JP4915719B2 - 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒 - Google Patents

硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP4915719B2
JP4915719B2 JP2005341952A JP2005341952A JP4915719B2 JP 4915719 B2 JP4915719 B2 JP 4915719B2 JP 2005341952 A JP2005341952 A JP 2005341952A JP 2005341952 A JP2005341952 A JP 2005341952A JP 4915719 B2 JP4915719 B2 JP 4915719B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zns
solid solution
cucl
photocatalyst
cux
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005341952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007144304A (ja
Inventor
昭彦 工藤
一誠 辻
英樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo University of Science
Original Assignee
Tokyo University of Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo University of Science filed Critical Tokyo University of Science
Priority to JP2005341952A priority Critical patent/JP4915719B2/ja
Publication of JP2007144304A publication Critical patent/JP2007144304A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4915719B2 publication Critical patent/JP4915719B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、助触媒未担持でも疑似太陽光照射下で、還元剤である硫黄化合物、例えばS2−とSO 2−イオンを含む化合物の水溶液からの水素生成反応において、助触媒未担持の条件で、CdS光触媒や本発明者らが報告したCuドーピングZnS光触媒よりも高い活性を示すZnSとCuX、特にXはCl又は/及びBrである、との固溶体からなる光触媒に関する。
化石資源は無尽蔵とは言えないことから、これらを化学原料などに振り向けることが資源の有効利用の観点から好ましい。また、地球温暖化などの環境問題などの観点から、COの発生を伴わないクリーンなエネルギーへの変換が熱望されている。前記のような環境問題を引き起こさないエネルギーへの変換が取りざたされるなかで、光触媒を用いた水の分解反応は、太陽光を利用して、水を水素と酸素に分解する水素製造のためのクリーンなエネルギーシステムとして期待されている。そして、次世代エネルギー源として水素の利用に大きな注目が集まっている。また、水素をエネルギー源とする、エネルギー変換のための手段として、水素用燃料電池の研究開発や水素を社会や暮らしに取り入れるためのシステムや施設の検討が精力的に行われている。しかしながら、効率的な水素の製造には、現在のところ二酸化炭素の排出を伴う化石燃料に大きく依存しており、高効率な水蒸気改質技術や燃料電池の開発も根本的な環境問題を解決するまでには至っていない。
前記光触媒を用いた水の分解反応は、太陽光を利用して、水を水素と酸素に分解する水素製造のための実用的なクリーンなエネルギーシステムを構築するものとして期待されている。
文献1:Kato,H.;Kudo,A.Catal.Today 2003,78,561、 文献2:Kato, H.;Asakura,K.;Kudo,A.J.Am.Chem.Soc.2003,125,3082. 文献3:Hwang,D.W.;Kim,H.G.;Kim,J.;Cha,K.Y.;Kim,Y.G.;Lee,J.S.J.Catal.2000,193,40. 文献4:Maeda,K.;Takata,T.;Hara, M.;Saito,N.;Inoue,Y.;Kobayashi,H.;Domen,K.J.Am..Chem.Soc.2005,127,8286) 文献5:Sayama,K.; Mukasa,K.;Abe,R.;Abe,Y.;Arakawa,H.Chem.Commun.2001,2416. 文献6:Abe R.; Takata T.; Sugihara H.; Domen K.Chem.Commun. 2005, 3829. 文献7:、Abe R.; Sayama K.; Sugihara H. J. Phys. Chem. B 2005, 109, 16052、 文献8:Kato, H.; Hori, M.; Konta, R.; Shimodaira, Y.; Kudo, A. Chem. Lett. 2004, 331348. 特開2005-199187、特許請求の範囲 文献9:Kudo, A.; Sekizawa, M. Catal. Lett. 1999,58、241、 文献10:Kudo, A.; Sekizawa, M. Chem. Comm.2000, 1371 文献11:Tsuji, I.; Kudo, A. J. Photochem. Photobiol., A 2003, 156, 249 特開2004-255355、特許請求の範囲 文献13:Tsuji, I.; Kato, H.; Kobayashi, H.; Kudo, A. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 13406.、 文献14:Tsuji, I.; Kato, H.; Kobayashi, H.; Kudo, A. J. Phys. Chem. B 2005, 109, 7323、 文献15:Tsuji, I.; Kato, H.; Kudo, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3565. 特開2005-199222、特許請求の範囲
一方、太陽光のほぼ95%以上が可視光およびそれより長波長側領域であることから、太陽光エネルギーを有効利用して水を分解し水素を得る新しいエネルギーシステムの構築には可視光応答性光触媒の開発が不可欠である。これまでに、紫外光照射下であれば水を水素と酸素に分解できる高効率な光触媒がいくつか見出されている(非特許文献1−3)。可視光照射下においては,効率は現在のところ低いが、GaN:ZnS固溶体(非特許文献4)や水素または酸素生成の半反応に活性を示す光触媒を組み合わせたIO3−/IレドックスPt/SrTiO:Cr、Ta−Pt/W0、Pt/TaON:Pt/WOや Fe3+/Fe2+レドックスPt/SrTiO:Rh−BiVOなどのZスキーム系により水の完全分解が成功している(非特許文献5−8、特許文献1)。
このような中で、本発明者のグループは,犠牲試薬としてS2−やSO 2−などの還元剤を用いた水からの水素生成、すなわち水分解の半反応において、可視光照射下で高活性を示す硫化物光触媒の開発をおこなっている(非特許文献9−10)。また、NiやCuなどの遷移金属イオンをドーピングしたZnSは、これらの金属によるバンド構造の変化により、Ptのような貴金属助触媒が未担持でも可視光照射下で高活性を示すことを報告している(非特許文献11)。更に、カルコパイライト構造のAgGaSはRhを担持することで,量子収率25%(波長:440nm)の高活性が得られることが報告している(特許文献2)。更に、ZnSとCuInS、AgInSとの固溶体光触媒においては、Ruを助触媒として担持した(CuAg)15In0.3Zn1.55固溶体光触媒が疑似太陽光照射下においても水素生成反応において高い活性(見掛けの量子収率及び水素発生速度の特性において。)示すことを報告している(非特許文献12−14、特許文献3)。
本発明の課題は、基本的には、助触媒なしにおいてもより活性な水素生成反応を示し、長波長の可視光で水分解活性を有するZnSを用いた光触媒を提供することである。そこでZnSとCuXとの固溶体を、前記原料の調製と焼成温度(673K〜873K)などを工夫して作製し、合成条件と得られた固溶体の特定(粉末X線パターン)、走査電子顕微鏡像)と光触媒活性を検討し、基本的な結晶構造がZinc blende型の結晶構造である、ZnSとCuClやCuBrとのヘテロ固溶体を形成することで、Cu3d軌道が価電子帯の形成に関与することにより、硫黄化合物を犠牲薬とする水素生成光触媒活性の高い光触媒が得られることを発見し、前記課題を解決することができた。
本発明は、(1)(ZnS)1−Y(CuX)(ここでYは0.01≦Y≦0.2、好ましくは0.05≦Y≦0.2であり、Xはハロゲン元素である)の組成の太陽光照射下で還元剤を含む水溶液の光水分解により水素を生成する活性を有する固溶体からなる光触媒である。好ましくは、(2)固溶体の結晶構造が基本的にはZinc blende型である前記(1)に記載の光触媒であり、より好ましくは、(3)固溶体がZnSとして酸素存在下(空気)において400℃±100℃において2±1時間焼成しXRDスペクトルにおいてZnO及びZnSO4に帰属するピークが見られないものを用いCuXと混合し673K〜873Kの範囲で焼成することにより得られたものである前記(1)又は(2)に記載の光触媒である。また、本発明は(4)
CuXがCuClおよび/又はCuBrであり還元剤が硫黄化合物である前記(1)、(2)及び(3)に記載の固溶体からなる光触媒である。
発明の効果として、助触媒未担持において疑似太陽光照射下において、安定で450nmまでの広い波長域の可視光を利用できる水の光分解水素生成触媒系を構築できたことを挙げることができる。
先ず、本発明の評価機器、測定装置などを説明する。
A.測定機器、実験装置の概要;
調製された硫黄固溶体類の分析;
1)硫化物固溶体の粉末の同定;X線回折(Rigaku;MiniFlex)による。
2)触媒の比表面積の測定;BET等温吸着法 (Coulter;SA3100) による。
3)紫外-可視-近赤外拡散反射スペクトル(DRS);紫外可視近赤外分光光度計(Jascow;UbestV-570)で測定。得られた拡散反射スペクトルは,Kubelka-Munk法により、吸収モードに変換
4)発光測定;蛍光強度計(Spex;Fluorolog)
5)走査電子顕微鏡;JEOL;JSW-7400F
B.光触媒の活性測定:
1)図1に記載の、循環系C、発生水素ガス排気系V.L、発生ガス分析ガスクロマトグラフィーG、C、撹拌子MX、高温糟T.B、光源Lを配置した反応器R.Vを備えた閉鎖循環系。
2)水素生成光分解実験溶液;硫黄化合物を含む水溶液、好ましくは、SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液、より好ましくは、還元剤であるKSOとNaSとの混合水溶液中(0.5M KSO+0.1M NaSまたは、0.25M KSO+ 0.35M NaS)
3)生成した水素の定量;ガスクロマトグラフG.C(Shimazu; GC-8A, MS-5A column, TCD, Ar carrier)
4)光源L;300WのXe ランプ(ILC technology;CERMAX LX-300)とCut-off filter (HOYA L42)を組み合わせた、420nmより長波長の光源
5)太陽光シミュレーター(YAMASHITA DENSO;YSS−80QA,AM1.5,100mW/cm)の光源を用いた活性の評価。(この場合、反応は開放系で行い、生成したガスは水上置換で定量した。)
6)みかけの量子収率(QY)(%)の測定には、前記Cut−offフィルター(HOYA)とband−passフィルター(Kenko)により単色光を照射して行った。光量測定は,フォトダイオード(OPHIR;a PD300−UV SH head and a NOVA energy monitor)を用いて行った。
なおQY(%)は、
QY={(生成物の生成に要した電指数又は正孔数)/(入射光子数)}×100
で算出される。
A.ZnS−CuCl固溶体:(ZnS)1−Y(CuCl)(ここでYは0.01≦Y≦0.20である)の合成;
(1)CuClは、CuClとCu金属片を含む塩酸水溶液を熱して合成した。
(2)ZnS(Kojundo)は空気中において400℃で1−3時間焼成処理したXDRからZnOやZnSOに帰属するピークが観察されないものを用いた。
(3)前記合成した原料を混練し、石英アンプルに入れ673K−873Kで熱処理することによりZnS−CuCl固溶体を得た。
この工程において、混練時間はCuClが硫化されない程度の長さ(色が茶色くならない程度に混錬:見た目で判断)とすることにより光触媒活性の良い固溶体が得られた。前記(2)の処理も混練時のCuClの硫化を進めないために重要なファクターである。
B.ZnS−CuBr固溶体の合成;
前記ZnS−CuCl固溶体の場合と同様の方法により合成できる。
C.比較サンプルとして、
1)ZnSとCuSまたはCuSとの固相反応により得られたZn1−YCuS、
2)前記非特許文献9に記載のCuドーピングZnS合成方法、すなわち、Zn(NOとCu(NOの混合水溶液中に、NaS水溶液を添加して沈澱を得た後、その状態で15時間程度撹拌・熟成した。得られたペースト状の沈殿物を純水を用いて洗浄し、乾燥せずに光触媒「Cu(4.5mol%)光触媒」とした。及び
3)CdS触媒;高純度化学から購入したCdSを石英アンプル中で1023Kで熱処理し、Wurtzite型としたもの。
試料の特性;
図2及び図3に(ZnS)1−Y(CuCl)(Y=0.01−0.2)の固溶体(b−f)、ZnS(a)、CuCl(g)、CuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(h)、及びCuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(i)の粉末X線回折パターン(図2)及び拡散反射スペクトル(図3)を示す。これらの試料は段落〔0010〕で説明した合成法に従って作製した。得られた(ZnS)1−Y(CuCl)固溶体の回折パターンは、28.7度および47.7度付近に特徴的なピークを示しており、得られた試料の結晶構造はZnSやCuClと同じZinc blende型であることがわかった。わずかにWurtziteの結晶相が現れているサンプルもあった。Y=0.01以外の固溶体は,不純物として不定比のCuS(▽印)が確認され固溶量の増加に伴いそのピーク強度は大きくなっていた。しかし、このCuSのZnSに対するピーク比は非常に小さく、ほとんどのCuClはZnSとの固溶体を形成していると考えられる。(ZnS)1−Y(CuCl)固溶体は,結晶性が良く、同じ固溶量で比較した場合、(ZnS)0.9(CuCl)0.1はCuSやCuSから合成したZn0.9Cu0.1S固溶体よりも半値幅が狭くなっていた。これはCuClがフラックスとして働いているためだと考えられる。図3の固溶体の拡散反射スペクトルは、(a)ZnSおよび(g)CuClは400nm以下の紫外光しか吸収を示さないが、ZnSとCuClとを固溶することで可視光領域まで吸収を示した。 (ZnS)0.9(CuCl)0.1、(ZnS)0.85CuCl)0.15、(ZnS)0.8(CuCl)0.2は可視光領域にはっきりとした吸収端を持つスペクトルとなった。Zn0.9Cu0.1S固溶体のスペクトル(h)(i)は、ZnS基礎吸収から可視光領域に裾がのびたブロードなスペクトルとなり、同じCuの固溶量の(ZnS)0.9(CuCl)0.1とは異なっていた。
図4は石英アンプル中において773Kで5時間熱処理することにより得られた(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察写真である。粒子サイズが100−300nm程度の結晶性のよい微粒子が観察された。SEM−EDSの測定からは,固溶体粒子中にCuとClとが1:1に近い比で存在していることが確認された。この固溶体のBET比表面積は4.1m−1であった。
図5に、室温で測定した(ZnS)1−Y(CuX)固溶体の励起・発光スペクトルを示す。365nmの光で励起すると558nm付近に極大値をもつ鮮やかな黄色い発光を示した。これらの黄色い発光は良く知られた蛍光体である、付活剤としてCu、共付活剤としてClを共ドーピングしたZnSのD−A間の青または緑色の発光とは異なっていた。
図5の(ZnS)1−Y(CuCl)固溶体の励起スペクトル側は、Y=0.01(a)、Y=0.05(b)、Y=0.10(c)、Y=0.15(d)、およびY=0.20(e)であり、発光側は、Y=0.01(a’)、Y=0.05(b’)、Y=0.10(c’)、Y=0.15(d’)、およびY=0.20(e’)である。
光触媒反応;
図1に示す閉鎖循環系の実験装置を用いた。
パイレックス製の上方照射型反応容器R.Vに表1に示す触媒を0.3g挿入し、反応溶液として、還元剤として0.5mol/LのKSO及び0.1mol/LのNaS加えた水150mLを加え、撹拌・循環させ、前記300W Xeランプ(λ≧420nm)を照射してH生成速度を循環系に配設された前記のガスクロマトグラフで定量した。
結果を表1に示す。
触媒の比表面積BET(m/g)、及びバンドギャップエネルギー(BG)も記載した。
Figure 0004915719
表1から、ZnS単独ではほとんど活性を示さないが、CuClと固溶することで高い水素生成活性を示すことが分かる。光触媒活性はYが0から0.1の間ではCuClの割合の増加に伴い向上した。固溶量の大きなY=0.15,0.2では活性が若干低下した。これはXRDからも明らかなように、固溶量の増加に伴い硫化銅の遊離の程度が大きくなることが原因であると考えられる。Y=0.1の時に最も高い水素生成活性を示した。CuSおよびCuSから固相法により合成したZn0.9Cu0.1S固溶体の活性は,同じ量のCuを固溶した(ZnS)0.9(CuCl)0.1と比べると低活性であった。以上の結果から、ZnSとCuClとを固溶した触媒のみが,可視光照射下において水素生成反応に高活性を示すことが明らかとなった。特にY=0.05−0.2の範囲で比較的活性の高い固溶体が得られることがわかった。
(ZnS)0.9(CuBr)0.1固溶体(BG;2.77eV)も可視光領域に吸収を示し、673μmol/hと高い水素生成活性を示した。
(ZnS)0.9(CuCl)0.1光触媒による水素生成反応の量子収率(QY)は、460nm単色光照射下においても量子収率(QY)3.1%と比較的高い値を示した。バンドギャップ遷移である420nmの単色光照射下では、量子収率16.3%と高い値を示した。この値は以前に報告したCuドーピングZnS光触媒(QY=3.7%)よりも高く(前記非特許文献7)、発明者らの知る限り助触媒未担持という条件においては,可視光照射下での水素生成反応で最も高い値と見なせる。
(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体を製造する際の熱処理条件と、得られる固溶体の比表面積及び水素生成活性との相関;
表2に様々な条件で熱処理をして合成した(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体の比表面積と水素生成反応活性の結果を示す。
Figure 0004915719
673Kの熱処理では,比表面積は大きいものの結晶性が悪く,触媒の色もくすんでおり低活性であった。773Kで熱処理した場合にもっとも高い活性を示し,活性は焼成時間にはあまり依存性がなかった。一方,比較的高温の873Kでの熱処理では活性が低下してしまった。
水溶液の組成と光触媒の水素生成反応との相関の測定;
還元剤としてS2−またはSO 2−を含む水溶液、S2−とSO 2−をともに含む水溶液(触媒0.3g)からの水素生成反応と、良く知られたCdS(d、溶液組成は0.1M NaS+0.5M KSO)との比較を図6に示す。(a)0.5M KSO下ではほとんど活性を示さなかった。(b)0.1M NaSの反応では、反応初期で400μmol/hほどの高い水素生成活性を示したが2時間目以降から失活してしまった。一方、(c)の0.1M NaS+0.5M KSOの反応では,ほぼ定常的に水素を生成し続けた(460μmol/h)。よく知られている高活性な光触媒であるCdSと比較した場合、(c)(ZnS)0.9(CuCl)0.1の方が4倍以上もの高い水素生成活性を示した。また,以前我々が報告したCu(4.5mol%)ドーピングZnSを(c)と同じ反応条件下で測定すると、活性は98μmol/hであり,今回報告見出したZnS−CuCl固溶体の方が高い活性を示した。
疑似太陽光照射下の水素生成反応活性の測定;
(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体触媒は、図7に示すように、疑似太陽光照射下においても高い活性を示し、比較的安定に水素を生成し続けた。因みに、反応溶液には0.3gの光触媒を加え、前記溶液の組成は0.1mol/L KSO+0.5mol/L NaSであり、溶液の量は150mL、光源は300W Xeランプ(AM1.5フィルター)、照射面積33cmである。照射面積から換算した1平方メートル当たりの水素生成量は、反応初期で3.1Lh−1であった。反応後の触媒はXRD観察から触媒の状態の変化は見られなかった。
ZnSとCuClから調製された(ZnS)1−Y(CuCl)固溶体が高活性な可視光応答性光触媒であることが明らかとなり、すなわち、これらの固溶体はPtやRuといった貴金属助触媒を担持しなくても水素生成反応において高い活性を示した。疑似太陽光照射下においても水素生成反応に活性を示し、また、CdSや以前報告したCuドーピングZnS光触媒と比較してもより高い活性を示すことは、より産業上の利用性を可能としたものである。更に、CuClがフラックスとして働くことやCuとClの共置換による電荷補償効果がCuの安定な価電子帯の形成に寄与していることが高活性の要因として考えられ、また、ZnSとCuBrとの固溶体においてもZnS−CuCl固溶体と同様に可視光照射下で、水素生成反応に高い活性を示すことの発見は、水素生成反応に高い活性を示す光触媒の開発の方向性を示したことにおいても、産業上の効果は顕著である。
可視光応答性光水分解水素生成系光触媒の評価用閉鎖循環型反応装置 (ZnS)1−Y(CuCl)(Y=0.01−0.2)の固溶体(b−f)、ZnS(a)、CuCl(g)、CuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(h)、及びCuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(i)の粉末X線回折パターン (ZnS)1−Y(CuCl)(Y=0.01−0.2)の固溶体(b−f)、ZnS(a)、CuCl(g)、CuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(h)、及びCuSから合成したZn0.9Cu0.1Sの触媒(i)の拡散反射スペクトル 石英アンプル中において773Kで5時間熱処理することにより得られた(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察写真 室温で測定した(ZnS)1−Y(CuX)固溶体の励起・発光スペクトル。(ZnS)1−Y(CuCl)固溶体の励起スペクトル側は、Y=0.01(a)、Y=0.05(b)、Y=0.10(c)、Y=0.15(d)、およびY=0.20(e)であり、発光側は、Y=0.01(a’)、Y=0.05(b’)、Y=0.10(c’)、Y=0.15(d’)、およびY=0.20(e’)である 水溶液の組成と(ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体光触媒の水素生成反応との相関:水溶液の組成の組成は(a)0.5M KSO、(b)0.1M NaS、及び(c)の0.5M KSO+0.1M NaSである。(d)はCdS(溶液組成は0.5M KSO+0.1M NaS) (ZnS)0.9(CuCl)0.1固溶体触媒の疑似太陽光照射下の水素生成反応活性
符号の説明
V.L 真空ライン G 圧力計 C 循環器 T.B 高温槽 S スターラー
MX 撹拌子 L 可視光(λ>420nm) R.V 反応容器
L.C リービッヒ冷却管 G.C ガスクロマトグラフィー

Claims (4)

  1. (ZnS)1−Y(CuX)(ここでYは0.01≦Y≦0.2であり、Xはハロゲン元素である)の組成の太陽光照射下で還元剤を含む水溶液の光水分解により水素を生成する活性を有する固溶体からなる光触媒。
  2. 固溶体の基本結晶構造がZinc blende型である請求項1に記載の光触媒。
  3. 固溶体がZnSとして酸素存在下(空気)において400℃±100℃において2±1時間焼成しXRDスペクトルにおいてZnO及びZnSOに帰属するピークが見られないものを用いCuXと混合し673K〜873Kの範囲で焼成することにより得られたものである請求項1又は2に記載の光触媒。
  4. CuXがCuClおよび/又はCuBrであり還元剤が硫黄化合物である請求項1、2又は3に記載の固溶体からなる光触媒。
JP2005341952A 2005-11-28 2005-11-28 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒 Expired - Fee Related JP4915719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005341952A JP4915719B2 (ja) 2005-11-28 2005-11-28 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005341952A JP4915719B2 (ja) 2005-11-28 2005-11-28 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007144304A JP2007144304A (ja) 2007-06-14
JP4915719B2 true JP4915719B2 (ja) 2012-04-11

Family

ID=38206345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005341952A Expired - Fee Related JP4915719B2 (ja) 2005-11-28 2005-11-28 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4915719B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104667932A (zh) * 2015-01-21 2015-06-03 西安建筑科技大学 石墨烯强化增韧孔性固废基催化剂制备及在制氢中的应用

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011148683A1 (ja) * 2010-05-27 2011-12-01 国立大学法人山梨大学 光触媒組成物及び光触媒組成物の製造方法
US9305736B2 (en) 2011-07-15 2016-04-05 Tazmo Co., Ltd. Phosphor for dispersion-type EL, dispersion-type EL device, and method of manufacturing the same
CN102671664B (zh) * 2012-05-25 2013-12-04 西安建筑科技大学 矿渣基胶凝材料-氧化铁半导体复合催化剂及在太阳能光催化分解水制氢中的应用
CN102688764B (zh) * 2012-05-25 2013-10-09 西安建筑科技大学 钢渣基胶凝材料-氧化锌半导体复合催化剂及在太阳能光催化分解水制氢中的应用
WO2020003464A1 (ja) 2018-06-28 2020-01-02 富士通株式会社 光触媒、ガスセンサデバイス、ガスセンサ及び測定方法
CN110201681A (zh) * 2018-09-30 2019-09-06 湖北工业大学 一种空气净化用ZnO/CuS/Ag光催化材料的制备方法
CN113289645B (zh) * 2021-06-09 2022-03-25 淮北师范大学 一种一维自组装复合光催化剂及其制备方法和应用
CN115501897B (zh) * 2022-09-15 2023-06-27 齐鲁工业大学 纳米复合材料及制备方法与其在可见光催化产氢中的应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10310770A (ja) * 1997-03-10 1998-11-24 Sony Corp 発光体の製造方法
JP3421627B2 (ja) * 2000-02-29 2003-06-30 韓国化学研究所 硫化亜鉛系水素発生用光触媒の製造方法
JP4070516B2 (ja) * 2002-06-06 2008-04-02 独立行政法人科学技術振興機構 水から水素生成のための可視光応答性硫化物光触媒
JP2005120117A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Sumitomo Electric Ind Ltd 蛍光体とこれを用いた多孔体、フィルタ
JP2005199222A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Tokyo Univ Of Science 活性効率及び活性安定性を改善した光水分解により水素を生成する可視光活性硫化物固溶体系光触媒及び前記触媒の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104667932A (zh) * 2015-01-21 2015-06-03 西安建筑科技大学 石墨烯强化增韧孔性固废基催化剂制备及在制氢中的应用
CN104667932B (zh) * 2015-01-21 2016-09-28 西安建筑科技大学 石墨烯强化增韧孔性固废基催化剂制备及在制氢中的应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007144304A (ja) 2007-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4915719B2 (ja) 硫黄化合物を含む水溶液から太陽光照射下で水素生成に高活性を示すZnS−CuX固溶体光触媒
US20220042184A1 (en) Preparation Method and Application of Non-noble Metal Single Atom Catalyst
JP4803414B2 (ja) 新規z−スキーム型可視光活性な水の完全分解用光触媒系及び前記触媒を用いた水の完全分解方法
JP6370371B2 (ja) 二酸化炭素の光触媒還元のための共触媒組成物を有するnatao3:la2o3触媒
CN104324733B (zh) 无贵金属高活性光解水制氢催化剂的制备方法
CN101811044B (zh) 铌酸钾纳米管光催化剂及其制备方法和应用
JP2009066529A (ja) 光触媒およびその製造方法並びに水素ガス発生方法
Liu et al. Correlation between band structures and photocatalytic activities of CdxCuyZn1–x–yS solid solution
Sarwar et al. Synergistic effect of photo-reduced Ni–Ag loaded g-C3N4 nanosheets for efficient visible Light‐Driven photocatalytic hydrogen evolution
Kaga et al. Solar hydrogen production over novel metal sulfide photocatalysts of AGa 2 In 3 S 8 (A= Cu or Ag) with layered structures
JP2013180245A (ja) 水分解用光触媒及び水素生成方法
JP4158850B2 (ja) 光触媒を用いた二酸化炭素還元方法
Umer et al. Self-doped Ti3+ mediated TiO2/In2O3/SWCNTs heterojunction composite under acidic/basic heat medium for boosting visible light induced H2 evolution
JP4528944B2 (ja) 硝酸イオン存在下の酸化的雰囲気においてIr酸化物系助触媒を担持させた光触媒およびその製造方法
CN103657687A (zh) 复合型半导体光催化剂及其制法、光催化体系及制氢方法
Madi et al. Fabricating V2AlC/g‐C3N4 nanocomposite with MAX as electron moderator for promoting photocatalytic CO2‐CH4 reforming to CO/H2
Jia et al. Effects of Pt3Ni alloy polyhedral and its de-alloying on CdS's performance in hydrogen evolution from water-splitting under visible light
CN103381367B (zh) 一种光催化分解水制氢材料CdS/Ba0.9Zn0.1TiO3及其制备方法
JP2004008922A (ja) 水から水素生成のための可視光応答性硫化物光触媒
JP6521316B2 (ja) 特徴的な吸収バンドを有する半導体光触媒及びその製造方法
Mohamed et al. Facile Fabrication of Pt-Doped Mesoporous ZnS as High Efficiency for Photocatalytic CO 2 Conversion
JP4608693B2 (ja) 可視光を全吸収する水素生成のための黒色光触媒
CN100351015C (zh) 一种载铂硫化镉光催化剂的制备方法
JP4312471B2 (ja) 可視光照射下で硫黄化合物を含む水溶液から水素を発生させるためのAgGaS2からなる光触媒
CN111589463B (zh) 一种碳化铁复合一氧化钛的纳米颗粒光热催化剂及其制备

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees