JP4904236B2 - スペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置 - Google Patents

スペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。この液晶表示装置は、一般に、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、線状透明電極、及び、配向膜等が形成された2枚の基板に液晶を挟持させてなる構造を有する。ここで、2枚の基板の間隔を規制し、適正な液晶層の厚みを維持しているのがスペーサ粒子である。
従来の液晶表示装置の製造方法においては、スペーサ粒子を配置する方法としては、イソプロパノール等の溶媒を用いてスペーサ粒子を基板上に散布する湿式散布法や、溶媒を使用せずに空気の圧力を利用してスペーサ粒子を基板上に散布する乾式散布法等が用いられていた。
しかしながら、このような方法では、画素電極が形成された基板上にスペーサ粒子がランダムかつ均一に散布するため、画素電極上、すなわち、液晶表示装置の表示部(画素領域)にスペーサ粒子が配置されやすかった。
一般的なスペーサ粒子は、合成樹脂やガラス等からなるため、スペーサ粒子が画素電極上に配置されると、偏光が乱されて偏光性を失うという現象、いわゆる消偏現象が生じて、スペーサ粒子部分が光漏れを起こすという問題が発生することがあった。また、スペーサ粒子表面において液晶の配向が乱れることにより、光抜けが起こりコントラストや色調が低下して表示品質が悪化するという問題が発生することがあった。
更に、TFT液晶表示装置においては、基板上にTFT素子が配置されているが、このTFT素子上にスペーサ粒子が配置されたときに、基板に圧力が加わると、素子が破損することがあった。
スペーサ粒子のランダム散布に伴う問題点を解決するために、スペーサ粒子を非画素領域に配置する種々の試みがなされている。
スペーサ粒子を非画素領域、すなわち特定の位置のみに配置する方法として、例えば、特許文献1には、スペーサ粒子を配置させる部分にマスクの開口部を合致させた後、マスクを通してスペーサ粒子を散布する方法が示されている。また、例えば、特許文献2には、感光体に静電的にスペーサ粒子を吸着させた後、透明基板にスペーサ粒子を転写する方法が示されている。更に、特許文献3には、基板上の画素電極に電圧を印加し、帯電させたスペーサ粒子を散布することで、静電的斥力によってスペーサ粒子を特定の位置に配置する液晶表示装置の製造方法が示されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法では、基板表面にマスクや感光体を直接接触させるために、基板表面に形成されている配向膜が損傷することがあり、液晶表示装置の画質が低下することがあった。一方、特許文献3に記載の方法では、スペーサ粒子の配置パターンに従って電極を構成する必要があるため、任意の位置にスペーサ粒子を配置することが困難であった。
他方、特許文献4には、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を基板上に配置する方法が示されている。この方法では、基板上にマスクや感光体を直接接触させることがないため、基板表面に形成されている配向膜が損傷することなく、特定の位置に特定のパターンでスペーサ粒子を配置できるので有効な方法であるといえる。
インクジェット装置を用いてスペーサ粒子を基板上に配置する方法では、スペーサ粒子と該スペーサ粒子を分散させる分散溶媒とを含有するスペーサ粒子分散液をインクジェット装置内に充填し、ノズルからスペーサ粒子分散液の液滴を基板に向けて吐出している。しかしながら、実際にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液の吐出を行うと、様々な問題が生じていた。
すなわち、スペーサ粒子分散液に分散させるスペーサ粒子は、通常、1〜20μm程度の粒子径を有するが、通常のインクジェットプリンタ等に用いられるインクに含まれる顔料は、せいぜい1μm程度であり、このような大粒子が分散した分散液を吐出することは想定されていなかった。
しかも、通常の顔料等を分散させたインクでは、分散剤を用いて分散安定性を向上させていたが、分散剤が添加されたスペーサ粒子分散液は、基板等に対する濡れ性が高いため基板上に吐出すると広がってしまい、微小な領域に選択的に吐出することができなかった。また、分散剤が水分を吸収するため乾燥工程に時間がかかったり、分散剤による配向膜汚染が発生して画質が悪化したりする等の理由により、スペーサ粒子分散液では分散剤を使用することができなかった。
このような極めて分散性の悪い大粒子であるスペーサ粒子が分散したスペーサ粒子分散液を、従来のインクジェット装置で吐出しようとすると、スペーサ粒子の目詰まりや吐出不良等が生じてしまい、正確な吐出が不可能であった。
スペーサ粒子の目詰まりや吐出不良等を解決する手段として、例えば、スペーサ粒子に表面処理を施すことで(自己分散処理)、分散溶媒に対する分散性を付与し、吐出性等の向上を図る方法が知られている。
しかしながら、このような自己分散処理が施されたスペーサ粒子を含むスペーサ粒子分散液をインクジェット装置により吐出しようとすると、しばしば吐出中に吐出安定性が低下してしまったり、吐出した液滴中にスペーサ粒子が含まれない場合があったりするという問題があった。
特開平4−198919号公報 特開平6−258647号公報 特開平10−339878号公報 特開昭57−58124号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置するためのスペーサ粒子分散液であって、表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理が施されたスペーサ粒子、アニオン性化合物、及び、溶媒を含有するスペーサ粒子分散液である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、自己分散処理を施したスペーサ粒子を含むスペーサ粒子分散液を吐出中に吐出安定性が低下してしまったり、吐出した液滴中にスペーサ粒子が含まれない原因が、インクジェット装置の吐出ヘッド部を構成する部材である、ポリイミド及びエポキシ樹脂に対するスペーサ粒子の付着にあることを見出した。自己分散処理としては、スペーサ粒子の表面にアミノ基等の親水基を導入することによりプラスに帯電させ、その静電反発力により分散性を付与することが一般的である。一方、ポリイミドやエポキシ樹脂は、通常マイナスに帯電している。従って、マイナスに帯電したポリイミドやエポキシ樹脂にプラスに帯電したスペーサ粒子が付着して取れないことにより、流路内に滞塞が起こりやすくなるものと考えられる。
そこで、本発明者らは、更に鋭意検討した結果、表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理を施したスペーサ粒子を含むスペーサ粒子分散液に対して、少量のアニオン性化合物を添加することにより、スペーサ粒子の優れた自己分散性を確保したまま、ポリイミドやエポキシ樹脂への付着を防止して、連続的かつ安定的にスペーサ粒子分散液の吐出が可能であり、表示品質に優れる液晶表示装置を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、上記吐出ヘッド部以外にも、撥水処理を目的としてインクジェット装置のSUS製の接液部の表面等に、例えば、フッ素等でコーティングがされている場合、この接液部にもスペーサ粒子の付着が生じることがあるが、本発明のスペーサ粒子分散液によると、係る接液部へのスペーサ粒子の付着を防止することもできる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子を含有する。
上記スペーサ粒子としては特に限定されず、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等からなる有機系粒子であってもよい。なかでも、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、かつ、セル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないことから、有機系粒子が好適である。
上記有機系粒子としては特に限定されないが、強度等を適切な範囲に調整することができることから、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好適である。
上記単官能単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能単量体又は多官能単量体は、親水基を有するものであってもよい。上記親水基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基が挙げられる。
上記親水基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記有機系粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒子径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合、分散重合は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する際に好適である。
上記懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等において用いられる重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記スペーサ粒子は、表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理が施されたものである。このようなスペーサ粒子を含有することで、本発明のスペーサ粒子分散液中でのスペーサ粒子の分散性や分散安定性が高められたり、散布時に電気泳動効果で配線部(段差)部近傍にスペーサ粒子が寄り集まりやすくなったりする等の効果が得られる。
なお、上記スペーサ粒子の表面電荷は、公知のゼータ電位測定器、例えば、レーザー・回転プリズム方式ゼータ電位測定装置(日本ルフト社製)を用いて測定することができる。
上記スペーサ粒子の表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理としては、例えば、スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法;スペーサ粒子にプラスに帯電可能な表面処理をする方法;スペーサ粒子が有機系粒子からなる場合には、プラスに帯電しやすい単量体を含む単量体を原料としてスペーサ粒子を製造する方法等により得ることができる。
上記スペーサ粒子にプラスに帯電可能な表面処理をする方法としては、スペーサ粒子の表面に、上述した親水基を有する単量体からなる被覆層を物理的に付着及び/又は化学的に結合する方法が挙げられる。上記被覆層は、スペーサ粒子を均一に被覆するものであってもよいし、部分的に被覆するものであってもよい。
上記スペーサ粒子に表面処理により被覆層を設ける方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特願2002−102848号に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法等が挙げられる。
なかでも、液晶表示装置のセル中で被覆層が剥離して液晶へ溶出するという問題が少ないことから、スペーサ粒子表面に化学的に結合した被覆層を形成する方法が好適であり、例えば、特開平9−113915号公報に記載のグラフト重合を行う方法が好適である。グラフト重合を行う方法では、スペーサ粒子の表面に還元性基を有する粒子に酸化剤を反応させ、スペーサ粒子の表面にラジカルを発生させて表面にグラフト重合させる。グラフト重合させると、スペーサ粒子の被覆層の密度を高くでき、充分な厚みの被覆層を形成できる。よって、グラフト重合されたスペーサ粒子は、本発明のスペーサ粒子分散液中での分散性に優れている。更に、本発明のスペーサ粒子分散液が基板に吐出された際に、スペーサ粒子の基板に対する固着性に優れている。この方法において、グラフト重合を行う際に、単量体として上述の親水基を有する単量体を組み合せて用いることで、スペーサ粒子の表面電荷をプラスにすることができる。また、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示装置での液晶の配向が乱されなくなるという効果もある。
また、上記プラスに帯電しやすい単量体を含む単量体を原料としてスペーサ粒子を製造する方法において、上記プラスに帯電しやすい単量体としては、例えば、上述の単量体のうち親水基を有する単量体が挙げられる。
上記スペーサ粒子は、表示素子のコントラスト向上のために着色されていてもよい。着色されたスペーサ粒子としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等により処理された粒子、また、粒子の表面に有機物の膜が形成され高温で分解又は炭化されて着色された粒子等が挙げられる。なお、粒子を形成する材質自体が色を有している場合には着色せずにそのまま用いられてもよい。
上記スペーサ粒子の粒径としては、液晶表示素子の種類により適宜選択すればよいが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示素子のスペーサ粒子として充分機能しないことがあり、20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の遮光領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示素子の小型化等の要請に充分に応えられなくなる。
上記スペーサ粒子は、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)の好ましい上限が2000MPa、好ましい下限が15000MPaである。2000MPa未満であると、液晶表示素子を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが得られないことがあり、15000MPaを超えると、液晶表示素子に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常が発生することがある。
なお、上記10%K値は、例えば、微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、粒子を10%歪ませるための加重から求めることができる。
上記スペーサ粒子は、本発明のスペーサ粒子分散液中において単粒子状に分散されていることが好ましい。分散液中に凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合がある。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記スペーサ粒子濃度の好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が8重量%である。0.01重量%未満であると、吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まない確率が高くなり、8重量%を超えると、インクジェット装置のノズルが閉塞してしまったり、着弾した液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて乾燥過程でスペーサ粒子の移動(集中)が起こりにくくなったりすることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は6重量%である。
本発明のスペーサ粒子分散液は、アニオン性化合物を含有する。
上記アニオン性化合物は、静電相互作用によりインクジェット装置の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂にスペーサ粒子が付着して流路内に滞塞を起こすことを防止するものである。すなわち、上記アニオン性化合物は、スペーサ粒子表面の親水基に、カウンターアニオンとして配位することで、上記スペーサ粒子のインクジェット装置の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂との静電相互作用を弱め、スペーサ粒子が該ヘッド壁に付着することを防止するものである。さらにスペーサ粒子表面の塩基の解離を促進させ、親水性を向上させ、疎水性相互作用を弱めることがある。
上記アニオン性化合物としては特に限定されず、例えば、カルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、フェノール誘導体、塩酸、フッ酸、臭化水素等のハロゲン化水素、硝酸、硫酸、過塩素酸等の鉱酸等が挙げられる。これらのアニオン性化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。
特に、上記アニオン性化合物は、カルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、及び、フェノール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
上記カルボン酸誘導体としては特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸等の脂式カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂式ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸、ピルビン酸等のオキソカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、ニトロカルボン酸等その他の官能基を持つカルボン酸等が挙げられる。
上記スルホン酸誘導体としては特に限定されず、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等が挙げられる。
上記リン酸誘導体としては特に限定されず、例えば、リン酸、ピロリン酸等が挙げられる。
上記フェノール誘導体としては特に限定されず、例えば、クレゾール、サリチル酸、ピクリン酸、ナフトール等の1価フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の2価フェノール、ピロガロール等の3価フェノール等が挙げられる。
また、上記アニオン性化合物は、上述したカルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、フェノール誘導体の塩であってもよい。
上記塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニア等の塩基、アミン等の有機塩基等をカウンターアニオンとしたもの等が挙げられる。これらの塩は、低分子量のみならず高分子体であってもよい。例えば、ポリビニルアルコール等の一般的な界面活性剤でもあってもよい。
上記アニオン性化合物としては、後述する溶媒への溶解性がよく、反応性が低いものが好ましく、配向膜に対して汚染性のないものが好ましい。このようなアニオン性化合物としては、脂式カルボン酸、脂式ジカルボン酸、スルホン酸誘導体が好適である。
また、上記アニオン性化合物は、沸点が250℃未満のものが好ましい。沸点が250℃以上であると、基板上に吐出した液滴を乾燥させたときに、基板上にアニオン性化合物が残留することがあり、液晶汚染の原因となるからである。なお、基板上に形成した液滴を乾燥させた後、洗浄処理を施す場合、沸点が250℃以上のアニオン重合性化合物を用いてもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記アニオン性化合物濃度の好ましい下限は0.1mmol/kgであり、好ましい上限は1.0mol/kgである。0.1mmol/kg未満であると、スペーサ粒子の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂への付着性を阻害する効果が小さくなり、流路の滞塞が発生することがある。1.0mol/kgを超えると、本発明のスペーサ粒子分散液が着弾した部分の配向膜に汚染が生じたり、インクジェット装置のヘッド及び流路に使用されている耐酸性の弱い部材を劣化させたりすることがある。より好ましい下限は0.3mmol/kg、より好ましい上限は0.5mol/kgであり、更に好ましい下限は0.5mmol/kg、更に好ましい上限は0.3mol/kgである。
また、上記アニオン性化合物は、表面にアニオン性官能基を有する微粒子(以下、アニオン性微粒子ともいう)又は表面にアニオン性官能基を有するエマルジョン(以下、アニオン性エマルジョンともいう)であってもよい。
上記アニオン性微粒子を構成する単量体としては特に限定されず、上記スペーサ粒子を構成する有機材料と同様の材料を用いることができる。
上記アニオン性微粒子を製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ミニエマルジョン重合法、エマルジョン重合法、転層乳化重合法、マイクロサスペンジョン重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー(析出)重合法等が挙げられる。なかでも、粒径の制御に優れる分散重合法、ソープフリー(析出)重合法等が好適に用いられる。
上記アニオン性微粒子の表面にアニオン性を付与する方法としては特に限定されず、上記スペーサ粒子の表面にプラスの電荷を付与する方法と同様の方法を用いることができる。
上記アニオン性微粒子を製造する方法において、アニオン性を付与する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の重合性不飽和結合を有するカルボン酸、重合性不飽和結合を有するリン酸エステル、重合性不飽和結合を有するスルホン酸エステル等が挙げられる。これらのアニオン性の単量体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アニオン性微粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、上記スペーサ粒子の平均粒径の10%以下であることが好ましい。10%を越えると、スペーサ粒子に対するアニオン性微粒子の被覆率が低下し、スペーサ粒子の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂への付着性を阻害する効果が小さくなったり、アニオン性微粒子が大きすぎるためにセルギャップが不均一になったりすることがある。
上記アニオン性微粒子の粒子径は揃っていなくてもよいが、液晶表示装置として表示不良をなくすべくギャップ精度を厳密に制御したり、被覆率を均一にしたりする場合は、粒子径分布を表す粒子径の変動係数(CV値:粒子径分布の標準偏差値を平均粒子径で除して百分率とした値)が20%以下であることが好ましい。より好ましくは1〜10%である。
上記アニオン性エマルジョンを製造する方法において、アニオン性を付与する乳化剤としては、末端にカルボキシル基を有する脂式(多価)カルボン酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸アンモニウム等のアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。
上記アニオン性エマルジョンを構成する分散液滴成分は、スペーサ粒子分散液を構成する溶媒と混合しないものであれば特に限定されないが、乾燥工程で蒸発しやすいため沸点が低く疎水性の高い低分子量の飽和炭化水素化合物が好適に用いられる。
上記アニオン性微粒子、及び、アニオン性エマルジョンは、スペーサ粒子が吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂へ付着することを阻害し、流路の滞塞を防止するものであるが、液晶表示装置を製造する際に加熱することによって溶融し、スペーサ粒子を基板に強固に接着、固定する役割を有すればなおよい。
上記接着性を有するアニオン性微粒子又はアニオン性エマルジョンを構成する材料としては、加熱により溶融又は軟化し、上記スペーサ粒子を基板に接着させることができるものであれば特に限定されないが、加熱により溶融又は軟化変形し、基板と上記スペーサ粒子との接着面積が増大し、結果として接着力が強くなることから、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
上記接着性を有するアニオン性微粒子又はアニオン性エマルジョンを構成する材料の軟化点としては特に限定されないが、好ましい下限は40℃、好ましい上限は120℃である。40℃未満であると、液晶パネルを長期間使用している際、発熱等により接着性を有するアニオン性微粒子又はアニオン性エマルジョン成分が軟化し、スペーサの固着性を損なう危険性が高くなり、120℃を超えると、スペーサを固定する際の加熱温度が高くなり、配向膜やガラス基板の負担が大きく、配向不良や歪み等の原因となる場合がある。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記アニオン性微粒子及びアニオン性エマルジョンの配合量は、上記スペーサ粒子100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が200重量部である。0.1重量部未満であると、スペーサ粒子の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂への付着性を阻害する効果が小さくなり、流路の滞塞が発生することがある。200重量部を超えると、インク乾燥時に本発明のスペーサ粒子分散液が着弾した部分の配向膜にアニオン性微粒子及びアニオン性エマルジョンが残り、光抜け等の原因となり、コントラストや色調が低下して表示品質悪化の原因となることがある。より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は100重量部である。
本発明のスペーサ粒子分散液は、溶媒を含有する。
上記溶媒としては特に限定されないが、水溶性又は親水性の溶媒が好ましい。インクジェット装置には、水系媒体用のノズルが用いられることがある。水系媒体用のノズルが用いられる場合には、溶媒として疎水性の強い溶媒を用いると、ノズルを構成する部材中に溶媒が侵入したり、部材を接着している接着剤の一部が溶媒に溶解したりすることがある。よって、水系媒体用のノズルが用いられる場合には、本発明のスペーサ粒子分散液中には、水溶性又は親水性の溶媒が含まれていることが好ましい。また、上記溶媒は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の溶媒を含有する混合溶媒であってもよい。
上記水溶性又は親水性の溶媒としては、水の他、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;グリコール(上記エチレングリコールやプロピレングリコールを指す)類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;グリコール類のジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;グリコール類のモノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類;1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;ジオール類のエーテル誘導体;ジオール類のアセテート誘導体;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類又はそのエーテル誘導体、アセテート誘導体;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。これらの水溶性又は親水性の溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記溶媒としては、水、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、及び、グリセリンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
上記溶媒としては、上述した水溶性又は親水性の溶媒を2種以上組み合わせた混合溶媒であることが好ましい。後述する本発明のスペーサ粒子分散液の粘度及び表面張力を調整することができ、また、基板上に吐出した液滴を乾燥させたときに、着弾中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となるからである。
このような混合溶媒としては、低沸点低表面張力の溶媒と、高沸点高表面張力の溶媒とを混合することが好ましく、具体的には、例えば、沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒、沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶媒、及び、水を含有する混合溶媒(1)が好適に挙げられる。
上記沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒としては特に限定されないが、なかでも、エタノール、2−プロパノール(IPA)、t−ブタノール等が好適に用いられる。
また、上記沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶媒としては特に限定されないが、なかでも、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
上記混合溶媒(1)において、沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒の配合量の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は40重量%(より好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は20重量%)であり、沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶媒の配合量の好ましい下限は30重量%、好ましい上限は96重量%(より好ましい下限は40重量%、より好ましい上限は90重量%)であり、水の配合量の好ましい下限は0重量%、好ましい上限は60重量%(より好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は40重量%)である。
なお、上記混合溶媒(1)において、上記沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒と水とを足した割合は、沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶媒を除いた量、すなわち、好ましい下限を4重量%、好ましい上限を70重量%(より好ましい下限を6重量%、より好ましい上限を55重量%)とする。
上記沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒が2重量%未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力が高くなりすぎ、スペーサ粒子分散液をインクジェット装置のヘッドへ導入する際にインク室に気泡が残存し、吐出しないノズルが発生する問題が起こる確率が高くなる。また、水と沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒とを加えた量が4重量%未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液の粘度が高すぎ、インクジェットヘッドより吐出しづらくなる(駆動電圧が高くなりすぎる)問題が発生することがあり、70重量%を超えると、本発明のスペーサ粒子分散液の粘度が低くなりすぎ、吐出安定性、特に高周波数駆動状態の安定性が低くなる問題が発生したり、インクジェット装置のノズルの先端でスペーサ粒子分散液が乾燥し易くなる。
また、インクジェット装置のSUS性フィルターが特に親水性の高い場合や、本発明のスペーサ粒子分散液を導入する前に、2−プロパノール等の表面張力が低く上記接液部を良くぬらす溶媒で充填して気泡を充分に除去した後、気泡を巻き込まないようにしてスペーサ粒子分散液でSUS性フィルターを置換できる場合は、上記混合溶媒には、沸点が150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒を加える必然性は特にない。
この場合、上記沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶媒の配合量の好ましい下限が30重量%、好ましい上限が96重量%(より好ましい下限は45重量%、より好ましい上限は94重量%)と、水の配合量の好ましい下限が4重量%、好ましい上限が70重量%(より好ましい下限は6重量%、より好ましい上限は55重量%)との組み合わせからなる混合溶媒(2)が挙げられる。
このような組み合わせの混合溶媒(2)において、水が4重量%未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液の粘度が高すぎて、インクジェットヘッドより吐出しづらくなる(駆動電圧が高くなりすぎる)問題が発生することがあり、70重量%を超えると、本発明のスペーサ粒子分散液の粘度が低くなりすぎ、吐出安定性、特に高周波数駆動状態の安定性が低くなる問題が発生することがある。なお、この場合でも、150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒を加えることは何ら問題ない。ただし、150℃未満で表面張力が28mN/m未満の溶媒を2重量%以上加える場合は、吐出性を左右する粘度等の制限から先に述べた組み合わせからなる混合溶媒(1)が好ましい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、本発明の目的を阻害しない範囲において、スペーサ粒子の分散を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤等を含有してもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、pHの上限が7であることが好ましい。7を超えると、スペーサ粒子の吐出ヘッドを構成するポリイミド及びエポキシ樹脂への付着性を阻害する効果が小さくなり、流路の滞塞が発生することがある。より好ましい上限は6である。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子を除く不揮発成分の含有量が少ないこと、具体的には1μmよりも小さい粒径を有する不揮発成分の含有割合が本発明のスペーサ粒子分散液全体に対して、0.001重量%未満であることが好ましい。0.001重量%を超えると、液晶や配向膜が汚染されて、液晶表示装置のコントラスト等の表示品質が劣ることがある。
上記不揮発成分には、例えば、大気中のゴミ、スペーサ粒子を分散させるのに用いた溶媒中に含まれていた不純物、スペーサ粒子の粉砕物、金属イオン等のイオン性化合物等が含まれ、スペーサ粒子分散液中における保形性を有さない固形分や非球形の微粒子を含むものとする。
本発明のスペーサ粒子分散液中の不揮発成分を少なくする方法としては、例えば、まずスペーサ粒子の粒子径よりも大きい濾過径を有するフィルターで本発明のスペーサ粒子分散液を濾過して大きなゴミを除いた後、本発明のスペーサ粒子分散液を遠心してスペーサ粒子を沈殿させた後、上澄み液を捨てて、更に濾取したスペーサ粒子を1μmの濾過径を有するフィルターで濾過した溶媒を加えてスペーサ粒子を分散させる方法;スペーサ粒子の粒子径よりも小さい濾過径を有するフィルターでスペーサ粒子を濾取し、濾取したスペーサ粒子を1μmの濾過径を有するフィルターで濾過した溶媒に分散させる方法;層状珪酸塩等のイオン吸着性固体を用いる方法等が挙げられる。これらの方法は、繰り返して行われてもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の比重と、スペーサ粒子を除く液状部分の比重との差が0.5以下であることが好ましい。0.5を超えると、本発明のスペーサ粒子分散液を保存中にスペーサ粒子が沈降してしまい、吐出した本発明のスペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の数が不均一になることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の表面の溶解度パラメータ値と、スペーサ粒子を除く液状部分の溶解度パラメータ値との差が5.0以下であることが好ましい。5.0を超えると、本発明のスペーサ粒子分散液中におけるスペーサ粒子の分散性が劣り、吐出した本発明のスペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の数が不均一になることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液は、表面張力が25〜50mN/mであることが好ましい。表面張力がこの範囲外であるとインクジェット装置で安定的に吐出することが難しいことがある。
また上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液の表面張力の値から基板の表面張力の値を減じた値が−2〜40mN/mであることが好ましい。−2mN/m未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液が基板上に着弾した際の着弾径が非常に大きくなってしまうことがあり、40mN/mを超えると、着弾したスペーサ粒子分散液が容易に移動してしまい、正確にスペーサ粒子を配置できないことがある。
なお、本明細書において、上記表面張力は、白金板を使用するウイルヘルミー法にて測定された値である。
本発明のスペーサ粒子分散液においては、例えば、表面張力について上記要件を満たすように上述の低沸点低表面張力の溶媒と高沸点高表面張力の溶媒とを混合することが好ましい。このような組み合わせを選択することにより、着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥するにつれ表面張力が高くなるので、液滴が乾燥するに従って液滴の径が小さくなるような力が働き、最終的なスペーサ粒子が配置される範囲を限定することができる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、基板に対する後退接触角(θr)が5度以上であることが好ましい。後退接触角が5度以上あれば、基板に着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥するときに、その中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる。5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小するとともに、スペーサ粒子がその中心に集まり難くなる。
本明細書において後退接触角とは、基板上に置かれた本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
なお、上記後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向がある。これは、初期の接触角は、本発明のスペーサ粒子分散液を構成する溶媒に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角は本発明のスペーサ粒子分散液を構成する溶媒に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。すなわち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶媒によって配向膜が損傷を受けていることを示しており、これらの溶媒を使用することが配向膜汚染に対して好ましくないことを示すと考えられる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θの好ましい下限が10度、好ましい上限が110度である。10度未満であると、基板上に吐出された本発明のスペーサ粒子分散液液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔を狭くできないことがあり、110度を超えると、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易く、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなったりすることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液は、少なくともインクジェット装置からの吐出時において、E型粘度計又はB型粘度計により測定した吐出時のヘッド温度における粘度の好ましい下限が0.5mPa・s、好ましい上限が15mPa・sである。0.5mPa・s未満であると、インクジェット装置から吐出するときの吐出量をコントロールすることが困難になることがあり、15mPa・sを超えると、インクジェット装置で吐出できないことがある。より好ましい下限は5mPa・s、より好ましい上限は10mPa・sである。
なお、本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の配向膜溶媒溶解度が5%未満であることが好ましい。5%を超えると、配向膜を損傷したり、液晶汚染の原因となったりすることがある。
上記配向膜溶媒溶解度は、例えば、以下の方法により測定することができる。すなわち、固形分で100mg相当の本発明のスペーサ粒子分散液を90℃で5時間、150℃で5時間真空で乾燥させることで、乾固させたあと、220℃で1時間ベークする。硬化物の重量(Wa)を測定した後、10gのN−メチル2−ピロリドンに入れ振とうさせながら5時間放置し、固形分を濾別し、150℃で5時間真空で乾燥させ乾固させた重量(Wb)を測定する。配向膜溶媒溶解度は、下記式により求めることができる。
配向膜溶媒溶解度=(Wa−Wb)/Wa
以上、表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理が施されたスペーサ粒子を含有する本発明のスペーサ粒子分散液について発明したが、例えば、スペーサ粒子が表面にアニオン性官能基(カルボン酸等)が導入されると、スペーサ粒子は、表面電荷(ゼータ電位)がマイナスとなる。一方、インクジェット装置のSUS製の接液部の表面に、例えば、ポリイミド、エポキシ化合物、又は、フッ素等でコーティング(撥水処理)がされていない場合、該接液部の電荷はプラスとなる。このような場合も、インクジェット装置のSUS製の接液部の表面に静電相互作用によりスペーサ粒子の付着が発生する。
スペーサ粒子の表面電荷がマイナスである場合、スペーサ粒子分散液としては、上述した溶媒にカチオン性化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。このような溶媒にカチオン性化合物を含有するスペーサ粒子分散液を用いることで、上記SUS製の接液部にスペーサ粒子が付着することを防止できる。
これは、上記スペーサ粒子分散液中にカチオン性化合物、特に塩基性化合物を加えることで、スペーサ粒子表面のアニオン性官能基(カルボン酸等)にカウンターカチオンとして塩基が加えられ、スペーサ粒子とインクジェット装置のSUS製の接液部の表面との静電相互作用が弱められるからであると考えられる。更に、スペーサ粒子表面のアニオン性基と錯形成し、親水性を向上させて疎水性相互作用を弱めることがある。
上記塩基性化合物としては特に限定されず、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属塩、テトラフェニルホスフィン等の四級ホスホニウム等が挙げられる。上記塩基性化合物は、ポリマーであってもよい。更に、ポリビニルピロリドン等の一般的な界面活性剤であってもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、該スペーサ粒子分散液の液滴をインクジェット装置を用いて吐出して基板上の所定の位置に着弾させた後、乾燥させることによりスペーサ粒子を基板上に所定の位置に配置することができる。
すなわち、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、本発明のスペーサ粒子分散液を、インクジェット装置を用いて第1の基板又は第2の基板の非画素領域に対応する特定の位置に配置する工程、前記スペーサ粒子分散液を乾燥させる工程、及び、前記第1の基板と第2の基板とを、液晶及びスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有する液晶表示装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示装置の製造方法において、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出するのに用いられるインクジェット装置としては特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の従来公知の吐出方法によるインクジェット装置が挙げられる。なかでも、吐出するスペーサ粒子分散液に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適である。
本発明の液晶表示装置の製造方法に供される基板としては特に限定されず、ガラスや樹脂等、通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。また、一対の基板のうち、一方の基板には画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが非画素領域を構成することになる。
上記基板は、本発明のスペーサ粒子分散液との接触角が20度以上になるように予め撥水処理が施されていることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法において、基板の本発明のスペーサ粒子分散液が吐出され着弾する箇所は、非画素領域に対応する位置である。
上記非画素領域に対応する位置とは、非画素領域(カラーフィルタ基板であれば上述のブラックマトリックス)、又は、もう一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)上で、その基板を非画素領域を有する基板と重ね合わせた際の非画素領域に対応する領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のいずれかを意味する。
上記非画素領域に対応する位置には、周囲と段差を有する箇所が含まれてもよい。ここでいう段差とは、基板上に設けられた配線等によって生じる非意図的な凹凸(周囲との高低差)、スペーサ粒子を集めるために意図的に設けられた凹凸をいい、凸凹表面下の構造は問わない。従ってここでいう段差は、表面凹凸形状における凹部又は凸部と平坦部(基準面)との段差をいう。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子と基板との間隔が0.2μm以下であることが好ましい。0.2μmを超えると、正確にセルギャップを実現できないことがある。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子の最上部(基板からもっとも離れた箇所)と基板との間隔のばらつき(標準偏差)が10%以下であることが好ましい。10%を超えると、正確にセルギャップを実現できないことがある。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子の最上部(スペーサ粒子の基板からもっとも離れた箇所)から、基板方向に10%変位した時の応力(10%変形応力)の好ましい下限が0.2mN、好ましい上限が10mNである。
上記10%変形応力は、以下の方法により測定することができる。すなわち、10の配置位置において、微小硬度計(例えば、島津社製)にて100μmの蝕針子で10%変位した時の応力を測定する。1配置位置毎に、応力を測定し、それをその配置位置に存在するスペーサ粒子の個数で除した値を求め、その平均値を、10%変形応力とする。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子の回復率が40%以上であることが好ましい。
上記回復率は、以下の方法により測定することができる。すなわち、10の配置位置において、それぞれの配置毎に、9.8(mN)にその配置位置に存在するスペーサ粒子の個数を乗じた加重を1秒かけ、基板とスペーサ粒子の最上部(スペーサ粒子の基板からもっとも離れた箇所)との距離の変化を、加重の前後で測定する。加重後の距離を加重前の距離で除した値の、10の配置位置での平均値を回復率とする。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子の80%以上が、液晶表示装置の遮光領域に相当する基板上の領域に存在することが好ましい。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、JIS C 0040(ショック加振(加速度50G(9m秒))、正弦波5分間加振(0.1KHz30G,1KHz30G)に準じた方法による振動試験前後での、スペーサ粒子の存在比の変化率が±20%以内であることが好ましい。
以上のように、基板上にスペーサ粒子を配置してスペーサ粒子が配置された基板を得た後、常法によりスペーサ粒子が配置された基板に、もう一方の基板をスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせた後、加熱圧着され、形成された基板間の空隙に液晶が充填されて液晶表示装置が作製される(真空注入法)。また、片方の基板に周辺シール剤を塗布しそれに囲まれた範囲内に液晶を滴下しもう一方の基板を貼り合わせシール剤を硬化させて液晶表示装置が作製される(液晶滴下工法)。
本発明の液晶表示装置の製造方法では、上述した本発明のスペーサ粒子分散液を用いるため、インクジェット装置の流路内に滞塞が生じることがなく、連続的かつ安定的にスペーサ粒子の配置ができ、表示品質に優れる液晶表示措置を製造することができる。
本発明の液晶表示装置の製造方法により製造されてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
本発明によると、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(スペーサ粒子の作製)
スペーサ粒子(商品名「ミクロパール」、積水化学工業社製)15重量部をジメチルスルホキシド(DMSO)100重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート80重量部、ラウリルアクリレート90重量部、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート30重量部を混合した中に投入し、ソニケータによって均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し30℃にて2時間撹拌を続けた。次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液20重量部を添加し、40℃で5時間反応を続け、スペーサ粒子表面に厚さ30nmの被覆層を形成した。その後、1μmのメンブランフィルターを用いて、スペーサ粒子と反応液とを濾別した。このスペーサ粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理が施されたスペーサ粒子(a)を得た。得られたスペーサ粒子(a)のゼータ電位は、レーザー・回転プリズム方式ゼータ電位測定装置(日本ルフト社製)を用いて測定した。
(スペーサ粒子分散液の調製)
粒子濃度が1.5重量%となるように、得られたスペーサ粒子(a)を混合溶媒(エチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%)にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。
そこに、酢酸を600mmol/kgの濃度となるように添加し、充分に撹拌した。その後、20μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、スペーサ粒子分散液を得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして、粒子濃度が1.5重量%となるように、得られたスペーサ粒子(a)を混合溶媒(エチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%)にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。
そこに、酪酸を200mmol/kg、ベンゼンスルホン酸を200mmol/kgの濃度となるように添加し、充分に撹拌した。その後、20μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、スペーサ粒子分散液を得た。
(実施例3)
実施例1と同様にして、粒子濃度が1.5重量%となるように、得られたスペーサ粒子(a)を混合溶媒(エチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%)にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。
そこに、酢酸100mmol/kg、ベンゼンスルホン酸を100mmol/kgの濃度となるように添加し、充分に撹拌した。その後、20μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、スペーサ粒子分散液を得た。
(実施例4)
実施例1と同様にして、粒子濃度が1.5重量%となるように、得られたスペーサ粒子(a)を混合溶媒(エチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%)にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。
そこに、メタンスルホン酸を0.1mmol/kgの濃度となるように添加し、充分に撹拌した。その後、20μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、スペーサ粒子分散液を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして、粒子濃度が1.5重量%となるように、得られたスペーサ粒子(a)を混合溶媒(エチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%)にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。
その後、20μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、スペーサ粒子分散液を得た。
<評価>
実施例1〜4及び比較例1について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)連続吐出安定性評価
インクジェット装置から吐出されるスペーサ粒子分散液の連続吐出安定性の観察を以下のようにして行った。
インクジェット装置のヘッドの駆動周波数に同期した周波数で(又は分周された周波数(駆動周波数/整数)で)、若干の遅延時間(例60μ秒)を付加した時間に同期させ、発光し、閃光時間の短いストロボを光源として、スペーサ粒子分散液がヘッドから吐出されている状態を、焦点距離の長い拡大カメラ(テレセントリックレンズをつけたCCDカメラ)で撮影することによって行った。撮影は128ノズルを有するヘッド部の中心部分100ノズルを行い、不吐出が発生しているノズル数を吐出開始直後、30分後、及び、1時間後でカウントし、不吐出割合を測定した。吐出の安定性は下記の基準で判定した。
◎:未吐出ノズルがない。
○:未吐出ノズルが1%以下。
△:未吐出ノズルが1%を超え、5%以下。
×:未吐出ノズルが5%を超える。
Figure 0004904236
本発明によれば、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供することができる。

Claims (6)

  1. インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置するためのスペーサ粒子分散液であって、
    表面にプラスの電荷を付与する自己分散処理が施されたスペーサ粒子、アニオン性化合物、及び、溶媒を含有する
    ことを特徴とするスペーサ粒子分散液。
  2. アニオン性化合物は、カルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、及び、フェノール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載のスペーサ粒子分散液。
  3. 溶媒は、水、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び、グリセリンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のスペーサ粒子分散液。
  4. pHが7以下であり、アニオン性化合物濃度が0.1mmol/kg〜1.0mol/kgであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスペーサ粒子分散液。
  5. 画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、
    請求項1、2、3又は4記載のスペーサ粒子分散液を、インクジェット装置を用いて第1の基板又は第2の基板の非画素領域に対応する特定の位置に配置する工程、前記スペーサ粒子分散液を乾燥させる工程、及び、前記第1の基板と第2の基板とを、液晶及びスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  6. 請求項5記載の液晶表示装置の製造方法により製造されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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