JP4907898B2 - 熱可塑性樹脂成形体 - Google Patents
熱可塑性樹脂成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4907898B2 JP4907898B2 JP2005127768A JP2005127768A JP4907898B2 JP 4907898 B2 JP4907898 B2 JP 4907898B2 JP 2005127768 A JP2005127768 A JP 2005127768A JP 2005127768 A JP2005127768 A JP 2005127768A JP 4907898 B2 JP4907898 B2 JP 4907898B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- component
- resin
- molded body
- phase
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
さらに、ビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテル成分を規定したPTTとPCを含む、溶融粘度安定性を規定した樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記手法により得られる樹脂成形体は、要求される耐薬品性を満たすには至ってない。
すなわち本発明は、下記の通りである。
1.(A)ポリトリメチレンテレフタレート1〜99重量部と(B)ポリカーボネート99〜1重量部を含む樹脂組成物100重量部に対して、(C)エチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体からなるガラス転移温度が0℃以下であるエラ
ストマー0.1〜30重量部を含む(X)樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、該樹脂成形体の表面から深さ10μmまでの深さ領域で、(C)成分を主成分とする相が成形品表面と平行に層状に存在することを特徴とする樹脂成形体。
3.(A)成分を主成分とする相、及び/又は(B)成分を主成分とする相が、該樹脂成形体の表面から深さ10μmまでの深さ領域で、成形品表面と平行に層状に存在することを特徴とする1.または2.に記載の樹脂成形体。
4.(A)成分を主成分とする相、及び/又は(B)成分を主成分とする相の厚みが1nm〜500nmであることを特徴とする3.に記載の樹脂成形体。
5.(C)成分がエチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体、及び/又はエチレンアクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする1.〜4.のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
また、上述のポリエステル成分に分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の、三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸、またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールを共重合してもよい。その場合にそれらは全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下0モル%以上であってもよい。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。
PTTの極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中にPTTを含む樹脂組成物を、溶質(PTT樹脂成分)/溶液=1.00g/dlになるように溶解させ、不溶分(無機質強化材等)をフィルターで除去した後、不溶分除去後の溶液を用いて比粘度ηspを測定し、下記式により求めることができる。
[η]=lim(1/C)×(ηr−1)[C→0]
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解したポリトリメチレンテレフタレートの希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値で相対粘度として定義されるものである。またCは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
本発明の(B)PCは、下記式(1)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有するものである。
−(O−Ar−O−CO)− (1)
(式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、 ビフェニレン、ピリジレンや、下記式(2)で表される基が挙げられる。)
−Ar1−Y−Ar2− (2)
(式中、Ar1及びAr2はそれぞれアリーレン基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表す。Yはアルキレン基または置換アルキレン基である。)
−Ar1−Z−Ar2− (3)
(式中Ar1、Ar2は式(2)と同じ。Zは単なる結合または−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CONR1−等の二価の基である。ただし、R1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。)
カーボネート中の全モノマー単位を基準として)含むポリカーボネートが特に好ましい。
また、本発明に用いることができるポリカーボネートは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有している場合も含む。
ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、フェノール性水酸基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。これらの中で、フェノール性水酸基、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート等が末端構造として好ましい。フェノール性水酸基末端の全末端基数に対する割合は、特に限定されないが、よりすぐれた色調や機械的物性を得る観点からは、フェノール性水酸基末端の割合が全末端基数の20%以上であることが好ましく、20〜80%の範囲にあることが更に好ましい。フェノール性水酸基末端の割合が全末端基数の80%を超えると、組成物の溶融時の熱安定性が若干低下する傾向にある。フェノール性水酸基末端の割合は、一般にNMRを用いて測定する方法(NMR法)や、チタンを用いて測定する方法(チタン法)や、UVもしくはIRを用いて測定する方法(UV法もしくはIR法)で求めることができる。
重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
MPC=0.3591MPS 1.0388
(式中、MPCはPCの重量平均分子量、MPSはポリスチレンの重量平均分子量である。)
さらに、(A)PTTと(B)PCは、両者の混練温度における溶融粘度が近いことが望ましい。また剪断速度100sec−1におけるそれぞれの溶融粘度(単位;poise)をμ(A)及びμ(B)で表した場合、次の条件を満たすことが望ましい。
|μ(A)−μ(B)|≦18,000(poise)
この溶融粘度差は、(A)PTTの(B)PCに対する相溶化を進め、樹脂組成物の成形性および物性を発揮させるために望ましい範囲である。
)成分99〜1重量部であり、機械特性、寸法安定性の観点から、(A)成分5〜70重量部に対して(B)成分95〜30重量部であることが好ましく、(A)成分10〜50重量部に対して(B)成分90〜50重量部であることが最も好ましい。
本発明の(C)ガラス転移温度が0℃以下のエラストマーは、ガラス転移温度が0℃以下であれば、特に種類には依らない。ガラス転移温度は、粘弾性測定装置を用いて、(X)熱可塑性樹脂組成物を樹脂温度270℃、金型温度80℃の条件で成形加工したISOダンベル片を用いて、−150℃から100℃の温度領域で、2℃/分の昇温速度、10rad/秒の条件で動的粘弾性測定を行った際の損失弾性率(G‘’)の最も高温側に発現するピーク温度である。
リン酸金属塩、ピロリン酸金属塩、メタリン酸金属塩、リン酸アンモニウム塩及びオキソ酸の具体例としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カリウム、第一リン酸アルミニウム、リン酸二水素亜鉛、リン酸二水素アンモニウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素二カリウム、ピロリン酸二水素亜鉛、ピロリン酸二水素マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸亜鉛、クエン酸、リン酸及びホスホン酸等挙げることができる。上記金属塩の中でリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及びクエン酸が最も好ましく用いられる。
に(D)pH調整剤を混合する方法を採用することができる。
また、本発明の(X)樹脂組成物には、本願発明の目的を損なわない範囲で、剛性及び耐熱性の向上を目的として(E)無機充填剤を配合することが可能である。(E)無機充填剤としては目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の無機充填剤が用いられる。
又、板状無機充填剤としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
これらの無機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。繊維状無機充填剤、特にガラス繊維と粒状及び/又は板状無機充填剤の併用は、機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。
これらの無機充填剤は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤が挙げられる。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−α−(アミノエチル)−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−α−(アミノエチル)−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
高級脂肪酸類としては、高級飽和脂肪酸類、高級不飽和脂肪酸類あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(x−1)高級飽和脂肪酸類
高級脂飽和肪酸類は、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
高級不飽和脂肪酸類としては、炭素数が6〜22の不飽和脂肪酸が好ましく用いられ、中でも、より好ましいものとしては、例えばウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
高級脂肪酸金属塩類としては、高級飽和脂肪酸金属塩類、高級不飽和脂肪酸金属塩類あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(y−1)高級飽和脂肪酸金属塩類
高級脂飽和肪酸類は、下記一般式で示される。
CH3(CH2)nCOO(M)
ここで、n=8〜30であり、金属元素(M)が、元素周期律表の1A、2A、3A族元素、亜鉛、アルミニウムなどが好ましく用いられる。
中でも、より好ましいものとしては、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
高級不飽和脂肪酸金属塩類としては、炭素数が6〜22の不飽和脂肪酸と、元素周期律表の1A、2A、3A族元素、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩が好ましく用いられ、中でも、より好ましいものとしては、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明における高級脂肪酸エステル類は、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル、あるいは多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(z−1)高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類
高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類として、好ましいのは、炭素数8以上の脂肪族アルコールと炭素数8以上の高級脂肪酸とのエステル類である。好ましい高級脂肪酸エステル類としては、例えばラウリルラウレート、ラウリルミリステート、ラウリルパルミテート、ラウリルステアレート、ラウリルベヘネート、ラウリルリグノセレート、ラウリルメリセート、ミリスチルラウレート、ミリスチルミリステート、ミリスチルステアレート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルリグノセレート、ミリスチルメリセート、パル
ミチルラウレート、パルミチルミリステート、パルミチルステアレート、パルミチルベヘネート、パルミチルリグノセレート、パルミチルメリセート、ステアリルラウレート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルベヘネート、ステアリルアラキネート、ステアリルリグノセレート、ステアリルメリセート、アイコシルラウレート、アイコシルパルミテート、アイコシルステアレート、アイコシルベヘネート、アイコシルリグノセレート、アイコシルメリセート、ベヘニルラウレート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルアラキネート、ベヘニルメリセート、テトラコサニルラウレート、テトラコサパルミテート、テトラコサニルステアレート、テトラコサニルベヘネート、テトラコサニルリグノセレート、テトラコサニルセロテート、セロチニルステアレート、セロチニルベヘネート、セロチニルセロチネート、メリシルラウレート、メリシルステアレート、メリシルベヘネート、メリシルメリセートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
多価アルコールと高級脂肪酸の部分エステル類は、多価アルコールとして、例えばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、エリスリット、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、マニトール、ソルビトールなどが好ましく用いられる。
また高級脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などが好ましく用いられる。
いはこれらの混合物を挙げることができる。
(G)結晶化促進剤としては、ガラス繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトなどの無機充填剤や有機カルボン酸金属塩、無機カルボン酸金属塩、アイオノマー樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂などが挙げられる。結晶化促進効果の大きさから熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
本発明の(X)樹脂組成物からなる成形体は、その表面から深さ10μmまでの深さ領域で、(C)成分を主成分とする相が成形体表面と平行に層状に存在する構造を有する。耐薬品性の観点から、該成形体は、その表面から深さ50μmまでの深さ領域で(C)成分を主成分とする相が成形体表面と平行に層状に存在する構造を有することが好ましく、その表面から深さ100μmまでの深さ領域で(C)成分を主成分とする相が成形体表面と平行に層状に存在する構造を有することが最も好ましい。具体的に、樹脂成形品の(C)成分を主成分とする相の相構造は、樹脂流動方向(以後、「MD」方向と略す。)と樹脂流動方向に直角方向(以後、「TD方向」と略す。)から成形品断面を電子顕微鏡(TEM)を用いて、観察することができる(図1参照)。(C)成分を主成分とする相が層
状であることは、MD方向とTD方向の両断面図(TEM写真)において、(C)成分を主成分とする相が共にL(長さ)/D(厚さ)が2以上の線状構造が、相面積にして50%以上存在することを示す。耐薬品性の観点から、L/Dが10以上の線状構造が、相面積にして50%以上存在することが好ましく、L/Dが100以上の線状構造が、相面積にして50%以上存在することがより好ましく、L/Dが1000以上の線状構造が相面積にして50%以上存在することが最も好ましい。(C)成分を主成分とする相の厚みは、耐薬品性の観点から、10〜2000nmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、10〜500nmであることが最も好ましい。
本発明の(X)熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂成形体は、従来の(A)成分と(B)成分からなる樹脂成形体と比較し、極めて優れた機械物性、耐熱性、寸法特性を有するとともに、耐薬品性に優れる。そのため、例えば、自動車部品材料、電気電子材料、産業資材、工業材料、家庭用品などの成形材料として好適に使用することができる。
・PTT1:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂。
極限粘度[η]=0.72×dl/gのポリトリメチレンテレフタレート
なお,極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められた。
[η]=lim(1/C)×(ηr−1)[C→0]
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解したポリトリメチレンテレフタレートの希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値で相対粘度として定義されるものである。またCは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
・PTT2:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂
極限粘度[η]=0.89×dl/gのポリトリメチレンテレフタレート
・PTT3:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂
極限粘度[η]=1.00×dl/gのポリトリメチレンテレフタレート
・E1:エチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体;ノフアロイIE285、日本油脂社製
・E2:エチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体;LOTADERGMA AX−8900、アトフィナ社製
・E3:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体;モディパーA4200、日本油脂社製
・E4:シリコーン・アクリル複合エラストマー;S−2001、三菱レーヨン社製
・MF1:タルク;M−SP、日本タルク社製
・S1:IRGANOX1098、チバ・スペシャルティーケミカルズ社製
・S2:リン酸二水素Na、太平化学産業社製
・S3:フォスファイト系化合物;PEP8、旭電化社製
1.樹脂成形品の作成および諸特性
図2及び図3に示す樹脂成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹脂(株)製FN3000、シリンダー温度260℃、金型温度80℃に設定し、射出20秒、冷却20秒の射出成形条件で、樹脂成形品を得た。なお、射出速度は99%とし、射出圧力は、一次圧、二次圧すべて一定とし、金型にフル充填する最低射出圧力+20kgf/cm2の条件で成形を行った。
図2に示す成形品は150mm×150mm×2mm厚の平板であり、ゲートは150mm×1mm厚のフィルムゲートである。
図3に示す成形品は150mm×150mm×2mm厚の平板であり、ゲートは2.5mmφのピンゲートである。
図2及び図3に示す平板から切出したJISK7113−1号型(1B型)試験片を、図1に示すようにMD方向とTD方向から、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、表層から10μmの深さまで観察した。透過型電子顕微鏡(TEM)としては、HITACHI社製のH−600Aを用いた。TEM観察には、上記試験片をミクロトームで80nmにスライスし、その切片をルテニウム酸染色したサンプルを用いた。MD方向から観察しても、TD方向から観察しても、(C)成分相に関して、アスペクト比(L/D)≧2の線状構造が相面積の50%以上である構造は層状構造とした。MD方向から観察しても、TD方向から観察しても、アスペクト比(L/D)<2の島状構造が総面積の50%以上である構造は球状構造とした。(A)成分相及び(B)成分相に関しては、アスペクト比(L/D)≧5の線状構造が相面積の50%以上である構造は層状構造とした。MD方向から観察しても、TD方向から観察しても、アスペクト比(L/D)<5の島状構造が総面積の50%以上である構造は海島構造とした。
前述(1−1)で観察したTEM画像(表層から50μmの深さ)を用いて(C)層の厚み実測し、その平均値を求めた。
(1−3)(A)層平均厚み
前述(1−1)で観察したTEM画像(表層から50μmの深さ)を用いてPTT層の厚み実測し、その平均値を求めた。
(1−4)(B)層平均厚み
前述(1−1)で観察したTEM画像(表層から50μmの深さ)を用いてPC層の厚み実測し、その平均値を求めた。
ISO 527−1に準じて測定した。
(1−6)荷重たわみ温度(℃)
ISO 75−1に準じて測定した。その際の荷重は0.46MPaとした。
(1−7)成形収縮率(%)
図2及び図3に示した成形品のMD方向とTD方向の成形収縮率(%)を、成形品寸法と金型寸法を実測することにより求めた。成形品寸法は成形後、恒温恒湿槽(23℃、50%RH)に24時間放置した後、測定を行った。上記平板の成形品寸法及び金型寸法測定は、図4及び図5に示す位置で行った。
図2及び図3に示す平板から切出したJISK7113−1号型(1B型)試験片の平行部にガーゼを巻き、その上にアルミ箔を巻きつけ、各資料を引張クリープ試験機にセットした状態で、試験応力を負荷した。その30秒後、平行部に巻いたガーゼに2mlのレビュラーガソリン(新日本石油社製)を滴下し、破断時間を計測した。なお、レギュラーガソリンの蒸発を防ぐため、5分間毎にレギュラーガソリンの滴下作業を実施した。試験温度は23℃とした。試験応力に関しては、それぞれの材料に対して、引張降伏応力を測定し、その30%の応力をかけて実験を行った。
PTT1〜PTT3、PC1、E1〜E4、S1〜S3を下記表1に示した配合比でドライブレンドした。そのブレンド物を2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM58)を用いて溶融混練し、サイドフィーダーからMF1を表1に示した配合比で添加した。スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度250℃(先端ノズル付近のポリマー温度は、280℃であった)、押出速度150Kg/Hr(滞留時間1分)、減圧度は0.05MPaで押出を行った。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行いペレットとした。該ペレットを120℃で5時間、除湿型乾燥機で乾燥した後、上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従って、解析および諸特性の測定を行った。結果を表1に示した。
実施例3及び比較例1に示した、成形品の表層の相構造を図6及び図7に示す。実施例3は(A)PTTと(B)PCが層状構造を有し、比較例1と比較して、著しく耐薬品性に優れることが分かった。
Claims (4)
- (A)ポリトリメチレンテレフタレート1〜99重量部と(B)ポリカーボネート99〜1重量部を含む樹脂組成物100重量部に対して、(C)エチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体からなるガラス転移温度が0℃以下であるエラストマー0.1〜30重量部を含む(X)樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、該樹脂成形体の表面から深さ10μmまでの深さ領域で、(C)成分を主成分とする相が成形品表面と平行に層状に存在することを特徴とする樹脂成形体。
- (C)成分を主成分とする相の厚みが10nm〜2000nmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
- (A)成分を主成分とする相、及び/又は(B)成分を主成分とする相が、該樹脂成形体の表面から深さ10μmまでの深さ領域で、成形品表面と平行に層状に存在することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形体。
- (A)成分を主成分とする相、及び/又は(B)成分を主成分とする相の厚みが1nm〜500nmであることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005127768A JP4907898B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 熱可塑性樹脂成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005127768A JP4907898B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 熱可塑性樹脂成形体 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006306916A JP2006306916A (ja) | 2006-11-09 |
JP2006306916A5 JP2006306916A5 (ja) | 2008-06-05 |
JP4907898B2 true JP4907898B2 (ja) | 2012-04-04 |
Family
ID=37474181
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005127768A Expired - Fee Related JP4907898B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 熱可塑性樹脂成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4907898B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4748178B2 (ja) * | 1999-07-28 | 2011-08-17 | 株式会社Sumco | 点欠陥の凝集体が存在しないシリコンウェーハの製造方法 |
KR101560020B1 (ko) * | 2010-05-28 | 2015-10-15 | 주식회사 엘지화학 | 용융 가공 수지 성형품 |
KR101560022B1 (ko) * | 2010-05-28 | 2015-10-15 | 주식회사 엘지화학 | 용융 가공용 수지 혼합물, 펠렛 및 이를 이용한 수지 성형품의 제조 방법 및 수지 성형품 |
EP2628774B1 (en) | 2010-10-14 | 2016-03-23 | LG Chem, Ltd. | Resin blend for melting process |
WO2012050399A2 (ko) * | 2010-10-14 | 2012-04-19 | 주식회사 엘지화학 | 용융 가공용 수지 혼합물 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003175537A (ja) * | 2001-09-20 | 2003-06-24 | Asahi Kasei Corp | 樹脂組成物の射出圧縮成形法及び該成形品 |
JP2004352823A (ja) * | 2003-05-28 | 2004-12-16 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP2005120322A (ja) * | 2003-10-20 | 2005-05-12 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 導電性熱可塑性樹脂組成物 |
-
2005
- 2005-04-26 JP JP2005127768A patent/JP4907898B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006306916A (ja) | 2006-11-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8404763B2 (en) | Method for forming an insert injection-molded article exhibiting improved resistance to heat shock comprising a specifically defined polybutylene terephthalate composition | |
JP2915168B2 (ja) | 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 | |
KR101958884B1 (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품 | |
JP4907898B2 (ja) | 熱可塑性樹脂成形体 | |
JP4674811B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3847482B2 (ja) | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 | |
JP2020147662A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP2010018697A (ja) | 熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびその成形体 | |
JP6071623B2 (ja) | ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物成形体 | |
JP7288752B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP6806596B2 (ja) | 樹脂ベルト材料用熱可塑性ポリエステルエラストマ樹脂組成物および樹脂ベルト成形体 | |
JP2003119363A (ja) | 強化熱可塑性樹脂組成物 | |
CN113166490B (zh) | 热塑性树脂组合物和成形体 | |
JP6039372B2 (ja) | ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 | |
JP7262282B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP2007154079A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2003119365A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2006306918A (ja) | 樹脂成形体 | |
JPWO2005073317A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP7288751B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP7313187B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP3081071B2 (ja) | 難燃性ポリエステル樹脂組成物 | |
JP7484659B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH08165409A (ja) | 金属部材をインサートしてなる成形品 | |
JP2006272849A (ja) | 射出圧縮成形法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080417 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080418 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110510 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110830 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111024 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120110 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120112 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |