 かご床
14L,14R 仮設の立枠
15 仮設の作業用手摺り
16 開閉扉
20L,20R エンドレスウィンチ組立体
21 ウィンチ本体
22 ピン
23 上部枠体
24 下部枠体
25 ワイヤロープガイド
26 アイボルト(吊下手段)
27 キャスタ車輪
28,29 ブラケット
30L,30R 天井支持柱
31 ブラケット
32 下側柱部材
33 中間柱部材
34 上側柱部材
35 支持腕
40 天井支持体
41 中央支持体
42 端部支持体
100 一実施形態のエレベータ据付装置
Claims (8)
- 建物の昇降路にエレベータを据え付ける際に用いる据付装置であって、
前記エレベータの本設のかご床と、
前記かご床に着脱自在に取り付けられる左右一対の仮設の立枠および仮設の作業用手摺りと、
その周囲に予め固定されている枠体を介して前記左右一対の立枠にそれぞれ着脱自在に取り付けられる、昇降路内において前記かご床を昇降させるための一対のエンドレスウィンチと、
を備え、
前記枠体には、前記エンドレスウィンチから下方に延び出て垂下するワイヤロープが前記手摺りおよび前記かご床の外側に延びるように案内するワイヤロープガイドが取り付けられていることを特徴とするエレベータの据付装置。 - 前記枠体には、前記エンドレスウィンチを単体で揚重機として用いるための吊下手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの据付装置。
- 前記枠体には、天井部材を支持するための天井支持手段が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの据付装置。
- 前記天井支持手段は、上下方向に相対変位自在に組み合わせされた複数の柱部材を具備した、上下方向に伸縮自在な天井支持柱を有していることを特徴とする請求項3に記載したエレベータの据付装置。
- 前記天井支持柱は、昇降路の頂部から前記エンドレスウィンチに延びるワイヤロープに接近させて配設されていることを特徴とする請求項4に記載したエレベータの据付装置。
- 前記天井支持手段は、水平方向に相対変位自在に組み合わせされた複数の梁部材を具備 した天井支持体を有していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載したエレベータの据付装置。
- 請求項1に記載したエレベータの据付装置を用いて建物の昇降路にエレベータを据え付ける据付工法であって、
前記エンドレスウィンチを揚重機として用いることにより、前記本設のかご床、前記左右一対の仮設の立枠、および前記仮設の作業用手摺りを吊り下げて昇降路内にそれぞれ搬入する工程と、
前記本設のかご床、左右一対の立枠、および手摺りを一体に組み立てる工程と、
前記かご床に組み付けた左右一対の立枠に、前記枠体を用いて前記一対のエンドレスウィンチをそれぞれ取り付ける工程と、
を備えることを特徴とするエレベータの据付工法。 - 請求項6に記載したエレベータの据付装置を用いて建物の昇降路にエレベータを据え付ける据付工法であって、
前記エンドレスウィンチの枠体に前記天井支持手段を取り付ける工程と、
前記天井支持手段の支持柱の上下方向長さを調整する工程と、
前記天井支持手段の支持梁の水平方向長さを調整する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載したエレベータの据付工法。
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