JP4907012B2 - 微粒子集合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光拡散剤、マット剤や塗料原料など各種の表面処理剤、触媒坦体、樹脂成型物の添加剤などに使用される微粒子集合体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種の液晶表示装置には液晶の裏面より光を照射するバックライトが使用されており、特に薄型化や小型化が要望されているノート型パソコン等ではサイドライト型の面光源装置を用い、光拡散フィルム等によって均一に光を拡散して伝播させる方式が採用されている。該光拡散フィルムは、一般的には透明フィルムを基材とし、この表面に無機あるいは有機の粒子をバインダーと混合して塗布することにより製造されている。また、光拡散パネルは、ガラスやプラスチックなどの透明パネルの表面に前記と同様な手法で表面に粒子を塗布する方法や、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂と粒子とを混合し成形する方法により製造されている。
【0003】
ところが、従来の光拡散フィルムや光拡散パネルでは、光の出射面に対する角度の違いにより、輝度分布がばらつくという問題点がある。従って、光を均一に拡散させて伝播させると共に、光の透過率を高めるための改良がなされている。上記の改良方法としては、具体的には、例えば、真球状の有機材料からなる粒子を用い、該粒子とバインダー樹脂とを混合して、フィルムまたはパネルの表面に塗布する際の、粒子とバインダー樹脂との比率を改良する方法(特開平7−198910号公報)、光散乱層を持つフィルムの光散乱層にポリエステル樹脂とポリスチレン樹脂粒子の分散組成物とを使用した光コントロールフィルム(特開平9−211201号公報)、光拡散フィルム上の光拡散剤の塗布面の形状を改良する方法(特開平9−304604号公報、特開平9−304607号公報)、および、塗布面での粒子の埋設状態を改良する方法(特開平11−64611号公報)等があり、塗布方法については種々検討されている。しかし、粒子そのものを改良する方法については考慮されていない。また、粒子の改良として2種類の組成の架橋重合体エマルションを噴霧乾燥して微粒子集合体(特開2000−53720号公報)があるが、粒子同士が単純に連結している状態の粒子集合体しが得られていないので、粒子集合体としての物性、例えば、耐熱性や粒子の強度、安定した光散乱性の点では解決する余地があった。従って、現在のところ、光拡散フィルムや光拡散パネルは、充分な輝度分布と光透過率とを得ることができていないという問題点を有している。
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、高透過率と充分な光拡散性を光拡散フィルムに付与することのできる光拡散剤として有用な微粒子集合体およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
また、本発明の他の目的は、前記の微粒子集合体を含んでなる光拡散剤および光拡散性成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の微粒子集合体は、上記の問題点を解決するために、平均粒子径が0.01〜5μmの少なくとも2種類以上の微粒子が相互に結合してなり、平均粒子が該微粒子の5〜50倍であることを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、結合している組成の異なる複数の微粒子のそれぞれの特性を備えた微粒子集合体が得られる。従って、耐熱性、耐溶剤性、強度および光拡散性がさらに向上した微粒子集合体を提供することができる。
【0008】
本発明の微粒子集合体の製造方法は、上記の問題点を解決するために、例えば、平均粒子径0.01〜5μmである少なくとも2種類以上の微粒子を含む分散液を、噴霧乾燥して得ることを特徴としている。
【0009】
また、上記複数の微粒子を含む分散液と反応性官能基を有する物質とを噴霧して乾燥することも特徴としている。例えば、上記複数の微粒子は、有機材料で形成されていてもよく、無機材料で形成されていてもよい。具体的には、異なる組成の架橋重合体微粒子や架橋樹脂粒子等の有機材料からなる微粒子、および/または、シリカ等の無機材料からなる微粒子を、反応性官能基を有する物質を介して結合させることにより、異なる物性を兼ね備えた微粒子集合体とすることができる。これにより、より耐熱性、耐溶剤性、強度および光拡散性が向上した微粒子集合体を簡単に製造することができる。
【0010】
本発明の光拡散剤および光拡散性成形体は、上記の問題点を解決するために、前記微粒子集合体を含んでなることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、光拡散剤は、微粒子集合体1個当たりの光拡散性および光透過率が優れているとともに重量が小さく、従来の光拡散剤に比べて少量の添加で高い効果を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。本発明の微粒子集合体は、平均粒子径が0.01〜5μmの少なくとも2種類以上の微粒子が相互に結合してなる構成である。上記微粒子を形成する材料は、有機材料または無機材料であ。また、本発明にかかる微粒子集合体の製造方法は、平均粒子径が0.01〜5μmである少なくとも2種類以上の微粒子を含む分散液を、噴霧乾燥する構成である。
【0013】
有機材料から形成される微粒子としては、例えば、架橋重合体微粒子が挙げられ、具体的には、ジビニルベンゼン・トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート・エチレングリコール類のジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体と、スチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の非架橋性単量体との組成物を重合して得られるビニル系架橋重合体、メラミンやベンゾグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物であるアミノ系ホルマリン架橋樹脂等の架橋樹脂微粒子もより好ましい。これら微粒子の熱分解温度は、170℃以上であることが好ましい。また、ポリアミドやポリイミドなどの高耐熱性プラスチックなどで使用される熱分解開始温度が170℃以上である微粒子も本発明の有機材料から形成される微粒子として使用することができる。
【0014】
つまり、有機材料から形成される微粒子は、架橋重合体微粒子および/または架橋樹脂微粒子である
【0015】
無機材料から形成される微粒子としては例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナなどの無機酸化物が挙げられ、シリカ系酸化物が特に好ましい。
【0016】
なお、微粒子集合体の耐熱性や耐溶剤性が高い方が実用的に好ましく、集合体の原料となる微粒子の熱分解開始温度が、170℃以上であることが好ましい。具体的には、有機材料から形成される微粒子の場合、好ましい温度としては、190℃以上、200℃以上、210℃以上、230℃以上がより好ましく、250℃以上がさらに好ましく、280℃以上が最も好ましい。有機材料から形成される微粒子は、架橋重合体微粒子がより好ましい。微粒子の熱分解開始温度が、前記の温度以上であれば、得られる微粒子集合体の耐熱性や耐溶剤性が向上する。架橋性単量体の量や種類、および、得られる微粒子集合体の分子量を調節することにより、熱分解開始温度を前記の温度以上とすることができる。また、無機材料から形成される微粒子の熱分解開始温度は、本実施の形態の熱分解開始温度測定機器における測定レンジ以上であり、1000℃以上である。
【0017】
前記熱分解開始温度は、示差熱分析において窒素雰囲気下で測定される熱分解開始温度のことである。前記熱分解開始温度の測定には、測定器として、TG−DTA(MAC SCIENCE社製;型番2000S)を使用し、10℃/分の昇温温度で、窒素供給量20ml/minの条件で得られた微粒子集合体の熱分解開始温度をを測定する。そして、熱分解の起きるピークにより熱分解開始温度を算出する。また、前記TG−DTAは、500℃までの熱分解開始温度が測定できる。
【0018】
また、これらの材料からなる平均粒子径が0.01〜5μmの微粒子を製造する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法で何ら問題はない。
【0019】
本発明は、前記の材料からなる微粒子を少なくとも2種類以上選択し、微粒子集合体とするものである。その際、選ばれる微粒子は、それらの屈折率が0.02以上異なっていると、得られる微粒子集合体の光拡散能が優れたものとなり好ましい。より好ましくは0.03以上である。また、選ばれる微粒子は、前記の同一材料群から選んでも異なる材料群から選んでも何ら問題はない。例えば、組成の異なる重合性単量体を重合して得られるビニル系架橋重合体微粒子同士が挙げられる。該ビニル系架橋重合体微粒子の組合せとしては、具体的には、同じビニル系架橋重合体の中からスチレンを構造単位とするビニル系架橋重合体の微粒子と、メチルメタクリレートを構造単位とするビニル系架橋重合体の微粒子との2種類を選択してもよい。また、架橋性単量体の使用量が異なるビニル系架橋重合体微粒子同士であってもよい。また、例えば、スチレンを構造単位とするビニル系架橋重合体の微粒子および/またはメチルメタクリレートを構造単位とするビニル系架橋重合体微粒子と、無機材料であるシリカ微粒子との組合せを選択してもよい。得られる微粒子集合体の所望する物性により、適宜前記のような種々の微粒子を組合せて使用すればよい。
【0020】
また、本発明で使用する微粒子には、必要に応じて、官能基が導入されていてもよい。例えば、ビニル系モノマーを重合して得られるビニル系架橋重合体の微粒子の場合には、不飽和カルボン酸モノマーを使用することができる。具体的には、本発明の架橋重合体を形成する非架橋性単量体成分に、不飽和カルボン酸を単量体成分として使用することができる。上記不飽和カルボン酸モノマーとしては、カルボキシル基と不飽和二重結合とを有する単量体であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸等を用いることができる。上記不飽和カルボン酸モノマーの使用量としては、微粒子重合体を形成するときに用いる単量体成分の全量を100重量%としたとき、1〜30重量%の範囲内がより好ましく、1〜20重量%の範囲内がさらに好ましく、3〜15重量%の範囲内が特に好ましい。
【0021】
一般的に、カルボキシル基を有する不飽和単量体は、本発明で使用する架橋重合体微粒子の主たる原料の単量体成分であるメチルメタクリレートやスチレンに比べ、得られる重合体自体(架橋重合体微粒子)のガラス転移温度を向上させ難い。よって、上記使用量の範囲を越えた場合には、微粒子集合体の原料となる架橋重合体微粒子自体のガラス転移温度が低くなる場合があり、得られる微粒子集合体自体のガラス転移温度が、低くなる場合がある。従って、上記不飽和カルボン酸モノマーの使用量は、上記の範囲内とすることがより好ましい。
【0022】
しかし、上記不飽和カルボン酸モノマーの使用量としては、特に限定されるものではなく、得られる架橋重合体微粒子に必要な物性と用途とから要求される性能を考慮して、適宜設定することができる。
【0023】
上記のように、不飽和カルボン酸モノマーを使用することで、得られる架橋重合体微粒子にカルボキシル基を導入することができる。ここで導入したカルボキシル基は、本発明で使用する反応性バインダー(後述する)が有する反応性官能基と反応する形態となるようにバインダーを選択することがより好ましい。具体的には、上記反応性バインダーがオキサゾリン基やエポキシ基の反応性官能基を有する場合、上記カルボキシル基を導入した架橋重合体微粒子は、該反応性官能基であるオキサゾリン基やエポキシ基と反応することができる。
【0024】
その結果、上記架橋重合体微粒子を噴霧乾燥する場合、反応性バインダー自体が硬化すると同時に、架橋重合体微粒子が有する官能基と反応性バインダーとの間に共有結合が形成される。従って、より耐熱性が向上した、または、より強固に凝集した微粒子集合体を得ることができ、本発明のより好ましい形態の一つとなる。
【0025】
また、反応性バインダーの反応性官能基としては、得られる微粒子集合体の必要とする諸物性に応じて、所望の反応性官能基を選択することができる。具体的には、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を架橋重合体微粒子の単量体成分として選択した場合には、該架橋重合体微粒子には水酸基が導入されているので、反応性バインダーとしては、イソシアネート基を有する物質がより好ましい。従って、反応性バインダーとしては、具体的には、イソシアネート化合物やイソシアネート基が導入された重合体がより好ましい。
【0026】
このように、公知の他の材料を本発明で列記した種々の官能基の組合せになるように選択して使用することができる。
【0027】
また、選ばれる微粒子は、平均粒子径が同等である(具体的には、用いる微粒子の平均粒子径をある程度の範囲内に調節する)方が得られる微粒子集合体を均一なものとすることができ好ましい。ここでいう同等とは、小さい側の平均粒子径に対する大きい側の平均粒子径が、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下である。3倍より大きいと、どちらか一方の材料からのみなる微粒子集合体が含まれたり、原料微粒子の混合比率が得られる微粒子集合体中の材料比率に反映されないという問題が生じる場合がある。なお、3種類以上の原料微粒子を用いる場合には、最小の平均粒子径と最大の平均粒子径の比を前記の範囲内とすれば良い。
【0028】
微粒子を噴霧式乾燥方法によって乾燥させる方法により、微粒子集合体が効率良く得られることを、本発明者らは、先に見いだしている(特願平10−220418号)。なお、噴霧式乾燥方法とは、一般的にスプレードライヤーや気流乾燥機を用いて、ガス気流と共に水分散体を噴霧して粒子を乾燥させる方法のことを言う。本発明においても、原料微粒子を2種類以上とする以外は、基本的に該方法によって本発明の微粒子集合体を得ることができる。2種類以上の微粒子を混合する方法は特に限定されるものはないが、例えば、予め混合した分散液を噴霧式乾燥機に供給する方法、各々の分散液を別々に供給して乾燥機内や乾燥機直前の配管内で混合する方法、乾燥機内の別のノズルや同一ノズル内の別の供給口に別々に供給して乾燥工程で混合する方法などを挙げることができる。
【0029】
なお、2種類以上の微粒子の混合比率は特に限定されるものではないが、使用する微粒子の全重量に対し、最も少ない微粒子の比率を3%以上とするのが性能的に好ましく、より好ましくは5%以上である。
【0030】
また、乾燥機に原料微粒子を供給するには、溶媒を用いて微粒子を分散体として供給する方法が一般的であり、その際に使用する溶媒は何ら限定されるものではなく、微粒子を製造する際に用いる溶媒をそのまま用いても良く、好ましい溶媒に置換して用いても良い。噴霧式乾燥法における溶媒は、形成される微粒子集合体の安定性や経済性、安全性の観点から水が好ましい。また、本実施の形態では、乾燥機に微粒子を水分散体またはエマルションの状態で供給することがより好ましい。微粒子として架橋重合体微粒子を用いる場合、前記水分散体またはエマルションは、乳化重合により得られたものであることがより好ましい。また、必要に応じて水以外の溶媒で重合した架橋重合体微粒子を使用することもできる。
【0031】
前記噴霧式乾燥方法における固形分濃度、供給速度、乾燥温度などは適宜に調節することにより、粒子径、粒子形状、かさ比重などを調整することが可能であり、特に下記の条件に限定する必要はないが、例えば前記固形分濃度は、通常5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%であり、前記乾燥温度は、噴霧入口温度が100〜200℃の範囲、粉体の出口温度が30〜150℃の範囲である。
【0032】
本発明の微粒子集合体は、原料微粒子の形状を保持しながら該微粒子が相互に連結した集合体である。前記微粒子集合体は、粒子が球状で粒度分布もシャープであり、比表面積が大きく、かさ比重が小さいという特長を有している。さらに前記微粒子集合体は、従来の微粒子集合体に比べ、強度が高いという特長を有している。
【0033】
さらに、噴霧乾燥する際に、反応性バインダー(バインダー)を添加することにより、耐熱性、耐溶剤性および強度を向上させた微粒子集合体を得ることが出来る。特に、微粒子としてシリカなどの無機材料を用いた場合は、粒子間の融着または結合十分でない場合があり、反応性バインダーの使用が推奨される。また、前記反応性バインダーの添加量は、原料微粒子に対し固形分で0.1〜20重量%の範囲内で充分に耐溶剤性を向上させることができる。該反応性バインダーとは、反応性官能基を有する高分子材料のことである。
【0034】
また、反応性バインダーは、架橋重合体微粒子の原料であるビニル系単量体の組成物や、界面活性剤、重合開始剤等に含まれる官能基と反応し得る反応性官能基を有する物質(高分子材料)であってもよい。該反応性官能基としては、具体的には水酸基、カルボキシル基、オキサゾリン基、エポキシ基、アジリジン基および、イソシアネート基等が挙げられ。該反応性バインダーは、分子内に反応性官能基を2個以上有しており、前記の反応性官能基を有するポリマーが好適に使用される。
【0035】
前記反応性バインダーとしては、具体的には、例えば、水酸基を有する物質として、ポリビニルアルコールやヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを構造単位として含むポリマーや糖類;カルボキシル基を有する物質として、(メタ)アクリル酸を構造単位として含むポリマー;オキサゾリン基を有する物質として、イソプロペニルオキサゾリンを構造単位として含むポリマー;各種の多価エポキシ化合物やエポキシ樹脂;アジリジン基やイソシアネート基を有する化合物やポリマー;等の高分子材料が挙げられるが、特に限定されるものではない。このうち、エポキシ基やオキサゾリン基を含む反応性バインダーは、架橋重合体に含まれる官能基との反応性が高く、特に好ましい。また、上記反応性バインダーとしてのエポキシ基やオキサゾリン基を含む反応性バインダーは、架橋重合体に官能基がなくても、本発明の微粒子集合体を構成する架橋重合体微粒子間に介在し、硬化することにより、微粒子同士を相互に結合させるバインダーとなるので特に好ましい形態である。つまり、本発明で使用できる反応性バインダーとしては、硬化性を有する反応性バインダーであることがより好ましい形態である。言い換えれば、本発明の微粒子集合体は、微粒子が相互に、硬化性を有する反応性バインダーを介して互いに結合している状態が好ましい。また、上記硬化性を有する反応性バインダーが硬化している状態が、より好ましい。また、本実施の形態の架橋重合体微粒子を含む分散体が水分散体である場合、反応性バインダーは、水溶解性あるいは水分散性の反応性バインダーが好ましい。具体的には、例えば、水分散性エポキシ樹脂や水分散性オキサゾリン基含有ポリマー、あるいは水溶解性エポキシ樹脂や水溶解性オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。また、前記反応性バインダーとしては、硬化性の反応性バインダーが好ましい。具体的には、例えば、該硬化性の反応性バインダーを用いることで、前記噴霧乾燥する際に、微粒子間に硬化処理された反応性バインダーが介在するので、より良好な微粒子集合体を得ることができる。本発明の微粒子集合体としては、反応性バインダーで硬化された微粒子集合体が好ましい。
【0036】
また、噴霧式乾燥方法を採用する場合、乾燥機のノズルの形態においては、前記のように、ノズル部分で、反応性バインダーと架橋重合体微粒子の分散液とが混合されるようなノズルであってもよく、特に限定されるものではない。
【0037】
また、本実施の形態において、微粒子集合体が前記微粒子と反応性バインダーとから形成されている場合、基本的には得られた微粒子集合体の熱分解開始温度は、用いる微粒子の熱分解開始温度より若干低い値を示す。本実施の形態においては、反応性バインダーの添加量や種類を選択することにより、微粒子集合体の熱分解開始温度が、180℃以上となることがより好ましく、200℃以上となることがさらに好ましく、220℃以上となることが特に好ましく、260℃以上となることが最も好ましい。特に、本発明の微粒子集合体において、微粒子集合体を形成する微粒子の熱分解開始温度が250℃以上の微粒子を採用し、反応性バインダーを使用して得られる微粒子集合体の熱分解開始温度が220℃以上となることが、微粒子集合体として良好な耐熱性が得られるためより好ましい。さらに好ましくは、熱分解開始温度が280℃以上である微粒子を使用し、微粒子集合体の熱分解開始温度が260℃以上となることである。
【0038】
また、本発明の光拡散剤の主体である微粒子集合体の平均粒子径は、原料となる微粒子の平均粒子径に対し5〜50倍の範囲内であり、好ましくは10〜40倍の範囲内である。この範囲を外れると微粒子集合体の特徴である比表面積の大きさが小さくなる場合や、表面の凹凸が低くなる場合がある。
【0039】
本発明の微粒子集合体を含んでなる光拡散剤は、成形用樹脂、塗料、接着剤、コーティング用樹脂などに配合して使用することができる。また、使用に際して従来公知の光拡散剤と併用しても何等差し支えはないが、光拡散剤全量に上記微粒子集合体が、10重量%以上含まれていることがより好ましく、20重量%以上含まれていることが特に好ましい。
【0040】
本発明の光拡散剤は、粒子1個当たりの光拡散性能が優れていると共に重量が小さく、従来の光拡散剤に比べ少量の配合で高い効果を得ることができる。その結果、優れた輝度分布と共に高い光透過率を達成することが可能となる。さらに、屈折率の異なる微粒子を混合して集合体とすることにより、単一の微粒子からなる集合体に比べ、光拡散性能が優れたものとなっている。
【0041】
特に、2種類上の有機材料からなる微粒子を用いてなる微粒子集合体は、微粒子集合体の1個当たりの重量をより小さくすることが可能であり、単位重量当たりの光拡散性能に優れたものである。
【0042】
また、無機材料からなる微粒子を含んだ微粒子集合体は、耐熱性や耐溶剤性が優れており、これらの特性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0043】
さらに、無機材料からなる微粒子と有機材料からなる微粒子とを用いてなる微粒子集合体は、両者の特徴を併せ持つと共に、種々の用途において有機素材と組合せて用いる場合に有機素材との親和性が高いので、種々の用途において該微粒子集合体と有機素材とを組合せて用いるのに好適である。
【0044】
本発明の光拡散性成形体は、前記光拡散剤を用いてなる成形体であればその製造方法は特に限定されないが、具体的には、例えば、(i)フィルムやパネルなどの透明性基材の表面に前記光拡散剤をコーティングする方法、(ii)前記光拡散剤をエポキシ樹脂やポリエステル樹脂などの成形用樹脂と混合して各種用途に応じた形状に成型する方法等が挙げられる。
【0045】
(i)の方法の透明基材に用いる透明性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。そして、特にポリエチレンテレフタレートが安価であり透明性も高いので好適に用いられる。また、(i)の方法の透明基材に用いる透明性パネルとしては、具体的には、例えば、ガラス製パネル、ポリエステル樹脂パネル、ポリカーボネート樹脂パネル、ポリメチルメタクリレート樹脂パネルなどが好適に用いられる。なお、本発明の成形体は、フィルムやパネルなど平面構造の成形体に限定されるものではなく、LCD(液晶)パネルやLED発光装置、蛍光発光装置のように立体構造を有する成形体であってもよい。
【0046】
(i)の方法におけるコーティングに際しては、通常、分散用樹脂(樹脂バインダー)を有機溶剤で希釈して、光拡散剤に混合する。使用される分散用樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン樹脂などを例示することができ、光学的透明性を有するものが好適に用いられる。前記ポリエステル樹脂は、変性した構造をもつPETであり、溶剤溶解性を有する変性ポリエステル樹脂である。
【0047】
希釈用に使用する有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エステル類などを挙げられるが、特に限定されるものではない。光拡散剤と上記分散用樹脂と有機溶剤との比率は、特に限定されるものではないが、例えば、光拡散剤100重量部に対し、分散用樹脂は50〜300重量部の範囲内が好適であり、有機溶剤は50〜500重量部の範囲内が好適である。これにより、コーティング用組成物を得ることができる。また、該コーティング用組成物に、分散用樹脂を架橋する架橋剤、帯電防止剤、光拡散剤を分散する分散剤等を配合することもできる。
【0048】
さらに、(i)の方法において前記コーティング組成物をフィルム表面に塗布する方法としては、具体的には、例えば、コンマダイレクト法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、ディッピング法、ナイフコート法、カーテンフロー法、ラミネート法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0049】
なお、前記コーティング組成物を透明フィルム表面に塗布して得られる光拡散層の厚みは、5〜100μmの範囲であることがより好ましい。
【0050】
本発明の光拡散剤が含まれている光拡散フィルム(光拡散性成形体)を、液晶表示装置のバックライトなどに適用した場合には、高い輝度と広い視野角を実現することができる。
【0051】
また、本発明の光拡散剤は、少なくとも2種類以上の有機材料の微粒子が相互に結合している微粒子集合体を含んでいてもよい。
【0052】
また、本発明の光拡散剤は、少なくとも2種類以上の微粒子が相互に結合してなる微粒子集合体であって、該微粒子集合体が無機材料と有機材料が結合している微粒子集合体を含んでいてもよい。
【0053】
また、本発明の光拡散剤は、前記少なくとも2種類以上の微粒子が、水酸基、カルボキシル基、オキサゾリン基、エポキシ基、アジリジン基およびイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を分子内に少なくとも2つ有しているバインダーを介して相互に結合していてもよい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例に限定されるものではない。なお、使用する微粒子または架橋重合体微粒子の平均粒子径は、分散液の状態で光分散式粒度分布計(Model_370;Nicomp社製)を用いて測定した。また、噴霧乾燥後、得られた微粒子集合体の平均粒子直径(平均粒子径)は、マルチサイザー(MultisizerII;Coulter社製)を用いて測定した。
【0055】
(製造例−1)
撹拌機、温度計および還流冷却器付きの2Lセパラブルフラスコに、純水433gとハイテノールN08(第一工業製薬株式会社製、アニオン界面活性剤)0.9gとを仕込み、窒素置換を行いながら、撹拌下に70℃まで昇温した。70℃に昇温後、メチルメタクリレート57gを添加し、その5分後に、過硫酸カリウムの2重量%水溶液70gを添加した。
【0056】
次に、予め調製しておいたプレエマルション(メチルメタクリレート608g、ジビニルベンゼン35g、純水752g、ハイテノールN08;34g)を、過硫酸カリウム添加の20分後より70℃にて等速度で4時間かけて添加した。添加終了後、75℃まで昇温し2時間の熟成を行い、その後、40℃まで冷却して架橋重合体微粒子(PMMA系架橋重合体微粒子)を含むエマルション(1)を得た。この架橋重合体微粒子の平均粒子径を光散乱式粒度分布計で測定した所、0.2μmであった。
【0057】
なお、該エマルションを乾燥して得られた粉体の熱分解開始温度は290℃であり、屈折率は1.51であった。
【0058】
(製造例−2)
撹拌機、温度計および還流冷却器付きの2Lセパラブルフラスコに、純水433gとハイテノールN08(同上)0.9gとを仕込み、窒素置換を行いながら、撹拌下に70℃まで昇温した。70℃に昇温後、予め混合しておいたプレエマルション(スチレン608g、ジビニルベンゼン35g、純水752g、ハイテノールN08;34g、小計1429g)100gを添加し、その5分後に、過硫酸カリウムの2重量%水溶液70gを添加した。
【0059】
次に、プレエマルションの残りを、過硫酸カリウム添加の20分後より70℃にて等速度で4時間かけて添加した。添加終了後、80℃まで昇温し2時間の熟成を行い、その後、40℃まで冷却して架橋重合体微粒子(スチレン系架橋重合体微粒子)を含むエマルション(2)を得た。この架橋重合体微粒子の平均粒子径を光散乱式粒度分布計で測定した所、0.3μmであった。
【0060】
なお、該エマルションを乾燥して得られた粉体の熱分解開始温度は300℃であり、屈折率は1.58であった。
【0061】
(実施例1)
PMMA系架橋重合体微粒子を含むエマルション(1)とスチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(2)とを固形分で10:90の比率で混合して分散混合液を得た。さらにオキサゾリン基含有ポリマー(株式会社日本触媒製、エポクロス−K2020E)を前記分散混合液の固形分に対して、10重量%(固形分で)の割合で添加して混合することにより分散液を得た。該混合液をヤマト科学製のスプレードライヤーで、
供給速度:5ml/min
噴霧圧:2kg/cm2
風量:0.3m3 /min
加熱部入口温度:150℃、
加熱部出口温度:60℃
の条件下にて乾燥して本願構成の微粒子集合体である粉体(1)を得た。
【0062】
得られた粉体(1)をマルチサイザーで測定したところ、微粒子集合体としての平均粒子径は9μmであった。また、粉体(1)は電子顕微鏡(SEM)観察によると、架橋重合体微粒子からなる原料微粒子が形状を保持したまま相互に結合してなる微粒子集合体であった。また、粉体(1)の熱分解開始温度は270℃であった。
【0063】
(実施例2)
スチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(2)の代わりに、メラミン架橋樹脂微粒子(株式会社日本触媒製、エポスターS、平均粒子径0.3μm、屈折率1.59)を水にアニオン系界面活性剤を用いて固形分濃度が30%になる様に分散した分散液を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより本願構成の微粒子集合体である粉体(2)を得た。
【0064】
得られた粉体(2)をマルチサイザーで測定したところ、微粒子集合体としての平均粒子径は8μmであった。また、粉体(2)は電子顕微鏡(SEM)観察によると、原料微粒子が形状を保持したまま相互に連結してなる微粒子集合体であった。また、粉体(B)の熱分解開始温度は300℃であった。
【0065】
(実施例3)
スチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(2)の代わりに、シリカ粒子の水分散体(株式会社日本触媒製、シーホスターKE−W30、平均粒子径0.3μm、屈折率1.60)を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより本願構成の微粒子集合体である粉体(3)を得た。
【0066】
得られた粉体(3)をマルチサイザーで測定したところ、微粒子集合体としての平均粒子径は8μmであった。また、粉体(3)は電子顕微鏡(SEM)観察によると、原料微粒子が形状を保持したまま相互に連結してなる微粒子集合体であった。また、粉体(3)の熱分解開始温度は1000℃以上であった。
【0067】
(実施例4)
スチレン系架橋重合体微粒子を含む分散液(2)の代わりに、ベンゾグアナミン・メラミン樹脂微粒子(株式会社日本触媒製、エポスターM30、平均粒子径3μm、屈折率1.59)を固形分が20重量%の割合で添加して分散混合液とし、さらに、オキサゾリン基含有ポリマー(同上)を固形分が25重量%の割合で添加した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返すことにより本願構成の微粒子集合体である粉体(4)を得た。
【0068】
得られた粉体(4)をマルチサイザーで測定したところ、微粒子集合体としての平均粒子径は11.3μmであった。また、粉体(4)は、SEM観察によると、架橋重合体微粒子の形状が保持されたまま結合してなる微粒子集合体であった。また、粉体(4)の熱分解開始温度は300℃以上であった。
【0069】
(実施例5)
スチレン系架橋重合体微粒子を含む分散液(2)の代わりに、ベンゾグアナミン樹脂微粒子(株式会社日本触媒製、エポスターL15、平均粒子径10μm、屈折率1.59)を固形分が50重量%の割合で添加して分散混合液とし、さらに、オキサゾリン基含有ポリマー(同上)を固形分が25重量%の割合で添加した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返すことにより本願構成の微粒子集合体である粉体(5)を得た。
【0070】
得られた粉体(5)をマルチサイザーで測定したところ、微粒子集合体としての平均粒子径は13.1μmであった。また、粉体(5)は、SEM観察によると、架橋重合体微粒子の形状が保持されたまま結合してなる微粒子集合体であった。また、粉体(5)の熱分解開始温度は300℃以上であった。
【0071】
(比較例1)
PMMA系架橋重合体微粒子を含むエマルション(1)を用いず、スチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(2)のみとした以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより比較用粉体(6)を得た。従って、該比較用粉体(6)は、1種類の架橋重合体微粒子のみで形成されている。
【0072】
得られた比較用粉体(6)をマルチサイザーで測定したところ、平均粒子径は11μmであった。
【0073】
(実施例6)
分散用樹脂としてポリエステル樹脂100g(東洋紡株式会社製、バイロン200)、希釈用有機溶剤としてトルエン120gとメチルエチルケトン30gを用い、これに実施例1で得られた粉体(1)20gを混合してコーティング用組成物を得た。
【0074】
基材フィルムとして厚み100μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー#100T56)を用い、該フィルムの片面に前記コーティング用組成物をロールコート法により塗布し、120℃で1分間熱風乾燥させて厚み30μmの光拡散層を形成してフィルム(A)を得た。
【0075】
(実施例7)
使用する粉体を粉体(1)から粉体(2)に変えた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返してフィルム(B)を得た。
【0076】
(実施例8)
使用する粉体を粉体(1)から粉体(3)に変えた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返してフィルム(C)を得た。
【0077】
(実施例9)
使用する粉体を、粉体(1)から粉体(4)に変えた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返すことによりフィルム(D)を得た。また、該フィルム(D)は、SEM観察によると、図2に示すように、架橋重合体微粒子の形状が保持されたまま結合してなる微粒子集合体であった。該微粒子集合体の顕微鏡写真を図1に示す。
【0078】
(実施例10)
使用する粉体を、粉体(1)から粉体(5)に変えた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返すことによりフィルム(E)を得た。また、該フィルム(E)は、SEM観察によると、図4に示すように、架橋重合体微粒子の形状が保持されたまま結合してなる微粒子集合体であった。該微粒子集合体の顕微鏡写真を図3に示す。
【0079】
(比較例2)
使用する粉体を粉体(1)から比較用粉体(6)に変えた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返して比較用フィルム(F)を得た。
【0080】
(比較例3)
使用する粉体を粉体(1)の代わりに、製造例1で得られたたエマルションを乾燥したPMMA系架橋重合体微粒子とベンゾグアナミン・メラミン樹脂微粒子(株式会社日本触媒製、エポスターM30、平均粒子径3μm、屈折率1.59)とを重量比が4:1の割合で混合した混合物を用いた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返すことにより比較用フィルム(G)を得た。また、該比較用フィルム(G)は、SEM観察によると、図6に示すように、PMMA系架橋重合体微粒子とベンゾグアナミン・メラミン樹脂微粒子とが混合してなる微粒子混合物であった。該微粒子混合物の顕微鏡写真を図5に示す。
【0081】
(比較例4)
使用する粉体を粉体(1)の代わりに、製造例1で得られたたエマルションを乾燥したPMMA系架橋重合体微粒子とベンゾグアナミン粒子(株式会社日本触媒製、エポスターL15、平均粒子径10μm、屈折率1.59)とを重量比が4:1の割合で混合した混合物を用いた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返すことにより比較用フィルム(H)を得た。また、該比較用フィルム(H)は、SEM観察によると、図8に示すように、PMMA系架橋重合体微粒子とベンゾグアナミン粒子とが混合してなる微粒子混合物であった。該微粒子混合物の顕微鏡写真を図7に示す。
【0082】
(比較例5)
使用する粉体を粉体(1)の代わりに、ベンゾグアナミン粒子(同上)を用いた以外は、実施例6と同様の操作を繰り返すことにより比較用フィルム(I)を得た。また、該比較用フィルム(I)は、SEM観察によると、図10に示すように、ベンゾグアナミン粒子からなっていた。該微粒子の顕微鏡写真を図9に示す。
【0083】
(製造例−3)
製造例1のプレエマルションにメタクリル酸40gを添加した以外は、製造例1と同様の操作を行い、カルボキシル基を有するPMMA系架橋重合体微粒子を含むエマルション(3)を得た。この架橋重合体微粒子の平均粒子径を光散乱式粒度分布計で測定した所、0.4μmであった。
【0084】
そして、該エマルションを乾燥してカルボキシル基を有する架橋重合体からなる粉体を得た。
【0085】
(製造例−4)
製造例2のプレエマルションにメタクリル酸40gを添加した以外は、製造例2と同様の操作を行い、カルボキシル基を有するスチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(4)を得た。この架橋重合体微粒子の平均粒子径を光散乱式粒度分布計で測定した所、0.5μmであった。
【0086】
そして、該エマルションを乾燥してカルボキシル基を有する架橋重合体からなる粉体を得た。
【0087】
(実施例11)
PMMA系架橋重合体微粒子を含むエマルション(1)の代わりに、カルボキシル基を有するPMMA系架橋重合体微粒子を含むエマルション(3)を用いて、かつ、スチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(2)の代わりに、カルボキシル基を有するスチレン系架橋重合体微粒子を含むエマルション(4)を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返すことにより本願構成の微粒子集合体である粉体(7)を得た。
【0088】
得られた粉体(7)は、カルボキシル基を導入しているので、粉体(1)に比べて良好な粒子集合体であり、良好な耐熱特性を示した。
【0089】
(光学特性の評価−1)
実施例6〜8で得られたフィルム(A)〜(C)と比較例2で得られた比較用フィルム(F)の光拡散性能および光透過率を以下の手順により測定した。ゴニオフォトメーターを用い、光拡散層に対し鉛直方向からビーム径1mmの平行光を入射し、受光角を変えながら出射光の透過率を測定した。
【0090】
フィルムの光透過率の結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
Figure 0004907012
【0092】
前記の結果より、少なくとも2種類以上の微粒子が結合してなる微粒子集合体を用いてなる光拡散フィルムを、例えば、液晶表示装置に用いた場合には、広い視野角を実現することができる。
【0093】
(光学特性の評価−2)
実施例9、10で得られたフィルム(D)、(E)または比較例3〜5で得られた比較用フィルム(G)〜(I)を用いてLCD(液晶)パネルを製造し、該LCDパネルの光透過率を以下の手順で測定した。即ち、測定装置としてLCD−5200(大塚電子株式会社製)を用いて、測定角度−60〜60℃の条件でLCDパネルに光を照射して光透過率を測定した。
【0094】
測定角度は、LCDパネルと照射する光とが直交するときを透過角0°としている。即ち、透過角0°の場合に、光透過率が最大になる。フィルム13の光透過率を測定したグラフを図11、フィルム14の光透過率を測定したグラフを図12、比較用フィルム16の光透過率を測定したグラフを図13、比較用フィルム17の光透過率を測定したグラフを図14、比較用フィルム18の光透過率を測定したグラフを図15に示す。
【0095】
また、実施例9、10で得られたフィルム(D)、(E)と同じ組成の微粒子混合物を製造し、該微粒子混合物を用いて、実施例9、10と同様の方法でLCDパネルを製造した。そして、該LCDパネルを実施例9、10のLCDパネルと同じ測定条件で光透過率を測定した。前記微粒子集合体のLCDパネルと微粒子混合物のLCDパネルとの光透過率の比を対ブレンド値として、以下に定義する。
【0096】
対ブレンド値=微粒子集合体を用いたLCDパネルの透過角0°における光透過率/微粒子混合物を用いたLCDパネルの透過角0°における光透過率
(但し、微粒子集合体と微粒子混合物とは、同じ組成、同じ測定条件である。)
前記LCDパネルを用いた光透過率の測定の結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
Figure 0004907012
【0098】
前記の結果より、2種類以上の、複数の微粒子が互いに結合した微粒子集合体は、微粒子混合物を比べて、光透過性が向上する。
【0099】
また、前記の結果より、屈折率の異なる微粒子を用いてなる微粒子集合体をLCDパネルとすることで、同比率で混合した微粒子混合物のLCDパネルと比べて、透過角0°における透過率が1.3〜2.1倍向上する。
【0100】
【発明の効果】
本発明の微粒子集合体は、以上のように、平均粒子径が0.01〜5μmの少なくとも2種類以上の微粒子が相互に結合してなり、平均粒子が該微粒子の5〜50倍である構成である。
【0101】
上記の構成によれば、結合している組成の異なる複数の微粒子のそれぞれの特性を備えた微粒子集合体が得られる。
【0102】
本発明の微粒子集合体の製造方法は、以上のように、平均粒子径0.01〜5μmである少なくとも2種類以上の微粒子を含む分散液を、噴霧乾燥して得る構成である
上記の構成によれば、より耐熱性、耐溶剤性、強度および光拡散性が向上した微粒子集合体を簡単に製造することができる。
【0103】
本発明の光拡散剤および光拡散性成形体は、以上のように、前記微粒子集合体を含んでなる構成である。
【0104】
上記の構成によれば、従来の単一粒子に比較して、光拡散性能が高く、粒子1個の重量が軽い微粒子集合体を主体としており、少量の添加で高い光拡散能を得ることができると共に高い光透過率を得ることができる。
【0105】
また本発明の光拡散剤を用いて光拡散性成形体を作成し液晶表示装置のバックライトなどに適用した場合には、高い輝度と広い視野角を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9における微粒子集合体の電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】実施例9における微粒子集合体の構造を示す模式図である。
【図3】実施例10における微粒子集合体のSEM写真である。
【図4】実施例10における微粒子集合体の構造を示す模式図である。
【図5】比較例3における微粒子混合物のSEM写真である。
【図6】比較例3における微粒子混合物の構造を示す模式図である。
【図7】比較例4における微粒子混合物のSEM写真である。
【図8】比較例4における微粒子混合物の構造を示す模式図である。
【図9】比較例5における微粒子のSEM写真である。
【図10】比較例5における微粒子の構造を示す模式図である。
【図11】実施例9における液晶パネルの光透過率を測定したグラフである。
【図12】実施例10における液晶パネルの光透過率を測定したグラフである。
【図13】比較例3における液晶パネルの光透過率を測定したグラフである。
【図14】比較例4における液晶パネルの光透過率を測定したグラフである。
【図15】比較例5における液晶パネルの光透過率を測定したグラフである。

Claims (7)

  1. 平均粒子径が0.01〜5μmの少なくとも2種類以上の微粒子が相互に反応性官能基を分子内に少なくとも2つ有しているバインダーを介して結合してなり、微粒子集合体としての平均粒子径が該微粒子の平均粒子径の5〜50倍であり、
    前記少なくとも2種類以上の微粒子は、それぞれ独立して、架橋重合体微粒子、架橋樹脂微粒子または無機酸化物微粒子であり、
    前記少なくとも2種類以上の微粒子が、水酸基、カルボキシル基、オキサゾリン基、エポキシ基、アジリジン基およびイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性官能基を分子内に少なくとも2つ有しているバインダーを介して相互に結合してなる、微粒子集合体。
  2. 前記少なくとも2種類以上の微粒子が、オキサゾリン基を分子内に少なくとも2つ有しているバインダーを介して相互に結合してなることを特徴とする請求項1記載の微粒子集合体。
  3. 微粒子の熱分解開始温度が170℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載の微粒子集合体。
  4. 微粒子の屈折率が0.02以上異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子集合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子集合体の製造方法であって、
    それぞれ独立して架橋重合体微粒子、架橋樹脂微粒子または無機酸化物微粒子である、平均粒子径が0.01〜5μmである少なくとも2種類以上の微粒子と、水酸基、カルボキシル基、オキサゾリン基、エポキシ基、アジリジン基およびイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性官能基を分子内に少なくとも2つ有しているバインダーとを含む分散液を、噴霧乾燥することを特徴とする微粒子集合体の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子集合体を含んでなる光拡散剤
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子集合体を含んでなる光拡散性成形体
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